光学ガラスおよびそれを用いたレンズ
技術分野
[0001] 本発明は、高屈折率で低分散性の光学ガラスおよびそれを用いたレンズに関する 背景技術
[0002] 近年、高精細かつ小型のデジタルカメラやカメラ付携帯電話等の普及により、光学 系の軽量化'小型化の要求が急速に高まっている。それらの要求に応えるため、高 機能性ガラス製非球面レンズを使用した光学設計が主流となっている。特に、高屈 折率で低分散特性を示すガラスを使用した大口径の非球面レンズは、光学設計上 重要なものとなっている。
[0003] 高屈折率で低分散特性を示すガラスとしては、従来、 B O、 La Oを主成分とする
2 3 2 3
ガラスが知られている力 一般に成形温度が高いために WC系の金型母材上に形成 されて!/ヽる貴金属系保護膜の寿命が短く成形金型の耐久性が短!ヽと ヽぅ問題点や 成形サイクルが長く生産性が低 、と 、う問題点があった。
[0004] 上記問題点を解決するために、 B O、 La O以外に Li Oを主成分とするガラスが
2 3 2 3 2
知られている力 La O等の希土類元素を多量に含有するために、高温成形プロセ
2 3
ス中に失透を生じやす 、と 、う問題点があった。
[0005] また、非球面レンズの製造法としては、生産性と製造原価の点力もプレス面を研磨 せずにそのまま使用する精密プレス成形法が主流となって 、る。精密プレス成形で は、プレス成形温度が低いほど、金型耐久性が向上し、成形サイクルが短く生産性 が上がるため、成形温度の低!、光学ガラスが求められる。
[0006] 成形温度を下げるため、ガラス成分としてアルカリ金属やアルカリ土類金属成分の 含有量を多くすると、光学ガラスの熱膨張係数が大きくなる。金型として用いられる W Cやセラミックスなどは、光学ガラスに比べて熱膨張係数がかなり小さいため、成形過 程で、金型と光学ガラスの熱膨張係数の差に起因する熱歪が成形品である光学部 品中に発生する。成形歪により光学特性が変化したり、最悪の場合は、成形品にクラ
ック等の欠陥が発生する。したがって、光学ガラスには、成形温度が低くなると同時に 熱膨張係数も低いことが求められる。
[0007] 上記問題を解決するために、 B O— SiO -La O— Gd O ZnO— Li O— Zr
2 3 2 2 3 2 3 2
Oを主成分とし、 n = 1. 75-1. 85、 v =40〜55であるガラス力 S特許文献 1に提
2 d d
案されて!、るが、成形温度が高 、と 、う問題点がある。
[0008] また、 B O -La O— Gd O -ZnO -Li Oを必須成分とし、 n = 1. 68〜: L 8、
2 3 2 3 2 3 2 d v =44〜53、屈伏点が 630°C以下で、高屈折率 ·低分散特性を示すガラスが特許 d
文献 2に提案されて ヽるが、高温成形プロセス中の失透特性に問題があった。
[0009] さらに、 B O -La O— ZnO— Ta O—WOを主成分とし n = 1. 75〜: L 85、 v
2 3 2 3 2 5 3 d
≥ 35、軟ィ匕点が 700°C以下のモールドプレス成形用光学ガラスが特許文献 3に提 d
案されているが、光学特性、成形性および低熱膨張性のバランスの点でまだ充分な ものではない。
[0010] 特許文献 1:特開 2003 - 201143号公報
特許文献 2:特許第 3458462号公報
特許文献 3 :特開 2005— 15302号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] 本発明は、高屈折率 ·低分散性の光学特性を有し、成形温度が低ぐ失透しにくい 、成形性に優れた光学ガラスの提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明者らは、前記課題を検討すべく鋭意検討したところ、以下に示す光学ガラス 、及び、レンズにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った 。本発明は、以下の光学ガラス、及び、レンズを提供する。
(1) 酸化物基準の質量%表示で、 B O : 13〜27%、 La O : 20〜35%、 Gd O
2 3 2 3 2 3
: 5〜25%、 ZnO : 5〜20%、 Li O : 0. 5〜3%、 Ta O : 0. 5〜15%、及び、 WO:
2 2 5 3
0. 5〜 10%を含有し、かつ、 SiOと B Oの合計含有量と ZnOと Li Oの合計含有量
2 2 3 2
の質量比である(SiO +B O ) / (ZnO+Li O)の値が 1. 35〜: L 65である光学ガ
2 2 3 2
ラス。
(2) 屈折率 n = 1. 75〜: L 80、アッベ数 v =43〜48である(1)に記載の光学 d d
ガラス。
(3) nおよび V 力 n≥2. 22-0. 01 X v なる関係を満たす(2)に記載の光学 d d d d
ガラス。
(4) ガラス転移点 (T )と屈伏点 (At)力もなる関係式 At+ (At— T ) Z2によって g g
定義される成形温度 (T )の値が 640°C以下で、かつ、液相温度 (T )が 1000°C以
P L
下である(1)、 (2)または(3)に記載の光学ガラス。
(5) 平均熱膨張係数(α )が 66 X 10_7〜84 X 10_7 K_1である(1)〜(4)のいず れかに記載の光学ガラス。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の光学ガラス力もなるレンズ。
発明の効果
[0013] 本発明の光学ガラス (以下、本ガラスという。 )は、高屈折率で好ましくは屈折率 η d
= 1. 75-1. 80であり、低分散' 14で好ましくはアッベ数 v =43〜48である。さらに d
、本ガラスは、好ましくは屈折率とアッベ数が n≥2. 22-0. 01 X V なる関係を満 d d
たすことにより、屈折率と分散性のバランスが特に良くなる。
[0014] また、本ガラスは、成形温度が 650°Cと低ぐし力も、失透が生成しない最高温度で ある液相温度が 1000°C以下と低いため、プレス成形性に優れる。さら〖こ、本ガラスの 平均熱膨張係数は、 α =66〜84 ( Χ 10_7 Κ_1)と同系統の光学ガラスに比べて低 いため、 WC系などのプレス金型との熱膨張係数の差が小さぐ熱歪に起因する成形 品の不良品発生率を著しく低減できる。さらに、これらのことにより、レンズなどの光学 製品を生産性よく製造でき、製造原価の低減にも貢献する。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 本ガラスの各成分範囲を設定した理由を以下に説明する。
本ガラスにおいて、 Β Οはガラス骨格を形成し、また液相温度 Τを低下させる成分
2 3 し
であり、必須成分である。本ガラスにおいて、 Β Ο含有量は 13〜27質量% (以下、
2 3
質量%を単に%と略す。)である。 Β Ο含有量が 13%未満ではガラス化が困難にな
2 3
るカゝ、または液相温度 Τが高くなる。液相温度 Τを低くするためには Β Ο含有量を
し し 2 3
15%以上とすると好ましぐ Β Ο含有量が 16%以上であるとより好ましい、 17%以
上であるとさらに好ましい。 B O含有量が 18%以上であると、液相温度が低下すると
2 3
とちに、アッベ数を 44〜47. 5と高くできるため、特に、好まし!/、。
[0016] 一方、本ガラスでは、 B O含有量が 27%超では屈折率 nが低くなり、または耐水
2 3 d
性等の化学的耐久性が低下するおそれもある。本ガラスにおいて、 B O含有量が 2
2 3
5%以下であると好ましぐ屈折率 nを 1. 76〜: L 80と高くしたい場合には B O含有 d 2 3 量を 23%以下とすると好ましぐ B O含有量が 22%以下であるとさらに好ましい。
2 3
[0017] 本ガラスにお ヽて、 ZnOはガラスを安定ィ匕させ、成形温度または溶解温度を低下さ せる成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、 ZnO含有量は 5〜20%である 。 ZnO含有量が、 5%未満ではガラスが不安定になる力、成形温度が高くなるおそれ がある。 ZnO含有量が 7%以上であれば好ましぐ 9%以上であるとさらに好ましい。 一方、本ガラスにおいて、 ZnO含有量が 20%を超えると、ガラスの安定性が悪くなり 、またィ匕学的耐久性も低下するおそれがある。 ZnO含有量が 19%以下であると好ま しぐ ZnO含有量が 18%以下であるとさらに好ましい。
[0018] 本ガラスにおいて、 La Oは屈折率 nを高くし、化学的耐久性を向上させる成分で
2 3 d
あり、必須成分である。本ガラスにおいて、 La O含有量は 20〜35%である。 La O
2 3 2 3 含有量が、 20%未満では屈折率 nが低くなり過ぎるおそれがある。 La O含有量が d 2 3
22%以上であると好ましぐ La O含有量が 24%以上であるとさらに好ましい。一方
2 3
、 La O含有量が 35%を超えるとガラス化しに《なり成形温度が高くなつたり、液相
2 3
温度 Tが高くなるおそれがある。 La O含有量が 33%以下であると好ましぐ La O
L 2 3 2 3 含有量が 31 %以下であるとより好ましい。
[0019] 本ガラスにおいて、 Gd Oは La Oと同様に屈折率 nを高くし、化学的耐久性を向
2 3 2 3 d
上させる成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、 Gd O含有量は 5〜25%
2 3
である。 Gd O含有量が 5%未満では屈折率 nが低くなる。 Gd O含有量が 8%以
2 3 d 2 3 上であると好ましぐ Gd O含有量が 10%以上であるとさらに好ましい。一方、 Gd O
2 3 2 3 含有量が 25%を超えるとガラス化しに《なり成形温度が高くなつたり、液相温度 T
し が高くなるおそれがある。 Gd O含有量が 22%以下であると好ましぐ Gd O含有量
2 3 2 3 が 19 %以下であるとさらに好ましい。
[0020] 本ガラスにおいて、 La O含有量および Gd O含有量の合量は、 35〜50%である
2 3 2 3
と好ましい。前記合量が 35%未満であると、屈折率 nが低くなる力、または化学的耐 d
久性が低くなるおそれがある。前記合量が 38%以上であると好ましぐ前記合量が 4 0%以上であるとさらに好ましい。一方、前記合量が 50%を超えるとガラス化しにくく なり成形温度が高くなつたり、液相温度 Tが高くなるおそれがある。前記合量が 47%
し
以下であると好ましぐ前記合量が 45%以下であるとさらに好ましい。
[0021] 本ガラスにお ヽて、 Li Oは、ガラスを安定ィ匕させ、成形温度、溶解温度を低下させ
2
る成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、 Li O含有量は 0. 5〜3%である
2
。 Li O含有量が 0. 5%未満では、成形温度または溶解温度が高くなり過ぎるおそれ
2
がある。 Li O含有量が 1. 1%以上であると好ましぐ Li O含有量が 1. 3%以上であ
2 2
るとさらに好ましい。一方、 Li O含有量が 3%を超えると失透しやすくなり、化学的耐
2
久性の低下や溶解時の成分の揮散が激しくなるおそれがある。 Li O含有量が 2. 5
2
%以下であると好ましぐ Li O含有量が 2. 3%以下であるとさらに好ましい。
2
[0022] 本ガラスにおいて、 Ta Oはガラスを安定ィ匕させる、屈折率 nを高くする、高温成形
2 5 d
時の失透を抑制する成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、 Ta O含有量
2 5 は 0. 5〜15%である。 Ta O含有量が、 0. 5%未満では屈折率 nが低くなりすぎた
2 5 d
り、液相温度 Tが高くなりすぎるおそれがある。 Ta O含有量が 1. 5%以上であると
し 2 5
好ましぐ Ta O含有量が 2. 5%以上であるとさらに好ましい。一方、 Ta O含有量
2 5 2 5 が 15%を超えると、成形温度が高くなりすぎたり、アッベ数 V 力 、さくなりすぎるおそ d
れがある。 Ta O含有量が、 13%以下であると好ましぐ Ta O含有量が、 12%以下
2 5 2 5 であるとさらに好ましい。
[0023] 本ガラスにおいて、 WOはガラスを安定ィ匕させる、屈折率 nを高くする、高温成形
3 d
時の失透を抑制する成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、 WO含有量
3 は 0. 5〜10%である。 WO含有量が 0. 5%未満では屈折率 nが低くなり、液相温
3 d
度 Tが高くなるおそれがある。 WO含有量が、 1. 5%以上であると好ましぐ WO含
L 3 3 有量が 2. 5%以上であるとさらに好ましい。一方、 WO含有量が 10%を超えると成
3
形温度が高くなり、アッベ数 V 力 、さくなるおそれがある。 WO含有量が 8%以下で d 3
あると好ましぐ WO含有量が 7%以下であるとさらに好ましい。
3
[0024] 本ガラスにお 、て、 SiOは必須成分ではな!/、が、ガラスを安定ィ匕させるため、また
は、高温成形時の失透を抑制する等のために 0〜 15%含有してもよい。 SiO含有量
2 が 15%を超えると、成形温度が高くなり過ぎたり、屈折率 nが低くなりすぎるおそれ d
がある。 SiO含有量が 12%以下であるとより好ましぐ SiO含有量が 10%以下であ
2 2
るとさらに好ましい。一方、高温成形時の失透を抑制したり、または粘性を調整したい 場合には、 SiO含有量を 2%以上とするのが好ましぐ SiO含有量力 以上である
2 2
とさらに好ましい。
[0025] 本発明者らは、ガラスの網目形成酸化物成分である B O含有量および SiO含有
2 3 2 量の合量と、 1もしくは 2価のガラスの修飾酸ィ匕物成分である Li O含有量および ZnO
2
含有量の合量との質量比(SiO +B O ) / (ZnO+Li O) (以下、網目修飾比という)
2 2 3 2
を特定の値に調整することにより、低い成形温度と低い液相温度とを両立させるうるこ とを見出した。
[0026] 本ガラスにおいては、網目修飾比は、 1. 35〜: L 65である。網目修飾比が 1. 35 未満または 1. 65を超えると、低い成形温度と低い液相温度との両立が難しくなる。 網目修飾比の下限が、 1. 38以上であるとより好ましぐ 1. 40以上であるとさらに好ま しい。一方、網目修飾比の上限が 1. 64以下であるとより好ましぐ 1. 63以下である とさらに好ましい。
[0027] 本ガラスにお ヽて、 ZrOは必須成分ではな!/ヽが、ガラスを安定ィ匕させる、屈折率 n
2 d を高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために 0〜5%含有してもよい。 ZrO
2 含有量が 5%を超えると成形温度が高くなり過ぎたり、アッベ数 V が小さくなりすぎる d
おそれがある。 ZrO含有量が 4%以下であるとより好ましぐ ZrO含有量が 3%以下
2 2
であるとさらに好ましい。一方、添加の効果を得るためには、 ZrO含有量が 0. 2%以
2
上であるとより好ましぐ ZrO含有量が 0. 4%以上であるとさらに好ましい。
2
[0028] 本ガラスにお ヽて、 TiOは必須成分ではな!/ヽが、ガラスを安定ィ匕させる、屈折率 n
2 d を高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために 0〜5%含有してもよい。 TiO
2 含有量が 5%を超えると、アッベ数 V 力 、さくなりすぎる、もしくは透過率が低下する d
おそれがある。 TiO含有量が 3%以下であるとより好ましい。
2
[0029] 本ガラスにお 、て、 Nb Oは必須成分ではな!/、が、ガラスを安定ィ匕させる、屈折率
2 5
nを高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために 0〜 10%含有してもよい。 N
b O含有量が 10%を超えると、アッベ数 v 力 、さくなりすぎる、もしくは透過率が低
2 5
下するおそれがある。好ましくは Nb O含有量が 7%以下である。
2 5
[0030] 本ガラスにおいて、 Y O、 Yb Oはいずれも必須成分ではないが、屈折率 nを高
2 3 2 3 d くする、高温成形時の失透を抑制する等のために 0〜 10%含有してもよい。これらの 含有量が 10%を超えると、ガラスがかえって不安定になる、成形温度が高くなり過ぎ るおそれがある。 Y O、 Yb Oの含有量が、 7%以下であると好ましい。
2 3 2 3
[0031] 本ガラスにおいて、 Al O、 Ga O、 GeO、 P Oはいずれも必須成分ではないが
2 3 2 3 2 2 5
、ガラスを安定ィ匕させる、屈折率 nの調整をする等の目的で 0〜 10%含有しても良い d
。 Al O、 Ga O、 GeO、 P Oの含有量が 10%を超えると、アッベ数 v が低くなり
2 3 2 3 2 2 5 d すぎるおそれがある。 Al O、 Ga O、 GeO、 P Oの含有量が 8%以下であるとより
2 3 2 3 2 2 5
好ましぐ 6%以下であるとさらに好ましい。
[0032] なお、本ガラスにおいて、 SiO、 Al O、 Ga O、 GeOを含有する場合には、 SiO
2 2 3 2 3 2 2
、 Al O、 Ga O、 GeOと B Oの各含有量の合量が 15〜35%であると好ましい。前
2 3 2 3 2 2 3
記合量が 15%未満であればガラス化が困難になるおそれや液相温度 Tが高くなる
し
おそれがある。前記合量が 18%以上であるとより好ましぐ前記合量が 22%以上で あるとさらに好ましい。
[0033] 一方、 SiO、 Al O、 Ga O、 GeO、 B O各含有量の合量が 35%を超えると屈折
2 2 3 2 3 2 2 3
率 nが低くなる、または成形温度が高くなるおそれがある。前記合量が 32%以下で d
あるとより好ましぐ前記合量が 29%以下であるとさらに好ましい。
[0034] 本ガラスにお 、て、 BaO、 SrO、 CaO、 MgOは!、ずれも必須成分ではな!/、が、ガラ スを安定化させる、アッベ数 V を大きくする、または成形温度を低くする、比重を小さ d
くする等のためにそれぞれ 0〜15%含有しても良い。 BaO、 SrO、 CaO、 MgOのそ れぞれの含有量が 15%を超えると、ガラスが不安定になる、または屈折率 nが低くな d る等のおそれがある。
[0035] なお、 BaO、 SrO、 CaO、 MgOを含有する場合には、 BaO、 SrO、 CaO、 MgOと Z ηθの各含有量の合量が 5〜25%であることが望ましい。前記合量が 5%未満ではガ ラスが不安定になる力 成形温度が高くなりすぎる。前記合量が 8%以上であるとより 好ましぐ前記合量が 10%以上であるとさらに好ましい。一方、前記合量が 25%を超
えるとガラスがかえって不安定になる、屈折率 nが低くなる、化学的耐久性が低くなる d
等のおそれがある。前記合量が 21%以下であるとより好ましぐ前記合量が 18%以 下であるとさらに好ましい。
[0036] 本ガラスにおいて、高温成形時の失透をより抑制したい等の場合、 B O: 15-25
2 3
%、 La O : 22〜33%、 Gd O : 8〜22%、 ZnO : 7〜19%、 Li 0 : 1. 1〜2. 5%、
2 3 2 3 2
Ta O : 1. 5〜130/0、WO : 1. 5〜80/0、力つ網目修飾 it力 1. 38〜: L . 64であるこ
2 5 3
とが好ましい。この組成に、さらに、 SiOを 2〜12%含有させる力、 ZrOおよび
2 2 Zま たは TiOを 0. 2〜4%含有量させると失透抑制効果がより確実なものとなるため好ま
2
しい。
[0037] 本ガラスは本質的に上記成分力もなる力 本発明の目的を損なわな!/、範囲でその 他の成分を含有してもよ!ヽ。そのような成分を含有する場合それら成分の含有量の 合計は、好ましくは 10%以下、より好ましくは 8%以下、さらに好ましくは 6%以下であ る。
[0038] 例えば、清澄等の目的で、本ガラスに Sb Oをたとえば 0〜1%含有してもよい。ま
2 3
た、ガラスをより安定化させる、屈折率 nの調整、比重調整、溶解温度の低下等の目 d
的のために、 Na 0、 K 0、 Rb Οまたは Cs Oの各成分を合量で 0〜5%含有しても
2 2 2 2
よい。 Na 0、 K 0、 Rb Οまたは Cs Oの各成分の合量が 5%を超えると、ガラスが不
2 2 2 2
安定になる、屈折率 nが低くなる、硬度が小さくなる、または化学的耐久性が低下す d
るおそれがある。なお、硬度または化学的耐久性を重視する場合には、 Na 0、 Κ Ο
2 2
、Rb Oまたは Cs Oの各成分をいずれも含有しないことが好ましい。
2 2
[0039] 本ガラスにおいて、上記以外の任意成分としては、それぞれの要求特性に応じて 選択することができる。例えば、高屈折率 nと低ガラス転移点 Tを重視する場合には d g
、 SnOを 0〜4%まで含有してもよい。同様に、高屈折率を重視する場合には、 TeO
2
および Zまたは Bi Oを単独でまたは合量で 0〜6%含有してもよい。 TeOおよび
2 2 3 2
Zまたは Bi Oの含有量が 6%を超えるとガラスが不安定になる、透過率が著しく低
2 3
下するおそれがある。ただし、アッベ数 V を大きくしたい場合には、 TeOまたは Bi d 2 2
Oのいずれも含有しないことが好ましい。
3
[0040] 本ガラスにお 、ては、環境面での負荷を減少させるため、成分として鉛 (PbO)、ヒ
素 (As O )、タリウム (Tl O)のいずれも実質的に含有しないことが好ましい。また、フ
2 3 2
ッ素を含有すると、熱膨張係数を大きくし、離型性、成形性に悪影響を与えるほか、 成分が揮散しやすいことから、光学ガラスの組成が不均一になりやすぐ離型膜など 金型の耐久性を下げるなどの問題があるため、本ガラスでは、フッ素も実質上含有し ないことが好ましい。
[0041] 本ガラスにおいては、着色の防止等の理由により、 Fe Oを含有しないことが好まし
2 3
いが、通常は原料力も不可避的に混入する。その場合でも、本ガラスにおいて Fe O
2 含有量は 0. 0001%以下とすることが好ましい。
3
[0042] 本ガラスの光学特性としては、屈折率 nが 1. 75-1. 80であると好ましい。屈折率 d
nが 1. 75未満であると、レンズの小型化には適さず、屈折率 nが 1. 76以上である d d
とさらに好ましい。一方、本ガラスの屈折率 nが 1. 80を超えるとアッベ数が小さくなり d
過ぎ好ましくない。本ガラスの屈折率 nとしては 1. 79以下であるとさらに好ましい。本 d
ガラスのアッベ数 V は、屈折率 nが 1. 75〜: L 80の場合は、 43〜48であると好ま d d
しい。本ガラスのは、屈折率 nが 1· 76-1. 79の場合は、 44〜47であるとさらに好 d
ましい。
[0043] 本ガラスにおいて、屈折率 nとアッベ数 V との間に特定の関係があると、両者のバ d d
ランスがとれて光学設計上好ましい。すなわち、アッベ数 V と屈折率 nを 2次元上に d d
プロットし、 , n ) = (43、 1. 79)、(48、 1. 74)を結ぶ直線(n = 2. 22— 0. 01 d d d
X v )より上方の領域 (n≥2. 22-0. 01 X v )に、本ガラスの光学特性点がある d d d
ことが好ましい。本ガラスの光学特性点が、 ( V , n ) = (43、 1. 80)、 (48、 1. 74) d d
を結ぶ直線(n = 2. 316-0. 012 X v ;)より上方の領域(n≥2. 316— 0. 012 X d d d
V )にあると、さらに好ましい。
d
[0044] 本明細書にぉ ヽては、成形温度 Tは、ガラス転移温度 Tと屈伏点 Atから、 T = At
P g P
+ (At— T ) Z2で算出される値をいうものとする。
g
本ガラスの成形温度 Tは、 640°C以下であると、精密プレス成形しやすいので好ま
P
しい。成形温度 Tが 640°Cを超えると、プレス成形時に被成形物であるプリフォーム
P
の一部成分が揮散して型材、離型膜の損傷等を引き起こし、金型の耐久性が低下す るほか、プレス成形の生産性そのものも低下するおそれがある。本ガラスの成形温度
Tとしては、 635°C以下であるとより好ましぐ 630°C以下であるとさらに好ましい。
P
[0045] 光学ガラスの熱膨張係数は、平均熱膨張係数 (Xとして、 66 X 10一7〜 84 X 10"7 K_1であることが好ましい。これは、金型の平均熱膨張係数、例えば、 WC系では 40 〜50 Χ 10_7Κ_1である力 それと光学ガラスの平均熱膨張係数との差が小さいほど よいためである。本ガラスにおいては。平均熱膨張係数 αが 84 Χ 10_7Κ_1を超える と、プレス成形時にクラック等の欠陥が発生しやすくなり、また、クラック等を回避する ための加圧条件をマイルドにすると、ヒケにより形状転写性等が低下する。本ガラスに おいて、平均熱膨張係数 α力 ¾3 Χ 10_7Κ_1以下であるとより好ましぐ 82 Χ 10"7Κ _1以下であるとさらに好ましい。
[0046] 一方で光学ガラスの平均熱膨張係数 exが小さくなり過ぎると、プレス成形の冷却過 程で金型と光学部品と離型しにくくなり、最悪の場合は、光学部品が金型に固着して 成形品不良となるおそれもある。したがって、本ガラスでは、平均熱膨張係数ひとして は、 66 Χ 10_7Κ_1以上が好ましい。また、本ガラスにおいて、平均熱膨張係数 αは 、 67 Χ 10_7Κ_1以上がより好ましぐ 68 Χ 10_7Κ_ 1以上であるとさらに好ましい。な お、本明細書では、平均熱膨張係数 αとは、 50〜350°Cの温度範囲での平均線膨 張係数を意味する。
[0047] 本ガラスの液相温度 Tは、 1000°C以下であると好ましい。液相温度 T力 1000 し し
°Cを超えると高温成形時に被成形物が失透しやすくなる。本ガラスの液相温度 Tが し
、 990°C以下であるとより好ましぐ 980°C以下であるとさらに好ましい。なお、液相温 度 Tは、ある温度に保持した場合に、ガラス融液カも結晶固化物が生成しない最高 し
温度として定義される。
[0048] 本ガラスは、上記のような特性を有するため、光学設計がしゃすぐ光学部品、特に は、デジタルカメラ等に用いられる非球面レンズに好適である。
実施例
[0049] 以下、本発明の具体的な態様を実施例(例 1〜27)および比較例(例 28〜32)によ り説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[0050] 原料調製法としては、表に示す組成のガラスが得られるように下記原料を調合して 白金製るつぼに入れ、 1100〜1300°Cで 1時間溶解した。この際白金製スターラに
より 0. 5時間撹拌して溶融ガラスを均質ィ匕した。均質ィ匕された溶融ガラスは流し出し て板状に成形後、 T + 10°Cの温度で 4時間保持後、 CZminの冷却速度で室 g
温まで徐冷した。なお、表中、「一」で表示する部分は、該当成分がないことを示す。
[0051] 原料としては、酸化ホウ素、酸ィ匕アルミ-ゥム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、二酸 化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸 ストロンチウムおよび酸ィ匕アンチモンとして、関東化学社製の特級試薬を使用した。 酸化ランタン、酸ィ匕ガドリニウムおよび酸化イットリウムとして信越ィ匕学工業社製の純 度 99. 9%の試薬を使用した。酸ィ匕タンタル、二酸化珪素、酸化タングステン、酸ィ匕 ニオブおよび酸ィ匕ビスマスとして、高純度化学研究所社製の純度 99. 9%以上の試 薬を使用した。
[0052] 得られたガラスについて、ガラス転移点 T、屈伏点 At (単位:。 C)、 50〜350°Cにお g
ける平均線膨張係数 α (単位:10_7Κ_1)、波長 587. 6nm (d線)における屈折率 η d
、アッベ数 v 、液相温度 T (単位: °C)、および比重 dを測定した。これらの測定法を d し
以下に述べる。
[0053] 熱的特性 (T 、 At、 α ) :直径 5mm、長さ 20mmの円柱状に加工したサンプルを、 g
熱機械分析装置(マックサイエンス社製、商品名: DILATOMETER5000)を用い て 5°CZ分の昇温速度で測定した。
[0054] 光学特性 (n 、 V ):一辺が 20mm、厚みが 10mmの直方体形状に加工したサン d d
プルを、精密屈折率計 (カル-ユー光学社製、商品名: KPR— 2)により測定した。 n d と v の関係が n≥2. 22-0. 01 X V を満たすものについて〇、見られないものを d d d
Xとした。尚、測定値は小数点以下 5桁目まで求め、屈折率 nについては小数点以 d
下 3桁目を四捨五入して記載し、アッベ数 V につ 、ては小数点以下 2桁目を四捨五 d
入して記載した。
[0055] 液相温度 T : 1辺が 10mmの立方体形状にカ卩ェしたサンプルを白金製の皿に載せ
し
、一定温度に設定した電気炉内で 1時間静置した後に取り出したものを 10倍の光学 顕微鏡で観察し、結晶の析出が見られない最高温度を Tとした。液相温度 T力
し し
0°Cを超えるものは、「1000超」と表記した。
[0056] 比重:一辺が 20mm、厚みが 10mmの直方体形状に加工したサンプルを、精密比
重計 (島津製作所製、商品名: SGM300P)を用いて測定した。
[0057] 失透特性として 1000°Cの液相温度で失透の析出が見られない良好なものを〇、 見られたものを Xとした。
[0058] [表 1]
番号 例 1 6 例 1 7 例 1 8 例 1 9 例 20
B203 1 9. 9 1 9. 7 20. 5 20. 1 20. 1
S i 02 5. 40 5. 40 5. 58 5. 47 5. 48
L a 2 O 27. 0 26. 8 30. 3 29. 7 28. 5
G d 203 1 3. 7 1 3. 5 1 4. 0 1 3. 8 1 5. 1
Z n O 1 5. 2 1 5. 1 1 5. 6 1 5. 4 1 5. 3
L i 20 1. 70 1. 70 1. 76 1. 73 1. 72
Z r 02 1. 90 1. 80 1. 9 1 1. 87 1. 87
T a 205 1 0. 0 9. 90 6 - 76 8. 40 8. 4 1 wo3 5. 20 6. 10 3. 59 3. 53 3. 52
( S i O + B 2 O 3)
1. 50 1 - 49 1. 50 1. 49 1. 50 ダ (L i zO -Z n O)
屈折率 n d 1. 78 1. 79 1. 78 1. 78 1. 78 ァッベ数 d 45. 1 44. 8 46. 2 45. 9 45. 9 ガラス転移点 TS/°C 556 55 7 554 555 556 屈伏点 At/°C 607 608 605 606 607 液相温度 950 950 1000 1 000 990 熱膨張係数お 77. 9 77. 5 80. 0 79. 9 79. 8 比重 4. 64 4. 64 4. 6 1 4. 64 4. 65 成形温度 TPZ°C 633 633 63 1 632 632 n d≥ 2. 22
〇 〇 〇
— 0. 0 1 X v d o 〇 失透特性 〇 〇 o 〇 〇
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら
かである。
[0066] 本出願は、 2006年 6月 13日出願の日本特許出願(特願 2006— 163458)に基づ くものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
産業上の利用可能性
[0067] 本ガラスは、バランスのとれた光学特性を有し、好ましくは、屈折率 n = 1. 75〜: L .
d
80、アッベ数 V =43〜48である光学ガラスであって、し力も成形性に優れる。よつ d
て、本発明によりデジタルカメラ等の光学部品として好適な光学ガラスを提供できる。