明 細 書
修飾インターロイキン一 11及びそれを含有する医薬組成物
技術分野
[0001] 本発明は、修飾インターロイキン - 11及びそれを有効成分として含有する医薬組成 物に関する。さらに詳しくは、医薬組成物、特に血小板増多剤として有用なインター ロイキン 11 (以下、「IL-11」と略す場合がある)に、特定のポリエチレングリコール( 以下、「ポリエチレンリコール」を「PEG」と略す場合がある)誘導体を化学修飾させた ポリエチレングリコール インターロイキン 11類結合体(以下、「PEG-IL11類結合体 」と略す場合がある)、及びこの結合体を有効成分として含有する医薬組成物、特に 血小板増多剤に関する。
背景技術
[0002] 生理活性タンパク質やポリペプチドのヒトへの投与は、幅広く行われている力 一般 的にタンパク質、ポリペプチドは経口吸収性が悪ぐ生体内での消失も速やかで不安 定であるために、注射剤として、大用量、頻回投与されているのが現状である。
[0003] IL-11類も他の生理活性タンパク質と同様に、経口吸収性が低ぐ特に IL-11類は 生体に投与されたあと、速やかに体内から消失するが、この原因は分子量が約 19000と小さぐカチオン性アミノ酸に富むことから、腎及び肝によるクリアランスが非 常に大きいことに起因することが報告されている(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 275, pp537-543, 1995)。従って、その有用な活性 を享受するためには、頻回投与を余儀なくされる。例えば、 N 末端プロリン欠失組換 えヒト型 IL-11の場合は、血小板増多活性を必要とする疾患患者の血小板の減少を 有効に抑制又は血小板を増加させる効果を発揮させるためには、癌の化学療法時 に 1日 1回投与しなければならないことが知られている。
このような大用量、頻回投与は、しばしば、患者に苦痛を与えるば力りでなく望まし くない作用を伴う場合もあり、医療従事者の負担も大きくなる。頻回投与の回避、さら には治療効果の増強という観点から、生理活性タンパク質やポリペプチドの化学修 飾あるいは様々な送達システムの開発が望まれて!/ヽる。
[0004] 一般的にタンパク質の頻回投与の回避を達成する手段としては、従来から、タンパ ク質の高分子修飾による生体内での安定化、徐放性製剤の適用が考えられており、 デキストラン、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等の他、 PEGでィ匕学 修飾する方法も知られて ヽる。
例えば、血小板形成促進剤として有用であることが知られて ヽるインターロイキン 6の分子中の少なくとも 1個のアミノ基を、 N—ヒドロキシスクシンイミドポリエチレングリ コールを含む活性型のポリエチレングリコールでィ匕学修飾した化学修飾インターロイ キン - 6が、その未修飾体よりも血小板形成促進活性が増強されることが報告されて いる (特許文献 1参照)。
他にも PEGによる修飾方法は多数知られており、タンパク質 Zペプチドのアミノ基 をメトキシ PEGのべンゾトリアゾールカルボネート誘導体で修飾する方法 (特許文献 2 参照)、タンパク質 Zペプチドのアミノ基をメトキシ PEGアルデヒド誘導体で修飾する 方法 (特許文献 3参照)、タンパク質 Zペプチドのチオール基をメトキシ PEGのマレイ ミド誘導体で修飾する方法 (非特許文献 1参照)、がある。
このような PEGによる修飾は、タンパク質の立体障害を招くものの、その生理活性タ ンパク質自体の活性をある程度保持しつつ、タンパク質の体内安定性が向上し血中 半減期が長くなることが分力 ており、結果的に薬理作用の向上につながる場合が あることも知られて ヽる (非特許文献 2参照)。
[0005] IL-11類においても、その活性を保持した IL-11類の修飾体を作ることができると考 えられていた (特許文献 4及び 5参照)。し力しながら、これらの文献には、その修飾 方法の 1つとして IL- 11配列に存在するリジン残基に PEGを結合させた PEG-IL 11結 合体を作製することができる旨の記載があるのみで、具体的な実施例の開示はな ヽ また、この IL-11類の活性中心を明らかにする目的で、 IL-11類を種々の物質でィ匕 学修飾する試みも行われたが、修飾によって生物活性が著しく減弱していた。例え ば、フリーのアミノ基をコハク酸で修飾することよって IL-11の生物活性が著しく低下 することが報告されている(非特許文献 3参照)。また、 IL-11の C末端側の配列を一 部除去することによつても、同様に著しく活性が低下することが報告されている (非特
許文献 4参照)。さらに、 N末端のプロリン欠失体である IL-11の生物活性に重要な配 列が Alanine-scanningで報告され、例えば、その配列における 174番目のリジン残基 のァラニン置換で活性が著しく低下するとされている。 N末端のプロリン欠失体である IL-11の一次配列中、リジン残基は 41番目、 98番目と 174番目に存在しており、上 記の事実から、 IL-11のフリーのアミノ基を修飾すると、著しくその生物活性が損なわ れることが示唆されて 、る(非特許文献 5参照)。
以上のことから、 PEG- IL11類結合体においては、他のタンパク質の PEG結合体よ りも上記文献のような著しい生物活性の低下が障害となり、これまで臨床応用可能な PEG-IL11類結合体は開発が困難とされ、未だ開発されるに至っていない。
一般的に、生理活性タンパク質の in vivoにおける薬物作用発現強度を考えた場合 、適切な修飾剤(PEG誘導体)を選択することで、 in vitroの生物活性と体内動態の ノ ランスがとれた生理活性タンパク質修飾体の分子量、修飾部位及び修飾率を見出 すことが重要となる(非特許文献 1参照)。し力しながら、 in vivoにおける薬物作用発 現強度に影響を与えるそれらの因子は、タンパク質の種類によって異なるものであり 、それぞれのタンパク質にお!/ヽて最適な修飾体 (PEG誘導体)及び修飾方法を見出 すことは困難性を伴うとされている。
[0006] 特許文献 1:特開平 4 218000号公報
特許文献 2 :米国特許第 5650234号明細書
特許文献 3 :米国特許第 5824784号明細書
特許文献 4 :特許第 2688539号公報
特許文献 5 :特表 2003— 501396号
非特許文献 1 : Synthetic Communication Vol.22, pp2417, 1992
非特許文献 2 :カレントテラピー, Vol.12, No.7, ppl76-186, 1994
非特許文献 3 Journal of Biological Chemistry, Vol. 270, pp978- 985, 1995 非特許文献 4 : Biosci. Biotech. Biochem 60(3), pp541- 542, 1996
非特許文献 5 : Annals of the New York Academy of Sciences. 762, ppl52- 64, 1995 発明の開示
[0007] IL-11類に対して適切な PEG誘導体を選択し、一定の条件下で IL-11類修飾するこ
とで徐放性製剤に適応できる、 PEG-IL11類結合体の開発が切望されている。
[0008] このような状況下、本発明者らは PEG-IL11類結合体について種々検討したところ、 数ある PEG誘導体の中力 比較的分子量の大きな PEGの活性ィ匕エステルを選択し 、一定の条件下で PEG-IL11類結合体を調製することにより、 PEGによる化学修飾が IL- 11類の活性を著しく低下させると考えられていたにも拘わらず、意外にもその調製 された化学修飾インターロイキン類の単回投与において未修飾の IL-11が奏する血 小板増多作用の効果を遙かに上回る効果が得られることを見出し、本発明を完成す るに至った。
本発明によれば、 IL-11の生体内での安定性を高め、体内からの消失速度を遅くす ることが可能となり、その結果、大用量、頻回投与することなぐ癌化学療法時に減少 する血小板数を増加させることが可能となる。
[0009] 本発明によって、以下のポリエチレングリコール インターロイキン 11類結合体及 びそれを含有する医薬組成物等が提供される。
[0010] [1]インターロイキン 11類と、下記式(I)で示される数平均分子量が 2, 000— 500
, 000のポリエチレングリコール誘導体との反応から得られうるポリエチレングリコール インターロイキン 11類結合体。
[0011] [化 1]
[0012] [式 (I)中の記号は下記を意味する。
R1 :同一又は異なって H又はメチル基、
R2:— O—、 一 O アルキレン一、—S—アルキレン一、 O— CO アルキレン一、 -0-CO-
NH—CH (A)—、又は、—NH— CO—ァノレキレン一、
R3:スクシンイミド基、又は、ベンゾトリァゾールー 1ーィル基、
A:—H、アルキル基、又は、 アルキレン NH— CO— O— (CH CH O) R1
2 2 η
n :重合度]
[0013] [2] 1分子のインターロイキン 11類に対して 2乃至 4分子のポリエチレングリコール が結合した前記 [1]に記載の結合体。
[0014] [3]前記式 (I)における記号 R3がスクシンイミド基である前記 [1]又は [2]に記載の結 合体。
[0015] [4]前記式(I)における記号 R2がー O アルキレン一、又は、 O— CO— NH— CH (A)
-である前記 [2]又は [3]に記載の結合体。
[0016] [5]インターロイキン 11類力 N末端のプロリン欠失体の組み換えヒト型インターロイ キン 11である前記 [4]に記載の結合体。
[0017] [6]数平均分子量が 24, 000以上である前記 [5]に記載の結合体。
[0018] [7]前記 [1]乃至 [6]の何れか 1項に記載の結合体を有効成分として含有する医薬 組成物。
[0019] [8]さらに製薬学的に許容される担体を含有する前記 [7]に記載の医薬組成物。
[0020] [9]血小板増多剤である前記 [7]又は [8]に記載の医薬組成物。
[0021] [10]血小板増多剤を製造するための前記 [1]乃至 [6]の何れか 1項に記載の結合 体の使用。
[0022] [11]血小板増多剤の投与を必要とする疾患患者に、 [1]乃至 [6]の何れか 1項に 記載の結合体の治験有効量を投与することを含む血小板増多剤の投与を必要とす る疾患の治療方法。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]実施例 1で取得した分枝型の PEG2-IL11類結合体 Aをマウスに静脈内投与した 際の、免疫学的反応性遺伝子組み換えヒト型インターロイキン l l(rhIL-ll)の血漿 中濃度推移を示すグラフである。
[図 2]実施例 1で取得した分枝型の PEG2-IL11類結合体 Aをマウスに静脈内投与した 後の、末梢血中の血小板数の推移を示すグラフである。
[図 3]実施例 1、実施例 5、 6で取得した PEG2-IL11類結合体 A、 E、 F、 J、 Kまたは実 施例 10, 11で取得した PEG-IL11類結合体 J、 Kをマウスに静脈内投与した後の、末 梢血中の血小板数の推移を示すグラフである。
[図 4]実施例 7— 10で取得した PEG-IL11類結合体 G、 H、 Iをマウスに静脈内投与した 後の、末梢血中の血小板数の推移を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
[0024] 本発明における IL-11類とは、ヒト型 IL-11もしくは哺乳類の IL-11又はそれらの改変 体、類似体を意味する。ここでいう改変体とは、遺伝子組み換え等によってタンパク 質 Zペプチドのアミノ酸の配列を置換、欠失、及び Z又は、挿入したもので哺乳類 IL-11と同様の生物活性を有する物質をいい、好ましくは、ヒト型 IL-11とアミノ酸残基 の違いが 30個以内のタンパク質、更に好ましくは、ヒト型 IL-11とアミノ酸残基の違い が 20個以内のタンパク質、特に好ましくは、ヒト型 IL-11とアミノ酸残基の違いが 10個 以内の血小板増多活性を有するタンパク質である。類似体とは、タンパク質 Zぺプチ ドを構成する一部のアミノ酸の側鎖が官能基によって修飾されたものを言う。 IL-11の 具体例としては、例えば、米国特許第 5,215,895号、米国特許第 5,270,181号、米国 特許第 5,292,646号に記載のタンパク質が挙げられ、これらの文献に記載された方法 によりあるいはその方法に準じて製造することにより、容易に入手することができる。
IL-11タンパク質の N末端は、上記米国特許にも示されているように、 Pro— Gly— Pro —Pro— Pro— Glyから始まる 178個のアミノ酸力も構成される力 N末端のプロリンのみ が欠失してグリシン力も始まる N末端のプロリン欠失体 (アミノ酸 2— 178)の組み換え ヒト型 IL-11 (rhIL-11)は、好適なものとして選択される。本発明の目的を達成し得るも のであれば、この N末端プロリン欠失組換えヒト型 IL- 11に限定されるものでないこと は勿論である。
[0025] 本発明における PEG-IL11類結合体とは、 IL-11類に PEGをィ匕学修飾させたものを 意味し、具体的には共有結合によって結合させたものをいう。また、 PEG-IL11結合体 とは、 IL-11と PEGを共有結合によって結合させたものをいう。
一般的に生理活性タンパク質と PEGをィ匕学的に結合させる際に用いる PEGの誘 導体としては、タンパク質のアミノ基を修飾可能な誘導体、カルボキシル基を修飾可 能な誘導体、 SH基を修飾可能な誘導体が挙げられるが、そのうち、タンパク質のアミ ノ基を修飾可能な誘導体としては、 PEGの活性ィ匕エステルや後記比較例 1一 2で使 用の PEGのアルデヒド誘導体、 PEGのべンゾトリアゾール誘導体及びカルボネート
誘導体などが挙げられる。
これらの中で、本発明において用いられる PEG誘導体は、 PEGの活性化エステル である。具体的には上記式 (I)で示される PEG誘導体であり、好ましくは、上記式 (I) 中の R3がスクシンイミド基である PEG誘導体、更に好ましくは、上記式 (I)中の R3がス クシンイミド基、 R2が— O—アルキレン 又は、 O— CO— NH— CH (A)—である PEG 誘導体、特に好ましくは、 R3がスクシンイミド基、 R2がー O アルキレン 又は、 O— CO— NH—CH (A) R1がメチル基である PEG誘導体、最も好ましくは、 R3がスクシ ンイミド基、 R2が— O— CH CH―、又は、 O— CO— NH— CH (— CH CH CH CH -
2 2 2 2 2 2
NH— CO— O— (CH CH O) CH ) R1がメチル基である PEG誘導体である。上
2 2 η 3
記式 (I)中のアルキレンとは、 (CH )χ—で表されるものをいい、好ましくは、 Xが 1乃至
2
10であるものをいい、更に好ましくは、 Xが 1乃至 4であるものをいう。
上記式(I)中の Αに含まれるアルキル基とは、 (CH )y-CHで表されるものをいい
2 3
、好ましくは、 yが 0乃至 10であるものをいい、更に好ましくは、 yが 0乃至 4であるもの をいう。
[0026] 本発明における上記式 (I)で示されるポリエチレングリコール誘導体は、「
Shearwaterし orporation,カタログ 2001 ; polyethylene ulycoi and Derivatives for Biomedical Application の 4ページ及び 12ページ(表 2)にも代表的なものを参照する ことが出来、また、 日本油脂株式会社より容易に入手することができる。
本発明における上記式 (I)で示されるポリエチレングリコール誘導体の数平均分子 量は、 2,000— 500,000の範囲にあり、 5,000— 200,000の範囲にあることが好ましく 10,000— 100,000の範囲にあることが更に好ましぐ 10,000— 50,000の範囲にあること が特に好ましい。上記式 (I)中の PEGの重合度を表す「(n)」は、上記 PEG誘導体の 数平均分子量から自ずと求めることが出来、また制限される。具体的には、「(n)」の 場合、 40≤ (n)≤ 12,000の範囲にあることが好ましい。上記式 (I)で示される PEG誘 導体は 2種類以上の数平均分子量を持つものを混合して用いても良 、。上記式 (I) で示される PEG誘導体の一次構造としては特に限定されないが、具体的には、モノ マーが直鎖状に重合したもの、或いは分子内に分枝構造を持つものが挙げられる。
[0027] (製造法)
本発明の PEG-IL11類結合体は、上記式 (I)で示される PEG誘導体と IL-11類とが 共有結合によって結合したものであり、 C末端が保護基を有して ヽてもよ ヽ IL-11類( A)と、上記式 (I)で示される PEG誘導体 (B)とを反応させ、必要により保護基を除去 すること〖こより製造することができる。保護基としては、例えば、グリーン (T. W. Green )及びウッツ(P. G. M. Wuts)著「Protective Groups in Organic Synthesis (第 3版、 1999年)」に記載の保護基を挙げることができる。
[0028] 本発明の PEG- IL11類結合体は、一般的な液相法の他、レジンなどに一方の原料 化合物を結合させておいて、他方の原料化合物を反応せしめ、洗浄後副生成物を 除去し、次いでレジンより生成物を単離する固相法によって製造することもできる。 液相法の反応は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶 媒;ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン、 1, 4 ジォキサン、ジメトキシェタン等のェ 一テル系溶媒;ジクロロメタン、 1, 2—ジクロロェタン、クロ口ホルム等のハロゲン化炭 化水素系溶媒; N, N—ジメチルホルムアミド、 N—メチルー 2—ピロリドン等のアミド系溶 媒;ピリジン等の反応に不活性な溶媒中、 IL-11類 (A)と、この IL-11類 (A)に対し等 モルー数倍モルの PEG誘導体(B)とを、必要ならば、例えば、ジシクロへキシルカル ボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド (DIPC)、 1—ェチルー 3— (3—ジメチル ァミノプロピル)カルボジイミド (WSC)、 1, 1,一カルボ-ルビス— 1H—イミダゾール (CDI)等の縮合剤の存在下に反応させるのが有利である。
また、原料ィ匕合物によっては、トリメチルァミン、トリェチルァミン、ピリジン、ピコリン、 ルチジン、ジメチルァ-リン、 N-メチルモルホリン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸 ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基の存在下に反応させるの が有利な場合がある。なお、ピリジンは溶媒を兼ねることができる。
反応は、通常室温下に実施することができる力 原料ィ匕合物によっては冷却したり 、加温下に実施するのが有利な場合もある。
[0029] 反応条件の詳細は、例えば、 Pharmaceutical Research Vol. 13, No.l, 102-107, 1996を参照できる。
生成した結合体が、保護基を有するときは、次いで保護基を除去する。保護基の除 去も常法に従って行われるが、例えば、保護基がエステル形成基であれば、ケンィ匕
により;ベンジル基、置換べンジル基であるときは接触還元やケンィ匕により; tert—ブ チル基であるときは酸処理により;さらにトリメチルシリル基であるときは水と接触させ ることにより保護基を容易に除去できる。
このようにして製造された結合体は、結晶化、再結晶、薄層クロマトグラフィー、液相 クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等のタンパク質と水溶性高分子活性 化体との反応物の単離'精製に用いられる通常の化学操作を適用して、常法により 単離'精製することができる。
[0030] 本発明における PEG-IL11類結合体の数平均分子量は、 24,000— 2,000,000の範 囲にあることが好ましぐ 30,000— 250,000の範囲にあることが更に好ましぐ 50,000— 250,000の範囲にあることが特に好ましい。
本発明における PEG-IL11類結合体は、 1分子のインターロイキン 11類に対して 2 乃至 4分子のポリエチレングリコールが結合した結合体であることが好ましぐ 1分子 のインターロイキン 11類に対して 3乃至 4分子のポリエチレングリコールが結合した 結合体であることが更に好ましい。
本発明における血小板増多剤とは、血小板形成促進剤、血小板減少抑制剤を含 み、例えば、抗癌剤等を服用し血小板数が極度に低下した患者が呈する異常出血 の治療に有用である。
[0031] 本発明の別の態様においては、上記 PEG-IL11類結合体を有効成分として含有す る医薬組成物が提供される。このような医薬組成物の投与は、種々の簡便な方法に おいてなされ得る。このような医薬組成物は注射、経口投与、経肺投与、経鼻投与、 その他の投与方法によって生体に投与される。中でも、注射が最も好ましぐ静脈内 、皮膚又は皮下の注射が挙げられる。この医薬組成物は、好ましくは、発熱物質なし の、非経口的に受容可能な水溶液の形態で投与される。 pH、等張性、安定性などを 考慮した、そのような非経口的に受容可能なタンパク質溶液の調製は、当業者の技 術範囲内にある。
[0032] 処置のために使用される PEG-IL11類結合体の医薬組成物の量は、状態の重篤度 、投与経路、活性成分の反応性又は活性に依存し、そして最終的には、処置の提供 者によって決定される。本発明の医薬組成物を用いた処置の方法を実施するにあた
り、治療有効量の PEG-IL11類結合体の医薬組成物が投与される。用語「治療有効 量」とは、患者にとって意義のある利益を示すに十分である方法又は組成物の各々 の活性成分の合計量を意味する (例えば、その発症の、治癒、改善、妨害、遅延、予 防、又は再発 [ (recurrence)もしくは (relapse) ]の予防)。所定の患者に対する治療有 効量を決定するための 1つの一般的な技術は、患者にとって意義のある利益が処置 の提供者によって観察されるまで周期的に漸増用量を投与することである。個々の 活性成分が単独で投与される適用されるとき、この用語は、その成分単独をいう。組 合せ投与されるとき、この用語は、それらが組合せで、連続的に投与されようと同時 にされようと、その治療効果を生じる活性成分の組合せ量をいう。
[0033] 本発明における PEG-IL11類結合体の治療有効用量は、約 0. 1 μ gZkg体重と約 lOOmgZkg体重との間にあることが好ましぐ約 1 μ gZkg体重と約 lOmgZkg体重 との間にあることが更に好ましぐ約 gZkg体重と約 lmgZkg体重との間にある ことが特に好ましい。投与の数値は、個々の患者及びその疾患の重篤度に依存して 変動し得る。
[0034] PEG-IL11類結合体を含有する医薬組成物には本発明の効果を損なわない範囲に おいて賦形剤等が添加されていてもよい。賦形剤としては、製薬学的に許容される塩 類、界面活性剤、糖類、アミノ酸類、有機酸、その他水溶性物質等が挙げられる。具 体的な塩類としては、 L グルタミン酸カリウム、 L グルタミン酸ナトリウム、ェデト酸ナ トリウム、力プリル酸ナトリウム、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチル セルロースナトリウム、クェン酸ナトリウム、ダルコン酸カルシウム、ダルコン酸ナトリウ ム、ダルコン酸マグネシウム、メタスルホ安息香酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、 リン酸二水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、塩ィ匕アルミニウム、 塩ィ匕カリウム、塩ィ匕カルシウム、塩ィ匕ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸 水素ナトリウム等が挙げられ、糖類としては、 D ソルビトール、 D マン-トール、イノ シトール、キシリトール、デキストラン、グルコース、マルトース、ラタトース、スクロース 等が挙げられ、アミノ酸類としては、メチォニン、ァスパラギン酸、ァラニン、アルギ- ン、グリシン、システィン、タウリン、ヒスチジン、フエ-ルァラニン、グルタミン酸、リジン 等が挙げられ、有機酸としてはクェン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸等が挙げられ、そ
の他水溶性物質としては、ァスコルビン酸、人血清アルブミン、コンドロイチン硫酸ナ トリウム、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、へノ《リンナトリウム等が挙げられる。
[0035] PEG-IL11類結合体を含有する医薬組成物は、 PEG-IL11類結合体を含む水溶液 に、製薬学的に許容される塩類、界面活性剤、糖類、アミノ酸類、有機酸、その他水 溶性物質等を必要に応じて添加して、溶解させ、均一な溶液を調製することによって 得ることができる。必要に応じて凍結乾燥等の乾燥法を採用し、固体化してもよい。
[0036] 本発明の PEG- IL11類結合体をほ乳類に投与することにより、非修飾の IL- 11類に 比べ、 IL-11類の血中濃度曲線下面積 (AUC)及び平均血中滞留時間(MRT)を実質 的に増大させることができ、医療の現場において患者及び医療従事者の負担を軽減 することができる。
[0037] 本発明の別の態様においては、 PEG-IL11類結合体による治療方法が提供される。
本発明の PEG-IL11類結合体の投与により、癌化学療法時の血小板減少症の改善 が未修飾の IL-11類に比べ、より少ない投与量、より少ない投与回数で達成され、実 際の患者に利益をもたらすものである。さらに、本発明の PEG-IL11類結合体により、 IL-11類を含むサイト力インの投与によって認められる発赤、頭痛、立ちくらみ、浮腫 等の副作用及び IL-11類がカチオン性であることに由来する投与部位血管の腫脹が 軽減される。
さらには、ポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエステル(上記式(I) にお 、て、 R3:スクシンイミド基である PEG誘導体)のような適切な修飾体を選択した PEG-IL11類結合体の創製は、その製造過程における一定の分子量をもつ
PEG-IL11類結合体の回収率を高めることが出来、結果として、実用化に適した医薬 品として開発できる。
実施例
[0038] 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が 限定されるものではない。
[0039] [実施例 1]
[分枝型メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエステルで修飾 された IL-11類 (PEG2-IL11類結合体 A)の合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型インターロイキン 11 (rhIL-11 )の 2.8mg/ml水溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子 量が 20,000の固体の mPEG2-NHS (分枝型メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロ キシスクシ-ミジルエステル:上記式(I)にお!/、て R1:メチル基、 R2:一 O— CO— NH— C H[— (CH ) 4— NH— CO— O— (CH CH O)— CH ]―、 R3 :スクシンイミド基である PE
2 2 2 η 3
G誘導体) 30mg(rhIL- 11とのモル比 5)を添加し、室温で 2時間攪拌し、反応させた。未 反応の rhIL- 11と PEG2-IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。 溶離液中のタンパク含量を 280nmでモニターし、分枝型の PEGが結合した
PEG2-IL11類結合体の分画を回収した。得られたクロマトグラム力 計算される PEG2-IL11類結合体の回収率は約 63%であった。回収された分画を限外ろ過によ つて濃縮し、さらに、 8.6%のショ糖を含む 10mMリン酸緩衝液 (pH7)にバッファー交換し 、 PEG2- IL11類結合体 Aを得た。
[0040] [PEG2-IL11類結合体 Aの物理ィ匕学的特性の測定]
得られた PEG2-IL11類結合体 Aの見かけの分子量を SDS-PAGEによって求めたと ころ、約 88,000であった。また分子篩いクロマトグラフィで測定すると約 106,000であつ た。 mPEG2- NHSは rhIL- 11の分子中、 N末端の Gly、 Lys41, Lys98, Lysl74の計 4力 所と結合する可能性があるが、分子量から考察して、 PEG2-IL11類結合体 Aは rhIL-11分子と PEGが 3乃至 4力所にぉ 、て結合した修飾体であると考えられる。 rhIL-11はその分子中に多くのカチオン性アミノ酸(リジン、アルギニン)を含み、等電 点電気泳動にぉ 、ては Cathode電極付近まで泳動されるため、正確な等電点が求め られない。そのアミノ酸配列から求めた等電点は 11.7であった。一方、 PEG2-IL11類 結合体 Aも同様に等電点電気泳動で分析したところ、未修飾 rhIL-11に比べて若干 Anode電極側に泳動されるものの、依然として Cathode電極付近に泳動されるため、 正確な等電点は求められなかった。
[0041] [PEG2-IL11類結合体 Aの免疫学的反応性の検討]
得られた PEG2-IL11類結合体 Aの rhIL-11抗体に対する免疫学的反応性を rhIL-11 に特異的な rhIL-11抗体 llh3/15.6.13を用いた ELISAによって検討したところ、その
反応性は未修飾 rhIL-11の約 21 %まで著しく低下して!/、た。
[0042] [実験例 1]
実施例 1で調製した PEG2-IL11類結合体 Aを 100, 200, 400 g/kgの投与量で 5週 齢の ddYマウスに静脈内投与し、経時的に採血し、血漿中の免疫応答性 rhIL-11濃 度を ELISAによって測定した。図 1からも明らかなように、未修飾 rhIL-11に比べ、 PEG2-IL11類結合体 Aの投与によって免疫応答性 rhIL-11濃度は長時間持続し、表 1に示すようにその AUC/D (濃度曲線下面積 Z投与量)は未修飾 rhIL-11の約 40倍 、 MRT (平均滞留時間)も 45倍以上に上昇した。
[0043] [表 1]
[0044] [実験例 2]
実施例 1で調製した PEG2-IL11類結合体 Aを 300, 750, 1000 /z g/kgの投与量で 5 週齢の ddYマウスに静脈内投与し、投与後 4, 7, 10日後に採血し、血中の血小板数 を血球測定装置(日本光電、 MEK-6158)を用いて測定した。図 2からも明らかなよう に、未修飾の rhIL-11では血小板数の推移はコントロールと差が見られなかったのに 対し、 PEG2-IL11類結合体 Aでは未修飾の rhIL-1はりも少ない投与量から、顕著な 血小板増多作用が観察された。
[0045] [実施例 2]
[PEG- IL11類結合体 Bの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 5mg/ml水溶 液 0.25mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 1 mlを混和し、これに数平均分子量が 5,000の固 体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエステ ル:上記式 (I)において R1 :メチル基、 R2 :—0—CH CH 一、 R3:スクシンイミド基である
2 2
PEG誘導体) 5mg(rhIL-llとのモル比 5)を添加し、室温で 2時間攪拌し、反応させた。 未反応の rhIL- 11と PEG- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。 溶離液中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応 液中には 2種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾の rhIL-11が混在して おり、その中から実施例 1と同様にして PEG2-IL11類の分画を回収し、 PEG-IL11類 結合体 Bを得た。得られた PEG-IL11類結合体 Bの回収率は 88%であった。
[0046] [実施例 3]
[PEG- IL11類結合体 Cの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 5mg/ml水溶 液 0.25mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 1 mlを混和し、これに数平均分子量が 12,000の固 体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエステ ル) 5mg(rhIL-llとのモル比約 6)を添加し、室温で 2時間攪拌し、反応させた。未反応 の rhIL- 11と PEG- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液 中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中に は 1種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾の rhIL-11が混在しており、そ の中から実施例 1と同様にして PEG2-IL11類の分画を回収し、 PEG-IL11類結合体 C を得た。得られた PEG-IL11類結合体 Cの回収率は約 33.3%であった。
[0047] [実施例 4]
[PEG- IL11類結合体 Dの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 5mg/ml水溶 液 0.25mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 1 mlを混和し、これに数平均分子量が 20,000の固 体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエステ
ル) 5mg(rhIL-llとのモル比約 6)を添加し、室温で 2時間攪拌し、反応させた。未反応 の rhIL- 11と PEG- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液 中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中に は 1種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾の rhIL-11が混在しており、そ の中から実施例 1と同様にして PEG2-IL11類の分画を回収し、 PEG-IL11類結合体 D を得た。得られた PEG-IL11類結合体 Dの回収率は約 72%であった。
[0048] [実施例 5]
[PEG- IL11類結合体 Eの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 2.8mg/ml水 溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子量力 0,000の 固体の mPEG2-NHS (分枝型メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミ ジルエステル:上記式(I)において R1 :メチル基、 R2 :—0—CO—NH—CH[—(CH )
2 4
NH— CO— O— (CH CH 0) n— CH ]—、 R3:スクシンイミド基である PEG誘導体
2 2 3
)60mg(rhIL-llとのモル比 5)を添加し、室温で 2時間攪拌し、反応させた。未反応の rhIL- 11と PEG- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液 中のタンハ。ク含量を 280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中に は 1種類の分子量を持つ PEG2-IL11類結合体と未修飾の rhIL-11が混在しており、そ の中から実施例 1と同様にして PEG2-IL11類の分画を回収し、 PEG2-IL11類結合体 E を得た。
[0049] [実施例 6]
[PEG- IL11類結合体 Fの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 2.8mg/ml水 溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子量が 10, 000の 固体の mPEG2-NHS (分枝型メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミ ジルエステル:上記式(I)において R1 :メチル基、 R2 :—0—CO—NH—CH[—(CH )
2 4
NH— CO— O— (CH CH 0) n— CH ]—、 R3:スクシンイミド基である PEG誘導体
)15mg(rhIL-llとのモル比 5)を添加し、室温で 2時間攪拌し、反応させた。未反応の rhIL- 11と PEG2- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液 中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中に は 1種類の分子量を持つ PEG2-IL11類結合体と未修飾の rhIL-11が混在しており、そ の中から実施例 1と同様にして PEG2-IL11類の分画を回収し、 PEG2-IL11類結合体 F を得た。
[0050] [実施例 7]
[PEG- IL11類結合体 Gの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 2.8mg/ml水 溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子量が 10, 000の 固体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエス テル:上記式(I)において R1 :メチル基、 R2 :— CO— CH CH CH CO— O—、 R3:スク
2 2 2
シンイミド基である PEG誘導体) 15mg(rhIL-llとのモル比 5)を添カ卩し、室温で 2時間攪 拌し、反応させた。未反応の rhIL-11と PEG-IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンノ、。ク含量を 280nmでモニターした。得られた クロマトグラムから、反応液中には 1種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修 飾の rhIL-11が混在しており、その中から実施例 1と同様にして PEG- IL11類の分画を 回収し、 PEG-IL11類結合体 Gを得た。
[0051] [実施例 8]
[PEG- IL11類結合体 Hの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 2.8mg/ml水 溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子量が 20, 000の 固体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエス テル:上記式(I)において R1 :メチル基、 R2 :— CO— CH CH CH CO— O—、 R3:スク
2 2 2
シンイミド基である PEG誘導体) 30mg(rhIL-llとのモル比 5)を添カ卩し、室温で 2時間攪 拌し、反応させた。未反応の rhIL-11と PEG-IL11類結合体を分離するため、 O.lmM
Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたク 口マトグラムから、反応液中には 1種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾 の rhIL-11が混在しており、その中から実施例 1と同様にして PEG- IL11類の分画を回 収し、 PEG-IL11類結合体 Hを得た。
[0052] [実施例 9]
[PEG- IL11類結合体 Iの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 2.8mg/ml水 溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子量が 12, 000の 固体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエス テル:上記式(I)にお 、て R1:メチル基、 R2:一 CO— CH CH— CO— O—、 R3:スクシン
2 2
イミド基である PEG誘導体) 18mg(rhIL- 11とのモル比 5)を添加し、室温で 2時間攪拌し 、反応させた。未反応の rhIL-11と PEG-IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたク 口マトグラムから、反応液中には 1種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾 の rhIL-11が混在しており、その中から実施例 1と同様にして PEG- IL11類の分画を回 収し、 PEG-IL11類結合体 Iを得た。
[0053] [実施例 10]
[PEG- IL11類結合体 Jの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 2.8mg/ml水 溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子量が 5, 000の 固体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエス テル:上記式(I)にお 、て R1:メチル基、 R2:一 CO— CH CH— CO— O—、 R3:スクシン
2 2
イミド基である PEG誘導体) 7.5mg(rhIL_l 1とのモル比 5)を添加し、室温で 2時間攪拌 し、反応させた。未反応の rhIL-11と PEG- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたク
口マトグラムから、反応液中には 1種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾 の rhIL-11が混在しており、その中から実施例 1と同様にして PEG- IL11類の分画を回 収し、 PEG- IL11類結合体 Jを得た。
[0054] [実施例 11]
[PEG- IL11類結合体 Kの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 2.8mg/ml水 溶液 2mlと 0.2M MOPS溶液(pH 8) 8 mlを混和し、これに数平均分子量が 2, 000の 固体の mPEG-NHS (メトキシポリエチレングリコールの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエス テル:上記式(I)にお 、て R1:メチル基、 R2:一 CO— CH CH— CO— O—、 R3:スクシン
2 2
イミド基である PEG誘導体) 3mg(rhIL- 11とのモル比 5)を添加し、室温で 2時間攪拌し 、反応させた。未反応の rhIL-11と PEG-IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたク 口マトグラムから、反応液中には 1種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾 の rhIL-11が混在しており、その中から実施例 1と同様にして PEG- IL11類の分画を回 収し、 PEG-IL11類結合体 Kを得た。
[0055] [実験例 3]
実施例 実施例 5-11で調製した PEG2-IL11類結合体 A、 E, F又は PEG-IL11類結 合体 G, H, I, J、 Kを 1000 g/kgの投与量で 5週齢の ddYマウスに静脈内投与し、投 与後 4, 7, 10日後に採血し、血中の血小板数を血球測定装置(日本光電、
MEK-6158)を用いて測定した。図 3及び図 4力らも明らかなように、未修飾の rhIL-11 では血小板数の推移はコントロールと差が見られなかったのに対し、 PEG2-IL11類結 合体 A、 E, F及び PEG-IL11類結合体 G, H, I, J、 Kでは顕著な血小板増多作用が 観察された。
[0056] [比較例 1]
lOOmMリン酸緩衝液 (pH5)4mlに分子量 30,000のメトキシポリエチレングリコールアル デヒド(mPEG-ALD30K) 50mgを溶解させ、これに N末端のプロリン欠失体である遺伝 子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 5mg/ml水溶液 lmlをカ卩ぇ混和した。この液に
lmol NaCNBH3を 20mMとなるように加え、 4°Cで 20時間反応させた。未反応の rhlL- 11と PEG- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液 中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中に は 6種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体と未修飾の rhIL-11が混在して 、た。
[0057] [比較例 2]
lOOmMリン酸緩衝液 (pH5)4mlに分子量 40,000の分枝型メトキシポリエチレングリコ ールアルデヒド(mPEG2-ALD40K) 50mgを溶解させ、これに N末端のプロリン欠失体 である遺伝子組み換えヒト型 IL-11 (rhIL-11)の 5mg/ml水溶液 lmlをカ卩ぇ混和した。こ の液に lmol NaCNBH3を 20mMとなるように加え、 4°Cで 20時間反応させた。未反応 の rhlL- 11と PEG- IL11類結合体を分離するため、 O.lmM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化した Pharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液 中のタンパク含量を 280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中に は 7種類の分子量を持つ PEG-IL11類結合体及び未修飾の rhIL-11が混在していた
[0058] 従って、比較例 1、 2から明らかなように、 IL- 11に直鎖型メトキシポリエチレングリコ ールアルデヒド(mPEG-ALD30K)及び分枝型メトキシポリエチレングリコールアルデヒ ド(mPEG2- ALD40K)を修飾させると多種類の分子量を持つ PEG- ILll類結合体及 び未修飾の rhIL-11が混在し、それらの分離が極めて困難であることから、一定の分 子量を有する特定の修飾体を効率良く回収して実用化に適した PEG-IL11類結合体 を創製するには不適切であることが分力つた。
一方、実施例 1乃至 4より、 rhIL-11に直鎖型メトキシポリエチレングリコールの N-ヒド ロキシスクシ-ミジルエステル(mPEG- NHS)及び分枝型メトキシポリエチレングリコー ルの N-ヒドロキシスクシ-ミジルエステル(mPEG2-NHS) mPEG- NHSを修飾させた場 合は、一定量の分子量を有する特定の PEG-IL11類結合体を取得でき、その回収率 も高かったため、 N—ヒドロキシスクシンイミド連成ポリエチレングリコールを IL-11類の 修飾剤として選択することは、 PEG-IL11類結合体を製造する上で非常に有用である ことが分力つた。
産業上の利用可能性
本発明は、インターロイキン 11類と、数平均分子量が 2, 000— 500, 000の上記 式 (I)で示されるポリエチレングリコール誘導体との反応力 得られうる PEG- IL11類 結合体に関するものであり、これらの結合体の製造過程において一定量の分子量を 有するものを高い回収率で創製することができるとともに、インターロイキン 11類の 頻回投与回避及び治療効果の増強を可能にすることができる。