明 細 書
有機エレクト口ルミネッセンス素子材料、有機エレクト口ルミネッセンス素子
、表示装置及び照明装置
技術分野
[0001] 本発明は、有機エレクト口ルミネッセンス素子材料、有機エレクト口ルミネッセンス素 子、表示装置及び照明装置に関する。
背景技術
[0002] 従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクト口ルミネッセンスディスプレ ィ(以下、 ELDという)がある。 ELDの構成要素としては、無機エレクト口ルミネッセン ス素子や有機エレクト口ルミネッセンス素子(以下、有機 EL素子という)が挙げられる 。無機エレクト口ルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子 を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機 EL素子は、発光する化合 物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を 注入して、再結合させることにより励起子 (エキシトン)を生成させ、このエキシトンが 失活する際の光の放出 (蛍光'燐光)を利用して発光する素子であり、数 V—数十 V 程度の電圧で発光が可能であり、更に、 自己発光型であるために視野角に富み、視 認性が高ぐ薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から 注目されている。
[0003] し力しながら、今後の実用化に向けた有機 EL素子においては、さらに低消費電力 で効率よく高輝度に発光する有機 EL素子の開発が望まれている。
[0004] 特許第 3093796号明細書では、スチルベン誘導体、ジスチリルァリーレン誘導体 又はトリススチリルァリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、 素子の長寿命化を達成して!/ヽる。
[0005] また、 8—ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホストイ匕合物として、これに微量の蛍 光体をドープした有機発光層を有する素子 (例えば、特開昭 63— 264692号公報)、 8—ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホストイ匕合物として、これにキナクリドン系色 素をドープした有機発光層を有する素子 (例えば、特開平 3— 255190号公報)等が
知られている。
[0006] 以上のように、励起一重項力 の発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起 子の生成比が 1 : 3であるため発光性励起種の生成確率が 25%であり、光の取り出し 効率が約 20%であるため、外部取り出し量子効率( r? ext)の限界は 5%とされている
[0007] ところが、プリンストン大より励起三重項力もの燐光発光を用いる有機 EL素子の報 告(M. A. Baldo et al. , Nature, 395卷、 151— 154ページ(1998年))力 れ て以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきて 、る。
[0008] 例えば M. A. Baldo et al. , Nature, 403卷、 17号、 750— 753ページ(2000 年)、又米国特許第 6, 097, 147号明細書などにも開示されている。
[0009] 励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が 100%となるため、励起一重項 の場合に比べて原理的に発光効率力 倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得ら れる可能性があることから照明用途としても注目されている。
[0010] 例えば、 S. Lamansky et al. , J. Am. Chem. Soc. , 123卷、 4304ページ(2
001年)等においては、多くの化合物がイリジウム錯体系など重金属錯体を中心に合 成検討されている。
[0011] 又、前述の M. A. Baldo et al. , Nature, 403卷、 17号、 750— 753ページ(2 000年)においては、ドーパントとして、トリス(2—フエ-ルビリジン)イリジウムを用いた 検討がされている。
[0012] その他、 M. E. Tompsonらは、 The 10th International Workshop on In organic and Organic Electroluminescence (EL ' 00、浜松)【こお ヽて、ド ~~ノヽ ン卜として L2Ir (acac)例えば(ppy) 2Ir (acac)を、又、 Moon— Jae Youn. Og, Tet suo Tsutsui等は、やはり、 The 10th International Workshop on Inorga nic and Organic Electroluminescence (EL, 00、浜松)【こお ヽて、ドーノ ント として、トリス(2— (p—トリル)ピリジン)イリジウム (Ir (ptpy) 3) , トリス (ベンゾ [h]キノリ ン)イリジウム (Ir (bzq) 3)等を用いた検討をおこなっている(なおこれらの金属錯体は 一般にオルトメタル化イリジウム錯体と呼ばれて 、る。)。
[0013] 又、前記、 S. Lamansky et al. , J. Am. Chem. Soc. , 123卷、 4304ページ
(2001年)等にぉ 、ても、各種イリジウム錯体を用いて素子化する試みがされて!/、る
[0014] 又、高い発光効率を得るために、 The 10th International Workshop on I norganic and Organic Electroluminescence (EL ' 00、浜松)では、 Ikaiらは ホール輸送性の化合物を燐光性ィ匕合物のホストとして用いている。また、 M. E. To mpsonらは、各種電子輸送性材料を燐光性ィ匕合物のホストとして、これらに新規なィ リジゥム錯体をドープして用いて 、る。
[0015] 一方で、リン光を発光する発光ドーパントとして Ir錯体以外の化合物も検討されて いる。例えば、オルトメタル化パラジウム錯体を発光ドーパントとして使用することが開 示されている(例えば、特許文献 1参照。)が、この場合前記 Ir錯体に比べて発光輝 度や発光効率の点で劣る。
[0016] 中心金属を白金としたオルトメタルイ匕錯体は、配位子に特徴を持たせた例が多数 知られており(例えば、特許文献 2— 6及び非特許文献 1参照。)、発光素子とした場 合の発光輝度や発光効率は、その発光が燐光に由来することから、従来の素子に比 ベ大幅に改良されるものであるが、素子の発光寿命については従来の素子よりも低 いという問題点があった。
[0017] また、りん光性の高効率の発光材料としては色純度の良い青色発光材料が求めら れているにも関わらず、発光波長の短波化が難しく実用に耐えうる性能を十分に達 成できていないのが現状である。波長の短波化に関してはこれまで、フエニルピリジ ンにフッ素原子、トリフルォロメチル基、シァノ基等の電子吸引基を置換基として導入 すること、配位子としてピコリン酸やビラザボール系の配位子を導入することが知られ ている(例えば、特許文献 7— 11及び非特許文献 1一 4参照)が、これらの配位子で は発光材料の発光波長が短波化して青色を達成し、高効率の素子を達成できる一 方、素子の発光寿命は大幅に劣化するため、そのトレードオフの改善が求められて いた。
[0018] 配位子のフ -ルビリジンへの置換基の電子的性質と置換位置の関係につ!、て述 ベられているものがあるが、白金錯体に関してはイリジウム錯体のように構造の開示 がなぐ具体的な性能の言及はなされていない (特許文献 11参照。 ) o
特許文献 1 :特開 2001— 181616号公報
特許文献 2 :特開 2002— 332291号公報
特許文献 3:特開 2002-332292号公報
特許文献 4 :特開 2002-338588号公報
特許文献 5:特開 2002-226495号公報
特許文献 6:特開 2002— 234894号公報
特許文献 7 :国際公開第 02Z15645号パンフレット
特許文献 8:特開 2003— 123982号公報
特許文献 9:特開 2002—117978号公報
特許文献 10:特開 2003— 146996号公報
特許文献 11 :国際公開第 04Z016711号パンフレット
非特許文献 1 : Inorganic Chemistry,第 41卷、第 12号、 3055— 3066ページ(2 002年)
非特許文献 2 :Aplied Physics Letters,第 79卷、 2082ページ(2001年) 非特許文献 3 :Aplied Physics Letters,第 83卷、 3818ページ(2003年) 非特許文献 4 : New Journal of Chemistry,第 26卷、 1171ページ(2002年) 発明の開示
[0019] 本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、白金錯体の配 位子であるフ ニルピリジンの特定の位置への置換基導入により発光波長が制御さ れた、化合物設計されたりん光性の青色発光素子材料を用いて、高い発光効率を示 し、且つ、発光寿命の長い有機 EL素子、照明装置及び表示装置を提供することで ある。
[0020] 本発明の上記目的は白金錯体の配位子であるフエ-ルビリジンの 4位に窒素含有 基を導入し、さらに特定の位置へ特定の置換基を導入した白金錯体を含有すること を特徴とする有機エレクト口ルミネッセンス素子材料によって達成された。
図面の簡単な説明
[0021] [図 1]図 1は有機 EL素子力 構成される表示装置の一例を示した模式図である。
[図 2]図 2は表示部 Aの模式図である。
[図 3]図 3は画素を構成する駆動回路の等価回路図である。
[図 4]図 4はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
[図 5]図 5は有機 EL素子 OLED1— 1の封止構造の概略模式図である。
[図 6]図 6は有機 EL素子を具備してなる照明装置の模式図である。
発明を実施するための最良の形態
[0022] 本発明を実施するための最良の形態は以下の構成を有している。ただし、本発明 はこれらにより限定されるものではない。
(1)下記一般式 (1)で表される部分構造を有する白金錯体を含有することを特徴と する有機エレクト口ルミネッセンス素子材料。
一般式 (1)
[0023] 〔式中、 R、 R、 R、 R、 R、 R、 Rは、各々水素原子または置換基を表すが、 R、
1 2 3 4 5 6 7 1
R、 R、 Rの少なくとも一つは電子供与性基である。 Ra、 Rbは、各々置換基を表す
2 3 4
o ]
(2) R、 R、 R、 Rの
1 2 3 4 少なくとも二つは電子供与性基であることを特徴とする前記第 1 項に記載の有機エレクト口ルミネッセンス素子材料。
(3)前記電子供与性基の少なくとも一つの σ ρがー 0. 20以下であることを特徴とする 前記第 1項に記載の有機エレクト口ルミネッセンス素子材料。
(4)前記電子供与性基が、前記一般式(1)の Rまたは Rに導入されることを特徴と
2 4
する前記第 1項に記載の有機エレクト口ルミネッセンス素子材料。さらに好ましくは、 R および Rがともに前記電子供与性基である前記第 1項に記載の有機エレクト口ルミ
2 4
ネッセンス素子材料。
(5) Ra、 Rbは、共にアルキル基であることを特徴とする前記第 1項に記載の有機エレ タトロルミネッセンス素子材料。
(6)下記一般式 (2)で表される部分構造を有する白金錯体を含有することを特徴と する有機エレクト口ルミネッセンス素子材料。
〔式中、 R 、R 、R 、R 、R 、R 、R は、各々水素原子または置換基を表すが
11 12 13 14 15 16 17
、 R 、 R の少なくとも一つは電子吸引性基である。 Rc, Rdは置換基を表す。〕
11 13
(7) R 、R が共に電子吸引性基であることを特徴とする前記第 6項に記載の有機
11 13
エレクトロノレミネッセンス素子材料。
(8)前記電子吸引性基の σ ρが 0. 10以上であることを特徴とする前記第 6項に記載 の有機エレクト口ルミネッセンス素子材料。
(9) Rc、 Rdは、共にアルキル基であることを特徴とする前記第 6項に記載の有機エレ タトロルミネッセンス素子材料。
(10)前記第 1項または前記第 6項に記載の有機エレクト口ルミネッセンス素子材料を 有することを特徴とする有機エレクト口ルミネッセンス素子。
(11)構成層として発光層を有し、該発光層が前記第 1項または前記第 6項に記載の 有機エレクト口ルミネッセンス素子材料を含有することを特徴とする有機エレクト口ルミ ネッセンス素子。
(12)構成層として正孔阻止層を有し、該正孔阻止層が前記第 1項または前記第 6項 に記載の有機エレクト口ルミネッセンス素子材料を含有することを特徴とする有機エレ タトロルミネッセンス素子。
(13)前記第 10項力も第 12項のいずれ力 1項に記載の有機エレクト口ルミネッセンス 素子を有することを特徴とする表示装置。
(14)前記第 10項力も第 12項のいずれ力 1項に記載の有機エレクト口ルミネッセンス 素子を有することを特徴とする照明装置。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
[0025] 本発明の有機エレクト口ルミネッセンス素子材料にぉ 、て、前記項目の 、ずれか 1 項で規定する構成とすることにより、フエ-ルビリジンの特定の箇所に、特定の電子的 性質を有する置換基を導入した金属錯体である有機 EL素子材料を得ることが出来 た。該有機 EL素子材料を用いることにより、外部取り出し量子効率が高ぐ且つ、発 光寿命の長い有機 EL素子を得ることが出来る。更に、前記有機エレクト口ルミネッセ ンス素子を用いることにより、高輝度で、且つ、高耐久性を示す。さらに、前記項目に 記載の表示装置および前記項目に記載の照明装置を各々得ることが出来た。
[0026] 本発明者等は、上記の様な、従来の白金錯体の持つ種々の問題点を検討した結 果、錯体形成の際、配位子として用いられる、フエニルピリジンの特定の箇所に、特 定の電子的性質をもった置換基を導入した金属錯体を有機 EL素子材料として含む 有機 EL素子を用いることにより、従来の青色用の金属錯体、特に電子吸引基によつ てのみ発光波長を短波側に制御してきた有機 EL素子材料を用いて作製された有機 EL素子の問題点であった短い発光寿命が大幅に改善されることを見出した。更に、 前記フ ニルピリジンの特定の箇所に電子供与性基もしくは、電子吸引性基を置換 させることにより、色純度の高 、発光色が得られることが判った。
[0027] この検討にあたっては、下記一般式 (3)の構造を例にして分子軌道計算による発 光波長のシミュレーションにより、フエ-ルビリジンへの置換基効果と発光波長の変動 を詳細に検討した。
[0028] その結果、波長の短波化,長波化に有効な置換位置は, 4位と 3p— 6p位であるこ とが見出された。特に、短波化に関しては、置換基が電子供与性基 (本発明では、 σ ρが 0未満の基を表す)の場合、 4位、 4ρ位、 6ρ位への置換基導入が有効である一方 、置換基が電子吸引性基 (本発明では、 σ ρが 0を超える基を表す)の場合、 3ρ位、 5 ρ位への置換基導入が有効であることが分力つた。
[0029] また、 3、 5、 6位は置換基の電子的性質によらず長波化することがわ力つた。
[0030] さらに、置換基の電子的性質に関して相補的であった。
[0031] 《ハメットの σ ρ値》
本発明に係るハメットの σ ρ値とは、ハメットの置換基定数 σ ρを指す。ノ、メットの σ ρ の値は、 Hammett等によって安息香酸ェチルの加水分解に及ぼす置換基の電子 的効果力も求められた置換基定数であり、『薬物の構造活性相関』 (南江堂: 1979年 )、『SuDstituent Constants for Correlation Analysis m し hemistry an d Biology』(C. Hansch and A. Leo, John Wiley & Sons, New York, 19 79年)等に記載の基を引用することが出来る。
[0032] この結果を受けて、本発明者らは発光波長を青色まで短波化するための手段とし て、上記指針に基づき検討を進め合成検討したところ、シミュレーション結果をほぼ 満足する発光波長の制御ができることを見出した。更に、この知見に基づいて種々の 白金錯体を合成検討し、有機 EL素子としての評価を行ったところ、 4位に置換アミノ 基を導入した場合に、以下の 3通りの知見が得られた。
[0033] (1) 3p— 6p位の少なくとも一つが電子供与性基である場合、発光効率と発光寿命 に素子性能の改善がみられた。
[0034] (2) 4p、 6p位の少なくとも一つの置換基が電子供与性の場合、発光効率と発光寿 命の素子性能にカ卩えて、青の色純度の改善がみられた。
[0035] (3) 3p、 5p位の少なくとも一つの置換基が電子吸引性の場合、発光効率と発光寿 命の素子性能にカ卩えて、青の色純度の改善がみられた。
[0036] 上記 3項目の中で好ましくは、以下の(la)、 (2a) , (3a)である。
[0037] (la) 3p— 6p位の少なくとも一つの置換基の σ ρ力 0. 20以下の場合
(2a) 4p、 6p位の二つの置換基が電子供与性であり、最も好ましくはその σ ρがー 0
. 20以下である場合
(3a) 3p、 5p位の二つの置換基が電子吸引性であり、最も好ましくはその σ ρが 0.
10以上である場合
このような知見に基づき、上記一般式(1)または(2)で表される分子構造を分子設 計し、本発明に至った。
[0038] ここで、発光波長の計算には、 Gaussian98 (Revision A. 11. 4, M. J. Frisch , G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria, M. A. Robb, J. R. Chees eman, V. G. Zakrzewski, J. A. Montgomery, Jr. , R. E. Stratmann, J. C. Burant, S. Dapprich, J. M. Millam, A. D. Daniels, K. N. Kudin, M. C. St rain, O. Farkas, J. Tomasi, V. Barone, M. Cossi, R. Cammi, B. Mennucci , C. Pomelli, C. Adamo, S. Clifford, J. Ochterski, G. A. Petersson, P. Y. Ayala, Q. Cui, K. Morokuma, N. Rega, P. Salvador, J. J. Dannenberg, D . K. Malick, A. D. Rabuck, K. Raghavachari, J. B. Foresman, J. Cio slows ki, J. V. Ortiz, A. G. Baboul, B. B. Stefanov, G. Liu, A. Liashenko, P. Piskorz, I. Komaromi, R. Gomperts, R. L. Martin, D. J. Fox, T. Keith , M. A. Al-Laham, C. Y. Peng, A. Nanayakkara, M. Challacombe, P. M . W. Gill, B. Johnson, W. Chen, M. W. Wong, J. L. Andres, C. Gonzalez, M. Head— Gordon, E. S. Replogle, and J. A. Pople, Gaussian, Inc. , Pi ttsburgh PA, 2002. )を用いた。
[0039] 計算は B3LYP法を用いて構造最適化したのち、 TD— DFT計算を用いてりん光波 長計算を行な 、発光波長を求めた。
[0040] 上記一般式(1)または(2)で表される部分構造を有する白金錯体の素子中の含有 層としては、発光層及び Zまたは正孔阻止層が好ましぐまた、発光層に含有される 場合は、前記発光層中の発光ドーパントとして用いられることにより、本発明に記載 の効果である、有機 EL素子の発光寿命の長寿命化を達成することが出来た。
[0041] 《白金錯体》
本発明の有機 EL素子材料に係る白金錯体について説明する。
[0042] 《一般式 (1)で表される配位子を有する白金錯体》
本発明に係る、一般式 (1)で表される部分構造を有する白金錯体について説明す る。
[0043] 本発明に係る、一般式(1)で表される白金錯体について説明する。
[0044] 一般式(1)において、 R、 R、 R、 R、 R、 R、 Rで、各々表される置換基としては
1 2 3 4 5 6 7
、例えば、アルキル基 (例えば、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t
)ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ォクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラ デシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロ へキシル基等)、アルケニル基 (例えば、ビュル基、ァリル基等)、アルキニル基 (例え ば、プロパルギル基等)、ァリール基 (例えば、フエニル基、トリル基、キシリル基、ナフ チル基、ビフヱ-リル基、アントリル基、フ ナントリル基、メシチル基、フルォレニル基 等)、複素環基 (例えば、ピリジル基、チアゾリル基、ォキサゾリル基、イミダゾリル基、 フリル基、ピロリル基、ビラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基 、スルホラ-ル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、カルバゾリル基等) 、アルコキシル基 (例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルォキシ基、ペンチルォキ シ基、へキシルォキシ基、ォクチルォキシ基、ドデシルォキシ基等)、シクロアルコキ シル基 (例えば、シクロペンチルォキシ基、シクロへキシルォキシ基等)、ァリールォ キシ基 (例えば、フエノキシ基、ナフチルォキシ基等)、アルキルチオ基 (例えば、メチ ルチオ基、ェチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、へキシルチオ基、オタ チルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基 (例えば、シクロペンチルチ ォ基、シクロへキシルチオ基等)、ァリールチオ基 (例えば、フエ-ルチオ基、ナフチ ルチオ基等)、アルコキシカルボ-ル基(例えば、メチルォキシカルボ-ル基、ェチル
ォキシカルボニル基、ブチルォキシカルボニル基、ォクチルォキシカルボニル基、ド デシルォキシカルボ-ル基等)、ァリールォキシカルボ-ル基(例えば、フエ-ルォキ シカルボニル基、ナフチルォキシカルボ-ル基等)、スルファモイル基(例えば、ァミノ スルホ-ル基、メチルアミノスルホ -ル基、ジメチルアミノスルホ -ル基、ブチルァミノ スルホ-ル基、へキシルアミノスルホ -ル基、シクロへキシルアミノスルホ -ル基、オタ チルアミノスルホ -ル基、ドデシルアミノスルホ-ル基、フエ-ルアミノスルホ -ル基、 ナフチルアミノスルホ -ル基、 2—ピリジルアミノスルホ -ル基等)、ウレイド基 (例えば、 メチルウレイド基、ェチルウレイド基、ペンチルゥレイド基、シクロへキシルウレイド基、 ォクチルゥレイド基、ドデシルウレイド基、フエ-ルゥレイド基、ナフチルウレイド基、 2— ピリジルアミノウレイド基等)、ァシル基 (例えば、ァセチル基、ェチルカルボ-ル基、 プロピルカルボ-ル基、ペンチルカルボ-ル基、シクロへキシルカルボ-ル基、オタ チルカルボ-ル基、 2—ェチルへキシルカルボ-ル基、ドデシルカルポ-ル基、フエ -ルカルボ-ル基、ナフチルカルボ-ル基、ピリジルカルボ-ル基等)、ァシルォキ シ基(例えば、ァセチルォキシ基、ェチルカルボ-ルォキシ基、ブチルカルボ-ルォ キシ基、ォクチルカルボ-ルォキシ基、ドデシルカルボ-ルォキシ基、フエ-ルカル ボニルォキシ基等)、アミド基 (例えば、メチルカルボ-ルァミノ基、ェチルカルボ-ル アミノ基、ジメチルカルボ-ルァミノ基、プロピルカルボ-ルァミノ基、ペンチルカルボ -ルァミノ基、シクロへキシルカルボ-ルァミノ基、 2—ェチルへキシルカルボ-ルアミ ノ基、ォクチルカルボ-ルァミノ基、ドデシルカルボ-ルァミノ基、フヱ-ルカルボ-ル アミノ基、ナフチルカルボニルァミノ基等)、力ルバモイル基 (例えば、ァミノカルボ- ル基、メチルァミノカルボ-ル基、ジメチルァミノカルボ-ル基、プロピルアミノカルボ -ル基、ペンチルァミノカルボ-ル基、シクロへキシルァミノカルボ-ル基、ォクチル ァミノカルボ-ル基、 2—ェチルへキシルァミノカルボ-ル基、ドデシルァミノカルボ- ル基、フエ-ルァミノカルボ-ル基、ナフチルァミノカルボ-ル基、 2—ピリジルァミノ力 ルポ-ル基等)、スルフィエル基(例えば、メチルスルフィ-ル基、ェチルスルフィエル 基、ブチルスルフィエル基、シクロへキシルスルフィエル基、 2—ェチルへキシルスル フィエル基、ドデシルスルフィ-ル基、フエ-ルスルフィ-ル基、ナフチルスルフィ-ル 基、 2—ピリジルスルフィエル基等)、アルキルスルホ -ル基またはァリールスルホ-ル
基(例えば、メチルスルホ -ル基、ェチルスルホ -ル基、ブチルスルホ -ル基、シクロ へキシルスルホ -ル基、 2—ェチルへキシルスルホ -ル基、ドデシルスルホ -ル基、フ ェ-ルスルホ -ル基、ナフチルスルホ-ル基、 2—ピリジルスルホ -ル基等)、アミノ基 (例えば、アミノ基、ェチルァミノ基、ジメチルァミノ基、プチルァミノ基、シクロペンチ ルァミノ基、 2—ェチルへキシルァミノ基、ドデシルァミノ基、ァ-リノ基、ナフチルァミノ 基、 2—ピリジルァミノ基等)、ニトロ基、シァノ基、シリル基(トリメチルシリル基、 t プチ ルジメチルシリル基、ジメチルフヱ-ルシリル基、トリフエ-ルシリル基等)等が挙げら れる。
[0045] 本発明では、 R、 R、 R、 Rで表される基の少なくとも一つは電子供与性基である
1 2 3 4
ことが好ましぐ更に好ましくは、前記 R、 R、 R、 Rで表される基の少なくとも二つが
1 2 3 4
電子供与性基であり、また、前記電子供与性基の少なくとも一つの σ ρが、 0. 20以 下のものが用いられることであるが、最も好ましいのは、前記電子供与性基が、一般 式(1)の Rまたは Rに導入されることであり、 Rおよび Rがともに前記電子供与性基
2 4 2 4
である場合は一層好ましい。
[0046] 《 σ ρがー 0. 20以下の電子供与性基》
ここで、 び カー0. 20以下の電子供与性基としては、例えば、シクロプロビル基 (一 0 . 21)、シクロへキシル基 (—0. 22)、 tert—ブチル基 (― 0. 20)、—CH Si (CH ) (-
2 3 3
0. 21)、アミノ基 (一0. 66)、ヒドロキシルアミノ基 (一0. 34)、一 NHNH (—0. 55)、一
2
NHCONH (-0. 24)、— NHCH (—0. 84)、— NHC H (—0. 61)、— NHCONH
2 3 2 5
C H (-0. 26)、一 NHC H (—0. 51)、一 NHC H (—0. 40)、一 N = CHC H (—0
2 5 4 9 6 5 6 5
. 55)、— OH (— 0. 37)、— OCH (—0. 27)、— OCH COOH (— 0. 33)、— OC H (
3 2 2 5
—0. 24)、— OC H (-0. 25)、—OCH (CH ) (—0. 45)、— OC H (—0. 34)、— O
3 7 3 2 5 11
CH C H (一 0. 42)等が挙げられる力 本発明はこれらに限定されない。
2 6 5
[0047] 一般式(1)において、 Ra、 Rbで、各々表される置換基は、一般式(1)において、 R 、 R、 R、 R、 R、 R、 Rで、各々表される置換基と同義である力 好ましくは、 Ra、
2 3 4 5 6 7
Rb力 共にアルキル基の場合である。
[0048] 《一般式 (2)で表される配位子を有する白金錯体》
本発明に係る、一般式 (2)で表される部分構造を有する白金錯体につ!ヽて説明す
る。
[0049] 本発明に係る、一般式 (2)で表される白金錯体について説明する。
[0050] 一般式(2)において、 R 、R 、R 、R 、R 、R 、R は、各々表される置換基
11 12 13 14 15 16 17
は、一般式(1)において、 R 、 R 、 R 、 R 、 R 、 R 、 Rで、各々表される置換基と同
1 2 3 4 5 6 7
義である。但し、 R 、R の少なくとも一つは電子吸引性基であり、 R 、R が共に電
11 13 11 13 子吸引性基であることが好ましぐ更に好ましくは、前記電子吸引性基の σ ρが 0. 10 以上である。
[0051] 《σ ρが 0. 10以上の電子吸引性基》
ここで、 σ ρ力^). 10以上の電子吸引性基としては、例えば、 Β (ΟΗ) (0. 12)、
2
臭素原子 (0. 23)、塩素原子 (0. 23)、沃素原子 (0. 18)、一 CBr (— 0. 29)、一 CC1
3
(0. 33)、 -CF (0. 54)、 -CN (0. 66)、 一 CHO (0. 42)、— COOH (0. 45)、 CO
3 3
NH (0. 36)、— CH SO CF (0· 31)、— COCH (0· 45)、 3—バレニル基(0. 19)
2 2 2 3 3
、— CF (CF ) (0· 53)、 -CO C H (0. 45)、—CF CF CF CF (0. 52)、 一 C F (
3 2 2 2 5 2 2 2 3 6 5
0. 41)、 2—べンゾォキサゾリル基(0. 33)、 2—ベンゾチアサゾリル基(0. 29)、一 C = 0 (C H ) (0. 43)、 -OCF (0. 35)、— OSO CH (0· 36)、 一 SO (NH ) (0· 5
6 5 3 2 3 2 2
7)、 -SO CH (0. 72)、 -COCH CH (0. 48)、 -COCH (CH ) (0. 47)、—CO
2 3 2 3 3 2
C (CH ) (0. 32)等が挙げられる力 本発明はこれらに限定されない。
3 3
[0052] 一般式(2)において、 Rc、 Rdで、各々表される置換基は、一般式(1)において、 R 、 R、 R、 R、 R、 R、 Rで、各々表される置換基と同義である力 好ましくは、 Rc、
2 3 4 5 6 7
Rdが、共にアルキル基の場合である。
[0053] 以下に、本発明の有機 EL素子材料として用いられる金属錯体ィ匕合物の具体例を 示すが、本発明はこれらに限定されない。
Ζ89簡 SOOZdf/ェ:) d ひ OAV
[0054]
46
[0063] 本発明の有機 EL素子材料に係る白金錯体は、例えば Organic Letter誌、 vol3 、 No. 16、 p2579— 2581 (2001)、 Helvetica Chemica Acta, 第 69卷、 185 5ページ(1986年;), Inorganic Chemistry,第 41卷、第 12号、 3055— 3066ぺ ージ(2002年)、 New Journal of Chemistry, 第 26卷、 1171ページ(2002 年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成で きる。
[0064] 《白金錯体を含む有機 EL素子材料の有機 EL素子への適用》
本発明の有機 EL素子材料を用いて、有機 EL素子を作製する場合、有機 EL素子 の構成層(詳細は後述する)の中で、発光層または正孔阻止層に用いることが好まし い。また、発光層中では上記のように、発光ドーパントとして好ましく用いられる。
[0065] (発光ホストと発光ドーパント)
発光層中の主成分であるホストイ匕合物である発光ホストに対する発光ドーパントとの 混合比は好ましくは質量で 0. 1質量%— 30質量%未満の範囲に調整することであ る。
[0066] ただし、発光ドーパントは複数種の化合物を混合して用いても良ぐ混合する相手
は構造を異にする、その他の金属錯体やその他の構造を有するリン光性ドーパント や蛍光性ドーパントでもよ 、。
[0067] ここで、発光ドーパントとして用いられる白金錯体と併用しても良いドーパント(リン 光性ドーパント、蛍光性ドーパント等)について述べる。
[0068] 発光ドーパントは、大きくわけて、蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光 するリン光性ドーパントの 2種類がある。
[0069] 前者 (蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シ了ニ ン系色素、クロコニゥム系色素、スクァリウム系色素、ォキソベンツアントラセン系色素 、フルォレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチ ルベン系色素、ポリチオフ ン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
[0070] 後者 (リン光性ドーパント)の代表例としては、好ましくは元素の周期表で 8属、 9属、 10属の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくは、イリジウム化合物、ォ スミゥム化合物であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
[0071] 具体的には以下の特許公報に記載されている化合物である。
[0072] 国際公開第 OOZ70655号パンフレツ K特開 2002— 280178号公報、特開 2001 —181616号公報、特開 2002— 280179号公報、特開 2001— 181617号公報、特 開 2002— 280180号公報、特開 2001— 247859号公報、特開 2002— 299060号公 報、特開 2001— 313178号公報、特開 2002— 302671号公報、特開 2001— 3451 83号公報、特開 2002— 324679号公報、国際公開第 02/15645号パンフレット、 特開 2002— 332291号公報、特開 2002— 50484号公報、特開 2002— 332292号 公報、特開 2002— 83684号公報、特表 2002— 540572号公報、特開 2002— 1179 78号公報、特開 2002— 338588号公報、特開 2002— 170684号公報、特開 2002 —352960号公報、国際公開第 01Z93642号パンフレット、特開 2002— 50483号 公報、特開 2002— 100 号公報、特開 2002— 173674号公報、特開 2002— 359 082号公報、特開 2002— 175884号公報、特開 2002— 363552号公報、特開 200 2— 184582号公報、特開 2003— 7469号公報、特表 2002— 525808号公報、特開 2003— 7471号公報、特表 2002— 525833号公報、特開 2003— 31366号公報、特 開 2002— 226495号公報、特開 2002— 234894号公報、特開 2002— 235076号公
報、特開 2002— 241751号公報、特開 2001— 319779号公報、特開 2001— 3197 80号公報、特開 2002— 62824号公報、特開 2002— 100474号公報、特開 2002— 203679号公報、特開 2002— 343572号公報、特開 2002— 203678号公報等。 その具体例の一部を下記に示す。 lr-1 lr-2
Ζ1-Λ\
Ζ89簡 SOOZdf/ェ:) d 93 ひ OAV
[0075]
[0076] (発光ホスト)
発光ホスト(単にホストとも 、う)とは、 2種以上の化合物で構成される発光層中にて 混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ド 一パント化合物(単に、ドーパントともいう)」という。例えば、発光層を化合物 A、化合 物 Bと 、う 2種で構成し、その混合比が A: B = 10: 90であればィ匕合物 Aがドーパント 化合物であり、化合物 Bがホストイ匕合物である。更に、発光層を化合物 A、化合物 B、 化合物 Cの 3種力 構成し、その混合比が八^ :じ= 5 : 10 : 85でぁれば、化合物 A、
化合物 Bがドーパント化合物であり、化合物 Cがホストイ匕合物である。
[0077] 本発明に用いられる発光ホストとしては、併用される発光ドーパントのリン光 0— 0バ ンドよりも短波長なそれをもつ化合物が好ましぐ発光ドーパントにそのリン光 0— 0バ ンドが 480nm以下である青色の発光成分を含む化合物を用いる場合には、発光ホ ストとしてはリン光 0—0バンド力 50nm以下であることが好ましい。
[0078] 本発明の発光ホストとしては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾ ール誘導体、トリアリールァミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物 、チォフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴァリーレン化合物等の基本骨格を有し、か つ前記 0— 0バンドが 450nm以下の化合物が好ましい化合物として挙げられる。
[0079] また、本発明の発光ホストは低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物 でもよぐビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物 (蒸着重合 性発光ホスト)でもいい。
[0080] 発光ホストとしては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化 を防ぎ、なおかつ高 Tg (ガラス転移温度)である化合物が好ま U、。
[0081] 発光ホストの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が好適である。
例えば、特開 2001— 257076号公報、特開 2002— 308855号公報、特開 2001— 3 13179号公報、特開 2002— 319491号公報、特開 2001— 357977号公報、特開 2 002— 334786号公報、特開 2002— 8860号公報、特開 2002— 334787号公報、特 開 2002— 15871号公報、特開 2002— 334788号公報、特開 2002— 43056号公報 、特開 2002— 334789号公報、特開 2002— 75645号公報、特開 2002— 338579 号公報、特開 2002— 105445号公報、特開 2002— 343568号公報、特開 2002— 1 41173号公報、特開 2002— 352957号公報、特開 2002— 203683号公報、特開 2 002— 363227号公報、特開 2002— 231453号公報、特開 2003— 3165号公報、特 開 2002— 234888号公報、特開 2003— 27048号公報、特開 2002— 255934号公 報、特開 2002— 260861号公報、特開 2002— 280183号公報、特開 2002— 2990 60号公報、特開 2002— 302516号公報、特開 2002— 305083号公報、特開 2002 —305084号公報、特開 2002— 308837号公報等。
[0082] 本発明にお 、て、ホストイ匕合物としては、カルボリン誘導体、または該カルボリン誘
導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子 で置換されて 、る環構造を有する誘導体であることが好まし 、。
本発明のホストイ匕合物として好ましいものの具体例を挙げる。
Z89l700S00Zdf/X3d οε ひ 6ム60扇 Ζ OAV
Z89 OO/SOOZdf/X3d l-S ひ OAV
[0087] 次に、代表的な有機 EL素子の構成について述べる。
[0088] 《有機 EL素子の構成層》
本発明の有機 EL素子の構成層につ 、て説明する。
[0089] 本発明の有機 EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれ らに限定されない。
(i)陽極 Z正孔輸送層 Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極
(ii)陽極 Z電子阻止層 Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極
(iii)陽極 Z正孔輸送層 Z電子阻止層 Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極
(iv)陽極 Z正孔輸送層 Z電子阻止層 Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極 (V)陽極 Z正孔輸送層 Z電子阻止層 Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極 バッファ一層 z陰極
(vi)陽極 Z陽極バッファ一層 Z正孔輸送層 Z電子阻止層 Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極バッファ一層 Z陰極
(vii)陽極 Z陽極バッファ一層 Z正孔輸送層 Z電子阻止層 Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極バッファ一層 Z陰極
《阻止層 (電子阻止層、正孔阻止層)》
本発明に係る阻止層(例えば、電子阻止層、正孔阻止層)について説明する。
[0090] 本発明においては、正孔阻止層、電子阻止層等に、本発明の有機 EL素子材料を
用いることが好ましぐ特に好ましくは正孔阻止層に用いることである。
[0091] 本発明の有機 EL素子材料を正孔阻止層、電子阻止層に含有させる場合、本発明 の構成の 、ずれか 1項に記載されて!、る、本発明に係る金属錯体を正孔阻止層や 電子阻止層等の層構成成分として 100質量%の状態で含有させてもよいし、他の有 機化合物 (例えば、本発明の有機 EL素子の構成層に用いられる化合物等)等と混 合してちょい。
[0092] 本発明に係る阻止層の膜厚としては好ましくは 3nm— lOOnmであり、更に好ましく ίま 5nm— 30nmでめる。
[0093] 《正孔阻止層》
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有 しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料力 なり、電子を輸送しつつ正孔を阻 止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
[0094] 正孔阻止層としては、例えば特開平 11— 204258号公報、同 11 204359号公報 、及び「有機 EL素子とその工業化最前線(1998年 11月 30日 ェヌ 'ティー'エス社 発行)」の 237頁等に記載の正孔阻止(ホールブロック)層等を本発明に係る正孔阻 止層として適用可能である。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発 明に係る正孔阻止層として用 、ることが出来る。
[0095] 《電子阻止層》
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機 能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料力 なり、正孔を輸送しつつ電 子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述 する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることが出来る。
[0096] また、本発明においては、発光層に隣接する隣接層、即ち、正孔阻止層、電子阻 止層に、上記の本発明の有機 EL素子材料を用いることが好ましぐ特に正孔阻止層 に用いることが好ましい。
[0097] 《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料を含み、広い意味で正孔注入 層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層もしくは複数層設ける
ことができる。
[0098] 正孔輸送材料としては、特に制限はなぐ従来、光導伝材料において、正孔の電荷 注入輸送材料として慣用されて 、るものや EL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使 用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
[0099] 正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性の!/、ずれかを有するも のであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えばトリァゾール誘導体、ォキ サジァゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン 誘導体及びピラゾロン誘導体、フ 二レンジァミン誘導体、ァリールァミン誘導体、アミ ノ置換カルコン誘導体、ォキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルォレ ノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ァニリン系共重 合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチォフェンオリゴマー等が挙げられる。
[0100] 正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができる力 ポルフィリン化合物 、芳香族第三級ァミン化合物及びスチリルァミン化合物、特に芳香族第三級ァミン化 合物を用いることが好まし 、。
[0101] 芳香族第三級アミンィ匕合物及びスチリルアミンィ匕合物の代表例としては、 N, N, N
' , N,ーテトラフエ-ルー 4, 4,一ジァミノフエ-ル; N, N,ージフエ-ルー N, N,一ビス(3 メチルフエ-ル)—〔1, 1,ービフエ-ル〕 4, 4,ージァミン (TPD) ; 2, 2 ビス(4ージー P—トリルァミノフエ-ル)プロパン; 1 , 1—ビス(4—ジー p—トリルァミノフエ-ル)シクロへ キサン; N, N, Ν' , Ν,ーテトラー ρ—トリル 4, 4,ージアミノビフエニル; 1, 1 ビス(4 ジー ρ—トリルァミノフエ-ル) 4—フエ-ルシクロへキサン;ビス(4—ジメチルァミノ— 2— メチルフエ-ル)フエニルメタン;ビス(4—ジー ρ—トリルァミノフエ-ル)フエニルメタン; Ν , Ν,—ジフエ-ルー Ν, Ν,—ジ(4ーメトキシフエ-ル) 4, 4'—ジアミノビフエ-ル; Ν, Ν, Ν' , Ν,ーテトラフエ-ルー 4, 4'—ジァミノジフエ-ルエーテル; 4, 4'—ビス(ジフエ -ルァミノ)クオードリフエ-ル; Ν, Ν, Ν—トリ(ρ—トリル)ァミン; 4— (ジー ρ—トリルァミノ ) 4,—〔4— (ジー ρ—トリルァミノ)スチリル〕スチルベン; 4 Ν, Ν—ジフエ-ルァミノ—(2 —ジフエ-ルビ-ル)ベンゼン; 3—メトキシー 4,一 Ν, Ν—ジフエ-ルアミノスチルベンゼ ン; Ν フエ-ルカルバゾール、さらには、米国特許第 5, 061, 569号明細書に記載 されている 2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば 4, 4' ビス〔Ν—(1
ナフチル) N フエ-ルァミノ〕ビフエ-ル(NPD)、特開平 4 308688号公報に記 載されているトリフエ-ルァミンユニットが 3つスターバースト型に連結された 4, 4,, 4 ,,—トリス〔?^— (3—メチルフエ-ル) N フエ-ルァミノ〕トリフエ-ルァミン(MTD AT A)等が挙げられる。
[0102] さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖と した高分子材料を用いることもできる。
[0103] また、 p型 Si、 p型 SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使 用することができる。
[0104] この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キ ヤスト法、インクジェット法、 LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成す ることができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は 5nm— 50 OOnm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一 層構造であってもよい。
[0105] 《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料力 なり、広い意味で電子注入 層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層もしくは複数層を設 けることができる。
[0106] 従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣 接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料 (正孔阻止材料を兼ねる)としては、下 記の材料が知られて 、る。
[0107] さらに、電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有して いればよぐその材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用 いることがでさる。
[0108] この電子輸送層に用いられる材料 (以下、電子輸送材料という)の例としては、 -ト 口置換フルオレン誘導体、ジフヱ-ルキノン誘導体、チォピランジオキシド誘導体、ナ フタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリ デンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、ォキサジァゾール誘導 体などが挙げられる。さらに、上記ォキサジァゾール誘導体において、ォキサジァゾ
ール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として 知られて!/ヽるキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用い ることがでさる。
[0109] さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖と した高分子材料を用いることもできる。
[0110] また、 8 キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8 キノリノール)アルミ-ゥ ム(Alq)、トリス(5, 7—ジクロ口— 8—キノリノール)アルミニウム、トリス(5, 7—ジブ口モ— 8—キノリノール)アルミニウム、トリス(2—メチルー 8 キノリノール)アルミニウム、トリス( 5—メチルー 8—キノリノール)アルミニウム、ビス(8—キノリノール)亜鉛(Znq)など、及 びこれらの金属錯体の中心金属が In、 Mg、 Cu、 Ca、 Sn、 Ga又は Pbに置き替わつ た金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくは メタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基ゃスルホン酸基などで置換さ れているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材 料として例示したジスチリルビラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができ るし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、 n型 Si、 n型 SiCなどの無機半導体も電 子輸送材料として用いることができる。
[0111] この電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キ ヤスト法、インクジェット法、 LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成す ることができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は 5— 5000 nm程度である。この電子輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層 構造であってもよい。
[0112] 次に、本発明の有機 EL素子の構成層として用いられる、注入層について説明する
[0113] 《注入層》:電子注入層、正孔注入層
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と 発光層または正孔輸送層の間、及び、陰極と発光層または電子輸送層との間に存 在させてもよい。
[0114] 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる
層のことで、「有機 EL素子とその工業ィ匕最前線(1998年 11月 30日 ェヌ'ティー'ェ ス社発行)」の第 2編第 2章「電極材料」(123— 166頁)に詳細に記載されており、正 孔注入層(陽極バッファ一層)と電子注入層(陰極バッファ一層)とがある。
[0115] 陽極バッファ一層(正孔注入層)は、特開平 9 45479号公報、同 9— 260062号公 報、同 8— 288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタ口 シァニンに代表されるフタロシアニンバッファ一層、酸ィ匕バナジウムに代表される酸 化物バッファ一層、アモルファスカーボンバッファ一層、ポリア-リン(ェメラルディン) やポリチォフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファ一層等が挙げられる。
[0116] 陰極バッファ一層(電子注入層)は、特開平 6— 325871号公報、同 9— 17574号公 報、同 10— 74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチ ゥムゃアルミニウム等に代表される金属バッファ一層、フッ化リチウムに代表されるァ ルカリ金属化合物バッファ一層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属 化合物バッファ一層、酸ィ匕アルミニウムに代表される酸ィ匕物バッファ一層等が挙げら れる。
[0117] 上記バッファ一層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましぐ素材にもよるが、そ の膜厚は 0. lnm— lOOnmの範囲が好ましい。
[0118] この注入層は、上記材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インク ジェット法、 LB法等の公知の方法により、薄膜ィ匕することにより形成することができる 。注入層の膜厚については特に制限はないが、通常は 5— 5000nm程度である。こ の注入層は、上記材料の一種または二種以上力もなる一層構造であってもよい。
[0119] 《陽極》
本発明の有機 EL素子に係る陽極としては、仕事関数の大きい (4eV以上)金属、 合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用い られる。このような電極物質の具体例としては Au等の金属、 Cul、インジウムチンォキ シド (ITO)、 SnO、 ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、 IDIXO (In O -
2 2 3
ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの 電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィ 一法で所望の形状のパターンを形成してもよぐあるいはパターン精度をあまり必要
としない場合は(100 m以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所 望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場 合には、透過率を 10%より大きくすることが望ましぐまた、陽極としてのシート抵抗は 数百 Ω Ζ口以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよる力 通常 10— 1000nm、好 ましくは 10— 200nmの範囲で選ばれる。
[0120] 《陰極》
一方、本発明に係る陰極としては、仕事関数の小さい (4eV以下)金属 (電子注入 性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするも のが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム一力リウ ム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム Z銅混合物、マグネシウム Z銀混合物 、マグネシウム /アルミニウム混合物、マグネシウム Zインジウム混合物、アルミニウム Z酸ィ匕アルミニウム (Al O )混合物、インジウム、リチウム
2 3 Zアルミニウム混合物、希 土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の 点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金 属との混合物、例えばマグネシウム Z銀混合物、マグネシウム Zアルミニウム混合物 、マグネシウム Zインジウム混合物、アルミニウム Z酸ィ匕アルミニウム (Ai o )混合物
2 3
、リチウム Zアルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電 極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより、作製す ることができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百 Ω Ζ口以下が好ましぐ膜厚は 通常 10nm— 1000nm、好ましくは 50nm— 200nmの範囲で選ばれる。なお、発光 を透過させるため、有機 EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または 半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
[0121] 《基体 (基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機 EL素子に係る基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に 限定はなぐまた、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板と しては例えばガラス、石英、光透過性榭脂フィルムを挙げることができる。特に好まし V、基体は、有機 EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な榭脂フィルムである。
[0122] 榭脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフ
タレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエ ーテルケトン、ポリフエ-レンスルフイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(P
C)、セルローストリアセテート (TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP) 等力 なるフィルム等が挙げられる。
[0123] 榭脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイプリ ッド被膜が形成されていてもよぐ水蒸気透過率が 0. 01gZm2'day'atm以下の高 ノ リア性フィルムであることが好まし ヽ。
[0124] 本発明の有機エレクト口ルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し効 率は 1%以上であることが好ましぐより好ましくは 2%以上である。ここに、外部取り出 し量子効率 (%) =有機 EL素子外部に発光した光子数 Z有機 EL素子に流した電子 数 X 100である。
[0125] また、カラーフィルタ一等の色相改良フィルタ一等を併用してもよい。
[0126] 照明用途で用いる場合には、発光ムラを低減させるために粗面加工したフィルム( アンチグレアフィルム等)を併用することもできる。
[0127] 多色表示装置として用いる場合は少なくとも 2種類の異なる発光極大波長を有する 有機 EL素子カゝらなるが、有機 EL素子を作製する好適な例を説明する。
[0128] 《有機 EL素子の作製方法》
本発明の有機 EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層
Z発光層 Z正孔阻止層 Z電子輸送層 Z陰極バッファ一層 Z陰極からなる有機 EL 素子の作製法について説明する。
[0129] まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質力 なる薄膜を、 1 μ m 以下、好ましくは lOnm— 200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方 法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正 孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層等の有機化合物を含有する薄膜を形 成させる。
[0130] この有機化合物を含有する薄膜の薄膜ィ匕の方法としては、前記の如くスピンコート 法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られや すぐかつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法
が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採 用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボ ート加熱温度 50°C— 450°C、真空度 10— 6Pa— 10— 2Pa、蒸着速度 0. Olnm— 50η mZ秒、基板温度 50°C— 300°C、膜厚 0. lnm— 5 μ mの範囲で適宜選ぶことが 望ましい。
[0131] これらの層の形成後、その上に陰極用物質力もなる薄膜を、 1 μ m以下好ましくは 5 Onm— 200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリング等の方法に より形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機 EL素子が得られる。この有機 EL 素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが 好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても力まわない。その際、作業を 乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
[0132] 《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。
[0133] 本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは、多色表示装置について 説明する。多色表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面 に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる
[0134] 発光層のみパターユングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法 、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを 用いたパターユングが好まし 、。
[0135] また作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、 陽極の順に作製することも可能である。
[0136] このようにして得られた多色表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を + 、陰極を一の極性として電圧 2— 40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆 の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧 を印加する場合には、陽極が +、陰極が一の状態になったときのみ発光する。なお、 印加する交流の波形は任意でょ 、。
[0137] 多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることがで
きる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の 3種の有機 EL素子を 用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
[0138] 表示デバイス、ディスプレイとしてはテレビ、ノ ソコン、モパイル機器、 AV機器、文 字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生 する表示装置として使用してもよぐ動画再生用の表示装置として使用する場合の駆 動方式は単純マトリックス (パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式で もどちらでもよい。
[0139] 発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告 、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光 センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。
[0140] 《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。
[0141] 本発明の有機 EL素子に共振器構造を持たせた有機 EL素子として用いてもよぐこ のような共振器構造を有した有機 EL素子の使用目的としては光記憶媒体の光源、 電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられる 力 これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用 してちよい。
[0142] また、本発明の有機 EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使 用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクシヨン装置や、静止画像や動画 像を直接視認するタイプの表示装置 (ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生 用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス (パッシブマトリクス) 方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。または、異なる発光色を有する 本発明の有機 EL素子を 2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製す ることが可能である。
[0143] 以下、本発明の有機 EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する
[0144] 図 1は、有機 EL素子カゝら構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機 EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの
模式図である。
[0145] ディスプレイ 1は、複数の画素を有する表示部 A、画像情報に基づいて表示部 Aの 画像走査を行う制御部 B等力もなる。
[0146] 制御部 Bは、表示部 Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画 像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画 素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部 A に表示する。
[0147] 図 2は、表示部 Aの模式図である。
[0148] 表示部 Aは基板上に、複数の走査線 5及びデータ線 6を含む配線部と、複数の画 素 3等とを有する。表示部 Aの主要な部材の説明を以下に行う。
[0149] 図においては、画素 3の発光した光力 白矢印方向(下方向)へ取り出される場合 を示している。
[0150] 配線部の走査線 5及び複数のデータ線 6は、それぞれ導電材料からなり、走査線 5 とデータ線 6は格子状に直交して、直交する位置で画素 3に接続している(詳細は図 示していない)。
[0151] 画素 3は、走査線 5から走査信号が印加されると、データ線 6から画像データ信号を 受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑 領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラ 一表示が可能となる。
[0152] 次に、画素の発光プロセスを説明する。
[0153] 図 3は、画素の模式図である。
[0154] 画素は、有機 EL素子 10、スイッチングトランジスタ 11、駆動トランジスタ 12、コンデ ンサ 13等を備えている。複数の画素に有機 EL素子 10として、赤色、緑色、青色発 光の有機 EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行 うことができる。
[0155] 図 3において、制御部 B力もデータ線 6を介してスイッチングトランジスタ 11のドレイ ンに画像データ信号が印加される。そして、制御部 B力 走査線 5を介してスィッチン グトランジスタ 11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ 11の
駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ 13と駆動トランジ スタ 12のゲートに伝達される。
[0156] 画像データ信号の伝達により、コンデンサ 13が画像データ信号の電位に応じて充 電されるとともに、駆動トランジスタ 12の駆動がオンする。駆動トランジスタ 12は、ドレ インが電源ライン 7に接続され、ソースが有機 EL素子 10の電極に接続されており、ゲ 一トに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン 7から有機 EL素子 10に 電流が供給される。
[0157] 制御部 Bの順次走査により走査信号が次の走査線 5に移ると、スイッチングトランジ スタ 11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ 11の駆動がオフしてもコン デンサ 13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ 12 の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機 EL素子 1 0の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に 同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ 12が駆動して有機 E L素子 10が発光する。
[0158] すなわち、有機 EL素子 10の発光は、複数の画素それぞれの有機 EL素子 10に対 して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ 11と駆動トランジスタ 12を設けて 、複数の画素 3それぞれの有機 EL素子 10の発光を行っている。このような発光方法 をアクティブマトリクス方式と呼んで 、る。
[0159] ここで、有機 EL素子 10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号 による複数の階調の発光でもよ 、し、 2値の画像データ信号による所定の発光量の オン、才フでもよ!/、。
[0160] また、コンデンサ 13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持して もよ 、し、次の走査信号が印加される直前に放電させてもょ 、。
[0161] 本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査さ れたときのみデータ信号に応じて有機 EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の 発光駆動でもよい。
[0162] 図 4は、ノ ッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図 4において、複 数の走査線 5と複数の画像データ線 6が画素 3を挟んで対向して格子状に設けられ
ている。
[0163] 順次走査により走査線 5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線 5に接続 して ヽる画素 3が画像データ信号に応じて発光する。
[0164] ノ¾ /シブマトリクス方式では画素 3にアクティブ素子が無ぐ製造コストの低減が計れ る。
[0165] 本発明に係わる有機 EL材料は、また、照明装置として、実質白色の発光を生じる 有機 EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させ て混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青 色の 3原色の 3つの発光極大波長を含有させたものでも良いし、青色と黄色、青緑と 橙色等の補色の関係を利用した 2つの発光極大波長を含有したものでも良い。
[0166] また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または 蛍光で発光する材料を、複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光 材料と、発光材料力 の光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもの のいずれでも良いが、本発明に係わる白色有機エレクト口ルミネッセンス素子におい ては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。発光層もしくは正孔輸 送層或いは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分けるなど単 純に配置するだけでよぐ他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であ り、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば 電極膜を形成でき、生産性も向上する。この方法によれば、複数色の発光素子をァ レー状に並列配置した白色有機 EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
[0167] 発光層に用いる発光材料としては特に制限はなぐ例えば液晶表示素子における ノ ックライトであれば、 CF (カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するよ うに、本発明に係わる白金錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択し て組み合わせて白色化すれば良 、。
[0168] このように、本発明の白色発光有機 EL素子は、前記表示デバイス、ディスプレイ〖こ カロえて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また露光光源の ような一種のランプとして、また液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に 用いられる。
[0169] その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写 真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を 必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
実施例
[0170] 以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[0171] ここで、実施例 1一 6のいずれかにおいて用いられる発光ホスト材料、発光ドーパン ト、正孔阻止層の形成等に用いられる素材を示す。
CBP BCP
[0172]
比較 1 比較 2
[0173] 実施例 1
《有機 EL素子 OLED1— 1の作製》
陽極としてガラス上に ITOを 150nm成膜した基板 (NHテクノグラス社製: NA-45) にパター-ングを行った後、この ITO透明電極を設けた透明支持基板を iso—プロピ ルアルコールで超音波洗净し、乾燥窒素ガスで乾燥し、 UVオゾン洗浄を 5分間行つ た。
[0174] この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、 5つ
のタンタル製抵抗力卩熱ボートに、 α— NPD、 CBP、 Ir—12、 BCP、 Alqをそれぞれ入
3
れ、真空蒸着装置 (第 1真空槽)に取付けた。
[0175] 更に、タンタル製抵抗加熱ボートにフッ化リチウムを、タングステン製抵抗加熱ボー トにアルミニウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装置の第 2真空槽に取り付けた。
[0176] まず、第 1の真空槽を 4 X 10—4 Paまで減圧した後、 a NPDの入った前記加熱ボ ートに通電して加熱し、蒸着速度 0. InmZ秒一 0. 2nmZ秒で透明支持基板に膜 厚 25nmの厚さになるように蒸着し、正孔注入 Z輸送層を設けた。
[0177] さらに、 CBPの入った前記加熱ボートと Ir 12の入ったボートをそれぞれ独立に通 電して発光ホストである CBPと発光ドーパントである Ir~12の蒸着速度が 100 : 7にな るように調節し膜厚 30nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設けた。
[0178] ついで、 BCPの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度 0. InmZ秒 一 0. 2nmZ秒で厚さ lOnmの正孔阻止層を設けた。更に、 Alqの入った前記加熱
3
ボートを通電して加熱し、蒸着速度 0. 1-0. 2nmZ秒で膜厚 40nmの電子輸送層 を設けた。
[0179] 次に、前記の如く電子輸送層まで製膜した素子を真空のまま第 2真空槽に移した 後、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクが配置されるように装置 外部からリモートコントロールして設置した。
[0180] 第 2真空槽を 2 X 10—4 Paまで減圧した後、フッ化リチウム入りのボートに通電して蒸 着速度 0. OlnmZ秒一 0. 02nmZ秒で膜厚 0. 5nmの陰極バッファ一層を設け、 次いでアルミニウムの入ったボートに通電して蒸着速度 1 nmZ秒一 2nmZ秒で膜厚 150nmの陰極をつけた。さらにこの有機 EL素子を大気に接触させることなく窒素雰 囲気下のグローブボックス(純度 99. 999%以上の高純度窒素ガスで置換したグロ ーブボックス)へ移し、図 5に示したような内部を窒素で置換した封止構造にして、 OL ED1-1を作製した。なお、捕水剤である酸化バリウム 105は、アルドリッチ社製の高 純度酸化バリウム粉末を、粘着剤付きのフッ素榭脂系半透過膜 (ミクロテックス S-N TF8031Q 日東電工製)でガラス製封止缶 104に貼り付けたものを予め準備して使 用した。封止缶と有機 EL素子の接着には紫外線硬化型接着剤 107を用い、紫外線 ランプを照射することで両者を接着し封止素子を作製した。図 5において 101は透明
電極を設けたガラス基板、 102が前記正孔注入 Z輸送層、発光層、正孔阻止層、電 子輸送層等カゝらなる有機 EL層、 103は陰極を示す。
[0181] 《有機 EL素子 OLED1— 2— 1— 27の作製》
上記の有機 EL素子 OLED1— 1の作製において、表 1に記載のように、発光ドーパ ントを変更した以外は同様にして、有機 EL素子 OLED1— 2— 1—27を各々作製した
[0182] 得られた有機 EL素子 OLED1—1— 1—27の各々について下記のような評価を行つ た。
《有機 EL素子 OLED1— 36、 1—37の作製》
OLED1— 7、 OLED1— 16の作製において、発光ホストを CPBから AZ1に変更し た以外は、 OLED1— 7、 OLED1— 16と同様にして、それぞれ有機 EL素子 OLED1 —36、 1 37を各々作製した。
得られた有機 EL素子 OLED1— 1—1—27、 1 36、 1—37の各々について下記の ような評価を行った。
[0183] 《外部取り出し量子効率》
得られた有機 EL素子 OLED1—1— 1—27、 1 36、 1—37の各々の素子を室温(約 23°C— 25°C)、 2. 5mAZcm2の定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の 発光輝度 (L) [cdZm2]を測定することにより、外部取り出し量子効率( r? )を算出し た。ここで、発光輝度の測定は、 CS— 1000 (ミノルタ製)を用いた。
[0184] また、外部取り出し量子効率は、各々有機 EL素子 OLED1—1を 100とした時の相 対値で表した。
[0185] 《発光寿命》
有機 EL素子 OLED1— 1—1—27、 1 36、 1—37の各々の素子を室温下、 2. 5mA Zcm2の定電流条件下による連続点灯を行い、初期輝度の半分の輝度になるのに 要する時間( τ 1Z2)を測定した。また、発光寿命は、各々有機 EL素子 OLED1— 1 を 100とした時の相対値で表した。
[0186] 《色度差》
有機 EL素子 OLED1— 1—1—27、 1 36、 1—37の各々の素子を室温(約 23°C—
25°C)、 2. 5mAZcm2の定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の素子の 発光色の CIE色度( (X, y) = (a, b) )を測定し、 NTSC (modern)の青( (x, y) = (0
. 155, 0. 07) )との差を Δとして算出した。
[0187] ここで、 Δは、以下の式にしたがって求め、また、 CIE色度の測定は、 CS— 1000 (ミ ノルタ製)を用いた。
[0188] Δ = ( I 0. 155— a + | 0. 07— b | 2) 1/2
得られた結果を表 1に示す。
[0189] [表 1]
表 1から、有機 EL素子材料に用いる白金錯体の構造を、上記一般式 (3)と照らし 合わせてみた時に、 4p、 6pに少なくとも一つの電子供与性基を有する力、もしくは、
3p、 5pに少なくとも一つの電子吸引性基を有する白金錯体を有機 EL素子材料とし て用いて作製した有機 EL素子は、比較素子に比べて高い発光効率と、発光寿命の 長寿命化が達成できていることが明らかである。また、色純度も従来の素子に比べて 向上していることが分力つた。
[0191] 《有機 EL素子 OLED1— 28— 1— 35の作製》
上記の有機 EL素子 OLED1— 1の作製において、表 2に記載のように、発光ドーパ ントを変更した以外は同様にして、有機 EL素子 OLED1— 28— 1—35を各々作製し た。
[0192] 得られた有機 EL素子 OLED1— 28— 1— 35の各々についても、発光効率と発光寿 命を同様に測定した。外部取り出し量子効率、発光寿命は、各々有機 EL素子 OLE D1—1を 100とした時の相対値で表している。得られた結果を表 2に示す。
[0193] [表 2]
[0194] 表 2から、有機 EL素子材料として、 3ρから 6ρに少なくとも一つの電子供与性基を含 有する白金錯体を用いて作製した有機 EL素子は、比較素子に比べ、高い発光効率 と、発光寿命の長寿命化が達成できていることが明らかである。
[0195] 実施例 2
《有機 EL素子 OLED2— 1— 2— 25の作製》
実施例 1の有機 EL素子 OLED1— 1の作製において、発光ドーパントを Ir 12から I r 1に変更し、表 3に記載のように正孔阻止材料を用いた以外は同様にして、有機 E L素子 OLED2— 1— 2— 25を作製した。
[0196] 得られた有機 EL素子 OLED2— 1一 2— 25について、外部取り出し量子効率、発光 寿命の測定を実施例 1に記載の方法を用いて行った。
[0197] 評価結果を示すに当たり、有機 EL素子 OLED2— 1の値を 100としたときの有機 EL 素子各試料の各々の相対値で表した。得られた結果を表 3に示す。
[0198] [表 3]
[0199] 表 3より、比較の素子に比べて、本発明の素子は、高い発光効率と、発光寿命が得 られることがゎカゝつた。なお、本発明の有機 EL素子の発光色は全て緑色だった。
[0200] 実施例 3
《フルカラー表示装置の作製》
(青色発光素子の作製)
実施例 1の有機 EL素子 OLED 1— 7を青色発光素子として用 、た。
[0201] (緑色発光素子の作製)
実施例 1の有機 EL素子 OLED1— 7において、発光ドーパントを 1から Ir 1に変更 した以外は OLED1— 7と同様にして緑色発光素子を作成した。
[0202] (赤色発光素子の作製)
実施例 1の有機 EL素子 OLED1— 7において、発光ドーパントを 1から Ir 9に変更 した以外は OLED1— 7と同様にして赤色発光素子を作成した。
[0203] 上記で作製した、各々赤色、緑色、青色発光有機 EL素子を同一基板上に並置し、 図 1に記載のような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製 し、図 2には、作製した前記表示装置の表示部 Aの模式図のみを示した。即ち、同一 基板上に、複数の走査線 5及びデータ線 6を含む配線部と、並置した複数の画素 3 ( 発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走 查線 5及び複数のデータ線 6はそれぞれ導電材料からなり、走査線 5とデータ線 6は 格子状に直交して、直交する位置で画素 3に接続している(詳細は図示せず)。前記 複数画素 3は、それぞれの発光色に対応した有機 EL素子、アクティブ素子であるス イッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方 式で駆動されており、走査線 5から走査信号が印加されると、データ線 6から画像デ ータ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。この様に各赤、緑、 青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
[0204] 該フルカラー表示装置を駆動することにより、輝度が高ぐ高耐久性を有し、且つ、 鮮明なフルカラー動画表示が得られることが判った。
[0205] 実施例 4
《白色発光素子および白色照明装置の作製》
実施例 1の透明電極基板の電極を 20mm X 20mmにパターユングし、その上に実 施例 1と同様に正孔注入/輸送層として α— NPDを 25nmの厚さで製膜し、さらに、 CBPの入った前記加熱ボートと本発明化合物 2の入ったボートおよび Ir 9の入った ボートをそれぞれ独立に通電して発光ホストである CBPと発光ドーパントである本発 明化合物 2および Ir~9の蒸着速度が 100 : 5 : 0. 6になるように調節し膜厚 30nmの 厚さになるように蒸着し、発光層を設けた。
[0206] ついで、 BCPを lOnm製膜して正孔阻止層を設けた。更に、 Alqを 40nmで製膜し
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電子輸送層を設けた。
[0207] 次に、実施例 1と同様に、電子注入層の上にステンレス鋼製の透明電極とほぼ同じ
形状の正方形穴あきマスクを設置し、陰極バッファ一層としてフッ化リチウム 0. 5nm 及び陰極としてアルミニウム 150nmを蒸着製膜した。
[0208] この素子を実施例 1と同様な方法および同様な構造の封止缶を具備させ平面ラン プを作製した。図 6に平面ランプの模式図を示した。図 6 (a)に平面模式を図 6 (b)に 断面模式図を示す。
[0209] この平面ランプに通電したところほぼ白色の光が得られ、照明装置として使用でき ることがわかった。
産業上の利用可能性
[0210] 本発明により、白金錯体の配位子であるフヱ-ルビリジンの特定の位置への置換基 導入により発光波長が制御された、化合物設計されたりん光性の青色発光素子材料 を用いて、高い発光効率を示し、且つ、発光寿命の長い有機 EL素子、照明装置及 び表示装置を提供することが出来る。