JPH11189961A - 液拡散性シートおよびそれを用いた吸収性物品 - Google Patents

液拡散性シートおよびそれを用いた吸収性物品

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JPH11189961A
JPH11189961A JP9366393A JP36639397A JPH11189961A JP H11189961 A JPH11189961 A JP H11189961A JP 9366393 A JP9366393 A JP 9366393A JP 36639397 A JP36639397 A JP 36639397A JP H11189961 A JPH11189961 A JP H11189961A
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density fiber
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体からの排出物、尿や経血といったものに
対し、ある任意の方向へ迅速に拡散させて、吸収層に効
率よく吸収、保持させることが可能となる吸収性構造体
に用いる液拡散性シート、それを用いた吸収性物品を提
供する。 【解決手段】不織布を含み、中央部に低密度繊維集合
部、該中央部から長手方向端部にかけて高密度繊維集合
部、および長手方向に液体を中央部から該高密度繊維集
合部へ拡散させる少なくとも一本の液体搬送溝を具備し
てなる液拡散性シートおよびこの液拡散性シートを含む
吸収性物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、尿、経血などの人
体から排出される液体を吸収し保持する構造体において
該液体を素早く移動,拡散させるために用いる液拡散性
シートに関するものである。さらに詳しくは、生理用
品、生理用ナプキンまたは紙おむつ、吸収シートなどの
吸収性物品に人体からの排出液のより効率的な吸収、保
持を目的として配置される液拡散性シートおよびそれを
用いた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】人体から排出される液体、例えば、尿、
経血などを吸収する様々な態様の吸収性物品はよく知ら
れている。一般に吸収性物品は、液体透過性のトップシ
ート、ポリエチレンフィルムなどの液体不透過性のバッ
クシート、および前記トップシートとバックシートとの
間に保持されている木材パルプ綿、セルロース綿、コッ
トン、レーヨン繊維、セルローススポンジ、高分子吸収
材などからなる吸収層を備えている。このような吸収性
物品は、使い捨ての紙おむつや生理用ナプキンに代表さ
れるものであり、人体からの排出物、つまり尿や経血と
いったものをできるだけ多く、速やかに横漏れなく吸
収、保持し得ること、さらには、その形態は薄く、かつ
軽くといった性能が要求されている。
【0003】これらの性能を満足させるためには、吸収
性物品の装着者から排出された液体がトップシートを透
過して吸収層に吸収、保持される過程において、迅速な
液体の移動と拡散性の改良が必要不可欠である。なぜな
ら一般的な吸収性物品において人体からの排出物つまり
尿や経血といったものは液透過性のトップシートのほぼ
同じ部分に滴下、または、流入が繰り返される。このた
め、吸収層の一定の部分に吸収が集中してしまうことに
なり、その部分の吸収が飽和しやすくなる。そのため吸
収層の一部分しか使用されない状態であるにもかかわら
ず、トップシートからのオーバーフロー、すなわち横漏
れを起こしやすい状態になってしまい、結果として吸収
層を厚くしないと吸収量を確保できない吸収性物品とな
る。
【0004】この吸収が一定の部分に集中することをさ
けるために付加層を介在させて排出物の迅速な搬送、拡
散を図るため、様々な検討、改良がなされている。例え
ば、特開平6−70957号公報では、吸収性物品のト
ップシート全体をプリーツ状、波型状および凸凹状にす
ることが開示されているが、吸収性物品を装着した場
合、長手方向の縁部分は、人体からの排出物、尿、経血
などの滴下または流入地点である中央部分よりも位置的
に高くなるため、トップシートをプリーツ状などにする
だけではそれらの液体の長手方向への拡散がそれほど効
果的には行われないおそれがある。かつ、トップシート
は装着者の肌に直接触れる部分であることから、液拡散
性を付与することはシートの液残り性、液戻り性の面か
ら望ましいものではない。また、特開平3−23425
5号公報では、液体透過性のトップシートと木材パルプ
綿と高分子吸収材料などからなる吸収層との間に、親水
性繊維ウェブと疎水性繊維ウェブからなる吸液拡散シー
トを配置することを開示しているが、液体拡散方向が明
確にできないために意図しない方向へも拡散してしまう
おそれがある。また、特開昭61−48359号公報に
おいては、吸収性物品の幅方向に交互に繊維密度の高い
部分と低い部分とが配列する縞模様を有する液体拡散シ
ートを開示しているが、繊維密度差のみを利用した液拡
散では、まとまった量の液体の流入に対して対応しきれ
ずにその性能を活かせないおそれがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
吸収性物品の従来技術の問題を解決することである。す
なわち、吸収性物品において、人体からの排出物、尿や
経血といったものに対し、ある任意の方向へ迅速に拡散
させて、吸収層に効率よく吸収、保持させることが可能
となる液拡散性シートを提供することである。また、そ
れを用いた吸収性物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、不織布シートの
表面に液体搬送溝を有し、かつ、その液体搬送溝が設け
られたシート中央部を低密度繊維集合部とし、その中央
部分からシート長手方向端部にかかる部分を高密度繊維
集合部とすることで、その不織布シートが液体を迅速に
拡散,吸収させる性能を持つことを知り本発明を完成す
るに至った。
【0007】本発明の液拡散性シートは、以下の(1)
〜(7)項で示される。 (1) 不織布を含み、中央部に低密度繊維集合部、該
中央部から長手方向端部にかけて高密度繊維集合部、お
よび長手方向に液体を中央部から該高密度繊維集合部へ
拡散させる少なくとも一本の液体搬送溝を具備してなる
液拡散性シート。 (2) 低密度繊維集合部から高密度繊維集合部にかけ
て、順次密度勾配が形成されてなる(1)項記載の液拡
散性シート。 (3) 不織布が熱融着性繊維で構成される(1)もし
くは(2)項に記載の液拡散性シート。 (4) 熱融着性合繊維が10℃以上の融点差を有する
低融点樹脂と高融点樹脂とから構成される複合繊維ある
(3)に記載の液拡散性シート。 (5) 液体搬送溝の少なくとも底部が撥水性を有する
(1)〜(4)項のいずれか一項に記載の液拡散性シー
ト。 (6) 液体搬送溝の深さが高密度繊維集合部に向かっ
て順次浅く形成されている(1)〜(5)項のいずれか
一項に記載の液拡散性シート。 (7) 不織布で構成されるか、または不織布、フィル
ム,パルプシート,編物および織物から選ばれた少なく
とも1種と不織布とを積層してなる(1)〜(6)項の
いずれか一項に記載の液拡散性シート。
【0008】本発明の吸収性物品は、つぎの(8)項で
示される。 (8) (1)〜(7)項のいずれか一項に記載の液拡
散性シートを含む吸収性物品。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の液拡散シートは、液体透
過性のトップシート、液体不透過性のバックシート、吸
収層からなる吸収性物品において、トップシートと吸収
層との間、吸収層とバックシートとの間、または複数に
分かれた吸収層と吸収層との間に配置され使用される。
本発明の液拡散シートは、不織布または不織布と他の材
料との積層で構成されて、中央部に低密度繊維集合部、
該中央部から長手方向端部にかけて高密度繊維集合部、
および長手方向に液体を中央部から該高密度繊維集合部
へ拡散させる少なくと一本の液体搬送溝を具備してい
る。この液体搬送溝により、人体からの排出物である
尿、経血などの滴下、または、流入を、液体搬送溝に対
して直角方向への液流れを抑制しながら、これを迅速に
長手方向へ搬送,拡散させることができる。かつ、尿、
経血などが滴下もしくは流入するシート中央部に対し、
十分に繊維密度の高い高密度繊維集合部を有すること
で、液体の毛細管現象を利用し、液体搬送溝により搬
送,拡散された液体をより一層効果的に拡散吸収させる
ことが可能となるのである。
【0010】本発明をさらに図面を用いて詳細に説明す
る。図1(a)は、高密度繊維集合部1、低密度繊維集
合部2、シート中央部流入する液体を搬送する液体搬送
溝3を設けた液拡散性シートの一つの実施例を示す全体
平面図である。人体からの排出物である尿、経血などの
滴下、または、流入がシート中央部5にあるものとし
て、中央部5から長手方向端部へ向かって液体搬送溝3
がその幅を広げながら形成されている。図1(b)は図
1(a)のX1−X1’の断面図、図(c)は図1(a)
のX2−X2’の断面図、図1(d)は図1(a)のY−
Y’の断面図である。液体搬送溝3の深さは、シート中
央部5が最も深く、長手方向端部つまり高密度繊維集合
部1に向かって浅くなっている。これは、滴下、また
は、流入した液体を、液体搬送溝による拡散、搬送から
順次密度差を利用した更なる拡散へとすみやかに移行さ
せようと意図したものであって、液体搬送溝の幅が長手
方向に広がりながら延びているのも同様の理由による。
また、均一な厚みの不織布シートに、中央部5からシー
ト長手方向端部にかけて、圧縮度合いを順次高くなるよ
うに厚み方向へ圧縮加工を施すことによって、中央部5
から高密度繊維部1に向かって繊維密度勾配が設けられ
ている。このような繊維密度勾配は、液体の毛細管現象
を促進させるため、より好ましいものである。
【0011】本発明における液拡散性シートの液体搬送
溝形状は、特に限定されたものではない。例えばシート
表面の液体搬送溝の断面形状は、図1(b),(c)に
あるような、その幅や深さの異なる凹形の他、図2
(a)のような半円形、図2(b)のような逆三角形の
断面形状、また、図2(c)のような、液体搬送溝の上
部分よりも液体搬送溝の底部分4が大きく広がった、逆
Ω形でもよい。これら液体搬送溝の形状と併せて、液体
搬送溝の底部分4に撥水性を付加した場合は、液体の搬
送、拡散が促進されるのでより好ましい。
【0012】液拡散シートの表面の液体搬送溝の本数
は、液拡散シートに尿や経血といった液体が滴下、また
は流入する部分に、少なくとも1本好ましくは複数本を
設ける。その形状としては、直線状でもよく、曲線状で
もよい。例えば、図3(a)のように曲線状の液体搬送
溝3を2本長手方向に対して対称的に配置したものや、
図3(b)のように、シート中央部5から長手方向へ直
線状の液体搬送溝が放射状に延びているものや、図3
(c)のように、シート中央部5は1本の直線状の液体
搬送溝であるものが、シート長手方向に延びていく途中
で複数の液体搬送溝に分岐しているようなものでもよ
く、これらに限定されるものではない。また、液体搬送
溝の幅も常に一定でなくてもよく、好ましくは、液拡散
シートに尿や経血といった液体が滴下、または、流入す
る中央部5において、液拡散の液体搬送溝の幅が一本あ
たり2mm〜7mmであって、長手方向へ延びるに従っ
て液体搬送溝の幅が少しずつ増加していくものがよい
が、液体搬送溝の本数や形状に合わせて調整してよい。
【0013】液拡散シートの表面の液体搬送溝の長さ
は、好ましくは図1(a)にあるように、低密度繊維集
合部2であるシート中央部5から高密度繊維集合部1に
届く長さがあればよいが、これに限定されるものではな
い。また、液体搬送溝の深さは、尿や経血といった液体
が滴下、または、流入するシート中央部5において、好
ましくは1mm以上あればよいが、液体搬送溝がシート
中央部5からシート長手方向端部の高密度繊維集合部1
へと延びるにしたがって、液拡散シートの各部分の厚み
を考慮してその深さを順次浅く形成するのが好ましい。
これに限定されずに、液体搬送溝の深さを変化、調整し
てもよい。また、滴下もしくは流入する液体の重さや装
着者の体圧などの加圧に対してつぶれにくい溝を形成す
ることが重要である。
【0014】液拡散性シートの表面の液体搬送溝は、凸
型のプレス機やロールなどによる加工で形成することが
できる。例えば、不織布シート表面に、形成したい液体
搬送溝の形状を持った凸型の金型をのせてプレス加工を
行うことで、比較的簡単に液体搬送溝が形成できる。ま
た、ロールの表面に円周に沿って断線状に、形成したい
液体搬送溝の形状を持った凸部分を設けたエンボスロー
ルと、フラットロールの間に不織布シートを通すこと
で、シート表面に液体搬送溝を形成することができる。
また、液拡散性シートの高密度繊維集合部は、シート長
手方向端部の、形成したい部分に適量のバインダーなど
を塗布したのち、プレス機などで適度に圧縮することで
形成される。液拡散性シートに用いる不織布は熱融着性
複合繊維からなるのが好ましい。熱融着性複合繊維製の
不織布の場合は、バインダーなどが使用されていないた
め、構成繊維の持つ液透過性や不織布の持つ柔軟性を損
なうことなく、熱プレス加工だけで最も簡単に、シート
表面の液体搬送溝や高密度繊維集合部を設けることが可
能である。
【0015】拡散性シートが同一繊維で構成されている
場合は、一般的に前記のような手法で容易に高密度繊維
集合部を付与できるが、より高度な構成として、高密度
繊維集合部1と低密度繊維集合部2とにそれぞれ異品種
繊維を配置することで密度差を形成してもよい。例え
ば、極細繊維または細繊度繊維を高密度繊維集合部1と
して配し、低繊度繊維または中繊度繊維を低密度繊維集
合部2に配することで密度差を形成してもよい。このよ
うな場合は、エアレイド法などで部分的に異なる繊度の
原綿を供給することにより、異繊度かつ密度差を有する
液拡散性シートが得られる。
【0016】液拡散性シートに、シート中央部を含む低
密度繊維集合部からシート長手方向端部の高密度繊維集
合部にかけて、繊維密度を順次高密度化させる密度勾配
を付与することは、液体の毛細管現象を促進させ、さら
に効果的な液拡散が可能となるため、より好ましいもの
である。図1(a)では、均一な厚みの不織布シート
に、中央部5からシート長手方向端部にかけて、圧縮度
合いを順次高くなるように厚み方向へ圧縮加工を施すこ
とによって、中央部5から高密度繊維部1に向かって繊
維密度勾配が設けられている。このような繊維密度勾配
の付与の他の方法としては、熱融着性複合繊維からなる
不織布シートを用いた場合の金型を使用した熱プレス加
工や熱ロール加工などがある。例えば、熱融着性複合繊
維からなる不織布シートの上に、なだらかな山形に曲げ
られたステンレス製の板を金型としたものをのせ、適度
な温度下でプレス加工を施すことで、シート中央部はほ
とんど圧縮されずに、長手方向端部にかけて順次圧縮の
度合いが高くなった繊維密度勾配を有する液拡散性シー
トが容易に形成される。
【0017】本発明の液拡散性シートにおける繊維密度
(g/cc)は、比容積(cc/g)として算出し比較
する。低密度繊維集合部2/高繊維密度集合部1の比容
積の比は好ましくは2/1程度、更に好ましくは2.5
/1以上である。液拡散性シートの長手方向の長さも考
慮し、これらの比容積の比に限定されずに必要に応じて
変更してもよい。液拡散性シートの長手方向に密度勾配
を形成する場合は、最低の繊維密度のシート中央部5か
ら最高の繊維密度のシート長手方向端部にかけて順次高
密度化する割合は、比容積に換算して好ましくは1cm
あたり3.5cc/g程度、更に好ましくは1cmあた
り4.5cc/g以上である。しかし、液拡散性シート
の長手方向の長さや、密度勾配が形成される前の不織布
シートの比容積も考慮し、これらの割合に限定されずに
必要に応じて繊維密度勾配を変更してもよい。また、常
に一定の割合で高密度化しなくてもよい。
【0018】液拡散シートの厚みについては、シートが
柔軟で表面の液体搬送溝が付与できる厚みであればよ
く、特に限定されるものではない。例えば、シート表面
の液体搬送溝の底部分4とシートの底面6との距離がほ
とんどないような状態でもかまわない。
【0019】本発明の液拡散性シートに用いられる原材
料シートは、液拡散性シートに求められる機能としての
柔軟性、耐久性、安全性、液透過性などを考慮し、比較
的安価で、かつ廃棄後の処理が容易な不織布が好まし
い。本発明の液拡散性シートの素材となる不織布には、
ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン系
繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
系繊維、ナイロン6,ナイロン66などのポリアミド系
繊維、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系繊維、レ
ーヨンなどのセルロース系繊維が使用できる。特に例え
ば、ポリエチレン/ポリプロピレンで構成されるポリオ
レフィン系の鞘芯型,偏芯型などの熱融着性複合繊維、
ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートで構成され
るポリエステル系の鞘芯型,偏芯型などの熱融着性複合
繊維など、およびこれらが混繊したものが主体となって
構成されるものが好ましく、複合繊維の場合、低融点樹
脂と高融点樹脂との融点差は10℃以上を有する組み合
わせが熱融着性効果の点からも好ましい。不織布として
は、カード法やエアレイド法で得られた繊維ウェッブを
ポイントボンド法やスルーエアー法などによって加工さ
れた短繊維不織布、スパンボンド法に代表される長繊維
不織布などがある。好ましくは、比較的繊維として柔軟
で、熱処理により密度勾配を付与しやすい、前記ポリオ
レフィン系の鞘芯型熱融着性複合繊維が主体の、スルー
エアー法によって加工された短繊維不織布が好ましい
が、これに限定されるものではない。
【0020】これらの不織布は、速やかな液透過性を有
していることが好ましく、その液透過性が不足している
場合などは、界面活性剤などによる化学的繊維表面改質
を施して液透過性を付与することが好ましい。つまり、
液拡散シートにおいて、表面の液体搬送溝の底部分は、
液体搬送溝を形成する加工時にシリコンなどの撥水剤を
塗布したり、熱処理などにより構成繊維の熱融着性繊維
をフィルム化して撥水性を付与することで、液拡散、搬
送が一層効果的になるため撥水性がより好ましいが、そ
れ以外の部分は液透過性を有していることが好ましい。
【0021】本発明の液拡散性シートは、吸収性物品の
使用形態の目的に応じて不織布のみで形成され、他の不
織布,フィルム,パルプシート,編物,織物などと積層
して使用することもできる。
【0022】本発明の液拡散性シートは、前述の如く、
不織布シートのシート表面に長手方向に延びる液体搬送
溝を有することで、人体からの排出物である尿、経血な
どといった体液の滴下、または、流入に対し、液体搬送
溝が延びる方向の直角方向への液流れを抑制しながら、
これを迅速に搬送、拡散させることができるようにな
る。かつ、液体搬送溝が形成されているシート中央部の
低密度繊維集合部、シート長手方向端部の高密度繊維集
合部を有することで、不織布シートに密度差が付与さ
れ、液体搬送溝により搬送された体液を、シート長手方
向端部の高密度繊維集合部へ更に効果的に拡散させるこ
とが可能となる。
【0023】また、このような形状の液拡散性シートが
吸収性物品に効果的に配置されることにより、従来の技
術では得られなかった吸収層を有効的に使用でき、薄く
軽い吸収性物品を提供することが可能になる。
【0024】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ま
ず、以下に評価方法を示す。評価には次の試験液を用い
たが、効果を目視によって確認するために、水性インク
を混ぜて着色した。 人工尿...尿のモデル(100g中に、NH2CONH2 2.00g、 NaCl 0.80g、 MaSO4・2H2O 0.08g、 CaCl2・2H2O 0.03g、 イオン交換水 97.09g) 人工血液..経血のモデル(100g中に、 CH2(OH)CH(OH)CH2OH 10.00g、 Na2CO3 1.07g、 NaCl 1.00g、 CMC 0.46g、 イオン交換水 87.47g)
【0025】実施例1〜6、比較例2〜4で得られた液
拡散シート、比較例1の不織布シート、実施例7、比較
例5で得られる積層液拡散シート、実施例8、比較例6
の吸収性物品を評価サンプル(175mm×75mm)
として、下記の評価を行った。 (1)液拡散性 評価サンプルに試験液を滴下し、試験液が透過した後で
サンプル表面に広がった液体の拡散状況を、サンプルの
長手方向と幅方向とに分けて測定し、その比率、つまり
長手方向/幅方向の比を算出することで、そのサンプル
の液拡散性とする。この時、長手方向/幅方向の数値が
大きいほど、液拡散性が高いことを示す。なお、試験液
の滴下は一定間隔で3回行い、その都度、拡散比率を算
出する。また、第3回の試験液の滴下後に拡散面積を算
出し、拡散比率と併せて液拡散性の評価基準とする。拡
散比率が高く、拡散面積が大きいほど液拡散性が高いと
するが、拡散面積が大きいだけでは、液拡散性が高いと
は限らない。なお、拡散面積S(mm2)は、長手方向
の拡散距離をl1(mm),幅方向の拡散距離をl2とし
た時、下記の式で求められる。 S=(l1/2)×(l2/2)×π
【0026】この評価で使用する備品としては次の3点
を用いた。 吸収体 市販の生理用ナプキンから採取したもので、パルプ10
0%、165g/m2、大きさは170mm×75m
m、厚み3.5mmのもの。評価の際には、吸収体の下
に防液シートとしてポリエチレンフィルムを敷いてもか
まわない。 測定台 半径110mmの半球状のガラス繊維強化プラスチック
製ボウルを用いた。ボウルの材質は特に限定しない。評
価サンプルは、ボウルの内底中央部分吸収体の大きさに
マークされた部分に設置する。 分液ロート 試験液の滴下用であり、活栓付き、容量100cc、足
部分の内径5mmのものを使用した。
【0027】液拡散性の評価の手順を説明する。まず評
価するサンプル(175mm×75mm)を用意した吸
収体の上にのせ、固定された測定台の底部分のマーキン
グに合わせて設置する。この時、サンプルの中央部分に
対して、長手方向の縁部分は20mm以上位置的に高い
状態である。そして分液ロートを、設置されたサンプル
の中央部分に、出口が高さ10mmになるように配置す
る。38℃に保温された試験液(人工尿:8cc/回、
人工血液:2cc/回)を分液ロートに入れる。活栓を
開き試験液をサンプル中央に滴下した後、液体がすべて
透過した時点から5分間そのままの状態で放置する。そ
してサンプル表面に残っている液拡散の跡を長手方向と
幅方向に分けて、その長さを測定する(単位:mm)。
このような手順を3回繰り返し、評価を終了する。この
評価を行う雰囲気としては、室温20℃、湿度60%が
好ましい。
【0028】(2)密度差(比容積の比) 評価サンプルにおける密度差(比容積の比)の算出方法
は、まず、評価サンプルの低密度繊維集合部と高密度繊
維集合部の重量を測定し、それぞれの面積から、単位面
積あたりの重量、つまり目付w1(g/m2),w2(g/
2)を算出する。そして、低密度繊維集合部と高密度
繊維集合部の、各々の厚みであるt1(mm),t2(m
m)を測定し、下記の式を用いて比容積を算出し、低密
度繊維集合部の比容積v1(cc/g)/高密度繊維集
合部の比容積v2(cc/g)として比を求める。 v1=t1/w1×1000 v2=t2/w2×1000
【0029】(3)繊維密度勾配 繊維密度勾配の割合の算出方法は、まず、評価サンプル
の低密度繊維集合部から高密度繊維集合部にかけて設け
られている密度勾配において、最も高い比容積v3(c
c/g)と最も低い比容積v4(cc/g)を前記の式
をい用いて算出し、それらの値を算出した2つの部分の
間の直線距離l3(cm)を測定する。そして下記の式
を用いて1cmあたりの比容積の平均減少率を算出し、
密度勾配の割合R(cc/g・cm)とする。 R=(v3−v4)/l3
【0030】
【実施例1】鞘の成分が融点130℃のポリエチレン、
芯の成分が融点162℃のポリプロピレンからなり、ア
ルキルホスフェートカリウム塩を主成分とする界面活性
剤で表面処理された繊度2デニール/フィラメント,カ
ット長51mmの熱融着性複合繊維を使用し、スルーエ
アー法により温度138℃,時間12sec,風速0.
8m/minの加工条件で得られた目付25g/m2
比容積60cc/gの短繊維不織布を、繊維並び方向を
長手方向として175mm×75mmにカットし液拡散
性シート用の不織布シートを得た。このカットされた不
織布シート表面中央部に、TESTER SANGYO
co.,LTD.製のHEAT SEAL TESTE
R TP−701Sを使用して、温度125℃,圧力
1.0kg/cm2,時間30secの条件で凸型プレ
ス加工を施し、長手方向に沿って幅5mm、深さ1m
m、長さ70mmの直線状の液体搬送溝を1本設けた。
また、長手方向両端部から各々70mmの長さの部分
に、HASHIMA co.,LTD.製の平板プレス
機HP380Aを使用して、温度115℃,圧力350
g/cm2,時間60secの加工条件で熱プレスを施
して圧縮し、高密度繊維集合部を設けた。これらの加工
によりシート中央部の低密度繊維部とシート長手方向端
部の高密度繊維集合部との比容積の比が2.2/1、液
体搬送溝の深さはシート中央部で一定、底部分が液透過
性の液拡散性シートを得た。このようにして得られた液
拡散性シートの液拡散性を評価した。その結果を表1と
表2に示す。
【0031】
【実施例2】鞘の成分が融点130℃のポリエチレン、
芯の成分が融点253℃のポリエチレンテレフタレート
からなり、アルキルホスフェートカリウム塩を主成分と
する界面活性剤で表面処理された繊度2デニール/フィ
ラメント,カット長51mmの熱融着性複合繊維を使用
し、スルーエアー法により温度138℃,時間12se
c,風速0.8m/minの加工条件で得られた目付2
5g/m2,比容積75cc/gの短繊維不織布を、繊
維並び方向を長手方向として175mm×75mmにカ
ットし液拡散性シート用の不織布シートを得た。以下、
実施例1と同様にして、カットした不織布シート表面に
液体搬送溝と高密度繊維集合部を形成し、シート中央部
の低密度繊維部とシート長手方向端部の高密度繊維集合
部との比容積の比が2.1/1、液体搬送溝の深さはシ
ート中央部で一定で底部分は液透過性の液拡散性シート
を得た。その結果を表1と表2に示す。
【0032】
【実施例3】実施例1と同様にして、液体搬送溝を1本
設けるところまで加工を行ったシートを用いて、このシ
ートの上になだらかな山形に曲げられたステンレス製の
金型をのせ、HASHIMA co.,LTD.の平板
プレス機HP380Aを使用して、温度115℃,圧力
350g/cm2,時間60secの加工条件で、熱プ
レスを施して圧縮し液拡散性シートを得た。得られたシ
ートは中央部から長手方向端部にかけて順次高密度にな
るように密度勾配を有し、その密度勾配の割合は1cm
あたり3.5cc/gであり、また、液体搬送溝の深さ
はシート中央部からシート長手方向端部に向かって順次
浅くなるように形成されており、底部分は液透過性であ
る。その結果を表1と表2に示す。
【0033】
【実施例4】図3(a)のような幅5mm深さ1mm長
さ70mmの曲線状の液体搬送溝を2本、幅方向の中心
線を軸として対称的に設けた以外は、前記の実施例3と
同様にして液拡散性シートを得た。、その結果を表1と
表2に示す。
【0034】
【実施例5】図3(b)のような幅5mm深さ1mm長
さ70mmの直線状の液体搬送溝を3本、シート中央部
からシート長手方向へ放射状に設けた以外は、前記の実
施例3と同様にして液拡散性シートを得た。その結果を
表1と表2に示す。
【0035】
【実施例6】175mm×75mmにカットするところ
まで実施例1と同様に行った不織布シートを用い、この
シート表面中央部に、TESTER SANGYO c
o.,LTD.のHEAT SEAL TESTER
TP−701Sを使用して、温度125℃,圧力1.0
kg/cm2,時間30secの条件で、凸型の表面に
シリコーンを塗布した状態で凸型プレス加工を施し、長
手方向に沿って幅5mm深さ1mm長さ70mmの直線
状の液体搬送溝を1本設けた。また、このシートの上
に、なだらかな山形に曲げられたステンレス製の金型を
のせ、HASHIMA co.,LTD.の平板プレス
機HP380Aを使用して、温度115℃,圧力400
g/cm2,時間60secの加工条件で、熱プレスを
施して圧縮して液拡散性シートを得た。得られた液拡散
性シートは、シート中央部からシート長手方向端部にか
けて、順次高密度された密度勾配を有し、その密度勾配
の割合は、1cmあたり4.5cc/gである、また、
液体搬送溝の深さは、シート中央部からシート長手方向
端部に向かって順次浅く形成されており、加工時にシリ
コーンが移行して液体搬送溝底部分に撥水性が付与され
た。その結果を表1と表2に示す。
【0036】
【実施例7】凸型プレスの加工条件として、温度を13
5℃,時間を15secで底部分をフイルム化し、凸型
の表面にシリコーンを塗布しない以外は前記の実施例6
と同じ工程で液拡散性シートを得た。得られた液拡散性
シートの液体搬送溝の底部分が構成繊維のフィルム化に
よって撥水性となった。この液拡散シートの裏面(未加
工面)にティッシュペーパーを、さらに、そのテュッシ
ュペーパーに、短繊維不織布(融点253℃のポリエチ
レンテレフタレートからなる繊度5.8デニール/フィ
ラメント,カット長38mmの短繊維をレジンボンド法
で加工して得られた、目付45g/m2の不織布)をポ
リエチレンオキシドなどの水溶性熱可塑性樹脂を用いて
貼り合わせ、ナチュラルドライヤー内で85℃、5分間
加熱して乾燥した。このようにして得られた積層液拡散
性シートの液拡散性を評価した。その結果を表1と表2
に示す。
【0037】
【実施例8】実施例1と同じ工程で得られた液拡散性シ
ートにティッシュペーパーをのせたものを、1mm径の
穴が多数設けられているポリエチレンフィルムのトップ
シートと、吸収体の間に配置して吸収性物品を作製し
た。得られた吸収性物品の液拡散性を評価した。その結
果を表1と表2に示す。
【0038】
【比較例1】実施例1で用いた175mm×75mmに
カットし液拡散性シート用の不織布シートのみの液拡散
性の評価結果を表1と表2に示す。
【0039】
【比較例2】液体搬送溝を設けない以外は実施例1と同
様にして液拡散性シートを得た。得られたシートの液拡
散性を評価した。その結果を表1と表2に示す。
【0040】
【比較例3】高密度繊維集合部を形成する加工を行わな
い以外は実施例1と同様にして液拡散性シートを得た。
得られたシートの液拡散性を評価した。その結果を表1
と表2に示す。
【0041】
【比較例4】実施例1で用いた175mm×75mmに
カットし液拡散性シート用の不織布シートの全体に長手
方向を折り目線としてプリーツ幅10mmでプリーツ加
工を施し、ブリーツの谷部分を液体搬送溝とした。得ら
れた液拡散性シートの液拡散性を評価した。その結果を
表1と表2に示す。
【0042】
【比較例5】実施例7で用いた実施例6と同じ工程でえ
られた液拡散性シートに代えて、実施例1で用いた17
5mm×75mmにカットし液拡散性シート用の不織布
シートを用いる以外は実施例7と同様にして、積層液拡
散性シートを作製した。その結果を表1と表2に示す。
【0043】
【比較例6】実施例8で用いた液拡散性シートに代え
て、実施例1で用いた175mm×75mmにカットし
液拡散性シート用の不織布シートを用いる以外は実施例
8と同様にして吸収性物品を作製した。得られた吸収性
物品の液拡散性を評価した。その結果を表1と表2に示
す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1と表2に示される評価結果について考
察する。実施例1と比較例1を比較した場合、比較例1
は滴下回数がすすむに従ってシートの幅方向への広がり
が増しており、横漏れが危惧される。これに対し、シー
ト表面に液体搬送溝が設けられている実施例1は、滴下
回数がすすむに従って幅方向の広がりを抑えながら長手
方向に拡散させており、シート表面の液体搬送溝の有効
性は明らかである。これは、実施例2のように液拡散シ
ートを構成する熱融着性複合繊維の種類が異なっても同
じである。しかし、比較例3のように、ただ不織布表面
に液体搬送溝が設けられていても、繊維密度差がないと
幅方向への広がりが抑えられる程度であ流る。比較例4
は構造的にはっきりした液体搬送溝がプリーツ加工によ
り施されているが、長手方向への液拡散が一定のところ
で停止している。液体搬送溝による幅方向への液の広が
りの抑制だけでなく、積極的に、位置的に高くなった部
分へ液拡散を行うためには、実施例1,2にあるような
繊維密度差を設けることが必要なことがわかる。しか
し、比較例2のように不織布に単に繊維密度勾配を設け
ただけでは、滴下総量が増加すると、その性能を発揮で
きないから、シート表面の液体搬送溝と長手方向の繊維
密度差との組み合わせは不可欠のことがわかる。
【0047】実施例3は、実施例1と比較しても、第1
回の滴下から長手方向への液拡散性に優れており、液拡
散性シートに低密度繊維集合部と高密度繊維集合部を設
けるだけでなく、シート中央部からシート長手方向端部
にかけて順次高密度化される密度勾配を付与することが
更に好ましいものであることを示す。また、シート表面
に設けられた液体搬送溝の深さが、低密度繊維部から高
密度繊維部に向かって順次浅くなっていることによっ
て、体液の液体搬送溝による液搬送から密度勾配による
液拡散へとすみやかに移行させていることがわかる。
【0048】実施例4,5は、液体搬送溝の本数と形状
が異なるものの、実施例1と比較しても液拡散の比率が
向上しており、かつ、液拡散面積も大きい。複数の本数
の液体搬送溝を効果的に配置することが更に好ましいこ
とがわかる。また、実施例6を見た場合、シート表面の
液体搬送溝が1本であるにもかかわらず、実施例3,4
よりも液拡散性が高く、かつ、液拡散面積も大きい。シ
ート表面の液体搬送溝の底部分に撥水性を付与すること
は、液体搬送溝による液体の拡散、搬送を促進させるた
め、有効であることは明らかである。
【0049】実施例7と比較例5を比較した場合、比較
例5は、長手方向への液拡散性を示さないのに対し、実
施例7は、実施例6と拡散比率,拡散面積ともほぼ同等
で、積層してもその液拡散性は損なわれていない。実施
例8は、液拡散性シートが配置された吸収性物品である
が、液拡散性シート単体での評価結果と比較して、拡散
比率,拡散面積とも大きくなっている。これは、吸収性
物品のトップシート表面に滴下された人工尿および人工
血液が、吸収性物品のトップシート、この場合はポリエ
チレンフィルムによって長手方向および幅方向へ拡散面
積を少し広げられて液拡散性シートに透過し、液拡散性
シートによって、その拡散面積をさらに長手方向へ広げ
られた結果である。
【0050】これらより、実施例1〜7の液拡散性シー
トが、シートに滴下された体液を長手方向に拡散させる
性能において優れていることがわかる。また、実施例8
の吸収性物品が、そのトップシートに滴下された体液を
長手方向に拡散させる性能において優れていることがわ
かる。
【0051】
【発明の効果】(1)本発明の液拡散性シートは、従来
のものと比較して、人体からの排出物、つまり尿や経血
などの体液を、滴下または流入したシート表面中央部に
止めることなく迅速に液体搬送溝を通じて長手方向に拡
散させ、さらに、シートの構成繊維の密度差によってシ
ート端部まで拡散を促進させるという優れた効果を発揮
する。 (2)本発明の液拡散性シートの素材に、熱融着性複合
繊維からなる不織布を使用することにより、簡単な熱処
理だけでシート表面に様々な形状,断面の液体搬送溝を
設けることができ、密度勾配を付与し、その度合いを調
整するのも比較的容易に行うことができる。また、シー
ト形成の際に接着剤などを使用しないため、吸収性物品
などに用いられても衛生的で、安全な素材である。 (3)本発明の液拡散性シートの表面に設けられている
液体搬送溝の底部を撥水性にすることにより、液体搬送
溝による体液搬送をより効率よく行うことが可能とな
り、液拡散性をさらに高めることができる。 (4)本発明の液拡散性シート表面の液体搬送溝の深さ
が、低密度繊維部から高密度繊維部へと順次浅く形成さ
れることにより、シート表面に滴下または流入した体液
が液体搬送溝によっての液搬送から、その密度勾配を利
用した液拡散へと、すみやかに移行される。シート表面
の液体搬送溝と密度勾配をより効果的に組み合わせるこ
とでさらに液拡散性を高めることができる。 (5)本発明の液拡散性シートが、他の不織布,フィル
ム,パルプシート,編物および織物から選ばれた少なく
とも1種と積層されても、その液拡散性は損なわれない
だけではなく、さらに液拡散性を促す素材,シートとの
組み合わせにより、液拡散性が向上する効果が期待でき
る。 (6)本発明の液拡散性シートは、長手方向への積極的
な拡散性を有することにより、その直角方向すなわち幅
方向への液移動が抑制されて横漏れ防止の効果も得られ
る。そのため、本発明の液拡散性シートを配置した吸収
性物品は、尿、経血などの体液の滴下または流入に対し
て、横漏れし難くかつ敏速な液拡散性が付与される。結
果的に、吸収層全体にわたっての効率の良い液吸収、保
持が可能になるため、吸収層を薄くすることができ、吸
収性物品そのものを比較的薄く軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施例である液拡散性シー
トの全体平面図である。(b)は(a)のX1−X’1
断面図である。(c)は(a)のX2−X’2の断面図で
ある。(d)は(a)のY−Y’の断面図である。
【図2】(a),(b),(c)は、本発明の液拡散性
シートの表面に設けられる液体搬送溝の断面形状の例を
示す。
【図3】(a),(b),(c)は、本発明の液拡散性
シートの表面に設けられる液体搬送溝の形状の例を示
す。
【符号の説明】 1 高密度繊維集合部 2 低密度繊維集合部 3 液体搬送溝 4 液体搬送溝の底部分 5 液拡散性シートの中央部 6 液拡散性シートの底面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 17/00 A61F 13/18 307G D06M 17/00 D

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不織布を含み、中央部に低密度繊維集合
    部、該中央部から長手方向端部にかけて高密度繊維集合
    部、および長手方向に液体を中央部から該高密度繊維集
    合部へ拡散させる少なくと一本の液体搬送溝を具備して
    なる液拡散性シート。
  2. 【請求項2】 低密度繊維集合部から高密度繊維集合部
    にかけて、順次密度勾配が形成されてなる請求項1記載
    の液拡散性シート。
  3. 【請求項3】 不織布が熱融着性繊維で構成される請求
    項1項もしくは2項に記載の液拡散性シート。
  4. 【請求項4】 熱融着性合繊維が10℃以上の融点差を
    有する低融点樹脂と高融点樹脂とから構成される複合繊
    維である請求項3に記載の液拡散性シート。
  5. 【請求項5】 液体搬送溝の少なくとも底部が撥水性を
    有する請求項1〜4項のいずれか一項に記載の液拡散性
    シート。
  6. 【請求項6】 液体搬送溝の深さが高密度繊維集合部に
    向かって順次浅く形成されている請求項1〜5項のいず
    れか一項に記載の液拡散性シート。
  7. 【請求項7】 不織布で構成されるか、または不織布、
    フィルム,パルプシート,編物および織物から選ばれた
    少なくとも1種と不織布とを積層してなる請求項1〜6
    項のいずれか一項に記載の液拡散性シート。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7項のいずれか一項に記載の
    液拡散性シートを含む吸収性物品。
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