JP4953765B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、吸収要素として、吸収量が自重の1.0倍以下の難吸収フィラメント集合体層を備えた吸収性物品に関するものである。
テープ式やパンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキンなどの吸収性物品は、使用面側のトップシートと、背面側の液の透過を防止するバックシートと、これらのシート間に介在され、トップシートを透過した排泄された液を受け入れ保持する吸収要素とを基本要素としている。
この基本要素に対し、前記バックシートの裏面側にたとえば不織布などからなる外装シートを設け、前記バックシートとしてプラスチックシートを使用した場合における肌触りを改良する形態、製品の両側にいわゆるバリヤーカフスを形成する形態など、ウエスト周りや腹周りのフィット性を改良するために弾性伸縮性を付与する形態などが、適宜付加される。
吸収要素としては、従来は、パルプ短繊維の積繊体が一般的に使用されている。また、液に吸収量を高めるために高吸収性ポリマー(SAPとも呼ばれる)を使用することも知られている。
SAPはパルプ短繊維の積繊体上に散布する場合のほか、パルプ短繊維およびSAPを混合して積繊させる場合がある。
また、近年では、フィラメントの集合体を吸収要素として使用することが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
さらに、本出願人は、このようなフィラメント集合体を備えた吸収性物品を対象として、フィラメント集合体に分散させたSAP粒子を保持するために、フィラメント集合体の裏面側に底部シートを設けることを提案している。
特開2004−65300号公報 特表2001−524399号(WO99/27879)公報 特表2004−500165号(米国特許第6,646,180号)公報 特開2006−149674号公報
しかしながら、従来のものでは製品の前後端からの液漏れが発生することがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、製品の前後端からの液漏れを防止することにある。
本発明者らは、従来の製品について鋭意研究した結果、次のような知見を得た。セルロースアセテートなどの難吸収フィラメントの集合体は、それ自体保水性が殆ど無いため、使用面側から受け入れた液の殆どが裏面側に抜け出て、底部シートに受け渡しされる。底部シートを構成する不織布は、繊維が主に製品前後方向の繊維配向が70%以上であるため、底部シートに受け渡しされた液は製品前後方向へ速やかに拡散され、SAPに吸収されるよりも先に製品前後端から漏れ出てしまうのである。
上記課題を解決した本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、次記のとおりのものである。
<請求項1記載の発明>
使用面をなすトップシートと、
このトップシートの裏面側に設けられた、吸収量が自重の1.0倍以下の難吸収フィラメント集合体層と、
この難吸収フィラメント集合体層の裏面側に、難吸収フィラメント集合体層と直に接触するように設けられた、製品前後方向の繊維配向が70%以上の不織布からなる底部シートと、
前記難吸収フィラメント集合体層から前記底部シートまでの厚さ方向範囲内に非固定の状態で含有された高吸収性ポリマー粒子
これら難吸収フィラメント集合体層、底部シート及び高吸収性ポリマー粒子の少なくとも裏面及び側面を包む包被シートとを備え、
前記底部シートに、穴が間隔を空けて多数形成されており
前記難吸収フィラメント集合体層から抜け出た高吸収性ポリマー粒子が、前記底部シート上に保持されるとともに、前記穴内に捕捉されるように構成された、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明の特徴は、底部シートに穴(貫通穴および窪み穴の双方を含む意味である)を形成した点にある。この場合、穴内に液の拡散を促進させる繊維が存在しない、あるいは穴周辺の繊維が圧縮され、液の通路が狭くなることになり、液の拡散が抑制されるようになる。また、穴が一時的な液溜まりとなって製品幅方向に対してより多くの液が拡散されるようになる。そして、これらによって、底部シートにおける液の拡散に起因する製品前後端からの液漏れを防止できるようになる。
なお、本発明の吸収量とは次の手順で測定されるものである。
(1) サンプル繊維を5.0g秤量し、人工尿1L中に5分間浸漬する。
(2) 次に、サンプルを人工尿中から取り出して1分間吊り下げる。
(3) 次に、遠心分離機を用いて2250rpmで6分間液分を分離する。
(4) 次に、サンプルの重量を測定し、繊維重量(5.0g)を差し引いた値を吸収量とする。
また、繊維配向は「TAPPI標準法T481の零距離引張り強さによる繊維配向性試験法」により測定されるものである。
<請求項2記載の発明>
前記穴は、前記難吸収フィラメント集合体層側の開口径が2.0〜10.0mmであり、且つ底部シートの総面積に占める前記難吸収フィラメント集合体層側の開口面積の割合が30〜60%である、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
穴の開口径および開口面積率が本項記載の範囲内にあると、前述した本発明の効果が特に顕著に発現する。なお、穴の形状が楕円形や方形の場合における開口径は、最も長い部分の径(長径)を意味する。
<請求項3記載の発明>
前記穴は、少なくとも前記難吸収フィラメント集合体層側の開口形状が、製品前後方向の径が製品幅方向の径より短い形状であり、且つ裏面側ほど内径が小さくなる先細りの形状である、請求項1または2記載の吸収性物品。
(作用効果)
穴の形状が、本項記載のような形状をなしていると、液が幅方向に拡散しやすい、液戻りしにくい、液が穴に一時的に保持されて拡散を遅らせるといった効果が得られるため好ましい。
<請求項4記載の発明>
前記底部シートに、製品幅方向に沿って一端から他端まで穴を有しない直線状連続部分が製品前後方向に間隔を空けて複数形成されるとともに、製品前後方向に沿って一端から他端まで穴を有しない直線状連続部分が形成されないように、前記穴が配列されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
このような穴の配列では、幅方向には直線状に液が移動できるが、前後方向には穴を迂回しないと液が拡散できない、換言すれば穴がない場合と比べて実質的に前後端部までの距離が長くなる。よって、体液が幅方向に拡散し易くなる。このような効果の得られる配列であれば特に限定されないが、一定のパターンで配列するほうが、液の拡散範囲やスピードを制御しやすくなるため好ましい。
<請求項5記載の発明>
前記穴は、加熱を伴う穴あけ加工により形成されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
穴を形成する際、加熱を行うことにより穴の形状保持性が向上するため好ましい。
<請求項6記載の発明>
前記底部シートの繊維目付けが15〜80g/m2であり、前記難吸収フィラメント集合体層の繊維目付けが30〜300g/m2であり、かつ前記高吸収性ポリマー粒子の目付けが前記難吸収フィラメント集合体層を有する部分において50〜350g/m2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
底部シート、難吸収フィラメント集合体層、および高吸収性ポリマー粒子の目付け量が本項記載の範囲内にあると、前述した本発明の効果が特に顕著に発現する。
以上のとおり、本発明によれば、製品の前後端からの液漏れを防止できる等の利点がもたらされる。
以下、本発明の一実施形態について、吸収要素にトウを用いた紙おむつ並びにその製造設備を参照しつつ詳説する。
<パンツ型使い捨ておむつの例>
図1には、パンツ型使い捨ておむつの例が示されている。このパンツ型使い捨ておむつ10は、外面(裏面)側の外装シート12と内面(表面)側の吸収性本体20とを備え、外装シート12に吸収性本体20が固定されている。吸収性本体20は、尿や軟便などの液(後述する生理用ナプキンでは経血)を受け止めて吸収保持する部分である。外装シート12は着用者に装着するための部分である。
外装シート12はたとえば図示のように砂時計形状となり、両側が括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。吸収性本体20は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。
外装シート12は、図2に示すように、吸収性本体20が所定位置に設置され固定された後、前後に折り畳まれ、外装シート12の前身頃12F及び後身頃12Bの両側部の接合領域12Aが熱融着などにより接合される。これによって、図1に示す構造の、ウエスト開口部WOと一対のレッグ開口部LOを有するパンツ型使い捨ておむつが得られる。
図示の吸収性本体20の長手方向(すなわち図2の上下方向。製品の前後方向でもある。)の中間の幅は、外装シート12の括れた部分を繋ぐ幅より短い形態が示されている。この幅の関係は逆でもよいし、同一の幅でもよい。
外装シート12は望ましくは2枚のたとえば撥水性不織布のシートからなり、これらのシート間に弾性伸縮部材を介在させて、その収縮力により着用者にフィットさせる形態が望ましい。弾性伸縮部材としては、糸ゴムや弾性発泡体の帯状物等、細長状のものが望ましい。図示の形態では、糸ゴム12C,12C…が、ウエスト領域Wにおいては幅方向に連続して且つ前後方向に所定の間隔で複数設けられ、腰下領域Uにおいては幅方向の両側部分のみに前後方向に所定の間隔で複数設けられ、股下領域Lにおいては設けられていない。
(吸収性本体)
実施の形態の吸収性本体20は、図3に示されるように、液を透過させるたとえば不織布などからなるトップシート30と、中間シート(セカンドシート)40と吸収要素50とを備えている。また、吸収要素50の裏面側にはプラスチックシートなどからなる液不透過性シート70が設けられている。この液不透過性シート70の裏面側には外装シート12が設けられている。さらに、両側にバリヤーカフス60,60を備えている。
(トップシート)
トップシート30としては、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどの液透過性シートを用いることができる。不織布を用いる場合、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に、トップシート30より液の透過速度が速い中間シート40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収要素50へ移行させて吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収要素50からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布及びスパンボンド不織布が好ましい。
中間シート(セカンドシート)40は、トップシート30と包被シート58との間に介在されている。図7に示すように、中間シート(セカンドシート)40を設けない形態も使用可能である。また、図示しないが、包被シート58と吸収体56との間に配置しても良い。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。中間シート40の代表的な素材は液の透過性に優れる不織布である。
(液不透過性シート)
液不透過性シート70は、吸収要素50の裏面側に配されるシートである。液不透過性シート70は、その素材が特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを用いることができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も用いることができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。
液不透過性シート70は、いわゆる横漏れを防止するために、吸収要素50の両側を回り込ませて使用面側に延在させる(図示せず)ことができるが、実施の形態においては、横漏れについては、バリヤーカフス60を形成する二重のバリヤーシート64間に第2液不透過性シート72を介在させることにより防止している。この形態によれば、バリヤーカフス60の起立まで第2液不透過性シート72が延在しているので、トップシート30を伝わって横に拡散した液やバリヤーカフス60,60間の軟便の横漏れを防止できる利点もある。
(バリヤーカフス)
製品の両側に設けられたバリヤーカフス60、60は、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために設けられているが、付加的な要素である。
図示のバリヤーカフス60は、撥水性不織布シートを二重にして形成したものであり、吸収要素50の裏面側からトップシート30の下方への折り込み部分を覆って、表面側に突出するように形成されている。トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿を阻止するために、特に、二重の不織布シート間に液不透過性シート70の側部が挿入され、表面側に突出するバリヤーカフス60の途中まで延在している。
バリヤーカフス60自体の形状は適宜に設計可能であるが、図示の例では、バリヤーカフス60の突出部の先端部及び中間部に弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム62が伸張下で固定され、使用状態においてその収縮力により、バリヤーカフス60が起立するようになっている。中間部の糸ゴム62が先端部の糸ゴム62、62よりも中央側に位置してトップシート30の前後端部に固定される関係で、図3のように、バリヤーカフス60の基部側は中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端部は外側に斜めに起立する形態となる。
(エンボス加工)
トップシート30の表面側から厚み方向にエンボスによる凹部Eを形成してもよい。この場合、トップシート30のみにエンボスによる凹部Eを形成するほか、図9に示すように、トップシート30と中間シート40との両者にエンボスによる凹部Eを形成したり、トップシート30の表面側から吸収体56の厚さ方向一部または略全体に達するようにエンボスによる凹部を形成したり(図示せず)することができる。トップシート30と中間シート40との両者にエンボスによる凹部Eを形成させるためには、中間シート40としては、坪量が8〜40g/m2、厚さ0.2〜1.5mm、トップシート30としては、坪量が15〜80g/m2、厚さ0.2〜3.5mmの範囲にあるのが、透液性を阻害しない条件で、エンボス加工を充分に行える点で望ましい。
また、トップシート30に凹部を形成することなく、中間シート40のみにエンボスによる凹部を形成してもよく、さらにトップシート30及び中間シート40に凹部を形成することなく、吸収要素56のみにエンボスによる凹部を形成しても、また、トップシート30、中間シート40および包被シート58に凹部を形成することなく、吸収体58のみにエンボスによる凹部を形成してもよい。
凹部Eはこれが延在する方向に、液を誘導し拡散させる効果がある。よって、凹部Eを実質的に溝状に連続させる(複数の凹部が間隔を空けて列なり一つの溝を形成する場合を含む)と、液は、吸収体に到達する前に表面側層の凹部Eを伝って拡散するようになり、吸収体のより広範な部分を吸収に利用できるようになる。よって、製品全体の吸収容量が増大し、吸収容量不足に基づく漏れや逆戻りが発生し難い吸収性物品となる。特に本構成においては製品前後方向からの漏れを防止するため、凹部Eの延在方向は、幅方向であることが望ましい。
一方、トウからなる吸収体56は従来のパルプ物と比べて剛性が低下し易いが、吸収体56にエンボスによる凹部を形成すると剛性を高めることができるため好ましい。図示しないが、吸収要素50の剛性を高めるために、吸収体56の裏面側(トップシート30側に対して反対側)から厚み方向にエンボスによる凹部を形成するのも好ましい形態である。この裏面側の凹部を形成するために、底部シート80、包被シート58、液不透過性シート70または外装シート12の裏面側から、吸収体56まで達するように一体的にエンボス加工を施すことができる。また、このような裏面側の凹部は、表面側の凹部Eとともに形成するのが好ましいが、表面側の凹部Eを形成せずに裏面側の凹部のみ形成することもできる。凹部を表裏両側に設ける場合には、凹部の形態を表裏共通にしても良く、また表裏異なるものとしても良い。
エンボスによる凹部はその延在方向に液を誘導し拡散させる効果がある。また剛性を高める効果もある。よって、エンボスによる凹部の形態はこれらの効果を考慮して決定するのが望ましい。例えば、凹部は、実質的に溝状に連続するもの(複数の凹部が間隔を空けて列なり一つの溝を形成する場合を含む)の他、複数の凹部が間隔を空けて点状に配置されるものであっても良い。また、平面パターンとしては、溝状または点状の凹部が、製品の長手方向、幅方向、これらを組み合わせた格子状、幅方向に往復するジグザグ状(千鳥状)、あるいは不規則に配置された形態等を採ることができる。さらに、ピン状、富士山状、蛇腹状等、適宜の形態を採用することができる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収量が自重の1.0倍以下の難吸収フィラメント集合体層(通常、吸収体または吸収コアと呼ばれる部分である)56と、難吸収フィラメント集合体層の裏面側に設けられた底部シート80と、難吸収フィラメント集合体層56から底部シート80までの厚さ方向範囲内に設けられたSAP粒子54と、これらの少なくとも裏面及び側面を包む包被シート58とを有する。
(難吸収フィラメント集合体)
難吸収フィラメント集合体層56は、難吸収フィラメント(実質的に連続する長繊維)52,52…で構成されたトウ(繊維束)を開繊することで製造できる。難吸収フィラメントの材質としては、吸収量が自重の1.0倍以下であれば特に限定なく用いることができ、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクタアミド、ポリビニルアセテートなど)などを用いることができるが、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。
セルロースとしては、綿、リンター、木材パルプなど植物体由来のセルロースやバクテリアセルロースなどが使用でき、レーヨンなどの再生セルロースであってもよく、再生セルロースは紡糸された繊維であってもよい。
好適に採用できるセルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セルロースエステルなどのセルロースエステル誘導体などを用いることができる。これらのセルロースエステルは単独で又は二種類以上混合して使用できる。セルロースエステルの粘度平均重合度は、例えば、50〜900、好ましくは200〜800程度である。セルロースエステルの平均置換度は、例えば、1.5〜3.0(例えば、2〜3)程度である。
セルロースエステルの平均重合度は、例えば10〜1000、好ましくは50〜900、さらに好ましくは200〜800程度とすることができ、セルロースエステルの平均置換度は、例えば1〜3程度、好ましくは1〜2.15、さらに好ましくは1.1〜2.0程度とすることができる。セルロースエステルの平均置換度は、生分解性を高める等の観点から選択することができる。
セルロースエステルとしては、有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、特にセルロースアセテートが好適である。ちなみに、セルロースアセテートの場合、人工尿吸収量は自重の0.1〜0.3倍程度である。セルロースアセテートの酢化度は、43〜62%程度である場合が多いが、特に30〜50%程度であると生分解性にも優れるため好ましい。特に好ましいセルロースエステルは、セルロースジアセテートである。
難吸収フィラメントは、種々の添加剤、例えば、熱安定化剤、着色剤、油剤、歩留り向上剤、白色度改善剤等を含有していても良い。
難吸収フィラメントの繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexが望ましい。フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を用いると、嵩高で軽量な吸収体を製造できるとともに、繊維間の絡み合いにより一体性の高いトウを容易に製造できる。フィラメントの断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。フィラメントは、例えば、3,000〜1,000,000本、好ましくは5,000〜1,000,000本程度の単繊維を束ねることにより形成されたトウ(繊維束)の形で使用される。繊維束は、3,000〜1,000,000本程度のフィラメントを集束して構成するのが好ましい。
トウは、フィラメント間の絡み合いが弱いため、主に形状を維持する目的で、フィラメントの接触部分を接着または融着する作用を有するバインダーを用いることができる。バインダーとしては、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、クエン酸トリエチルエステルなどのエステル系可塑剤の他、各種の樹脂接着剤、特に熱可塑性樹脂を用いることができる。
バインダーとして使用する熱可塑性樹脂には、溶融・固化により接着力が発現する樹脂であり、水不溶性または水難溶性樹脂、および水溶性樹脂が含まれる。水不溶性または水難溶性樹脂と水溶性樹脂とは、必要に応じて併用することもできる。
水不溶性または水難溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系の単独又は共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合体などのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体などのスチレン系重合体、変性されていてもよいポリエステル、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド、ロジン誘導体(例えば、ロジンエステルなど)、炭化水素樹脂(例えば、テルペン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、石油樹脂など)、水素添加炭化水素樹脂などを用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は一種又は二種以上使用できる。
水溶性樹脂としては、種々の水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニル単量体と、カルボキシル基、スルホン酸基又はそれらの塩を有する共重合性単量体との共重合体などのビニル系水溶性樹脂、アクリル系水溶性樹脂、ポリアルキレンオキサイド、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミドなどを用いることができる。これらの水溶性樹脂は、単独で使用できるとともに二種以上組合せて使用してもよい。
熱可塑性樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定化剤、充填剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤などの種々の添加剤を添加してもよい。
トウは公知の方法により製造できるので詳説しない。ベールから、トウを引き剥がし、所望のサイズ、嵩となるように広い帯状に開繊することにより難吸収フィラメント集合体層を製造することができる。トウの開繊方法としては、例えば、トウを複数の開繊ロールに掛け渡し、トウの進行に伴って次第にトウの幅を拡大して開繊する方法、トウの緊張(伸長)と弛緩(収縮)とを繰返して開繊する方法、圧縮エアーを用いて拡幅・開繊する方法などを用いることができる。トウの開繊幅は任意であり、例えば、幅100〜2000mm、好ましくは製品の吸収体の幅の100〜300mm程度とすることができる。また、トウの開繊度合いを調整することにより、吸収体の密度を調整することができる。吸収要素50に好適に使用できる難吸収フィラメント集合体層の繊維目付けは、30〜300g/m2であり、特に50〜150g/m2であるのが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子
SAP粒子54は、難吸収フィラメント集合体層56から底部シート80までの厚さ方向範囲内に設けられ、例えば難吸収フィラメント集合体層56内のみ、底部シート80内のみ、あるいは難吸収フィラメント集合体層56と底部シート80との間にのみ設けることもできるが、図3に示すように、少なくとも難吸収フィラメント集合体層56の厚み方向の実質的に全体にわたり、SAP粒子54が存在しているのが望ましい。この実質的に厚み方向全体に分散されている状態を図3の要部拡大図として概念的に示した。
難吸収フィラメント集合体層56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、難吸収フィラメント集合体層56に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が難吸収フィラメント集合体層56中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が難吸収フィラメント集合体層56から抜け落ちて包被シート58にある形態や、図8に示されるように底部シート80上にある形態も排除されるものではない。
SAP粒子54としては粒子状(「粒子」以外に「粉体」も含む意味である)のものを好適に用いることができるが、繊維を被覆する形態で存在させることもできる。粒子状のSAP粒子54を用いる場合、その粒径としては、例えば100〜1000μm、特に150〜400μmのものが望ましい。粒径が小さ過ぎると吸収体56内を移動し易くなるとともに製造ラインにおける飛散ロスも多くなるため好ましくない。また、粒径が大き過ぎると、じゃりじゃりした手触りが目立つようになり、商品価値を低下させるおそれがある。
SAP粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が60g/g以上のものが好適である。SAP粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。
SAP粒子54としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体内に供給された液が吸収体外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、SAP粒子54としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、トウを用いることにより嵩高な吸収体とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
SAP粒子54の目付け量は、当該吸収体の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、難吸収フィラメント集合体層56を有する部分において50〜350g/m2とすることができる。SAP粒子の目付け量を50g/m2以上とすることにより、SAP粒子の吸収力によって、難吸収フィラメント集合体層56を採用することにより得られる、薄型化・軽量化効果が発揮されにくくなるのを防止できる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、SAP粒子の過剰により、ジャリジャリした手触りを与えるようになる。
(難吸収フィラメント集合体層のサイズ・重量)
他方、難吸収フィラメント集合体層56のサイズは、平面投影面積が400cm2以上であり、かつ厚さが1〜10mm、特に1〜5mmであるのが好ましい。難吸収フィラメント集合体層56のサイズがこの範囲内にあると、重量や厚さ、コストの増加を来たさずに復元性を向上する上で、極めて有利である。また、難吸収フィラメント集合体層56の重量は25g以下、特に10〜20gとなるように構成するのが好ましい。難吸収フィラメント集合体層56の重量がこの範囲内にあると、専用部材を用いないことによる利点が特に顕著になる。
(包被シート)
包被シート58としては、ティッシュペーパー、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、8〜20g/m2、特に10〜15g/m2のものが望ましい。
この包被シート58は、図3のように、フィラメント52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層全体を包む形態のほか、たとえば図6に示すように、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包被シートの構成要素となる)。また、吸収体56の下面を撥水性のシートで覆う形態とすれば、底部シートの穴は撥水性を示すため、液の前後方向の拡散をより効果的に抑制することができる。必要ならば、フィラメント52,52…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子54,54…の層を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよい。
(底部シート)
吸収要素50における難吸収フィラメント集合体層56の裏面側には底部シート80が設けられる。図示形態では、底部シート80は、難吸収フィラメント集合体層56と包被シート58との間に設けられており、難吸収フィラメント集合体層56と直に接触している。底部シート80は、図3等に示すように吸収体56の下方にのみ設けても、また図6に示すように、吸収体56の側面を通り吸収体56の上面にまで巻き上げて延在させてもよい。ただし、いずれにせよ、吸収要素50内、すなわち液不透過性シート70よりもトップシート30側に設ける必要がある。
底部シート80を設ける範囲は適宜定めることができ、前後方向および幅方向の各々において、吸収要素50または難吸収フィラメント集合体層56の端部またはその近傍まで延在しているのが好ましいが、これに限定されない。
底部シート80は、製品前後方向の繊維配向が70%以上の不織布で形成される。不織布の種類は特に限定されないが、液吸収保持に適している点で、エアスルー不織布、パルプエアレイド不織布、SAP含有エアレイド不織布、スパンレース不織布が好適である。
底部シート80の繊維目付けは、15〜80g/m2であるのが好ましく、20〜60g/m2であるのが特に好ましい。繊維目付けが少な過ぎると液保持性が乏しくなり、多過ぎると製品重量が増大し、装着感が悪化するため好ましくない。
特徴的には、本発明の底部シート80には穴81が形成される。この穴81は、底部シート80の表裏面に貫通する貫通穴の他、底部シート80の表裏いずれかの面に設けられた窪み穴であっても良い。この穴81は、底部シート80の全体にわたり多数形成しても良いが、前後方向中間部等、一部にのみ設けることもできる。底部シートの穴81は、規則的に配列されていても、また不規則に配されていても良い。底部シートの穴81は、図4(a)に示すように、少なくとも前記難吸収フィラメント集合体層側の開口形状が、製品前後方向の径が製品幅方向の径より短い形状、例えば製品前後方向に短径を有する楕円形状であると、液が幅方向に流れやすいため好ましい。また、図4(b)に示すように千鳥状に配列されていると、製品幅方向に沿って一端から他端まで穴を有しない直線状連続部分が製品前後方向に間隔を空けて複数形成されるとともに、製品前後方向に沿って一端から他端まで穴を有しない直線状連続部分が全く形成されないため、幅方向には直線状に液が移動できるが、前後方向には穴を迂回しないと液が拡散できず、前後方向の液の流れを抑制することができるため好ましい。このような効果の得られる穴形状、配列であれば、特に楕円形状や千鳥状には限らないが、配列については一定のパターンで配列するほうが、液の拡散範囲やスピードを制御しやすくなるため、好ましい。
穴81の立体形状は特に限定されない。例えば図5に示すように、開口部81uの形状は、真円、楕円の他、三角形、四角形等の多角形とすることができる。また、穴81は、横断面形状および寸法が深さ方向に変化しない形状、例えば図5(a)に示すような円柱状としても良いが、深くなるにつれて寸法が小さくなる先細り形状のように深さ方向に変化しても良く、例えば図5(b)に示すような逆さ裁頭円錐台状、あるいは図5(c)に示すような逆さ裁頭角錐上とすることもできる。一つの好ましい形態は、難吸収フィラメント集合体層56側の開口形状が楕円形をなすものの、深くなるにつれて横断面形状が円形をなすようになる穴81である。このような形状であれば、液戻りしにくい、液が穴に一時的に保持されて拡散を遅らせるといった効果が得られる。穴81の底部は裏面側に管状に突出していなくても、また突出していても良い。
また、穴81の寸法は適宜定めれば良いが、通常の場合、難吸収フィラメント集合体層56側の開口径dが2.0〜10.0mm、特に4.0〜6.0mmであると好ましい。さらに穴の数も適宜定めれば良いが、開口面積率(底部シート80の総面積に占める難吸収フィラメント集合体層56側の開口面積の割合)が20〜70%、特に30〜60%であると好ましい。開口径dが小さ過ぎると液の拡散を抑制する効果が小さいために十分な漏れ防止効果が得られず、大き過ぎると一箇所に留まる液量が多くなり逆戻りの増加やさらっと感の低下といった性能の低下がみられる、また、穴81の開口面積率が小さ過ぎると液の拡散を抑制する効果が小さいために十分な漏れ防止効果が得られず、大き過ぎると液保持・輸送力が低下し拡散機能を果たさなくなる。
底部シート80における穴81の形成手法としては、ニードルパンチ加工やエンボス加工を挙げることができる。また、製造に用いるニードル或いは彫刻ロールのパターンとして寸法・形状が平面方向に異なるものを用いることにより、寸法・形状が異なる穴が混在した底部シート80を形成することができる。特に、ニードル或いは彫刻ロールを加熱することにより、形状保持性の高い穴81を形成することができる。また、加熱により繊維の溶着を伴う穴81を形成することもできる。
かくして構成された底部シート80が難吸収フィラメント集合体層56の裏面側に設けられていると、穴81内に液の拡散を促進させる繊維が存在しない、あるいは穴81周辺の繊維が圧縮され、液の通路が狭くなることになり、液の拡散が抑制されるようになる。また、穴81が一時的な液溜まりとなって製品幅方向に対してより多くの液が拡散されるようになる。そして、これらによって、底部シート80における液の拡散に起因する製品前後端からの液漏れを防止できるようになる。
他方、吸収要素50内における底部シートの上側に、SAP粒子54を非固定の状態で含有する場合、底部シート80は、SAP粒子を保持する機能も有する。この場合において、底部シート80の穴81は、SAP粒子を捕捉して移動を抑制する。すなわち、SAP粒子54は、製造時あるいは消費者が使用するまでの流通過程で、吸収要素内を移動し、消費者が使用する際に手で触ったときジャリジャリした違和感を与えたり、吸収性能を偏らせたりするおそれがある。この問題を、底部シート80がSAP粒子を保持することにより解消できるのである。なお、図8には、難吸収フィラメント集合体層56の下方にSAP粒子54を設けた場合、あるいは難吸収フィラメント集合体層56中に含ませたSAP粒子が、製造から消費者が使用するまでの段階で、難吸収フィラメント集合体層56から抜け出て、底部シート80上に集まった場合を概念的に示した。
SAP粒子の移動を効果的に抑制するために、SAP粒子54をホットメルト接着剤等により底部シート80及び難吸収フィラメント集合体層56の少なくとも一方に固着することができる。また、底部シート80の上面(使用面側に向かう面)を粗面あるいは毛羽立ち面とすることで、保持能力を向上させることもできる。このための粗面化又は毛羽立ち化手法としては、マーブル加工やブラシッング加工などを挙げることができる。
(その他)
なお、図示しないが、吸収性本体20の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、スパイラルまたはサミット塗布などにより相互に固定される。
(テープ式使い捨ておむつの例)
一方、図10及び図11はテープ式使い捨ておむつの例を示している。図11は図10における9−9線矢視図であるが、吸収性本体20についてはやや誇張して図示してある。
テープ式使い捨ておむつ10Aは、おむつの背側両側端部に取り付けられたファスニング片を有し、このファスニング片の止着面にフック要素を有するとともに、前記おむつの裏面を構成するバックシートを不織布積層体とし、おむつの装着に当り、前記ファスニング片のフック要素を前記バックシートの表面の任意個所に係合可能となしたおむつである。
吸収性本体20は、トップシート30と、液不透過性シート70との間に、吸収体56を介在させたものとなっている。この吸収体56は、ティッシュペーパーによる包被シート58により全体が包まれており、平面的に視て長方形をなしている。吸収体56と包被シート58との間には前述した本発明の底部シート80が設けられている。
さらに、トップシート30と吸収体56との間には、中間シート40が介在されている。液不透過性シート70は吸収体56より幅広の長方形をなし、その外方に砂時計形状の不織布からなるバックシート12Aが設けられている。
トップシート30は吸収体56より幅広の長方形をなし、吸収体56の側縁より若干外方に延在し、液不透過性シート70とホットメルト接着剤などにより固着されている。
おむつの両側部には、使用面側に突出するバリヤーカフス60が形成され、このバリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続した不織布からなるバリヤーシート64と、弾性伸縮部材、例えば糸ゴムからなる1本の又は複数本の脚周り用弾性伸縮部材としての糸ゴム62とにより構成されている。130は面ファスナーによるファスニング片である。
バリヤーシート64の内面は、トップシート30の側縁と離間した位置において固着始端を有し、この固着始端から液不透過性シート70の延在縁にかけて、幅方向外方部分がホットメルト接着剤などにより固着されている。バリヤーシート64の外面は、その下面においてバックシート12Aにホットメルト接着剤などにより固着されている。さらに、ガスケットカフス用弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム66が設けられている。
バリヤーシート64の内面の、液不透過性シート70への固着始端は、バリヤーカフス60の起立端を形成している。脚周りにおいては、この起立端より内側は、製品本体に固定されていない自由部分であり、この自由部分が糸ゴム62の収縮力により起立するようになる。
本例では、ファスニング片130として、面ファスナーを用いることで、バックシート12Aに対して、メカニカルに止着できる。したがって、いわゆるターゲットテープを省略することもでき、かつ、ファスニング片130による止着位置を自由に選択できる。
ファスニング片130は、プラスチック、ポリラミ不織布、紙製などのファスニング基材の基部がバックシート12Aに、例えば接着剤により接合されており、先端側にフック要素130Aを有する。フック要素130Aはファスニング基材に接着剤により接合されている。フック要素130Aは、その外面側に多数の係合片を有する。フック要素130Aより先端側に仮止め接着剤部130Bを有する。製品の組立て末期において、仮止め接着剤部130Bがバリヤーシート64に接着されることによりファスニング片130の先端側の剥離を防止するようにしている。使用時には、その接着力に抗して剥離し、ファスニング片130の先端側を前身頃に持ち込むものである。仮止め接着剤部130Bより先端側はファスニング基材が露出して摘みタブ部とされている。
前身頃の開口部側には、バックシート12Aの内面側に、デザインシートとしてのターゲット印刷シート74が設けられ、ファスニング片130のフック要素130Aを止着する位置の目安となるデザインが施されたターゲット印刷がなされ、外部からバックシート12Aを通して視認可能なように施されている。
おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム62の収縮力が作用するので、脚周りでは、糸ゴム62の収縮力によりバリヤーカフス60が起立する。
起立部で囲まれる空間は、尿又は軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿はトップシート30を通って吸収体56内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、バリヤーカフス60の起立部がバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。万一、起立部の起立遠位側縁を乗り越えて横に漏れた尿は、平面当り部によるストップ機能により横漏れが防止される。
本形態において、各起立カフスを形成するバリヤーシート64は、透液性でなく実質的に不透液性(半透液性でもよい)であるのが望ましい。また、本発明の表面シート(不織布積層体)に対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。いずれにしても、バリヤーシート64及びバックシート12Aは、それぞれ通気性があり、かつバリヤーシート64及びバックシート12Aは、それぞれ耐水圧が100mmH2O以上のシートであるのが好適である。これによって、製品の幅方向側部において通気性を示すものとなり、着用者のムレを防止できる。
その他の点、例えば各部の使用素材等については、前述のパンツ型紙おむつの場合と同じであるため、敢えて説明を省略する。
本発明は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、おむつカバーと併用する吸収パッド等の吸収性物品における吸収体の製造に好適なものである。
パンツ型使い捨ておむつの斜視図である。 パンツ型使い捨ておむつの展開状態平面図である。 図2の3−3線矢視断面図である。 各種底部シートの平面図である。 底部シートの各種穴形状を示す斜視図である。 他の例の3−3線矢視相当断面図である。 別の例の3−3線矢視相当断面図である。 変形例の3−3線矢視相当断面図である。 さらに別の例の3−3線矢視相当断面図である。 テープ式使い捨ておむつの展開状態平面図である。 図10の9−9断面図である。
10…パンツ型使い捨ておむつ、10A…テープ式使い捨ておむつ、12…外装シート、12A…バックシート、20…吸収性本体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、52…フィラメント、54…高吸収性ポリマー粒子、56…吸収体(難吸収フィラメント集合体層)、58…包被シート、60…バリヤーカフス、64…バリヤーシート、70…液不透過性シート、72…第2液不透過性シート、80…底部シート、81…穴。

Claims (6)

  1. 使用面をなすトップシートと、
    このトップシートの裏面側に設けられた、吸収量が自重の1.0倍以下の難吸収フィラメント集合体層と、
    この難吸収フィラメント集合体層の裏面側に、難吸収フィラメント集合体層と直に接触するように設けられた、製品前後方向の繊維配向が70%以上の不織布からなる底部シートと、
    前記難吸収フィラメント集合体層から前記底部シートまでの厚さ方向範囲内に非固定の状態で含有された高吸収性ポリマー粒子
    これら難吸収フィラメント集合体層、底部シート及び高吸収性ポリマー粒子の少なくとも裏面及び側面を包む包被シートとを備え、
    前記底部シートに、穴が間隔を空けて多数形成されており
    前記難吸収フィラメント集合体層から抜け出た高吸収性ポリマー粒子が、前記底部シート上に保持されるとともに、前記穴内に捕捉されるように構成された、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記穴は、前記難吸収フィラメント集合体層側の開口径が2.0〜10.0mmであり、且つ底部シートの総面積に占める前記難吸収フィラメント集合体層側の開口面積の割合が30〜60%である、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記穴は、少なくとも前記難吸収フィラメント集合体層側の開口形状が、製品前後方向の径が製品幅方向の径より短い形状であり、且つ裏面側ほど内径が小さくなる先細りの形状である、請求項1または2記載の吸収性物品。
  4. 前記底部シートに、製品幅方向に沿って一端から他端まで穴を有しない直線状連続部分が製品前後方向に間隔を空けて複数形成されるとともに、製品前後方向に沿って一端から他端まで穴を有しない直線状連続部分が形成されないように、前記穴が配列されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記穴は、加熱を伴う穴あけ加工により形成されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記底部シートの繊維目付けが15〜80g/m2であり、前記難吸収フィラメント集合体層の繊維目付けが30〜300g/m2であり、かつ前記高吸収性ポリマー粒子の目付けが前記難吸収フィラメント集合体層を有する部分において50〜350g/m2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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