WO2007037363A1

WO2007037363A1 - 化粧シート及びその製造方法並びに化粧シート付射出成形品

Info

Publication number: WO2007037363A1
Application number: PCT/JP2006/319448
Authority: WO
Inventors: Kazuhiro Suga; Shinnosuke Hirata
Original assignee: Dai Nippon Printing Co., Ltd.
Priority date: 2005-09-30
Filing date: 2006-09-29
Publication date: 2007-04-05
Also published as: US9162429B2; US20130008600A1; US20090022963A1; KR20080060234A; KR101298795B1

Abstract

　樹脂の射出成形と加飾を同時に行う射出成形同時加飾用シートであって、２枚の樹脂シートを少なくとも１層の絵柄層を挟んで積層してなり、２枚の樹脂シート間の線膨張係数の差が４×１０-5／°C（４１～５０°C）以下である化粧シートである。　真空成形のような立体加工がなされた後であっても反りを生じることがなく、立体加工用の金型からの脱離が容易であり、射出成形用の金型にセットしてもそこからズレ落ちることがなく、成形樹脂を射出しても化粧シートと金型との隙間に裏周りすることがなく、化粧シートを構成する各シート間で剥離することのない化粧シートである。

Description

明細書

化粧シート及びその製造方法並びに化粧シート付射出成形品

技術分野

[0001] 本発明は、金型の内側に化粧シートをセットしておき、当該金型内に榭脂を射出することにより、当該樹脂の固化と同時に当該榭脂表面に化粧シートを接着せしめる、つまり射出成形と化粧シートの接着を同時に行うことができる化粧シート、該化粧シートの製造方法及び該化粧シートを用いてなる化粧シート付射出成形品に関する。背景技術

[0002] 従来の化粧シート付射出成形品の製造方法としては、化粧シートを射出成形用金型の内側に入れる前に、前記シートを真空成形等により立体加工し、所望の形状に打ち抜き加工した後、射出成形用金型内の凹部等に嵌め込んで型締めし、成形榭脂をキヤビティに射出し、成形榭脂表面に成形同時加飾シートを一体化接着させる方法がある。また、別の製造方法として、成形同時加飾シートを射出成形用金型内に入れてから、射出成形用金型の凹部に沿うように真空成形等により立体加工し、型締め後、成形榭脂をキヤビティに射出し、成形榭脂表面に成形同時加飾シートを一体化接着させる方法がある (例えば、特許文献 1参照)。

また、成形同時加飾シートとしては、種々のものが提案されており、例えば、複数の榭脂シートを積層してなり絵柄層を有するものが提案されている (特許文献 2参照)。

[0003] 特許文献 1：特開 2000— 238070号公報

特許文献 2：特開 2000 - 280283号公報

発明の開示

[0004] し力しながら、複数のシートを積層してなる化粧シートを用いる場合、真空成形等により立体加工した後に化粧シート全体に反りが発生してしまい、反りが発生した化粧シートを用いると、当該化粧シートを射出成形用金型にセットするときに、射出成形用金型からズレ落ちたり、金型を閉じた際にシートが動いてしまったり、セットできたとしても化粧シートと金型との間に隙間が生じ、成形榭脂を射出した時にこの樹脂がィ匕粧シートと金型との間に裏周りしたり、さらには、反りが発生したシートが邪魔をして金型を閉じることが出来な力たりするという問題があった。反りが生じたシートを射出成形用型にセットした際の状況を図 4に示す。

このような、化粧シートの反りに起因する問題は、化粧シートを射出成形用金型内に入れてから、射出成形用金型の凹部に沿うように真空成形等により立体加工する方法の場合でも同様に発生する問題である。

なお、複数のシートを積層してなる化粧シートにおいて、それぞれのシートの材質として同一材料を使用したとしても、該材料に含まれる可塑剤ゃフイラ一の種類及び含有量等の要因で上記反りの問題は発生する。ましてや、異なる材質のシートを積層する場合にはその反りの程度は顕著なものとなる。

[0005] 本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、真空成形等の立体加工後に反りが発生せず、射出成形金型からズレ落ちず、成形樹脂が裏周りすることがなぐまた、シート間剥離することがない化粧シート、該化粧シートの製造方法、及び該化粧シートを用いた化粧シート付射出成形品を提供することを目的とする。

[0006] 本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、複数の榭脂シ一トを積層してなる化粧シートであって、該複数の榭脂シート間の線膨張係数の差をある値以下とすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。

すなわち、本発明は、

(1)榭脂の射出成形と加飾を同時に行う射出成形同時加飾用シートであって、 2枚の榭脂シートを少なくとも 1層の絵柄層を挟んで積層してなり、 2枚の榭脂シ一ト間の線膨張係数の差が 4 X 10"V°C (41〜50°C)以下である化粧シート、

(2)前記 2枚の榭脂シートのうち、表面側榭脂シートの材質がポリウレタン、ポリエステル、アクリル榭脂、ポリオレフイン及びポリカーボネートから選ばれる少なくとも 1種であり、成形用榭脂と接する榭脂シートの材質がポリオレフイン、アクリロニトリル—ブタジェンスチレン系榭脂 (ABS榭脂）、ポリカーボネート及びポリエステル力選ばれる少なくとも 1種である上記（1)に記載の化粧シート、

(3) 2枚の榭脂シート間に接着層を有する上記（1)又は（2)に記載の化粧シート、

(4) 2枚の榭脂シートの積層がドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、又は熱ラミネート法により形成される上記（1)〜（3)の、ずれかに記載の化粧シート、

(5)線膨張係数の差が 4 X 10"V°C (41〜50°C)以下である 2枚の榭脂シートを積層する化粧シートの製造方法であって、榭脂シート間に少なくとも 1層の絵柄層を設け、かつ 2枚の榭脂シートをドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、又は熱ラミネート法により積層させる化粧シートの製造方法、及び

(6)上記（1)〜 (4)のいずれかに記載の化粧シートをあら力じめ立体カ卩ェ及び打ち抜き加工を行った後、金型を用いた射出成形法により成形用榭脂と一体化して形成される化粧シート付射出成形品

を提供するものである。

[0007] 本発明の化粧シートは真空成形のような立体加工がなされた後であっても反りを生じることがない。したがって、立体加工用の金型からの脱離が容易であり、また、射出成形用の金型にセットしてもそこからズレ落ちることがなぐさらに、成形榭脂を射出しても、これが化粧シートと金型との隙間に裏周りすることがない。また、化粧シートを構成する各シート間で剥離することもな、。

図面の簡単な説明

[0008] [図 1]本発明の化粧シートの構成を示す概略断面図である。

[図 2]本発明の化粧シート付射出成形品を製造する方法における工程の一つを示す断面図である。

[図 3]本発明の化粧シート付射出成形品を製造する方法における工程の一つを示す断面図である。

[図 4]従来の、反りが生じたィ匕粧シートを金型にセットした状態を示す図である。符号の説明

[0009] la:第 1榭脂シート

lb :第 2榭脂シート

2:絵柄層

3 :接着層

4:化粧シート 6 :固定型

7 :キヤビティ形成面

9 :ゲート部

発明を実施するための最良の形態

[0010] 本発明の化粧シートは、 2枚の榭脂シートを少なくとも 1層の絵柄層を挟んで積層してなる化粧シートであって、 2枚の榭脂シート間の線膨張係数の差が 4 X 10— ⁵/°C (4 1〜50°C)以下であることを特徴とする。

以下、本発明の化粧シートについて図 1を用いて具体的に説明する。

図 1に示すように、化粧シート 4は、第 1榭脂シート la、第 2榭脂シート lbと絵柄層 2 と必要に応じて設けられる接着層 3から構成されており、化粧シート 4を構成する 2枚の榭脂シート (第 1榭脂シート laと第 2榭脂シート lb)間の線膨張係数の差が 4 X 10— V°C (41〜50°C)以下である。

[0011] 化粧シート 4を構成する 2枚の榭脂シート間の線膨張係数の差を 4 X 10— ⁵/°C (41 〜50°C)以下とすることにより、化粧シート 4を真空成形等により立体加工しても反りが生じることがなぐ従って、化粧シートの反りに起因する様々な問題を解消することができる。ここで、化粧シート 4の 2枚の榭脂シート間の線膨張係数の差が 4 X 10— ⁵/ °C (41〜50°C)より大き!/、と、線膨張係数の大き、方のシートが外側となるように反りが生じてしまう。本発明においては、 2枚の榭脂シートの線膨張係数の差を 4 X 10 Z°C (41〜50°C)以下とすれば良いが、さらに好ましくは、 1 X 10— ⁵Z°C (41〜50°C )以下とし、 2枚の榭脂シートの線膨張係数の差を 0 (ゼロ）、つまり各シートの線膨張係数の値を等しくすることが特に好まし、。

[0012] なお、本発明における線膨張係数は、一般的な熱機械分析装置を用いて測定した値である。測定条件としては、各シートを 3 X I 5mmの短冊状に切り出してサンプルとし、チャック間 10mm、荷重 3gの引張りモードにて、窒素気流下において昇温速度 1 0°CZ分として測定し、 41°C力も 50°Cにおける平均線膨張係数を測定値とした。

[0013] 化粧シート 4を構成する 2枚の榭脂シート（la、 lb)については、前記線膨張係数の差について限定される以外は特に限定されることはなぐそれぞれの榭脂シートが何枚のシートを積層するか、如何なる材質のシートを用いる力等については前記線膨張係数の差を考慮しつつ任意に設定することができる。

[0014] 化粧シート 4を構成する 2枚の榭脂シート (第 1榭脂シート la及び第 2榭脂シート lb )の材質については、特に限定することはなぐ化粧シートに求める意匠性や耐久性等を考慮して任意に選択することができる。具体的には、アクリル系榭脂、フッ素系榭脂、ポリカーボネート系榭脂、塩ィ匕ビ二ル系榭脂、非結晶性ポリエステル系榭脂、了クリロ-トリルブタジエンスチレン系榭脂などを挙げることができる。なお、これらの榭脂は 1種を単独で、又は 2種以上を混合して用いることができる。

[0015] 化粧シート 4の表面側を第 1榭脂シート la、成形用榭脂と接する側を第 2榭脂シ一ト lbとすると、第 1榭脂シート laに用いられる榭脂としては、ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート（PET)、ポリブチレンテレフタレート（PBT)、ポリエチレンナフタレート（ PEN)等のポリエステル；アクリル榭脂；ポリエチレン（PE)、ポリプロピレン（PP)、これらの混合物等のポリオレフイン；ポリカーボネート（PC)などが挙げられ、これらのうちアクリル系榭脂シートを用いることが耐光性、透明性等の物性を兼ね備えており、特に好ましい。

[0016] 一方、第 2榭脂シート lbの材質としては、成形樹脂の種類に応じて適宜選択される力成形樹脂と同じ又は類似の榭脂を用いることが接着性の観点力も好ましい。成形榭脂としては、一般にポリエチレン（PE)、ポリプロピレン（PP)、 PPと PEの混合物などのポリオレフイン系榭脂；アクリロニトリル一ブタジエン一スチレン系榭脂 (ABS榭脂 )；ポリカーボネート（PC)； ABS榭脂と PCの混合物；アクリル榭脂；ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート（PET)、ポリブチレンテレフタレート（PBT)、ポリエチレンナフタレート（PEN)等のポリエステル、及びこれらの混合物を使用することが多ぐ従って、これと同一の榭脂を用いることが好ましい。これらのうち特に、ポリオレフイン、 ABS 榭脂、ポリカーボネート、及びポリエステルが好ましぐ特にポリオレフイン及び ABS 榭脂が好ましい。

[0017] 各榭脂シートの線膨張係数は、例えば、榭脂シートの材質がアクリル系の場合 (ァクリル樹脂（ポリメチルメタタリレート、 PMMA)、アクリルゴム（ェチルメタタリレート、 E MA、ブチルメタタリレート、 BMAなど））には、エラストマ一成分の配合量を調節することにより、一方、榭脂シートの材質が共重合体の場合 (ブタジエンとスチレンの共重合体など）には、タルク（滑石）、炭酸カルシウム、シリカ、マイ力、ガラス繊維、カーボン繊維などの充填剤を添加することにより、コントロールすることが可能である。具体的には、例えばアクリル榭脂とポリプロピレン榭脂を積層する場合には、通常の場合だとポリプロピレンの線膨張係数の方がアクリル榭脂のそれに比べて大き、ため、ポリプロピレン榭脂にタルク（滑石）を添加することによりポリプロピレン榭脂の線膨張係数を小さくすることができ、その結果、アクリル榭脂とポリプロピレン榭脂との線膨張係数の差を所望の数値範囲内とすることができる。

[0018] 化粧シート 4全体の厚みとしては、特に限定されることはないが、 0. 03-2. OOmm のものが好ましい。 0. 03mm以上であると、立体形状にフィルムが追随し、破断することがない。一方で 2. 00mm以下であると細かい溝部に追随が可能であり、製品端面の絞り自体が浅くなることがない。

以上の点から、化粧シート 4全体の厚みとしては、さらに 0. 2〜1. Ommの範囲がより好ましい。

[0019] また、化粧シート 4を構成する前記第 1榭脂シート la、第 2榭脂シート 2bの製造方法についても、本発明は特に限定することはなぐ従来公知の一般的な方法、例えば、成形榭脂を直線状のスリットから押出すいわゆる押出し Tダイ法、榭脂を熱ロールにより延伸するいわゆるカレンダ加工法、液状榭脂を型内に流し込み固化させる V、わゆる注型 (キャスト)法等を用いることが可能である。

[0020] これらのシート（la、 lb)の積層方法としては、各シートに有機溶剤性の接着剤を塗り熱風で溶剤を蒸発乾燥させ接着させるいわゆるドライラミネート法、シートに固形状の接着剤を 120〜 160°Cの熱で溶力して塗り印刷フィルムを貼り合せ瞬間冷却して一体ィ匕させるいわゆるホットメルトラミネート法、押出し機力成形榭脂をフィルム状に押出し印刷フィルムを貼り合せるいわゆる押出しラミネート法、及び貼り合せるフィルムまたはシートの一方または両方に加熱ロールで圧着させるいわゆる熱ラミネート法などがある。

[0021] 本発明の化粧シート 4は図 1に示すように榭脂シート la及び lbの間に絵柄層 2を有する。絵柄層 2は、榭脂シート laの表面の全面または部分に印刷等の方法によって形成される層であり、成形品の表面に文字や図形、記号等を表したり、着色表面を表したりする等のためのものである。絵柄層 2は顔料と榭脂バインダー力もなる顔料インキ層、パール顔料と榭脂バインダーからなる光輝性顔料層、染料と榭脂バインダー力もなる染料インキ層の群力も選ばれる少なくとも一層によって構成されることが好ましい。

絵柄層 2の形成方法は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の通常の印刷法や、ロールコート法、スプレーコート法等のコート法等により形成すると良い。なお、絵柄層 2は、蒸着膜からなる金属蒸着によって形成することも可能である

[0022] また、本発明の化粧シート 4は図 1に示すように、必要に応じて接着層 3を有していても良い。接着層 3は、化粧シート 4を構成する各シート間の層間接着性を向上させたり、成形樹脂との接着を向上させるための層である。接着層 3を形成する榭脂としては、ポリ塩ィ匕ビュル酢酸ビュル共重合体系榭脂、アクリル系榭脂、ウレタン系榭脂等を挙げることができる。

[0023] 次に、本発明の化粧シート付射出成形品の製造方法について説明する。

本発明の化粧シート付射出成形品の製造方法は、上記において説明した、 2枚の榭脂シートが積層された化粧シート 4を射出成形用金型内にセットし、成形榭脂を射出し、成形樹脂の固化と同時に成形榭脂表面に化粧シート 4を一体化接着させる方法である。この際に、化粧シート 4を構成する各シート間の線膨張係数の差力 X 10 V°C (41〜50°C)以下であるため、当該化粧シートが反り返ることを防止することができ、その結果、成形不良品の削減、歩留まりの向上、コストの削減など様々な効果を発揮することができる。

[0024] 具体的には、図 2に示すように、まず、化粧シート 4を射出成形用金型内にセットする。金型内へのセットの仕方の具体例としては、ロール軸に長尺の化粧シート 4を一且卷き取ってロール状巻物とし、このロール状巻物を射出成形用金型の上部に載置し、ロール状巻物力も化粧シート 4を巻き出しながら、金型内を通過させ、射出成形用金型の下部に設置したフィルム巻き取り手段のロール軸によりィ匕粧シート 4を巻き取るようにしてもよい。別の例としては、枚葉の化粧シート 4を用いて、ロボットや人手により金型内に入れてもよい。化粧シート 4を金型内に入れた後に真空成形等する場合は、金型に対する化粧シート 4の位置を決定した後、真空成形する前に化粧シート 4を射出成形用金型の表面にクランプ部材によって押さえ付けるとよい。

[0025] また、本発明の化粧シート付射出成形品の製造方法においては、 2枚のシートが積層された化粧シート 4を射出成形用金型内にセットする前に、立体加工と打ち抜き加ェとをするのが好ましい。つまり、化粧シート 4を射出成形用金型内に入れる前に、射出成形用金型とは別の型を用いて化粧シート 4を真空成形等により三次元形状に立体加工し、所望の形状に打ち抜き加工しておくのである。所望の形状としては、射出成形用金型のキヤビティ形成面 7に合致する形状等がある。

三次元形状に立体加工する方法としては、真空成形法や圧空成形法、熱せられたゴムを押しつける押圧成形法、プレス成形法等がある。ここで、真空成形法とは、化粧シート 4をその軟ィ匕点以上に加熱して軟化させ、真空成形金型の凹部と化粧シート 4との間の空間を密閉して真空吸引し、真空成形金型の凹部内面に化粧シート 4を接着させ、射出成形用金型の可動型 5のキヤビティ形成面 7に合致した三次元形状に化粧シート 4を成形する方法である。

また、所望の形状に打ち抜き加工する方法としては、トムソン打ち抜き法、金型によるプレス法等がある。打ち抜き形状としては、化粧シート 4の外周の場合や、所定形状の孔等がある。なお、前記三次元形状に加工する際に同時に打ち抜き加工をしてちょい。

[0026] 射出成形用金型は、成形榭脂を射出するゲート部 9を有する固定型 6と可動型 5等からなり、固定型 6と可動型 5とが型閉めされることによって、固定型および可動型 5 のキヤビティ形成面 7によって囲まれた単数あるいは複数のキヤビティが形成されるものがある。射出成形用金型の金型内部に入れられた化粧シート 4は、キヤビティ形成面 7を覆うことになる。キヤビティは榭脂成形品に孔部を形成するものであってもよい。キヤビティを形成する凹部は固定型 6あるいは可動型 5のヽずれに形成されて!ヽてもよい。金型は、可動型 5の凹部の周囲でィ匕粧シート 4を押さえ付けて固定するクランプ部材を有してもょ、。クランプ部材は固定型 6ある、は可動型 5に設置されてもょヽ。このようなクランプ部材は、化粧シートに反りが生じている場合には用いることが困難であるが、本発明の方法に用いられる化粧シート 4は反りが生じないので、このようなクランプ部材を用いることが可能となる。

[0027] 次に、図 3に示すように、型閉めして溶融状態の成形榭脂をキヤビティに射出し、成形榭脂の固化と同時に成形榭脂表面に化粧シート 4を一体化接着させる。その後、成形榭脂表面に一体ィ匕接着したィ匕粧シート 4のうち不要な部分を除去してもよい。

[0028] 本発明の方法で用いられる成形樹脂については、特に限定されることはないが、例えばィ匕粧シート 4を構成する複数のシート（la、 lb)として、アクリル系榭脂シートとポリプロピレン系榭脂シートとを使用した場合は、成形榭脂として、ポリプロピレン系榭脂を使用するのが特に好ましい。化粧シート 4と成形樹脂の材質が同系統となり接着力が向上するためである。

実施例

[0029] 以下に本発明の実施例と比較例とを示す。

表 1に示すように、第 1榭脂シートとして、線膨張係数の異なる 2種類のアクリル榭脂 (アクリル榭脂 A〜B)を用意した。また、第 2榭脂シートとして、線膨張係数の異なる 3 種類のポリプロピレン榭脂 (ポリプロピレン榭脂 A〜C)と ABS榭脂を用意した。これらの榭脂の線膨張係数、および厚さは表 1に記載したとおりである。

これらの榭脂を用いて、表 1に示すように、第 1榭脂シートと第 2榭脂シートとをそれぞれ組み合わせて、図 1に示すような化粧シート 4を形成し、当該化粧シート 4を用いて射出成形品を形成した。

[0030] 表 1に差として記載した各数値は、（第 1榭脂シートの線膨張係数）（第 2榭脂シ一トの線膨張係数)の計算結果であり、その数値の下の評価として記載する◎、〇、 △、 Xは、化粧シート、および形成された射出成形品についての総合的な評価である。

具体的には、化粧シートにあっては、反りが生じていない場合が◎、若干の反りが生じているが、なんら問題とならない程度である場合が〇、反りが生じており、問題を生じる可能性がある場合が△、反りが大きぐ射出成形の際に問題が生じる場合が X である。

また、射出成形品の評価にあっては、化粧シートが所望の位置に一体化接着されており、形成時にあっても特に問題が生じな力つた場合が◎、化粧シートが許容範囲内に一体化接着されており、形成時にあっても問題が生じなカゝつた場合が〇、化粧シートに若干のズレが生じている、若しくは形成時に化粧シートの欠落など、若干のトラブルが生じた場合が△、化粧シートが所望の位置力も大幅にズレている、若しくは形成時に大きなトラブルが生じ歩留まり等に影響が生じうる場合が Xである。

[0031] [表 1] 表 1

[0032] 上記表 1からも明らかなように、第 1榭脂シートと第 2榭脂シートの線膨張係数の差 ( 絶対値）が 4 X 10"V°C (41〜50°C)以下の場合には、何れも良好な結果が生じており、特にその差が 1 X 10"V°C (41〜50°C)以下の場合には非常に優れた結果が生じている。その一方で、その差が 5 X 10—⁵Z°C (41〜50°C)より大きくなると、化粧シートに反りが生じこれに起因して、成形される射出成形品にあっても何らかの不具合が生じたことが分かる。

産業上の利用可能性

[0033] 本発明の化粧シートは真空成形のような立体加工がなされた後であっても反りを生じることがないため、立体加工用の金型からの脱離が容易であり、また、射出成形用の金型にセットしてもそこからズレ落ちることがない。また、成形榭脂を射出しても、これが化粧シートと金型との隙間に裏周りすることがない。さらには、化粧シートを構成する各シート間で剥離することもない。

本発明の化粧シートを用いて製造した本発明の化粧シート付射出成形品は、コンソールパネル、センタークラスター、スィッチベース等の自動車内装部品、塗装模様のサイドマットガード、バンパー、ホイルキャップやモール等の自動車外装部品等好適である。

Claims

請求の範囲

[1] 榭脂の射出成形と加飾を同時に行う射出成形同時加飾用シートであって、 2枚の榭脂シートを少なくとも 1層の絵柄層を挟んで積層してなり、 2枚の榭脂シート間の線膨張係数の差力 X 10"V°C (41〜50°C)以下である化粧シート。

[2] 前記 2枚の榭脂シートのうち、表面側榭脂シートの材質がポリウレタン、ポリエステル、アクリル榭脂、ポリオレフイン及びポリカーボネートから選ばれる少なくとも 1種であり、成形用榭脂と接する榭脂シートの材質がポリオレフイン、アクリロニトリル—ブタジェン—スチレン系榭脂 (ABS榭脂）、ポリカーボネート及びポリエステル力も選ばれる少なくとも 1種である請求項 1に記載の化粧シート。

[3] 2枚の榭脂シート間に接着層を有する請求項 1又は 2に記載の化粧シート。

[4] 2枚の榭脂シートの積層がドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、又は熱ラミネート法により形成される請求項 1〜3のいずれかに記載の化粧シート。

[5] 線膨張係数の差が 4 X 10"V°C (41〜50°C)以下である 2枚の榭脂シートを積層する化粧シートの製造方法であって、榭脂シート間に少なくとも 1層の絵柄層を設け、かつ 2枚の榭脂シートをドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、又は熱ラミネート法により積層させる化粧シートの製造方法。

[6] 請求項 1〜4のいずれかに記載の化粧シートをあら力じめ立体加工及び打ち抜き加工を行った後、金型を用いた射出成形法により成形用榭脂と一体化して形成される化粧シート付射出成形品。