JP2007061252A5 - - Google Patents

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吸収性物品
本発明は、トウを開繊してなるフィラメント集合体により吸収体を形成した吸収性物品に関するものである。
幼児や大人のテープ式やパンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキンなどの吸収性物品は、使用面側のトップシートと、背面側の体液の透過を防止するバックシートと、これらのシート間に介在され、トップシートを透過した排泄された体液を受け入れ保持する吸収要素とを基本要素としている。
この基本要素に対し、バックシートの裏面側にたとえば不織布などからなる外装シートを設け、バックシートとしてプラスチックシートを使用した場合における肌触りを改良する形態、製品の両側にいわゆるバリヤーカフスを形成する形態など、ウエスト周りや腹周りのフィット性を改良するために弾性伸縮性を付与する形態などが、適宜付加される。
使用面側のトップシートを透過した体液を受け入れ保持する吸収要素としては、従来は、パルプ短繊維の積繊体が一般的に使用されている。また、体液吸収量を高めるために高吸収性ポリマー粒子(以下「SAP」ともいう。)を使用することも知られている。
SAPはパルプ短繊維の積繊体上に散布する場合のほか、パルプ短繊維のSAPを分散保持させ積繊体させる場合(特許文献1)がある。
一方、近年では、特表2002―524399号(WO99/27879:特許文献2)及び特表2004―500165号(米国特許第6,646,180号:特許文献3)に示されるように、セルロースアセテートのトウを吸収要素として使用することが提案されている。
特表2004―500165号は、SAPを主体としフィラメント集合体を添加した吸収要素を開示する。この吸収要素は、上層と下層との間に設けた、SAPを約50〜95重量%含み、スターチなどの非水溶性の親水性ポリマー及び繊維を約5〜50重量%含吸収層からなるラミネート構造のものであり、これを横断面C型に折り畳み、中央にチャンネルを形成したものである。
特開2004―65300号公報 特表2002―524399号(WO99/27879)公報 特表2004―500165号(米国特許第6,646,180号)公報
トウは密度が比較的に高く、そのままでは吸収性能や柔らかさが不十分なため、開繊を要する。
しかしながら、トウを開繊してなるフィラメント集合体は、フィラメント相互の結びつきが弱いため、使用時に加わる外力によって形状が崩れ、初期の吸収性能が発揮されなくなるおそれがあった。
また、吸収量を確保するために、フィラメント集合体内に高吸収性ポリマー粒子を保持させるのが好ましい。
しかし、高吸収性ポリマー粒子は、フィラメント集合体への付与時に又はその後の工程、あるいは消費者が使用するまでの過程で、フィラメント集合体内を移動し、フィラメント集合体内で偏在化したり、フィラメント集合体から抜け落ちたりすることがある。これらの事態が発生すると、吸収性能が阻害されたり、フィラメント集合体から抜け落ちた高吸収性ポリマー粒子群の凹凸が、使用者にジャリジャリした違和感を与えたりするため、好ましくない。
そこで、本発明の主たる課題は、フィラメント集合体の形状保持性を向上させることにある。また、他の課題は、フィラメント集合体の形状保持性の向上とともに、フィラメント集合体内における高吸収性ポリマー粒子の移動を抑制することによって、高吸収性ポリマー粒子の偏在を防止し、尿の拡散性及び吸収速度を向上させ、またゲルブロッキングを防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
吸収体を有する吸収性物品において、
前記吸収体は、トウを開繊してなるフィラメント集合体により形成されており、
前記フィラメント集合体は、部分的にフィラメント相互を熱融着してなる熱融着部分を有している、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
トウを開繊しただけのフィラメント集合体は形状保持性に劣る。そこで、本発明では、部分的にフィラメント相互を熱融着し、フィラメント相互を強固に結びつけることによって形状保持性を向上させようとするものである。本発明によれば、熱融着部分においてフィラメントの相対位置が固定されるため、フィラメント集合体の形状保持性に優れるようになり、期の吸収性能が確実に発揮されるようになる。
<請求項2記載の発明>
前記フィラメント集合体内に、高吸収性ポリマー粒子の移動可能な状態で保持されている、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
吸収量を確保するために、フィラメント集合体内に高吸収性ポリマー粒子を保持させる場合、トウを開繊しただけのフィラメント集合体では、高吸収性ポリマー粒子がフィラメント集合体内を移動して、フィラメント集合体内で偏在化したり、フィラメント集合体から抜け落ちたりすることがある。しかし、本発明のフィラメント集合体では、熱融着部により高吸収性ポリマー粒子の移動が阻止される。よって、単にトウを開繊しただけのフィラメント集合体と比較すると、高吸収性ポリマーの偏在や抜け落ちが発生し難くなり、吸収性能が阻害されたり、使用者にジャリジャリした違和感を与えたりし難くなる。
<請求項3記載の発明>
幅方向に沿って線状の熱融着部分が、前後方向に間隔を空けて複数設けられている、請求項1または2記載の吸収性物品。
(作用効果)
本項記載の形態で熱融着部分を設けると、フィラメント集合体が幅方向に伸縮変形したり分離したりし難くなるとともに、熱融着部分に沿って液が拡散し易くなるという利点がある。
また、使用状態の吸収性物品においては、前後方向両端部の位置が前後方向中央よりも高くなるため、高吸収性ポリマー粒子を用いる場合、高吸収性ポリマー粒子は前後方向中央に向かって移動し易い。これに対して、本項記載のように幅方向に沿って線状の熱融着部分を設けると、高吸収性ポリマー粒子の前後方向移動を阻止できるため、高吸収性ポリマーの偏在およびジャリジャリした違和感を効果的に防止できるようになる。
<請求項4記載の発明>
前後方向に沿って線状の熱融着部分が、幅方向に間隔を空けて複数設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
本項記載の形態で熱融着部分を設けると、フィラメント集合体が前後方向に伸縮変形したり分離したりし難くなるとともに、熱融着部分に沿って液が拡散し易くなるという利点がある。
また、高吸収性ポリマー粒子を用いる場合、本項記載のように前後方向に沿って線状の熱融着部分を設けると、高吸収性ポリマー粒子の幅方向移動を阻止できるため、高吸収性ポリマーの偏在およびジャリジャリした違和感を効果的に防止できるようになる。
なお、請求項3及び4の形態は好適な一例であって、線状の熱融着部分とは、連続的な線状であるほか、間欠的または不連続であるものの実質的には線状である場合も含む。
<請求項5記載の発明>
熱融着部分により周囲全体が囲まれた部分を複数有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
熱融着部分が、ある部分の周囲を取り囲むような閉鎖形状であると、熱融着部分による形状保持機能がより強く、より広範囲にわたり発揮される。また、高吸収性ポリマー粒子を用いる場合、熱融着部分により取り囲まれた部分では高吸収性ポリマー粒子がその囲み内に拘束されるため、高吸収性ポリマーの偏在およびジャリジャリした違和感を効果的に防止できるようになる。本形態において、請求項3または請求項4の形態との組み合わせも可能である。
<請求項6記載の発明>
前記熱融着部分の総面積は、前記吸収体の面積の1/6以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
熱融着部分が少ないと効果が乏しくなりやすいため、その総面積は本項記載の範囲内にあるのが好ましい。
以上のとおり、本発明によれば、フィラメント集合体の形状保持性が向上することができ、また、高吸収性ポリマー粒子を用いた場合に、フィラメント集合体内における高吸収性ポリマー粒子の移動を抑制することができるようになる等の利点がもたらされる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について詳説する。
<パンツ型使い捨ておむつの例>
図1には、パンツ型使い捨ておむつの例が示されている。このパンツ型使い捨ておむつ10は、外面(裏面)側の外装シート12と内面(表面)側の吸収性本体20とを備え、外装シート12に吸収性本体20が固定されている。吸収性本体20は、尿や軟便などの体液(後述する生理用ナプキンでは経血)を受け止めて吸収保持する部分である。外装シート12は着用者に装着するための部分である。
外装シート12はたとえば図示のように砂時計形状となり、両側が括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。吸収性本体20は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。
外装シート12は、図2に示すように、吸収性本体20が所定位置に設置され固定された後、前後に折り畳まれ、外装シート12の前身頃12F及び後身頃12Bの両側部の接合領域12Aが熱融着などにより接合される。これによって、図1に示す構造の、ウエスト開口部WOと一対のレッグ開口部LOを有するパンツ型使い捨ておむつが得られる。
図示の吸収性本体20の長手方向(すなわち図2の上下方向。製品の前後方向でもある。)の中間の幅は、外装シート12の括れた部分を繋ぐ幅より短い形態が示されている。この幅の関係は逆でもよいし、同一の幅でもよい。
外装シート12は望ましくは2枚のたとえば撥水性不織布のシートからなり、これらのシート間に弾性伸縮部材を介在させて、その収縮力により着用者にフィットさせる形態が望ましい。前記弾性伸縮部材としては、糸ゴムや弾性発泡体の帯状物などを使用できるが、多数の糸ゴムを使用するのが望ましい。図示の形態では、糸ゴム12C,12C…が、ウエスト領域Wにおいては幅方向に連続して設けられ、腰下領域Uにおいては両側部分のみに設けられ、股下領域Lにおいては設けられていない。糸ゴム12C,12C…が、ウエスト領域W及び腰下領域Uの両者に設けられていることで、糸ゴム12C自体の収縮力が弱いとしても、全体としては腰下領域Uにおいても着用者に当たるので、製品が着用者に好適にフィットする。
(吸収性本体)
実施の形態の吸収性本体20は、図3に示されるように、体液を透過させるたとえば不織布などからなるトップシート30と、中間シート(セカンドシート)40と吸収要素50とを備えている。また、吸収体56の裏面側にはプラスチックシートなどからなる体液不透過性シート(バックシートとも呼ばれる)70が設けられている。この体液不透過性シート70の裏面側には、前記の外装シート12が設けられている。さらに、両側にバリヤーカフス60、60を備えている。
(トップシート)
トップシート30は、体液を透過する性質を有する。したがって、トップシート30の素材は、この体液透過性を発現するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
トップシート30を透過した体液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より体液の透過速度が速い、通常「セカンドシート」と呼ばれる中間シート40を設けることができる。この中間シートは、体液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した体液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布及びスパンボンド不織布が好ましい。
中間シート(セカンドシート)40は、トップシート30と包被シート58との間に介在されている。図5に示すように、中間シート(セカンドシート)40を設けない形態も使用可能である。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、体液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。中間シート40の代表的な素材は体液の透過性に優れる不織布である。
(吸収要素)
吸収要素50は、トウを開繊したフィラメント52,52…の集合体(フィラメント集合体)及び高吸収性ポリマー粒子54,54…を有する吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包被シート58とを有する。さらに、吸収体56と包被シート58の裏面側部位(下側の部分)との間に保持シート80が設けられている。
(吸収体)
吸収体56は、トウを開繊したフィラメント52,52…の集合体を有する。好適には、図3に示すように、吸収体56中に高吸収性ポリマー粒子54,54…を含ませる。そして、少なくとも体液受け入れ領域において、フィラメント52,52…の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。この実質的に厚み方向全体に分散されている状態を図3の要部拡大図として概念的に示した。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、フィラメントの集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子がフィラメント52,52…の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子がフィラメントフィラメント52,52…の集合体を通り抜けて包被シート58上にある形態や図6に示されるように保持シート80上にある形態も排除されるものではない。
フィラメント52,52…の集合体は、フィラメント(実質的に連続する長繊維)で構成されたトウ(繊維束)を開繊したものである。フィラメントの材質としては、熱融着可能なものであれば特に限定なく用いることができ、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクタアミド、ポリビニルアセテートなど)などを用いることができるが、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。
セルロースとしては、綿、リンター、木材パルプなど植物体由来のセルロースやバクテリアセルロースなどが使用でき、レーヨンなどの再生セルロースであってもよく、再生セルロースは紡糸されたものであってもよい。
好適に採用できるセルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セルロースエステルなどのセルロースエステル誘導体などを用いることができる。これらのセルロースエステルは単独で又は二種類以上混合して使用できる。セルロースエステルの粘度平均重合度は、例えば、50〜900、好ましくは200〜800程度である。セルロースエステルの平均置換度は、例えば、1.5〜3.0(例えば、2〜3)程度である。
セルロースエステルの平均重合度は、例えば10〜1000、好ましくは50〜900、さらに好ましくは200〜800程度とすることができ、セルロースエステルの平均置換度は、例えば1〜3程度、好ましくは1〜2.15、さらに好ましくは1.1〜2.0程度とすることができる。セルロースエステルの平均置換度は、生分解性を高める等の観点から選択することができる。
セルロースエステルとしては、有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、特にセルロースアセテートが好適である。セルロースアセテートの酢化度は、43〜62%程度である場合が多いが、特に30〜50%程度であると生分解性にも優れるため好ましい。特に好ましいセルロースエステルは、セルロースジアセテートである。
フィラメントは、種々の添加剤、例えば、熱安定化剤、着色剤、油剤、歩留り向上剤、白色度改善剤等を含有していても良い。
フィラメントの繊度は、例えば、1〜16dex、好ましくは1〜10dex、さらに好ましくは1〜5dexが望ましい。フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を用いると、嵩高で軽量な吸収体を製造できるとともに、繊維間の絡み合いにより一体性の高いトウを容易に製造できる。フィラメントの断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。フィラメントは、例えば、3,000〜1,000,000本、好ましくは5,000〜1,000,000本程度の単繊維を束ねることにより形成されたトウ(繊維束)の形で使用される。繊維束は、3,000〜1,000,000本程度のフィラメントを集束して構成するのが好ましい。
トウは、フィラメント間の絡み合いが弱いため、主に形状を維持する目的で、フィラメントの接触部分を接着または融着する作用を有するバインダーを用いることができる。バインダーとしては、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、クエン酸トリエチルエステルなどのエステル系可塑剤の他、各種の樹脂接着剤、特に熱可塑性樹脂を用いることができる。
バインダーとして使用する熱可塑性樹脂には、溶融・固化により接着力が発現する樹脂であり、水不溶性または水難溶性樹脂、および水溶性樹脂が含まれる。水不溶性または水難溶性樹脂と水溶性樹脂とは、必要に応じて併用することもできる。
水不溶性または水難溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系の単独又は共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合体などのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体などのスチレン系重合体、変性されていてもよいポリエステル、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド、ロジン誘導体(例えば、ロジンエステルなど)、炭化水素樹脂(例えば、テルペン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、石油樹脂など)、水素添加炭化水素樹脂などを用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は一種又は二種以上使用できる。
水溶性樹脂としては、種々の水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニル単量体と、カルボキシル基、スルホン酸基又はそれらの塩を有する共重合性単量体との共重合体などのビニル系水溶性樹脂、アクリル系水溶性樹脂、ポリアルキレンオキサイド、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミドなどを用いることができる。これらの水溶性樹脂は、単独で使用できるとともに二種以上組合せて使用してもよい。
熱可塑性樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定化剤、充填剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤などの種々の添加剤を添加してもよい。
トウは公知の方法により製造できるので詳説はしない。吸収要素50に好適に使用できるセルロースジアセテートのトウのベールは、セラニーズ社やダイセル化学工業などにより市販されている。セルロースジアセテートのトウのベールは、密度は約0.5g/cm3であり、総重量は400〜600kgである。
このベールから、トウを引き剥がし、所望のサイズ、嵩となるように広い帯状に開繊する。トウの開繊幅は任意であり、例えば、幅100〜2000mm、好ましくは製品の吸収体の幅の100〜300mm程度とすることができる。また、トウの開繊度合いを調整することにより、吸収体の密度を調整することができる。
トウの開繊方法としては、例えば、トウを複数の開繊ロールに掛け渡し、トウの進行に伴って次第にトウの幅を拡大して開繊する方法、トウの緊張(伸長)と弛緩(収縮)とを繰返して開繊する方法、圧縮エアーを用いて拡幅・開繊する方法などを用いることができる。
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む意味である。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、100〜1000μm、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が60g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体内に供給された体液が吸収体外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、トウを用いることにより嵩高な吸収体とした場合であっても、体液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量を50g/m2以下とすることにより、ポリマーの重量によって、トウからなるフィラメントの集合体を採用することにより軽量化効果が発揮されにくくなるのを防止できる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰により前述のジャリジャリした違和感を与えるようになる。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、体液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
必要により、高吸収性ポリマー粒子として、粒径分布が異なる複数用意し、厚み方向に順次散布・投射できる。たとえば、高吸収性ポリマー粒子散布手段を複数ライン方向に間隔をおいて配置し、先に粒径分布が小さいものを散布・投射した後に、粒径分布が大きいものを散布・投射することで、吸収体56内の下側に粒径分布が小さいものを、上側に粒径分布が大きいものを分布させることができる。この形態は、粒径分布が小さいものは、フィラメントの集合体内に奥深く侵入させるために有効である。
高吸収性ポリマー粒子とフィラメント集合体との割合は吸収特性を左右する。吸収体56における体液を直接受ける領域での5cm×5cmの平面面積内における重量比としては、高吸収性ポリマー粒子/フィラメント重量が、1〜14、特に3〜9であることが望ましい。
(吸収体のサイズ・重量)
他方、吸収体56のサイズは、平面投影面積が400cm2以上であり、かつ厚さが1〜10mm、特に1〜5mmであるのが好ましい。吸収体のサイズがこの範囲内にあると、重量や厚さ、コストの増加を来たさずに復元性を向上する上で、極めて有利である。また、吸収体の重量は25g以下、特に10〜20gとなるように構成するのが好ましい。吸収体の重量がこの範囲内にあると、専用部材を用いないことによる利点が特に顕著になる。
(吸収体の圧縮特性)
吸収体56の圧縮レジリエンスRCは、40〜60%、特に50〜60%とするのが好ましい。これにより、吸収体自体で十分な復元性を発揮できるようになる。
さらに、吸収体56の圧縮エネルギーWCは4.0〜10.0gf・cm/cm2であると、包装に際して従来と同レベルあるいはそれ以上にコンパクトに圧縮することができるため好ましい。
これらの圧縮特性は、開繊等によるフィラメント密度の調整、フィラメント素材の選定、可塑剤等のバインダーの種類の選定・処理の程度の調整、あるいはこれらの組み合わせ等により調整できる。
ここで、圧縮エネルギー(WC)とは、長さ200mm、幅50mmに断裁した試験片(保持シート)の中央部を、50gまで押す場合のエネルギー消費量である。
この圧縮エネルギーは、ハンディー圧縮試験機(KES−G5、カトーテック社製)によって、測定することができる。この試験機による場合の測定条件は、SENS:2、力計の種類:1kg、SPEED RANGE:STD、DEF感度:20、加圧面積:2cm2、取り込間隔:0.1(標準)、STROKE SET:5.0、上限荷重:50gf/cm2である。
一方、圧縮レジリエンス(RC)とは、圧縮時の回復性を表すパラメータである。したがって、回復性がよければ、圧縮レジリエンスが大きくなる。この圧縮レジリエンスは、ハンディー圧縮試験機(KES−G5、カトーテック社製)によって、測定することができる。この試験機による場合の測定条件は、上記圧縮エネルギーの場合と同様である。
(包被シート)
包被シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、8〜20g/m2、特に10〜15g/m2のものが望ましい。
この包被シート58は、図3のように、フィラメント52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層全体を包む形態のほか、たとえば図4に示すように、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの体液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの体液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包被シートの構成要素となる)。必要ならば、フィラメント52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(保持シート)
保持シート80と吸収体56上との間には、高吸収性ポリマー粒子54をその散布などにより介在させることができる。高吸収性ポリマー粒子54は、フィラメント52の集合体への散布・投射時に又はその後の工程、あるいは消費者が使用するまでの流通過程で、フィラメント52の集合体を通り抜けることがある。フィラメント集合体を通り抜けた高吸収性ポリマー粒子群の凹凸は、消費者が使用する際に手で触ったときジャリジャリした違和感を与える。そこで、吸収体56と包被シート58との間に吸収性ポリマーの保持性能を有する保持シート80を介在させるのである。この保持シート80は、ティッシュペーパ(クレープ紙)などの包被シート58のみでは足りないコシを補強して、消費者が使用する際に手で触ったとき違和感を軽減又は防止する。
なお、図6には、吸収体56の下方に高吸収性ポリマー粒子54を設けた場合、あるいは吸収体56中に含ませた高吸収性ポリマー粒子54が、製造から消費者が使用するまでの段階で、フィラメント52の集合体から抜け出て、保持シート80上に集まった場合を概念的に示した。
保持シート80の素材は、特に限定されず、高吸収性ポリマー粒子54の保持性能を有するものであれば足りる。具体的には、例えば、不織布、捲縮パルプ、低吸収性のコットン繊維(例えば、未脱脂のコットン繊維、脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維を撥水剤や疎水化剤で処理したものなど。)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、絹、綿、麻、ナイロン、ポリウレタン、アセテート繊維等を例示することができる。
保持シート80を不織布とする場合、その保持シート80は、KES試験に基づく圧縮エネルギーが0.01〜10.00gfcm/cm2、好ましくは、0.01〜1.00gfcm/cm2で、かつ圧縮レジリエンスが10〜100%、好ましくは、70〜100%の不織布であるとよい。
保持シート80を設ける理由は先にも触れたように、たとえば吸収体56から下方に抜け落ちた(抜け出た)高吸収性ポリマー粒子54を保持することにある。したがって、抜け出た高吸収性ポリマー粒子54に対して、包被シート58及び保持シート80を介して使用者に接触するので、使用者にジャリジャリした違和感として、伝わるおそれがない。特に上記の縮エネルギー及び圧縮レジリエンスである不織布であると、保持機能が十分に発揮される。
また、抜け出た高吸収性ポリマー粒子54は、保持シート80によって保持され、包被シート58上を移動することがないため、吸収能力の偏在が生じるおそれもない。特に、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動するのを防止するために、予め粘着性を有するホットメルト接着剤などを保持シート80上に塗布することができる。また、保持シート80の上面(使用面側に向かう面)を粗面とすることで、保持シート80上を高吸収性ポリマー粒子54が移動するのを防止するようにしてもよい。このための粗面化又は毛羽立ち手段としては、不織布の製造時におけるネット面でない非ネット面とする、マーブル加工を行う、ニードルパンチにより加工する、ブラシッング加工するなどを挙げることができる。
保持シート80は、図3等に示すように吸収体56の下方にのみ設けても、また図6に示すように、吸収体56の側面を通り吸収体56の上面にまで巻き上げて延在させてもよい。また、保持シート80を複数枚重ねて使用することも可能である。
上記例は、吸収体56と包被シート58の裏面側部位との間に保持シート80を設ける例であるが、保持シート80は、包被シート58より裏面側であってもよく(その形態は図示していない)、要は、吸収体56に対して裏面側に保持シート80を設ければ、製品の裏面から触る場合におけるジャリジャリした違和感を軽減させるあるいは生じさせないものとなる。
(体液不透過性シート)
体液不透過性シート70は、単に吸収体56の裏面側に配されるシートを意味し、本実施の形態においては、トップシート30との間に吸収体56を介在させるシートとなっている。したがって、本体液不透過性シートは、その素材が、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで体液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。
体液不透過性シート70は、いわゆる額巻きする形態で使用面に延在させる(図示せず)ことで、体液の横漏れを防止できるが、実施の形態においては、横漏れについては、バリヤーカフス60を形成する二重のバリヤーシート64間に第2体液不透過性シート72を介在させることにより防止している。この形態によれば、バリヤーカフス60の起立まで第2体液不透過性シート72が延在しているので、トップシート30を伝わって横に拡散した体液やバリヤーカフス60、60間の軟便の横漏れを防止できる利点もある。
(バリヤーカフス)
製品の両側に設けられたバリヤーカフス60、60は、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために設けられているが、付加的な要素である。
図示のバリヤーカフス60は、撥水性不織布シートを二重にしたものであり、吸収体56の裏面側からトップシート30の下方への折り込み部分を覆って、表面側に突出するように形成されている。トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿を阻止するために、特に、二重の不織布シート間に体液不透過性シート70の側部が挿入され、表面側に突出するバリヤーカフス60の途中まで延在している。
また、バリヤーカフス60自体の形状は適宜に設計可能であるが、図示の例では、バリヤーカフス60の突出部の先端部及び中間部に弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム62が伸張下で固定され、使用状態においてその収縮力により、バリヤーカフス60が起立するようになっている。中間部の糸ゴム62が先端部の糸ゴム62、62よりも中央側に位置してトップシート30の前後端部に固定される関係で、図3のように、バリヤーカフス60の基部側は中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端部は外側に斜めに起立する形態となる。
(熱融着)
本発明では、フィラメント集合体は部分的に熱融着される、つまりフィラメント52,52相互が熱融着された熱融着部分Eと熱融着されていない部分とが形成される。熱融着の手法としては、フィラメント相互が熱融着する限り特に限定されないが、例えばヒートシール、超音波シール、加熱エンボス加工を用いることができる。
熱融着部分Eは、少なくともフィラメント52の集合体に形成されていれば良い。したがって、厚さ方向において、図7(a)に示すように、トップシート30及び中間シート40に形成することなく、吸収体56のみに熱融着部分Eを形成してもよく、また、図7(b)に示すように、トップシート30の表面側から吸収体56の厚さ方向一部または略全体に達するように熱融着部分Eを形成してもよく、さらにまた、トップシート30、中間シート40および包被シート58に熱融着部分Eを形成することなく、吸収体58のみに熱融着部分Eを形成してもよい。また、図7(c)に示すように、吸収体56の裏面側(トップシート30側に対して反対側)から熱融着部分Eを形成することもできる。
トウを開繊してなるフィラメント52の集合体は形状保持性に劣るが、熱融着部分Eを形成することにより形状保持性を高めることができる。また、熱融着部分Eは高吸収性ポリマー粒子54の移動を阻止する。さらに、熱融着部分Eは液が伝い易いため、熱融着部分Eの延在方向に沿って液が拡散する効果が発揮される。よって、表面に沿う方向(表面方向)における熱融着部分Eの配置は、これらの効果を考慮して決定するのが望ましい。
例えば図2に示すように、幅方向に沿って線状の熱融着部分Eを前後方向に間隔を空けて平行に複数設けることができる。この形態では、幅方向の形状保持性が高くなるとともに、フィラメント集合体内における高吸収性ポリマー粒子54の前後方向移動が阻止される。
また、図示しないが、前後方向に沿って線状の熱融着部分Eを幅方向に間隔を空けて平行に複数設けることもできる。この場合、前後方向の形状保持性が高くなるとともに、フィラメント集合体内における高吸収性ポリマー粒子54の幅方向移動が阻止される。
また、図示しないが、図2に示す幅方向に沿う熱融着部分Eと前後方向に連続する熱融着部分とを組み合わせ、格子状に熱融着部分を形成することもできる。
さらに、図10に示すように、斜め方向に沿って線状の熱融着部分Eを所定の間隔をもって平行に複数設けることもできる。特に、図10に示す形態では、斜め方向に沿う第1の熱融着部分Eを所定の間隔をもって平行に複数設けるとともに、この第1の熱融着部分Eと前後方向に関して対称をなす斜め方向に沿う第2の熱融着部分Eを所定の間隔をもって平行に複数設けることによって、熱融着部分Eが斜め格子状に形成されている。
また、図11に示す形態では、前後方向中央かつ幅方向中央を二重以上に取り囲むように、大きさの異なる複数の環状熱融着部分Eを形成したものである。
これら図10および図11に示す形態等においては、熱融着部分Eにより周囲全体が囲まれた包囲部分pが複数形成される。この場合、前後方向および幅方向の形状保持性が高くなるとともに、包囲部分pの内側にある高吸収性ポリマー粒子54は当該包囲部分p外への移動が阻止される。
また、図示しないが、熱融着部分Eを表面方向において散点状に形成することもできる。
一方、本発明の熱融着部分Eは、吸収体56のほぼ全体にわたるように設けるのが好ましいが、前後端部または前後方向中間部等、一部のみに設けることもできる。また、熱融着部分Eの総面積は適宜定めれば良いが、通常の場合、吸収体56の面積の1/6以上、特に1/6〜1/3とするのが好ましい。
他方、熱融着部分Eを形成するに際して、温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、素材(トップシート30、中間シート40、フィラメント52等)を切断もしくは穿孔してしまうおそれがあるため、そのようなことが無いように、温度および加熱時間を定めるのが好ましい。
(その他)
なお、図示しないが、吸収性本体20の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより相互に固定することができる。
(テープ式使い捨ておむつの例)
一方、図8及び図9はテープ式使い捨ておむつの例を示している。図9は図8における9−9線矢視図であるが、吸収性本体20についてはやや誇張して図示してある。
テープ式使い捨ておむつ10Aは、おむつの背側両側端部に取り付けられたファスニング片を有し、このファスニング片の止着面にフック要素を有するとともに、前記おむつの裏面を構成するバックシートを不織布積層体とし、おむつの装着に当り、前記ファスニング片のフック要素を前記バックシートの表面の任意個所に係合可能となしたおむつである。
吸収性本体20は、トップシート30と、体液不透過性シート70との間に、吸収体56を介在させたものとなっている。この吸収体56は、ティッシュペーパによる包被シート58により全体が包まれており、平面的に視て長方形をなしている。吸収体56と包被シート58との間には保持シート80が設けられている。
さらに、トップシート30と吸収体56との間には、中間シート40が介在されている。体液不透過性シート70は吸収体56より幅広の長方形をなし、その外方に砂時計形状の不織布からなるバックシート12Aが設けられている。
トップシート30は吸収体56より幅広の長方形をなし、吸収体56の側縁より若干外方に延在し、体液不透過性シート70とホットメルト接着剤などにより固着されている。
おむつの両側部には、使用面側に突出するバリヤーカフス60Aが形成され、このバリヤーカフス60Aは、実質的に幅方向に連続した不織布からなるバリヤーシート64と、弾性伸縮部材、例えば糸ゴムからなる1本の又は複数本の脚周り用弾性伸縮部材としての糸ゴム62とにより構成されている。符号130は面ファスナーによるファスニング片である。
バリヤーシート64の内面は、トップシート30の側縁と離間した位置において固着始端を有し、この固着始端から体液不透過性シート70の延在縁にかけて、幅方向外方部分がホットメルト接着剤などにより固着されている。バリヤーシート64の外面は、その下面においてバックシート12Aにホットメルト接着剤などにより固着されている。さらに、ガスケットカフス用弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム66が設けられている。
バリヤーシート64の内面の、体液不透過性シート70への固着始端は、バリヤーカフス60Aの起立端を形成している。脚周りにおいては、この起立端より内側は、製品本体に固定されていない自由部分であり、この自由部分が糸ゴム62の収縮力により起立するようになる。
本例では、ファスニング片130として、面ファスナーを用いることで、バックシート12Aに対して、メカニカルに止着できる。したがって、いわゆるターゲットテープを省略することもでき、かつ、ファスニング片130による止着位置を自由に選択できる。
ファスニング片130は、プラスチック、ポリラミ不織布、紙製などのファスニング基材の基部がバックシート12Aに、例えば接着剤により接合されており、先端側にフック要素130Aを有する。フック要素130Aはファスニング基材に接着剤により接合されている。フック要素130Aは、その外面側に多数の係合片を有する。フック要素130Aより先端側に仮止め接着剤部130Bを有する。製品の組立て末期において、仮止め接着剤部130Bがバリヤーシート64に接着されることによりファスニング片130の先端側の剥離を防止するようにしている。使用時には、その接着力に抗して剥離し、ファスニング片130の先端側を前身頃に持ち込むものである。仮止め接着剤部130Bより先端側はファスニング基材が露出して摘みタブ部とされている。
前身頃の開口部側には、バックシート12Aの内面側に、デザインシートとしてのターゲット印刷シート74が設けられ、ファスニング片130のフック要素130Aを止着する位置の目安となるデザインが施されたターゲット印刷がなされ、外部からバックシート12Aを通して視認可能なように施されている。
おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム62の収縮力が作用するので、脚周りでは、糸ゴム62の収縮力によりバリヤーカフス60Aが起立する。
起立部で囲まれる空間は、尿又は軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿はトップシート30を通って吸収体56内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、バリヤーカフス60Aの起立部がバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。万一、起立部の起立遠位側縁を乗り越えて横に漏れた尿は、平面当り部によるストップ機能により横漏れが防止される。
本形態において、各起立カフスを形成するバリヤーシート64は、透液性でなく実質的に不透液性(半透液性でもよい)であるのが望ましい。また、本発明の表面シート(不織布積層体)に対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。いずれにしても、バリヤーシート64及びバックシート12Aは、それぞれ通気性があり、かつバリヤーシート64及びバックシート12Aは、それぞれ耐水圧が100mmH2O以上のシートであるのが好適である。これによって、製品の幅方向側部において通気性を示すものとなり、着用者のムレを防止できる。
その他の点、例えば各部の使用素材等については、前述のパンツ型紙おむつの場合と同じであるため、敢えて説明を省略する。
本発明は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、おむつカバーと併用する吸収パッド等の吸収性物品に好適なものである。
パンツ型使い捨ておむつの斜視図である。 パンツ型使い捨ておむつの展開状態平面図である。 図2の3―3線断面図である。 他の例の断面図である。 別の例の断面図である。 変形例の断面図である。 図2の7―7線断面図である。 テープ式使い捨ておむつの展開状態平面図である。 図8の9−9線断面図である。 他のパンツ型使い捨ておむつの展開状態平面図である。 別のパンツ型使い捨ておむつの展開状態平面図である。
符号の説明
10…パンツ型使い捨ておむつ、10A…テープ式使い捨ておむつ、12…外装シート、12A…バックシート、20…吸収性本体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、52…フィラメント、52X…ベール、52Y…トウ、52Z…フィラメントの集合体、54…高吸収性ポリマー粒子、56…吸収体、58…包被シート、60、60A…バリヤーカフス、64…バリヤーシート、70…体液不透過性シート、72…第2体液不透過性シート、80…保持シート、E…熱融着部分。
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