WO2006057252A1

WO2006057252A1 - 車輪用転がり軸受装置及びその製造方法並びに軸受部材の旋削装置

Info

Publication number: WO2006057252A1
Application number: PCT/JP2005/021468
Authority: WO
Inventors: Tomomasa Kubo; Tatsuya Yokota
Original assignee: Jtekt Corporation
Priority date: 2004-11-26
Filing date: 2005-11-22
Publication date: 2006-06-01
Also published as: EP1832444B1; EP1832444A4; US8534923B2; US7886441B2; US20110103732A1; EP1832444A1; US20090123102A1

Abstract

　車輪側部材が取り付けられるフランジ部４をアウタ側端部１０に有する内軸１と、この内軸１の周囲に設けられた外輪２とを有する車輪用転がり軸受装置において、内軸１のアウタ側に、旋削により形成されて旋削目の形態の違いにより製造属性を識別可能とさせる旋削目パターン部５を有している。これにより、車両本体への組み付け後においてその製造属性の確認が可能となり、かつ、製造工程において簡単にその表示を付することができる。

Description

車輪用転がり軸受装置及びその製造方法並びに軸受部材の旋削装置技術分野

[0001] この発明は、自動車に搭載されるハブユニットなどに用いられる車輪用転がり軸受装置 (以下、単に転がり軸受装置ともいう）及びその製造方法、並びに軸受部材の旋削装置に関する。

背景技術

[0002] 自動車等の車両の車輪が取り付けられる車輪用転がり軸受装置として従来知られるものに、車輪が取り付けられるフランジ部をァウタ側端部に有する内軸と、この内軸の周囲に設けられた外輪とを有するものがある。そして、この外輪が車体側の部材に固定されて転がり軸受装置が車両本体に組み付けられている。

ところで、転がり軸受装置が完成された後、倉庫に在庫として保管されている時や、流通段階または最終製品に組みつけられ巿場に出た場合等において、種々の理由により転がり軸受装置の検査又は交換する必要が生じた場合、当該転がり軸受装置の製造属性、つまりシリアルナンバーやロットナンバー及び数量等を特定することが重要となってくる。

そこで、転がり軸受装置の表面の一部に製造年月日等の文字を刻印することにより、その転がり軸受装置の製造属性を知ることができる。製造属性を識別させるための文字が軸受の表面に刻印により表示されているものとして、例えば特開 2003— 222 146号公報（図 1)がある。

[0003] また、例えば車両用ハブユニットとして、車輪やディスクブレーキ装置のディスクロータ等が取り付けられる軸体としてのハブホイール（内軸）と、このハブホイールの外周側に装着され、これを支持する転がり軸受とを備えた転がり軸受装置により構成されるものがある。このような転がり軸受装置では、例えば特開 2001— 162338号公報に記載されて、るように、上記ハブホイールの円筒状端部を径方向外向きに屈曲変形させ、上記軸受内輪の軸方向端面に対して力しめ付けることにより、その内輪端面を軸方向に押さえて軸受がハブホイール力脱落するのを防止するようになって、る [0004] 具体的には、この種の従来の転がり軸受装置は、図 9に示されるように、一対の外輪軌道 101a、 101bが形成されて車体側に固定される外輪部材 101と、外輪軌道 1 Olaに対向する内輪軌道 102aを有するとともに、車両ァウタ側端部に車輪が取り付けられるハブホイール 102と、このハブホイール 102の車両インナ側端部に嵌合されるとともに、外輪軌道 101bに対向する内輪軌道 103aが形成された内輪部材 103と、互いに対向する外輪軌道 101a、 101bと内輪軌道 102a、 103aとの間に転動自在に設けられた玉からなる転動体 104、 105とを備えて、る。

上記内輪部材 103は、ハブホイール 102の円筒状端部を径方向外向きに屈曲変形させたかしめ部 102bによって当該ハブホイール 102から脱落するのを防がれている。

また、この従来の転がり軸受装置では、耐泥水性を向上させるために、外輪部材 1 01の車両インナ側の内周面にはカバー 106が圧入されており、このカバー 106にて車両インナ側の軸受開口部が密封されている。一方、車両ァウタ側の軸受開口部は、外輪部材 101とハブホイール 102との間に設けられたシール部材 107によって密封されている。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] 製造属性のうち製品の製造履歴 (測定データを含む)の情報が系統的に管理されて!、な、ような場合、品質管理に多大な工数を必要とすることが予想される。

このようなことは、例えば 1つの製品に対して前記製造履歴などの情報を記載したシートを作成することで、ある程度改善されるものの、力かる「1品 1葉」方式の管理は、煩雑であり、また設備も大がかりとなるため現実的ではない。

[0006] そして、特開 2003— 222146号公報に記載される軸受は、装置にー且組み込まれ、軸受が装置の奥部に設けられていると、後にその軸受の属性を確認するのが困難になるおそれがある。さらに、長期の使用により刻印を付した部分において鲭が発生し、刻印が細力、文字であると読み取ることができな、と、う問題点を有して、る。また、刻印による場合は製造年月日やサイズの情報し力製品に付されない場合もあり、前記特定に時間が力かるおそれがあることも予想される。つまり、刻印により製品の追跡を正確かつ迅速に行うには不十分である。

また、内軸と外輪とを有する前記車輪用転がり軸受装置においては、例えば、内軸のフランジ部の車輪側部材用取り付け面と反対の背面に刻印を付する手段が考えられる。しかし、この背面は転がり軸受装置を車両本体へ組み付けた状態で内側向きとなり、刻印を外部力視覚により確認することができない。さらに、軸受の表面に刻印を付する場合は、外輪部材ゃ内輪部材の製作後又は軸受の組み立て後に、別ェ程として別の装置による打刻の作業が必要であり、手間を要するという問題点を有している。

さらに、図 9に示されるような力しめ部を有する転がり軸受装置では、軸受メーカにおいて例えば光電管を用いるなどの方法で、力しめ部 102bが形成されている力否かにつ、て検査されて、た。

ところが、上記のような従来の転がり軸受装置では、図 9に示したように、カバー 106 力 Sかしめ部 102bを覆うように外輪部材 101の内周面に圧入されているので、この力バー 106がー且装着された後に力しめ部 102bの有無をチェックするためには、カバ一 106を取り外す必要があり、当該力しめ部 102bのチェックを行い難力つた。さらに、この従来の転がり軸受装置が車両に組み込まれると、かしめ部 102b及びカバー 1 06が車両インナ側に取り付けられている点も相まって、当該力しめ部 102bの有無を容易に確認することができな、と、う問題点があった。

この発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、組み付け後においてその製造属性の確認が可能かつ容易であり、製造工程において簡単にその表示を付することのできる車輪用転がり軸受装置を提供することを第 1の目的とする。さらに、工場を出荷した製品の追跡（トレース)を容易に行うことができ、検査や交換の必要が生じた場合等において、該当する製品のロットナンバーやシリアルナンバー等を簡単に特定することができ、さらには品質管理を少ない工数で迅速に行うことのできる車輪用転がり軸受装置、及びこのように転がり軸受装置のトレーサビリティを向上させることのできる軸受部材の旋削装置を提供することも第 1の目的とする。

また、力しめ部を覆うようにカバーが装着されたときでも、力しめ部の有無を容易に確認することができる車輪用転がり軸受装置及びその製造方法を提供することを第 2 の目的とする。

課題を解決するための手段

[0008] 前記第 1の目的を達成するためのこの発明の車輪用転がり軸受装置は、車輪側部材が取り付けられるフランジ部をァウタ側端部に有する内軸と、この内軸の周囲に設けられた外輪とを有する車輪用転がり軸受装置において、前記内軸のァウタ側に、旋削により形成されて旋削目の形態の違いにより製造属性を識別可能とさせる旋削目パターン部を有して、ることを特徴として！/、る。

[0009] このような構成の車輪用転がり軸受装置によれば、旋削目パターン部が内軸のァゥタ側に存在するため、転がり軸受装置が車両本体に組み付けられた後において、転力 ^軸受装置を車両本体力取り外すことなく組み付けられたままの状態で旋削目パターン部の表示を外部力簡単に確認することができる。つまり、旋削目パターン部の形態と文字とを予め対応付けて設定し、表示させたい文字に対応する旋削目バタ一ン部を内軸のァウタ側の表面に形成すれば、後にその旋削目パターン部を調べることにより表示される内容 (文字)を読み取ることができる。従って、車輪用転がり軸受装置の製造年月日や加工条件等の製造属性に関するトレーサビリティの向上が図れる。

さらに、旋削目パターン部は旋削により形成されているため、内軸を旋削により加工する際に旋削目ノターン部を同時に得ることができる。

[0010] また、前記フランジ部の内周側部に設けられて当該フランジ部に前記車輪側部材を取り付ける際のガイドとなるガイド筒の内側面に、前記旋削目パターン部が形成されているのが好ましい。この構成によれば、車両が完成した後において、車輪側部材である車輪のホイールを転がり軸受装置のフランジ部から取り外すことにより、その製造属性を簡単に知ることができる。さらに、ガイド筒の内側面は外部から水が浸入しにくいため鲭の発生を抑えることができ、長期にわたって旋削目パターン部をそのままの状態に維持させることができる。

[0011] また、前記第 1の目的を達成するためのこの発明の軸受部材の旋削装置は、軸受部材の製造属性情報に応じて旋削バイトによる旋削条件を決定してバイト動作制御信号を得る旋削条件処理手段と、この旋削条件処理手段による前記バイト動作制御信号に従って旋削バイトを動作させて前記製造属性情報を旋削目の形態の違いにより製造属性を識別可能とさせる旋削目パターン部として前記軸受部材に旋削形成させる旋肖 IJバイト駆動手段とを備えたことを特徴としている。

このような構成の軸受部材の旋削装置によれば、軸受部材を旋削して製造する際に、その軸受部材の製造属性情報を示す旋削目パターン部を自動的に設けることができ、工数低減が図れる。つまり、製造属性を識別させるための刻印を製品に対して付する別工程が不要である。

[0012] 前記第 2の目的を達成するための本発明の車輪用転がり軸受装置は、外輪と、内輪部材と、前記外輪と前記内輪部材との間に配列された転動体と、前記内輪部材が外周側に取り付けられた軸体とを備え、前記内輪部材の軸方向端面に力しめ付けるかしめ部を前記軸体の一端側に形成して、その力しめ部により前記内輪部材と前記軸体とを固定した車輪用転がり軸受装置であって、

前記かしめ部は、前記軸体の一端側から他端側への所定のかしめ圧力で前記軸体の一端側に設けられた円筒状部を径方向外向きに屈曲変形させる力しめ加工により、前記内輪部材の軸方向端面に力しめ付けられるとともに、前記軸体の他端側の視認可能な表面には、前記力しめ部が形成されていることを示す識別情報が、前記力しめ加工の前記力しめ圧力を用いて刻印されていることを特徴とするものである。

[0013] 上記のように構成された車輪用転がり軸受装置では、上記力しめ部が形成されて V、ることを示す識別情報が軸体他端側の視認可能な表面に刻印されて、るので、かしめ部を覆うようなカバーが軸体一端側に装着されたときでも、刻印された識別情報によって力しめ部の有無を容易に確認することができる。また、この識別情報はかしめ加工の力しめ圧力を用いて刻印されているので、力しめ加工を終了すると同時に上記表面に当該識別情報を刻印することができ、当該識別情報を別途刻印する必要がない。

[0014] また、上記車輪用転がり軸受装置において、前記軸体の他端側には、その一端側の前記円筒状部と同心状に設けられて、車両の車輪側に連結されるフランジ部と、前記円筒状部と同心状に設けられ、かつ外周面が前記車輪側に当接される円筒部及びこの円筒部に囲まれた底部を有するインロー部とが形成されるとともに、前記底部の表面に、前記識別情報が刻印されていることが好ましい。

この場合、フランジ部が車両の車輪側に連結され、かつ円筒部の外周面がその車輪側に当接されて転がり軸受装置が当該車両に組み込まれたときでも、底部の表面に刻印された識別情報により、カゝしめ部が形成されていることを容易に確認することができる。し力も、底部表面に識別情報を刻印しているので、フランジ部の平坦度などを損なうことなぐ明瞭な識別情報を設けることができる。

[0015] また、前記第 2の目的を達成するための本発明の車輪用転がり軸受装置の製造方法は、外輪と、内輪部材と、前記外輪と前記内輪部材との間に配列された転動体と、前記内輪部材が外周側に取り付けられた軸体とを備えた車輪用転がり軸受装置の製造方法であって、

前記軸体の一端側から他端側への所定のかしめ圧力で前記軸体の一端側に設けられた円筒状部を径方向外向きに屈曲変形させることにより、前記内輪部材の軸方向端面に力しめ付けられた力しめ部を形成する力しめ加工工程を含むとともに、前記力しめ加工工程のときに、前記軸体の他端側の視認可能な表面に、前記かしめ圧力を用いて、前記カゝしめ部が形成されていることを示す識別情報を刻印することを特徴とするちのである。

[0016] 上記のように構成された車輪用転がり軸受装置の製造方法では、上記力しめ部を形成する力しめ加工工程において、軸体他端側の視認可能な表面に、かしめ部が形成されていることを示す識別情報が刻印されるので、その軸体一端側に当該かしめ部を覆うようにカバーが装着されたときでも、当該カバーを取り外すことなぐ力しめ部の有無を軸体他端側に刻印された識別情報によって容易に確認することができる。また、力しめ加工工程を終了すると同時に上記表面に当該識別情報を刻印することができるので、当該識別情報を別途刻印する必要がなぐ転がり軸受装置の製造工数を削減することができ、当該軸受装置のコストアップを防ぐことができる。

[0017] また、上記車輪用転がり軸受装置の製造方法において、前記かしめ加工工程のときに、前記識別情報を刻印するための識別情報付与治具を前記視認可能な表面に当接させてもよい。この場合、識別情報付与治具力ゝしめ加工工程での上記カゝしめ圧力を受けつつ、その力しめ圧力によって識別情報を視認可能な表面に刻印するので、当該識別情報の刻印作業を含んだ力しめ加工工程をより安定した状態で行うことが可能となるとともに、力しめ圧力を効率よく用いて明瞭な識別情報を刻印することができる。

[0018] また、上記車輪用転がり軸受装置の製造方法において、前記識別情報が、転がり軸受装置固有の製造情報によって構成されることが好ましい。

この場合、上記識別情報が転がり軸受装置固有の製造情報により兼用されるので、識別情報と製造情報とを別々に刻印する作業を省略することが可能となり、転がり軸受装置の製造工数の削減を図ることができるとともに、転がり軸受装置固有の製造情報が刻印されているので、その転がり軸受装置の使用履歴等の管理を容易に行うことが可能となる。

図面の簡単な説明

[0019] [図 1]本発明の第 1の実施の形態に係る車輪用転がり軸受装置を示す縦断面図である。

[図 2]旋削目パターン部の一例を説明する説明図である。

[図 3]本発明の実施の一形態に係る軸受部材の旋削装置を説明する説明図である。

[図 4]本発明の第 2の実施形態に係る車輪用転がり軸受装置の断面図である。

[図 5]図 4に示した力しめ部が形成されていない状態での上記転がり軸受装置の要部を示す断面図である。

[図 6]上記かしめ部を形成するかしめ加工工程時での上記転がり軸受装置の要部を示す断面図である。

[図 7] (a)は図 6に示した識別情報付与治具の平面図であり、 (b)は (a)の Vllb— VII b線断面図である。

[図 8]上記かしめ加工工程の終了時点での上記転がり軸受装置の要部を示す断面図である。

[図 9]従来の転がり軸受装置の断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0020] 以下、この発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳述する。図 1はこの発明の第 1の実施の形態に係る車輪用転がり軸受装置を示す縦断面図である。この車輪用転がり軸受装置は、自動車等の車両の車輪用として用いることができ、車輪側部材が取り付けられるフランジ部 4をァウタ側（外側)端部 10に有する内軸 1と、この内軸 1の周囲に設けられた外輪 2とを有している。なお、フランジ部 4に取り付けられる車輪側部材としては図示しな、が車輪のホイール、ディスクブレーキ用のブレーキロータがある。

また、内軸 1のインナ側（内側)端部 11には内輪部材 14が外嵌して取り付けられており、外輪 2は内軸 1と内輪部材 14とに 2列の転動体 3a, 3bを介して外嵌するよう設けられている。

[0021] 内軸 1のフランジ部 4は内軸 1のァウタ側端部 10におヽて径方向外方向きに形成されており、フランジ部 4の軸方向ァウタ側となる車輪側部材用の取り付け面 4aは軸受の軸心 Cに直交する面となるよう旋削により形成されている。また、内軸 1のインナ側端部 11には前記内輪部材 14を外嵌させるための小径部 7が形成されている。小径部 7の軸方向ァウタ側には環状の段付き面 (突き当て面) 8が形成されており、段付き面 8の外周縁から軸方向ァウタ側に向力つて中径部 9が形成されている。中径部 9のさらに軸方向ァウタ側は大径部 12が形成されており、大径部 12は内軸 1と外輪 2との間に設けられたシール部材 13のシール面とされている。

[0022] 内輪部材 14は、内軸 1のインナ側端部 11に形成された小径部 7に外嵌しかつ段付き面 8に突き当てられて内軸 1に取り付けられている。つまり、内輪部材 14の内周面が小径部 7の外周面に接触し、内輪部材 14の軸方向ァウタ側の端面が段付き面 8に突き当てられる。さらに、内軸 1のインナ側端部 11の外周側部が径方向外向きに広げられて形成された力しめ部 15により、内輪部材 14は軸方向インナ側からァウタ側へ向力つて押し付けられ、内輪部材 14は軸力を持って内軸 1に外嵌固定されている

[0023] 内輪部材 14の外周面には第 1転動体 3a用の単一の軌道面が形成されている。そして、内軸 1の中径部 9の外周面に第 2転動体 3b用の単一の軌道面が形成されている。第 1、第 2の転動体 3a, 3bは図 1に示す玉以外に円錐ころであってもよい。

外輪 2は内軸 1と同軸となるよう設けられており、外輪 2は円筒部 16とフランジ部 17 とを有している。そして、円筒部 16の内周面に第 1、第 2転動体 3a, 3b用の 2列の軌道面が形成されている。フランジ部 17は円筒部 16の外周面側に設けられており、このフランジ部 17を車体側部材と連結させることによりこの車輪用転がり軸受装置は車両本体と固定される。従って、この転がり軸受装置が車両本体に固定されると、内軸 1のフランジ部 4側がァウタ側となり、内軸 1に外嵌された内輪部材 14側がインナ側となる。

[0024] さらに内軸 1のァウタ側端部 10にガイド筒 6が設けられている。ガイド筒 6は、フランジ部 4の径方向内周側部に設けられてフランジ部 4に前記車輪側部材を取り付ける際のガイドとなる円筒状の部材である。図 1のガイド筒 6は、フランジ部 4の取り付け面 4aから軸方向外方へ突出するよう内軸 1のァウタ側の端面に成形された筒部 18を有している。ガイド筒 6は内軸 1と一体として形成されている。従って、このガイド筒 6の内側面 6aは、筒部 18の内周面 19とその軸方向奥部の底面 20とから構成された有底円筒部とされている。

[0025] なお、この内軸 1の製造の概略工程について説明すると、素材が鍛造により所定形状の中間製品とされ、この中間製品を旋盤により旋削し、その後、所定箇所の熱処理や研磨が行われ内軸 1が得られる。そして、前記ガイド筒 6は中間製品を旋削により成形する際に仕上げ加工される。つまり、ガイド筒 6の内側面 6aは研磨されることなく旋削のみにより仕上げられた旋削面とされている。

[0026] そして本発明の車輪用転がり軸受装置は、その転がり軸受装置の製造属性を識別させるための旋削目パターン部 5を有している。つまり、製造属性を旋削目パターン部 5として表示させている。旋削目パターン部 5は内軸 1のうちァウタ側の表面の一部に設けられており、旋削目パターン部 5は、旋削により形成されて旋削目の形態の違 Vヽによりその製造属性を識別可能とさせて、る。

[0027] つまり、内軸 1のァウタ側に形成される旋削目パターン部 5の形態と、製造属性の内容 (文字)とを予め対応付けて設定しておき、表示させたい製造属性の内容に対応する旋削目パターン部 5を内軸 1のァウタ側の表面に形成している。これにより、後にその旋削目パターン部 5を確認することで、表示されている製造属性の内容を読み取ることができる。この旋削により形成される旋削目パターン部 5は旋削による仕上がり面とされており、それ以上の加工 (研磨）はされない。つまり、内軸 1のァウタ側の表面の仕上がり面の模様が異なることにより製造属性の識別が可能となる。この旋削目ノターン部 5が示す製造属性としては、製品の製造履歴 (測定データを含む)の情報、シリアルナンバーやロットナンバー及び数量等があり、例えば、転がり軸受装置の製造年月日、加工条件、製造工場のライン番号等の製造履歴がある。なお、ここでのシリアルナンバーとは、各製品 1個毎に付与された異なる番号であり、ロットナンバーとは、所定の期間に所定の工場で製造された複数個の製品の一群に付与された番号である。転がり軸受装置の場合、シリアルナンバーが付与される場合もある力ロットナンバーのみの場合もある。

[0028] 旋削目パターン部 5が形成される位置について具体的に説明すると、旋削目バターン部 5は、内軸 1のフランジ部 4の径方向内周側部に設けられた前記ガイド筒 6の内側面 6aに形成されるのが好ましい。つまり、この旋削目パターン部 5をガイド筒 6の内周面 19、又は底面 20、又は内周面 19と底面 20との両方に設けることができる。

[0029] 旋削目パターン部 5はガイド筒 6の内側面 6aを旋削により成形する際に形成され、例えば、旋肖 IJバイトの送りスピードを変更することにより旋削目の粗さを変化させたり、その送りを一時停止させたり、又は、仕上げの際にノイトをガイド筒 6の内側面 6aに接触させないで送りを与えることにより、旋削目の形態に変化を与えることができる。つまり、旋削バイトをガイド筒 6の内側面 6aに接触させないで送りを与えれば旋削目が不連続となり、ガイド筒 6の内側面 6aを旋削により成形すると同時にガイド筒 6の内側面 6aに様々なパターンの旋削目を形成することができる。この旋削目はガイド筒 6 の内側面 6aにおいて軸心 Cを中心とする周方向（内周面 19においては螺旋状、底面 20においては渦巻状）に形成され、旋削目パターン部 5がその周方向に直交する方向に形成されている。

[0030] 例えば図 2 (a)と図 2 (b)に示すように、バイト送り方向（矢印 e)の旋削目の幅寸法及びピッチ等を相違させることにより様々なパターンを形成できる。なお、この図は旋削目パターン部 5が形成されたガイド筒 6の内周面 19のうち、周方向所定幅の一部を抜き出して描いたものであり、旋削目は周方向に連続している。

そして、図 2 (a)と図 2 (b)にお、て範囲 mが旋削目を有する (又は荒!、旋削目とされた)範囲であり、範囲 nが旋削目を有さない (又は細かい旋削目とされた)範囲を示す。また、旋削目パターン部 5の変化はノ《イトの切り込み量を変化させることにより行つても良い。

[0031] 例えば製造属性として製造年月日を表示させる場合、図 1において、例えば製造年月日のうち「年」を表す旋削目パターン部 5がガイド筒 6の円筒部 18の内周面 19開口端部から形成され、続いて円筒部 18の内周面 19奥部から底面 20の外周側部にわたって「月」を表す旋削目が形成され、底面 20の内周側部に「日」を表す旋削目が形成される。旋削目パターン部 5の形成は旋削によるため旋削目パターン部 5は周状に形成される。従って、旋削目パターン部 5のうちの一部が仮に鲭びて見えにくくなつていても、周上のうちの他の部分により識別可能となる。

[0032] 次に、図 1に示す車輪用転がり軸受装置を構成する軸受部材である内軸 1を旋削により製造し、かつ、製造属性を識別可能とさせる旋削目パターン部 5をその内軸 1 に形成させる旋削装置について説明する。この旋削装置は、内軸 1を旋削するために通常使用される旋盤（図示せず)を用いることができる。さらに図 3において、この発明の旋削装置は、旋盤が有する旋肖バイトの動作を制御する旋削条件処理手段 21 と、旋削バイトを自動的に動作させる旋肖 IJバイト駆動手段 22とを有している。旋削条件処理手段 21は入力された情報や処理された情報の記憶と各種情報の演算処理を行うことが可能な演算器 (コンピュータ）により構成でき、旋肖バイト駆動手段 22は旋削条件処理手段 21からの信号に応じて旋削バイトを移動させるモータと変速機等のァクチユエータにより構成できる。

[0033] 旋削条件処理手段 21は、旋削加工の対象となる軸受部材の製造属性情報を記憶する記憶部 23を有している。製造属性情報は外部力も入力されるものであり、製造属性情報としては例えば転がり軸受装置の製造年月日、加工条件、製造工場のライン番号等の製造履歴がある。この旋削装置は軸受部材の製造ラインの一部に設けられており、製造ラインを管理する管理演算器 (図示せず)から旋削条件処理手段 21 の記憶部 23に対して旋削加工の対象となる軸受部材の製造属性情報が自動的に入力される。

または製造属性情報は、この旋削装置自身が所有する情報であってもよい。つまり、製造属性情報は、旋削装置の旋削条件処理手段 21が所有する情報であってもよぐ例えば旋削条件処理手段 21自身がカウントしている日付情報がある。そして、旋削条件処理手段 21は自己の記憶部 23にその情報を記憶させる。

[0034] そして、旋削条件処理手段 21は記憶部 23に記憶させた製造属性情報に応じて旋盤による旋肖 ijバイトの旋削条件を決定してバイト動作制御信号 iを作成する。具体的に説明すると、製造属性情報となる内容 (文字)と内軸 1に形成される旋削目パターン部 5の形態とが予め対応付けられて記憶部 23に記憶されている。そして、外部から入力され表示させたい情報の内容に対応する旋削目パターン部 5を内軸 1に形成させるよう旋削バイトを動作させるためのバイト動作制御信号 iを旋削条件処理手段 21の演算処理部 24が作成する。なお、このバイト動作制御信号 iに、内軸 1全体を旋削により成形させるためにバイトを動作させるための信号が付加され、旋削が行われる。つまり、内軸 1全体を旋削により成形する際に、同時に旋削目パターン部 5を形成する。

[0035] そして、この旋削条件処理手段 21によるバイト動作制御信号 iに従って実際に旋削バイト駆動手段 22は旋肖 IJバイトを動作させ、内軸 1に対して製造属性情報を所望の旋削目パターン部 5として形成する。なお、内軸 1における旋削目パターン部 5の形成位置は、ガイド筒 6の内側面 6aとされる。これにより、完成した転がり軸受装置が車両本体に組み付けられた後において、旋削目パターン部 5を確認することにより表示されてヽる製造属性情報の内容 (文字)を読み取ることができる。

[0036] 形成された旋削目パターン部 5を確認する手段について説明すると、旋削目パターン部 5が簡単な形態である場合は、目視による確認により製造属性の内容を知ることができる。または図示しないが、例えば旋削目パターン部 5をカメラにて撮影し、その画像を処理して旋削目パターン部 5を色の濃淡や白又は黒により識別することができる。これによれば旋削目パターン部 5が複雑な場合でも製造属性の識別が可能となる。さらにこのような光学的な手段以外にも物理的な手段として、旋削目パターン部 5 の表面粗さの違い、変化により製造属性の識別が可能となる。

[0037] 本発明の車輪用転がり軸受装置によれば、製造属性のトレーサビリティの向上及び容易化が可能となる。つまり、転がり軸受装置を車両本体に組み付けたままの状態で、車輪のホイールのみを取り外すことによりその転がり軸受装置の製造履歴等の製造属性を簡単に識別することができる。

さらに、本発明の軸受部材の旋削装置によれば、軸受部材を旋削により加工する際に製造属性を識別させるための旋削目パターン部を軸受部材に形成させることができ、製作工数の低減が可能となる。

[0038] 次に、本発明の第 2の実施の形態に係る転がり軸受装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、本発明を車両の従動輪用のハブユニットに適用した場合を例示して説明する。

図 4は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受装置の断面図である。図において、右側は車両インナ側、左側は車両ァウタ側（車輪側）であり、本実施形態の転がり軸受装置 31は、複列アンギユラ玉軸受タイプの転がり軸受部 32を備えている。すなわち、転がり軸受装置 31は、外輪 33と、軸体としての内軸 (ノ、ブホイール） 34と、内輪部材 35と、複数の玉力もなる転動体 36、 37とを備えている。また、転がり軸受装置 3 1には、転動体 36、 37をそれぞれ周方向に沿って所定間隔で保持する保持器 38、 39と、外輪 33と内軸 34との隙間に配置されたシール部材 40とが設けられている。

[0039] 上記外輪 33は、車体側に固定される固定軌道輪であり、その内周側には、複列の外輪軌道 33a、 33bが形成されている。一方、回転軌道輪は、内軸 34と内輪部材 35 とで構成されており、外輪軌道 33aに対向する内軸 34の箇所には、内輪軌道 34aが形成されて、上記転動体 36が外輪軌道 33aとの間で転動するようになっている。また、外輪軌道 33bに対向する内輪部材 35の箇所には、内輪軌道 35aが形成されて、上記転動体 37が外輪軌道 33bとの間で転動するようになっている。このように、本実施形態の転がり軸受装置 31は、内軸 34の外周面を複列の一方の内輪軌道 34aとして用いた、 V、わゆる第 3世代のハブユニットを構成して、る。

[0040] また、外輪 33には、その車両インナ側に軸方向に延ばされた円筒状部が形成されており、その円筒状部の内周面 33cには、軸受内部を塞ぐ有底状のカバー 41が圧入されている。そして、転がり軸受装置 31では、カバー 41が内外輪間の環状開口部を車両インナ側から密封して、当該環状開口部を車両ァウタ側から密封する上記シ一ル部材 40とともに、軸受内部への泥水や異物等の侵入を防ヽで、る。また、外輪 33には、径方向外側に形成されたフランジ部 33dが形成されており、このフランジ部 33dに形成されたボルト孔 33dlに揷通されるボルト（図示せず）によつて上記車両のサスペンションに含まれたナックル部（図示せず）が固定される。

[0041] また、上記内軸 34の車両インナ側（一端側）には、段部 34dが形成されており、この段部 34dに上記内輪部材 35が外嵌されている。さらに、この内輪部材 35は、後述の力しめ加工工程により、段部 34dの先端側に形成された円筒状部を径方向外向きに屈曲変形させて形成したかしめ部 34eにて内軸 34に固定されて、る。

また、内軸 34の車両ァウタ側 (他端側）には、車輪取付用のインロー部 34b及びフランジ部 34cが設けられており、このフランジ部 34cには上記車両のブレーキ装置に含まれたディスクロータ及び車輪ホイール（図示せず)などを固定するための複数のハブボルト 42が圧入固定されて!、る。

[0042] また、上記インロー部 34bは、車両ァウタ側に開口したものであり、このインロー部 3 4bには、外周面が車輪側に当接される円筒部 34blと、この円筒部 34blに囲まれたリング状の底部 34b2と、この底部 34b2に対して軸方向内側に凹んだ凹部 34b3とが形成されている。これら円筒部 34b 1、底部 34b2、及び凹部 34b3と、上記フランジ部 34cとは、転がり軸受部 32の軸方向で同心状に設けられている。

また、底部 34b2では、そのリング状の軸方向端面は、転がり軸受装置 31が車両に組み込まれたときでも、外部から視認可能な表面であり、この表面には、識別情報表示部 50が設けられている。この識別情報表示部 50には、後述するように、上記かしめ部 34eを形成する力しめ加工工程の際に、当該力しめ部 34eが形成されていることを示す識別情報が刻印 (圧印）により、形成されるようになっている。

[0043] ここで、上記識別情報を刻印する刻印作業を含んだ力しめ加工工程について、図 5 乃至図 8も参照して具体的に説明する。

図 5において、力しめ加工工程を実施する前の転がり軸受装置の粗形品 Aでは、軸受用鋼等により構成された外輪 33及び内輪部材 35と、転動体 36、 37などの他の軸受構成部品とが同図に示すように内軸 34に組み付けられている。この内軸 34は、炭素鋼（S55C)や軸受用鋼などで構成されたものであり、力しめ部 34eを形成するための円筒状部 34fが内軸 34の一端側に設けられている。また、この円筒状部 34fは、内軸 34の他端側のインロー部 34bの各部 34bl〜34b3及びフランジ部 34cと、転がり軸受部 32の軸方向で同心状に設けられている。そして、粗形品 Aでは、図 5に示すように、内軸 34の一端側及び他端側がそれぞれ上側及び下側に配置された状態で、図 6に示す力しめ治具 52を用いた力しめ加工工程が行われる。

[0044] すなわち、図 6に示すように、力しめ加工工程では、力しめ治具 52が上記円筒状部 34f (図 5)に当接するように配置されており、このかしめ治具 52は図 6の矢印にて示すように所定の力しめ圧力 Pを内軸 34の一端側力も他端側に作用させつつ、同図 6 の実線及び二点鎖線にて示すように、ローリングされる。これにより、円筒状部 34fが径方向外向きに屈曲変形され、内輪部材 35の軸方向端面 35bにかしめ付けられて、かしめ部 34eが形成される。

また、このかしめ加工工程では、底部 34b2の表面には、かしめ部 34eが形成されていることを示す上記識別情報を付与する識別情報付与治具 51が当接されている。この識別情報付与治具 51は、力しめ加工工程を安定的に行わせる受け治具の機能を有しており、当該識別情報付与治具 51の下面が作業面 (図示せず)に設置され、かつその上面側が底部 34b2の表面に接触されることで当該底部表面を内軸 34の他端側の力しめ圧力 Pを受ける受け面とした状態で、力しめ加工工程が実施される。そして、この識別情報付与治具 51が、力しめ圧力 Pを用いて底部 34b2の表面に上記識別情報を刻印する。

[0045] 詳細には、上記識別情報付与治具 51は、図 7も参照して、インロー部 34bの円筒部 34bl内に挿入される円柱状の本体 51aと、この本体 51aの上面から上方に突出するように設けられ、底部 34b2の表面に識別情報を実質的に付与する付与部 51bとを備えている。また、この識別情報付与治具 51は、内軸 34の素材よりも硬い材質 (例えば、超硬材）により構成されたものであり、力しめ圧力 Pを利用して、底部 34b2を（圧縮)変形させることにより、識別情報を当該底部表面に圧印する。

また、上記付与部 51bは、例えば識別情報としての軸受メーカ名と製造ロット番号とを刻印するための複数の刻印部品 51cにより構成されている。これらの各刻印部品 5 lcには、上記メーカ名などを構成するアルファベット文字や数字で例示される印が形成されている。また、刻印部品 51cは、図 7 (b)に例示するように、略扇形状の基部 5 lclと、この基部 51clから突出するように設けられるとともに、底部 34b2の内部に圧入されることにより、対応する数字等の印を刻み込む刻印部 51c2とを備えている。さらに、刻印部品 51cでは、その基部 51clが本体 51aの上面に形成されたリング状の凹部 51alに対して着脱自在に構成されたものであり、上記ロット番号などの識別情報の変更に容易に対処できるようになって!/、る。

[0046] そして、力しめ加工工程が終了すると、図 8に示すように、内軸 34の一端側では、力しめ部 34eが内輪部材 35の軸方向端面 35bにかしめ付けられることにより、内輪部材 35が内軸 34から脱落するのが防止され、さらには転がり軸受部 32の抜け止めが行われるとともに、当該転がり軸受部 32に所定の予圧が付与される。

また、内軸 34の他端側では、力しめ圧力 Pにより、複数の刻印部品 51cからなる付与部 51bが底部 34b2の表面に当接した状態（図 6)力も各刻印部品 51cの刻印部 5 lc2が底部 34b2の内部に圧入された状態（図 8)となり、力しめ部 34eの形成終了と同時に識別情報が上記識別情報表示部 50 (図 4)に自動的に形成される。

[0047] 以上のように構成された本実施形態では、内軸 (軸体） 34の他端側の底部 34b2の視認可能な表面に、力しめ部 34eが形成されていることを示す識別情報を刻印しているので、カバー 41が内軸 34の一端側に装着されて力しめ部 34eが覆われたときでも、識別情報によって力しめ部 34eの有無を容易に確認することができる。また、識別情報は、かしめ圧力 Pによって力しめ加工工程の終了と同時に自動的に刻印されるので、当該識別情報を別途刻印する作業を省いて、転がり軸受装置の製造工数を削減することができ、当該軸受装置のコストアップを防ぐことができる。さらに、上記従来例での光電管を用いた力しめ部 34eの有無を調べる外観検査を省略することも可能となる。

[0048] また、本実施形態では、図 6に示したように、力しめ圧力 Pが作用される円筒状部 3 4fと同心状に設けられ、その力しめ圧力 Pの作用方向側に設けられた底部 34b2の視認可能な表面に識別情報付与治具 51を当接させることにより、当該視認可能な表面側の識別情報表示部 50に識別情報を設けている。これにより、円筒部 34blの外周面及びフランジ部 34cの他端側表面が車両の車輪側に接続されて転がり軸受装置 31が車両に組み込まれたときでも、識別情報表示部 50を視認することにて力しめ部 34eが形成されていることを容易に確認することができる。また、力しめ圧力 Pの受け治具としての機能を有する識別情報付与治具 51を用いることにより、識別情報の刻印作業を含む力しめ加工工程をより安定した状態で行うことが可能となるとともに、力しめ圧力 Pを効率よく使用して明瞭な識別情報を刻印することができる。し力も、識別情報が視認可能な表面に刻印されているので、転がり軸受装置 31の製造工程だけでなぐ流通の過程や、製品に取り付けられた後においても、力しめ部 34eの有無を容易に判別することができる。

[0049] 尚、上記説明以外に、内軸 34の円筒部 34blの軸方向端面やフランジ部 34cの他端側表面にリング状に形成された本体を有する識別情報付与治具を当接させ、かしめ加工工程での力しめ圧力 Pを利用して、これらの軸方向端面や他端側表面に識別情報を刻印する構成でもよい。但し、上記のように、底部 34b2の表面に刻印する場合の方が、転がり軸受装置 31を車両内に取り付けたときでも、力しめ部 34eの有無を簡単に判別できるとともに、内軸 34に対する刻印作業の影響を極力抑えることができ、また、数多くの情報を刻印する場合でも、十分なスペースを確保して明瞭な識別情報を刻印できる点で好ましい。つまり、識別情報を円筒部 34blの軸方向端面に設けた場合には、この軸方向端面が底部 34b2の表面に比べて小さ、面積であることから、識別情報が小さくなつて不明瞭となるおそれがある。また、フランジ部 34cの他端側表面に識別情報を設けた場合には、かしめ圧力 Pによって当該フランジ部 34cの平坦度ゃ真円度などが損なわれ、フランジ振れ等を生じるおそれがある。

[0050] また、本実施形態では、図 7に示したように、上記識別情報が転がり軸受装置 31の固有の製造情報により構成されているので、これらの情報を別々に刻印する作業を一度に行うことができ、一方の刻印作業を省略して当該転がり軸受装置 31の製造ェ数を削減することができる。また、装置固有の製造情報が識別情報として使用されているので、転がり軸受装置 31の製作メーカ、品番、製造年月日や製造箇所等の製造履歴、さらには稼働時間などの使用履歴等を容易にトレース (追跡管理)することが可能となり、トレーサビリティに優れた転がり軸受装置 31を構成することができる。

[0051] 尚、上記の説明では、複列アンギユラ玉軸受タイプの軸受を具備する車両の従動輪用ハブユニットに適用した場合について説明した力 S、本発明は軸体の一端側にかしめ部を形成して、内輪部材を軸体に固定した転がり軸受装置において、かしめ部が形成されていることを示す識別情報を軸体の他端側の視認可能な表面に刻印したものであればよぐ転動体の種類や設置数等の軸受形式やフランジ部の有無等の軸体の形状あるいはカバーの設置の有無等は上記のものに何等限定されるものではない。具体的には、車両駆動輪用ハブユニットを構成する転がり軸受装置に適用することができる。また、転動体を円すいころとしたものにも適用できる。また、一対の内輪部材を軸体の外周面に外嵌固定した転がり軸受装置や、回転軌道輪側にセンサの被検出部材が装着され、かつ当該センサがカバーに取り付けられたセンサ装置が組み込まれたセンサ付き転がり軸受装置にも適用することができる。

[0052] また、上記の説明では、本体表面から突出した刻印部を具備する刻印部品を本体表面に形成したリング状凹部に着脱自在に配置する識別情報付与治具により、軸体他端側の底部の内部に識別情報を刻み込んで、当該底部の視認可能な表面に当該識別情報が刻み込まれた識別情報表示部を設けた場合にっ、て説明したが、本発明の識別情報付与治具は力しめ圧力を利用して識別情報を刻印できるものであればよく、当該付与治具の構成、形状等は上記のものに何等限定されない。例えば上記本体表面から凹んだ刻印部を識別情報付与治具に設けて、識別情報が浮き出されるように刻印して、当該識別情報が浮き出された識別情報表示部を設けてもよい

[0053] 本発明によれば、カゝしめ部が軸体一端側に形成されると、そのカゝしめ部が形成されていることを示す識別情報が軸体他端側の視認可能な表面に自動的に刻印されるので、力しめ部を覆うようにカバーが装着されたときでも、当該力しめ部の有無を容易に確認することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 車輪側部材が取り付けられるフランジ部をァウタ側端部に有する内軸と、この内軸の周囲に設けられた外輪と、を有する車輪用転がり軸受装置において、前記内軸のァウタ側に、旋削により形成されて旋削目の形態の違いにより製造属性を識別可能とさせる旋削目パターン部を有していることを特徴とする車輪用転がり軸受装置。

[2] 前記フランジ部の内周側部に設けられて当該フランジ部に前記車輪側部材を取り付ける際のガイドとなるガイド筒の内側面に、前記旋削目パターン部が形成されている請求項 1に記載の車輪用転がり軸受装置。

[3] 軸受部材の製造属性情報に応じて旋肖 ijバイトによる旋削条件を決定してバイト動作制御信号を得る旋削条件処理手段と、この旋削条件処理手段による前記バイト動作制御信号に従って旋肖 ijバイトを動作させて前記製造属性情報を旋削目の形態の違いにより製造属性を識別可能とさせる旋削目パターン部として前記軸受部材に旋削形成させる旋肖 IJバイト駆動手段と、を備えたことを特徴とする軸受部材の旋削装置

[4] 外輪と、内輪部材と、前記外輪と前記内輪部材との間に配列された転動体と、前記内輪部材が外周側に取り付けられた軸体とを備え、前記内輪部材の軸方向端面に力しめ付ける力しめ部を前記軸体の一端側に形成して、その力しめ部により前記内輪部材と前記軸体とを固定した車輪用転がり軸受装置であって、

前記かしめ部は、前記軸体の一端側から他端側への所定のかしめ圧力で前記軸体の一端側に設けられた円筒状部を径方向外向きに屈曲変形させる力しめ加工により、前記内輪部材の軸方向端面に力しめ付けられるとともに、

前記軸体の他端側の視認可能な表面には、前記力しめ部が形成されて、ることを示す識別情報力前記力しめ加工の前記力しめ圧力を用いて刻印されていることを特徴とする車輪用転がり軸受装置。

[5] 前記軸体の他端側には、その一端側の前記円筒状部と同心状に設けられて、車両の車輪側に連結されるフランジ部と、前記円筒状部と同心状に設けられ、かつ外周面が前記車輪側に当接される円筒部及びこの円筒部に囲まれた底部を有するイン口一部とが形成されるとともに、前記底部の表面に、前記識別情報が刻印されて！ヽることを特徴とする請求項 4に記載の車輪用転がり軸受装置。

[6] 外輪と、内輪部材と、前記外輪と前記内輪部材との間に配列された転動体と、前記内輪部材が外周側に取り付けられた軸体とを備えた車輪用転がり軸受装置の製造方法であって、

前記軸体の一端側から他端側への所定のかしめ圧力で前記軸体の一端側に設けられた円筒状部を径方向外向きに屈曲変形させることにより、前記内輪部材の軸方向端面に力しめ付けられた力しめ部を形成する力しめ加工工程を含むとともに、前記かしめ加工工程のときに、前記軸体の他端側の視認可能な表面に、前記かしめ圧力を用いて、前記カゝしめ部が形成されていることを示す識別情報を刻印することを特徴とする車輪用転がり軸受装置の製造方法。

[7] 前記かしめ加工工程のときに、前記識別情報を刻印するための識別情報付与治具を前記視認可能な表面に当接させることを特徴とする請求項 6に記載の車輪用転がり軸受装置の製造方法。

[8] 前記識別情報が、転がり軸受装置固有の製造情報によって構成されていることを特徴とする請求項 6又は 7に記載の車輪用転がり軸受装置の製造方法。