WO2007046353A1

WO2007046353A1 - 線維芽細胞賦活剤および線維芽細胞賦活方法、コラーゲン合成促進剤およびコラーゲン合成促進方法、ならびに皮膚老化防止剤および皮膚老化防止方法

Info

Publication number: WO2007046353A1
Application number: PCT/JP2006/320614
Authority: WO
Inventors: Azuma Watanabe; Kazuyuki Imamura
Original assignee: Mercian Corporation
Priority date: 2005-10-18
Filing date: 2006-10-17
Publication date: 2007-04-26
Also published as: EP1949889A1; KR20080068077A; US20090297645A1; CN101299991A; JPWO2007046353A1

Abstract

本発明は、ブドウ樹液を有効成分として含有する線維芽細胞賦活剤、ブドウ樹液を使用する線維芽細胞賦活方法、およびブドウ樹液を線維芽細胞賦活剤として使用する方法に関する。さらに、本発明は、ブドウ樹液を有効成分として含有するコラーゲン合成促進剤、ブドウ樹液を使用するコラーゲン合成促進方法、およびブドウ樹液をコラーゲン合成促進剤として使用する方法に関する。さらに、本発明は、ブドウ樹液を有効成分として含有する皮膚老化防止剤、ブドウ樹液を使用する皮膚老化防止方法およびブドウ樹液を皮膚老化防止剤として使用する方法に関する。本発明は、安全性が高く且つ有効な老化防止手段を提供する。

Description

明細書

線維芽細胞賦活剤および線維芽細胞賦活方法、コラーゲン合成促進剤およびコラーゲン合成促進方法、ならびに皮膚老化防止剤および皮膚老化防止方法

技術分野

[0001] 本発明は、コラーゲンの分解、合成に関与する線維芽細胞を賦活化する線維芽細胞賦活剤および線維芽細胞賦活方法、コラーゲン合成促進剤およびコラーゲン合成促進方法、および線維芽細胞の賦活化およびコラーゲン合成促進により皮膚の老化を防止し得る皮膚老化防止剤および皮膚老化防止方法に関する。

背景技術

[0002] 一般的に皮膚老化とは、加齢に伴う生理的老化と紫外線による光老化とが互いに影響しあって生じる生理現象である。皮膚では 20〜30代以降年齢とともに、真皮層にあり肌弾力の元となるコラーゲンなどのタンパク質が減少する。また、コラーゲンを作り出す線維芽細胞自体の力も衰える。光老化は、皮膚に紫外線を浴びるとコラーゲンを分解する酵素が分泌され、これによりコラーゲンが壊されて真皮の弾力が失われる現象である。このようなコラーゲン量の低下や線維芽細胞の機能低下は、シヮゃタルミなどの老化現象を生む大きな要因となっている。

[0003] そこで従来、老化対策としてコラーゲン分解酵素 (コラゲナーゼ)の活性を抑制する抗老化成分を用いることが提案されている。例えば、コラゲナーゼ阻害剤として、ある種のキノコの抽出エキス (特開平 9-40552号公報）、ョモギ属植物の抽出エキス (特開平 10-194982号公報）、ブドウ種子やリンゴ種子、ユキノシタ科植物全草の抽出エキス (特開平 11-71294号公報）、タイム属植物の抽出エキス (特開平 11-79970号公報）、ユーカリノキ、サルビア、ドクダミ、ボタン、シャクャク等の抽出エキス (特開平 11-1478 33号公報）、オトギリソゥ、セィヨウオトギリソゥの抽出物（特開平 11-315008号公報）、ヒメォオギズィセン球根の抽出物（特開 2000-191512号公報）、ァセンャク、柿、ヮレモコゥ、ペパーミント等の抽出物（特開 2000-159631号公報）を用いることが提案されている。しかし、コラーゲン分解酵素 (コラゲナーゼ)の活性を抑制するだけでは、紫外線によるコラーゲン分解 (光老化)を予防するだけで、既に紫外線や加齢により進行した肌の老化を効果的に改善することはできない。

[0004] より有効的にコラーゲンの合成自体を促進する抗老化成分としては、レチノール酸 ( レチノイン酸、ビタミン A誘導体)が良く知られている（Methods in Enzymology,1990,vo 1.190,p352- 360)。

しかし、レチノール酸は刺激性が強ぐ日本では医師の使用に限定されている。そのため、有効性が高くかつ安全な老化防止剤の開発が切望されている。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] かかる状況下、本発明は、安全性が高く且つ有効な老化防止手段を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ブドウの榭液が線維芽細胞賦活作用および線維芽細胞のコラーゲン合成を促進する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。

[0007] 本発明は、ブドウ榭液を有効成分として含有する線維芽細胞賦活剤、ブドウ榭液を使用する線維芽細胞賦活方法、およびブドウ榭液を線維芽細胞賦活剤として使用する方法に関する。

[0008] さらに、本発明は、ブドウ榭液を有効成分として含有するコラーゲン合成促進剤、ブドウ榭液を使用するコラーゲン合成促進方法、およびブドウ榭液をコラーゲン合成促進剤として使用する方法に関する。

[0009] さらに、本発明は、ブドウ榭液を有効成分として含有する皮膚老化防止剤、ブドウ榭液を使用する皮膚老化防止方法およびブドウ榭液を皮膚老化防止剤として使用する方法に関する。

発明の効果

[0010] 本発明によれば、コラーゲンの合成を促進し、皮膚の老化を効果的に防止することができる。さらに、本発明において、ブドウ樹液にプロリンを併用すると、ブドウ樹液の効果をさらに強化できる。

発明を実施するための最良の形態

[0011] 以下、本発明についてさらに詳細に説明する。

[0012] 本発明は、ブドウ榭液を有効成分として含有する線維芽細胞賦活剤に関し、本発明の線維芽細胞賦活剤は、ブドウ樹液に加えてプロリンを含有することもできる。

[0013] 本発明は、ブドウ榭液を使用する線維芽細胞賦活方法に関し、本発明の線維芽細胞賦活方法は、ブドウ樹液に加えてプロリンを併用することもできる。

[0014] 本発明は、ブドウ榭液を線維芽細胞賦活剤として使用する方法に関し、本発明の使用方法では、線維芽細胞賦活剤はブドウ榭液に加えてプロリンを含有することもできる。

[0015] コラーゲンは、皮膚、血管、腱、歯などほとんどの細胞に存在する繊維状のタンパク質であり、人体を構成する全タンパク質の約 30%を占める。人体は、 60兆個以上の細胞力も構成されている力細胞や細胞が構成している臓器は、細胞外マトリックスにより正しく形作られて、る。コラーゲンはこの細胞外マトリックスを構成するタンパク質であり、細胞の足場となりその増殖や機能の維持に役立ち、軟骨や骨では基質タンパク質の構成成分として重要な役割を果たして、る。

[0016] 線維芽細胞は、コラーゲンを産生する主な細胞の 1つであり、線維芽細胞から分泌されたコラーゲンが、細胞の間を埋めて細胞間マトリックスが形成される。本発明者らの検討の結果、ブドウ樹液が、この線維芽細胞自身を賦活させる作用（線維芽細胞賦活作用）を有することが新たに見出された。

[0017] ブドウ樹液にプロリンを併用することで、ブドウ樹液が有する線維芽細胞賦活効果をさらに増強することができる。プロリンは L-プロリンであることが好ましい。

[0018] 本発明は、ブドウ榭液を有効成分として含有するコラーゲン合成促進剤に関し、本発明のコラーゲン合成促進剤は、ブドウ樹液に加えてプロリンを含有することもできる

。本発明は、ブドウ榭液を使用するコラーゲン合成促進方法に関し、本発明のコラーゲン合成促進方法は、ブドウ樹液に加えてプロリンを併用することもできる。本発明は、ブドウ榭液をコラーゲン合成促進剤として使用する方法に関し、本発明の使用方法では、コラーゲン合成促進剤はブドウ榭液に加えてプロリンを含有することもできる。

[0019] 前述のように、ブドウ樹液は、線維芽細胞賦活作用を有する。さらに、本発明者らの検討の結果、ブドウ樹液が、線維芽細胞のコラーゲン合成を促進する作用を有することも新たに見出された。本発明のコラーゲン合成促進剤は、このように、線維芽細胞自体に働きかけ、細胞自身を賦活させる作用および線維芽細胞のコラーゲン合成を促進する作用を有するブドウ榭液を有効成分として含むことにより、コラーゲンの合成を効果的に促進することができる。

[0020] ブドウ樹液にプロリンを併用することで、ブドウ樹液が有するコラーゲン合成促進効果をさらに増強することができる。プロリンは L-プロリンであることが好ましい。

[0021] 本発明は、ブドウ榭液を有効成分として含有する皮膚老化防止剤に関し、本発明の皮膚老化防止剤は、ブドウ樹液に加えてプロリンを含有することもできる。本発明は、ブドウ榭液を使用する皮膚老化防止方法に関し、本発明の皮膚老化防止方法は、ブドウ樹液に加えてプロリンを併用することもできる。本発明は、ブドウ榭液を皮膚老化防止剤として使用する方法に関し、本発明の使用方法では、皮膚老化防止剤はブドウ榭液に加えてプロリンを含有することもできる。

[0022] コラーゲンの性質や状態の変化、線維芽細胞の作用は、はりの低下やしわと!/、つた、皮膚の老化に深くかかわつている。これは、水分を除いた皮膚の約 80%力コラーゲン力成り立つていることに起因する。皮膚は、表面から順に、表皮、真皮、皮下組織の 3つの層に分けられる。コラーゲンは、その中の真皮に存在し、その大部分を占め、織物のような構造と性質を有する。皮膚には、外界力様々な力が加わるため、強さと柔軟さが要求されるが、これらの性質を支える主な働きをしているのがコラーゲンである。コラーゲンは、線維芽細胞により、その分解や合成が制御され、かつ線維芽細胞の力で常に引っ張られた状態に保たれている。本発明の皮膚老化防止剤は、ブドウ榭液を有効成分として含み、そのコラーゲン合成促進作用や線維芽細胞賦活作用により、はりの低下やしわといった、皮膚の老化を効果的に防止することができる。

[0023] ブドウ樹液にプロリンを併用することで、ブドウ樹液が有する皮膚の老化効果をさらに増強することができる。プロリンは L-プロリンであることが好まし、。 [0024] ブドウ樹液は、ブドウ (Vitis科)の木の生体内を流れる植物導管水である。本発明にお!、て用いられるブドウ樹液は、ブドウに属する植物の榭液であれば特にその種属は限定されないが、ブドウ、ャマブドウ等の榭液を利用できる。例えば、ブドウとしては、巨峰、甲州、甲斐路、マスカット 'ベリー A、デラウェア、キャンベル.アーリー、ピオーネ、ネオ'マスカット、ナイアガラ、コンコード、スチューベン、力ベルネ'ソーヴィ -ョン、ピノ'ノワール、メルロ一、セミヨン、リースリング、シャルドネ等の品種を挙げることができる。また、栽培されている地域、栽培方法等も限定されないが、中でも、春先の発芽期前に、剪定されたブドウの枝より溢出する榭液であることが好ましい。

[0025] ブドウ樹液は、ブドウの茎を切って流出する榭液を採取して得ることができる。榭液の採取方法は、特に限定されず、例えば、小さな容器等を榭液が流れるよう剪定された箇所に取り付けて流れ出てくる榭液を採取し、これを防腐剤等が投入された大きめの保存容器に集めることによって行うことができる。一度に種々の位置から榭液を採取できる装置、例えば、特開平 10-295207号公報記載の採取装置、特開 2005-11803 5公報に記載の受液器を用いて採取することが、作業効率が高ぐまた、品質劣化を防ぐことができ好ましい。

[0026] 採取したブドウ樹液は、必要に応じて防腐剤等と混合して液状物質として用いることができ、または、凍結乾燥品として用いることができる。また、採取したブドウ樹液には、必要に応じて加熱処理、清澄処理を施してもよい。これにより、榭液の白濁ゃ褐変を防止することができる。加熱処理は、ブドウ榭液を、例えば 60〜： LOO°C、好ましくは 80〜90°Cで、例えば 10分以上加熱することによって行うことができる。なお、加熱処理は、採取後のブドウ樹液に対して行ってもよぐまたは製品とした後に行ってもよい。また、清澄処理は、公知の清澄剤、例えば、活性炭、ベントナイト、シリカゲル、シリカゾル、 PVPP(polyvinyl polypyrrolidone)等を用いて行うことができる。

[0027] 本発明の線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤および皮膚老化防止剤は、いずれも、ブドウ榭液を液体のまま含むことができ、または、凍結乾燥物として含むこともできる。剤型は特に限定されず、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、粉末剤、顆粒剤等の種々の剤型で提供することができる。本発明の線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤および皮膚老化防止剤は、ブドウ樹液のみ、若しくはブドウ樹液とプロリンとからなることもでき、または、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料等に配合される油性成分、界面活性剤、保湿剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、色素、抗菌剤、防黴剤、アルコール、水等を適宜配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、老化防止剤と併用することもできる。

[0028] 本発明の線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、および皮膚老化防止剤は、いずれも、ブドウ榭液を、未調整榭液換算で 1質量％以上、より好ましくは 3質量％〜 100質量％、さらに好ましくは 10質量％〜80質量％含むことができる。本発明では、ブドウ樹液そのものを、線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、および皮膚老化防止剤として用いることもできる。

[0029] 本発明の線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、および皮膚老化防止剤にブドウ樹液に加えてプロリンを配合する場合、配合量は、 0. 1〜3質量％、好ましくは 0. 1〜1. 5質量％の範囲とすることが適当である。プロリン配合量は、ブドウ樹液との合計を 100質量％としたときの割合である。

[0030] 本発明の線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、および皮膚老化防止剤の皮膚外用剤としての適用方法は、外用剤の種類に応じて適宜選択することができる。一般に、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤として調製された外用剤として適用する場合には、顔等の皮膚に対し、 1日 1〜2回程度塗布することが好ましい。本発明の線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、および皮膚老化防止剤は、化粧品としても利用でき、ローション、乳液、美容液、クリーム、リキッドファンデーシヨン、パウダーファンデーション、口紅などに応用できる。

[0031] 本発明の線維芽細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、および皮膚老化防止剤を粉末剤、顆粒剤等の経口投与薬として用いる場合の投与量は、被投与者の年齢、肌状態等の条件に応じて適宜選択することができる。投与量は、例えば、成人 1人当たり 1

00〜： LOOOmg (有効成分量として）の範囲である。ただし、上記の投与量は、上記の条件に応じて適宜増減することができる。

実施例

[0032] 以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

なお、以下の実施例で使用したブドウ榭液は、 2005年 4月上旬、山梨県東山梨群勝沼町のブドウ畑において、剪定中のブドウ（品種：甲州）の枝より流出している榭液を、特開平 10-295207号公報記載の装置を用いて採取したものであり、ブドウ樹液の凍結乾燥品 lgは、未調整榭液 280gに相当する。

[0033] 実施例 1

(線維芽細胞賦活作用試験）

臭化 3- (4,5-ジメチル- 2-チアゾリル)- 2,5-ジフエ-ル- 2H-テトラゾリゥム（MTT)は、ミトコンドリアにぉ、て細胞内のエネルギー代謝過程で生じる NADPHある!/、は NADH により開裂し、ホルマザンを生成する。このためホルマザン生成量を、細胞賦活作用の指標とした。

[0034] 正常ヒト線維芽細胞を 3.0 X 10⁴cells/wellの細胞密度で 96穴マイクロプレートに播種した。 24時間 1 %ゥシ胎児血清 (FBS)含有ダルベッコ改変イーグル培地（DMEM)にて培養後、ブドウ樹液の凍結乾燥品を表 1に示す濃度を含有した 1 %FBS含有 DMEM に交換した。陽性コントロール（PC)として 5 % FBS含有 DMEMを用いた。さらに 48時間培養後、 0.4 mg/mL MTT (ナカライ)を含有する 1 %FBS含有 DMEMに交換し 2時間口しプ。

[0035] 細胞を洗浄後、 2_プロパノールにて細胞内に生成したホルマザンを溶解し、マイク口プレートリーダーを用いて 550 nmおよび 650 nmの吸光度を測定し、両者の差をもつて細胞内に生成したホルマザン量として評価した。細胞賦活作用は、試料無添加培養細胞（コントロール)の吸光度（ABS.)を 100とした活性指標 (Activation Index) (%)で表した。結果を表 1に示す。すべての結果は、平均値士標準偏差で表した。有意差検定には Student-t検定を用いた。 p値が pく 0.05の時有意であると判定した。表 1に示すように、ブドウ榭液を添加した培地において培養することにより、線維芽細胞を賦活できることが確認された。

[0036] [表 1] 線維芽細胞に対する細胞賦活作用 (n=5)

下線：細胞賦活作用あり

[0037] 実施例 2

(線維芽細胞のコラーゲン合成促進作用試験）

線維芽細胞のコラーゲン合成は、培養上清中に分泌された I型コラーゲンを ELISA にて定量することにより評価した。

[0038] 正常ヒト線維芽細胞を 3.0 X 10⁴cells/wellの細胞密度で 96穴マイクロプレートに播種した。 24時間 0.5 %FBS含有 DMEMにて培養後、表 2に示す濃度のブドウ樹液の凍結乾燥品を含有した 0.5 %FBS含有 DMEMに交換した。 PCとして、ァスコルビン酸リン酸マグネシウムエステル（VCPMg)を用いた。さらに 48時間後、培養上清を回収して I 型コラーゲンの ELISAに供した。

[0039] 培養上清および検量線用 I型コラーゲンを 96ゥエルプレートに入れ、 4 °Cにてー晚コーティングした。 1 %牛血清アルブミン（BSA)溶液を用いて 37 °Cにて 1時間ブロッキングしたのち、一次抗体（抗ヒト I型コラーゲン（ゥサギ))を 37 °Cにて 1.5時間反応させた。さらに二次抗体（ヒストファイン PO (ゥサギ))を 37 °Cにて 1.5時間反応後、 0.3 mg/ mLの 2,2'-アジノビス（3-エイチルベンゾチアゾリン- 6-スルホン酸）二アンモ-ゥム（ ABTS)含有リン酸-クェン酸緩衝液 (0.1 M, pH 4.0)を加えた。 20分後、マイクロプレ一トリーダーを用いて 405 nmの吸光度を測定した。培養上清中のコラーゲン量は、同じプレートで測定した検量線力算出した。

[0040] 同時に細胞のタンパク量を BCA Protein Assay Reagent (PIERCE)を用いて定量した。培養上清中のコラーゲン量をタンパク量で除することにより、単位タンパク量あたりのコラーゲン量を算出し、細胞のコラーゲン合成量とした。結果を表 2に示す。すべての結果は、平均値士標準偏差で表した。有意差検定には Student-t検定を用いた。 p値が pく 0.05の時有意であると判定した。表 2に示すように、ブドウ榭液を含む培地において培養することにより、無添カ卩時 (Control)の約 1. 2倍〜 3. 6倍も線維芽細胞のコラーゲン合成が促進されることがわかる。特に、その作用は、 500 /z gZml以上のブドウ榭液凍結乾燥品を含む培地を用いた場合、顕著であった。また、 250 gZ ml以上のブドウ樹液凍結乾燥品を含む培地を用いた場合には、タンパク量の有意な増加が認められた。なお、タンパク質の増加は、線維芽細胞が賦活され増殖していることを示す。表 2に示すコラーゲン量は、タンパク量で割った値であり、さらに個々の細胞のコラーゲン合成量も有意に増加していることがわかる。

[0041] [表 2]

下線：コラーゲン合成を有意に促進

[0042] 実施例 3

(プロリン併用試験）

,験サンプルの

ぶどう榭液に対するプロリン併用の効果を確認するため、下記官能評価試験及びしわ評価試験に供するクリームを表 3のように処方した。表 3に示す組成物の配合量は全て質量％で示す。

[0043] [表 3] 原料名比較例 1 例 1 例 2 例 3 ブドウ樹液 0. 00 5. 00 5. 00 5. 00

L—プロリン 1. 00 0. 00 0. 50 1. 00 キサンタンガム（2 %水溶液） 5. 00 5. 00 5. 00 5. 00 ポリエチレングリコーノレ 1 0 0 0 2. 50 2. 50 2. 50 2. 50 アタリル酸 ' メタクリル酸アルキル共重合体

1 5. 00 15. 00 1 5. 00 1 5. 00

( 2。/。水溶液）

力ルポキシビニノレポリマー（2 %水溶液） 20. 00 20. 00 20. 00 20. 00 精製水 29. 50 29. 00 28. 50 グリチルリチン酸ジカリゥム 0. 10 0. 10 0. 10 0. 10 ジ: ロピレングリコ一ノレ 3. 00 3. 00 3. 00 3. 00

1 , 3—ブチレングリコール 5. 00 5. 00 5. 00 5. 00 濃グリセリン 4. 00 4. 00 4. 00 4. 00 フエノキシェタノ一ノレ 0. 40 0. 40 0. 40 0. 40 モノミリスチン酸デカグリセリル 0. 50 0. 50 0. 50 0. 50 トリ 2—ェチルへキサン酸グリセリル 1. 00 1. 00 1. 00 1. 00 植物性スクヮラン 2. 00 2. 00 2. 00 2. 00 デカメチノレシク口ペンタシロキサン 2. 00 2. 00 2. 00 2. 00 メチノレポリシロキサン 1. 00 1. 00 1. 00 1. 00 水酸化力リゥム 0. 35 0. 35 0. 35 0. 35 精製水 3. 65 3. 65 3. 65 3. 65

A斗 100. 00 100. 00 100. 00 100. 00

[0044] 官籠碰

肌の乾燥や柔軟性、はりのなさを訴える 30代力 50代の 60人の女性を被験者として、年齢が偏らないように 15名ずつ 4群に分け、表 3で示した比較例 1及び例 1〜3の 4種類の処方例のクリームをそれぞれの群の被験者に、朝夜 1日 2回、連続 30日間使用してもら、、使用感：しっとり感 (湿潤性)、はり感 (弾力性)、やわらか感 (柔軟性）についての官能評価試験を行った。評価基準は表 4に示したとおりであり、官能評価試験結果を表 5に示す。

[0045] [表 4] [評価基準]

[表 5]

*各例 15名の平均評価スコア値、及び 3評価項目のトータル平均値しわ龍麵

肌のしわ（特に目じりの小じわ）が気になる 40代力も 60代の 40人の女性を被験者として、年齢が偏らないように 10名ずつ 4群に分け、表 3で示した比較例 1及び例 1〜3 の 4種類の処方例のクリームをそれぞれの群の被験者に、朝夜 1日 2回、しわができやすい目の周りを中心に連続 30日間使用してもらい、塗布前後の目じりのしわ本数を紫外線写真を用いた視観判定法にて比較した。その結果を表 6に示す

[0048] [表 6]

*各例 1 0名の平均しわ本数、及び塗布前後の改善（減少率)

[0049] 試験結巣

官能評価試験結果を示す表 5にお 1ヽても、しわ評価試験結果を示す表 6にお、ても、例 1のブドウ榭液を含むクリームは、比較例 1のプロリンを含むクリームに比べて、乾燥、はり、しわ等に対する改善効果は高力つた。さらに、例 2および 3のブドウ榭液とプロリンを組合わせたクリームは、ブドウ樹液とプロリンを単独で用いる場合より、乾燥、はり、しわ等に対する改善効果はさらに高力つた。即ち、ブドウ樹液の乾燥、はり、しわ等に対する改善効果は優れており、さらに、

ブドウ樹液に、コラーゲンを構成するアミノ酸、特にプロリンを組み合わせて使用することで、肌の保湿効果を高め、しわを目立ちにくくする効果がさらに高まることが分かる。

産業上の利用可能性

[0050] 本発明によれば、ブドウ樹液の線維芽細胞賦活作用および線維芽細胞のコラーゲン合成促進作用を通して、皮膚の老化を効果的に防止することができる。

[0051] 本発明のコラーゲン合成促進剤および線維芽細胞賦活剤は、老化防止に加え、二キビ痕、妊娠線の治癒、火傷などの創傷治療、人工皮膚の培養促進などへの応用が期待される。

Claims

請求の範囲

[I] ブドウ榭液を有効成分として含有する線維芽細胞賦活剤。

[2] プロリンをさらに含有する請求項 1に記載の線維芽細胞賦活剤。

[3] ブドウ榭液を使用する線維芽細胞賦活方法。

[4] プロリンを併用する請求項 3に記載の線維芽細胞賦活方法。

[5] ブドウ榭液を線維芽細胞賦活剤として使用する方法。

[6] 線維芽細胞賦活剤がプロリンをさらに含む請求項 5に記載の方法。

[7] ブドウ榭液を有効成分として含有するコラーゲン合成促進剤。

[8] プロリンをさらに含有する請求項 7に記載のコラーゲン合成促進剤。

[9] ブドウ榭液を使用するコラーゲン合成促進方法。

[10] プロリンを併用する請求項 9に記載のコラーゲン合成促進方法。

[II] ブドウ榭液をコラーゲン合成促進剤として使用する方法。

[12] コラーゲン合成促進剤がプロリンをさらに含む請求項 11に記載の方法。

[13] ブドウ榭液を有効成分として含有する皮膚老化防止剤。

[14] プロリンをさらに含有する請求項 13に記載の皮膚老化防止剤。

[15] ブドウ榭液を使用する皮膚老化防止方法。

[16] プロリンを併用する請求項 15に記載の皮膚老化防止方法。

[17] ブドウ榭液を皮膚老化防止剤として使用する方法。

[18] 皮膚老化防止剤がプロリンをさらに含む請求項 17に記載の方法。