JP2005281302A - 修飾インターロイキン−11及びそれを含有する医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定で、品会投与の必要のないインターロイキン−11類結合体及びそれを含有する医薬組成物等を提供する。
【解決手段】インターロイキン−11類と、数平均分子量が2,000〜500,000の特定のポリエチレングリコール誘導体を、一定の条件下で反応させ得られるポリエチレングリコール−インターロイキン−11類結合体であり、適切なポリエチレングリコール誘導体を選択することにより、一定量の分子量を有するものを高い回収率で創製することができるとともに、インターロイキン−11の頻回投与回避及び治療効果の増強を可能にすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、修飾インターロイキン−11及びそれを有効成分として含有する医薬組成物に関する。さらに詳しくは、医薬組成物、特に血小板増多剤として有用なインターロイキン−11(以下、「IL-11」と略す場合がある)に、特定のポリエチレングリコール(以下、「ポリエチレンリコール」を「PEG」と略す場合がある)誘導体を化学修飾させたポリエチレングリコール−インターロイキン−11類結合体(以下、「PEG-IL11類結合体」と略す場合がある)、及びこの結合体を有効成分として含有する医薬組成物、特に血小板増多剤に関する。
生理活性タンパク質やポリペプチドのヒトへの投与は、幅広く行われているが、一般的にタンパク質、ポリペプチドは経口吸収性が悪く、生体内での消失も速やかで不安定であるために、注射剤として、大用量、頻回投与されているのが現状である。
IL-11類も他の生理活性タンパク質と同様に、経口吸収性が低く、特にIL-11類は生体に投与されたあと、速やかに体内から消失するが、この原因は分子量が約19000と小さく、カチオン性アミノ酸に富むことから、腎及び肝によるクリアランスが非常に大きいことに起因することが報告されている(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 275, pp537-543, 1995)。従って、その有用な活性を享受するためには、頻回投与を余儀なくされる。例えば、N−末端プロリン欠失組換えヒト型IL-11の場合は、血小板増多活性を必要とする疾患患者の血小板の減少を有効に抑制又は血小板を増加させる効果を発揮させるためには、癌の化学療法時に1日1回投与しなければならないことが知られている。
このような大用量、頻回投与は、しばしば、患者に苦痛を与えるばかりでなく望ましくない作用を伴う場合もあり、医療従事者の負担も大きくなる。頻回投与の回避、さらには治療効果の増強という観点から、生理活性タンパク質やポリペプチドの化学修飾あるいは様々な送達システムの開発が望まれている。
一般的にタンパク質の頻回投与の回避を達成する手段としては、従来から、タンパク質の高分子修飾による生体内での安定化、徐放性製剤の適用が考えられており、デキストラン、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等の他、PEGで化学修飾する方法も知られている。
例えば、血小板形成促進剤として有用であることが知られているインターロイキン−6の分子中の少なくとも1個のアミノ基を、N−ヒドロキシスクシンイミドポリエチレングリコールを含む活性型のポリエチレングリコールで化学修飾した化学修飾インターロイキン−6が、その未修飾体よりも血小板形成促進活性が増強されることが報告されている(特許文献1参照)。
他にもPEGによる修飾方法は多数知られており、タンパク質/ペプチドのアミノ基をメトキシPEGのベンゾトリアゾールカルボネート誘導体で修飾する方法(特許文献2参照)、タンパク質/ペプチドのアミノ基をメトキシPEGアルデヒド誘導体で修飾する方法(特許文献3参照)、タンパク質/ペプチドのチオール基をメトキシPEGのマレイミド誘導体で修飾する方法(非特許文献1参照)、がある。
このようなPEGによる修飾は、タンパク質の立体障害を招くものの、その生理活性タンパク質自体の活性をある程度保持しつつ、タンパク質の体内安定性が向上し血中半減期が長くなることが分かっており、結果的に薬理作用の向上につながる場合があることも知られている(非特許文献2参照)。
IL-11類においても、その活性を保持したIL-11類の修飾体を作ることができると考えられていた(特許文献4及び5参照)。しかしながら、これらの文献には、その修飾方法の1つとしてIL-11配列に存在するリジン残基にPEGを結合させたPEG-IL11結合体を作製することができる旨の記載があるのみで、具体的な実施例の開示はない。
また、このIL-11類の活性中心を明らかにする目的で、IL-11類を種々の物質で化学修飾する試みも行われたが、修飾によって生物活性が著しく減弱していた。例えば、フリーのアミノ基をコハク酸で修飾することよってIL-11の生物活性が著しく低下することが報告されている(非特許文献3参照)。また、IL-11のC末端側の配列を一部除去することによっても、同様に著しく活性が低下することが報告されている(非特許文献4参照)。さらに、N末端のプロリン欠失体であるIL-11の生物活性に重要な配列がAlanine-scanningで報告され、例えば、その配列における174番目のリジン残基のアラニン置換で活性が著しく低下するとされている。N末端のプロリン欠失体であるIL-11の一次配列中、リジン残基は41番目、98番目と174番目に存在しており、上記の事実から、IL-11のフリーのアミノ基を修飾すると、著しくその生物活性が損なわれることが示唆されている(非特許文献5参照)。
以上のことから、PEG-IL11類結合体においては、他のタンパク質のPEG結合体よりも上記文献のような著しい生物活性の低下が障害となり、これまで臨床応用可能なPEG-IL11類結合体は開発が困難とされ、未だ開発されるに至っていない。
一般的に、生理活性タンパク質のin vivoにおける薬物作用発現強度を考えた場合、適切な修飾剤(PEG誘導体)を選択することで、in vitroの生物活性と体内動態のバランスがとれた生理活性タンパク質修飾体の分子量、修飾部位及び修飾率を見出すことが重要となる(非特許文献1参照)。しかしながら、in vivoにおける薬物作用発現強度に影響を与えるそれらの因子は、タンパク質の種類によって異なるものであり、それぞれのタンパク質において最適な修飾体(PEG誘導体)及び修飾方法を見出すことは困難性を伴うとされている。
特開平4−218000号公報 米国特許第5650234号明細書 米国特許第5824784号明細書 特許第2688539号公報 特表2003−501396号 Synthetic Communication Vol.22, pp2417, 1992 カレントテラピー, Vol.12, No.7, pp176-186, 1994 Journal of Biological Chemistry, Vol. 270, pp978-985, 1995 Biosci. Biotech. Biochem 60(3), pp541-542, 1996 Annals of the New York Academy of Sciences. 762, pp152-64, 1995
IL-11類に対して適切なPEG誘導体を選択し、一定の条件下でIL-11類修飾することで徐放性製剤に適応できる、PEG-IL11類結合体の開発が切望されている。
このような状況下、本発明者らはPEG-IL11類結合体について種々検討したところ、数あるPEG誘導体の中から比較的分子量の大きなPEGの活性化エステルを選択し、一定の条件下でPEG-IL11類結合体を調製することにより、PEGによる化学修飾がIL-11類の活性を著しく低下させると考えられていたにも拘わらず、意外にもその調製された化学修飾インターロイキン類の単回投与において未修飾のIL-11が奏する血小板増多作用の効果を遙かに上回る効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、IL-11の生体内での安定性を高め、体内からの消失速度を遅くすることが可能となり、その結果、大用量、頻回投与することなく、癌化学療法時に減少する血小板数を増加させることが可能となる。
本発明によって、以下のポリエチレングリコール−インターロイキン−11類結合体及びそれを含有する医薬組成物等が提供される。
[1]インターロイキン−11類と、下記式(I)で示される数平均分子量が2,000〜500,000のポリエチレングリコール誘導体との反応から得られうるポリエチレングリコール−インターロイキン−11類結合体。
Figure 2005281302
[式(I)中の記号は下記を意味する。
1:同一又は異なって−H又はメチル基、
2:−O−、−O−アルキレン−、−S−アルキレン−、−O−CO−アルキレン−、−O−CO−NH−CH(A)−、又は、−NH−CO−アルキレン−、
3:スクシンイミド基、又は、ベンゾトリアゾール−1−イル基、
A:−H、アルキル基、又は、−アルキレン−NH−CO−O−(CH2CH2O)n−R1
n:重合度]
[2]1分子のインターロイキン−11類に対して2乃至4分子のポリエチレングリコールが結合した前記[1]に記載の結合体。
[3]前記式(I)における記号R3がスクシンイミド基である前記[1]又は[2]に記載の結合体。
[4]前記式(I)における記号R2が−O−アルキレン−、又は、−O−CO−NH−CH(A)−である前記[2]又は[3]に記載の結合体。
[5]インターロイキン−11類が、N末端のプロリン欠失体の組み換えヒト型インターロイキン−11である前記[4]に記載の結合体。
[6]数平均分子量が24,000以上である前記[5]に記載の結合体。
[7]前記[1]乃至[6]の何れか1項に記載の結合体を有効成分として含有する医薬。
[8]さらに製薬学的に許容される担体を含有する前記[7]に記載の医薬組成物。
[9]血小板増多剤である前記[8]に記載の医薬組成物。
本発明におけるIL-11類とは、ヒト型IL-11もしくは哺乳類のIL-11又はそれらの改変体、類似体を意味する。ここでいう改変体とは、遺伝子組み換え等によってタンパク質/ペプチドのアミノ酸の配列を置換、欠失、及び/又は、挿入したもので哺乳類IL-11と同様の生物活性を有する物質をいい、好ましくは、ヒト型IL-11とアミノ酸残基の違いが30個以内のタンパク質、更に好ましくは、ヒト型IL-11とアミノ酸残基の違いが20個以内のタンパク質、特に好ましくは、ヒト型IL-11とアミノ酸残基の違いが10個以内の血小板増多活性を有するタンパク質である。類似体とは、タンパク質/ペプチドを構成する一部のアミノ酸の側鎖が官能基によって修飾されたものを言う。IL-11の具体例としては、例えば、米国特許第5,215,895号、米国特許第5,270,181号、米国特許第5,292,646号に記載のタンパク質が挙げられ、これらの文献に記載された方法によりあるいはその方法に準じて製造することにより、容易に入手することができる。
IL-11タンパク質のN末端は、上記米国特許にも示されているように、Pro−Gly−Pro−Pro−Pro−Glyから始まる178個のアミノ酸から構成されるが、N末端のプロリンのみが欠失してグリシンから始まるN末端のプロリン欠失体(アミノ酸2〜178)の組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)は、好適なものとして選択される。本発明の目的を達成し得るものであれば、このN末端プロリン欠失組換えヒト型IL-11に限定されるものでないことは勿論である。
本発明におけるPEG-IL11類結合体とは、IL-11類にPEGを化学修飾させたものを意味し、具体的には共有結合によって結合させたものをいう。また、PEG-IL11結合体とは、IL-11とPEGを共有結合によって結合させたものをいう。
一般的に生理活性タンパク質とPEGを化学的に結合させる際に用いるPEGの誘導体としては、タンパク質のアミノ基を修飾可能な誘導体、カルボキシル基を修飾可能な誘導体、SH基を修飾可能な誘導体が挙げられるが、そのうち、タンパク質のアミノ基を修飾可能な誘導体としては、PEGの活性化エステルや後記比較例1〜2で使用のPEGのアルデヒド誘導体、PEGのベンゾトリアゾール誘導体及びカルボネート誘導体などが挙げられる。
これらの中で、本発明において用いられるPEG誘導体は、PEGの活性化エステルである。具体的には上記式(I)で示されるPEG誘導体であり、好ましくは、上記式(I)中のR3がスクシンイミド基であるPEG誘導体、更に好ましくは、上記式(I)中のR3がスクシンイミド基、R2が−O−アルキレン−、又は、−O−CO−NH−CH(A)−であるPEG誘導体、特に好ましくは、R3がスクシンイミド基、R2が−O−アルキレン−、又は、−O−CO−NH−CH(A)−、R1がメチル基であるPEG誘導体、最も好ましくは、R3がスクシンイミド基、R2が−O−CH2CH2−、又は、−O−CO−NH−CH(−CH2CH2CH2CH2−NH−CO−O−(CH2CH2O)n−CH3)−、R1がメチル基であるPEG誘導体である。上記式(I)中のアルキレンとは、−(CH2)x−で表されるものをいい、好ましくは、xが1乃至10であるものをいい、更に好ましくは、xが1乃至4であるものをいう。
上記式(I)中のAに含まれるアルキル基とは、−(CH2)y−CH3で表されるものをいい、好ましくは、yが0乃至10であるものをいい、更に好ましくは、yが0乃至4であるものをいう。
本発明における上記式(I)で示されるポリエチレングリコール誘導体は、「Shearwater Corporation, カタログ2001 ; polyethylene Glycol and Derivatives for Biomedical Application」の4ページ及び12ページ(表2)にも代表的なものを参照することが出来、また、日本油脂株式会社より容易に入手することができる。
本発明における上記式(I)で示されるポリエチレングリコール誘導体の数平均分子量は、2,000〜500,000の範囲にあり、5,000〜200,000の範囲にあることが好ましく、10,000〜100,000の範囲にあることが更に好ましく、10,000〜50,000の範囲にあることが特に好ましい。上記式(I)中のPEGの重合度を表す「(n)」は、上記PEG誘導体の数平均分子量から自ずと求めることが出来、また制限される。具体的には、「(n)」の場合、40≦(n)≦12,000の範囲にあることが好ましい。上記式(I)で示されるPEG誘導体は2種類以上の数平均分子量を持つものを混合して用いても良い。上記式(I)で示されるPEG誘導体の一次構造としては特に限定されないが、具体的にはモノマーが直鎖状に重合したもの、或いは分子内に分枝構造を持つものが挙げられる。
(製造法)
本発明のPEG-IL11類結合体は、上記式(I)で示されるPEG誘導体とIL-11類とが共有結合によって結合したものであり、C末端が保護基を有していてもよいIL-11類(A)と、上記式(I)で示されるPEG誘導体(B)とを反応させ、必要により保護基を除去することにより製造することができる。保護基としては、例えば、グリーン(T. W. Green)及びウッツ(P. G. M. Wuts)著「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基を挙げることができる。
本発明のPEG-IL11類結合体は、一般的な液相法の他、レジンなどに一方の原料化合物を結合させておいて、他方の原料化合物を反応せしめ、洗浄後副生成物を除去し、次いでレジンより生成物を単離する固相法によって製造することもできる。
液相法の反応は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ピリジン等の反応に不活性な溶媒中、IL-11類(A)と、このIL-11類(A)に対し等モル〜数倍モルのPEG誘導体(B)とを、必要ならば、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(CDI)等の縮合剤の存在下に反応させるのが有利である。
また、原料化合物によっては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基の存在下に反応させるのが有利な場合がある。なお、ピリジンは溶媒を兼ねることができる。
反応は、通常室温下に実施することができるが、原料化合物によっては冷却したり、加温下に実施するのが有利な場合もある。
反応条件の詳細は、例えば、Pharmaceutical Research Vol. 13, No.1, 102-107, 1996を参照できる。
生成した結合体が、保護基を有するときは、次いで保護基を除去する。保護基の除去も常法に従って行われるが、例えば、保護基がエステル形成基であれば、ケン化により;ベンジル基、置換ベンジル基であるときは接触還元やケン化により;tert−ブチル基であるときは酸処理により;さらにトリメチルシリル基であるときは水と接触させることにより保護基を容易に除去できる。
このようにして製造された結合体は、結晶化、再結晶、薄層クロマトグラフィー、液相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等のタンパク質と水溶性高分子活性化体との反応物の単離・精製に用いられる通常の化学操作を適用して、常法により単離・精製することができる。
本発明におけるPEG-IL11類結合体の数平均分子量は、24,000〜2,000,000の範囲にあることが好ましく、30,000〜250,000の範囲にあることが更に好ましく、50,000〜250,000の範囲にあることが特に好ましい。
本発明におけるPEG-IL11類結合体は、1分子のインターロイキン−11類に対して2乃至4分子のポリエチレングリコールが結合した結合体であることが好ましく、1分子のインターロイキン−11類に対して3乃至4分子のポリエチレングリコールが結合した結合体であることが更に好ましい。
本発明における血小板増多剤とは、血小板形成促進剤、血小板減少抑制剤を含み、例えば、抗癌剤等を服用し血小板数が極度に低下した患者が呈する異常出血の治療に有用である。
本発明の別の態様においては、上記PEG-IL11類結合体を有効成分として含有する医薬組成物が提供される。このような医薬組成物の投与は、種々の簡便な方法においてなされ得る。このような医薬組成物は注射、経口投与、経肺投与、経鼻投与、その他の投与方法によって生体に投与される。中でも、注射が最も好ましく、静脈内、皮膚又は皮下の注射が挙げられる。この医薬組成物は、好ましくは、発熱物質なしの、非経口的に受容可能な水溶液の形態で投与される。pH、等張性、安定性などを考慮した、そのような非経口的に受容可能なタンパク質溶液の調製は、当業者の技術範囲内にある。
処置のために使用されるPEG-IL11類結合体の医薬組成物の量は、状態の重篤度、投与経路、活性成分の反応性又は活性に依存し、そして最終的には、処置の提供者によって決定される。本発明の医薬組成物を用いた処置の方法を実施するにあたり、治療有効量のPEG-IL11類結合体の医薬組成物が投与される。用語「治療有効量」とは、患者にとって意義のある利益を示すに十分である方法又は組成物の各々の活性成分の合計量を意味する(例えば、その発症の、治癒、改善、妨害、遅延、予防、又は再発[(recurrence)もしくは(relapse)]の予防)。所定の患者に対する治療有効量を決定するための1つの一般的な技術は、患者にとって意義のある利益が処置の提供者によって観察されるまで周期的に漸増用量を投与することである。個々の活性成分が単独で投与される適用されるとき、この用語は、その成分単独をいう。組合せ投与されるとき、この用語は、それらが組合せで、連続的に投与されようと同時にされようと、その治療効果を生じる活性成分の組合せ量をいう。
本発明におけるPEG-IL11類結合体の治療有効用量は、約0.1μg/kg体重と約100mg/kg体重との間にあることが好ましく、約1μg/kg体重と約10mg/kg体重との間にあることが更に好ましく、約10μg/kg体重と約1mg/kg体重との間にあることが特に好ましい。投与の数値は、個々の患者及びその疾患の重篤度に依存して変動し得る。
PEG-IL11類結合体を含有する医薬組成物には本発明の効果を損なわない範囲において賦形剤等が添加されていてもよい。賦形剤としては、製薬学的に許容される塩類、界面活性剤、糖類、アミノ酸類、有機酸、その他水溶性物質等が挙げられる。具体的な塩類としては、L−グルタミン酸カリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、メタスルホ安息香酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化アルミニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、糖類としては、D−ソルビトール、D−マンニトール、イノシトール、キシリトール、デキストラン、グルコース、マルトース、ラクトース、スクロース等が挙げられ、アミノ酸類としては、メチオニン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、グリシン、システイン、タウリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン酸、リジン等が挙げられ、有機酸としてはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸等が挙げられ、その他水溶性物質としては、アスコルビン酸、人血清アルブミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、ヘパリンナトリウム等が挙げられる。
PEG-IL11類結合体を含有する医薬組成物は、PEG-IL11類結合体を含む水溶液に、製薬学的に許容される塩類、界面活性剤、糖類、アミノ酸類、有機酸、その他水溶性物質等を必要に応じて添加して、溶解させ、均一な溶液を調製することによって得ることができる。必要に応じて凍結乾燥等の乾燥法を採用し、固体化してもよい。
本発明のPEG-IL11類結合体をほ乳類に投与することにより、非修飾のIL-11類に比べ、IL-11類の血中濃度曲線下面積(AUC)及び平均血中滞留時間(MRT)を実質的に増大させることができ、医療の現場において患者及び医療従事者の負担を軽減することができる。
本発明の別の態様においては、PEG-IL11類結合体による治療方法が提供される。本発明のPEG-IL11類結合体の投与により、癌化学療法時の血小板減少症の改善が未修飾のIL-11類に比べ、より少ない投与量、より少ない投与回数で達成され、実際の患者に利益をもたらすものである。さらに、本発明のPEG-IL11類結合体により、IL-11類を含むサイトカインの投与によって認められる発赤、頭痛、立ちくらみ、浮腫等の副作用及びIL-11類がカチオン性であることに由来する投与部位血管の腫脹が軽減される。
さらには、ポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル(上記式(I)において、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)のような適切な修飾体を選択したPEG-IL11類結合体の創製は、その製造過程における一定の分子量をもつPEG-IL11類結合体の回収率を高めることが出来、結果として、実用化に適した医薬品として開発できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
[分枝型メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステルで修飾されたIL-11類(PEG2-IL11類結合体A)の合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型インターロイキン−11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が20,000の固体のmPEG2-NHS(分枝型メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−O−CO−NH−CH[−(CH2)4−NH−CO−O−(CH2CH2O)n−CH3]−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)30mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG2-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターし、分枝型のPEGが結合したPEG2-IL11類結合体の分画を回収した。得られたクロマトグラムから計算されるPEG2-IL11類結合体の回収率は約63%であった。回収された分画を限外ろ過によって濃縮し、さらに、8.6%のショ糖を含む10mMリン酸緩衝液(pH7)にバッファー交換し、PEG2-IL11類結合体Aを得た。
[PEG2-IL11類結合体Aの物理化学的特性の測定]
得られたPEG2-IL11類結合体Aの見かけの分子量をSDS-PAGEによって求めたところ、約88,000であった。また分子篩いクロマトグラフィで測定すると約106,000であった。mPEG2-NHSは rhIL-11の分子中、N末端のGly、Lys41, Lys98, Lys174の計4カ所と結合する可能性があるが、分子量から考察して、PEG2-IL11類結合体AはrhIL-11分子とPEGが3乃至4カ所において結合した修飾体であると考えられる。rhIL-11はその分子中に多くのカチオン性アミノ酸(リジン、アルギニン)を含み、等電点電気泳動においてはCathode電極付近まで泳動されるため、正確な等電点が求められない。そのアミノ酸配列から求めた等電点は11.7であった。一方、PEG2-IL11類結合体Aも同様に等電点電気泳動で分析したところ、未修飾rhIL-11に比べて若干Anode電極側に泳動されるものの、依然としてCathode電極付近に泳動されるため、正確な等電点は求められなかった。
[PEG2-IL11類結合体Aの免疫学的反応性の検討]
得られたPEG2-IL11類結合体AのrhIL-11抗体に対する免疫学的反応性をrhIL-11に特異的なrhIL-11抗体11h3/15.6.13を用いたELISAによって検討したところ、その反応性は未修飾rhIL-11の約21%まで著しく低下していた。
[実験例1]
実施例1で調製したPEG2-IL11類結合体Aを100, 200, 400μg/kgの投与量で5週齢のddYマウスに静脈内投与し、経時的に採血し、血漿中の免疫応答性rhIL-11濃度をELISAによって測定した。図1からも明らかなように、未修飾rhIL-11に比べ、PEG2-IL11類結合体Aの投与によって免疫応答性rhIL-11濃度は長時間持続し、表1に示すようにそのAUC/D(濃度曲線下面積/投与量)は未修飾rhIL-11の約40倍、MRT(平均滞留時間)も45倍以上に上昇した。
Figure 2005281302
[実験例2]
実施例1で調製したPEG2-IL11類結合体Aを300, 750, 1000μg/kgの投与量で5週齢のddYマウスに静脈内投与し、投与後4,7,10日後に採血し、血中の血小板数を血球測定装置(日本光電、MEK-6158)を用いて測定した。図2からも明らかなように、未修飾のrhIL-11では血小板数の推移はコントロールと差が見られなかったのに対し、PEG2-IL11類結合体Aでは未修飾のrhIL-11よりも少ない投与量から、顕著な血小板増多作用が観察された。
[PEG-IL11類結合体Bの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の5mg/ml水溶液0.25mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)1 mlを混和し、これに数平均分子量が5,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−O−CH2CH2−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)5mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には2種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG2-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Bを得た。得られたPEG-IL11類結合体Bの回収率は88%であった。
[PEG-IL11類結合体Cの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の5mg/ml水溶液0.25mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)1 mlを混和し、これに数平均分子量が12,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル)5mg(rhIL-11とのモル比約6)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG2-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Cを得た。得られたPEG-IL11類結合体Cの回収率は約33.3%であった。
[PEG-IL11類結合体Dの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の5mg/ml水溶液0.25mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)1 mlを混和し、これに数平均分子量が20,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル)5mg(rhIL-11とのモル比約6)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG2-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Dを得た。得られたPEG-IL11類結合体Dの回収率は約72%であった。
[PEG-IL11類結合体Eの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が40,000の固体のmPEG2-NHS(分枝型メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−O−CO−NH−CH[−(CH24−NH−CO−O−(CH2CH2O)n−CH3]−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)60mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG2-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG2-IL11類の分画を回収し、PEG2-IL11類結合体Eを得た。
[PEG-IL11類結合体Fの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が10,000の固体のmPEG2-NHS(分枝型メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−O−CO−NH−CH[−(CH24−NH−CO−O−(CH2CH2O)n−CH3]−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)15mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG2-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG2-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG2-IL11類の分画を回収し、PEG2-IL11類結合体Fを得た。
[PEG-IL11類結合体Gの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が10,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−CO−CH2CH2CH2−CO−O−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)15mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Gを得た。
[PEG-IL11類結合体Hの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が20,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−CO−CH2CH2CH2−CO−O−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)30mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Hを得た。
[PEG-IL11類結合体Iの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が12,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−CO−CH2CH2−CO−O−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)18mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Iを得た。
[PEG-IL11類結合体Jの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が5,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−CO−CH2CH2−CO−O−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)7.5mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Jを得た。
[PEG-IL11類結合体Kの合成]
N末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の2.8mg/ml水溶液2mlと0.2M MOPS溶液(pH 8)8 mlを混和し、これに数平均分子量が2,000の固体のmPEG-NHS(メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル:上記式(I)においてR1:メチル基、R2:−CO−CH2CH2−CO−O−、R3:スクシンイミド基であるPEG誘導体)3mg(rhIL-11とのモル比5)を添加し、室温で2時間攪拌し、反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には1種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在しており、その中から実施例1と同様にしてPEG-IL11類の分画を回収し、PEG-IL11類結合体Kを得た。
[実験例3]
実施例1、実施例5-11で調製したPEG2-IL11類結合体A、E,F又はPEG-IL11類結合体G,H,I,J、Kを1000μg/kgの投与量で5週齢のddYマウスに静脈内投与し、投与後4,7,10日後に採血し、血中の血小板数を血球測定装置(日本光電、MEK-6158)を用いて測定した。図3および図4からも明らかなように、未修飾のrhIL-11では血小板数の推移はコントロールと差が見られなかったのに対し、PEG2-IL11類結合体A、E,F及びPEG-IL11類結合体G,H,I,J、Kでは顕著な血小板増多作用が観察された。
[比較例1]
100mMリン酸緩衝液(pH5)4mlに分子量30,000のメトキシポリエチレングリコールアルデヒド(mPEG-ALD30K)50mgを溶解させ、これにN末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の5mg/ml水溶液1mlを加え混和した。この液に1mol NaCNBH3を20mMとなるように加え、4℃で20時間反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には6種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体と未修飾のrhIL-11が混在していた。
[比較例2]
100mMリン酸緩衝液(pH5)4mlに分子量40,000の分枝型メトキシポリエチレングリコールアルデヒド(mPEG2-ALD40K)50mgを溶解させ、これにN末端のプロリン欠失体である遺伝子組み換えヒト型IL-11(rhIL-11)の5mg/ml水溶液1mlを加え混和した。この液に1mol NaCNBH3を20mMとなるように加え、4℃で20時間反応させた。未反応のrhIL-11とPEG-IL11類結合体を分離するため、0.1mM Glycine, 0.5M NaCl, 50mM MES, pH6.0で平衡化したPharmacia Superdex 75 HR 16/60カラムにかけた。溶離液中のタンパク含量を280nmでモニターした。得られたクロマトグラムから、反応液中には7種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体及び未修飾のrhIL-11が混在していた。
従って、比較例1、2から明らかなように、IL-11に直鎖型メトキシポリエチレングリコールアルデヒド(mPEG-ALD30K)及び分枝型メトキシポリエチレングリコールアルデヒド(mPEG2-ALD40K)を修飾させると多種類の分子量を持つPEG-IL11類結合体及び未修飾のrhIL-11が混在し、それらの分離が極めて困難であることから、一定の分子量を有する特定の修飾体を効率良く回収して実用化に適したPEG-IL11類結合体を創製するには不適切であることが分かった。
一方、実施例1乃至4より、rhIL-11に直鎖型メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル(mPEG-NHS)及び分枝型メトキシポリエチレングリコールのN-ヒドロキシスクシニミジルエステル(mPEG2-NHS)mPEG-NHSを修飾させた場合は、一定量の分子量を有する特定のPEG-IL11類結合体を取得でき、その回収率も高かったため、N−ヒドロキシスクシンイミド連成ポリエチレングリコールをIL-11類の修飾剤として選択することは、PEG-IL11類結合体を製造する上で非常に有用であることが分かった。
本発明は、インターロイキン−11類と、数平均分子量が2,000〜500,000の上記式(I)で示されるポリエチレングリコール誘導体との反応から得られうるPEG-IL11類結合体に関するものであり、これらの結合体の製造過程において一定量の分子量を有するものを高い回収率で創製することができるとともに、インターロイキン−11類の頻回投与回避及び治療効果の増強を可能にすることができる。
実施例1で取得した分枝型のPEG2-IL11類結合体Aをマウスに静脈内投与した際の、免疫学的反応性遺伝子組み換えヒト型インターロイキン−11(rhIL-11)の血漿中濃度推移を示すグラフである。 実施例1で取得した分枝型のPEG2-IL11類結合体Aをマウスに静脈内投与した後の、末梢血中の血小板数の推移を示すグラフである。 実施例1、実施例5、6で取得したPEG2-IL11類結合体A、E、F、J、Kまたは実施例10,11で取得したPEG-IL11類結合体J、Kをマウスに静脈内投与した後の、末梢血中の血小板数の推移を示すグラフである。 実施例7〜10で取得したPEG-IL11類結合体G、H、Iをマウスに静脈内投与した後の、末梢血中の血小板数の推移を示すグラフである。

Claims (9)

  1. インターロイキン−11類と、下記式(I)で示される数平均分子量が2,000〜500,000のポリエチレングリコール誘導体との反応から得られうるポリエチレングリコール−インターロイキン−11類結合体。
    Figure 2005281302
    [式(I)中の記号は下記を意味する。
    1:同一又は異なって−H又はメチル基、
    2:−O−、−O−アルキレン−、−S−アルキレン−、−O−CO−アルキレン−、−O−CO−NH−CH(A)−、又は、−NH−CO−アルキレン−、
    3:スクシンイミド基、又は、ベンゾトリアゾール−1−イル基、
    A:−H、アルキル基、又は、−アルキレン−NH−CO−O−(CH2CH2O)n−R1
    n:重合度]
  2. 1分子のインターロイキン−11類に対して2乃至4分子のポリエチレングリコールが結合した請求項1に記載の結合体。
  3. 前記式(I)における記号R3がスクシンイミド基である請求項1又は2に記載の結合体。
  4. 前記式(I)における記号R2が−O−アルキレン−、又は、−O−CO−NH−CH(A)−である請求項2又は3に記載の結合体。
  5. インターロイキン−11類が、N末端のプロリン欠失体の組み換えヒト型インターロイキン−11である請求項4に記載の結合体。
  6. 数平均分子量が24,000以上である請求項5に記載の結合体。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の結合体を有効成分として含有する医薬。
  8. さらに製薬学的に許容される担体を含有する請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 血小板増多剤である請求項8に記載の医薬組成物。
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