WO2007020853A1 - 薬剤の標的蛋白質を同定する方法及び標的蛋白質を用いた糖尿病治療薬のスクリーニング方法 - Google Patents

薬剤の標的蛋白質を同定する方法及び標的蛋白質を用いた糖尿病治療薬のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

 蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質に結合する性質を有する分子シャペロン蛋白質を利用して、薬理作用を有する化合物が標的蛋白質と結合することによる該標的蛋白質の立体構造の変化を検出することによる、薬理作用を有する化合物の標的蛋白質の同定方法を開示する。また、前記同定方法で見出された、糖尿病治療薬であるビグアナイドの標的蛋白質を用いた糖尿病治療薬のスクリーニング方法、該スクリーニング方法に利用可能なスクリーニングツール、及び該スクリーニング方法によって得られた物質を含有する糖尿病治療用医薬組成物を開示する。

Description

明 細 書
薬剤の標的蛋白質を同定する方法及び標的蛋白質を用いた糖尿病治療 薬のスクリーニング方法
技術分野
[0001] 本発明は、蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質に結合する性質を有す る分子シャペロン蛋白質を利用して、薬理作用を有する化合物が標的蛋白質と結合 することによる該標的蛋白質の立体構造の変化を検出することによる、薬理作用を有 する化合物の標的蛋白質の同定方法に関する。
また、本発明は、本発明の同定方法により見出された標的蛋白質を用いた糖尿病治 療薬のスクリーニング方法に関する。 背景技術
[0002] 薬剤として使用されている低分子化合物には、薬理作用が明確でありながらその作 用機序が不明な分子が多数存在する。一般に薬剤の多くは生体内で特定の蛋白質 に作用して該蛋白質の機能を変化させ、結果として薬理作用を惹起する。作用機序 が不明な薬剤では、その標的となる蛋白質が同定されていない。近年、分子レベル で生体内のシグナル伝達系の解明が進んだ結果、特定の薬理作用を引き出すため に必要な特定の蛋白質分子が数多く同定された。その結果、今日ではそれら特定の 蛋白質分子を標的とした分子標的薬と呼ばれる薬剤の開発が進み、その割合は急 速に増カロしている。標的となる蛋白質が明らかな化合物は生体への作用機序が明確 であり、また該蛋白質との結合の強度、あるいは該蛋白質が有する酵素活性の変化 を指標として化合物の構造を改変できる。このため吸収や分解を含む体内動態、さら には薬理活性の向上を目的とする改良研究が容易であり、薬剤を開発する上で非常 に有利である。反対に標的蛋白質が不明な化合物は、たとえ明確な薬理作用が見 出されている場合でも、当該活性を向上させる目的でィ匕合物構造の改良を図ること が容易ではな ヽ (非特許文献 1参照)。
また、薬剤は程度の違いはあるが、一般に望ましい薬理作用(主作用)の他に望まし くない薬理作用(副作用)を併せ持つている。既に上市され、主作用を担う標的蛋白 質が明らかである分子標的薬の中にも、副作用に関わる標的蛋白質についての情 報は乏しい例が多ぐこれが副作用の回避、改善のための研究に時間、コストを要す る原因となっている (非特許文献 1参照)。
有意な薬理作用が知られながら標的蛋白質が明確でない薬剤は現実に多数存在し ている。代表的な例として、糖尿病の治療薬として古くから利用されているビグアナィ ド剤 (非特許文献 2参照)や、多発性骨髄腫の劇的な治療効果からその存在が見直 されているサリドマイドを挙げることができる(非特許文献 3参照)。ビグアナイドは有意 な血糖降下作用を、サリドマイドは有意な血管新生阻害作用を有しているにもかかわ らず、これらの薬剤はいずれも生体内における直接の標的蛋白質が同定されていな い。そのため、これらの薬剤は有用な薬理作用を有していながら、その効果を高める 改良研究が困難であった。力 tlえて、ビグアナイドには乳酸アシドーシス (非特許文献 4参照)、サリドマイドには催奇形性 (非特許文献 3参照)といった重篤な副作用が知 られている力 これらを回避するための研究も標的が不明なため進展していない。従 つて、これら薬剤の標的蛋白質の同定が望まれていた。
従来、低分子化合物が作用する標的蛋白質を同定する手段としては、該化合物と直 接結合する蛋白質を物理的及び Z又は化学的な手段で検出し分離する方法が一 般的であった。例えば、化合物構造の一部分を改変して高分子量のァフィ二ティー ビーズと結合させることにより、重力など物理的な力によって化合物と結合した標的 蛋白質を分離 '精製する方法が知られている。また、化合物構造の一部分に標識と なるタグをつけることで該化合物と結合した標的蛋白質をィ匕学的に検出することも行 われて ヽる(非特許文献 5参照)。近年では酵母ツーハイブリッド法 (非特許文献 6参 照)やファージディスプレイ法 (非特許文献 7参照)などの分子生物学的な手法を応 用して、目的の化合物と結合する蛋白質をコードする遺伝子断片を cDNAライブラリ 一中からスクリーニングし、同定する試みも行われている。
しかしながら、上述した様々な手法による試みにもかかわらず、これまでに進められた 該分野の研究力 実際に薬剤の標的蛋白質が同定された例は多くはない。成功す る確率が低い原因として、上述の方法においては、いずれの場合もプローブとする化 合物にビーズやタグを結合させるために、化合物の一部構造を改変する必要がある ことから、本来の化合物とは異なる人工的な構造体に対して、結合する蛋白質を探 索せざるを得ない点が挙げられる (非特許文献 1および 5参照)。これは即ち、タグや ビーズ、あるいはそれらとィ匕合物の複合体といった、本来の薬理活性を持つ薬剤とは 異なる人工物へ結合する非特異的な蛋白質を標的蛋白質と誤って同定する原因と なる。また、化合物構造の改変は、該化合物の薬理作用に影響しない部位に施され ることが真の標的蛋白質を見出すために必須であるが、標的不明の薬剤やィ匕合物は 概して構造とその薬理活性の相関についての情報が乏しぐ任意の部位で修飾した 化合物を利用せざるを得ない例が多い。このため、本来の薬理活性を失った化合物 をプローブとして選択する確率も高 、。本来は修飾によりタグやビーズを付加された 該化合物がもとの薬理活性を維持している事実を確認した後にそれらをプローブとし て用いることが好まし 、が、細胞膜透過性や安定性など様々なパラメーターが影響 するため薬理活性の有無の判断は容易ではない。また、化合物構造の修飾は時間と 費用、特殊な技術を要することから、上述の方法が汎用的な研究手法になりにくい原 因となっている。
一方、化合物の分子内の元素をラジオアイソトープに置換することにより標識した化 合物 (構造は標識前と同じ)を用いて特定の蛋白質との結合を確認することは可能で あつたが、固定可能な修飾ではない為、多数の蛋白質の中から標的蛋白質を探索 することは容易ではな力つた。また、この方法では、標識によりィ匕合物が不安定にな つたり、コストがかかるといった難点もあった。
従来法による化合物標的探索の成功確率が低い別の原因として、上述の方法では いずれも化合物と蛋白質の直接の結合を指標として標的の検出'分離を行うために、 化合物と標的蛋白質の結合親和性が高くなければ標的発見が困難である点が挙げ られる。実際に上述の方法で標的を見出した数少ない成功例は、いずれも化合物と 蛋白の結合親和性の高いものである(非特許文献 4参照)。しかしながらこれまでの 知見力 化合物の薬理活性の高さと標的蛋白質との結合親和性は必ずしも相関しな い。むしろ不可逆な阻害を除いては薬理作用の惹起に化合物が標的蛋白質と強固 に結合する必要はないとも考えられている(非特許文献 8参照)。以上の問題点から、 従来の手法では見出すことができな力つた薬剤の標的蛋白質を同定する方法が望 まれていた。
[0004] 分子シャペロンは蛋白質分子の折りたたみ (folding)や変性 (unfolding)、多量体 形成等の蛋白質の構造形成を介助する一群の蛋白質である (非特許文献 9参照)。 今日では熱刺激によって発現量が亢進することが知られて 、る熱ショック蛋白質 (he at shock protein)と総称される分子の多くがシャペロンとして働くことが知られて いる。分子シャペロンの中でも、 Hsp60ファミリーと総称される分子群は、典型的な分 子シャペロンとして特に「シャぺロニン」と呼ばれて 、る。
熱ショック蛋白質に代表されるこれら分子シャペロンは、翻訳過程で立体構造が完成 していない不安定な蛋白質と相互作用してそれらを安定に保つ他に、環境変化に伴 つて細胞内の蛋白質の機能に影響が生じないように,蛋白質の構造を維持'管理し、 異常な状態になった基質に対してはュビキチン化されて分解されるのを促進する作 用を持つ (非特許文献 10参照)。
このようにシャペロンは基質となる蛋白質分子の非天然構造を認識する機能分子とし ての性質を有している。
一方、リガンド候補存在下又は非存在下での標的蛋白質の重畳状態 (folded stat e)及び展開状態 (unfolded state)の程度を決定することに分子シャペロンを用い た、既知の標的蛋白質のリガンドを同定するためのスクリーニング方法が報告されて いる(特許文献 1〜6参照)。
[0005] インスリンは脾臓ランゲルノヽンス島の β細胞より分泌され、主に筋肉、肝臓、脂肪に 作用して血中の糖を細胞に取り込ませて貯蔵、消費させることにより血糖値を降下さ せる。糖尿病は、このインスリンの作用不足から引き起こされるが、患者にはインスリン の生産又は分泌に障害をもつ 1型と、インスリンによる糖代謝促進が起こりにくくなる 2 型の 2つのタイプが存在する。いずれの患者でも血糖値が健常人より高くなる力 1 型では血中インスリンが絶対的に不足するのに対して、 2型ではインスリンの存在にも かかわらず血糖の細胞における取り込み又は消費が促進されないインスリン抵抗性 が生じている。 2型糖尿病は遺伝的素因に加えて過食や運動不足、ストレスなどが原 因となり惹起されるいわゆる生活習慣病である。今日先進諸国では摂取カロリーの増 大に伴 、この 2型糖尿病患者が急激に増加しており、日本では糖尿病患者の 95% を占めている。そのため糖尿病の治療薬には単純な血糖降下剤のみでなぐインスリ ン抵抗性の改善により糖代謝を促進する 2型糖尿病の治療の必要性が増大している 現在 1型糖尿病患者の治療にはインスリン注射製剤が処方されている。一方、 2型糖 尿病患者に処方される血糖降下剤としては、インスリン注射製剤に加えて脾臓の β 細胞に作用してインスリンの分泌を促すスルホニル尿素系血糖降下剤(SU剤)や、 糖質の消化吸収を遅らせる OC—ダルコシダーゼ阻害剤が知られている。これらは間 接的にインスリン抵抗性を改善するが、近年より直接的にインスリン抵抗性を改善す る薬剤としてチアゾリジン誘導体が使われるようになった。その作用は細胞内への糖 の取り込みと細胞内における糖利用の促進である。このチアゾリジン誘導体はペルォ キシソーム増殖剤応答性受容体ガンマ(peroxisome proliferator activated re ceptor : PPAR y )のァゴ-ストとして作用することが示されて!/、る(非特許文献 11参 照)。しかしチアゾリジン誘導体はインスリン抵抗性を改善するのみでなぐ脂肪蓄積 や、浮腫を惹起する副作用が知られている (非特許文献 12参照)。この浮腫の惹起 は心肥大をもたらす重篤な副作用であることから、インスリン抵抗性改善のために、 P PAR yにかわるより有用な創薬標的分子が求められている。これらの他に糖代謝改 善作用をもたらす有力な薬剤として、古くから用いられているビグアナイド系血糖降 下剤 (非特許文献 13参照)が知られて ヽる。ビグアナイド剤は嫌気的解糖作用による 糖利用の増大や糖新生の抑制、食欲の抑制、及び糖の腸管吸収を抑制する作用を 持つことが報告されており、それらの結果、ビグアナイドは肝臓、筋肉におけるインス リン感受性を向上させる。ビグアナイドはすい臓には働きかけず、インスリンの分泌は 増やさないことから、肥満を招かず低血糖も起こしにくいという特徴がある。ビグアナ イドの作用は前述のチアゾリジン誘導体やインスリン製剤が有する好ましくな 、作用 を含まないものであり、実際に前述の他の血糖降下剤と併用されて処方される例が 多い。近年その有力な薬理作用が見直されたこともあり、ビグアナイド剤は現在インス リン抵抗性改善薬としてチアゾリジン誘導体に次ぐ地位にある。だが一方で、ビグァ ナイド剤には乳酸の蓄積を増大させ乳酸アシドーシス (非特許文献 14参照)を引き 起こす副作用が知られている。ビグアナイド剤は薬としての歴史が非常に古いにもか かわらず、チアゾリジン誘導体の PPAR yにあたるような明確な標的蛋白質が未だに 同定されていない。このためにビグアナイド剤は標的蛋白質との構造活性相関情報 が得られておらず、今日まで乳酸アシドーシスの改善といった副作用との乖離研究 だけでなぐ血糖降下という主作用の増大を目指した改良研究も困難であった。 ATP5B蛋白質はゲノム上にコードされ、ミトコンドリアに輸送されて働く FIFO— ATP 合成酵素の βサブユニットである(非特許文献 15及び 16参照)。また ΑΤΡ5Βの存 在量は、 2型糖尿病患者の筋肉にぉ 、ては健常人のそれと比較して遺伝子発現量、 蛋白量ともに低下することが報告されている (非特許文献 17及び 18、特許文献 7参 照)。また、糖尿病患者の筋肉における ΑΤΡ5Βのリン酸ィ匕レベルと空腹時血糖値は 逆相関すること (非特許文献 18及び特許文献 7参照)、 ΑΤΡ5Βの発現を制御するも の、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ポリペプチドに結合する化合物(例えば核 酸フラグメント)等が糖尿病関連疾患治療薬になるとの報告がされている(特許文献 7 参照)。 ΑΤΡ5Βを含むヒト心臓ミトコンドリアプロテオームに含まれる種々のポリぺプ チド (3025個)を開示し、これらはミトコンドリア機能に関する疾患 (糖尿病を含む)治 療薬のスクリーニングに関すると記載した報告がある (特許文献 8)。しかしながら、 A
TP5B蛋白質とビグアナイドが結合するという報告はな力つた。
特許文献 1:米国特許第 5585277号明細書
特許文献 2 :米国特許第 5679582号明細書
特許文献 3 :米国特許出願公開第 2002Z055123号明細書
特許文献 4:米国特許出願公開第 2004Z191835号明細書
特許文献 5:特許第 2952848号
特許文献 6:欧州特許第 0770876号明細書
特許文献 7:国際公開第 03Z020963号パンフレット
特許文献 8:国際公開第 03Z087768号パンフレット
非特許文献 1 :「ザ ジャーナル ォブ アンティバイオテイクス (The Journal of A ntibiotics;)」 H Hatoriら, 2004年 第 57卷 7号 p. 456— 461.
非特許文献 2 :「日本臨床」 Y. Yamacakiら 2002年、第 60卷 9号 p. 389- 92 非特許文献 3 :「ドラッグ 'ディスカバリ^ ~·トウディ(Drug Discovery Today)」Teo SKら, 2005年 第 15卷 10号(2)p. 107—114.
非特許文献 4:「ドラッグス」 Lalau JDら、 1999年 第 58卷 1号 p. 55-60/75- 82
非特許文献 5:「ネイチヤ^ ~ ·バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」(英国) 2000年、 N Shimizuら、第 18卷、 p.877— 881
非特許文献 6:「バイオケミカル ファーマコロジー(Biochemical Pharmacology)」 2002年、 D Henthornら 第 63卷 9号 p. 1619— 1628
非特許文献 7:「ケミストリー & バイオロジー(Chemistry&Biology)」Sche PPら , 1999年 第 6卷 10号: p. 707-716. PMID: 10508685
非特許文献 8:「生化学(OUTLINES OF BIOCHEMISTRY)」 1987年、 Eric E. CONNら
非特許文献 9:「ファーマコ口ジー&セラピュテイツタス(Pharmacology &Therapeut ics)」2004年、 A Sreedharら 第 101卷 3号 p. 227-257
非特許文献 10:「ネイチヤー(Nature)」1992年、 Gething MJ, Sambrook J.ら :第 355卷 6355号: p. 33—45
非特許文献 11:「ザ'ジャーナル'ォブ 'バイオロジカル 'ケミストリー (The Journal of Biological Chemistry)」、(米国)、 1995年、第 270卷、 p. 12953— 1295
6
非特許文献 12:「ダイアビーテイーズ フロンティア(Diabetes Frontier)」、(米国) 、 1999年、第 10卷、 p.811-818
非特許文献 13:「日本臨床」 Y. Yamasakiら 2002年、第 60卷 9号 p. 389-92 非特許文献 14:「ドラッグス」 Lalau JDら、 1999年 第 58卷 1号 p. 55-60/75- 82
非特許文献 15:「ネイチヤー(Nature)」(米国)、 1997年、第 386卷、 p. 299— 302 非特許文献 16:「ネイチヤー(Nature)」(米国)、 1994年、第 370卷(6491)、 p.62 1-628
非特許文献 17:「ダイアビーテイーズ(Diabetes)」2002年、第 51卷、 p. 1913— 19 20 非特許文献 18 :「ザ'ジャーナル'ォブ 'バイオロジカル 'ケミストリー(The Journal o f Biological Chemistory)」 2003年、第 278卷、 p. 10436— 10442
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は低分子化合物の標的蛋白質を、該化合物と蛋白質の結合ではなく化合 物に応答した蛋白質の立体構造の変化を指標として、しかも前記化合物の構造修飾 を必要とすることなぐ同定する方法の提供を課題とする。
また、本発明は新規な糖尿病治療薬のスクリーニング方法の提供を課題とする。 課題を解決するための手段
[0008] 化合物が作用して標的となる蛋白質の機能に影響を与える場合、該蛋白質の立体 構造が化合物との相互作用により変化を受けると予想される。従って化合物がもたら す薬理作用に必要なのは、化合物と標的間の単純な結合ではなぐ化合物の作用 による標的蛋白質の立体構造の変化であると考えられる。そこで、本発明者らは、該 変化を指標として蛋白質を探索することが可能であれば、化合物と蛋白質の結合を 指標とした従来の化合物標的探索手法より高い確率で、化合物の薬理作用を担う真 の標的蛋白質を検索できると考えた。さらに、前記変化を化合物の側からではなぐ 化合物に応答した標的蛋白質の側から捕捉及び検出する手法を開発することにより 、従来の手法で不可避であった化合物構造の修飾を必要とせずに、該化合物の標 的蛋白質を同定することを可能にした。
即ち、本発明者らは、基質となる蛋白質分子の非天然構造を認識する機能分子とし て知られている分子シャペロン蛋白質が、化合物 (標的蛋白質が不明な薬剤)による 蛋白質の立体構造の変化を認識することを見出し、細胞内蛋白質と分子シャペロン 蛋白質との結合の変化を指標に化合物 (標的蛋白質が不明な薬剤)の標的蛋白質 を検出し同定する方法を構築した。具体的には、本発明者らは低分子化合物である 17 β エストラジオールの標的蛋白質としてエストロゲン受容体の検出に成功し (実 施例 2)、また、 FK506及び FK1706の標的蛋白質として FKBP12の検出、デキサ メタゾンの標的蛋白質としてダルココルチコイド受容体の検出、ジヒドロテストステロン の標的蛋白質としてアンドロゲン受容体の検出、アルドステロンの標的蛋白質としてミ ネラルコルチコイド受容体の検出、及びメトトレキサートの標的蛋白質として水素葉酸 還元酵素の検出(実施例 3)に成功した。さらに従来標的蛋白質が不明であった糖尿 病の治療薬ビグアナイドの標的蛋白質の検出と同定に成功し、これが ATP5Bである ことを見出した (実施例 4)。加えて本発明の方法により、今日まで標的蛋白質が不明 であったサリドマイドの標的蛋白質として TARDBPを見出すことに成功した(実施例 8)。
[0009] また、本発明者らが糖尿病治療薬であるビグアナイド剤と結合することを見出した、ミ トコンドリア膜に存在する FIFO— ATP合成酵素の βサブユニットである上記 ΑΤΡ5 Β蛋白質を細胞内で過剰に発現させると、ビグアナイドによる細胞内の AMPキナー ゼ(以下、 AMPK)の活性ィ匕が妨げられることを明らかにした (実施例 5)。これらの知 見から、本発明者らは ATP5B蛋白質がビグアナイド剤の薬理作用(主作用)に関わ る標的蛋白質であることを明らかにし、該蛋白質を利用した新たな糖尿病治療薬のス クリーニング方法を構築した。確かに、本発明のスクリーニング方法で得られた物質 力 糖尿病治療効果を有し、また副作用を有さないことを見出し、新たな糖尿病治療 薬のスクリーニングツール及びスクリーニング方法並びに糖尿病治療用医薬組成物 を提供した。
[0010] すなわち、本発明は、
< 1 > [1] (1)配列番号 2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、 (2)配列番 号 2で表されるアミノ酸配列又は配列番号 2で表されるアミノ酸配列において、 1〜: LO 個のアミノ酸が欠失、置換、及び Z若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、かつビグ アナイドと結合する、及び Z又は過剰発現によりビグアナイドによる AMPK活性ィ匕を 阻害するポリペプチド、 (3)配列番号 2で表されるアミノ酸配列との相同性が 90%以 上であるアミノ酸配列を含み、かつビグアナイドと結合する、及び Z又は過剰発現に よりビグアナイドによる AMPK活性ィ匕を阻害するポリペプチド、あるいは (4) (1)〜(3 )に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換され た細胞と、試験物質とを接触させる工程、並びに
[2]該ポリペプチドと試験物質との結合を分析する工程、
を含む、糖尿病治療薬をスクリーニングする方法、 < 2> [1]の工程が、ビグアナイド共存下で接触させる工程であるく 1 >に記載のス クリーニング方法、
< 3 >AMPKを活性ィヒすることを確認する工程、及び Z又は糖尿病治療活性を有 することを確認する工程を更に含む、く 1 >又は < 2>に記載のスクリーニング方法
<4> (1) < 1 >に記載のポリペプチド、 (2) < 1 >に記載のポリペプチドをコードす るポリヌクレオチド、又は(3) < 1 >に記載の形質転換された細胞からなる、ビグアナ イドと薬効標的を共有する糖尿病治療薬のスクリーニングツール、
< 5 > (1) < 1 >に記載のポリペプチド、 (2) < 1 >に記載のポリペプチドをコードす るポリヌクレオチド、又は(3) < 1 >に記載の形質転換された細胞の、ビグアナイドと 薬効標的を共有する糖尿病治療薬のスクリーニングのための使用、
< 6 > < 1 >乃至 < 3 >に記載の方法によって得られた物質を含有する糖尿病治 療用医薬組成物、
< 7> < 1 >乃至 < 3 >に記載の方法によって得られた物質を糖尿病治療が必要 な対象に有効量で投与することを含む、糖尿病治療方法、
< 8 > < 1 >乃至 < 3 >に記載の方法によって得られた物質の、糖尿病治療用医 薬組成物を製造するための使用、
< 9 > [1] (1)試験薬剤、分子シャペロン蛋白質、及び試料細胞内蛋白質とを接触さ せる工程、及び
(2)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、
[2] (3)分子シャペロン蛋白質と試料細胞内蛋白質とを接触させる工程、及び
(4)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、並びに
[3] (2)により検出された蛋白質と (4)により検出された蛋白質とを比較する工程 を含む試験薬剤の標的蛋白質を同定する方法、
< 10 >分子シャペロン蛋白質力 配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6 、配列番号 7、配列番号 8、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、 配列番号 13、配列番号 14、配列番号 15、配列番号 16、配列番号 17、配列番号 18 、配列番号 19、配列番号 20、配列番号 21、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 2 4、配列番号 25、配列番号 26、及び Z若しくは配列番号 27で表されるアミノ酸配列 において 1〜: LO個のアミノ酸が欠失、置換、及び Z又は挿入されたアミノ酸配列を含 み、かつ蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合するポリペプチド、あ るいは、配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6、配列番号 7、配列番号 8 、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 13、配列番号 14 、配列番号 15、配列番号 16、配列番号 17、配列番号 18、配列番号 19、配列番号 2 0、配列番号 21、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 24、配列番号 25、配列番号 26、及び Z若しくは配列番号 27で表されるアミノ酸配列との同一性が 90%以上であ るアミノ酸配列を含み、かつ蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合す るポリペプチドからなる蛋白質であるく 9 >に記載の同定する方法、
また、
< 11 >分子シャペロン蛋白質力 配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6 、配列番号 7、配列番号 8、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、 配列番号 13、配列番号 14、配列番号 15、配列番号 16、配列番号 17、配列番号 18 、配列番号 19、配列番号 20、配列番号 21、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 2 4、配列番号 25、配列番号 26、及び Z又は配列番号 27で表されるアミノ酸配列から なる蛋白質である < 9 >に記載の同定する方法
に関する。
本願優先日においては、基質となる蛋白質分子の非天然構造を認識する機能分子 としての分子シャペロンの性質 (非特許文献 9、非特許文献 10)、分子シャペロンを 用いた既知の蛋白質のリガンドを同定する方法 (特許文献 1〜6)は知られていたもの の、低分子化合物の標的タンパク質を、分子シャペロンを用いて同定する方法は全く 知られていなかった。
本願優先日においては、 2型糖尿病患者の筋肉における ATP5Bの存在量の低下( 非特許文献 17及び 18、特許文献 7参照)、糖尿病患者の筋肉における ATP5Bのリ ン酸ィ匕レベルと空腹時血糖値は逆相関すること (非特許文献 18及び特許文献 7参照 )は知られていた力 特許文献 7では、 ATP5B自体や抗体が糖尿病関連疾患治療 薬になるとの記載があり、 ATPの発現をどのように制御すれば糖尿病治療効果が出 るかについて不明であった。 ATP5Bを含むヒト心臓ミトコンドリアプロテオームに含ま れる多数(3025個)のポリペプチドを開示し、これらは糖尿病を含む多数のミトコンド リア機能に関する疾患治療薬のスクリーニングに関すると記載した報告があるが(特 許文献 8)、 ATP5Bが糖尿病治療薬のスクリーニングに関するという根拠は全くない 。また、本願優先日後に公開された文献 (国際公開第 2005Z090992号パンフレツ ト)には、 ATP5Bを含む複数の PTEN経路のモディファイヤーであるポリペプチドが 開示され、それらモディファイヤーと候補化合物の結合を検出する系が開示されてい るが、モディファイヤーに特異的に結合する薬剤と糖尿病との関係は記載も示唆もさ れていない。これら何れの文献にも、 ATP5B蛋白質とビグアナイドが結合するという 報告はなぐ ATP5B蛋白質とビグアナイドが結合することは本発明者らが初めて見 出した知見であり、 ATP5Bを用いた、ビグアナイドと同様の主作用を有する糖尿病 治療薬のスクリーニング方法 (特には、ビグアナイド共存下で行う ATP5Bを用いた糖 尿病治療薬のスクリーニング方法)は、本発明者らが初めて行った発明である。 発明の効果
[0012] 化合物の構造修飾を必要とせず、かつ、該化合物と標的蛋白質との結合の強度を指 標とせずに、標的蛋白質の立体構造の変化を指標として化合物に応答する標的蛋 白質を同定する本発明の方法は、既存の薬剤の改良研究に有用な標的蛋白質の同 定方法として有用であり、従来の化合物標的蛋白質の探索法にあった種々の課題を 一掃する新規の手法である。
[0013] 本発明のスクリーニングツール (例えばビグアナイドの標的蛋白質である ATP5B)を 用いた本発明のスクリーニング方法により、ビグアナイドの構造類似化合物に加え、 糖尿病治療薬となる構造非類似の新たな母核の化合物を取得できる。この構造非類 似な化合物は、ビグアナイド剤の特徴である、肥満を引き起こさず、かつ低血糖を起 こしにくい効果を有する、新たな糖尿病治療薬となりうる。カロえて、 ATP5B蛋白質と の結合を指標にすることによって、取得された化合物の主作用を維持したままその分 子構造を改変することが可能であり、従来のビグアナイド剤と比較してより主作用に 高い活性を有し、副作用をより低減させた糖尿病治療薬の開発が可能となる。
図面の簡単な説明 [図 1]分子シャペロン蛋白質をプローブとしたプルダウン法により、 E2の存在依存的 に変化が検出された ER aのバンドを示す図である。レーン 1及び 2は、 GSTを用い た結果を、レーン 3〜6は、 GST—HSPA4を用いた結果を示す。
[図 2]ヒト ATP5Bとフェンフオルミンの結合を示す図である。図中の「 +」は MTX—フ ェンフオルミン添カ卩の場合を、 「一」は MTX—フェンフオルミン未添カ卩の場合を示す。 「Ιηρ.」は、インプット(input)を示す。
[図 3]ヒト ATP5Bの変異によるフェンフオルミン結合能の消失を示す図である。「WT」 は野生型 ATP5Bを、「E175V」は Glul75Val変異型 ATP5Bを、「D295V」は Asp 295Val変異型 ATP5Bを使用した場合を示す。図中の「 +」は MTX—フェンフオル ミン添カ卩の場合を、「一」は MTX—フェンフオルミン未添カ卩の場合を示す。「Inp.」は 、インプット (input)を示す。
[図 4]ヒト ATP5Bの過剰発現によるフ ンフオルミン(PF)の AMPK活性化能の消失 を示す図である。上パネルは、抗リン酸化 AMPK抗体を用いた結果を、下パネルは 、抗 AMPK a抗体を用いた結果を示す。図中の「 +」はフェンフオルミン(PF)を添カロ した場合を、「一」はフェンフオルミン未添カ卩の場合を示す。
[図 5]フェンフオルミン(PF)の濃度に依存する、ヒト ATP5Bと MTX—フェンフオルミ ン(MTX— PF)の結合を示す図である。縦軸はカウント(ATP5B量)を示す。
[図 6]ヒト ATP5Bとフェンフオルミンの結合を示す実験にぉ 、て、試験物質 (フリーの フェンフオルミン; PF)を接触させてその結合に影響を与える力否かを検出した図で ある。縦軸はカウント (ATP5B量)を示す。
[図 7]ATP5Bとフェンフオルミンの結合を示す実験にぉ 、て、試験物質 (ィ匕合物 A又 は化合物 B)を接触させてその結合に影響を与えるカゝ否かを検出した図である。縦軸 はカウント(ATP5B量)を示す。
[図 8]化合物 A及びィ匕合物 Bが in vivoで乳酸蓄積を引き起こすことなく血糖降下作 用を有することを示す図である。 dbZdbマウスに化合物 A (中抜き四角印)、メトフォ ルミン (黒丸印)、又は溶媒 (黒菱形印)を腹腔内投与した時の、 0分、 90分、 180分 後の血糖値 (A)及び乳酸値 (B)の経時変化を示す。同様に化合物 B (黒四角印)、メ トフオルミン (黒丸印)又は溶媒 (黒菱形印)を dbZdbマウスに腹腔内投与した時の、 0分、 90分、 180分後の血糖値 (C)及び乳酸値 (D)の経時変化を示す。 A及び ま 、いずれも 0分における測定値を基準に溶媒投与群における各測定時間の値を 100 としてそれらに対する相対値を表示しており、縦軸は血糖値変化率 (%)を示す。 B及 び Dは、いずれも 0分における測定値を 100としてそれらに対する相対値を表示して おり、縦軸は乳酸値変化率 (%)を示す。 *は有意差検定における p値が 0. 05以下 、 * *は同 0. 01以下であることを示す。
[図 9]pcDNA—TARDBPを導入した HeLaS3細胞における TARDBPの発現量を 示す図である。縦軸は、 TARDBPZ jS —ァクチンの値を示す。
[図 10]空ベクター導入細胞又は pcDNA - TARDBP導入細胞における、オカダ酸( OA)による TNF— aの産生量に及ぼすサリドマイド (Tha)の影響を示す図である。 縦軸は TNF—ひ/ |8—ァクチンの値を示す。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 以下に本発明について詳細に説明する。本明細書における遺伝子操作技術は特に 断りのない限り「Molecular CloningJ Sambrook, Jら、 Cold Spring Harbor
Laboratory Press, 1989年等の公知技術に従って実施可能であり、蛋白質操 作技術は特に断りのない限り「タンパク実験プロトコール」(秀潤社、 1997年)等の公 知技術に従って実施可能である。
[0016] 本発明の一つは、生体内で蛋白質の立体構造の変化を認識する機能を有する蛋白 質分子である分子シャペロン蛋白質を利用して、特定の化合物 (標的蛋白質が不明 な薬剤)の添加、未添加時における分子シャペロンと内在性の蛋白質 (標的蛋白質) との結合の変化の差を網羅的に調べ、試験薬剤の添加時のみ結合量が増加する、 又は試験薬剤の添加時のみ結合量が減少する蛋白質を選択することにより、化合物 に応答して立体構造が変化した蛋白質 (標的蛋白質)を同定する方法である。
[0017] 本発明の同定方法は、
[1] (1)試験薬剤、分子シャペロン蛋白質、及び試料細胞内蛋白質とを接触させる 工程、及び
(2)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、
[2] (3)分子シャペロン蛋白質と試料細胞内蛋白質とを接触させる工程、及び (4)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、並びに
[3] (2)により検出された蛋白質と (4)により検出された蛋白質とを比較する工程 を含む試験薬剤の標的蛋白質を同定する方法
である。
本明細書において、試料細胞内蛋白質とは、探索したい標的蛋白質を含むと考えら れる細胞(以下試料細胞と称する)に含まれる(発現して!/ヽる)蛋白質群を意味する。 本発明の同定方法においては、試験薬剤、分子シャペロン蛋白質、及び試料細胞 内蛋白質とが、接触する限り、接触の順序、分子シャペロン蛋白質の状態 (単離され ているか、細胞に発現している力、又は細胞の抽出液に含まれているか)、及び試料 細胞内蛋白質の状態(生細胞内に発現している力、細胞の抽出液に含まれているか )によって限定されない。即ち、本発明の同定方法には、単離精製した分子シャぺ口 ン蛋白質及び試料細胞の抽出液に含まれている試料細胞内蛋白質を用いる方法( 第一の同定方法)、分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドの一部若しく は全長域を含むベクターで形質転換した試料細胞に発現している分子シャペロン蛋 白質及び前記形質転換した試料細胞 (生細胞)に発現している試料細胞内蛋白質を 用いる方法 (第二の同定方法)、前記形質転換した細胞の抽出液に含まれた状態の 分子シャペロン蛋白質及び同抽出液に含まれた状態の試料細胞内蛋白質を用いる 方法 (第三の同定方法)が含まれる。
本発明の第一の同定方法では、分子シャペロン蛋白質を単離する。例えば分子シャ ペロン蛋白質の一部若しくは全長域、又は GSTや Flag、 Hisなどのタグを融合させ た分子シャペロン蛋白質の一部若しくは全長域を、大腸菌などのバクテリア、酵母、 又は昆虫細胞等に発現させる、あるいは化学的な合成法によって大量に産生させた 後、分子シャペロン蛋白質の抗体又は分子シャペロン蛋白質に融合させた各種タグ の抗体ある 、はタグと親和性の高 ヽァフィ-ティービーズ又はァフィユティーカラムを 用いて精製することができる。あるいは試験管内で分子シャペロン遺伝子の DNA断 片を転写、翻訳させることにより分子シャペロン蛋白質を産生し、精製することも可能 である。本発明の第一の同定方法では、試料細胞から抽出した蛋白質混合液 (即ち 、試料細胞内蛋白質を含む液)に、精製した分子シャペロン蛋白質を試験薬剤添カロ 又は未添加の状態で試験管内で混合し接触させた後、分子シャペロン蛋白質とそこ に結合する蛋白質を上述と同様の方法に従って濃縮する。好ましくは、実施例 2 (2)
(3)、 3、 4又は 8に記載の方法により、試験薬剤未添加時のみ分子シャペロン蛋白 質に結合する試料細胞由来の蛋白質又は試験薬剤添加時のみ分子シャペロン蛋白 質に結合する試料細胞由来の蛋白質を検出することができる。
本発明の第二の同定方法は、
[1] (1)試験薬剤、分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含むベクタ 一で形質転換された試料細胞に発現している分子シャペロン蛋白質、及び前記形質 転換された試料細胞に発現している試料細胞内蛋白質とを接触させる工程、及び
(2)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、
[2] (3)分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質転 換された試料細胞に発現している分子シャペロン蛋白質と前記形質転換された試料 細胞に発現している試料細胞内蛋白質とを接触させる工程、及び
(4)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、並びに
[3] (2)により検出された蛋白質と (4)により検出された蛋白質とを比較する工程 を含む試験薬剤の標的蛋白質を同定する方法
である。
本発明の第三の同定方法は、
[1] (1)試験薬剤、分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含むベクタ 一で形質転換された試料細胞の細胞抽出液に含まれた状態の分子シャペロン蛋白 質及び前記抽出液に含まれた状態の試料細胞内蛋白質とを接触させる工程、及び
(2)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、
[2] (3)分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質転 換された試料細胞の細胞抽出液に含まれた状態の分子シャペロン蛋白質と前記抽 出液に含まれた状態の試料細胞内蛋白質とを接触させる工程、及び
(4)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、並びに
[3] (2)により検出された蛋白質と (4)により検出された蛋白質とを比較する工程 を含む試験薬剤の標的蛋白質を同定する方法 である。
[0019] 本発明の第二の同定方法及び第三の同定方法には、分子シャペロン蛋白質をコー ドするポリヌクレオチドの一部若しくは全長域を含むベクターで、探索した!/、標的蛋 白質を含むと考えられる細胞を形質転換し、分子シャペロン蛋白質であるポリべプチ ドの一部若しくは全長域、又は GSTや Flag、 Hisなどのタグを融合させた該ポリぺプ チドの一部若しくは全長域を、該細胞に発現させる工程が含まれる。第二の同定方 法では、前記形質転換された生きている状態の細胞に、標的蛋白質を探索したい化 合物(以下、試験薬剤と称する)を添加 (接触)する又は添加しない (未添加)。これに より、前記形質転換された試料細胞に発現している分子シャペロン蛋白質、試料細 胞内蛋白質及び試料薬剤とを、あるいは前記形質転換された試料細胞に発現して いる分子シャペロン蛋白質と試料細胞内蛋白質とを接触させることができる。第三の 同定方法では、前記形質転換された細胞から抽出した蛋白質混合液 (即ち、分子シ ャペロン蛋白質及び試料細胞内蛋白質を含む試料細胞抽出液)に試験薬剤を添加
(接触)する又は添加しない (未添加)。これにより、前記形質転換された試料細胞の 抽出液に含まれた状態の分子シャペロン蛋白質、同抽出液に含まれた状態の試料 細胞内蛋白質及び試料薬剤とを、あるいは前記形質転換された試料細胞の抽出液 に含まれた状態の分子シャペロン蛋白質と同抽出液に含まれた状態の試料細胞内 蛋白質とを接触させることができる。
本発明の第二の同定方法及び第三の同定方法では、分子シャペロン蛋白質に結合 する蛋白質を第一の同定方法と同様の方法に従って濃縮する。
[0020] <分子シャペロン蛋白質 >
本発明の同定方法で用いることのできる分子シャペロン蛋白質としては、公知の、分 子シャペロン蛋白質を用 、ることが出来る。具体的には Hsp90 (HtpG;カツコ内は大 腸菌の名称を示す)、 Hsp70 (Dnaj)、 Hsp60 (GroEL)、 Hsp40 (Dnaj)、 Hsp27 ( IbpAB)、 Hspl04 (ClpB)、 GRP78 (DnaK)の各ファミリーに属する代表的な蛋白 質群が挙げられる(A Sreedharら、 Pharmacology&Therapeutics、 2004年、 第 101卷 3号 p. 227— 257 ; D. S. Latchman¾, Cardivascular Research, 2001年 51卷 p. 637— 646)。他に、 FKBP56や heme oxygenase— 1として 知られる Hsp32、低分子の sHSPs (small heat shock proteins)等も同様にシ ャペロンとして利用が可能である(p Laksanalamai, Extremphiles, 2004年 8卷 1号 pi - 11)。
[0021] 本発明の同定方法において用いることができる分子シャペロン蛋白質としては、公知 の分子シャペロン又は公知の分子シャペロン蛋白質を表すアミノ酸配列において 1 〜10個(好ましくは 1〜7個、より好ましくは 1〜5個、更に好ましくは 1〜3個)のァミノ 酸が欠失、置換、及び Z又は挿入されたアミノ酸配列を含み、かつ蛋白質の立体構 造の変化を認識して該蛋白質と結合するポリペプチド (以下、機能的等価改変体と 称する)が含まれる。また、上記に挙げた分子シャペロン蛋白質を表すアミノ酸配列と の同一性が 90%以上 (好ましくは 95%以上、さらに好ましくは 98%以上)であるアミ ノ酸配列を含み、かつ蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合するポリ ペプチド (以下、相同ポリペプチドと称する)が含まれる。
また、本発明の機能的等価改変体及び相同ポリペプチドの起源は特定の生物種に 限定されない。更には、機能的等価改変体及び相同ポリペプチドのいずれかに該当 する限り、天然ポリペプチドに限定されず、公知の分子シャペロン蛋白質を表すアミノ 酸配列を元にして遺伝子工学的に人為的に改変したポリペプチドも含まれる。
なお、本明細書における前記「同一性」とは、 NEEDLE program (J Mol Biol 1970; 48: 443-453)検索によりデフォルトで用意されて 、るパラメータを用いて得られた値 Ident ityを意味する。前記のパラメータは以下のとおりである。
ap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EDNAFULL
[0022] 本発明の同定方法で用いる分子シャペロン蛋白質としては、配列番号 3, 4, 5, 6, 7 , 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 2 6,及び Z又は 27に示す蛋白質(ヒト HSPAlA;RefSeq accession番号 NP— 00 5336、ヒト HSPH1; RefSeq accession番号 NP一 006635、ヒト HSPCA;RefSe q accession番号 NP— 005339、ヒト HSPDl ;RefSeq accession番号 NP— 95 5472、ヒト DNAJAl ;RefSeq accession番号 NP 001530、ヒト HSPB1 ;RefSe q accession番号 NP— 001531、ヒト HSPEl ;RefSeq accession番号 NP— 00 2148、ヒト HSPA4 ;RefSeq accession番号 NP— 002145、ヒト HSP90B1 ;Ref Seq accession番号 NP— 003290、ヒト CCT6B ;RefSeq accession番号 NP— 006575、ヒト TCPl ;RefSeq accession番号 NP— 110379、ヒト HSPA14 ;RefS eq accession番号 NP— 057383、ヒト HSPA9B ;RefSeq accession番号 NP— 005338、ヒト STCH ;RefSeq accession番号 NP— 008879、ヒト HYOU1; RefS eq accession番号 NP— 006380、ヒト HSPB5 ;RefSeq accession番号 NP—0 01876、ヒト HSPB2 ;RefSeq accession番号 NP— 001532、ヒト DNAJA2 ;Ref Seq accession番号 NP— 005871、ヒト DNAJBl ;RefSeq accession番号 NP —006136、ヒト DNAJB2 ;RefSeq accession番号 NP— 006727、ヒト HCG3 ;Re fSeq accession番号 NP— 001001394、ヒト DNAJBl l ;RefSeq accession番 号 NP一 057390、ヒト DNAJCl l ;RefSeq accession番号 NP一 060668、ヒト DN AJC7 ;RefSeq accession番号 NP— 003306、ヒト DNAJC6 ;RefSeq accessio n番号 NP— 055602)、及び配列番号 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26,及び Z又は 27で表されるァ ミノ酸配列において 1〜10個(好ましくは 1〜7個、より好ましくは 1〜5個、更に好まし くは 1〜3個)のアミノ酸が欠失、置換、及び Z又は挿入されたアミノ酸配列を含み、 かつ蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合するポリペプチド、又は、 配列番号 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 2 1, 22, 23, 24, 25, 26,及び/又は 27で表されるアミノ酸酉己列との同一'性力 0% 以上 (好ましくは 95%以上、さらに好ましくは 98%以上)であるアミノ酸配列を含み、 かつ蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合するポリペプチドが好まし い。
「蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合する」とは、試験薬剤と結合 することによる蛋白質の立体構造の変化に応答して、分子シャペロン蛋白質が該蛋 白質に結合する、あるいは、未変化の状態の蛋白質に結合していた分子シャペロン 蛋白質が、試験薬剤と結合することによる蛋白質の立体構造の変化に応答して、乖 離することを意味する。分子シャペロン蛋白質が蛋白質の立体構造の変化に応答し て「結合する」か否かは、本発明の同定方法の「分子シャペロン蛋白質に結合する蛋 白質を検出する」方法と同様にして確認することができる。特に、配列番号 3, 4, 5, 6 , 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25 , 26,及び Z又は 27で表されるアミノ酸配列力 なるポリペプチドの機能的等価改変 体及び相同ポリペプチドについて「蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と 結合する」ことは、ビグアナイド (試験薬剤)と結合することによる ATP5B蛋白質の立 体構造の変化に応答して、未変化の状態の ATP5B蛋白質に結合していた分子シャ ペロン蛋白質力 ビグアナイドと結合することによる ATP5B蛋白質の立体構造の変 化に応答して乖離することで確認する。又は、サリドマイド (試験薬剤)と結合すること による TARDBP蛋白質の立体構造の変化に応答して、分子シャペロン蛋白質が該 蛋白質に結合することで確認する。これらの確認は、実施例 4又は実施例 8の条件下 で、実施例 4又は実施例 8において用いた分子シャペロン蛋白質の代わりに検討対 象の機能的等価改変体及び相同ポリペプチドを用いることによって実施する。
[0023] 本発明の同定方法においては、分子シャペロン蛋白質のうち、配列番号 3, 4, 5, 6 , 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25 , 26,及び Z又は 27に示す蛋白質の利用が特に好ましい。これらの蛋白質は、それ ぞれが前述の分子シャペロンの異なる各ファミリー(Hsp90、 Hsp70、 Hsp60、 Hsp 40、 Hsp27、 Hspl04、 GRP78)に属しており、それらシャペロン蛋白質の各ファミリ 一に特有の性質をそれぞれが保持していると期待される。
[0024] <分子シャペロン蛋白質の製造方法 >
本発明の同定方法において、分子シャペロン蛋白質は、分子シャペロン蛋白質をコ ードするポリヌクレオチドを用いて一般的な遺伝子工学的及び Z又は生化学的手法 により容易に製造し取得することが出来る。該ポリヌクレオチドは本明細書に開示され た配列情報又は公知の遺伝子配列情報に基づいて一般的遺伝子工学的手法によ り容易に製造及び取得することが出来る。例えば次のように得ることができるが、この 方法に限らず公知の操作(「Molecular CloningJ [Sambrook, Jら、 Cold Spri ng Harbor Laboratory Press、 1989年、等])でも得ることができる。
例えば、(l) PCRを用いた方法、(2)常法の遺伝子工学的手法 (すなわち cDNAラ イブラリーで形質転換した形質転換株力 所望のポリペプチドを含む形質転換株を 選択する方法)を用いる方法、又は(3)化学合成法などを挙げることができる。各製 造方法については、 WO01Z34785に記載されているのと同様に実施できる。
[0025] PCRを用いた方法では、例えば、前記特許文献の「発明の実施の形態」 1)蛋白質 遺伝子の製造方法 a)第 1製造法に記載された手順により、分子シャペロン蛋白質を コードするポリヌクレオチドを製造することができる。例えば、ヒトの肝臓、脳、乳腺とい つた組織力も mRNAを抽出する。次いで、この mRNAをランダムプライマー又はオリ ゴ dTプライマーの存在下で、逆転写酵素反応を行い、第一鎖 cDNAを合成すること が出来る。得られた第一鎖 cDNAを用い、目的遺伝子の一部の領域をはさんだ 2種 類のプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)に供し、分子シャペロン蛋白質 をコードするポリヌクレオチド又はその一部を得ることができる。より具体的には、例え ば実施例 1に記載の方法により分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを 製造することが出来る。
[0026] 常法の遺伝子工学的手法を用いる方法では、例えば、前記特許文献の「発明の実 施の形態」 1)蛋白質遺伝子の製造方法 b)第 2製造法に記載された手順により、分子 シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを製造することができる。
[0027] 化学合成法を用いた方法では、例えば、前記特許文献の「発明の実施の形態」 1) 蛋白質遺伝子の製造方法 c)第 3製造法、 d)第 4製造法に記載された方法によって、 分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを製造することができる。具体的 には液相、及び固相法によるペプチド合成法により製造することができる。合成はアミ ノ酸を 1個ずつ逐次結合させても、数アミノ酸力 なるポリペプチド断片を合成した後 に結合させてもよい。これらの手段により得られる本発明ポリペプチドは公知の各種 の方法に従って精製を行うことが出来る。
配列の変異は、例えば天然において突然変異によって生じることもある力 人為的に 改変して作製することも出来る。本発明は、該変異の原因及び手段を問わない。上 記の変異体作製に 、たる人為的手段としては、例えば上記のポリペプチドをコードす るポリヌクレオチドの塩基特異的置換法(Methods in Enzymology, (1987) 15 4、 350, 367— 382)等の遺伝子工学的手法の他、リン酸トリエステル法やリン酸アミ ダイド法などの化学合成手段(Science、 150, 178、 1968)を挙げることができる。 それらの組み合わせによって所望の塩基置換を伴うポリヌクレオチドを得ることが可 能である。あるいは PCR法の繰り返し作業や、その反応液中にマンガンイオンなどを 存在させることによりポリヌクレオチド分子中の非特定塩基に置換を生じさせることが 可能である。
上述のように得られた分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドは、「Mole cular Clonmg、 Sambrook, Jら、 Cold spring Harbor Laboratory Press 、 1989年」等に記載の方法により、適当なプロモーターの下流に連結することで分 子シャペロン蛋白質を試験管内、あるいは試験細胞内で発現させることができる。 具体的には上述のように得られたポリヌクレオチドの開始コドン上流に特定のプロモ 一ター配列を含むポリヌクレオチドを付加することにより、これを铸型として用いた無 細胞系での遺伝子の転写、翻訳による分子シャペロン蛋白質の発現が可能である。 あるいは分子シャペロン蛋白質をコードするポリヌクレオチドを適当なベクタープラス ミドに組み込み、プラスミドの形で宿主細胞に導入すれば細胞内で該ポリペプチドの 発現が可能になる。あるいは、このような構成が染色体 DNAに組み込まれた細胞を 取得してこれを用いてもよい。より具体的には、単離されたポリヌクレオチドを含む断 片は、適当なベクタープラスミドに再び組込むことにより、真核生物及び原核生物の 宿主細胞を形質転換させることができる。さらに、これらのベクターに適当なプロモー ター及び形質発現に力かわる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞にお いて分子シャペロン蛋白質を発現させることが可能である。宿主細胞は、特に限定さ れるわけではなぐ本発明の方法に利用する目的に十分量の分子シャペロン蛋白質 の発現が実現できるものであればよい。宿主細胞としては、例えば、サルの細胞であ る COS細胞(Gluzman, Y. (1981) Cell, 23, 175— 182)、チャイニーズ' ハムスター卵巣細胞(CHO)のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株(Urlaub, G. an d Chasin, L. A. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 42 16—4220)、ヒト胎児腎臓由来 HEK293細胞および同細胞に Epstein Barr Vir usの EBNA— 1遺伝子を導入した 293— EBNA細胞 (インビトロジェン社)等が挙げ られる。 [0029] 宿主細胞を形質転換し遺伝子を発現させる方法は、例えば、前記特許文献の「発明 の実施の形態」 2)の組換え蛋白の製造方法に記載された方法により実施できる。分 子シャペロン発現細胞の製造に用いる発現ベクター(分子シャペロン発現用発現べ クタ一)は、所望のポリヌクレオチドを含む限り、特に限定されるものではない。例えば 、用いる宿主細胞に応じて適宜選択した公知の発現ベクターに、所望のポリヌクレオ チドを挿入することにより得られる発現ベクターを挙げることができる。公知の発現べ クタ一としては、例えば、 SV40の初期プロモーターを有する pSV2dhfr (Subrama ni, S. et al. (1981) Mol. Cell. Biol. , 1 , 854— 864)、ヒトのエロ ンゲーシヨンファクター(elongation factor)プロモーターを有する pEF— BOS ( Mizushima, S. and Nagata, S. (1990) Nucleic Acids Res. , 18 , 5322)、サイトメガロウィルス (cytomegalovirus)プロモーターを有する pCEP4 ( インビトロジェン社)、 pME18S、 (Maruyama, K. and Takebe, Y. (1990 ) Med. Immunol. , 20, 27— 32)、 pCDM8 (Seed, B. (1987) Nat ure, 329, 840— 842) 等が挙げられる。分子シャペロン蛋白質は、例えば、前 記発現ベクターにより所望の宿主細胞を形質転換し、該細胞中で上記ポリペプチド を発現させることにより得ることができる。より具体的には、所望のポリヌクレオチドをバ クテリアの発現ベクターに組み込むことにより、所望の分子シャペロン蛋白質をバクテ リア細胞中で大量に産生させることができる。また、酵母や昆虫細胞等を用いても分 子シャペロン蛋白質を大量に産生することができる。また所定のプロモーター下流に 結合した上記ポリヌクレオチドを用いて、公知の手法により試験管内で所望の分子シ ャペロン蛋白質を生産することができる。より具体的には TNTシステム (プロメガ社) を用いて、上述のプロモーター下流に結合した上記ポリヌクレオチドを铸型とする試 験管内での転写 ·翻訳反応により、所望の分子シャペロン蛋白質を試験管内で生産 することができる。
[0030] 前述の細胞を培養することにより細胞中で産生した分子シャペロン蛋白質を検出、定 量、さらには精製することが出来る。例えば、分子シャペロン蛋白質と結合する抗体 を用いたウェスタンプロット法、あるいは免疫沈降法により該蛋白質を検出、精製する ことが可能である。あるいは、該蛋白質を、ダルタチオン一 S—トランスフェラーゼ (GS T)、プロテイン A、 β—ガラタトシダーゼ、マルトース一バインディングプロテイン(MB P)など適当なタグ蛋白質との融合蛋白質として発現させることにより、これらタグ蛋白 質に特異的な抗体を用いてウェスタンプロット法、あるいは免疫沈降法により該蛋白 質を検出することが出来る。さらにはこれらタグ蛋白質を利用して前記蛋白質を精製 することが出来る。より具体的には以下のようにしてタグ蛋白質を利用して前記蛋白 質を精製することができる。
本発明の方法において分子シャペロン蛋白質(例えば、配列番号 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26,又 は 27で表されるポリペプチド)は、これらをコードするポリヌクレオチドを、例えば GST タグ又は Hisタグが発現させた目的の蛋白質に付加されるベクター、より具体的には 例えば実施例 1に記載の PGEX—6P1 (アマシャム)、あるいは市販の pET— 28a (ノ バジェン社)等に組み込んでバクテリアに導入し、前者は GST融合型蛋白質、後者 の場合は His融合型蛋白質として分子シャペロン蛋白質を発現させることができる。 該融合型蛋白質は、それらを発現させたバクテリア細胞由来の蛋白質抽出液中から 、 GSTあるいは Hisタグの性質を利用して精製することができる。例えば実施例 1に お!、て pGEX— 6P1を用いて作製したシャペロン発現プラスミドは、 V、ずれも分子シ ャペロン蛋白質の N -末端に GSTタグが付加されるように設計されて!、る。これによ り、それらの GSTタグを利用して、所望の分子シャペロン蛋白質を発現させた細胞か ら該蛋白質を精製することができる。より具体的には公知の GST—プルダウン (pull down)法(実験工学、 Voll 3、 No. 6、 1994年 528頁 松七五三ら)に従って、破砕 した細胞の抽出液より GSTタグと融合した分子シャペロン蛋白質をダルタチオンセフ ァロースビーズ (Glutathione Sepharose 4B ;アマシャムファノレマシァ社)に結合 させて遠心分離により単離することができる。一方 Hisタグを利用して、所望の分子シ ャペロン蛋白質を発現させた細胞から該蛋白質を精製するのも公知の方法 (実験医 学別冊 タンパク質の分子間相互作用実験法、 1996年 32頁 中原ら)に従って、破 砕した細胞の抽出液より Hisタグと融合した分子シャペロン蛋白質を Ni2+—NTA— A garose (フナコシ)に結合させて遠心分離により単離することができる。
あるいは所望により、タグ蛋白質を利用しない方法、例えば、分子シャペロン蛋白質 を、その物理的性質、化学的性質を利用した各種の分離操作によっても精製できる 。具体的には限外濾過、遠心分離、ゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換ク 口マトグラフィー、ァフィ-ティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーの利用を 例示することが出来る。
[0031] <試験薬剤 >
試験薬剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、市販の化合物 (ぺプチ ドを含む)、ケミカルファイルに登録されて 、る種々の公知化合物(ペプチドを含む)、 コンビナトリアル ·ケミストリー技術(N. Terrett et al. , Drug Discov. Today , 4 (1) :41, 1999 )によって得られたィ匕合物群、微生物の培養上清、植物や海 洋生物由来の天然成分、動物組織抽出物(ポリヌクレオチド、ポリペプチドを含む)、 あるいは、それらをィ匕学的又は生物学的に修飾したィ匕合物で、明確な薬理作用を有 するものを挙げることができる。該薬理作用には医療における望ましい作用のみでな ぐ生体に有害な作用も含まれる。特に本発明の方法の利用が、既存の方法に比較 してより有用であると考えられる化合物として、(1)化学構造上、修飾を加えることが 困難な化合物、(2)修飾によって上述の薬理作用が失われる、あるいは失われると 予測される化合物、(3)分解あるいは代謝産物、その他の共雑物の混合により、薬理 活性をもたらすィヒ学構造が未定の化合物、(4)合成や精製、あるいは原材料の入手 が困難で利用可能な量が限られる化合物 (天然物を含む)、等を挙げることができる
[0032] <細胞抽出液 >
本発明の方法で用いる細胞抽出液は、試験薬剤が有する薬理活性を惹起するため の一次標的組織、あるいは該組織の性質の多くを維持する培養細胞から蛋白質を 抽出した液を使用することができる。細胞力もの蛋白質の抽出方法は、目的に応じた 調製方法を用いることが好ましい。具体的には、公知の蛋白質抽出法に従い、 SDS ,トリトン X— 100、あるいは CHAPS、 CHAPSOなどの各種界面活性剤から目的に 適合するものを選択し、それらを目的に適した濃度で含む緩衝液を用いて上述の細 胞を破砕し、遠心分離後上澄を分離及び回収した後に、本発明の方法における細 胞抽出液として用いる。より具体的には、破砕のために用いる緩衝液中には生体由 来の各種蛋白質分解酵素の阻害剤、例えば PMSF (phenylmethyl sulfonylfluor ide)、 EGTA (Ethylene glycol— bis ( j8 - aminoethylether)— N, N, N' , N ' -tetraacetic Acid)等を含むことが好ましぐ本発明の方法に適用するまでは 凍結され蛋白質が安定に維持される 80°C以下の状態で保存されることが好ましい
[0033] <分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程 >
分子シャペロン蛋白質は、いずれも各分子あたり多数の基質蛋白質に応答すると考 えられている。しかしその種類により、基質特異性は異なると考えられている。従って 様々な構造を有する化合物の標的を真に網羅的に探索するためには、多種類の異 なるファミリーに属する分子シャペロン蛋白質を揃えてプローブとして同時に利用す ることが好ましい。より好ましくは、本発明の実施例 2 (3)、 3、 4及び 8に示すとおり、 異なるシャペロンファミリー由来の複数の分子シャペロン蛋白質を揃えて、同時に利 用することが望まれる。
また生化学的な実験系にお 、ては、プローブとする蛋白質 (本発明にお 、ては分子 シャペロン蛋白質)が基質となる蛋白質に比較して大過剰に存在する場合、プローブ の基質特異性は薄れ、本来の基質以外の蛋白質であっても該基質に類似の分子で あればプローブに認識されることが期待できる。従って本発明の実施例 2 (2)に示す i n vitroプルダウン法のように、基質となる細胞由来蛋白質に比較して大量のプロ一 ブ蛋白質を反応させうる系の利用が、化合物の網羅的な標的探索を可能にする上で はより好ましい。
また、分子シャペロン蛋白質の多くは生体内で多量体を形成して作用することが報 告されている。従って本発明の方法を実施するにあたっては、実施例 2 (2)及び 4に 示されるような、分子シャペロン蛋白質 (プローブ)と複合体を形成しうる内在性のシャ ペロンが混在する生体試料由来の細胞抽出液、及び蛋白質の分離条件を用いるこ とがより好ましい。より具体的には、本発明の実施例 2 (2)に示す in vitroプルダウン 法のように、内在性のシャペロンを含む細胞由来の細胞抽出液に対して分子シャぺ ロン蛋白質 (プローブ蛋白質)を反応させる系の利用が好ましい。
[0034] 「分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する」ためには以下の操作を行う。 試験薬剤を添加した又は未添加の細胞力 抽出した試料細胞抽出液あるいは試験 薬剤を添加した又は未添加の試料細胞抽出液のそれぞれから、分子シャペロン蛋 白質の抗体、又は分子シャペロン蛋白質に融合させたタグの抗体を用いた公知の免 疫沈降法により、分子シャペロン蛋白質と分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質 を濃縮することができる。ある 、は上述のタグに親和性を有するァフィユティービーズ やァフィユティーカラムを用いた公知の方法によっても同様に分子シャペロン蛋白質 と分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質の濃縮が可能である。具体的な方法とし ては、 GSTなどのタグをつけて精製した該ペプチドを用いた GST—プルダウン法を 挙げることができる。
上記で得られた分子シャペロン蛋白質及びその結合蛋白質の濃縮液を、公知の蛋 白質分離法により分離し、分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する。例 えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離し、銀染色法、クーマジープリリア ントブルー染色法、又はネガティブゲル染色法 (和光純薬)等の既存の蛋白質染色 法など公知の蛋白質を検出する種々の方法(「遺伝子クローユングのためのタンパク 質構造解析」 平野久 東京化学同人 1993年 p37— p40)により、分子シャぺ口 ン蛋白質及び分子シャペロン蛋白質に結合した試料細胞に由来する蛋白質を検出 することができる。ここで本発明の工程に用いる方法は、蛋白質を検出することが可 能であれば、上記の方法に限られない。
上記により検出した蛋白質について、試験薬剤添加の場合と未添加の場合での分 子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を比較する。両者を比較することにより、試験 薬剤添加又は未添加時に分子シャペロン蛋白質への結合が変化した試料細胞由来 の蛋白質 (即ち、試験薬剤の標的蛋白質)を同定することができる。試験薬剤添加又 は未添加時で得られる試料細胞由来の蛋白質群を検出して比較する方法として、公 知の SDSポリアクリルアミド電気泳動法が挙げられる。その場合に二次元電気泳動 法で展開することにより、より正確な比較が可能である。電気泳動法で展開された、 試験薬剤添加時の結果及び試験薬剤未添加の場合の結果にっ 、て、バンドを比較 し (即ち、試験薬剤の添カ卩時のみバンド量が増加する、又は試験薬剤の添加時のみ バンド量が減少するものがある力 比較し)試験薬剤の添加時のみ結合量が増加す る、又は試験薬剤の添加時のみ結合量が減少する蛋白質を選択することができる。 試験薬剤の添加時のみ結合量が増加する、又は試験薬剤の添加時のみ結合量が 減少する蛋白質としては、試験薬剤の添加時のみ結合する、又は試験薬剤の添カロ 時のみ結合しな 、蛋白質を選択することが好まし 、。
続いて、上記方法により検出し選択された蛋白質を同定する。公知の蛋白質精製法 及び蛋白質同定法(Schevchenkoら、 Analytical Chemistry,第 68卷、第 850 858頁、 1996年)により、その分子内に存在するアミノ酸配列を決定し、このアミノ 酸配列情報をもとに、試験薬剤の添加又は未添加時に分子シャペロン蛋白質との結 合が変化する蛋白質 (即ち試験薬剤の標的蛋白質)を同定することができる。具体的 には、試験薬剤の標的蛋白質は、ゲルから回収して精製した後、マススペクトル法、 公知の手法によりそのアミノ酸配列を決定し、蛋白質を同定することができる。より具 体的には、 SDSポリアクリルアミド電気泳動ゲルにより分離された目的の蛋白質を、ト リブシン等を用いて断片化し、生じたペプチド混合物をゲルより回収し、マススぺタト ル解析により蛋白質の同定を行うことができる(Schevchenkoら、 Analytical Che mistry、第 68卷、第 850— 858頁、 1996年)。ある!/ヽ ίま、ゲノレ力ら電気溶出法等に より目的蛋白質を溶出させた後、もしくはゲル上の目的蛋白質を PVDF (ポリビ -リデ ンジフルオリド)等の膜にブロッテイングした後、必要ならば酵素消ィ匕、化学的分解に より断片化し、さらに必要ならば得られた断片化ペプチドを液体クロマトグラフ法、キ ャピラリー電気泳動法等により分離した後、マススペクトル解析、もしくは Ν末端又は C末端アミノ酸配列解析により、蛋白質の同定を行うことができる(平野 久 プロテオ ーム解析一理論と方法一 東京化学同人、 2001年)。ここで本発明の方法に用いる 同定方法は、精製した該標的蛋白質群の同定が可能である限り、上記の方法に限ら れない。
より具体的には、実施例 4及び実施例 8に記載のように、 SDSポリアクリルアミド電気 泳動ゲルにより分離された標的蛋白質は、トリプシン等を用いてタンパク質を断片化 し、生じたペプチド混合物をゲルより回収し、マススペクトル解析により蛋白質の同定 を行うことができる。
本発明の方法で同定された標的蛋白質は、公知の遺伝子機能解析技術により、試 験薬剤の薬理作用をもたらす真の標的蛋白質であることを確認することが可能である
。まず、具体的には、以下に示す方法により、試験薬剤と得られた標的蛋白質分子 の直接的な結合の有無を調べることができる。
結合する力否かの検討対象ポリペプチドの一部若しくは全長域、または GSTや Flag 、 Hisなどのタグを融合させた検討対象ポリペプチドの一部若しくは全長域を細胞に 発現させる。該細胞から GSTや Flag、 Hisなどのタグとの親和性を利用したァフィ- ティ精製法、あるいは該タグに応答する抗体を利用した免疫沈降法等により、発現さ せた検討対象のポリペプチドを単離'精製する。続いて精製した該ポリペプチドと試 験薬剤を混合し、該試験薬剤とポリペプチドが結合して形成された複合体を単離す る。次に該複合体を酸、熱その他の刺激により変性させて化合物を再度分離させて 蛋白質のみを除去した後、マススぺタトロメトリーを用いた質量分析法による解析を行 つて同試料中に該試験薬剤が含まれるかどうかを調べることによって、検討対象のぺ プチドと該試験薬剤の結合を確認することができる。また別の手法として、試験薬剤 の分子構造の一部を標識することにより作成した標識試験薬剤をプローブとして、公 知の ELISA法、ファーウェスタン法、バインディングアツセィ法等の方法により検討 対象のポリペプチドと該試験薬剤が結合する力否かを確認することができる。試験薬 剤の標識は、標的蛋白質との結合に影響を与えないラジオアイソトープを用いるのが 好ましい。具体的には、例えば、試験薬剤の分子内の元素をラジオアイソトープに置 換することにより標識したィ匕合物を作製することができる。該標識試験薬剤をプロ一 ブとして利用することにより、上述の方法により精製した検討対象のポリペプチドを固 定した ELISA法により、該ポリペプチドと該試験薬剤の結合を確認することができる 。あるいは、検討対象のポリペプチドを公知の SDSアクリルアミドゲル電気泳動法に より分離し、ニトロセルロース膜上に転写した後、上述標識試験薬剤をプローブとして 利用したファーウェスタン法により、やはり該ポリペプチドと該試験薬剤の結合を確認 することができる。また、あるいは標識させた試験薬剤と上述の方法により精製した検 討対象のポリペプチドを混合し、フィルター上にトラップして洗浄した後に、標識プロ ーブ由来の放射線量を測定することにより形成されたィヒ合物とペプチドの複合体の 総量を検出する、 V、わゆるバインディングアツセィによって該ポリペプチドと該試験薬 剤の結合を確認することができる。
また公知の蛋白質の立体構造予測手法 (J Med Chem. 2004 Dec 30 ;47 ( 27) : 6804- 11)により、本発明の方法で同定された標的蛋白質に該試験化合物が 結合しうる鍵穴となる構造が存在するかどうかを調べることができる。さらに公知の RN A干渉技術(Tuschl T. ら、 Nat Biotechnol. 2002, 20 (5): p446~448. )を用いた細胞レベルでの遺伝子ノックダウン実験、同じく細胞レベルでの公知の遺 伝子過剰発現実験、さらには遺伝子ノックアウト動物の作製、又は遺伝子過剰発現 動物の作製、等の各種生化学的及び Z又は遺伝子工学的実験手法により、上記標 的蛋白質の発現量を増大、あるいは減少させることができるが、これらの条件下で試 験薬剤の主作用又は副作用を試験した場合において、主作用又は副作用が亢進、 あるいは抑制される効果が見出されることにより、発現を変動させた遺伝子がコード する標的蛋白質は真の標的蛋白質であると確認できる。
本発明の同定方法では、試験薬剤の薬理作用をもたらす試験薬剤の標的蛋白質を 同定することができるが、本発明の同定方法は、試験薬剤の薬理作用の内、望まし い薬理作用(主作用)をもたらす標的蛋白質を同定する方法として、より適している。 く本発明のスクリーニングツール及びスクリーニングのための使用 >
本発明のスクリーニングツーノレは、下記(1)〜(3)からなる。
( 1)ヒト ATP5B蛋白質 (配列番号 2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド)、 A TP5B機能的等価改変体 (配列番号 2で表されるアミノ酸配列又は配列番号 2で表さ れるアミノ酸配列において、 1〜10個(好ましくは 1〜7個、より好ましくは 1〜5個、更 に好ましくは 1〜3個)のアミノ酸が欠失、置換、及び Z若しくは挿入されたアミノ酸配 列を含み、かつビグアナイドと結合する、及び Z又は過剰発現によりビグアナイドによ る AMPK活性化を阻害するポリペプチド)、並びに ATP5B相同ポリペプチド(配列 番号 2で表されるアミノ酸配列との同一性が 90%以上 (好ましくは 95%以上、更に好 ましくは 98%以上)であるアミノ酸配列を含み、かつビグアナイドと結合する、及び Z 又は過剰発現によりビグアナイドによる AMPK活性ィ匕を阻害するポリペプチド)(以 下、ツール用ポリペプチド)からなる、ビグアナイドと薬効標的を共有する糖尿病治療 薬のスクリーニングツール(以下、本発明のポリペプチド型スクリーニングツールと称 する)、
(2)ツール用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、ツール用ポリヌクレオ チド)力もなる、ビグアナイドと薬効標的を共有する糖尿病治療薬のスクリーニングッ ール(以下、本発明のポリヌクレオチド型スクリーニングツールと称する)、あるいは
(3)ツール用ポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換され、ツール用ポリペプチド を発現している細胞 (以下、ツール用細胞)からなる、ビグアナイドと薬効標的を共有 する糖尿病治療薬のスクリーニングツール (以下、本発明の細胞型スクリーニングッ ールと称する)。
また、
(1)ツール用ポリペプチド、
(2)ツール用ポリヌクレオチド、又は
(3)ツール用細胞
の、ビグアナイドと薬効標的を共有する糖尿病治療薬のスクリーニングのための使用 も本発明に含まれる。
[0037] 本明細書において、「スクリーニングツール」とは、スクリーニングのために用いるも の(具体的には、スクリーニングのために用いるポリペプチド、ポリヌクレオチド又は細 胞)を 、う。「ビグアナイドと薬効標的を共有する糖尿病治療薬のスクリーニングツー ル」とは、ビグアナイドと薬効標的を共有する糖尿病治療薬をスクリーニングするため に、本発明のスクリーニング方法において、試験化合物を接触させる対象となる細胞 又はポリペプチド、あるいは、試験化合物を接触させる対象となるポリペプチドを取得 若しくは発現させるためのポリヌクレオチドである。
[0038] ATP5B機能的等価改変体及び ATP5B相同ポリペプチドの起源はヒトに限定され ない。ツール用ポリペプチドのいずれかに該当する限り、配列番号 2で表されるァミノ 酸配列のヒトにおける変異体が含まれるだけでなぐ脊椎動物からバクテリアにいたる まであらゆる生物由来のものが含まれ、また、天然ポリペプチドに限定されず、配列 番号 2で表されるアミノ酸配列を元にして遺伝子工学的に人為的に改変したポリぺプ チドも含まれる。また、ビグアナイドと結合する、及び Z又は過剰発現によりビグアナ イドによる AMPK活性ィ匕を阻害する限り、 ATP5B機能的等価改変体又は ATP5B 相同ポリペプチドに後述のマーカー配列を含むポリペプチドも、ツール用ポリべプチ ドに含まれる。
後述の実施例 5 (5)及び (6)において、 ATP5Bとビグアナイドとの結合には、サイト 2 0の周辺構造に関与するアミノ酸残基、特には、ヒト ATP5Bの場合 Glul75及び Asp 295が重要であることがわ力つた。従って、変異を入れる場合には、サイト 20の周辺 構造に関与するアミノ酸残基、特には、ヒト ATP5Bの場合 Glul75及び Asp295は 保存し、これ以外の部分に変異を入れることにより、ビグアナイドとの結合活性を維持 した改変ポリペプチドを容易に製造できる。
[0039] 本発明のポリペプチド型スクリーニングツールとしては、ツール用ポリペプチドの内 ヒト ATP5Bポリペプチド力 本発明のポリヌクレオチド型スクリーニングツールとして は、ツール用ポリヌクレオチドの内ヒト ATP5Bポリペプチドをコードするポリヌクレオチ ド (特に好ましくは配列番号 1の塩基配列で表されるポリヌクレオチド)が、本発明の 細胞型スクリーニングツールとしては、ツール用細胞の内、ヒト ATP5Bをコードするポ リヌクレオチドを含むベクターで形質転換され、ヒト ATP5Bを発現して 、る細胞がより 好ましい。
[0040] ツール用ポリヌクレオチドは、本明細書に開示された配列情報又は公知の遺伝子配 列情報に基づ 、て一般的遺伝子工学的手法により容易に製造し取得することが出 来る。そのような手法としては、上述の <分子シャペロン蛋白質の製造方法 >に記載 のように、公知の操作「Molecular Cloning」 [Sambrook, Jら、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 1989年 等]、例えば、(1) PCRを用いた方法、(2) 常法の遺伝子工学的手法 (すなわち cDNAライブラリーで形質転換した形質転換株 力 所望のポリペプチドを含む形質転 ·を選択する方法)を用いる方法、又は(3) 化学合成法などを挙げることができる。各製造方法については、上述のく分子シャ ペロン蛋白質の製造方法〉に記載したように、 WO01Z34785に記載されているの と同様に実施できる。
[0041] PCRを用いた方法では、例えば、ヒトの骨格筋、あるいは心臓と!/、つた組織から mR NAを抽出し、上述の <分子シャペロン蛋白質の製造方法 >に記載したのと同様に 第一鎖 cDNAを用い、ツール用ポリヌクレオチドの一部の領域をはさんだ 2種類のプ ライマーを用いて PCRに供し、ツール用ポリヌクレオチド又はその一部を得ることがで きる。より具体的には、例えば実施例 5 (1)に記載の方法によりツール用ポリヌクレオ チドを製造することができる。
常法の遺伝子工学的手法を用いる方法、
化学合成法を用いた方法でも、上述の <分子シャペロン蛋白質の製造方法 >に記 載したのと同様に、ツール用ポリヌクレオチドを製造することができる。
[0042] 上述のように得られたツール用ポリヌクレオチドは、上述のく分子シャペロン蛋白質 の製造方法 >に記載したのと同様に、公知の方法 (例えば「Molecular Cloning, Sambrook, Jら、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 1989年」等に記 載の方法)により、適当なプロモーターの下流に連結することでツール用ポリペプチド を試験管内、あるいは試験細胞内で発現させることができる。
ツール用細胞の製造に用いる発現ベクター(ツール用発現ベクター)は、ツール用ポ リヌクレオチドを含む限り、特に限定されるものではない。例えば、用いる宿主細胞に 応じて適宜選択した公知の発現ベクターに、ツール用ポリヌクレオチドを挿入すること により得られる発現ベクターを挙げることができる。ツール用ポリペプチドは、例えば、 ツール用発現ベクターにより所望の宿主細胞を形質転換し、該細胞中でツール用ポ リペプチドを発現させることにより得ることができる。より具体的には、ツール用ポリヌク レオチドをバクテリアの発現ベクターに組み込むことにより、ツール用ポリペプチドを ノ クテリア細胞中で大量に産生させることができる。また所定のプロモーター下流に 結合したツール用ポリヌクレオチドを用いて、公知の手法により試験管内でツール用 ポリペプチドを生産することができる。より具体的には実施例 5 (4)に記載のように、 T NTシステム(プロメガ社)を用いて、上述のプロモーター下流に結合したツール用ポ リヌクレオチドを铸型とする試験管内での転写 ·翻訳反応により、ツール用ポリべプチ ドを試験管内で生産することができる。
[0043] ツール用細胞は、ツール用発現ベクターで形質転換され、ツール用ポリヌクレオチ ドを含む限り、特に限定されるものではなぐツール用ポリヌクレオチドが、宿主細胞 の染色体に組み込まれた細胞であることもできるし、あるいは、ツール用ポリヌクレオ チドを含む発現ベクターの形で含有する細胞であることもできる。形質転換に用いる 細胞としてはビグアナイドに応答する細胞が好ましぐより具体的には HeLaS3細胞、 肝臓由来細胞、あるいは骨格筋由来細胞が好ましい。ツール用細胞としては、ツー ル用ポリヌクレオチドに該当する限り、後述のマーカー配列を含んだポリヌクレオチド を含んで 、ても良 、。本明細書の細胞型スクリーニングツールとしてはツール用発現 ベクターで形質転換された細胞が好まし ヽ。
[0044] 上記で得られる所望の形質転換細胞は、常法に従い培養することができ、該培養に よりツール用ポリペプチドが生産される。該培養に用いられる培地としては、採用した 宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択でき、例えば、上記 HeLaS3細 胞であれば、牛胎児血清 (FBS)等の血清成分を添加したダルベッコ修飾イーグル 最小必須培地 (DMEM)等の培地を使用できる。
[0045] 上記により、生産されるツール用ポリペプチドは、必要に応じて該ポリペプチドの物理 的性質や生化学的性質等を利用した各種の公知の分離操作法により、分離又は精 製することが出来る。また、ツール用ポリペプチドにマーカー配列(タグ蛋白質)が含 まれる場合は、タグ蛋白質を利用して、該ポリペプチドの発現の確認、精製等が可能 である。マーカー配列としては、例えば、 FLAGェピトープ、へキサヒスチジンタグ (H exa— Histidine tagリ、へマグノレテンタグ (Hemagglutinin tag)、 mycェピトープ 、グルタチオン S—トランスフェラーゼ(GST)、プロテイン Α、 β ガラクトシダーゼ 、マルトースーパインディングプロテイン(ΜΒΡ)などがある。
また、マーカー配列とツール用ポリペプチドの間にェンテロキナーゼ、ファクター Xa、 トロンビンなどのプロテアーゼが認識する特異的なアミノ酸配列を挿入した融合ポリ ペプチドを発現させ、タグ蛋白質を利用して精製した後、マーカー配列部分をこれら のプロテアーゼにより切断除去し、ツール用ポリペプチドを得る事も可能である。
[0046] より具体的には、ツール用ポリペプチドは、例えば目的の蛋白質に GSTタグ又は His タグが付加されるベクター、より具体的には例えば巿販の pGEX— 6P1 (アマシャム 社)又は pET— 28a (ノバジェン社)等を用いて、前者は GST融合型蛋白質、後者の 場合は His融合型蛋白質として発現させることができる。該融合型蛋白質は、それら を発現させたバクテリア細胞由来の蛋白質抽出液中から、 GSTあるいは Hisタグの 性質を利用して、上述の <分子シャペロン蛋白質の製造方法 >に記載したのと同様 に、精製することができる。
[0047] 本明細書において、「ビグアナイドと結合するポリペプチド」とは、ビグアナイドに分類 される低分子化合物 (メトフオルミン、フェンフオルミン、プフォルミン等)と結合するポリ ペプチドを意味しており、ポリペプチドがビグアナイドと「結合する」か否かは以下の方 法により確認することができる。
[0048] 結合するか否かの検討対象ポリペプチドを単離精製する。ポリペプチドの発現及び 単離精製は上記の方法を利用することができる。続いて、実施例 5 (4)の方法により、 フェンフオルミンと結合する力否かを確認する。該実施例の条件で、添加するフェン フオルミンの濃度が好ましくは 10 μ Μ以下、より好ましくは 1. 0 μ Μ以下、更に好まし くは 0.: L Μ以下で結合が確認できるポリペプチドを、ビグアナイドと結合するポリべ プチドであると判断する。
[0049] また、「過剰発現によりビグアナイドによる ΑΜΡΚ活性ィ匕を阻害する」とは、あるポリべ プチドが細胞中で通常よりも過剰に存在する条件下にお 、て、ビグアナイドで刺激さ れた場合の細胞中の ΑΜΡΚの活性化、すなわちリン酸化の程度が通常の状態の細 胞と比較して減少することを意味する。「ΑΜΡΚ活性ィ匕を阻害する」カゝ否かは実施例 5 (7)の方法により確認することができる。実施例 5 (7)の条件で、コントロール (検討 対象のポリペプチドを過剰発現して 、な 、細胞)に比較して検討対象のポリペプチド を過剰発現した細胞におけるフェンフオルミン刺激による ΑΜΡΚのリン酸ィ匕の増大が 50%、好ましくは 70%、更に好ましくは 90%減少した場合、検討対象ポリペプチドは 過剰発現によりビグアナイドによる ΑΜΡΚ活性ィ匕を阻害するポリペプチドであると判 断する。
[0050] <本発明のスクリーニング方法 >
本発明者らは、ツール用ポリペプチドの一つであるヒト ΑΤΡ5Β (配列番号 2)を HeLa S3細胞に過剰発現させると、フェンフオルミンある 、はメトフオルミン等ビグアナイドの 処理による該細胞内の AMPK活性ィ匕が妨げられることを見出した (実施例 5 (7) )。こ れは、細胞内で ATP5B蛋白質の存在量が変化することでビグアナイドの薬効に寄 与する AMPKの活性ィ匕能が変化することを意味しており、ビグアナイドの細胞内シグ ナルにおいて ATP5Bが明らかに AMPKの上流に位置することを示している。さらに 、本発明者らは、ビグアナイドの一種であるフェンフオルミンと生化学的に結合するこ とを見出した(実施例 5 (4) )。これらの知見により、 ATP5Bは、ビグアナイドに結合し 、かつ該化合物の薬効 (主作用)に寄与する真の標的蛋白質であると結論することが できる。該知見に従って、本発明者らは、ツール用ポリペプチドと結合し、 AMPKを 活性ィ匕させる低分子化合物をスクリーニングすることにより、ビグアナイドの有する糖 尿病治療効果と同様の薬効を示しうる化合物を新規に取得できることを明らかにし、 糖尿病治療薬のスクリ一ユング方法を完成させた。
[0051] 本発明のスクリーニング方法には、以下の方法が含まれる。
< I >結合分析スクリーニング方法
[1]ツール用ポリペプチド又はツール用細胞と、試験物質とを接触させる工程、並び に
[2]該ポリペプチドと試験物質との結合を分析する工程、
を含む、糖尿病治療薬をスクリーニングする方法。
[0052] < II >競合阻害スクリーニング方法
[1]の工程が、ビグアナイド共存下で接触させる工程である <1>に記載のスクリー- ング方法。
[0053] 本明細書における「スクリーニング」とは、多数の試験物質の中から目的の活性を有 する物質を篩い分けること、及び、ある試験物質について、その物質が目的の性質を 有する物質である力否かを検出することの両方を含む。
[0054] <ツール用ポリペプチドを用いる結合分析スクリーニング方法 >
ツール用ポリペプチドと試験物質とを接触させる工程を含む、本発明のスクリ一ニン グ方法には、精製したツール用ポリペプチドと試験物質を混合して接触させ (接触さ せる工程)、該試験物質とポリペプチドが結合して形成された複合体を単離した後に 変性させて分離したィ匕合物を質量分析法により同定することにより、該ポリペプチドに 直接結合し作用する物質 (即ち糖尿病治療薬)を分析し (結合を分析する工程)、ッ ール用ポリペプチドと結合する物質 (即ち糖尿病治療薬)を選択する方法が含まれる 。このような方法は、ァフィ-ティセレクション 質量分析法 (AS— MS法;フアルマシ ァ(日本薬学会) Vol. 41 No. 6 p564 2005, J. Protein Chem. 1997, 16, 5, 505- 511, J. Comb. Chem. 1999, 1, 82— 90、 Anal. Bio chem. 324 (2004) 241— 249、 J. Biomol. Screening 9 (6) ; 2004 49 8— 505参照)により実施できる。本発明のスクリーニング方法において、これらのェ 程は、具体的には、例えば、以下のように実施できる。ツール用ポリペプチドを細胞 に発現させる。該細胞から GST、 Flagや Hisなどのタグとの親和性を利用したァフィ 二ティ精製法、あるいはツール用ポリペプチドに応答する抗体 (例えば抗 ATP5B抗 体、タグ抗体)を利用した免疫沈降法等により、発現させた該ポリペプチドを単離精 製する。続いて精製した該ポリペプチドと試験物質とを混合し接触させた後、該ポリ ペプチドと結合しない物質を、低分子化合物を吸着する榭脂等で除去する。残った 蛋白質と試験物質の複合体を単離した後、該複合体を酸、熱その他の刺激により変 性させて複合体中の低分子物質を分離させ、残った蛋白質のみを除去する。マスス ぺクトロメトリーを用いた質量分析法による解析を行って同試料中に含まれる物質を 同定することにより、ツール用ポリペプチドと結合する物質を選択する。上記記載の 方法で、ツール用ポリペプチドの濃度が 1 μ Μ又は 10 Μであるとき、添加する試験 物質の濃度が 1 β Μの条件下で、試験物質を吸着除去する過程を経ないコントロー ルと比較して回収される該試験物質の総量が好ましくは 5%以上、より好ましくは 10 %以上、更に好ましくは 50%以上の物質をツール用ポリペプチドと結合する物質とし て選択する。
また、本発明の方法には、試験物質群に特定の標識を施し、公知の ELISA法、ファ 一ウェスタン法、バインディングアツセィ法等の方法を利用してツール用ポリペプチド に結合する試験物質を選択する方法も含まれる。この様な具体例としては、実施例 5 (4)の方法を挙げることができる。これらの方法においては、好ましくは 10 Μ以下、 より好ましくは 1 μ Μ以下、更に好ましくは 0. 1 μ Μ以下の濃度でツール用ポリぺプ チドとの結合を検出可能な試験物質をツール用ポリペプチドと結合する物質として選 択する。
<ツール用ポリペプチドを用いる競合阻害スクリーニング方法〉
ビグアナイド共存下でツール用ポリペプチドと試験物質とを接触させる工程を含む、 本発明のスクリーニング方法は、標識又は修飾したビグアナイドとツール用ポリぺプ チドを用いた ELISA法、ファーウェスタン法、あるいはバインディングアツセィ等によ つて該ポリペプチドとビグアナイドとの結合を検出する工程において、試験物質を同 時に存在させた場合に生じる、該結合の変化を測定することによって達成できる。 具体的には、以下に例示する各種の実験手法を利用する。ツール用ポリペプチドを 細胞に発現させる。該細胞力 タグとの親和性を利用したァフィ-ティ精製法、あるい はツール用ポリペプチドに応答する抗体 (例えば抗 ATP5B抗体、タグ抗体)を利用 した免疫沈降法等により、発現させたツール用ポリペプチドを単離 '精製する。続い て精製したポリペプチド、試験物質及びビグアナイドとを混合し、形成された複合体 を単離する。次に該複合体を酸、熱その他の刺激により変性させて試験物質及びビ グアナイドを再度分離させて蛋白質のみを除去した後、マススぺタトロメトリーを用い た質量分析法による解析を行って同試料中に該当するビグアナイドィ匕合物が含まれ るかどうかを調べることによって、ツール用ポリペプチドとビグアナイドの結合が試験 物質によって阻害されるカゝ否かを調べる。また別の手法として、ビグアナイドを修飾し 、それらの分子構造の一部を標識することにより作製した標識ビグアナイドをプロ一 ブとして、公知の ELISA法、ファーウェスタン法、又はバインディングアツセィ法等の 方法によりツール用ポリペプチドとビグアナイドとの結合を確認することができる。具 体的には、例えば、ビグアナイドの分子内の元素をラジオアイソトープに置換すること により標識したィ匕合物を作製する。該標識ビグアナイドをプローブとして利用すること により、精製したツール用ポリペプチドを固定した ELISA法により、該ポリペプチドと ビグアナイドとの結合を確認する。あるいは、ツール用ポリペプチドを公知の SDSァク リルアミドゲル電気泳動法により分離し、ニトロセルロース膜上に転写した後、上述標 識ビグアナイドをプローブとして利用したファーウェスタン法により、やはり該ポリぺプ チドとビグアナイドの結合を確認する。また、あるいは標識ビグアナイドと精製したッ ール用ポリペプチドを混合し、フィルター上にトラップして洗浄した後に、標識プロ一 ブ由来の放射線量を測定することにより、形成された化合物とペプチドの複合体の総 量を検出する、 V、わゆるバインディングアツセィによってツール用ポリペプチドとビグ アナイドとの結合を確認する。ビグアナイドの標識は、ラジオアイソトープに限らず、そ の薬理活性に影響を及ぼさな 、範囲であれば、分子構造の一部を修飾することによ つて達成することが可能である。例えばフェンフオルミン、メトフオルミン、あるいはブフ オルミンの分子構造の一部分を修飾してピオチンィ匕することにより標識することができ る。この場合もピオチンとアビジンの結合を利用し、標識したアビジン抗体等の利用 によって、上述と同様 ELISAやファーウェスタン法によりツール用ポリペプチドとビグ アナイドとの結合を確認する。好ましくは、実施例 5 (4)の方法により、ツール用ポリべ プチドとビグアナイドとの結合を確認する。
上述のツール用ポリペプチドとビグアナイドとの結合を確認する工程にぉ 、て、ビグ アナイドと同時に試験物質を存在させることにより、該ポリペプチドとビグアナイドの結 合が阻害されるか否かを調べる。ビグアナイドの濃度が 10 Mであるとき、 IC50が 好ましくは 10 M以下の物質を、より好ましくは 1 M以下の物質を、更に好ましくは 0. 1 M以下の試験物質を糖尿病治療薬として選択する。特定の試験物質の存在 により、ツール用ポリペプチドとビグアナイドの結合が妨げられる場合、同現象はツー ル用ポリペプチドの分子内にあるビグアナイド結合部位に該試験物質が結合したこと により、ビグアナイドと該ポリペプチドとの結合が競合的に阻害された結果であると判 断できる。明らかに試験物質による競合的な結合阻害であることの確認は、同時に存 在させるビグアナイドと試験物質の濃度の比率を段階的に変化させることによって、 該ポリペプチドに結合するビグアナイドが段階的に妨げられることを調べることによつ て確認することができる。同手法により、ビグアナイドに競合して、ツール用ポリぺプ チドと結合する物質 (即ち、糖尿病治療薬)を選択できる。より具体的には、例えば後 述の実施例 6に示す方法により、ツール用ポリペプチドと結合する物質を選択できる
<ツール用細胞を用 、る結合分析スクリ一二ング方法 >
ツール用細胞と試験物質とを接触させる工程を含む、本発明のスクリーニング方法は 、ツール用細胞と試験物質を混合して接触させ (接触させる工程)、該試験物質とポリ ペプチドが結合して形成された複合体を単離した後に変性させて分離した化合物を 質量分析法により同定することにより、該ポリペプチドに直接結合し作用する物質 (即 ち糖尿病治療薬)を分析し (結合を分析する工程)、ツール用ポリペプチドと結合する 物質 (即ち糖尿病治療薬)を選択する方法が含まれる。結合を分析する方法は、前 述の AS— MS法等を利用することができる。具体的には、例えば以下のように実施 できる。
まず、ツール用ポリヌクレオチドを含むベクターで細胞を形質転換することにより、ッ ール用ポリペプチドを発現させたツール用細胞と試験物質とを接触させる。
前記細胞力 GSTや Flag、 Hisなどのタグとの親和性を利用したァフィ二ティ精製法 、あるいはツール用ポリペプチドに応答する抗体 (例えば抗 ATP5B抗体、タグ抗体) を利用した免疫沈降法等により、ツール用ポリペプチドとそこに結合する試験物質の 複合体を濃縮する。この濃縮過程では反応液中に上記で細胞を処理した同じ試験 物質を含有させておくことが望ましい。該ポリペプチドと結合しない物質を、低分子化 合物を吸着する榭脂等で除去した後、次に得られたツール用ポリペプチドおよびそ こに結合する試験物質の複合体を酸、熱その他の刺激により変性させて複合体中の 低分子物質を分離させ、残った蛋白質のみを除去する。マススぺタトロメトリーを用い た質量分析法による解析を行って同試料中に含まれる物質を同定することにより、ッ ール用ポリペプチドと結合する物質を試験物質中から選択する。具体的には、添カロ する試験物質の濃度が 1 μ Μの条件下で、試験物質を吸着除去する過程を経ない コントロールと比較して回収される該試験物質の総量が好ましくは 5%以上、より好ま しくは 10%以上、更に好ましくは 50%以上の物質をツール用ポリペプチドと結合す る物質として選択する。
<ツール用細胞を用いる競合阻害スクリーニング方法〉
ビグアナイドの共存下でツール用細胞と試験物質とを接触させることにより、ツール用 ポリペプチドとビグアナイドの結合が該試験物質により競合的に阻害され、試験物質 とツール用ポリペプチドが結合する力否かを調べることができる。具体的には、例え ば、ビグアナイドの共存下で、上述のくツール用細胞を用いる結合分析スクリーニン グ方法〉と同様の工程により細胞力 本発明のポリペプチドとそこに結合するビグァ ナイドの複合体を濃縮する。続いて、ツール用ポリペプチドと試験物質との結合を分 析する。結合の分析は、上述のくツール用ポリペプチドを用いる競合阻害スクリー- ング方法〉に記載したのと同様の方法で実施できる。例えば標識ラベル等の修飾さ れたビグアナイドを用いた場合には、公知のバインディングアツセィ法等の方法により ツール用ポリペプチドとビグアナイドの結合を定量することにより実施できる。試験物 質の存在によりツール用ポリペプチドとビグアナイドの結合が妨げられた場合、試験 物質によりビグアナイドとツール用ポリペプチドとの結合が競合的に阻害され、ツール 用ポリペプチドと試験物質が結合したと判断できる。
[0058] 本発明のスクリーニング方法では、ツール用ポリペプチドと試験物質との結合を分 祈し、ツール用ポリペプチドと結合する物質を選択した後、選択された試験物質が、 AMPKを活性化することを確認する工程、及び Z又は糖尿病治療活性を有すること を確認する工程を更に含むことが好ましい。
[0059] 選択された物質が AMPKを活性ィ匕することを確認する工程は、例えば、以下のよう に実施できる。ツール用ポリペプチドを発現している細胞 (例えば HeLaS3細胞)に 試験物質又は溶媒コントロールを添加し、培養する。培養した細胞を溶解して調製し た細胞溶解液を用いて、公知の SDS電気泳動法及び抗リン酸化 AMPK抗体 (例え ば Phospho— AMPK— a (Thr 172) Antibody,第一化学薬品)を用いたゥエスタ ンブロット法により細胞内の AMPKのリン酸化レベル(即ち活性化レベル)を検出す る。好ましくは、実施例 5 (7)の方法により、選択された物質が AMPKを活性ィ匕するこ とを確認することができる。コントロールに比較し、 AMPKリン酸化を亢進させる物質 を AMPKを活性ィ匕する物質として選択する。 AMPKリン酸化を亢進させる物質とし ては、コントロールに比較して 50%、好ましくは 70%、更に好ましくは 90%以上 AM PKリン酸化を亢進させるものを選択する。
[0060] 選択された物質が糖尿病治療活性を有することを確認する工程としては、公知の評 価方法、例えば、以下のような選択された物質の糖尿病治療効果を分析する方法を 実施する工程が挙げられる。
本発明のスクリーニング法により選択された化合物を糖尿病モデル動物に連続投 与し、常法に従って随時血糖低下作用を確認することにより、あるいは、経口糖負荷 試験後の血糖上昇抑制作用の確認を行なうことにより、糖尿病治療効果の有無を判 定する。又は、ヒトのインスリン抵抗性を測定し、その値の改善を指標に 2型糖尿病治 療効果を分析する。インスリン抵抗性はヒトでは主に 2つの方法で測定されている。一 つは絶食後に血糖値とインスリン濃度を測定するものであり、他方はブドウ糖負荷試 験といわれるもので、グルコース液を経口投与し、血液循環からのクリアランス率を知 る方法である。さらに、より正確な試験としてはオイグリセミック'高インスリン血症クラン プ法が挙げられる。この試験は、血中のインスリンとグルコースは一定濃度に維持さ れると ヽぅ原理を利用したもので、時間の経過に伴って投与されたグルコース液の総 量と代謝に利用されるインスリン濃度を測定するものである(「糖尿病」中川理 1999 年 42卷(2):頁 111 113)。好ましくは実施例 7に記載の方法により、選択された 物質が糖尿病治療活性を有することを確認することができる。
[0061] 本発明のスクリーニング法で使用する試験物質としては、特に限定されるものでは ないが、例えば、市販の化合物(ペプチドを含む)、ケミカルファイルに登録されてい る種々の公知化合物(ペプチドを含む)、コンビナトリアル'ケミストリー技術 (N. Terr ett et al. , Drug Discov. Today, 4 (1) : 41, 1999)によって得られたィ匕 合物群、微生物の培養上清、植物や海洋生物由来の天然成分、動物組織抽出物、 あるいは、本発明のスクリーニング法により選択された化合物(ペプチドを含む)をィ匕 学的又は生物学的に修飾した化合物(ペプチドを含む)を挙げることができる。
[0062] <糖尿病治療用医薬組成物、糖尿病治療方法、糖尿病治療用医薬組成物を製造 するための使用 >
本発明には、本発明のスクリーニング方法によって得られた物質 [例えば、 DNA、 蛋白質 (抗体又は抗体断片を含む)、ペプチド、又はそれ以外の化合物]を有効成分 とする糖尿病治療用医薬組成物が包含される。また、本発明には、本発明のスクリー ニング方法によって得られた物質を糖尿病治療が必要な対象に有効量で投与するこ とを含む、糖尿病治療方法が包含される。更に、本発明には、本発明のスクリーニン グ方法によって得られた物質の、糖尿病治療用医薬組成物を製造するための使用 が包含される。
本発明の医薬組成物における有効成分は、本発明のスクリーニング方法により選 択することができる。本発明のスクリーニング方法で選択されたィ匕合物としては、後述 の実施例 6 (2)、 7記載の 2— [ (E)— (1H—1, 2, 4 トリァゾール— 3—イリミノ)メチ ル]フエノール及び 6—クロ口一 9H プリン一 2 アミンを挙げることができる。
なお、糖尿病治療効果があることの確認は、当業者に公知の方法、あるいは、それを 改良した方法を用いることにより実施することができる(上記「選択された物質が糖尿 病治療活性を有することを確認する工程」参照)。
本発明のスクリーニング方法により得られた物質 [例えば、 DNA、蛋白質 (抗体又 は抗体断片を含む)、ペプチド、又はそれ以外の化合物]を有効成分とする製剤は、 前記有効成分のタイプに応じて、それらの製剤化に通常用いられる薬理学上許容さ れる担体、賦形剤、及び Z又はその他の添加剤を用いて、医薬組成物として調製す ることがでさる。
投与としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、又は経口 用液剤などによる経口投与、あるいは、静注、筋注、若しくは関節注などの注射剤、 坐剤、経皮投与剤、又は経粘膜投与剤などによる非経口投与を挙げることができる。 特に胃で消化されるペプチドにあっては、静注等の非経口投与が好ま 、。
経口投与のための固体組成物においては、 1又はそれ以上の活性物質と、少なくと も一つの不活性な希釈剤、例えば、乳糖、マン-トール、ブドウ糖、微結晶セルロー ス、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、又はメタケイ酸ァ ルミン酸マグネシウムなどと混合することができる。前記組成物は、常法に従って、不 活性な希釈剤以外の添加剤、例えば、滑沢剤、崩壊剤、安定化剤、又は溶解若しく は溶解補助剤などを含有することができる。錠剤又は丸剤は、必要により糖衣又は胃 溶性若しくは腸溶性物質などのフィルムで被覆することができる。
経口のための液体組成物は、例えば、乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、又は エリキシル剤を含むことができ、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば、精製 水又はエタノールを含むことができる。前記組成物は、不活性な希釈剤以外の添カロ 剤、例えば、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、芳香剤、又は防腐剤を含有することができる 非経口のための注射剤としては、無菌の水性若しくは非水性の溶液剤、懸濁剤、 又は乳濁剤を含むことができる。水溶性の溶液剤又は懸濁剤には、希釈剤として、 例えば、注射用蒸留水又は生理用食塩水などを含むことができる。非水溶性の溶液 剤又は懸濁剤の希釈剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ ール、植物油(例えば、ォリーブ油)、アルコール類 (例えば、エタノール)、又はポリソ ルベート 80等を含むことができる。前記組成物は、更に湿潤剤、乳化剤、分散剤、安 定化剤、溶解若しくは溶解補助剤、又は防腐剤などを含むことができる。前記組成物 は、例えば、バクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、又は照射によつ て無菌化することができる。また、無菌の固体組成物を製造し、使用の際に、無菌水 又はその他の無菌用注射用媒体に溶解し、使用することもできる。
投与量は、有効成分すなわち本発明のスクリーニング方法により得られた物質の活 性の強さ、症状、投与対象の年齢、又は性別等を考慮して、適宜決定することができ る。
例えば、経口投与の場合、その投与量は、通常、成人 (体重 60kgとして)において 、 1日にっき約 0. 1〜: LOOmg、好ましくは 0. l〜50mgである。非経口投与の場合、 注射剤の形で【ま、 1日にっき 0. 01〜50mg、好ましく ίま 0. 01〜: LOmgである。 実施例
[0063] 以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明は該実施例によって限定される ものではない。なお、特に断りがない場合は、公知の方法(「Molecular CloningJ Sambrook, Jり、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 1989年、等) に従って実施可能である。また、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指 示書に従って実施可能である。
[0064] <実施例 1 >分子シャペロン蛋白質の構築
(1)分子シャペロン遺伝子のクローユング及び GST融合分子シャペロン蛋白質発現 プラスミドの作製
配列番号 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26,又は 27のアミノ酸配列で表される 25種類のシャペロン蛋 白質(ヒト HSPA1A、ヒト HSPH1、ヒト HSPCA、ヒト HSPD1、ヒト DNAJA1、ヒト HS PB1、ヒト HSPE1、ヒト HSPA4、ヒト HSP90B1、ヒト CCT6B、ヒト TCP1、ヒト HSPA 14、ヒト HSPA9B、ヒト STCH、ヒト HYOUl、ヒト HSPB5、ヒト HSPB2、ヒト DNAJA 2、ヒト DNAJB1、ヒト DNAJB2、ヒト HCG3、ヒト DNAJB11、ヒト DNAJC11、ヒト DN AJC7、ヒトDNAJC6)の全長領域をコードするcDNA配列を配列番号28— 77 (偶 数番号 5 '側、奇数番号 3 '側)で示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとし (例えば ヒト HSPA1Aに対するプライマーセットは、配列番号 28及び配列番号 29。以下同様 )、 HSPH1、 HSPE1、 HSP90B1、 HSPA9B及び DNAJC11はヒト肝臓由来 cDN Aライブラリー(クロンテック社)、 HSPCA、 HSPA1A及び HSPD1はヒト脳由来 cD NAライブラリー(クロンテック社)、 DNAJA1及び HSPA4は HeLa細胞由来 cDNA ライブラリー(クロンテック社)、 HSPB1はヒト乳腺由来 cDNAライブラリー(クロンテツ ク社)、 TCP1、 HSPA14、 HYOU1及び HSPB2はヒト骨格筋由来 cDNAライブラリ 一(クロンテック社)、 CCT6B、 STCH、 HSPB5、 DNAJA2、 DNAJB1、 DNAJB2 、 HCG3、 DNAJB11、ヒト DNAJC7及びヒト DNAJC6は市販の cDNA(Ultimate TM ORF Clones、インビトロジェン社)をそれぞれ铸型として、 DNAポリメラーゼ( Pyrobest DNA Polymerase、宝酒造社)を用いて、 95°C3分間の熱変性反応の 後、 98°C10秒間、 60°C30秒間、 74°C1分 30秒力もなるサイクルを 35回、さらに 74 °C7分間の条件の PCRを行って取得した。これにより生成した約 2. 58kbp (HSPH1 )、 2. 2kbp (HSPCA)、 1. 93kbp (HSPA1A)、 1. 72kbp (HSPDl)、 1. 19kbp ( DNAJA1)、 0. 62kbp (HSPBl)、 0. 3kbp (HSPEl)、 2. 52kbp (HSPA4)、 2. 41kbp (HSP90Bl)、 2. 04kbp (HSPA9B)、 1. 68kbp (DNAJC11)、 1. 67kbp (TCP1)、 1. 05kbp (HSPA14)、 3. Okbp (HYOU1)、 0. 53kbp (HSPB2)、 1. 59kbp (CCT6B)、 1. 42kbp (STCH)、 0. 53kbp (HSPB5)、 1. 24kbp (DNAJ A2)、 1. 02kbp (DNAJBl)、 0. 98kbp (DNAJB2)、 0. 44kbp (HCG3)、 1. 077 kbp (DNAJBl l)、 1. 46kbp (ヒト DNAJC7)、及び 2. 74kbp (DNAJC6)の DNA 断片を取得した。これら cDNAは、いずれも両末端に、プライマーに含まれた配列に より以下の制限酵素サイトが付加される様設計した。 HSPH1の cDNAの場合には、 Bglllサイトと Xholサイトが、 HSPA4の cDNAの場合には EcoRVサイトと Notlサイト 力 STCH、 HSPB5、 DNAJC6及び DNAJC11の cDNAの場合には EcoRIサイト と Xholサイトが、 TCP1の cDNAの場合には Bglllサイトと Notlサイトが、 DNAJA2 の cDNAの場合は BamHlサイトと Notlサイトが付カ卩される。それ以外の cDNAの場 合には、 BamHlサイトと Xholサイトが付カ卩される様設計した。これらの cDNAを GST 融合発現ベクター PGEX—6P— 1 (アマシャムバイオサイエンス社)に挿入するため、 上述の PCR反応で得られた各 cDNA断片を、それぞれに付加した制限酵素サイトで 、それぞれ切断した。 D BamHI (又は Bglll)及び Xholで切断した cDNAに対して は、ベクターを制限酵素 BamHI及び Xholで、 2)制限酵素 EcoRV及び Notlで切断 した cDNAに対しては、ベクターを制限酵素 Smal及び Notlで、 3)制限酵素 EcoRI 及び Xholで切断した cDNA断片に対しては、ベクターを制限酵素 EcoRI及び Xhol で、 4)制限酵素 Bglll又は BamHI及び Notlで切断した cDNA断片に対しては、ベ クタ一を制限酵素 BamHI及び Notlでそれぞれ切断し、直鎖状にして用いた。制限 酵素処理した各シャペロンの cDNA断片とベクターを混合したものを DNA ligase 液(DNA ligation kit Π ;宝酒造社)と混合して 16°Cで 3時間処理し、 pGEX— 6 P— 1のマルチクロー-ングサイトに各シャペロン cDNAが挿入されたプラスミドを作 製した。配列番号 86に示すオリゴヌクレオチドをプライマーとして、シーケンシングキ ット(アプライドバイオシステム社)及びシーケンサー(ABI 3700 DNA sequence r アプライドバイォシステムズ社)を用いて塩基配列の決定を行 ヽ、報告されて!ヽる 各塩基配列(RefSeq accession番号 NM— 005345、 NM— 006644、 NM— 00 5348、 NM— 199440、 NM— 001539、 NM— 001540、 NM— 002157、 NM— 002154、 NM— 003299、 NM— 006584、 NM— 030752、 NM— 016299、 N M— 005347、 NM— 006948、 NM— 006389、 NM— 001885、 NM— 001541 、 NM— 005880、 NM— 006145、 NM— 006736、 NM— 001001394、 NM— 0 16306、 NM— 018198、 NM— 003315、 NM— 014787)であり、各分子シャぺ口 ンの cDNAのコード領域と pGEXベクターの GSTタグの翻訳フレームが一致して揷 入されて!ヽるものをそれぞれ選択した。
(2) GST融合分子シャペロン蛋白質の精製
上述の(1)で得られた、 25種類の分子シャペロンをクローユングした GST融合発現 プラスミド群を、ヒートショック (heat shock)法による形質転換でそれぞれ大腸菌 BL 21 (タカラバイオ株式会社)に導入した。 2. 4mLの培養液で一晩振盪培養した後、 その全量を 400mL培養液に移し変え、 37°Cで 3時間振盪培養した後、最終濃度が 2. 5mMとなるように IPTG (シグマ社)を添加し、更に 3時間振盪培養してそれぞれ の GST融合シャペロン蛋白質(以下、各々 GST—HSPA1A (約 96kDa)、 GST— HSPH1 (約 123kDa)、 GST— HSPCA (約 l l lkDa)、 GST— HSPD1 (約 87kD a)、 GST-DNAJA1 (約 71kDa)、 GST—HSPBl (約 59kDa)、 GST—HSPEl ( 約 37kDa)、 GST— HSPA4 (約 120kDa)、 GST— HSP90B1 (約 118kDa)、 GS T—HSPA9B (約 100kDa)、 GST—DNAJCl l (約 89kDa)、 GST—TCPl (約 8 6kDa)、 GST— HSPA14 (約 81kDa)、 GST— HYOU1 (約 137kDa)、 GST— H SPB2 (約 46kDa)、 GST— CCT6B (約 84kDa)、 GST— STCH (約 78kDa)、 GS T-HSPB5 (約 46kDa)、 GST— DNAJA2 (約 72kDa)、 GST— DNAJB1 (約 64 kDa)、 GST— DNAJB2 (約 62kDa)、 GST— HCG3 (約 43kDa)、 GST— DNAJ Bl l (約 67kDa)、 GST—DNAJC7 (約 81kDa)、 GST—DNAJC6 (約 125kDa)と 略記する)(カツコ内は各々の期待される分子量)の発現を誘導した。菌体を回収し、 公知の GST—プルダウン法に従って GST融合分子シャペロン蛋白質をダルタチォ ンセファロースビーズ上に精製した。コントロールとして pGEX—6P— 1で形質転換し た大腸菌 BL21から GSTタグ部分のみの蛋白質 (以下 GST蛋白質と略記する;期待 される分子量約 26kDa)を上述と同様に発現誘導して精製した。公知の方法に従つ て SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分離及びクーマジ一ブリリアントブル 一染色を行 ヽ、各々期待される分子量の蛋白質が精製されて ヽることを確認した。 <実施例 2 > 17— βエストラジオールの標的蛋白質であるエストロゲン受容体の検 出
(1)エストロゲン受容体遺伝子のクロー-ング及び V5タグ融合エストロゲン受容体発 現プラスミドの作製
公知のデータベースに示されたヒトのステロイドホルモン受容体の一種であるエストロ ゲン受容体 α (以下、 ER a )の全長域をコードする遺伝子 cDNAを、 RefSeqァクセ ッシヨン番号 NM— 000125に示される配列に従って設計した 2種類の DNAプライ マー(配列番号 78及び配列番号 79)を用いてクローニングした。具体的には、配列 番号 78及び配列番号 79のプライマーセットを用いて、 HeLa細胞由来 cDNAライブ ラリー(クロンテック社)を铸型として PCR反応を行 、、 ER aの全長域をコードする約 1. 78kbpの DNA断片を増幅した。 PCR反応は DNAポリメラーゼ(Pyrobest DN A Polymerase;宝酒造社)を用い、 98°C (1分)の後、 98°C (5秒)、 55°C (30秒)、 72°C (5分)のサイクルを 35回繰り返した。得られた同 DNA断片を発現ベクター (pc DNA3. 1/¥5—1¾5—丁0?0 ;ィンビトロジェン社)に丁0?0 TA Cloning シス テム (インビトロジェン社)を用いてサブクローユングした。このとき用いた配列番号 79 に示すプライマーは、ストップコドン配列を除き、クローユング後 3'側にベクター由来 の V5ェピトー: 7° (paramyxovirus SV5の V protein由来、 Southern J A, J. Gen. Virol. 72, 1551— 1557, 1991)及び His6タグ(Lindner P BioTechni ques22, 140— 149, 1997)が ER α遺伝子のトリプレットと同じフレームで続くよう に設計した。得られたプラスミド中の挿入 DNA断片の塩基配列を、ベクター上の T7 プロモーター領域に結合するプライマー(TOPO TA Cloning kit;インビトロジェ ン社;配列番号 89)とシーケンシングキット(アプライドバイォシステム社)及びシーケ ンサー(ABI 3700 DNA sequencer;アプライドバイオシステムズ社)を用いて決 定した。その結果、 RefSeqァクセッション番号 NM— 000125に示されるヒト ER aを コードする cDNAが前述の発現ベクター pcDNA3. l/V5— His—TOPOに挿入さ れて ヽることを確認した。以下この発現プラスミドを pcDNA— ERと略記する。
(2)ヒトエストロゲン受容体発現細胞の作製、及び本発明の同定方法による 17— β エストラジオール標的蛋白質の検出
10cmシャーレ上で 70%コンフルェント状態に培養した COS - 7細胞(ATCC)に、 リポフエクトァミン 2000試薬 (インビトロジェン社)を用いて、上記 pcDNA— ERを一 過性に導入した。 30時間培養した後、培地を除去し、氷冷した PBSで細胞を洗浄し た後に、 1. 0mlのバッファー A(50mMトリス塩酸(pH7. 5)、 10%グリセロール、 12 OmM NaCl、 ImM EDTA、 0. ImM EGTA、 0. 5mM PMSF、 0. 5% NP -40)を加えて溶解した。この細胞抽出液を 1500rpmで 5分遠心して沈殿物を除き 、上澄みの可溶画分 (以下、 ER受容体発現細胞抽出液)を集めた。この細胞抽出液 の可溶画分中には、 17— |8エストラジオール (以下、 E2と略記する)の薬効を示す 標的蛋白質であることが知られている(Green S. & Chambon P. Trends Genet. 1988 Nov;4 (l l) :p309— 314. ) ER a力含まれて ヽる。また、コント口 ールとして何も導入しな 、COS— 7細胞の細胞抽出液可溶画分 (以下、コントロール COS— 7細胞抽出液)を同様に調製した。 E2の存在下で、標的蛋白質である ERを 、シャペロン蛋白質である HSPA4蛋白質を用 、た本発明の同定方法で実際に検出 できるかどうか調べた。公知の GST—プルダウン法に従って、まずダルタチオンセフ ァロースビーズ上に精製した GST—HSPA4蛋白質又は GST蛋白質 (上述実施例 1 (2)で作製) 1 μ gと、上記の ER受容体発現細胞抽出液又はコントロール COS— 7細 胞抽出液とをそれぞれ混合し、 10 Mの E2の添加又は未添加状態でそれぞれ 4°C で 1時間振盪した。その後遠心分離によりビーズ上の GST— HSPA4又は GST蛋白 質に結合する蛋白質を共沈殿させた。これを上述のバッファー A' (バッファー Aの N aCl濃度を lOOmMに置換した緩衝液) 0. 5mlでけん濁し、再度遠心分離により共 沈殿させた。この操作を 4回繰り返した後、沈殿物中の蛋白質を公知の方法に従って SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離し、抗 ER a抗体 (MC— 20;サンタ クルーズ社)を用いたウェスタンブロット法により、 E2の標的蛋白質である ER aの量 を比較した。その結果(図 1)、 ER受容体発現細胞抽出液を用いた場合には、コント ロール COS— 7細胞抽出液を用いた場合には検出されな!、約 70kDaの ER aのバ ンドカ ¾2の未添加条件で検出された (レーン 5)。一方、 E2を添加した条件下では E R o;のバンドは微かにし力検出されな力つた (レーン 6)。これらの結果から、実際に分 子シャペロン蛋白質を用いて、分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を、試験薬 剤の添加又は未添加時で比較することにより、化合物を修飾する必要なしに、該試 験薬剤の標的蛋白質の検出が可能であることが証明された。
(3)本発明の同定方法による 17— βエストラジオールの標的蛋白質の検出 上述の実施例 2 (2)で、分子シャペロン蛋白質を用いて、分子シャペロン蛋白質に結 合する蛋白質を、試験薬剤の添加又は未添加時で比較することにより、該試験薬剤 の標的蛋白質の検出が可能であることが証明された。以下の実施例では、上述の実 施例 2 (2)で用いた以外の分子シャペロンを用いても、本発明の同定方法が有用で あることを確認した。
すなわち、本実施例(3)では、実施例 1 (2)の 25種類のシャペロン蛋白質を用いて、 上述の実施例 2 (2)と同様に、標的蛋白質である ERを、本発明の同定方法で実際に 検出できるかどうかを調べた。シャペロン蛋白質として、 HSPA4蛋白質を用いる代わ りに、上述の 25種類の GST融合蛋白質 (実施例 1 (2) )を、分子量に従って 3群 8又 は 9種類ずつに分けて各 0. 2 gずつ混合したもの、あるいは GST蛋白質 1. 4 g を用いること、及び ERに付カ卩した V5ェピトープを認識する抗 V5抗体 (インビトロジェ ン社)を用いてウェスタンブロット法を行い、得られたバンドのシグナルの強度を、 Ver saDoc Imageing System (バイオラッド社)を用いて、単位面積あたりの密度の測 定値として数値ィ匕すること以外は、実施例 2 (2)と同様に実験を行った。混合した各 8 又は 9種類の GST融合シャペロン蛋白質の内訳は、比較的高分子量のシャペロン群 である、 GST—HSPH1、 GST—HSPA4、 GST—HSPCA、 GST—HYOUl、 G ST-DNAJC6, GST— HSP90B1、 GST—HSPA9Bゝ及び GST—DNAJCl l を混合した群、中程度の分子量のシャペロン群である、 GST-HSPA1A, GST- HSPD1、 GST— DNAJA1、 GST— TCP1、 GST— CCT6B、 GST— HSPA14、 GST— DNAJC7、及び GST— STCHを混合した群、比較的低分子量のシャペロン 群である、 GST— HSPB1、 GST— HSPE1、 GST— DNAJA2、 GST— DNAJB1 1、 GST— DNAJB1、 GST— DNAJB2、 GST— HSPB2、 GST— HSPB5、及び GST— HCG3を混合した群の各 3群である。その結果(表 1)、いずれのシャペロン 蛋白質混合群を用いた場合でも、 ER受容体発現細胞抽出液からは、コントロール C OS— 7細胞抽出液を用いた場合には検出されない約 70kDaの ER aのバンドが E2 の未添加条件で検出され、 E2を添カ卩した条件下では ER aのバンドは微かにし力検 出されなかった。表中の ER (L)、 ER (M)および ER (H)は、それぞれ上述の比較的低分 子量のシャペロン群、中程度の分子量のシャペロン群および比較的高分子量のシャ ペロン群を用いた結果を示して 、る。
これらの結果により、多種類の分子シャペロン蛋白質を同時に用いた場合でも、試験 薬剤の添加又は未添加時で比較することにより、該試験薬剤の標的蛋白質の検出 が可能であることが確認された。
以下、実施例 3、実施例 4及び実施例 8において、種々の分子シャペロンを用いて、 本発明の同定方法で種々の各薬剤の標的蛋白質が同定できたことを示す。各実施 例で詳細に述べていない点については、上述の実施例 2に従って実験を行った。な お、ウェスタンブロット法により得られたバンドのシグナルの強度は、 VersaDoc Ima geing System (バイオラッド社)を用いて、単位面積あたりの密度の測定値として数 値化した。 [0070] <実施例 3 >種々の分子シャペロンを用いた本発明の同定方法
FKBP12は FK506及び FK1706の標的蛋白質の一つであることが知られている(J Biol Chem. 1993 Nov 5 ; 268 (31) : 22992— 22999、 Eur J Pharmaco 1. 2005 Feb 10 ; 509 (1) : 11— 19)。
ヒトのステロイドホルモン受容体の一種であるダルココルチコイド受容体(以下、 GR) は、デキサメタゾンの薬効を示す標的蛋白質であることが知られている (J Clin Inv est. 1995 Jun; 95 (6) : 2435— 2441)。
ヒトの水素葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase:以下 DHFRと略記する)はメ トトレキサート(以下 MTX)の薬効を示す標的蛋白質であることが知られて 、る Ci M ed Chem. 2000 Oct 19 ;43 (21): 3852— 3861)。
ヒト前立腺由来細胞である LNCaP細胞 (ATCC)の可溶画分中には、 5a—ジヒドロ テストステロン(以下 DHT)の標的蛋白質であることが知られている (J Steroid Bio chem Mol Biol. 1993 Dec ;46 (6) : 699— 711)アンドロゲン受容体(以下 A R)が含まれている。
ヒト血管由来細胞である HUVEC (ATCC)の可溶画分中には、アルドステロンの標 的蛋白質であること力 S知られて ヽる(Science. 1987 Jul 17 ; 237 (4812) : 268 - 275)ミネラルコルチコイド受容体(以下 MR)が含まれて 、る。
[0071] 以下の各細胞抽出液可溶画分を調製し、該細胞抽出液可溶画分中に存在する上 記各薬剤の標的蛋白質が、各シャペロン蛋白質群を用いた本発明の同定方法で検 出できるかどうか調べた。なお、薬剤の内、 FK506 (特公平 03— 038276号)及び F K1706 (欧州特許第 346427号)は合成し、その他の薬剤はシグマ社から購入して 用いた。 FKBP12、 GR、及び DHFRのバンドはいずれも上述実施例 2 (3)同様、各 標的蛋白質に付加した V5タグを認識する抗体を用いたウェスタンプロットで、 AR、 MRのバンドは市販の抗体(N- 20及び C-19、サンタクルーズ社)を用いたゥエスタ ンブロットでそれぞれ検出した。
(a)ヒトの FKBP12の全長域をコードする遺伝子 cDNA(RefSeqァクセッション番号 NM— 054014)を過剰発現させた HeLaS3細胞 (ATCC)の細胞抽出液可溶画分 (以下、 FKBP12発現細胞抽出液) Zシャペロン蛋白質群; GST— HSPH1、 GST — HSPA4、 GST— HSPCA、 GST— HYOUl、 GST— DNAJC6、 GST— HSP9 OBl、 GST— HSPA9B、 GST— HSPA1A及び GST— DNAJC11の各蛋白質を 混合した群
(b) GRの全長域をコードする遺伝子 cDNA (RefSeqァクセッション番号 NM— 001 024094)を過剰発現させた HeLaS3細胞の細胞抽出液可溶画分(以下、 GR発現 細胞抽出液) Zシャペロン蛋白質群; GST—HSPA1A、 GST—HSPH1、 GST— HSPCA、 GST—HSPA4の各蛋白質の混合群
(c) DHFRの全長域をコードする遺伝子 cDNA (RefSeqァクセッション番号 NM—0 00791)を過剰発現させた HeLaS3細胞の細胞抽出液の可溶画分(以下、 DHFR 発現細胞抽出液) Zシャペロン蛋白質群; GST—HSPD1、 GST—DNAJA1、 GS T—HSPB1、 GST—HSPElの各蛋白質の混合群
(d) LNCaP細胞可溶画分 Zシャペロン蛋白質群; GST—HSPA1A、 GST—HSP Hl、 GST— HSPCA、 GST— HSPA4の各蛋白質の混合群
(e) HUVEC可溶画分 Zシャペロン蛋白質群; GST— HSPA1A、 GST— HSPH1 、 GST—HSPCA、 GST—HSPA4の各蛋白質の混合群
(f) HeLa細胞の細胞抽出液可溶画分(以下、コントロール HeLa細胞抽出液;上記( a)〜(c)のコントローノレ)
その結果 (表 1)、 FKBP12発現細胞抽出液、 GR発現細胞抽出液、及び DHFR発 現細胞抽出液を用 ヽた場合には、コントロール HeLa細胞抽出液を用 ヽた場合には 検出されない FKBP12、 GR、及び DHFRのバンド力 各薬剤の非添加条件に比較 して、添加条件でより明確に検出された。また、 ARのバンドは、 DHTの未添加条件 下でより明らかに検出され、 MRのバンドはアルドステロンを添加した条件下でより明 確に検出された。これらの結果から、実施例 2と同様、種々の分子シャペロン蛋白質 を用いて、分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を、試験薬剤の添加又は未添加 時で比較することにより、該試験薬剤の標的蛋白質の検出が可能であることが確認さ れた。
[表 1] 標的蛋 Α質の検出量 標的蛋白質 薬剤 (濃度 μ Μ) 非添加 添加
ER (L) E2 (100) 18 8
ER ( ) E2 (100) 14 10
ER (H) E2 (100) 4 3
FKBP12 FK506 (100) 2 5
FKBP12 FK1706 (100) 941 2361
GR ダ ココ チコィ ド (ΐϋϋ) 8069 9362
PPAR y ピオグリタゾン (100) 7248 9229
AR DHT ( 100) 11535 9408
MR D-アル テロン (100) 47 53
DIII'R ΜΊ Χ ( 100) 3552 4856
<実施例 4 >分子シャペロンを用いたビグアナイドの標的蛋白質の同定
上述実施例 2 (2)に示した方法を用いて、これまで糖尿病治療薬として有意な薬効を もちながらも、直接の標的蛋白質が不明であったビグアナイドの標的蛋白質の探索 を試みた。まずラット骨格筋由来細胞である L6細胞 (ATCC社)を 10%ゥシ胎児血 清 (FCS)を含む (X最小必須培地( a MEM、インビトロジヱン社)に懸濁し、コラーゲ ンコートした 15cm径のプレート (旭テクノグラス社)上でコンフルェント状態になるまで 培養した。この細胞を氷冷したリン酸緩衝液 (PBS) 15mlで 2回洗浄した後に、上述 のバッファー A 2. Omlをカ卩えて溶解し、スクレーパーを用いて細胞抽出液を収集し た。この細胞抽出液を 1500rpmで 5分遠心して沈殿を除き、上澄みの可溶画分を集 めた。この細胞抽出液の可溶画分中に、ビグアナイドの一種で臨床で血糖降下作用 が認められている(UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group : Lan cet, 352, 854 ( 1998年))フェンフオルミン(シグマ社)を終濃度 50 Mになるように 添加した、あるいは未添加の状態で、上述実施例 2 (2)と同様にダルタチオンセファ ロースビーズ上に精製した GST—HSPA4蛋白質 1 μ gをカ卩えてプルダウン実験を 行った。 4°Cで 1時間振盪した後、遠心分離によりビーズ上の GST— HSPA4に結合 する蛋白質を共沈殿させた。なお、ここでは分子シャペロン蛋白質をビーズ上力 脱 落させないために、あら力じめ分子シャペロン蛋白質とビーズを公知の方法によりィ匕 学的に架橋させて用いた。具体的には、ダルタチオンセファロースビーズ上に精製し た GST—HSPA4蛋白質を 0. 2Mのホウ酸ナトリウム溶液で洗浄した後、 20mM D MPでけん濁して 4°Cで 45分処理した。これを 0. 2Mモノエタノールァミン溶液で洗 浄して反応を停止したのち、 20mMダルタチオン溶液をカ卩えて洗浄し、架橋されてい ない分子シャペロン蛋白質を除いたものをプローブとして利用した。 GST—HSPA4 に結合する蛋白質を共沈殿させた後、終濃度 50 Mのフェンフオルミンを添加、ある いは未添カ卩の上述のバッファー A' O. 5mlでけん濁し、再度遠心分離により共沈殿さ せた。この操作を 4回繰り返した後、沈殿物中の蛋白質を公知の方法に従って SDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離し、公知の銀染色法により蛋白質を検出 した。その結果、未添カ卩時に比較し、フェンフオルミンの添カ卩時に分子シャペロン蛋 白質との結合量が減少する約 60kDaの大きさの蛋白質バンドの存在を検出した。該 蛋白質はフェンフオルミンの添カ卩により立体構造に変化をもたらされる、フェンフオル ミンの標的蛋白質の一つであると考えられる。そこで、このバンドを切り出し、トリプシ ンを用 V、てタンパク質を断片化した後、生じたペプチド混合物をゲルより回収して公 知の方法(Schevchenkoら、 Analytical Chemistry,第 68卷、第 850— 858頁、 1996年)に従い、マススペクトル解析により蛋白質の同定を行った。その結果、該バ ンド中の蛋白質は ATP5B (RefSeqァクセッション番号 NP— 599191)であることが 明らかになった。
<実施例 5 > ATP5Bとビグアナイドの結合、及び ATP5Bのビグアナイド応答性の 検証
(1)ヒト ATP5B遺伝子のクローユング及びヒト ATP5B発現プラスミドの作製 まずヒト ATP5B遺伝子のクローユングを行った。配列番号 80及び配列番号 81で表 される塩基配列のプライマーを合成し、該プライマーを用いて、ヒト骨格筋由来 cDN Aライブラリー(クロンテック社)中力も PCR法によりヒト ATP5Bの全長 cDNAの増幅 を試みた。 PCR反応は DNAポリメラーゼ (TAKARA LA Taq ;宝酒造社)を用い 、 94°C (3分)の後、 94°C (30秒)、 58°C (1. 5分)、 72°C (4分)のサイクルを 35回繰 り返し、その PCR産物を铸型にしてさらに同じ条件で PCRを行った。 PCR産物をァ ガロースゲル電気泳動によって分離した結果、約 1600塩基対の DNA断片が増幅さ れたことを確認した。そこで反応液中の同 DNA断片を発現ベクター(pcDNA3. 1/ V5— His— TOPO ;インビトロジェン社)に TOPO TA Cloning システム(インビト ロジェン社)を用いてクローニングした。このとき用いた配列番号 81に示すプライマー はクロー-ング後 3,側にベクター由来の V5ェピトープ(paramyxovirus SV5の V protein由来、 Southern J A, J. Gen. Virol. 72, 1551— 1557, 1991)及 び His6タグ(Lindner P BioTechniques22, 140—149, 1997)がヒト ATP5B 遺伝子のトリプレットと同じフレームで続くように、ヒト ATP5Bのストップコドン配列が 除かれるよう設計した。得られたプラスミド中の挿入 DNA断片の塩基配列を、ベクタ 一上の T7プロモーター領域に結合するプライマー(TOPO TA Cloning kitZィ ンビトロジェン社;配列番号 89)とシーケンシングキット(アプライドバイオシステム社) 及びシーケンサー(ABI 3700 DNA sequencerアプライドバイオシステムズ社) を用いて決定した。その結果、配列番号 1に示すヒト ATP5Bの全長 cDNA配列を含 むクローンであることを確認した。以下この発現プラスミドを pcDNA— ATP5Bと略記 する。
本発明の同定方法により見出された、ビグアナイドの標的蛋白質と考えられる ATP5 Bがビグアナイドの薬理作用(主作用)をもたらす真の標的蛋白質であることを、以下 の実験により検証した。なお、従来の化合物の標的蛋白質の探索手法はいずれも化 合物と蛋白質の直接の結合のみを指標とするため、該化合物に結合する蛋白質は 多数得られるが、実際に化合物の薬効に関わる蛋白質が見出される確率は概して低 かった。本発明の方法は、従来法と異なり、化合物が結合した蛋白質の立体構造の 変化を指標として化合物の標的を見出そうとするものであり、必然的に、見出される 蛋白質は単なる化合物の結合蛋白質でなぐ該化合物により機能を大きく変化させら れる蛋白質分子であることが期待できる。
(2) DHFR遺伝子のクローユング及び GST融合型 DHFR発現プラスミドの作製 前述実施例 3で述べた DHFRは MTXと結合することが知られて 、る蛋白質である。 (Proc Natl Acad Sci U S A. 87卷 8号 : 2955— 2959頁 1990年)。後 述する実施例において ATP5Bとビグアナイドの生化学的な結合を検出するための ツールとして利用するため、ヒト DHFR遺伝子の全長 cDNA(RefSeqァクセッション 番号 NM— 000791)を、ヒトリンパ球 cDNAライブラリー(クロンテック社)を铸型とし、 配列番号 84及び配列番号 85で表される塩基配列のプライマーを用いて、実施例 2 ( 1)と同じ条件でクローユングした。得られた約 560塩基対の DHFRの cDNA断片を pcDNA3. 1/V5— His— TOPOにクローユングした後、 DHFR cDNAの断片を 上記プライマーの両端に付カ卩した制限酵素サイト BamHI及び Xholを利用してベタ ター力も切り出した。同時に GST融合蛋白質発現ベクターである pGEX— 6P— 1 (ァ マシャム社)を制限酵素 BamHI及び Xholでそれぞれ切断し、直鎖状にした。両者を 混合したものを DNA ligase液(DNA ligation kit II;宝酒造社)と混合して 16 °Cで 3時間処理し、 pGEX— 6P— 1のマルチクローユングサイトに DHFR cDNAが 挿入されたプラスミド (以下 pGEX— DHFRと略称する)を作製した。配列番号 86に 示すオリゴヌクレオチドをプライマーとして、前述実施例と同様に塩基配列の決定を 行!、、 DHFRの cDNAのコード領域と pGEXベクターの GSTタグ翻訳フレームがー 致して挿入されて!ヽるものを選択した。
[0076] (3) GST融合型 DHFR蛋白質の発現及び精製
上記実施例 5 (2)で作製した pGEX— DHFRをヒートショック(heat shock)法による 形質転換で大腸菌 BL21に導入した。 2. 4mLの培養液で一晩振盪培養した後、そ の全量を 400mL培養液に移し変え、 37°Cで 3時間振盪培養した後、最終濃度が 2. 5mMとなるように IPTG (シグマ社)を添加し、更に 3時間振盪培養して GST融合 DH FR蛋白質 (以下 GST— DHFRと略記する)の発現を誘導した。菌体を回収し、公知 の GST—プルダウン法に従って GST— DHFRをグルタチオンセファロースビーズ上 に精製した。コントロールとして pGEX—6P— 1で形質転換した大腸菌 BL21から GS Tタグ部分のみの蛋白質 (以下 GST蛋白質と略記する)を上述と同様に発現誘導し て精製した。公知の方法に従って SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分離 及びクーマジ一ブリリアントブルー染色を行い、期待される分子量の蛋白質 (GST— DHFR; 45kDa、 GST蛋白質; 26kDa)が精製されて 、ることを確認した。
[0077] (4)ビグアナイドと ATP5Bの生化学的な結合
上述実施例 5 (3)で作製した GST— DHFR蛋白質を利用してビグアナイドと ATP5 B蛋白質の生化学的な結合の有無を調べた。具体的には、 DHFRがメトトレキサート (MTX)と結合する性質を利用して、ビグアナイドの一種であるフェンフオルミンの分 子構造の一部にメトトレキサートを融合させたィ匕合物(2S)— 5— [ (3 { [{ [ァミノ (ィ ミノ)メチル]ァミノ } (ィミノ)メチル]ァミノ }プロピル)ァミノ] 2— ({4— [ [ (2, 4 ジァ ミノプテリジン— 6—ィル)メチル] (メチル)ァミノ]ベンゾィル }ァミノ)—5—ォキソペン タン酸 2塩酸塩 (以下 MTX—フェンフオルミンと略記する)を作製し、この化合物を 、グルタチオンセファロースビーズ上に精製した GST—DHFRに MTXの部分で結 合させて固定し、突き出したフェンフオルミン側で ATP5B蛋白質との結合の有無を G ST プルダウン法によって確認した。
まず、 MTX フェンフオルミンは、以下の反応式に従って周知の有機合成技術を用 いて調製した。
[化 1]
Figure imgf000058_0001
ビグアナイド化 化合物 A
化合物 A +
Figure imgf000058_0002
J.Med.Chem., 24(12), 1450-1455
アミド化 加水分解
Figure imgf000058_0003
続いて、合成した上記 MTX フェンホルミンと、 GST—DHFR蛋白質とを用いた G ST プルダウン法により、フェンフオルミンと ATP5Bの結合を調べた。まず上述実 施例 5 (1)で作製した pcDNA—ATP5Bの 1. 0 μ gを铸型として、 TNT システム(T NT Quick Coupled Transcription/ Translation System;プロメガ社) 40 1及びラジオアイソトープ (redivue Pro -mix L— [35S];アマシャム) 0. 74MBqを 混合し、添付のプロトコールに従って in vitroでの転写'翻訳によりラジオァイソトー プラベルされたヒト ATP5B蛋白質を調製した。このヒト ATP5B蛋白質調製液 15 1 とグルタチオンセファロースビーズ上に精製した GST蛋白質あるいは GST—DHFR の各 l /z gを混合し、 0. 3mlのバッファー Aを添カ卩して 4°Cで 1時間振盪した。その後 遠心分離によりビーズ上の GST蛋白質あるいは GST— DHFRに結合する蛋白質を 共沈殿させた。これを上述のバッファー A' O. 5mlでけん濁し、再度遠心分離により 共沈殿させた。この操作を 4回繰り返したのち、沈殿物中の蛋白質を公知の方法に 従って SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離し、オートラジオグラフィによ りプローブに結合した蛋白質を検出した。この実験において、すべての工程でバッフ ァ一中に前述の MTX—フェンホルミンを終濃度 10 M添加、あるいは非添力卩の各 条件で実施し、結果を比較した。その結果、図 1に示す通り、 in vitroで合成された 約 60kDaのヒト ATP5B蛋白質のバンドが MTX—フェンフオルミンを添カ卩した条件下 でのみ、 GST— DHFRと結合して検出された。このヒト ATP5B蛋白質のバンドは、 G ST蛋白質を混合した場合、ある 、は MTX—フェンフオルミンを添カ卩しな 、条件下で は検出されなかった。これにより、ツール用ポリペプチドの 1つであるヒト ATP5Bは、 フェンフオルミンに直接結合することがわかった。
(5) ATP5B分子表面に存在するビグアナイド結合部位の予測
上述の実施例 5 (4)の結果から、ツール用ポリペプチドの 1つであるヒト ATP5B蛋白 質は、フェンフオルミンと直接結合することが確認された。そこで、 ATP5Bの蛋白質 分子表面にビグアナイドが結合しうる鍵穴となる構造が存在するのかを、ゥシ ATP5B の X線結晶構造解析のデータをもとに計算機上で調べた。具体的には、 F1F0—AT P合成酵素 (F1は細胞外、 F0は細胞内多量体を示す)のサブユニットの一つである ATP5Bの蛋白質表面上において、ビグアナイドの結合が可能と判断される部位 (サ イト)の予測を行った。
結晶構造データを「RCSB Protein Data Bank」から 1BMFという IDで取得した 。 1BMFには、ゥシミトコンドリア Fl— ATP合成酵素(Bovine Mitochondrial Fl -ATPase)の 7量体分子( αサブユニット 3つ(A、 B、 C鎖)、 j8サブユニット 3つ(D、 E、 F鎖)と γサブユニット 1つ(G鎖))が納められている。 ATP5Bは FIFO— ATP合 成酵素の細胞外領域である F1— ATP合成酵素の βサブユニットであり(Nature. 1997 ; 386 : 299 - 302, Nature. 1994 ; 370 (6491) : 621— 628)、ゥシ ATP5 Bは、ヒト ATP5Bと 99%のアミノ酸残基における同一性を保持している(ヒト ATP5B は 529残基であり、ゥシ ATP5Bは 482残基である。ヒト ATP5Bの方が N末端で 46 残基長ぐ C末端では 1残基長い)。解析には、上記ゥシミトコンドリア F1—ATP合成 酵素の 7量体分子の内、ゥシ ATP5Bである βサブユニットの一つである D鎖とその 隣接する exサブユニットである Α鎖及び C鎖のみ(以後複合体 α β aと記載する)を 使用した。解析にはケミカルコンピューティンググループ社(CCG社; Chemical Co mputing Group Inc. ) (DMOE (Molecular Operating Environment)ソフト ウェアに用意されている機能である Ph4Dockを用いた。 Ph4Dockとは、リガンドと受 容体の 3次元構造を与えるだけで、計算機を利用してその結合位置も含めて自動的 に安定な複合体構造を探索する機能である (J Med Chem. 2004 Dec 30 ; 4 7 (27) : 6804—11)。この機能を利用してビグアナイドの一種であるメトフオルミン及 びフェンフオルミンの構造情報と複合体 α β αの構造情報を与え、複合体 α β 上 でのこれらの化合物が結合する部位を探索した。以下表 2にメトフオルミン (metform in)、フ ンフオルミン (phenformin)各々と複合体 α β aが結合して安定な複合体 形成を可能にするゥシ ATP5B蛋白質分子表面上の部位を探索した結果を示す。
[表 2]
メトフオルミン フェンフォゾレミン
Figure imgf000061_0001
表 2はメトフオルミン、フェンフオルミン各々が結合した部位と、その時の結合に関する エネルギー値 (U_ele + U_vdw)を示して!/、る。表中におけるサイトは結合部位を 表しており、便宜的により大きくより疎水性の高い結合部位に順に番号を付けている 。 U—eleは静電相互作用エネルギーを、 U—vdwはファンデアワールスエネルギー をそれぞれ表しており、 U— ele + U— vdwの値が小さ!/、順に上から 20個の候補を 並べて表記した。力場は mmff94sを使用した。ここでメトフオルミン、フェンフオルミン が同じ分子を薬効標的としているという仮定に基づくと、メトフオルミンとフェンフオルミ ンが共通に結合する結合部位はサイト 20とサイト 29のみとなる。また、上述の実施例 5 (4)より、 in vitroで転写'翻訳させて作製したヒト ATP5Bがフェンフオルミンと結 合したことから、 ATP5Bは複合体の状態ではなくても単独でビグアナイドと結合しう ることがゎカゝる。そこで ATP5Bが単独で結合部位を形成して ヽる部位に限定すると サイト 20のみが候補として残る。以上より、メトフオルミン及びフェンフオルミンは複合 体 a j8 αのサイト 20に結合すると予測された。 上述の予測、すなわちフェンフオルミンが直接サイト 20に結合して 、る事を検証する 為には、フ ンフオルミンが結合する為に最も重要な残基を見出し、その残基を変異 させることで結合能が無くなることを実験的に示せばよい。そこで、フェンフオルミンと サイト 20との結合を観察した結果、 3パターンの結合様式の存在が予測された。それ ら結合様式のいずれにおいても、 ATP5B分子内のアミノ酸残基である Glul25, G1 u241, Asp245の 3箇所 (数字はいずれもゥシ ATP5B分子におけるァミノ末端側か ら数えたアミノ酸残基の位置を示す)での共同的な分子認識が行われて 、る事が分 かった。そこで、以下の実施例に示す方法に従い、上記のゥシ ATP5Bの 3アミノ酸 残基のうちヒト ATP5B分子上でそれら Glul25、 Asp245に相当する Glul75、 Asp 295をそれぞれ置換した変異型ヒト ATP5Bを実際に作製し、フェンフオルミンとの結 合能を調べた。
(6)変異型ヒト ATP5B発現プラスミドの作製及び変異型ヒト ATP5Bのビグアナイド 結合能の検証
前述の発現プラスミド pcDNA— ATP5Bを铸型として、配列番号 87と配列番号 81、 及び配列番号 80と配列番号 88で表される塩基配列のプライマーの各セットを用いて 、 PCR法によりヒト ATP5Bの 175番目のアミノ酸である Gluが Valに置換する変異を 生じた cDNAの 5'側約 530塩基対、 3'側約 1080塩基対の 2つの DNA断片をそれ ぞれ増幅した。 PCR反応、クロー-ング工程、塩基配列の決定はいずれも実施例 5 ( 1)に示した方法と同一である。得られた 2本の PCR産物を等量ずつ混合したものを 铸型にして、今度は配列番号 80と配列番号 81に示すプライマーを用いて PCR反応 を行うことにより約 1600塩基対の Glul75Val変異型 ATB5Bをコードする全長 cDN Aを得た。この cDNA断片を発現ベクター(pcDNA3. 1ZV5— His— TOPO ;イン ビトロジェン社)にクローユングした後、配列番号 90に示す合成 DNAプライマーを用 いてベクターに挿入された塩基配列を同定し、 ATB5Bに Glul75Val変異が生じて いることを確認した。得られた発現プラスミドは以後 pcDNA— ATP5B (E175V)と 略記する。次に、配列番号 91と配列番号 81、及び配列番号 80と配列番号 92で表さ れる塩基配列のプライマーの各セットを用いて、同様の方法により、 Asp295Val変 異型 ATB5Bをコードする全長 cDNAを取得し、発現ベクター pcDNA— ATP5B (D 295V)を作製した。
上記で作製した pcDNA— ATP5B (E175V)及び pcDNA— ATP5B (D295V)を 用いて上述の実施例 5 (4)に示した方法に従って、 Glul75Valもしくは Asp295Val 変異型 ATP5B蛋白質とフェンフオルミンの結合能をプルダウンアツセィ(pull—dow n assay)により検証した。その結果、図 3に示すとおり、野生型 ATP5Bで確認でき るフェンフオルミンとの結合がバンドで確認できている力 Glul75Val及び Asp295 Val変異型 ATP5Bではバンドが消失し、結合が確認できな力つた。この事実により、 ヒト ATP5B蛋白質の Glul75、 Asp295がフェンフオルミンとの結合に重要であること が実験的に裏付けられた。また、実施例 5 (4)の結果で示された通り、ツール用ポリ ペプチドの 1つであるヒト ATP5B蛋白質は、フェンフオルミンと直接結合していること がわかった。
[0081] (7)ヒト ATP5B又は LKB1の過剰発現細胞におけるビグアナイドの AMPK活性化 能の検出
ビグアナイドはこれまで直接の標的蛋白質は不明であった力 細胞内の AMP活性 化キナーゼ (AMPK)をリン酸ィ匕し、活性ィ匕することが明らかにされている(Zhou G ら J Clin Invest. 2001 Oct; 108 (8): 1167— 74)。 AMPKの活性は細胞へ の糖取り込みを促進し、糖代謝を改善することから、この AMPKの活性ィ匕はビグアナ イドの薬効である糖尿病治療効果をもたらす主要な作用経路であると考えられている
。本発明の同定方法により見出された ATP5Bがビグアナイドの薬効 (主作用)を担う 真の標的分子であるなら、 ATP5B蛋白質はビグアナイドにより作動する細胞内シグ ナル伝達系において、 AMPKの活性化より上流に位置しているはずである。そこで 、実験においてビグアナイドに結合する ATP5B分子力 実際に AMPK活性ィ匕の上 流にあることを検証するため、細胞に ATP5Bを過剰に発現させた状態で、ビグアナ イドによる AMPKの活性ィ匕が影響を受けるかどうかを調べた。
[0082] 上記の目的のため、まず、ヒト ATP5Bと対比するコントロールとして、 AMPKをリン酸 化する酵素の一つであることが示されている(Hardie DG, J Cell Sci. 2004 Nov l ; 117 (Pt 23) :p5479— 5487) LKBl蛋白質をコードする遺伝子 cDNA のクロー-ング及び LKB1発現プラスミドの作製を行った。 上述の実施例 5 ( 1)で述べた方法と同様にして、配列番号 82及び配列番号 83で表 される DNAオリゴプライマーを作製し、ヒト腎臓由来 cDNAライブラリー(クロンテック 社)を铸型として PCR法によりヒト LKB1遺伝子の全長 cDNAをクローユングした。 P CR反応は上述の実施例 5 ( 1)と同じ条件で行い、増幅された約 1300塩基対の DN A断片を発現ベクター pcDNA3. 1/V5— His— TOPOへ挿入した。完成したプラ スミドの挿入 DNA断片の塩基配列を決定した結果、 RefSeq ァクセッション番号 N M— 000455に示されたヒト LKB1の全長 cDNA配列からなるクローンであることを 確認した。以下この発現プラスミドを pcDNA— LKB1と略記する。
この発現プラスミド pcDNA— LKB1、上述の実施例 5 ( 1)で作製した pcDNA— AT P5B、又は空ベクター(pcDNA3. 1) (インビトロジェン社)を HeLaS3細胞に導入し た。 HeLaS3細胞(ATCC)は 6ゥエル培養プレート(ゥエル直径 35mm)の培養皿に 各ゥエル 2mlの 10%牛胎児血清(シグマ社)を含む最少必須培地 DMEM (ギブコ社 )をカ卩えて 70%コンフルェントの状態になるまで培養した。培地を、ゥエルあたり lml の無血清培地 OPTI MEM 1 (インビトロジェン社)に置換し、リポフエクトァミン 200 0 (インビトロジェン社)を用いて空ベクター(pcDNA3. 1)、 pcDNA— LKB1、又は pcDNA— ATP5Bの各 3. 0 gZゥエルを一過性に導入した。 12時間培養後、チヤ コール処理により低分子を除いた牛胎児血清を 10%含む DMEMの 2mlZゥエルで 置換し、さらに 36時間培養した。そこへフェンフオルミン (シグマ社)を終濃度 ImM添 カロ、あるいは溶媒 (DMSO)のみを添加した条件下でさらに 1時間(lhr)培養した。 培地を除去し、細胞をリン酸緩衝液 (以下 PBSと略称する)で洗浄した後にゥエルあ たり 0. 15mlの上述バッファー A (但し、 NaCl濃度は 150mMで各種フォスファタ一 ゼ阻害剤; 2mM Na VO , 10mM NaF, 25mM β—グリセ口ホスフェート, 0. 2
3 4
mM Ma MoO , 20ηΜ オカダ酸を添加)をカ卩えて細胞を溶解した。公知の SDS
2 4
電気泳動法、及び抗リン酸化 ΑΜΡΚ抗体(Phospho— ΑΜΡΚ— a (Thrl 72) Ant ibody、第一化学薬品)を用いたウェスタンブロット法により細胞中の AMPKの活性 を分子のリン酸化レベルとして検出した。このとき、 ΑΜΡΚ α (リン酸化をうける AMP Kのサブユニット)の蛋白質量は各試料間で差がないことを確認するため、同時に抗 ΑΜΡΚ α抗体 (第一化学薬品)を用いたウェスタンプロットを行った。その結果、図 4 に示す通り、上述の空ベクターを導入した細胞、及び pcDNA—LKBlを導入して L KB1を発現させた細胞では、いずれも溶媒で処理した場合と比較して、フェンフオル ミンで処理した場合に AMPKのリン酸ィ匕レベルが顕著に亢進し、活性化されて!/、る のが観察された。ところが、 pcDNA— ATP5Bを導入してヒト ATP5Bを発現させた 細胞では、フェンフオルミン処理による AMPKの活性ィ匕が見られなくなった。
フェンフオルミンの代わりにメトフオルミン(シグマ社)を終濃度 10mM添加し、同様の 実験を行ったところ、ヒト ATP5Bを発現させた細胞ではフェンフオルミン処理した場 合と同様に、 AMPKの活性ィ匕がみられなくなった。
これらは、細胞内で ATP5B蛋白質の存在量が変化することでフェンフオルミンゃメト フオルミンなどのビグアナイドの薬効に寄与する AMPKの活性ィ匕能が変化することを 意味し、ビグアナイドの細胞内シグナルにお 、て ATP5Bが明らかに AMPKの上流 に位置することを示している。この事実と、上述の実施例において ATP5Bとフェンフ オルミンの生化学的な結合が示された事実と併せ考えることにより、 ATP5Bは、ビグ アナイドに結合し、かつ該化合物の薬効に寄与する真の標的蛋白質であると結論で きる。なお、 ATP5Bの過剰発現によってビグアナイドによる AMPKの活性化、即ちリ ン酸化の亢進が妨げられた現象は、以下のいずれかの説により説明される。 ATP5B が元々 AMPKのリン酸ィ匕を抑制する作用を有しており、ビグアナイドは ATP5Bに結 合してその AMPK抑制作用を妨げることで AMPKを活性ィ匕して ヽると ヽぅ機序によ り説明される。又は、内在性分子と複合体を形成することで作用する ATP5B分子を 単独で過剰発現させたために、ビグアナイドが過剰な単体の ATP5Bに結合してパ ージ (purge)された (取り除かれた)結果、本来ビグアナイドが ATP5Bを含む複合体 分子を介して起こる AMPKのリン酸ィ匕の亢進が見られなくなつたと説明される。なお 、この様な、標的蛋白質の過剰発現により化合物の作用が相殺される現象は一般に 知られており、特定蛋白質が化合物の標的蛋白質であることを同定する手段としても 利用されている(Curr Genet. 2002 ;41 (3) :pl42— 149、 J Biol Chem. 2 005 ; 280 (13): pl2231 - 12238, Proc Natl Acad Sci U S A. 1996 ; 9 3 (21) : 11919— 11924、 Yeast, 1998 14 (10) : 935— 942)。上記いずれの説 の説明によっても、 ATP5Bは、ビグアナイドの薬効に寄与する標的蛋白質であること に変わりはなぐ ATP5Bに結合する物質は、ビグアナイドと同じ薬効 (主作用)を有 する。
以上の結果により、 ATP5Bを含むツール用ポリペプチドを糖尿病治療薬であるビグ アナイドの標的蛋白質として利用する(即ち糖尿病治療薬スクリーニングツールとして 使用する)ことによって、糖尿病治療薬であるビグアナイドがもたらす薬効と同じ主作 用効果を、同一の細胞内シグナル経路を利用することによって惹起しうる化合物(即 ち糖尿病治療薬)を選択できることが示された。
また、本発明の同定方法によって、化合物の主作用に寄与する、試験薬剤の標的タ ンパク質を同定できることが証明された。
[0083] <実施例 6 >ツール用ポリペプチドを利用した糖尿病治療薬のスクリーニング方法
(1)スクリーニング方法
ビグアナイドとツール用ポリペプチドの一つである ATP5B蛋白質を用いて、該ポリべ プチドとビグアナイドの結合の変化を指標にして、該ポリペプチドに結合する試験物 質 (即ち糖尿病治療薬)を選択することのできるスクリーニング方法を示す。
上述の実施例 5 (4)で述べた方法に従って、 ATP5Bとビグアナイドの結合を検出す ることができる。図 5に示す通り、実施例 5 (4)で述べた方法において、存在させる M TX—フェンフオルミンの濃度(1. 0, 10, 100 iu M)を高くすると、ATP5B蛋白質と の結合はより明確に検出された。この系に、試験物質として、フリーのフェンフオルミ ン(10 M)を添加すると、図 6に示す通り、該蛋白質と MTX—フェンフオルミンとの 結合が妨げられることが示された。ここで添カ卩したフェンフオルミンを評価した 、試験 物質に置き換えることにより、該試験物質が ATP5B蛋白質と MTX—フェンフオルミ ン (ビグアナイド)との結合に変化を与える力否かを調べることができ、ビグアナイドと ツール用ポリペプチドとの結合を競合阻害し、ツール用ポリペプチドと結合する物質 、即ち糖尿病治療薬をスクリーニングすることができる。上述に記載の条件のうち、 M TX—フェンフオルミンの濃度が 10 μ Μであるとき、 IC50力 0 μ Μ以下の物質を、 好ましくは 1 μ Μ以下の物質を、更に好ましくは 0. 1 μ Μ以下の物質を糖尿病治療 薬として選択する。
[0084] (2)糖尿病治療薬のスクリーニング 上記(1)のスクリーニング方法に従い、 MTX フェンフオルミン(MTX—PF)の濃 度が Mの条件下で、試験物質として、フリーのフェンフオルミンの代わりに各種 化合物を添加してスクリーニングを実施した結果、 2種類の化合物、 2- [ (E) - (1H —1, 2, 4 トリァゾール— 3—イリミノ)メチル]フエノール (メイブリッジ社、以後化合 物 Aと略記)及び 6 クロロー 9H プリン 2 ァミン (オーロラ社、以後化合物 Bと 略記)がヒットィ匕合物として見出された。即ち、図 7に示すとおり、これらの各 2化合物 は、 10 μ Μの添加で、 ΑΤΡ5Β蛋白質と ΜΤΧ—フェンフオルミンとの結合を妨げるこ とを示した。さらに、これら各化合物は前述の実施例 5 (7)に示した ΑΜΡΚ活性ィ匕能 の検出実験にぉ 、て 、ずれも有意な ΑΜΡΚ活性ィ匕能を示し、同活性ィ匕能は実施例 5 (7)に示したフェンフオルミン、メトフオルミンの場合と同様に、 ΑΤΡ5Βの過剰発現 により消失した。これらの結果は、上記の化合物 Α及びィ匕合物 Βがいずれも ΑΤΡ5Β のビグアナイド結合部位に直接相互作用し、細胞内の AMPKを活性ィ匕することを示 している。同時に、実施例 6 (1)に示した本明細書のポリペプチドを利用した糖尿病 治療薬のスクリーニング方法により、実際にビグアナイドと同様の AMPK活性ィ匕能を 有する化合物が選択できることが確認された。
<実施例 7 >ヒット化合物の血糖降下作用、及び血中乳酸値に与える影響の測定 上述実施例 6に記した通り、本発明のスクリーニング方法で見出された化合物 A及び 化合物 Bは、細胞の AMPK活性ィ匕能を有する。次にこれらの化合物がビグアナイド 同様に in vivoで血糖降下作用を有するかどうかを調べた。同時にビグアナイドの副 作用である血中の乳酸値増加につ 、ても上述 2化合物の作用を調べた。糖尿病モ デルマウスである dbZdbマウス(BKS . Cg— + Leprdb/ + Leprdb/Jcl;日本 クレア)の 11週齢の雄 15匹を 5匹ずつ 3群に分けた。メトフオルミン(シグマ社)及び上 述化合物 Aを溶媒(5%クレモホール、 0. 2%メチルセルロース: MC)でそれぞれ 30 mgZml又は lOmgZmlの濃度で溶解した。上記マウス各 5匹にメトフオルミンは体 重あたり 300mgZkg、化合物 Aは体重あたり lOOmgZkgをそれぞれ腹腔内に投与 し、同容量の溶媒(5%クレモホール、 0. 2%MC)のみを投与した群と比較した。投 与と同時に絶食させ、開始力も 0分、 90分、 180分後にそれぞれ尾部から採血して 血糖値及び血中乳酸値を測定した。血糖値は簡易血糖測定装置 (アキュ ·チェックァ クティブ π;ロッシュ)を用いて測定し、血中乳酸値は簡易乳酸測定装置 (ラタテート · プロ;アークレイマーケティング (株)を利用してそれぞれ測定した。同様に dbZdbマ ウスの 18週齢雄 12匹を 4匹ずつ 3群に分けた。メトフオルミン (シグマ社)及び上述化 合物 Bを生理食塩水でそれぞれ 30mgZml又は 9mgZmlの濃度で溶解した。上記 マウス各 4匹にメトフオルミンは体重あたり 300mgZkg、化合物 Bは体重あたり 90mg Zkgをそれぞれ腹腔内に投与し、同容量の溶媒 (生理食塩水)のみを投与した群と 比較した。前述と同様、投与と同時に絶食させ、開始力も 0分、 90分、 180分後にそ れぞれ上述と同様に血糖値及び血中乳酸値を測定した。
その結果、メトフオルミンはいずれの実験においても溶媒投与群に比較して 90分、 1 80分で有意な血糖降下作用を示した。化合物 A及び化合物 Bは、いずれも、 90分、 180分で有意差を持って血糖降下作用を示した(図 8A、 C)。一方で、メトフオルミン 投与群はいずれの実験でも 90分後に有意な血中乳酸値の上昇を引き起こしたが、 化合物 A又は化合物 Bのいずれも血中乳酸値の上昇を引き起こさなかった(図 8B, D)。この結果から、本発明のスクリーニング法により、実際にビグアナイドと同様の有 意な血糖降下作用を持つ新たな糖尿病治療薬を見出せることが確認された。加えて 、上記 2種の化合物がいずれもビグアナイドの副作用として知られる血中乳酸値の上 昇を引き起こさないことから、本発明のスクリーニング方法により、主作用(ビグァナイ ドの薬理作用;すなわち糖尿病治療効果)を有し、副作用(即ち血中乳酸値の上昇) を有さない新たな糖尿病治療薬のスクリーニングができることが確認された。
<実施例 8 >分子シャペロンを用いたサリドマイドの標的蛋白質の同定
サリドマイドは、睡眠誘導薬、多発性骨髄腫、 HIV、ハンセン氏病等に対して有意な 薬効を有しているが、これまでサリドマイドの直接の標的蛋白質は不明であった。そこ で、上述実施例 2 (2)に示した方法を用いて、サリドマイドの標的蛋白質の探索を試 みた。ヒト血球系培養細胞である THP— 1 (ATCC社)を 10%ゥシ胎児血清 (FCS) を含む最小必須培地(RPMI1640、インビトロジェン社) 60mlに懸濁し、 15cm径の プレート(旭テクノグラス社)上で 106cells/mlになるまで培養した。この細胞を 1200 rpmで 3分の遠心分離により集め、氷冷した PBS 10mlで 1回洗浄した後に、上述の ノ ッファー A 2. Omlをカ卩えて溶解し、細胞抽出液を収集した。この細胞抽出液を 15 OOrpmで 5分遠心して沈殿を除き、上澄みの可溶画分を集めた。サリドマイド((―) -thalidomide,シグマ社)を終濃度 100 Mになるように添加又は未添カ卩の条件 下で、この細胞抽出液の可溶画分に、ダルタチオンセファロースビーズ上に精製した 8種類の GST融合シャペロン蛋白質(GST— HSPA1A、 GST— HSPH1、 GST— HSPCA、 GST— HSPD1、 GST— DNAJA1、 GST— HSPB1、 GST— HSPE1、 GST— HSPA4の混合物;各蛋白質 0. 5 μ gずつを混合)を混合し、プルダウン実験 を行った。なおプルダウン実験の工程、及び条件は上述実施例 2 (2)と同様にして行 つた。すなわち 4°Cで 1時間振盪した後、遠心分離によりビーズ上の GST融合シャぺ ロン蛋白質混合物に結合する蛋白質を共沈殿させた。上述実施例 4と同様に、あら 力じめ各シャペロン蛋白質とビーズは公知の方法により化学的に架橋させて用いた。 シャペロン蛋白質混合物に結合する蛋白質を共沈殿させた後、終濃度 100 Mの サリドマイドを添加又は未添カ卩の上述のバッファー A' O. 5mlでけん濁し、再度遠心 分離により共沈殿させた。この操作を 4回繰り返した後、沈殿物中の蛋白質を公知の 方法に従って SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離し、ネガティブ染色法 (和光純薬)により蛋白質を検出した。その結果、サリドマイドの添加時のみ存在する 複数の蛋白質バンドの存在を検出した。これら蛋白質は、サリドマイドの添加により該 蛋白質と分子シャペロン蛋白質混合物との結合が変化した蛋白質群、すなわちサリ ドマイドの添カ卩により立体構造に変化力もたらされた蛋白質群である。これらのバンド を切り出し、トリプシンを用いてタンパク質を断片化した後、生じたペプチド混合物を ゲルより回収して実施例 4の方法と同じぐマススペクトル解析により蛋白質の同定を 行った。その結果、サリドマイドの添カ卩時のみ存在する約 45kDaのバンドに含まれる 蛋白質が TARDBP (RefSeqァクセッション番号 NP— 031401)であることが判明し た。
<実施例 9 >TARDBPのサリドマイド応答性の検証
TARDBPは DNAや RNAなどの核酸との結合活性を持つ転写因子であり、 HIVの 抑制作用を有することが知られている(Ou SHら、 Virol. 1995 Jun; 69 (6) : 35 84— 3596)。サリドマイドには有意な抗 HIV作用が知られており(Franks MEら、 L ancet. 2004 ; 363 (9423): 1802— 1811.;)、 TARDBPはサリドマイドの標的蛋 白質と考えて矛盾が無い。
サリドマイドの直接の標的となる蛋白質は 、まだに知られて 、な 、が、細胞からの腫 瘍壊死因子 a (TNF— α )等のサイト力イン産生を抑制することが報告されている(F ranks MEら、 Lancet. 2004 ; 363 (9423) : 1802— 1811. )。そこで前述の実 施例 8において本発明の方法により見出されたサリドマイドの標的蛋白質 TARDBP 力 サリドマイドの主作用を担う真の標的分子であるかを、細胞力もの TNF— a産生 の変化を指標にした実験により検証を試みた。
(1) TARDBP遺伝子のクロー-ング及び TARDBP発現プラスミドの作製
RefSeqァクセッション番号 ΝΜ— 007375に示されているヒト TARDBPの遺伝子配 列に従って配列番号 93及び配列番号 94で表される塩基配列のプライマーを合成し 、該プライマーを用いて、ヒトリンパ球由来 cDNAライブラリー(クロンテック社)力も PC R法によりヒト TARDBPの全長 cDNAの増幅を試みた。 PCR反応は DNAポリメラー ゼ(TAKARA LA Taq;宝酒造社)を用い、 94°C (3分)の後、 94°C (30秒) · 58°C (1. 5分) ' 72°C (4分)のサイクルを 35回繰り返し行った。 PCR産物をァガロースゲ ル電気泳動によって分離した結果、約 1250塩基対の DNA断片が増幅されたことを 確認した。そこで反応液中の同 DNA断片を発現ベクター(pcDNA3. 1/V5-His —TOPO ;インビトロジェン社)に TOPO TA Cloning システム(インビトロジェン 社)を用いてクローニングした。このとき用いた配列番号 94に示すプライマーはクロー ユング後 3,側にベクター由来の V5ェピトープ(paramyxovirus SV5の V protein 由来、 Southern J A, J. Gen. Virol. 72, 1551— 1557, 1991)及び His6タ グ(Lindner P BioTechniques22, 140—149, 1997)が TARDBP遺伝子の トリプレットと同じフレームで続くように、該遺伝子のストップコドン配列が除かれるよう 設計した。得られたプラスミド中の挿入 DNA断片の塩基配列を、ベクター上の T7プ 口モーター領域に結合するプライマー(TOPO TA Cloning kitZインビトロジェ ン社;配列番号 89)とシーケンシングキット(アプライドバイォシステム社)及びシーケ ンサー(ABI 3700 DNA sequencer アプライドバイオシステムズ社)を用いて 決定した。その結果、 RefSeqァクセッション番号 NM— 007375 (配列番号 95)に示 すヒト TARDBPの全長 cDNA配列を含むクローンであることを確認した。以下この発 現プラスミドを pcDNA— TARDBPと略記する。
[0089] (2) TARDBP高発現細胞の作製及び該細胞の TNF— a発現量の測定
pcDNA— TARDBP又は空ベクター(pcDNA3. 1) (インビトロジェン社)を HeLaS 3細胞に導入した。具体的には、まず HeLaS3細胞を 12ゥエル培養プレートの培養 皿に各ゥヱル lmlの 10%牛胎児血清(シグマ社)を含む最少必須培地 DMEM (ギブ コ社)をカ卩えて 70%コンフルェントの状態になるまで培養した。ゥエルあたり 0. 5mlの 無血清培地 OPTI MEM 1 (インビトロジェン社)に置換し、リポフエクトァミン 2000 ( インビトロジェン社)を用いて pcDNA— TARDBP又は pcDNA3. 1の各 0. 8 μ g/ ゥエルを一過性に導入した。 12時間培養後、牛胎児血清を 10%含む DMEMの lm 1Zゥエルで置換し、さらに 12時間培養した。そこへ、オカダ酸 (和光純薬)を終濃度 5 OnM添加又は未添カ卩の条件下でさらに 16時間培養した。このとき一部の細胞はォ カダ酸処理と同時に 100 Mのサリドマイドを添加した。培地を除去し、細胞を氷冷 した PBSで 2回洗浄した後にこれらの細胞を 80°Cで凍結、保存した。
[0090] (3)細胞中の TNF— a発現量の測定
RNA抽出用試薬 (Isogen ;二ツボンジーン社)を用いて、説明書に従い、上述実施 例 9 (2)で凍結した各細胞力ゝら全 RNAを調製した。調製した各々の全 RNAはその 後デォキシリボヌクレアーゼ(二ツボンジーン社)を用いて処理し、フエノール Zクロ口 ホルム処理、エタノール沈殿して滅菌水に溶解した。この全 RNA1 μ gを用い、逆転 写反応用キット(Advantage™ RT— for— PCR Kit ;クロンテック社)を用いて 20 μ 1の系で 1本鎖 cDNAへの逆転写を行った。
6つのオリゴヌクレオチド (配列番号 97 配列番号 102)を遺伝子発現量測定のため の PCRのプライマーとして設計し、合成した。ヒト j8—ァクチン遺伝子に対しては配列 番号 97と配列番号 98の組合せ、ヒト TNF— α遺伝子に対しては配列番号 99と配列 番号 100の組み合わせ、ヒト TARDBP遺伝子に対しては配列番号 101と配列番号 1 02の組み合わせでそれぞれ使用した。
上記 6種、 3セットのプライマーを用いた PRISM™7700シークェンスディテクシヨンシ ステム(Sequence Detection System)による PCR増幅のリアルタイム測定は、 2 5 μ 1の系で説明書に従い実施した。各系において 1本鎖 cDNAは 5 μ 1、 2 X SYBR Green試薬を 12. 5 1、各プライマーは 7. 5pmol使用した。ここで 1本鎖 cDNAは (2)で保存したものを 100倍希釈して使用した。なお検量線作成には、 1本鎖 cDNA に代えて 0. 1 μ gZ 1のヒトゲノム DNA (クロンテック社)を希釈したものを 5 1用い た。 PCRは、 50°C10分に続いて 95°C10分の後、 95°C15秒、 60°C60秒の 2ステツ プカもなる工程を 45サイクル繰り返すことにより行った。
各試料におけるヒト TNF— α遺伝子、及びヒト TARDBP遺伝子の発現量は、下記 式に基づいて /3ァクチン遺伝子の発現量で補正した。
[TNF- a又は TARDBPの補正発現量] = [TNF— a又は TARDBP遺伝子の発 現量 (生データ) ] / [ j8ァクチン遺伝子の発現量 (生データ) ]
各細胞における TNF— α及び TARDBP遺伝子の発現量の比較においては、空べ クタ一 (pcDNA3. 1)を導入し、溶媒 (DMSO)のみで処理した細胞における発現量 を 100とした相対量を算出し、図 9及び図 10に示した。図の値は平均士 SEを示して いる。
図 9に示すとおり、 pcDNA—TARDBPを導入した細胞(TARDBP高発現細胞)で は、空ベクター導入細胞 (コントロール細胞)に比較し、 TARDBPの発現量が約 7倍 に亢進したことが確認された。
図 10に示す通り、オカダ酸処理によりコントロール細胞からの TNF— αの発現が大 幅に上昇(〜80倍)することが観察された。サリドマイドの添カ卩は、このオカダ酸による TNF— αの発現亢進を 50%近くに抑制しており、該細胞においてサリドマイドの作 用を検出できることが確認された。
一方、コントロール細胞と比較して、 TARDBP高発現細胞の場合は、オカダ酸の添 加による細胞力 の TNF o;発現の亢進作用はほぼ同等であった力 サリドマイドの 添カロによる TNF— αの発現抑制作用が観察されな力つた。この結果は、 TARDBP の過剰発現によって細胞内のサリドマイドと過剰量の TARDBP蛋白質が結合したこ とにより、本来作用すべきサリドマイドが細胞内からパージ (purge)された (取り除か れた)ためと考えることにより容易に説明ができる。 TARDBPは DNAや RNAなどの 核酸との結合活性を持つ転写因子であることが知られている。すなわち、 TARDBP は TNF— aの発現誘導に必須な複数の転写因子からなる機能複合体中の一分子 であると考えられ、そのものを単体で過剰発現しても TNF— aの発現誘導を亢進さ せないが、サリドマイドにより該分子の機能が阻害されると TNF— aの発現誘導に必 須な転写複合体の機能が失われる結果、 TNF— aの産生が抑制されると考えられ る。
以上の結果から、本発明の同定方法によって見出された、サリドマイド添加時のみ分 子シャペロンに結合する蛋白質 TARDBPは、サリドマイドの薬効を担う分子機構の ひとつと考えれている TNF aの発現制御に関わる分子であると考えられた。
これにより、上述の実施例に示したビグアナイド標的の ATP5Bの同定とあわせて、 本発明の同定方法は、試験薬剤の修飾を施すことなく標的蛋白質の同定に用いるこ とが可能であることが証明された。
産業上の利用可能性
[0091] 本発明のスクリーニング方法は、糖尿病治療薬のスクリーニングの用途に適用する ことができる。本発明のスクリーニングツールは、前記スクリーニングに利用できる。 本発明の同定方法は、既存の薬剤の改良研究に有用な標的蛋白質の同定方法と して有用である。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は 本発明の範囲に含まれる。
配列表フリーテキスト
[0092] 以下の配列表の数字見出しく 223 >には、「Artificial Sequenceの説明を記載 する。具体的には、配列表の配列番号 28〜77、 84〜89、 91及び 92の配列で表さ れる各塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列である。

Claims

請求の範囲
[1] [1] (1)配列番号 2で表されるアミノ酸配列力 なるポリペプチド、 (2)配列番号 2で表 されるアミノ酸配列又は配列番号 2で表されるアミノ酸配列において、 1〜: LO個のアミ ノ酸が欠失、置換、及び Z若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、かつビグアナイド と結合する、及び Z又は過剰発現によりビグアナイドによる AMPK活性ィ匕を阻害す るポリペプチド、 (3)配列番号 2で表されるアミノ酸配列との相同性が 90%以上であ るアミノ酸配列を含み、かつビグアナイドと結合する、及び Z又は過剰発現によりビグ アナイドによる AMPK活性ィ匕を阻害するポリペプチド、あるいは (4) (1)〜(3)に記 載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換された細胞 と、試験物質とを接触させる工程、並びに
[2]該ポリペプチドと試験物質との結合を分析する工程、
を含む、糖尿病治療薬をスクリーニングする方法。
[2] [1]の工程が、ビグアナイド共存下で接触させる工程である請求項 1に記載のスクリ 一ユング方法。
[3] AMPKを活性化することを確認する工程、及び Z又は糖尿病治療活性を有すること を確認する工程を更に含む、請求項 1又は請求項 2に記載のスクリ一ユング方法。
[4] (1)請求項 1に記載のポリペプチド、(2)請求項 1に記載のポリペプチドをコードする ポリヌクレオチド、又は(3)請求項 1に記載の形質転換された細胞力もなる、ビグアナ イドと薬効標的を共有する糖尿病治療薬のスクリーニングツール。
[5] (1)請求項 1に記載のポリペプチド、(2)請求項 1に記載のポリペプチドをコードする ポリヌクレオチド、又は(3)請求項 1に記載の形質転換された細胞の、ビグアナイドと 薬効標的を共有する糖尿病治療薬のスクリーニングのための使用。
[6] 請求項 1乃至請求項 3に記載の方法によって得られた物質を含有する糖尿病治療用 医薬組成物。
[7] 請求項 1乃至請求項 3に記載の方法によって得られた物質を糖尿病治療が必要な 対象に有効量で投与することを含む、糖尿病治療方法。
[8] 請求項 1乃至請求項 3に記載の方法によって得られた物質の、糖尿病治療用医薬組 成物を製造するための使用。
[9] [1] (1)試験薬剤、分子シャペロン蛋白質、及び試料細胞内蛋白質とを接触させる 工程、及び
(2)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、
[2] (3)分子シャペロン蛋白質と試料細胞内蛋白質とを接触させる工程、及び
(4)分子シャペロン蛋白質に結合する蛋白質を検出する工程、並びに
[3] (2)により検出された蛋白質と (4)により検出された蛋白質とを比較する工程 を含む試験薬剤の標的蛋白質を同定する方法。
[10] 分子シャペロン蛋白質が、配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6、配列 番号 7、配列番号 8、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番 号 13、配列番号 14、配列番号 15、配列番号 16、配列番号 17、配列番号 18、配列 番号 19、配列番号 20、配列番号 21、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 24、配 列番号 25、配列番号 26、及び Z若しくは配列番号 27で表されるアミノ酸配列にお いて 1〜: LO個のアミノ酸が欠失、置換、及び Z又は挿入されたアミノ酸配列を含み、 かつ蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合するポリペプチド、あるい は、配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6、配列番号 7、配列番号 8、配 列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 13、配列番号 14、配 列番号 15、配列番号 16、配列番号 17、配列番号 18、配列番号 19、配列番号 20、 配列番号 21、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 24、配列番号 25、配列番号 26 、及び Z若しくは配列番号 27で表されるアミノ酸配列との同一性が 90%以上である アミノ酸配列を含み、かつ蛋白質の立体構造の変化を認識して該蛋白質と結合する ポリペプチドからなる蛋白質である請求項 9に記載の同定する方法。
[11] 分子シャペロン蛋白質が、配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6、配列 番号 7、配列番号 8、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番 号 13、配列番号 14、配列番号 15、配列番号 16、配列番号 17、配列番号 18、配列 番号 19、配列番号 20、配列番号 21、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 24、配 列番号 25、配列番号 26、及び Z又は配列番号 27で表されるアミノ酸配列力 なる 蛋白質である請求項 9に記載の同定する方法。
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