明 細 書
プロクロッティングェンザィム、並びに、これを用いたエンドトキシン又は(1 →3) - β _D—グノレカンの検出方法
技術分野
[0001] 本発明は、カブトガニ由来のプロクロッティングェンザィムをコードする核酸、これを 保持するウィルス、これを保持する細胞及びこれを用いたプロクロッティングェンザィ ムの生産方法、さらにはこれにより得られたプロクロッティングェンザィムを用いる Et や BGの検出方法及び検出キットに関する。
背景技術
[0002] カブトガニ ·ァメボサイト'ライセート(カブトガニ血球抽出液、以下、単に「ライセート」 という。)を使用して、 Etや BGを測定する方法が知られている。この方法は、 Etや BG によってライセートが凝固することに基づいている。この凝固反応は、レ、くつかの凝固 因子が段階的に活性化されることによって引き起こされる (特許文献 1、非特許文献 1
)o
[0003] 例えば、 BGがライセートに接触すると、ライセート中に存在する G因子が活性化さ れて活性型 G因子が生成する。この活性型 G因子により、ライセート中に存在する Pr o_CEを活性化して CEが生成する。この CEは、ライセート中に存在するコアキュロ 一ゲン分子中の特定の箇所を限定水解し、これによりコアギュリンゲルが生成してラ イセートが凝固する。 CEは、合成基質(例えば、 t—ブトキシカルボニル—口イシノレ— グリシル—アルギニン— pNA (Boc— Leu— Gly— Arg— pNA) )にも作用して、その アミド結合を水解して pNAを遊離する。したがって、生成した発色物質 (pNA)の吸 光度を測定することにより、 BGを定量することができる(特許文献 1)。
[0004] Pro— CEは既にクローニングされているが(非特許文献 2)、この核酸を用いて活性 を保持するタンパク質 (Pro— CE)を発現することは困難であった。
[0005] すなわち、 Pro— CEはすでにクローニングされている力 本文献で開示された技術 及び成果物は、 目的とするタンパク質をコードする cDNAの標的クローンを得るため の標準的な手法のみである。つまり、抗 CE抗体を用いて、 gtl l cDNAライブラリ
一(150万個のクローン)から 23個のクローンを選別、 pUCl 18/119ベクターにサ ブクローニングした後、塩基配列が決定されるに止まっている。実際の問題として当 該作業だけでも膨大な労力が必要であり、セリンプロテア一ゼ前躯体である proCE の酵素活性 [CEのプロテアーゼ(アミダーゼ)活性]の発現、及び、活性型 B因子によ る ProCEの活性化あるいは、活性型 C因子及び B因子の共存下で酵素活性の定量 的な再現試験 (再構成)を行うには至ってレ、なレ、。特定のタンパク質の塩基配列を決 定する作業と、当該タンパク質を組み換え体として得て、これを用いる特定のアツセィ 系を構築することは全く別次元の高度な技術的創作性が求められる事項である。 特許文献 1:特開平 08— 122334号公報
特許文献 2:特開 2006— 271384号公報
非特許文献 1 :J. Protein Chem., 5, p255-268 (1986)
非特許文献 2 : J. Biol. Chem., 265(36). P22426- 22433 (1990)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、一定の品質を有する Etや BGの検出試薬を安定的に、安価に、かつ大 量に製造しうる、カブトガニ由来の Pro— CEをコードする核酸、これを保持するウィル ス、これを保持する細胞、これを用いた Pro_CEの生産方法、この生産方法により得 られた Pro— CEを用いた Etや BGの検出方法や検出キットを提供することを課題と する。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、 Pro— CEをコードする DN Aを保持するウィルスが保持された細胞を用レ、ることにより、 Pro - CEの活性を有す るタンパク質を製造することができることを見出し、これにより一定の品質を有する Et 及び BGの検出試薬を安定的に、安価に、かつ大量に製造しうることを見出し、本発 明を完成するに至った。
[0008] 上記の背景技術の欄を含め、本出願書類の全てにおいて使用する略号は以下の 通りである。
Pro—し E :フ口クロツァインクエンケ ム pro—clotting enzyme
CE:クロッティングェンザィム (clotting enzyme)
AcNPV: Autographa californicaの核多角体病ゥイノレス
BG : (1→3) β—D グルカン
Et:エンドトキシン(「リポポリサッカライド」ともレ、う。)
HEPES: 2-[4- (2-ヒドロキシェチル) -1-ピぺラジュル]エタンスルホン酸(2-[4-(2_hyd roxyethyl)-l-piperazmyl]ethanesulfomc acid)
HRP:ホースフティッシュ 'へノレォキシタ、'ーセ (horseradish peroxidase)
MOI:多重感染度 (multiplicity of infection)
NPV :核多角体病ワイノレス (nuclear polyhedrosis virus)
PBS:リン酸緩衝化生理食塩水(phosphate buffered saline)
PCR :ポリメフーセ連鎖反 、 polymerase chain reaction)
pNA:パラ二トロア二リン
PVDF :ポリビニリデン 'ジフルオリド (polyvinylidene difluoride)
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)
SDS PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム ポリアクリルアミドゲル電気泳動
L·AL: hmulus amebocyte lysate
[0009] すなわち本発明は、カブトガニ由来の Pro— CEをコードする核酸 (以下、「本発明 核酸」という。)を提供する。
[0010] ここにいうカブトガニは、タキプレウス'トリデンタツス、リムノレス'ポリフエムス、タキプ レウス'ギガス及びタキプレウス'ロッンディ力ウダ(カルシノスコルピウス'ロッンディ力 ウダともいう。)の 4種のいずれ力から選択される。
[0011] またここにいう「カブトガニ由来の Pro _ CEをコードする核酸」は下記(A)〜(C)か ら選ばれる核酸である事がより好ましレ、。
[0012] (A)配列番号 4に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする DNA、
(B)「配列番号 4に示されるアミノ酸配列における 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換、揷入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、カブトガニ由来の Pro_ CEの活 性を有するタンパク質」をコードする DNA、
(C)上記 (A)又は(B)の DNAを転写することにより得られる RNA。
[0013] またここにいう「カブトガニ由来の Pro— CEをコードする核酸」は、下記(a;)〜(c)か ら選ばれる核酸であることが好ましい。
[0014] (a)配列番号 3における塩基配列 1〜: 1143で示される塩基配列を含む DNA、
(b)配列番号 3における塩基配列 1〜: 1143で示される塩基配列を含む塩基配列に おいて、その塩基配列によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列における 1若し くは数個のアミノ酸を欠失、置換、揷入又は転位させる塩基の変異を有し、かつ、発 現されるタンパク質がカブトガニ由来の Pro - CEの活性を有することを特徴とする D NA、
(c)上記(a)又は(b)の DNAを転写することにより得られる RNA。
[0015] また本発明は、本発明核酸が保持されたウィルス(以下、「本発明ウィルス」という。
)を提供する。
[0016] ここにいう「ウィルス」はバキュロウィルスであることが好ましレ、。バキュロウィルスのな かでも、 NPVが好ましく、 AcNPVであることがより好ましい。
[0017] また本発明は、本発明ウィルスを保持する細胞(以下、「本発明細胞」という。)を提 供する。
[0018] ここにいう「細胞」は特に限定はされず、上記の本発明ウィルスとの相性等を考慮し て、自由に選択することができる。すなわち、大腸菌由来、バクテリア由来、酵母由来 、昆虫由来である細胞等が例示される。上述のように、好適な本発明ウィルスがバキ ュロウィルスであり、当該ウィルスを選択する場合には、昆虫由来の細胞を選択する ことが好適である。
[0019] また本発明は、本発明細胞を生育させ、その生育物からカブトガニ由来の Pro— C Eを採取するステップを少なくとも含む、カブトガニ由来の Pro - CEの生産方法(以 下、「本発明生産方法」という。)を提供する。
[0020] また本発明は、本発明生産方法により製造される Pro— CE (以下、「本発明酵素」と レ、う。)を提供する。
[0021] また本発明は、 Etを検出するための被験試料において、本発明酵素及び「Etと接 触することにより Pro_CEを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前 駆体」を共存させ、本発明酵素から CEへの変換に伴う酵素活性を指標として、当該
試料中の Etの検出を行うことを特徴とする、 Etの検出方法(以下、「本発明方法 1」と レ、う。)を提供する。
[0022] 本発明方法 1において、「Etと接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性 を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」は、「活性型 C因子と接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」、及び、「カブトガ 二由来の C因子及び/又は組換え C因子」であることが好ましい。
[0023] さらに、当該「活性型 C因子と接触することにより Pro_CEを CEに変換させる活性 を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」、好ましくは、カブトガニ由来の B因子及び Z 又は組換え B因子である。
[0024] 上記 C因子と B因子は、共に組換え型であることが好適であり、本発明方法 1の最も 好適な態様の一つとして、 Etを検出するための被験試料において、本発明酵素と共 に、 C因子と B因子を共存させ、かつ、当該 C因子と B因子の全てが組換え型である 態様を例示することができる。 C因子と B因子として、カブトガニ由来の天然型を用い て本発明方法 1を行うことは、検出感度等の方法の有効性という観点からすると、十 分に好適である力 その一方で、天然の C因子と B因子の原料となるカブトガ二の体 液を採取するには、力ブトガニを捕獲して、その永続的な生育に支障が出ない限度 で体液を採取する必要がある。この捕獲と体液の採取の際にカブトガ二に対して、あ る程度のストレスを与えてしまうことは避けられず、環境破壊などに伴う個体数の減少 を指摘する声もある。このように、本発明方法 1を行うためのカスケード反応タンパク 質の全てを組換え型とすることは、特に、貴重な生物資源を保護する観点から意義 深く、生物保護、動物代替への貢献は計り知れない。
[0025] Etの検出系の構成要素として用いられる C因子又は B因子を組換え型因子とする 場合、これらの因子をコードする遺伝子を組み込むベクターと、これを形質導入する 宿主の選択は、特に限定されずに行うことも可能である力 前述の組換え型の Pro— CEと同様に、ベクターとして、ウィルス、好適には、バキュロウィルスが挙げられ、ノ キュロウィルスのなかでも、 NPVが好ましく、 AcNPVであることがより好ましレ、。そし て、宿主としては、大腸菌由来、バクテリア由来、酵母由来、昆虫由来である細胞等 が例示されるが、好適な本発明ウィルスがバキュロウィルスであり、当該ウィルスを選
択する場合には、昆虫由来の細胞を選択することが好適である。
[0026] また、「本発明酵素から CEへの変換に伴う酵素活性を指標とする」とは、本発明酵 素である Pro— CEから CEへの変換により誘導される酵素活性を、定量的又は定性 的に検知し、これを被験試料中の Etの存在量又は存在の指標とすることを意味する ものである。 「Pro_CEから CEへの変換に伴う酵素活性を示す現象」としては、 CE の存在による、コアギュリンゲルの生成に伴うライセートの凝固(ゲル化や濁度の変化 等により検出可能である)や、合成発色基質のアミド結合の水解により分離した発色 色素の発色、等が挙げられる。とくに、合成発色基質を用いることにより、高感度で再 現性の良い測定系を構築することができ、さらに、カブトガニ由来のライセートを用い る必要もなぐ貴重な生物資源を保護する観点からもきわめて有益である。
[0027] 合成発色基質としては、例えば、 X_A_Y (式中、 Xは保護基、 Yは発色色素、 A はトリペプチドである)で示されるものを挙げることができる。 CEの存在により A— Y結 合が切断されて、発色色素 Yが発色し、 Etの存在の定量的又は定性的な指標となる 。ここで、保護基 Xは、ペプチドの公知の保護基、例えば、 t ブトキシカルボニル基、 ベンゾィル基等を挙げることが可能であり、発色色素 Yとしては、例えば、 pNA、 MC A (7-メトキシクマリン-4-酢酸)、DNP (2,4-ジニトロァニリン)、 Dansyl色素等が挙げ られる。トリペプチドとしては、例えば、 Leu— Gly— Arg (LGR:—文字表記)、及び II e-Glu-Gly-Arg (IEGR :—文字表記)、 Val— Pro— Arg (VPR:—文字表記) 等を例示することができる。
[0028] 本発明方法 1を定量的に行う場合には、予め Etの標準品を用いた、 Et量と指標強 度(発色色素 Yによる発色の強度や、ライセートの凝固による濁度等)との関連を示す 相関データ (典型的には検量線)の作成を行い、これを基準として被験試料内におけ る Etを、検出された指標強度を基礎として検量的に確定することができる。
[0029] 上記被験試料は特に限定されず、注射用水、医薬品、輸液、血液製剤、医療機器
(医療用具)医薬部外品、化粧品などのほか、食品、飲料水、空気、河川、土壌など の環境試料、ネイティブな蛋白質や遺伝子組換えタンパク、核酸、酵素、糖質、電解 質に加え、血液、体液、組織などの生体成分等を挙げることができる。
[0030] また本発明は、本発明酵素及び「Etと接触することにより Pro_CEを CEに変換さ
せる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」を少なくとも構成として含むことを特 徴とする、本発明方法 1を行うための Etの検出キット(以下、「本発明キット 1」という。 ) を提供する。
[0031] また本発明キット 1は、「Etと接触することにより Pro_CEを CEに変換させる活性を 発現するセリンプロテアーゼ前駆体」が、「活性型 C因子と接触することにより Pro— C Eを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」、及び、「カブトガニ 由来の C因子及び Z又は組換え C因子」であることが好ましい。
[0032] さらに、当該「活性型 C因子と接触することにより Pro_CEを CEに変換させる活性 を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」は、好ましくは、カブトガニ由来の B因子及び /又は組換え B因子である。
[0033] また本発明キット 1において、上記 C因子と B因子は、共に組換え型であることが好 適であり、本発明キット 1の最も好適な態様の一つとして、その構成として含まれる C 因子と B因子の全てが組換え型である態様を例示することができる。すなわち、本発 明キット 1に含まれるカスケード反応タンパク質として、本発明酵素、組換え C因子及 び組換え B因子のみであることがより好ましい。
[0034] 本発明キット 1には、本発明方法 1を行うために用いる試薬等、例えば、上記の合成 発色基質 (X—A—Y)、緩衝液、希釈液、塩類、カブトガ二のライセート等を、本発明 キット 1により行われる本発明方法 1の態様に応じて選択して、キットの構成に含める こと力 Sできる。
[0035] また本発明は、 BGを検出するための被験試料において、本発明酵素及び「BGと 接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ 前駆体」を共存させ、本発明酵素から CEへの変換に伴う酵素活性を指標として、当 該試料中の BGの検出を行うことを特徴とする、 BGの検出方法 (以下、「本発明方法 2」という。)を提供する。
[0036] 本発明方法 2において、「BGと接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活 性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」が、カブトガニ由来の G因子及び/又は組 換え G因子であることが好ましい。
[0037] 上記 G因子は、組換え型であることが好適であり、本発明方法 2の最も好適な態様
の一つとして、 BGを検出するための被験試料において、本発明酵素と共に、 G因子 を共存させ、かつ、当該 G因子の全てが組換え型である態様を例示することができる
[0038] なお、本発明方法 2において用いる G因子が組換え型であることが好適な理由は、 本発明方法 1におレ、て、 C因子と B因子が組換え型であることが好適である理由と同 様である。また、組換え型 G因子を得る際のベクターとしてウィルス、好適には、バキ ュロウィルスが挙げられ、バキュロウィルスのなかでも、 NPVが好ましぐ AcNPVであ ることがより好ましい点は上述した C因子と B因子と同様である。さらに、宿主としては 、大腸菌由来、バクテリア由来、酵母由来、昆虫由来である細胞等が例示されるが、 好適な本発明ウィルスがバキュロウィルスであり、当該ウィルスを選択する場合には、 昆虫由来の細胞を選択することが好適である点もまた同様の理由によるものである。
[0039] また、「本発明酵素から CEへの変換に伴う酵素活性を指標とする」とは、本発明酵 素である Pro— CEから CEへの変換を示す現象を、定量的又は定性的に検出し、こ れを被験試料中の BGの存在量又は存在の指標とすることを意味するものであること は、本発明方法 1と同様であり、「Pro— CEから CEへの変換を示す現象」の内容に ついても本発明方法 1について開示したものと同様である。本発明方法 2においても 、合成発色基質 X— A— Yを好適に用いることができる。
[0040] 本発明方法 2を定量的に行う場合には、予め BGの標準品を用いた、 BG量と指標 強度(発色色素 Yによる発色の強度や、ライセートの凝固による濁度等)との関連を示 す相関データ (典型的には検量線)の作成を行い、これを基準として被験試料内に おける BGを、検出された指標強度を基礎として検量的に確定することができる。
[0041] 上記被験試料は特に限定されず、注射用水、医薬品、輸液、血液製剤、医療機器
(医療用具)、医薬部外品、化粧品などのほか、食品、飲料水、空気、河川、土壌な どの環境試料、ネイティブな蛋白質や遺伝子組換えタンパク、核酸、酵素、糖質、電 解質に加え、血液、体液、組織などの生体成分等を挙げることができる。
[0042] また本発明は、本発明酵素及び「BGと接触することにより Pro_CEを CEに変換さ せる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」を少なくとも構成として含むことを特 徴とする、本発明方法 2を行うための BGの検出キット(以下、「本発明キット 2」という。
)を提供する。
[0043] 本発明キット 2は、「BGと接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性を発 現するセリンプロテアーゼ前駆体」 1S カブトガニ由来の G因子及び/又は組換え G 因子であることが好ましい。
[0044] また本発明キット 2は、上記 G因子は組換え型であることが好適であり、本発明キット
2の最も好適な態様の一つとして、その構成として含まれる G因子の全て( 、 βサブ ユニット)が組換え型である態様を例示することができる。すなわち、本発明キット 2に 含まれるカスケード反応タンパク質として、本発明酵素、組換え G因子のみであること 力 り好ましい。
[0045] 本発明キット 2には、本発明方法 2を行うために用いる試薬等、例えば、上記の合成 発色基質 (Χ—Α—Υ)、緩衝液、希釈液、塩類、カブトガ二のライセート等を、本発明 キット 2により行われる本発明方法 2の態様に応じて選択して、キットの構成に含める こと力 Sできる。
発明の効果
[0046] 本発明核酸は、これを用いることによって、一定の品質を有する Pro— CEの安定的 、効率的、大量かつ安価な生産に有用な本発明ウィルスが提供されることから極めて 有用である。また本発明ウィルスは、これを用いることによって、一定の品質を有する Pro— CEの安定的、効率的、大量かつ安価な生産に有用な本発明細胞が提供され ることから極めて有用である。また本発明細胞は、これを用いることにより、 Pro-CE の活性を保持した一定の品質のタンパク質を安定的、効率的、大量かつ安価に生産 することができ、またこれによつて本発明方法及び本発明キットが提供されることから 極めて有用である。さらに、本発明方法及び本発明キットでは、貴重な生物資源であ るカブトガ二からライセートを調製せずに、 Etや BGの検出、測定を行うことも可能で あり、生物保護、動物代替、費用、精度、再現性等の点で、極めて有用な手法を提 供するものである。
図面の簡単な説明
[0047] [図 l]Pro— CE組換えウィルスの目的配列 N末端、 C末端領域のシークェンス解析 結果を示す図である。
[図 2]Pro— CE発現物のウェスタンブロッテイングを示す図である。
[図 3]BG濃度 Ing/mLにおける上清画分の反応性を示す図である。
[図 4]BG濃度 lOng/mLにおける上清画分の反応性を示す図である。
[図 5]DS - 3GII画分使用における BGの反応性を示す図である。
[図 6]Et濃度 lOng/mLにおける上清画分の反応性を示す図である。
[図 7]Et濃度 lOOng/mLにおける上清画分の反応性を示す図である。
[図 8]組換え G因子(5倍希釈)用いたときの BGの反応性を示す図である。
[図 9]Et反応において用いるべき組換え B因子の検討の結果を示す図である。
[図 10]Et反応において、用いた各サンプルにおける当該反応の結果を示す図である
[図 11]高濃度の Et存在下における各因子の、 Boc— LGR— ρΝΑ基質に対する水 解特性にっレ、て調べた結果を示す図である。
[図 12]硫酸マグネシウム濃度の完全再構築系の Et反応に対する影響を 0〜100mM の間で検討した結果を示す図である。
[図 13]硫酸マグネシウム濃度の完全再構築系の Et反応に対する影響を 0〜: !OmMの 間で検討した結果を示す図である。
[図 14]塩化カルシウム濃度の完全再構築系の Et反応に対する影響を 0〜5mMの間 で検討した結果を示す図である。
[図 15]塩化ナトリウム濃度の完全再構築系の Et反応に対する影響を 0〜2. 5Mの間 で検討した結果を示す図である。
[図 16]Boc— LGR— pNAと Boc— VPR— pNAを基質として用いた場合の、完全再 構成系の Et反応の差異を検討した結果を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0048] 以下、本発明を実施するための最良の形態により本発明を説明する。
[0049] < 1 >本発明核酸
本発明核酸は、カブトガニ由来の Pro— CEをコードする核酸である。本発明核酸 における「カブトガニ由来の Pro— CEをコードする核酸」は、カブトガニ由来の Pro— CEがコードされている核酸である限りにおいて特に限定されない。例えば、配列番
号 1に記載の塩基配列からなる核酸が例示される(配列番号 2は、当該塩基配列に 基づくアミノ酸配列のみの表示) 、遺伝暗号の縮重による異なった塩基配列を有す る塩基配列からなる核酸も本発明核酸に包含されることは、当業者であれば容易に 理解されるところである。
[0050] ここで用いる「核酸」は、 DNAであっても、 RNAであってもよぐ当業者がその用途 に合わせて選択することができる。例えば、より安定性を重視する場合には DNAを 選択すること力 Sできる。
[0051] このような核酸としては、以下のカブトガ二に由来する Pro_CEがコードされている 核酸が例示される;
タキプレウス'トリデンタツス、リムルス.ポリフエムス、タキプレウス.ギガス及びタキプレ ウス'口ッンディ力ウダ。
[0052] これらのなかでも、タキプレウス'トリデンタツスゃリムルス.ポリフエムスに由来する Pr o - CEがコードされてレ、る核酸が好ましく、タキプレウス ·トリデンタツスに由来する Pr o— CEがコードされている核酸がより好ましい。
[0053] また本発明核酸は、化学的に合成することもでき、遺伝子工学的に製造することも できる。遺伝子工学的に製造するには、例えばリムルス'ポリフエムス、タキプレウス 'ト リデンタツス、タキプレウス 'ギガス、並びにタキプレウス'ロッンディ力ウダ等の力ブト ガ二の血球(ァメボサイト)から常法に従って調製した cDNAライブラリーを、例えば配 列番号 5又は 6に記載の人工的に調製した塩基配列のプライマーを使用して、 PCR 法により目的の DNAを増幅させて調製することができる。 PCR産物はゲル電気泳動 などの分子量による分離手段を用いることにより容易に単離することができる。
[0054] またここにいう「カブトガニ由来の Pro— CEをコードする核酸」は下記(A)〜(C)の 核酸であることがより好ましい。
[0055] (A)配列番号 4に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする DNA、
(B)「配列番号 4に示されるアミノ酸配列における 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換、揷入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、カブトガニ由来の Pro_CEの活 性を有するタンパク質」をコードする DNA、
(C)上記 (A)又は(B)の DNAを転写することにより得られる RNA。
[0056] ここにいう「配列番号 4に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする DNA」 は、タキプレウス ·トリデンタツスに由来する Pro - CEをコードする DNAである。
[0057] また天然に存在するタンパク質には、それをコードする DNAの多型や変異によりァ ミノ酸配列中にアミノ酸の置換、欠失、揷入又は転位等の変異が起こりうるほか、生成 後のタンパク質の細胞内及び精製中の修飾反応などによってアミノ酸のリン酸化、糖 鎖付加、脂質付加、プロリンの水酸化などの翻訳後修飾が起こりうるが、それにもか 力、わらず変異を有しないタンパク質と実質的に同等の生理、生物学的活性を示すも のがあることが知られてレ、る。このように「(A)の DNAによってコードされるタンパク質 」に対して構造的に若干の差違があってもその機能については大きな違いが認めら れない「 (B)の DNAによってコードされるタンパク質」は、「(A)の DNAによってコー ドされるタンパク質」と実質的に同等なものといえる。人為的にタンパク質のアミノ酸配 列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合にはさらに多種多様の 変異体を作製することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン 2 (IL-2)のアミノ酸 配列中の、あるシスティン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン 2活 性を保持することが知られている (Science,224,1431(1984))。このような「変異を有する タンパク質」は「部位特異的変異法」などの公知の方法により作成することができる。 また、ある種のタンパク質は、活性には必須でないペプチド領域を有していることが 知られている。例えば、細胞外に分泌されるタンパク質に存在するシグナルペプチド や、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域 のほとんどは翻訳後、又は活性型タンパク質への転換に際して除去される。このよう なタンパク質は、一次構造上は異なった形で存在している力 S、最終的には「 (A)の D NAによってコードされるタンパク質」と実質的に同等の機能を有するタンパク質であ る。上記の「(B)の DNAによってコードされるタンパク質」は、このようなタンパク質を 規定するものである。
[0058] なお本出願書類において「数個のアミノ酸」とは、当該タンパク質の活性が失われな い範囲で変異を起こしてもよいアミノ酸の数を示し、例えば 600アミノ酸残基を含むタ ンパク質の場合には 2〜30程度、好ましくは 2〜: 15、より好ましくは 2〜8の数を示す
[0059] (B)の DNAによってコードされるタンパク質は、カブトガニ由来の Pro— CEの活性 を有するものである。 Pro— CEの活性は該 Pro— CE、合成基質 (例えば t ブトキシ カルボニル ロイシル グリシル アルギニン一 PNA (Boc-Leu-Gly- Arg - p NA) )、 Et、 C因子及び B因子を共存させることによりその反応性を調べることにより 確認できる。具体的には該 Pro_CEに活性があれば、該 Pro_CE、合成基質、 Et、 C因子を共存させることにより pNAが遊離してくるので、この pNAの生成量を吸光度 測定を行うことにより検知することができる。具体的な方法は実施例 2を参照されたい
[0060] ここで用いる「共存」とは、共存するものが相互に接触する状態にある限りにおいて 特に限定されない。具体的には、これらの該 Pro_CE、合成基質、 Et、 C因子及び B因子と接触させる、又は該 Pro_CE、合成基質、 BG及び G因子とが相互に接触 する状態であることをいう。
[0061] またここで用いる「反応」は、該 Pro— CEを合成基質と共存させ、該 Pro— CEが CE に変換されることにより、合成基質に作用して、そのアミド結合を水解して pNAを遊離 する反応のことをいう。
[0062] また、前記 (A)の「配列番号 4に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質」をコードす る DNAとしては、配列番号 3における塩基番号 1〜1143で示される塩基配列によつ て特定される DNAが例示される。また GenBank accession No. D161657として登録 されている DNAも使用することができる。
[0063] また、前記(B)の「配列番号 4に示されるアミノ酸配列における 1若しくは数個のアミ ノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、カブトガニ由来の P ro_CEの活性を有するタンパク質」をコードする DNAとしては、例えば前記 (A)の DNA若しくは当該 DNAに相補的な DNA又はこれらの DNAとストリンジヱントな条 件下でハイブリダィズする DNAが例示される。
[0064] ここで「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非 特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう(Sambrook, J. et al., Molecular Clon ing A Laboratory Manual, second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (19 89)等参照)。 「ストリンジヱントな条件」として具体的には、 50%ホノレムアミド、 4 X SS
C、 50mMHEPES (pH7. 0)、 10 X Denhardt's solution, 100 /i g/mlサケ精子 DNA を含む溶液中、 42°Cでハイブリダィズさせ、次いで室温で 2 X SSC、 0. 1%SDS溶 液、 50°C下で 0. 1 X SSC、 0. 1 %SDS溶液で洗浄する条件が挙げられる。
[0065] また、本発明核酸としては、マーカ一^ ^プチド等をコードする DNAがさらに連結さ れているものが好ましレ、。マーカーペプチドとしては、例えばプロテイン A、インスリン シグナル配歹 1J、 His_tag、 FLAG, CBP (カルモジュリン結合タンパク質)、 GST (グ ルタチオン S—トランスフェラーゼ)などが挙げられる。また本発明核酸には上記 (A )又は(B)の DNAを転写することにより得られる RNAも含まれる。
[0066] 本発明核酸は、例えば後述する「本発明ウィルス」の製造に使用することができ、ひ レ、ては本発明細胞等の生産に利用することができる。
[0067] < 2 >本発明ウィルス
本発明ウィルスは、本発明核酸が保持された、ウィルスである。
[0068] 本発明核酸についての説明は、前記の通りである。
[0069] 本発明ウィルスにおいて「核酸が保持された」とは、その核酸が保持されている限り において、他の塩基や核酸が更に保持されていることを妨げるものではない。したが つて、例えばその核酸のみならず、更にマーカーペプチド等をコードする核酸等が保 持されていてもよい。
[0070] 例えば、「上記本発明核酸における (A)又は(B)の DNA」と「マーカーペプチド等 をコードする DNA」とが連結された DNAが保持されたベクターも、本発明ウィルスに 包含される。保持される核酸をこのようにデザインすると、マーカーペプチド等との融 合タンパク質として発現させることができ、その発現されたタンパク質の精製、検出、 分析等を容易にすることができるというメリットがある。マーカ一^ ^プチドとしては、例 えばプロテイン A、インスリンシグナル配歹 lj、 His -tag, FLAG, CBP (カルモジユリ ン結合タンパク質)、 GST (グノレタチオン S—トランスフェラーゼ)などが挙げられる。 例えばプロテイン Aとの融合タンパク質は、 IgGを結合させた固相を用いたァフィニテ ィークロマトグラフィーによって簡便に精製することができる。同様に、 Hisタグとの融 合タンパク質については磁性ニッケルを結合させた固相を用いることができ、 FLAG との融合タンパク質については抗 FLAG抗体を結合させた固相を用いることができる
。またインスリンシグナルとの融合タンパク質は、細胞外 (培地等)に分泌されることか ら、細胞破砕等の抽出操作が不要となる。
[0071] 本発明ウィルスの製造方法も特に限定されない。本発明ウィルスを製造する方法の 一例は、以下の通りである。より具体的な方法については、実施例を参照されたい。
[0072] まず、カブトガニ由来の Pro— CEをコードする核酸を用意する。当該核酸として、 前記 (A)の DNAを用いる場合には、まず「配列番号 4に示されるアミノ酸配列を含む タンパク質」をコードする DNAを用意する。また、前記(B)の DNAを用いる場合には 、まず「配列番号 4に示されるアミノ酸配列における 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換、揷入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、カブトガニ由来の Pro_CEの活 性を有するタンパク質」をコードする DNAを用意する。この DNAは、それぞれ所定 のタンパク質をコードするものである限りにおいて特に限定されなレ、。これらの DNA としては、遺伝暗号の縮重によって種々の異なった塩基配列を有するものが存在す る力 いずれの塩基配列を有する DNAをも用いることができる。
[0073] このような核酸をウィルスに導入することにより、本発明ウィルスを製造することがで きる。
[0074] このような核酸が導入されるウィルスは、遺伝子のトランスフエクシヨンに用いること ができるウィルスである限りにおいて特に限定されない。なかでもバキュロウィルスが 好ましレ、。その中でも、 NPVが好ましレ、。 NPVは、 NPVとして分類されるウィルスで ある限りにおいて特に限定されず、例えば AcNPVや、カイコガ NPV (Bombyx mori NPV、 BmNPV)等を用いることができる。なかでも、 AcNPVであることが好ましい。
[0075] ウィルスへの核酸の導入は、トランスファーベクターを用いた相同的組換えにより行 うことができる。トランスファーベクターの種類も特に限定されず、例えば pPSC8 (プロ ティンサイエンス社)、 pFastBac (インビトロジヱン社)、 pVL1393 (ファーミンジヱン社) 等が例示されるが、なかでも pPSC8が好ましレ、。これらのトランスファーベクターは、巿 販のものを用いることもできる。
[0076] トランスファーベクターを用いた相同的組換えの方法も特に限定されない。その具 体的な一例は、実施例を参照されたい。
[0077] 前記 (A)又は (B)の DNAが保持されたウィルスが製造されたか否かは、例えば、
製造されたウィルスの塩基配列を解析して、カブトガニ由来の Pro— CEをコードする DNAが保持されているか否カゝ、製造されたウィルスから発現されたタンパク質が、力 ブトガニ由来の Pro— CEのアミノ酸配列を有してレ、るか否か、製造されたウィルスか ら発現されたタンパク質が Pro— CEの活性を有しているか否力、、等を調べることによ つて確認することができる。
[0078] 本発明ウィルスは、例えば後述する「本発明細胞」の製造に使用することができ、ひ レ、ては本発明方法等に利用することができる。
[0079] < 3 >本発明細胞
本発明細胞は、本発明ウィルスを保持する細胞である。
[0080] 「本発明ウィルス」についての説明は、前記の通りである。
[0081] ここで用いる「細胞」は、本発明ウィルスが感染しうる細胞であって、かつ、本発明ゥ ィルスが保持してレ、るカブトガニ由来の Pro - CEが発現することができるものであれ ば良い。その一例として昆虫に由来する細胞を挙げることができる。また昆虫に由来 する細胞として、 Sf9細胞を例示することができる。
[0082] 本発明ウィルスを細胞に保持させる方法も特に限定されないが、例えばウィルスと して NPVを採用した場合には、単に本発明ウィルスと細胞とを接触させるだけで、本 発明ウィルスを当該細胞に感染させることができ、本発明ウィルスを当該細胞に保持 させること力 Sできる。その具体的な方法の一例は、後述の実施例を参照されたい。
[0083] 本発明細胞は、カブトガニ由来の Pro— CEを生産する能力を有することから、これ らの性質を指標にして、本発明細胞を選択することができる。
[0084] 本発明細胞は、例えば後述する本発明生産方法等に利用することができる。
[0085] < 4 >本発明生産方法
本発明生産方法は、本発明細胞を生育させ、その生育物からカブトガニ由来の Pr o - CEを採取する工程を少なくとも含む、カブトガニ由来の Pro - CEの生産方法で ある。
[0086] 「本発明細胞」については、前記の通りである。
[0087] 本出願書類におレ、て「生育」とは、形質転換体である細胞の増殖や、形質転換体 である細胞を組み込んだ動物 ·昆虫等の生育を含む概念である。また、ここでいう「生
育物」とは、形質転換体を生育させた後の培地 (培養液の上清)、培養された細胞自 体、細胞を組み込んだ動物 '昆虫等からの分泌物'排出物等を包含する概念である
[0088] 生育の条件 (培地や培養条件等)は、本発明細胞が生育し、カブトガニ由来の Pro 一 CEが生産される限りにおいて特に限定されず、用いるベクターや細胞等に応じて 適宜選択することができる。例えば、培養の温度としては 20〜40°C程度を例示する こと力 Sできる。
[0089] 本発明細胞の生育時間も、用いる本発明細胞の量、所望する Pro— CEの生産量、 その他の生育条件等に応じて適宜調節することができる。
[0090] 生育物からカブトガニ由来の Pro— CEを採取する方法は、生育物の種類に応じて 、一般的な方法のな力から当業者が適宜選択し採用することができる。
[0091] 例えば、 Pro— CEが、培地 (培養液の上清)中に分泌される可溶性の形態で産生 される場合には、培地を採取し、これをそのまま用いてもよい。また Pro— CEが細胞 質中に分泌される可溶性の形態、又は不溶性 (膜結合性)の形態で産生される場合 には、窒素キヤビテーシヨン装置を用いる方法、ホモジナイズ、ガラスビーズミル法、 音波処理、浸透ショック法、凍結融解法等の細胞破砕による抽出、界面活性剤抽出 、又はこれらの組み合わせ等の処理操作によってこれらの Pro— CEを抽出すること ができ、その抽出物をそのまま Pro— CEとして用いてもよい。
[0092] 本発明生産方法は、「本発明細胞を生育させ、その生育物からカブトガニ由来の Pr o— CEを採取する工程」を少なくとも含む限りにおいて、他の工程をさらに含んでい てもよレ、。例えば、採取された Pro— CEをさらに精製する工程を含んでいてもよい。 精製は、不完全な精製 (部分精製)であっても、完全な精製であってもよぐ Pro-C Eの使用目的等に応じて適宜選択することができる。
[0093] 精製方法として具体的には、例えば硫酸アンモニゥム (硫安)や硫酸ナトリウム等に よる塩析、遠心分離、透析、限外濾過法、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマト グラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過法、ゲル浸透 クロマトグラフィー、ァフィ二ティークロマトグラフィー、電気泳動法等や、これらの組み 合わせ等の処理操作が挙げられる。
[0094] 生産されたタンパク質力 Pro— CEから構成されているか否力、カブトガニ由来の P ro— CEの活性を保持しているか否か等は、採取されたタンパク質のアミノ酸配列、 分子量、電気泳動結果、 Pro— CEに特異的に反応する抗体を用いたウェスタンプロ ッティング等を分析することによって確認することができる。
[0095] 本発明方法によれば、 Pro— CEの活性を保持しているタンパク質を極めて効率的 に生産することができる。
[0096] < 5 >本発明酵素
本発明酵素は、本発明生産方法により製造される Pro— CEである。
[0097] 「本発明生産方法」については、前記の通りである。
[0098] 本発明酵素は、後述する本発明方法 1等に用いることができる。
[0099] < 6 >本発明方法1
本発明方法 1は、 Etを検出するための被験試料において、本発明酵素及び「Etと 接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ 前駆体」を共存させ、本発明酵素から CEへの変換に伴う酵素活性を指標として、当 該試料中の Etの検出を行うことを特徴とする、 Etの鋭敏な検出方法である。
[0100] 「本発明酵素」については、前記の通りである。
[0101] ここで用いる「共存」とは、共存するものが相互に接触する状態にある限りにおいて 特に限定されない。
[0102] 例えば、これら本発明酵素、 Etを検出するための被験試料及び「Etと接触すること により Pro— CEを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」が相 互に接触する状態にある限りにおいて特に限定されず、溶液中で共存させてもよぐ Pro - CE若しくは、 Etと接触することにより Pro - CEを CEに変換させる活性を発現 するセリンプロテアーゼ前駆体を適当な固相に固着させ、これに前記「Etと接触する ことにより Pro_CEを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」あ るレヽは Pro - CEを接角虫させてもょレヽ。
[0103] また本発明方法 1において、「Etと接触することにより Pro_CEを CEに変換させる 活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」は、「活性型 C因子と接触することにより P ro_CEを CEに変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」、及び、「力
ブトガニ由来の c因子及び/又は組換え c因子」であることが好ましい。
[0104] さらに、当該「活性型 C因子と接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性 を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」は、好ましくは、カブトガニ由来の B因子及び /又は組換え B因子である。
[0105] 本発明方法 1で用いられる「C因子」及び「B因子」はその機能を保持している限りに おいて特に限定されない。例えば、 4種のカブトガ二、タキプレウス'トリデンタツス、リ ムルス ·ポリフエムス、タキプレウス ·ギガス及びタキプレウス ·ロッンディ力ウダのレ、ず れかに由来するライセートをクロマトグラフィー等で精製することにより得た天然の C 因子画分、 B因子画分を用いることもでき、組換え C因子、 B因子を用いることもでき る。天然の C因子、 B因子はデキストラン硫酸、スルホプロピル基等を結合した担体又 は特異的な吸着担体等を用いてライセートを処理し、 C因子、 B因子の画分を得るこ とができる。また、組換え体に関しては、例えばタキプレウス'トリデンタツス及びタキ プレウス'ロッンディ力ウダ由来の天然 C因子に対するアミノ酸配列が公知であるので 、これらの配列に基づいて適宜調製することができる。その方法は特に限定されるも のではないが、例えば次の方法で得ることができる。 C末端に His— Tagを付カ卩した C 因子の目的塩基配列を合成し、トランスファーベクター(例えば pPSC8、タカラバイオ 社製)に導入し、得られた発現ベクター(Factor C/pPSC8) DNAとバキュ口ウィル ス (AcNPV) DNAを Sf9細胞にコトランスフエクシヨンし、培養上清から得られたウイ ノレス液を純化、増幅することによって調製できる。また、 B因子についても同様の方法 で取得できる。 C因子及び B因子共に、そのアミノ酸配列とこれをコードする遺伝子は 既に知られており(C因子については市販されており、後述する実施例に当該市販品 が開示されている。 B因子について配列番号 15は遺伝子の塩基配列を示し、配列 番号 16にアミノ酸配列を示した。)、これらの因子の組み換え体は当該配列情報に 基づいて、上記の本発明酵素と実質的に同様の工程にて製造することができる。な お、遺伝暗号の縮重による、公知の C因子の塩基配列と配列番号 15とは異なった塩 基配列を有する塩基配列であって、それに基づき製造されるタンパク質が C因子又 は B因子本来の作用を有する範囲で、本発明において用いることが可能な C因子と B 因子であり得ることは、当業者であれば容易に理解されるところである。
[0106] 再構築系を作動させる条件としては、昆虫細胞を経る (反応の場として提供される) 必要はなぐ細胞フリーの系で、少なくともカスケード反応のトリガリング、セリンプロテ ァーゼ前駆体の逐次活性化及び CEの反応を円滑に進めるため、好ましくは一定の 加温がなされることと、アルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリ ゥム、マグネシウム等)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)に代表される 金属イオンが共存することなどが挙げられる。
[0107] 本発明方法 1においては、カスケード反応タンパク質として、本発明酵素、組換え C 因子及び組換え B因子のみを共存させることがより好ましい。
[0108] 本明細書で用いる「カスケード反応」とは、次の反応の「1.」及び Z又は「2.」のこと をいう;
1.ライセートに Etが加わると、ライセート中に存在する C因子 (Et感受性因子、分 子量 123, 000)が活性化され、生成した活性型 C因子が B因子(分子量 64, 000) の特定箇所を限定水解して活性型 B因子を生成し、活性型 B因子は Pro— CE (分子 量 54, 000)を活性化して CEに変換し、 CEはコアギュロゲン (凝固タンパク、分子量 19, 723)のジスルフイド結合で架橋されたループ内の特定箇所を、すなわち… Arg 18— Thr19…の間及び… Arg46-Gly47…の間を限定水解して H— Thr19〜Arg46- OHで表されるペプチド C (アミノ酸 28残基)を遊離しつつ残余の部分がコアギュリン ゲルに変換される、という一連の反応、
2.ライセートに BGが加わると、ライセート中に存在する G因子(BG感受性因子)が 活性化され、活性型 G因子が Pro— CEを活性化し CEに変換し、コアギュロゲンのジ スルフイド結合で架橋されたループ内の特定箇所を限定水解し、コアギュリンゲルが 生成される、という一連の反応。
[0109] また「カスケード反応タンパク質」とは「カスケード反応」を構成するタンパク質のこと をいう。セリンプロテアーゼ前駆体(C因子、 B因子、 G因子及び Pro— CE)のことをい レ、、具体的には上記カスケード反応の「1.」では C因子、 B因子及び Pro— CEのこと をいい、「2.」では G因子及び Pro_CEのことをいう。
[0110] また後述する実施例からもわかるように、本発明方法 1に用いられる遺伝子工学的 に得られた各凝固因子はそれぞれ由来が異なっていてもよい。例えば本発明酵素、
タキプレウス ·ロッンディガウダ由来の C因子及びリムノレス ·ポリフエムス由来の B因子 を共存させるステップを含むことにより Etを検出することもできる。
[0111] 本発明方法 1は、後述する本発明キット 1を用いることにより、簡便に行うことができ る。
[0112] < 7 >本発明キット 1
また本発明キット 1は、本発明酵素及び「Etと接触することにより Pro_CEを CEに 変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」を少なくとも構成として含むこ とを特徴とする、本発明方法 1を行うための Etの検出キットである。
[0113] 「本発明酵素」については、前記した通りである。
[0114] さらに、当該「活性型 C因子と接触することにより Pro_CEを CEに変換させる活性 を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」は、好ましくは、カブトガニ由来の B因子及び
/又は組換え B因子である。
[0115] また本発明キット 1は、カスケード反応タンパク質として本発明酵素、組換え C因子 及び組換え B因子のみで構成されていることが好ましい。
[0116] また、本発明キット 1は、本発明方法 1に基づいて当業者が適宜利用することができ る。
[0117] 本発明キット 1で用いられる、「C因子」、「B因子」及び「カスケード反応」等の用語の 意味等は本発明方法 1で用いられるものと同じある。また、前記したように、本発明方 法 1を行うために用レ、る試薬等、例えば、上記の合成発色基質 (X— A— Y)、緩衝液 、希釈液、塩類、カブトガ二のライセート等を、本発明キット 1により行われる本発明方 法 1の態様に応じて選択して、キットの構成に含めることができる。
[0118] < 8 >本発明方法 2
また本発明方法 2は、 BGを検出するための被験試料において、本発明酵素、及び 「BGと接触することによりプロクロッティングェンザィムをクロッテイングェンザィムに変 換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」を共存させ、本発明酵素からク ロッテイングェンザィムへの変換に伴う酵素活性を指標として、当該試料中の BGの 検出を行うことを特徴とする、 BGの検出方法である。
[0119] 「本発明酵素」については、前記の通りである。
[0120] 本発明方法 2は、「BGと接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性を発 現するセリンプロテアーゼ前駆体」 1S カブトガニ由来の G因子及び/又は組換え G 因子であることが好ましい。
[0121] 本発明方法 2で用いることができる「G因子」とはその機能を保持している限りにお いて特に限定されなレ、。例えば、 4種のカブトガ二のいずれかに由来するライセートを クロマトグラフィー等で精製することにより得た天然の G因子画分を用いることもでき、 組換え G因子を用いることもできる。また組換え体の G因子に関しては、 G因子がひ サブユニットと βサブユニットから構成されているタンパク質であり、そのそれぞれに 関して下記の手順で生産できる。
[0122] まず、カブトガニ由来の G因子のひサブユニットをコードする DNAを用意する。当 該 DNAとしては例えば GenBank accession No.16622として登録されている DNAが 例示される(配列番号 17 :アミノ酸配列は、配列番号 18)。この DNAを BamHI/Hind I IIで処理し、 目的の遺伝子配列が含まれる DNA断片を回収する。このサンプノレを平 滑末端化処理後、 Nru Iで処理した pPSC8 (トランスファーベクター)と混合しライゲー シヨン反応を行う。その後ライゲーシヨン産物で E.coli JM109を形質転換し、形質転換 体を得る。 目的サイズの断片が確認されたプラスミドを精製する。選択された発現べ クタ一(G因子一 a /pPSC8) DNAとバキユウロウィルス(AcNPV) DNAを Sf9細胞 にコトランスフエタトする。その後、この培養液の上清より得られたウィルス液を純化し 増幅する。このウィルス液を expres SF+細胞に感染させ、培養液を遠心分離すること により上清画分と沈殿画分が得られる。これらの画分より G因子の αサブユニットを得 ること力 Sできる。また、 サブユニットに関しては、 αサブユニットを得る方法における 、用いる DNAをカブトガニ由来の G因子の /3ユニットをコードする DNAに置き換える ことにより得ることができる。また、 j3ユニットをコードする DNAとしては、例えば GenB ank accession No.16623 (配列番号 19)として登録されている塩基配列やそのァミノ 酸配列(配列番号 20)も使用することができる。なお、遺伝暗号の縮重による、配列 番号 16と 17とは異なった塩基配列を有する塩基配列であって、それに基づき製造さ れるタンパク質が G因子本来の作用を有する範囲で、本発明において用いることが 可能な G因子であり得ることは、当業者であれば容易に理解されるところである。
[0123] 再構築系を作動させる条件としては、昆虫細胞を経る(ある種の細胞が反応の場と して提供される)必要はなぐ細胞フリーの系で、少なくともカスケード反応のトリガリン グ、セリンプロテアーゼ前駆体の逐次活性化及び CEの反応を円滑に進めるため、好 ましくは、一定の加温がなされること、アルカリ土類、アルカリ金属などの金属イオンが 共存すること等が挙げられる。
[0124] また本発明方法 2は、カスケード反応タンパク質として本発明酵素及び組換え G因 子のみを共存させることがより好ましい。また本発明方法 1と同様に、本発明酵素と組 換え G因子の由来が同一ものを用いてもよぐ異なる由来の酵素を組み合わせてもよ レ、。
[0125] 本発明方法 2で用いられる「共存」、「カスケード反応」、「カスケード反応タンパク質 」等の用語の意味は本発明方法 1で用いられるものと同じである。
[0126] 本発明方法 2は、後述の本発明キット 2に利用することができる。
[0127] < 9 >本発明キット 2
また本発明キット 2は、本発明酵素及び「BGと接触することにより Pro— CEを CEに 変換させる活性を発現するセリンプロテアーゼ前駆体」を少なくとも構成として含むこ とを特徴とする、本発明方法 2を行うための BGの検出キットである。
[0128] 「本発明酵素」については、前記の通りである。
[0129] 本発明キット 2では、「BGと接触することにより Pro— CEを CEに変換させる活性を 発現するセリンプロテアーゼ前駆体」 1S カブトガニ由来の G因子及び/又は組換え G因子であることが好ましい。
[0130] 当該 G因子は組換え型であることがさらに好適であり、本発明キット 2の最も好適な 態様の一つとして、その構成として含まれる G因子の全てが組換え型である態様を例 示すること力 Sできる。すなわち、本発明キット 2に含まれるカスケード反応タンパク質と して、本発明酵素、組換え G因子のみであることがより好ましい。
[0131] また、本発明キット 2は、本発明方法 2に基づいて当業者が適宜使用することができ る。
[0132] 本発明キット 2で用いられる「G因子」は本発明方法 2と同じ意味で用いられる。また 「カスケード反応」、「カスケード反応タンパク質」は本発明方法 1で用いられるものと
同じ意味で用いる。また、前記したように、本発明方法 2を行うために用レ、る試薬等、 例えば、上記の合成発色基質 (X— A— Y)、緩衝液、希釈液、塩類、カブトガ二のラ イセート等を、本発明キット 2により行われる本発明方法 2の態様に応じて選択して、 キットの構成に含めることができる。
実施例
[0133] 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[0134] 「実施例 1 Ί昆虫細胞を用レ、た Pro— CEの発現
配列番号 3で示される cDNA (配列番号 3の 1〜 1125で示される塩基配列の C末 端に His— Tag配歹 ljを付加したもの)(九州大学大学院医学研究院分子細胞生化学 分野 (現在、東北大学大学院生命科学研究科)の牟田達史博士より恵与された。こ の cDNAは、前記の非特許文献 2に記載の方法で調製したものである。)を、トランス ファーベクター(PPSC8)に導入し、所定の塩基配列を有するクローンを選択した。 選択された発現ベクター (PC/pPSC8) DNAとバキユウロウィルス(AcNPV) DNA を Sf9細胞にコトランスフエクシヨンした。この培養液上清から得られたウィルス液を純 化し、増幅した。バキユウロウィルスに感染した細胞からウィルス DNAを抽出しシーク エンス解析した。得られたウィルス液を昆虫細胞 expresSF+ (登録商標;プロテイン 'サイエンス(Protein Science)社製)に感染させ、ウェスタンブロッテイングによって発 現物の解析を行った。以下、これらのステップの詳細を説明する。
[0135] 1.発現ベクターの構築
0. 2mLのサンプノレチューブに PC/pUCl lS Ong/ zz g z L 2. 5mM dNTP 12 μ KOD buffer #15 μ L、 25mM塩ィ匕マグネシウム溶 f夜 2 μ L、 PC_F、 PC— R (4pmol/ μ L)をそれぞれ 2. 5 μ L、 KOD DNA polymerase (東洋紡社製) 1 μ L及 び滅菌した純水を 24 z Lを加え攪拌し、 PCRを行った。 目的の遺伝子が含まれる事 を確認した後、 TEバッファーで全量を 16 z Lとした。得られた PCR産物に lOOmM ATP l /i L、 10 X Buffer 1 μ L及び T4Polynucleotide Kinase (タカラバイオ株式会社 製)を加え 37°Cで 30分間インキュベートした。 PCR産物を精製後、 S腿 Iで処理した PPSC12と混合し、ライゲーシヨン反応を行った。ライゲーシヨン産物で E.coli JM109 を形質転換し、形質転換体(PC/pPSC12)を得た。 PC/pPSC12を Xba I/Bgl IIで消
化し、 目的遺伝子が含まれる断片を回収した。得られた断片を同酵素で処理した pPS
C8と混合し、ライゲーシヨン反応を行った。ライゲーシヨン産物で E.coli JM109を形 質転換し、形質転換体を得た。 目的サイズの断片が確認されたプラスミドを精製し、 シークェンスを確認した。シークェンスの解析には、以下のプライマー、及び ABI Pris m Big Dye Terminatorし ycle Sequencing Kit Ver.3(Apphed Biosystems个土)を使用し、 角军析には自動シークェンサ一 ABI Prism 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems 社)を使用した。プライマー配列を配列表の配列番号 5〜: 10に示す。
配列番号 5 : PC— F
配列番号 6 : PC— R
配列番号 7 : PSC2
配列番号 8: PSC4
配列番号 9 : PC 453/472-F
配列番号 10 : PC 683/664— R
[0136] 目的遺伝子の挿入が確認されたクローンを、 50 μ g/mLのアンピシリンを含む 100m Lの LB培地に植菌し、 30°Cでー晚培養した。増殖した菌体を回収し、 Plasmid Midi K it (QIAGEN社製)のマニュアルに従ってプラスミドを精製した。
[0137] 2.コトランスフエクシヨン
25 cm2フラスコに播いた 1 · 0 X 106個の Sf9細胞に、 Pro— CEをコードする cDN Aを保持する発現ベクター 2· 3 μ g、 Linear AcNPV DNA 85ng及び LIPOFECTIN Re agent ( (インビトロジェン) Invitrogen社製) 5 μ Lを含む無血清 Sf— 900ΙΙ培地((イン ビトロジェン) Invitrogen社製) 200 μ Lを力 Qえた。 28°Cで 6時間静置後、培養液量が 5 mLとなるように無血清 Sf— 900II培地をカ卩えた。さらに 28°Cで 5日間培養後、培養上 清を回収し、コトランスフエクシヨン溶液とした。
[0138] 3.組換えウィルスの純化
組換えウィルスの純化は、プラークアツセィ法で行った。具体的な方法は以下の通 りである。
[0139] 2. 0 X 106個の Sf9細胞を直径 60mmのシャーレに播き、 28。Cで 1時間静置して 細胞を底面に接着させた。前記のコトランスフヱクシヨン溶液を無血清 Sf_ 900II培
地で 104、 105、 106及び 107倍に希釈し、これらの溶液をそれぞれ lmLずつ細胞に 添加し、室温で 1時間穏やかに震盪した。その後、シャーレ上清(ウィルス液)を取り 除き、 0. 5% SeaKemGTG agarose (BMA社製) を含有する無血清 Sf— 900II培 地 4mLを流し込んで、 28°Cで 8日間静置培養した。培地ごとに、多角体(Polyhedra )が存在しない感染昆虫細胞のプラーク 6個を採取して、各々を lmLの無血清 Sf _ 9 0011培地に懸濁させ、ウィルス原液とした。
[0140] 4.組換えウィルスの増殖
次いで、組換えウィルスの増殖(組換えウィルス液の作製)を行った。具体的な方法 は以下の通りである。
[0141] 25cm2フラスコに播いた 2. 0 X 106個の Sf9細胞に上記ウィルス原液を 0. 5mLず つ添加して、 28°Cで 1時間静置培養した。培養液量が 5mLとなるように無血清 Sf _ 9 0011培地を加え、 3日間静置培養し、第 1代ウィルス液とした。
[0142] 75 cm2フラスコに播いた 6· 0 X 106個の Sf 9細胞に、第 1代ウィルス液を全量加え 、 28°Cで 1時間静置培養した。その後、無血清 Sf— 900II培地を 10mL加えてさらに 3日間培養した。培養後、培養上清を回収し、 3, 000 X g、 4°Cで 15分間遠心し、上 清と沈殿に分画した。この培養上清を回収し、第 2代ウィルス液とした。
[0143] 5.組換えウィルス液の作製
対数増殖期にある培養昆虫細胞 expresSF +を、 1. 5 X 106個/ mLとなるように無 血清 Sf— 900II培地で希釈し、 125 mL三角フラスコに 50mL用意した。これに上記 第 2代ウィルス液を 0. 5mL加え、 130i"pm、 28°Cで 3日間震盪培養した。培養後、培 養液を 10, 000 X g、 4°Cで 30分間遠心し、上清と沈殿に分画した。この培養上清を 回収し、第 3代ウィルス液とした。
[0144] 6.遺伝子揷入確認
その後、細胞への DNAの揷入を確認した。具体的な方法は以下の通りである。
[0145] 上記のように回収した第 3代ウィルス液を 1. 5mL マイクロチューブに 0. 7mL入れ 、等量の 20%ポリエチレングリコール、 1M塩ィ匕ナトリウム溶液を加え、よく混合し、 1 時間静置した。その後、 10, 000 X gで 10分間遠心分離し、上清と沈殿に分画した。 この沈殿を回収し、 QIAamp DNA Miki Kit (QIAGEN社製)のマニュアルに従レ、 Buffer
ALT 180 /i Lに溶解し、ウィルス DNAを抽出した。抽出されたウィルス DNAを铸型 とし、以下のプライマーを用いて、以下のように PCRを行った。
配列番号 1 1 : PSC N3F
配列番号 12 : PSC N3R
[0146] 0. 2mLのサンプルチューブに上記のウィルス DNA 1 μ L、 10 X PCR buffer for KO
D -Plus- 5 μ L、 2mM dNTPs 5 μ L、 25mM硫酸ィ匕マグネシウム溶 f夜 2 μ L、 PSC N3F及び PSC N3Rプライマー(4pmol/mL)にそれぞれ 3. 75 μ L、 KOD -Plus-
DNA Polymerase (東洋紡社製) 1 μ L及び滅菌した純水 19. 5 μ Lを添加してよく攪 拌した。これを用いて、「94°Cで 1分間、 58°Cで 1分間、 72°Cで 4分間」のサイクルを
30サイクル繰り返して PCRを行った。
[0147] 10 μ Lの PCR産物をァガロースゲルで電気泳動し、増幅断片の長さを確認した。
目的の長さの断片が得られた PCR産物を精製し、 N末端側と C末端側のシークェン スを確認した。シークェンス解析は、前記「1.」と同様の試薬、機器を使用し、プライマ 一は以下のものを用いた。プライマーの配列を配列表の配列番号 13及び 14に示す 配列番号 13 : PSCNF2
配列番号 14 : PSC3
[0148] 7.タイター測定
2. 0 X 106個の Sf9細胞を直径 60mmのシャーレに播き、 28°Cで 1時間静置して細 胞を底面に定着させた後、培養液を除去した。第 3代ウィルス液を無血清 Sf— 900II 培地で 105、 106、 107及び 108倍に希釈し、これらの溶液をそれぞれ lmLずつシヤー レに添加し、室温で 1時間穏やかに震盪した。その後、シャーレの上清(ウィルス液) を取り除き、 0. 5% SeaKemGTG agarose (BMA社製)を含有する無血清 Sf _ 900II 培地 4mLを流し込んで、 28°Cで 7日間静置培養した。培地ごとに、観察されたブラー クの個数を数え、タイターを求めた。
[0149] 8.発現試験
昆虫細胞 expresSF +を、 1. 5 X 106個/ mLとなるように無血清 Sf— 900II培地で 希釈し、 250mL三角フラスコ 9本に l OOmLずつ用意した。これらに、第 3代ウィルス
液を各々 Μ〇Ι = 0· 2、 1、 5となるように加え(各 3本ずつ) 130i"pm、 28°Cでそれぞ れ 48、 72、 96時間震盪培養した。培養後、培養液を 3, 000 X g、 4°Cで 20分間遠 心し、沈殿と上清に分画した。
[0150] 9.発現物の確認
前記「8.」で回収したサンプルについて、定法に従レ、 SDS— PAGEを行った。セミ ドライブロッテイング法によりブロッテイング膜にタンパク質を転写し以下の条件でゥェ スタンプ口ティングを行った。なお、ウィルス中に組み込まれた「Pro_CEをコードす る DNA」は His—Tagが結合した形で発現されるようにデザインされてレ、る。
サンプルの処理:上清については、 Laemmli Sample Buffer (BIO-RAD社製)を加え、 99。Cで 3分 熱処理した。沈殿 (こつレヽて fま、 200 し木目当の沈殿こ400 しの 83 を加え懸濁後、 Laemmli Sample Bufferを加え、 99°Cで 3分間熱処理した。
サンプルアプライ量: 20 μ ΐ7レーンとした。
SDS- PAGEゲル濃度: 10〜 20 %ゲル(BIO - RAD社製)を用レ、た。
SDS— PAGEゲノレ通電 150V、 CVとした。
ブロッテイング膜: PVDFを用いた。
ブロッテイング通電:15V、 CV、 30分間とした。
一次抗体: Penta'His Antibody (QIAGEN社製)を用いた。
二次抗体: Goat Anti-Mouse IgG(H+L)-HRP Conjugate(BIO_RAD社製)を用いた。 検出: Immobiion Western Chemiluminescent HRP ubstrate (Milipore社 ) 用レヽ た。
[0151] 10.結果
組換えウィルスの目的配列のシークェンス解析結果を図 1に示す。上段が解析結 果を、下段に Pro— CEの配列を示した。これからわかるように組換えウィルス中に Pr 〇_〇£の^^末端、 C末端の配列が一致した。このこと力、ら、組換えウィルス中に Pro— CEをコードする DNAの塩基配列の存在が確認された。
[0152] また、タイター測定の結果は、 0.7 X 108 pi i/mLであった。
[0153] 前記「9.」の結果、 目的の位置 (約 40kDa付近)に、抗 His—Tag抗体と反応するバ ンドが確認された(図 2)。図 2の Mは分子量マーカー、 48, 72, 96はそれぞれ 48時
間感染区、 72時間感染区、 96時間感染区を示し、 Sはウィルス非感染区、 Aは野生 型ウィルス感染区をそれぞれ示す。このこと力ら、 Pro— CEが発現されたことが確認 された。
[0154] 「実施例 2Ί組換え Pro - CEの活性確認
昆虫細胞 expresSF +を、 1.5 X 106個/ mLとなるように無血清 Sf— 900II培地 で希釈し、 250mL三角フラスコ 9本に lOOmLずつ用意した。これらに、第 3代ウィルス 液を各々 MOI=0.2、 1、 5となるように加え(各 3本ずつ) 130卬 m、 28°Cでそれぞれ 48 、 72、 96時間震盪培養した。培養後、培養液を 3, 000 Xg、 4°Cで 20分間遠心し、 沈殿と上清に分画した。上清は凍結させて保存した。
[0155] サンプノレ 1:MOI = 0.2、 48時間
サンプノレ 2:MOI = 0.2、 72時間
サンプノレ 3:MOI = 0.2、 96時間
サンプル 4:ΜΟΙ=1、 48時間
サンプル 5:ΜΟΙ=1、 72時間
サンプル 6:ΜΟΙ=1、 96時間
サンプル 7:MOI = 5、 48時間
サンプル 8:MOI = 5、 72時間
サンプル 9:MOI = 5、 96時間
サンプル 10:ウィルス非感染細胞
サンプル 11:野生型ウィルス感染細胞
[0156] (試薬)
DS— 3GII画分:カブトガニ血球抽出液由来 G因子 [デキストラン硫酸 S印 harose CL -6B (以下 DS-S印 harose)による分画精製品]
DS_10AII画分:カブトガニ血球抽出液由来 Pro_CE(DS_S印 harose精製品)
BG:CSBG(1495ng/vial)を蒸留水 1.495 mLで溶解後、 10倍段階希釈した。
[0157] 1.上清画分と G因子を用レ、た BG濃度 1〜 1 OOng/mLにおける反応性
まず上記 9サンプルの上清について、発現されたタンパク質が Pro— CEの活性を 保持してレ、るか否力 ^調べた。
[0158] 培養後の上清画分を、 150mM NaCl含有 50mL Tris— HC1緩衝液(pH7. 5)で それぞれ 10倍希釈した。この希釈物(それぞれ 25 β L)に DS - 3GII画分(25 μ L)、 デキストラン (終濃度 2· 4%)、 Tris— HC1緩衝液 (ρΗ8· 0) (終濃度 80mM)、 MgS O (終濃度 64mM)、 CaCl (終濃度 0. 4mM)、 Na SO (終濃度 8mM)、注射用蒸留
4 2 2 4
水(15 z L)、 Boc- Leu- Gly-Arg-pNA基質(前記の特許文献 1参照)(終濃度 0. 24m M)及び BG溶 f夜(0、 1、 10、 lOOng/mL)を 添カロし、総、容量を 125 μ Lとして、 Wellreader SK603内に移し、 37°Cで 2時間反応させた後、測定波長 405nm (対照波 長 492nm)における吸光度を自動測定した。また陽性コントロールとして、 DS— 10A Π画分を用いた。実験は二重測定で行い、吸光度の平均値を算出した。その結果を 図 3、 4及び表 1に示す。
[0159] [表 1]
[0160] 表 1に示されるように、サンプル:!〜 9のウィルス感染細胞の培養上清中には当該酵 素がほぼ同一量存在しており、全ての画分において Pro— CEの発現が確認された。 特にサンプル 2は強レ、活性を示してレヽた。
[0161] また、表 2及び図 5は上記サンプル 2の組換え Pro_CEと DS_10AII画分の活性 を比較したものである。
[0162] [表 2]
Ertd oint assa
[0163] これらの結果より、当該組換え Pro— CEはカブトガニ血球抽出液由来 Pro— CEと ほぼ同等の活性を有することを確認した。
[0164] 2.上清画分と B及び C因子を用いた Et濃度:!〜 lOOng/mLにおける反応性
上記「 1.」で得られた希釈物に当該組換え Pro— CE及び Pro— CEの溶出画分で ある DSIO—ΑΠ画分(陽性コントロール)と、さらに B及び C因子の代わりに B及び C 因子の溶出画分である DS— 12BCI画分(25 μ L)と Etを添カロした。加えた E 農度は それぞれ 0 1 10 lOOng/mLとした。その他の反応混合物に関しては同様の濃度 、量を加え、総容量を 125 z Lとして Wellreader SK603内に移し、 37°Cで 30分間反 応させた後、測定波長 405匪 (対照波長 492匪)における吸光度を自動測定した。 実験は二重測定で行い、吸光度の平均値を算出した。その結果を図 6 7及び表 3に 示す。
[0165] [表 3]
[0166] 表 3に示されるように、全てのサンプルのウィルス感染細胞の培養上清中に当該 Pr o— CEが存在していることが確認できた。特にサンプル 2は強い活性を示していた。
[0167] 「実施例 3Ί組換え Pro— CE及び組換え G因子による完全再構成系の活性発現の 確
(試薬)
( 1 )組換え G因子( aサブユニット: βサブユニット = 2: 1の培養上清)
(2)組換え Pro _ CE (実施例 2のサンプル 2の培養上清)
(3) BG : CSBG ( 1495 ng/vial)を蒸留水 1.495mLで溶解後、 10倍段階希釈した。
[0168] 特開 2006— 271384号公報 (特許文献 2)にて開示された方法に準じて製造され た(1)、及び、(2)の培養上清を、 150mM NaCl含有 50mL Tris _ HQ緩衝液(p H7. 5)でそれぞれ 5倍希釈した。なお、ここでは、 G因子のひサブユニットをコードす る DNAとして、配列番号 21に示す配列のものを用いた。希釈した組換え G因子(25 /1し)に組換ぇ1^0—〇£ (25 /1し)、1¾3— ^1〇1緩衝液( ^18. 0) (終濃度 80mM)、 MgSO (終濃度 64mM)、 CaCl (終濃度 0· 4mM)、 Na SO (終濃度 8mM)、注射
4 2 2 4
用蒸留水(15 / L)、デキストラン (終濃度 2· 4%)、 Boc-Leu-Gly-Arg-pNA基質 (終 濃度 0· 24mM)及び BG溶液(0、 1、 10ng/mL)を 25 μ L添カロし、総容量を 125 μしと して、 Wellreader SK603内に移し、常法通り反応させた後、測定波長 405nm (対照波 長 492nm)における吸光度を自動測定した。実験は二重測定で行い、吸光度の平均 値を算出した。その結果を表 4及び図 8に示す。
[0169] [表 4]
[0170] これらの結果から、組換え G因子と組換え Pro— CEを組み合わせることによつても、 ライセート中の各因子 (天然の LAL因子)と同様に BGによる反応が濃度依存的に進 行し、天然の LAL因子と同様に活性発現されていることが確認された。
[0171] 「実施例 4Ί組換え Pro - CE、組換え B因子及び組換え C因子を用いた完全再構 成系による Et反応の確認
B因子の C末端側に His—Tag配列を付加した B因子の発現目的塩基配列を合成 し、トランスファーベクター(pPSC8)に導入した。得られた発現ベクター (FactorB/ pPSC8) DNAとバキュロウィルス(AcNPV) DNAを Sf 9細胞にコトランスフエクシヨン し、この培養液上清から得られたウィルス液を純化、増幅した。ウィルス液からウィルス DNAを抽出し、塩基配列の解析を行レ、、組込み遺伝子の N末端及び C末端、それ ぞれの配列を確認した。得られた組換えウィルスを lOOmL培養液相当の expresSF +細胞へ MOI=0. 02、 0. 1及び 0. 5で感染させ、 48、 72及び 96時間後に培養上 清及び沈殿を回収した。回収した発現物は、抗 His— Tag抗体を用いたウェスタンブ ロッテイングにより発現の確認を行った。さらに、本因子と組換え C因子(PyroGene、 ケンブレックス社製)ならびに組換え ProCEの共存下で、 Et (0、 0. 01 , 0. 1, 1 , 10 , 100 /i g/ml)を添力 Q、 37°C、 1時間反応させ、 pro— CEの合成基質(Boc-Leu-Gly -Arg-pNA)水解能により、 ProCEの活性化(CEの生成)を確認した。
[0172] 実施例 1と同様の実験を行い組換え B因子の活性を確認後、 Et反応性について検 討したところ、 MOI = 0. 1、 96時間の条件のものが最も Et反応性が高かったことから 、 C系のカスケードの再構築にはこの条件のものを用いた(表 5、図 9)。
[0173] [表 5]
[0174] また、異なるカブトガニ由来の各因子を組み合わせた場合にもカスケード反応が進 むかどうかを確認するため、組換え C因子には、市販の PyroGene (ケンブレックス社 製)の構成品である組換え C因子 (タキプレウス'ロッンディガウダ由来)を用いた。
[0175] (試薬)
(1)組換え B因子 (Μ〇Ι = 0· 1、 96時間の培養上清)
(2)組換え Pro— CE (実施例 2のサンプル 2の培養上清)
(3)組替え C因子(商品名 PyroGene、原液で使用)
(4) Et : E. coli 0111 : B4由来 (シグマ社製)を蒸留水にて lmg/mLに調製後、 1 0倍段階希釈した。
[0176] また、実験結果がカスケードを再構成した結果得られたものであることを確認するた めに、以下のような組み合わせのサンプノレを作成し検証した。
[0177] サンプル A:組換え Pro— CE、組換え B因子及び組換え C因子
サンプノレ B:組換え Pro— CE、組換え B因子及び蒸留水
サンプル C:組換え Pro— CE、組換え C因子及び蒸留水
サンプル D :組換え B因子、組換え C因子及び蒸留水
サンプル E:組換え Pro - CE及び蒸留水
サンプル F:組換え B因子及び蒸留水
サンプル G:組換え C因子及び蒸留水
[0178] また、それぞれのサンプルには、上記(1)及び(2)の培養上清を、 150mM NaClを 含有する氷冷した 50mL Tris_HCl緩衝液 (pH7. 5)でそれぞれ 5倍希釈ものを用 レ、、全液量が 60 μ Lとなるように調製した。
[0179] それぞれのサンプルに、 Tris _HCl緩衝液(ρΗ8. 0) (終濃度 80mM)、 MgSO (
4 終濃度 64mM)、 CaCl (終濃度 0. 4mM)、 Na SO (終濃度 8mM)、デキストラン(終
2 2 4
濃度 2. 4%)、注射用蒸留水(15 μ ϋ、 Boc-Leu-Gly-Arg-pNA基質 (終濃度 0. 24 mM)及び Et溶液(0、 lOOng/mL)を 25 β L添カロし、総容量を 125 μ Lとして、 Wellrea der SK603内に移し、 37°Cで 10時間反応させた後、測定波長 405nm (対照波長 492 nm)における吸光度を測定した。実験は二重測定で行い、吸光度の平均値を算出し た。その結果を表 6及び図 10に示す。
[0180] [表 6]
Et濃度 再構成系 反応値
(ng/mL) (A405-492nm.) 平均値
(A)PCE + FB + FC 0.024 0.022 0.023
(B)PCE + FB 0.023 0.022 0.023
(OPCE + FC 0.020 0.020 0.020
0 (D)FB + FC 0.024 0.025 0.025
(E)PCE 0.009 0.006 0.008
(F)FB 0.022 0.022 0.022
(G)FC 0.022 0.023 0.023
(A) PCE + FB + FC 0.652 0.645 0.649
(B) PCE + FB 0.022 0.023 0.023
(C) PCE + FC 0.029 0.030 0.030
100 (D) FB + FC 0.032 0.034 0.033
(E) PCE 0.006 0.006 0.006
(F) FB 0.024 0.026 0.025
(G) FC 0.034 0.035 0.035
[0181] また、高濃度の Et存在下における各因子(サンプル A、 B及び E〜G)の Boc_Leu- Gly-Arg-pNA基質に対する水解特性にっレ、て調べた。組換え Pro— CE及び組換え B因子それぞれ単独又は共存させたサンプルにおいては高濃度の Etによる活性化 が見られなかった。一方組換え C因子単独のもの、並びに組換え C因子、組換え B因 子及び組換え Pro— CEによる完全再構成系において顕著な水解活性が認められた 。ただし、組換え Pro_CE、組換え B因子及び組換え C因子による完全再構成系に おける水解活性は、組換え C因子単独での水解活性と比較して著しい活性化(およ そ 3桁の違レ、)が誘導された(図 11)。
[0182] これらの結果より、組換え C因子、組換え B因子及び組換え Pro— CEを組み合わ せることにより、天然の各因子 (天然の LAL因子)と同様に Etの濃度依存的にカスケ ード反応が進むことが判明した。また、このカスケードを再構築する際にカブトガ二の 種が異なる凝固因子を用いても、天然の LAL因子と同様に活性発現されていること が確認された。
[0183] 「実施例 5Ί完全再構成系の Et反応の活性に対する金属塩の影響についての検討
実施例 4に示した完全再構築系(サンプル A)の Et反応において、金属塩の添カロ
量を変化させた場合の Et反応の活性の変化について検討した。
[0184] (A)硫酸マグネシウムの影響 (塩ィ匕カルシウムと塩化ナトリウムは未添加)
(a) 0〜: lOOmMの濃度範囲における検討
実施例 4の完全再構築系の Et反応において、当該実施例では 64mMである硫酸 マグネシウムの濃度を、 0〜100mMの間で変化させて、反応活性の変化を観察した( 反応時)。その結果を、表 7と図 12に示す。なお、本反応で、 Et溶液は、 Ong/mL (対 照)と lOOng/mLの 2種類の系にて行った。
[0185] [表 7]
表 7と図 12に示す結果により、本発明方法 1の完全再構築系では、本測定系に添 加した硫酸マグネシウムの濃度上昇に伴レ、、活性値が有意に減少した。
(b) 0〜: lOmMの濃度範囲における検討
上記本実施例の(a)の反応系において (Et濃度は、 Ong/mL (対照)と 20ng/mL)、 硫酸マグネシウムの濃度を、反応時に 0〜: lOmMになるように変化させて、再構成後
の活性変化を観察した。その結果を、表 8と図 13に示す。
[0187] [表 8]
表 8と図 13に示す結果により、本発明方法 1の完全再構築系では、硫酸マグネシゥ ムの濃度が lOmM以下であっても濃度依存的に、 Et反応の抑制を認めた。
[0188] これらの結果より、本測定系による Et反応においては、硫酸マグネシウムを添カロし なくても各因子の再構成後の活性は良好に検出、維持されることが判明した。
[0189] (B)塩化カルシウムの影響 (硫酸マグネシウムと塩ィ匕ナトリウムは未添加)
実施例 4の完全再構築系の Et反応において (Etは、無添加(対照)と 20ng/mL)、 塩化カルシウム濃度を、反応時に 0〜5mMになるように添加し、再構成後の活性変 化を観察した。その結果を、表 9と図 14に示す。
(CaCl2濃度 l〜 5mM では軽微白濁) 表 9と図 14の結果により、完全再構成系の Et反応においては、塩化カルシウムを 添加しなくても、マグネシウムと同様に各因子の活性は良好に検出、維持されること が確認された。
[0191] (C)塩化ナトリウムの影響 (硫酸マグネシウムと塩化カルシウムは未添加)
本試験系において、反応緩衝液 (Tris_Cl、 pH = 8. 0)中の CI—が、反応時に 80m
M存在することになる力 本試験系においては、 Na+は共存せず、塩化ナトリウム濃 度としては算入付加されない。
[0192] 実施例 4の完全再構築系の Et反応において (Etは、無添加(対照)と 20ng/mL)、 当該実施 ί列では、 150mM添カロされてレ、た塩ィ匕カノレシゥム濃度を、 0、 0. 078、 0. 1
56、 0. 313、 0. 625, 1. 25、 2. 5 (M)と、 0〜2. 5Mの間で変ィ匕させて、反応ィ直の 変化を観察した (反応時)。その結果を、表 10と図 15に示す。
[0193] [表 10]
Et濃度 NaCl濃度 反応値 (mAb s/min) (ng/mU (mM: 反応時) 平均値
0 0. 21 —— 0. 21
6. 25 0. 22 —— 0. 22
12. 5 0. 21 —— 0. 21
0 25 0. 21 —— 0. 21
50 0. 20 —— 0. 20
100 0. 19 —— 0. 19
200 0. 14 —— 0. 14
0 27. 07 27. 50 27. 29
6. 25 25. 83 25. 79 25. 81
20 25 28. o8D C 28. 65 28. 42
50 27. 27 27. 96 27. 62
O G
100 21. 79 21. 4寸 CO6 21. 63
200 18. 04 表 10と図 15の結果により、塩化ナトリウムの反応時の濃度力 0〜50mMの間では 、再構成後の活性にほとんど影響を認めないが、それ以上の濃度では、有意の反応 抑制がみられた(200mMでおよそ 30。/。の低下)。
[0194] 「 Ι6Ί 冓成, にあ 'ける Et の ¾'卜牛に する 討
組換え C因子を構成品とする Et測定試薬(PyroGene : Cambrex社)に含まれる蛍光 合成基質、 Boc_Val_Pro_Arg_MCAと類似の発色合成基質、 Boc_Val_Pr o - Arg -pNA (Boc-VPR-pNA) (酢酸塩)(以下、基質 1ともいう)を用いて、実施例 4の完全再構成系における Et反応を、通常の LAL反応では最適の Boc_Leu_Gl y_Arg_pNA(Boc-LGR- pNA) (以下、基質 2ともいう)と比較した。
[0195] Et反応時の基質濃度は、基質 1、基質 2、共に 0. 3mMに設定して行った。
[0196] その結果を、表 11と図 16に示す。
表 1 1と図 16に示された結果より、完全再構成系による本系の Et活性は、 Boc -Le u— Gly— Arg— pNA (基質 2)の方が、 Boc— Val— Pro— Arg— pNA (基質 1 )に 比べ、反応値が 200倍ほど高いことが判明した。
[0198] なお、別試験として、組換え型 C因子のみの系(基質濃度は、基質 1、基質 2、共に 0. 3mMに設定して行った)の Et反応の検討を行ったところ、基質 2を用いた場合の 反応値に比べ、基質 1を用いた場合の方が、反応値が 1. 6倍ほど高かった。
[0199] このこと力 、組換え型 C因子単独の場合に比べ、完全再構成系によるエンドトキシ ン活性の方が著しく高い反応値を示すことが明らかとなった。また、 ( 1→3)— β _ D —グ カンにおいても同様の傾向を示す。すなわち、本発明により、微量でも高感度 かつ再現性の良いエンドトキシン及び(1→3) - β _ D—グルカンの検出.定量を行 うことが可能であることが明らかとなった。
産業上の利用可能性
[0200] 本発明により、カブトガニ由来の Pro— CEを大量に遺伝子発現させ、微生物由来 の菌体成分を効率的かつ再現性よく検出、測定するための in vitroのツールや方法 が提供される。さらに、本発明により得られる Pro _ CEは、他の LAL反応に関与する
組換え因子とともに反応系を構成する主要な因子として提供される。本法は、 Et及び BGの検出、定量による医薬品、医療用具等の安全性評価、敗血症、真菌感染症等 の血清診断、環境 ·食品衛生分野における微生物汚染の検出ツールとして、又は、 研究用試薬等として、恒久的かつ幅広い利用が期待できる。