WO2006038408A1

WO2006038408A1 - 塗装用刷毛

Info

Publication number: WO2006038408A1
Application number: PCT/JP2005/016220
Authority: WO
Inventors: Tatsunari Hougi
Original assignee: Maru-T Ohtsuka Corp.
Priority date: 2004-09-30
Filing date: 2005-09-05
Publication date: 2006-04-13
Also published as: MX2007003814A; JP4455599B2; JPWO2006038408A1; CA2582293A1; CN101065036A; US20070192977A1; DE112005002434T5

Abstract

　この発明の目的は、十分な含み量や吐き出し量を得ることができ、塗装作業の作業性を向上させる化学繊維製の刷毛を提供することである。　化学繊維製のモノフィラメントを束ねた刷毛部１に、ウェーブ付きモノフィラメントを含んで刷毛をする。ウェーブ付きモノフィラメントと、ウェーブ無しのモノフィラメントとを混合することによって、ウェーブ無しモノフィラメントで構成した刷毛部より、含み量を多くできるとともに、ウェーブ付きモノフィラメントだけで構成した刷毛部と比べて、先端側の広がりを抑えることができる。

Description

明細書

塗装用刷毛

技術分野

[0001] この発明は、塗料を塗布するために用いる塗装用刷毛に関する。

背景技術

[0002] 塗装用の刷毛材料として、従来から、獣毛などの様々な天然繊維が用いられている力近年は、品質や供給の安定性などに優れた点が多い化学繊維が多く用いられるようになつている。獣毛製の刷毛は、品質などが不安定なだけでなぐ水溶性の塗料に用いた場合、刷毛部が固まってしまい、耐久性も不十分であった。

特許文献 1：実開平 6— 7983号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] 上記のような、獣毛製の刷毛の欠点を解決可能な化学繊維製の刷毛であるが、化学繊維製の刷毛は、獣毛などの刷毛に比べて、塗料の含み量が少ない。

塗料の含み量が少ないと、当然塗料の吐き出し量も少ないので、同じ面積を塗装する作業中に、刷毛に塗料を何回も含ませなければならな力つた。従って、含み量の多、刷毛を用いた場合と比べて、作業性が悪!、と、う問題があった。

獣毛がその表面にキューティクルを持っていて、表面積が大きいため、刷毛部に多くの塗料を含むことができるのに対し、化学繊維の表面は、滑面で表面積が小さいために、獣毛に比べて塗料の含み量が少な、と考えられる。

そこで、化学繊維製の刷毛でも、含み量を多くするために、断面形状を異形形状にしたモノフィラメントを用いて刷毛を製造することが考えられている (特許文献 1参照）

[0004] しかし、上記のように、断面が異形形状のモノフィラメントを束ねた刷毛でも、獣毛の刷毛と比べて、塗料の含み量は不十分であった。

この発明の目的は、十分な含み量や吐き出し量を得ることができ、塗装作業の作業性を向上させる化学繊維製の刷毛を提供することである。課題を解決するための手段

[0005] 第 1の発明は、刷毛部を有する塗装用刷毛であって、刷毛部に、化学繊維製のゥェーブ無しモノフィラメントと、化学繊維製のウェーブ付きモノフィラメントとを含んだ点に特徴を有する。

第 2の発明は、第 1の発明を前提とし、ウェーブ付きモノフィラメントの含有割合が 10 %〜80%である点に特徴を有する。

第 3の発明は、第 1または第 2の発明を前提とし、刷毛部に、獣毛を含む点に特徴を有する。

発明の効果

[0006] 第 1〜第 3の発明によれば、刷毛部に塗料を保持するための空間ができ、含み量が多くなるとともに、吐き出し量も多くなつて、塗装時の作業性が向上する。

第 2の発明によれば、含み量及び吐き出し量が多くなるとともに、刷毛部先端の広力 Sりがそれほど大きくならず、塗装時の作業性がさらに向上する。

第 3の発明によれば、さらに含み量を多くすることができる。

図面の簡単な説明

[0007] [図 1]ウェーブ付きモノフィラメントの拡大図である。

[図 2]この発明おける刷毛の試作品のモノフィラメント構成を示した表である。

[図 3]塗装用刷毛の正面図である。

[図 4]実験 1の結果を示した表である。

符号の説明

[0008] 1 刷毛部

発明を実施するための最良の形態

[0009] この発明の塗装用刷毛は、化学繊維製のウェーブ無しモノフィラメントと、ウェーブ付きモノフィラメントを束ねた刷毛部を備えて、る。

刷毛部用モノフィラメントとして、例えば、ポリブチルテレフタレート（PBT)などのモノフィラメントを用いることができるが、刷毛の用途に応じて、その腰の強さなどを基準に、榭脂の種類を選ぶことができる。水性塗料用なら、ほとんどの榭脂が使用可能であるが、溶剤を用いた油性塗料用の場合には、用いることができる榭脂の種類は、溶剤に侵されないものに限られてしまう。

[0010] この発明のウェーブ付きモノフィラメントとは、図 1に示すような形状のモノフィラメントで、真っ直ぐな榭脂製のモノフィラメントを形成した後、榭脂が多少軟ィ匕する温度で、ウェーブ形状を持った一対の部材に挟み込み、ウェーブ加工を施す。

このようなウェーブ付きモノフィラメントと、ウェーブのなヽ直毛タイプのモノフィラメントとを混合して、この発明の刷毛を形成する。

そして、この発明の効果を確認するための実験 1を行った。

[0011] (実験 1)

刷毛部を構成する PBT製のモノフィラメントで、ウェーブのない直毛タイプと、図 1のようにウェーブ付きのものとを用意して、図 2に示す試作品を作成した。

図 2のモノフィラメント形状の欄には、ウェーブ力卩ェを施した「ウェーブ」と、ウェーブ加工を施して、な、「直毛」とを表して、る。

また、モノフィラメントの太さは、直径 0. l (mm)、 0. 125 (mm)の 2種類を用いているが、主に、 0. 1 (mm)のモノフィラメントを用いて、 0. 125 (mm)のモノフィラメントを混ぜて、刷毛の腰を出すようにしている。

[0012] そして、図 2に示すモノフィラメントを束ねて、各試作品 NO.1〜4を作成した。これら試作品 N0.1〜4は、毛束の大きさが等しくなるように、それぞれに使用するモノフイラメント量を決めた。

なお、図 2の長さは、モノフィラメントを束ねて形成した刷毛部の長さであり、束ねる前のモノフィラメントの長さではない。そして、長さの異なるモノフィラメントを組み合わせることによって、先端側の広がりを抑えて毛束のまとまりをよくしている。

[0013] 上記のようにして作成した毛束を刷毛部 1とし、それに取っ手 2を取り付けて、図 2に示す刷毛を作成する。

図 2に示すように、刷毛部 1は、取っ手 2側の幅 W1に比べて先端側の幅 W2の方が広がっている。これは、ウェーブによって、モノフィラメント同士がぴったりくつつかないためであるが、取っ手 2側は、図示しない帯状部材で、きつく縛っているので、幅 W1 が幅 W2よりも小さくなつて!/ヽる。 [0014] 上記試作品 NO.1〜4および従来品に、それぞれ水性塗料を含ませて、その含み量と塗料の吐き出し量を測定した。含み量とは、一定の条件に基づいて、塗料中に刷毛部を浸したときに、刷毛部に含まれる塗料の重量であり、吐き出し量とは、刷毛部に含ませた塗料で塗装を行ったとき、刷毛部から塗装面へ吐き出された量で、刷毛の重量変化により測定する。

なお、上記従来品とは、 PBT製のモノフィラメントであって、ウェーブ力卩ェを施していない、いわゆる直毛だけを束ねた刷毛部を有する刷毛である。この従来例の刷毛は、刷毛部の毛束の厚みおよび長さを試作品 NO.2と同等にしている。

[0015] この実験 1の結果を、図 4の表に示す。

図 4の表に示すように、試作品 N0.1〜4は、従来品と比べて含み量、吐き出し量ともに多いことがわ力つた。特に、吐き出し量が多いということは、一度、刷毛に塗料を含ませれば、長時間使用できるということである。従って、この発明の刷毛は、従来の刷毛に比べて、刷毛に塗料を含ませる回数を減らすことができ、塗装時の作業性がよい。

[0016] 上記のように、試作品 NO.1〜4の刷毛力従来品と比べて含み量が多いのは、モノフィラメントのウェーブによって、刷毛部に適当な空間が形成され、その空間に塗料が保持されるためと考えられる。

また、吐き出し量が多いのは、含み量が多いということにも依る力刷毛部が先端に向力つて広がっていることによって、より吐き出し易くなつているとも考えられる。

[0017] 図 4の結果からは、ウェーブ付きモノフィラメントの割合が多いほど吐き出し量が多くなっていることがわ力る。

ただし、ウェーブ付きモノフィラメントの割合が多くなると、刷毛部が先端に向力つて広がる傾向が強くなる。先端が広がった刷毛部では、塗装作業が難しいことがある。例えば、狭い箇所を塗装する際には、先が広がっている刷毛は使い難い。反対に、広い面を塗装する場合には、先が広がった刷毛でも、それほど問題がないし、含み量や吐き出し量が多いほど便利である。

従って、利用目的に合わせて、ウェーブ付きモノフィラメントの含有割合を調整することが望ましい。 [0018] また、ウェーブ付きモノフィラメントの割合を多くした場合、塗料の含み量が多くなるといっても、ウェーブ付きモノフィラメント量が 80%を超えると、毛先の広がりが非常に大きくなつて使、難くなるとともに、含み量もそれほど多くならな、ことがわ力つて、る。その理由は、ウェーブ付きモノフィラメントが多い場合、モノフィラメント間の距離が、塗料を保持できないほど大きくなつてしまうためと考えられる。モノフィラメント間の空間は、そこに入り込んだ塗料が、表面張力によって保持される程度の大きさでなければならないが、刷毛部の先端側が大きく広がってしまうと、塗料を保持するために適した大きさの空間が少なくなつてしまうと予想される。

[0019] 実際には、用いる塗料の粘度や、表面張力などによって異なる力刷毛部に含まれるウェーブ付きモノフィラメントの割合力 10%〜80%のとき、十分な吐き出し量と、良好な作業性が得られる。

[0020] また、上記試作品 NO.1〜4のように、ウェーブ付きモノフィラメントと直毛モノフィラメントとを混合した刷毛部に、獣毛を含有すると、さらに塗料の含み量を多くすることができる。

例えば、試作品 N0.1の直径 1 (mm)、長さ 65 (mm)の直毛の半分を獣毛に替え、 20%の獣毛を含んだ刷毛部では、試作品 NO.1よりも、 20%以上含み量が多くなり、その分、吐き出し量も多くなつた。

獣毛の刷毛部は、もともと塗料の含み量が多いが、水溶性塗料によって固まってしまうという問題があった。しかし、化学繊維製の直毛やウェーブ付きモノフィラメントを一緒に束ねることによって、獣毛同士が榭脂で固まることを抑制できる。ただし、刷毛部に含まれる獣毛の割合が 50%を超えると、獣毛部分が、短時間に塗料で固まってしまうこともある。そこで、獣毛の割合は、 50%以下にすることが好ましい。

Claims

請求の範囲

[1] 刷毛部を有する塗装用刷毛であって、刷毛部に、化学繊維製のウェーブ無しモノフイラメントと、化学繊維製のウェーブ付きモノフィラメントとを含んだ塗装用刷毛。

[2] ウェーブ付きモノフィラメントの含有割合が 10%〜80%である請求項 1に記載の塗装用刷毛。

[3] 刷毛部に、獣毛を含む請求項 1または 2に記載の塗装用刷毛。