CMP研磨剤及び基板の研磨方法
技術分野
[0001] 本発明は、 CMP研磨剤及び基板の研磨方法に関する。好ましくは、半導体素子 製造技術である、基板表面の平坦化工程、特に、層間絶縁膜、 BPSG膜 (ボロン、リ ン等をドープした二酸ィ匕珪素膜)の平坦化工程、シヤロートレンチ分離の形成工程等 において使用される。
背景技術
[0002] 現在の ULSI半導体素子製造工程では、高密度.微細化のための加工技術が研 究開発されている。その一つである CMP (Chemical Mechanical Polishing :ィ匕 学機械研磨)技術は、半導体素子の製造工程において、層間絶縁膜の平坦化、シャ ロートレンチ素子分離形成、プラグ及び埋め込み金属配線形成等を行う際に必須の 技術となってきている。
[0003] 半導体素子の製造工程において、酸化珪素絶縁膜等の無機絶縁膜層が、プラズ マー CVD、低圧 CVD等の方法で形成される。従来、この無機絶縁膜層を平坦ィ匕 するためのスラリー状の化学機械研磨剤として、フュームドシリカ系の研磨剤が一般 的に検討されている。フュームドシリカ系の研磨剤は、例えば、四塩化珪素を熱分解 する方法で粒成長させ、 pH調整を行うことにより製造されている。しかしながら、この ようなフュームドシリカ系の研磨剤は、研磨速度が低いという技術課題がある。
[0004] また、デザインルール 0. 25 μ m以降の世代では、集積回路内の素子分離にシャロ 一トレンチ分離(Shallow Trench Isolation:狭素子分離)が用いられている。シ ヤロートレンチ分離では、基板上に成膜した余分の酸ィ匕珪素膜を除くために CMPが 使用され、研磨を停止させるために、酸ィ匕珪素膜の下に研磨速度の小さいストツバ膜 が形成される。ストツバ膜には窒化珪素等が使用され、酸ィ匕珪素膜とストツバ膜との 研磨速度比が大きいことが望ましい。しかしながら、コロイダルシリカ系の研磨剤は、 上記の酸ィ匕珪素膜とストツバ膜の研磨速度比が 3程度と小さぐシヤロートレンチ分離 用としては実用に耐える特性を有して 、な 、。
[0005] 一方、フォトマスク、レンズ等のガラス表面研磨剤として、酸化セリウム系研磨剤が 用いられて 、る。酸ィ匕セリウム粒子はシリカ粒子及びアルミナ粒子に比べ硬度が低く 、従って、研磨表面に傷が入りにくいことから、仕上げ鏡面研磨に有用である。また、 シリカ研磨剤に比べ、研磨速度が速い利点がある。近年、高純度酸化セリウム砲粒を 用いた半導体用 CMP研磨剤が使用されている(例えば、 日本国特開平 10— 1069 94号公報参照。)。
[0006] また、酸ィ匕セリウム CMP研磨剤の研磨速度を制御し、グローバルな平坦性を向上 させるために、カルボキシル基又はカルボキシル基の塩力 なる親水基を有する水 溶性高分子を、添加剤として酸ィ匕セリウム CMP研磨剤に加えることが知られている( 例えば、 日本国特許第 3278532号公報参照。)。
[0007] 上記添加剤の単量体としては、アクリル酸、ィタコン酸、マレイン酸、それらの塩等 が用いられており、非常に重合しやす 、アクリル酸が最も好適であるとみなされて ヽ る。しかし、それらを単量体として用いた水溶性高分子の添加剤を加えた酸ィ匕セリウ ム CMP研磨剤は、被研磨膜のパターン密度差による残膜厚差を必ずしも満足に低 減できていな力つた。
[0008] 一方、メタクリル酸は、水に室温で 18%しか溶解せず疎水性が高ぐ重合した際に 高分子量の重合体が得られ難 、ことから、メタクリル酸の重合体の研究例自体が少 ない。したがって、前記添加剤に使用される重合体の単量体として好適であるとはみ なされていなかった。
発明の開示
[0009] 本発明は、研磨後に、パターン密度差による残膜厚差が小さい被研磨膜を得られ る CMP研磨剤及び研磨方法を提供するものである。
[0010] 本発明は、次の(1)〜(13)に関する。
[0011] (1) (A)酸化セリウム粒子、(B)分散剤、(C)水、並びに、(D)メタクリル酸及びそ の塩の少なくとも一方が重合してなる重合体と、メタクリル酸及びその塩の少なくとも 一方と不飽和二重結合を有する単量体とが重合してなる重合体との少なくともいず れかを含有する CMP研磨剤。
[0012] (2) (A)酸ィ匕セリウム粒子、(C)水、並びに、(D)メタクリル酸及びその塩の少なくと
も一方が重合してなる重合体と、メタクリル酸及びその塩の少なくとも一方と不飽和二 重結合を有する単量体とが重合してなる重合体との少なくともいずれかを含有する c
MP研磨剤。
[0013] (3) (A)酸ィ匕セリウム粒子、(C)水、(D)メタクリル酸及びその塩の少なくとも一方が 重合してなる重合体と、メタクリル酸及びその塩の少なくとも一方と不飽和二重結合を 有する単量体とが重合してなる重合体との少なくともいずれか、並びに、(E)アクリル 酸及びその塩の少なくとも一方が重合してなる重合体と、アクリル酸及びその塩の少 なくとも一方と不飽和二重結合を有する単量体とが重合してなる重合体との少なくと も!ヽずれかを含有する CMP研磨剤。
[0014] (4) 上記の重合体 (D)を構成するメタクリル酸及びその塩の比率が、全単量体成分 の総量に対して 10〜100モル0 /0である前記(1)〜(3)のいずれか一に記載の CMP 研磨剤。
[0015] (5) 重合体の重合時に使用する重合開始剤が、 25°Cで、水 99. 5質量部に対し 0 . 5質量部となるよう添加した場合にすべて溶解する化合物、又は、 25°Cで水 99. 5 質量部に対し 0. 5質量部となるよう添加しさらに有機酸及び無機酸の少なくとも一方 を重合開始剤 1モルに対し 2モルの割合で添加した場合にすべて溶解する化合物で ある前記(1)〜 (4)のいずれか一に記載の CMP研磨剤。
[0016] (6) 重合体の重合時に使用する重合開始剤が、 25°Cで、水 97. 0質量部に対し 3 . 0質量部となるよう添加した場合にすべて溶解する化合物、又は、 25°Cで水 97. 0 質量部に対し 3. 0質量部となるよう添加しさらに有機酸及び無機酸の少なくとも一方 を重合開始剤 1モルに対し 2モルの割合で添加した場合にすべて溶解する化合物で ある前記(1)〜(5)のいずれか一に記載の CMP研磨剤。
[0017] (7) 重合体の配合量が、 CMP研磨剤 100質量部に対して 0. 01〜5質量部であ前 記(1)〜(6)のいずれか一に記載の CMP研磨剤。
[0018] (8) 重合体の重量平均分子量が 200〜100, 000である前記(1)〜(7)のいずれ か一に記載の CMP研磨剤。
[0019] (9) 酸化セリウム粒子の平均粒径が l〜400nmである前記(1)〜(8)のいずれか 一に記載の CMP研磨剤。
[0020] (10) 酸化セリウム粒子の配合量力 CMP研磨剤 100質量部に対して 0. 1〜5質 量部である前記(1)〜(9)のいずれか一に記載の CMP研磨剤。
[0021] (11) pHが 4. 5〜6. 0である前記(1)〜(10)のいずれか一に記載の CMP研磨剤
[0022] (12) さらに強酸イオンを含有し、その強酸イオンの含有量が CMP研磨剤に対して 質量比で 50〜: LO, OOOppmである前記(1)〜(11)のいずれか一に記載の CMP研 磨剤。
[0023] (13) 被研磨膜を形成した基板を研磨定盤の研磨布に押しあて加圧し、前記(1)〜
( 12)の ヽずれか一に記載の CMP研磨剤を被研磨膜と研磨布との間に供給しなが ら、基板と研磨定盤とを相対的に動力ゝして被研磨膜を研磨する基板の研磨方法。
[0024] 本発明の CMP研磨剤及び研磨方法は、研磨後の被研磨膜の、パターン密度差に よる残膜厚差が小さい。
[0025] 本願の開示は、 2004年 9月 28日に出願された特願 2004— 281508号に記載の 主題と関連しており、それらの開示内容は引用によりここに援用される。
発明を実施するための最良の形態
[0026] 本発明の CMP研磨剤は、例えば、酸化セリウム粒子、分散剤及び水を含む酸化セ リウムスラリーと、添加剤及び水を含む添加液とを作製し、それらを混合すること〖こより 得ることができる。
[0027] 本発明における (A)酸ィ匕セリウム粒子は、例えば、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、しゅう 酸塩等のセリウム化合物を酸ィ匕することなどによって得ることができる。 TEOS— CV D法等で形成される酸ィ匕珪素膜の研磨に使用する酸ィ匕セリウム研磨剤は、粒子の結 晶子径が大きぐかつ結晶ひずみが少ないほど、すなわち結晶性が良いほど高速研 磨が可能であるが、被研磨膜に研磨傷が入りやすい傾向がある。そこで、本発明に おける酸ィ匕セリウム粒子は、その製造方法を限定するものではないが、酸ィ匕セリウム の結晶子径が l〜400nmであることが好ましい。また、半導体素子の製造に係る研 磨に使用する場合には、例えば、酸ィ匕セリウム粒子中のアルカリ金属及びハロゲン類 の含有率を質量比で lOppm以下に抑えることが好ましい。
[0028] 本発明にお 、て、酸ィ匕セリウム粒子を作製する方法としては、例えば、焼成又は過
酸ィ匕水素等による酸ィ匕法などを使用することができる。前記焼成温度は、 350-900 °Cが好ましい。
[0029] 上記の方法により製造された酸ィ匕セリウム粒子が凝集している場合は、機械的に粉 砕することが好ましい。粉砕方法としては、例えば、ジェットミル等による乾式粉砕や 遊星ビーズミル等による湿式粉砕方法が好ましい。ジェットミルは、例えば、「化学ェ 学論文集」第 6卷第 5号(1980) 527〜532頁に説明されているものを使用すること ができる。
[0030] このような酸ィ匕セリウム粒子を、主な分散媒である水中に分散させる方法としては、 例えば、通常の攪拌機による分散処理の他に、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式 ボールミル等を使用することができる。
[0031] 上記の方法により分散された酸ィ匕セリウムをさらに微粒子化する方法としては、例え ば、酸ィ匕セリウム分散液を長時間静置させて大粒子を沈降させ、上澄みをポンプで 汲み取ること〖こよる、沈降分級法を使用することができる。他に、分散媒中の酸ィ匕セリ ゥム粒子同士を高圧で衝突させる高圧ホモジナイザを用いてもよい。
[0032] このようにして作製された、酸ィ匕セリウム粒子の CMP研磨剤中の平均粒径は、 1〜 400nmであることが好ましぐ l〜300nmであることがより好ましぐ l〜200nmであ ることが特に好ましい。この平均粒径が lnm未満であると、研磨速度が低下する傾向 にあり、 400nmを超えると、被研磨膜に研磨傷がつきやすくなる傾向にある。
[0033] 本発明で、酸ィ匕セリウム粒子の平均粒径とは、レーザ回折式粒度分布計で測定し た D50の値 (体積分布のメジアン径、累積中央値)を 、う。
[0034] 酸ィ匕セリウム粒子の濃度は、 CMP研磨剤 100質量部当たり 0. 1〜5質量部である こと力 S好ましく、 0. 2〜2質量部であることがより好ましぐ 0. 5〜1. 5質量部であるこ とが特に好ましい。この濃度が 0. 1質量部未満であると、研磨速度が低下する傾向 にあり、 5質量部を超えると、酸ィ匕セリウム粒子が凝集する傾向にある。
[0035] 本発明の CMP研磨剤は (B)分散剤を含むことが好ま ヽ。本発明における分散剤 としては、例えば、水溶性陰イオン性分散剤、水溶性非イオン性分散剤、水溶性陽ィ オン性分散剤、水溶性両性分散剤等が挙げられ、後述するポリカルボン酸型高分子 分散剤が好ましぐ共重合成分としてアクリル酸アンモ-ゥム塩を構成単位とした高
分子分散剤がより好ましい。
[0036] 前記共重合成分としてアクリル酸アンモ-ゥム塩を構成単位とした高分子分散剤と しては、例えば、ポリアクリル酸アンモ-ゥム、アクリル酸アミドとアクリル酸アンモ-ゥ ムの共重合体等が挙げられる。また、共重合成分としてアクリル酸アンモ-ゥム塩を 構成単位とした高分子分散剤の少なくとも 1種類と、その他の分散剤の少なくとも 1種 類、例えば水溶性陰イオン性分散剤、水溶性非イオン性分散剤、水溶性陽イオン性 分散剤及び水溶性両性分散剤から選ばれた少なくとも 1種類とを含む 2種類以上の 分散剤として使用することもできる。
[0037] 半導体素子の製造に係る研磨に使用する場合には、例えば、全分散剤中のナトリ ゥムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属、ハロゲン原子及びィォゥ原子の含有率 は、 CMP研磨剤に対して質量比で lOppm以下に抑えることが好ましい。
[0038] 前記水溶性陰イオン性分散剤としては、例えば、ラウリル硫酸トリエタノールァミン、 ラウリル硫酸アンモ-ゥム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノール ァミン、ポリカルボン酸型高分子分散剤等が挙げられる。
[0039] 前記ポリカルボン酸型高分子分散剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マ レイン酸、フマル酸、ィタコン酸等の不飽和二重結合を有するカルボン酸単量体の重 合体、不飽和二重結合を有するカルボン酸単量体と他の不飽和二重結合を有する 単量体との共重合体、及びそれらのアンモニゥム塩ゃァミン塩などが挙げられる。
[0040] 前記水溶性非イオン性分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテ ル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリ ォキシエチレンォレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリ ォキシエチレンォクチルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテ ル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシ エチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポ リオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステア レート、ポリオキシエチレンソルビタンモノォレエート、ポリオキシエチレンソルビタント リオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリエチレングリコール モノラウレート、ポリエチレングリコーノレモノステアレート、ポリエチレングリコーノレジス
テアレート、ポリエチレングリコールモノォレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン
、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、 2—ヒドロキシェチルメタタリレート、アルキルアル 力ノールアミド等が挙げられる。
[0041] 前記水溶性陽イオン性分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ココナットアミ ンアセテート、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
[0042] 前記水溶性両性分散剤としては、例えば、ラウリルべタイン、ステアリルべタイン、ラ ゥリルジメチルァミンオキサイド、 2 アルキル N カルボキシメチル N ヒドロキ シェチルイミダゾリ-ゥムベタイン等が挙げられる。
[0043] これらは、単独で又は 2種類以上を組み合わせて使用される。
[0044] 前記分散剤は、酸化セリウム粒子を、(C)水等の分散媒中に安定的に分散させる ために好適である。
[0045] 研磨剤中の粒子の分散性及び沈降防止、並びに研磨傷の低減の見地から、前記 分散剤の添加量は、酸ィ匕セリウム粒子 100質量部に対して 0. 01〜: LO質量部が好ま しぐ 0. 05〜8質量部がより好ましぐ 0. 1〜5質量部が特に好ましい。この添加量が 0. 01質量部未満であると、粒子の分散性が不十分になり、被研磨膜に研磨傷がつ きやすくなる傾向にあり、 10質量部を超えると、粒子が凝集して沈降が起こり、被研 磨膜に研磨傷がつきやすくなる傾向にある。
[0046] また、研磨速度及び保存安定性の見地から、前記分散剤の重量平均分子量は 10 0〜50, 000力好ましく、 1, 000〜10, 000力より好まし!/ヽ。この重量平均分子量力 S 100未満であると、十分な研磨速度を得られにくい傾向にあり、 50, 000を超えると、 粘度が高くなり、研磨剤の保存安定性が低下する傾向にある。この重量平均分子量 は、示差屈折計 (株式会社日立製作所製、型番 L— 3300)を備えた HPLCポンプ( 株式会社日立製作所製、型番 L 7100)に GPCカラム(日立化成工業株式会社製 、型番 Gelpack GL—W550)を接続し、 50mMリン酸水素ニナトリウム水溶液 Zァ セトニトリル = 90Z10 (VZV)混合液を移動相として用いて測定し、ポリエチレンダリ コール換算した値を用いたものである。
[0047] 本発明の CMP研磨剤は、(D)メタクリル酸及びその塩の少なくとも一方が重合して なる重合体及び Z又はメタクリル酸及びその塩の少なくとも一方と不飽和二重結合を
有する単量体とが重合してなる重合体を含む。この重合体 (D)を含むことにより、平 坦ィ匕特性を向上できる。また、主な被研磨膜である酸ィ匕珪素膜よりも、ストツバ膜であ る窒化珪素膜の研磨速度を抑制するため、研磨のプロセス管理が容易となる。
[0048] 前記重合体 (D)を構成するメタクリル酸及びその塩の比率は、グローバル平坦ィ匕特 性の見地から、全単量体成分の総量に対して 10〜: LOOモル%が好ましぐ 30-100 モル0 /0がより好ましぐ 50〜: LOOモル0 /0がさらに好ましぐ 60〜: LOOモル0 /0力特に好 ましぐ 70〜100モル0 /0が非常に好ましぐ 80〜100モル0 /0が極めて好ましぐ 90〜 100モル%が最も好まし!/、。このメタクリル酸及びその塩の比率が 10モル%未満であ ると、パターン密度差による被研磨膜の残膜厚差が大きくなる傾向にある。
[0049] また、重合体(D)には、単量体としてメタクリル酸のアンモ-ゥム塩、カリウム塩、ァ ルキルアミン塩等の塩も、単独でまたはメタクリル酸と併用して使用することができる。 重合体 (D)は、単量体の一部がメタクリル酸及びその塩の少なくとも一方である重合 体であっても、単量体の全部がメタクリル酸及びその塩の少なくとも一方である重合 体であっても、双方の重合体を併用したものであっても良 、。
[0050] なお、重合体は分散剤としての機能を持つ場合もある。
[0051] 前記不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、ビ -ル酢酸、チグリック酸、 2—トリフルォロメチルアクリル酸、ィタコン酸、フマル酸、マ レイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ダルコン酸等のカルボン酸類; 2—アクリルアミド 2—メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸類などが挙げられる。また、これらの アンモニゥム塩、カリウム塩、アルキルアミン塩等の塩も使用することができる。
[0052] また、他にも、例えば、 C〜C のアクリル酸エステル、 C〜C のメタクリル酸エス
1 18 1 18
テル、アクリルアミド、 N, N ジメチルアクリルアミド、 N, N ジェチルアクリルアミド、 N— iso プロピルアクリルアミド、ァクロィルモルホリン、ビュルアルコール、アタリ口- トリル、ビュルピロリドン、ビニルピリジン等のラジカル重合可能な単量体も不飽和二 重結合を有する単量体として使用することができる。
[0053] これらは、単独で又は 2種類以上を組み合わせて使用される。
[0054] さらに (E)アクリル酸及びその塩の少なくとも一方が重合してなる重合体、及び Z又 は、アクリル酸及びその塩の少なくとも一方と不飽和二重結合を有する単量体とが重
合してなる重合体を (D)の重合体と併用してもよ!/、。この重合体 (E)は水への溶解性 を制御できるため好ま 、。
[0055] これら単量体を重合させ、重合体を得るための重合開始剤としては、例えば、水溶 性を有する化合物が好ましい。この重合開始剤の水溶性は、例えば、 25°Cで水に重 合開始剤を添加して攪拌した場合において、水 99. 5質量部に対し 0. 5質量部とな るよう添加した場合にすべて溶解する程度の水溶性、又は、水 99. 5質量部に対し 0 . 5質量部となるよう添加しさらに有機酸及び Z又は無機酸を重合開始剤 1モルに対 し 2モルの割合で添加した場合にすべて溶解する程度の水溶性であることが好まし い。すべて溶解するかどうかは、例えば、 25°Cで、内容積 50mlのキャップ付ポリプロ ピレン製遠沈管に、重合開始剤 0. 15g、純水 29. 85gを採取して密栓し、次いで試 験管ミキサーを用いて 2500rpmで 3分間撹拌後、目視で不溶物の有無を確認する こと〖こより半 IJ断できる。
[0056] さらに、重合開始剤は、水 97. 0質量部に対し 3. 0質量部となるよう添加した場合 にすベて溶解する程度の水溶性、又は、水 97. 0質量部に対し 3. 0質量部となるよう 添加しさらに有機酸及び Z又は無機酸を重合開始剤 1モルに対し 2モルの割合で添 加した場合にすべて溶解する程度の水溶性であることがより好ま ヽ。すべて溶解す るかどうかは、例えば、 25°Cで、内容積 50mlのキャップ付ポリプロピレン製遠沈管に 、重合開始剤 0. 9g、純水 29. lgを採取して密栓し、次いで試験管ミキサーを用いて 2500rpmで 3分間撹拌後、目視で不溶物の有無を確認することにより判断できる。
[0057] 上記重合開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。過硫酸アンモ-ゥム、 過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過酸ィ匕物;亜硫酸アンモ-ゥム、亜硫酸水素ァ ンモ-ゥム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト リウム等の亜硫酸塩と、酸素、空気又は過酸ィ匕物等とを組み合わせたレドックス開始 剤; 2, 2'—ァゾビス〔N—(2—カルボキシェチル) 2—メチルプロピオンアミド〕等 の両性ァゾ化合物; 1一〔(1—シァノ— 1—メチルェチル)ァゾ〕ホルムアミド、 2, 2" - ァゾビス {2—メチル N—〔1, 1—ビス(ヒドロキシメチル) 2—ヒドロキシェチル〕プ ロピオンアミド}、 2, 2'—ァゾビス {2—メチルー N—〔2—(l—ヒドロキシブチル)〕 プロピオンアミド}、 2, 2—ァゾビス〔2—メチルー N—(l—ヒドロキシェチル)〕 プロ
ピオンアミド、 2, 2'—ァゾビス〔2—(5—メチルー 2 イミダゾリンー2 ィル)プロパン 〕塩酸塩、 2, 2'—ァゾビス〔2—(2—イミダゾリン 2—ィル)プロパン〕、 2, 2'—ァゾ ビス〔2—(2—イミダゾリン 2—ィル)プロパン〕塩酸塩、 2, 2'—ァゾビス〔2—(2— イミダゾリン 2 ィル)プロパン〕硫酸塩水和物、 2, 2'—ァゾビス〔2—(3, 4, 5, 6 ーテトラヒドロピリミジン— 2—ィル)プロパン〕塩酸塩、 2, 2'—ァゾビス {2—〔1ー(2 ーヒドロキシェチル) 2—イミダゾリン 2—ィル〕プロパン }塩酸塩、 2, 2'—ァゾビ ス(2—アミジノプロパン)塩酸塩、 2, 2—ァゾビス〔N—(2—カルボキシェチル) 2 メチルプロピオナミジン〕、 2, 2'—ァゾビス(2—メチルプロピオンアミドォキシム)等 のカチオン性ァゾィ匕合物など。また、上述した重合開始剤の水溶性を向上させるた めに、例えば、酢酸、シユウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クェン酸等の 有機酸塩、りん酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ふつ化水素酸、硝酸、硫酸等の無機 酸塩などを加えて使用してもよい。これらの有機酸及び Z又は無機酸は、重合開始 剤 1モルに対し 2モルの割合で添加することが好ましい。 2, 2'—ァゾビス {2—メチル — N—〔1, 1—ビス(ヒドロキシメチル)—2—ヒドロキシェチル〕プロピオンアミド}、 2, 2—ァゾビス〔2—メチル N— (1—ヒドロキシェチル)〕一プロピオンアミド及び 2, 2" ーァゾビス〔2—(2—イミダゾリン 2—ィル)プロパン〕は、前記有機酸及び Z又は無 機酸を加えて使用することが好まし 、。
[0058] また、前記水溶性を有する化合物以外の重合開始剤として、例えば、 4, 4' ァゾ ビス (4—シァノ吉草酸)等のァ-オン性ァゾィ匕合物などを使用することもできる。
[0059] これらは、単独で又は 2種類以上を組み合わせて使用される。
[0060] 重合時の溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、メタノール、イソプロノ V—ル 、プロパノール、ブタノール等の c力 Cのアルコール、水などが好ましい。これらは
1 4
、単独で又は 2種類以上を組み合わせて使用される。
[0061] こうして得られた前記重合体の重量平均分子量 (ポリエチレングリコール換算値)は、 200〜100, 000力好まし <、 300〜70, 000力 Sより好まし <、 500〜50, 000力 S特に 好ましい。この重量平均分子量が 200未満であると、十分なグローバル平坦化特性 が得られに《なる傾向にあり、分子量が 100, 000を超えると、十分な研磨速度を得 られにくくなる傾向にある。この重量平均分子量は、示差屈折計 (株式会社日立製作
所製、型番 L— 3300)を備えた HPLCポンプ (株式会社日立製作所製、型番 L— 71 00)に GPCカラム(日立化成工業株式会社製、型番 Gelpack GL—W550)を接続 し、 50mMリン酸水素ニナトリウム水溶液 Zァセトニトリル =90Z10(VZV)混合液 を移動相として用いて測定し、ポリエチレングリコール換算した値を用いたものである 。重合時の重量平均分子量の制御には、例えば、メルカプトエタノール等のメルカプ ト化合物系分子量調節剤を使用してもよい。
[0062] 本発明における前記重合体の配合量 (前記重合体 (Ε)も用いる場合は重合体 (D) と重合体 (Ε)との合計配合量)は、 CMP研磨剤 100質量部に対して、 0. 01〜5質量 部が好ましぐ 0. 05〜3質量部がより好ましぐ 0. 10〜1質量部が特に好ましい。こ の添加量が 0. 01質量部未満であると、高グローバル平坦ィ匕特性が得られにくくなる 傾向にあり、 5質量部を超えると、酸ィ匕セリウム粒子の凝集が起こる傾向がある。
[0063] 凹凸が存在する被研磨膜、例えば、酸ィ匕珪素膜等のグローバル平坦ィ匕を達成する には、凸部が選択的に研磨されることが必要である。前記重合体を含有する研磨剤 を用いると、酸ィ匕セリウム粒子及び被研磨膜の表面に、前記重合体による保護膜が 形成されると考えられる。そして、実効研磨荷重の小さい凹部被研磨膜はこの保護膜 により保護されるが、実効研磨荷重の大きい凸部被研磨膜上の保護膜は排除される ことにより、凸部が選択的に研磨されると考えられる。しかし、従来添加剤として使用 されてきたポリアクリル酸等の水溶性高分子は、水溶性が高いため、被研磨膜上に 形成される保護膜が厚く粗になってしまうと考えられ、そのため十分に選択的な研磨 がされず、パターン密度差による被研磨膜の残膜厚差が発生しやす!ヽと ヽぅ問題が あった。一方、前記重合体 (D)は、従来用いられるポリアクリル酸の単量体であるァク リル酸より疎水性が大きいメタクリル酸を単量体として用いるため、被研磨膜に対し薄 く緻密な吸着層を形成すると考えられる。その結果、被研磨膜の表面に強固な保護 膜を形成するため、パターン密度依存性の少ないグローバル平坦ィ匕が達成可能で あると考えられる。また、本発明における重合体は分散剤としても機能すると考えられ る。
[0064] また、本発明における添加液には、前述した重合体以外の他の水溶性高分子を併 用してもよい。他の水溶性高分子としては、特に制限はなぐ例えば、アルギン酸、ぺ
クチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン、プルラン等の多糖類;ポリ ァスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリアミド酸、ポリアミド酸 アンモニゥム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩、ポリダリオキシル酸等のポリカルボン酸並 びにその塩;ポリビュルアルコール、ポリビュルピロリドン、ポリアクロレイン等のビュル 系ポリマーなどが挙げられる。
[0065] 本発明の CMP研磨剤は、例えば、酸ィ匕セリウムスラリーと添加液とを分けた二液式 CMP研磨剤として保存しても、また予め酸ィ匕セリウムスラリーと添加液とを混合した一 液式 CMP研磨剤として保存してもよ ヽ。酸ィ匕セリウムスラリーと添加液とを分けた二 液式 CMP研磨剤として保存する場合、これら二液の配合を任意に変えられること〖こ より、グローバル平坦ィ匕特性及び研磨速度の調整が可能となる。二液式 CMP研磨 剤で研磨する場合、例えば、酸ィ匕セリウムスラリーと添加液とを別々の配管で送液し、 これらの配管を合流させて供給配管出口の直前で混合して研磨定盤上に供給する 方法や、研磨直前に酸ィ匕セリウムスラリーと添加液とを混合する方法等がとられる。更 に、二液の酸ィ匕セリウムスラリーと添加剤とを上記のように直前にまたは配管内で、混 合する場合に、必要に応じて脱イオン水を混合して研磨特性を調整することもできる
[0066] 本発明の CMP研磨剤は所望の pHに調整して研磨に供することが好ましい。 pH調 整剤に制限はないが、半導体研磨に使用する場合には、アルカリ金属類よりも、アン モ-ァ水又は酸成分が好ましい。また、前述した重合体や水溶性高分子を予めアン モユアで部分的に中和したアンモ-ゥム塩を pH調整剤として使用してもょ 、。 CMP 磨剤の pHiま 4. 5〜6. 0力好ましく、 4. 8〜5. 6力 ^より好まし!/ヽ。 pH力 ^4. 5未満で あると、研磨速度が低下する傾向にあり、 pHが 6. 0を超えると、被研磨膜の平坦性 が低下する傾向にある。
[0067] 本発明にお 、て CMP研磨剤の pHは、例えば、 pHメータ(例えば、横河電機株式 会社製の Model PH81)を用いて測定することができ、標準緩衝液 (フタル酸塩 PH 緩衝液: pH4. 21(25°C)、中性りん酸塩 pH緩衝液: pH6. 86 (25°C) )を用いて、 2 点校正した後、電極を CMP研磨剤に入れて、 2分間以上経過して安定した後の値を 測定する。
[0068] また、本発明の CMP研磨剤は、さらに強酸イオンを含有することで、パターン密度 差による被研磨膜の残膜厚差をより低減することができる。本発明において、強酸と は、第 1解離可能酸性基の pKa値 (pK )が 3. 2以下である酸とし、例えば、以下の酸
al
が例示される。なお括弧内は pKa値であり、文献:「ィ匕学便覧基礎編」改訂 4版 (社団 法人日本化学会著、平成 5年 9月 30日発行、丸善株式会社発行) II— 317〜322頁 から引用した。
[0069] 硫酸 (pK < 0、pK : 1. 96、以下 pK のみ示す。)、塩酸(一 3. 7)、硝酸(一 1. 8
al a2 al
)、リン酸(2. 15)、シユウ酸(1. 04)、マレイン酸(1. 75)、ピクリン酸(0. 33)、亜硫 酸(1. 86)、チォ硫酸 (0. 6)、アミド硫酸 (0. 99)、塩素酸、過塩素酸(< 0)、亜塩 素酸 (2. 31)、ヨウ化水素酸(一 10)、過ヨウ素酸、ヨウ素酸 (0. 77)、臭化水素酸( — 9)、過臭素酸、臭素酸、クロム酸(― 0. 2)、亜硝酸(3. 15)、 2リン酸 (0. 8)、トリ ポリリン酸(2. 0)、ピクリン酸(0. 33)、ピコリン酸(1. 03)、ホスフィン酸(1. 23)、ホ スホン酸(1. 5)、イソニコチン酸(1. 79)、ニコチン酸(2. 05)、トリクロ口酢酸(0. 66 )、ジクロ口酢酸(1. 30)、クロ口酢酸(2. 68)、シァノ酢酸(2. 47)、ォキサ口酢酸(2 . 27)、二ロト酢酸(1. 46)、ブロモ酢酸(2. 72)、フルォロ酢酸(2. 59)、フ ノキシ 酢酸(2. 99)、 o—ブロモ安息香酸(2. 85)、 o— -トロ安息香酸(2. 17)、 o—クロ口 安息香酸(2. 92)、 p—ァミノ安息香酸(2. 41)、アントラニル酸(2. 00)、フタル酸( 2. 75)、フマル酸(2. 85)、マロン酸(2. 65)、 d—酒石酸(2. 83)、クェン酸(2. 90 ) , 2, 6—ピリジンジカノレボン酸(2. 09)、ピノレビン酸(2. 26)、ポリスチレンスノレホン 酸(< 3. 0)、ポリスルホン酸(< 3. 0)、グルタミン酸(2. 18)、サリチル酸(2. 81)、 ァスパラギン酸(1. 93)、 2—アミノエチルホスホン酸(1. 1)、グリシン(2. 36)、アル ギニン(2. 05)、イソロイシン(2. 21)、サルコシン(2. 15)、オル-チン(1. 9)、グァ ノシン(1. 8)、シトルリン(2. 43)、チロシン(2. 17)、ノ リン(2. 26)、ヒポキサンチン (2. 04)、メチォニン(2. 15)、リシン(2. 04)、ロイシン(2. 35)等。これらは、単独で 又は 2種類以上を組み合わせて使用される。
[0070] 前記強酸としては、第 1解離可能酸性基の pKa値が低 、ものほど効果が高 、と!/、う 見地から、第 1解離可能酸性基の pKa値が 2. 0以下の酸が好ましぐ pKa値が 1. 5 以下の酸がより好ましい。第 1解離可能酸性基の pKa値が 3. 2を超えると、十分な効
果が得られにくい傾向にある。本発明で使用される強酸の添加方法に制限はなぐ 例えば、前記重合体や水溶性高分子とは別に添加してもよぐ予め重合開始剤中に 含有してもよい。また、強酸は塩の形態で研磨剤に添加されても良い。
[0071] 添加された強酸イオンは、前記重合体や他の水溶性高分子よりも優先的に解離す ることで、前記重合体や他の水溶性高分子のカルボキシル基の解離を抑制し、解離 が抑制された前記重合体や他の水溶性高分子は、被研磨膜表面へ吸着して保護膜 を形成しやすくなると考えられる。その結果、パターン密度差を有するウェハの被研 磨膜の残膜厚差をさらに低減することができるものと考えられる。
[0072] 前記強酸イオンの含有量は、 CMP研磨剤中、質量比で 50〜: LO, OOOppmが好ま しく、 100〜1, OOOppm力より好ましく、 200〜600ppm力 ^特に好まし!/、。この含有 量が 50ppm未満であると、パターン密度依存性の低減効果が得られにく!、傾向にあ り、 10, OOOppmを超えると、酸ィ匕セリウム粒子の分散安定性が低下する傾向にある
[0073] (C)水は主な分散媒であり、特に制限は無ぐ脱イオン水が好ましい。
[0074] 本発明の研磨方法は、被研磨膜を形成した基板を研磨定盤の研磨布に押し当て 加圧し、上記本発明の CMP研磨剤を被研磨膜と研磨布との間に供給しながら、基 板と研磨定盤とを相対的に動力ゝして被研磨膜を研磨することを特徴とする。
[0075] 前記基板としては、例えば、回路素子と配線パターンが形成された段階の半導体 基板、半導体基板上に無機絶縁層が形成された基板等の半導体素子製造に係る基 板などが挙げられる。被研磨膜としては、例えば、酸化珪素膜層、窒化珪素膜層等 の無機絶縁層などが挙げられる。このような半導体基板上に形成された酸化珪素膜 層、窒化珪素膜層等を上記 CMP研磨剤で研磨することによって、基板表面の凹凸 を解消し、基板全面にわたって平滑な面とすることができる。
[0076] また、本発明の研磨方法は、シヤロートレンチ分離にも使用することができる。シャロ 一トレンチ分離に使用するためには、酸ィ匕珪素膜研磨速度と窒化珪素膜研磨速度 の比、酸ィ匕珪素膜研磨速度 Z窒化珪素膜研磨速度が 10以上であることが好ましい 。この比が 10以上であると、窒化珪素膜露出後の研磨速度の減少が大きくなるため 、研磨の停止が容易になる。この比が 10未満であると、所定の位置で研磨を停止し
に《なる傾向にある。また、シヤロートレンチ分離に使用するためには、研磨時に傷 の発生が少な!/、ことが好まし 、。
[0077] 以下、酸ィ匕珪素膜のような無機絶縁層が形成された半導体基板の場合を例に挙げ て研磨方法を説明する。
[0078] 本発明の研磨方法において、研磨する装置としては、例えば、研磨布 (パッド)を貼 り付け可能で、回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある研磨定盤と、半導体 基板等の被研磨膜を有する基板を保持できるホルダーとを有する一般的な研磨装 置などを使用することができる。上記研磨装置としては、例えば、荏原製作所株式会 社製研磨装置、型番: EPO— 111等が挙げられる。研磨布としては、特に制限がなく 、例えば、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素榭脂等を使用することが できる。また、前記研磨布には、 CMP研磨剤が溜まるような溝力卩ェが施されているこ とが好ましい。研磨条件としては、特に制限はないが、半導体基板が飛び出さないよ うにという見地から、定盤の回転速度は 200rpm以下の低回転が好ましぐ半導体基 板にかける圧力(加工荷重)は、研磨後に傷が発生しないようにという見地から、 100 kPa以下が好ましい。研磨している間、研磨布には、 CMP研磨剤をポンプ等で連続 的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常に C MP研磨剤で覆われて 、ることが好まし 、。
[0079] 研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄後、スピンドライャ等を用いて半導 体基板上に付着した水滴を払い落として乾燥させることが好ましい。このように、被研 磨膜である無機絶縁層を上記研磨剤で研磨することによって、表面の凹凸を解消し 、半導体基板全面にわたって平滑な面を得ることができる。このようにして平坦ィ匕され たシヤロートレンチを形成したあと、無機絶縁膜層の上に、アルミニウム配線を形成し 、その配線間及び配線上に後述する方法により無機絶縁膜を形成後、上記 CMP研 磨剤を用いて同様に研磨して平滑な面とする。この工程を所定数繰り返すことにより 、所望の層数を有する半導体基板を製造することができる。
[0080] 本発明の CMP研磨剤を使用する酸ィ匕珪素膜のような無機絶縁膜の作製方法とし ては、例えば、低圧 CVD法、プラズマ CVD法等が挙げられる。
[0081] 低圧 CVD法による酸化珪素膜形成は、 Si源としてモノシラン(SiH )、酸素源として
酸素(O )を用いる。この SiH— O系酸ィ匕反応を 400°C以下で行うことにより、酸ィ匕
2 4 2
珪素膜を得ることができる。場合によっては、前記酸化珪素膜は、 CVD後 1000°C又 はそれ以下の温度で熱処理される。高温リフローによる表面平坦ィ匕を図るためにリン (P)をドープするときには、 SiH— O -PH系反応ガスを用いることが好ましい。ブラ
4 2 3
ズマ CVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応を、低温で行うこと ができる利点を有する。プラズマ発生法には、例えば、容量結合型と誘導結合型の 2 つが挙げられる。反応ガスとしては、 Si源として SiH、酸素源として N Oを用いた SiH
4 2
— N O系ガスとテトラエトキシシラン (TEOS)を Si源に用いた TEOS— O系ガス(TE
4 2
OS—プラズマ CVD法)が挙げられる。基板温度は 250°C〜400°C、反応圧力は 67 〜400Paの範囲が好ましい。このように、本発明で用いられる酸ィ匕珪素膜には、リン 、ホウ素等の元素がドープされていてもよい。同様に、低圧 CVD法による窒化珪素 膜形成は、 Si源としてジクロルシラン(SiH C1 )、窒素源としてアンモニア (NH )を用
2 2 3 いる。この SiH CI -NH系酸化反応を、 900°Cの高温で行わせることにより、窒化
2 2 3
珪素膜を得ることができる。プラズマ CVD法による窒化珪素膜形成において、反応 ガスとしては、 Si源として SiH、窒素源として NHを用いた SiH -NH系ガスが挙げ
4 3 4 3
られる。基板温度は 300°C〜400°Cが好まし!/、。
[0082] 本発明の CMP研磨剤及び研磨方法は、半導体基板に形成された酸化珪素膜だ けでなぐ各種半導体装置の製造プロセス等にも適用することができる。例えば、所 定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素膜、ガラス、窒化珪素等の無機絶 縁膜;ポリシリコン、 Al、 Cu、 Ti、 TiN、 W、 Ta、 TaN等を主として含有する膜;フォト マスク 'レンズ'プリズム等の光学ガラス; ITO等の無機導電膜;ガラス及び結晶質材 料で構成される光集積回路 ·光スイッチング素子 ·光導波路、光ファイバ一の端面、 シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザ単結晶、青色レーザ LED用サフアイャ 基板、 SiC、 GaP、 GaAs等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッド などを研磨することができる。
実施例
[0083] 実施例 1
(添加液の作製)
脱イオン水 lOOOgと 2 プロパノール 200gとを 3Lの合成用フラスコに投入し、窒素 ガス雰囲気下で撹拌しながら 90°Cに昇温後、メタクリル酸 561gと脱イオン水 64gとの 混合物と、 2, 2'—ァゾビス〔2—(2—イミダゾリン 2—ィル)プロパン〕二硫酸塩二 水和物 64gを脱イオン水 536gに溶解させたものとを、それぞれ 2時間かけてフラスコ 中に注入した。次いで、 90°Cで 3時間保温後、冷却して取り出し、重合体 (D)を含む 添加液であるポリメタクリル酸溶液を得た。
[0084] その不揮発分を測定したところ、 25質量%であった。さらに、示差屈折計 (株式会 社日立製作所製、型番 L— 3300)を備えた HPLCポンプ (株式会社日立製作所製、 型番 L 7100)に GPCカラム(日立化成工業株式会社製、型番 Gelpack GL—W 550)を接続し、 50mMリン酸水素ニナトリウム水溶液 Zァセトニトリル =90Z10 (V /V)混合液を移動相として用い、上記で得られたポリメタクリル酸の重量平均分子量 測定を行ったところ、その重量平均分子量は 25, 000 (ポリエチレングリコール換算 値)であった。
[0085] (酸ィ匕セリウムスラリーの作製)
炭酸セリウム水和物 40kgをアルミナ製容器に入れ、 830°Cで 2時間、空気中で焼 成することにより、黄白色の粉末を 20kg得た。この粉末を X線回折法で相同定を行 つたところ、酸ィ匕セリウムであることを確認した。粒度分布計で測定した焼成粉末粒子 径は 30〜: L00 mであった。次いで、前記酸化セリウム粒子粉末 20kgを、ジェットミ ルを用いて乾式粉砕を行った。多結晶体の比表面積を BET法により測定した結果、 9m / gであつ 7こ 0
[0086] 上記で得た酸ィ匕セリウム粉末 20kgと脱イオン水 79. 750kgを混合し、分散剤として 市販のポリアクリル酸アンモ-ゥム水溶液(重量平均分子量 8000、重量 40%) 250g を添加し、攪拌しながら超音波分散を行って酸ィ匕セリウム分散液を得た。超音波周波 数は、 400kHzで、分散時間 20分で行った。その後、 10L容器に 5kgの酸ィ匕セリウム 分散液を入れて静置し、沈降分級を行った。分級時間 200時間後、容器底からの高 さ 110mm以上の上澄みをポンプでくみ上げた。次いで、得られた酸化セリウム分散 液の上澄みを、固形分濃度が 5質量%になるように脱イオン水で希釈して、酸化セリ ゥムスラリーを得た。
[0087] さらに、酸ィ匕セリウムスラリー中の平均粒径を測定するため適当な濃度に希釈し、レ 一ザ回折式粒度分布計(Malvern社製、商品名: Master Sizer Microplus)を用 い、屈折率 1. 93、吸収 0として測定したところ、 D50の値は 170nmであった。また、 原子吸光光度計 (株式会社島津製作所製、型番: AA— 670G)を用いて測定した酸 化セリウムスラリー中の不純物イオン(Na、 K、 Fe、 Al、 Zr、 Cu、 Si、 Ti)は、質量比 で lppm以下であった。
[0088] (CMP研磨剤の作製)
上記で得られた添加液であるポリメタクリル酸溶液(25質量%) 36gと脱イオン水 23 64gとを混合し、アンモニア水 (25質量0 /0)にて pH4. 7に調整した。さらに、上記の酸 化セリウムスラリー(固形分: 5質量0 /0) 600gを添加し、酸ィ匕セリウム系 CMP研磨剤 ( 固形分:1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0であった。
[0089] また、研磨剤中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、適当な濃度 に希釈して測定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、前記研磨剤を 遠心分離して上澄み液を得た。キヤビラリ電気泳動測定装置 (大塚電子株式会社製 、型番: CAPI— 3300)を用いて、前記上澄み液から、研磨剤中の硫酸イオン濃度、 塩酸イオン濃度及び硝酸イオン濃度を測定した。泳動電圧— 30kV、バッファ、試料 注入は落差法 (落差 25mm)、注入時間 90秒で行った。各強酸イオン濃度が質量比 で 300、 600及び lOOOppmの 3点で検量線を作成し、濃度を算出した。その結果、 硫酸イオンが質量比で 130ppm検出された。
[0090] (絶縁膜層の研磨)
シヤロートレンチ素子分離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハとして、インターナショナ ル'セマテック(International SEMATECH)製 864ウェハ( φ 200mm, SiN膜厚 15 Onm、 SiO膜厚凸部 610nm、凹部 610nm、トレンチ深さ 320nm)を用いた。研磨
2
装置 (荏原製作所製、商品名: EPO— 111)の、保持する基板取り付け用の吸着パッ ドを貼り付けたホルダーに上記試験ウェハをセットし、一方、 φ 600mmの研磨定盤 に多孔質ウレタン榭脂製の研磨パッド (パーフォレート溝、口デール社製、型番: IC— 1000)を貼り付けた。前記研磨パッド上に、絶縁膜面を下にした前記ホルダーを載 せ、さらにカ卩工荷重及びバックサイド圧をそれぞれ 30kPa、 15kPaに設定した。定盤
上に上記で調製した CMP研磨剤を 200mLZ分の速度で滴下しながら、定盤とゥェ ノ、とをそれぞれ 50rpm、 50rpmで作動させて、前記シヤロートレンチ素子分離絶縁 膜 CMP評価用試験ウェハを研磨した。研磨定盤トルク電流値をモニタすることで、 研磨の終点検出を行った。研磨後のウェハを純水で良く洗浄後、乾燥した。その後、 光干渉式膜厚装置 (ナノメトリタス社製、商品名: Nanospec AFT— 5100)を用い て、高密度部(凸部パターン密度 70%)及び低密度部(凸部パターン密度 10%)に おける、凸部 SiN膜の残膜厚及び凹部 SiO膜の残膜厚を測定した。表 1に得られた
2
各測定結果を示す。凸部パターン密度 10%とは、凸部と凹部が幅 10 : 90で交互に並 んだパターンを意味し、凸部パターン密度 70%とは、凸部と凹部が幅 70 : 30で交互に 並んだパターンを意味する。
[0091] 実施例 2
(添加液の作製)
脱イオン水 600gと 2—プロパノール 600gとを 3Lの合成用フラスコに投入し、窒素 ガス雰囲気下で撹拌しながら 85°Cに昇温後、メタクリル酸 536gとアクリル酸 45gとの 混合物と、脱イオン水 600gに過硫酸アンモ-ゥム 32gを溶解させたものとを、それぞ れ 2時間かけてフラスコ中に注入した。次いで、 85°Cで 3時間保温後、冷却して取り 出し、添加液であるポリアクリル酸一 90モル%メタクリル酸共重合体溶液 (メタクリル 酸:アクリル酸 = 9 : 1)を得た。その不揮発分を測定したところ、 25質量%であった。 さらに、実施例 1と同様の方法にて、上記で得られたポリアクリル酸一 90モル%メタク リル酸共重合体の重量平均分子量測定を行ったところ、その重量平均分子量は 23, 000 (ポリエチレングリコール換算値)であった。
[0092] (研磨剤の作製)
上記で得られた添加液であるポリアクリル酸—90モル%メタクリル酸共重合体溶液 (25質量0 /0) 36gと脱イオン水 2364gとを混合し、アンモニア水(25質量0 /0)にて pH 4. 6に調整した。さらに前記の酸ィ匕セリウムスラリー(固形分: 5質量%) 600gを添カロ し、酸ィ匕セリウム系 CMP研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0であった。また、研磨剤中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、 適当な濃度に希釈して測定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、実
施例 1と同様の方法で強酸イオン濃度を測定した結果、硫酸イオンが質量比で ΙΟΟρ pm検出された。
[0093] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 1に示す結果を得た。
[0094] 実施例 3
(添加液の作製)
脱イオン水 lOOOgと 2—プロパノール 200gとを 3Lの合成用フラスコに投入し、窒素 ガス雰囲気下で撹拌しながら 90°Cに昇温後、メタクリル酸 401gとアクリル酸 134gと の混合物と、 2, 2'—ァゾビス〔2— (2—イミダゾリン— 2—ィル)プロパン〕 59gを 5質 量%硫酸水 589gに溶解させたものとを、それぞれ 2時間かけてフラスコ中に注入し た。次いで 90°Cで 3時間保温後、冷却して取り出し、添加液であるポリアクリル酸— 7 0モル%メタクリル酸共重合体溶液を得た。その不揮発分を測定したところ、 25質量 %であった。実施例 1と同様の方法にて、上記で得られたポリアクリル酸— 70モル% メタクリル酸共重合体の重量平均分子量測定を行ったところ、その重量平均分子量 は 22, 000 (ポリエチレングリコール換算値)であった。
[0095] (研磨剤の作製)
上記で得られた添加液であるポリアクリル酸—70モル%メタクリル酸共重合体溶液 (25質量0 /0) 36gと脱イオン水 2364gとを混合し、アンモニア水(25質量0 /0)にて pH 4. 6に調整した。さらに前記の酸ィ匕セリウムスラリー(固形分: 5質量%) 600gを添カロ し、酸ィ匕セリウム系 CMP研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0であった。また、研磨剤中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、 適当な濃度に希釈して測定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、実 施例 1と同様の方法で強酸イオン濃度を測定した結果、硫酸イオンが質量比で 150p pm検出された。
[0096] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 1に示す結果を得た。
[0097] 実施例 4
(添加液の作製)
脱イオン水 lOOOgと 2—プロパノール 200gとを 3Lの合成用フラスコに投入し、空気 を約 3LZ分でフラスコ内の脱イオン水中に入れて撹拌しながら 25°Cで、メタクリル酸 279g、アクリル酸 232g及び脱イオン水 89gの混合物と、亜硫酸二アンモ-ゥム一水 和物 89gを脱イオン水 51 lgに溶解させたものとを、それぞれ 2時間かけてフラスコ中 に注入した。次いで、 25°Cで 3時間保温後、冷却して取り出し、添加液であるポリアク リル酸— 50モル%メタクリル酸共重合体溶液を得た。その不揮発分を測定したところ 、 25質量%であった。実施例 1と同様の方法にて、上記で得られたポリアクリル酸— 5 0モル%メタクリル酸共重合体の重量平均分子量測定を行ったところ、その重量平均 分子量は 29, 000 (ポリエチレングリコール換算値)であった。
[0098] (研磨剤の作製)
上記で得られた添加液であるポリアクリル酸—50モル%メタクリル酸共重合体溶液 (25質量0 /0) 36gと脱イオン水 2364gを混合し、アンモニア水(25質量0 /0)にて pH4 . 6に調整した。さらに、前記の酸ィ匕セリウムスラリー(固形分: 5質量%) 600gを添カロ し、酸ィ匕セリウム系 CMP研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0であった。また、研磨剤中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、 適当な濃度に希釈して測定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、実 施例 1と同様の方法で強酸イオン濃度を測定した結果、硫酸イオンが質量比で 230p pm検出された。
[0099] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 1に示す結果を得た。
[0100] 実施例 5
(添加液の作製)
脱イオン水 lOOOgと 2—プロパノール 200gとを 3Lの合成用フラスコに投入し、空気 を約 3LZ分でフラスコ内の脱イオン水中に入れて撹拌しながら 25°Cで、メタクリル酸 180. 4g、アクリル酸 352. 3g及び脱イオン水 69. 3gの混合物と、 2, 2'—ァゾビス〔
2- (2 イミダゾリンー2 ィル)プロパン〕二硫酸塩二水和物 69. 4gを脱イオン水 5 32. 6gに溶解させたものとを、それぞれ 2時間かけてフラスコ中に注入した。次いで、 25°Cで 3時間保温後、冷却して取り出し、添加液であるポリアクリル酸— 30モル%メ タクリル酸共重合体溶液を得た。その不揮発分を測定したところ、 25質量%であった 。実施例 1と同様の方法にて、上記で得られたポリアクリル酸— 30モル%メタクリル酸 共重合体の重量平均分子量測定を行ったところ、その重量平均分子量は 25, 000 ( ポリエチレングリコール換算値)であった。
[0101] (研磨剤の作製)
上記で得られた添加液であるポリアクリル酸—30モル%メタクリル酸共重合体溶液 (25質量0 /0) 36gと脱イオン水 2364gを混合し、アンモニア水(25質量0 /0)にて pH4 . 6に調整した。さらに、前記の酸ィ匕セリウムスラリー(固形分: 5質量%) 600gを添カロ し、酸ィ匕セリウム系 CMP研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0であった。また、研磨剤中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、 適当な濃度に希釈して測定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、実 施例 1と同様の方法で強酸イオン濃度を測定した結果、硫酸イオンが質量比で 272p pm検出された。
[0102] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 1に示す結果を得た。
[0103] 実施例 6
(添加液の作製)
脱イオン水 lOOOgと 2 プロパノール 200gとを 3Lの合成用フラスコに投入し、空気 を約 3LZ分でフラスコ内の脱イオン水中に入れて撹拌しながら 25°Cで、メタクリル酸 62. 2g、アクリル酸 468. 2g及び脱イオン水 69. 6gの混合物と、 2, 2'—ァゾビス〔2 一(2 イミダゾリン 2 ィル)プロパン〕二硫酸塩二水和物 69. 7gを脱イオン水 53 0. 3gに溶解させたものとを、それぞれ 2時間かけてフラスコ中に注入した。次いで、 2 5°Cで 3時間保温後、冷却して取り出し、添加液であるポリアクリル酸— 10モル%メタ クリル酸共重合体溶液を得た。その不揮発分を測定したところ、 25質量%であった。
実施例 1と同様の方法にて、上記で得られたポリアクリル酸— 10モル%メタクリル酸 共重合体の重量平均分子量測定を行ったところ、その重量平均分子量は 46, 000 ( ポリエチレングリコール換算値)であった。
[0104] (研磨剤の作製)
上記で得られた添加液であるポリアクリル酸—10モル%メタクリル酸共重合体溶液 (25質量0 /0) 36gと脱イオン水 2364gを混合し、アンモニア水(25質量0 /0)にて pH4 . 6に調整した。さらに、前記の酸ィ匕セリウムスラリー(固形分: 5質量%) 600gを添カロ し、酸ィ匕セリウム系 CMP研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0であった。また、研磨剤中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、 適当な濃度に希釈して測定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、実 施例 1と同様の方法で強酸イオン濃度を測定した結果、硫酸イオンが質量比で 275p pm検出された。
[0105] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 1に示す結果を得た。
[表 1]
実施例
項目
1 2 3 4 5 6 酸化セリウム
1. 0 1. 0 1. 0 1. 0 1. 0 1. 0 配合量 (質量%)
メタクリ 100: 0 90: 10 70: 30 50: 50 30: 70 10: 90 ル酸:ァ (モル%) (モル%) (モル%) (モル%) (モル%) (モル%) クリル酸 重合体 共重合体 共重合体 共重合体 共重合体 共重合体 亜硫酸二
過硫酸
重合体 (1) * アンモニ (2) * アンモニ
開始剤 ゥム一水 (1) * (1) *
ゥム
和物
重量平均 25, 000 23, 000 22, 000 29, 000 25, 000 46, 000 分子量
添加量 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3 (質量%)
凸部 70%部分 SiN膜
185 210 200 210 240 260 露出研磨時間 (秒)
凸部 SiN 凸部 70% 150 150 145 150 148 153 残膜厚 凸部 10% 140 136 133 127 122 118 mm) 残膜厚差 10 14 12 23 26 35 凹部 Si02 凸部 70% 486 490 490 490 480 482 残膜厚 凸部 10% 390 354 361 360 347 340 mm) 残膜厚差 96 136 129 130 133 142
[0106] (1) *: 2, 2'—ァゾビス〔2— (2—イミダゾリン一 2—ィル)プロパン〕二硫酸塩二水和 物 .
(2) * : 2, 2'—ァゾビス〔2_ (2—イミダゾリン一 2—^ fル)プロパン〕
以上のように実施例 1〜6で調製した各 CMP研磨剤を用いて評価用ウェハを研磨 した結果、表 1に示すように、高密度部(凸部 70%)においては、 185〜260秒で凸 部 SiO膜を削りきり、 SiN膜が露出した Dまた、低密度部(凸部 10%)の凸部 SiN残
2
膜厚は 118〜140nm、凹部 SiO残膜厚は 340〜390nmであった。そして、高密度
2
部(凸部 70%)と低密度部(凸部 10%)の凸部 SiN残膜厚の差は 10〜35mn、凹部 SiO残膜厚の差は 96〜142nmであり、パターン密度差による影響の少ない均一な
2
研磨が行われていた。また、光学顕微鏡を用いて研磨後の絶縁膜表面を観察したと ころ、いずれの実施例においても明確な研磨傷は観察されな力 た。
[0107] 特に、実施例 1〜4で調製した各 CMP研磨剤を用いて評価用ウェハを研磨した結 果、高密度部(凸部 70%)においては、 185~210秒で凸部 SiO膜を削りきり、研磨 差替え用紙(規則 26).
速度が良好だった。また、低密度部(凸部 10%)の凸部 SiN残膜厚は 127〜140nm 、凹部 SiO残膜厚は 354〜390nmであり、高密度部(凸部 70%)と低密度部(凸部
2
10%)の凸部 SiN残膜厚の差は 10〜23nm、凹部 SiO残膜厚の差は 96〜136nm
2
であり、よりパターン密度差による影響の少ない均一な研磨が行われていた。
[0108] 比較例 1
(添加液の作製)
イソプロパノール 480g、脱イオン水 480gを 3Lの合成用フラスコに投入し、窒素ガ ス雰囲気下で撹拌しながら 75°Cに昇温後、アクリル酸 560g、 2, 2,—ァゾビスイソブ チ口-トリル 40gをイソプロパノール 500gに溶解させたものを 2時間かけてフラスコ中 に注入した。次いで、 75°Cで 3時間保温後、冷却して取り出し、添加液であるポリアク リル酸水溶液を得た。その不揮発分を測定したところ、 25質量%であった。実施例 1 と同様に、得られたポリアクリル酸の重量平均分子量測定を行ったところ、その重量 平均分子量は 10,000(ポリエチレングリコール換算値)であった。
[0109] (研磨剤の作製)
上記で作製した添加液であるポリアクリル酸水溶液(25質量%) 48gと脱イオン水 2 352gを混合し、アンモニア水(25質量%)にて pH6. 9に調整した。さらに前記の酸 化セリウムスラリー(固形分: 5質量%) 600gを添加し、酸化セリウム研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 7. 0であった。また、研磨剤中の粒子をレー ザ回折式粒度分布計で測定するために、適当な濃度に希釈して測定した結果、粒 径の平均値が 170nmであった。次いで、実施例 1と同様の方法で強酸イオン濃度を 測定した結果、検出された硫酸イオンは質量比で lOppm以下であった。
[0110] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 2に示す結果を得た。
[0111] 比較例 2
(研磨剤の作製)
市販のポリイタコン酸粉末 12gと脱イオン水 2388gを混合し、アンモニア水(25質 量%)にて pH4. 3に調整した。実施例 1と同様の方法でポリイタコン酸の分子量を測
定した結果、重量平均分子量は 14,000 (ポリエチレングリコール換算値)であった。 さらに、前記の酸ィ匕セリウムスラリー(固形分: 5質量0 /0) 600gを添加し、酸化セリウム 研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0であった。また、研磨剤 中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、適当な濃度に希釈して測 定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、実施例 1と同様の方法で強 酸イオン濃度を測定した結果、検出された硫酸イオンは質量比で lOppm以下であつ た。
[0112] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 2に示す結果を得た。
[0113] 比較例 3
(研磨剤の作製)
アルドリッチ (Aldrich)社製ポリアクリル酸 50モル0 /0マレイン酸共重合体水溶液( 50質量0 /0) 24gと脱イオン水 2376gを混合し、アンモニア水 (25質量0 /0)にて pH4. 3 に調整した。実施例 1と同様の方法でポリアクリル酸— 50モル%マレイン酸共重合体 の重量平均分子量を測定した結果、重量平均分子量は 8,000 (ポリエチレングリコー ル換算値)であった。さらに、前記の酸ィ匕セリウムスラリー(固形分: 5質量%) 600gを 添加し、酸化セリウム研磨剤(固形分: 1. 0質量%)を作製した。研磨剤 pHは 5. 0で あった。また、研磨剤中の粒子をレーザ回折式粒度分布計で測定するために、適当 な濃度に希釈して測定した結果、粒径の平均値が 170nmであった。次いで、実施例 1と同様の方法で強酸イオン濃度を測定した結果、検出された硫酸イオンは質量比 で 1 Oppm以下であつた。
[0114] (絶縁膜層の研磨)
上記で作製した研磨剤を用いた以外は実施例 1と同様にシヤロートレンチ素子分 離絶縁膜 CMP評価用試験ウェハの研磨を行 ヽ、表 2に示す結果を得た。
[表 2]
比較例
項目
1 2 3
酸化セリウム
1. 0 1. 0 1. 0
配合量 (質量%)
ポリアクリル酸 -50モ
ポリアク ポリイタ
種類 ル%ポリマレイン酸
リル酸 コン酸
共重合体
2, 2' -ァゾ
重合 ビスィソ
なし なし
重合体 開始剤 プチロニ
トリル
重量平均 10, 000 14, 000 8, 000 分子量
添加量
0. 4 0. 4 0. 4
(質量%)
凸部 70%部分 SiN膜
240 210 265
露出研磨時間 (秒)
凸部 SiN 凸部 70% 145 143 155
残膜厚 凸部 10% 88 82 91
残膜厚差 57 61 64
凹部 Si02 凸部 70% 507 487 499
残膜厚 凸部 10% 342 305 313
(nm) 残膜厚差 165 182 " 186
[0115] 以上のように比較例 1〜3で調製した各 CMP研磨剤を用いて評価用ウェハを研磨 しだ結果、表 2に示すように、高密度部(凸部 70%)凸部 SiN膜が露出するのに 210 ~265秒を要した。また、低密度部(凸部 10%)の凸部 SiN残膜厚は 82〜91mn、 凹部 Si〇残膜厚は 305~342mnであり、高密度部(凸部 70%)と低密度部(凸部 1 0%)の凸部 SiN残膜厚の差は 57〜64nm、凹部 SiO残膜厚の差は 165〜186mn
2
であり、パターン密度差による影響が発生しており、研磨の進行が不均一だった。
[0116] 以上の実験結果から、実施例 1〜6は、パターン密度差による影響の少ない均一な 研磨を達成できている。特に、実施例 1〜4は、研磨速度が良好であり、かつ、パター ン密度差による影響のより少ない均一な研磨を十分に達成できている。
産業上の利用の可能性
[0117] 本発明により、層間絶縁膜、 BPSG膜、シヤロートレンチ分離用絶縁膜等を平坦化 する CMP技術において、パターン密度差による膜厚差を低減し、高速に、かつプロ セス管理も容易に、酸ィヒ珪素膜等を研磨できる研磨剤および研磨方法を提供するこ 差替え用紙(規貝 ΰ2β)
とができる。