吸収液、吸収液を用いたガス中の CO又は H S除去装置及び方法
2 2
技術分野
[0001] 本発明はガス中に含まれる CO (二酸化炭素)又は H S (硫ィ匕水素)又はその双方
2 2
を除去する吸収液、該吸収液を用いた CO又は H S又はその双方の除去装置及び
2 2
方法に関するものである。
背景技術
[0002] 近年、地球の温暖化現象の原因の一つとして、 COによる温室効果が指摘され、
2
地球環境を守る上で国際的にもその対策が急務となってきた。 COの発生源として
2
は、化石燃料を燃焼させるあらゆる人間の活動分野に及び、その排出抑制への要求 がー層強まる傾向にある。これに伴い大量の化石燃料を使用する火力発電所などの 動力発生設備を対象に、ボイラの燃焼排ガスをアルカノールァミン水溶液等と接触さ せ、ガス中の COを除去し、回収する方法、及び回収された CO大気へ放出すること
2 2
なく貯蔵する方法が精力的に研究されている。また、アルカノールァミン水溶液は C O (二酸化炭素)以外に H S (硫化水素)等の酸性ガスとも反応する為、化学工業に
2 2
おいては、酸性ガス全般の除去'回収を目的として、各種ガスの精製プロセスにおい て広く用いられている。
[0003] 前記アルカノールァミンとしては、モノエタノールァミン(MEA)、ェチルアミノエタノ ール(EAE)、トリエタノールァミン、 N—メチルジェタノールァミン(MDEA)、ジイソ プロパノールァミン、ジグリコールァミンなどを挙げることができる力 通常モノエタノー ルァミン(MEA)が好んで用いられる。
[0004] さらに、前記アルカノールァミンを複数種混合させることにより、それら単独では達 成できな 、性能を具備出来る効果が開示されて 、る(例えば、 MEAと AMPの混合 液の性能が開示されている。特許文献 1)。また、アルカノールァミンの吸収性能向上 のため、吸収助剤としてピぺラジン等の環状ァミン、エチレンジァミン等の直鎖状アミ ンを用いることが提案されている (特許文献 2、特許文献 3、特許文献 4、特許文献 5)
[0005] 特許文献 1 :特開平 6— 343858号公報
特許文献 2 :米国特許第 4336233号明細書
特許文献 3 :特開平 1— 231921号公報
特許文献 4:特公昭 61— 19286号公報
特許文献 5 :米国特許第 6436174号明細書
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 大規模プラントにお 、て大量の COを回収する場合には、できるだけ少な 、ェネル
2
ギ一で回収できる装置が、望まれている。これを可能とする為には、吸収液循環量の 低減と、吸収した COを解離させるのに必要な熱量の低減が必要である。吸収液循
2
環量の低減の為には、吸収液の単位吸収液量あたりの吸収容量を増力 tlさせる必要 があり、このためしばしば吸収液は、アミンィ匕合物の高濃度化が図られる。
[0007] し力しながら、アミンィ匕合物の高濃度化においては、粘度および腐食性が上昇する という問題点が指摘されている (特許文献 4)。このうち、腐食性に関しては、腐食防 止剤の添加や配管材の選定により回避可能である力 粘度に関しては通常のプロセ ス上、容易には回避できない問題となる。
[0008] また、ァミン化合物の種類によっては、溶媒に対する溶解度が低い為に高濃度化 が困難なものもある。例えば特許文献 3に記されるピぺラジンは、水への溶解度が低 い上、それが COとの反応により生成するピペラジン力ルバメートの液への溶解度が
2
低い為、添カ卩レベルは 0、 8モル Zリットル以下の濃度に制限されている。
[0009] また特許文献 5には、さらに環内に窒素原子を含み分岐ヒドロキシル基あるいは分 岐アルキル基を有する化合物を広い濃度範囲(0.1〜50%)で用いる吸収液が有用 であることが示されている力 アルコール類の添カ卩が必須条件となっている。
[0010] 前記 MEA、などの公知のアルカノールァミンは、水と任意の比率で混合が可能で きるため高濃度化が容易なものが多い。し力しながらそれら 1種類のみを含む水溶液 においては、濃度を増加させた際に、吸収容量性能が濃度に比例しない場合がある 。従ってァミンの種類によっては、高濃度化を図っても、期待された吸収液循環量の 低減の効果が得られない場合がある。従って、 CO回収エネルギーの低減の為には
、含窒素化合物の高濃度化によって、粘度の上昇が抑えられ、なおかつ、吸収容量 性能 ·吸収反応熱性能が効果的に向上する、吸収液の開発が課題となっていた。
[0011] 本発明は、前記問題に鑑み、含窒素化合物の高濃度化によっても、粘度の上昇が 抑えられると共に、吸収容量性能 ·吸収反応熱性能が効果的に向上する吸収液、吸 収液を用いた CO又は H S又はその双方の除去装置及び方法を提供することを課
2 2
題とする。
課題を解決するための手段
[0012] 上述した課題を解決し、目的を達成するために、第 1の発明は、ガス中の CO
2又は
H S又はその双方を吸収する吸収液であって、第 1の化合物成分と、分子内に 1級、
2
2級、 3級の窒素を少なくとも 2種類以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒 素化合物からなる第 2の化合物成分とを含むことを特徴とする吸収液にある。
ここで、前記第 1の化合物成分は、下記化合物または、これらの混合物である。
[化 2]
[化 3]
で、式(I)〜(III)中、 x、 yiま、 l≤x≤5, 2≤y≤ 10であり、
R
2、 R
3、 R
4【ま、 -
C H O N ( で、 i=0〜10、 j = l〜21、 k=0〜5、 1=0〜5である。)である。
i j k 1
[0013] 第 2の発明は、第 1の発明において、前記第 2の化合物成分が、環内に 2級の窒素
を有する含窒素化合物又は、環内に 3級の窒素を有する含窒素化合物であることを 特徴とする吸収液にある。
[0014] 第 3の発明は、第 1の発明において、前記第 2の化合物成分が、環内に 2級及び 3 級の窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
[0015] 第 4の発明は、第 2又は 3の発明において、前記第 2の化合物成分が、環から分岐 する置換基のいずれかに窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液 にある。
[0016] 第 5の発明は、第 4の発明において、前記環から分岐する置換基に 1級の窒素を有 する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
[0017] 第 6の発明は、第 1の発明において、前記第 2の化合物成分が、分子内に窒素を 3 つ以上有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
[0018] 第 7の発明は、第 6の発明において、分子内に 1級、 2級、 3級の窒素を全て有する 含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
[0019] 第 8の発明は、第 1の発明において、前記第 2の化合物成分は、下記式 (IV)〜(XI
II)のいずれかの含窒素化合物または、これらの混合物であることを特徴とする吸収 揿にめる。
[化 4] 含窒素化合物 (IV) H 7
I I
H2N-R5-N-R6-N-R8
[化 5] 含窒素化合物 ( V ) R7 H
I I
H2N - R5-N-R6-N-R8 ここで、式(IV)〜(V)中、 R5、 R6は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k
i j k 1
= 0〜5、 1=0〜5である。)である。
(ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
)である。
[化 6]
含窒素化合物 (VI)
ここで、式 (VI)中、 R9、 R11は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜
i j k 1
5、 1=0' ^5である。)である。
R1。は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で ある。
[化 7]
含窒素化合物 (W)
ここで、式 (VII)中、 R9、 R11は、― CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0
5、 1=0〜5である。)である。
R10、 R12は、 -CH O N (ここで、 = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である
i j k 1
。)である。
[化 8]
含窒素化合物 (皿)
R9
ここで、式 (Vm)中、 R9は、 -CHO N (ここで、 i=0〜10、 i = 0〜26、 k=0へ
i j k 1
= 0〜5である。)である。
R13、 R14、 R15、 R16は、 -CHO N (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=
i j k 1
〜5である。)である。
[化 9]
R10— N— R18— ΝΗつ
R17
ここで、式(IX)中、 R9、 R18は、 -CHO N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=
i j k 1
5、 1=0〜5である。)である。
R10、 R15、 R17は、 -CHO N (ここで、 i=l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0'
i j k 1
ある。)である。
[化 10]
含窒素化合物 (X)
ここで、式 (X)中、 R9は、 CHO N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5
i j k 1
0〜5である。)である。
R13、 R14、 R16、 R19は、 -CHO N (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=
i j k 1
〜5である。)である。
[化 11]
含窒素化合物(X I)
ここで、式 (XI)中、 R9、 R18は、 -CHO N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=
i j k 1
5、 1=0〜5である。)である。
R"、 R17、 R20は、 -CHO N (ここで、 i=l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0'
i j k 1
ある。 )である。
[化 12]
含窒素化合物 (X I )
肌― R2i_N R
14-N -R
16
R17
ここで、式 (ΧΠ)中、 R9、 R21は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜
i j k 1
5、 1=0〜5である。)である。
R"、 R16、 R17は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
i j k 1
ある。)である。
[化 13]
含窒素化合物 (xm)
R17
ここで、式 (ΧΙΠ)中、 R、 R は、 CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0
i j k 1
〜5、 1=0〜5である。)である。
R"、 R16、 R17は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
i j k 1
ある。)である。
第 9の発明は、第 1の発明において、前記第 2の化合物成分は、下記式 (XIV)〜( XIX)のいずれかの含窒素化合物または、これらの混合物であることを特徴とする吸 収液にある。
[化 14]
含窒素化合物 (XIV)
R24-NH2
ここで、式 (XIV)中、 R22は、 -CHO N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5
i j k 1
、 1=0〜5である。)である。
R23、 R24は、 -CHO N (ここで、 i=l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である o )である
[化 15]
含窒素化合物(XV)
ここで、式 (XV)中、 R は、 -CHON (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1
i j k 1
= 0〜5である。)である。
R23、 R26は、 -CHO N (ここで、 i=l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である
i j k 1
。)である。
[化 16]
含窒素化合物(XVI)
R23_R27_NH2
\r28
:で、式 (XVI)中、 R23、 R27、 R28は、 CHON (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、
i j k 1
5である。)である。 含窒素化合物(XVI I )
ここで、式 (XVII)中、 R は、 -CH O Ν (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0
i j k 1
、 1=0〜5である。)である。
R23、 R24、 R27、 R29は、 -CH O N (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=
j k 1
〜5である。)である。
[化 18]
含窒素化合物(XVI π )
ここで、式 (XVin)中、 R25は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0
i j k 1
、 1=0〜5である。)である。
R23、 R26、 R29は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜
i j k 1
ある。)である。
[化 19]
含窒素化合物(χκ)
R23— R27— NH—R29
N
\R28 ここで、式 (XIX)中、 R 、 R 、 R 、 R は、 -CHON (ここで、 i=l〜10、 j = 0〜 i j k 1
26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)である。
[0021] 第 10の発明は、第 1の発明において、前記第 2の化合物成分は、下記式 (XX)の 含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
[化 20]
N
R 30 R 31
N
ヽ R33— NH—R34
ここで、式 (XX)中、 R3。、 R32、 R33、 R34は、 CHON (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜2 i j k 1
6、 k=0〜5、 1=0〜5である。)である。
R31は、 CHO N (ここで、 i=l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
ある。
[0022] 第 11の発明は、第 1乃至 10のいずれか一つの発明において、第 1の化合物成分 が 15重量%以上、 45重量%以下の範囲で含むと共に、第 2の化合物成分が 15重 量%以上、 45重量%以下の範囲で含み、且つ全体で 30重量%を超え、 90重量% 以下であることを特徴とする吸収液にある。
[0023] 第 12の発明は、第 1乃至 11のいずれか一つの発明において、第 1の化合物成分 における式 (I)
R
2が、 Hであることを特徴とする吸収液にある。
[0024] 第 13の発明は、第 1乃至 11のいずれか一つの発明において、第 1の化合物成分 における式 (I)の Xが 2〜4であると共に、 yが 4〜8であることを特徴とする吸収液にあ る。
[0025] 第 14の発明は、第 1乃至 11のいずれか一つの発明において、第 1の化合物成分 における式(I)の R1が Hであると共に、 R2が一 CmHnOoNp (ここで m= l〜5、 n= l 〜11、 o = 0〜5、 p = 0〜5である。)であることを特徴とする吸収液にある。
[0026] 第 15の発明は、第 1乃至 11のいずれか一つの発明において、第 1の化合物成分 における式 (I)の Xが 2〜4あり、 y力 〜8であるとともに、 R2が CHまたは C Hまたは
3 2 5
C Hまたは C Hであることを特徴とする吸収液にある。
3 7 4 9
[0027] 第 16の発明は、第 1乃至 11のいずれか一つの発明において、第 1の化合物成分 における式(I)
R
2が一 CmHnOoNp (ここで m= l〜5、 n= l〜l l、 o = 0〜5、 p = 0〜5である。)であることを特徴とする吸収液にある。
[0028] 第 17の発明は、第 1乃至 11のいずれか一つの発明において、第 1の化合物成分 における式 (I)の Xが 2、 yが 4であり、 R1が CH、 R2が C H OHであることを特徴とする
3 2 4
吸収液にある。
[0029] 第 18の発明は、ガス中の CO又は H S又はその双方を吸収する吸収液であって、
2 2
環内に窒素を 1つ有する環状アミン物力 なることを特徴とする吸収液にある。
[0030] 第 19の発明は、第 18の発明において、環内に窒素を 1つ有する環状ァミンが、 5員 環、 6員環又は 7員環内に窒素を 1つ有する環状ァミンであることを特徴とする吸収液 にある。
[0031] 第 20の発明は、第 19の発明において、前記 5員環、 6員環又は 7員環内に窒素を
1つ有する環状アミンカ ピロリジン(PR)、ピペリジン(PZ)又はへキサメチレンイミン(
HMI)の 、ずれかであることを特徴とする吸収液にある。
[0032] 第 21の発明は、第 18の発明において、前記環内に窒素を 1つ有する環状アミン物 力 環力 分岐する置換基に 1級の窒素を有するものであることを特徴とする吸収液 にある。
[0033] 第 22の発明は、第 21の発明において、前記環から分岐する置換基に 1級の窒素 を有する含窒素化合物力 アミノメチルビペリジン (AMPZ)又はアミノエチルピベリジ ン (AEPZ)であることを特徴とする吸収液にある。
[0034] 第 23の発明は、第 18の発明において、前記環内に窒素を 1つ有する環状アミン物 力 5員環、 6員環又は 7員環のいずれかに水酸基を有する含窒素化合物であること を特徴とする吸収液にある。
[0035] 第 24の発明は、第 23の発明にお 、て、前記 5員環、 6員環又は 7員環の 、ずれか に水酸基を有する含窒素化合物が、ピぺジリノール (PDN)であることを特徴とする 吸収液にある。
[0036] 第 25の発明は、第 18乃至 24のいずれか一つの発明の吸収液と、アルカノールァ ミンとを混合してなることを特徴とする吸収液にある。
[0037] 第 26の発明は、第 25の発明において、前記アルカノールァミン力 モノエタノール ァミン(MEA)、ェチルァミノエタノール(EAE)、トリエタノールァミン、 N—メチルジェ タノールァミン(MDEA)、ジイソプロパノールァミン、ジグリコールァミンのいずれか 一種又はこれらの混合物であることを特徴とする吸収液にある。
[0038] 第 27の発明は、第 25又は 26の発明において、前記環状ァミンが 5重量%以上 30 重量%以下の範囲で含むと共に、前記アルカノールァミンが 15重量%以上 45重量 %以下の範囲で含み、且つ全体で 20重量%を超え 90重量%以下であることを特徴 とする吸収液にある。
[0039] 第 28の発明は、 CO又は H S又はその双方を含有するガスと吸収液とを接触させ
2 2
て CO又は H S又はその双方を除去する吸収塔と、 CO又は H S又はその双方を吸
2 2 2 2
収した溶液を再生する再生塔と、再生塔で CO又は H S又はその双方を除去して再
2 2
生した溶液を吸収塔で再利用する CO又は H S又はその双方の除去装置であって
2 2
、第 1乃至 27のいずれか一つの吸収液を用いてなることを特徴とする CO又は H S
2 2 又はその双方の除去装置にある。
[0040] 第 29の発明は、 CO又は H S又はその双方を含有するガスと吸収液とを接触させ
2 2
て CO又は H S又はその双方を除去する吸収塔と、 CO又は H S又はその双方を吸
2 2 2 2
収した溶液を再生する再生塔と、再生塔で CO又は H S又はその双方を除去して再
生した溶液を吸収塔で再利用する CO又は H S又はその双方の除去方法であって
2 2
、第 1乃至 27のいずれか一つの吸収液を用いて CO又は H S又はその双方を除去
2 2
することを特徴とする CO又は H S又はその双方の除去方法にある。
2 2
発明の効果
[0041] 本発明によれば、ガス中の CO又は H S又はその双方を吸収する第 1の含窒素化
2 2
合物成分であるアルカノールァミンと、分子内に 1級、 2級、 3級の窒素を 2つ以上有 する含窒素化合物、又は全て有する含窒素化合物からなる第 2の成分とを含む吸収 液を用いることにより、高濃度領域においても粘度の上昇を抑さえることができると共 に、同重量%濃度のアルカノールァミンおよび含窒素化合物単独の水溶液に比べて 優れた CO又は H S除去性能を有し、しかも吸収反応熱性能に優れたものを提供で
2 2
きる。
[0042] また、ァミン濃度 30重量 %以上の高濃度の吸収液を用いる際、同濃度のァミン単独 での使用に比べて優れた吸収容量性能 ·吸収反応熱性能を有する吸収液が提供さ れる為、ァミン単独での使用に比べて吸収液循環量の低減と、吸収した CO又は H
2 2
S又はその双方を解離させるのに必要な熱量の低減が図れる。吸収液循環量が低 減できると、措置がコンパクトになるだけでなぐ解離させるのに必要な熱量が少なく て済み、また、解離熱そのものが低減できると、少ないエネルギーで回収が可能とな る。
[0043] 本発明によれば、環内に窒素を 1つ有する環状アミン物力 なる吸収液を用いるこ とにより、公知のアルカノールァミン力 なる吸収液と比べて優れた CO又は H S除
2 2 去性能を有する。
図面の簡単な説明
[0044] [図 1]図 1は、 CO除去装置の
2 概略図である。
符号の説明
[0045] 1 吸収塔
15 再生塔
発明を実施するための最良の形態
[0046] 以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態、実 施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態、実施例におけ る構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが 含まれる。
[0047] [発明の実施形態]
本発明に力かる第 1の吸収液は、ガス中の CO又は H S又はその双方を吸収する
2 2
吸収液であって、第 1の化合物成分と、分子内に 1級、 2級、 3級の窒素を少なくとも 2 種類以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒素化合物からなる第 2の化合 物成分とを含むものである。
ここで、前記第 1の化合物成分は、下記「化 21」〜「化 23」に示すィ匕合物または、こ れらの混合物である。
ここで、式 (Ι)〜(ΠΙ)中、
x、 yは、 l≤x≤5, 2≤y≤10であり、
(ここで、 i = = 0〜10、 j = l〜21、 k=0〜5、 1=0〜5
である。)である。
[0048] ここで、本発明で用いられる式 (I)に力かる化合物は、例えばモノエタノールアミン( MEA)、メチルジェタノールァミン(MDEA)、ジエタノールァミン(DEA)、トリエタノ ールァミン(TEA)、ジイソプロパノールァミン(DIPA)、 3—アミノー 1—プロパノール (AP)、 2—ァミノ 2—メチルプロパノール(AMP)、ェチルジェタノールァミン(EDEA )、 2—メチルアミノエタノール(MAE)、 2—ェチルアミノエタノール(EAE)、 2— n— プロピルアミノエタノール、 2— n—ブチルアミノエタノール(n— BAE)、 2— n—ペン チルァミノエタノール、 2—イソプロピルアミノエタノール、 2— sec—ブチルアミノエタノ ール、 2—イソブチルアミノエタノール(IBAE)、 2—ジメチルァミノエタノール(DMA E)、 2—ジェチルァミノエタノール(DEAE)等を例示することができる。
[0049] ここで、本発明で用いられる式 (II)に力かる化合物は、例えば 2, 3—ジァミノプロピ オン酸 (DAPA)、グリシン等を例示することができる。
[0050] ここで、本発明で用いられる式(III)に力かる化合物は、例えば 1, 2—エチレンジァ ミン等を例示することができる。
なお、これら含窒素化合物は、 2種以上を混合して用いてもよい。
[0051] また、本発明において、前記第 2の化合物成分としては、 1)環内に 2級又は 3級の 窒素を有する含窒素化合物、 2)環内に 2級及び 3級の窒素を有する含窒素化合物、 3)前記 2)又は 3)において、環力 分岐する置換基のいずれかに窒素を有する含窒 素化合物、 4)前記 3)において、前記環から分岐する置換基に 1級の窒素を有する 含窒素化合物、 5)前記第 2の化合物成分が、分子内に少なくとも 3つ以上の窒素を 有する含窒素化合物、 6)前記 5)において、分子内に少なくとも異なる等級の窒素を 有する含窒素化合物の 、ずれかを用いることができる。
[0052] 以下、前記 1)乃至 6)の含窒素化合物の一例を下記式 (IV)乃至式 (XX)に示すが 、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、式 (IV)及び (V)で示される含窒素化合物は、式中に直鎖含窒素化合物で 、 1級、 2級、 3級の窒素を全て有するものである。
[0053] また、式 (VI)乃至 (XIII)で示される含窒素化合物は、環状含窒素化合物で、 1級、 2級、 3級の窒素を全て有するものである。
[0054] また、式 (XIV)乃至 (XIX)で示される含窒素化合物は、環状含窒素化合物である
と共に、環状部分と分岐部分に窒素の等級が異なるものを有するものである。
[0055] また、式 (XX)で示される含窒素化合物は、環状含窒素化合物であると共に、少な くとも 3以上の窒素を含み、し力も分子内に少なくとも窒素の等級が異なるものを有す るものである。
[0056] ここで、本発明で用いられる下記式 (IV)に力かる化合物は、例えば 4, 7—ジァゾ
- 2-ァミノ 2 ェチル - 7 メチルオクタン等を例示することができる。
[0057] [化 24] 含窒素化合物 (IV)
:で、式 (IV)中、
R5、 R。は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
i j k 1
)である。
(ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
)である。
[0058] ここで、本発明で用いられる下記式 (V)に力かる化合物は、例えば 4, 7—ジァゾ一 2 -ァミノ 2, 4 ジェチルオクタン等を例示することができる。
[0059] [化 25] 含窒素化合物(V ) R7 H
I I
H2N-R5-N-R6-N-R8 ここで、式 (V)中、
R5、 R6は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
i j k 1
)である。
(ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
)である。
[0060] ここで、本発明で用いられる下記式 (VI)に力かる化合物は、例えば 1— (2—ァミノ ェチル)ピぺラジン (AEPRZ)などを例示することができる。
[0061] [化 26]
含窒素化合物 (VI)
ここで、式 (VI)中、
R9、 R11は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である
i j k 1
)である。
R ίま、 -CH O Ν (ここで、 i 10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
ある。
[0062] ここで、本発明で用いられる下記式 (VII)に力かる化合物は、例えば 1—メチル 2 —アミノメチルビペラジン等を例示することができる。
[0063] [化 27]
含窒素化合物 ( π)
Ν
R9 RIO— Rlし而2
ここで、式 (VII)中、
R9、 R11は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
i j k 1
)である。
R10、 R12は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である
i j k 1
。)である。
[0064] ここで、本発明で用いられる下記式 (VIII)に力かる化合物は、例えば(2—ァミノ) -
(5ジメチルァミノ)ピロリジン等を例示することができる。
[化 28] 含窒素化合物 (珊)
R9
:で、式 (vm)中、
Rは、 CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
ある。
R13、 R14、 R15、 R16は、 -CH O N (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0
i j k 1
〜5である。)である。
[0066] ここで、本発明で用いられる下記式 (IX)に力かる化合物は、例えば 2 (アミノエチ ル (メチルァミノ) )ピロリジン等を例示することができる。
[0067] [化 29]
含窒素化合物 (K)
R17
ここで、式(IX)中、
R9、 R18は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
i j k 1
)である。
R10、 R15、 R17は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
i j k 1
ある。)である。
[0068] ここで、本発明で用いられる下記式 (X)に力かる化合物は、例えば(1—メチル )(2
ーァミノ)一(5メチルァミノ)ピロリジン等を例示することができる。
[0069] [化 30] 含窒素化合物(X )
:で、式 (X)中、
Rは、 CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
ある。
R13、 R14、 R16、 R19は、 -CH O N (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0
i j k 1
〜5である。)である。
[0070] ここで、本発明で用いられる下記式 (XI)に力かる化合物は、例えば (1 メチル )(2 —アミノエチルァミノ)ピロリジン等を例示することができる。
[0071] [化 31] 含窒素化合物 (X I )
R17
:で、式 (XI)中、
R9、 R18は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である
i j k 1
)である。
Rl R"、 R は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
ある。)である。
[0072] ここで、本発明で用いられる下記式 (XII)に力かる化合物は、例えば (1—アミノメチ ル) (4—メチルァミノ)ピぺリジン等を例示することができる。
[0073] [化 32]
NH2― R21-N R14-N— R16
R17
ここで、式 (XII)中、
R9、 R21は、 CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
i j k 1
)である。
R"、 R16、 R17は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
i j k 1
ある。)である。
[0074] ここで、本発明で用いられる下記式 (XIII)に力かる化合物は、例えば (1 メチル アミノエチル) 4 -アミノビペリジン等を例示することができる。
[0075] [化 33]
含窒素化合物(χπ)
R17
:で、式 (xm)中、
R9、 R18は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。
i j k 1
)である。
R"、 R16、 R17は、 CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
i j k 1
ある。)である。
[0076] ここで、本発明で用いられる下記式 (XIV)に力かる化合物は、例えば 4 アミノビ ペリジン等を例示することができる。
[0077] [化 34]
含窒素化合物(X IV)
N τ^22 ρ23
R24 -NH2
ここで、式 (XIV)中、
R22は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
ある。
R23、 R24は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である
i j k 1
。)である。
[0078] ここで、本発明で用いられる下記式 (XV)に力かる化合物は、例えば (1—アミノメ チル)ピぺリジン等を例示することができる。
[0079] [化 35]
含窒素化合物(X V )
R23— R26
N
R25 _NH
:で、式 (XV)中、
R25は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
める。
R 、 R は、一 CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である
i j k 1
。)である。
[0080] ここで、本発明で用いられる下記式 (XVI)に力かる化合物は、例えば N—メチルー
2アミノビペリジン等を例示することができる。
[0081] [化 36]
含窒素化合物(XVI)
:で、式 (XVI)中、
R23、 R27、 R28は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
i j k 1
ある。)である。
[0082] ここで、本発明で用いられる下記式 (XVII)に力かる化合物は、例えば Ν,Νジアル キル- 4アミノビペリジン等を例示することができる。
[0083] [化 37]
含窒素化合物(XVI I )
ここで、式(χνπ)中、
R22は、 -CH O Ν (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
める。
R23、 R24、 R27、 R29は、 -CH O N (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0
i j k 1
〜5である。)である。
[0084] ここで、本発明で用いられる下記式 (XVIII)に力かる化合物は、例えば (Nアルキル アミノメチル)ピぺリジン等を例示することができる。
[0085] [化 38]
含窒素化合物(X VI H)
R23一 R26
N
R25— NH— R29
:で、式(xvm)中、
R は、 -CH O N (ここで、 i=0〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で
i j k 1
ある。
R23、 R26、 R29は、 -CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5で
i j k 1
ある。)である。
[0086] ここで、本発明で用いられる下記式 (XIX)に力かる化合物は、例えば (Nアルキル —4アミノアルキル)ピぺリジン等を例示することができる。
[0087] [化 39]
含窒素化合物(X K )
R23 _ R27 _NH _R29
N
、R28
ここで、式(XIX)中、
R23、 R27、 R28、 R29は、 -CH O N (ここで、 i= 1〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0
i j k 1
〜5である。)である。
[0088] ここで、本発明で用いられる下記式 (XX)に力かる化合物は、例えば (1—メチル-ァ ミノェチル )(4ーメチル)ピぺラジン等を例示することができる。
[0089] [化 40] 含窒素化合物 (X X )
R32
N
X R33-NH-R34
ここで、式 (xx)中、
R30、 R32、 R33、 R34は、—CH O N (: :で、 i=0〜10、 j = 0
i j k 1
〜5である。)である。
R31は、 CH O N (ここで、 i= l〜10、 j = 0〜26、 k=0〜5、 1=0〜5である。)で i j k 1
ある。
[0090] ここで、本発明のガスとの接触に用いる第 1の吸収液中のアミン成分の濃度として は、第 1の化合物成分が 15重量%以上、 45重量%以下の範囲で含むと共に、第 2 の化合物成分が 15重量%以上、 45重量%以下の範囲で含み、且つ全体で 30重量 %を超え、 90重量%以下とするのが好ましい。また、両者の配合量は、より好ましくは 40〜70重量%の範囲とするのが好まし!/、。
[0091] これは、後述する実施例に示すように、これらの範囲外であると、粘度の上昇が抑 えられないからである。また、吸収容量性能'吸収反応熱性能における飛躍的な向上 に寄与しないからである。
[0092] 一方、ァミン以外の成分は、通常、水である力 他の溶媒でも良ぐまたそれらの混 合物でも良い。さらに、必要に応じて腐食防止剤、劣化防止剤などが加えられる。
[0093] 本発明において、ガスとの接触時の第 1の吸収液の温度は、通常 30〜70°Cの範 囲である。
[0094] 本発明が適用できるガス条件は、全圧が大気圧近傍で CO濃度が 10%のものに
代表されるが、これに限定されるものではない。
[0095] 本発明により処理されるガスとしては、例えば石炭ガス化ガス、合成ガス、コータス 炉ガス、石油ガス、天然ガス等を挙げることができる力 これらの限定されるものでは なぐ CO又は H S等の酸性ガスを含むガスであれば、いずれのガスでもよい。
2 2
[0096] 本発明のガス中の CO又は H S又はその双方を除去する方法で採用できるプロセ
2 2
スは、特に限定されないが、 COを除去する除去装置の一例について図 1を参照し
2
つつ説明する。
[0097] 図 1は CO除去装置の概略図である。図 1に示すように、ガスは、 CO含有ガス供給
2 2
口 4を通って、吸収塔 1へ導かれる。吸収塔 1に押し込められた該ガスは、ノズル 7力 ら供給される CO吸収液と充填部 2で向流接触させられ、ガス中の COは、吸収液に
2 2
より吸収除去され、ガスは、脱 COガス排出口 5から排出される。吸収塔 1に供給され
2
る吸収液は、 COを吸収し、熱交換器 14、加熱器 8に送られ、加熱されて再生塔 15
2
に送られる。該再生塔 15では、前記吸収液はノズル 16より充填部 17を経て、下部に 流れる。この間に COが脱離して吸収液が再生する。再生した吸収液は、ポンプ 9に
2
よって熱交換器 14、吸収液冷却器 26を経て、吸収液供給口 6から吸収塔 1に戻され る。
一方、再生塔 15の上部において、吸収液力 分離された COは、ノズル 18力 供
2
給される還流水と接触し、再生塔還流冷却器 23により冷却され、還流ドラム 21にて C Oに同伴した水蒸気が凝縮した還流水と分離し、回収 COライン 22より CO回収ェ
2 2 2 程に導かれる。還流水は、還流水ポンプ 20で再生塔 15に送られる。なお、この実施 の形態では、あくまでその概要を説明するものであり、付属する機器を一部省略して 説明している。
[0098] 本発明に力かる第 1の吸収液を上述した CO除去装置の吸収液として用いることに
2
より、効率的な COの吸収除去を行うことができる。
2
[0099] また、本発明にかかる第 2の吸収液として、第 1の化合物成分と、分子内に 1級、 2 級、 3級の窒素を少なくとも 2種類以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒素 化合物からなる第 2の化合物成分とからなる第 1の吸収液以外に、さらに、環内に窒 素を 1つ有する環状アミン物力 なるものを用いるようにしてもょ 、。
[0100] ここで、前記環内に窒素を 1つ有する環状ァミンとしては、 5員環、 6員環又は 7員環 内に窒素を 1つ有する環状ァミンであることが好ましい。
前記 5員環、 6員環又は 7員環内に窒素を 1つ有する環状ァミンとしては、下記「化 4
1」に示すピロリジン(Pyrrolidine: PR)、下記「ィ匕 42」に示すピぺリジン(Piperidine
: PZ)又はへキサメチレンィミン(Hexamethyleneimine: HMI)の!、ずれかを例示 することができる。
[0101] [化 41]
[0102] [化 42]
[0103] [化 43]
Η
[0104] また、前記環内に窒素を 1つ有する環状アミン物としては、環から分岐する置換基 に 1級の窒素を有するものであることが好ましい。
前記環力 分岐する置換基に 1級の窒素を有する含窒素化合物としては、例えば 下記「化 44」〜「化 49」に示すように、 5員環、 6員環、 7員環にアミノメチル基、ァミノ ェチル基を有するものを挙げることができる。
特に、下記「化 46」に示すアミノメチルビペリジン(4 (aminomethyl)—piperidi ne :AMPZ)又は下記「ィ匕 47」に示すアミノエチルピペリジン(4 (aminoethyl)—p iperidine :AEPZ)を用いると、 CO吸収速度が良好であるので好ましい。
[0105] [化 44]
[0106] [化 45]
[0107] [化 46]
[0108] [化 47]
[0110] [化 49]
H
[0111] さらに、前記環内に窒素を 1つ有する環状アミン物として、 5員環、 6員環又は 7員環 の!ヽずれかに水酸基を有する含窒素化合物であることが好ま ヽ。
前記 5員環、 6員環又は 7員環の 、ずれかに水酸基を有する含窒素化合物としては 、例えば下記「化 50」〜「化 52」に示すものを挙げることができ、特に前記「化 51」に 示すピぺジリノール (4 piperidinol: PDN)を用いると、 CO吸収速度が良好である
2
ので好ましい。
[0112] [化 50]
H
[0113] [化 51]
OH
[0115] 本発明の第 2の吸収液は、環状アミン単体又はこれらの混合物を用いることができ る力 さらには、前記環状ァミンのいずれか一つの吸収液と、前述した第 1の化合物 成分であるアルカノールァミンとを混合したものを吸収液としてもよい。
[0116] 前記アルカノールァミンとしては、特にモノエタノールァミン(MEA)、ェチルァミノ エタノール(EAE)、トリエタノールァミン、 N—メチルジェタノールァミン(MDEA)、 ジイソプロパノールァミン、ジグリコールァミンなどを挙げることができる力 通常モノェ タノールァミン(MEA)の!、ずれか一種又はこれらの混合物を挙げることができる。
[0117] ここで、本発明のガスとの接触に用いる吸収液中のアミン成分の濃度としては、前 記環状ァミンが 5重量%以上 30重量%以下の範囲で含むと共に、前記アル力ノール ァミンが 15重量%以上 45重量%以下の範囲で含み、且つ全体で 20重量%を超え 9 0重量%以下であることが好まし 、。
[0118] これは、これらの範囲外であると、粘度の上昇が抑えられないからである。また、吸 収容量性能,吸収反応熱性能における飛躍的な向上に寄与しないからである。
[0119] 一方、ァミン以外の成分は、通常水を用いているが、水以外の他の溶媒でも良ぐ またそれらの混合物でも良い。さらに、必要に応じて腐食防止剤、劣化防止剤などが 加えられる。
[0120] 本発明にお 、て、ガスとの接触時の吸収液の温度は、通常 30〜70°Cの範囲であ る。
[0121] 本発明が適用できるガス条件は、全圧が大気圧近傍で CO濃度が 10%のものに
2
代表されるが、これに限定されるものではない。
[0122] 本発明に力かる第 2の吸収液は、第 1の吸収液と同様に、前述した図 1に CO除去
2 装置の吸収液として用いることにより、効率的な COの吸収除去を行うことができる。
実施例
[0123] 以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。
[0124] <実施例 1〜実施例 3、比較例 1 1〜比較例 4 2>
反応熱計測装置 (カルべ型熱量計)のサンプル側、参照側の各ガラス製反応容器 に、第 1の化合物成分として 1級アミノ基を有するモノエタノールァミン (MEA)を 30重 量%、並びに第 2の化合物成分として、 1級、 2級、 3級アミノ基を有する 1 (2 アミ ノエチル)ピぺラジン (AEPRZ)を 30重量%含む水溶液を混合して吸収液とした(実 施例 1)。
[0125] また、第 1の化合物成分として、 2級アミノ基を有する 2 ェチルアミノエタノール (E AE)を 30重量%、並びに第 2の化合物成分として 1一(2 アミノエチル)ピぺラジン( AEPRZ)を 30重量%含む水溶液を混合して吸収液とした(実施例 2)。
[0126] また、第 1の化合物成分として、 3級アミノ基を有するメチルジェタノールァミン (MD EA)を 30重量%、並びに第 2の化合物成分として 1一(2 アミノエチル)ピぺラジン( AEPZ)を 30重量%含む水溶液を混合して吸収液とした (実施例 3)。
[0127] これらの実施例 1乃至 3にかかる吸収液を各々 5g入れ、恒温槽温度を 40°Cに設定 した。そして温度を 40°Cに保持しながら、試験ガスを大気圧下で 50mlZ分の流速で サンプル側、参照側の吸収液にパブリングにより接触させた。
ここで、試験ガスとしては、サンプル側には CO : 10モル0 /0、 N : 90モル0 /0の組成
2 2
を有する 40°Cのモデルガスを、参照側には N : 100モル%の 40°Cのガスを用いた。
2
[0128] 試験ガスを通気し続け、サンプル側と参照側で発生する熱量の時間微分値 (W)を 測定し、それらの差 (ヒートフロー)の時間変化力 CO吸収反応に伴う発熱量 (kj)を
2
算出した。ヒートフロー値がピークの 2%以下の値まで収束した時点を CO吸収反応
2 の終了 (飽和)点と判断し、通気開始力 終了までの時間を反応時間 (分)とした。反 応終了後の CO吸収液に含まれる COについて、 CO分析計 (全有機体炭素計)を
2 2 2
用いて測定し、吸収液の CO飽和吸収量 (molCO Zkg吸収液)を算出した。
2 2
[0129] 反応終了までの発熱量、反応時間、 CO飽和吸収量から、 CO吸収反応速度 (mo
2 2
ICO Zmin)、 CO吸収反応熱 (kjZmolCO )を算出した。
2 2 2
[0130] また、上記の複数アミン混合液のほ力、比較例として MEA、 EAE、 MDEA、 AEP
Zの各 30重量%及び 60重量%水溶液に対しても同様の試験を行った。
[0131] 前記実施例及び比較例にかかる CO飽和吸収量、 CO吸収反応速度、 CO吸収
2 2 2 反応熱の結果を、下記「表 1」に示す。
[0132] [表 1]
表 1
[0133] 「表 1」〖こ示すように、 MEA、 EAE、 MDEA, AEPRZ各々の 30重量0 /0の吸収液( 比較例 1 1、 2— 1、 3— 1、 4 1)と 60重量%の吸収液(比較例 1 2、 2— 2、 3— 2 、 4 2)の性能を比較すると、 CO飽和吸収量性能および CO反応熱性能はァミン
2 2
濃度に比例しておらず、ァミン 1種類のみを含む水溶液では、ァミン濃度増加による 性能向上は十分には見込めないことが明らかである。
[0134] 一方、 MEAと AEPRZとの混合吸収液(実施例 1)、 EAEと AEPRZとの混合吸収 液 (実施例 2)、及び MDEAと AEPRZとの吸収液 (実施例 3)では、同重量%濃度の アルカノールァミンおよびアミン化合物単独の水溶液(比較例 1 2、 2— 2、 3— 2、 4 - 2)に比べて CO吸収容量性能及び CO吸収反応熱性能ともに優れた結果を示し
た。
[0135] 例えば、実施例 2の EAE30重量%+AMPZ30重量%は、その構成成分単独から 成る比較例 2— 2の EAE60重量%に対して CO吸収容量が 20%増でかつ CO吸収
2 2 反応熱が 10%減であり、比較例 4 2の AEPRZ60重量%に対して CO吸収容量が
2
15%増でかつ CO吸収反応熱が 7%減と、混合効果による顕著な性能向上を実現
2
した。
[0136] COの回収に要するエネルギーの大部分は、 CO吸収容量性能が寄与する因子と
2 2
CO吸収反応熱性能が寄与する因子に支配されるため、本発明による上記の性能
2
向上により、大幅な省エネルギーが可能となる。
[0137] <実施例 5〜実施例 10、比較例 5〜6 >
前記「化 41」に示すピロリジン (Pyrrolidine: PR「実施例 5」 )、前記「化 42」に示す ピぺリジン(Piperidine: PZ「実施例 6」 )、前記「ィ匕 46」に示すアミノメチルビペリジン( 4— (Aaminomethyl)—piperidine : AMPZ「実施例 7」)、前記「ィ匕 43」に示すへキ サメチレンィミン(Hexamethyleneimine :HMI「実施例 8」)、前記「ィ匕 51」に示すピ ぺジリノール (4 piperidinol: PDN「実施例 9」 )の環状アミン単独からなる吸収液( 実施例 5〜9)と、 2級ァミンの EAEと AMPZとの混合物(50: 3)力もなる吸収液(実 施例 10)を用いて、吸収速度及び吸収速度比を求めた。
なお、比較例としては、アルカノールァミンとして 1級のモノエタノールァミン(MEA「 比較例 6」 )、 2級のェチルアミノエタノール (EAE「比較例 5」 )を用いて同様に評価し た。
また、吸収速度比は比較例 6の MEAを基準として求めた。
その結果を下記「表 2」に示す。なお、下記「表 2」にはァミン濃度、 CO分圧、 CO
2 2 吸収速度、吸収速度比を各々示す。
[0138] [表 2]
表 2
[0139] 「表 2」に示すように、実施例 5〜実施例 10の吸収液はいずれも比較例の MEA、 E
AEよりも吸収速度が良好であった。
[0140] <実施例 11〜実施例 12、比較例 7〉
また、この中において、 AMPZ (実施例 11)と PDN (実施例 12)を用いて気液平衡 を測定した。なお、比較例としては、 MEA「比較例 7」を用いて同様に評価した。 測定条件としては、吸収条件は、吸収塔の底部において、温度が 40°C、 CO分圧
2 が 9. 8kPaとした。一方、再生条件は、再生塔の底部において、温度が 120°C、 CO
2 分圧が 9. 8kPaとした。
この結果を下記「表 3」に示す。
[0141] [表 3]
表 3
吸収条件:吸収塔底部、温度 40°C、 C02分圧 9.8kPa
*2 再生条件:再生塔底部、温度 120°C、 C02分圧 9.8kPa
[0142] 「表 3」に示すように、気液平衡においても MEA (比較例 7)よりも COローデイング
2
において良好であり、 COの吸収及び再生が良好であることが確認できた。
産業上の利用可能性
[0143] 以上のように、本発明にかかる吸収液によれば、吸収液循環量の低減と、吸収した COを解離させるのに必要な熱量の低減が図れるため、各種ボイラ等のプラント設備 力も排出されるガス力もの CO (二酸ィ匕炭素)又は H S (硫ィ匕水素)の除去'回収に好
2 2
適に用いられる。