WO2007040177A1

WO2007040177A1 - プラズマディスプレイパネル

Info

Publication number: WO2007040177A1
Application number: PCT/JP2006/319464
Authority: WO
Inventors: Akinobu Miyazaki; Masaki Nishinaka; Seiji Nishitani
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co., Ltd.
Priority date: 2005-10-03
Filing date: 2006-09-29
Publication date: 2007-04-12
Also published as: KR100929291B1; US20070296336A1; US7718281B2; EP1933354A4; CN101111920A; CN101111920B; EP1933354A1; KR20070090267A; JP2007128859A; JP4910558B2

Abstract

　前面ガラス基板（３）上に表示電極（６）と誘電体層（８）と保護層（９）とが形成された前面板（２）と、背面ガラス基板（１１）上にアドレス電極（１２）と隔壁（１４）と蛍光体層（１５）とが形成された背面板（１０）とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間（１６）を形成したプラズマディスプレイパネルであって、アドレス電極（１２）を覆って下地誘電体層（１３）を設け、下地誘電体層（１３）上に隔壁（１４）を設けるとともに、下地誘電体層（１３）が少なくとも酸化ビスマスを含むとともに軟化点温度が５５０°Cを超える誘電体ガラスによって構成されている。

Description

明細書

プラズマディスプレイパネノレ

技術分野

[0001] 本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関する。

背景技術

[0002] プラズマディスプレイパネル（以下、 PDPと呼ぶ）は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、 65インチクラスのテレビなどが製品化されている。

[0003] PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、この表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、この誘電体層上に形成された酸化マグネシゥム（Mg〇）からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。

[0004] 前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間に Ne_Xeの放電ガスが 400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。 PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現してレ、る。

[0005] 表示電極のバス電極には導電性を確保するための銀電極が用いられ、誘電体層としては酸化鉛を主成分とする低融点ガラスが用いられているが、近年の環境問題への配慮から誘電体層として鉛成分を含まない例が、特開 2003— 128430号公報、特開 2002— 053342号公幸艮、特開 2001—045877号公幸さらには特開平 9— 0 50769号公報に開示されている。さらに、アドレス電極を覆う下地誘電体層にガラス軟ィ匕点の低い酸化ビスマスを含有する誘電体ガラスを用いる例も、特開平 10— 275 564号公報に開示されている。 [0006] PDPは、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、 65インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、 PDPは従来の NTSC方式に比べて走査線数が 2 倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まなレ、PDPが要求されてレ、る。

[0007] し力ながら、このようなハイビジョン化によって、走査線数が増加して表示電極の数が増加し、さらに表示電極間隔が小さくなるとともに、背面板の隔壁もその配列ピッチと隔壁幅が小さくなる。そのために、隔壁の形状不良を発生しやすぐ表示品質を損ねるといった課題を有している。

発明の開示

[0008] 本発明の PDPは、ガラス基板上に表示電極と誘電体層と保護層とが形成された前面板と、基板上にアドレス電極と隔壁と蛍光体層とが形成された背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したプラズマディスプレイパネルであつて、アドレス電極を覆って下地誘電体層を設け、下地誘電体層上に隔壁を設けるとともに、下地誘電体層が少なくとも酸化ビスマスを含むとともに軟化点温度が 550°Cを超える誘電体ガラスによって構成されている。

[0009] このような構成によれば、アドレス電極と下地誘電体層の界面や、下地誘電体層中の気泡発生を抑制して、その上に形成される隔壁の形状精度を高精度に保つことができるとともに、環境に優しい表示品質に優れた PDPを実現することができる。

図面の簡単な説明

[0010] [図 1]図 1は本発明の実施の形態における PDPの構成を示す斜視図である。

[図 2]図 2は本発明の実施の形態における PDPの前面板の構成を示す断面図である符号の説明

[0011] 1 PDP

2 HU面板

3 前面ガラス基板

4 走査電極

4a, 5a 透明電極 4b, 5b 金属バス電極

5 維持電極

6 ¾:不電極

7 ブラックストライプ (遮光層)

8 誘電体層

9 保護層

10 背面板

11 背面ガラス基板

12 アドレス電極

13 下地誘電体層

14

15 蛍光体層

16 放電空間

81 弟 1 電体層

82 第 2誘電体層

発明を実施するための最良の形態

[0012] 以下、本発明の実施の形態における PDPについて図面を用いて説明する。

[0013] (実施の形態）

図 1は本発明の実施の形態における PDPの構造を示す斜視図である。 PDPの基本構造は、一般的な交流面放電型 PDPと同様である。図 1に示すように、 PDP1は前面ガラス基板 3などよりなる前面板 2と、背面ガラス基板 11などよりなる背面板 10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着された PDP1内部の放電空間 16には、 Neおよび Xeなどの放電ガスが 400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。

[0014] 前面板 2の前面ガラス基板 3上には、走査電極 4および維持電極 5よりなる一対の帯状の表示電極 6とブラックストライプ (遮光層） 7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板 3上には表示電極 6と遮光層 7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層 8が形成され、さらにその表面に酸化マグネシウム（M g〇）などからなる保護層 9が形成されている。

[0015] また、背面板 10の背面ガラス基板 11上には、前面板 2の走查電極 4および維持電極 5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極 12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層 13が被覆している。さらに、アドレス電極 12間の下地誘電体層 13 上には放電空間 16を区切る所定の高さの隔壁 14が形成されている。隔壁 14間の溝にアドレス電極 12毎に、紫外線によって赤色、青色および緑色にそれぞれ発光する蛍光体層 15が順次塗布して形成されている。走查電極 4および維持電極 5とアドレス電極 12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極 6方向に並んだ赤色、青色、緑色の蛍光体層 15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。

[0016] 図 2は、本発明の実施の形態における PDPの前面板 2の構成を示す断面図である。図 2は図 1と上下反転させて示している。図 2に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板 3に、走査電極 4と維持電極 5よりなる表示電極 6とブラックストライプ 7がパターン形成されている。走査電極 4と維持電極 5はそれぞれインジウム錫酸化物（ITO)や酸化錫（SnO )などからなる透明電極 4a、 5aと、透明電極 4a、 5a

2

上に形成された金属バス電極 4b、 5bとにより構成されている。金属バス電極 4b、 5b は透明電極 4a、 5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀 (Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。

[0017] 誘電体層 8は、前面ガラス基板 3上に形成されたこれらの透明電極 4a、 5aと金属バス電極 4b、 5bとブラックストライプ 7を覆って設けた第 1誘電体層 81と、第 1誘電体層 81上に形成された第 2誘電体層 82の少なくとも 2層構成とし、さらに第 2誘電体層 82 上に保護層 9を形成している。

[0018] 次に、 PDPの製造方法にっレ、て説明する。まず、前面ガラス基板 3上に、走查電極

4および維持電極 5と遮光層 7とを形成する。これらの透明電極 4a、 5aと金属バス電極 4b、 5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターユングして形成される。透明電極 4a、 5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極 4b、 5bは銀 (Ag)材料を含むペーストを所定の温度で焼成して固化している。また、遮光層 7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターユングし、焼成することにより形成される。

[0019] 次に、走查電極 4、維持電極 5および遮光層 7を覆うように前面ガラス基板 3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層（誘電体材料層）を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレべリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走查電極 4、維持電極 5および遮光層 7を覆う誘電体層 8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体ガラス、バインダおよび溶剤を含む塗料である。次に、誘電体層 8上に酸化マグネシウム（MgO)からなる保護層 9を真空蒸着法により形成する。以上のステップにより前面ガラス基板 3上に所定の構成物（走査電極 4、維持電極 5、遮光層 7、誘電体層 8、保護層 9)が形成され、前面板 2が完成する。

[0020] —方、背面板 10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板 11上に、銀 (A g)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フオトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極 12用の構成物となる材料層を形成し、それを所定の温度で焼成することによりアドレス電極 12を形成する。次に、アドレス電極 12が形成された背面ガラス基板 11上にダイコート法などによりアドレス電極 12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層 13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体ガラスとバインダおよび溶剤を含んだ塗料である。

[0021] 次に、下地誘電体層 13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターユングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成することにより隔壁 14を形成する。ここで、下地誘電体層 13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法ゃサンドブラスト法を用いることができる。次に、隣接する隔壁 14間の下地誘電体層 13上および隔壁 14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層 15が形成される。以上のステップにより、背面ガラス基板 11上に所定の構成部材を有する背面板 10が完成する。 [0022] このようにして所定の構成部材を備えた前面板 2と背面板 10とを走查電極 4とァドレス電極 12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間 16に Ne、Xeなどを含む放電ガスを封入することにより PDP1が完成する。

[0023] 前面板 2の誘電体層 8を構成する第 1誘電体層 81と第 2誘電体層 82について詳細に説明する。第 1誘電体層 81の誘電体材料は、次の材料組成より構成されている。すなわち、酸化ビスマス（Bi O )を 20重量％〜40重量％と酸化カルシウム（Ca〇）を

2 3

0. 5重量％〜： 15重量％を含んでおり、さらに酸化モリブデン（MoO )、酸化タンダス

3

テン (W〇）、酸化セリウム（Ce〇）、酸化マンガン（MnO )力選ばれる少なくとも 1

3 2 2

種を 0. 1重量％〜7重量％含んでいる。

[0024] さらに、酸化ストロンチウム（Sr〇）、酸化バリウム（BaO)力も選ばれる少なくとも 1種を 0. 5重量％〜： 12重量％含んでいる。

[0025] なお、酸化モリブデン（MoO )、酸化タングステン (WO )、酸化セリウム（CeO )

3 3 2、酸化マンガン（MnO )に代えて、酸化銅（CuO)、酸化クロム（Cr O )、酸化コバルト

2 2 3

(Co O )、酸化バナジウム (V〇）、酸化アンチモン（Sb〇）力選ばれる少なくとも

2 3 2 7 2 3

1種を 0. 1重量％〜7重量％含んでいてもよい。

[0026] また、上記以外の成分として、酸化亜鉛 (Zn〇）を 0重量％〜40重量％、酸化硼素

(B O )を 0重量％〜35重量％、酸化硅素（SiO )を 0重量％〜： 15重量％、酸化ァ

2 3 2

ルミニゥム (Al O )を 0重量％〜10重量％など、鉛成分を含まない材料組成が含ま

2 3

れていてもよぐこれらの材料組成の含有量に特に限定はなぐ従来技術程度の材料組成の含有量範囲である。

[0027] これらの組成成分からなる誘電体材料を、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が 0. 5 μ π！〜 2. 5 z mとなるように粉砕して誘電体材料粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末 55重量％〜70重量％と、バインダ成分 30重量％〜45重量％とを三本ロールでよく混練してダイコート用あるいは印刷用の第 1誘電体層用ペーストを作製する。バインダ成分はェチルセルロースあるいはアクリル樹脂 1重量⁰/。〜 20重量％を含むタービネオールあるいはブチルカルビトールアセテートである。また、ぺ一スト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジォクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフエニル、リン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグリセロールモノォレート、ソルビタンセスキオレ^ ^一ト、アルキルァリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。

[0028] 次に、この第 1誘電体層用ペーストを用い、表示電極 6を覆うように前面ガラス基板

3にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷して乾燥させる。その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の 575°C〜590°Cで焼成し、第 1誘電体層 81を形成する。

[0029] 次に、第 2誘電体層 82について説明する。第 2誘電体層 82の誘電体材料は、次の材料組成より構成されている。すなわち、酸化ビスマス（Bi O )を 11重量％〜40重

2 3

量％と酸化バリウム（BaO)を 6. 0重量％〜28重量％含んでおり、さらに酸化モリブデン（MoO )、酸化タングステン (WO )、酸化セリウム（CeO )、酸化マンガン（Mn

3 3 2

〇）から選ばれる少なくとも 1種を 0. 1重量％〜7重量％含んでいる。

2

[0030] さらに、酸化カルシウム（CaO)、酸化ストロンチウム（SrO)から選ばれる少なくとも 1 種を 0. 8重量％〜： 17重量％含んでいる。

[0031] なお、酸化モリブデン（MoO )、酸化タングステン (WO )、酸化セリウム（CeO )、

3 3 2 酸化マンガン（MnO )に代えて、酸化銅（CuO)、酸化クロム（Cr O )、酸化コバルト

2 2 3

2 3 2 7 2 3

1種を 0. 1重量％〜7重量％含んでいてもよい。

[0032] また、上記以外の成分として、酸化亜鉛 (Zn〇）を 0重量％〜40重量％、酸化硼素

2 3 2

2 3

[0033] これらの組成成分からなる誘電体材料を、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が 0. 5 μ π！〜 2. 5 z mとなるように粉砕して誘電体材料粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末 55重量％〜70重量％と、バインダ成分 30重量％〜45重量％とを三本ロールでよく混練してダイコート用あるいは印刷用の第 2誘電体層用ペーストを作製する。バインダ成分はェチルセルロースあるいはアクリル樹脂 1重量⁰/。〜 20重量％を含むタービネオールあるいはブチルカルビトールアセテートである。また、ぺ一スト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジォクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフエニル、リン酸トリブチルを添カ卩し、分散剤としてグリセロールモノォレート、ソルビタンセスキオレ^ ^一ト、アルキルァリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。

[0034] 次にこの第 2誘電体層用ペーストを第 1誘電体層 81上にスクリーン印刷法あるいはダイコート法で印刷して乾燥させる。その後、誘電体材料の軟ィ匕点より少し高い温度の 550°C〜590°Cで焼成して、第 2誘電体層 82を作成するとともに、誘電体層 8を形成する。

[0035] なお、誘電体層 8の膜厚が小さいほどパネル輝度の向上と放電電圧を低減するとレ、う効果は顕著になるので、絶縁耐圧が低下しなレ、範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定するのが望ましい。このような条件と可視光透過率の観点から、本発明の実施の形態では、誘電体層 8の膜厚を 41 μ η以下に設定し、第 1誘電体層 81を 5 μ m〜15 /i m、第 2誘電体層 82を 20 μ m〜36 μ mとしてレヽる。

[0036] また、第 2誘電体層 82において酸化ビスマス（Bi O )が 1 1重量％以下であると着

2 3

色は生じに《なるが、第 2誘電体層 82中に気泡が発生しやすく好ましくない。また、 40重量％を超えると着色が生じやすくなり透過率を上げる目的には好ましくない。

[0037] さらに、第 1誘電体層 81と第 2誘電体層 82の酸化ビスマス（Bi O )の含有量には

2 3

差があることが必要である。これは第 1誘電体層 81と第 2誘電体層 82の酸化ビスマス (Bi O )の含有量が同一であった場合、第 1誘電体層 81中に発生した気泡の影響

2 3

で、第 2誘電体層 82の焼成ステップにおいて第 2誘電体層 82中にも気泡が発生する現象が確認されたからである。

[0038] そして、第 1誘電体層 81の酸化ビスマス（Bi O )の含有量よりも、第 2誘電体層 82

2 3

の酸化ビスマス（Bi O )の含有量が小さい場合、誘電体層 8の総膜厚のおよそ 50%

2 3

以上を第 2誘電体層 82が占めるために、着色が生じる黄変現象が発生しないために透過率を上げることができ、さらに Bi系の材料が高価であることから、使用する原材料のコストを低減することができる。

[0039] また、第 1誘電体層の酸化ビスマス（Bi O )の含有量よりも、第 2誘電体層 81の酸

2 3

化ビスマス（Bi O )の含有量が大きい場合、第 2誘電体層 81の軟ィ匕点を下げることができるため、焼成ステップ中の気泡の除去を促進することができる。

[0040] このようにして製造された PDPは、表示電極 6に銀 (Ag)材料を用いても、前面ガラス基板 3の着色現象（黄変）が少なくて、なおかつ、誘電体層 8中に気泡の発生など力 Sなぐ絶縁耐圧性能に優れた誘電体層 8を実現することを確認している。

[0041] 次に、本発明の実施の形態における PDPにおいて、これらの誘電体材料によって第 1誘電体層 81において黄変や気泡の発生が抑制される理由について考察する。すなわち、酸化ビスマス（Bi O )を含む誘電体ガラスに酸化モリブデン (MoO )ある

2 3 3 いは酸化タングステン (WO )を添加することによって、 Ag MoO 、 Ag Mo〇、 Ag

3 2 4 2 2 7 2

Mo O 、 Ag WO 、 Ag W O 、 Ag W〇といった化合物が 580°C以下の低温で

4 13 2 4 2 2 7 2 4 13

生成しやすいことが知られている。本発明の実施の形態では、誘電体層 8の焼成温度が 550°C〜590°Cであることから、焼成中に誘電体層 8中に拡散した銀イオン (Ag +)は誘電体層 8中の酸化モリブデン（MoO )、酸化タングステン (WO )、酸化セリウ

3 3

ム（Ce〇）、酸化マンガン (MnO )と反応し、安定な化合物を生成して安定化する。

2 2

すなわち、銀イオン (Ag⁺)が還元されることなく安定化されるために、凝集してコロイドを生成することがない。したがって、銀イオン (Ag⁺)が安定化することによって、銀（ Ag)のコロイド化に伴う酸素の発生も少なくなるため、誘電体層 8中への気泡の発生も少なくなる。

[0042] 一方、これらの効果を有効にするためには、酸化ビスマス（Bi O )を含む誘電体ガ

2 3

ラス中に酸化モリブデン (Mo〇）あるいは酸化タングステン (W〇）、酸化セリウム（C

3 3

eO )、酸化マンガン（Mn〇）の含有量を 0. 1重量％以上にすることが好ましいが、 0

2 2

. 1重量％以上 7重量％以下がさらに好ましい。特に、 0. 1重量％以下では黄変を抑制する効果が少なぐ 7重量％以上になるとガラスに着色が起こり好ましくない。

[0043] また、第 1誘電体層に酸化カルシウム（Ca〇）を含むことによって、第 1誘電体層 81 の焼成ステップ中において酸化カルシウム（CaO)が酸化剤として作用し、電極中に残留したバインダ成分の除去を促進する効果がある。一方、第 2誘電体層 82に酸化ノリウム（BaO)を含むことによって、第 2誘電体層 82の透過率を上げる効果がある。

[0044] すなわち、本発明の実施の形態における PDPの誘電体層 8は、銀 (Ag)材料よりなる金属バス電極 4b、 5bと接する第 1誘電体層 81では黄変現象と気泡発生を抑制し、第 1誘電体層 81上に設けた第 2誘電体層 82によって高い光透過率を実現している。その結果、誘電体層 8全体として、気泡や黄変の発生が極めて少なく透過率の高い PDPを実現することが可能となる。

[0045] 次に、本発明の実施に形態における PDPの、背面板 10のアドレス電極 12と、下地誘電体層 13、および隔壁 14の材料組成にっレ、て詳細に説明する。

[0046] まず、背面ガラス基板 11に、少なくとも銀 (Ag)粒子 70重量％〜90重量％と、結着ガラスが 1重量％〜： 15重量％と、感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤、溶剤などを含む感光性有機バインダ成分 8重量％〜： 15重量％とよりなる感光性べ一ストを印刷法などによって塗布し、電極ペースト層を形成する。なお、電極ペーストの結着ガラスは、少なくとも酸化ビスマス（Bi O )を 20重量％〜50重量％含み、結着

2 3

ガラスの軟化点が 550°Cを超えるようにしている。この電極ペースト層をフォトリソダラフィ法を用いて巾 100 μ ΐηの銀 (Ag)電極パターンを形成し、その後、 550°C〜570 °Cで焼成することによってアドレス電極 12としている。

[0047] 次に、アドレス電極 12上の下地誘電体層 13は、酸化ビスマス（Bi O ) 23重量％〜

2 3

50重量％と、酸化カルシウム（CaO)、酸化ストロンチウム（SrO)、酸化バリウム（BaO )から選ばれる少なくとも 1種が 1 · 5重量％〜8. 1重量％と、酸化モリブデン (ΜοΟ )

3

、酸化タングステン (WO )から選ばれる少なくとも 1種が 0. 2重量％〜1. 0重量％と

3

を含む誘電体ガラス粉末に、平均粒子径が 0. l m〜0. 5 mの酸化チタン (Ti〇

2

)あるいはアルミナ（A1〇）を添加している。酸化チタン (Ti〇）あるいはアルミナ（A1

2 3 2

〇）粒子を添加する目的は、反射層としての役割を向上させるためである。また、こ

2 3

れらのガラス粉末のガラス軟ィ匕点温度を 550°C以上とし、焼成温度は 570°C〜590 °Cで、その膜厚は 8 x m〜15 x mとしている。

[0048] なお、酸化モリブデン（Mo〇 )、酸化タングステン (WO )に代えて、酸化セリウム（

3 3

CeO )、酸化マンガン（MnO )、酸化銅（Cu〇）、酸化クロム（Cr O )、酸化コバルト

2 2 2 3

(Co O )、酸化バナジウム（V〇）、酸化アンチモン（Sb〇）力も選ばれる少なくとも

2 3 2 7 2 3

1種を 0. 1重量％〜7重量％含んでいてもよい。

[0049] また、上記以外の成分として、酸化亜鉛 (Zn〇）を 0重量％〜40重量％、酸化硼素

(B O )を 0重量％〜35重量％、酸化硅素（SiO )を 0重量％〜： 15重量％、酸化ァルミニゥム (Al O )を 0重量％〜10重量％など、鉛成分を含まない材料組成が含ま

2 3

[0050] 次に、下地誘電体層 13に設けた隔壁 14は、酸化硅素（Si〇 )—酸化硼素（B O )

2 2 3

—酸化バリウム（BaO) _アルミナ (Al O )—酸化リチウム（Li O)系のガラス粉末を 5

2 3 2

0重量％〜70重量％と、フィラーとしてのアルミナ（Al O )、酸化亜鉛（ZnO)、酸化

2 3

ノリウム（BaO)のうちの少なくとも 1種を 10重量⁰/。〜 25重量⁰ /₀と、感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤、溶剤を含む感光性有機バインダ成分を 8重量％〜 15重量％とを含む感光性ペーストを、印刷法などで下地誘電体層 13上に塗布して、フォトリソグラフィ法を用いて形成する。また、焼成温度は 570°C〜590°Cである。

[0051] すなわち、本発明の実施の形態における PDPでは、背面板 10の背面ガラス基板 1 1上のアドレス電極 12を形成する際に、アドレス電極 12が少なくとも銀 (Ag)と結着ガラスとを含有し、結着ガラスが少なくとも酸化ビスマス（Bi O )を含むとともに軟ィ匕点

2 3

温度が 550°Cを超えるようにしている。従来のように、結着ガラスの軟ィ匕点が 450°C 〜550°Cと低い場合には、焼成温度がそれより 100°C近く高いため、反応性の高い酸化ビスマス（Bi O )自体が銀 (Ag)あるいはペースト中の有機バインダ成分と激しく

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反応し、アドレス電極 12中とその上の下地誘電体層 13中に気泡を発生させる。その結果、下地誘電体層 13の絶縁耐圧性能を劣化させるとともに、下地誘電体層 13の形状精度を悪化させる。さらに、その上の隔壁 14の下地誘電体層 13との密着性などを低下させて隔壁倒れや、隔壁の欠落などを引き起こす。一方、本発明のように、結着ガラスの軟ィ匕点を 550°C以上にすると、銀 (Ag)や有機バインダ成分と酸化ビスマス（Bi O )との反応性が低下して気泡の発生は少なくなる。し力ながら、結着ガラス

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の軟化点を 600°C以上とすると、アドレス電極 12と背面ガラス基板 11あるいは下地誘電体層 13との接着性が逆に低下するため好ましくない。

[0052] また、下地誘電体層 13が少なくとも酸化ビスマス（Bi〇）を含むとともに軟ィ匕点温

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度が 550°Cを超える誘電体ガラスによって構成され、酸化ビスマス（Bi O )を 20重量

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%以上 50重量％以下としている。そのため、アドレス電極 12と下地誘電体層 13の界面や、下地誘電体層 13中の気泡発生を抑制して、その上に形成される隔壁 14の形状精度を高精度に保つことができるとともに、環境に優しい表示品質に優れた PDP を実現することができる。

[0053] また、上述のアドレス電極 12、下地誘電体層 13、隔壁 14の材料組成によれば、背面板 10全体を、鉛 (Pb)成分の含有しなレ、環境に優しレ、材料で構成することができる

[0054] (実施例）

なお、本発明の実施の形態における PDPとして、放電セルとして 42インチクラスのハイディフィニションテレビに適合するように、隔壁の高さを 0· 15mm,隔壁の間隔（セルピッチ）を 0. 15mm,表示電極の電極間距離を 0. 06mmとし、 Xeの含有量が 1 5体積％の Ne— Xe系の混合ガスを封入圧 60kPaに封入した PDPを作製してその性能を評価した。

[0055] 表 1には、アドレス電極 12を構成する結着ガラスの材料組成を変えた試料を示し、表 2に下地誘電体層 13の誘電体ガラスの材料組成を変えた試料を示す。また、表 3 はアドレス電極 12の試料と下地誘電体層 13の試料との組合せによって作製した PD Pの評価結果を示す。本実施例では、結着ガラスと誘電体ガラスとを同じ組成とし、表 1と表 2のそれぞれの試料番号 6、 7は本発明の好ましい範囲から外れた材料組成である。

[0056] また、表 1、表 2内に示した材料組成の項目である「その他、材料組成」とは、上述したように酸化亜鉛 (Zn〇）、酸化硼素（B〇 )、酸化硅素（SiO )、酸化アルミニウム (

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A1〇）など、鉛成分を含まない材料組成であり、これら材料組成の含有量は特に限

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定はなぐ従来技術程度の材料組成の含有量範囲である。

[0057] なお、前面板 2は誘電体層 8を 2層構成とし、上述の第 1誘電体層 81、第 2誘電体層 82の材料組成にて作製してレ、る。

[0058] [表 1] 結着ガラス組アドレス菴棰の試料 No.

成-軟化点温

度 (°c) 1 2 3 4 5 6 7

Bi₂〇₃ 23 30 28 40 50 15 72

CaO 一 3.1 - 8.1 ― 一一

SrO - 1.8 一 ― - - 一

BaO 6.4 1.5 4.8 一 ― 一 4.0

M0O3 0.8 0.2 0.3 0.5 - 1.0 -

W0₃ - 一一 1.0 - - - その他、

70 63 67 50 50 84 24 材料組成

軟化点

温度 (¾) 597 566 560 565 551 610 460

** 「その他、材料組成」は鉛成分を含まない

** 「その他、材料組成 jは鉛成分を含まない [0060] [表 3]

[0061] これらの材料を用いてパネル番号 1〜： 19の PDPを作製し、背面板 10として完成した後の下地誘電体層 13中に発生する気泡の数と、下地誘電体層 13上の隔壁 14の倒れや欠損を確認した。その結果を表 3に示す。

[0062] 表 3の結果より、アドレス電極 12の結着ガラス組成、あるいは下地誘電体層 13の誘電体ガラス組成のいずれ力が、本発明の材料組成の範囲外であるときには、下地誘電体層 13中の気泡の数が増加し、さらに隔壁 14の倒れや欠損のあることが確認された。さらに、ノネル番号 17〜： 19のように、アドレス電極 12と下地誘電体層 13の両者ともが本発明の材料組成の範囲外であるときには、気泡および隔壁倒れが異常に増加することがわかる。また、気泡の発生数が少ないことは、当然下地誘電体層 13の絶縁耐圧性能を高め、信頼性の高い PDPを実現することになる。

[0063] これらの結果は、アドレス電極 14の結着ガラス、あるいは下地誘電体層 13の誘電体ガラスの軟ィ匕点が低いと、焼成ステップにおいて、銀 (Ag)材料や有機バインダ成分などと酸化ビスマス（Bi O )との反応によって気泡が発生しやすくなるためである。

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一方、ガラス軟化点が高い結着ガラス、あるいは誘電体ガラスの場合には、背面ガラス基板 11、アドレス電極 12、下地誘電体層 13との接着力が弱いために、剥離ゃ界面への気泡発生などが増加するためである。いずれにしても、これら力下地誘電体層 13とその上の隔壁 14の形状不良を誘発し、隔壁 14の倒れや、隔壁 14の欠損を発生させていると考えられる。

[0064] なお、以上に述べた各材料組成の含有量数値は、アドレス電極の結着ガラスの材料組成または下地誘電体層の誘電体ガラスの材料組成では ± 0. 5重量⁰ /₀程度の測定誤差が存在し、焼成後のアドレス電極または下地誘電体層では ± 2重量⁰ /₀程度の測定誤差が存在する。これらの誤差を含めた数値範囲の含有量での材料組成においても、本発明と同様の効果は得られる。

[0065] 以上のように、本発明の実施の形態における PDPによれば、背面板としても形状精度を確保するとともに絶縁耐圧性能が高ぐ鉛 (Pb)成分を含まない環境に優しい P DPを実現すること力 Sできる。

産業上の利用可能性

[0066] 以上のように、本発明の PDPは、背面板の信頼性を高め、さらに、環境に優しく表示品質に優れた PDPを実現して大画面の表示デバイスなどに有用である。

Claims

請求の範囲

[1] ガラス基板上に表示電極と誘電体層と保護層とが形成された前面板と、基板上にァドレス電極と隔壁と蛍光体層とが形成された背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したプラズマディスプレイパネルであって、前記アドレス電極を覆って下地誘電体層を設け、前記下地誘電体層上に前記隔壁を設けるとともに、前記下地誘電体層が少なくとも酸化ビスマスを含むとともに軟ィ匕点温度が 550°Cを超える誘電体ガラスによって構成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

[2] 前記誘電体ガラスが、酸化ビスマスを 20重量％以上 50重量％以下含むことを特徴とする請求項 1に記載のプラズマディスプレイパネル。

[3] 前記アドレス電極は少なくとも銀と結着ガラスとを含有し、前記結着ガラスが少なくとも酸化ビスマスを含むとともに軟ィ匕点温度が 550°Cを超えることを特徴とする請求項 1 または請求項 2のいずれ力 1項に記載のプラズマディスプレイパネル。

[4] 前記結着ガラスが、酸化ビスマスを 20重量％以上 50重量％以下含むことを特徴とする請求項 3に記載のプラズマディスプレイパネル。