JP4638087B2

JP4638087B2 - 吸収性物品

Info

Publication number: JP4638087B2
Application number: JP2001222921A
Authority: JP
Inventors: 一郎和田; 典之栗田
Original assignee: Uni Charm Corp
Current assignee: Uni Charm Corp
Priority date: 2001-07-24
Filing date: 2001-07-24
Publication date: 2011-02-23
Anticipated expiration: 2021-07-24
Also published as: JP2003033390A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、尿や血液などの体液を吸収する吸収性物品に関する。
【０００２】
【従来の技術】
生理用ナプキン、パンティーライナー、オムツ等の吸収性物品は、大まかには、親水性（透液性）の表面シートと、防水性の裏面シートと、これら表面シートと裏面シートの間に配置された吸収体とから構成される。このような吸収性物品の使用時において、尿等の体液は表面シートを通過して吸収体内部に吸収、保持される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の吸収性物品においては、排泄ポイントで吸収した排泄物が裏面シートに到達すると、拡散することができず、吸収体の吸収容量を十分に使うことなく、漏れてしまうことがあった。なお、吸収体の吸収容量を増加させる等の方法によって、尿などの排泄物の漏れは解決可能であるが、吸収体全体の厚みが増してしまう。
【０００４】
本発明は上記のような状況に鑑みて成されたものであり、吸収体において吸収されながら透過した排泄物が、裏面シートに到達しても拡散することで、吸収体の容量を十分に活用し漏れを防止できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【０００５】
また、実質的に厚みの増加を伴うことなく、体液の漏れ防止効果を向上可能な吸収性物品を提供することを他の目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本出願の請求項１に係る吸収性物品は、防水性裏面シートと、その上面に位置する吸液性パネルとからなる使い捨て吸収性物品において、前記裏面シートと前記吸液性パネルとの間に液拡散層を介在する。更に、前記液拡散層の親水度が、少なくとも、排泄ポイントから両端縁または両側縁へ向かって変化している。また、前記液拡散層は、幅方向に間欠的に位置し、長手方向に延在する複数条の帯状に形成され、更に、前記帯状の拡散層の間で、前記裏面シートと前記吸液性パネルが接合されている。
【０００７】
上記のような請求項１に係る吸収性物品においては、吸液性パネルを透過した体液は、拡散層によって拡散される。その結果、吸液性パネルの吸収容量を有効に活用でき、吸収飽和のタイミングを遅延させることができる。また、前記裏面シートと前記吸液性パネルが接合されているため、液拡散層による拡散機能を確保しつつ、前記裏面シートと前記吸液性パネルとを確実に接合することができる。
【０００８】
また、吸液性パネルを透過した体液を所望の方向に導くことが可能となる。なお、「排泄ポイント」とは、着用者が吸収性物品を着用した際に排尿（その他体液を含む）部自体及びその周辺に位置する部分を意味し、具体的には、吸収性物品の中心部付近となる場合が多い。
【０００９】
更に、前記液拡散層は、幅方向に間欠的に位置し、長手方向に延在する複数条の帯状に形成されているため、吸液性パネルを透過した体液を吸収性物品の前後方向（長手方向）に素早く拡散させることができる。
【００１０】
請求項２に記載の吸収性物品においては、前記裏面シートの前記吸収性パネル側の面には凹凸パターンが形成され、少なくとも前記凹凸パターンの凹部に前記拡散層が形成されている。これにより、凹凸パターンの設計次第で、拡散の方向を容易に調整することが可能となる。
【００１１】
請求項３に記載の吸収性物品においては、前記液拡散層の親水度が、排泄ポイントから両端縁に向かって次第に高くなっている。このような構成により、吸液性パネルを透過した体液を吸収性物品の前後方向（長手方向）に素早く拡散させることができる。
【００１２】
請求項４に記載の吸収性物品においては、前記液拡散層の親水度が、排泄ポイントから両側縁に向かって次第に低くなっている。このような構成により、吸液性パネルを透過した体液を吸収性物品の前後方向（長手方向）に素早く拡散させることができる。
【００１３】
請求項５に記載の吸収性物品においては、前記液拡散層の親水度が、３５〜７５ダインである。
【００１４】
請求項６に記載の吸収性物品においては、前記液拡散層は、前記裏面シートの前記吸液性パネル当接面に親水化処理剤を塗布することで形成されている。このような構成により、容易に所望のパターン（形状）の液拡散領域（拡散層）を形成することができる。また、特別な部材を介在させていないため、実質的に吸収性物品の厚みを増加させることなく、漏れ防止効果を向上させることが可能となる。
【００１５】
請求項７に記載の吸収性物品においては、前記吸液性パネルは、透液性表面シートと吸収性コアとから形成される。このような構成により、表面シートをスポット透過した体液を吸収性コア内部である程度拡散させることができる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、長方形シート状の吸収性物品を例にとって説明する。なお、本発明の用途は生理用品、オムツ、尿取りパット等あらゆる種類の吸収性物品に適用でき、形状についても用途に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【００１７】
図１は、本発明の第１の実施例に係る吸収性物品の構造を示す断面図である。本実施例の吸収性物品１０は、液透過性の表面シート１２と、防水性の裏面シート１４と、体液を吸収する吸収コア１６と、裏面シート１４の吸収コア１６側の面に配置された拡散層２０とを備えている。なお、表面シート１２と吸収コア１６とによって吸液パネルが構成される。
【００１８】
表面シート１２は、これに排泄された体液をコア（吸収コア１６）に迅速に導き、該コアに一旦吸収された体液が表面シート１２の肌当接面へ逆流することが少ない構造を付与している。例えば、親水処理された不織布やプラスチックフィルム、又は、多数の開孔を付与したプラスチックフィルムなどが使用される。
【００１９】
裏面シート１４は、液不透過性を有するプラスチックフィルムや不織布、又は、プラスチックフィルムや不織布とのラミネートからなる。
【００２０】
吸収コア１６は、粉砕パルプ又は、粉砕パルプや高吸収性ポリマー粒子２２から形成される。また、熱可塑性合成繊維を混在させても良い。
【００２１】
拡散層２０は、拡散性を有するシートの他に、裏面シート１４の吸収コア１６側の面に直接親水化処理を施すことによって形成することができる。
【００２２】
本実施例において、吸収コア１６の排泄ポイントで吸収された体液は、吸収コア１６の深部に浸透した後、拡散層２０によって、吸収コア１６の前後方向や幅方向に広がり、吸収コア１６の吸収容量を十分に活用できる。ここで、「排泄ポイント」とは、着用者が吸収性物品１０を着用した際に排尿（その他体液を含む）部自体及びその周辺に位置する部分を意味し、具体的には、吸収性物品１０の中心部付近となる場合が多い。
【００２３】
図２は、本実施例に適用可能な裏面シート１４上の親水処理パターン２６，２８，３０を示す平面図である。親水処理パターン２６，２８，３０は、界面活性剤（親水化処理剤）を塗布することによって形成することができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性系のいずれの界面活性剤であってもよい。例えば、アニオン系では、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を用いることができる。カチオン系では、四級アンモニウム塩等を用いることができる。また、ノニオン系では、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルや、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等を用いることができる。
【００２４】
図２において、親水処理パターンの親水度（濡れ性）は、吸収コア１６の中心に対応する位置から外側に向かって高くなるように設定されている。すなわち、領域２６＞２８＞３０のように親水度（濡れ性）が設定される。親水化処理パターン２６，２８，３０の濡れ性は、３６ダイン以上、７３ダイン以下とすることが好ましい。
【００２５】
図２のように、親水化材料の塗布パターンを裏面シート１４上の１つの領域とし、親水化材料の塗布パターンを吸収コア１６の中心に対応する位置から外側に向かって親水度を高くすることにより、吸収した体液の拡散性が向上する。すなわち、体液が外側に広がろうとする傾向が強まる。
【００２６】
以下、本発明の第２〜第７の実施例について説明する。なお、上記第１の実施例を含め、各実施例において、同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【００２７】
図３は、本発明の第２の実施例に係る吸収性物品の裏面シート１４上の親水処理パターン３２を示す平面図である。親水処理パターン３２は、所定間隔をもって吸収コア１６の長手方向に延びるストライプ状（帯状）である。吸収した体液が長手方向に導かれ、幅方向（短径方向）への漏れを防止可能となる。
【００２８】
図４は、本発明の第３の実施例に係る吸収性物品の裏面シート１４上の親水処理パターン３２及び接着剤塗工パターン３４を示す平面図である。また、図５は、図４のＩ−Ｉ方向の断面図である。本実施例においては、ストライプ状の親水処理パターン３２の隙間において、裏面シート１４と吸収コア１６とを接合させる。
【００２９】
図６は、本発明の第４の実施例に係る吸収性物品の裏面シート１４上の親水処理パターンを示す平面図である。本実施例においては、親水処理塗布パターンは、所定間隔をもって吸収コア１６の長手方向に延びるストライプ状である。そして、親水化材料の塗布パターンは、吸収コア１６の長手方向において、外側に向かって親水度が高くなっている。本実施例においては、親水度（濡れ性）は、各親水処理領域において、３２ａ＞３２ｂ＞３２ｃの関係が成り立つように設定されている。なお、親水処理領域３２ａ，３２ｂ，３２ｃの分割数は、５分割に限らない。本実施例によれば、体液を素早く吸収コア１６の前後方向へ拡散させることができる。
【００３０】
図７は、本発明の第５の実施例に係る吸収性物品の裏面シート１４上の親水処理パターンを示す平面図である。本実施例においては、親水処理塗布パターンは、所定間隔をもって吸収コア１６の長手方向に延びるストライプ状である。そして、吸収コア１６の長手方向と直交する幅方向において、外側に向かって親水度が低くなるように設定している。本実施例においては、親水度（濡れ性）は、各親水処理領域において、３２ａ＞３２ｂ＞３２ｃの関係が成り立つように設定されている。これにより、吸収した体液が吸収コア１６の幅方向（短径方向）へ流れる勢いを抑え、当該方向への漏れを防止可能となる。
【００３１】
図８は、本発明の第６の実施例に係る吸収性物品１０の構造を示す断面図である。本実施例においては、裏面シート１４の吸収コア１６側の面に、複数本の帯状凹凸パターン４０が形成されている。そして、これら凹凸パターン４０の凹部に親水処理を施す。すなわち、凹部に界面活性剤を塗布する。このような凹凸パターンの設計により、吸収した体液の拡散の方向を容易に調整することが可能となる。本実施例においては、吸収した体液を吸収コア１６の長手方向にガイドする。
【００３２】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内で適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【００３３】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本出願の請求項１に記載の発明によれば、吸液性パネルの吸収容量を有効に活用でき、吸収飽和のタイミングを遅延させることができる。すなわち、吸液性パネルにおいて吸収されながら透過した排泄物が、裏面シートに到達した際に、液拡散層において拡散する。その結果、吸収性パネルの容量を十分に活用し漏れを防止することが可能となる。また、吸液性パネルを透過した体液を所望の方向に導くことが可能となる。更に、液拡散層による拡散作用を確保しつつ、前記裏面シートと前記吸液性パネルとを確実に接合することができる。更に、吸液性パネルを透過した体液を吸収性物品の前後方向（長手方向）に素早く拡散させることができる。
【００３４】
請求項２に記載の吸収性物品によれば、凹凸パターンの設計次第で、拡散の方向を容易に調整することが可能となる。
【００３５】
請求項３に記載の吸収性物品によれば、吸液性パネルを透過した体液を所望の方向に導くことが可能となる。
【００３６】
請求項４に記載の吸収性物品によれば、吸液性パネルを透過した体液を吸収性物品の前後方向（長手方向）に素早く拡散させることができる。
【００３７】
請求項５に記載の吸収性物品によれば、適切な親水度によって体液を拡散させることができる。
【００３８】
請求項６に記載の吸収性物品によれば、容易に所望のパターン（形状）の液拡散領域を形成することができる。また、特別な部材を介在させていないため、実質的に吸収性物品の厚みを増加させることなく、漏れ防止効果を向上させることが可能となる。
【００３９】
請求項８に記載の吸収性物品によれば、表面シートをスポット透過した体液を吸収性コア内部である程度拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明の第１の実施例に係る吸収性物品の構造を示す断面図である。
【図２】図２は、第１の実施例に適用可能な裏面シート（防水シート）上の親水処理パターンを示す平面図である。
【図３】図３は、本発明の第２の実施例に係る吸収性物品の裏面シート（防水シート）上の親水処理パターンを示す平面図である。
【図４】図４は、本発明の第３の実施例に係る吸収性物品の裏面シート（防水シート）上の親水処理パターン及び熱圧着パターンを示す平面図である。
【図５】図５は、図４のＩ−Ｉ方向の断面図である。
【図６】図６は、本発明の第４の実施例に係る吸収性物品の裏面シート（防水シート）上の親水処理パターンを示す平面図である。
【図７】図７は、本発明の第５の実施例に係る吸収性物品の裏面シート（防水シート）上の親水処理パターンを示す平面図である。
【図８】図８は、本発明の第６の実施例に係る吸収性物品の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
１０吸収性物品
１２表面シート
１４裏面シート
１６吸収体コア
２０，４２親水化処理部
２６，２８，３０，３２親水化処理パターン
４０溝（凹凸部）

Claims

防水性裏面シートと、その上面に位置する吸液性パネルとからなる使い捨て吸収性物品において、
前記裏面シートと前記吸液性パネルとの間に液拡散層が介在し、
前記液拡散層の親水度が、少なくとも、排泄ポイントから両端縁または両側縁へ向かって変化し、
前記液拡散層は、幅方向に間欠的に位置し、長手方向に延在する複数条の帯状に形成され、
前記帯状の拡散層の間で、前記裏面シートと前記吸液性パネルが接合されていることを特徴とする吸収性物品。
前記裏面シートの前記吸収性パネル側の面には凹凸パターンが形成され、少なくとも前記凹凸パターンの凹部に前記拡散層が形成されていることを特徴とする請求項１に記載の吸収性物品。
前記液拡散層の親水度が、前記排泄ポイントから両端縁に向かって次第に高くなっていることを特徴とする請求項１又は２に記載の吸収性物品。
前記液拡散層の親水度が、前記排泄ポイントから両側縁に向かって次第に低くなっていることを特徴とする請求項１乃至３の何れか一項に記載の吸収性物品。
前記液拡散層の親水度が、３５〜７５ダインであることを特徴とする請求項１乃至４の何れか一項に記載の吸収性物品。
前記液拡散層は、前記裏面シートの前記吸液性パネル当接面に親水化処理剤を塗布することで形成されていることを特徴とする請求項１乃至５の何れか一項に記載の吸収性物品。
前記吸液性パネルは、透液性表面シートと吸収性コアとから形成されることを特徴とする請求項１乃至６の何れか一項に記載の吸収性物品。