(実施形態1)
本発明の基本構成として図1に示す構成例を説明する。本実施形態では、床上に載置して使用する構成を例示するが、床に埋め込んで使用する構成を採用することもできる。定位置に固定する構成を採用するか、位置移動が可能な構成を採用するかは適宜に選択することができる。ここでは、上述のように床上に載置するから、床上に置くための架台としてのハウジング1を備える。ハウジング1は直方体状のものを想定しているが、内部に収納用の空間を備えるものであればハウジング1の外観形状として円筒状、多角筒状などを採用することもできる。以下では、説明を簡単にするために、ハウジング1を床上に載置した状態でハウジング1の上面が床面と平行になるものとする。
ハウジング1の上面には使用者の左右の足をそれぞれ載せる左足支持台2aおよび右足支持台2bが配置される。一方、ハウジング1の内部の収納用の空間には左足支持台2aおよび右足支持台2bのハウジング1に対する位置移動を可能にする駆動装置3が収納される。ここで説明する装置は、使用者が座席に着座した状態で使用することが可能であるが、基本的には使用者が立った状態で使用することを想定している。したがって、以下では、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に使用者が立って使用する場合を想定して説明する。
ここで、ハウジング1には固有のハウジング座標系を設定し、ハウジング1の上面に直交する方向を上下方向とする。また、上下方向に直交する面内であって、使用者が左足支持台2aおよび右足支持台2bに左右の足を載せた状態での使用者の前方にほぼ一致する向きをハウジング1に設定したハウジング座標系における前方とする。上下方向に直交する面内であって、前後方向に直交する方向、つまり使用者の左右にほぼ一致する方向を左右方向とする。
左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面は使用者の足全体を載せることができる寸法に形成される。左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面には、摩擦係数を大きくする材料ないし形状を採用している。これは、左足支持台2aおよび右足支持台2bが動く際に、左足支持台2aおよび右足支持台2bに対して使用者の足の位置がずれるのを防止するためである。足の位置ずれを防止する構成として、左足支持台2aおよび右足支持台2bに対して足を固定する構成を採用してもよい。たとえば、スリッパのように足の甲を止める構成、サンダルのように足の甲と踵を止めるストラップを用いることができ、また靴を履いて使用することを想定している場合には靴を固定するビンディングを用いることが可能である。
左足支持台2aおよび右足支持台2bに対して足を載せる位置を固定する構成を採用するとともに、左足支持台2aおよび右足支持台2bに対する足位置を調節可能にしてもよい(つまり、左足支持台2aおよび右足支持台2bに対して足位置を固定する部材の前後位置を調節可能にしてもよい)。ここで、左右の足について、固定位置を変えることができる。
左足支持台2aおよび右足支持台2bには、ハウジング1と同様にそれぞれ固有の支持台座標系が設定される。つまり、支持台座標系には左足系と右足系との2個の座標系が存在することになる。左足支持台2aと右足支持台2bとに設定される支持台座標系は、上面に直交する方向が上下方向であり、上下方向を直交する面内において踵から爪先に向かう向きにほぼ一致する向きが前方になる。上下方向に直交する面内であって、前後方向に直交する方向、つまり足の幅方向にほぼ一致する方向を左右方向とする。要するに、足の長手方向が前後方向になり、足の幅方向が左右方向になる。
駆動装置3は、回転モータのような駆動源31(図2参照)と、駆動源31の動力を用いて左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点をハウジング1の上面に沿って移動させる伝達機構とを備える。左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面は、後述するように、ハウジング1の上面に対する傾斜角度が変化可能である。そこで、左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点としては、ハウジング1に対する傾斜角度が変化しても高さ位置が変化しない点を採用する。このような代表点は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの外に設定してもよい。
伝達機構としては、左足支持台2aおよび右足支持台2bについて、ハウジング1に設定したハウジング座標系での前後方向の位置と左右方向の位置とを調節可能である構成を採用する。また、左足支持台2aと右足支持台2bとは個々に移動させることが可能であるが互いに関連付けて移動させる。伝達機構によって左足支持台2aと右足支持台2bとの動作を関連付けると、動きのパターンに関する自由度は少なくなるが駆動源31の個数を少なくすることが可能である。一方、複数個の駆動源31を設ける場合には、各駆動源31の動作に関連付けを行うことで、左足支持台2aと右足支持台2bとの動作を関連付けることができる。また、両者を複合した駆動装置3を構成してもよい。
左足支持台2aおよび右足支持台2bは、それぞれハウジング1の上面に対する傾斜角度が変化可能であり、駆動装置3は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点を前後方向および左右方向に移動させるだけではなく傾斜角度も変化させるように構成されている。ハウジング1の上面に対する左足支持台2aおよび右足支持台2bの傾斜角度は、左足支持台2aおよび右足支持台2bにそれぞれ設定した支持台座標系において、代表点を通る前後方向の軸、左右方向の軸の少なくとも1つの軸周りに変化可能とされる。さらに、ハウジング1の上面に対する傾斜角度ではないが、上下方向の軸周りにも角度を変化可能とすることもできる。
支持台座標系における左右方向の軸周りに傾斜角度を調節すれば、背屈時にはアキレス腱が伸びるから足首の可動範囲を広げることができ、底屈時には爪先に力がかかることによって外反母趾の軽減につながる。また、前後方向の軸周りに傾斜角度を時間経過に伴って変化させれば、腓腹筋やひらめ筋を主とする下腿部の筋群を伸縮させることができる。これらの筋群を伸縮させると、脚部における静脈環流を増加させることになり、脚部のむくみの解消につながる。
また、左足支持台2aと右足支持台2bとにそれぞれ設定した支持台座標系における前後方向の軸周りに傾斜角度を調節すれば、いわゆるオー脚、エックス脚である使用者が使用する際に脚の曲がりを矯正した状態で使用させることができる。さらに上下方向の軸回りで時間経過に伴って角度を変化させれば、股関節が回転するから股関節の柔軟性を高めることができ、あるいはまた上下方向の軸回りの角度を調節すれば、膝関節にせん断力が作用しない位置で使用することが可能になる。
以下では、装置の構成および左足支持台2aと右足支持台2bとの動きのパターンについて説明する。以下では、ハウジング座標系における前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向とする。また、左足支持台2aと右足支持台2bとにそれぞれ設定した支持台座標系における前後方向をx方向、左右方向をy方向、上下方向をz方向とする。したがって、ハウジング1の上面はXY平面に平行な面であって、左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点はXY平面に平行な面内で移動することになる。また、左足支持台2aおよび右足支持台2bは支持台座標系におけるy方向の軸Ay(図12参照)周りについてのみ角度が変化可能であるものとする。
本実施形態では、図2に示すように、床上に載置するための架台としてベース板1aを備える。ベース板1aは直方体状のものを図示しているが、ベース板1aの外周形状にはとくに制限はない。以下では、説明を簡単にするために、ベース板1aを床上に載置した状態でベース板1aの上面が床面と平行になるものとする。
ベース板1aの上方には上板1bが配設され、ベース板1aと上板1bとを結合することによりハウジング1が形成される。ベース板1aの上には、使用者の左右の足をそれぞれ載せる左足支持台2aおよび右足支持台2bと、左足支持台2aおよび右足支持台2bの位置をそれぞれ移動させる駆動装置3とが配置される。ここで、上板1bには左足支持台2aおよび右足支持台2bをそれぞれ突出させる2個の矩形状の開口窓11a,11bが厚み方向に貫設される。ただし、各開口窓11a,11bは、長手方向に沿った中心線間の距離がハウジング1の前端側で後端側よりも大きくなるように形成してある。
さらに、左足支持台2aおよび右足支持台2bの下面には、左足支持台2aおよび右足支持台2bの幅方向に離間した一対の軸受21cが左足支持台2aおよび右足支持台2bと一体に設けられる。
軸受21cは、後述する台車41に取り付けられ上方に開放された断面コ字状の軸受板23の各脚片23aの外側面に当接して、台車41に固定される。
さらに、軸受板23の両脚片23aおよび軸受21cを通る軸Ayが設けられる。したがって、軸Ayは左足支持台2aおよび右足支持台2bの幅方向に沿って配置され、左足支持台2aおよび右足支持台2bは、長手方向の前後が上下するように軸Ayの周りに回動可能になる。
軸受板23の下面には下面に開放された断面コ字状の台車41が取り付けられている。台車41の両脚片41aの外側面には各2個ずつの車輪42が取り付けられる。ベース板1aの上面には左足支持台2aと右足支持台2bとに対してそれぞれ2本ずつのレール43が固定されており、レール43の上面に設けたレール溝43aの中で車輪42が転動するように、レール43上に台車41が載置される。また、レール43の上面には車輪42がレール溝43aから脱落するのを防止するために、脱輪防止板44が固定される(図3参照)。
ところで、レール43の長手方向はハウジング1に設けた開口窓11a,11bの長手方向とは異なる方向としてある。具体的には、レール43ではハウジング1の前後方向に対する角度が開口窓11a,11bよりもさらに大きくなっている。たとえば、ハウジング1の前後方向に対する角度が、開口窓11a,11bの長手方向で30度とすれば、レール43の長手方向は45度などに設定される。すなわち、左足支持台2aおよび右足支持台2bに足を載せ、開口窓11a,11bの長手方向に足の中心線を一致させた状態において、レール43に沿って左足支持台2aおよび右足支持台2bを移動させることにより足の位置を変化させても膝に剪断力が作用しない方向に、レール43の長手方向が設定される。なお、本実施形態では、望ましい動作として、左足支持台2aおよび右足支持台2bが前後方向と左右方向とを複合した移動経路で移動する例を示しているが、レール43を配置する方向により左足支持台2aおよび右足支持台2bを前後方向や左右方向に移動させることも可能である。
上述の構成によって、左足支持台2aおよび右足支持台2bはレール43の長手方向に沿って往復移動することが可能になる。すなわち、上述した台車41と車輪42とレール43と脱輪防止板44とは、左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動経路を拘束する案内部4として機能する。
左足支持台2aおよび右足支持台2bを移動させる駆動装置3は、図4に示すように、駆動力を発生させる駆動源31と、駆動力を左足支持台2aおよび右足支持台2bにそれぞれ伝達するように2系統に分離する系統分離部32と、駆動力を用いて台車41をレール43に沿って往復移動させる往復駆動部33とを有する。本実施形態では、図4(a)のように系統分離部32により駆動力を分離し、分離された駆動力を往復駆動部33に伝達する構成を採用しているが、図4(b)のように往復駆動部33により得られる往復駆動の駆動力を系統分離部32で2系統に分離することも可能である。
駆動装置3について、さらに具体的に説明する。駆動源31には回転モータ(以下、単にモータと略称し、符号31を用いる)を採用しており、モータ31の出力軸31aには系統分離部32が連結される。
系統分離部32は、モータ31の出力軸31aに連結されたウォーム(第1歯車)32aとウォーム32aに噛合する一対のウォームホイール(第2歯車)32bとを備える。
ウォームホイール32bには、回転軸35が挿通され、ウォームホイール32bの回転に伴って回転軸35が回転するように、ウォームホイール32bと回転軸35とを結合してある。回転軸35の上端部には断面が非円形状(たとえば、矩形状)に形成された結合部35a(図5参照)が形成される。
図5に示すように、往復駆動部33は、回転軸35の結合部35aに一端部が結合されるクランク板36と、クランク板36にクランク軸37を介して結合されたクランクロッド38とを備える。クランク軸37の一端部はクランク板36に固定され、他端部はクランクロッド38の一端部に保持された軸受38aに保持される。つまり、クランクロッド38の一端部はクランク板36に対して回動自在に結合される。クランクロッド38の他端部は台車41に対して軸体38bを用いて結合され、クランクロッド38の他端部は台車41に対して回動自在に結合される。
上述の構成から明らかなように、クランクロッド38は、ウォームホイール32bの回転力を台車41の往復移動に変換する変換機構として機能する。クランクロッド38はウォームホイール32bごとに設けられ、台車41は左足支持台2aと右足支持台2bとにおいて個別に設けられているから、クランクロッド38は、ウォームホイール32bの回転力をそれぞれ左足支持台2aと右足支持台2bとの往復移動に変換する変換機構として機能する。
台車41は上述したように車輪42とレール43とにより移動経路が拘束されているから、ウォームホイール32bの回転に伴って台車41がレール43の長手方向に沿って往復移動する。つまり、モータ31の回転がウォーム32aおよびウォームホイール32bを介してクランク板36に伝達され、さらに、クランク板36に結合されたクランクロッド38により台車41がレール43に沿った直線上で往復移動を行うのである。その結果、左足支持台2aと右足支持台2bとがレール43の長手方向において往復移動する。
本実施形態では、ウォーム32aと2個のウォームホイール32bとにより駆動力を2系統に分離し、系統ごとに左足支持台2aと右足支持台2bとの駆動力として用いるから、駆動装置3により左足支持台2aと右足支持台2bとが関連付けて駆動される。ここで、各ウォームホイール32bがウォーム32aに噛合する位置を180度異ならせてあり、したがって左足支持台2aが移動範囲の後端に位置するときには、右足支持台2bは移動範囲の前端に位置する。左足支持台2aの移動範囲における後端は左足支持台2aの移動範囲の右端であって、右足支持台2bの移動範囲における前端は右足支持台2bの移動範囲の右端であるから、左右方向においては、左足支持台2aおよび右足支持台2bは同じ向きに移動することになる。
なお、上述の構成から明らかなように、ウォーム32aとウォームホイール32bとを噛み合わせる位置に応じて、左足支持台2aと右足支持台2bとの移動における位相差を適宜に付与することが可能である。左足支持台2aと右足支持台2bとの上に立って立位で使用する場合には、本実施形態のように180度の位相差を付与すれば、使用者の前後方向の重心移動が少なくなるからバランス機能が低下している使用者でも使用できる。あるいは、位相差を持たないようにすれば、使用者の前後方向の重心移動が生じるから、単に脚部の筋群の運動になるだけではなく、バランス機能を保つための腰背部などの筋群の運動にも役立つ。
ところで、左足支持台2aおよび右足支持台2bは、軸Ayの周りで回動可能であるから、左足支持台2aおよび右足支持台2bの前端部と後端部との高さ位置を変化させることが可能になっている。つまり、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に置いた足の爪先と踵との高さ位置を変化させることにより、足関節の底屈と背屈とが可能になっている。
ここで、軸Ayの周りでの足置板21の回動をレール43に沿った往復移動に連動させるために、ベース板1aには、図6に示すように、足置板21の移動経路に沿って少なくとも一部に傾斜面14aを有したガイド面14が形成され、足置板21の下面にはガイド面14に当接する倣い突部25が設けられている。図示例では、ガイド面14の全長に亘ってベース板1aの上面に対して一定角度で傾斜する傾斜面14aを形成しているが、ガイド面14の形状はとくに限定されるものではなく、一部に傾斜面14aを含んでいればよい。倣い突部25の先端部は、ガイド面14に対する摩擦係数が小さくなるように材料および形状を選択しておけばよいが、本実施形態では、ガイド面14の上で転動するローラ25aを倣い突部25の先端部に設けている。
上述のように、ガイド面14に当接する倣い突部25を設けていることにより、モータ31の回転に伴って左足支持台2aおよび右足支持台2bが往復移動を行う際に、倣い突部25がガイド面14に設けた傾斜面14aに当接する際には、足置板21が軸Ayの周りで回動することにより足置板21のベース板1aに対する角度が変化し、結果的に足関節の底屈および背屈が行われる。
なお、上述の例では、ガイド面14をベース板1aに設け、倣い突部25を足置板21に設けているが、図7のように、ガイド面14を足置板21に設け倣い突部25をベース板1aに設けるようにしても同様に動作する。
上述した構成例では、駆動装置3における系統分離部32の構成として、ウォーム32aとウォームホイール32bとを用いることにより、モータ31の出力軸31aとウォームホイール32bとともに回転する回転軸35との直角軸間の伝達を可能にするとともに減速を行う構成例を示したが、モータ31の出力軸31aと回転軸35との直角軸間の伝達をベルトにより行う構成を採用してもよい。この場合、ウォームホイール32bに代えてベルトを掛け回すプーリを用い、ウォーム32aを省略することができる。
また、上述の構成例では、モータ31の出力軸31aがベース板1aの上面に沿って配置されているが、出力軸31aがベース板1aの上面に直交するように配置する場合には、ウォーム32aとウォームホイール32bとの組み合わせではなく、平歯車の組み合わせによって回転力の伝達と系統の分離とを行うことが可能である。この構成において平歯車をプーリに置き換えたり、プーリ間で回転力をベルトで伝達するように構成したりすることが可能である。
往復駆動部33の構成としては、クランク板36とクランクロッド38とを用いる代わりに、モータ31の回転力を溝付きカムに伝達して溝付きカムを回転させ、溝付きカムのカム溝に従動するカムフォロワをクランクロッド38に代えて用いる構成を採用することも可能である。この種の構成において、ウォームホイール32bに代えてモータ31の出力軸31aと平行な回転軸を有する溝付きカムを用いる構成を採用すれば、出力軸31aから溝付きカムにピニオンによって回転力を伝達することが可能である。
さらに、溝付きカムを1個だけ用い、モータ31の出力軸31aの回転力を溝付きカムに伝達する構成を採用する場合には、溝付きカムのカム溝に2個のカムフォロワを配置することで、系津緒分離部32と往復駆動部33との機能を溝付きカムとカムフォロワとにより実現することも可能である。
ところで、装置の使用にあたり、立位で使用する場合には、左足支持台2aおよび右足支持台2bが停止位置している初期位置において、左右の足をそれぞれ左足支持台2aと右足支持台2bとに載せて左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に立ち、駆動装置3の運転を開始させる。図8に示すように、右足支持台2bの支持台座標系における前後方向(x方向)はハウジング座標系における前後方向(X方向)に対して、たとえば9度程度の角度をなすように配置され、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に立ったときに、使用者の脚部に捻れを生じることがなく、自然な立ち位置になるようにしてある。
初期位置では、左足支持台2aおよび右足支持台2bは前後方向において同位置に位置する。つまり、初期位置では左足支持台2aおよび右足支持台2bが左右方向の一直線上に並ぶ。したがって、初期位置で使用者が左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に載ると、使用者の重心から鉛直方向に下ろした直線は左足支持台2aと右足支持台2bとの間でほぼ中央を通ることになる。
上述した構成から明らかなように、駆動装置3の運転を開始すると、左足支持台2aおよび右足支持台2bはそれぞれ前後方向に位置を変化させるとともに、前後方向の位置変化に伴って左右方向の位置も変化させる。ここで、左足支持台2aおよび右足支持台2bはレール43に沿った一直線上を往復移動し、左足支持台2aおよび右足支持台2bは足の前後方向とは異なる方向に移動する。たとえば、ハウジング1の前後方向に対して45度をなす方向に移動する。この移動距離は、たとえば20mmなどに設定する。
また、上述したように、左足支持台2aおよび右足支持台2bがレール43に沿って往復移動するのと同時に、足置板21が軸Ayの周りに回動する。足置板21が前方に移動する際には倣い突起25がガイド面14の傾斜面14aを昇るから、左足支持台2aおよび右足支持台2bの前端位置において足関節が背屈し、左足支持台2aおよび右足支持台2bの後端位置において足関節が底屈することになる。軸Ayの位置は足裏において踵付近に設定している。
なお、左足支持台2aおよび右足支持台2bの前後の位置と底屈および背屈との関係は上述の例とは逆にすることが可能であり、また基準面に対する底屈および背屈の角度は異ならせてもよい。これらの動作はガイド面14の形状を適宜に設定することにより、容易に実現することができる。
装置の使用にあたっては、左足支持台2aおよび右足支持台2bが停止位置している初期位置において、左右の足をそれぞれ左足支持台2aと右足支持台2bとに載せて左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に立ち、駆動装置3の運転を開始させる。駆動装置3の運転開始を指示するスイッチは、手操作するものをハウジング1に設けたのでは操作時にかがまなければならず、使い勝手が悪くなる。そこで、赤外線を用いたワイヤレスリモコンやハウジング1から引き出した電線に接続されたワイヤードリモコンにスイッチを設けるのが望ましい。また、左足支持台2aと右足支持台2bとの一方に足で操作するスイッチを設けるか、あるいは左足支持台2aと右足支持台2bに人が載ったことを検知し一定時間後に運転を開始する自動スイッチを設けてもよい。
また、左足支持台2a、右足支持台2bの位置や駆動源31の回転速度、角度、方向を検出するセンサ部を設け、駆動源31の回転速度、角度、方向を制御することができる。そして、駆動時間を計測するタイマ部を設けておけば、例えば、所定の時間での、駆動源31の回転速度や回転角度の変化を制御することができる。左足支持台2a、右足支持台2bの位置を検出する場合には、センサ部として、たとえば、赤外線センサなどの光センサを用いることができるが、これに限定はされず、メカニカルセンサを用いてもよい。このとき、左足支持台2a、右足支持台2bの位置を直接検出してもよいし、上記の往復駆動部33の位置を検出し、その検出結果から左足支持台2a、右足支持台2bの位置を検出してもよい。
上述した初期位置では、左足支持台2aおよび右足支持台2bは前後方向において同位置に位置する。つまり、初期位置では左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点が左右方向の一直線上に並ぶ。したがって、初期位置で使用者が左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に載ると、使用者の重心から鉛直方向に下ろした直線は左足支持台2aと右足支持台2bとの間でほぼ中央を通ることになる。図9に使用者の重心から鉛直方向に下ろした直線とハウジング1の上面との交点を点Gで表している。
駆動装置3は、左足支持台2aおよび右足支持台2bをそれぞれ前後方向に位置を変化させるとともに、前後方向の位置変化に伴って左右方向の位置も変化させる。また、駆動装置3は、左足支持台2aと右足支持台2bとを、前後方向と左右方向とにおいて設定した範囲内で周期動作させる。ここに、周期動作とは同じ位置を周期的に通ることを意味している。
本実施形態では、左足支持台2aと右足支持台2bとの代表点の移動軌跡La,Lbが、それぞれXY平面に平行な面内の直線上を反復移動する動作パターンを採用している。左足支持台2aの移動軌跡Laと右足支持台2bの移動軌跡Lbとは、前端位置における左右方向の距離が後端位置における左右方向の距離よりも大きくなりV字状(逆八字状)をなすように設定される。前端位置は初期位置よりも前方に位置し、後端位置は初期位置よりも後方に位置するように移動軌跡La,Lbが設定される。
また、使用者の重心位置がハウジング座標系の前後方向(X方向)において定位置に保たれるように、つまり点Gの位置がX方向に移動しないように、左足支持台2aおよび右足支持台2bを前後方向において互いに逆位相で移動させる。前後方向における逆位相とは、左足支持台2aが前端位置のときに右足支持台2bが後端位置であり、左足支持台2aが後端位置のときに右足支持台2bが前端位置であることを意味する。
左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動軌跡La,Lbが上述のようにV字状をなすように制御され、かつ前後方向において互いに逆位相で移動するから、左足支持台2aおよび右足支持台2bは左右方向においても逆位相で移動する。つまり、左足支持台2aが左向きに移動する際に右足支持台2bが右向きに移動し、左足支持台2aが右向きに移動する際に右足支持台2bが左向きに移動する。
したがって、左足支持台2aと右足支持台2bとの代表点について、図9に示すように、初期位置をg1,d1とし、前端位置をg2,d2とし、後端位置をg3,d3とすると、左足支持台2aがg1→g2→g1→g3→g1という経路で反復移動するときに、右足支持台2bはd1→d3→d1→d2→d1という経路で反復移動することになる。
このとき、駆動源31は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの反復移動の速度または振幅の少なくともいずれかが反復移動開始の際には徐々に大きくなるように制御され、反復移動停止の際には徐々に小さくなるように制御される。振幅は、前端位置と後端位置との間で変化する。振幅の制御は、特に、速度が大きいときに、有効となる。駆動源31の制御の際には、上述のセンサ部やタイマ部が使用される。具体的には、反復移動停止の際に、速度を徐々に小さくする方法として、駆動源31に電圧、電流を供給する時間間隔を徐々に大きくしたり、駆動源31に供給する電圧、電流の値を徐々に小さくしたりする方法が挙げられる。速度の時間に対する変化率は、図10においてCで示すように、一定であってもよいが、図10においてVで示すように、徐々に小さくなることが望ましい。加速度も徐々に小さくなり、使用者に安全である。また、停止の際の期間は、使用者の安全を考慮して、30秒程度とする。この期間は、タイマ部により計測される。反復移動開始の際に、速度を徐々に大きくする方法としては、停止の際と逆の構成を採用すればよい。ここで、速度や振幅の変化は、伝達機構により、左足支持台2aと右足支持台2bとに分けて制御することもできるし、それぞれ関連付けて制御することもできる。
したがって、開始の際や停止の際において、使用者に安全な装置とすることができる。
上述のように、前端位置が初期位置よりも前方であり、かつ後端位置が初期位置よりも後方であって、しかも使用者の重心位置が定位置に保たれるように左足支持台2aと右足支持台2bとを逆位相で移動させているから、足位置の変化は歩行運動に近い位置変化になり、少なくとも下腿部においては歩行時と同様の筋群を伸縮させることができる。また、後端位置が初期位置よりも後方に位置し、後端位置の足位置は使用者の重心よりも後方になるから、後端位置では大腿部の後側から臀部の筋肉を緊張させることができる。
一般に歩行運動では、足位置は前後方向を主として移動することになるが、本実施形態の装置を使用すれば、前後方向と左右方向とを複合した動きになるから、下腿部と大腿部との筋群が協調して伸縮し、多くの筋を関連付けて伸縮させることによって、他動運動かつ軽負荷ながらも筋に取り込む糖量が多くなり、2型糖尿病の改善効果が期待できる。
ところで、左足支持台2aと右足支持台2bとが前後方向にのみ移動する場合は、使用者の身体には股関節と膝関節と足関節とを屈伸させる反射しか生じないから、主として下肢と臀部との筋刺激しか得られない。これに対して、本実施形態では、前後方向だけではなく左右方向の移動が付加され、V字状の移動軌跡La,Lbであって、かつ逆位相で移動するから、使用者の体幹が捻れる結果、内臓に刺激を与えることができる。しかも、前後方向と左右方向とを複合した動作によって、いずれか一方の動作のみを行う場合よりも多くの筋(内転筋、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋など)に刺激を与えることができる。
使用者の体幹に捻れを生じさせるためには、上述したV字状の移動軌跡La,Lbとは逆に、逆V字状(八字状)の移動軌跡La,Lbを採用してもよい。つまり、左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点の移動軌跡La,Lbにおいて、前端位置における左右方向の距離が後端位置における左右方向の距離よりも小さくなるように、左足支持台2aおよび右足支持台2bを移動させる構成を採用することもできる。この場合も、前後方向と左右方向とにおいて左足支持台2aおよび右足支持台2bを互いに逆位相で移動させる。この動作でも、上述した構成と同様の効果が期待できる。
ところで、本実施形態は、上述したように、左足支持台2aと右足支持台2bとを代表点を通るy方向の軸Ay周りで回動可能にしているから、前後方向の傾斜角度が変化する。傾斜角度は、たとえば、足裏が水平である状態を0度、背屈時の水平に対する角度を正、底屈時の水平に対する角度を負として、背屈側と底屈側とにそれぞれ30度、50度の範囲で角度変化を可能とする。当該角度変化の範囲は、足関節の可動域に合わしているため、足関節に負担を与えることがない。ここで、背屈側と底屈側とにそれぞれ20度の範囲で角度変化を可能とした場合の例について説明する。この場合、前端位置と後端位置と初期位置とにおいて、傾斜角度をそれぞれ10度単位で5段階に設定可能とする。つまり、前端位置と後端位置と初期位置とにおいて、それぞれ−20度、−10度、0度、10度、20度の5段階の角度設定を可能とする。3位置で傾斜角度を設定すると、3位置の中間の位置での傾斜角度は自動的に補間される。ここで、傾斜角度の変化は、伝達機構により、左足支持台2aと右足支持台2bとに分けて制御することもできるし、それぞれ関連付けて制御することもできる。
角度設定の一例を図11に示す。図11(a)は、前端位置で−20度、後端位置で20度、初期位置で0度に設定した例であり、図11(b)は、前端位置で20度、後端位置で20度、初期位置で10度に設定した例である。図11(a)に示す動作例では足関節の角度変化が歩行時と同様になり歩行時に用いる筋群が伸縮するから、他動式の歩行運動を実現することができる。
とくに、足関節の屈伸に伴って下腿部の筋群が伸縮するから、静脈環流が促進され、末梢部から心臓へ環流する血流を増加させて全身の血行促進を図ることができる。したがって、いわゆるエコノミークラス症候群を生じやすい体質の利用者にとっては静脈鬱血を改善する効果が期待できる。また、足関節を屈伸させることにより足関節の可動範囲を広げることができる。一方、図11(b)に示す動作例では足関節の角度変化は小さいがアキレス腱を伸長させているから、足関節に柔軟性を付与して足関節の可動範囲を大きくすることができる。また、左足支持台2aおよび右足支持台2bからの反力が脛骨の方向に一致するように傾斜角度を変化させれば、膝に作用するせん断力が軽減され、膝痛の使用者でも苦痛を伴わずに使用することが可能になる。
また、図11(a)とは逆に、前端位置で20度、後端位置で−20度というように、左足支持台2aおよび右足支持台2bが、前端位置に近付くほど後傾し、後端位置に近付くほど前傾するように傾斜角度を変化させれば、使用者の重心位置が前後方向において移動しにくくなり、バランス機能の衰えている使用者でもバランスを保ちやすくなる。
ここで、上記反復移動は、軸Ay周りでの反復回動を含む。したがって、反復移動の振幅には、反復回動の振幅もあり、これは反復回動の角度を意味する。
また、駆動源31は、左足支持台2aおよび右足支持台2bが略同一の静止角度θy(図12参照)をもって反復回動を停止するように制御される。具体的には、左足支持台2aおよび右足支持台2bは図12に示す位置で停止する。図12において、軸Ayを含む水平面を平面Pyとすると、左足支持台2aと平面Pyとの間の角度と右足支持台2bと平面Pyとの角度はともにθyとなる。θyは、軸Ay周りでの静止角度である。ここで、左足支持台2aと右足支持台2bとは、平面Pyに対して、図12(a)および(c)においては、逆方向に傾斜しており、図12(b)および(d)においては、同方向に傾斜している。つまり、図12(a)および(c)は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの静止角度θyを、左足支持台2aおよび右足支持台2bの停止の際に、使用者がバランスを崩さないように設定した場合であり、図12(b)および(d)は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの静止角度θyを、左足支持台2aおよび右足支持台2bの停止の際に、使用者がバランスを崩すように設定した場合である。言い換えれば、図12(a)および(c)では、左足支持台および右足支持台が停止の際に使用者の重心について略対称になるように制御され、図12(b)および(d)では、左足支持台および右足支持台が停止の際に使用者の重心について非対称になるように制御される。静止角度θyを0度とすることもできる。なお、図12では、左足支持台2aおよび右足支持台2bは、前後方向(X方向)については、同じ位置で停止しているが、前後方向に離間して停止してもよい。このようにすれば、使用者は、前後方向に安定する。
したがって、左足支持台2aおよび右足支持台2bについて、略同一であり使用者がバランスを崩さない静止角度θyをもって、左足支持台2aおよび右足支持台2bの反復回動を停止するように制御すれば、使用者が停止の際に安定するので、安全性が向上する。
一方、左足支持台2aおよび右足支持台2bについて、略同一であり使用者がバランスを崩す静止角度θyをもって、左足支持台2aおよび右足支持台2bの反復回動を停止するように制御すれば、使用者が停止の際に安定しないため、使用者にバランスを保たせる負荷がかかり、その結果、使用者は筋力をつけることができる。この場合、使用者は、安全のために、あらかじめ停止位置を認識しておくことが望ましい。
そして、左足支持台2aおよび右足支持台2bを、停止時にそれらの足の載置面が略水平になるように制御すれば、使用者の足首にかかる負担を軽減することができる。
上述の動作は、左足支持台2aおよび右足支持台2bについて、ハウジング座標系のXY平面内での位置移動に伴って支持台座標系のy方向の軸Ay周りでの傾斜角度を変化させているが、傾斜角度を調節可能としておき、XY平面内での位置が移動しても傾斜角度が変化しないように調節した角度を保つようにしてもよい。この場合、駆動装置3には傾斜角度を変化させる構成を設けなくてもよい。このとき、左足支持台2aおよび右足支持台2bの傾斜角度は略同一である。アキレス腱を伸ばすように傾斜角度を固定して使用すれば、腓腹筋やひらめ筋の柔軟性を高めることができる。
上述した動作を行う駆動装置3として、左足支持台2aと右足支持台2bとをそれぞれ前後方向に移動させる2個の駆動源31および左右方向に移動させる2個の駆動源31と、y方向の軸Ay周りの回動を行う2個の駆動源31とを備える構成を採用する場合には、各駆動源31の連動関係をコンピュータからなる制御装置で制御する構成を採用することができる。また、左足支持台2aと右足支持台2bとは、前後方向と左右方向とについて逆位相で移動するから、前後方向と左右方向とについてそれぞれ1個ずつの駆動源31を用いるとともに逆位相の関係を伝達機構によって実現する構成を採用することができる。上述した動作のうち、V字状の動作と、逆V字状の動作との一方のみを実現すればよい場合には、前後方向と左右方向との連動関係が一意に規定されるから、1個の駆動源31のみを用いて伝達機構により連動関係を実現することができる。
y方向の軸Ay周りでの角度変化について、左足支持台2aと右足支持台2bとの角度を対称(逆位相)に設定する場合には、1個の駆動源31を用いればよく、前端位置と後端位置と初期位置とにおける角度設定が不要であれば、前後左右に移動させる駆動源31と共用することも可能である。
図13(a)に示すように、左足支持台2aと右足支持台2bとについて、y方向の軸Ay周りにおける傾斜角度を変化させるにあたっては、左足支持台2aと右足支持台2bとの内外の適宜の位置に回動中心を設定することができる。左足支持台2aと右足支持台2bとの前後方向(X方向)の中央位置に設定するほか、回動中心の位置を図13(b)に丸印を付した位置のいずれかに設定することも可能である。
前後方向の中央位置に回動中心を設定すれば、前端位置や後端位置に設定する場合に比較すると、左足支持台2aおよび右足支持台2bの荷重に抗して傾斜させるのに要する力が2分の1になる。したがって、回動中心に回動力を与える回動型の出力を持つ伝達機構を構成する場合は、この構成を採用すると出力の小さい駆動源31を用いることができる。一方、回動中心を支点として回動中心以外の位置を押圧する直進型の出力を持つ伝達機構を構成する場合には、支点となる回動中心から押圧位置までの距離が大きいほうが梃子の原理によって出力を抑制できるから、前端位置または後端位置に回動中心を設けることによって出力の小さい駆動源31を用いることが可能になる。
回動中心を左足支持台2aおよび右足支持台2bの外に設定すれば、XY平面上での位置に対する傾斜角度の変化の関係が非線形になるから、前端位置付近や後端位置付近での角度変化の変化率を初期位置付近での角度変化の変化率と異ならせることが可能になる。このような動作によって、バランスを保ちやすくしたり、足関節の回動角度にリズムを付与して単調さを解消したりするのに役立つ。
なお、y方向の軸Ay周りの回動については、駆動装置3によって回動力を与えずに自由に回動させる構成を採用することも可能である。この構成を採用する場合、左足支持台2aおよび右足支持台2bの回動範囲を制御する手段を設け、回動範囲を調節可能にしておけば、駆動装置3を用いることなく、前端位置で後傾し後端位置で前傾する動作を実現することができる。
また、上述したように、左足支持台2aおよび右足支持台2bに対して足を固定する位置を調節可能にしているから、回動中心から足位置までの距離を調節することにより、回動中心に近い位置に足を載せて使用するとバランスをとりやすくかつ筋群の伸縮が少ない軽負荷の運動ができ、回動中心から離れた位置に足を載せて使用すると重心の上下移動が大きくなりかつ筋群の伸縮が多い強負荷の運動が可能になる。
上述したように、左足支持台2aと右足支持台2bとを一方が前端位置のときに他方を後端位置に位置させ、かつ一方が左向きに移動するときに他方を右向きに移動させることによって、体幹を捻って使用者の内蔵に刺激を与えることができるが、上述の構成では上体が自由に動くものであるから、使用者によっては体幹が捻れないように身体を動かす場合もある。
そこで、手摺を設け使用時には手摺を持たせることによって、上体の位置を固定させる構成を採用してもよい。手摺はハウジング1に一体に設けるほか、装置を使用する場所において造営物側に設けるようにしてもよい。手摺を設けておけば手摺によって使用者は身体を支えることができるからバランス機能が衰えている使用者でも利用しやすくなる。また、立位で使用することが基本であるが、リハビリ目的などであって、立位が困難な場合には座席を設けて着座姿勢で利用してもよい。
(実施形態2)
実施形態1は、使用者の重心位置が前後に移動しないように、左足支持台2aと右足支持台2bとを前後方向において互いに逆位相になるように移動させる構成を採用したが、使用者の重心位置を前後に移動させると、前後に倒れないように反射神経系が機能するから、身体が倒れないように保つための筋群(たとえば、広背筋、大腰筋、腸腰筋)が刺激される。
本実施形態は、この効果をねらうものであって、左足支持台2aと右足支持台2bとを前後方向において逆位相で移動させるのではなく、180度ではない適宜の位相差で移動させる構成を採用している。位相差は0度であってもよく、この場合、左足支持台2aと右足支持台2bとは同時に前後移動することになる。位相差が180度ではない場合には前端位置と後端位置とにおいて加速度が生じ、重心位置が前後に移動するから、身体が倒れないように保つための筋群が刺激される。さらに、左足支持台2aと右足支持台2bとの移動に伴って傾斜角度も変化させると、重心位置を保つのがより一層難しくなり、身体を倒れないように保つための筋群の強化が可能になる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
実施形態1では、左足支持台2aと右足支持台2bをy方向の軸Ay周りに回動可能としているが、x方向の軸Ax周りに回動可能とした例を図14および15に示す。ここで、傾斜角度は、たとえば、足裏が水平である状態を0度として、内傾側と外傾側とにそれぞれ25度、15度の範囲で角度変化を可能とする。当該角度変化の範囲は、足関節の可動域に合わしているため、足関節に負担を与えることがない。
たとえば、図14に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bを前端位置で内傾させ、初期位置では水平になり、後端位置で外傾させるように傾斜角度を設定すれば、左足支持台2aと右足支持台2bとが前後左右に移動する間に内傾と外傾とを繰り返すから、使用者の上体には左右に倒そうとする加速度が作用する。この加速度に抗して身体を倒さないように反射が生じるから、脚側部の筋肉が刺激され、オー脚やエックス脚を矯正するための筋群を強化することが可能になる。
左足支持台2aと右足支持台2bとの傾斜角度は、実施形態1と同様に、前端位置と後端位置と初期位置とにおいて設定すれば、XY平面内での位置移動に伴って駆動装置3が角度を連続的に変化させる。
ここで、駆動源31は、左足支持台2aおよび右足支持台2bが略同一の静止角度θx(図15参照)をもって反復回動を停止するように制御される。具体的には、左足支持台2aおよび右足支持台2bは図15に示す位置で停止する。図15において、軸Axを含む水平面を平面Pxとすると、左足支持台2aと平面Pxとの間の角度と右足支持台2bと平面Pxとの角度はともにθxとなる。θxは、軸Ax周りでの静止角度である。ここで、左足支持台2aと右足支持台2bとは、平面Pxに対して、図15(a)および(c)においては、逆方向に傾斜しており、図15(b)および(d)においては、同方向に傾斜している。つまり、図15(a)および(c)は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの静止角度θxを、左足支持台2aおよび右足支持台2bの停止の際に、使用者がバランスを崩さないように設定した場合であり、図15(b)および(d)は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの静止角度θxを、左足支持台2aおよび右足支持台2bの停止の際に、使用者がバランスを崩すように設定した場合である。言い換えれば、図15(a)および(c)では、左足支持台および右足支持台が停止の際に使用者の重心について略対称になるように制御され、図15(b)および(d)では、左足支持台および右足支持台が停止の際に使用者の重心について非対称になるように制御される。静止角度θxを0度とすることもできる。なお、図15では、左足支持台2aおよび右足支持台2bは、前後方向(X方向)については、同じ位置で停止しているが、前後方向に離間して停止してもよい。
x方向の軸Ax周りの回動中心は、支持台座標系でのy方向において、左足支持台2aと右足支持台2bとの中心位置に設定するほか、左足支持台2aおよび右足支持台2bの内外の適宜の位置に設けることができる。回動中心の位置に応じた効果は実施形態1においてy方向の軸Ay周りの回動中心の位置に応じた効果と同様である。さらに、支持台座標系のy方向において左足支持台2aおよび右足支持台2bに足を載せる位置を調節する構成を採用すれば、足を載せる位置に応じて、左右方向における重心の移動量を変化させたり、負荷の大きさを変化させたりすることができる。
図14では、左足支持台2aおよび右足支持台2bの位置がハウジング座標系のXY平面内において移動するのに伴って傾斜角度が変化する例を示しているが、使用状況に応じて傾斜角度を調節し、左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動にかかわりなく一定の傾斜角度で使用するようにしてもよい。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
(実施形態4)
実施形態1では、左足支持台2aと右足支持台2bを支持台座標系のy方向の軸Ay周りに回動可能としているが、z方向の軸Az周りに回動可能とした例を図16および17に示す。
x方向の軸Axあるいはy方向の軸Ay周りに回動させる場合と同様に、z方向の軸Az周りに回動させる場合も、左足支持台2aと右足支持台2bとがハウジング座標系でのXY平面内で位置を移動させるのに伴って回動角度を変化させる場合と、位置移動とは無関係に回動角度を固定する場合とがある。ここで、傾斜角度は、たとえば、ハウジング座標系と支持台座標系との各座標軸の方向が一致した状態を0度として、軸Az周りに、それぞれ10度の範囲で角度変化を可能とする。当該角度変化の範囲は、足関節の可動域に合わしているため、足関節に負担を与えることがない。
たとえば、図16に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動軌跡La,Lbの後端位置においてハウジング座標系のX方向と支持台座標系のx方向との角度を最大にし、前端位置において角度を最小にするように制御することができる。
ここで、駆動源31は、左足支持台2aおよび右足支持台2bが略同一の静止角度θz(図17参照)をもって反復回動を停止するように制御される。具体的には、左足支持台2aおよび右足支持台2bは図17に示す位置で停止する。図17において、左足支持台2aと右足支持台2bとの中間に位置するハウジング座標系のXZ平面を平面Pzとすると、左足支持台2aと平面Pzとの間の角度と右足支持台2bと平面Pzとの角度はともにθzとなる。θzは、軸Az周りでの静止角度である。ここで、左足支持台2aと右足支持台2bとは、平面Pzに対して、図17(a)および(c)においては、逆方向に傾斜しており、図17(b)および(d)においては、同方向に傾斜している。つまり、図17(a)および(c)は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの静止角度θzを、左足支持台2aおよび右足支持台2bの停止の際に、使用者がバランスを崩さないように設定した場合であり、図17(b)および(d)は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの静止角度θzを、左足支持台2aおよび右足支持台2bの停止の際に、使用者がバランスを崩すように設定した場合である。言い換えれば、図17(a)および(c)では、左足支持台および右足支持台が停止の際に使用者の重心について略対称になるように制御され、図17(b)および(d)では、左足支持台および右足支持台が停止の際に使用者の重心について非対称になるように制御される。静止角度θzを0度とすることもできる。なお、図17では、左足支持台2aおよび右足支持台2bは、前後方向(X方向)については、同じ位置で停止しているが、前後方向に離間して停止してもよい。
上述のように左足支持台2aおよび右足支持台2bについて、ハウジング座標系のXY平面内での代表点の位置移動に応じて支持台座標系のz方向の軸Az周りの回動角度を変化させると、左右片脚ずつについてみれば、股関節の回転が生じて股関節の周囲の筋群が伸縮し、結果的に股関節の柔軟性を高めることができる。また、使用者の身体全体についてみれば、体幹の捻れを大きくすることができ、z方向の軸Az周りの回動を伴わない場合に比較して内蔵への刺激を大きくすることができる。
上述の動作例では、左足支持台2aと右足支持台2bとが、ハウジング座標系のXY平面内での位置移動に伴って、支持台座標系のz方向の軸Az周りに回動しているが、膝関節にせん断力が作用しない位置でz方向の軸Az周りの回動角度を調節可能とし、XY平面の移動位置にかかわらず調節した回動角度に保つようにしておけば、膝痛のある使用者でも苦痛を伴わずに使用することが可能になる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
上述した各実施形態の構成例では、左足支持台2aと右足支持台2bとが直進するとともに前方への移動時と後方への移動時とで同じ経路を通る場合を想定しているが、直進ではなく移動軌跡La,Lbが適宜の曲線になるようにしてもよい。曲線の形状は円錐曲線(円、楕円、放物線、双曲線)のほか任意の曲線あるいは折線など適宜形状を採用することができる。また、前方への移動時と後方への移動時の経路を異ならせてもよい。たとえば、移動軌跡La,Lbをそれぞれ楕円状としてもよい。ただし、いずれの場合も、移動軌跡La,Lbにおける前端位置の左右幅と後端位置の左右幅とを異ならせることによって、左足支持台2aについて前端位置と後端位置とを結ぶ直線と、右足支持台2bについて前端位置と後端位置とを結ぶ直線とがなす形状は、V字状または逆V字状になるようにする。
また、実施形態1では左足支持台2aと右足支持台2bとを逆位相で移動させ、実施形態2では逆位相以外で移動させる例を示したが、左足支持台2aと右足支持台2bとの一方を停止した状態で他方のみ移動させる動作や、この動作を左右交互に行う動作も可能である。さらに、上述した各実施形態では、左足支持台2aと右足支持台2bとの移動軌跡La,Lbが同形状である場合を想定しているが、左足支持台2aと右足支持台2bとでは異なる移動軌跡La,Lbとしたり、左右で異なる移動軌跡La,Lbを適宜に入れ替える動作を採用したりすることも可能である。
上述した各実施形態の動作は、適宜に選択しまた組み合わせることが可能である。すなわち、実施形態1と実施形態2とのいずれかに実施形態3ないし実施形態4の各動作を単独で組み合わせたり、または複合して組み合わせたりすることが可能であり、また、実施形態1ないし実施形態4のすべての動作を1台の運動補助装置で選択して行うことも可能である。
ここで、左足支持台2aおよび右足支持台2bを3次元的に回動可能とする場合の構成として、3つの軸Ax,Ay,Azを用いることもできるが、図18〜20に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bのそれぞれについて、3つのピストンロッド51を用いる構成を採用することが望ましい。
ピストンロッド51は、その長さが制御されるとともに、左足支持台2aおよび右足支持台2bの足を載置面とは反対側の面に取り付けられた自在継手52を介して、左足支持台2aおよび右足支持台2bに連結され、ハウジング1上に取り付けられた自在継手53を介して、ハウジング1に連結されている。しかして、ピストンロッド51の左足支持台2aおよび右足支持台2b側の先端は、任意の位置をとることができる。
また、ピストンロッド51は、それぞれに設けられた駆動源31により駆動する。これにより、左足支持台2aまたは右足支持台2bの3次元的な自由度が向上する。
なお、装置の移動を容易にするために、ハウジング1には、キャスター54を設けるとよい。ここで、キャスター54に、キャスター54を固定するストッパー手段を設け、装置の使用時には、安全のため、当該ストッパー手段を用いることが望ましい。
一方、3つの軸Ax,Ay,Azの代わりに球体を用いることもできる。
これらの構成を採用すれば、3つの軸Ax,Ay,Azを用いる場合に比べて、装置の小型化が可能になる。
また、上述の例では、ハウジング1の上面が水平面であるものとして説明したが、ハウジング1の下面に床上に載置される複数本の脚を突設し、各脚の長さを調節することによってハウジング1の上面を床面に対して傾斜させてもよい。また、ハウジング1の上面を平面ではなく曲面とすることも可能である。つまり、左足支持台2aおよび右足支持台2bがハウジング1の上面の曲面に沿って移動する構成を採用してもよい。