WO2007026640A1

WO2007026640A1 - 吸収性物品

Info

Publication number: WO2007026640A1
Application number: PCT/JP2006/316854
Authority: WO
Inventors: Keisuke Ebitsuka
Original assignee: Daio Paper Corporation
Priority date: 2005-08-31
Filing date: 2006-08-28
Publication date: 2007-03-08
Also published as: JP2007061418A; JP4964445B2

Abstract

【課題】便類を簡易にかつ衛生的に除去できるようにする。【解決手段】肌に対向し、排泄液を透過する表面シート１と、この表面シート１より裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素３とを備え、前記表面シート１の前後方向に関して少なくとも一方の端部から前記製品の排泄部位を越える領域において、前記表面シート１の実質的に全体が、この表面シートに対面する製品の他の構成シートのみに対し、多数の接合個所において部分的に融着接合され、前記表面シート１を摘んで前記他の構成シート２からの剥離操作により、前記融着接合部の接合が解かれる構成である。

Description

明細書

吸収性物品

技術分野

[0001] 本発明は、紙おむつや吸収パッド、特に軟便の吸収保持性能を向上させた吸収性物品に関する。

背景技術

[0002] この種の吸収性物品においては、尿のほか便や軟便の排泄を考慮する必要がある幼児のほか特に成人による便や軟便（以下これらを「便類」ともいう。 )については、その吸収性物品の廃棄時における処理が大きな問題となっている。たとえば、病院での介護者は、吸収性物品をゴミとして廃棄するに際し、便類をヘラやティッシュべーパなどで取り去りながら便器に捨てた上で、廃棄容器内に廃棄する必要がある。この作業は、介護者にとって作業上の負担のほか、衛生的でないために精神的な負担ともなつている。

特許文献 1には、トップシートに開口部を形成し、大便を収容する構成が開示されている。

し力しながら、便類を便器に捨てる際の負担解消には十分であるとは言えない。特許文献 1 :特開 2002— 113043号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] そこで、本発明の主たる課題は、便類を簡易にかつ衛生的に除去できる吸収性物品を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0004] 上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。

<請求項 1記載の発明 >

肌に対向し、排泄液を透過する表面シートと、この表面シートより裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素とを備え、前記表面シートの前後方向に関して少なくとも一方の端部力前記製品の排泄部位を越える領域において、前記表面シートの実質的に全体が、この表面シートに対面する製品の他の構成シートのみに対し、多数の接合個所において部分的に融着接合され、

前記表面シートを摘んで前記他の構成シートからの剥離操作により、前記融着接合部の接合が解かれる構成であることを特徴とする吸収性物品。

[0005] (作用効果）

本発明では、表面シートを、この表面シートに対面する製品の他の構成シートのみに対し、多数の接合個所において部分的に融着接合したものである。部分的に融着接合の場合、接合強度が小さぐ当該表面シートを摘んで前記他の構成シートからの剥離操作により、前記融着接合部の接合を解くことができる。その結果、便類の表面シート上への排泄があった場合、当該表面シートを摘んで前記他の構成シートから剥離して、その表面シートをたとえば逆さまにするなどすれば、表面シート上の便類を便器上内に簡単に落下させることができ、廃棄操作が簡易となる。

これに関連して説明すると、仮に吸収性物品全体を逆さまにするとしても、便類が表面シート上に単に付着しているものでなぐ便類の一部が下層のシート内にも浸透し、全体としてその便類の付着性を高めているケースが多いところ、本発明によれば、表面シートを摘んで他の構成シートから剥離することにより、その便類の他の構成シートとの縁が切れ (付着がはずれ)るので、表面シート上の便類を簡単に脱落できるのである。

[0006] <請求項 2記載の発明 >

製品の両側部に着用者側に起立するバリヤ一力フスをそれぞれ有し、このノリヤーカフスの前後端部が前記表面シート上にホットメルト接着剤により接合され、

前記表面シートの実質的に全体力この表面シートに対面する製品の他の構成シートに対し、多数の接合個所において部分的に融着接合され、

前記表面シートは、前記ホットメルト接着剤による接合部及び前記融着接合部のみにおいて固定されている請求項 1記載の吸収性物品。 [0007] (作用効果）

ノリヤーカフスは便類の横漏れ防止効果を発揮することは周知である。本形態においても、力かる構成を採用する。ノリヤーカフスは少なくとも脚周り領域において起立させためにノリヤーカフスの前後端部を製品に対し固定する必要がある。したがって、請求項 2の形態においては、バリヤ一力フスの前後端部を前記表面シート上にホットメルト接着剤により接合して、ノリヤーカフスを脚周り領域において起立させるようにしてある。

しかるに、表面シートの実質的に全体力この表面シートに対面する製品の他の構成シートに対し、多数の接合個所において部分的に融着接合され、前記表面シートは、前記ホットメルト接着剤による接合部及び前記融着接合部のみにおいて固定されておれば、表面シートを摘んで他の構成シートから剥離することにより、その便類の他の構成シートとの縁を切り（付着をはずす)ことで、表面シート上の便類を簡単に脱落させることができる。

このように、バリヤ一力フスの前後端部を製品に対し固定する態様の下でも、便類の脱落の簡易化を図ることができる。

[0008] <請求項 3記載の発明 >

表面シートは、不織布を素材とする孔開きシートからなる請求項 1または 2記載の吸収性物品。

[0009] (作用効果）

表面シートを孔開きシートとすることで、軟便の透過速度を速めることができ、結果的に吸収能力の高いものとなる。

また、表面シートを不織布を素材とすることにより、表面シートを破りながら他の構成シートから剥離することができ、たとえば、ノリヤーカフスの前後端部が表面シート上にホットメルト接着剤により接合される形態においても、他の構成シートからの剥離が容易となり、必要により、表面シートのほぼ全体を吸収性物品力分離した態様で便類の脱落を図ることができる。

[0010] <請求項 4記載の発明 >

前記不織布を素材とする孔開き表面シートの少なくとも排泄液の排泄部に対向する部位及びその周辺を含む排泄領域に形成された排泄液の透過孔群にお！/、て、単一の透過孔の有効開口面積が 3〜75mm²であり、かつ開口面積率が 10〜80%である請求項 1〜3のいずれか 1項に記載の吸収性物品。

[0011] (作用効果）

軟便は、表面シートを通して速やかに透過シートに移行させることが重要であり、このためには、表面シートを孔開きシートとし、特に孔開き表面シートの少なくとも排泄液の排泄部に対向する部位及びその周辺を含む排泄領域に形成された排泄液の透過孔群において、単一の透過孔の有効開口面積が 3〜75mm²であり、かつ開口面積率が 10〜80%であるものが必要であることを知見した。

[0012] <請求項 5項記載の発明 >

前記表面シートの JIS P 8116に規定される前後方向引き裂き強度が 13N以下である請求項 1〜4のいずれか 1項に記載の吸収性物品。

[0013] (作用効果）

表面シートの前後方向引き裂き強度が小さいと、表面シートを破りながら他の構成シートから容易に剥離することができ、必要により、表面シートのほぼ全体を吸収性物品から分離した態様で便類の脱落を図ることができる。

[0014] <請求項 6項記載の発明 >

前記融着接合部の接合強度が 150gZ50mm以下である請求項 1〜5のいずれか 1項に記載の吸収性物品。

[0015] (作用効果）

前記の接合強度であると、表面シートを他の構成シートから容易に剥離することができる。なお、本発明の接合強度とは、 JIS Z 0237に規定される「10.粘着力」の項の「10. 5 180度引きはがし粘着力の測定」試験に準じて、融着接合された表面シート及び他の構成シートを 50mm X 25mm角に切り取り、いずれか一方のシートの端部を上部チャックに、他方のシートの端部を下部チャックにそれぞれ挟み、 300m m士 30mmZ分の速度で引つ張り、計測される弓 I張強さのことである。

[0016] <請求項 7項記載の発明 >

前記融着接合部の接合強度において、前後方向端部の接合強度より中間領域の接合強度が小さい請求項 2記載の吸収性物品。

[0017] (作用効果）

表面シートの前後端部は他の構成シートと分離しがちであるのに対し、中間領域は浮きに伴う弛みが生じない程度に接合されていればよい。したがって、前記融着接合部の接合強度において、前後方向端部の接合強度より中間領域の接合強度が小さいちのとすることがでさる。

発明の効果

[0018] 以上のとおり、本発明によれば、要するに、便類を簡易にかつ衛生的に除去できるものとなる。

発明を実施するための最良の形態

[0019] 以下、本発明の実施の形態を、成人用のパンツ型おむつの使用面にあてがい、使い捨ての吸収パッドの例をもって詳説する力本発明の吸収性物品としては、成人用及び幼児用を問わず、パンツ型おむつ自体やテープ式おむつなど各種の吸収性物品に適用できることは、うまでもな!/、。

[0020] <基本的形態 >

図 1及び図 2に図示する吸収パッドは、排泄液を透過し、かつ孔開きシートからなる肌に対向する表面シート 1と、排泄液を透過する透過シート 2と、この透過シートの裏面側にあって前記排泄液を保持する綿状パルプ層を含む吸収要素 3とを表面側カゝら裏面側に向けて順に備える。さらに製品の両側において、着用者側に起立するバリヤーカフス B, Bを有する。

[0021] 孔開きのたとえば不織布を素材とする表面シート 1の少なくとも排泄液の排泄部に対向する部位及びその周辺を含む排泄領域に、実施の形態では全体に多数の排泄液の透過孔 H, H…が形成されている。

[0022] 透過孔 H, H…群としては、単一の透過孔の有効開口面積が 3〜75mm² (より好適には 5〜30mm²)であり、かつ開口面積率が 10〜80% (より好適には 30〜60%)であるものが好適に使用される。開口面積及び開口面積率が小さいと軟便の固形分の透過性が劣るものとなり、開口面積が過度に大きいと、透過シート表面に残留した軟便の固形分と肌が当たるものとなり、肌のかぶれや、煩雑な肌の清拭作業が必要となる。開口面積率が過度に大きいと、強度的に小さくなり好ましくない。

[0023] 表面シート 1に直接対向する透過シート 2は、図示例ではセカンドシートとして機能する。その詳細は後述する。

[0024] 透過シート 2に直接対向し、排泄液を保持する吸収要素 3は、使用面側に綿状パルプ層 3Aが露出している。図 2の具体例では、額巻きのティッシュぺーパやクレープ紙 3Bによって綿状パルプ層 3Aの裏面及び側面が包み込まれ吸収要素 3が構成されている。

[0025] 吸収性物品の裏面側を構成する裏面シート 4は、実施の形態では不透液性のシートであり、たとえばプラスチックシートからなる。裏面シート 4は通気性を有していてもよい。裏面シート 4は、吸収要素 3の側縁より側外方に延在している。

[0026] 製品の側部にはノリヤーシート 5が設けられ、その外側部がホットメルト接着剤などにより裏面シート 4の延在部に対して固定され (バリヤ一力フス基部の接合部を符号 F 0で示す）、内側の自由部分の先端側は内側に折り返され、その部分に糸ゴムなどの弾性伸縮部材 5aがその伸張下で固定されることにより、着用時において自由部分が起立するバリヤ一力フス B, Bを構成している。本発明において、ノリヤーカフスの有無は限定されないが、軟便の横漏れ防止のためにバリヤ一力フスを設けることが望ましい。

[0027] 実施の形態では、透過シート 2が吸収要素 3の側縁より側外方に延在しており、その延在部がノリヤーシート 5と裏面シート 4との間に介在されホットメルト接着剤などにより固定されている。

[0028] 図 2が参照されるように、表面シート 1は裏面シート 4とは固定関係になぐバリヤ一シート 5とは表面シート 1の 4隅を除くほぼ全体が固定関係にない。表面シート 1はなんらかの形態で、製品の部材に固定する必要がある。実施の形態では表面シート 1 は、本発明における「他の構成シート」としての透過シート 2に部分的に接合されてヽる。この接合に際し、通常は、ホットメルト接着剤のスパイラル塗布によって、表面シート 1を透過シート 2に接合する態様を採る。しカゝるに、本発明における好適な態様下では、表面シート 1は孔開きシートであり、かつ開口が大きい。その結果、ホットメノレト接着剤が透過孔カゝら使用面側にはみ出したり、ホットメルト接着剤の存在により、排泄液の透過孔 Hを通しての透過が阻害されるので、表面シート 1の弛みが生じない（固定個所が大きく分散していると、表面シート 1の弛みなどを生じ、かつ、両者が離間することが原因となって排泄液の透過シート 2への移行が円滑でなくなることが生じる）範囲で、可能な限り固定全面積を小さくするように、かつ、ホットメルト接着剤が透過孔からの使用面側へのはみ出しを防止するために、ヒートシールや超音波シールにより部分的に表面シート 1を透過シート 2に融着接合部 mをもって接合するのが望ましいのである。

[0029] 他方、バリヤ一力フス Bを前後端部を除き中間部を起立させるために、表面シート 1 に対し、バリヤ一シート 5の内側前後端部が合計 4個所の部位においてホットメルト接着剤により固定されて!ヽる (ホットメルト接着剤接合部を符号 Fで示す)。

[0030] また、ノリヤーシート 5の外側部と裏面シート 4との間には、脚周りに沿って弾性伸縮部材 5aが伸張下で、前述のホットメルト接着剤によるバリヤ一力フス基部の接合部 FOによって固定されており、物品の脚周りへのフィット性が向上するようになっている

[0031] 本発明の好適な実施の形態の下では、表面シートの JIS P 8116に規定される前後方向引き裂き強度が 13N以下である。また、表面シート 1は不織布を素材とするものである。素材例については後述する。

[0032] <表面シートの透過シートへの接合形態 >

他方、製造に際して、先に概要説明したように、表面シート 1は透過シート 2に熱融着接合することにより固定するのが望ましい。この融着方法としては、ヒートシールや超音波シールを用いることができる。これらの加工方法は、加熱方式の差異を除けば基本的な原理は同じであり、加工ロールの外周面に多数設けられた凸部を表面シート 1上に圧接しつつ加熱し、凸部による圧接部を融着させるものである。

[0033] 好ましい形態下では、図 4に示すように、この融着部 m, m…が、実質的に製品の前後方向の各位置で幅方向の少なくとも一箇所に設けられる。このようなパターンは、加工ロールの凸部を外周方向に実質的に途切れないように配列する、換言すれば常にいずれかの凸部が融着を行うように凸部を配列することにより達成できる。

[0034] 融着部 m, m…のパターンは適宜定めることができる力例えば、図 4のように、前後方向及び幅方向位置が異なる複数の融着部 m, m…を V字状に配列してなる融着部群を、前後方向に複数並設したパターンとすることができる。融着部 m, m…の形状は、図示の斜め楕円形のほか、丸形、三角形、四角形、菱形、 6角形等、適宜の形状を採用することができ、これらは規則的または不規則に配列することができる。なお、図中の融着部 mは加工範囲の形状を示しており、表面シート 1に孔があるので、実際に融着する接合部分の形状と等しくならない場合がある。

[0035] また、物品の前端部 FE及び後端部 BEと、その間の中間部 Cとにおいて、融着部 m , m- · ·の面積率 (単位面積あたりに占める全融着部の面積の割合）が同じか又は後者を高くすることもできる力融着部， m…は排泄液の透過が困難であるため、表面シート 1の透過性を損ねないように、融着部 m, m…の面積率を、物品の前後端部 F E, BEよりもその間の中間部 Cの方を低くするのが好ましい。融着部 m, m…の面積率は、図示例のように、融着部 m, m…の数を減らすことにより調整できるほか、融着部 m—箇所当たりの面積を減少させることによつても調整できる。なお、物品の前後端部 FE, BE、中間部 Cの長さは適宜定めることができるが、例えば、前後端から各 1 〜： LOOmmの範囲をそれぞれ前後端部 FE, BEとし、両者の間を中間部 Cとすることができる。

[0036] 融着部 m—箇所当たりの面積は l〜300mm²の範囲、特に 5〜30mm²の範囲内にあることが望ましぐかつ面積率は 0. 1〜20%の範囲、特に 0. 5〜10%の範囲内にあることが望ましい。前後方向中間部 Cにおける融着部 m, m…の面積率を前後端部 FE, BEよりも低くする場合は、前後端部 FE, BEにおける面積率は 5〜30%、特に 5〜20%の範囲内とし、中間部 Cにおける面積率は 1〜30%、特に 1〜15%の範囲内とすることが望ましい。

[0037] また、表面シート 1が孔開きシートである場合、融着部 m, m…の MD方向（製品の長手方向）長さ及び CD方向（製品の幅方向）長さが、表面シート 1の透過孔 Hと比べて長くなるようにサイズ等を選定するのが好ましい。これにより、図 5に示すように、融着部 m, m…の位置と透過孔 Hの位置とが部分的に重なっても、必ず融着部 m, m • "をカ卩ェ形成できるので好適である。

[0038] <便類の脱落形態 > 吸収性物品の着用時に便類の排泄があった場合、たとえば、次のような廃棄形態を採ることができる。なお、この廃棄形態は単なる例示である。

(1)表面シート 1の一方の端部を摘んで、透過シート 2 (他の構成シート)から剥離する。その際に、表面シート 1が引き裂き容易な素材であれば、ホットメルト接着剤接合部 Fを避けて、前後方向（図 1の上下方向）に引き裂くことができ、その後は、融着部 m, m…のみにおいて透過シート 2と接合されているので、簡単に透過シート 2から剥離することができる。

剥離後、たとえば図 6のように、表面シート 1を逆さまにして、付着した便類 Xをたとえば便器内に脱落させることができる。通常は、その脱落操作にヘラやティッシュぺーパなどの道具類は不要である。

必要ならば、表面シート 1全体を分離するようにしてもよい。

(2)表面シートの引き裂きを行わない場合には、表面シート 1の適宜の部位を摘んで、ホットメルト接着剤接合部 Fの接合のままで、透過シート 2 (他の構成シート)力も剥離する。その後、吸収性物品全体を逆さまにするなどして、付着した便類 Xをたとえば便器内に脱落させることができる。

[0039] <表面シートの他の接合形態について >

本発明において、上記例においては、表面シート 1が全体的に透過シート 2から剥離可能な構造をなしているが、便類の排泄部はほぼ長手方向中間であるから、その排泄部位を越える領域において、表面シート 1が透過シート 2から剥離可能であればよぐしたがって、他の領域において、表面シート 1の透過シート 2への接合形態を限定されるものではない。

また、上記の廃棄形態 (2)を採用する場合には、推測できるように、 4個所の固定部 Fで接合する形態に換えて、表面シート 1の端部全体が透過シート 2にたとえばホットメルト接着剤によって固定されていてもよい。

[0040] <軟便の吸収について >

軟便の吸収を主たる目的とする吸収性物品においては、表面シートの軟便透過速度 S1が、透過シートの軟便透過速度 S2より大きい。より好ましい態様の下では、軟便透過速度 S2が前記吸収要素の表面層（たとえば綿状パルプ層）の軟便透過速度 S3大きいものであり、結局、 S1 >S2>S3の関係にあるものである。

[0041] この種の吸収性物品においては、軟便を速やかに肌力遠ざけるとともに、肌から遠!ヽ位置に収容保持する能力が高ヽことが必要である。これを達成するためには、各構成要素が単に軟便透過速度が高いだけでなぐ各構成要素間において軟便透過速度に関し前記の速度勾配が必要であり、かつ速度の絶対値より速度勾配の方が支配的であることを知見した。

[0042] さらに、軟便は、表面シートを通して速やかに透過シートに移行させることが重要であり、このためには、表面シートを孔開きシートとし、特に孔開き表面シートの少なくとも排泄液の排泄部に対向する部位及びその周辺を含む排泄領域に形成された排泄液の透過孔群において、単一の透過孔の有効開口面積が 3〜75mm²であり、かつ開口面積率が 10〜80%であるものが必要であることを知見した。ー且、軟便を、表面シートを速やかに透過させて透過シートに移行させてしまえば、 SI >S2なる関係があるから、その後は表面側に逆戻りをし難いものとなるのである。

[0043] この場合において、排泄液を吸収要素に速やかに移行させることができないと、やがて透過シート中に残留するようになる。綿状パルプを主体とする吸収体を使用する場合、形状を保持するために通常はティッシュぺーパで包被することが行われて、る。しかし、尿とは異なり軟便の液分はより粘稠であるの、透過性に劣る。吸収体の表面側が軟便の液分が透過し難いものであると、そこが透過シートから移行しょうとする軟便の液分に対するバリヤ一となり、結局、透過シートを軟便が透過し難いものとなる

[0044] これでは、軟便の吸収保持性能が十分でなくなるので、前記透過シートに対して、吸収要素との間に他のシートを介在させることなぐ透過シート下には、使用面側に綿状パルプ層を直接露出させる形態とすることで、透過シート中に移行した排泄液を速やかに綿状パルプ層に移行させることができ、もって排泄液が透過シート中に残留する傾向を防止でき、結果として、軟便の吸収保持性能が高いものとなる。

[0045] 他方、吸収要素の表層として、軟便の透過性に優れた表層シートを使用することもできる。この表層シートは綿状パルプ層上に配置することができる。

[0046] 他の構成シートとしての、透過シートが親水性であると、尿の場合には透過性に優れるとしても、透過シートに達した排泄液、たとえば軟便の場合には、繊維間に軟便の固形分が保持され、これに伴って軟便中または固形分間の液分も保持され、結局、軟便の液分も透過シート中に保持'残留された状態なり、吸収要素側に移行し難い

[0047] これに対し、透過シートが撥水性または疎水性の繊維を主体とするシートを使用すると、繊維間に軟便の固形分の多くが保持されるとしても、軟便中または固形分間の液分に対し撥水性または疎水性の繊維がろ過性を示す機能を示すものと考えられ、もって、液分は固形分力も分離して吸収要素側に移行する。その結果、当該透過シートは続いて軟便を受け入れる余裕を示し、これらの連続ろ過機能が発揮されるため、軟便の液分を吸収要素側に多くかつ速やかに移行できる。

[0048] <他の実施の形態 >

続いて、他の各種の実施の形態を説明する。図 7は、綿状パルプ層として、単一層の綿状パルプ層 3Aに換えて、幅が狭!、上部綿状パルプ層 3A1と幅広の下部綿状パルプ層 3A2としたものである。

[0049] 透過シート 2の下方の適宜の部位に、液分の大量保持のために、吸収要素 3の適宜の位置には高吸収性ポリマー粒子を (SAP)を設けることができる。たとえば、吸収体 3 A上に分散散布するほか、吸収体 3A中に分散させることもできる。また、図 8に示すように、上部綿状パルプ層 3A1と下部綿状パルプ層 3A2との 2層構造とする場合、下部綿状パルプ層 3A2のみに高吸収性ポリマー粒子を包含させることができる。図 4の〇で示したものが高吸収性ポリマー粒子である。

[0050] 本発明において、表面シートと、透過シートと、吸収要素とを順に備える限り、これらの側面を包む形態での額巻きで裏面シートが前記表面シート上の両側部まで巻き上げる形態、透過シートが吸収要素全体を包む形態、表面シートが透過シート及び吸収要素全体を包む形態、透過シートが吸収要素全体を包み、かつ表面シートがさらに上力も透過シート及び吸収要素全体を包む形態などを採ることができる。

[0051] また、図 9に示すように、吸収要素 3の上側に表層シート 3Cを設けることもできる。

[0052] く構成素材などについて >

表面シート 1の素材は、肌感触を良好にするためには不織布が望ましいが、プラスチックシートでもよい。孔 Hの開口形状は、図示の円形のほか、長径が長手方向に沿う楕円形、丸形、三角形、四角形、菱形、 6角形等、適宜の形状を採用することができ、これらは表面シート 1の一部または全体にわたり規則的または不規則に多数配置することができる。表面シート 1に好適な不織布としては、エアスルー不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布などを挙げることができる。表面シート 1に不織布を用いる場合、不織布を構成する繊維の繊度は、 2〜15dtex、特に 3〜： LOdtex、とりわけ 4〜： LOdtexであることが、軟便を吸収する空間を維持し透過性を高める点力好ましい。またその目付け量としては、 5〜45gZm²が望ましい。さらに、表面シート 1は、表面シート 1上の拡散を抑制するために撥水性または疎水性の繊維を用いるのが好ま、。

[0053] 表面シートについては先に説明したほか、素材は不織布が肌感触を良好にならしめるために望ましいが、プラスチックシートでもよい。開口の形状は、図示の丸のほか、楕円形三角、四角、菱形、 6角形等の孔 Hが規則的または不規則に多数配置された形態などを挙げることができる。好適に使用できる不織布としては、エアスルー不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布などを用いることができる。不織布を構成する繊維は、その繊度が、 2〜15dtex、特に 3〜10dtex、とりわけ 4〜10dtexであること力軟便を吸収する空間を維持し透過性を高める点力好ましい。表面シートの目付け量としては、 5〜45gZm²が望ましい。

[0054] 表面シート 1に直接対向する透過シート 2は、表面シート 2を透過した排泄液を速やかに吸収要素 3に受け渡す層として機能するものである。透過シート 2としては、撥水性または疎水性の繊維を主体とするシートが好適であり、エアスルー不織布等の不織布シートも用いることができるが、特に、フィラメントの集合体、たとえばフィラメントを束としたトウを開繊してシート状としたもの、特にフィラメントがシートの面方向に配向して、るもの、さらにはフィラメントがスパイラル捲縮して、るものであるのが望まし！/、。

[0055] アセテートなどの親水性トウを開繊してシート状としたものでは、軟便の透過性が悪い。撥水性または疎水性の繊維は、軟便の液分の透過性に優れるが、たとえば PET のエアスルー不織布では、軟便の液分の透過性が充分でない。これに対し、たとえば撥水性または疎水性の繊維のトウを開繊してシート状としたものを透過シートとすると、格段に軟便の液分の透過性に優れたものとなる。

[0056] 透過シート 2のフィラメントがシートの面方向に配向させる場合、図 10の（a)に示すように製品の前後方向に配向させるほか、図 10の（b)に示すように製品の幅方向（前後方向と直交する方向）に配向させることができる。製品の長手方向に配向させる方力軟便の液分を前後に拡散させつつ透過させる効果が大きい。

[0057] 好適に使用できる撥水性または疎水性のフィラメントとしては、 PET、 PP、 PEなどの繊維のほか、これらを素材とする芯鞘構造のフィラメントを挙げることができる。

[0058] フィラメントの繊度は、例えば、 1〜16デニール、好ましくは 1〜10デニール、さらに好ましくは 2〜8デニール程度とすることができる。フィラメントは、非捲縮繊維であつてもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、 1インチ当たり 5〜75個、好ましくは 10〜50個、さらに好ましくは 15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を用いると、嵩高で軽量な吸収体を製造できるとともに、繊維間の絡み合いにより一体性の高いトゥを容易に製造できる。とりわけ、スパイラル捲縮繊維は最適である。トウ構成繊維（フィラメント)の断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、異形 (例えば、 Y字状、 X字状、 I字状、 R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。フィラメン卜は、例えば、 3, 000〜1, 000, 000本、好まし <は 5, 000〜1, 000, 000本程度の単繊維を束ねることにより形成されたトウ (繊維束またはフィラメント束)の形で使用することができる。トウは、 3, 000-1, 000, 000本程度のフィラメントを集束して構成するのが好ましい。

[0059] トウは、繊維間の絡み合!/、が弱!、ため、主に形状を維持する目的で、繊維の接触部分を接着または融着する作用を有するバインダーを用いることができる。バ各種の榭脂接着剤、特に熱可塑性榭脂を用いることができる。

[0060] フィラメントの集合体は公知の方法により製造できる。この代表例は、先に説明したように、フィラメント魏束してトウを形成し、このトウを開繊する形態である。トウの開繊幅は任意であり、例えば、幅 100〜2000mm、好ましくは 150〜 1500mm程度とすることができる。トウの開繊度合いを調整することにより、フィラメント集合体の密度を調整することができる。フィラメント集合体としては、厚さを 10mmとしたときの繊維密度力 SO. 0075g/cm³以下、特に 0. 0060〜0. 0070g/cm³であるもの力 S好適である。過度に繊維密度が高くなると、トウからなる繊維集合体を用いることによる利点が少なくなり、軟便の液分透過性が低下する。また、本発明の透過シート 2の目付けは、 10〜： LOOgZm²であるのが望ましい。透過シート 2の目付けは、原反となるトウの選択、あるいはその製造条件により調整できる。

[0061] トウの開繊方法としては、例えば、トウを複数の開繊ロールに掛渡し、トウの進行に伴って次第にトウの幅を拡大して開繊する方法、トウの緊張 (伸長)と弛緩 (収縮)とを繰返して開繊する方法、圧縮エアーを用いて拡幅 ·開繊する方法などを用いることができる。

[0062] 透過シート 2は、単一のシート構造が望ましいが、必要ならば積層構造であって実質的に単一のシートとみなされるものでもよい。この場合における下層シートとしてはゝアスルー不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ヒ一トロール不織布、スパンボンド不織布などを用いることができる力エアスルー不織布が最適である。エアスルー不織布のうちでも、撥水性または疎水性の繊維を使用することが特に望ましい。撥水性または疎水性の繊維としては、 PET、 PP、 PEなどの繊維のほか、これらを素材とする芯鞘構造の繊維を挙げることができる。下層シートとしては、孔開きシートとすることができる。この場合、単一の透過孔の有効開口面積が 0. 5〜40mm²であり、かつ開口面積率が 1〜80%であるのが液分透過性の観点から望ましい。

[0063] 単一または実質的に単一のシートとみなされる透過シート 2の目付け量は 10〜60g /m²であるのが望ましい。

[0064] 透過シート 2に直接対面させる吸収要素 3としては、透過シート 2に直接綿状パルプ層を対面させて配置できる。

[0065] 綿状パルプ層としては、公知の綿状パルプを用いることができ、パルプ繊維を公知の方法により積繊し、空気や水流等により交絡処理することにより製造できる。パルプ繊維としては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維力もなるものを用いることができ、広葉榭パルプよりは繊維長の長ヽ針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。

[0066] 吸収要素 3に対して、たとえば前掲の形態で使用できる高吸収性ポリマー粒子を（ SAP)としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アタリル酸塩重合体架橋物、澱粉アクリル酸グラフト共重合体、澱粉—アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセル口ース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソプチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。製品の吸湿によるブロッキング性を抑制するためにブロッキング防止剤が添加されたものも用いることができる。また高吸収性ポリマーとしては、粉体状、粒子状、顆粒状、ペレット状、ゾル状、サスペンジョン状、ゲル状、フィルム状、不織布状等のさまざまな形態をもったものがある力これらは、ずれも本発明にお、て使用可能であり、特に粒子状のものが好適に使用される。

[0067] 高吸収性ポリマーの目付け量は、排泄液量に対応して要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、一般的には 0. 03g/cm² 以下、特に好適には 0. 01〜0. 025gZcm²とすることができる。

[0068] また、綿状パルプ層 3 A1,綿状パルプ層 3A2中に高吸収性ポリマーを含有させるのに代えて、綿状パルプ層 3A1,綿状パルプ層 3A2の表面側および裏面側の少なくとも一方に高吸収性ポリマーを層状に設けることもできる。これらの場合において、高吸収性ポリマーは綿状パルプ層 3A1,綿状パルプ層 3A2を包む包装材 3A, 3C に接着剤により接着することができる。この場合の接着剤としては前述の熱可塑性榭脂を用いることができる。

[0069] 吸収性物品の裏面側を構成する裏面シート 4は、実施の形態では不透液性のシートであり、たとえばプラスチックシートを用いることができる。裏面シート 4は通気性を有していてもよい。

[0070] 透過シート 2に直接対面する吸収要素 3として、透過シート 2に直接綿状パルプ層を対面させるほか、図 9に示したように表層シート 3Cを配置してもよ、。

[0071] この場合の表層シート 3Cとしては、エアスルー不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布などを用いることができるが、エアスルー不織布が最適である。エアスルー不織布のうちでも、撥水性または疎水性の繊維を使用することが特に望ま、。撥水性または疎水性の繊維としては、 PET、 PP、 PEなどの繊維のほか、これらを素材とする芯鞘構造の繊維を挙げることができる。

[0072] 表層シート 3Cの目付け量としては、 10〜60gZm²であるのが望まし!/、。表層シート

3Cは単層のほか、 2層以上、たとえば 3層構造で積層できる。積層した場合、積層状態での目付け量が 10〜60gZm²であるのが望ましい。

[0073] 表層シート 3Cは、孔開きシートとすることができる。この場合、単一の透過孔の有効開口面積が 0. 5〜40mm²であり、かつ開口面積率が 1〜80%であるのが液分透過性の観点力望ましい。孔開きシートである場合、各種の不織布に対し孔開きとするほか、プラスチックシートを孔開きとするものでもよ!/、。

図面の簡単な説明

[0074] [図 1]本発明に係る吸収性物品例の展開状態における平面図である。

[図 2]図 1の 2— 2線矢視断面図である。

[図 3]図 1の 3— 3線矢視断面図である。

[図 4]表面シートの透過シートへの接合形態を示す説明図である。

[図 5]表面シートの透過孔と融着部との関係例の説明図である。

[図 6]便類の処理形態例示の説明図である。

[図 7]他の形態の断面図である。

[図 8]別の形態の断面図である。

[図 9]さらに他の形態の断面図である。

[図 10]透過シートを構成するフィラメントの配向形態を説明するための吸収性物品の展開状態における平面図である。

符号の説明

[0075] 1…表面シート、 H…表面シートの孔、 2…透過シート、 3…吸収要素、 4…裏面シート、 5· ··ノリヤーシート、 Β· ··バリヤ一力フス。

Claims

請求の範囲

[1] 肌に対向し、排泄液を透過する表面シートと、この表面シートより裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素とを備え、

前記表面シートの前後方向に関して少なくとも一方の端部力前記製品の排泄部位を越える領域において、前記表面シートの実質的に全体が、この表面シートに対面する製品の他の構成シートのみに対し、多数の接合個所において部分的に融着接合され、

[2] 製品の両側部に着用者側に起立するバリヤ一力フスをそれぞれ有し、

このノリヤーカフスの前後端部が前記表面シート上にホットメルト接着剤により接合され、

前記表面シートは、前記ホットメルト接着剤による接合部及び前記融着接合部のみにおいて固定されている請求項 1記載の吸収性物品。

[3] 表面シートは、不織布を素材とする孔開きシートからなる請求項 1または 2記載の吸収性物品。

[4] 前記不織布を素材とする孔開き表面シートの少なくとも排泄液の排泄部に対向する部位及びその周辺を含む排泄領域に形成された排泄液の透過孔群にお！/、て、単一の透過孔の有効開口面積が 3〜75mm²であり、かつ開口面積率が 10〜80%である請求項 1〜3のいずれか 1項に記載の吸収性物品。

[5] 前記表面シートの JIS P 8116に規定される前後方向引き裂き強度が 13N以下である請求項 1〜4のいずれか 1項に記載の吸収性物品。

[6] 前記融着接合部の接合強度が 150gZ50mm以下である請求項 1〜5のいずれか 1項に記載の吸収性物品。

[7] 前記融着接合部の接合強度において、前後方向端部の接合強度より中間領域の接合強度が小さい請求項 2記載の吸収性物品。