WO2006064714A1 - 基板加工方法及びフィルム伸張装置 - Google Patents

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Kenshi Fukumitsu
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Abstract

 切断起点が二方向に形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を低減できる基板加工方法及びフィルム伸張装置を提供する。  フィルム伸張装置1は、伸張性フィルム40が貼着されたウェハ50を載置するための載置面20aを有するテーブル2と、X軸方向におけるテーブル2の両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルム40を保持する一対の第1の保持部11と、Y軸方向におけるテーブル2の両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルム40を保持する一対の第2の保持部12と、テーブル2の載置面20aと第1の保持部11との距離を拡大することにより、伸張性フィルム40をX軸方向に伸張させるシリンダ22と、テーブル2の載置面20aと第2の保持部12との距離を拡大することにより、伸張性フィルム40をY軸方向に伸張させるシリンダ21とを備える。

Description

明 細 書
基板加工方法及びフィルム伸張装置
技術分野
[0001] 本発明は、基板加工方法及びフィルム伸張装置に関するものである。
背景技術
[0002] 各種半導体チップを製造する際には、チップ状に切断されたウェハから各半導体 チップを容易に取り出す (ピックアップ)ために、各半導体チップ同士を離間する工程 が必要となる。半導体チップ同士を離間するための装置としては、例えば特許文献 1 に開示されたテープ伸張装置がある。この装置では、ダイヤモンドカッターによりフル カットされた半導体チップ同士の間隔を、ウェハに予め貼着された伸張性テープを放 射状に伸張させることによって拡げている。
[0003] また、ウェハを切断する方法としては、特許文献 1に記載されたフルカットの他に、 切断方向に沿った溝、亀裂、歪みなどの切断起点が形成されたウェハに外力を印加 することにより、該切断起点を起点としてウェハを割断する方法がある。例えば特許文 献 1のテープ伸張装置を用 、た場合、ダイヤモンドカッターを用いてウェハに溝を形 成し、伸張性テープを伸張させることにより該溝を起点としてウェハを割断する方法が 考えられる。
[0004] また、例えば特許文献 2に記載された方法では、スクライブ溝が形成されたウェハを 凹状曲面上に載置し、その上力 ウェハを押圧することによってウェハをチップ状に 割断している。また、特許文献 3に記載された方法では、ダイヤモンドソーなどを用い て溝を形成し、円弧状に突出した治具を溝が形成された面と反対の面側力 ウエノ、 に押しあて、この治具を 90° 回転させて再度ウェハに押しあてることにより、ウェハを チップ状に割断している。また、特許文献 4に開示された方法では、ウェハにケガキ 線を形成し、延伸シートを貼着した後、円弧状に突出した治具を溝が形成された面と 反対の面側力もウェハに押しあてることによりウェハをバー形状に割断している。そし て、ウェハを割断した後に延伸シートを伸張状態で保持することにより、バー形状の 切断片同士の接触を防止している。 特許文献 1 :特開平 5— 21599
特許文献 2:特開平 11 111645
特許文献 3:特開平 8 - 213348
特許文献 4:特開 2002— 184723
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] し力しながら、溝等の切断起点が形成されたウェハを割断する際に特許文献 1の装 置を用いると、以下の問題点が生じる。すなわち、この装置は伸張性テープを放射状 に伸張させるので、伸張性テープの面内の全方向へ向けて同時にウェハが引っ張ら れることとなる。このため、切断起点の延伸方向に対して垂直な力だけでなぐ様々な 向きの力が切断起点に加わってしまい、ウェハにチッビング'引きちぎれ '膜剥がれ等 の損傷が生じ易くなる。また、切断起点として例えば亀裂を形成した場合には、伸張 性テープを伸張させたときに切断方向から逸れて亀裂が進展するおそれがある。亀 裂が切断方向から逸れて進展すると、意図しない方向に分断されてしまう。
[0006] また、特許文献 2〜4に記載された方法では、以下の問題点がある。すなわち、ゥェ ハに形成された切断起点に沿って該ウェハを切断する際には、切断後の半導体チッ プ同士が再び接触しないことが好ましい。切断後の半導体チップ同士が接触すると、 切断面が損傷するおそれがある力 である。特許文献 2及び 3に開示された方法で は、ウェハを格子状に切断するために、互いに交差する二方向をそれぞれ個別に切 断する必要があるので、一方向を切断後に湾曲状態を元に戻す際に、バー形状の 切断片同士が接触してしまい切断面が損傷するおそれがある。また、特許文献 4に 開示された方法でも、ウェハを格子状に切断するためには、治具を回転させる際に 延伸シートを一度平坦な状態に戻さなくてはならず、このときに切断面が損傷するお それがある。
[0007] 本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、切断起点が二方向に形 成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を低減できる基板加工方法及び フィルム伸張装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 [0008] 上記課題を解決するために、本発明による第 1の基板加工方法は、基板を含むカロ ェ対象物を切断する基板加工方法であって、第 1の方向及び第 1の方向と交差する 第 2の方向に沿って切断起点が形成された加工対象物の一方の面に貼着された伸 張性フィルムを、第 1の方向に対して略垂直な第 3の方向へ伸張することにより、第 1 の方向に沿った切断起点において加工対象物を切断する第 1の伸張工程と、第 3の 方向への伸張性フィルムの伸張状態を維持しながら、第 2の方向に対して略垂直な 第 4の方向へ伸張性フィルムを伸張することにより、第 2の方向に沿った切断起点に おいて加工対象物を切断する第 2の伸張工程とを備えることを特徴とする。
[0009] また、本発明による第 2の基板加工方法は、基板を含む加工対象物を切断する基 板加工方法であって、第 1の方向及び第 1の方向と交差する第 2の方向に沿って切 断起点が形成された加工対象物の一方の面に貼着された伸張性フィルムを、第 1の 方向に対して略垂直な第 3の方向へ伸張する第 1の伸張工程と、第 2の方向に対し て略垂直な第 4の方向へ伸張性フィルムを伸張する第 2の伸張工程とを備え、第 1及 び第 2の伸張工程をそれぞれ複数段階に分けて交互に行うことにより、切断起点に お!ヽて加工対象物を切断することを特徴とする。
[0010] 上記した第 1及び第 2の基板加工方法では、第 1の方向に沿って形成された切断 起点に対しては該第 1の方向と略垂直な第 3の方向に、第 2の方向に沿って形成さ れた切断起点に対しては該第 2の方向と略垂直な第 4の方向に、交互に伸張性フィ ルムを伸張することにより外力(引張応力)を印加している。これにより、切断起点に 対して不要な方向に加わる力を低減し、チッビング'引きちぎれ '膜剥がれ等の損傷 や切断直後の切断片同士の競り合いを防げる。また、伸張性フィルムを伸張させる際 には、第 3及び第 4の方向のうち伸張方向とは異なる方向への伸張状態が維持され るので、切断片同士が再び接触することを防止できる。従って、上記第 1または第 2の 基板加工方法によれば、切断起点が二方向(すなわち第 1及び第 2の方向)に形成 された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を防止できる。
[0011] なお、第 1及び第 2の基板加工方法において、第 1及び第 2の方向に沿って切断起 点が形成されるとは、加工対象物の切断の起点となる要素が第 1及び第 2の方向に 沿って連続して形成されている場合と、該要素が第 1及び第 2の方向に沿って断続 的に形成されている場合とを含む意味である。また、第 1及び第 2の基板加工方法を 行う際に、既に切断起点の一部にぉ ヽて加工対象物が切断されて 、ても構わな ヽ。 このような場合でも、未切断の他の切断起点においてカ卩ェ対象物を完全に切断する ために、上記第 1及び第 2の基板加工方法を適用することができる。
[0012] また、第 1または第 2の基板加工方法は、第 1の伸張工程において、第 3の方向へ 伸張性フィルムを伸張させる際に、第 3の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で 第 4の方向に伸張性フィルムを伸張させ、第 2の伸張工程において、第 4の方向へ伸 張性フィルムを伸張させる際に、第 4の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で第 3の方向に伸張性フィルムを伸張させることを特徴としてもよ!、。
[0013] 伸張性フィルムを伸張させる際には、伸張方向と交差する方向に伸張性フィルムの 中央分が縮む傾向がある。伸張方向と交差する方向に伸張性フィルムが過度に縮む と、切断面を損傷するおそれがある。この基板加工方法によれば、伸張性フィルムを 伸張させる際に伸張方向と交差する方向における伸張性フィルムの縮みを防いで伸 張状態を好適に維持できるので、切断面の損傷をより効果的に防止できる。
[0014] また、第 1または第 2の基板加工方法は、切断起点のうち少なくとも一部が、基板の 内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより生じる多光子吸収によって 基板の内部に形成された改質領域カゝらなることを特徴としてもよい。或いは、第 1また は第 2の基板加工方法は、切断起点のうち少なくとも一部が、基板の内部に集光点 を合わせてレーザ光を照射することにより基板の内部に形成された溶融処理領域か らなることを特徴としてもょ ヽ。
[0015] このように、多光子吸収という現象により形成される改質領域 (または溶融処理領域 )でもって加工対象物に切断起点を形成することにより、加工対象物を比較的小さな 力で精度良く割って切断することができる。従って、この基板加工方法によれば、第 3 、第 4の方向のそれぞれに伸張性フィルムを伸張させて、加工対象物を精度よく切断 することができる。なお、ここでいう基板の内部とは、基板の表面をも含む意味である 。さらに、集光点とは、レーザ光が集光した箇所のことである。そして、切断起点は、 改質領域が連続的に形成されることで形成される場合もあるし、改質領域が断続的 に形成されることで形成される場合もある。 [0016] また、第 1または第 2の基板加工方法は、切断起点のうち少なくとも一部が、基板に 形成された溝力もなることを特徴としてもよい。これにより、第 3、第 4の方向のそれぞ れに伸張性フィルムを伸張させて、加工対象物を好適に切断することができる。
[0017] また、本発明による第 1のフィルム伸張装置は、基板を含む加工対象物に貼着され た伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装置であって、伸張性フィルムが貼着さ れた加工対象物を載置するための載置面を有するテーブルと、第 3の方向における テーブルの両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルムを保持する一対の第 1の保持 部と、第 3の方向と交差する第 4の方向におけるテーブルの両側にそれぞれ配置さ れ、伸張性フィルムを保持する一対の第 2の保持部と、テーブル及び第 1の保持部の うち少なくとも一方を駆動することにより、テーブルの載置面と第 1の保持部との距離 を拡大して伸張性フィルムを第 3の方向に伸張させる第 1の駆動部と、テーブル及び 第 2の保持部のうち少なくとも一方を駆動することにより、テーブルの載置面と第 2の 保持部との距離を拡大して伸張性フィルムを第 4の方向に伸張させる第 2の駆動部と を備えることを特徴とする。
[0018] 上記した第 1のフィルム伸張装置では、先ず、第 1の方向及び該第 1の方向と交差 する第 2の方向に延びる切断起点が形成された加工対象物が、テーブルの載置面 上に載置される。このとき、加工対象物は、第 1の方向と第 3の方向とが互いに略直 交し、且つ第 2の方向と第 4の方向とが互いに略直交するように、載置面上に載置さ れる。そして、第 1の駆動部は、載置面と第 1の保持部との距離を拡大することにより 、伸張性フィルムを第 3の方向に伸張させて外力(引張応力)を印加する。続いて、第 2の駆動部は、載置面と第 2の保持部との距離を拡大することにより、伸張性フィルム を第 4の方向に伸張させて外力(引張応力)を印加する。このとき、第 1の駆動部は、 第 3の方向への伸張性フィルムの伸張状態を維持する。第 1及び第 2の駆動部による これらの動作は、必要に応じて繰り返されることができる。
[0019] また、本発明による第 2のフィルム伸張装置は、基板を含む加工対象物に貼着され た伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装置であって、第 3の方向における加工 対象物の両側にそれぞれ配置され、伸張性フィルムを保持する一対の第 1の保持部 と、第 3の方向と交差する第 4の方向における加工対象物の両側にそれぞれ配置さ れ、伸張性フィルムを保持する一対の第 2の保持部と、一対の第 1の保持部同士の 間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第 3の方向に伸張させる第 1の駆動部と 、一対の第 2の保持部同士の間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第 4の方 向に伸張させる第 2の駆動部とを備えることを特徴とする。
[0020] 上記した第 2のフィルム伸張装置では、先ず、第 1の方向及び該第 1の方向と交差 する第 2の方向に延びる切断起点が形成された加工対象物に貼着された伸張性フィ ルムが、第 1の方向と第 3の方向とが互いに直交し、且つ第 2の方向と第 4の方向とが 互いに直交するように、第 1及び第 2の保持部によって保持される。そして、第 1の駆 動部は、一対の第 1の保持部同士の間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第 3の方向に伸張させて外力(引張応力)を印加する。続いて、第 2の駆動部は、一対 の第 2の保持部同士の間隔を拡大することにより、伸張性フィルムを第 4の方向に伸 張させて外力(引張応力)を印加する。このとき、第 1の駆動部は、第 3の方向への伸 張性フィルムの伸張状態を維持する。第 1及び第 2の駆動部によるこれらの動作は、 必要に応じて繰り返されることができる。
[0021] 上記した第 1または第 2のフィルム伸張装置によれば、切断起点に対して不要な方 向に加わる力を低減し、チッビング'引きちぎれ '膜剥がれ等の損傷や切断直後の切 断片同士の競り合いを防げる。また、第 1及び第 2の駆動部の一方が伸張性フィルム を伸張させる際には、伸張方向とは異なる方向への伸張状態を他方の駆動部によつ て維持することができるので、切断片同士が再び接触することを防止できる。以上の ことから、上記第 1または第 2のフィルム伸張装置によれば、切断起点が二方向に形 成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を防止できる。
[0022] なお、第 1のフィルム伸張装置においては、テーブルの載置面が平坦であることが 好ましい。
[0023] また、第 1または第 2のフィルム伸張装置は、第 1及び第 2の駆動部がエアシリンダ、 油圧シリンダ、またはモータのうち少なくとも一種類カゝらなることを特徴としてもよい。 例えば第 1及び第 2の駆動部がエアシリンダ或いは油圧シリンダ力 なる場合、空気 圧 (油圧)または空気量 (油量)を調整することによって伸張性フィルムの伸張速度を 制御することが可能である。また、第 1及び第 2の駆動部がモータからなる場合、モー タのギヤ比を切り替えること等によって伸張性フィルムの伸張速度を制御することが 可能である。従って、この第 1または第 2のフィルム伸張装置によれば、伸張性フィル ムの伸張速度を加工対象物の構成材料などに応じて好適に制御することができる。
[0024] また、第 1または第 2のフィルム伸張装置は、第 1及び第 2の駆動部の作動時間を制 御する制御部を更に備えることを特徴としてもよい。第 1及び第 2の駆動部がエアシリ ンダ、油圧シリンダ、またはモータのうち少なくとも一種類力 なる場合、上述したよう に伸張性フィルムの伸張速度を制御することができるので、制御部が第 1及び第 2の 駆動部の作動時間を制御することにより、伸張性フィルムの伸張量を容易に制御でき る。
[0025] また、第 1または第 2のフィルム伸張装置は、第 1及び第 2の保持部の変位を検出す る変位センサを更に備えることを特徴としてもよい。これにより、伸張性フィルムの伸張 量を精度良く測定できる。
[0026] また、第 1または第 2のフィルム伸張装置は、第 1及び第 2の駆動部の作動量を、変 位センサ力 の検出結果に基づいて制御する制御部を更に備えることを特徴としても よい。これにより、伸張性フィルムの伸張量を容易に制御できる。
発明の効果
[0027] 本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置によれば、切断起点が二方向に 形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を低減できる。
図面の簡単な説明
[0028] [図 1]本発明に係るフィルム伸張装置の第 1実施形態として、加工対象物であるゥェ ハをチップ状に切断するためのフィルム伸張装置の構成を示す切り欠き斜視図であ る。
[図 2]図 1の Z軸方向から見たフィルム伸張装置の平面図である。
[図 3]図 2の I I線に沿ったフィルム伸張装置の側面断面図である。
[図 4]図 2の II II線に沿ったフィルム伸張装置の側面断面図である。
[図 5]フィルム伸張装置におけるシリンダを駆動するための構成を示すブロック図であ る。
[図 6]加工対象物であるウェハを示す斜視図である。 圆 7]ウェハを薄化する工程を示す図である。
圆 8]ウェハに切断起点を形成する工程を説明する図である。
[図 9]ウェハに形成された切断起点を示す平面図である。
[図 10] (a)伸張性フィルム貼着工程を説明するための斜視図である。(b)図 10 (a)の I II— III線または IV— IV線に沿った側面断面図である。
[図 11]ダイシングテープ及び BGテープをウェハの主面力も剥離除去する工程を示す 図である。
[図 12] (a)伸張性フィルムをフィルム伸張装置に取り付ける際の一工程を示す斜視図 である。(b)図 12 (a)の V—V線または VI— VI線に沿った側面断面図である。
圆 13] (a)伸張性フィルムをフィルム伸張装置に取り付ける際の次の一工程を示す斜 視図である。(b)図 13 (a)の Vn— VII線及び VIII— VIII線に沿った端面図である。
[図 14] (a)図 13 (a)の VII— VII線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。(b)図 1
3 (a)の VIII— VIII線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。
圆 15]第 1の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置を示す斜視図である。
[図 16] (a)図 15の IX— IX線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。(b)図 15の
X—X線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。
圆 17]第 2の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置を示す斜視図である。
[図 18] (a)図 17の XI— XI線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。(b)図 17の XII— XII線に沿ったフィルム伸張装置の端面図である。
[図 19]ダイシングリングを伸張性フィルムに貼着し、ウェハをフィルム伸張装置力も取 り外す工程を示す斜視図である。
圆 20]伸張性フィルムをダイシングリングの外縁に沿って切断した状態を示す斜視図 である。
[図 21]改質領域形成中のウェハの一部を拡大した平面図である。
[図 22]図 21に示すゥヱハの XIII— XIII線に沿った断面図である。
[図 23]改質領域形成後のウェハの平面図である。
[図 24]図 23に示すウェハの XIV— XIV線に沿った断面図である。
[図 25]図 23に示すウェハの XV— XV線に沿った断面図である。 [図 26]電界強度とクラックスポットの大きさとの関係を示すグラフである。
[図 27]クラック領域が形成されたウェハの一部を拡大した断面図である。
[図 28]クラック領域を起点としてウェハが切断される様子を示す断面図である。
[図 29]クラック領域を起点としてウェハが切断される様子を示す断面図である。
[図 30]クラック領域を起点としてウェハが切断される様子を示す断面図である。
[図 31]レーザ加工により形成された溶融処理領域において切断されたシリコンウェハ の切断面写真である。
[図 32]レーザ光の波長とシリコン基板の内部の透過率との関係を示すグラフである。
[図 33]レーザ加工装置の概略構成図である。
[図 34]図 33に示されたレーザ加工装置を用いてウェハに切断起点を形成する方法 を示すフローチャートである。
[図 35] (a)、 (b)第 2実施形態によるフィルム伸張装置の構成を示す端面図である。
[図 36] (a)、 (b)第 2実施形態のフィルム伸張装置を用いたときの第 1の伸張工程を示 す端面図である。
[図 37] (a)、 (b)第 2実施形態のフィルム伸張装置を用いたときの第 2の伸張工程を示 す端面図である。
[図 38]第 3実施形態によるフィルム伸張装置の構成を示す斜視図である。
[図 39] (a)図 38に示したフィルム伸張装置の平面図である。 (b)図 39 (a)の XVI— XV I線に沿った端面図である。(c)図 39 (a)の XVII— XVII線に沿った端面図である。
[図 40] (a)変形例におけるウェハの構成を示す平面図である。(b)、 (c)図 40 (a)の X VIII— XVIII線に沿った側面断面図である。
[図 41]変形例における別の態様の切断起点を示す拡大斜視図である。
符号の説明
1, la, lb…フィルム伸張装置、 2…テーブル、 3〜6…フィルム支持台、 7…ベース 板、 8…移動板、 11…第 1の保持部、 12…第 2の保持部、 13〜16· ··フィルム固定板 、 20· ··天板、 20a…載置面、 21, 22· ··シリンダ、 23a〜23d…ローラー、 24· ··制御 部、 25, 26· ··変位センサ、 40· ··伸張性フィルム、 50· ··ウエノヽ、 51· ··切断起点、 61 •••BGテープ、 62· ··ダイシンク、テープ、 63, 68· ··ダイシングリング、 65· ··フィルム貝占 着装置、 66——体フレーム、 67a〜67d…分離フレーム。
発明を実施するための最良の形態
[0030] 以下、添付図面を参照しながら本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置 の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一 の符号を付し、重複する説明を省略する。
[0031] (第 1の実施の形態)
図 1は、本発明に係るフィルム伸張装置の第 1実施形態として、加工対象物である ウェハをチップ状に切断するためのフィルム伸張装置 1の構成を示す切り欠き斜視図 である。なお、図 1には、説明を容易にする為に XYZ直交座標系も示されている。ま た、図 2は、図 1の Z軸方向から見たフィルム伸張装置 1の平面図である。また、図 3及 び図 4は、それぞれ図 2の I I線及び II— II線に沿った側面断面図である。
[0032] 図 1〜図 4を参照すると、本実施形態のフィルム伸張装置 1は、テーブル 2、ベース 板 7、移動板 8、一対の第 1の保持部 11、一対の第 2の保持部 12、シリンダ 21及び 2 2を備える。このフィルム伸張装置 1は、第 1の保持部 11及び第 2の保持部 12によつ て伸張性フィルム 40 (図 3及び図 4参照)の端部を保持しつつ、第 1の保持部 11、第 2の保持部 12、及びテーブル 2を Z軸方向に互いに独立に移動させることによって、 伸張性フィルム 40を伸張させる装置である。以下、フィルム伸張装置 1の各構成につ いて説明する。
[0033] テーブル 2は、伸張性フィルム 40 (図 3及び図 4参照)が貼着された図示しないゥェ ハを載置するための構成要素である。テーブル 2は、天板 20及びローラー 23a〜23 dを有する。天板 20は、板状部材であり、ウェハを載置するための略正方形の平坦な 載置面 20aを有する。天板 20は、載置面 20aが図中の Z軸方向と直交するように配 置されている。また、天板 20は、載置面 20aにおける対向する一対の辺が X軸方向と 直交するように、且つ対向する他の一対の辺が Y軸方向と直交するように配置されて いる。 X軸方向及び Y軸方向は、それぞれ本実施形態における第 3及び第 4の方向 である。天板 20は、シリンダ 21の軸 21a (図 3及び図 4参照)によって支持されている
[0034] ローラー 23a〜23dは、伸張性フィルム 40が伸張する際に伸張性フィルム 40とテー ブル 2の四辺との間の摩擦を回避するための構成要素である。ローラー 23a〜23dは 、円柱状の部材であり、該円柱の中心軸を回転軸として回転可能なように載置面 20a の四辺にそれぞれ配設されている。ローラー 23a及び 23bの回転軸は、載置面 20a における X軸方向と直交する一対の辺とそれぞれ平行となるように、天板 20の縁に固 定されている。また、ローラー 23c及び 23dの回転軸は、載置面 20aにおける Y軸方 向と直交する一対の辺とそれぞれ平行となるように、天板 20の縁に固定されている。
[0035] 第 1の保持部 11は、 X軸方向におけるウェハ (不図示)の両側に位置する伸張性フ イルム 40の一対の部位 (本実施形態では、 X軸方向における伸張性フィルム 40の両 端部)を保持するための一対の構成要素である。一対の第 1の保持部 11は、 X軸方 向においてテーブル 2の両側に並んで配置されて 、る。一対の第 1の保持部 11のう ち一方は、フィルム支持台 3及びフィルム固定板 13を含んで構成されている。また、 一対の第 1の保持部 11のうち他方は、フィルム支持台 4及びフィルム固定板 14を含 んで構成されている。なお、伸張性フィルム 40は、 X軸方向において一対の第 1の保 持部 11の間隔よりも長くてもよぐその場合には、 X軸方向においてテーブル 2の両 側に位置する伸張性フィルム 40の一対の部位を第 1の保持部 11が保持するとよ 、。
[0036] フィルム支持台 3及び 4は、図中の YZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要素で ある。フィルム支持台 3及び 4は、 Z軸方向と交差する一対の端面と、 Y軸方向と交差 する一対の端面とを有する。フィルム支持台 3及び 4における Z軸方向と交差する一 対の端面のうち Z軸上方の端面は、載置面 20aにおける X軸方向と直交する辺に沿 つて配置されている。すなわち、フィルム支持台 3及び 4における Z軸上方の端面は、 その長手方向が X軸方向と直交するように配置されている。
[0037] また、フィルム支持台 3及び 4は、天板 20における載置面 20aとは反対側の面に対 向して設けられた移動板 8によって互いに固定されている。移動板 8は、 XY平面に 沿って延びる板状の部材であり、その X軸方向における一端力 Sフィルム支持台 3の下 端に固定されるとともに、他端がフィルム支持台 4の下端に固定されている。移動板 8 の略中央部分は、後述するシリンダ 22の軸 22a (図 3及び図 4参照)に固定されてい る。以上の構成により、フィルム支持台 3及び 4は、移動板 8を介してシリンダ 22の軸 2 2aによって支えられて!/、る。 [0038] フィルム固定板 13及び 14は、フィルム支持台 3及び 4の Z軸上方の端面に沿って 延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板 13及び 14は、ボルト 31c によってそれぞれフィルム支持台 3及び 4に固定される。このとき、フィルム固定板 13 及び 14は、図 3に示すように X軸方向における伸張性フィルム 40の両端部をフィルム 支持台 3及び 4との間に挟んで固定する。なお、フィルム支持台 3及び 4の Z軸上方の 端面は、伸張性フィルム 40をテーブル 2の載置面 20aに接触させるために載置面 20 aよりも Z軸下方に配置される。
[0039] 第 2の保持部 12は、 Y軸方向におけるウェハの両側に位置する伸張性フィルム 40 の一対の部位 (本実施形態では、 Y軸方向における伸張性フィルム 40の両端部)を 保持するための一対の構成要素である。一対の第 2の保持部 12は、 Y軸方向におい てテーブル 2の両側に並んで配置されている。一対の第 2の保持部 12のうち一方は 、フィルム支持台 5及びフィルム固定板 15を含んで構成されている。また、一対の第 2の保持部 12のうち他方は、フィルム支持台 6及びフィルム固定板 16を含んで構成 されている。なお、伸張性フィルム 40は、 Y軸方向において一対の第 2の保持部 12 の間隔よりも長くてもよぐその場合には、 Y軸方向においてテーブル 2の両側に位置 する伸張性フィルム 40の一対の部位を第 2の保持部 12が保持するとよ 、。
[0040] フィルム支持台 5及び 6は、図中の XZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要素で ある。フィルム支持台 5及び 6は、 Z軸方向と交差する一対の端面と、 X軸方向と交差 する一対の端面とを有する。フィルム支持台 5及び 6における Z軸方向と交差する一 対の端面のうち Z軸上方の端面は、載置面 20aにおける Y軸方向と直交する辺に沿 つて配置されている。すなわち、フィルム支持台 5及び 6における Z軸上方の端面は、 その長手方向が Y軸方向と直交するように配置されている。
[0041] また、フィルム支持台 5及び 6は、天板 20と移動板 8との間に配置されたベース板 7 に固定されており、このベース板 7を支えている。ベース板 7は、後述するシリンダ 21 及び 22を支持するための板状の部材であり、 XY平面に沿って延びている。そして、 X軸方向におけるベース板 7の一端がフィルム支持台 5に固定されるとともに、他端が フィルム支持台 6に固定されている。また、フィルム支持台 5及び 6における Z軸下方 の端面は、フィルム伸張装置 1が設置される面に接している。以上の構成により、フィ ルム支持台 5及び 6は、シリンダ 21及び 22を支えるととも〖こ、シリンダ 21の軸 21aを介 してテーブル 2を、シリンダ 22の軸 22aを介して第 1の保持部 11を、それぞれ支えて いる。なお、フィルム支持台 5及び 6は、フィルム伸張装置 1の機械的強度を確保する ために、フィルム支持台 5及び 6の間にわたって設けられた梁部 9a、 9b、 10a、及び 1 Obによって互いに固定されている。
[0042] フィルム固定板 15及び 16は、フィルム支持台 5及び 6の Z軸上方の端面に沿って 延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板 15及び 16は、ボルト 31c によってそれぞれフィルム支持台 5及び 6に固定される。このとき、フィルム固定板 15 及び 16は、図 4に示すように Y軸方向における伸張性フィルム 40の両端部をフィル ム支持台 5及び 6との間に挟んで固定する。なお、フィルム支持台 5及び 6の Z軸上方 の端面は、伸張性フィルム 40をテーブル 2の載置面 20aに接触させるために載置面 20aよりも Z軸下方に配置される。
[0043] シリンダ 22は、本発明における第 1の駆動部の一形態であり、第 1の保持部 11を駆 動することによってテーブル 2の載置面 20aと第 1の保持部 11との距離を拡大し、伸 張性フィルム 40を X軸方向に伸張させる構成要素である。また、シリンダ 21は、本発 明における第 2の駆動部の一形態であり、テーブル 2を駆動することによってテープ ル 2の載置面 20aと第 2の保持部 12との距離を拡大し、伸張性フィルム 40を Y軸方 向に伸張させる構成要素である。シリンダ 21及び 22は、軸 21a及び 22aが Z軸方向 に沿うように、ベース板 7の両面にそれぞれ固定されている。シリンダ 21の軸 21aの 先端は、ボルト 31a (図 1及び図 2参照)によってテーブル 2の天板 20の略中央部分 に固定されている。シリンダ 22の軸 22aの先端は、ボルト 31b (図 3及び図 4参照)に よって移動板 8の略中央部分に固定されている。
[0044] 本実施形態のシリンダ 21及び 22は、エアシリンダまたは油圧シリンダ力もなる。シリ ンダ 21及び 22のそれぞれには図示しない管が接続されており、この管を通して空気 またはオイルが供給 '排気されることにより、軸 21a及び 22aが Z軸方向に移動する。 シリンダ 22の軸 22aが Z軸下方に突出すると、ベース板 7に対して相対的に移動板 8 が Z軸下方へ移動する。すなわち、一対の第 1の保持部 11に対して相対的にテープ ル 2が Z軸上方へ移動することとなり、テーブル 2の載置面 20aと第 1の保持部 11との 距離が Z軸方向に拡大される。このとき、シリンダ 21の軸 21aを静止させることにより、 一対の第 2の保持部 12とテーブル 2との位置関係を保持することができる。
[0045] また、シリンダ 21の軸 21aが Z軸上方に突出すると、ベース板 7に対して相対的にテ 一ブル 2が Z軸上方へ移動する。すなわち、一対の第 2の保持部 12に対して相対的 にテーブル 2が Z軸上方へ移動することとなり、テーブル 2の載置面 20aと第 2の保持 部 12との距離力 軸方向に拡大される。このとき、シリンダ 22の軸 22aを、シリンダ 21 の軸 21aと同じ向きに同じ距離を移動させることにより、一対の第 1の保持部 11とテ 一ブル 2との位置関係を保持することができる。このように、本実施形態の構成によれ ば、テーブル 2の載置面 20aと第 1の保持部 11との距離、及びテーブル 2の載置面 2 Oaと第 2の保持部 12との距離を、互 ヽに独立して拡大することができる。
[0046] なお、本実施形態のシリンダ 22は第 1の保持部 11を駆動している力 テーブル 2を 駆動するか或いはテーブル 2及び第 1の駆動部 11の双方を駆動することによって載 置面 20aと第 1の保持部 11との距離を Z軸方向に拡大する構成としてもよい。また、 本実施形態のシリンダ 21はテーブル 2を駆動しているが、第 2の保持部 12を駆動す るか或いはテーブル 2及び第 2の駆動部 12の双方を駆動することによって載置面 20 aと第 2の保持部 12との距離を Z軸方向に拡大する構成としてもよい。
[0047] ここで、図 5は、フィルム伸張装置 1における、シリンダ 21及び 22を駆動するための 構成を示すブロック図である。本実施形態のフィルム伸張装置 1は、上記構成に加え て、更に制御部 24及び変位センサ 25、 26を備えることが好ましい。
[0048] 変位センサ 25は、テーブル 2の載置面 20aに対する第 1の保持部 11の変位を検出 するための手段である。また、変位センサ 26は、テーブル 2の載置面 20aに対する第 2の保持部 12の変位を検出するための手段である。変位センサ 25及び 26は、例え ば光学的な測距センサや、或いはスライドボリュームなどによって実現される。なお、 変位センサ 25及び 26は、載置面 20aに対する第 1の保持部 11の変位、及び載置面 20aに対する第 2の保持部 12の変位をそれぞれ直接的に検出してもよぐ或いは、 変位センサ 26が載置面 20aに対する第 2の保持部 12の変位を検出し、変位センサ 2 5が第 2の保持部 12に対する第 1の保持部 11の変位を検出するなどして、間接的に 載置面 20aに対する第 1、第 2の保持部 11、 12の変位を検出してもよい。 [0049] 制御部 24は、シリンダ 21及び 22の作動量を、変位センサ 25及び 26からの検出結 果に基づいて制御する手段である。制御部 24は、変位センサ 25及び 26によって検 出される、載置面 20aに対する第 1、第 2の保持部 11、 12の変位を参照する。そして 、シリンダ 21及び 22に空気またはオイルを供給 '排出するための弁を制御することに よって、載置面 20aに対する第 1、第 2の保持部 11、 12の位置が所定の位置となるよ うに軸 21a及び 22aを作動させる。制御部 24は、例えばプログラムを記憶した記憶装 置と演算処理装置 (CPU)とを有するコンピュータによって実現される。
[0050] なお、フィルム伸張装置 1は、変位センサ 25及び 26を備えない構成でもよい。その 場合、制御部 24は、載置面 20aに対する第 1、第 2の保持部 11、 12の位置が所定の 位置となるように、シリンダ 21及び 22の作動時間を制御するとよい。シリンダ 21及び 22では、空気圧(油圧)または空気量 (油量)によって軸 21a及び 22aの作動速度が 定まる。従って、制御部 24は、シリンダ 21及び 22の作動時間を制御することにより、 軸 2 la及び 22aの作動量、すなわち載置面 20aに対する第 1、第 2の保持部 11、 12 の変位を制御できる。
[0051] 続いて、本実施形態に係る基板加工方法について、フィルム伸張装置 1の動作とと もに図 6〜図 20を参照しながら説明する。
[0052] 図 6は、本実施形態の加工対象物であるウェハ 50を示す斜視図である。ウェハ 50 は、略円形で且つ平板状の加工対象物であり、主面 50a及び裏面 50bを有する。ま た、ウェハ 50の側面の一部は、平坦なオリエンテーションフラット(OF)面 50cとなつ ている。ウェハ 50は、例えば Si系や GaAs系の半導体基板を含んでおり、主面 50a 側の半導体基板の面上には、ェピタキシャル層、絶縁層、及び導電層を含む積層部 が形成されている。或いは、ウェハ 50は、例えばサファイア基板を含んでおり、主面 5 Oa側のサファイア基板の面上に、ェピタキシャル層、絶縁層、及び導電層を含む積 層部が形成されて 、てもよ 、。
[0053] 本実施形態による基板カ卩ェ方法は、まず、図 7に示すようにウェハ 50の主面 50aに BG (BackGrind)テープ 61を貼着する。この BGテープ 61は、ウエノ、 50の裏面 50bを 研削(バックグラインド)する際に、ゥヱハ 50の主面 50a側に形成された積層部を保護 するためのテープである。そして、ウェハ 50の裏面 50bをグラインダーを用いて研削 し、ウェハ 50を薄化する。
[0054] 続いて、図 8に示すように、ウェハ 50の主面 50a上(本実施形態では BGテープ 61 上)にダイシングテープ 62を貼着する。このダイシングテープ 62はウェハ 50よりも広く 、その周囲が環状のダイシングリング 63によって保持されている。そして、レンズ 105 とウェハ 50の裏面 50bとの間隔を調節し、ゥヱハ 50の裏面 50bから半導体基板 (また はサファイア基板)の内部に集光点を合わせてレーザ光 Lを照射することにより、該集 光点において多光子吸収を生じさせ、基板の内部に改質領域を形成する。或いは、 ウェハ 50の裏面 50bから半導体基板 (またはサファイア基板)の内部に集光点を合わ せてレーザ光 Lを照射することにより、基板の内部に改質領域の一種である溶融処 理領域を形成する。そして、この改質領域 (溶融処理領域)を、 OF50cと直交する第 1の方向、及び該第 1の方向と交差する (好ましくは、略直交する)第 2の方向に沿つ て連続して或いは断続的に形成することにより、切断起点 51を形成する。これにより 、図 9に示すように、切断起点 51は、ウェハ 50の裏面 50b側または主面 50a側から見 て第 1の方向(図中の矢印 A)及び第 2の方向(図中の矢印 B)に沿って格子状に形 成されることとなる。なお、多光子吸収による改質領域 (溶融処理領域を含む)の形成 過程については、後に詳しく説明する。
[0055] 続いて、ウェハ 50の裏面 50bに伸張性フィルム 40を貼着する(伸張性フィルム貼着 工程)。図 10 (a)は、伸張性フィルム貼着工程を説明するための斜視図である。また 、図 10 (b)は、図 10 (a)の III— III線または IV— IV線に沿った側面断面図である。前 工程においてウェハ 50に格子状の切断起点 51を形成した後、図 10 (a)及び図 10 ( b)に示すように、 BGテープ 61及びダイシングテープ 62が貼着されたウェハ 50をフィ ルム貼着装置 65に取り付ける。フィルム貼着装置 65は、真空チャック 65a及び枠台 6 5bを備える。真空チャック 65aは、ウェハ 50を吸引固定するための構成要素である。 また、枠台 65bは、伸張性フィルム 40を保持する分離フレーム 67a〜67d及び一体 フレーム 66を支持するための構成要素であり、真空チャック 65aを取り囲むように配 置されている。
[0056] 伸張性フィルム貼着工程では、まず、矩形の枠である一体フレーム 66を枠台 65b 上に固定する。そして、棒状の分離フレーム 67a及び 67bを、一体フレーム 66におけ る互いに対向する一対の辺に沿って一体フレーム 66上に固定する。更に、棒状の分 離フレーム 67c及び 67dを、一体フレーム 66における他の一対の辺に沿って一体フ レーム 66上に固定する。続いて、 BGテープ 61及びダイシングテープ 62が貼着され た主面 50aが真空チャック 65aと対向するように、ウェハ 50を真空チャック 65aに吸引 固定させる。このとき、ウェハ 50に形成された切断起点 51の形成方向のうち、 OF50 cと直交する第 1の方向が分離フレーム 67a及び 67bに沿うように、且つ第 1の方向と 直交する(OF50cと平行な)第 2の方向が分離フレーム 67c及び 67dに沿うように、ゥ ェハ 50を配置する。
[0057] 続いて、ウェハ 50の周囲に沿ってダイシングテープ 62を切断し、ダイシングリング 6 3を取り外す。そして、ウェハ 50の裏面 50bに伸張性フィルム 40を貼着する。このとき 、ウェハ 50の裏面 50bとともに分離フレーム 67a〜67dも覆うように伸張性フィルム 40 をフィルム貼着装置 65の上方力も被せる。そして、ウェハ 50の裏面 50b及び分離フ レーム 67a〜67dに伸張性フィルム 40を貼着する。
[0058] 続いて、図 11に示すように、フィルム貼着装置 65上においてウェハ 50を反転させ、 伸張性フィルム 40が貼着されたウェハ 50の裏面 50bを真空チャック 65aに吸引固定 させる。そして、ダイシングテープ 62及び BGテープ 61をウェハ 50の主面 50aから剥 離除去する。なお、このときウェハ 50を真空チャック 65aに固定するのは、ダイシング テープ 62及び BGテープ 61を剥離する際にウェハ 50が割れることを防止するためで ある。
[0059] 続いて、ウェハ 50に貼着された伸張性フィルム 40を、上述したフィルム伸張装置 1 に取り付ける。図 12 (a)は、伸張性フィルム 40をフィルム伸張装置 1に取り付ける際 の一工程(図 10に示した一体フレーム 66を取り外した状態)を示す斜視図である。ま た、図 12 (b)は、図 12 (a)の V—V線または VI— VI線に沿った側面断面図である。ま ず、伸張性フィルム 40の端部に固定された一体フレーム 66及び分離フレーム 67a〜 67dを、分離フレーム 67a〜67dが Z軸下方に位置するようにフィルム伸張装置 1のフ イルム支持台 3〜6に載せる。なお、本実施形態ではフィルム支持台 3及び 4のそれ ぞれに分離フレーム 67a及び 67bを載せており、フィルム支持台 5及び 6のそれぞれ に分離フレーム 67c及び 67dを載せている。このとき、伸張性フィルム 40が貼着され たウェハ 50は、主面 50aを Z軸上方に向けてテーブル 2の載置面 20a上に載置され る。また、ウェハ 50は、切断起点 51の形成方向のうち OF50cと直交する第 1の方向 Aが X軸方向と略垂直となるように、且つ第 1の方向 Aと直交する(OF50cと平行な) 第 2の方向 Bが Y軸方向と略垂直となるように、テーブル 2の載置面 20a上に載置さ れる。その後、一体フレーム 66を分離フレーム 67a〜67dから取り外す。
[0060] 図 13 (a)は、伸張性フィルム 40をフィルム伸張装置 1に取り付ける際の次の一工程 を示す斜視図である。また、図 13 (b)は、図 13 (a)の VII— VII線及び VIII— VIII線に 沿った端面図である。一体フレーム 66を分離フレーム 67a〜67dから取り外したのち 、分離フレーム 67a〜67dをフィルム固定板 13〜 16によってフィルム支持台 3〜6に 固定する。すなわち、分離フレーム 67a上にフィルム固定板 13を載せることによりフィ ルム固定板 13とフィルム支持台 3との間に分離フレーム 67aを挟み、図 1に示したボ ルト 31cによってフィルム固定板 13をフィルム支持台 3に固定する。分離フレーム 67 b〜67dについても、分離フレーム 67aと同様にしてフィルム固定板 14〜16とフィル ム支持台 4〜6との間に挟み、固定する。これにより、 X軸方向におけるウェハ 50の両 側に位置する伸張性フィルム 40の一対の部位 (本実施形態では、 X軸方向における 伸張性フィルム 40の両端部)が、一対の第 1の保持部 11によって保持される。また、 Y軸方向におけるウェハ 50の両側に位置する伸張性フィルム 40の一対の部位 (Y軸 方向における伸張性フィルム 40の両端部)が、一対の第 2の保持部 12によって保持 される。
[0061] 続いて、伸張性フィルムを伸張させる工程 (第 1及び第 2の伸張工程)について説明 する。図 14 (a)は、図 13 (a)の VII— VII線に沿ったフィルム伸張装置 1の端面図であ る。また、図 14 (b)は、図 13 (a)の VIII— VIII線に沿ったフィルム伸張装置 1の端面図 である。なお、図 14 (a)及び図 14 (b)は、ウェハ 50に貼着された伸張性フィルム 40を フィルム伸張装置 1に取り付けた状態 (初期状態)を示しており、テーブル 2の載置面 20aとフィルム支持台 3〜6の Z軸上方の端面とが同じ Z座標位置に維持されている。
[0062] まず、第 1の伸張工程について説明する。この工程では、切断起点 51の一形成方 向である第 1の方向 A (図 13 (a)参照)に対して略垂直な X軸方向(第 3の方向)へ伸 張性フィルム 40を伸張することにより、第 1の方向 Aに沿った切断起点 51においてゥ ェハ 50を切断する。具体的には、シリンダ 22の軸 22aを Z軸下方に突出させることに より、一対の第 1の保持部 11をテーブル 2の載置面 20aに対して相対的に Z軸下方 に移動させて、第 1の保持部 11と載置面 20aとの距離を Z軸方向に拡大する。これに より、伸張性フィルム 40の X軸方向における両端部が固定された第 1の保持部 11に 対して、テーブル 2の載置面 20aが Z軸上方に突き出るかたちとなる。従って、載置面 20a上の伸張性フィルム 40が X軸方向に伸張され、ゥヱハ 50に対して X軸方向に引 張応力が印加される。
[0063] ここで、図 15は、第 1の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置 1を示す斜視 図である。また、図 16 (a)は、図 15の IX— IX線に沿ったフィルム伸張装置 1の端面図 である。また、図 16 (b)は、図 15の X—X線に沿ったフィルム伸張装置 1の端面図で ある。図 15及び図 16 (a)に示すように、第 1の伸張工程において載置面 20a上の伸 張性フィルム 40が X軸方向に伸張された結果、第 1の方向 Aに沿って形成された切 断起点 51 (図 9参照)においてウェハ 50が切断されて、バー状の複数の切断片 52が 生成される。また、このとき、図 16 (b)に示すように、シリンダ 21の軸 21aが静止して いるのでテーブル 2の載置面 20aと第 2の保持部 12との相対位置関係は変化しない 。従って、伸張性フィルム 40は Y軸方向には伸張されないので、ウェハ 50に Y軸方 向の引張応力は生じない。
[0064] 続いて、第 2の伸張工程について説明する。この工程では、切断起点 51の他の形 成方向である第 2の方向 Bに対して略垂直な Y軸方向(第 4の方向)へ伸張性フィル ム 40を伸張することにより、第 2の方向 Bに沿った切断起点 51においてウェハ 50を 切断する。具体的には、シリンダ 21の軸 21aを Z軸上方に突出させることにより、テー ブル 2の載置面 20aを一対の第 2の保持部 12に対して相対的に Z軸上方に移動させ て、第 1の保持部 12と載置面 20aとの距離を Z軸方向に拡大する。これにより、伸張 性フィルム 40の Y軸方向における両端部が固定された第 2の保持部 12に対して、テ 一ブル 2の載置面 20aが Z軸上方に突き出るかたちとなる。従って、載置面 20a上の 伸張性フィルム 40が Y軸方向に伸張され、ウェハ 50 (切断片 52)に対して Y軸方向 に引張応力が印加される。
[0065] ここで、図 17は、第 2の伸張工程が完了した状態のフィルム伸張装置 1を示す斜視 図である。また、図 18 (a)は、図 17の XI— XI線に沿ったフィルム伸張装置 1の端面図 である。また、図 18 (b)は、図 17の XII— XII線に沿ったフィルム伸張装置 1の端面図 である。図 17及び図 18 (b)に示すように、第 2の伸張工程において載置面 20a上の 伸張性フィルム 40が Y軸方向に伸張された結果、第 2の方向 Bに沿って形成された 切断起点 51 (図 9参照)にお 、てウェハ 50 (切断片 52)が切断されて、複数の半導体 チップ 53が生成される。また、このとき、図 18 (a)に示すように、シリンダ 22の軸 22a をシリンダ 21の軸 21aの突出量と同じ量だけ Z軸上方へ収縮させることにより、第 1の 保持部 11とテーブル 2の載置面 20aとの相対位置関係を略一定に維持する。これに より、伸張性フィルム 40の X軸方向における伸張状態を維持できる。
[0066] なお、上述した方法においては第 1及び第 2の伸張工程をそれぞれ 1回ずつ行って いるが、本基板加工方法においては第 1及び第 2の伸張工程を複数段階に分けて交 互に行ってもよい。その場合、 1回目の第 1及び第 2の伸張工程においてウェハ 50を 完全に切断する必要はなぐ複数段階の第 1及び第 2の伸張工程にわたって伸張性 フィルム 40を少しずつ伸張させ、結果的にウェハ 50が完全に切断されていればよい 。なお、 2回目以降の第 1の伸張工程においては、シリンダ 21の軸 21aを静止状態で 保持することにより、前回までの第 2の伸張工程における伸張性フィルム 40の Y軸方 向の伸張状態を維持することができる。
[0067] 第 1及び第 2の伸張工程においてウェハ 50を切断した後、図 19に示すように、伸張 性フィルム 40が伸張された状態のまま、ウェハ 50を囲む環状のダイシングリング 68を 伸張性フィルム 40の表面に貼着する。そして、テーブル 2の四辺に沿って伸張性フィ ルム 40を切断し、ウェハ 50をフィルム伸張装置 1から取り外す。このとき、ダイシンダリ ング 68によって伸張性フィルム 40の伸張状態が維持されるので、切断された複数の 半導体チップ 53の離間状態が保たれる。最後に、図 20に示すように、伸張性フィル ム 40をダイシングリング 68の外縁に沿って切断する。こうして、ウェハ 50から形成さ れて互いに離間された状態の複数の半導体チップ 53が、後の工程に提供される。
[0068] 以上に説明した本実施形態の基板加ェ方法及びフィルム伸張装置 1の効果につ いて説明する。本実施形態の基板加工方法及びフィルム伸張装置 1では、第 1の方 向 Aに沿って形成された切断起点 51に対しては、該第 1の方向 Aと略垂直な X軸方 向に伸張性フィルム 40を伸張させることにより引張応力を印加している。また、第 2の 方向 Bに沿って形成された切断起点 51に対しては、該第 2の方向 Bと略垂直な Y軸 方向に伸張性フィルム 40を伸張させることにより引張応力を印加している。そして、 X 軸方向及び Y軸方向へのこれらの伸張動作を交互に行うことにより、ウェハ 50を切断 している。これにより、切断起点 51に対して不要な方向(切断起点 51の形成方向に 対して斜めの方向)にカ卩わる力を低減できるので、半導体チップ 53におけるチッピン グ '引きちぎれ '膜剥がれ等の損傷や、切断直後の切断片 52同士或いは半導体チッ プ 53同士の競り合いを防げる。
[0069] また、フィルム伸張装置 1が 2つのシリンダ 21及び 22を備えることによって、伸張性 フィルム 40を伸張させる際に、互いに交差する二方向(X軸方向及び Y軸方向)へそ れぞれ独立して伸張させることができるとともに、伸張方向とは異なる方向への伸張 状態を好適に維持できる。従って、 X軸方向及び Y軸方向への伸張動作を交互に行 うことができるとともに、切断片 52同士或いは半導体チップ 53同士が切断後に再び 接触することを防止できる。
[0070] 以上、本実施形態の基板加工方法及びフィルム伸張装置 1によれば、切断起点 51 が二方向(第 1及び第 2の方向)に形成されたウェハ 50を切断する際に切断面の損 傷を防止できる。
[0071] また、フィルム伸張装置 1は、本実施形態のようにシリンダ 21及び 22としてエアシリ ンダまたは油圧シリンダを備えることが好ましい。これにより、空気圧(油圧)または空 気量 (油量)を調整することによって伸張性フィルム 40の伸張速度を制御することが 可能となるので、伸張性フィルム 40の伸張速度をウェハ 50の構成材料などに応じて 好適に制御することができる。なお、本発明のおける第 1及び第 2の駆動部としては、 本実施形態のようなシリンダ 21及び 22以外にも、例えばモータ (電気モータ)を用い ることができる。この場合、モータのギヤ比を切り替えること等によって伸張性フィルム 40の伸張速度を制御することができる。
[0072] また、フィルム伸張装置 1は、シリンダ 21及び 22の作動時間を制御する制御部 24 を備えてもよい。フィルム伸張装置 1がシリンダ 21及び 22としてエアシリンダまたは油 圧シリンダを備える場合、上述したように伸張性フィルム 40の伸張速度を制御するこ とができるので、制御部 24がシリンダ 21及び 22の作動時間を制御することにより、伸 張性フィルム 40の伸張量を容易に制御できる。また、フィルム伸張装置が第 1及び第 2の駆動部としてモータを備える場合であっても、該モータの作動時間を制御する制 御部をフィルム伸張装置が備えることにより、伸張性フィルム 40の伸張量を容易に制 御できる。
[0073] また、フィルム伸張装置 1は、本実施形態のように、テーブル 2の載置面 20aに対す る第 1の保持部 11及び第 2の保持部 12の変位を検出する変位センサ 25及び 26を 備えることが好ましい。これにより、伸張性フィルム 40の伸張量を精度良く測定できる 。また、この場合、フィルム伸張装置 1は、シリンダ 21及び 22の作動量を、変位セン サ 25及び 26からの検出結果に基づいて制御する制御部 24を備えることが好ましい 。これにより、伸張性フィルム 40の伸張量を容易に制御できる。なお、フィルム伸張装 置が第 1及び第 2の駆動部としてモータを備える場合であっても、本実施形態のよう な変位センサ、及び該変位センサからの変位検出結果に基づ 、てモータの作動量 を制御する制御部を備えることにより、伸張性フィルム 40の伸張量を容易に制御でき る。
[0074] なお、本実施形態の第 1の伸張工程においては、シリンダ 22の軸 22aを突出させる ことにより伸張性フィルム 40を X軸方向に伸張させる際に、シリンダ 21の軸 21aを静 止させている。本基板カ卩ェ方法においては、第 1の伸張工程の際に、シリンダ 21の 軸 21aをシリンダ 22の軸 22aよりも小さい突出速度及び突出量で突出させてもよい。 これにより、伸張性フィルム 40は、 X軸方向に伸張すると同時に、 X軸方向への伸張 速度よりも小さな伸張速度及び伸張量で Y軸方向に伸張することとなる。また、第 2の 伸張工程においても、シリンダ 21の軸 21aを突出させ、且つシリンダ 22の軸 22aを収 縮させることにより伸張性フィルム 40を Y軸方向に伸張させる際に、シリンダ 22の軸 2 2aの収縮速度及び収縮量をシリンダ 21の軸 21aの突出速度及び突出量よりも少なく してもよい。これにより、伸張性フィルム 40は、 Y軸方向に伸張すると同時に、 Y軸方 向への伸張速度及び伸張量よりも小さな伸張速度及び伸張量で X軸方向に伸張す ることとなる。
[0075] 伸張性フィルム 40を伸張させる際には、伸張方向と交差する方向に伸張性フィル ム 40の中央部分が縮む傾向がある。伸張方向と交差する方向に伸張性フィルム 40 が過度に縮むと、ウェハ 50の切断起点 51に意図しない方向の応力が働き、切断面 を損傷するおそれがある。従って、伸張性フィルム 40を X軸方向に伸張させる際に X 軸方向への伸張速度よりも小さな伸張速度で Y軸方向に伸張させ、 Y軸方向に伸張 させる際に Y軸方向への伸張速度よりも小さな伸張速度で X軸方向に伸張させること により、伸張性フィルム 40を伸張させる際に伸張方向と交差する方向における伸張 性フィルム 40の縮みを防ぐことができるので、切断面の損傷をより効果的に防止でき る。
[0076] ここで、本実施形態の切断起点 51 (図 8参照)の形成方法について、更に詳細に説 明する。本実施形態の切断起点 51は、前述したように多光子吸収による改質領域、 または改質領域の一種である溶融処理領域によって形成される。そこで、まず、多光 子吸収について説明し、続いて、レーザ加工による改質領域 (溶融処理領域)の形 成方法について説明する。
[0077] 材料の吸収のバンドギャップ E
Gよりも光子のエネルギー h v力 、さいと光学的に透 明となる。よって、材料に吸収が生じる条件は h v >Eである。しかし、光学的に透明
G
でも、材料に照射されるレーザ光の強度を非常に大きくすると nh v >Eの条件 (n=
G
2, 3, 4, · · · )で材料に吸収が生じる。この現象を多光子吸収という。パルス波の場 合、レーザ光の強度はレーザ光の集光点のピークパワー密度 (WZcm2)で決まり、 例えばピークパワー密度が 1 X 108(WZcm2)以上の条件で多光子吸収が生じる。ピ ークパワー密度は、(集光点におけるレーザ光の 1パルス当たりのエネルギー) ÷ (レ 一ザ光のビームスポット断面積 Xパルス幅)により求められる。また、連続波の場合、 レーザ光の強度はレーザ光の集光点の電界強度 (WZcm2)で決まる。
[0078] このような多光子吸収を利用した改質領域形成の原理について、図 21〜図 26を 参照して説明する。図 21は、改質領域形成中のウェハ 50の一部を拡大した平面図 である。図 22は、図 21に示すウェハ 50の XIII— XIII線に沿った断面図である。図 23 は、改質領域形成後のウェハ 50の平面図である。図 24は、図 23に示すウェハ 50の XIV— XIV線に沿った断面図である。図 25は、図 23に示すウエノ、 50の XV— XV線に 沿った断面図である。 [0079] 図 21及び図 22に示すように、ウェハ 50の裏面 50bには、ウェハ 50を切断すべき所 望の切断予定ライン 55がある。切断予定ライン 55は直線状に延びた仮想線であり、 本実施形態では OF50c (図 9参照)に垂直な第 1の方向 Aと、第 1の方向 Aに略直交 する第 2の方向 Bとに沿って想定される。本実施形態において改質領域を形成する 際には、多光子吸収が生じる条件でウェハ 50の基板内部に集光点 Pを合わせてレ 一ザ光 Lをウェハ 50に照射して改質領域 56を形成する。なお、集光点とはレーザ光 Lが集光した箇所のことである。また、ウェハ 50の裏面 50bは、該裏面 50bにおいて レーザ光 Lが散乱することを防ぐため、平坦かつ滑面であることが好ま 、。
[0080] レーザ光 Lを切断予定ライン 55に沿って (すなわち矢印 C方向に沿って)相対的に 移動させることにより、集光点 Pを切断予定ライン 55に沿って移動させる。これにより、 図 23〜図 25に示すように改質領域 56が切断予定ライン 55に沿ってゥヱハ 50の基 板内部にのみ形成され、この改質領域 56でもって切断起点 51が形成される。このと き、ウェハ 50がレーザ光 Lを吸収することによりウェハ 50を発熱させて改質領域 56を 形成するのではない。ウェハ 50にレーザ光 Lを透過させウェハ 50の内部に多光子吸 収を発生させて改質領域 56を形成している。よって、ウェハ 50の裏面 50bではレー ザ光 Lがほとんど吸収されな 、ので、ウェハ 50の裏面 50bが溶融することはな 、。
[0081] ここで、多光子吸収により形成される改質領域としては、例えば次の(1)〜(3)があ る。
[0082] (1)改質領域が 1つ又は複数のクラックを含むクラック領域の場合
基板 (例えばサファイア、ガラス、または LiTaOカゝらなる圧電材料)の内部に集
3
光点を合わせて、集光点における電界強度が 1 X 108 (WZcm2)以上で且つパルス 幅が 1 s以下の条件でレーザ光を照射する。このパルス幅の大きさは、多光子吸収 を生じさせつつ基板の表面に余計なダメージを与えずに、基板の内部にのみクラック 領域を形成できる条件である。これにより、基板の内部には多光子吸収による光学的 損傷という現象が発生する。この光学的損傷により基板の内部に熱ひずみが誘起さ れ、これにより基板の内部にクラック領域が形成される。電界強度の上限値としては、 例えば 1 X 1012 (WZcm2)である。パルス幅は例えば lns〜200nsが好ましい。
[0083] ここで、実験により求められた電界強度とクラックの大きさとの関係について説明す る。実験条件は次ぎの通りである。
(A)基板:パイレックス (登録商標)ガラス (厚さ 700 μ m)
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起 Nd: YAGレーザ
波長: 1064nm
レーザ光スポット断面積: 3. 14 X 10— 8cm2
発振形態: Qスィッチパルス
繰り返し周波数: 100kHz
パルス幅:30ns
出力:出力く lmjZパルス
レーザ光品質: TEM
00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
レーザ光波長に対する透過率: 60パーセント
(D)基板が載置される載置台の移動速度: lOOmmZ秒
[0084] なお、レーザ光品質が TEM とは、集光性が高くレーザ光の波長程度まで集光可
00
能を意味する。
[0085] 図 26は実験結果を示すグラフである。横軸はピークパワー密度であり、レーザ光が パルスレーザ光なので電界強度はピークパワー密度で表される。縦軸は 1パルスの レーザ光により基板の内部に形成されたクラック部分 (クラックスポット)の大きさを示し ている。クラックスポットが集まりクラック領域となる。クラックスポットの大きさは、クラッ クスポットの形状のうち最大の長さとなる部分の大きさである。グラフ中の黒丸で示す データは集光用レンズ (C)の倍率が 100倍、開口数 (NA)が 0. 80の場合である。一 方、グラフ中の白丸で示すデータは集光用レンズ (C)の倍率が 50倍、開口数 (NA) が 0. 55の場合である。ピークパワー密度が 10u (WZcm2)程度力も基板の内部にク ラックスポットが発生し、ピークパワー密度が大きくなるに従いクラックスポットも大きく なることが分力ゝる。
[0086] 次に、クラック領域形成による基板 (ウェハ)の切断のメカニズムについて図 27〜図 30を用いて説明する。図 27に示すように、多光子吸収が生じる条件でウェハ 50の基 板内部に集光点 Pを合わせてレーザ光 Lをウェハ 50に照射して切断予定ラインに沿 つて内部にクラック領域 57を形成する。クラック領域 57は 1つ又は複数のクラックを含 む領域である。このクラック領域 57でもって切断起点が形成される。図 28に示すよう に、人為的な力(例えば引張応力)をウェハ 50に印加することにより、クラック領域 57 を起点として (すなわち、切断起点を起点として)クラックがさらに成長し、図 29に示す ようにクラックがウェハ 50の主面 50a及び裏面 50bに到達し、図 30に示すようにゥェ ノ、 50が割れることによりウェハ 50が切断される。
[0087] (2)改質領域が溶融処理領域の場合
基板 (例えばシリコンのような半導体材料)の内部に集光点を合わせて、集光点に おける電界強度が 1 X 108 (WZcm2)以上で且つパルス幅が 1 μ s以下の条件でレー ザ光を照射する。これにより基板の内部は多光子吸収によって局所的に加熱される。 この加熱により基板の内部に溶融処理領域が形成される。溶融処理領域とはー且溶 融後再固化した領域や、まさに溶融状態の領域や、溶融状態から再固化する状態の 領域であり、相変化した領域や結晶構造が変化した領域ということもできる。また、溶 融処理領域とは単結晶構造、非晶質構造、多結晶構造において、ある構造が別の 構造に変化した領域ということもできる。つまり、例えば、単結晶構造から非晶質構造 に変化した領域、単結晶構造力 多結晶構造に変化した領域、単結晶構造から非 晶質構造及び多結晶構造を含む構造に変化した領域を意味する。基板がシリコン単 結晶構造の場合、溶融処理領域は例えば非晶質シリコン構造である。電界強度の上 限値としては、例えば 1 X 1012 (W/cm2)である。パルス幅は例えば lns〜200nsが 好ましい。
[0088] シリコンウェハの内部で溶融処理領域が形成されることが実験により確認されている 。実験条件は次の通りである。
(A)基板:シリコンウェハ(厚さ 350 μ m、外径 4インチ)
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起 Nd: YAGレーザ
波長: 1064nm レーザ光スポット断面積: 3. 14 X 10 cm
発振形態: Qスィッチパルス
繰り返し周波数: 100kHz
パルス幅:30ns
出力: 20 JZパルス
レーザ光品質: TEM
00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
倍率: 50倍
N. A. : 0. 55
レーザ光波長に対する透過率: 60パーセント
(D)基板が載置される載置台の移動速度: lOOmmZ秒
[0089] 図 31は、上記条件でのレーザ加工により形成された溶融処理領域において切断さ れたシリコンウェハの切断面写真である。シリコンウェハ 58の内部に溶融処理領域 5 9が形成されている。なお、上記条件により形成された溶融処理領域 59の厚さ方向 の大きさは 100 μ m程度である。
[0090] 溶融処理領域 59が多光子吸収により形成されたことを説明する。図 32は、レーザ 光の波長とシリコン基板の内部の透過率との関係を示すグラフである。ただし、シリコ ン基板の表面側と裏面側それぞれの反射成分を除去し、内部のみの透過率を示し ている。シリコン基板の厚さ tが 50 μ m、 100 μ m、 200 μ m、 500 μ m、 1000 μ mの 各々について上記関係を示した。
[0091] 例えば、 Nd:YAGレーザの波長である 1064nmにおいて、シリコン基板の厚さが 5 00 m以下の場合、シリコン基板の内部ではレーザ光が 80%以上透過することが分 力る。図 31に示すシリコンウェハ 58の厚さは 350 mなので、多光子吸収による溶 融処理領域 59をシリコンウェハ 58の中心付近に形成すると、シリコンウェハ 58の表 面力ら 175 μ mの部分に形成される。この場合の透過率は、厚さ 200 μ mのシリコン ウェハを参考にすると、 90%以上なので、レーザ光がシリコンウェハ 58の内部で吸収 されるのは僅かであり、ほとんどが透過する。このことは、シリコンウェハ 58の内部でレ 一ザ光が吸収されて、溶融処理領域 59がシリコンウェハ 58の内部に形成(つまりレ 一ザ光による通常の加熱で溶融処理領域が形成)されたものではなぐ溶融処理領 域 59が多光子吸収により形成されたことを意味する。
[0092] なお、溶融処理領域が形成された基板は、引張応力などの人為的な力が印加され ることにより、溶融処理領域でもって形成される切断起点を起点として断面方向に向 力つて割れを発生させ、その割れが基板の表面と裏面とに到達することにより、結果 的に切断される。また、溶融処理領域は基板内部にのみ形成され、切断後の切断面 には、図 31のように内部にのみ溶融処理領域が形成されている。基板の内部に溶融 処理領域でもって切断起点を形成すると、切断時、切断ラインカゝら外れた不必要な 割れが生じにくいので、切断制御が容易となる。
[0093] (3)改質領域が屈折率変化領域の場合
基板 (例えばガラス)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が I X 108 (W/cm2)以上で且つパルス幅が Ins以下の条件でレーザ光を照射する。パル ス幅を極めて短くして、多光子吸収を基板の内部に起こさせると、多光子吸収による エネルギーが熱エネルギーに転ィ匕せずに、基板の内部にはイオン価数変化、結晶 化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起されて屈折率変化領域が形成される 。電界強度の上限値としては、例えば 1 X 1012 (WZcm2)である。パルス幅は例えば Ins以下が好ましぐ
lps以下がさらに好ましい。
[0094] 以上、多光子吸収により形成される改質領域として(1)〜(3)の場合を説明したが、 基板の結晶構造やその劈開性などを考慮して切断起点を次のように形成すれば、そ の切断起点を起点として、より一層小さな力で、し力も精度良く基板を切断することが 可會 になる。
[0095] すなわち、シリコンなどのダイヤモンド構造の単結晶半導体力 なる基板の場合は 、(111)面 (第 1劈開面)や (110)面 (第 2劈開面)に沿った方向に切断起点を形成 するのが好ましい。また、 GaAsなどの閃亜鉛鉱型構造の III V族化合物半導体から なる基板の場合は、(110)面に沿った方向に切断起点を形成するのが好ましい。さ らに、サファイア (Al O )などの六方晶系の結晶構造を有する基板の場合は、 (000 1)面(C面)を主面として( 1120)面 (八面)或いは( 1100)面(M面)に沿った方向に 切断起点を形成するのが好まし 、。
[0096] 次に、上述した改質領域形成に使用されるレーザ加工装置について、図 33を参照 して説明する。図 33はレーザカ卩ェ装置 100の概略構成図である。
[0097] レーザカ卩ェ装置 100は、レーザ光 Lを発生するレーザ光源 101と、レーザ光 Lの出 力やパルス幅等を調節するためにレーザ光源 101を制御するレーザ光源制御部 10 2と、レーザ光 Lの反射機能を有しかつレーザ光 Lの光軸の向きを 90° 変えるように 配置されたダイクロイツクミラー 103と、ダイクロイツクミラー 103で反射されたレーザ光 Lを集光する集光用レンズ 105と、集光用レンズ 105で集光されたレーザ光 Lが照射 されるウェハ 50が載置される載置台 107と、載置台 107を X軸方向に移動させるため の X軸ステージ 109と、載置台 107を X軸方向と直交する Y軸方向に移動させるため の Y軸ステージ 111と、載置台 107を X軸及び Y軸方向に直交する Z軸方向に移動さ せるための Z軸ステージ 113と、これら 3つのステージ 109, 111, 113の移動を制御 するステージ制御部 115とを備える。
[0098] この集光点 Pの X(Y)軸方向の移動は、ウェハ 50を Χ(Υ)軸ステージ 109 (111)に より Χ(Υ)軸方向に移動させることにより行う。 Ζ軸方向は、ウェハ 50の裏面 50bと直 交する方向なので、ウェハ 50に入射するレーザ光 Lの焦点深度の方向となる。よって 、 Z軸ステージ 113を Z軸方向に移動させることにより、ウェハ 50の基板内部にレーザ 光 Lの集光点 Pを合わせることができる。これにより、例えば、ウェハ 50が基板及び該 基板上に設けられた積層部を含むような場合でも、ウェハ 50の基板内部の所望の位 置に集光点 Pを合わせることができる。
[0099] レーザ光源 101はパルスレーザ光を発生する Nd:YAGレーザである。レーザ光源 101に用いることができるレーザとして、この他、 Nd:YVOレーザ、 Nd:YLFレーザ
4
やチタンサファイアレーザがある。本実施形態では、ウェハ 50の加工にパルスレーザ 光を用いている力 多光子吸収を起こさせることができるなら連続波レーザ光でもよ い。
[0100] レーザカ卩ェ装置 100はさらに、載置台 107に載置されたウェハ 50を可視光線により 照明するために可視光線を発生する観察用光源 117と、ダイクロイツクミラー 103及 び集光用レンズ 105と同じ光軸上に配置された可視光用のビームスプリッタ 119とを 備える。ビームスプリッタ 119と集光用レンズ 105との間にダイクロイツクミラー 103が 配置されている。ビームスプリッタ 119は、可視光線の約半分を反射し残りの半分を 透過する機能を有しかつ可視光線の光軸の向きを 90° 変えるように配置されて!、る 。観察用光源 117から発生した可視光線はビームスプリッタ 119で約半分が反射さ れ、この反射された可視光線がダイクロイツクミラー 103及び集光用レンズ 105を透 過し、ウェハ 50の切断予定ライン 55等を含む裏面 50bを照明する。
[0101] レーザカ卩ェ装置 100はさらに、ビームスプリッタ 119、ダイクロイツクミラー 103及び 集光用レンズ 105と同じ光軸上に配置された撮像素子 121及び結像レンズ 123を備 える。撮像素子 121としては例えば CCDカメラがある。切断予定ライン 55等を含む裏 面 50bを照明した可視光線の反射光は、集光用レンズ 105、ダイクロイツクミラー 103 、ビームスプリッタ 119を透過し、結像レンズ 123で結像されて撮像素子 121で撮像 され、撮像データとなる。
[0102] レーザ加工装置 100はさらに、撮像素子 121から出力された撮像データが入力さ れる撮像データ処理部 125と、レーザ加工装置 100全体を制御する全体制御部 127 と、モニタ 129とを備える。撮像データ処理部 125は、撮像データを基にして観察用 光源 117で発生した可視光の焦点をウェハ 50の裏面 50b上に合わせるための焦点 データを演算する。この焦点データを基にしてステージ制御部 115が Z軸ステージ 1 13を移動制御することにより、可視光の焦点がウェハ 50の裏面 50bに合うようにする 。よって、撮像データ処理部 125はオートフォーカスユニットとして機能する。また、撮 像データ処理部 125は、撮像データを基にして裏面 50bの拡大画像等の画像デー タを演算する。この画像データは全体制御部 127に送られ、全体制御部で各種処理 がなされ、モニタ 129に送られる。これにより、モニタ 129に拡大画像等が表示される
[0103] 全体制御部 127には、ステージ制御部 115からのデータ、撮像データ処理部 125 からの画像データ等が入力し、これらのデータも基にしてレーザ光源制御部 102、観 察用光源 117及びステージ制御部 115を制御することにより、レーザ加ェ装置 100 全体を制御する。よって、全体制御部 127はコンピュータユニットとして機能する。 [0104] ここで、図 34は、図 33に示されたレーザカ卩ェ装置 100を用いてウェハ 50に切断起 点を形成する方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態において、ウェハ 50は、レーザカ卩ェ装置 100の載置台 107に、裏面 50bが集光用レンズ 105と対向す るように配置される。すなわち、レーザ光 Lは、ウェハ 50の裏面 50bから入射される。
[0105] 図 33及び図 34を参照すると、まず、ウェハ 50が有する基板の光吸収特性を図示し ない分光光度計等により測定する。この測定結果に基づいて、ウェハ 50が有する基 板に対して透明な波長又は吸収の少ない波長のレーザ光 Lを発生するレーザ光源 1 01を選定する(S101)。
[0106] 続 、て、ウェハ 50が有する基板の厚さ、材質、及び屈折率等を考慮して、ウェハ 50 の Z軸方向の移動量を決定する(S103)。これは、ウェハ 50の裏面 50bから所定距 離内側の所望の位置にレーザ光 Lの集光点 Pを合わせるために、ウェハ 50の裏面 5 Obに位置するレーザ光 Lの集光点 Pを基準としたウェハ 50の Z軸方向の移動量であ る。この移動量は全体制御部 127に入力される。
[0107] 続いて、ウェハ 50を、裏面 50bが集光用レンズ 105側と対向するように、レーザカロ ェ装置 100の載置台 107に載置する。そして、観察用光源 117から可視光を発生さ せて裏面 50bを照明する(S105)。照明されたゥヱハ 50の裏面 50bを撮像素子 121 により撮像する。撮像素子 121により撮像された撮像データは撮像データ処理部 12 5〖こ送られる。この撮像データに基づいて撮像データ処理部 125は、観察用光源 11 7の可視光の焦点がウェハ 50の裏面 50bに位置するような焦点データを演算する(S 107)。
[0108] この焦点データはステージ制御部 115に送られる。ステージ制御部 115は、この焦 点データを基にして、観察用光源 117の可視光の焦点がウェハ 50の裏面 50bに位 置するように載置台 107を Z軸方向に移動させる(S 109)。なお、撮像データ処理部 125は撮像データに基づいて、切断予定ライン 55を含む裏面 50bの拡大画像デー タを演算する。この拡大画像データは全体制御部 127を介してモニタ 129に送られ、 これによりモニタ 129に切断予定ライン 55付近の拡大画像が表示される。
[0109] 全体制御部 127には予めステップ S103で決定された移動量データが入力されて おり、この移動量データがステージ制御部 115に送られる。ステージ制御部 115はこ の移動量データに基づ 、て、レーザ光 Lの集光点 Pの位置がウェハ 50の裏面 50bか ら所定距離内側となるように、 Z軸ステージ 113によりウェハ 50を Z軸方向に移動させ る(Sl l l)。
[0110] 続いて、レーザ光源 101からレーザ光 Lを発生させて、レーザ光 Lをウェハ 50の裏 面 50bに照射する。レーザ光 Lの集光点 Pはウェハ 50の基板の内部に位置している ので、改質領域は基板の内部にのみ形成される。そして、切断予定ライン 55に沿うよ うに X軸ステージ 109や Y軸ステージ 111を移動させて改質領域を複数形成するか、 あるいは切断予定ライン 55に沿って連続して改質領域を形成することにより、切断予 定ライン 55に沿う切断起点を基板の内部に形成する(S 113)。こうして、図 8及び図 9 に示した切断起点 51が形成される。
[0111] 本実施形態のように、多光子吸収という現象により形成される改質領域 (または溶 融処理領域)でもってウェハ 50に切断起点 51を形成することにより、ウェハ 50を比較 的小さな力で精度良く割って切断することができる。従って、本実施形態の基板加工 方法によれば、 X軸方向及び Y軸方向のそれぞれに伸張性フィルム 40を伸張させて 、ウェハ 50を精度よく切断することができる。
[0112] (第 2の実施の形態)
次に、本発明によるフィルム伸張装置の第 2実施形態について説明する。図 35 (a) 及び図 35 (b)は、本実施形態によるフィルム伸張装置 laの構成を示す端面図である 。なお、図 35 (a)はフィルム伸張装置 laを Y軸方向から見たときの端面図であり、図 3 5 (b)はフィルム伸張装置 laを X軸方向から見たときの端面図である。
[0113] 図 35 (a)及び図 35 (b)を参照すると、本実施形態のフィルム伸張装置 laにおいて 上記第 1実施形態のフィルム伸張装置 1と異なる点は、ベース板 17の配置である。本 実施形態のベース板 17は、シリンダ 22に対して Z軸下方に配置されている。すなわ ち、シリンダ 22は、軸 22aの突出方向が Z軸下方となるように、ベース板 17上に固定 されている。ベース板 17の略中央部分にはシリンダ 22の軸 22aが揷通される貫通孔 17aが設けられており、シリンダ 22の軸 22aは貫通孔 17aを貫通して移動板 8に固定 されている。また、シリンダ 21は、軸 21aの突出方向が Z軸上方となるようにシリンダ 2 2上に固定されている。 [0114] 図 36 (a)及び図 36 (b)は、本実施形態のフィルム伸張装置 laを用いたときの第 1 の伸張工程を示す端面図である。また、図 37 (a)及び図 37 (b)は、本実施形態のフ イルム伸張装置 laを用いたときの第 2の伸張工程を示す端面図である。なお、図 36 ( a)及び図 37 (a)はフィルム伸張装置 laを Y軸方向から見たときの端面図であり、図 3 6 (b)及び図 37 (b)はフィルム伸張装置 laを X軸方向から見たときの端面図である。
[0115] 本実施形態における第 1の伸張工程では、図 36 (a)に示すように、シリンダ 22の軸 22aを Z軸下方に突出させることにより、一対の第 1の保持部 11をテーブル 2の載置 面 20aに対して相対的に Z軸下方に移動させて、第 1の保持部 11と載置面 20aとの 距離を Z軸方向に拡大する。これにより、載置面 20a上の伸張性フィルム 40が X軸方 向に伸張され、ウェハ 50に対して X軸方向に引張応力が印加される。そして、この引 張応力により、第 1の方向に沿って形成された切断起点 51 (図 9参照)においてゥェ ノ、 50が切断されて、バー状の複数の切断片 52が生成される。また、このとき、図 36 ( b)に示すように、シリンダ 21の軸 21aが静止しているので載置面 20aと第 2の保持部 12との相対位置関係は変化しない。従って、伸張性フィルム 40は Y軸方向には伸張 されな 、ので、ウェハ 50に Y軸方向の引張応力は生じな!/、。
[0116] また、本実施形態における第 2の伸張工程では、図 37 (b)に示すように、シリンダ 2 1の軸 21aを Z軸上方に突出させることにより、テーブル 2の載置面 20aを一対の第 2 の保持部 12に対して相対的に Z軸上方に移動させて、第 2の保持部 12と載置面 20 aとの距離を Z軸方向に拡大する。これにより、載置面 20a上の伸張性フィルム 40が Y 軸方向に伸張され、ウェハ 50 (切断片 52)に対して Y軸方向に引張応力が印加され る。そして、この引張応力により、第 2の方向に沿って形成された切断起点 51 (図 9参 照)においてウェハ 50 (切断片 52)が切断されて、複数の半導体チップ 53が生成さ れる。また、このとき、図 37 (a)に示すように、シリンダ 22の軸 22aをシリンダ 21の軸 2 1 aの突出量と同じ量だけ Z軸上方へ収縮させることにより、第 1の保持部 11とテープ ル 2の載置面 20aとの相対位置関係を略一定に維持する。これにより、伸張性フィル ム 40の X軸方向における伸張状態を維持できる。
[0117] 本発明によるフィルム伸張装置は、本実施形態のフィルム伸張装置 laのような構成 を備えることによつても、上記第 1実施形態のフィルム伸張装置 1について述べた効 果と同様の効果を得ることができる。
[0118] (第 3の実施の形態)
次に、上記した実施形態によるフィルム伸張装置 1の第 3実施形態について説明す る。図 38は、本実施形態によるフィルム伸張装置 lbの構成を示す斜視図である。ま た、図 39 (a)は、図 38に示したフィルム伸張装置 lbの平面図である。また、図 39 (b) 及び図 39 (c)は、それぞれ図 39 (a)の XVI— XVI線及び XVII— XVII線に沿った端面 図である。なお、図 38及び図 39 (a)〜図 39 (c)には、説明を容易にする為に XYZ直 交座標系も示されている。
[0119] 図 38及び図 39 (a)〜図 39 (c)を参照すると、本実施形態のフィルム伸張装置 lbは 、一対の第 1の保持部 91、一対の第 2の保持部 92、第 1の駆動部 81、及び第 2の駆 動部 82を備える。このフィルム伸張装置 lbは、第 1の保持部 91及び第 2の保持部 92 によって伸張性フィルム 40の端部を保持しつつ、一対の第 1の保持部 91同士の間 隔、及び一対の第 2の保持部 92同士の間隔を互いに独立に拡大することによって、 伸張性フィルム 40を伸張させる装置である。以下、フィルム伸張装置 lbの各構成に ついて説明する。
[0120] 第 1の保持部 91は、 X軸方向(第 3の方向)におけるウェハ 50の両側に位置する伸 張性フィルム 40の一対の部位 (本実施形態では、 X軸方向における伸張性フィルム 4 0の両端部)を保持するための一対の構成要素である。一対の第 1の保持部 91は、 X 軸方向にお 、てウェハ 50の両側に並んで配置されて 、る。一対の第 1の保持部 91 のうち一方は、フィルム支持台 83及びフィルム固定板 93を含んで構成されている。ま た、一対の第 1の保持部 91のうち他方は、フィルム支持台 84及びフィルム固定板 94 を含んで構成されている。
[0121] フィルム支持台 83及び 84は、図中の YZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要 素である。フィルム支持台 84は、フィルム支持台 83に対して X軸の正方向に配置さ れている。フィルム支持台 83及び 84は、 Z軸方向と交差する一対の端面と、 Y軸方 向と交差する一対の端面とを有する。 Z軸方向と交差する一対の端面のうち Z軸上方 の端面は、フィルム支持台 83及び 84のそれぞれにおいて同じ高さ (Z軸方向位置) に配置されている。 [0122] フィルム固定板 93及び 94は、フィルム支持台 83及び 84の Z軸上方の端面に沿つ て延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板 93及び 94は、図示し ないボルトによってそれぞれフィルム支持台 83及び 84に固定される。このとき、フィ ルム固定板 93及び 94は、図 39 (b)に示すように X軸方向における伸張性フィルム 4 0の両端部をフィルム支持台 83及び 84との間に挟んで固定する。
[0123] 第 2の保持部 92は、 Y軸方向(第 4の方向)におけるゥヱハ 50の両側に位置する伸 張性フィルム 40の一対の部位 (本実施形態では、 Y軸方向における伸張性フィルム 40の両端部)を保持するための一対の構成要素である。一対の第 2の保持部 92は、 Y軸方向にぉ 、てウェハ 50の両側に並んで配置されて 、る。一対の第 2の保持部 9 2のうち一方は、フィルム支持台 85及びフィルム固定板 95を含んで構成されている。 また、一対の第 2の保持部 92のうち他方は、フィルム支持台 86及びフィルム固定板 9 6を含んで構成されている。
[0124] フィルム支持台 85及び 86は、図中の XZ平面に沿って延びる矩形板状の構成要素 である。フィルム支持台 86は、フィルム支持台 85に対して Y軸の正方向に配置され ている。フィルム支持台 85及び 86は、 Z軸方向と交差する一対の端面と、 X軸方向と 交差する一対の端面とを有する。 Z軸方向と交差する一対の端面のうち Z軸上方の端 面は、フィルム支持台 85及び 86のそれぞれにおいて同じ高さ(Z軸方向位置)に配 置されている。
[0125] フィルム固定板 95及び 96は、フィルム支持台 85及び 86の Z軸上方の端面に沿つ て延びる略長方形の板状の構成要素である。フィルム固定板 95及び 96は、図示し ないボルトによってそれぞれフィルム支持台 85及び 86に固定される。このとき、フィ ルム固定板 95及び 96は、図 39 (c)に示すように Y軸方向における伸張性フィルム 4 0の両端部をフィルム支持台 85及び 86との間に挟んで固定する。
[0126] 第 1の駆動部 81は、一対の第 1の保持部 91同士の間隔を拡大することによって、 伸張性フィルム 40を X軸方向に伸張させる構成要素である。第 1の駆動部 81は、 2 つのシリンダ 8 la及び 8 lbによって構成されている。シリンダ 8 laは、その軸が X軸の 負方向に突出するように配置されており、該軸の先端力 Sフィルム支持台 83に固定さ れている。また、シリンダ 81bは、その軸が X軸の正方向に突出するように配置されて おり、該軸の先端がフィルム支持台 84に固定されている。
[0127] 第 2の駆動部 82は、一対の第 2の保持部 92同士の間隔を拡大することによって、 伸張性フィルム 40を Y軸方向に伸張させる構成要素である。第 2の駆動部 82は、 2 つのシリンダ 82a及び 82bによって構成されている。シリンダ 82aは、その軸が Y軸の 負方向に突出するように配置されており、該軸の先端力 Sフィルム支持台 85に固定さ れている。また、シリンダ 82bは、その軸が Y軸の正方向に突出するように配置されて おり、該軸の先端がフィルム支持台 86に固定されている。
[0128] 本実施形態のシリンダ 81a、 81b、 82a、及び 82bは、エアシリンダまたは油圧シリン ダカもなる。シリンダ 81a及び 81bの軸がそれぞれ X軸負方向及び正方向に突出す ると、フィルム支持台 83及び 84が外側へ移動して一対の第 1の保持部 91同士の間 隔が拡大される。これにより、伸張性フィルム 40が X軸方向に伸張される。このとき、 シリンダ 82a及び 82bの軸を静止させることにより、一対の第 2の保持部 92同士の間 隔を維持することができる。また、シリンダ 82a及び 82bの軸がそれぞれ Y軸負方向 及び正方向に突出すると、フィルム支持台 85及び 86が外側へ移動して一対の第 2 の保持部 92同士の間隔が拡大される。これにより、伸張性フィルム 40が Y軸方向に 伸張される。このとき、シリンダ 81a及び 81bの軸を突出状態で静止させることにより、 一対の第 1の保持部 91同士の間隔を維持し、伸張性フィルム 40の X軸方向の伸張 状態を維持できる。
[0129] なお、図示していないが、本実施形態のフィルム伸張装置 lbは、第 1実施形態と同 様に、第 1の保持部 91及び第 2の保持部 92の変位を検出する変位センサと、第 1の 駆動部 81及び第 2の駆動部 82の作動量を変位センサ力もの検出結果に基づいて 制御する制御部とを備えることが好ましい。或いは、フィルム伸張装置 lbは、第 1の 駆動部 81及び第 2の駆動部 82の作動時間を制御する制御部を備えてもよい。
[0130] 続いて、本実施形態に係る基板加工方法について、フィルム伸張装置 lbの動作と ともに説明する。なお、本実施形態における加工対象物であるウェハ 50への切断起 点の形成方法、ウェハ 50への伸張性フィルム 40の貼着方法、及びフィルム伸張装置 lbへの伸張性フィルム 40の取り付け方法については、第 1実施形態と同様なので説 明を省略する。 [0131] まず、第 1の伸張工程では、切断起点の一形成方向である第 1の方向 Aに対して略 垂直な X軸方向(第 3の方向)へ伸張性フィルム 40を伸張させることにより、第 1の方 向 Aに沿った切断起点においてウェハ 50を切断する。具体的には、シリンダ 81a及 び 81bの軸をそれぞれ X軸の負方向及び正方向に突出させることにより、一対の第 1 の保持部 91同士の間隔を拡大する。これにより、伸張性フィルム 40が X軸方向に伸 張され、ウェハ 50に対して X軸方向に引張応力が印加される。その結果、第 1の方向 Aに沿って形成された切断起点においてウェハ 50が切断されて、バー状の複数の切 断片が生成される。また、このとき、シリンダ 82a及び 82bの軸が静止しているので一 対の第 2の保持部 92同士の間隔は変化しない。従って、伸張性フィルム 40は Y軸方 向には伸張されな 、ので、ウェハ 50に Y軸方向の引張応力は生じな!/、。
[0132] 続いて、第 2の伸張工程では、切断起点の他の形成方向である第 2の方向 Bに対し て略垂直な Y軸方向(第 4の方向)へ伸張性フィルム 40を伸張させることにより、第 2 の方向 Bに沿った切断起点においてウェハ 50を切断する。具体的には、シリンダ 82a 及び 82bの軸をそれぞれ Y軸の負方向及び正方向に突出させることにより、一対の 第 2の保持部 92同士の間隔を拡大する。これにより、伸張性フィルム 40が Y軸方向 に伸張され、ウェハ 50に対して Y軸方向に引張応力が印加される。その結果、第 2の 方向 Bに沿って形成された切断起点においてウェハ 50が切断されて、複数の半導体 チップが生成される。また、このとき、シリンダ 81a及び 81bの軸を第 1の伸張工程に おける突出状態のまま静止させることによって、一対の第 1の保持部 91同士の間隔 が維持される。従って、伸張性フィルム 40の X軸方向への伸張状態が維持される。
[0133] なお、上述した方法においては第 1及び第 2の伸張工程をそれぞれ 1回ずつ行って いるが、本基板加工方法においても、第 1実施形態と同様に第 1及び第 2の伸張ェ 程を複数段階に分けて交互に行ってもよい。なお、この場合、 2回目以降の第 1の伸 張工程においては、シリンダ 82a及び 82bの軸を突出状態で保持することにより、前 回までの第 2の伸張工程における伸張性フィルム 40の Y軸方向の伸張状態を維持 することができる。
[0134] 本実施形態による基板加工方法及びフィルム伸張装置 lbによれば、第 1実施形態 と同様に、切断起点に対して不要な方向に加わる力を低減できるので、半導体チッ プにおけるチッビング'引きちぎれ '膜剥がれ等の損傷や、切断直後の切断片同士或 いは半導体チップ同士の競り合いを防げる。また、フィルム伸張装置 lbが 2つの駆動 部 81及び 82を備えることによって、伸張性フィルム 40を伸張させる際に、互いに交 差する二方向 (X軸方向及び Y軸方向)へそれぞれ独立して伸張させることができる とともに、伸張方向とは異なる方向への伸張状態を好適に維持できる。従って、 X軸 方向及び Y軸方向への伸張動作を交互に行うことができるとともに、切断片同士或い は半導体チップ同士が切断後に再び接触することを防止できる。
[0135] (変形例)
次に、上記した各実施形態による基板加工方法の変形例として、加工対象物にお ける様々な切断起点の態様について説明する。図 40 (a)は、本変形例における加工 対象物であるウェハ 50の構成を示す平面図である。また、図 40 (b)及び図 40 (c)は 、共に図 40 (a)の XVIII— XVIII線に沿った側面断面図であり、それぞれ異なる態様 の切断起点 5 la及び 5 lbを表している。
[0136] 図 40 (b)を参照すると、ウェハ 50に形成された切断起点 51aは、第 1及び第 2の方 向に延びる矩形状断面の溝によって構成されている。このような溝は、例えばダイシ ングブレードを用いてウェハ 50の表面を切削することにより形成される。或いは、ゥェ ハ 50の表面にレーザ光を照射し、ウェハ 50の表面を溶融することによって形成され てもよい。また、図 40 (c)を参照すると、ウェハ 50に形成された切断起点 51bは、三 角形断面の溝によって構成されている。このような溝は、例えばダイヤモンド針を用い てウェハ 50の表面をけがくことにより形成される。
[0137] 図 41は、本変形例における別の態様の切断起点 51cを示す拡大斜視図である。
図 41を参照すると、ウェハ 50に形成された切断起点 51cは、第 1及び第 2の方向に 並ぶ複数の孔によって構成されている。このような複数の孔は、例えばウェハ 50を第 1または第 2の方向に平行移動させながら、パルス状のレーザ光をウェハ 50に周期 的に照射し、ウェハ 50を表面力 裏面にかけて溶融することによって形成される。
[0138] 切断起点は、前述した改質領域に限られず、本変形例のように溝や複数の孔によ つて構成されてもよい。これにより、第 3、第 4の方向のそれぞれに伸張性フィルム 40 を伸張させて、溝や複数の孔を起点としてウェハ 50を好適に切断することができる。 なお、これらの溝や複数の孔が切断起点の少なくとも一部を構成し、他の切断起点 が改質領域等の別の形状によって構成されてもょ 、。
[0139] 本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置は、上記した実施形態に限られ るものではなぐ他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態では切断 起点の形成方向である第 1及び第 2の方向が互いに略直交している例を示したが、 第 1及び第 2の方向は、直交以外の様々な角度で交差していてもよい。このような場 合でも、本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置によれば、第 1及び第 2の 方向のそれぞれと略直交する第 3及び第 4の方向に交互に引張応力を印加し、切断 面の損傷を低減できる。
産業上の利用可能性
[0140] 本発明による基板加工方法及びフィルム伸張装置によれば、切断起点が二方向に 形成された加工対象物を切断する際に切断面の損傷を低減できる。

Claims

請求の範囲
[1] 基板を含む加工対象物を切断する基板加工方法であって、
第 1の方向及び前記第 1の方向と交差する第 2の方向に沿って切断起点が形成さ れた前記加工対象物の一方の面に貼着された伸張性フィルムを、前記第 1の方向に 対して略垂直な第 3の方向へ伸張することにより、前記第 1の方向に沿った前記切断 起点において前記加工対象物を切断する第 1の伸張工程と、
前記第 3の方向への前記伸張性フィルムの伸張状態を維持しながら、前記第 2の 方向に対して略垂直な第 4の方向へ前記伸張性フィルムを伸張することにより、前記 第 2の方向に沿った前記切断起点において前記加工対象物を切断する第 2の伸張 工程と
を備えることを特徴とする、基板加工方法。
[2] 基板を含む加工対象物を切断する基板加工方法であって、
第 1の方向及び前記第 1の方向と交差する第 2の方向に沿って切断起点が形成さ れた前記加工対象物の一方の面に貼着された伸張性フィルムを、前記第 1の方向に 対して略垂直な第 3の方向へ伸張する第 1の伸張工程と、
前記第 2の方向に対して略垂直な第 4の方向へ前記伸張性フィルムを伸張する第 2 の伸張工程と
を備え、
前記第 1及び第 2の伸張工程をそれぞれ複数段階に分けて交互に行うことにより、 前記切断起点において前記加工対象物を切断することを特徴とする、基板加工方法
[3] 前記第 1の伸張工程において、前記第 3の方向へ前記伸張性フィルムを伸張させ る際に、前記第 3の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で前記第 4の方向に前 記伸張性フィルムを伸張させ、
前記第 2の伸張工程にぉ 、て、前記第 4の方向へ前記伸張性フィルムを伸張させ る際に、前記第 4の方向への伸張速度よりも小さい伸張速度で前記第 3の方向に前 記伸張性フィルムを伸張させることを特徴とする、請求項 1または 2に記載の基板カロ ェ方法。
[4] 前記切断起点のうち少なくとも一部は、前記基板の内部に集光点を合わせてレー ザ光を照射することにより生じる多光子吸収によって前記基板の内部に形成された 改質領域力もなることを特徴とする、請求項 1または 2に記載の基板加工方法。
[5] 前記切断起点のうち少なくとも一部は、前記基板の内部に集光点を合わせてレー ザ光を照射することにより前記基板の内部に形成された溶融処理領域力 なることを 特徴とする、請求項 1または 2に記載の基板加工方法。
[6] 前記切断起点のうち少なくとも一部は、前記基板に形成された溝力 なることを特 徴とする、請求項 1または 2に記載の基板加工方法。
[7] 基板を含む加工対象物に貼着された伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装 置であって、
前記伸張性フィルムが貼着された前記加工対象物を載置するための載置面を有す るテープノレと、
第 3の方向における前記テーブルの両側にそれぞれ配置され、前記伸張性フィル ムを保持する一対の第 1の保持部と、
前記第 3の方向と交差する第 4の方向における前記テーブルの両側にそれぞれ配 置され、前記伸張性フィルムを保持する一対の第 2の保持部と、
前記テーブル及び前記第 1の保持部のうち少なくとも一方を駆動することにより、前 記テーブルの前記載置面と前記第 1の保持部との距離を拡大して前記伸張性フィル ムを前記第 3の方向に伸張させる第 1の駆動部と、
前記テーブル及び前記第 2の保持部のうち少なくとも一方を駆動することにより、前 記テーブルの前記載置面と前記第 2の保持部との距離を拡大して前記伸張性フィル ムを前記第 4の方向に伸張させる第 2の駆動部と
を備えることを特徴とする、フィルム伸張装置。
[8] 前記テーブルの前記載置面が平坦であることを特徴とする、請求項 7に記載のフィ ルム伸張装置。
[9] 基板を含む加工対象物に貼着された伸張性フィルムを伸張させるフィルム伸張装 置であって、
第 3の方向における前記加工対象物の両側にそれぞれ配置され、前記伸張性フィ 0/41 ルムを保持する一対の第 1の保持部と、
前記第 3の方向と交差する第 4の方向における前記加工対象物の両側にそれぞれ 配置され、前記伸張性フィルムを保持する一対の第 2の保持部と、
前記一対の第 1の保持部同士の間隔を拡大することにより、前記伸張性フィルムを 前記第 3の方向に伸張させる第 1の駆動部と、
前記一対の第 2の保持部同士の間隔を拡大することにより、前記伸張性フィルムを 前記第 4の方向に伸張させる第 2の駆動部と
を備えることを特徴とする、フィルム伸張装置。
[10] 前記第 1及び第 2の駆動部がエアシリンダ、油圧シリンダ、またはモータのうち少な くとも一種類力もなることを特徴とする、請求項 7または 9に記載のフィルム伸張装置。
[11] 前記第 1及び第 2の駆動部の作動時間を制御する制御部を更に備えることを特徴と する、請求項 10に記載のフィルム伸張装置。
[12] 前記第 1及び第 2の保持部の変位を検出する変位センサを更に備えることを特徴と する、請求項 7または 9に記載のフィルム伸張装置。
[13] 前記第 1及び第 2の駆動部の作動量を、前記変位センサ力 の検出結果に基づい て制御する制御部を更に備えることを特徴とする、請求項 12に記載のフィルム伸張 装置。
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