明 細 書
熱伝導性樹脂組成物及びその製造方法並びにハウジング
技術分野
[0001] 本発明は、成形加工性に優れ、熱伝導性及び電磁シールド性に優れた成形品を 与える熱伝導性榭脂組成物及びその製造方法並びにハウジングに関する。
背景技術
[0002] LSI等の半導体素子の集積密度の増大と動作の高速化、そして電子部品の高密 度実装に伴い、発熱部品を備える製品における放熱対策が大きな課題となっている 。例えば、電子部品のハウジングには、従来、熱伝導率の高い金属やセラミックスが 用いられてきたが、近年、形状選択の自由度が高ぐ軽量化及び小型化の容易な榭 脂組成物が用いられて ヽる (特許文献 1、 2及び 3参照)。
特許文献 1には、 PBT、 PEEK等の熱可塑性榭脂と、窒化アルミニウム等の無機繊 維及び無機粉末とを含む榭脂組成物が開示されている。
また、特許文献 2には、特定のブロック共重合体又は水素添加ブロック共重合体と 、ゴム用軟化剤と、水酸化マグネシウム等の熱伝導材とを含む榭脂組成物が開示さ れている。
特許文献 3には、マトリックス榭脂中に窒化アルミニウム焼結体粉末等力 なるフィ ラーが分散するとともに、融点が 500°C以下の低融点金属又は共晶合金によって網 目状に形成された金属網を介して上記フィラーが相互に連続的に溶着されてなる高 熱伝導性複合体が開示されている。
また、特許文献 4には、ポリフエ-レンスルフイドと、 Sn— Cu合金等と、 Cu—グラフ アイト等とを含む榭脂組成物が開示されている。
[0003] 特許文献 1 :特開平 8— 283456号
特許文献 2:特開 2001— 106865号
特許文献 3:特開平 6— 196884号
特許文献 4:国際公開 2003— 29352号
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 上記特許文献 3によれば、榭脂と、低融点合金と、フィラーとを含む混合粉を常温 で成形し、次いで、得られる成形体を、低融点合金が完全溶融する温度で加熱し、 フィラー同士を低融点合金で溶着して架橋することにより、成形体の熱伝導率を高め る方法が開示されている。しかし、この形態を榭脂の溶融混練により得ようとすると、 以下のような問題があった。即ち、低融点合金が完全溶融する温度で混練すると、該 温度における低融点合金と榭脂との粘度差が大きぐ低融点合金を榭脂に均一に分 散させるのが困難であった。また、フィラー同士を架橋するため、低融点合金の含有 率を大きくすると、榭脂の含有率が小さくなり、榭脂の持つ柔軟性や成形加工性が低 下するという問題もあった。更に、フィラーに比べ熱伝導率の小さい低融点合金を大 量に含有させる必要があるため、榭脂組成物の熱伝導率を大きく増カロさせるのが困 難であるという問題もあった。これらの問題点は、特許文献 4に開示された技術により 、一部解決されているが、マトリックス榭脂の種類により、十分とはいえない場合があ つた o
本発明の目的は、成形加工性に優れ、熱伝導性及び電磁シールド性に優れた成 形品を与える熱伝導性榭脂組成物及びその製造方法並びにハウジングを提供する ことにある。
[0005] ところで、榭脂組成物の熱伝導性が向上すると、原料組成物の混練時あるいは成 形品の製造時に、榭脂が発熱しやすくなり、混練装置又は成形装置から発煙すると いう問題があった。熱伝導性榭脂組成物の場合には、成形装置から取り出した榭脂 塊力も発煙がしばらく続くことがあり、榭脂成分が酸化し、それにより、成形品の物性 低下等を招くこともある。
本発明の他の目的は、ペレット (組成物)及び成形品の製造時における発煙等が低 減され、成形加工性に優れ、熱伝導性、電磁シールド性等に優れた成形品を与える 熱伝導性榭脂組成物及びその製造方法並びにハウジングを提供することにある。 課題を解決するための手段
[0006] 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の榭脂成分と、融 点の低 ヽ合金及び Z又は金属とを用い、合金等を固相部と液相部が混在した半溶
融状態とすることにより、榭脂成分と合金等との粘度差の影響を受けにくくすることが でき、合金等が榭脂成分を含むマトリックス中に分散し易くなることを見出して、本発 明を完成させたものである。
[0007] また、本発明者らは、上記他の目的を達成すべく鋭意検討した結果、ペレット (組成 物)及び成形品の製造時における発煙が、融点の低い合金等に起因するのではな いかと推測した。そして、該合金等を構成する金属原子及び Z又はそのイオンと錯 体形成可能な成分 (金属不活性剤)を更に含有させた原料組成物を用いることにより 、該原料組成物の混練時等における発熱が抑制され、合金等の、榭脂成分を含む マトリックス中への良好な分散性が維持され、熱伝導性、電磁シールド性等に優れた 榭脂組成物が得られたことを見出して、本発明を完成させたものである。
[0008] 本発明は、以下に示される。
1. 〔A〕ゴム強化スチレン系榭脂(以下、「成分〔A〕」ともいう。) 40〜94体積0 /0と、 [B 〕熱伝導性フイラ一(以下、「成分〔B〕」ともいう。) 5〜55体積%と、〔C〕融点が 500°C 以下の合金及び Z又は金属(以下、「成分 〕」ともいう。) 1〜20体積%とを含有し( 但し、成分〔A〕、成分〔B〕及び成分〔C〕の合計を 100体積%とする。)、上記成分〔B 〕及び上記成分〔C〕の体積比〔B〕 /〔C〕が 1Z2〜35Z1であることを特徴とする熱 伝導性樹脂組成物。
2.上記成分〔A〕が、ゴム質重合体 (a)の存在下に、スチレン系化合物を含むビニル 系単量体 (b)を重合して得られるゴム強化スチレン系榭脂 (A1)、又は、該ゴム強化 スチレン系榭脂 (A1)とピ ル系単量体の (共)重合体 (A2)との混合物を含む上記 1 に記載の熱伝導性榭脂組成物。
3.上記成分〔B〕が、カーボン系物質、セラミックス系物質及び金属系物質から選ば れる少なくとも 1種の成分から構成される上記 1に記載の熱伝導性榭脂組成物。
4.上記成分〔C〕が、 Sn-Cu-Bi, Sn— Cu— Zn、 Sn— Bi、 Sn— Cu、 Sn— Al、 S n— Zn、 Sn— Pt、 Sn— Mn、 Sn— Mg、 Sn— Au、 Bi— Cu、 Al— Li及び Zn— Uか ら選ばれる少なくとも 1種の合金である上記 1に記載の熱伝導性榭脂組成物。
5.更に、〔D〕金属不活性化剤 (以下、「成分〔D〕」ともいう。)を含有し、該成分〔D〕の 含有量が、成分〔A〕、成分〔B〕及び成分〔C〕の合計を 100体積%とした場合に、 0.
1〜 10体積%である上記 1に記載の熱伝導性榭脂組成物。
6.上記成分〔D〕が、芳香族ジァシルヒドラジド化合物及び Z又はァゾールイ匕合物で ある上記 5に記載の熱伝導性榭脂組成物。
7.更に、ポリカーボネート榭脂を含有し、該ポリカーボネート榭脂の含有量力 上記 成分〔A〕 100質量部に対して、 1〜150質量部である上記 1に記載の熱伝導性榭脂 組成物。
8.更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量が、全重合体の合計 100体積%に対 して、 1〜50体積%である上記 1に記載の熱伝導性榭脂組成物。
9.更に、ポリカーボネート榭脂を含有し、該ポリカーボネート榭脂の含有量力 上記 成分〔A〕 100質量部に対して、 1〜150質量部である上記 5に記載の熱伝導性榭脂 組成物。
10.更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量が、全重合体の合計 100体積%に 対して、 1〜50体積%である上記 5に記載の熱伝導性榭脂組成物。
11. 〔A〕ゴム強化スチレン系榭脂と、〔B〕熱伝導性フイラ一と、〔C〕融点が 500°C以 下の合金及び Z又は金属と、を含有する原料組成物を加熱して、少なくとも成分〔C〕 の一部を液相としながら、該原料組成物を混練する工程を備えることを特徴とする熱 伝導性樹脂組成物の製造方法。
12.上記原料組成物が、更に〔D〕金属不活性化剤を含有する上記 11に記載の熱 伝導性樹脂組成物の製造方法。
13.上記原料組成物が、更にポリカーボネート榭脂を含有し、該ポリカーボネート榭 脂の含有量が、上記成分〔A〕 100質量部に対して、 1〜150質量部である上記 11に 記載の熱伝導性榭脂組成物の製造方法。
14.上記原料組成物が、更に難燃剤を含有する上記 11に記載の熱伝導性榭脂組 成物の製造方法。
15.上記原料組成物が、更にポリカーボネート榭脂を含有し、該ポリカーボネート榭 脂の含有量が、上記成分〔A〕 100質量部に対して、 1〜150質量部である上記 12に 記載の熱伝導性榭脂組成物の製造方法。
16.上記原料組成物が、更に難燃剤を含有する上記 12に記載の熱伝導性榭脂組
成物の製造方法。
17. 〔A〕ゴム強化スチレン系榭脂 40〜94体積0 /0と、〔B〕熱伝導性フイラ一 5〜55体 積%と、〔C〕融点が 500°C以下の合金及び Z又は金属 1〜20体積%とを含有し (伹 し、成分〔A〕、成分〔B〕及び成分〔C〕の合計を 100体積%とする。)、上記成分〔B〕 及び上記成分〔C〕の体積比〔B〕 /〔C〕が 1Z2〜35Z1であることを特徴とするハウ ジング。
18.更に、〔D〕金属不活性化剤を含有し、該成分〔D〕の含有量が、成分〔A〕、成分 〔B〕及び成分〔C〕の合計を 100体積%とした場合に、 0. 1〜10体積%である上記 1 7に記載のハウジング。
19.更に、ポリカーボネート榭脂を含有し、該ポリカーボネート榭脂の含有量力 上 記成分〔A〕 100質量部に対して、 1〜150質量部である上記 17に記載のハウジング
20.更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量が、全重合体の合計 100体積%に 対して、 1〜50体積%である上記 17に記載のハウジング。
21.更に、ポリカーボネート榭脂を含有し、該ポリカーボネート榭脂の含有量力 上 記成分〔A〕 100質量部に対して、 1〜150質量部である上記 18に記載のハウジング
22.更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量が、全重合体の合計 100体積%に 対して、 1〜50体積%である上記 18に記載のハウジング。
発明の効果
本発明の熱伝導性榭脂組成物は、〔A〕ゴム強化スチレン系榭脂と、〔B〕熱伝導性 フィラーと、〔C〕融点が 500°C以下の合金及び Z又は金属とを、それぞれ、所定量含 有することにより、成形加工性 (流動性)に優れ、熱伝導性及び電磁シールド性に優 れた成形品を与える。
他の本発明の熱伝導性榭脂組成物は、〔A〕ゴム強化スチレン系榭脂と、〔B〕熱伝 導性フイラ一と、〔C〕融点が 500°C以下の合金及び Z又は金属と、〔D〕金属不活性 ィ匕剤とを、それぞれ、所定量含有することにより、成形品の製造時等における発煙が 低減され、熱伝導性、電磁シールド性等に優れた成形品を効率よく製造することがで
きる。
上記成分〔B〕力 上記成分〔A〕を含むマトリックス中に分散している場合には、特 に熱伝導性及び耐衝撃性に優れる。
上記成分〔C〕が、上記成分〔B〕同士を連結している場合には、特に熱伝導性に優 れる。
上記成分〔D〕力 芳香族ジァシルヒドラジド化合物及び Z又はァゾールイ匕合物で ある場合には、成形品をより効率よく製造することができる。
また、熱伝導性榭脂組成物が難燃剤を含む場合には、 UL94規格における V— 0 を達成でき、難燃性に優れる。
[0010] 本発明の熱伝導性榭脂組成物の製造方法は、成分〔A〕と、成分〔B〕と、成分〔C〕と 、を含有する原料組成物を加熱して、少なくとも成分〔C〕を、液相としながら、原料組 成物を混練する工程を備えることにより、成分〔B〕、〔C〕等を榭脂成分中に均一に分 散した組成物を得ることができる。原料組成物が、更に成分〔D〕を含む、他の本発明 の熱伝導性榭脂組成物の製造方法によれば、ペレット、榭脂塊等とした場合の発煙 時間が低減されて、熱伝導性、電磁シールド性等に優れた成形品を与える熱伝導性 榭脂組成物を効率よく製造することができる。
[0011] 本発明の熱伝導性榭脂組成物を含む成形品は、成分〔A〕を主とするマトリックス中 に、成分〔B〕及び〔C〕が連結して、好ましくは 3次元的に連結して、高い分散性をもつ て含まれているため、構造的に安定であり、熱伝導性、電磁シールド性及び放熱性 に優れる。また、成形品が、電子部品等の発熱性部品からの熱を外部に逃がすため の周辺部材、例えば、ハウジング、基板、パネル、ヒートシンク等である場合には、高 温に起因する発熱性部品の誤動作を防止でき、該部品等を含む装置の信頼性を向 上することができる。
本発明のハウジングは、成分 〕、〔C〕等が、成分〔A〕を主とするマトリックス中に均 一に分散しているため、熱伝導性、電磁シールド性及び耐衝撃性に優れる。更に、 金属等に比べて熱放射率が高いため、放熱性にも優れる。
図面の簡単な説明
[0012] [図 1]実施例で成形された試験片を用いた熱伝導率の測定方法を示す概略説明図
である。
符号の説明
[0013] 1 ;試験片
2 ;銅線
3 ;コンスタンタン線
4 ;熱電対溶接部
発明を実施するための最良の形態
[0014] 以下、本発明を詳しく説明する。
尚、本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)ァ クリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明の熱伝導性榭脂組成物は、〔A〕ゴム強化スチレン系榭脂 40〜94体積0 /0と 、〔B〕熱伝導性フイラ一 5〜55体積%と、〔C〕融点が 500°C以下の合金及び Z又は 金属 1〜20体積%とを含有し (但し、成分〔A〕、 〔B〕及び〔C〕の合計を 100体積%と する。)、上記の成分〔B〕及び〔C〕の体積比〔B〕Z〔C〕が 1Z2〜35Z1であることを 特徴とする。
本発明においては、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕に加え、〔D〕金属不活性化剤 を含む熱伝導性榭脂組成物とすることもできる。
[0015] 上記ゴム強化スチレン系榭脂〔A〕は、好ましくは、ゴム質重合体の存在下に、スチ レン系化合物等を重合して得られた共重合榭脂を含む。この共重合榭脂としては、 ゴム質重合体 (a)の存在下に、スチレン系化合物を含むビニル系単量体 (b)を重合 して得られるゴム強化スチレン系榭脂 (A1)を用いることができる。
従って、上記成分〔A〕としては、このゴム強化スチレン系榭脂 (A1)を単独で用いて よいし、ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)と、他の熱可塑性重合体あるいは榭脂等と、を 組み合わせて用いてもよい。後者の場合の例としては、ゴム強化スチレン系榭脂 (A1 )とビニル系単量体の(共)重合体 (A2)との混合物力 なるもの等が挙げられる。
[0016] 上記ゴム質重合体(a)としては、ポリブタジエン、スチレン ·ブタジエン共重合体、ブ タジェン .アクリロニトリル共重合体、スチレン ·ブタジエン ·スチレンブロック共重合体 、スチレン 'イソプレン'スチレンブロック共重合体等のジェン系(共)重合体並びにそ
れらの水素添加物、エチレン 'プロピレン共重合体、エチレン 'プロピレン '非共役ジ ェン共重合体、エチレン'ブテン— 1共重合体、エチレン'ブテン— 1 ·非共役ジェン 共重合体、イソブチレン'イソプレン共重合体等のエチレン' ーォレフイン系共重合 体、アクリルゴム、シリコーンゴム等の非ジェン系(共)重合体が挙げられる。尚、上記 スチレン 'ブタジエン 'スチレンブロック共重合体の水素添加物には、上記ブロック共 重合体の水素添加物の他に、スチレンブロックとスチレン 'ブタジエンランダム共重合 体の水素添加物等が含まれる。上記ゴム質重合体 (a)は、 1種単独であるいは 2種以 上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、ゴム強化スチレン系榭 脂 (A1)を乳化重合により得る場合には、ラテックスとしたゴム質重合体を用いること が好ましい。
[0017] 上記ラテックスを用いる場合の、ラテックス中のゴム質重合体 (a)の重量平均粒子 径 ίま、好ましく ίま 50〜3, OOOnmであり、更【こ好ましく ίま 100〜2, OOOnm、特【こ好ま しくは 120〜800nmである。重量平均粒子径が 50nm未満では、本発明の熱伝導 性榭脂組成物及びそれを含む成形品の耐衝撃性が劣る傾向にあり、 3, OOOnmを 超えると、成形品の表面外観性が劣る傾向にある。尚、上記重量平均粒子径は、レ 一ザ一回折法、光散乱法等により測定することができる。
[0018] 上記ゴム質重合体 (a)を製造する方法としては、平均粒子径の調整等を考慮し、乳 化重合が好ましい。この場合、平均粒子径は、乳化剤の種類及びその使用量、開始 剤の種類及びその使用量、重合時間、重合温度、攪拌条件等の製造条件を選択す ることにより調整することができる。また、上記平均粒子径 (粒子径分布)の他の調整 方法としては、異なる粒子径を有するゴム質重合体 (a)の 2種類以上をブレンドする 方法でもよい。
[0019] 上記ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)の形成に用いられるビニル系単量体 (b)として は、スチレン系化合物が含まれればよぐそれ以外では、例えば、(メタ)アクリル酸ェ ステル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等を、それぞ れ、 1種単独である 、は 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0020] 上記スチレン系化合物としては、スチレン、 α—メチルスチレン、 o—メチルスチレン 、 ρ—メチルスチレン、 tert—ブチルスチレン、ビニルトルエン、メチルー aーメチルス
チレン、ジビュルベンゼン、臭素化スチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレン、 a—メチルスチレン、 p—メチルスチレンが好ましい。また、これらは、 1種単独である いは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0021] 上記 (メタ)アクリル酸エステルイ匕合物としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ェチ ル、メタクリル酸 n—プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸 n—ブチル、メタ クリル酸イソブチル、メタクリル酸 tert—ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ェチル、 アクリル酸 n—プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸 n—ブチル、アクリル酸ィ ソブチル、アクリル酸 tert ブチル等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸メチル が好ましい。また、これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いること ができる。
[0022] 上記シアンィ匕ビ-ルイ匕合物としては、アクリロニトリル、メタタリ口-トリル等が挙げら れる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは、 1種単独であるいは 2 種以上を組み合わせて用いることができる。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、 N—メチルマレイミド、 N ブチルマレ イミド、 N フエ-ルマレイミド、 N— (2—メチルフエ-ル)マレイミド、 N— (4 ヒドロキ シフエ-ル)マレイミド、 N シクロへキシルマレイミド等が挙げられる。これらのうち、 N フエニルマレイミドが好ましい。また、これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み 合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方 法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
[0023] 上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水ィタコン酸、無水シトラコン酸等が挙 げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる また、上記化合物以外に、必要に応じて、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、ァ ミド基、カルボキシル基、ォキサゾリン基等の官能基を有するビュル系化合物を用い ることができる。例えば、メタクリル酸 2—ヒドロキシェチル、アクリル酸 2—ヒドロキシェ チル、メタクリル酸 N, N ジメチルアミノメチル、アクリル酸お N ジメチルアミノメチ ル、 N, N—ジェチルー p—アミノメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸 グリシジル、メタクリル酸 3, 4—ォキシシクロへキシル、アクリル酸 3, 4—ォキシシクロ
へキシル、ビニルダリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、ァリルグリシジル エーテル、メタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸、ビュルォキサゾリ ン等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いること ができる。
[0024] 上記ビュル系単量体 (b)はスチレン系化合物を含む力 この場合の、スチレン系ィ匕 合物 (bl)と、それ以外のビニル系単量体 (b2)との重合割合 (bl)Z(b2)は、これら の合計を 100質量%とした場合、好ましくは(2〜95)質量%Z(98〜5)質量%、より 好ましくは(10〜90)質量0 /oZ (90〜10)質量0 /0である。スチレン系化合物(bl)の 使用量が少なすぎると、成形加工性が劣る傾向にあり、多すぎると、本発明の熱伝導 性榭脂組成物及びそれを含む成形品の耐薬品性、耐熱性等が十分でな!ヽ場合があ る。
[0025] 尚、前述のように、上記成分〔A〕は、ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)のみであっても よぐゴム強化スチレン系榭脂 (A1)と、ビニル系単量体の重合によって得られた (共) 重合体 (A2)との混合物であってもよい。このビュル系単量体としては、上記ゴム強 ィ匕スチレン系榭脂 (A1)の形成に用いた化合物、即ち、スチレン系化合物、(メタ)ァ クリル酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物及 び官能基を有する化合物力も選ばれる 1種以上を用いることができる。従って、上記( 共)重合体 (A2)は、上記ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)の形成に用いたビュル系単 量体 (b)と全く同じ組成の成分を重合して得られる重合体であってもよ!/、し、異なる組 成で同じ種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよいし、更には、異なる 組成で異なる種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよ!/、。これらの各重 合体が 2種以上含まれるものであってもよ 、。
[0026] 上記(共)重合体 (A2)としては、アクリロニトリル 'スチレン共重合体、アタリ口-トリ ル' OCーメチルスチレン共重合体、アクリロニトリル ·スチレン 'メタクリル酸メチル共重 合体、スチレン 'メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル 'スチレン ·Ν—フエ-ル マレイミド共重合体等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合 わせて用いることができる。
[0027] 次に、ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)及び (共)重合体 (Α2)の製造方法にっ 、て
説明する。
上記ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)は、ゴム質重合体 (a)の存在下に、ビニル系単 量体 (b)を、好ましくは乳化重合、溶液重合、塊状重合することにより、製造すること ができる。
尚、ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)の製造の際には、ゴム質重合体 (a)及びビニル 系単量体 (b)は、反応系において、ゴム質重合体 (a)全量の存在下に、ビニル系単 量体 (b)を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み 合わせた方法でもよい。更に、ゴム質重合体 (a)の全量又は一部を、重合途中で添 加して重合してもよい。
ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)を 100質量部製造する場合、ゴム質重合体 (a)の使 用量は、好ましくは 5〜80質量部、より好ましくは 10〜70質量部、更に好ましくは 15 〜60質量部である。
また、ゴム質重合体 (a)及びビニル系単量体 (b)の各使用量については、ゴム質重 合体 (a) 100質量部に対し、ビュル系単量体 (b)の使用量は、通常、 25〜1900質 量部、より好ましくは 60〜560質量部である。
[0028] 乳化重合によりゴム強化スチレン系榭脂 (A1)を製造する場合には、重合開始剤、 連鎖移動剤 (分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
上記重合開始剤としては、タメンノヽイド口パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンノヽ イド口パーオキサイド、パラメンタンハイド口パーオキサイド等の有機過酸ィ匕物と、含糖 ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始 剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾィルパーオキサイド (BPO)、ラウロイルパー オキサイド、 tert—ブチルパーォキシラウレイト、 tert—ブチルパーォキシモノカーボ ネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み 合わせて用いることができる。更に、上記重合開始剤は、反応系に一括して又は連 続的に添加することができる。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単 量体 (b)全量に対し、通常、 0. 1〜1. 5質量%、好ましくは 0. 2〜0. 7質量%である
[0029] 上記連鎖移動剤としては、ォクチルメルカプタン、 n—ドデシルメルカプタン、 tert—
ドデシルメルカプタン、 n—へキシルメルカプタン、 n—へキサデシルメルカプタン、 n ーテトラデシルメルカプタン、 tert—テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類、タ 一ピノーレン、 a—メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、 1種単独で あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、 上記ビニル系単量体 (b)全量に対して、通常、 0. 05〜2. 0質量%である。
[0030] 乳化重合の場合に使用する乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、ド デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫 酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、リン酸系等のァニ オン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテ ル型等のノ-オン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種 以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単 量体 (b)全量に対して、通常、 0. 3〜5. 0質量%である。
[0031] 乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を 粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤として は、塩ィ匕カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩ィ匕ナトリウム等の無機 塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
溶液重合及び塊状重合による製造方法は、公知の方法を採用することができる。
[0032] 上記ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)のグラフト率は、好ましくは 10〜200質量0 /0、更 に好ましくは 15〜150質量0 /0、特に好ましくは 20〜: L00質量0 /0である。上記ゴム強 ィ匕スチレン系榭脂 (A1)のグラフト率が 10質量%未満では、本発明の熱伝導性榭脂 組成物及びそれを含む成形品の表面外観性及び耐衝撃性が低下することがある。 また、 200%を超えると、成形カ卩ェ性が劣る。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化スチレン系榭脂 (Al) 1グラム中のゴム成分を Xグラム、上記ゴム強化スチレン系榭脂 (Al) 1グラムをアセトン (但し、ゴム質重合体( a)がアクリルゴムである場合には、ァセトニトリルを使用。)に溶解させた際の不溶分 を yグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率 (質量%) = { (y x) Zx} X 100
[0033] また、上記ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)のアセトン (但し、ゴム質重合体 (a)がァク
リルゴムである場合には、ァセトニトリルを使用。)による可溶成分の極限粘度 [ 7? ] (メ チルェチルケトン中、 30°Cで測定)は、好ましくは 0. 1〜1. Odl/g,更に好ましくは 0. 2〜0. 9dlZg、特に好ましくは 0. 3〜0. 7dlZgである。この範囲とすることにより 、成形加工性に優れ、本発明の熱伝導性榭脂組成物及びそれを含む成形品の耐衝 撃性も優れる。
尚、上記グラフト率及び極限粘度 [ r? ]は、上記ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)を製 造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合 時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
[0034] 上記 (共)重合体 (A2)は、バルタ重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等により製 造することができる。
上記 (共)重合体 (A2)の極限粘度 [ 7? ] (メチルェチルケトン中、 30°Cで測定)は、 好ましくは 0. 1〜1. OdlZg、より好ましくは 0. 15〜0. 7dlZgである。極限粘度 [ 7? ] が上記範囲内であると、成形カ卩ェ性と耐衝撃性との物性バランスに優れる。尚、この (共)重合体 (A2)の極限粘度 [ 7? ]は、上記ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)の場合と 同様、製造条件を調整することにより制御することができる。
[0035] 上記成分〔A〕のアセトン (但し、ゴム質重合体 (a)がアクリルゴムである場合には、ァ セトニトリルを使用。)による可溶成分の極限粘度 [ r? ] (メチルェチルケトン中、 30°C で測定)は、好ましくは 0. 1〜0. 8dlZg、より好ましくは 0. 15-0. 7dl/gである。極 限粘度 [ r? ]が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性との物性バランスに優れ る。
[0036] ここで、上記成分〔A〕が、ゴム強化スチレン系榭脂 (A1)である場合、及び、ゴム強 ィ匕スチレン系榭脂 (A1)と、ビニル系単量体の重合によって得られた (共)重合体 (A 2)との混合物カゝらなる場合のいずれにおいても、本発明の熱伝導性榭脂組成物中 のゴム質重合体 (a)の含有量は、好ましくは 1〜50質量0 /0、より好ましくは 3〜40質 量0 /0、更に好ましくは 3〜35質量0 /0、特に好ましくは 5〜35質量0 /0である。ゴム質重 合体 (a)の含有量が少なすぎると、本発明の熱伝導性榭脂組成物及びそれを含む 成形品の耐衝撃性が劣る傾向にあり、多すぎると、成形加工性、成形品の表面外観 性、剛性、耐熱性等が劣る傾向にある。
[0037] 本発明の熱伝導性榭脂組成物中の成分〔A〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕 の合計を 100体積0 /0とした場合、 40〜94体積0 /0であり、好ましくは 50〜94体積0 /0、 より好ましくは 60〜94体積%である。上記成分〔A〕の含有量が多すぎると、本発明 の熱伝導性榭脂組成物及びそれを含む成形品の熱伝導性が劣る傾向にあり、一方 、少なすぎると、溶融混練性、成形加工性及び成形品の耐衝撃性が劣る傾向にある
[0038] 上記熱伝導性フイラ一〔B〕は、好ましくは、 25°Cにおける熱伝導率が 20WZm'K 以上である物質力もなるものである。この成分〔B〕としては、カーボン系フイラ一、セラ ミックス系フイラ一、金属系フイラ一、合金フイラ一等が挙げられる(但し、成分〔C〕を 除く。 ) oこれらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。 これらのうち、カーボン系フイラ一、セラミックス系フィラー及び金属系フイラ一が好まし い。尚、この成分〔B〕の融点、分解点等は特に限定されないが、融点及び分解点は 、いずれも 500°Cを超えることが好ましぐより好ましくは 600°C以上である。
[0039] また、上記成分〔B〕の形状は、特に限定されず、粉状 (球状、板状、不定形状等) 及び繊維状 (線状)の 、ずれをも用いることができ、組み合わせて用いることもできる 粉状フィラーとしては、グラフアイト粉末;鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシゥ ム、チタン、クロム、金、銀等の金属粉末;酸ィ匕アルミニウム、酸化マグネシウム、酸ィ匕 亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケィ素等のセラミックス粉末等が挙げられ る。また、銅—グラフアイト等の、金属及びグラフアイトからなる複合化物粉末等を用い ることもできる。更に、上記以外の物質力 なる無機系粒子又は有機系粒子をコアと して、上記金属等を被覆させてシェルを形成してなる複合粒子を用いることもできる。 上記粉状フィラーの平均粒径は、好ましくは 1〜150 m、より好ましくは 20〜90 mである。平均粒径をこの範囲とすることにより、分散性の高い榭脂組成物を得ること ができる。
[0040] また、繊維状フイラ一としては、炭素繊維、カーボンナノチューブ、上記の金属から なる金属繊維、アルミナ繊維、チタン酸カルシウム繊維、窒化ケィ素繊維等のセラミツ タス繊維、ガラス繊維等が挙げられる。また、上記以外の物質力もなる無機系繊維を
、上記金属等により被覆させてなる複合繊維を用いることもできる。
上記炭素繊維は、セルロース系繊維、 PAN系繊維、ピッチ系繊維等を主原料とす るもの、あるいは気相成長法によるものを用いることができる。尚、上記炭素繊維の中 には、金属粉末、セラミックス粉末等の無機系フイラ一に比べ、高い熱伝導率を有す るものがある。しかし、長さ方向に対して良好な熱伝導性を示す一方、本発明の熱伝 導性榭脂組成物及びそれを含む成形品の熱拡散性及び放熱性が十分でない場合 がある。そこで、この炭素繊維と無機系フイラ一とを併用することにより、無機系フイラ 一同士が炭素繊維を介して接続されて 3次元的な熱伝導経路が形成される結果、成 形品の熱拡散性及び放熱性を向上させることができる。もちろん、炭素繊維同士が、 後述する成分〔C〕を介して連結され、 3次元的な熱伝導経路が形成され、本発明の 熱伝導性榭脂組成物及びそれを含む成形品の熱拡散性及び放熱性が向上する効 果も得られる。
上記繊維状フイラ一の平均直径は、好ましくは 1〜35 m、より好ましくは 5〜20 mである。平均直径が大きすぎると、混練時に砕けることがある。また、長さは、好まし くは 5〜: LOO μ m、より好ましくは 20〜80 μ mである。
上記粉状フィラー及び繊維状フイラ一は、それぞれ、 1種単独であるいは 2種以上 を組み合わせて用いることができる。
尚、上記成分〔B〕としては、その表面がカップリング剤、サイジング剤等で改質され たものを用いることもできる。改質されたフィラーを用いると、マトリックスを形成する榭 脂成分等との親和性が向上し、この熱伝導性フイラ一〔B〕の分散性、更には、本発明 の熱伝導性榭脂組成物及びそれを含む成形品の熱伝導性をより向上させることがで きる。
上記カップリング剤としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系等の公知のカップ リング剤を用いることができる。例えば、金属系フイラ一に対しては、イソプロピルトリイ ソステアロイルチタネート、ァセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等を用いる ことができる。
また、上記サイジング剤としては、エポキシ榭脂、ウレタン変性エポキシ榭脂、ポリウ レタン樹脂、ポリアミド榭脂等が挙げられる。これらのサイジング剤は、炭素繊維に対
して好適である。
上記改質は、カップリング剤等を水又は有機溶剤に溶解した溶液に、成分〔B〕を投 入し、所定時間浸漬する、あるいは、カップリング剤等を溶解した溶液を成分〔B〕に 噴霧する等の方法によることができる。
[0042] 本発明の熱伝導性榭脂組成物中の成分〔B〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕 の合計を 100体積0 /0とした場合、 5〜55体積0 /0であり、好ましくは 5〜45体積0 /0、より 好ましくは 5〜35体積%である。上記成分〔B〕の含有量が多すぎると、成形加工性、 得られる成形品の耐衝撃性及び表面外観性が低下する傾向にあり、一方、少なすぎ ると、成形品の熱伝導性が低下する傾向にある。
[0043] 上記成分〔C〕は、状態図により導かれる融点 (液相線温度)が 500°C以下の合金及 び Z又は金属である。
上記成分〔C〕としては、 Sn系合金、 Li系合金、 Bi系合金等が挙げられる。 Sn系合 金としては、 Sn-Cu-Bi, Sn-Cu-Zn, Sn— Al、 Sn— Zn、 Sn— Te、 Sn— Pt、 Sn— P、 Sn-Mn, Sn— Ca、 Sn— Mg、 Sn— Cu、 Sn— Ag、 Sn— Au、 Sn— Ba、 S n— Ge、 Sn—Bi等が挙げられる。 Li系合金としては、 Al— Li、 Cu— Li、 Zn— Li等が 挙げられる。また、 Bi系合金としては、 Bi—Cu等が挙げられる。これらは、 1種単独で あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0044] 上記成分〔C〕としては、上記成分〔A〕の溶融温度 (例えば、 200〜300°Cの温度) において、半溶融状態となるものが好ましぐ即ち、融点のより低い温度、例えば、 40 0°C以下の合金等がより好ましい。
融点力 00°C以下の合金としては、 Sn— Cu— Bi、 Sn— Cu— Zn、 Sn— Al、 Sn— Znゝ Sn— Mg、 Sn— Cu、 Sn— Ag、 Sn— Au、 Sn— Ba、 Sn— Ge、 Sn—Biゝ Al— L i、 Zn— Li及び Bi—Cuが挙げられる。これらのうち、 Sn— Cu、 Sn—Bi及び Sn—Cu Biが特に好ましい。
[0045] 本発明の熱伝導性榭脂組成物中の成分〔C〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕 の合計を 100体積%とした場合、 1〜20体積%であり、好ましくは 1〜15体積0 /0、より 好ましくは 1〜12体積%である。上記成分〔C〕の含有量が多すぎると、成形加工性、 得られる成形品の表面外観性及び耐衝撃性が低下する傾向にあり、一方、少なすぎ
ると、熱伝導性が低下する傾向にある。
また、本発明の熱伝導性榭脂組成物中の上記の成分〔B〕及び〔C〕の体積比〔B〕 Z〔C〕は、 1Z2〜35Z1であり、好ましくは 1Z2〜30Z1、より好ましくは lZ2〜25 Zlである。上記成分〔B〕の含有量が少なすぎると、熱伝導率の小さな成分〔C〕が多 くなるため、本発明の熱伝導性榭脂組成物及びそれを含む成形品の熱伝導性が低 下する傾向にある。一方、上記成分〔B〕が多すぎると、成分〔B〕同士を連結する成分 〔C〕が少なくなるため、熱伝導性が低下する傾向にある。
[0046] 上記金属不活性化剤〔D〕は、上記成分〔B〕及び Z又は上記成分〔C〕を構成する 金属原子の少なくとも 1つの原子を含む錯体、好ましくは、本発明の熱伝導性榭脂組 成物中において不活性な錯体、を形成可能な物質を含むものである。この成分〔D〕 が含有されることで、上記成分〔B〕及び Z又は上記成分〔C〕を構成する金属原子及 び Z又はそのイオンによる、榭脂成分の変質 (酸ィ匕等)を抑制することができる。即ち 、本発明の熱伝導性榭脂組成物中に、上記の成分〔B〕又は〔C〕に由来する、例えば 、銅イオン等の重金属イオン等が極微量に含まれていても、この金属不活性化剤〔D 〕がこのイオン等と反応して、錯体を形成し、榭脂成分の酸ィ匕等を抑制することができ る。
[0047] 上記成分〔D〕としては、芳香族ジァシルヒドラジド化合物、ァゾール化合物、ァジン 化合物等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用い ることがでさる。
[0048] 上記芳香族ジァシルヒドラジドィ匕合物としては、下記一般式(1)で表される化合物 等が挙げられる。
(式中、 R1及び R2は、同一であるか又は異なって、炭素数 1〜4のアルキル基であり、 s及び Vは、それぞれ、 1〜3の整数であり、 t及び uは、それぞれ、 2〜5の整数である 。尚、 s及び Vが 2又は 3のとき、各 R1及び各 R2は、それぞれ、同一であっても、異なつ
てちよい。 )
[0049] 上記一般式(1)で表される化合物としては、 2' , 3 ビス [3—(3, 5 ジー tert— ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ル]プロピオノヒドラジド(下記式(2)参照) 等が挙げられる。
[化 2]
[0050] 上記ァゾール化合物としては、イミダゾール、ピラゾール、トリァゾール、テトラゾー ル、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール等の化合物が挙げられる。これらは、 1種 単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、これらの化合物は、置換基を有してもよい。置換基としては、炭素数 1〜12のァ ルキル基、ビニル基、フエ-ル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、ナフチル基、炭 素数 1〜4のアルコキシル基、アミノ基、フエ-ルァミノ基、メルカプト基、メルカプトメ チル基、メルカプトェチル基、 CH— N (R3) (但し、 R3は、炭素数 1〜8のアルキ
2 2
ル基である。)等が挙げられる。
[0051] イミダゾール化合物としては、イミダゾール、 2—メチルイミダゾール、 2 ェチルイミ ダゾール、 2—プロピルイミダゾール、 2—ブチルイミダゾール、 2—ペンチルイミダゾ ール、 2—へキシルイミダゾール、 2—シクロへキシルイミダゾール、 2—フエ-ルイミダ ゾール、 2—ノ-ルイミダゾール、 2—ゥンデシルイミダゾール、 2—へプタデシルイミ ダゾール、 2 フエ-ルー 4ーメチルイミダゾール、 1一べンジルイミダゾール、 1ーェ チルー 2 メチルベンゾイミダゾール、 2—メチルー 5, 6 べンズイミダゾール、 1ービ 二ルイミダゾール、 1—ァリル— 2—メチルイミダゾール、 2—シァノイミダゾール、 2— クロロイミダゾール、 2—ブロモイミダゾール、 1— (2—ヒドロキシプロピル)一 2—メチ ルイミダゾール、 2 フエ-ル— 4, 5 ジメチロールイミダゾール、 2 フエ-ル— 4— メチル 5 ヒドロキシメチルイミダゾール、 2 クロロメチルベンズイミダゾール、 2— ヒドロキシベンズイミダゾール、 2 ェチルー 4ーメチルイミダゾール、 2 シクロへキシ ルー 4ーメチルイミダゾール、 4ーブチルー 5 ェチルイミダゾール、 2 ブトキシー4
ーァリルイミダゾール、 2—ォクチルー 4一へキシルイミダゾール、 2—メチルー 5 ェ チルイミダゾール、 2 ェチルー 4 (2 ェチルァミノ)イミダゾール、 2—メチルー 4 メルカプトェチルイミダゾール、 2, 5 クロロー 4ーェチルイミダゾール、 1一べンジ ルー 2—メチルイミダゾール、ゥンデシルイミダゾール等が挙げられる。これらは、 1種 単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0052] ピラゾール化合物としては、ピラゾール、 1ーメチルビラゾール、 3—メチルビラゾー ル、 4ーブチルピラゾール、 1ーメチルー 3 プロピルピラゾール、 3 ェチノレー 5—メ チルピラゾール、 1一(3 ヒドロキシプロピル)ピラゾール、 5 フエ-ルビラゾール、 5 ベンジルピラゾール、 1 フエ二ルー 3—メチルピラゾール、 1ーシァノピラゾール、 3 クロロピラゾール、 4ーブロモー 1ーメチルピラゾール、 1 フエ二ルー 4, 5, 6, 7 —テトラヒドロ一 1H—インダゾール一 3—カルボン酸、 1— (2—クロ口フエ-ル) 4, 5, 6, 7—テトラヒドロ一 1H—インダゾール一 3—カルボン酸、 1— (2, 4 ジクロロフ ェ -ル) 4, 5, 6, 7—テトラヒドロー 1H—インダゾールー 3—カルボン酸ェチル、 2 —フエ-ル一 4, 5, 6, 7—テトラヒドロ一 2H—インダゾール一 3—カルボン酸、 7—メ チル一 2 フエ-ル一 4, 5, 6, 7—テトラヒドロ一 2H—インダゾール一 3—カルボン 酸、 1— (2—クロ口フエ-ル)一シクロペンター 1H ピラゾールー 3—カルボン酸、 1 フエ-ルシクロヘプター 1H ピラゾールー 3—力ルボン酸等が挙げられる。これら は、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0053] トリァゾーノレィ匕合物としては、 1, 2, 3 トリァゾーノレ、 1, 2, 4 トリァゾーノレ、 1—フ ェニル 1, 2, 3 トリァゾール、 2 フエ-ルー 1, 2, 3 トリァゾール、 1—フエ-ル —1, 2, 4 トリァゾール、 3— (N—サリチロイル)ァミノ— 1, 2, 4 トリァゾール等カ S 挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができ る。
テトラゾール化合物としては、テトラゾール、フエ-ルテトラゾール、メルカプトテトラ ゾール、 [ビス(2—ェチルへキシル)アミノメチレン]テトラゾール、 [ビス(n—ブチル) アミノメチレン]テトラゾール、 [ビス(n—へキシル)アミノメチレン]テトラゾール、 [ビス( n—ォクチル)アミノメチレン]テトラゾール等が挙げられる。これらは、 1種単独である いは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0054] ベンズイミダゾール化合物としては、 2 メルカプトべンズイミダゾール、 2 メルカプ トメチルベンズイミダゾール等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上 を組み合わせて用いることができる。
ベンゾトリアゾール化合物としては、ベンゾトリァゾール、トリルトリァゾール、 2— (2, —ヒドロキシ一 5,一メチルフエ-ル)ベンゾトリァゾール、 2— (2,一ヒドロキシ一 3,, 5 ,一ビス( α , a '—ジメチルベンジル)フエ-ル)一ベンゾトリァゾール、 2— (2, 一ヒド ロキシー3 ' , 5 '—ジ—tert ブチルフエニル)一べンゾトリァゾール、トリルトリァゾー ルカリウム塩、ベンゾトリアゾール · 2—メチルイミダゾールァダクト等が挙げられる。こ れらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0055] 上記アジンィ匕合物としては、トリアジンィ匕合物が好ましぐ例えば、 1, 2, 3 トリアジ ン、 1, 2, 4 トリアジン、 1, 3, 5 トリアジン、 2, 4, 6 トリアミノトリアジン、 1, 3, 5 —トリァジン— 2, 4 ジチオール'モノナトリウム、 6 ジブチルァミノ— 1, 3, 5 トリ ァジン一 2, 4 ジチオール.モノナトリウム、 6 ジェチルァミノ一 1, 3, 5 トリァジン 2, 4 ジチォ一ノレ、 6 ジメチノレアミノー 1, 3, 5 トリアジンー 2, 4 ジチオール 、 6—メトキシ 1, 3, 5 トリアジンー 2, 4 ジチォ一ノレ、 6 フエニノレアミノー 1, 3, 5 トリアジン 2, 4 ジチオール、 2—ビュル 4, 6 ジアミノー 1, 3, 5 トリアジ ン等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いること ができる。
[0056] 他の金属不活性化剤としては、エチレンジァミン四酢酸及びその金属塩、デカンジ カルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、 N, N, 一ビス(2—(3— (3, 5 ジ—tert—ブチ ル— 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ルォキシ)ェチル)ォキサミド、トリス(2— tert ーブチルー 4一 (3— tert—ブチルー 4ーヒドロキシ一 6—メチルフエ-ルチオ)一 5— メチルフエ-ル)ホスフィット、シユウ酸ビスべンジリデンヒドラジド、イソフタル酸ビス(2 —フエノキシプロピオ-ルヒドラジド)、 3, 9 ビス(2— (3, 5 ジァミノ一 2, 4, 6 ト リアザフエ-ル)ェチル) 2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ [5. 5]ゥンデカン等が挙 げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる
[0057] 本発明の熱伝導性榭脂組成物は、後記のように、通常、 200〜300°Cの温度で、
原料組成物を混練する等により得られるため、成分〔D〕の融点が低すぎると、混練中 に分解、気化等が発生し、所定の組成を有する組成物が得られない。従って、上記 成分〔D〕の融点は、好ましくは 200°C以上、より好ましくは 210°C以上、更に好ましく は 220°C以上、特に好ましくは 250°C以上である。
上記成分〔D〕としては、芳香族ジァシルヒドラジド化合物及びァゾールイ匕合物が好 ましい。特に好ましい化合物は、融点の高い化合物である、 2' , 3 ビス [3— (3, 5 ージー tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ル]プロピオノヒドラジド(融 点226〜228。 、3— —サリチロィル)ァミノ—1, 2, 4 トリアゾール(融点 317 °C)等である。
[0058] 本発明の熱伝導性榭脂組成物中の成分〔D〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕 の合計を 100体積0 /0とした場合、 0. 1〜10体積0 /0であり、好ましくは 0. 2〜5体積0 /0 、より好ましくは 0. 2〜3体積%である。上記成分〔D〕の含有量が多すぎると、本発明 の熱伝導性榭脂組成物及びそれを含む成形品の熱伝導率が低下する場合がある。 一方、その含有量が少なすぎると、ペレット (組成物)及び成形品の製造時等におけ る発煙時間が長くなり、榭脂成分の変質 (酸化等)が進行する場合がある。
[0059] 本発明の熱伝導性榭脂組成物中の上記の成分〔A〕、〔B〕、〔C〕、〔D〕及び添加剤 の各含有量 (体積割合)は、各成分の質量及び比重力も算出することができる。尚、 上記の成分〔A〕、〔B〕、〔C〕及び〔D〕の比重(20°C)は、それぞれ、通常、 0. 99〜1 . 09g/ cm、 1. 9〜20g, cm、 0. 5〜9. 5g/ cm、及び、 1 . 0〜1. 5g/ cmで ある。
[0060] 本発明の熱伝導性榭脂組成物は、更に、他の重合体;充填剤、熱安定剤、酸ィ匕防 止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、老化防止剤、可塑剤、抗菌剤、着色剤等の添加剤を 含有したちのとすることちでさる。
[0061] 本発明にお 、ては、他の重合体として、ポリカーボネート榭脂を含有する熱伝導性 榭脂組成物とすることができる。このポリカーボネート榭脂は、上記成分〔A〕とともに マトリックスを形成することができる。上記成分〔A〕と、ポリカーボネート榭脂とを組み 合わせることにより、耐熱性、剛性、難燃性等を向上させることができる。
[0062] 上記ポリカーボネート榭脂としては、特に限定されず、芳香族ポリカーボネートであ
つても、脂肪族ポリカーボネートであってもよい。また、芳香族ポリカーボネート及び 脂肪族ポリカーボネートを組み合わせて用いてもよい。尚、このポリカーボネート榭脂 は、末端が、 R— CO 基、 R,— O— CO 基 (R及び R,は、いずれも有機基を示す 。)に変性されたものであってもよい。
本発明にお 、ては、芳香族ポリカーボネートが好ましぐジヒドロキシァリールイ匕合 物とホスゲンとの反応によって得られるもの(ホスゲン法)、ジヒドロキシァリールイ匕合 物とジフエ-ルカーボネートとのエステル交換反応によって得られるもの(エステル交 換法)等が挙げられる。
ここで、芳香族ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシァリールイ匕合物としては、 ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)メタン、 1, 1,一ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)ェタン、 2, 2,一ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)プロパン(以下、 「ビスフエノール A」ともいう。)、 2, 2,一ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)ブタン、 2, 2,一ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)ォクタ ン、 2, 2,一ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)フエ-ルメタン、 2, 2,一ビス(4 ヒドロキシ —3—メチルフエ-ル)プロパン、 2, 2,一ビス(4 ヒドロキシ一 3— t—ブチルフエ- ル)プロパン、 2, 2,一ビス(4 ヒドロキシ一 3 ブロモフエ-ル)プロパン、 2, 2,一ビ ス(4 ヒドロキシ一 3, 5 ジクロロフエ-ル)プロパン、 1, 1,一ビス(4 ヒドロキシフ ェ -ル)シクロペンタン、 1, 1,一ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)シクロへキサン、 4, 4, ージヒドロキシジフエニルエーテル、 4, 4'ージヒドロキシー 3, 3,ージメチルジフエ二 ルエーテル、 4, 4'ージヒドロキシフエ-ルスルフイド、 4, 4'ージヒドロキシフエ-ルス ルフイド、 4, 4,ージヒドロキシ—3, 3,ージメチルフエ-ルスルフイド、 4, 4,ージヒドロ キシジフエ-ルスルホキシド、 4, 4,ージヒドロキシフエ-ルスルホキシド、 4, 4,ージヒ ドロキシ 3, 3,ージメチルジフエ-ルスルホキシド、 4, 4'ージヒドロキシジフエ-ル スルホン、 4, 4'ージヒドロキシ 3, 3,ージメチルジフエニルスルホン、ヒドロキノン、 レゾルシン等が挙げられる。これらのうち、ビスフエノール Aが好ましい。また、これら は、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
代表的な芳香族ポリカーボネートは、ビスフエノール Aとホスゲンとの反応によって 得られるちのである。
芳香族ポリカーボネート及び脂肪族ポリカーボネートは、それぞれ、 1種単独である
いは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0064] 上記ポリカーボネート榭脂の粘度平均分子量は、好ましくは 8, 000-50, 000、よ り好まし <は 12, 000〜30, 000、更に好まし <は 15, 000〜26, 000である。この粘 度平均分子量は、公知の方法により測定することができる。上記粘度平均分子量が 小さすぎると、成形品の耐衝撃性が劣る傾向にあり、一方、粘度平均分子量が大き すぎると、組成物の成形加工性が劣る傾向にある。尚、上記範囲の間で粘度平均分 子量の異なるポリカーボネート榭脂の 2種以上を用いることもできる。
また、上記ポリカーボネート榭脂の 20°Cにおける比重は、通常、 1. 18〜: L 22g/ cm C、める。
[0065] 上記ポリカーボネート榭脂の含有量は、上記成分〔A〕 100質量部に対して、好まし くは 1〜150質量部、より好ましくは 10〜150質量部、更に好ましくは 20〜150質量 部である。
[0066] 上記充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化 炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼 成クレー、ノイロフィライトクレー、シラン処理クレー、合成ケィ酸カルシウム、合成ケィ 酸マグネシウム、合成ケィ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸ィ匕マグネシウム、 カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼォライト、ゾノトライト、ァス ベスト、 PMF (Processed Mineral Fiber)、胡粉、セピオライト、チタン酸カリウム 、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイド口タルサイト、フライア シュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸 カルシウム、二硫ィ匕モリブデン等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以 上を組み合わせて用いることができる。
上記充填剤を用いる場合のその含有量は、組成物中の全重合体の合計 100体積 %に対して、好ましくは 1〜30体積%、より好ましくは 2〜25体積%、更に好ましくは 2〜20体積0 /0である。
[0067] 上記熱安定剤としては、ホスファイト類、ヒンダードフエノール類、チォエーテル類等 が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることがで きる。
上記熱安定剤を用いる場合のその含有量は、組成物中の全重合体の合計 100体 積0 /0に対して、好ましくは 0. 01〜5体積0 /0である。
[0068] 上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフエノー ル類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組 み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤を用いる場合の含有量は、組成物中の全重合体の合計 100体積 %に対して、好ましくは 0. 01〜5体積0 /0である。
[0069] 上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフエノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸 エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を 組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤を用いる場合のその含有量は、組成物中の全重合体の合計 10 0体積0 /0に対して、好ましくは 0. 01〜10体積0 /0、より好ましくは 0. 05〜5体積0 /0、 更に好ましくは 0. 1〜5体積%である。
[0070] 上記難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられ る。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジンィ匕合 物、臭素化ビスフエノール系エポキシ榭脂、臭素化ビスフエノール系フエノキシ榭脂、 臭素化ビスフ ノール系ポリカーボネート榭脂、臭素化ポリスチレン榭脂、臭素化架 橋ポリスチレン榭脂、臭素化ビスフエノールシアヌレート榭脂、臭素化ポリフエ-レン エーテル、デカブロモジフエ-ルオキサイド、テトラブロモビスフェノール A及びそのォ リゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリェチルホスフェート、トリプ 口ピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキへキシノレホ スフエート、トリシクロへキシノレホスフェート、トリフエ-ノレホスフェート、トリクレジノレホス フェート、トリキシレ-ルホスフェート、クレジルジフエ-ルホスフェート、ジクレジノレフエ ニルホスフェート、ジメチルェチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、ェチル ジプロピルホスフェート、ヒドロキシフエ-ルジフエ-ルホスフェート等のリン酸エステ ルゃこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステルイ匕合物 、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤等が挙げられ
る。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0071] 無機系難燃剤としては、水酸ィ匕アルミニウム、酸ィ匕アンチモン、水酸化マグネシウム 、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グァ-ジン塩、シリコーン 系、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を 組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフエノール A、ジブロモフエノールグリシジ ルエーテル、臭素化芳香族トリァジン、トリブロモフエノール、テトラブロモフタレート、 テトラクロ口無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベン ジルポリアタリレート)、クロレンド酸(へット酸)、無水クロレンド酸(無水へット酸)、臭 素化フエノールグリシジルエーテル、ジブ口モクレジルグリシジルエーテル等が挙げら れる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0072] 上記難燃剤を用いる場合のその含有量は、組成物中の全重合体の合計 100体積 %に対して、好ましくは 1〜50体積0 /0、より好ましくは 2〜40体積0 /0、更に好ましくは 5〜40体積0 /0である。
尚、本発明の熱伝導性榭脂組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を 併用することが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化ニァ ンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアン チモンィ匕合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸ィ匕ジルコニウム、 ポリリン酸アンモ-ゥム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、 1種単独である いは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0073] 上記老化防止剤としては、例えば、ナフチルァミン系化合物、ジフエニルァミン系化 合物、 p—フ 二レンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合 物、モノフエノール系化合物、ビスフエノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポ リフエノール系化合物、チオビスフヱノール系化合物、ヒンダードフエノール系化合物 、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチォカルノ ミン酸ニッケル塩 系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上 を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤を用いる場合のその含有量は、組成物中の全重合体の合計 100
体積%に対して、好ましくは 0. 01〜: LO体積0 /0、より好ましくは 0. 05〜5体積0 /0、更 に好ましくは 0. 1〜5体積%である。
[0074] 上記可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジェチルフタレート、ジブチルフタレート、 ジイソブチルフタレート、ジォクチルフタレート、ブチルォクチルフタレート、ジー(2— ェチルへキシル)フタレート、ジイソオタチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフ タル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジー(2—ェチルへ キシル)アジペート、ジイソオタチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ォクチルデ シルアジペート、ジー(2—ェチルへキシル)ァゼレート、ジイソォクチルァゼレート、ジ イソブチルァゼレート、ジブチルセバケート、ジー(2—ェチルへキシル)セバケート、 ジイソォクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、ト リメリット酸ォクチルエステル、トリメリット酸 n—ォクチルエステル、トリメリット酸系イソノ -ルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ—(2—ェチルへキシル)フマレート、ジ エチレングリコーノレモノォレート、グリセリノレモノリシノレート、トリラウリノレホスフェート、 トリステアリルホスフェート、トリー(2—ェチルへキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆 油、ポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは、 1種単独であるいは 2種以上を 組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤を用いる場合のその含有量は、組成物中の全重合体の合計 100体積 %に対して、好ましくは 0. 5〜20体積0 /0、より好ましくは 1〜15体積0 /0、更に好ましく は 1〜10体積%である。
[0075] 上記抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀 亜鉛系ゼオライト等のゼォライト系抗菌 剤、錯体ィ匕銀 シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシ ゥム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀 ケィ酸アルミン酸マグネシウム等の ケィ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウイスカ一系抗菌剤 等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロ パルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリノ、ロメチルチオ 化合物、第四アンモ-ゥム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フエノール類、ピリジ ンォキシド、力ルバ-リド、ジフエ-ルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有 機系抗菌剤;無機 ·有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、
1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤を用いる場合のその含有量は、組成物中の全重合体の合計 100体積
%に対して、好ましくは 0. 01〜: L0体積%、より好ましくは 0. 05〜5体積。 /0、更に好 ましくは 0. 1〜5体積%である。
[0076] 上記着色剤としては、有機染料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。これらは、 1 種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0077] 本発明の熱伝導性榭脂組成物は、上記の成分〔A〕、〔B〕、〔C〕等を含む原料組成 物を混練することにより、好ましくは、成分〔A〕を溶融状態とし、成分〔C〕を固相部及 び液相部が混在した半溶融状態としながら、混練することにより製造することができる 本発明の熱伝導性榭脂組成物の製造方法は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕を含 む原料組成物を加熱して、少なくとも成分〔C〕の一部を液相としながら、該原料組成 物を混練する工程を備える。尚、上記原料組成物は、更に、上記の成分〔D〕;ポリカ ーボネート榭脂等の他の重合体;難燃剤等の添加剤を含有してもよい。
[0078] 上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の使用量は、これらの合計を 100体積%とした場合 に、それぞれ、 40〜94体積0 /0、 5〜55体積%及び 1〜20体積%であり、好ましくは 、 50〜94体積0 /0、 5〜45体積0 /0及び 1〜15体積0 /0であり、更に好ましくは、 60〜9 4体積%、 5〜35体積%及び 1〜12体積%である。尚、上記の成分〔B〕及び〔C〕の 体積比〔B〕Z〔C〕は、 1Z2〜35Z1であり、好ましくは 1Z2〜30Z1、より好ましくは lZ2〜25Zlである。
また、上記成分〔D〕を用いる場合の使用量は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合 計を 100体積0 /0とした場合に、 0. 1〜: L0体積0 /0であり、好ましくは 0. 2〜5体積0 /0、 より好ましくは 0. 2〜3体積0 /0である。
[0079] 上記原料組成物は、原料成分の集合体であり、混練の際には、各成分は、それぞ れ、単独で用いてよいし、予め、任意に組み合わせて調製された混合物として用いて もよい。後者の例としては、成分〔A〕及び〔B〕からなるペレットを原料成分の 1つとし て用いることができる。
また、上記成分〔C〕としては、平均粒径が 5mm以下の塊状物を用いることが好まし
い。この平均粒径が大きすぎると、混練に時間を要し、更に、得られる組成物中に均 一に分散しにくくなることがある。
[0080] 原料組成物の混練は、バンバリ一ミキサー、ロールミキサー、ニーダー、押出機等 の混練装置等により、通常、温度 200〜300°C、好ましくは 200〜250°Cに加熱しな 力 行われる。このとき、上記成分〔C〕を、固相部及び液相部が混在した半溶融状態 とするためには、その融点を考慮し、混練条件等を調節しながら加熱することが好ま しい。原料組成物の混練条件の具体例としては、シリンダー温度を 240°Cに設定した 押出機で混練する方法;バンバリ一ミキサーを用い、内温が 220°Cとなるまで混練し 、更に、約 2分間混練する方法等が挙げられる。
[0081] 尚、上記混練工程の後、ペレット等所定形状とする成形工程を備えることもできる。
この成形工程では、公知の各種成形機等を用いることができる。成分〔D〕を含有しな い糸且成物を用い、この成形工程によりペレット、榭脂塊等とした際には、その表面から 発煙する場合がある。しかし、成分〔D〕を含有する組成物を用いることにより、通常、 10分以内に消煙する。従って、本発明の製造方法により、成分〔D〕を含有する組成 物は、ペレット等とした場合の発煙時間が低減されて、熱伝導性、電磁シールド性等 に優れた成形品を与える熱伝導性榭脂組成物を効率よく製造することができる。
[0082] 本発明の熱伝導性榭脂組成物にお!ヽては、上記成分〔A〕を含むマトリックス中に、 上記の成分〔B〕、〔C〕及び〔D〕が分散している。また、上記成分〔C〕は、上記成分〔B 〕同士を連結していることが好ましい。更に、上記成分〔D〕を含む組成物においては 、上記成分〔D〕の一部又はすべてが、上記成分〔C〕を構成する金属原子及び Z又 はそのイオンと錯体を形成して含まれている場合がある。
[0083] 本発明の熱伝導性榭脂組成物は、流動性に優れ、通常の射出成形条件にて成形 加工が容易である。
また、本発明の熱伝導性榭脂組成物は、熱伝導性に優れ、下記実施例に記載の 方法で測定される熱伝導率は、好ましくは l〜7WZm'K、より好ましくは 1〜6WZ m'K、更に好ましくは 1. 5〜5WZm'Kである。
[0084] 上記のように、本発明の熱伝導性榭脂組成物は、流動性に優れるため、成形品の 加工性にも優れる。従って、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、
発泡成形、ブロー成形等の公知の成形方法により、高い熱伝導率を有する成形品を 容易に得ることができる。成形温度は、通常、 210〜250°C、好ましくは 220〜250°C である。尚、成分〔D〕を含有しない組成物を用いて成形品とした際には、その表面か ら発煙がしばらく続き、榭脂成分が酸化し、形状維持性等が低下する場合がある。し かし、成分〔D〕を含有する組成物を用いることにより、完全な消煙は、通常、 10分以 内であり、好ましくは 8分以内、より好ましくは 6分以内に達成される。
[0085] 更に、本発明の熱伝導性榭脂組成物は、電磁シールド性にも優れる。近年、ノソコ ン、ワープロ、テレビゲーム等のコンピュータを利用した電子機器等が身近なものとな つている。これらの電子機器は高速の信号を利用しているため、電磁波の影響を受 け易ぐまたこれらの機器自身も電磁波を発生している。電波の利用範囲が拡大する につれて、電磁環境が悪化し、電磁波同士が互いに干渉したり、ある機器には有効 なものでも他方の機器には障害となったりする。更に、様々な原因で発生する不要電 磁波もまた電磁環境を汚染すると言われて!/、る。本発明の熱伝導性榭脂組成物は、 上記のような電磁環境の汚染に対して良好な環境を確保するために、外部との電磁 波の往来を遮断した成形品とすることができる。
[0086] 成形品としては、特に発熱部品からの熱を外部に逃がすための周辺部材 (ノヽゥジン グ、基板、パネル、ヒートシンク、放熱フィン、ファン、ノ ッキン等)に好適である。その 他、オーディオバックパネル、液晶テレビの液晶板固定部材、デジタルビデオカメラ のモーター周辺部材等にも好適である。尚、上記成形品は、用途等に応じて、表面 に、塗装、スパッタリング、溶着等の二次加工を施してもよい。
[0087] 本発明のハウジングは、上記の本発明の熱伝導性榭脂組成物を含む。即ち、上記 の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕を、それぞれ、所定割合で含有する。更に、成分〔D〕、ポリ カーボネート榭脂等の他の重合体、難燃剤等の添加剤を、それぞれ、所定割合で含 有したものとすることができる。各量は、前記の通りである。
[0088] 本発明のハウジングは、上記の本発明の熱伝導性榭脂組成物を用いて製造するこ とができる。成形方法としては、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、真空成 形、発泡成形、ブロー成形等が挙げられる。
本発明のハウジングは、電子部品(回路基板、チップ、サーマルヘッド等)、電気製
品(テレビ (液晶型、携帯型を含む)、パーソナルコンピュータのディスプレイ (液晶型 を含む)、ラジオ (携帯型を含む)、カメラ (デジタルカメラ等)、ビデオカメラ、オーディ ォ (CD等)、ビデオ (DVD等)等の再生機、録音機、録画機、照明等)等のハウジン グに特に好適である。
実施例
[0089] 以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、「部」及び「%」は
、特に断らない限り、体積基準である。
[0090] 1.熱伝導性榭脂組成物の原料成分
熱伝導性榭脂組成物の製造に用いた原料成分を以下に示す。
1 1.成分〔A〕
(1)ゴム強化スチレン系榭脂 (ABS— 1)
重量平均粒子径 280nm及びトルエン不溶分 80質量%のポリブタジエンゴム粒子 を含むラテックスの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合させ、ポリブタ ジェンゴム 41. 5質量%、スチレン単位量 42. 7質量%及びアクリロニトリル単位量 1 5. 8質量0 /0からなるゴム強化スチレン系榭脂(以下、「ABS— 1」ともいう。)を得た。 この樹脂のグラフト率は 55質量0 /0、アセトン可溶成分の極限粘度 [ r? ] (メチルェチ ルケトン中、 30°Cで測定)は 0. 45dlZg、 20°Cにおける比重は 1. OlgZcm3である
(2)ゴム強化スチレン系榭脂 (ABS— 2)
重量平均粒子径 280nm及びトルエン不溶分 80質量%のポリブタジエンゴム粒子 を含むラテックスの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合させ、ポリブタ ジェンゴム 60質量0 /0、スチレン単位量 11. 3質量%及びアクリロニトリル単位量 28. 7質量0 /0からなるゴム強化スチレン系榭脂 (以下、「ABS— 2」ともいう。)を得た。 この樹脂のグラフト率は 50質量0 /0、アセトン可溶成分の極限粘度 [ r? ] (メチルェチ ルケトン中、 30°Cで測定)は 0. 4dlZg、 20°Cにおける比重は 0. 98g/cm3である。
(3)アクリロニトリル 'スチレン榭脂 (AS)
スチレン単位量 74. 5質量%及びアクリロニトリル単位量 25. 5質量%からなる共重 合体 (以下、「AS」ともいう。)を用いた。極限粘度 [ η ] (メチルェチルケトン中、 30°C
で測定)は 0. 50dlZg、 20°Cにおける比重は 1. 08g/cm3である。
[0091] 1 - 2.他の重合体 (ポリカーボネート樹脂)
三菱ェンジユアリングプラスチックス社製、商品名「NOVAREX 7022PJ」(以下、
「PC」ともいう。)であり、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度 20°Cで測定された 溶液粘度より換算した粘度平均分子量は 22, 000、 20°Cにおける比重は 1. 2g/c m (?め。。
[0092] 1 3.成分〔B〕
(1)グラフアイト粉末
西村黒鉛社製、商品名「10099M」であり、平均粒径は 40 m、 25°Cにおける熱 伝導率は約 120WZm'K、 20°Cにおける比重は 2. 3gZcm3である。
(2)セラミックス系フィラー
酸ィ匕アルミニウム系セラミックス(アドマテックス社製、商品名「AC2500— SI」)であ り、平均粒径は 35 m、 25°Cにおける熱伝導率は 35WZm'K、 20°Cにおける比重 は 3. 7g/cm3である。
[0093] 1 4.成分〔C〕
(1) Sn— Bi系
平均粒径が 25 μ m、融点が 139°Cの合金である。
(2) Sn— Cu系
平均粒径が 25 μ m、融点が 227°Cの合金である。
[0094] 1 5.成分〔D〕
(1)金属不活性化剤 (D1)
下記式(3)で表される、 3— (N—サリチロイル)ァミノ— 1, 2, 4 トリァゾール (旭電 化社製、商品名「アデカスタブ CDA— 1」)である。 20°Cにおける比重は 1. 04g/c m C、める。
[化 3]
下記式(4)で表される、 2,, 3 ビス [3— (3, 5 ジ—tert—ブチルー 4ーヒドロキ シフエ-ル)プロピオ-ル]プロピオノヒドラジド (旭電ィ匕社製、商品名「アデカスタブ C DA—10」)である。 20°Cにおける比重は 1. 05gZcm3である。
[化 4]
[0095] 1— 6.難燃剤
(1)臭素化エポキシ系難燃剤
ブロモケムファースト社製、商品名「F3020」である。 20°Cにおける比重は 2. 5g/ cm C、める。
(2)芳香族縮合リン酸エステル難燃剤
1, 3 フエ-レンビスジキシレニルホスフェート(大八化学社製、商品名「PX— 200 」)である。 20°Cにおける比重は 1. 22gZcm3である。
(3)ポリテトラフルォロエチレン
20°Cにおける比重は 2. 2gZcm3である。
(4)三酸化アンチモン (難燃助剤)
日本精鉱社製、商品名「PATOX— M」を用いた。 20°Cにおける比重は 5. 7g/c m (?め。。
[0096] 2.熱伝導性榭脂組成物の製造及び評価
金属不活性化剤を含有する組成物及び含有しな!ヽ組成物の両方につ!ヽて、製造 及び評価を行った。
[0097] 2— 1.成分〔D〕を含有しな!ヽ組成物の製造及び評価
実施例 1 1〜 1 9及び比較例 1 1
上記の各原料成分を、表 1に示す配合割合 (体積換算)でミキサーにより 5分間混 合した後、原料投入側から、ダイスまでの温度を 190°C、 220°C及び 240°Cの順に設 定した押出機(日本プラコン社製、型式「DMG」)に投入して混練し、ペレット (榭脂
組成物)を得た。その後、このペレットを、射出成形機(日本製鋼社製、型式「J100— 5C」)を用いて、評価項目に準じた、所定形状及び大きさの評価用試験片を得た。 尚、成形条件は、シリンダー温度が 240°C、金型温度が 60°Cである。
尚、実施例 1—4及び 1—5は、他の重合体として PCを配合した例である力 この P Cの配合量は、成分〔A〕 100質量部に対して、それぞれ、 117質量部及び 132質量 部である。
[0098] 各評価項目及びその測定方法は、下記の通りである。評価結果を表 1に併記した。
(1)成形加工性
上記の押出機による混練状況から、成形加工性を下記基準で判定した。 〇;溶融混練でき、ペレットを得ることができた。
X;混練することができず、ペレットが得られな力つた。
(2)熱伝導率
DYNATECH R&D社製の定常熱流計(型式「TCHM— DV」)を用い、 60°Cに おける熱伝導率を測定した。試験片は、内径 50mmの円柱体である。測定に際し、 試験片の上下面の温度差を正確に測定するため、図 1に示すように、 CC (銅ーコン スタンタン)熱電対を試験片中央の上下面にホットプレスにより埋め込んだ。ホットプ レスを用いることにより、試験片の平坦性を高めるとともに、試験片と熱電対との密着 性を高めることができる。熱伝導率の測定は、熱流量を安定させるため、 1時間、所 定温度に保った後に行った。
[0099] (3)体積固有抵抗 (Rv)
Agilent Technologies社製ハイ 'レジスタンス 'メータを用いて測定した。試験片 は、内径 100mm、厚さ 2mmの円板である。体積固有抵抗の単位は Ω 'cmである。 (4)電磁シールド性
アドバンテスト社製 TR17301スペクトラムアナライザー TR472を用い、電磁波の反 射性を測定し、周波数範囲 0〜1, 000MHzにおける電磁シールド性を評価した。試 験片は、長さ 150mm、幅 150mm及び厚さ 3mmの平板である。 50dB以上であれ ば、電磁シールド性「有」とした。
[0100] (5)消煙試験
シリンダー温度を 240°Cとした射出成形機 (東芝機械社製、型名「EC60」)を用い て、 150〜200gの榭脂塊 5個を、大気中、 20°Cの雰囲気下、鉄板上に載せて、煙が 消えるまでの時間を測定した。
(6)燃焼性
UL94規格に準じ、垂直燃焼試験を行った。試験片は、長さ 127mm、幅 13mm及 び厚さ 2. Ommの平板である。
[表 1]
、例であり、熱伝導性及び電磁シールド性に劣って 、た。
一方、実施例 1— 1、 1— 2、 1— 3、 1— 6、 1— 7、 1—8及び 1—9は、成分〔B〕及び 〔C〕の種類並びに難燃剤の有無によらず、熱伝導性及び電磁シールド性に優れて いた。また、他の重合体としてポリカーボネート榭脂(PC)を含有する実施例 1—4及 び 1 5も、熱伝導性及び電磁シールド性に優れていた。更に、難燃剤を含有する実 施例 1— 3、 1—5及び 1—6は、 UL94規格における V—0又は V—1を示した。
[0103] 2- 2.成分〔D〕を含有する組成物の製造及び評価
実施例 2— 1〜2— 11及び比較例 2— 1〜2— 2
上記の各原料成分を、表 2及び表 3に示す配合割合で用い、実施例 1 1と同様に してペレットとし、更に、評価用試験片を得た。この試験片を用い、実施例 1—1と同 様にして各種評価を行った。評価結果を表 2及び表 3に示す。
[0104] [表 2]
(注)物性評価における「一」は、未評価である。
表 3
(注)物性評価における「一」は、未評価である。
[0106] 表 2及び表 3より、以下のことが明らかである。比較例 2— 1は、金属不活性化剤を 多量に含有する例であり、金属不活性化剤が不均一分散となったために、消煙まで の時間が長くなつた。
一方、実施例 2— 1〜2— 11は、ゴム強化スチレン系榭脂、熱伝導性フイラ一、合金 及び金属不活性化剤を各々、好ましい割合で含有した例であり、消煙までの時間が 短ぐ熱伝導性及び電磁シールド性に優れていた。成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の種類 並びに含有割合が共通である、実施例 1—8及び実施例 2—1を比較すると、実施例 2— 1は、熱伝導率及び体積固有抵抗が低下することなぐ消煙までの時間が半分と なった。実施例 1 9及び実施例 2— 8につ 、ても同様であった。
また、実施例 2— 5は、更に難燃剤を含有した例であり、 UL94規格における V— 0 を示した。
産業上の利用可能性
[0107] 本発明の熱伝導性榭脂組成物は、成形加工性に優れるため、熱伝導性及び電磁 波シールド性に優れた成形品とすることができ、ハウジング、基板、パネル、ヒートシ ンク、放熱フィン、ファン、ノ ッキン等として用いることができる。これらの部材は、回路 基板、チップ、サーマルヘッド、モーター等の電子部品;テレビ、ラジオ、カメラ、ビデ
ォカメラ、オーディオ、ビデオ、照明具等の電気機器等に好適であり、特に、電子部 品等からの熱を外部に逃がすためのハウジング、ヒートシンク及びファン;オーディオ バックパネル;液晶テレビの液晶板固定部材等に好適である。