WO2007069446A1

WO2007069446A1 - 燃料噴射装置、これを備えたエンジン、および車両

Info

Publication number: WO2007069446A1
Application number: PCT/JP2006/323613
Authority: WO
Inventors: Koji Takasu; Yuji Oku
Original assignee: Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha
Priority date: 2005-12-14
Filing date: 2006-11-27
Publication date: 2007-06-21
Also published as: US20090229574A1; EP1970559A1; JP2007162573A

Abstract

　燃料噴射装置は、構成部品として、混合気噴射部、燃料供給部、燃料噴射装置ホルダ、介挿片、燃料導入部、および空気導入部を含む。燃料噴射装置ホルダは、供給された燃料と空気とを混合することにより混合気を生成する混合気室を内部に有し、一方の端部に混合部を備えるとともに、接続部を他方の端部に備える。また、燃料噴射装置ホルダは、空気導入部から導入された空気を混合気室へ導くとともに混合気室と接続部との間を延びる空気供給路を備える。燃料供給部と混合気噴射部とが燃料噴射装置ホルダを介して同軸上に一体となっている。

Description

明細書

燃料噴射装置、これを備えたエンジン、および車両

技術分野

[0001] 本発明は、燃料噴射装置、これを備えたエンジン、および車両に関する。

背景技術

[0002] 自動二輪車等の車両にぉヽては、従来の気化器に代えて、燃料供給手段として燃料噴射装置 (インジェクタ)を備える燃料噴射式エンジンが搭載されてヽる。この燃料噴射装置を用いることにより、燃料制御が効率化され、排気ガスの清浄化、または低燃費等が実現されている。

[0003] このような燃料供給手段としての燃料噴射装置の中には、燃焼室に連通するノズルと、シリンダヘッドに取り付けられる空気燃料噴射弁と、この空気燃料噴射弁に接続されるとともに空気燃料噴射弁内に燃料を噴射する燃料噴射弁とから構成されてヽるものがある（例えば、特許文献 1参照)。

[0004] この燃料噴射装置においては、インジェクタハウジングがヘッドカバーに一体的に形成されるので、シリンダヘッドの周辺にインジェクタハウジングを構成する部材を配置する必要がなぐ部品点数の低減が図れる。

特許文献 1：特開 2004— 060610号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] し力しながら、上記特許文献 1に記載の空気燃料噴射式エンジンにお、ては、シリンダヘッドとヘッドカバーとの間に上記空気燃料噴射弁が挾持されている。そのため、空気燃料噴射弁をシリンダヘッドとヘッドカバーとに挾持するように取り付けた後に、燃料噴射弁をヘッドカバーに組み付ける必要がある。したがって、燃料噴射弁および空気燃料噴射弁の組み付けの作業性が悪、。

[0006] また、シリンダヘッドに取り付けられる燃料噴射弁に対してシリンダヘッドとヘッド力バーとに挾持される空気燃料噴射弁を正確に位置決めすることは困難である。

[0007] さらに、シリンダヘッドとヘッドカバーとの間の空間における構造の十分な簡単化、および燃料噴射弁と空気燃料噴射弁とからなる燃料噴射装置の剛性の向上が実現されていない。

[0008] 本発明の目的は、位置決め性、組み付け性および剛性が向上された燃料噴射装置を提供することである。

[0009] 本発明の他の目的は、構造が簡単ィ匕されたエンジンおよびこれを備えた車両を提供することである。

課題を解決するための手段

[0010] (1)本発明の一局面に従う燃料噴射装置は、燃料と空気との混合気を噴射する燃料噴射装置であって、燃料を噴射する燃料噴射部と、燃料噴射部により噴射された燃料と空気とを混合することにより混合気を生成する混合気室と、混合気室により生成された混合気を噴射する混合気噴射部と、燃料噴射部および混合気噴射部を保持する保持部材とを備えたものである。

[0011] その燃料噴射装置においては、燃料噴射部により燃料が噴射され、混合気室により噴射された燃料と空気とが混合されることによって混合気が生成される。また、混合気室により生成された混合気が混合気噴射部により噴射される。燃料噴射部および混合気噴射部は保持部材により保持される。

[0012] このように、燃料噴射部および混合気噴射部が保持部材により一体化されていることによって、燃料噴射部と混合気噴射部との位置決めが不要となる。また、当該燃料噴射装置をエンジンに取り付ける場合には、燃料噴射部と混合気噴射部とを一体的に取り扱うことができる。さらに、燃料噴射装置はエンジンと別体であるので、エンジンの組み立て後に当該燃料噴射装置を取り付けることができる。これらにより、燃料噴射部および混合気噴射部の組み付け作業性が向上する。

[0013] また、燃料噴射部と混合気噴射部との位置関係が保持部材により固定されることにより、燃料噴射部と混合気噴射部との位置関係がエンジンの他の部材の位置により影響されない。それにより、燃料噴射部と混合気噴射部との位置精度が向上する。

[0014] また、燃料噴射部と混合気噴射部とが保持部材により一体的に保持されることにより、燃料噴射装置の剛性が向上するとともに混合気の気密性も向上する。

[0015] さらに、燃料噴射部と混合気噴射部とが保持部材により一体的に保持されることにより、エンジンの構造が単純ィ匕およびコンパクトィ匕される。

[0016] (2)燃料噴射部と混合気噴射部とは同軸上に設けられてもよい。この場合、小型化が実現されるとともに、混合気が効率良く噴射される。

[0017] (3)混合気室は燃料噴射部の下流側に設けられ、混合気噴射部は混合気室の下流側に設けられてもよい。

[0018] この場合、燃料噴射部と混合気噴射部との間に混合気室が設けられることにより、燃料噴射部、混合気室、および混合気噴射部が一列に配置される。それにより、ェンジンの構造が簡単化され、小型化を図ることができる。

[0019] (4)保持部材は、混合気室に空気を供給する空気供給路を有してもよ!ヽ。この場合

、エンジン内部に空気供給路を別途配置する必要がない。それにより、エンジン内部の構造が単純化されるとともに、組み付け作業性が向上する。さらに、空気供給路と混合気室とのシール性も向上する。

[0020] (5)保持部材の空気供給路は、混合気室から燃料噴射部の側面に沿って延びるように配置されてもよい。この場合、エンジンの小型化およびコンパクトィ匕をより図ることができる。

[0021] (6)燃料噴射部は、混合気室側の先端部に燃料噴射弁を有し、後端部に燃料の供給口を有してもよい。

[0022] この場合、エンジンのヘッドカバーの外部から燃料噴射部の後端部の供給口に容易に燃料を供給することができる。それにより、エンジン内部の構造が複雑ィ匕しない。

[0023] (7)混合気室は、燃料噴射部の先端部、混合気噴射部および保持部材により囲まれる空間に形成されてもよい。

[0024] この場合、構造がさらに簡単ィ匕され、小型化およびコンパクトィ匕をさらに図ることができる。

[0025] (8)本発明の他の局面に従うエンジンは、燃料噴射装置を備え、燃料噴射装置は、燃料を噴射する燃料噴射部と、燃料噴射部により噴射された燃料と空気とを混合することにより混合気を生成する混合気室と、混合気室により生成された混合気を噴射する混合気噴射部と、燃料噴射部および混合気噴射部を保持する保持部材とを含むものである。 [0026] 上記の燃料噴射装置においては、燃料噴射部により燃料が噴射され、混合気室により噴射された燃料と空気とが混合されることによって混合気が生成される。また、混合気室により生成された混合気が混合気噴射部により噴射される。燃料噴射部および混合気噴射部は保持部材により保持される。

[0027] このように、燃料噴射部および混合気噴射部が保持部材により一体化されていることによって、燃料噴射部と混合気噴射部との位置決めが不要となる。また、当該燃料噴射装置をエンジンに取り付ける場合には、燃料噴射部と混合気噴射部とを一体的に取り扱うことができる。さらに、燃料噴射装置はエンジンと別体であるので、エンジンの組み立て後に当該燃料噴射装置を取り付けることができる。これらにより、燃料噴射部および混合気噴射部の組み付け作業性が向上する。

[0028] また、燃料噴射部と混合気噴射部との位置関係が保持部材により固定されることにより、燃料噴射部と混合気噴射部との位置関係がエンジンの他の部材の位置により影響されない。それにより、燃料噴射部と混合気噴射部との位置精度が向上する。

[0029] また、燃料噴射部と混合気噴射部とが保持部材により一体的に保持されることにより、燃料噴射装置の剛性が向上するとともに混合気の気密性も向上する。

[0030] さらに、燃料噴射部と混合気噴射部とが保持部材により一体的に保持されることにより、エンジンの構造が単純ィ匕およびコンパクトィ匕される。

[0031] このような燃料噴射装置が用いられているので、エンジンの構造が簡単ィ匕されるとともにエンジンの組み立て作業性が容易となる。また、エンジンの燃料噴射装置の位置決め性が向上する。それにより、エンジンの軽量化、低コストィ匕および高性能化を図ることができる。

[0032] (9)本発明のさらに他の局面に従う車両は、エンジンと、当該エンジンによって発生される動力により駆動される駆動輪とを備え、エンジンは、燃料噴射装置を有し、当該燃料噴射装置は、燃料を噴射する燃料噴射部と、燃料噴射部により噴射された燃料と空気とを混合することにより混合気を生成する混合気室と、混合気室により生成された混合気を噴射する混合気噴射部と、燃料噴射部および混合気噴射部を保持する保持部材とを含むものである。

[0033] その車両にお、ては、駆動輪はエンジンによって発生される動力により駆動される [0034] 上記の燃料噴射装置においては、燃料噴射部により燃料が噴射され、混合気室により噴射された燃料と空気とが混合されることによって混合気が生成される。また、混合気室により生成された混合気が混合気噴射部により噴射される。燃料噴射部および混合気噴射部は保持部材により保持される。

[0035] このように、燃料噴射部および混合気噴射部が保持部材により一体化されていることによって、燃料噴射部と混合気噴射部との位置決めが不要となる。また、当該燃料噴射装置をエンジンに取り付ける場合には、燃料噴射部と混合気噴射部とを一体的に取り扱うことができる。さらに、燃料噴射装置はエンジンと別体であるので、エンジンの組み立て後に当該燃料噴射装置を取り付けることができる。これらにより、燃料噴射部および混合気噴射部の組み付け作業性が向上する。

[0036] また、燃料噴射部と混合気噴射部との位置関係が保持部材により固定されることにより、燃料噴射部と混合気噴射部との位置関係がエンジンの他の部材の位置により影響されない。それにより、燃料噴射部と混合気噴射部との位置精度が向上する。

[0037] また、燃料噴射部と混合気噴射部とが保持部材により一体的に保持されることにより、燃料噴射装置の剛性が向上するとともに混合気の気密性も向上する。

[0038] さらに、燃料噴射部と混合気噴射部とが保持部材により一体的に保持されることにより、エンジンの構造が単純ィ匕およびコンパクトィ匕される。

[0039] 本発明の車両においては、上記のような構成の燃料噴射装置を有するエンジンが用られているので、構造が簡単化されるとともに車両の組み立て作業性が容易となる。それにより、車両の軽量ィ匕および低コストィ匕を図ることができる。また、車両の燃料噴射装置の位置決め性が向上し、燃焼室へ適正な混合気の噴霧を供給することができる。それにより、車両の高性能化を図ることができる。

発明の効果

[0040] 本発明に係る燃料噴射装置によれば、位置決め性、組み付け性、および剛性が向上される。

[0041] また、本発明に係るエンジンおよび車両によれば、それらの構造が簡単化されるとともに軽量化、低コストィ匕および高性能化を図ることができる。図面の簡単な説明

[0042] [図 1]図 1は本実施の形態に係るエンジンの縦断面図である。

[図 2]図 2は図 1のエンジンの横断面図である。

[図 3]図 3は本実施の形態に係る燃料噴射装置を示す斜視図である。

[図 4]図 4は図 3の燃料噴射装置の一部断面図である。

[図 5]図 5はシリンダヘッドにカムキャップが取り付けられた状態を示す斜視図である。

[図 6]図 6は図 5のカムキャップの構成を示す斜視図である。

[図 7]図 7は図 6のカムキャップの詳細図である。

[図 8]図 8はシリンダヘッド、カムキャップ、および燃料噴射装置を組み立てた状態を示す斜視図である。

[図 9]図 9は図 8の状態にヘッドカバーが取り付けられた状態を示す斜視図である。

[図 10]図 10は本実施の形態に係る燃料噴射装置を含むエンジンを備えた自動二輪車の模式図である。

発明を実施するための最良の形態

[0043] 以下、本発明の実施の形態に係る燃料噴射装置 (インジェクタ）について説明する

[0044] (1)エンジンの全体

最初に、本実施の形態に係る燃料噴射装置が取り付けられるエンジンの構成について簡単に説明する。

[0045] 図 1は、本実施の形態に係るエンジン 100の縦断面図である。

[0046] 図 1〖こ示すよう〖こ、エンジン 100はシリンダ 10を備える。シリンダ 10内にピストン 11 が上下に往復動可能に設けられる。

[0047] シリンダ 10上にはシリンダヘッド 12が設けられている。シリンダ 10およびシリンダへッド 12により燃焼室 12aが形成される。

[0048] また、シリンダヘッド 12上にカムキャップ 33がノックピン 21を介して取り付けられる。

シリンダヘッド 12の上部は、例えばゴム力もなる弾性部材 41を介して例えばアルミ- ゥム、マグネシウム、軽合金、繊維材、または榭脂等力もなるヘッドカバー 13により覆われている。なお、上記カムキャップ 33の構成については後述する。 [0049] シリンダヘッド 12の一方の側部から中央下部に向力つて傾斜するように吸気ポート 20が形成されている。

[0050] シリンダヘッド 12の吸気ポート 20の上流側につながるようにスロットルボディ（図示せず）が設けられている。スロットルボディおよび当該スロットルボディに取り付けられた図示しないファンネルが吸気管を構成する。なお、スロットルボディ内には、図示しないスロットル弁が吸気ポート 20の中心軸と交差する水平軸を中心に回動可能に設けられる。

[0051] 吸気ポート 20の下端開口には、吸気弁 14が設けられている。この吸気弁 14は傘部 14aを有する。この吸気弁 14は、スプリング 16により傘部 14aが吸気ポート 20の下端開口を閉じる方向（斜め上方向）に付勢されている。吸気弁 14の上端部には吸気カム 18が回転可能に設けられている。吸気カム 18が回転することにより吸気弁 14が開閉する。

[0052] シリンダヘッド 12の他方の側部から中央下部に延びるように排気ポート 32が形成されている。

[0053] 排気ポート 32の下端開口には、排気弁 15が設けられている。この排気弁 15は傘部 15aを有する。排気弁 15は、スプリング 17により傘部 15aが排気ポート 32の下端開口を閉じる方向 (斜め上方向）に付勢されている。排気弁 15の上端部には排気力ム 19が回転可能に設けられている。排気カム 19が回転することにより排気弁 15が開閉する。

[0054] ここで、図 1において、ヘッドカバー 13の中央部に設けられた後述の図 2に示す孔部 13aを介して燃焼室 12a内に向カゝつて延びるように、燃料を噴射する燃料噴射装置 1が設けられる。なお、燃料噴射装置 1の構成の詳細については後述する。

[0055] 図 2は、図 1のエンジン 100の横断面図である。

[0056] 図 2に示すように、ヘッドカバー 13には燃料噴射装置 1が挿入される孔部 13aが設けられている。

[0057] ここで、本実施の形態においては、燃料噴射装置 1はヘッドカバー 13の孔部 13aを介してその先端部が燃焼室 12aに通ずるように設けられるとともに、当該燃料噴射装置 1の上部が後述のカムキャップ 33上に固定される。詳細については後述する。なお、カムキャップ 33は、吸気カム 18および排気カム 19がそれぞれ取り付けられた各カムシャフトを固定するためのものであり、図 2においては図示していない。カムキヤップ 33については後述する。

[0058] また、図 2において、燃焼室 12a内に通ずるように点火プラグ 2が設けられる。

[0059] (2)燃料噴射装置の構成

続いて、本実施の形態に係る燃料噴射装置 1について図面を参照しながら説明する。図 3は、本実施の形態に係る燃料噴射装置 1を示す斜視図である。図 3 (a)は、燃料噴射装置 1を分解した各構成部を示し、図 3 (b)は、各構成部を組み立てた燃料噴射装置 1の全体を示す。

[0060] 図 3 (a)に示すように、本実施の形態に係る燃料噴射装置 1は、構成部品として、混合気噴射部 3、燃料供給部 4、燃料噴射装置ホルダ 5、介揷片 6、燃料導入部 7、および空気導入部 8を含む。

[0061] 燃料噴射装置ホルダ 5は、供給された燃料と空気とを混合することにより混合気を生成する混合気室 5aを内部に有し、一方の端部に混合部 51を備えるとともに、接続部 5bを他方の端部に備える。接続部 5bには、燃料導入部 7および空気導入部 8がそれぞれ介揷片 6を介して接続される。なお、燃料導入部 7は図示しない配管を介して図示しない燃料供給源に接続され、空気導入部 8は図示しない配管を介して図示しな、空気供給源に接続されてヽる。

[0062] また、燃料噴射装置ホルダ 5は、空気導入部 8から導入された空気を混合気室 5a へ導くとともに混合気室 5aと接続部 5bとの間を延びる空気供給路 5cを備える。すなわち、空気が通過する空気供給路 5cと混合気室 5aとは一体的に形成される。混合気噴射部 3は、混合部 51の一方の端部に取り付けられる。それにより、混合気噴射部 3と燃料供給部 4とが燃料噴射装置ホルダ 5を介して一体となる。

[0063] 燃料供給部 4は管状に形成され、この管内に燃料が導かれ混合部 51内の混合気室 5aに供給される。また、燃料供給部 4の一方の端部は混合部 51の他方の端部に取り付けられ、他方の端部は接続部 5bに取り付けられる。すなわち、燃料が通過する燃料供給部 4と混合気室 5aとは別個に形成される。

[0064] 混合気噴射部 3は配線接続部 3aを有し、燃料供給部 4は配線接続部 4aを有する。 [0065] 図 3 (b)に示すように、本実施の形態に係る燃料噴射装置 1は、上記のような燃料を供給するための燃料供給部 4と、空気を供給するための燃料噴射装置ホルダ 5とが一体的に形成されユニットィ匕されたものである。

[0066] 図 4は、図 3の燃料噴射装置 1の一部断面図である。図 4 (a)および図 4 (b)は燃料噴射装置 1の互いに直交する方向における縦断面図を示す。なお、図 4 (a)においては、構成部品の図示を一部省略している。

[0067] 図 4 (a)に示すように、燃料噴射装置 1の接続部 5bは、燃料導入部 7および空気導入部 8が取り付けられる方向と垂直な方向に突出する 2つの固定部 52を有する。

[0068] 上記固定部 52がボルト B1により後述のカムキャップ 33に固定される。このように、燃料噴射装置 1の固定部 52をボルト B1により固定するだけで、燃料噴射装置 1の位置決めが行える。詳細については後述する。

[0069] 図 4 (b)において、燃料導入部 7内には燃料導入路 7aが形成され、空気導入部 8 内には空気導入路 8aが形成されている。この空気導入路 8aは空気供給路 5cに連通し、空気導入路 8aおよび空気供給路 5cに流入する空気が混合気室 5aに供給される。

[0070] また、図 4 (b)に示すように、燃料供給部 4は、その下流側の端部に燃料噴射弁 4b を備えるとともに、その上流側の端部に燃料が供給される燃料供給口 4cを備える。混合気噴射部 3は、その下流側の端部に混合気噴射弁 3bを備える。

[0071] 本実施の形態では、上記の燃料噴射弁 4bと混合気噴射弁 3bとが同軸上に設けられている。それにより、小型化が実現されるとともに、混合気室 5aにおいて燃料と空気との混合気が混合気噴射弁 3bから効率よく噴射される。

[0072] さらに、燃料供給部 4の下流側に混合気室 5aが設けられ、混合気室 5aの下流側に混合気噴射部 3が設けられてヽる。

[0073] このように、燃料供給部 4と混合気噴射部 3との間に混合気室 5aが設けられることにより、燃料供給部 4、混合気室 5、および混合気噴射部 3がー列に配置される。それにより、構造が簡単化され、小型化を図ることができる。また、混合気室 5aにおいてさらに効率よく混合気が生成されるとともに、生成された混合気が混合気噴射部 3の混合気噴射弁 3bからさらに効率よく噴射される。 [0074] なお、混合気噴射弁 3bの開閉動作は配線接続部 3aに接続された図示しな、配線を介して図示しない制御部により制御され、燃料噴射弁 4bの開閉動作は配線接続部 4aに接続された図示しな、配線を介して上記制御部により制御されて！ヽる。

[0075] (3)カムキャップの構成

次に、本実施の形態に係る燃料噴射装置 1が固定されるカムキャップ 33について説明する。

[0076] 図 5は、シリンダヘッド 12にカムキャップ 33が取り付けられた状態を示す斜視図である。

[0077] 図 5に示すように、カムキャップ 33が複数のボルト B2によりシリンダヘッド 12の上部に取り付けられる。

[0078] また、シリンダヘッド 12の側部には、点火プラグ 2が挿通される揷通孔 22が設けられている。なお、図 5においては、点火プラグ 2は図示していない。

[0079] 続いて、カムキャップ 33の構成について図面を参照しながら説明する。図 6は、図 5 のカムキャップ 33の構成を示す斜視図である。

[0080] 図 6に示すように、カムキャップ 33は、燃料噴射装置固定台座 34を備える。

[0081] 燃料噴射装置固定台座 34は、固定部取り付け部 34aおよび長穴形状の開口部 34 bを有する。この固定部取り付け部 34aに図 4 (a)の燃料噴射装置 1の固定部 52がボルト B1により固定されると同時に、開口部 34b内に燃料噴射装置 1が挿入される。

[0082] また、燃料噴射装置固定台座 34は、図 6のカムシャフトを固定するカムシャフト固定部 35を有する。本実施の形態では、燃料噴射装置固定台座 34の各側方に 2つずつ上記カムシャフト固定部 35が、長穴形状を有する上記開口部 34bの長さ方向と垂直をなすようにそれぞれ設けられる。このような構成において、一方の側方に設けられた 2つのカムシャフト固定部 35により一のカムシャフト（図示せず）が固定され、他方の側方に設けられた 2つのカムシャフト固定部 35により他のカムシャフト（図示せず）が固定される。なお、本実施の形態では、燃料噴射装置固定台座 34および各力ムシャフト固定部 35は、铸造等により一体的に形成される。

[0083] さらに、各カムシャフト固定部 35には、図 1のヘッドカバー 13を当該各カムシャフト固定部 35に取り付けるための複数（図 6では 4つ）のネジ部 35aと、当該各カムシャフト固定部 35を図 5のシリンダヘッド 12に取り付ける際に、ボルト B2が挿通される複数 ( 図 6では 8つ：一部図示せず）の孔部 35bとを有する。

[0084] 図 7は、図 6のカムキャップ 33の詳細図である。図 7 (a)は、カムキャップ 33の上面図を示し、図 7 (b)は、図 7 (a)におけるカムキャップ 33の A— A線断面図を示す。

[0085] 図 7 (b)に示すように、カムキャップ 33の各カムシャフト固定部 35は、カムシャフトに当接する断面半円形状の当接部 35cをそれぞれ有する。この各当接部 35cが力ムシャフトの面上に当接することにより、カムシャフトがカムキャップ 33に固定される。

[0086] (4)組み立て (ASSY)状態

次に、シリンダヘッド 12、ヘッドカバー 13、カムキャップ 33、および燃料噴射装置 1 の組み立てについて説明する。

[0087] 図 8は、シリンダヘッド 12、カムキャップ 33、および燃料噴射装置 1を組み立てた状態を示す斜視図である。また、図 9は、図 8の状態にヘッドカバー 13が取り付けられた状態を示す斜視図である。なお、図 8においては、カムシャフトは図示されていない

[0088] 図 8に示すように、まず、カムキャップ 33が複数のボルト B2によりシリンダヘッド 12 の上部に取り付けられる。なお、図 8においては、組み立ての順序として、燃料噴射装置 1はこの段階でまだ組み付けな、が、理解の容易化のために図示して、る。

[0089] 続いて、図 9に示すヘッドカバー 13が複数のボルト B3によりカムキャップ 33に取り付けられる。ヘッドカバー 13には、カムキャップ 33のネジ部 35aに対応する複数の孔部が設けられており、これらの孔部を介して複数のボルト B3によりヘッドカバー 13がカムキャップ 33のカムシャフト固定部 35に取り付けられる。

[0090] 本実施の形態においては、シリンダヘッド 12とヘッドカバー 13との間には例えばゴム等の弾性部材 41が設けられる。このように、シリンダヘッド 12とヘッドカバー 13とが互いに弾性部材 41を介して当接することにより、振動がヘッドカバー 13により吸収されるとともに、燃料噴射装置 1および図示しないバルブ駆動装置等力発生する音（例えば、放射音)もヘッドカバー 13により吸収される。このような構成により、防音および防振を図ることが可能となる。

[0091] 図 9において、ヘッドカバー 13は、図 1で述べたように、燃料噴射装置 1が挿入されるための孔部 13aを備える。

[0092] 次に、上記のような構成において、燃料噴射装置 1が上記孔部 13aに挿入されるとともに、燃料噴射装置 1の固定部 52がボルト B1によりヘッドカバー 13の下方のカムキャップ 33における固定部取り付け部 34a (図 6)に取り付けられる。

[0093] (5)本実施の形態における効果

(5— 1)燃料噴射装置の構成により奏される効果

本実施の形態にぉヽては、燃料供給部 4および混合気噴射部 3が燃料噴射装置ホルダ 5により保持される。

[0094] このように、燃料供給部 4および混合気噴射部 3が燃料噴射装置ホルダ 5により一体化されていることによって、燃料供給部 4と混合気噴射部 3との位置決めが不要となる。

[0095] また、燃料噴射装置 1をエンジン 100に取り付ける際には、燃料供給部 4と混合気噴射部 3とを一体的に取り扱うことができる。さらに、燃料噴射装置 1はエンジン 100と別体であるので、エンジン 100の組み立て後に当該燃料噴射装置 1を取り付けることができる。これらにより、燃料供給部 4および混合気噴射部 3の組み付け作業性が向上する。

[0096] また、燃料供給部 4と混合気噴射部 3との位置関係が燃料噴射装置ホルダ 5により固定されることにより、燃料供給部 4と混合気噴射部 3との位置関係がエンジン 100の他の部材の位置により影響されない。それにより、燃料供給部 4と混合気噴射部 3との位置精度が向上する。

[0097] また、燃料供給部 4と混合気噴射部 3とが燃料噴射装置ホルダ 5により一体的に保持されることにより、燃料噴射装置 1の剛性が向上する。

[0098] さらに、燃料供給部 4と混合気噴射部 3とが燃料噴射装置ホルダ 5により一体的に保持されることにより、構造が単純化およびコンパクト化される。

[0099] また、本実施の形態では、燃料噴射装置ホルダ 5は、混合気室 5aに空気を供給する空気供給路 5cを有することにより、エンジン 100内部に空気供給路 5cを別途配置する必要がない。それにより、エンジン 100内部の構造が単純ィ匕されるとともに、組み付け作業性が向上する。さらに、空気供給路 5cと混合気室 5aとのシール性も向上する。

[0100] また、燃料噴射装置ホルダ 5の空気供給路 5cは混合気室 5aから燃料供給部 4の側面に沿って延びるように配置されていることにより、小型化およびコンパクトィ匕をより図ることがでさる。

[0101] また、燃料供給部 4は、混合気室 5a側の先端部に燃料噴射弁 4bを有し、後端部に燃料供給口 4cを有することにより、エンジン 100のヘッドカバー 13の外部から燃料供給口 4cに容易に燃料を供給することができる。それにより、エンジン 100内部の構造が複雑ィ匕しない。

[0102] さらに、混合気室 5aは、燃料供給部 4の先端部、混合気噴射部 3および燃料噴射装置ホルダ 5により囲まれる空間に形成されていることにより、構造がさらに簡単ィ匕され、小型化およびコンパクトィ匕をさらに図ることができる。

[0103] (5— 2)燃料噴射装置をカムキャップに固定することにより奏される効果

本実施の形態においては、まず、シリンダヘッド 12上にカムキャップ 33がノックピン 21を介して複数のボルト B2により取り付けられる。それにより、シリンダヘッド 12に対するカムキャップ 33の位置決め性が確保される。

[0104] そして、上記のように、位置決め性が確保されたカムキャップ 33の燃料噴射装置固定台座 34に燃料噴射装置 1が複数のボルト B1により取り付けられる。このような構成により、燃料噴射装置 1の位置決め性および取り付けの剛性が向上される。

[0105] また、燃料噴射装置 1をカムキャップ 33の燃料噴射装置固定台座 34に取り付ける際には、シリンダヘッド 12に予め取り付けられたヘッドカバー 13に設けられた孔部 13 aに燃料噴射装置 1を挿入する。このように、ヘッドカバー 13に孔部 13aを設けることにより、燃料噴射装置 1をカムキャップ 33を介してシリンダヘッド 12に取り付けることができる。

[0106] このような構成によって、従来のように、シリンダヘッド 12へのヘッドカバー 13の取り付け精度が要求されない。したがって、カムキャップ 33の燃料噴射装置固定台座 34 に燃料噴射装置 1を取り付けることによって、燃料噴射装置 1の位置決め性が向上される。また、ヘッドカバー 13において燃料噴射装置 1を保持するインジェクタハウジング等を設けていないので、構造が簡単ィ匕されるとともに、ヘッドカバー 13の軽量ィ匕が実現される。

[0107] さらに、本実施の形態では、従来のように、シリンダヘッド 12に対するヘッドカバー 1 3の位置決め性を確保する必要がないので、ノックピン等によりヘッドカバー 13をシリンダヘッド 12に強固に固定する必要もない。このような構成を利用し、シリンダヘッド 12とヘッドカバー 13との間にゴム等力もなる弾性部材 41を設ける。それにより、振動がヘッドカバー 13により吸収されるとともに、燃料噴射装置 1および図示しないバルブ駆動装置等力も発生する音 (例えば、放射音)もヘッドカバー 13により吸収される。これにより、防音および防振を図ることが可能となる。

[0108] (6)燃料噴射装置を含むエンジンを備えた自動二輪車

図 10は、上記実施の形態に係る燃料噴射装置 1を含むエンジン 100を備えた自動二輪車の模式図である。

[0109] 図 10に示すように、自動二輪車 200においては、本体部 60の前方にヘッド部 61が設けられて、る。ヘッド部 61にフロントフォーク 62が左右方向に揺動可能に設けられている。

[0110] フロントフォーク 62の下端に前輪 63が回転可能に支持されている。ヘッド部 61の上端にはハンドル 64が取り付けられて!/、る。

[0111] 本体部 60の上部において、メインシート 65aおよびタンデムシート 65bが設けられている。また、本体部 60の下方にはエンジン 100が設けられている。当該エンジン 1 00および図示しな、リアアーム等を介して後輪 66が回転可能に支持されて、る。ェンジン 100の動力により後輪 66が駆動される。なお、本体部 60内でメインシート 65a およびタンデムシート 65bの下方に収納ボックス 67が設けられている。

[0112] 図 10の自動二輪車 200においては、上記実施の形態に係る燃料噴射装置 1を含むとともに、構造が簡単ィ匕されたエンジン 100が用いられていることにより、燃費の向上および排ガスの低減が図られている。

[0113] また、当該自動二輪車 200においては、振動および放射音が低減されている。それにより、ライダーは快適に乗車することができる。

[0114] (7)他の実施の形態

上記実施の形態では、本発明の燃料噴射装置を自動二輪車に適用する場合につ、て説明したが、当該燃料噴射装置は自動三輪車または自動四輪車等の車両にも同様に適用することができる。

[0115] また、上記実施の形態では、カムキャップ 33上に燃料噴射装置固定台座 34がー体的に形成されている例について説明したが、これに限定されるものではなぐ燃料噴射装置固定台座 34がカムキャップ 33とは別個に設けられてもよい。

[0116] また、上記実施の形態では、シリンダヘッド 12およびカムキャップ 33がそれぞれ別体として構成されている例について説明した力これに限定されるものではなぐシリンダヘッド 12とカムキャップ 33とを一体的に形成してもよい。

[0117] さらに、燃料噴射装置 1、または燃料導入部 7および空気導入部 8を取り外さなくてもヘッドカバー 13を取り外せるようにしてもよい。この場合、ヘッドカバー 13を取り外す際に、燃料導入部 7および空気導入部 8がヘッドカバー 13の孔部 13aを通るように、上記孔部 13aの大きさを変更する。

[0118] (8)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応

以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。

[0119] 上記実施の形態においては、燃料供給部 4および燃料噴射弁 4bが燃料噴射部の例であり、混合気噴射部 3および混合気噴射弁 3bが混合気噴射部の例であり、燃料噴射装置ホルダ 5が保持部材の例であり、燃料供給口 4cが供給口の例であり、後輪 66が駆動輪の例である。

[0120] なお、請求項の各構成要素として、請求項に記載されて!ヽる構成または機能を有する他の種々の要素を用いることも可能である。

産業上の利用可能性

[0121] 本発明は、自動二輪車および自動四輪車等のエンジンを備える種々の車両等に禾 IJ用することがでさる。

Claims

請求の範囲

[1] 燃料と空気との混合気を噴射する燃料噴射装置であって、

燃料を噴射する燃料噴射部と、

前記燃料噴射部により噴射された燃料と空気とを混合することにより混合気を生成する混合気室と、

前記混合気室により生成された混合気を噴射する混合気噴射部と、

前記燃料噴射部および前記混合気噴射部を保持する保持部材とを備えた、燃料噴射装置。

[2] 前記燃料噴射部と前記混合気噴射部とは同軸上に設けられた、請求項 1記載の燃料噴射装置。

[3] 前記混合気室は前記燃料噴射部の下流側に設けられ、前記混合気噴射部は前記混合気室の下流側に設けられた、請求項 2記載の燃料噴射装置。

[4] 前記保持部材は、前記混合気室に空気を供給する空気供給路を有する、請求項 1 記載の燃料噴射装置。

[5] 前記保持部材の前記空気供給路は、前記混合気室から前記燃料噴射部の側面に沿って延びるように配置された、請求項 4記載の燃料噴射装置。

[6] 前記燃料噴射部は、前記混合気室側の先端部に燃料噴射弁を有し、後端部に燃料の供給口を有する、請求項 1記載の燃料噴射装置。

[7] 前記混合気室は、前記燃料噴射部の先端部、前記混合気噴射部および前記保持部材により囲まれる空間に形成される、請求項 1記載の燃料噴射装置。

[8] 燃料噴射装置を備え、

前記燃料噴射装置は、

燃料を噴射する燃料噴射部と、

前記燃料噴射部および前記混合気噴射部を保持する保持部材とを含む、エンジン [9] エンジンと、

前記エンジンによって発生される動力により駆動される駆動輪とを備え、前記エンジンは、燃料噴射装置を有し、

前記燃料噴射装置は、

燃料を噴射する燃料噴射部と、

前記燃料噴射部および前記混合気噴射部を保持する保持部材とを含む、車両。