WO2009081935A1 - 運動補助装置 - Google Patents

Abstract

　運動補助装置は、使用者の足を支持するための足載せ台を含む。足載せ台は、足載せ台の一部が、足載せ台の残部が足を支持しながら、足載せ台の残部から相対的に退くことにより足から離されるように構成される。

Description

運動補助装置

　本発明は、使用者の脚部の筋肉を他動運動により伸縮させる運動補助装置に関するものである。

　従来から、使用者が自発的に筋力を発揮することなく使用者の身体に外力を与えて筋群を伸縮させることにより、運動効果を得られるようにした他動運動による運動補助装置が種々提案されている。この種の運動補助装置には、関節の屈伸によって当該関節に関連した筋群の伸縮を促すものが知られている（例えば、日本国特許出願公開番号２００７－３７８５０参照）。この運動補助装置は、使用者の膝の屈伸をほとんど伴わずに大腿部の筋収縮を行わせるものである。膝痛を持つ使用者でも大腿部の筋群の強化が可能になり、しかも、大腿部の筋群は体積が大きいので、筋収縮に伴う糖代謝が効率的に亢進され、糖尿病などの生活習慣病の改善に寄与することが期待される。

　しかし、この構成では、使用者は足の下面全体に体重を掛けて他動運動による運動を行うので、鍛えられる筋肉の部位が特定されてしまい、より広範囲な部位の筋肉へ刺激を行うことができないという問題がある。

　別の運動補助装置は、使用者の足を支持するための足支持台と、シート部とを含み、使用者の臀部を接触面で支持した状態においてシート部を変位させることによって、膝の屈伸をほとんど行うことなく大腿部の筋群を緊張・弛緩させる（例えば、日本国特許出願公開番号２００７－１８１７３１参照）。この運動補助装置は、シート部の位置を変位させ、使用者の体重のうちシート部で支持する割合を変化させることにより、脚部に作用する自重を変化させている。また、脚部に作用する自重が増加する際に足支持台の載置面が下降することで膝の曲げ角度がほぼ一定に保たれている。

　このような動作によって、使用者の脚部に全体重を作用させる場合よりも負荷を軽減するとともに、膝の屈伸をほとんど伴わずに大腿部の筋収縮を行うことによって、例えば糖尿病患者でかつ、膝痛を持つ使用者でも大腿部の筋群の強化が可能になり、しかも、大腿部の筋群は体積が大きいから、筋収縮に伴う糖代謝によって生活習慣病の改善にも寄与することが期待される。さらに、駆動源を用いてシート部を変位させることにより、使用者は自発的に筋力を発揮することなく他動的に運動することができるから、軽負荷であることとあいまって運動能力の低い使用者や運動意欲の小さい使用者でも使用することが可能になる。

　ところで、上述した構成を有する運動補助装置によって、膝関節への負荷を低減しながら大腿四頭筋の運動効果を与えるためには、ハムストリングス（大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋）や下腿筋群を同時収縮させて膝関節に作用する剪断力を低減することが肝要である。そのために特許文献１に記載されている従来装置では、足裏が載せられる足支持台の載置面（上面）を爪先下がり（踵から爪先に向かう方向に沿った下向き）に傾斜させることで足関節が底屈したまま、爪先側により多くの荷重をかける状態に誘導していた。このような構成により、下腿三頭筋（腓腹筋，ヒラメ筋）が収縮し、同時に協働筋であるハムストリングスも収縮し、膝周囲の筋肉を同時に収縮させることができる。

　しかしながら、上記従来例のように単に足支持台の載置面を爪先下がりに傾斜させただけでは、使用者のシート部への乗り方や体格の個人差によって、シート部を変位させて脚部に作用する自重を増加させる際、稀に踵側に荷重がかかることがあった。そして、爪先側よりも踵側に多くの荷重がかかった場合、膝関節に過度の負荷がかかってしまう虞がある。膝関節に過度の負荷がかかることを防ぎつつ膝周囲の筋肉を鍛えることが望まれる。

　本発明の目的は、足の下面の一部に体重を集中させて残りの部分に体重が掛からないようにすることで、特定の筋肉を鍛えることができる運動補助装置を提供することにある。

　本発明の運動補助装置は、使用者（Ｍ）の足を支持するための足載せ台（２１）を備える。足載せ台（２１）は、足載せ台の一部が、足載せ台の残部が足を支持しながら、足載せ台の残部から相対的に退くことにより足から離されるように構成される。

　この構成（以下「第１構成」という）では、使用者（Ｍ）が足載せ台（２１）に足を載せた際に、足を載せた部分の一部が足から離れて、足載せ台（２１）の残部が足を支持する。それ故に、使用者（Ｍ）は足載せ台（２１）の残部で全体重を支えなければならず、特定の筋肉が鍛えられるようになる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）は複数の部材で構成される。足載せ台（２１）は、複数の部材の少なくとも一つの部材が、複数の部材の残りの部材に対して折曲されることにより使用者の足から離されるように構成される。この構成では、足載せ台（２１）の一部を簡単な構成で足載せ台の残部に対して相対的に動かすことができる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）の複数の部材は、前後に別々に並設される。この構成では、足載せ台（２１）の前部材（２１Ｆ）を下方に折曲させれば、使用者（Ｍ）の足の後側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることができる。又は、足載せ台（２１）の後部材（２１Ｂ）を下方に折曲させれば、使用者（Ｍ）の足の前側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることが可能となる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）の複数の部材は、前ハーフ（２１Ｆ）及び後ハーフ（２１Ｂ）である。足載せ台（２１）は、前ハーフ（２１Ｆ）が後ハーフ（２１Ｂ）に対して下方に折曲されるように構成される。この構成では、前脛骨筋と足指部の筋肉を中心として鍛えることが可能となる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）の複数の部材は、前ハーフ（２１Ｆ）及び後ハーフ（２１Ｂ）である。足載せ台（２１）は、後ハーフ（２１Ｂ）が前ハーフ（２Ｆ）に対して下方に折曲されるように構成される。この構成では、爪先部、足裏部とふくらはぎの筋肉を中心に鍛えることが可能となる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）の複数の部材は、左右に別々に並設される。この構成では、足載せ台（２１）の外側部材を下方に折曲させれば、使用者の足の内側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることができる。又は、足載せ台（２１）の内側部材を下方に折曲させれば、使用者の足の外側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることが可能となる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）の複数の部材は、内側ハーフ及び外側ハーフである。足載せ台（２１）は、内側ハーフが外側ハーフに対して下方に折曲されるように構成される。この構成では、足載せ台（２１）の内側部材を下方に折曲させれば、使用者の足の外側の筋肉が鍛えられて、Ｘ脚を矯正することができる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）の複数の部材は、内側ハーフ及び外側ハーフである。足載せ台（２１）は、外側ハーフが内側ハーフに対して下方に折曲されるように構成される。この構成では、足載せ台（２１）の外側部材を下方に折曲させれば、使用者の足の内側の筋肉が鍛えられて、Ｏ脚を矯正することができる。

　一実施形態において、足載せ台（２１）は、立位の使用者（Ｍ）の足を支持するように構成される。この構成では、使用者（Ｍ）が全体重を足に掛けることができて、高負荷で高効率な鍛錬を行うことが可能となる。

　第１構成において、運動補助装置は、足載せ台（２１）を支持する足支持台（２）と、使用者（Ｍ）が足載せ台（２１）の足載せ面（２１Ａ）に足裏を載せている状態で使用者（Ｍ）の臀部を支持するためのシート部（５１）と、使用者（Ｍ）の脚部に作用する自重が変化するように駆動源を用いてシート部を変位させるシート駆動部（５２）とを更に備えてもよい。望ましくは、足支持台（２）は、定位置に設置される支持ベース（１ａ）と、支持ベース（１ａ）に対して足載せ台（２１）を上下方向に往復移動自在且つ上向きに付勢した状態で支持する支持機構部（２１０）とを有する。望ましくは、足載せ台（２１）の足載せ面（２１Ａ）は、使用者（Ｍ）の踵から爪先に向かう方向に沿って下方に傾斜するように形成され、支持機構部（２１０）は、使用者（Ｍ）の脚部に作用する自重が増加する際に足載せ台（２１）の後側の部位（２１Ｂ）を前側の部位（２１Ｆ）よりも相対的に大きく移動させる。

　この構成（以下「第２構成」という）では、使用者（Ｍ）の脚部に作用する自重が増加する際、支持機構部（２１０）が足載せ台（２１）の後側の部位（２１Ｂ）を前側の部位（２１Ｆ）よりも相対的に大きく移動させるので、使用者（Ｍ）のシート部（５１）への乗り方や体格の個人差にかかわらず、踵側に対して爪先側により多くの荷重をかけることができる。その結果、膝関節に過度の負荷がかかることを防ぎつつ膝周囲の筋肉を鍛えることが可能になる。

　第２構成において、運動補助装置は、使用者（Ｍ）の脚部の筋活動を検出する検出部（６１）と、検出部（６１）による脚部の筋活動の検出結果に応じて支持機構部（２１０）による足載せ台（２１）の移動量を制御する制御部（６２）とを備えてもよい。この構成では、脚部の筋活動の程度に応じて足載せ台（２１）の移動量を制御することにより、膝周囲の筋肉に適切な負荷をかけることができる。

　第２構成において、検出部（６１）は、使用者（Ｍ）の大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋からなるハムストリングス若しくは腓腹筋、ヒラメ筋からなる下腿三頭筋の何れかの筋活動を検出するように構成されてもよい。

　本発明の好ましい実施形態をさらに詳細に記述する。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記述および添付図面に関連して一層良く理解されるものである。
本発明の一実施形態において足載せ台が中央位置にある場合を示し、図１Ａは縦側断面図であり、図１Ｂは正面断面図である。 同足載せ台が中央位置から前方に移動した場合の縦側断面図である。 同実施形態の全体概略側面図である。 同実施形態におけるハウジングの平面透過図である。 同実施形態の全体分解斜視図である。 同ハウジングの後方から見た要部断面図である。 同実施形態における案内部の要部断面図である。 図８Ａ及び８Ｂはそれぞれ同実施形態における駆動装置のブロック図である。 同実施形態における足支持台の要部断面図である。 本発明の一実施形態における足載せ台が中央位置にある場合を示し、図１０Ａは縦側断面図であり、図１０Ｂは正面断面図である。 同実施形態における足載せ台が中央位置から前方に移動した場合の縦側断面図である。 本発明の一実施形態における足載せ台の正面図である。 本発明の一実施形態における足載せ台の正面図である。 図１４Ａ及び１４Ｂは本発明の一実施形態における足支持台を示す概略側面図である。 同実施形態の概略側面図である。 同実施形態の概略平面図である。 本発明の一実施形態における制御系のブロック図である。 同実施形態における足支持台を示す概略側面図である。

　本発明の一実施形態について図１乃至図９に基づいて説明する。本実施形態は、図３に示すように、床などの定位置に置かれる基台１０を有し、基台１０の上には、立位の使用者（Ｍ）が必要に応じて手で把持するハンドル（ＨＤ）を上端部に備えたハンドルポスト（ＨＰ）が設けられる。また基台１０には、上面を足載せ面として使用者（Ｍ）の左右の足をそれぞれ載せる足支持台２（左足支持台２ａ、右足支持台２ｂ）と、各足支持台２の移動経路をそれぞれ拘束する案内部４と、足支持台２を駆動する駆動装置３とを備えている。なお、ハンドル（ＨＤ）及びハンドルポスト（ＨＰ）は無くても構わないものである。

　図４および図５に示すように、基台１０は、支持ベース１ａ及び上板１ｂからなるハウジング１を含む。支持ベース１ａは直方体状のものを図示しているが、支持ベース１ａの外周形状にはとくに制限はない。以下では、説明を簡単にするために、支持ベース１ａを床上に載置した状態で支持ベース１ａの上面が床面と平行になるものとする。

　支持ベース１ａの上方には上板１ｂが配設され、支持ベース１ａと上板１ｂとを結合することによりハウジング１が形成される。支持ベース１ａの上には、使用者（Ｍ）の左右の足をそれぞれ載せる左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂと、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂの位置をそれぞれ移動させる駆動装置３とが配置される。以下の説明では、図４および図５において矢印Ｘの向きを前方とする。

　上板１ｂには左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂをそれぞれ露出させる２個の開口窓１１ａ，１１ｂが厚み方向に貫設される。各開口窓１１ａ，１１ｂは、それぞれ矩形状に開口する。ただし、各開口窓１１ａ，１１ｂは、長手方向に沿った中心線がハウジング１の前後方向に対して傾斜し、両中心線間の距離がハウジング１の前端側で後端側よりも大きくなるように形成してある。

　各開口窓１１ａ，１１ｂの幅方向の両側部には、図６に示すように、スライド溝１２が開口窓１１ａ，１１ｂの内側に臨む形で開口する。スライド溝１２には、足置枠２２に形成したフランジ部２２ｂがスライド可能に挿入される。足置枠２２は、使用者（Ｍ）が足を載せるための足載せ台２１とともに左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂを構成するものであって、矩形筒状に形成された本体部２２ａを有している。フランジ部２２ｂは本体部２２ａの一方の開口面（上面）に沿って本体部２２ａの全周に亘って延設されている。足置枠２２の本体部２２ａの内側には下部において取付板２２ｃが一体に形成される。

　本体部２２ａは長手方向の寸法および幅方向の寸法が開口窓１１ａ，１１ｂよりも小さく、フランジ部２２ｂは長手方向の寸法および幅方向の寸法が開口窓１１ａ，１１ｂよりも大きく形成されている。さらに、スライド溝１２の底間の距離はフランジ部２２ｂの先端縁間の距離よりも大きく形成される。したがって、足置枠２２は、幅方向においてはスライド溝１２の範囲内において移動可能になり、また長手方向においても移動可能になる。

　足載せ台２１は、足置枠２２における本体部２２ａの内周縁よりもやや小さい矩形板状に形成されており、使用者（Ｍ）の足全体を載せることができる寸法に形成されるもので、後述するが、前ハーフ２１Ｆと後ハーフ２１Ｂとを丁番２１Ｃで連結して構成される。また、足載せ台２１の上面には摩擦係数を大きくする材料ないし形状が採用される。足載せ台２１の下面周部にはそれぞれ角括弧状に折曲された枠体２１ａ，２１ｂが一体に設けられる。

　足置枠２２に設けた取付板２２ｃの上面には上方に開放された断面角括弧状の軸受板２３が固定される。軸受板２３の両脚片２３ａを通る軸部２４が丁番２１Ｃの両端部にそれぞれ突設される。したがって、軸部２４は足載せ台２１の幅方向に沿って配置され、足載せ台２１は、足置枠２２に対して長手方向の前後が上下するように軸部２４の周りに回動可能になる。上述した枠体２１ａ，２１ｂは、足載せ台２１が足置枠２２に対して回動する際に、足載せ台２１の下面と足置枠２２との間に隙間が生じるのを防止するために設けられている。

　足置枠２２に設けた取付板２２ｃの下面には下面に開放された断面角括弧状の台車４１が取り付けられる。台車４１の両脚片４１ａの外側面には各２個ずつの車輪４２が取り付けられる。支持ベース１ａの上面には左足支持台２ａと右足支持台２ｂとに対してそれぞれ２本ずつのレール４３が固定されており、レール４３の上面に設けたレール溝４３ａの中で車輪４２が転動するように、レール４３上に台車４１が載置される。また、レール４３の上面には車輪４２がレール溝４３ａから脱落するのを防止するために、脱輪防止板４４が固定される（図７参照）。

　ところで、レール４３の長手方向はハウジング１に設けた開口窓１１ａ，１１ｂの長手方向とは異なる方向としてある。上述したように開口窓１１ａ，１１ｂは長手方向の中心線がハウジング１の前端側で後端側よりも大きくなるように傾斜しており、レール４３の長手方向もハウジング１の前後方向に対して同様に傾斜している。

　ただし、レール４３ではハウジング１の前後方向に対する角度が開口窓１１ａ，１１ｂよりもさらに大きくなっている。例えば、ハウジング１の前後方向に対する角度が、開口窓１１ａ，１１ｂの長手方向で３０度とすれば、レール４３の長手方向は４５度などに設定される。すなわち、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂに足を載せ、開口窓１１ａ，１１ｂの長手方向に足の中心線を一致させた状態において、レール４３に沿って左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂを移動させることにより足の位置を変化させても膝関節に剪断力が作用しない方向に、レール４３の長手方向が設定される。なお、本実施形態では、望ましい動作として、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂが前後方向と左右方向とを複合した移動経路で移動する例を示しているが、レール４３を配置する方向により左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂを前後方向や左右方向に移動させることも可能である。

　上述の構成によって、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂはレール４３の長手方向に沿って往復移動することが可能になり、レール４３の長手方向は開口窓１１ａ，１１ｂの長手方向の中心線に対して傾斜しているから、足載せ台２１および足置枠２２は開口窓１１ａ，１１ｂの中で長手方向に対して交差した方向に移動することになる。すなわち、上述した台車４１と車輪４２とレール４３と脱輪防止板４４とは、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂの移動経路を拘束する案内部４として機能する。

　左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂを移動させる駆動装置３は、図８に示すように、駆動力を発生させる駆動源３１と、駆動力を左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂにそれぞれ伝達するように２系統に分離する系統分離部３２と、駆動力を用いて台車４１をレール４３に沿って往復移動させる往復駆動部３３とを有する。本実施形態では、図８（ａ）のように系統分離部３２により駆動力を分離し、分離された駆動力を往復駆動部３３に伝達する構成を採用しているが、図８（ｂ）のように往復駆動部３３により得られる往復駆動の駆動力を系統分離部３２で２系統に分離することも可能である。

　駆動装置３について、さらに具体的に説明する。駆動源３１には回転モータ（以下、単にモータと略称し、符号３１を用いる）を採用しており、モータ３１の出力軸３１ａには系統分離部３２が連結される。

　系統分離部３２は、モータ３１の出力軸３１ａに連結されたウォーム（第１歯車）３２ａと、ウォーム３２ａに噛合する一対のウォームホイール（第２歯車）３２ｂとを備える。ウォーム３２ａおよび２個のウォームホイール３２ｂは支持ベース１ａに固定されるギアボックス３４に収納される。ギアボックス３４は、上面に開口を有するギアケース３４ａと、ギアケース３４ａの開口面に覆着される蓋板３４ｂとにより形成される。ギアケース３４ａと蓋板３４ｂとの間にはウォーム３２ａの長手方向の両端部を支承する一対の軸受３２ｃが取り付けられる。

　ウォームホイール３２ｂには、ギアケース３４ａと蓋板３４ｂとに保持される回転軸３５が挿通され、ウォームホイール３２ｂの回転に伴って回転軸３５が回転するように、ウォームホイール３２ｂと回転軸３５とを結合してある。回転軸３５の上端部には断面が非円形状（図示例では矩形状）に形成された結合部３５ａが形成される。

　モータ３１は、ギアケース３４ａに設けた口受部３４ｃと支持ベース１ａに固定した口受板１３ａとに載置され、ギアケース３４ａに覆着される蓋板３４ｂと口受板１３ａに結合される押さえ板１３ｂとにより支持ベース１ａに固定される。

　図９に示すように、往復駆動部３３は、回転軸３５の結合部３５ａに一端部が結合されるクランク板３６と、クランク板３６にクランク軸３７を介して結合されたクランクロッド３８とを備える。クランク軸３７の一端部はクランク板３６に固定され、他端部はクランクロッド３８の一端部に保持された軸受３８ａに保持される。つまり、クランクロッド３８の一端部はクランク板３６に対して回動自在に結合される。クランクロッド３８の他端部は台車４１に対して軸体３８ｂを用いて結合され、クランクロッド３８の他端部は台車４１に対して回動自在に結合される。

　上述の構成から明らかなように、クランクロッド３８は、ウォームホイール３２ｂの回転力を台車４１の往復移動に変換する変換機構として機能する。クランクロッド３８はウォームホイール３２ｂごとに設けられ、台車４１は左足支持台２ａと右足支持台２ｂとにおいて個別に設けられているから、クランクロッド３８は、ウォームホイール３２ｂの回転力をそれぞれ左足支持台２ａと右足支持台２ｂとの往復移動に変換する変換機構として機能する。

　台車４１は上述したように車輪４２とレール４３とにより移動経路が拘束されているから、ウォームホイール３２ｂの回転に伴って台車４１がレール４３の長手方向に沿って往復移動する。つまり、モータ３１の回転がウォーム３２ａおよびウォームホイール３２ｂを介してクランク板３６に伝達され、さらに、クランク板３６に結合されたクランクロッド３８により台車４１がレール４３に沿った直線上で往復移動を行うのである。その結果、台車４１に結合されている足置枠２２がレール４３に沿って往復移動する。つまり、左足支持台２ａと右足支持台２ｂとがレール４３の長手方向において往復移動する。

　本実施形態では、ウォーム３２ａと２個のウォームホイール３２ｂとにより駆動力を２系統に分離し、系統ごとに左足支持台２ａと右足支持台２ｂとの駆動力として用いるから、駆動装置３により左足支持台２ａと右足支持台２ｂとが関連付けて駆動される。ここで、各ウォームホイール３２ｂがウォーム３２ａに噛合する位置を１８０度異ならせてある。したがって左足支持台２ａが移動範囲の後端に位置するときには、右足支持台２ｂは移動範囲の前端に位置する。左足支持台２ａの移動範囲における後端は左足支持台２ａの移動範囲の右端であって、右足支持台２ｂの移動範囲における前端は右足支持台２ｂの移動範囲の右端であるから、左右方向においては、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂは同じ向きに移動することになる。

　なお、上述の構成から明らかなように、ウォーム３２ａとウォームホイール３２ｂとを噛み合わせる位置に応じて、左足支持台２ａと右足支持台２ｂとの移動における位相差を適宜に付与することが可能である。本実施形態のように１８０度の位相差を付与すれば、使用者（Ｍ）の前後方向の重心移動が少なくなるからバランス機能が低下している使用者（Ｍ）でも使用できる。あるいは、位相差を持たないようにすれば、使用者（Ｍ）の前後方向の重心移動が生じるから、単に脚部の筋群の運動になるだけではなく、バランス機能を保つための腰背部などの筋群の運動にも役立つ。

　上述した構成から明らかなように、駆動装置３の運転を開始すると、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂはそれぞれ前後方向に位置を変化させるとともに、前後方向の位置変化に伴って左右方向の位置も変化させる。ここで、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂはレール４３に沿った一直線上を往復移動し、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂは足の前後方向とは異なる方向に移動する。例えば、ハウジング１の前後方向に対して４５度をなす方向に移動する。この移動距離は、例えば２０ｍｍなどに設定する。

　ところで、左足支持台２ａおよび右足支持台２ｂに設けた足載せ台２１は足置枠２２に対して軸部２４の周りで回動可能であるから、足載せ台２１の前端部と後端部との高さ位置を変化させたりすることが可能になっている。つまり、足載せ台２１の上に置いた足の爪先と踵との高さ位置を変化させることにより、足関節の底屈と背屈とが可能になっている。

　ここで、軸部２４の周りでの足載せ台２１の回動をレール４３に沿った往復移動に連動させるために、支持ベース１ａには、図１に示すように、足載せ台２１の移動経路に沿って少なくとも一部に案内部４としてのガイドレール部１７が形成される。

　図１に示すように、左足支持台２ａ及び右足支持台２ｂは、基台１０に設けられたガイドレール部１７により、左足支持台２ａと右足支持台２ｂのそれぞれの移動経路が拘束される。ガイドレール部１７は、前記左足支持台２ａと右足支持台２ｂとをそれぞれ略前後方向に移動自在とすると共に、足支持台２の移動経路に沿った移動に伴って、足支持台２の一部を後退させる。

　基台１０は、左足支持台２ａ及び右足支持台２ｂが配設されて移動経路となる部分の内部を空洞１５とし、空洞１５の上壁に略前後方向を長手方向とする溝１６を貫通形成している。また本実施形態では、左足支持台２ａの移動経路を前方へ行く程左外方に位置するような傾斜とすると共に、右足支持台２ｂの移動経路を前方へ行く程右外方に位置するような傾斜として、この移動経路に沿って溝１６を形成してある。

　左足支持台２ａと右足支持台２ｂの足載せ台２１は、それぞれ前ハーフ２１Ｆと後ハーフ２１Ｂとからなる。前ハーフ２１Ｆの前後長さは後ハーフ２１Ｂの前後長さの略２倍程あり、前ハーフ２１Ｆの後端部と後ハーフ２１Ｂの前端部とを丁番２１Ｃにて連結して、足支持台２の前後長さの後ろから略１／３程の所に位置する丁番２１Ｃにて折れ曲がるようになっている。前ハーフ２１Ｆは足の爪先部の載置部となっており、後ハーフ２１Ｂは足の中央部及び踵部の載置部となっている。前ハーフ２１Ｆの下面の前半部の略中央部から前位置の垂下部２５ａを下方に突設すると共に、後半部の略中央部から中位置の垂下部２５ｂを下方に突設し、後ハーフ２１Ｂの略中央部から後位置の垂下部２５ｃを下方に突設している。垂下部２５（２５ａ～ｃ）は、溝１６を挿通して下端部が基台１０の内部の空洞１５内に位置すると共に、各垂下部２５の下端部には、空洞１５内において、溝１６の幅よりも長い長さの横棒部２６がその長手方向が溝１６の幅方向となるように形成してある。また、基台１０の移動経路に沿った空洞１５の底面には、ガイドレール部１７を設けるもので、前位置の垂下部２５ａの横棒部２６を案内する前側のガイドレール部１７ａと、中位置の垂下部２５ｂの横棒部２６を案内する中央のガイドレール部１７ｂと、後位置の垂下部２５ｃの横棒部２６を案内する後側のガイドレール部１７ｃとがそれぞれ設けてある。

　ガイドレール部１７は、内部に横棒部２６を収納して、横棒部２６の前後の位置に応じてその上下の位置を所定位置に位置決めするもので、本実施形態では、略箱状をすると共に内部に横棒部２６が前後方向に移動自在な移動空間１８を有し、移動空間１８の上壁面には該移動空間１８の長手方向（移動方向）に沿って前後方向に溝１９が貫通形成してある。前記溝１９の幅は、横棒部２６の長さよりも短く形成してあると共に、垂下部２５の該溝１９の幅方向の長さよりも若干長く形成してあり、垂下部２５が溝１９を挿通して移動空間１８内に入り、その下端部の横棒部２６は移動空間１８内に位置して溝１９からは抜けないようになっている。そして、前側のガイドレール部１７ａは、移動空間１８が、前方へ行く程下方に位置するように前斜め下方に傾斜している。また、中央のガイドレール部は、移動空間１８が、前方へ行く程上方に位置するように前斜め上方に傾斜している。また、後側のガイドレール部は、移動空間１８が、前半部は略水平となっていると共に、後半部は後方へ行く程下方に位置するように後斜め下方に傾斜している。

　これにより、左足支持台２ａ、右足支持台２ｂがそれぞれ移動経路の前後方向略中央部に位置する時（これを中央位置というものとする）には、図１に示すように前ハーフ２１Ｆ及び後ハーフ２１Ｂは略面一で略水平となる。

　そして、図２に示すように、中央位置よりも前方（図で右方）に移動して、前ハーフ２１Ｆが前斜め下方に傾斜すると共に後ハーフ２１Ｂが後斜め下方に傾斜すると、底屈すると共に、足支持台２は前ハーフ２１Ｆの方が後ハーフ２１Ｂよりも長く、足は爪先部が前ハーフ２１Ｆに載置されて踵部が後ハーフ２１Ｂから離れ、足裏部とふくらはぎを中心として筋肉が鍛えられる。

　また、中央位置から後方に移動すると、図示しないが、前ハーフ２１Ｆが後斜め下方に傾斜すると共に後ハーフ２１Ｂも後斜め下方に傾斜し、足載せ台２１は略面一を保った状態となって背屈するが、足は全体が足載せ台２１に載置される。

　上記のように、本発明においては、足載せ台２１の一部が後退可能に形成される。つまり、足載せ台２１は、足載せ台２１の一部が、足載せ台２１の残部が足を支持しながら、足載せ台２１の残部から相対的に退くことにより足から離されるように構成される。これにより、使用者（Ｍ）の体重を足の下面の一部に集中させて、特定の筋肉が鍛えられるようになる。足載せ台２１を複数の部材で構成してそのうちの少なくとも一つの部材を他の部材に対して折曲させることで、足載せ台２１の一部を簡単な構成で足載せ台の残部に対して相対的に動かすことができる。

　また、足載せ台２１を前後に別々の部材を並設して構成してそのうちの少なくとも一つの部材を他の部材に対して折曲させることで、足載せ台２１の前側部材を下方に折曲させれば、使用者（Ｍ）の足の後側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることができる。又は、足載せ台２１の後側部材を下方に折曲させれば、使用者の足の前側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることが可能となる。例えば、足載せ台２１の前側部材を後側部材に対して下方に折曲させることで、足裏部とふくらはぎの筋肉を中心に鍛えることが可能となる。

　次に、他の実施形態について図１０に基づいて説明する。なお、図１乃至図９に示す上実施形態と同じ部分については同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。

　左足支持台２ａと右足支持台２ｂの足載せ台２１は、それぞれ前ハーフ２１Ｆと後ハーフ２１Ｂとからなるが、本実施形態では、前ハーフ２１Ｆの前後長さは後ハーフ２１Ｂの前後長さの略半分程であり、前ハーフ２１Ｆの後端部と後ハーフ２１Ｂの前端部とを丁番２１Ｃにて連結して、足支持台２の前後長さの前から略１／３程の所に位置する丁番２１Ｃにて折れ曲がるようになっている。前ハーフ２１Ｆは足の爪先部及び中央部の載置部となっており、後ハーフ２１Ｂは足の踵部の載置部となっている。前ハーフ２１Ｆの下面の略中央部から前位置の垂下部２５ａを下方に突設すると共に、後ハーフ２１Ｂの前半部から中位置の垂下部２５ｂを下方に突設し、後ハーフ２１Ｂの後半部から後位置の垂下部２５ｃを下方に突設している。基台１０の底面には、前位置の垂下部２５ａの横棒部２６を案内する前側のガイドレール部１７ａと、中位置の垂下部２５ｂの横棒部２６を案内する中央のガイドレール部１７ｂと、後位置の垂下部２５ｃの横棒部２６を案内する後側のガイドレール部１７ｃとがそれぞれ設けてある。

　前側のガイドレール部１７ａは、移動空間１８が、後半部は前方へ行く程下方に位置するように前斜め下方に傾斜していると共に、前半部は前方へ行く程下方に位置するように前斜め下方に傾斜しているが、前半部の傾斜の方が後半部の傾斜よりも大きい。また、中央のガイドレール部は、移動空間１８が、前方へ行く程下方に位置するように前斜め下方に傾斜している。また、後側のガイドレール部は、移動空間１８が、前方へ行く程上方に位置するように前斜め上方に傾斜している。

　これにより、左足支持台２ａ、右足支持台２ｂがそれぞれ移動経路の中央位置に位置する場合には、図１０に示すように前ハーフ２１Ｆ及び後ハーフ２１Ｂは略面一で略水平となる。

　そして、図１１に示すように、中央位置よりも前方（図で右方）に移動して、前ハーフ２１Ｆが前斜め下方に傾斜すると共に後ハーフ２１Ｂが前斜め下方に傾斜するが、後ハーフ２１Ｂの傾斜よりも前ハーフ２１Ｆの傾斜の方が大きく、また足支持台２は前ハーフ２１Ｆの方が後ハーフ２１Ｂよりも短いため、足は踵部が後ハーフ２１Ｂに載置されて爪先部が前ハーフ２１Ｆから離れ、前脛骨筋と足指部の筋肉を中心として鍛えられる。

　また、中央位置から後方に移動すると、図示しないが、前ハーフ２１Ｆが後斜め下方に傾斜すると共に後ハーフ２１Ｂも後斜め下方に傾斜し、足載せ台２１は略面一を保った状態となって背屈するが、足は全体が足載せ台２１に載置される。

　これにより、足載せ台２１の前側部材を前側部材に対して下方に折曲させることで、前脛骨筋と足指部の筋肉を中心として鍛えられる。

　次に、更に他の実施形態について説明する。なお、図１乃至図９に示す上実施形態と同じ部分については同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。

　本実施形態では、足載せ台２１は、足載せ台２１の一部が、足載せ台２１の残部が足を支持しながら、足載せ台２１の残部から相対的に退くことにより足から離されるように構成される。例えば、足載せ台２１は、左右に別々の部材から構成され、これらは並設される。足載せ台２１は、複数の部材の少なくとも一つの部材が、複数の部材の残りの部材に対して折曲されることにより使用者の足から離されるように構成される。これにより、足載せ台２１の外側ハーフを下方に折曲させれば、使用者（Ｍ）の足の内側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることができる。又は、足載せ台２１の内側ハーフを下方に折曲させれば、使用者（Ｍ）の足の外側で体重を支えた際の特定の筋肉を鍛えることが可能となる。

　図１２に示す実施形態では、足載せ台２１の左右の内側ハーフを外側ハーフに対して下方に折曲させるようにしている。左足支持台２ａと右足支持台２ｂの足載せ台２１は、それぞれ右側部材２１Ｒと左側部材２１Ｌとからなり、右側部材２１Ｒの左端部と左側部材２１Ｌの右端部とを丁番２１Ｃにて連結して、足支持台２の左右長さの略中央部に位置する丁番２１Ｃにて折れ曲がるようになっている。そして、左足支持台２ａについては、図１２に示すように小指側の右側部材２１Ｒを下方に折曲させるようにしてあり、右足支持台２ｂについては、図示しないが小指側の左側部材２１Ｌを下方に折曲させるようにしてある。

　これにより、足載せ台２１の左右の内側ハーフを外側ハーフに対して下方に折曲させることで、外側の筋肉が鍛えられて、Ｘ脚を矯正することができる。

　また図１３に示す実施形態では、足載せ台２１の左右の外側部ハーフを内側ハーフに対して下方に折曲させるようにしている。左足支持台２ａについては、図１３に示すように親指側の左側部材２１Ｌを下方に折曲させるようにしてあり、右足支持台２ｂについては、図示しないが親指側の右側部材２１Ｒを下方に折曲させるようにしてある。

　これにより、足載せ台２１の左右の外側ハーフを内側ハーフに対して下方に折曲させることで、内側の筋肉が鍛えられて、Ｏ脚を矯正することができる。

　図１４－１６は本発明の一実施形態による運動補助装置を示す。本実施形態は、図１５及び１６に示すように、床などの定位置に置かれる基台１０を有し、基台１０の上には、使用者（Ｍ）の臀部を支持するシート部５１を上端部に備えたシート支持台５０と、使用者（Ｍ）が必要に応じて手で把持するハンドル（ＨＤ）を上端部に備えたハンドルポスト（ＨＰ）とが設けられる。基台１０においてシート支持台５０とハンドルポスト（ＨＰ）との間の部位には、上面を足裏の足載せ面２１Ａとする足支持台２が設けられている。足支持台２の足載せ面２１Ａに使用者（Ｍ）が足裏を載せることによって足位置が規制される。

　シート支持台５０には、シート部５１を揺動させるシート駆動部５２と、シート部５１とシート駆動部５２とを基台１０に対して昇降させる昇降機構部５３とが設けられる。つまり、昇降機構部５３によりシート部５１とシート駆動部５２を基台１０に対して昇降させることによって、シート部５１の接触面５１ａに臀部を載せるとともに足支持台２の足載せ面２１Ａに足裏を載せた状態の使用者（Ｍ）の膝の曲げ角度“θ”を調整することができる。

　シート駆動部５２は、シート部５１の接触面５１ａに臀部を載せるとともに足支持台２の足載せ面２１Ａに足裏を載せた状態の使用者（Ｍ）に対して、シート駆動部５２によりシート部５１を揺動させ臀部の位置を変化させることにより、使用者（Ｍ）の脚に作用する自重を変化させる。つまり、使用者（Ｍ）の体重を臀部と脚部とに分散して支持している状態において、臀部の位置を変化させることにより臀部で支持する自重を増減させ、結果的に脚部に作用する自重を変化させる。

　ここで、膝を所定角度だけ曲げていると、シート部５１で体重を支持する割合が減少したときに、スクワット運動を行って膝を曲げているときと同様に、使用者（Ｍ）の大腿部に作用する負荷が増加し、大腿部の筋群を筋収縮させることが可能になる。つまり、シート部５１をシート駆動部５２により揺動させると、使用者（Ｍ）の自発的な運動ではない他動的な運動によって大腿部の筋群が緊張と弛緩とを繰り返すことになる。すなわち、シート駆動部５２がシート部５１を揺動させることにより、主として大腿部の筋群の運動が可能になる。

　シート部５１の揺動方向は、膝関節に剪断力が作用しないように設定しておくことが望ましい。使用者（Ｍ）の臀部をシート部５１の接触面５１ａで支持している状態において、使用者（Ｍ）の足は、図１６のように、爪先側の距離が踵側の距離よりも大きくなるのが自然な姿勢であり、両足間の開き角度“θ２”は足支持台２に足を載せる位置で決めることができる。そこで、足支持台２に足を載せたときの各足の踵と爪先とを結ぶ中心線に沿う方向にシート部５１を揺動させることによって、膝関節に剪断力を作用させずに運動させることが可能になる。つまり、シート部５１が揺動範囲において後端位置から前方に移動する際に、斜め右前方に移動する期間と斜め左前方に移動する期間とを設けることにより、膝関節に剪断力を作用させることなく左右の脚の大腿部にそれぞれ自重を作用させることが可能になる。

　なお、図１５に示す例では、シート部５１の上面である接触面５１ａは略水平面であるが、使用者（Ｍ）の脚部に作用する自重を変化させることによって大腿部の筋群の筋収縮を誘発する運動を行うから、使用者（Ｍ）の臀部に接触する接触面５１ａはシート部５１が揺動する方向での前方に向かって下り傾斜していることが望ましい。つまり、シート部５１の前端部であって使用者（Ｍ）の右臀部を支持する部位は斜め右前方に下り傾斜し、使用者（Ｍ）の左臀部を支持する部位は斜め左前方に下り傾斜していることが望ましい。このような形状であると、シート部５１が揺動範囲の後端位置から前方に移動したときに、脚部に作用する自重を増加させやすくなり、運動効果を高めることができる。

　次に、本発明の要旨である足支持台２の構成について説明する。足支持台２は、図１４Ａ及び１４Ｂに示すように基台１０に固定されることで定位置に設置される支持ベース１ａと、使用者（Ｍ）の踵から爪先に向かう方向（図１４における左向き）に沿って下方に傾斜する足載せ面２１Ａが形成された足載せ台２１と、支持ベース１ａに対して足載せ台２１を上下方向に往復移動自在且つ上向きに付勢した状態で支持する支持機構部２１０とを有している。足載せ台２１は、前後方向におけるほぼ中央で２つの部位、すなわち、爪先側の前ハーフ２１Ｆと踵側の後ハーフ２１Ｂとに分割されるとともに、図示しない連結機構によって上下方向に変位自在に連結されている。

　支持機構部２１０は、第１可動板２１１，第２可動板２１２，第１ばね２１３，第２ばね２１４で構成される。第１可動板２１１並びに第２可動板２１２は幅細で長尺な板材によって同形状、同寸法に形成されており、第１可動板２１１の前端部が足載せ台２１の前ハーフ２１Ｆの先端部分から下方に突設されている突部に軸支され、その後端部が支持ベース１ａの後端部に軸支されている。一方、第２可動板２１２は、支持ベース１ａの先端部分から上方に突設されている突部に前端部が軸支され、その後端部が足載せ台２１の後ハーフ２１Ｂの後端部に軸支され、第１可動板２１１と第２可動板２１２とが長手方向の中心から前方寄りの位置でピン２１５によって回動可能に連結されている。第１ばね２１３は、支持ベース１ａに対して足載せ台２１の前ハーフ２１Ｆを上向きに弾性付勢し、第２ばね２１４は、後ハーフ２１Ｂを上向きに弾性付勢している。但し、後ハーフ２１Ｂを弾性付勢する第２ばね２１４のばね定数は、足載せ台２１の前ハーフ２１Ｆを弾性付勢する第１ばね２１３のばね定数よりも小さく設定されている。

　したがって、足載せ台２１の足載せ面２１Ａに足裏を載置した状態で脚部にかかる自重が増加する際、爪先側の足裏に接触する前ハーフ２１Ｆが第１ばね２１３のばね力に抗して下方へ移動（下降）すると、第１可動板２１１が支持ベース１ａに軸支された後端部を支点にして反時計回りに回動し、その回動によって、ピン２１５で第１可動板２１１と連結されている第２可動板２１２が支持ベース１ａに軸支された前端部を支点にして時計回りに回動する。このとき、第１可動板２１１と第２可動板２１２の連結箇所（ピン２１５の位置）が各可動板２１１，２１２の長手方向の中心から前方寄りにあるため、足載せ台２１の前ハーフ２１Ｆの下向きの移動量（下降量）よりも後ハーフ２１Ｂの下向きの移動量（下降量）の方が大きくなる。

　この構成により、足載せ台２１の足載せ面２１Ａに足裏を載置した状態で使用者（Ｍ）の脚部にかかる自重が増加する際、踵側の足裏が足載せ台２１の後ハーフ２１Ｂから離れ、足載せ台２１の前ハーフ２１Ｆと接触している爪先側の足裏のみで荷重を受けることになる。

　而して、本実施形態によれば、使用者（Ｍ）の脚部に作用する自重が増加する際、支持機構部２１０によって足載せ台２１の後ハーフ２１Ｂが前ハーフ２１Ｆよりも相対的に大きく下向きに移動するので、使用者（Ｍ）のシート部５１への乗り方や体格の個人差にかかわらず、踵側に対して爪先側により多くの荷重をかけることができる。その結果、膝関節に過度の負荷がかかることを防ぎつつ膝周囲の筋肉を鍛えることが可能になる。

　図１７及び１８は、それぞれ本発明の一実施形態による運動補助装置における制御系及び足支持台を示す。本実施形態は、使用者（Ｍ）の脚部の筋活動を検出する検出部６１と、検出部６１による脚部の筋活動の検出結果に応じて支持機構部２１０による足載せ台２１（後ハーフ２１Ｂ）の移動量を制御する制御部６２とを備えている点に特徴がある。但し、これ以外の構成は、図１４－１６の実施形態と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明は省略する。

　図１８に示すように、本実施形態における支持機構部２１０は、足載せ台２１の前ハーフ２１Ｆを上下方向に移動自在且つ上向きに弾性付勢して支持する第１ばね２１３と、足載せ台２１の後ハーフ２１Ｂを上下方向で移動自在に支持するアクチュエータ２１６とで構成されている。

　検出部６１は、筋肉の能動的な収縮活動を電気的に検出する筋電計や、筋肉の能動的な収縮活動を力学的に検出する筋硬度計、あるいは、近赤外分光法を利用して筋肉の収縮による酸素消費量を検知する計測器などの周知の手段からなり、筋活動の検出値を電気信号（検出信号）に変換して制御部６２に出力する。尚、検出部６１で筋活動を検出する箇所は、ハムストリングス（大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋）若しくは下腿三頭筋（腓腹筋、ヒラメ筋）の少なくとも何れか一方とすることが望ましい。

　制御部６２は、マイクロコンピュータを主構成とする電気回路であり、検出部６１から受け取る検出信号（筋活動の検出値）に応じてアクチュエータ２１６を制御して足載せ台２１の後ハーフ２１Ｂの移動量を調整する。

　従来技術で説明したように、膝関節への負荷を低減しながら大腿四頭筋の運動効果を与えるためには、ハムストリングス（大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋）や下腿筋群を同時収縮させて膝関節に作用する剪断力を低減することが肝要である。足関節を底屈したままで踵側よりも爪先側により多くの荷重をかけることで、下腿三頭筋（腓腹筋，ヒラメ筋）が収縮し、同時に協働筋であるハムストリングスも収縮して膝周囲の筋肉を同時に収縮させることができる。故に、検出部６１によってハムストリングス若しくは下腿三頭筋の筋活動を検出し、その検出値が所定の適正範囲内でより大きくなるように制御部６２がアクチュエータ２１６を制御して足載せ台２１の後ハーフ２１Ｂを下向きに移動させれば、安全且つ効果的に膝周囲の筋肉を鍛えることが可能になる。尚、検出部６１によって大腿四頭筋の筋活動とハムストリングス若しくは下腿三頭筋の筋活動の双方を検出し、後者の筋活動が前者の筋活動よりも少ない場合に足載せ台２１の後ハーフ２１Ｂの下向きの移動量を増加して、ハムストリングス若しくは下腿三頭筋の筋群の筋活動を大腿四頭筋の筋活動と拮抗するように誘導しても良い。

　本発明を幾つかの好ましい実施形態について記述したが、この発明の本来の精神および範囲を逸脱することなく、当業者によって様々な修正および変形が可能である。

Claims (12)

1. 　使用者の足を支持するための足載せ台を備えた運動補助装置であって、足載せ台は、足載せ台の一部が、足載せ台の残部が足を支持しながら、足載せ台の残部から相対的に退くことにより足から離されるように構成されることを特徴とする運動補助装置。
2. 　足載せ台は、複数の部材で構成され、
   　足載せ台は、複数の部材の少なくとも一つの部材が、複数の部材の残りの部材に対して折曲されることにより使用者の足から離されるように構成される
   　ことを特徴とする請求項１記載の運動補助装置。
3. 　足載せ台の複数の部材は、前後に別々に並設されることを特徴とする請求項２記載の運動補助装置。
4. 　足載せ台の複数の部材は、前ハーフ及び後ハーフであり、
   　足載せ台は、前ハーフが後ハーフに対して下方に折曲されるように構成される
   　ことを特徴とする請求項３記載の運動補助装置。
5. 　足載せ台の複数の部材は、前ハーフ及び後ハーフであり、
   　足載せ台は、後ハーフが前ハーフに対して下方に折曲されるように構成される
   　ことを特徴とする請求項３記載の運動補助装置。
6. 　足載せ台の複数の部材は、左右に別々に並設されることを特徴とする請求項２記載の運動補助装置。
7. 　足載せ台の複数の部材は、内側ハーフ及び外側ハーフであり、
   　足載せ台は、内側ハーフが外側ハーフに対して下方に折曲されるように構成される
   　ことを特徴とする請求項６記載の運動補助装置。
8. 　足載せ台の複数の部材は、内側ハーフ及び外側ハーフであり、
   　足載せ台は、外側ハーフが内側ハーフに対して下方に折曲されるように構成される
   　ことを特徴とする請求項６記載の運動補助装置。
9. 　足載せ台は、立位の使用者の足を支持するように構成されることを特徴とする請求項１乃至８記載の運動補助装置。
10. 　足載せ台を支持する足支持台と、
    　使用者が足載せ台の足載せ面に足裏を載せている状態で使用者の臀部を支持するためのシート部と、
    　使用者の脚部に作用する自重が変化するように駆動源を用いてシート部を変位させるシート駆動部と
    　を更に備え、
    　足支持台は、
    　定位置に設置される支持ベースと、
    　支持ベースに対して足載せ台を上下方向に往復移動自在且つ上向きに付勢した状態で支持する支持機構部と
    　を有し、
    　足載せ台の足載せ面は、使用者の踵から爪先に向かう方向に沿って下方に傾斜するように形成され、
    　支持機構部は、使用者の脚部に作用する自重が増加する際に足載せ台の後側の部位を前側の部位よりも相対的に大きく移動させる
    　ことを特徴とする請求項１記載の運動補助装置。
11. 　使用者の脚部の筋活動を検出する検出部と、検出部による脚部の筋活動の検出結果に応じて支持機構部による足載せ台の移動量を制御する制御部とを備えたことを特徴とする請求項１０記載の運動補助装置。
12. 　検出部は、使用者の大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋からなるハムストリングス若しくは腓腹筋、ヒラメ筋からなる下腿三頭筋の何れかの筋活動を検出することを特徴とする請求項１１記載の運動補助装置。

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