冷却シートおよび冷却容器
技術分野
[0001] 本発明は、冷却シート、特に、穿刺時の痛みを緩和することができる冷却シートおよ び冷却容器に関する。
背景技術
[0002] 医療の現場において、医療行為を遂行する上で必要不可欠な行為の 1つとして、 注射針等を患者に穿刺するという行為がある。かかる行為としては、例えば、静脈留 置針の穿刺、硬膜外麻酔や脊椎麻酔等の各種麻酔のための穿刺、神経ブロックの ための穿刺、および小児に対する予防接種のための穿刺等が挙げられる。
[0003] 穿刺時には疼痛を生じるが、この疼痛を緩和することは、患者を苦痛から解放する という点で、極めて重要な要素である。また、このことは、医師および看護師等の医療 従事者が作業を円滑に進行させるという点でも、重要である。
[0004] 従来、上記のような穿刺時の疼痛を緩和するための手段としては、例えば、局所麻 酔剤を含有するテープ剤が知られている(例えば、特開 2000-319168号公報参照 。;)。力かるテープ剤を穿刺に先立って穿刺予定部位に貼付し、局所麻酔剤による麻 酔作用により穿刺予定部位の痛覚を麻痺させる。これにより、穿刺予定部位に穿刺 が行われると、穿刺時の穿刺部位における疼痛が緩和される。
[0005] し力しながら、特開 2000-319168号公報に力かるテープ剤は、穿刺予定部位に 貼付した状態で、局所麻酔剤を皮下に浸透させなければ、その効果 (作用)が得られ ないため、短時間で効果を発現させることが困難である。例えば、充分な麻酔作用、 すなわち疼痛緩和効果を得るには、穿刺前に 2— 3時間貼付しておくことが必要であ る。
発明の開示
[0006] 本発明の目的は、例えば穿刺時等における痛み (疼痛)を簡便に緩和することがで きる冷却シートおよび冷却容器を提供することにある。
[0007] このような目的は、下記(1)一(38)の本発明により達成される。
[0008] (1)互いに隔離され、必要時に連通可能な第 1の空間および第 2の空間を有する 袋体と、
前記第 1の空間に収納された第 1の物質と、
前記第 2の空間に収納され、前記第 1の物質と接触することにより吸熱反応を生じる 第 2の物質とを有する冷却シートであって、
前記袋体は、折り曲げられることにより仕切部が形成され、該仕切部によって前記 第 1の空間と前記第 2の空間とが互いに隔離されていることを特徴とする冷却シート。
[0009] (2)前記袋体は、前記仕切部において、対向する外面同士の一部が接着または融 着されることにより、前記第 1の空間と前記第 2の空間との隔離状態が維持されている 上記(1)に記載の冷却シート。
[0010] (3)前記袋体は、前記仕切部が挟持部材により挟持されることにより、前記仕切部 での内面同士の密着性を向上させて、前記第 1の空間と前記第 2の空間との隔離状 態が維持されて 、る上記(1)または(2)に記載の冷却シート。
[0011] (4)前記袋体は、前記仕切部の幅が他の部分よりも狭くなつている上記(1)ないし(
3)のいずれか一つに記載の冷却シート。
[0012] (5)前記仕切部は、前記袋体が少なくとも 2回以上折り曲げられることにより形成さ れて 、る上記(1)な 、し (4)の!、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0013] (6)前記仕切部は補強層を有する上記(1)な 、し (5)の 、ずれか一つに記載の冷 却シート。
[0014] (7)前記袋体を折り曲げた状態で対向する外面の少なくとも一方に設けられ、前記 袋体を生体表面に固定するための第 1の粘着剤層を有する上記(1)ないし (6)のい ずれか一つに記載の冷却シート。
[0015] (8)前記第 1の粘着剤層は、薬剤を含有している上記(7)に記載の冷却シート。
[0016] (9)前記薬剤は、消毒薬である上記(8)に記載の冷却シート。
[0017] (10)前記薬剤は、局所麻酔剤である上記(8)または(9)に記載の冷却シート。
[0018] (11)前記第 1の粘着剤層が、前記袋体を折り曲げた状態で対向する外面の双方 に設けられており、一方の粘着剤層における前記薬剤は、止血剤を含むものである 上記(8)な 、し( 10)の 、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0019] (12)使用前の状態で、前記第 1の粘着剤層の少なくとも一部を覆う剥離シートを有 する上記(7)な 、し(11)の!、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0020] (13)前記第 1の粘着剤層は、その厚さがほぼ一定である上記(1)ないし(12)のい ずれか一つに記載の冷却シート。
[0021] (14)前記第 1の粘着剤層は、その平均厚さが 10 m— 10mmである上記(1)ない し( 13)の 、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0022] (15)前記第 1の粘着剤層は、その平面視での面積が 10— 40cm2である上記(1) な!、し( 14)の!、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0023] (16)前記袋体を折り曲げた状態で対向する外面と反対側の外面の少なくとも一方 に設けられ、前記袋体を使用状態に固定するための第 2の粘着剤層を有する上記(
1)ないし( 15)の 、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0024] (17)使用前の状態で、前記第 2の粘着剤層の少なくとも一部を覆う剥離シートを有 する上記(16)に記載の冷却シート。
[0025] (18)生体表面に貼着した状態で、前記第 1の物質と前記第 2の物質とによる吸熱 反応により、前記生体表面の温度を 5— 20°Cに 5分以上の間、保持し得るものである 上記( 1)な 、し( 17)の 、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0026] (19)生体表面の穿刺予定部位に貼着して、前記生体表面を冷却し、穿刺時の疼 痛を緩和するために用 、るものである上記( 1)ないし( 18)の 、ずれか一つに記載の 冷却シート。
[0027] (20)前記袋体を折り曲げた状態で前記袋体の端部同士を固定する固定部材を有 して 、る上記( 1)ないし( 19)の 、ずれか一つに記載の冷却シート。
[0028] (21)容器本体と、該容器本体に変位可能に装着された蓋体とを備える容器と、 前記容器本体と前記蓋体とで画成される空間を、前記蓋体側の第 1の空間と前記 容器本体側の第 2の空間とに隔離する仕切部と、
前記第 1の空間に収納された第 1の物質と、
前記第 2の空間に収納され、前記第 1の物質と接触することにより吸熱反応を生じる 第 2の物質と、
前記蓋体の前記第 1の空間側の面に設けられ、前記蓋体を前記容器本体に対して
変位させる操作を行うことにより、前記仕切部による前記第 1の空間と前記第 2の空間 との隔離状態を解除し得る解除部材とを有することを特徴とする冷却容器。
[0029] (22)前記仕切部は、易破裂性シートで構成されている上記(21)に記載の冷却容
[0030] (23)前記蓋体は、前記容器本体に螺合により装着され、
前記解除部材は、針体またはブレードで構成され、
前記蓋体を前記容器本体に対して相対的に回転させることにより、前記解除部材と 前記易破裂性シートとを接近させて、前記易破裂性シートを破裂させるよう構成され て 、る上記(22)に記載の冷却容器。
[0031] (24)前記蓋体の前記第 1の空間側の面には、その少なくとも縁部付近に弾性部材 が設けられている上記(23)に記載の冷却容器。
[0032] (25)前記蓋体は、弾性を有し、
前記解除部材は、針体で構成され、
前記蓋体を前記容器本体に向かって押圧することにより、前記解除部材と前記易 破裂性シートとを接近させて、前記易破裂性シートを破裂させるよう構成されて ヽる 上記(22)に記載の冷却容器。
[0033] (26)前記仕切部は、貫通孔が形成された一対の仕切板を重ねて構成されている 上記(21)に記載の冷却容器。
[0034] (27)前記蓋体は、前記容器本体に螺合により装着され、
前記蓋体を前記容器本体に対して相対的に回転させることにより、前記解除部材 が回転し、前記解除部材の回転により、前記一対の仕切板のうち前記蓋体側のもの を回転させて、前記一対の仕切板の前記貫通孔同士を連通させるよう構成されて ヽ る上記(26)に記載の冷却容器。
[0035] (28)前記一対の仕切板のうち前記蓋体側の仕切板は、突起部を有し、
前記突起部を前記解除部材が押すことによって、前記蓋体側の前記仕切板が回 転する上記(26)に記載の冷却容器。
[0036] (29)前記蓋体の前記第 1の空間側の面には、その少なくとも縁部付近に弾性部材 が設けられて 、る上記(27)または(28)に記載の冷却容器。
[0037] (30)前記第 1の空間および前記第 2の空間の少なくとも一方に収納されたビーズ を有する上記(21)な 、し (29)の 、ずれか一つに記載の冷却容器。
[0038] (31)前記容器本体の前記蓋体と反対側の面に設けられ、前記容器を生体表面に 固定するための粘着剤層を有する上記(21)ないし(30)のいずれか一つに記載の 冷却容器。
[0039] (32)前記粘着剤層は、その厚さがほぼ一定である上記(31)に記載の冷却容器。
[0040] (33)前記粘着剤層は、その平均厚さが 10 m— 10mmである上記(32)に記載 の冷却容器。
[0041] (34)前記粘着剤層は、その平面視での面積が 10— 40cm2である上記(31)ない し(33)の 、ずれか一つに記載の冷却容器。
[0042] (35)前記粘着剤層は、薬剤を含有している上記(31)ないし(34)のいずれか一つ に記載の冷却容器。
[0043] (36)前記薬剤は、消毒薬である上記(35)に記載の冷却容器。
[0044] (37)使用前の状態で、前記粘着剤層を覆う剥離シートを有する上記 (31)ないし(
36)の 、ずれか一つに記載の冷却容器。
[0045] (38)前記生体表面に接触させた状態で、前記第 1の物質と前記第 2の物質とによ る吸熱反応により、前記生体表面の温度を 5— 20°Cに 5分以上の間、保持し得るもの である上記(21)な 、し (37)の 、ずれか一つに記載の冷却容器。
[0046] (39)前記生体表面の穿刺予定部位に接触させることにより、該穿刺予定部位を冷 却し、穿刺時の疼痛を緩和するために用いられるものである上記(21)な 、し (38)の
V、ずれか一つに記載の冷却容器。
[0047] 本発明によれば、穿刺に先立って穿刺予定部位を冷却して、優れた疼痛緩和効果 を発揮することができるので、穿刺時における疼痛を簡便に緩和することができる。
[0048] また、穿刺予定部位の冷却により、極めて短時間に、優れた疼痛緩和効果を得て、 穿刺時における疼痛を緩和できる。
[0049] 本発明によれば、目的部位を効率よく冷却することができる。このため、例えば、注 射針等による穿刺に先立って、生体表面の穿刺予定部位を冷却しておくことにより、 極めて効果的に穿刺時の疼痛を緩和することができる。
[0050] また、粘着剤層を設けることにより、目的部位に固定することができ、その部位の冷 却をより容易かつ確実に行うことができる。
[0051] また、この粘着剤層に種々の薬剤を含有することにより、薬剤の種類に応じた各種 効果も期待できる。
発明を実施するための最良の形態
[0052] I.以下、本発明の冷却シートの好適実施形態について説明する。
[0053] <第 1実施形態 >
まず、本発明の冷却シートの第 1実施形態について説明する。
[0054] 図 1は、本発明の冷却シートの第 1実施形態を示す平面図(内部透過図)、図 2は、 図 1中の A— A線断面図、図 3は、図 1に示す冷却シートを拡げた状態を示す平面図 、図 4は、図 1の冷却シートの使用状態を図 2に対応する断面で示す図である。なお、 以下では、図 1中の上側を「上」、下側を「下」とし、図 2中の上側を「上」、下側を「下」 とし、図 3中の上側を「上」、下側を「下」とし、図 4中の左側を「上」、右側を「下」として 説明する。
[0055] これらの図に示すように、冷却シート 1は、 2種の物質を収納した袋体 2と、袋体 2の 外面に設けられた第 1の粘着剤層 3および第 2の粘着剤層 4とを有している。
[0056] この冷却シート 1は、生体表面(以下、「皮膚」で代表する。 )に対する穿刺に先立つ て、第 1の粘着剤層 3で穿刺予定部位およびその周辺部位を覆うように皮膚に貼着( 装着)して使用され、穿刺予定部位を冷却するものである。これにより、穿刺時の痛み (疼痛)を緩和することができる。
[0057] 袋体 2は、後述するようなシート材を融着 (または接着)により、所望のパターンにシ ールしてなるものである。これにより、袋体 2の外周部等には、帯状のシール部 20が 形成されている。
[0058] この袋体 2は、図 3に示す状態からほぼ中央部で 2つに折り曲げられることにより仕 切部 23が形成され、未使用時 (使用前)にあっては、図 1および図 2に示すような状 態となつている。
[0059] これにより、袋体 2内は、図 2に示すように、仕切部 23によって内部空間が 2分され て、隣接する第 1の空間 21および第 2の空間 22に区画されている。すなわち、使用
前の袋体 2は、図 2における左側に第 1の空間 21、右側に第 2の空間 22が形成され 、これらの空間が、前記折り曲げにより形成された仕切部 (折曲部) 23によって互い に隔離されている。
[0060] 本実施形態では、図 3に示すように、前述のシール部 20は、仕切部 23およびその 近傍部における幅 t力 他の部分の幅 tよりも広くなつている。これにより、仕切部 23
1 2
を伸ばして第 1の空間 21と第 2の空間 22とを連通させる際に、仕切部 23およびその 近傍部に比較的大きな力が加わっても、シール部 20の破損を防止することができる
[0061] また、シール部 20は、仕切部 23およびその近傍部おける接着強度が他の部分より も高いのが好ましい。これによつても、前述と同様に、シール部 20の破損を防止する ことができる。
[0062] 仕切部 23は、袋体 2を図 3に示す状態からほぼ中心部である第 1の折曲部 23Aで 上下 2つに折り曲げられることにより形成されるものである。これにより、仕切部 23は、 袋体 2の内部空間を、隣接する第 1の空間 21および第 2の空間 22に区画している。 これらの区画状態は、第 1の空間 21および第 2の空間 22に収納される物質 (第 1の 物質、第 2の物質)にもよるが、液密または気密であるのが好ましい。
[0063] 本実施形態では、図 1および図 2において袋体 2の下部が第 1の折曲部 23Aおよ び第 2の折曲部 23Bにて 2重に折り曲げられて、仕切部 23が形成されている。これに より、第 1の空間 21と第 2の空間 22との間の気密性 (液密性)の向上が図られるととも に、未使用時 (使用前)に第 1の空間 21と第 2の空間 22とが不本意に連通するのが 防止される。
[0064] なお、仕切部 23は、袋体 2を第 1の折曲部 23Aにて 1回折り曲げることのみで形成 されるものであってもよく、また、袋体 2を 3回以上折り曲げることによって形成されるも のであってもよい。例えば、図 5に示すように、袋体 2の下部が第 1の折曲部 23A、第 2の折曲部 23B、および第 3の折曲部 23Cにて 3重に折り曲げられて (折り込まれて) 、仕切部を形成することができる。これにより、第 1の空間 21と第 2の空間 22との間の 気密性 (液密性)がより向上されるとともに、未使用時 (使用前)に第 1の空間 21と第 2 の空間 22とが不本意に連通するのがより確実に防止される。なお、図 5は、袋体 2の
仕切部の他の例を示す拡大断面図である。
[0065] また、仕切部 23は、袋体 2の対向する内面同士が弱シールなどにより補助的にシ ールされていてもよい。このような補助的なシールは、袋体 2を叩くなどして容易に破 断され、第 1の空間 21と第 2の空間 22とを連通させることができる。
[0066] このような袋体 2は、使用時に、図 1および図 2に示す状態から、図 3に示す状態へ 変移させることにより、仕切部 23による前記隔離が解除されて、第 1の空間 21と第 2 の空間 22とが連通する。
[0067] また、このような袋体 2は、ー且、第 1の空間 21と第 2の空間 22とを連通状態とした 後に、再度、隔離状態とすることができる。すなわち、第 1の空間 21と第 2の空間 22と の連通および隔離を可逆的に行 、得る。
[0068] このため、例えば、ー且、冷却作業を中止したい場合には、後述の第 1の物質 5と 第 2の物質 6とが完全に混合する前に、第 1の空間 21と第 2の空間 22とを隔離状態 に復帰させておくことにより、後ほど改めて冷却作業 (穿刺作業)を再開することがで き、便利である。
[0069] 第 1の空間 21には、第 1の物質 5が、第 2の空間 22には、第 2の物質 6が、それぞれ 収納されている。
[0070] 第 1の物質 5と第 2の物質 6とは、接触することにより吸熱反応を生じるものである。
本発明は、この吸熱反応を冷却手段として用いて、穿刺予定部位を冷却する。
[0071] この冷却シート 1は、吸熱反応により、皮膚 (穿刺予定部位)の温度を 5°C— 20°Cに 5分以上の間、保持し得るものであるのが好ましぐ 7°C— 18°Cに 7分以上の間、保 持し得るものがより好ましい。このような条件を満足することにより、穿刺予定部位を効 果的に冷却し、冷却シート 1を穿刺予定部位より剥離した後であっても、穿刺による 疼痛を効果的に緩和することができる。
[0072] なお、冷却温度が低過ぎると、穿刺予定部位が過度に冷却されて、凍傷を起こす おそれがあり、また、過度の冷却により疼痛を引き起こすおそれがある。一方、冷却 温度が高過ぎると、穿刺時の疼痛緩和効果を充分に得ることができな 、おそれがあ る。
[0073] また、持続時間 (保持時間)が短過ぎると、穿刺予定部位が充分に冷却されず、穿
刺時の疼痛緩和効果を充分に得ることができない場合がある。
[0074] 第 1の物質 (水剤) 5としては、第 2の物質 6と接触して吸熱反応を生じるものであれ ば、特に限定されず、水の他、例えば、マイクロカプセルィ匕水や、炭酸ナトリウム 10水 和物、硫酸ナトリウム 10水和物、リン酸ナトリム 12水和物、リン酸水素ナトリウム 12水 和物、亜硫酸ナトリウム 7水和物、ケィ酸ナトリウム 9水和物、四ホウ酸ナトリウム 10水 和物、硫酸アルミニウム 18水和物、硝酸アルミニウム 9水和物、塩化カルシウム 6水 和物、水酸化バリウム 8水和物、硝酸クロム 9水和物、硝酸鉄(III) 9水和物等の 含水化合物等が挙げられ、これらのうちの 1種または 2種以上を組み合わせて用いる ことができる。これらの中でも、特に、第 1の物質 5としては、水、水酸化バリウム 8水和 物を主成分とするものが好ましぐ水酸化バリウム 8水和物を主成分とするものがより 好ましい。力かる第 1の物質 5を用いることにより、より短時間で冷却効果を発現させる ことができる。
[0075] また、第 1の物質 5の形態としては、例えば、液状、固体状、ゲル状等のいかなるも のであってもよい。
[0076] 第 1の物質 5として固体状などのものを用いた場合、第 1の空間 21と第 2の空間 22 との間を完全な液密性 (気密性)で封止しなくても、未使用時 (使用前)に、第 1の物 質 5と第 2の物質 6との不本意な反応を防止することができる。
[0077] また、第 1の物質 5として固体状やゲル状などのものを用いた場合、第 1の物質 5を 粉末状、燐片状、小塊状 (ペレット状)にすると、使用時に、第 2の物質 6との混合が 容易になり、溶解速度を高めることができ、その結果、さらに短時間で冷却効果を発 現させることができる。かかる点から、特に、第 1の物質 5を粉末状にするのが好まし い。
[0078] 第 1の物質 5が粉末状である場合、その平均粒径は、特に限定はされないが、 1 μ m— 3mmであるのが好ましぐ 50 m— lmmであるのがより好ましい。第 1の物質 5 の平均粒径が前記下限値未満であると、飛散性が高くなつて、調整が煩雑になる。 一方、第 1の物質 5の平均粒径が前記上限値を超えると、第 2の物質 6との混合性が 低くなつて、十分な冷却効果 (疼痛緩和効果)が得られな力つたり、冷却シートを貼着 してから、疼痛緩和効果が期待できる状態となるまでに長時間を要し、即効性が期待
できなくなったりする。
[0079] 第 1の物質 5として液状のものを用いた場合、使用時に、第 2の物質 6との混合が容 易になり、溶解速度を高めることができ、その結果、さらに短時間で冷却効果を発現 させることがでさる。
[0080] 一方、第 2の物質 (寒剤) 6としては、第 1の物質 5と接触して吸熱反応を与えるもの であれば、特に制限されないが、例えば、硝酸アンモニゥム、硝酸カリウム、硝酸ナト リウム、チォシアン酸銀、ホウ酸、塩化アンモ-ゥム、炭酸アンモ-ゥム、アジ化アンモ 二ゥム、亜硝酸アンモニゥム、シアン酸アンモニゥム、リン酸アンモニゥム 3水和物、チ オシアン酸アンモ-ゥム、四ホウ酸ナトリウム 10水和物、リン酸水素ナトリウム 12水和 物、 1ーァスパラギン酸、サリチル酸、シユウ酸 2水和物、硝酸グァ-ジン、硝酸尿素、 亜硝酸ナトリウム、尿素、力ルバミン酸アンモン、炭酸アンモ-ゥム、硝酸カルシウム、 結晶塩ィ匕カルシウム、硫酸マグネシウム、チォシアン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸 ナトリウム、硫酸アンモ-ゥム、リン酸水素二アンモ-ゥム、メタバナジン酸アンモ-ゥ ム、臭化アンモ-ゥム、ヨウ化アンモ-ゥム等が挙げられ、これらの中でも、特に、第 2 の物質 6としては、硝酸アンモ-ゥム、塩化アンモ-ゥム、およびチォシアン酸アンモ 二ゥムを主成分とするものが好ましぐ硝酸アンモニゥムを主成分とするもがより好まし い。力かる第 2の物質 6を用いることにより、より短時間で冷却効果を発現させることが できる。
[0081] また、第 2の物質 6の形態 (形状)としては、例えば、粉末状、燐片状、小塊状 (ペレ ット状)などの固体状のいかなるものであってもよいが、特に、粉末状のものを用いる のが好ましい。これにより、第 1の物質 5との混合が容易になり、溶解速度を高めること ができ、その結果、さらに短時間で冷却効果を発現させることができる。
[0082] 第 2の物質 6が粉末状である場合、その平均粒径は、特に限定はされな 、が、 : L m— 3mmであるのが好ましぐ 50 m— lmmであるのがより好ましい。第 2の物質 6 の平均粒径が前記下限値未満であると、飛散性が高くなつて、調整が煩雑になる。 一方、第 2の物質 6の平均粒径が前記上限値を超えると、第 1の物質 5との混合性が 低くなつて、十分な冷却効果 (疼痛緩和効果)が得られな力つたり、冷却シートを貼着 してから、疼痛緩和効果が期待できる状態となるまでに長時間を要したり、即効性が
期待できなくなる。
[0083] また、第 1の物質 5および第 2の物質 6には、例えば使用感を向上させることや、持 続した冷却効果を得ること等を目的して、ゲル化剤や重合体等を添加してもよ 、。
[0084] ゲル化剤としては、特に限定されな 、が、例えば、アミド系化合物の繰り返し単位を 主たる繰り返し単位とする重合体架橋物が好適に用いられる。
[0085] このアミド系化合物としては、例えば、 N ビュルホルムアミド、 N ビュルァセトアミド
、 N—メチルー N ビュルホルムアミド、 N—メチルー N ビュルァセトアミド等が挙げられ る。
[0086] 一方、重合体としては、特に限定されな!、が、例えば、アラビアガム、トラガントガム 、ローカストビーンガム、グァーガム、エコーガム、カラャガム、寒天、デンプン、力ラゲ ナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)、アルギン酸プロピレ ングリコール、デキストラン、デキストリン、アミロース、ゼラチン、コラーゲン、プルラン 、ぺクチン、アミロぺクチン、スターチ、アミロぺクチンセミグリコール酸ナトリウム、キチ ン、アルブミン、カゼインのような天然の重合体、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸 、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ 、カルボシキメチルスターチ、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金 属セルロース硫酸塩、セルロースラフ重合体、架橋ゼラチン、セルロースアセテートフ タレート、デンプンーアクリル酸グラフト重合、無水フタル酸変性ゼラチン、コハク酸変 性ゼラチンなどの半合成重合体、ポリビュルアルコール、ポリビュルピロリドン、ポリビ -ルメチルエーテル、メチルビ-ルエステル、ポリアクリル酸塩(例えばポリアクリル酸 ソーダ)カルボキシビ-ルポリマー、ビュルピロリドン アクリル酸ェチル共重合体、ビ -ルピロリドン スチレン共重合体、ビュルピロリドン 酢酸ビュル共重合体、ポリビ- ルアセテート (メタ)アクリル酸共重合体、ポリビュルアセテート クロトン酸共重合体 、酢酸ビュル (メタ)アクリル酸共重合体、 N -ビニルァセトアミド単独重合体、酢酸ビ 二ルーク口トン酸共重合体、ポリビュルスルホン酸、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシェチ ルアタリレート、ポリアクリルアミド、スチレン マレイン酸無水物共重合体、アクリルアミ ドーアクリル酸共重合体のような合成の重合体等が挙げられ、これらのうちの 1種また は 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0087] 袋体 2 (好ましくは袋体 2全体)は、水蒸気バリヤ一性を有するのが好ましい。ここで 、水蒸気ノ リヤー性とは、水蒸気透過度が、好ましくは 30gZm
2' 24hrs' 25 μ m厚 '40°C ' 90%RH以下、ょり好ましくは10
8 !11
2'
25 μ m
厚 · 40°C · 90%RH以下、さらに好ましくは lgZm2 · 24hrs · 25 μ m厚 ·
40°C ' 90%RH以下であることを言う。この水蒸気透過度は、 JIS K7129 (A法)に 記載の方法により測定される。
[0088] 第 1の物質 5と第 2の物質 6との組み合わせには、液状 固体状、固体状 固体状、 及びゲル状 固体状の組み合わせが挙げられる。なかでも、固体状は粉末状のもの が最も好ましい。
[0089] また、第 1の物質 5の第 1の空間 21への充填量は、第 1の空間 21全体に充填するこ ともできるし、部分的に充填してもよい。
[0090] 同様に、第 2の物質 6の第 2の空間 22への充填量は、第 2の空間 22全体に充填す ることもできるし、部分的に充填してもよい。空間全体に充填すると、第 1の物質と第 2 の物質の量が大きくできるので、冷却効果が大きぐ又は長時間維持できる。一方、 部分的に充填すると、第 1の物質と第 2の物質が混ざり易くなり、急冷が可能となる。
[0091] このように袋体 2が水蒸気バリヤ一性を有することにより、袋体 2の内部への水蒸気 の侵入や、第 1の物質 5として水を主成分とするものを用いる場合には、第 1の空間 2 1からの水分の蒸散が防止できる。
[0092] その結果、未使用時 (使用前)に、第 2の空間 22内への水蒸気の侵入により、第 2 の物質 6と水分との間に、吸熱反応が生じることを防止することができる。
[0093] また、第 1の物質 5として水を主成分とするものを用いる場合、その減少、濃縮を防 止することができるとともに、第 1の物質 5の量が必要最少限の量で済み、冷却シート ェ全体の容積や質量を小さくすることができる。また、袋体 2の外部からの第 2の空間 22内への水蒸気の侵入も防止することができる。
[0094] 袋体 2を構成するシート材 (フィルム)、特に前記水蒸気バリヤ一性を有するシート 材としては、柔軟かつ充分な強度を有し、内部に収納された物質が漏出しないもの であればよぐ特に限定されないが、例えば、スチレン系榭脂(例えば、ポリスチレン、 ブタジエン スチレン共重合体、アクリロニトリル スチレン共重合体、アクリロニトリル
ブタジエン スチレン共重合体など)、 ABS榭脂、 AES榭脂、 AAS榭脂、ポリエチレ ン、ポリプロピレン、エチレン プロピレン榭脂、エチレン ェチルアタリレート榭脂、ポ リ塩化ビュル、ポリ塩ィ匕ビユリデン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポ リフエ-レンォキシド、ポリメチルメタタリレート、飽和ポリエステル榭脂(例えば、ポリ乳 酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールと ジカルボン酸の縮合物など)、ポリアミド榭脂、フッ素榭脂、ポリサルフォン、ポリエー テルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーのような 熱可塑性榭脂、ウレタン系榭脂、エポキシ系榭脂、フエノール系榭脂、ユリア榭脂、メ ラミン榭脂、不飽和ポリエステル榭脂のような熱硬化性榭脂等の単層フィルム、これら のフィルムにアルミニウム、シリカ等を蒸着したもの、アルミニウムフィルム、アルミ-ゥ ムラミネートフィルム等の金属箔または金属箔を含むフィルムを使用することができる 。さらには、これら各フィルムを 2層以上積層したものを用いることもできる。これにより 、袋体 2の柔軟性等を向上させることができる。
[0095] また、シート材の選択にあたっては、低温状態にお!ヽても柔軟性に優れるものを選 択するのが好ましい。さらには、ヒートシール性を有し、簡単に融着 (熱融着、超音波 融着、高周波融着)が可能なものを選択することが好ましい。
[0096] 袋体 2を構成するシート材 (単層または多層積層体)の厚さは、その層構成や用い る素材の特性 (柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、 特に限定されるものではないが、通常は、 10— 1000 m程度であるのが好ましぐ 6 0— 700 μ m程度であるのがより好ましぐ 100— 500 μ m程度であるのがさらに好ま しい。
[0097] このような袋体 2を構成するシート材は、例えば、インフレーション法、 Tダイ法、ブロ 一成型法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、共押出インフレーション法、共 押出 Tダイ法、ホットプレス法等の種々の方法により製造することができる。
[0098] 袋体 2の平面視での形状は、特に限定されず、種々の目的に応じて適宜設定する ことができ、図 1に示すような正方形 (略正方形)の他、例えば、長方形 (略長方形)、 円形、楕円形等が挙げられる。
[0099] なお、袋体 2の平面視での形状を正方形とする場合には、その一辺の長さが好まし
くは 32— 63mm程度とされ、例えば円形とする場合には、その直径が好ましくは 35 一 71mm程度とされる。
[0100] 未使用時 (使用前)に袋体 2の対向する外面の一方、すなわち袋体 2を折り曲げた 状態で対向する外面の一方(図 2おいて袋体 2の右側の外面)には、第 1の粘着剤層 3が、例えば融着ゃ接着剤による接着等により固着(固定)されている。第 1の粘着剤 層 3は、使用時に皮膚に冷却シート 1を固定する機能を有する。これにより、使用時に 冷却シート 1が皮膚力 不本意に離脱するのが防止される。
[0101] また、本実施形態では、第 1の粘着剤層 3は、図 2において袋体 2の前記対向する 外面の一方の最下部にまで達している。すなわち、第 1の粘着剤層 3は、袋体 2の前 記対向する外面のうちの一方の外面おいて、第 1の空間 21、第 2の空間 22に対応す る部分のみならず、仕切部 23に対応する部分まで達している。これにより、未使用時 (使用前)に仕切部 23が折り曲げられた状態により確実に保持される。
[0102] なお、仕切部 23を折り曲げた状態に保持する手段は、袋体 2の折り曲げた部分 (仕 切部 23)において、対向する面同士の一部が接着または融着されることにより、第 1 の空間 21と第 2の空間 22との隔離状態が維持されるものであれば、前述のものに限 られない。ここで、「接着」とは、接着剤を媒介として化学的若しくは物理的な力又は その両者によって 2つの面が結合した状態を指し、熱や溶剤を使わずに常温でわず 力な力を加えることにより結合した状態である「粘着」を含む概念をいう。また、「融着」 は、材料自体を溶融させて結合した状態をいう。
[0103] 例えば、袋体 2の外面の第 1の粘着剤層 3と反対側の外面、すなわち図 2において 袋体 2を折り曲げた状態で第 1の空間 21に対し左側および第 2の空間 22に対し右側 の外面に粘着剤や接着剤などを付着させることによつても、仕切部 23を折り曲げた 状態に保持することが可能である。前記接着や前記融着は簡単に解除できる程度の もの(弱接着または弱シール)であるのが好ましい。すなわち、前記接着または前記 融着は、袋体 2の両端を把持して引っ張ることにより、折り曲げた状態が解除される程 度であることが好ましい。
[0104] この第 1の粘着剤層 3には、上記機能を発揮できる粘着力を有するものであれば、 特に限定されないが、皮膚力も冷却シート 1を引き剥がす際に、痛みを感じない程度
の粘着力のものが好適に使用される。
[0105] 第 1の粘着剤層 3に用いる粘着剤としては、このような粘着特性を有するものであれ ばよぐ特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル重合体、カルボキシメチル セルロースナトリウム、スチレン イソプレン スチレンブロック共重合体、天然ゴム、ビ -ルエーテル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリジメチルシロキサン、メタクリル 酸エステル重合体等力 選ばれる 1種または 2種以上をベースポリマーとする感圧性 接着剤が挙げられ、これらのうちの 1種または 2種以上を組み合わせて用いることが できる。
[0106] また、第 1の粘着剤層 3は、皮膚に直接接触するため、皮膚に対する刺激が少なく
、安全性に優れるものであることが好ましい。特に、第 1の粘着剤層 3は、皮膚からの 剥離後にその皮膚に残留しにく 、ものであることが好ま 、。
[0107] なお、第 1の粘着剤層 3は、粘着性 (接着性)の調整や安全性の向上等を目的とし て、必要な添加剤、例えば安定剤、粘着性付与剤、顔料、染料等カゝら選ばれる 1種ま たは 2種以上を含有して 、てもよ 、。
[0108] このような第 1の粘着剤層 3は、その厚さがほぼ一定であるのが好ましい。これにより
、穿刺予定部位を均一に冷却することができるようになる。
[0109] 具体的には、第 1の粘着剤層 3の平均厚さは、特に限定されないが、 m— 10 mm程度であるのが好ましぐ 100 m— 5mm程度であるのがより好ましい。これによ り、穿刺予定部位に対する冷却効果を優れたものとしつつ、皮膚力 冷却シート 1の 不本意な離脱を防止することができる。
[0110] なお、第 1の粘着剤層 3の厚さを比較的厚くすることにより、穿刺予定部位が必要以 上に冷却されること (過冷却)を防止する効果を発揮させることもできる。
[0111] また、第 1の粘着剤層 3の平面視での面積 (皮膚への接触面積)は、 10— 40cm2程 度であるのが好ましぐ 15— 30cm2程度であるのがより好ましい。第 1の粘着剤層 3 の大きさを前記範囲とすることにより、穿刺予定部位を充分に冷却することができると ともに、取扱いが簡便となる。
[0112] このような第 1の粘着剤層 3は、薬剤を含有していてもよい。この薬剤としては、各種 のものがあるが、特に、殺菌 ·消毒薬や局所麻酔薬が好適であり、これらのうちの少な
くとも 1種を用いることができる。
[0113] 薬剤として殺菌'消毒剤を用いると、穿刺時の穿刺予定部位における感染の防止 効果が発揮され、穿刺前における殺菌 ·消毒を簡略ィ匕することができる。
[0114] 殺菌.消毒薬としては、例えば、クロロブタノール、エチルアルコール、塩化ベンザ ルコ-ゥム、アタリノール、イソプロパノール、ゲラ-オール変性アルコール、チォ硫酸 ナトリウム、ダルコン酸クロルへキシジン、ポピドンョード、ヨードチンキ等が挙げられる
。これらの中でも、特に、ダルコン酸クロルへキシジン、あるいはチォ硫酸ナトリウムと ゲラニン変性アルコールの合剤が好適である。
[0115] 薬剤として局所麻酔薬を用いると、穿刺時における疼痛緩和効果がより効果的に 発揮される。
[0116] 局所麻酔薬としては、例えば、リドカイン、プロ力イン、テトラカイン、ジブ力イン、メピ ノ カイン、プリロカイン、ブピバ力イン、ァミノ安息香酸ェチル等が挙げられる力 、特 に、リドカインが好適である。
[0117] さらに、疼痛緩和効果を向上させる観点から、第 1の粘着剤層 3は、前述した薬剤 以外の他の薬剤を含有してもよい。カゝかる薬剤としては、本発明の目的の達成に効 果的に寄与するものであれば、特に限定されない。
[0118] なお、前述の説明では、袋体 2を折り曲げた状態で対向する面(図 2における袋体 2 の第 1の空間 21対し右側の外面と、第 2の空間 22に対し左側の外面)の一方に第 1 の粘着剤層 3が設けられている力 前記対向する面の双方に粘着剤層が設けられて いてもよい。
[0119] 前記対向する面の双方に粘着剤層が設けられている場合、一方の粘着剤層が、薬 剤として止血剤を含むものであるのが好ましい。これにより、止血剤を含む粘着剤層 を穿刺後の皮膚に接触させることで、穿刺部位を冷却しつつ、止血を行うことができ る。また、このような場合、他方の粘着剤層 (第 1の粘着剤層 3)には、止血剤を含有さ せず前述の消毒薬や局所麻酔剤を含有させ、穿刺前には、この粘着剤層を穿刺予 定部位に接触させて冷却シートを使用するとよい。
[0120] 止血剤としては、例えば、ゼラチン、セルロース、トロンビンまたはトロンビン様物質、 フイブリンモノマー、フイブリノ一ゲン、ビタミン 、血液凝固第 VIII因子、血液凝固第
IX因子、へモコアダラーゼ (蛇毒製剤)等が挙げられる。
[0121] さらに、冷却シート 1は、その未使用時 (使用前)に、第 1の粘着剤層 3を保護する剥 離シート 7を有している。
[0122] この剥離シート 7を設けることにより、使用時まで、第 1の粘着剤層 3を細菌やウィル ス等の微生物から保護する機能や、第 1の粘着剤層 3の粘着性の低下を防止する機 能が発揮される。
[0123] このような剥離シート 7としては、種々のものを用いることができ、特に限定されない 1S 例えば、アルミニウム、セルロース、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等 のフィルムや、これらが積層された多層フィルム等を用いることができる。
[0124] また、剥離シート 7には、その第 1の粘着剤層 3側の面(図 2中、右面)に、例えば、 シリコン、界面活性剤またはフルォロカーボン等による表面処理や、凹凸加工 (ェン ボス加工)等を施したり、剥離シート 7中に必要な添加剤を添加したりなどしてもよ ヽ。 これにより、剥離シート 7の第 1の粘着剤層 3からの剥離性を所望のものに調整するこ とがでさる。
[0125] 剥離シート 7の平均厚さは、特に制限されないが、例えば、 10— 100 /z m程度であ るのが好ましぐ 25— 75 μ m程度であるのがより好ましい。
[0126] なお、剥離シート 7を設けずに、袋体 2の未使用時 (使用前)における対向する外面 のうちの第 1の粘着剤層 3が設けられている面と反対側の面に、第 1の粘着剤層 3を 粘着させてもよい。この場合、袋体 2の当該面に、前述した剥離シート 7のような剥離 性を付与するのが好ましい。これにより、当該面が剥離シート 7と同様の機能を発揮 するとともに、未使用時 (使用前)に袋体 2を図 1および図 2に示すような折り曲げ状態 に保持することができる。
[0127] また、袋体 2の未使用時 (使用前)における対向する外面と反対側の外面には、第 2 の粘着剤層 4が取り付けられている。第 2の粘着剤層 4は、例えば融着ゃ接着剤によ る接着等により袋体 2の外面に固着(固定)されている。
[0128] この第 2の粘着剤層 4は、使用の際 (穿刺予定部位に冷却シート 1を貼着する際)に 、袋体 2を未使用時 (使用前)と逆に折り曲げて前述の第 1の粘着剤層 3を外側にした 状態で、袋体 2の前記反対側の外面同士を張り合わせることにより、前記状態を保持
する機能を有する。
[0129] 第 2の粘着剤層 4としては、前述の第 1の粘着剤層 3と同様のものを用いることがで きるが、特に、前記機能を発揮する程度の粘着力を有するものが好適に用いられる。
[0130] さらに、冷却シート 1は、その未使用時 (使用前)に、第 2の粘着剤層 4を保護する剥 離シート 8を有している。
[0131] この剥離シート 8を設けることにより、使用時まで、第 2の粘着剤層 4の粘着性の低 下を防止する機能が発揮される。
[0132] このような剥離シート 8としては、前述の剥離シート 7と同様のものを用いることができ る。
[0133] さらに、冷却シート 1は、未使用時 (使用前)に袋体 2を図 1および図 2に示すように 折り曲げた状態に固定するための固定部材 10が設けられている。この固定部材 10 は、使用時には簡単に取り外すことができるようになつている。これにより、使用時に 前記折り曲げた状態を解除することができる。
[0134] 本実施形態では、固定部材 10として粘着テープを用いており、この粘着テープが 袋体 2の端部(図 1および図 2における上端部)同士を固定している。なお、固定部材 10としては、前述した固定機能を発揮するものであれば、前述の粘着テープに限ら れず、例えば、後述の狭持部材 9のようなものであってもよい。
[0135] なお、以上述べたシートある 、は後述する冷却容器にお!、て、袋体 2の仕切部 23 には、隔離状態の維持及び容易な復元力を得る目的で、仕切部 23にさらにラミネ一 トによる補強を施してもよい。すなわち、袋体 2の仕切部 23に補強層を設けてもよい。 この場合、補強層は、袋体 2を構成する 2枚のシート材の一方または両方に設けられ る。袋体 2を構成する 2枚のシート材としては、皮膚に接する側の内側シート材とその 反対側の外側シート材カゝら構成されるが、保温性の観点より、補強層は外側シート材 に設けることが好ましい。
[0136] また、冷却の速効性を得る目的で袋体 2のシート材の厚みを薄くして熱伝導率を高 めるために、ラミネートされた補強層は仕切部 23だけでなく仕切部 23に直交するよう に帯状の補強を袋体 2の両端まで施してもよい。または、補強層は仕切部 23だけで なくて袋体 2の四隅を対角線で結ぶように設けてもよい。さらには、袋体 2のシート材
全面に設けてもよい。
[0137] 補強層に用いるフィルムとしては、袋体 2のシート材よりも強度が高いものを用いるこ とができる。その材料としては、特に制限はなぐ例えば、ポリエステル系榭脂フィルム 、ポリアミド系榭脂フィルム、ポリプロピレン系榭脂フィルム、ポリオレフインフィルム、ポ リ塩ィ匕ビュルフィルム、ァセタール系榭脂フィルムなどが挙げられる。特に、復元性な どを考えた場合、ポリエステル系榭脂フィルム、ポリアミド榭脂フィルムが好ましい。上 記フィルムの厚さとしては、任意である力 通常、 5— 100 m力 S好ましく、特に 10— 30 mが望ましい。
[0138] ラミネート用接着剤としては、一般に用いられているものが使用でき、ビュル系(メタ
)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ 系、ゴム系などが挙げられ、特に、ウレタン系が好ましい。
[0139] 以上説明したような冷却シート 1は、例えば、次のようにして使用することができる。
[0140] まず、袋体 2の両端部(図 1、 2における上部)をそれぞれ把持し、袋体 2を、図 1、 2 に示す状態から、図 3に示す状態にして、仕切部 23を伸ばす。これにより、袋体 2の 第 1の空間 21と第 2の空間 22とを連通させる。
[0141] 次に、第 1の物質 5と第 2の物質 6とを充分に接触させ、これらを反応させる。
[0142] 次に、第 1の物質 5と第 2の物質 6との吸熱反応の発生を確認した後、剥離シート 8 を剥離する。
[0143] 次に、図 4に示すように、袋体 2を使用前と逆側に折り曲げ、第 2の粘着剤層 4により 袋体 2の外面同士を張り合わせる。これにより、袋体 2は、図 4に示すような状態に保 持される。
[0144] 次に、剥離シート 7を剥離し、第 1の粘着剤層 3が穿刺予定部位 S1を覆い、かつ、 穿刺予定部位 S1に接触するように皮膚 Sに貼着する。これにより、穿刺予定部位 S1 が第 1の物質 5と第 2の物質 6との吸熱反応により冷却される。
[0145] 次に、穿刺予定部位 S1が充分に冷却されたことを確認した後、冷却シート 1を皮膚 Sから剥離する。
[0146] その後に、前記冷却された穿刺予定部位 S1に対し、注射針などの穿刺が行われる 。このとき、穿刺予定部位 S1は、充分に冷却されていて、穿刺予定部位 S1における
痛覚が麻痺しているため、穿刺にともなう痛み (疼痛)が緩和される。
[0147] このように、冷却シート 1を用いることにより、穿刺時の痛みを緩和することができる。
[0148] また、穿刺予定部位だけを選択的に冷却することができるので、不必要な部位を冷 却してしまうことも防止することができる。
[0149] さらに、第 1の粘着剤層 3に、各種薬剤を含浸しておくことにより、薬剤の種類に基 づく効果が発揮され、穿刺時における疼痛をより効果的に緩和することができる。
[0150] また、袋体 2の大きさをより小さく(特に、薄型化)することにより、よりコンパクトなもの とすることができるとともに、コストの低減を図ることができる。
[0151] また、冷却スプレーにより穿刺予定部位を冷却する場合に比べて、穿刺予定部位 の冷却を緩除に行うことができるため、急激な冷却によるショックの危険性を回避する ことができ、安全性が高い。
[0152] なお、冷却スプレーによる方法を用いる場合には、冷却効果の持続時間が比較的 短 、こと、冷却剤 (ガス成分)が可燃性や麻酔作用を有して 、るものが多 、ことから、 取扱いを慎重に行う必要があること、スプレー缶中の冷却剤の残量を確認することが 困難であること、また、使用後には空き缶の処理が面倒であること等の不都合が多い
[0153] これに対して、本発明によれば、これらの不都合が生じず、穿刺時における疼痛を 極めて簡単に緩和することができるという利点がある。
[0154] 以上説明したような冷却シート 1において、仕切部 23の構成は、袋体 2を折り曲げる ことにより第 1の空間と第 2の空間とを互いに隔離できるものであれば、図示の構成の ものに限定されず、様々な変形や、構成の付加が可能である。
[0155] <第 2実施形態 >
次に、本発明に冷却シートの第 2実施形態について説明する。
[0156] 図 6は、本発明の冷却シートの第 2実施形態を示す平面図、図 7は、図 6中の B— B 線断面図である。なお、以下では、図 6中の上側を「上」、下側を「下」とし、図 7中の 上側を「上」、下側を「下」として説明する。
[0157] 以下、第 2実施形態の冷却シートを説明するが、前記第 1実施形態の冷却シートと の相違点を中心に説明し、同様の事項に関しては、その説明を省略する。
[0158] 第 2実施形態の冷却シート 1 'は、袋体 2'の形状と第 2の粘着剤層 4を設ける位置と が異なっているとともに、袋体 2'の折り曲げ状態を保持する構成が付加されており、 それ以外は、前記第 1実施形態の冷却シートと同様である。
[0159] 図 6および図 7に示す冷却シート 1 'は、袋体 2'の折り曲げ部分が他の部分よりも狭 くなつている。
[0160] すなわち、袋体 2'は、その下部おいて、第 1の空間 21と第 2の空間 22との連通路 の幅が他の部分よりも狭くなつている。そして、袋体 2'の前記連通路が折り曲げられ ることにより仕切部 23'を形成して、第 1の空間 21と第 2の空間 22とを互いに隔離し ている。
[0161] これにより、第 1の物質 5と第 2の物質 6とを徐々に接触させることができ、冷却効果 をより長時間持続させたり、冷却温度を調整したりなどすることができる。
[0162] また、このような仕切部 23'は、その両側力も狭持部材 9により狭持されている。これ により、袋体 2'の仕切部 23'における内面同士の密着性が向上する。その結果、第 1の空間 21と第 2の空間 22との隔離状態が保持され、使用前における第 1の空間 21 と第 2の空間 22との不本意な連通が防止される。
[0163] この狭持部材 9は、使用時に袋体 2から簡単に取り外せるよう、袋体 2に対して着脱 自在になっている。これにより、使用時には、第 1の空間 21と第 2の空間 22とを簡単 に連通状態とすることができる。
[0164] 本実施形態では、狭持部材 9は、図 7における紙面に平行な断面がコの字状をなし ていて、袋体 2'の仕切部 23'を狭持することが可能となっている。具体的には、袋体 2'の仕切部 23'がその下方力も狭持部材 9内に挿入されることにより、仕切部 23'が 狭持部材 9によって狭持される。
[0165] なお、狭持部材 9の構成は、袋体 2の仕切部 23'を狭持してその状態を維持できる ものであれば、前述のものに限定されない。例えば、狭持部材は、図 6おいて袋体 2' がその左右方向力も挿入されるようなものであってもよい。また、狭持部材は、図 6お V、て仕切部 23 'の左右方向全域にわたらず、仕切部 23 'の一部を狭持するものであ つてもよい。
[0166] また、図 6および図 7に示す冷却シート 1 'は、第 2の粘着剤層 4および剥離シート 8
が袋体 2の上部に取り付けられている。これにより、使用時に、袋体 2'を使用前と逆 側に折り曲げた状態でより安定的に保持することができる。
[0167] 本実施形態では、図 6に示すように、袋体 2'のシール部 20'は、仕切部 23'および その近傍部における幅 T 1S 他の部分の幅 Tよりも広くなつている。これにより、仕切
1 2
部 23 'を伸ばして第 1の空間 21と第 2の空間 22とを連通させる際や、これらの空間内 の物質を混合させる際に、仕切部 23'およびその近傍部に比較的大きな力が加わつ ても、シール部 20'の破損を防止することができる。特に、本実施形態では、袋体 2' の仕切部 23'の幅が他の部分よりも狭くなつていて、前記混合の際に仕切部 23'お よびその近傍部に比較的大きな負荷が力かるため、このような構成とすることが効果 的である。
[0168] また、シール部 20'は、仕切部 23'およびその近傍部おける接着強度が他の部分 よりも高いのが好ましい。これによつても、前述と同様に、シール部 20'の破損を防止 することができる。
[0169] 以上、本発明の冷却シートを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、 これに限定されるものではない。
[0170] 例えば、本発明では、前記第 1実施形態および前記第 2実施形態の構成を組み合 わせることもできる。すなわち、前記第 1実施形態において、前記第 2実施形態と同 様に、仕切部 23を狭持部材によって狭持するようにしてもよぐまた、第 2の粘着剤層 4を袋体 2の上部に設けてもよい。
[0171] また、本発明の冷却シートを構成する各部は、同様の機能を発揮する任意の構成 のものに置換することができ、また、任意の構成を追加することもできる。
[0172] また、前述の第 1実施形態および第 2実施形態では、使用時に袋体を使用前と逆 側に折り曲げる例を説明したが、第 1の空間と第 2の空間との連通後に再び使用前と 同じように折り曲げて冷却シートを使用することもできる。この場合、使用時に冷却シ ートが皮膚と接触する側の袋体の面に第 1の粘着剤層を設けるようにする。
[0173] 前述の第 1実施形態および第 2実施形態では、冷却シートを、注射針穿刺時の疼 痛を緩和することを主たる目的とするものとして説明したが、本発明の冷却シートの適 用対象として、注射剤の種類、注射部位等は特に限定されるものではなぐ本発明は
種々の注射に対してその疼痛を緩和することが可能である。
[0174] 本発明の対象となる注射の種類としては、例えば、静脈留置針穿刺、硬膜外麻酔、 脊椎麻酔、神経ブロック、各種予防接種、インスリン自己注射等が挙げられる。
[0175] また、近年では局所冷却が月経時の痙攣の軽減、頭痛、関節痛、打撲、脱毛、擦 過創の処置、および筋膜のトリガーポイント治療など、種々の痛みの軽減にも使用さ れていることから、本発明の冷却シートをこれらに適用することも可能である。さらに、 痛み防止だけでなぐ麻酔のレベルチ ックや出血防止などにも使用できる。
[0176] II.以下、本発明の冷却容器の好適実施形態について説明する。
[0177] <第 1実施形態 >
図 8は、本発明の冷却容器の第 1実施形態を示す平面図(内部透視図)、図 9は、 図 8中の C C線断面図、図 10は、蓋体が容器本体に対して変位した状態を示す縦 断面図である。なお、以下では、図 8中紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」とし、図 9中の上側を「上」、下側を「下」とし、図 10中の上側を「上」、下側を「下」として説明 する。
[0178] これらの図に示すように、冷却容器 101は、 2種の物質を収納した収納容器 102と、 収納容器 102の下面に設けられた粘着剤層 105とを有して 、る。
[0179] この冷却容器 (冷却体) 101は、例えば穿刺操作に先立って、生体表面 (以下、「皮 膚」で代表する。)の穿刺予定部位を冷却しておき、これにより、穿刺時の痛み (疼痛
)を緩和することを目的として使用されるものである。
[0180] 収納容器 102は、容器本体 128と、この容器本体 128に接近し得るよう(変位可能) に装着された蓋体 129とを備えている。
[0181] 容器本体 128は、有底筒状の部材で構成されている。容器本体 128の側壁部は、 ほぼ円筒状をなし、その上側外面にネジ溝 281が刻設されている。このネジ溝 281と
、後述する蓋体 129のネジ山 291とが螺合し、蓋体 129が容器本体 128に装着され る。
[0182] また、容器本体 128の側壁部内面には、その高さ方向の途中および上端部に、そ れぞれ、第 1の突出部 282と第 2の突出部 283とが設けられている。各突出部 282、 2 83は、それぞれ、例えばリング状に形成されている。第 1の突出部 282には、後述す
る易破裂性シート (仕切部) 108が固定(固着)されている。
[0183] 蓋体 129も、有底筒状の部材で構成されている。蓋体 129の側壁部は、ほぼ円筒 状をなし、その下側内面に、前記ネジ溝 281に螺合するネジ山 291が刻設されてい る。
[0184] このような構成により、蓋体 129を容器本体 128に対して相対的に回転させることに より、蓋体 129を容器本体 128に接近させることができる。
[0185] 蓋体 129の天井部内面 (後述する第 1の空間 121側の面)には、その中央部に針 体 (解除部材) 106を固定するための固定部 292が設けられている。この固定部 292 に対して、針体 106が、例えば、融着、接着剤による接着、嵌合、カシメ等の方法に より固定されている。
[0186] 針体 106は、先端 (図 9中下端)に鋭利な針先を備えており、この針先を易破裂性 シート 108に接触させることにより、易破裂性シート 108を破裂 (破断)させることがで きる。
[0187] なお、針体 106は、蓋体 129と一体的に形成されたものであってもよい。
[0188] また、蓋体 129の天井部内面 (後述する第 1の空間 121側の面)には、その縁部に 弾性部材 129が設けられている。この弾性部材 129は、例えば、リング状に形成され ている。このような構成とすることにより、蓋体 129を容器本体 128に対して相対的に 回転させて、蓋体 129と容器本体 128とが近接した際の、収納容器 102の液密性ま たは気密性を高めることができる。
[0189] 易破裂性シート (仕切部) 108は、図 9に示すように、前述した第 1の突出部 282に その縁部が固定(固着)されている。これにより、収納容器 102の内部空間 120を、隣 接する第 1の空間 121および第 2の空間 122に区画している。これらの区画状態は、 第 1の空間 121および第 2の空間 122に収納される物質 (第 1の物質 103、第 2の物 質 104)にもよるが、液密または気密であるのが好ましい。このような易破裂性シート 1 08を構成する材料としては、特に限定されず、周知のものを適宜用いることができ、 例えば、アルミニウム、セルロース、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフ イルムや、これらが積層された多層フィルム等を用いることができる。
[0190] このような容器本体 128は、使用時に、図 9に示す状態から、図 10に示す状態へ変
移させることにより、易破裂性シート 108による前記隔離が解除されて、第 1の空間 1
21と第 2の空間 122とが連通する。
[0191] 第 1の空間 121には、第 1の物質 103が、第 2の空間 122には、第 2の物質 104が、 それぞれ収納されている。
[0192] 第 1の物質 103と第 2の物質 104とは、接触することにより吸熱反応を生じるもので ある。本発明は、この吸熱反応を冷却手段として用いて、穿刺予定部位を冷却する。 なお、本明細書中において、吸熱反応とは、化学構造の変化をともなうようなものに 限らず、溶解等によるものも含む。
[0193] この冷却容器 101は、吸熱反応により、皮膚 (穿刺予定部位)の温度を 5°C— 20°C に 5分以上の間、保持し得るものであるのが好ましぐ 7°C— 18°Cに 7分以上の間、保 持し得るものがより好ましい。このような条件を満足することにより、穿刺予定部位を効 果的に冷却し、冷却容器 101を穿刺予定部位より剥離した後であっても、穿刺による 疼痛を効果的に緩和することができる。
[0194] なお、冷却温度が低過ぎると、穿刺予定部位が過度に冷却されて、凍傷を起こす おそれがあり、また、過度の冷却により疼痛を引き起こすおそれがある。一方、冷却 温度が高過ぎると、穿刺時の疼痛緩和効果を十分に得ることができな 、おそれがあ る。
[0195] また、持続時間 (保持時間)が短過ぎると、穿刺予定部位が充分に冷却されず、穿 刺時の疼痛緩和効果を充分に得ることができない場合がある。
[0196] 第 1の物質 (寒剤) 103としては、後述する第 2の物質 104と接触して吸熱反応を与 えるものであれば、特に制限されず、例えば、硝酸アンモニゥム、硝酸カリウム、硝酸 ナトリウム、チォシアン酸銀、ホウ酸、塩ィ匕アンモ-ゥム、炭酸アンモ-ゥム、アジ化ァ ンモニゥム、亜硝酸アンモニゥム、シアン酸アンモニゥム、リン酸アンモニゥム 3水和物 、チォシアン酸アンモ-ゥム、四ホウ酸ナトリウム 10水和物、リン酸水素ナトリウム 12 水和物、 1ーァスパラギン酸、サリチル酸、シユウ酸 2水和物、硝酸グァニジン、硝酸尿 素、亜硝酸ナトリウム、尿素、力ルバミン酸アンモン、炭酸アンモ-ゥム、硝酸カルシゥ ム、結晶塩ィ匕カルシウム、硫酸マグネシウム、チォシアン酸カリウム、炭酸カリウム、硫 酸ナトリウム、硫酸アンモ-ゥム、リン酸水素二アンモ-ゥム、メタバナジン酸アンモ-
ゥム、臭化アンモ-ゥム、ヨウ化アンモ-ゥム等が挙げられ、これらのうち、 1種または 2 種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、第 1の物質 103と しては、硝酸アンモ-ゥム、塩化アンモ-ゥム、およびチォシアン酸アンモ-ゥムを主 成分とするものが好ましぐ硝酸アンモ-ゥムを主成分とするもがより好ましい。かかる 第 1の物質 103を用いることにより、より短時間で冷却効果を発現させることができる。
[0197] また、第 1の物質 103として、 2種以上のものを用いた場合、一方が冷却効果として 即効性の高いもので、他方が持続性の高いものを用いることにより、短時間での冷却 効果の発現と、長時間の冷却効果の維持を図ることできる。
[0198] また、第 1の物質 103の形態 (形状)としては、例えば、粉末状、燐片状、小塊状 (ぺ レット状)等のいかなるものであってもよいが、特に、粉末状のものを用いるのが好まし い。これにより、第 2の物質 104との混合が容易になり、溶解速度を高めることができ 、その結果、さらに短時間で冷却効果を発現させることができる。
[0199] 第 1の物質 103が粉末状である場合、その平均粒径は、特に限定はされないが、 1
/z m— 3mmであるのが好ましぐ 50 m— lmmであるのがより好ましい。第 1の物質 103の平均粒径が前記下限値未満であると、飛散性が高くなつて、調整が煩雑にな る。一方、第 1の物質 103の平均粒径が前記上限値を超えると、第 2の物質 104との 混合性が低くなつて、十分な冷却効果 (疼痛緩和効果)が得られな力つたり、冷却容 器を貼着してから、疼痛緩和効果が期待できる状態となるまでに長時間を要したり、 即効性が期待できなくなる。
[0200] 一方、第 2の物質 (水剤) 104としては、上述した第 1の物質 103と接触して吸熱反 応を生じるものであれば、特に限定されず、水の他、例えば、マイクロカプセルィ匕水 や、炭酸ナトリウム 10水和物、硫酸ナトリウム 10水和物、リン酸ナトリム 12水和物、リ ン酸水素ナトリウム 12水和物、亜硫酸ナトリウム 7水和物、ケィ酸ナトリウム 9水和物、 四ホウ酸ナトリウム 10水和物、硫酸アルミニウム 18水和物、硝酸アルミニウム 9水和 物、塩化カルシウム 6水和物、水酸化バリウム 8水和物、硝酸クロム 9水和物、硝酸鉄 (III) 9水和物等の含水化合物等が挙げられ、これらのうちの 1種または 2種以上を組 み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、第 2の物質 104としては、水、 水酸化バリウム 8水和物を主成分とするものが好ましぐ水酸化バリウム 8水和物を主
成分とするものがより好ましい。力かる第 2の物質 104を用いることにより、より短時間 で冷却効果を発現させることができる。
[0201] また、第 2の物質 104の形態としては、例えば、液状、固体状、ゲル状等のいかなる ものであってもよい。
[0202] 例えば、第 2の物質 104として固体状などのものを用いた場合、第 1の空間 121と第 2の空間 122との間を完全な液密性 (気密性)で封止しなくても、未使用時 (使用前) に、第 1の物質 103と第 2の物質 104との不本意な反応を防止することができる。
[0203] また、例えば、第 2の物質 104として固体状やゲル状などのものを用いた場合、第 2 の物質 104を粉末状、燐片状、小塊状 (ペレット状)にすると、使用時に、第 1の物質 3との混合が容易になり、溶解速度を高めることができ、その結果、さらに短時間で冷 却効果を発現させることができる。かかる点から、特に、第 2の物質 104を粉末状にす るのが好ましい。
[0204] 第 2の物質 4が粉末状である場合、その平均粒径は、特に限定はされないが、 1 μ m— 3mmであるのが好ましぐ 50 m— lmmであるのがより好ましい。第 2の物質 1 04の平均粒径が前記下限値未満であると、飛散性が高くなつて、調整が煩雑になる 。一方、第 2の物質 104の平均粒径が前記上限値を超えると、第 1の物質 103との混 合性が低くなつて、十分な冷却効果 (疼痛緩和効果)が得られな力つたり、冷却容器 を貼着してから、疼痛緩和効果が期待できる状態となるまでに長時間を要し、即効性 が期待できなくなったりする。
[0205] 第 2の物質 104として液状のものを用いた場合、使用時に、第 1の物質 103との混 合が容易になり、溶解速度を高めることができ、その結果、さらに短時間で冷却効果 を発現させることができる。
[0206] また、第 1の物質 103および第 2の物質 104には、例えば使用感を向上させること や、持続した冷却効果を得ること等を目的して、ゲル化剤や重合体 (ポリマー)等を添 カロしてちょい。
[0207] ゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、アミド系化合物の繰り返し単位を 主たる繰り返し単位とする重合体架橋物が好適に用いられる。
[0208] このアミド系化合物としては、例えば、 N—ビュルホルムアミド、 N—ビュルァセトアミド
、 N—メチルー N ビュルホルムアミド、 N—メチルー N ビュルァセトアミド等が挙げられ る。
[0209] 一方、重合体としては、特に限定されな!、が、例えば、アラビアガム、トラガントガム 、ローカストビーンガム、グァーガム、エコーガム、カラャガム、寒天、デンプン、力ラゲ ナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)、アルギン酸プロピレ ングリコール、デキストラン、デキストリン、アミロース、ゼラチン、コラーゲン、プルラン 、ぺクチン、アミロぺクチン、スターチ、アミロぺクチンセミグリコール酸ナトリウム、キチ ン、アルブミン、カゼインのような天然の重合体、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸 、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ 、カルボシキメチルスターチ、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金 属セルロース硫酸塩、セルロースラフ重合体、架橋ゼラチン、セルロースアセテートフ タレート、デンプンーアクリル酸グラフト重合、無水フタル酸変性ゼラチン、コハク酸変 性ゼラチンなどの半合成重合体、ポリビュルアルコール、ポリビュルピロリドン、ポリビ -ルメチルエーテル、メチルビ-ルエステル、ポリアクリル酸塩(例えばポリアクリル酸 ソーダ)カルボキシビ-ルポリマー、ビュルピロリドン アクリル酸ェチル共重合体、ビ -ルピロリドン スチレン共重合体、ビュルピロリドン 酢酸ビュル共重合体、ポリビ- ルアセテート (メタ)アクリル酸共重合体、ポリビュルアセテート クロトン酸共重合体 、酢酸ビュル (メタ)アクリル酸共重合体、 N -ビニルァセトアミド単独重合体、酢酸ビ 二ルーク口トン酸共重合体、ポリビュルスルホン酸、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシェチ ルアタリレート、ポリアクリルアミド、スチレン マレイン酸無水物共重合体、アクリルアミ ドーアクリル酸共重合体のような合成の重合体等が挙げられ、これらのうちの 1種また は 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0210] また、本実施形態では、第 2の空間 122内に、第 2の物質 104の他に、ビーズ 110 が収納されている。これにより、使用時において、第 1の物質 103と第 2の物質 104と をより迅速に混合させることができ、その結果、さらに短時間で冷却効果を発現させる ことができる。
[0211] ビーズ 110を構成する材料としては、特に限定されないが、榭脂材料を用いるのが 好ましい。これにより、収納容器 102内を傷つけることなぐ第 1の物質 103と第 2の物
質 104とをより迅速に混合させることができる。
[0212] ビーズ 110を構成する榭脂材料としては、前述した第 1の物質 103および第 2の物 質 104と反応することがなぐまた、ビーズ状への成形が容易なものであれば、特に 限定されず、例えば、スチレン系榭脂(例えば、ポリスチレン、ブタジエン 'スチレン共 重合体、アクリロニトリル 'スチレン共重合体、アクリロニトリル 'ブタジエン 'スチレン共 重合体など)、 ABS榭脂、 AES榭脂、 AAS榭脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ェチ レン プロピレン榭月旨、エチレン ェチルアタリレート榭脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩ィ匕 ビニリデン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリアセターノレ、ポリフエ二レン才キシド、ポ リメチルメタタリレート、飽和ポリエステル榭脂(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカル ボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとジカルボン酸の縮合物な ど)、ポリアミド榭脂、フッ素榭脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレ ート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性榭脂、ウレタン系榭脂 、エポキシ系榭脂、フエノール系榭脂、ユリア榭脂、メラミン榭脂、不飽和ポリエステル 榭脂等の熱硬化性榭脂等が挙げられ、これらのうちの 1種または 2種以上を組み合わ せて用いることができる。
[0213] このようなビーズ 110の形状は、特に限定されないが、球形状とするのが好ましい。
これにより、第 1の物質 103と第 2の物質 104とをより迅速に混合させることができる。
[0214] ビーズ 110が球形状を有する場合、ビーズ 110の平均粒径は、特に限定されな!ヽ 力 100 m— 5mmであるのが好ましい。これにより、第 1の物質 103と第 2の物質 1 04とをより効率よく混合させることができる。
[0215] ビーズ 110の含有量は特に制限されるものではないが、冷却容器 101に収納され る物質全体を 100質量部としたとき、 1一 50質量部であるのが好ましい。ビーズ 110 の含有量が前記下限値未満であると、第 1の物質 103と第 2の物質 104との混合速 度を十分に向上させることができない場合がある。一方、ビーズ 110の含有量が前記 上限値を超えると、第 1の物質 103と第 2の物質 104との混合を力えって阻害してしま う場合がある。
[0216] なお、本実施形態では、ビーズ 110が第 2の空間 122内に収納されるものとして説 明したが、第 1の空間 121内に収納されるものであってもよいし、第 1の空間 121およ
び第 2の空間 122の両方に収納されるものであってもよい。すなわち、ビーズ 110は 、第 1の物質 103に混合されていてもよいし、第 2の物質 104に混合されていてもよい し、その両方に混合されていてもよい。
[0217] 以上説明したような収納容器 102 (容器本体 128、蓋体 129)は、水蒸気バリヤ一 性を有するのが好ましい。ここで、水蒸気ノ リヤー性とは、水蒸気透過度が、好ましく は 30gZm2 · 24hrs · 25 μ m厚 · 40°C · 90%RH以下、より好ましくは 10g/m2 · 24hr s · 25 m厚 · 40°C · 90%RH以下、さらに好ましくは lg/m2 · 24hrs · 25 m厚 · 40 °C ' 90%RH以下であることを言う。この水蒸気透過度は、 JIS K7129 (A法)に記 載の方法により測定される。
[0218] このように収納容器 102が水蒸気バリヤ一性を有することにより、収納容器 102の 内部への水蒸気の侵入や、第 2の物質 104として水を主成分とするものを用いる場 合には、第 2の空間 122からの水分の蒸散が防止できる。また、未使用時 (使用前) に、第 1の空間 121内への水蒸気の侵入により、第 1の物質 103と水分との間に、吸 熱反応が生じることを防止することができる。
[0219] また、第 2の物質 104として水を主成分とするものを用いる場合、その減少、濃縮を 防止することができるとともに、第 2の物質 104の量が必要最少限の量で済み、冷却 容器 101全体の容積や質量を小さくすることができる。また、収納容器 102の外部か らの第 iの空間 121内への水蒸気の侵入も防止することができる。
[0220] 収納容器 102を構成する材料、特に前記水蒸気バリヤ一性を有する材料としては、 柔軟かつ充分な強度を有し、内部に収納された物質が漏出しないものであればよぐ 特に限定されないが、例えば、スチレン系榭脂(例えば、ポリスチレン、ブタジエン'ス チレン共重合体、アクリロニトリル 'スチレン共重合体、アクリロニトリル 'ブタジエン 'ス チレン共重合体など)、 ABS榭脂、 AES榭脂、 AAS榭脂、ポリエチレン、ポリプロピ レン、エチレン プロピレン榭脂、エチレン ェチルアタリレート榭脂、ポリ塩化ビニル 、ポリ塩ィ匕ビユリデン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフエ-レン ォキシド、ポリメチルメタタリレート、飽和ポリエステル榭脂(例えば、ポリ乳酸のようなヒ ドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとジカルボン 酸の縮合物など)、ポリアミド榭脂、フッ素榭脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフ
オン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性榭脂、 ウレタン系榭脂、エポキシ系榭脂、フエノール系榭脂、ユリア榭脂、メラミン榭脂、不飽 和ポリエステル榭脂等の熱硬化性榭脂等が挙げられ、これらのうちの 1種または 2種 以上を組み合わせて用いることができる。
[0221] また、収納容器 102として、例えば、前述したような材料で構成されたものの他に、 それらにアルミニウム、シリカ等を蒸着したもの等も使用することができる。これにより、 収納容器 102の液密性、気密性等を向上させることができる。
[0222] 容器本体 128、蓋体 129の壁面の平均厚さは、特に限定されるものではないが、通 常は、 0. 1— 2mm程度であるのが好ましい。また、収納容器 102の平面視した際の 直径が好ましくは 35— 71mm程度とされる。
[0223] 収納容器 102の下面、すなわち、容器本体 128の蓋体 129と反対側の面には、粘 着剤層 105が設けられて 、る。
[0224] 粘着剤層 105は、使用時に皮膚に冷却容器 101を固定する機能を有する。これに より、使用時に冷却容器 101が皮膚力も不本意に離脱するのが防止される。
[0225] この粘着剤層 105には、上記機能を発揮できる着力を有するものであれば、特に 限定されないが、皮膚力も冷却容器 101を引き剥がす際に、痛みを感じない程度の 粘着力のものが好適に使用される。
[0226] また、このような粘着剤層 105は、貼着する表面の形状に沿って、形状が変化する ものであるのが好ましい。これにより、皮膚力も冷却容器 101の不本意な離脱を防止 することができる。
[0227] 粘着剤層 105に用いる粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸 エステル重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スチレン イソプレンースチ レンブロック共重合体、天然ゴム、ビュルエーテル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム 、ポリジメチルシロキサン、メタクリル酸エステル重合体等力 選ばれる 1種または 2種 以上をベースポリマーとする感圧性接着剤が挙げられ、これらのうちの 1種または 2種 以上を組み合わせて用いることができる。
[0228] また、粘着剤層 105は、皮膚に直接接触するため、皮膚に対する刺激が少なぐ安 全性に優れるものであることが好ましい。特に、粘着剤層 105は、皮膚からの剥離後
にその皮膚に残留しにく 、ものであることが好ま 、。
[0229] なお、粘着剤層 105は、粘着性 (接着性)の調整や安全性の向上等を目的として、 必要な添加剤、例えば安定剤、粘着性付与剤、顔料、染料等カゝら選ばれる 1種また は 2種以上を含有して 、てもよ 、。
[0230] このような粘着剤層 105は、その厚さがほぼ一定であるのが好ましい。これにより、 穿刺予定部位を均一に冷却することができるようになる。
[0231] 具体的には、粘着剤層 105の平均厚さは、特に限定されないが、 10 μ m— 10mm 程度であるのが好ましぐ 100 m— 5mm程度であるのがより好ましい。これにより、 穿刺予定部位に対する冷却効果を優れたものとしつつ、皮膚力も冷却容器 101の不 本意な離脱を防止することができる。
[0232] なお、粘着剤層 105の厚さを比較的厚くすることにより、穿刺予定部位が必要以上 に冷却されること (過冷却)を防止する効果を発揮させることもできる。
[0233] また、粘着剤層 105の平面視での面積 (皮膚への接触面積)は、 10— 40cm2程度 であるのが好ましぐ 15— 30cm2程度であるのがより好ましい。粘着剤層 5の大きさを 前記範囲とすることにより、穿刺予定部位を充分に冷却することができるとともに、取 扱いが簡便となる。
[0234] このような粘着剤層 105は、薬剤を含有していてもよい。この薬剤としては、各種の ものがあるが、特に、殺菌'消毒薬や局所麻酔薬が好適であり、これらのうちの少なく とも 1種を用いることができる。
[0235] 薬剤として殺菌'消毒剤を用いると、穿刺時の穿刺予定部位における感染の防止 効果が発揮され、穿刺前における殺菌 ·消毒を簡略ィ匕することができる。
[0236] 殺菌 ·消毒薬としては、例えば、クロロブタノール、エチルアルコール、塩化ベンザ ルコ-ゥム、アタリノール、イソプロパノール、ゲラ-オール変性アルコール、チォ硫酸 ナトリウム、ダルコン酸クロルへキシジン、ポピドンョード、ヨードチンキ等が挙げられる 。これらの中でも、特に、ダルコン酸クロルへキシジン、あるいはチォ硫酸ナトリウムと ゲラニン変性アルコールの合剤が好適である。
[0237] 薬剤として局所麻酔薬を用いると、穿刺時における疼痛緩和効果がより効果的に 発揮される。
[0238] 局所麻酔薬としては、例えば、リドカイン、プロ力イン、テトラカイン、ジブ力イン、メピ ノ カイン、プリロカイン、ブピバ力イン、ァミノ安息香酸ェチル等が挙げられる力 特に
、リドカインが好適である。
[0239] さらに、疼痛緩和効果を向上させる観点から、粘着剤層 105は、前述した薬剤以外 の他の薬剤を含有してもよい。カゝかる薬剤としては、本発明の目的の達成に効果的 に寄与するものであれば、特に限定されない。
[0240] なお、前述の説明では、容器本体 128の蓋体 129と反対側の面に粘着剤層 105が 設けられている力 蓋体 129の容器本体 128と反対側の面にも粘着剤層が設けられ ていてもよい。すなわち、冷却容器 101の対向する面の双方に粘着剤層が設けられ ていてもよい。
[0241] 前記対向する面の双方に粘着剤層が設けられている場合、一方の粘着剤層が、薬 剤として止血剤を含むものであるのが好ましい。これにより、止血剤を含む粘着剤層 を穿刺後の皮膚に接触させることで、穿刺部位を冷却しつつ、止血を行うことができ る。また、このような場合、他方の粘着剤層(粘着剤層 105)には、止血剤を含有させ ず前述の消毒薬や局部麻酔薬を含有させ、穿刺前には、この粘着剤層を穿刺予定 部位に接触させて冷却容器を使用するとよ ヽ。
[0242] 止血剤としては、例えば、ゼラチン、セルロース、トロンビンまたはトロンビン様物質、 フイブリンモノマー、フイブリノ一ゲン、ビタミン 、血液凝固第 VIII因子、血液凝固第 IX因子、へモコアダラーゼ (蛇毒製剤)等が挙げられる。
[0243] さらに、冷却容器 101は、その未使用時 (使用前)に、粘着剤層 105を保護する剥 離シート 7を有している。
[0244] この剥離シート 107を設けることにより、使用時まで、粘着剤層 105を細菌やウィル ス等の微生物から保護する機能や、粘着剤層 105の粘着性の低下を防止する機能 が発揮される。
[0245] このような剥離シート 107としては、種々のものを用いることができ、特に限定されな いが、例えば、アルミニウム、セルロース、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン 等のフィルムや、これらが積層された多層フィルム等を用いることができる。
[0246] また、剥離シート 107には、その粘着剤層 105側の面(図 9中、右面)に、例えば、
シリコン、界面活性剤またはフルォロカーボン等による表面処理や、凹凸加工 (ェン ボス力卩ェ)等を施したり、剥離シート 107中に必要な添加剤を添加したりなどしてもよ い。これにより、剥離シート 107の粘着剤層 105からの剥離性を所望のものに調整す ることがでさる。
[0247] 剥離シート 107の平均厚さは、特に制限されないが、例えば、 10— 100 μ m程度 であるのが好ましぐ 25— 75 μ m程度であるのがより好ましい。
[0248] 以上説明したような冷却容器 101は、例えば、次のようにして使用することができる
[0249] まず、蓋体 109を容器本体 128に対して回転させ、収納容器 102を、図 9に示す状 態から、図 10に示す状態にして、蓋体 129の天井部内面に形成されている針体 106 によって、易破断シート 108を破裂 (破断)させる。これにより、収納容器 102の第 1の 空間 121と第 2の空間 122とが連通される。
[0250] 次に、第 1の物質 103と第 2の物質 104とを充分に接触させ、これらを反応させる。
[0251] 次に、第 1の物質 103と第 2の物質 104との吸熱反応の発生を確認した後、剥離シ ート 107を剥離し、粘着剤層 105を露出させる。
[0252] 次に、粘着剤層 105により、冷却容器 101を穿刺予定部位に接触するように皮膚に 貼着する。これにより、穿刺予定部位が第 1の物質 103と第 2の物質 104との吸熱反 応により冷却される。
[0253] 次に、穿刺予定部位が充分に冷却されたことを確認した後、冷却容器 101を皮膚 から剥離する。
[0254] その後に、前記冷却された穿刺予定部位に対し、注射針などの穿刺が行われる。
このとき、穿刺予定部位は、充分に冷却されていて、穿刺予定部位における痛覚が 麻痺しているため、穿刺にともなう痛み (疼痛)が緩和される。
[0255] このように、冷却容器 101を用いることにより、穿刺時の痛みを緩和することができる
[0256] また、穿刺予定部位だけを選択的に冷却することができるので、不必要な部位を冷 却してしまうことも防止することができる。
[0257] さらに、粘着剤層 105に、各種薬剤を含浸しておくことにより、薬剤の種類に基づく
効果が発揮され、穿刺時における疼痛をより効果的に緩和することができる。
[0258] また、収納容器 102の大きさをより小さくすることにより、よりコンパクトなものとするこ とができるとともに、コストの低減を図ることができる。
[0259] また、冷却スプレーにより穿刺予定部位を冷却する場合に比べて、穿刺予定部位 の冷却を緩除に行うことができるため、急激な冷却によるショックの危険性を回避する ことができ、安全性が高い。
[0260] なお、冷却スプレーによる方法を用いる場合には、冷却効果の持続時間が比較的 短 、こと、冷却剤 (ガス成分)が可燃性や麻酔作用を有して 、るものが多 、ことから、 取扱いを慎重に行う必要があること、スプレー缶中の冷却剤の残量を確認することが 困難であること、また、使用後には空き缶の処理が面倒であること等の不都合が多い
[0261] これに対して、本発明によれば、これらの不都合が生じず、穿刺時における疼痛を 極めて簡単に緩和することができるという利点がある。
[0262] 以上説明したような冷却容器 101において、収納容器 102の構成は、蓋体 129を 容器本体 128に対して変位させる操作を行うことにより、仕切部 108〖こよる第 1の空 間と第 2の空間との隔離状態を解除できるものであれば、図示の構成のものに限定さ れず、様々な変形や、構成の付加が可能である。
[0263] <第 2実施形態 >
次に、本発明に冷却容器の第 2実施形態について説明する。
[0264] 図 11は、本発明の冷却容器の第 2実施形態を示す縦断面図である。なお、以下で は、図 11中の上側を「上」、下側を「下」として説明する。
[0265] 以下、第 2実施形態の冷却容器を説明するが、前記第 1実施形態の冷却容器との 相違点を中心に説明し、同様の事項に関しては、その説明を省略する。
[0266] 第 2実施形態の冷却容器 101 'は、蓋体 129'の形状、材質が異なっており、また、 蓋体 129'を容器本体 128に対して変位させる操作が異なる以外は、前記第 1実施 形態の冷却容器と同様である。
[0267] 本実施形態の冷却容器 101 'では、蓋体 129'が弾性を有している。
[0268] 蓋体 129'は、図 11に示すように、上に向かって湾曲した形状を有している。
[0269] また、蓋体 129 'は、その縁部において容器本体 128と固着されている。
[0270] 蓋体 129'がこのような構成であると、蓋体 129'を容器本体 128に向力つて押圧す ることで、蓋体 129'の天井部内面に形成されている針体 106を易破断シート 108に 近接させ、易破断シート 108を破裂 (破断)させることができる。これにより、第 1の物 質 103と第 2の物質 104とが混ざり合 、、冷却効果を発揮する。
[0271] このような弾性を有する蓋体 129'を構成する材料としては、特に限定されず、例え ば、アルミニウム、パネ鋼、ステンレス鋼等の各種金属材料、前述した熱可塑性榭脂 や熱硬化性榭脂等が挙げられる。
[0272] このような蓋体 129'は、蓋体 129'に適度な弾性を付与することができる程度の厚 さによって構成される。
[0273] <第 3実施形態 >
次に、本発明に冷却容器の第 3実施形態について説明する。
[0274] 図 12は、本発明の冷却容器の第 3実施形態における仕切部を示す平面図、図 13 は、本発明の冷却装置の第 3実施形態における図 12中の D— D線断面図である。な お、以下では、図 12中紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」とし、図 13中の上側を「 上」、下側を「下」として説明する。
[0275] 以下、第 3実施形態の冷却容器を説明するが、前記第 1実施形態の冷却容器との 相違点を中心に説明し、同様の事項に関しては、その説明を省略する。
[0276] 第 3実施形態の冷却容器 101"では、仕切部 108'が、貫通孔 811が形成された仕 切板 181と、貫通孔 821が形成された仕切板 182とを重ねて構成されている。なお、 冷却容器 101"の未使用時 (使用前)には、図 12 (A)に示すように、貫通孔 811と貫 通孔 821とが重ならないように構成されている。これにより、前述した第 1の空間 121 と第 2の空間 122とが区画される。
[0277] 仕切部 108'を構成する一対の仕切板のうち、蓋体 129"側に配されている仕切板 181上には、仕切板 181の中央部から外れた部位に、突起部 812が設けられている 。この突起部 812は、後述する解除部材 106'の変位を仕切板 181に伝える機能を 有している。
[0278] 仕切部 108'を構成する一対の仕切板のうち、容器本体 128側に配される仕切板 1
82は、突出部 282に固定(固着)されている。
[0279] 蓋体 129"は、前記第 1実施形態と同様に、容器本体 128に螺合により装着されて いる。
[0280] 蓋体 129"の第 1の空間 121側の面には、前記突起部 812と対応する位置に、解除 部材 106'が設けられている。この解除部材 106'は、前記第 1実施形態と同様にして 、蓋体 129"に固定されている。
[0281] この解除部材 106'の先端部は、蓋体 129"が回転する際に、前記突起部 812に引 つ力かるよう構成されて 、る。
[0282] このような構成とすることにより、蓋体 129"を容器本体 128に対して相対的に回転( 変位)させると、解除部材 106'の移動とともに突起部 812が移動し、仕切板 181が回 転する。その結果、図 12 (B)に示すように、貫通孔 811と貫通孔 821とが連通され、 第 1の空間 121内の第 1の物質 103と、第 2の空間 122内の第 2の物質 104との混合 が開始される。これにより、冷却容器 101"は、冷却効果を発揮する。
[0283] また、第 1の物質 103と第 2の物質 104とが完全に混合しきらな 、うちに、再度仕切 板 181を回転させて、貫通孔同士の連通を解除すれば、一旦反応を停止させること ができる。また、貫通孔の重なりの度合いを調整することで、冷却効果を長時間持続 させたり、冷却温度を調整したりなどすることができる。
[0284] このような仕切板 181、 182を構成する材料としては、容器本体 128や蓋体 129"を 構成する材料と同様のものを用いることができる。
[0285] また、仕切板 181、 182の平均厚さは、 0. 1-1. 5mm程度であるのが好ましい。
[0286] また、貫通孔 811、 821の平均径は、 3— 10mm程度であるのが好ましい。これによ り、未使用時において、第 1の空間 121と第 2の空間 122とを確実に区画することが できるとともに、使用時において、第 1の物質 103と第 2の物質 104とをより確実に混 合させることができる。
[0287] なお、その他の構成については、前記第 1実施形態と同様である。
[0288] 以上、本発明の冷却容器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、こ れに限定されるものではな 、。
[0289] 例えば、本発明の冷却容器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意の構
成のものに置換することができ、また、任意の構成を追加することもできる。
[0290] また、前述した実施形態では、第 1の物質として寒剤を、第 2の物質として水剤を収 納した場合について説明した力 これに限定されず、その逆であってもよい。
[0291] また、前述した実施形態では、冷却容器として筒状のものについて説明したが、こ れに限定されず、箱状のものであってもよい。
[0292] また、前述した実施形態では、第 2の空間にビーズが収納されているものとして説 明したが、これに限定されず、ビーズはなくてもよいし、第 1の空間にビーズが収納さ れて 、てもよ 、し、第 1の空間および第 2の空間の両方に収納されて 、てもよ 、。
[0293] また、前述した第 1実施形態および第 2実施形態では、解除部材として、針体を用 いた場合について説明した力 これに限定されず、例えば、ブレードであってもよい。
[0294] また、前述した第 3実施形態では、仕切板に 1つの貫通孔が設けられているものとし て説明したが、これに限定されず、貫通孔の数は、 2つであってもよいし、 3つ以上で あってもよい。
[0295] また、前述した第 3実施形態では、 2枚の仕切板を有するものとして説明したが、こ れに限定されず、 3枚であってもよいし、 4枚以上であってもよい。
[0296] また、前述した第 3実施形態では、貫通孔が円形状のものとして説明したが、これに 限定されず、例えば、楕円形状であってもよいし、四角形等の多角形状であってもよ い。
[0297] また、前述した第 3実施形態では、解除部材が突起部を押すことによって、仕切板 が回転するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、解除部材と突起部と がー体的に形成された構成であってもよ 、。
[0298] 前述した実施形態では、冷却容器を、注射針穿刺時の疼痛を緩和することを主た る目的とするものとして説明したが、本発明の冷却容器の適用対象として、注射剤の 種類、注射部位等は特に限定されるものではなぐ本発明は種々の注射に対してそ の疼痛を緩和することが可能である。
[0299] 本発明の対象となる注射の種類としては、例えば、静脈留置針穿刺、硬膜外麻酔、 脊椎麻酔、神経ブロック、各種予防接種、インスリン自己注射等が挙げられる。
[0300] また、近年では局所冷却が月経時の痙攣の軽減、頭痛、関節痛、打撲、脱毛、擦
過創、 日焼けの処置、および筋膜のトリガーポイント治療など、種々の痛みの軽減に も使用されていることから、本発明の冷却容器をこれらに適用することも可能である。 さらに、痛み防止だけでなぐ麻酔のレベルチェックや出血防止、眼精疲労などにも 使用できる。
[0301] 以下、本発明の具体的実施例について説明する。
[0302] (実施例 1)
図 1および図 2に示すような冷却シートを作製した。
[0303] この冷却シートの仕様は、以下に示す通りである。
[0304] ,袋体
シート材 :ポリエチレンとアルミニウム蒸着ポリエステルとの 2層ラ
ミネートフィルム(3M Scotchpak 1109 Backing
Polyester Film Laminated 109 SPAK 1.34 MIL HEAT SEALABLE POLYESTER FILM))
シート材の平均厚さ : 33 m
シート材の水蒸気透過度: lgZm2' 24hrs' 25 μ m厚 '40°C ' 90%R
H以下
平面視での形状 : <折り曲げた状態 >正方形 (一辺の長さ 60mm)
<伸ばした状態〉長方形(縦 130mm X横 60mm) 第 1の物質 :水酸化バリウム 8水和物 (4g)
第 2の物質 :硝酸アンモ-ゥム (4g)
第 1の粘着剤層 :ナイスタック (NW— 40、粘着力普通、 -チバン株式会 社製)
第 2の粘着剤層 :ナイスタック (NW— 40、粘着力普通、 -チバン株式会 社製)
そして、冷却シートの両端部を引っ張ることにより、第 1の空間と第 2の空間とを連通 させて、第 1の物質と第 2の物質とを 30秒間反応させた後に、剥離シートを剥離し、 被験者(10名)の下腕の穿刺予定部位に冷却シートを 1分間貼着した。その後に、穿 刺予定部位力 冷却シートを剥がし、所定時間ごとに、 von Frey式痛覚試験を行つ
た。
[0305] von Frey式痛覚試験では、番号 6. 10の von Frey式刺激毛(ナイロン製、直径 8mm、米国ノースコーストメディカル社製)を皮膚に 126gの力で押し当て、通常の針 穿刺に近い痛みを引き起した。そして、痛みの程度について、非冷却時における痛 みを基準 (初期刺激)とし、以下に示すような 4段階の基準に従って、被験者に聞き取 り調査を行った。
[0306] ◎:痛みを感じない
〇:初期刺激よりも痛くない
△:初期刺激と同じ
X:初期刺激よりも痛い
痛みの測定は、冷却シートの剥離から、 15秒後、 30秒後、 60秒後、 90秒後、 120 秒後、および 180秒後に行った。各時間における痛みの程度毎の人数をまとめた。
[0307] この結果を表 1に示す。
[0308] [表 1]
表 1
(人)
[0309] 表 1からわ力るように、冷却シートを剥離してから 1分間(すなわち、穿刺操作を完了 するのに充分な時間)において、疼痛緩和の効果が顕著であった。
[0310] また、前述した実施例の袋体に図 5に示すような仕切部を形成し、前記と同様の試 験を行った結果、前記と同様の結果が得られた。また、図 6および図 7に示すような冷 却シートを作製し、前記と同様の試験を行った結果、前記と同様の結果が得られた。
[0311] (実施例 2)
図 1および図 2に示すような冷却シートを作製した。
[0312] この冷却シートの仕様は、以下に示す通りである。
[0313] ,袋体
シート材 :ポリエチレンとアルミニウム蒸着ポリエステルとの 2層ラ
ミネートフィルム(3M Scotchpak 1109 Backing
Polyester Film Laminated 109 SPAK 1.34 MIL HEAT SEALABLE POLYESTER FILM))
シート材の平均厚さ : 33 m
シート材の水蒸気透過度: lgZm2' 24hrs' 25 μ m厚 '40°C ' 90%R
H以下
平面視での形状 : <折り曲げた状態 >正方形 (一辺の長さ 70mm)
<伸ばした状態〉長方形(縦 150mm X横 70mm) 第 1の物質 :水(8g)
第 2の物質 :硝酸アンモ -ゥム(12g)
第 1の粘着剤層 :ナイスタック (NW— 40、粘着力普通、 -チバン株式会 社製)
第 2の粘着剤層 :ナイスタック (NW— 40、粘着力普通、 -チバン株式会 社製)
そして、冷却シートの両端部を引っ張ることにより、第 1の空間と第 2の空間とを連通 させて、第 1の物質と第 2の物質とを 5秒間反応させた後に、剥離シートを剥離し、被 験者(10名)の下腕の穿刺予定部位に冷却シートを 1分間貼着した。以下、実施例 1 と同様の von Frey式痛覚試験を行った。
[0314] この結果を表 2に示す。
[0315] [表 2]
表 2
(人)
[0316] ◎:痛みを感じない
〇:初期刺激よりも痛くない
△:初期刺激と同じ
X:初期刺激よりも痛い
表 2からわ力るように、冷却シートを剥離してから 1分 (すなわち、穿刺操作を完了す るのに十分な時間)において、疼痛緩和の効果が顕著であった。
[0317] (実施例 3)
図 1および図 2に示すような冷却シートを作製した。
[0318] この冷却シートの仕様は、以下に示す通りである。
[0319] ,袋体
シート材 :ポリエチレンとアルミニウム蒸着ポリエステルとの 2層ラ
ミネートフィルム(3M Scotchpak 1109 Backing
Polyester Film Laminated 109 SPAK 1.34 MIL HEAT SEALABLE POLYESTER FILM))
シート材の平均厚さ : 33 m
シート材の水蒸気透過度: lgZm2' 24hrs' 25 μ m厚 '40°C ' 90%R
H以下
平面視での形状 : <折り曲げた状態 >正方形 (一辺の長さ 70mm)
<伸ばした状態〉長方形(縦 150mm X横 70mm) 第 1の物質 :水(8g)
第 2の物質 :硝酸アンモ -ゥム(12g)
第 1の粘着剤層 :ナイスタック (NW— 40、粘着力普通、 -チバン株式会 社製)
第 2の粘着剤層 :ナイスタック (NW— 40、粘着力普通、 -チバン株式会 社製)
•固定部材
クリップ :ヮニクリップ (コクョ株式会社製)
そして、固定部材をはずし、冷却シートの両端部を引っ張ることにより、第 1の空間と
第 2の空間とを連通させて、第 1の物質と第 2の物質とを 5秒間反応させた後に、剥離 シートを剥離し、被験者 (10名)の下腕の穿刺予定部位に冷却シートを 1分間貼着し た。以下、実施例 1と同様の von Frey式痛覚試験を行った結果、表 2と同様な結果 を示した。
産業上の利用可能性
[0320] 本発明の冷却シートおよび冷却容器は、医療分野において主に利用することがで きる。
図面の簡単な説明
[0321] [図 1]本発明の冷却シートの実施形態を示す平面図(内部透過図)である。
[図 2]図 1中の A— A線断面図である。
[図 3]図 1に示す冷却シートを拡げた状態を示す平面図である。
[図 4]図 1の冷却シートの使用状態を図 2に対応する断面で示す図である。
[図 5]袋体 2の仕切部の他の例を示す拡大断面図である。
[図 6]本発明の冷却シートの他の実施形態を示す平面図である。
[図 7]図 6の冷却シートの B-B線断面図である。
[図 8]本発明の冷却容器の第 1実施形態を示す平面図(内部透視図)である。
[図 9]図 8中の C C線断面図である。
[図 10]蓋体が容器本体に対して変位した状態を示す縦断面図である。
[図 11]本発明の冷却容器の第 2実施形態を示す縦断面図である。
[図 12]本発明の冷却容器の第 3実施形態における仕切部を示す平面図である。
[図 13]本発明の冷却装置の第 3実施形態における図 12中の D-D線断面図である。