WO2006098093A1

WO2006098093A1 - 高周波用誘電体磁器組成物、誘電体共振器、誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、及び通信機装置

Info

Publication number: WO2006098093A1
Application number: PCT/JP2006/301743
Authority: WO
Inventors: Tatsuya Ishikawa
Original assignee: Murata Manufacturing Co., Ltd.
Priority date: 2005-03-16
Filing date: 2006-02-02
Publication date: 2006-09-21
Also published as: JPWO2006098093A1; JP4596004B2; US20080061905A1; US7397332B2

Abstract

　マイクロ波やミリ波等の高周波領域で使用しても、εrとＱ値が高く、またτfの絶対値が小さいといった、優れた誘電特性を有することに加え、従来より十分低い１４００°C以下の温度での焼成が可能な高周波用誘電体磁器組成物を提供する。　組成式：（１－ｙ）ｘＣａＴｉａＯ1＋２ａ－（１－ｙ）（１－ｘ）Ｃａ（Ｍ１ｚ／３Ｍ２２／３）ｂＯ1＋２ｂ－ｙＬｎＡｌｃＯ(３＋３ｃ)／２（但し、ｘ、ｙはモル比）で表される組成を有し、α＝（１－ｙ）ｘとした時、上記組成式におけるｘ、ｙ、ｚ、ａ、ｂ、ｃ及びαが、それぞれ０．５６≦ｘ≦０．８、０．０８≦ｙ≦０．１８、０．９８０≦ｚ＜１．０００、α≦０．６５、０．９８５≦ａ≦１．０５、０．９≦ｂ≦１．０２、０．９≦ｃ≦１．０５の範囲内にある主成分１００重量部に対して、Ｂ化合物である副成分をＢ２Ｏ３に換算して０．００５～０．３００重量部含有する。

Description

高周波用誘電体磁器組成物、誘電体共振器、誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、及び通信機装置

技術分野

[0001] この発明は、マイクロ波やミリ波等の高周波領域において利用される高周波用誘電体磁器組成物、並びにそれを用いて構成される誘電体共振器、誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、及び通信機装置に関する。

背景技術

[0002] マイクロ波やミリ波等の高周波領域にお!ヽて、誘電体共振器や回路基板等を構成する材料として、誘電体磁器が広く利用されている。

[0003] このような高周波用誘電体磁器力特に誘電体共振器や誘電体フィルタ等の用途に向けられる場合、要求される誘電特性としては、（1)誘電体中では電磁波の波長力 S1Z( E ^1/2)に短縮されるので、小型化の要求への対応として比誘電率（ε )が高いこと、（2)誘電損失が小さい、即ち Q値が高いこと、（3)共振周波数の温度安定性が優れていること、即ち共振周波数の温度係数（ _τ )が OppmZ°C付近であること等 f

が挙げられる。

[0004] ここで τ は、 25°Cにおける共振周波数 (f )と、 55°Cにおける共振周波数 (f )の f 25 55 値とを用いて、共振周波数温度曲線を直線近似したときの傾き（1次微係数)を表わすものであり、その値は τ = (f -f ) /[f ' (55°〇ー25

f 55 25 25 ° ]の式によって求められる。

[0005] 従来、上述したような要求を満たし得る高周波用誘電体磁器組成物として、例えば特許文献 1に記載の CaTiO— Ca{Mg (Nb、 Ta) }0— LnAlO系（但し、 Ln

3 1/3 2/3 5 3

は希土類元素）や特許文献 2に記載の CaTiO— Ca{ (Zn、Mg) (Nb、 Ta) }

3 1/3 2/3

O— LnAlO系（但し、 Lnは希土類元素）等の磁器組成物力既に多数提案されて

5 3

いる。

特許文献 1 :特開 2001— 163665

特許文献 2：特開 2001— 192265 発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] 近年、通信機及び基地局の分野にお!、ては、高性能化及び世界的な低価格化競争が進んでいることを受けて、それらに用いられる高周波用誘電体磁器としては、誘電特性がより優れたものであること、即ち高周波領域で使用しても、高い ε 、高い Q 値、及び高い温度安定性（ τ 力 SOppm/°C付近)を併せ持つことに加えて、そのよう f

な優れた誘電体特性を維持しつつ、製造工程にカゝかるコストを低減することも必要不可欠になっている。

[0007] 高周波用誘電体磁器の製造に関する各工程に力かるコストを比較すると、とりわけ焼成工程に力かるエネルギーコストの占める割合が大き、ことから、製造工程のコストダウンを進めるための方策としては、低温焼成による焼成工程のエネルギーコスト削減を挙げることができる。

[0008] 特に、製造コストの高、共振周波数が 2GHz近傍にある大型の基地局用誘電体共振器に用いる高周波用誘電体磁器においては、磁器の表面近傍と中心部とで焼結度のむらがなぐ全体として十分焼結した良好な誘電体特性を有する磁器を得るためには、 1500°C以上の高温で焼成する必要があり、誘電特性の維持と低温焼成の両立が重要な課題となって、る。

[0009] 一方、従来用いられてきた特許文献 1及び特許文献 2に記載された組成系を有する誘電体磁器組成物は、 ε 力 0〜60と高ぐ Q値（1GHz)力 S30000以上と高ぐまた、共振周波数の温度係数 τの絶対値が 30ppmZ°C以下に制御でき、高い温度安定性を有する、誘電特性に優れた誘電体磁器組成物であるが、最適焼成温度が 1 550°Cと高いため、焼成工程におけるエネルギーコストが非常に高ぐ製品の全体的なコストを増大させていた。

[0010] 焼成温度を低下させる手段として、特許文献 1及び特許文献 2には、例えば SiO、

2

MnCO、 B O、 NiO、 CuO、 Li CO、 Pb O、 Bi O、 V O及び WO等を、 0· 01

3 2 3 2 3 3 4 2 3 2 5 3

〜1. Owt%の範囲内でその種類に応じた量を添加することが開示されている力この手段を用いたとしても焼成温度は高々 20〜30°C程度し力低下させることができず、また、上記の焼結温度を低下させるための成分を添加することにより、 Q値（1GHz )が 30000未満に低下してしまうため、高周波用誘電体磁器組成物として必要な高 V、誘電特性の確保と、低コストィ匕を両立させることができて、なかった。

[0011] そこで、この発明の目的は、上記課題を解決し得る高周波用誘電体磁器組成物、即ち、マイクロ波やミリ波等の高周波領域で使用しても、 ε 及び Q値が高ぐまた τ r f の絶対値力小さいといった、優れた誘電体特性を有することに加え、従来より十分に低い 1400°C以下の温度での焼成が可能である、高周波用誘電体磁器組成物を提供すること〖こある。また、この発明は、この高周波用誘電体磁器組成物を用いた誘電体共振器、誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、及び通信機装置を併せて提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0012] この発明の請求項 1に記載の高周波用誘電体磁器組成物は、 Ca、 Ti、 Ml (Mlは Zn及び Mgのうちの少なくとも一種）、 M2 (M2は Nb及び Taのうちの少なくとも一種）、 Ln(Lnは Y、 La、 Nd、 Sm及び Prのうちの少なくとも一種)、及び A1を含み、組成式： (l -y) xCaTi O — (1— y) (1— x) Ca (Ml M2 ) O -yLnAl O

a l + 2a z/3 2/3 b l + 2b c (3 + 3c)

(但し、 x、 yはモル比）で表される組成を有し、 a = (1— y) xとした時、上記組成式

/2

における x、y、z、 a、 b、 c及び α力、それぞれ 0. 56≤χ≤0. 8、 0. 08≤y≤0. 18、 0. 980≤ζ< 1. 000、 a≤0. 65、 0. 985≤a≤l . 05、 0. 9≤b≤l . 02、 0. 9≤c ≤1. 05の範囲内にある主成分 100重量部に対して、 B化合物である副成分を B O

2 3 に換算して 0. 005-0. 300重量部含有することを特徴とするものである。

[0013] また、この発明の請求項 2に記載の誘電体共振器は、誘電体磁器が入出力端子に電磁界結合して作動するものである誘電体共振器であって、上記誘電体磁器は、請求項 1に記載の高周波用誘電体磁器組成物からなることを特徴とするものである。

[0014] また、この発明の請求項 3に記載の誘電体フィルタは、請求項 2に記載の誘電体共振器と、上記誘電体共振器の入出力端子に接続される外部結合手段とを備えたことを特徴とするものである。

[0015] また、この発明の請求項 4に記載の誘電体デュプレクサは、少なくとも 2つの誘電体フィルタと、上記誘電体フィルタのそれぞれに接続される入出力接続手段と、上記各誘電体フィルタそれぞれに共通に接続されるアンテナ接続手段とを備える誘電体デュプレクサであって、上記誘電体フィルタの少なくとも一つが請求項 3に記載の誘電体フィルタであることを特徴とするものである。

[0016] 更に、この発明の請求項 5に記載の通信機装置は、請求項 4に記載の誘電体デュプレクサと、上記誘電体デュプレクサの少なくとも一つの入出力接続手段に接続される送信用回路と、上記送信用回路に接続される上記入出力手段とは異なる少なくとも一つの入出力接続手段に接続される受信用回路と、上記誘電体デュプレクサのァンテナ接続手段に接続されるアンテナとを備えたことを特徴とするものである。

発明の効果

[0017] この発明の高周波用誘電体磁器組成物は、 Ca、 Ti、 Ml (Mlは Zn及び Mgのうちの少なくとも一種）、 M2 (M2は Nb及び Taのうちの少なくとも一種）、 Ln(Lnは Y、 La 、 Nd、 Sm及び Prのうちの少なくとも一種)、及び A1を含み、組成式：（1— y) xCaTi a

O - (1 -y) (l -x) Ca (Ml M2 ) O — yLnAl O (但し、 x、 yは l + 2a z/3 2/3 b l + 2b c (3 + 3c)/2

モル比）で表される組成を有し、 a = (l—y) xとした時、上記組成式における x、 y、 z 、 a、 b、 c及び α力それぞれ 0. 56≤χ≤0. 8、 0. 08≤y≤0. 18、 0. 980≤ζ< 1 . 000、 a≤0. 65、 0. 985≤a≤l . 05、 0. 9≤b≤l . 02、 0. 9≤c≤l . 05の範囲内にある主成分 100重量部に対して、 Bィ匕合物である副成分を B Oに換算して 0. 0

2 3

05〜0. 300重量咅含有するようにして!/、るので、 ε 力41〜56と高く、 Q値（1GHz) 力 S30700〜37300と高く、また τの絶対値が 30ppmZ°C以内と小さい、優れた誘 f

電特性を有する高周波用誘電体磁器組成物を、従来より低い 1300〜1400°Cという焼成温度で得ることができる。

[0018] この顕著な低温焼結効果は、副成分として B Oを含有させることと、上記主成分を

2 3

表す組成式の z、即ち Mlの含有比率 (zZ3)をストィキオメトリーである 1Z3より小さくすることの相乗効果によるものであり、また、 zを 1より小さくすることが、 B Oを含有

2 3 させることのみでは悪ィ匕してしまう Q値を高、値に維持する効果をもたらして、ると考えられる。

[0019] 尚、一般的に誘電体磁器組成物の焼成工程における最高温度が 1400°Cを超えると、 MoSi (珪ィ匕モリブデン)を発熱体として使用した焼成炉により焼成を行うことが必

2

要になり、 MoSi発熱体が高価であること、また MoSi発熱体を使用した焼成炉は容積が小さぐ生産性が低いば力りでなぐ高温まで昇温するために消費電力が多いこと等から、コストの増大を招く傾向がある。これに対して、焼成工程における最高温度が 1400°C以下である場合は、安価な SiC (炭化珪素）を発熱体として使用した大容積の焼成炉により、効率良く焼成を行うことが可能になり、コストの低減を図ることができる。

[0020] この発明の誘電体磁器組成物は、上記のような優れた誘電体特性を有し、また製造工程に力かるコストを大幅に削減することができるため、例えば携帯電話、パーソナル無線機、衛星放送受信機等の通信機装置用の小型誘電体フィルタ及び誘電体デュプレクサのみならず、基地局用の大型誘電体フィルタ及び誘電体デュプレクサに搭載される誘電体共振器を、優れた誘電特性を維持しつつ、従来より低価格で提供することができる。

図面の簡単な説明

[0021] [図 1]この発明の高周波用誘電体磁器組成物を用いて構成される誘電体共振器の基本的構造を図解的に示す断面図である。

[図 2]図 1に示した誘電体共振器を用いて構成される通信機装置の一例を示すブロック図である。

符号の説明

[0022] 1 誘電体共振器

2 金属ケース

3 支持台

4 誘電体磁器

5、 6 結合ループ

7、 8 同軸ケープノレ

10 通信機装置

12 誘電体デュプレクサ

14 送信用回路

16 受信用回路

18 アンテナ 20 入力接続手段

22 出力接続手段

24 アンテナ接続手段

26、 28 誘電体フィルタ

30 外部結合手段

発明を実施するための最良の形態

[0023] まず、この発明の高周波用誘電体磁器組成物が適用される本発明の誘電体共振器、誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、及び通信機装置の一実施形態について説明する。

[0024] 図 1は、この発明の高周波用誘電体磁器組成物を用いて構成される本実施形態の誘電体共振器の基本的構造を図解的に示す断面図である。

[0025] 誘電体共振器 1は、例えば図 1に示すように金属ケース 2を備え、金属ケース 2内の空間には、支持台 3によって支持された柱状の誘電体磁器 4が配置されている。そして、同軸ケーブル 7の中心導体と外導体との間に結合ループ 5を形成して入力端子とする。また、同軸ケーブル 8の中心導体と外導体との間に結合ループ 6を形成して出力端子とする。それぞれの端子は、外導体と金属ケース 2とが電気的に接合された状態で、金属ケース 2によって保持されている。

[0026] 誘電体磁器 4は、入力端子及び出力端子に電磁界結合して作動するもので、入力端子から入力された所定の周波数の信号だけが出力端子から出力される。

[0027] このような誘電体共振器 1に備える誘電体磁器 4が、この発明の高周波用誘電体磁器組成物から構成されて!、る。

[0028] 尚、図 1に示した誘電体共振器 1は、基地局等で用いられる TE δモード共振器

01

であるが、この発明の高周波用誘電体磁器組成物は、他の ΤΕモード、 ΤΜモード、及び ΤΕΜモードなどを利用する誘電体共振器にも同様に適用することができる。

[0029] 図 2は、上述した誘電体共振器 1を用いて構成される通信機装置の一例を示すブロック図である。

[0030] 図 2に示した通信機装置 10は、誘電体デュプレクサ 12、送信用回路 14、受信用回路 16及びアンテナ 18を含む。 [0031] 送信用回路 14は、誘電体デュプレクサ 12の入力接続手段 20に接続され、受信用回路 16は、誘電体デュプレクサ 12の出力接続手段 22に接続されて、る。

[0032] また、アンテナ 18は、誘電体デュプレクサ 12のアンテナ接続手段 24に接続されている。

[0033] この誘電体デュプレクサ 12は、 2つの誘電体フィルタ 26、 28を含む。誘電体フィルタ 26、 28は、この発明の誘電体共振器に外部結合手段を接続して構成されるものである。本実施形態では、例えば図 1に示した誘電体共振器 1の入出力端子にそれぞれ外部結合手段 30を接続して、誘電体フィルタ 26、 28のそれぞれが構成されている。そして、一方の誘電体フィルタ 26は、入力接続手段 20と他方の誘電体フィルタ 2 8との間に接続され、他方の誘電体フィルタ 28は、一方の誘電体フィルタ 26と出力接続手段 22との間に接続されている。

[0034] 次に、図 1に示した誘電体共振器 1に備える誘電体磁器 4のように、高周波領域にお!ヽて有利に用いられる、この発明の高周波用誘電体磁器組成物にっ、て説明する。

[0035] この発明の高周波用誘電体磁器糸且成物は、 Ca、 Ti、 Ml (Mlは Zn及び Mgのうちの少なくとも一種）、 M2 (M2は Nb及び Taのうちの少なくとも一種）、 Ln(Lnは Y、 La 、 Nd、 Sm及び Prのうちの少なくとも一種)、及び A1を含み、組成式：（1— y) xCaTi a

2 3

05〜0. 300重量部含有している。

[0036] この発明にお、て、上述のような特定的な組成を選んだ根拠となる実施例につ！、て、以下に説明する。

実施例 1

[0037] 出発原料として、高純度の炭酸カルシウム（CaCO )、酸化チタン (TiO )、酸ィ匕亜

3 2 鉛 (ZnO)、酸化マグネシウム（MgO)、酸化ニオブ (Nb O )、酸化タンタル (Ta O ) 、各希土類（Ln)酸化物（Nd O、 Y O、 La O、 Sm O及び Pr O )、酸化アルミ

2 3 2 3 2 3 2 3 4 11

-ゥム (Al O )、及び酸ィ匕ホウ素 (B O )の各粉末を準備した。

2 3 2 3

[0038] 次に、表 1に示す x、 y、 z、ひ、 a、 b及び c (但し、ひ = (1 y) x)にそれぞれ選ばれた、組成式：（l—y) xCaTi O —（l—y) (l—x) Ca (Ml M2 ) O —yN a l + 2a z/3 2/3 b l + 2b dAl O (但し、 Mlは Zn及び Mgのうちの少なくとも一種、 M2は Nb及び Taの c (3 + 3c)/2

うちの少なくとも一種、）で表わされる主成分 100重量部に対し、 B Oを 0· 025重量

2 3

部含有した誘電体磁器組成物と、表 2に示す各希土類 Ln及び zにそれぞれ選ばれた、組成式： 0. 553CaTiO—0. 297Ca (Zn Nb ) 0—0. 150LnAlOで表

3 z/3 2/3 3 3 される主成分 100重量部に対し、 B Oを 0. 025重量部含有した誘電体磁器組成物

2 3

と、表 3に示すに選ば、れた、糸且成式： 0. 553CaTiO 0. 297Ca (Zn Nb

3 0. 996/3 2/

) 0 -0. 150NdAlOで表される主成分 100重量部に対し、 B Oを j8重量部含有

3 3 3 2 3

した誘電体磁器組成物と、が得られるように、上記の各出発原料粉末を調合した。

[0039] 次に、この調合粉末を、ボールミルを用いて 16時間湿式混合し、均一に分散させた後、脱水及び乾燥処理を施して調整粉末を得た。

[0040] 次に、この調整粉末を、 1000〜1300°Cの温度で 3時間仮焼し、得られた仮焼粉末に適量のバインダをカ卩えて、再びボールミルを用いて 16時間湿式粉砕することにより、焼成用粉末を得た。

[0041] そして、この焼成用粉末を、 1. 47 X 10²〜2. 45 X 10²MPaの圧力で円板状にプレス成形した後、 1350°Cで 4時間、大気中において焼成し、直径 27mm、厚さ 14m mの円板状の焼結体を得た。

[0042] 得られた各試料に係る焼結体について、測定周波数 fが 1. 8〜2. 2GHzにおける ε と Q値を、 ΤΕ モードによる両端短絡型誘電体共振器法にて測定し、 Q X f値（ r 011

周波数） =一定の式に基づき、 Q値（1GHz)に換算した。また、 TE δモードによる

01

キヤビティ法にて共振周波数を測定し、 25〜55°Cの温度範囲での τを測定した。

f

[0043] 上述のようにして測定した、試料組成に対応した ε 、 Q値（1GHz)、及び τを、表

Γ f

1〜表 3にそれぞれ示した。

[0044] [表 1]

[0045] [表 2] 主成分 [0.553CaTiO₃— 0.297Ca(Zn_z/₃Nb_2/3)O₃- 0.150LnAIO₃]l OO重量部

試料 No +副成分曰 ₂O₃0.025重量部

希土類 Ln z 比誘電率 ε _r Q値 [1GHz] 共振周波数の温度係数 r f[ppm/^DC]

+11 Nd 1.000 48.0 26800 -3.0

13 Nd 0.996 48.0 35500 -2.8

+82 Y 1.000 41.1 23500 1 0

83 Y 0.996 41.2 31800 1.2

+84 0.1 Y+0.9Nd 1.000 46.6 27200 -2.8

85 0.1 Y+0.9Nd 0.996 46.8 35500 - 2.6

+86 し a 1.000 48.8 23900 1-3

87 し a 0.996 48.9 32200 1.5

+88 0.1La+0.9Nd 1.000 48.9 27100 - 3—5

89 0.1La+0.9Nd 0.996 49.0 36100 - 3—3

+90 Sm 1.000 46.0 26500 - 2.6

91 Sm 0.996 46.2 35400 2—4

+92 0.1Sm+0.9Nd 1.000 46.8 27500 -3.8

93 0.1Sm+0.9Nd 0.996 47.0 35000 -3.6

+94 Pr 1.000 49.0 24300 6.3

95 Pr 0.996 49.1 33300 6—6

+96 0.1Pr+0.9Nd 1.000 47.5 28200 -2.8

97 0.1Pr+0.9Nd 0.996 47.5 36900 2—3

備考：表 1中の試料 No.11 13の組成で希土類の種類を変更した場

[0046] [表 3]

備考：表 1中の試料 No.13の組成で 0重量部を変えた場合

[0047] 表 1〜表 3において、試料 No.に *を付したものは、この発明の範囲外の試料である。

[0048] 表 1〜表 3【こ示すよう【こ、この発明の範囲内【こある試料 No.8、 10、 12〜16、 19、 2 3、 25、 27、 33、 41、 43、 49、 51、 57、 59、 63、 65、 67、 69、 71、 73、 75、 77、 79 、 81、 83、 85、 87、 89、 91、 93、 95、 97及び 99〜 103に係る誘電体磁器組成物では、 1350°Cという従来よりも約 200°C低い温度の焼成で、比誘電率 ε 力 1〜56と大きく、 Q値（1GHz)力 0700〜37300と高く、 τの絶対値が 30ppmZ°C以内と小さい、優れた高周波誘電特性が得られた。

[0049] 次に、この発明の範囲外にある試料について考察する。

[0050] まず、 Xく 0.56の場合は、表 1の試料 No.30、 31に示すように Q値（1GHz)が 30

000未満となる。他方、 x>0.8の場合は、表 1の試料 No.20、 21に示すように τの f 絶対値が 30ppmZ°Cを超える。 [0051] 次に、 y< 0.08の場合は、表 1の試料 No.36、 37に示すように Q値（1GHz)が 300

00未満となり、また τ の絶対値が 30ppm/°Cを超える。他方、 y>0. 18の場合は、 f

表 1の試料 No.3、4に示すように Q値（1GHz)力 30000未満となる。

[0052] 次に、 z< 0.980の場合は、表 1の試料 No.17に示すように Q値（1GHz)が 30000 未満となる。他方、 z= lの場合は、表 1の試料 No.7、 9、 11、 18、 22、 24、 26、 32、 40、 42、 48、 50、 56、 58、 62、 64、 66、 68、 70、 72、 74、 76、 78及び 80と、表 2 の試料 No.82、 84、 86、 88、 90、 92、 94及び 96に示すように直（1GHz)力 3000 0未満となる。

[0053] 次に、 α >0. 65の場合は、表 1の試料 No.29に示すように Q値（1GHz)が 30000 未満となり、また、 τ の絶対値が 30ppmZ°Cを超える。

f

[0054] 次【こ、 a< 0. 985、また ίま a > l . 05の場合 ίま、それぞれ表 1の試料 No.39、 45【こ示すように Q値（1GHz)力 S30000未満となる。

[0055] 次【こ、 b< 0. 9、また ίま b > l . 02の場合 ίま、それぞれ表 1の試料 Νο.47、 53【こ示すように Q値（1GHz)力 30000未満となる。

[0056] 次【こ、 c< 0. 9、また ίま c > l . 05の場合 ίま、それぞれ表 1の試料 No.55、 61【こ示すように Q値（1GHz)力 30000未満となる。

[0057] 次に、 j8く 0. 005の場合は、表 3の試料 No.98に示すように比誘電率 ε 力 0未満となり、また Q値（1GHz)力 ^30000未満となる。他方、 β >0. 300の場合は、表 3 の試料 No.104に示すように Q値（1GHz)力 30000未満となる。

[0058] 尚、この発明は上記実施例に限定されるものではなぐ微量添加物の添加の有無、焼成条件等に関し、この発明の範囲内において、種々の応用並びに変形を加えることがでさる。

[0059] 例えば、上記の実施例では副成分である Bィ匕合物として B Oを用いたが、 B C等

2 3 4 の酸ィ匕物以外の B化合物を用いても上記に実施例と同様の効果が得られることが確認されている。

[0060] 更に、この発明の高周波用誘電体磁器組成物は、この発明の目的を損なわない範囲内で、僅かな添カロ物をカロえても良い。即ち、 V O、 Cr O、 MnO、 Fe O、 NiO

2 5 2 3 2 2 3

、 CuO、 SiO、： Li 0、 Pb O、 Bi O、 ZrO、及び WO等を 0. 01〜： L 00重量部添加することで、誘電体磁器の特性を劣化させることなぐ焼成温度を更に 20〜30°C 低下させることができる。また、 BaCO、 SrCO等を 1. 00-3. 00重量部添加するこ

3 3

とで、 ε とての微調整が可能となり、優れた高周波誘電特性を得ることができる。

Claims

請求の範囲

[1] Ca、 Ti、 Ml (Mlは Zn及び Mgのうちの少なくとも一種）、 M2 (M2は Nb及び Taのうちの少なくとも一種）、 Ln(Lnは Y、 La、 Nd、 Sm及び Prのうちの少なくとも一種)、及び A1を含み、

組成式：（l—y) xCaTi O —（l—y) (l—x) Ca (Ml M2 ) O -yLnA a l + 2a z/3 2/3 b l + 2b

1 O (但し、 x、 yはモル比）で表される組成を有し、 a = (l -y) xとした時、 c (3 + 3c)/2

上記糸且成式における x、 y、 z、 a、 b、 c及び αが、それぞれ

0. 56≤χ≤0. 8、

0. 08≤y≤0. 18、

0. 980≤ζ< 1. 000、

a≤0. 65、

0. 985≤a≤l . 05、

0. 9≤b≤l . 02、

0. 9≤c≤l . 05

の範囲内にある主成分 100重量部に対して、 B化合物である副成分を B Oに換算し

2 3 て 0. 005〜0. 300重量部含有する

ことを特徴とする高周波用誘電体磁器組成物。

[2] 誘電体磁器が入出力端子に電磁界結合して作動するものである誘電体共振器であって、上記誘電体磁器は、請求項 1に記載の高周波用誘電体磁器組成物からなることを特徴とする誘電体共振器。

[3] 請求項 2に記載の誘電体共振器と、上記誘電体共振器の入出力端子に接続される外部結合手段とを備えたことを特徴とする誘電体フィルタ。

[4] 少なくとも 2つの誘電体フィルタと、上記誘電体フィルタのそれぞれに接続される入出力接続手段と、上記各誘電体フィルタそれぞれに共通に接続されるアンテナ接続手段とを備える誘電体デュプレクサであって、上記誘電体フィルタの少なくとも一つが請求項 3に記載の誘電体フィルタであることを特徴とする誘電体デュプレクサ。

[5] 請求項 4に記載の誘電体デュプレクサと、上記誘電体デュプレクサの少なくとも一つの入出力接続手段に接続される送信用回路と、上記送信用回路に接続される上記入出力手段とは異なる少なくとも一つの入出力接続手段に接続される受信用回路と、上記誘電体デュプレクサのアンテナ接続手段に接続されるアンテナとを備えたことを特徴とする通信機装置。