明 細 書
電動車両
技術分野
[0001] この発明は、電動車両に関し、特に、ロータおよびステータを含む回転電機を備え た電動車両に関する。
背景技術
[0002] 従来、ロータおよびステータを含む回転電機を動力源とする電動車両が知られてい る。また、従来では、ロータおよびステータを含む車両用の回転電機において、ロー タとステータとの間の磁束量を変化させることにより、発電特性やトルク出力特性を車 両状態に適した特性に設定変更する技術が知られている。このような技術は、たとえ ば、特開平 9— 37598号公報に開示されている。
[0003] 上記特開平 9— 37598号公報には、ステータの内側にロータが配置されるとともに、 半径方向にステータとロータとが対向するように配置されたラジアルギャップ型の車 両用の回転電機において、ロータを回転軸の延びる方向に移動させることにより、口 ータおよびステータの互いに対向する部分の面積の大きさを調整することによって、 ロータとステータとの間の磁束量を車両状態に応じて変化させる技術が開示されてい る。
[0004] し力 ながら、半径方向にステータとロータとが配置された構造を有する特開平 9_ 37598号公報に開示された車両用の回転電機において、ロータとステータとの間の 磁束量の変化量を大きくするためには、ロータの回転軸の延びる方向への移動量を 大きくする必要がある。この場合、ロータが回転軸の延びる方向に移動する分のスぺ ースを大きくとる必要があるので、車両用の回転電機の小型化を図るのが困難である という不都合が生じる。その結果、小型化を図りながら、磁束量により変化する発電特 性およびトルク出力特性を車両状態に適した特性に設定変更することが可能な回転 電機を備えた車両を得るのが困難であるという問題点がある。
発明の開示
[0005] この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の 1
つの目的は、小型化を図りながら、発電特性およびトルク出力特性を車両状態に適 した特性に設定変更することが可能な回転電機を備えた電動車両を提供することで ある。
[0006] 上記目的を達成するために、この発明の一の局面による電動車両は、回転軸と、回 転軸に取り付けられ、回転軸と共に回転するロータと、ロータに対して所定の間隔を 隔てて対向するように配置されたステータとを含み、ロータおよびステータカ 磁気抵 抗となるエアギャップ長を調整することが可能なように構成された回転電機と、車両状 態を検出するための車両状態検出部とを備えている。そして、エアギャップ長は、車 両状態検出部により検出される車両状態を示す信号に基づいて調整される。
[0007] この一の局面による電動車両では、上記のように、ロータおよびステータを、磁気抵 抗となるエアギャップ長を調整することが可能なように構成することによって、たとえば 、ロータおよぴステータの少なくとも一方を回転軸の延びる方向に移動させることによ りエアギャップ長を調整する場合に、ロータおよびステータの少なくとも一方の移動量 力 S小さ力つたとしても、ロータとステータとにより形成される磁路を流れる磁束の量の 変化量を大きくすることができる。これにより、磁束量により変化する回転電機の発電 特性おょぴトルク出力特性の設定を変更する場合に、ロータおよびステータの少なく とも一方の移動量を小さくすることができるので、回転電機を大型化する必要がな Vヽ
。また、磁気抵抗となるエアギャップ長を、車両状態検出部により検出される車両状 態を示す信号に基づいて調整することによって、ロータとステータとにより形成される 磁路を流れる磁束の量を車両状態に応じて変化させることができるので、磁束量によ り変化する回転電機の発電特性およびトルク出力特性を車両状態に適した特性に設 定変更することができる。この結果、一の局面では、小型化を図りながら、発電特性 およびトルク出力特性を車両状態に適した特性に設定変更することが可能な回転電 機を備えた電動車両を得ることができる。
[0008] 上記一の局面による電動車両において、好ましくは、ロータおよびステータは、回 転軸の延びる方向に所定の間隔を隔てて互 V、に対向するように配置されており、口 一タとステータとの間の回転軸の延びる方向の距離を車両状態を示す信号に基づい て調整することにより、ロータとステータとの間のエアギャップ長が調整される。このよ
うに構成すれば、ロータおよびステータが回転軸の延びる方向に所定の間隔を隔て て互いに対向するように配置されたアキシャルギャップ型の回転電機において、ロー タとステータとの間の回転軸の延びる方向の距離を車両状態を示す信号に基づいて 調整することにより、ロータとステータとの間のエアギャップ長を車両状態に応じた値 に調整することができる。
[0009] 上記ロータおよぴステータが回転軸の延びる方向に所定の間隔を隔てて互いに対 向するように配置された構成において、好ましくは、回転電機は、ロータおよびステー タの少なくとも一方を回転軸の延びる方向に移動させることにより、エアギャップ長を 調整するためのエアギャップ長調整機構部をさらに含み、エアギャップ長調整機構 部は、車両状態を示す信号に基づいて駆動される。このように構成すれば、容易に、 エアギャップ長調整機構部により、ロータとステータとの間のエアギャップ長を車両状 態に応じた値に調整することができる。
[0010] 上記回転電機がエアギャップ長調整機構部を含む構成において、好ましくは、エア ギャップ長調整機構部は、車両状態を示す信号に基づレヽて回転する調整用モータ を少なくとも含み、エアギャップ長は、調整用モータの回転量に応じた値に調整され る。このように構成すれば、調整用モータの回転量を制御することにより、容易に、口 一タとステータとの間のエアギャップ長を車両状態に応じた値に調整することができる
[0011] 上記エアギャップ長調整機構部が調整用モータを含む構成において、好ましくは、 エアギャップ長調整機構部は、調整用モータの回転量に応じて回転軸の延びる方向 に移動する可動部材をさらに含み、可動部材により、ロータおよびステータの少なくと も一方が回転軸の延びる方向に移動される。このように構成すれば、容易に、可動部 材により、ロータおよびステータの少なくとも一方を、調整用モータの回転量に応じた 値だけ回転軸の延びる方向に移動させることができる。
[0012] 上記エアギャップ長調整機構部が調整用モータを含む構成において、好ましくは、 調整用モータの回転量を制御するための調整用モータ制御部をさらに備え、調整用 モータ制御部により、調整用モータの回転量が車両状態を示す信号に基づいて制 御される。このように構成すれば、容易に、調整用モータ制御部により、調整用モー
タの回転量が車両状態に応じた値になるように制御することができる。
[0013] 上記調整用モータ制御部をさらに備えた構成において、好ましくは、調整用モータ 制御部は、車両状態を示す信号に基づいて、通常走行状態であるか、または、押し 歩き状態であるかを判別する。このように構成すれば、通常走行状態のときには、調 整用モータ制御部により調整用モータの回転量が通常走行に適した値になるように 制御することができるとともに、押し歩き状態のときには、調整用モータ制御部により 調整用モータの回転量が押し歩きに適した値になるように制御することができる。これ により、調整用モータにより調整されるエアギャップ長 (磁束量)を、通常走行状態の 場合および押し歩き状態の場合の各々に適した値に調整することができる。その結 果、車両状態 (通常走行状態の場合および押し歩き状態の場合)に応じて回転電機 の発電特性およびトルク出力特性の設定を容易に変更することができる。
[0014] 上記調整用モータ制御部が通常走行状態と押し歩き状態とを判別する構成におい て、好ましくは、調整用モータ制御部により通常走行状態であると判別された場合に は、エアギャップ長が第 1の値になるように、調整用モータ制御部により調整用モータ の回転量が制御され、調整用モータ制御部により押し歩き状態であると判別された場 合には、エアギャップ長が第 1の値よりも大きい第 2の値になるように、調整用モータ 制御部により調整用モータの回転量が制御される。このように構成すれば、容易に、 調整用モータにより調整されるエアギャップ長 (磁束量)を、通常走行状態の場合お よび押し歩き状態の場合の各々に適した値に調整することができる。すなわち、押し 歩き状態の場合には、磁束量が減少するようにエアギャップ長を大きくすることにより 、ロータの回転に対する負荷を低減することができるので、押し歩きしやすくすること ができる。
[0015] 上記調整用モータ制御部をさらに備えた構成において、好ましくは、車両状態を示 す信号は、少なくとも回転電機の回転数を示す回転電機回転数信号を含み、調整 用モータ制御部により、調整用モータの回転量が回転電機回転数信号に基づいて 制御される。このように構成すれば、回転電機 (ロータ)が高速回転している場合には 、調整用モータ制御部により調整用モータの回転量が回転電機 (ロータ)が高速回転 してレ、る場合に適した値になるように制御することができるとともに、回転電機(ロータ
)が低速回転している場合には、調整用モータ制御部により調整用モータの回転量 が回転電機(ロータ)が低速回転している場合に適した値になるように制御することが できる。これにより、調整用モータにより調整されるエアギャップ長 (磁束量)を、回転 電機 (ロータ)が高速回転して 1/、る場合および回転電機 (ロータ)が低速回転して V、る 場合の各々に適した値に調整することができる。その結果、車両状態(回転電機 (口 ータ)が高速回転して!/、る場合および回転電機(ロータ)が低速してレ、る場合)に応じ て回転電機の発電特性およびトルク出力特性の設定を容易に変更することができる
[0016] 上記調整用モータ制御部による調整用モータの回転量の制御が回転電機回転数 信号に基づいて行われる構成において、好ましくは、回転電機が高速回転である場 合には、エアギャップ長が第 3の値になるように、調整用モータ制御部により調整用 モータの回転量が制御され、回転電機が低速回転である場合には、エアギャップ長 が第 3の値よりも小さい第 4の値になるように、調整用モータ制御部により調整用モー タの回転量が制御される。このように構成すれば、容易に、調整用モータにより調整 されるエアギャップ長 (磁束量)を、回転電機 (ロータ)が高速回転してレヽる場合およ び回転電機(ロータ)が低速回転している場合の各々に適した値に調整することがで きる。すなわち、回転電機(ロータ)が高速回転してレ、る場合には、磁束量が減少する ようにエアギャップ長を大きくすることにより、ロータの回転に対する負荷を低減するこ とができるので、高速で走行する車両の走行状態を安定ィ匕させることができる。また、 回転電機 (ロータ)が高速回転している場合に、磁束量が減少するようにエアギャップ 長を大きくすることにより、鉄損の発生を低減することができるので、鉄損が発生する ことに起因して回転電機の発電効率が低下するという不都合が生じるのを抑制するこ とができる。また、回転電機 (ロータ)が低速回転している場合には、磁束量が増加す るようにエアギャップ長を小さくすることにより、回転電機の起電力の発生量を増加さ せることができるとともに、回転電機のトルク出力を高くすることができる。
[0017] 上記調整用モータ制御部をさらに備えた構成において、好ましくは、回転電機に電 流を供給するとともに、回転電機の発電により充電されるバッテリをさらに備え、車両 状態を示す信号は、少なくともバッテリの電圧を示すパッテリ電圧信号を含み、調整
用モータ制御部により、調整用モータの回転量がバッテリ電圧信号に基づいて制御 される。このように構成すれば、回転電機により生成される誘起電圧力バッテリの電圧 よりも低くなるように、エアギャップ長 (磁束量)を調整用モータにより調整することがで きる。これにより、ノ ッテリへの充電電流が大きくなり過ぎるのを抑制することができる ので、ノ ッテリの過充電に起因してバッテリが消耗しやすくなるという不都合が発生す るのを抑制することができる。その結果、ノ ッテリを含む電動車両の信頼性を向上さ せることがでさる。
[0018] 上記調整用モータ制御部による調整用モータの回転量の制御がパッテリ電圧信号 に基づいて行われる構成において、好ましくは、エアギャップ長は、回転電機により 生成される誘起電圧力 Sパッテリの電圧よりも低くなるように、調整用モータにより調整 される。このように構成すれば、容易に、パッテリへの充電電流が大きくなり過ぎるの を抑制することができる。
[0019] 上記一の局面による回転電機において、好ましくは、ステータは、互いに所定の間 隔を隔てて対向するように配置された第 1ステータと第 2ステータとを含み、第 1ステ ータおよび第 2ステータの少なくとも一方を移動させることにより、エアギャップ長が調 整される。このように構成すれば、たとえば、第 1ステータおよぴ第 2ステータを移動さ せない初期状態において形成される磁路のエアギャップ長の大きさと、第 1ステータ および第 2ステータの少なくとも一方を移動させた後の状態において形成される磁路 のエアギャップ長の大きさとを異ならせることにより、容易に、磁束量を変化させること ができる。
[0020] 上記ステータが第 1ステータと第 2ステータとを含む構成において、好ましくは、第 1 ステータは、互いに所定の間隔を隔てて円環状に配置された複数の第 1コア部材を 含み、第 2ステータは、互いに所定の間隔を隔てて円環状に配置された複数の第 2コ ァ部材を含み、第 1ステータおよび第 2ステータの少なくとも一方を移動させることに より、第 1コア部材と第 2コア部材とが対向する状態と、第 1コア部材と第 2コア部材と が対向しない状態とに変化させることによって、エアギャップ長が調整される。このよう に構成すれば、第 1コア部材と第 2コア部材とが対向する場合に形成される磁路のェ ァギャップ長と、第 1コア部材と第 2コア部材とが対向しない場合に形成される磁路の
エアギャップ長とを異ならせることにより、より容易に、磁束量を変化させることができ る。
[0021] 上記第 1ステータが複数の第 1コア部材を含むとともに、第 2ステータが複数の第 2 コア部材を含む構成において、好ましくは、第 1コア部材および第 2コア部材の一方 力 Sロータに対向するように配置され、ロータに対向するように配置された第 1コア部材 および第 2コア部材の一方にコイルが装着されており、第 1コア部材および第 2コア部 材の一方のコイルが装着された部分に実質的に磁路が形成されないように、エアギ ヤップ長が調整される。このように構成すれば、ロータが回転する際に、磁束がコイル を横切るのを抑制することができるので、磁束がコイルを横切ることによりコイルに電 流が流れることに起因して、コイルが装着された第 1コア部材および第 2コア部材のー 方に発生する磁束の量が増加するのを抑制することができる。これにより、ロータの回 転に対する負荷が増大するのを抑制することができる。また、ロータが回転する際に 、第 1コア部材および第 2コア部材への磁束の流入が抑制されるので、これによつて も、ロータの回転に対する負荷が増大するのを抑制することができる。
[0022] 上記第 1ステータが複数の第 1コア部材を含むとともに、第 2ステータが複数の第 2 コア部材^む構成において、好ましくは、第 2ステータをロータの回転方向に回動 させることにより、エアギャップ長が調整される。このように構成すれば、第 2ステータ をロータの回転方向に回動させることにより、容易に、エアギャップ長を調整すること ができる。
[0023] 上記第 2ステータをロータの回転方向に回動させる構成において、好ましくは、第 2 ステータをロータの回転方向に回動させるための回動駆動部をさらに備える。このよ うに構成すれば、回動駆動部により、容易に、第 2ステータをロータの回転方向に回 動させることができる。
[0024] 上記第 2ステータをロータの回転方向に回動させる構成において、好ましくは、第 1 コア部材と第 2コア部材とが互いに対向している場合、第 1コア部材と第 2コア部材と の間のエアギャップ長は、隣接する第 1コア部材間の距離よりも小さくなり、第 2ステー タがロータの回転方向に回動することにより、第 2コア部材が第 1コア部材に対向しな い位置に移動した場合、隣接する第 1コア部材間のエアギャップ長は、第 1コア部材
と第 2コア部材との間の距離よりも小さくなり、第 1コア部材と第 2コア部材とが互いに 対向している場合の第 1コア部材と第 2コア部材との間のエアギャップ長は、第 2コア 部材が第 1コア部材に対向しなレ、位置に移動した場合の隣接する第 1コア部材間の エアギャップ長よりも小さい。このように構成すれば、容易に、第 1コア部材と第 2コア 部材とが互いに対向している場合の磁束量と、第 2コア部材が第 1コア部材に対向し ない位置に移動した場合の磁束量とを異ならせることができる。
[0025] 上記第 1ステータが複数の第 1コア部材を含むとともに、第 2ステータが複数の第 2 コア部材を含む構成において、第 1ステータを構成する複数の第 1コア部材は、ロー タに対して回転軸の延びる方向に所定の間隔を隔てて対向するように配置されてい るとともに、第 2ステータを構成する複数の第 2コア部材は、第 1ステータに対して回 転軸の延びる方向に所定の間隔を隔てて対向するように配置されており、第 1コア部 材と第 2コア部材とが対向する状態では、ロータと第 1コア部材と第 2コア部材とにより 磁路が形成され、第 1コア部材と第 2コア部材とが対向しない状態では、ロータと第 1 コア部材とにより磁路が形成されるようにしてもよい。このように構成すれば、ロータと 第 1ステータとが回転軸の延びる方向に所定の間隔を隔てて互いに対向するように 配置され、かつ、第 1ステータと第 2ステータとが回転軸の延びる方向に所定の間隔 を隔てて互いに対向するように配置されたアキシャルギャップ型の回転電機において 、容易に、形成される磁路を変化させることにより、エアギャップ長を調整することがで きる。
[0026] 上記第 1ステータが複数の第 1コア部材を含むとともに、第 2ステータが複数の第 2 コア部材^む構成において、ロータは、円筒状に構成されたロータを含み、第 1ス テータを構成する複数の第 1コア部材は、ロータに対して半径方向に所定の間隔を 隔てて対向するように配置されているとともに、第 2ステータを構成する複数の第 2コ ァ部材は、第 1ステータに対して所定の間隔を隔てて第 1ステータの内側または外側 に配置されており、第 1コア部材と第 2コア部材とが対向する状態では、ロータと第 1コ ァ部材と第 2コア部材とにより磁路が形成され、第 1コア部材と第 2コア部材とが対向 しない状態では、ロータと第 1コア部材とにより磁路が形成されるようにしてもよい。こ のように構成すれば、第 1ステータが円筒状のロータに対して半径方向に所定の間
隔を隔てて対向するように配置され、かつ、第 2ステータが第 1ステータに対して所定 の間隔を隔てて第 1ステータの内側または外側に配置されたラジアルギャップ型の回 転電機において、容易に、形成される磁路を変化させることにより、エアギャップ長を 調整することができる。
図面の簡単な説明
[図 1]本発明の第 1実施形態による電動二輪車の構造を示した概略図である。
[図 2]本発明の第 1実施形態による電動二輪車の電動モータの構造を示した断面図 である。
[図 3]図 1に示した第 1実施形態による電動二輪車の制御システムの構成を示したブ ロック図である。
[図 4]図 2に示した第 1実施形態の電動モータのエアギャップ長調整機構部の制御方 法を説明するためのフローチャートである。
[図 5]図 2に示した第 1実施形態の電動モータのエアギャップ長調整機構部の制御方 法を説明するためのフローチャートである。
[図 6]図 2に示した第 1実施形態の電動モータのエアギャップ長の調整方法を説明す るための断面図である。
[図 7]磁石の B— H (磁束密度一磁化力)特性の線およびパーミアンス係数の線を示し たグラフである。
[図 8]磁石とヨークとの間の磁束量を説明するためのモデル図である。
[図 9]磁石とヨークとの間の磁束量を説明するためのモデル図である。
[図 10]本発明の第 2実施形態による電動二輪車の制御システムの構成を示したプロ ック図である。
[図 11]図 10に示した第 2実施形態の制御システムのステッピングモータ制御指令値 補正部に記憶されたモータ制御指令値補正テーブルである。
[図 12]モータ回転数とトルク出力との関係を示したグラフである。
[図 13]第 2実施形態の変形例による制御システムの基本ステッピングモータ定数算 出部に記憶された基本モータ定数読出テーブルである。
[図 14]本発明の第 3実施形態による電動二輪車の電動モータの構造を示した斜視図
である。
[図 15]図 14に示した第 3実施形態による電動二輪車の電動モータの分解斜視図で ある。
[図 16]図 14に示した第 3実施形態の電動モータの第 2ステータが回動する際の状態 を示した斜視図である。
[図 17]図 14に示した第 3実施形態の電動モータの第 2ステータが回動する際の状態 を示した斜視図である。
[図 18]図 14に示した第 3実施形態の電動モータの第 2ステータが回動する際の状態 を示した斜視図である。
[図 19]図 14に示した第 3実施形態の電動モータの磁束の流れを説明するための模 式図である。
[図 20]図 14に示した第 3実施形態の電動モータの磁束の流れを説明するための模 式図である。
[図 21]本発明の第 4実施形態による電動二輪車の電動モータの構造を示した正面図 である。
[図 22]図 21に示した状態力 第 2ステータが回動した状態を示した正面図である。 発明を実施するための最良の形態
[0028] 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[0029] (第 1実施形態)
まず、図 1および図 2を参照して、第 1実施形態による電動二輪車 100について説 明する。
[0030] 第 1実施形態による電動二輪車 100は、図 1に示すように、電動モータ 10と、ノッテ リ 50とを備えている。なお、電動モータ 10は、本発明の「回転電機」の一例である。
[0031] ここで、第 1実施形態では、図 2に示すように、電動モータ 10は、モータ回転軸 11と 、ステータ 12と、ロータ 13と、エアギャップ長調整機構部 20とによって構成されてい る。なお、モータ回転軸 11は、本発明の「回転軸」の一例である。また、電動モータ 1 0は、ステータ 12とロータ 13とがモータ回転軸 11の延びる方向に所定の間隔を隔て て互いに対向するように配置されたアキシャルギャップ型構造を有する。
[0032] モータ回転軸 11は、軸受 14および 15により回転可能に支持されている。また、モ ータ回転軸 11の所定の部分 11aには、スプラインが形成されている。また、モータ回 転軸 11は、ギア部 l ibを有するとともに、そのギア部 l ibには、ギア 31が嚙み合わさ れている。そして、モータ回転軸 11の回転は、ギア 31を介して車軸 32に伝達される
[0033] また、ステータ 12は、ステータヨーク 12aと、複数のティース 12bと、複数のコイル 12 cとを含んでいる。ステータヨーク 12aは、円板形状に形成されているとともに、ケース 40に固定されている。また、ステータヨーク 12aは、中心部に穴部 12dを有するととも に、その穴部 12d (ステータヨーク 12a)の中心とモータ回転軸 11の軸心とがー致す るように配置されている。複数のティース 12bは、ステータヨーク 12aに、ステータョー ク 12aのロータ 13側の表面力 突出するように取り付けられている。また、複数のティ ース 12bは、円板形状のステータヨーク 12aの円周方向に沿って互いに所定の間隔 を隔てて配置されている。なお、図 2には、円板形状のステータヨーク 12aの中心点を 挟んで互いに対向する 2つのティース 12bのみを図示している。複数のコイル 12cは 、それぞれ、複数のティース 12bの各々に装着されている。
[0034] また、ロータ 13は、ロータヨーク 13aと、複数のマグネット 13bとを含んでいる。ロータ ヨーク 13aは、円板形状に形成されているとともに、ロータヨーク 13aの中心部には、 ステータ 12側に突出する突出部 13cが形成されている。また、ロータヨーク 13aの中 心部には、穴部 13dが形成されている。このロータヨーク 13aの穴部 13dの内周面に は、スプラインが形成されている。そして、ロータヨーク 13aの穴部 13dの内周面に形 成されたスプラインに、モータ回転軸 11の所定の部分 11aに形成されたスプラインが 嚙み合わされている。すなわち、ロータヨーク 13aとモータ回転軸 11とがスプラインに より結合されている。複数のマグネット 13bは、複数の N極のマグネット 13bと複数の S 極のマグネット 13bとを含んでいるとともに、ロータヨーク 13aのステータ 12側の表面 上に取り付けられている。また、複数のマグネット 13bは、円板形状のロータヨーク 13 aの円周方向に沿って、 N極と S極とが所定の間隔を隔てて交互に配置されている。 なお、図 2には、円板形状のロータヨーク 13aの中心点を挟んで互いに対向する 2つ のマグネット 13bのみを図示して 1ヽる。
[0035] この第 1実施形態の電動モータ 10では、ステータヨーク 12aと、ティース 12bと、ロー タヨーク 13aとによって磁路が形成される。この場合、ティース 12b (ステータ 12)とマ グネット 13b (ロータ 13)との間のモータ回転軸 11の延びる方向の距離が、磁気抵抗 となるエアギャップ長である。すなわち、図 2では、エアギャップ長は、 G1である。
[0036] ここで、第 1実施形態では、エアギャップ長調整機構部 20は、ステッピングモータ 2 1と、スライダ 22と、スライダ支持部材 23とを含んでいる。なお、ステッピングモータ 21 は、本発明の「調整用モータ」の一例であり、スライダ 22は、本発明の「可動部材」の 一例である。
[0037] ステッピングモータ 21は、複数のコイル 21cを含む円筒状のステータ 21aと、複数 のマグネット(図示せず)を含む円筒状のロータ 21bとによって構成されている。ステ ータ 21aは、ケース 40に固定されているとともに、ロータ 21bは、ステータ 21aの内側 に配置されている。また、ロータ 21bの内周面の所定の部分 21dには、ねじが形成さ れている。また、ロータ 21bは、一対の軸受 21eにより回転可能に支持されている。そ して、ステッピングモータ 21は、ロータ 21bがモータ回転軸 11と同じ方向に回転する ように、かつ、ロータ 21bの回転中心とモータ回転軸 11の軸心とがー致するように配 置されている。
[0038] スライダ 22は、小径部 22aと大径部 22bとを有する。スライダ 22の小径部 22aの外 周面の所定の部分 22cには、ねじが形成されている。そして、スライダ 22の小径部 2 2aの外周面の所定の部分 22cに形成されたねじに、ステッピングモータ 21のロータ 2 lbの內周面の所定の部分 21dに形成されたねじが嚙み合わされている。すなわち、 スライダ 22とステッピングモータ 21 (ロータ 21b)とがねじにより結合されている。また、 スライダ 22は、ステッピングモータ 21のロータ 21bと共に回転しなレ、ように、スライダ 支持部材 23により支持されている。また、スライダ 22の大径部 22bとロータヨーク 13a の突出部 13cとが、軸受 24を介して連結されている。
[0039] また、図 1に示したパッテリ 50は、電動モータ 10の発電により充電されるとともに、 電動モータ 10に駆動電流を供給することが可能なように構成されて V、る。
[0040] 次に、図 2およぴ図 3を参照して、第 1実施形態の電動モータ 10の制御システムに ついて説明する。
[0041] 第 1実施形態の電動モータ 10の制御システムは、図 3に示すように、車両状態検出 部 60と、車両制御装置 70と、電動モータ駆動回路部 80とを備えている。なお、車両 制御装置 70は、本発明の「調整用モータ制御部」の一例である。
[0042] 車両制御装置 70は、エアギャップ長調整機構部 20 (ステッピングモータ 21)に接続 されている。また、車両制御装置 70は、電動モータ駆動回路部 80を介して、電動モ ータ 10に接続されている。なお、電動モータ 10と電動モータ駆動回路部 80とは、 3 つの電線により接続されている。また、ノッテリ 50が、電動モータ駆動回路部 80を介 して、電動モータ 10に接続されている。
[0043] 車両状態検出部 60は、アクセル指令検出装置 61と、通電停止スィッチ 62と、パッ テリ電圧検出器 63と、パッテリ電流検出器 64と、電動モータ電流検出器 65と、ェンコ ーダ 66とを含んでいる。
[0044] アクセル指令検出装置 61は、ユーザによりアクセル(図示せず)の操作が行われた ときに、アクセルの開度に応じたアクセル指令値信号を生成するとともに、そのァクセ ル指令値信号を車両制御装置 70に出力する機能を有する。通電停止スィッチ 62は 、電動モータ 10と電動モータ駆動回路部 80との間の通電を停止させる際にユーザ により操作されるスィッチである。そして、通電停止スィッチ 62の操作が行われたとき には、通電停止スィッチ 62により停止信号が生成されるとともに、その停止信号が通 電停止スィッチ 62から車両制御装置 70に出力される。
[0045] ノくッテリ電圧検出器 63は、ノ ッテリ 50の電圧を検出してバッテリ電圧信号を生成す るとともに、そのバッテリ電圧信号を車両制御装置 70に出力する機能を有する。バッ テリ電流検出器 64は、バッテリ 50の正極側と電動モータ駆動回路部 80との間に流 れる電流を検出してパッテリ電流信号を生成するとともに、そのパッテリ電流信号を車 両制御装置 70に出力する機能を有する。
[0046] 電動モータ電流検出器 65は、電動モータ 10と電動モータ駆動回路部 80とを接続 する 3つの電線のうち 2つの電線に流れる電流を検出してモータ電流信号を生成す るとともに、そのモータ電流信号を車両制御装置 70に出力する機能を有する。ェンコ ーダ 66は、電動モータ 10 (ロータ 13) (図 2参照)の回転数を検出してモータ回転数 信号を生成するとともに、そのモータ回転数信号を車両制御装置 70に出力する機能
を有する。
[0047] なお、上記したアクセル指令値信号、停止信号、バッテリ電圧信号、バッテリ電流信 号、モータ電流信号およびモータ回転数信号は、本発明の「車両状態を示す信号」 の一例である。
[0048] ここで、第 1実施形態では、車両制御装置 70は、上記した車両状態を示す信号 (ァ クセル指令値信号、停止信号、バッテリ電圧信号、バッテリ電流信号、モータ電流信 号およびモータ回転数信号)に基づいて、車両状態が、通常走行状態であるか、ま たは、押し歩き (電源遮断)状態であるかを判別する機能を有する。また、車両制御 装置 70は、通常走行状態であるか、または、押し歩き (電源遮断)状態であるかを判 別した後、車両状態に応じたエアギャップ長調整指令信号を生成するとともに、その エアギャップ長調整指令信号をエアギャップ長調整機構部 20に出力する機能も有 する。さらに、車両制御装置 70は、通常走行状態であるか、または、押し歩き (電源 遮断)状態であるかを判別した後、車両状態に応じたモータ電流指令信号を生成す るとともに、そのモータ電流指令信号を電動モータ駆動回路部 80に出力する機能も 有する。
[0049] また、電動モータ駆動回路部 80は、バッテリ 50から電動モータ 10への駆動電流の 供給を制御するとともに、電動モータ 10からパッテリ 50への充電電流の供給を制御 する機能を有する。この電動モータ駆動回路部 80は、 3つの一対の電界効果型トラ ンジスタ 81、 82および 83によって構成されている。そして、 3つの一対の電界効果型 トランジスタ 81— 83には、それぞれ、電動モータ 10に繋がる 3つの電線の各々が接 続されている。また、 3つの一対の電界効果型トランジスタ 81— 83には、バッテリ 50 の正極おょぴ負極が接続されている。また、一対の電界効果型トランジスタ 81 83 のゲートには、車両制御装置 70が接続されている。すなわち、一対の電界効果型ト ランジスタ 81— 83は、車両制御装置 70から出力されるモータ電流指令信号に応答 して、オンまたはオフするように構成されている。
[0050] 次に、図 4および図 5を参照して、第 1実施形態のエアギャップ長調整機構部の制 御方法について説明する。
[0051] まず、図 4に示すステップ S1において、車両制御装置 70により、車両状態が、押し
歩き (電源遮断)状態である力否かの判別が行われる。この車両制御装置 70による 車両状態の判別は、車両状態を示す信号 (アクセル指令値信号、停止信号、バッテ リ電圧信号、バッテリ電流信号、モータ電流信号およびモータ回転数信号)に基づい て行われる。そして、車両状態が押し歩き (電源遮断)状態でないと判別された場合 には、ステップ S2に進む。
[0052] 次に、ステップ S2において、車両制御装置 70により、通常走行用のエアギャップ長 調整指令値が演算される。この車両制御装置 70による通常走行用のエアギャップ長 調整指令値の演算は、パッテリ電圧検出器 63から出力されるパッテリ電圧信号と、ェ ンコーダ 66から出力されるモータ回転数信号とに基づいて行われる。
[0053] 次に、ステップ S3において、車両制御装置 70により、通常走行用のモータ電流指 令値が演算される。この車両制御装置 70による通常走行用のモータ電流指令値の 演算は、アクセル指令検出装置 61から出力されるアクセル指令値信号と、電動モー タ電流検出器 65から出力されるモータ電流信号とに基づいて行われる。
[0054] 次に、ステップ S4において、車両制御装置 70から出力される通常走行用のモータ 電流指令値に応じたモータ電流指令信号に基づいて、電動モータ駆動回路部 80が 駆動される。これにより、通常走行用の駆動電流が、電動モータ駆動回路部 80を介 してバッテリ 50から電動モータ 10に供給される。
[0055] 次に、ステップ S5において、車両制御装置 70から出力される通常走行用のエアギ ヤップ長調整指令値に応じたエアギャップ長調整指令信号に基づレ、て、エアギヤッ プ長調整機構部 20が駆動される。これにより、電動モータ 10のステータ 12とロータ 1 3とにより形成される磁路のエアギャップ長が、通常走行状態に応じた値になるように 調整される。
[0056] また、ステップ S 1にお!/、て、車両状態が押し歩き (電源遮断)状態であると判別され た場合には、ステップ S6に進む。
[0057] ステップ S6において、車両制御装置 70により、押し歩き (電源遮断)用のエアギヤッ プ長調整指令値が演算される。この車両制御装置 70による押し歩き (電源遮断)用 のエアギャップ長調整指令値の演算は、パッテリ電圧検出器 63から出力されるバッ テリ電圧信号と、エンコーダ 66から出力されるモータ回転数信号とに基づいて行わ
れる。
[0058] 次に、ステップ S7において、車両制御装置 70により、モータ電流指令値が「0」に 設定される。そして、そのモータ電流指令値(「0」)に応じたモータ電流指令信号に 基づいて、電動モータ駆動回路部 80が駆動される。この場合には、バッテリ 50から 電動モータ 10への駆動電流の供給が電動モータ駆動回路部 80により遮断される。
[0059] 次に、ステップ S5において、車両制御装置 70から出力される押し歩き(電源遮断) 用のエアギャップ長調整指令値に応じたエアギャップ長調整指令信号に基づいて、 エアギャップ長調整機構部 20が駆動される。これにより、電動モータ 10のステータ 1 2とロータ 13とにより形成される磁路のエアギャップ長が、押し歩き (電源遮断)状態 に応じた値になるように調整される。
[0060] ここで、ステップ S5のエアギャップ長調整機構部 20によるエアギャップ長の調整に ついて、図 5のフローチャートを参照して詳細に説明する。
[0061] まず、図 5に示すステップ S 11において、車両制御装置 70により、現在のエアギヤ ップ長調整機構部 20のステッピングモータ 21の回転量力 S、エアギャップ長調整指令 値よりも小さいか否かの判別が行われる。そして、現在のエアギャップ長調整機構部 20のステッピングモータ 21の回転量が、エアギャップ長調整指令値よりも小さいと判 別された場合には、ステップ S12に進む。
[0062] 次に、ステップ S12において、ステッピングモータ 21の回転量を增加させることによ り、ステッピングモータ 21の回転量をエアギャップ長調整指令値に一致させる。これ により、電動モータ 10のステータ 12とロータ 13とにより形成される磁路のエアギヤッ プ長が、ステッピングモータ 21の回転量に応じた値に調整される。すなわち、電動モ ータ 10のステータ 12とロータ 13とにより形成される磁路のエアギャップ長力 車両状 態に応じて調整される。
[0063] また、ステップ S 11にお!/、て、現在のエアギャップ長調整機構部 20のステッピング モータ 21の回転量が、エアギャップ長調整指令値よりも小さくな V、と判別された場合 には、ステップ S13に進む。
[0064] 次に、ステップ S13において、車両制御装置 70により、現在のエアギャップ長調整 機構部 20のステッピングモータ 21の回転量力 エアギャップ長調整指令値よりも大き
いか否かの判別が行われる。そして、現在のエアギャップ長調整機構部 20のステツ ビングモータ 21の回転量が、エアギャップ長調整指令値よりも大きいと判別された場 合には、ステップ S14に進む。
[0065] 次に、ステップ S14において、ステッピングモータ 21の回転量を減少させることによ り、ステッピングモータ 21の回転量をエアギャップ長調整指令値に一致させる。これ により、電動モータ 10のステータ 12とロータ 13とにより形成される磁路のエアギヤッ プ長が、ステッピングモータ 21の回転量に応じた値に調整される。すなわち、電動モ ータ 10のステータ 12とロータ 13とにより形成される磁路のエアギャップ長力 車両状 態に応じて調整される。
[0066] また、ステップ S 13において、現在のエアギャップ長調整機構部 20のステッピング モータ 21の回転量が、エアギャップ長調整指令値よりも大きくな!/、と判別された場合 には、ステッピングモータ 21が駆動されずに、電動モータ 10のステータ 12とロータ 1 3とにより形成される磁路のエアギャップ長が保持される。
[0067] 次に、図 2、図 3および図 6を参照して、図 4およぴ図 5に示した制御方法により実際 にエアギャップ長が調整される際の動作について説明する。以下に、車両状態が押 し歩き(電源遮断)状態であるときに、電動モータ 10のステータ 12およびロータ 13に より形成される磁路のエアギャップ長を、 G1 (図 2参照)力 G2 (図 6参照)に大きくす る場合について説明する。
[0068] まず、図 6に示すように、車両制御装置 70 (図 3参照)から出力されるエアギャップ 長調整指令信号に基づいて、ステッピングモータ 21 (ロータ 21b)の回転量が図 2に 示した状態よりも増加するように、ステッピングモータ 21 (ロータ 21b)が所定量回転さ れる。この際、ステッピングモータ 21 (ロータ 21b)とスライダ 22とがねじにより結合さ れているとともに、スライダ 22がロータ 21bと共に回転しないようにスライダ支持部材 2 3により支持されているので、スライダ 22が図 2に示した位置力 モータ回転軸 11に 沿って矢印 A1方向に移動する。この場合のスライダ 22の矢印 A1方向への移動量 は、ステッピングモータ 21 (ロータ 21b)の回転量に応じた値となる。
[0069] そして、ロータヨーク 13aとモータ回転軸 11とがスプラインにより結合されてレ、るとと もに、ロータヨーク 13aの突出部 13cとスライダ 22の大径部 22bとが軸受 24を介して
連結されているので、ロータ 13がモータ回転軸 11に沿って矢印 A1方向に所定の距 離 (G2-G1)だけ移動する。これにより、ステータ 12とロータ 13との間のモータ回転 軸 11の延びる方向の距離力 S、図 2に示したステータ 12とロータ 13との間のモータ回 転軸 11の延びる方向の距離よりも所定の距離 (G2— G1)だけ大きくなる。したがって 、ステータ 12およびロータ 13により形成される磁路のエアギャップ長力 G1 (図 2参 照)から G2 (図 6参照)に大きくなる。
[0070] この場合、ステータ 12とロータ 13との間の磁路に対する磁気抵抗力 磁路のエアギ ヤップ長が G2 (図 6参照)である場合の方力 磁路のエアギャップ長が G1 (図 2参照) である場合に比べて高くなる。このため、ステータ 12とロータ 13との間の磁束量が、 磁路のエアギャップ長が G2 (図 6参照)である場合の方が、磁路のエアギャップ長が G1 (図 2参照)である場合に比べて減少する。
[0071] 第 1実施形態では、上記のように、ステータ 12とロータ 13とがモータ回転軸 11の延 びる方向に所定の間隔を隔てて対向するように配置されたアキシャルギャップ型構造 を有する電動モータ 10において、ロータ 13をモータ回転軸 11の延びる方向(矢印 A 1方向)に所定の距離 (G2-G1)だけ移動させることによりエアギャップ長を調整する ことによって、ロータ 13のモータ回転軸 11の延びる方向(矢印 A1方向)への移動量( G2-G1)が小さ力つたとしても、ロータ 13とステータ 12とにより形成される磁路を流れ る磁束の量の変化量を大きくすることができる。
[0072] ここで、図 7—図 9を参照して、ロータ(磁石)とステータ(ヨーク)との間のエアギヤッ プ長を調整することにより磁束量を変化させる場合と、ロータ (磁石)およびステータ( ヨーク)の互いに対向する部分の面積の大きさを調整することにより磁束量を変化さ せる場合との磁束量の変化の違いについて説明する。なお、図 7中の Bmは、磁石が 発生する磁束密度であり、図 7中の Hmは、磁石が持つ磁ィ匕力である。また、図 7中 の直線 300aは、磁石の B-H (磁束密度-磁ィ匕力)特性の線を表しており、図 7中の 直線 300bは、パーミアンス係数の線を表している。そして、直線 300aと直線 300bと の交点 Pが、磁石の磁束密度 (Bm)および磁化力(Hm)となる。
[0073] 図 8に示すモデルにおいて、磁石 301aとヨーク 302aとの間のエアギャップ長(lg) が変化する場合のパーミアンス係数 (BmZHm)は、次の式(1)により求められる。
[0074] Bm/Hm= (lm/Am) - (Ag/lg) · ( σ /f ) ·· (1)
なお、 lm:磁石長、 Am:磁石断面積、 Ag:エアギャップ断面積、 σ:漏れ係数、 f: 起磁力損失係数である。ここで、 Am=Ag、 lm=lとするとともに、漏れ磁束の影響を 無視する(σ =f=lとする)と、パーミアンス係数 (BmZHm)は、次の式(2)となる。
[0075] Bm/Hm=l/lg · · (2)
すなわち、磁石 301aとヨーク 302aとの間のエアギャップ長(lg)が変化することによ り、パーミアンス係数 (BmZHm)が変化する。
[0076] また、図 9に示すモデルのように、磁石 301bとヨーク 302bとの互いに対向する部分 の面積の大きさを変化させた場合のパーミアンス係数 (BmZHm)は、 Am=Ag、 lm = 1とするとともに、漏れ磁束の影響を無視する( σ =f = 1とする)と、磁石 301bとョ ーク 302bとの間のエアギャップ長(lg)が変化しないので、上記式(2)によりパーミア ンス係数(BmZHm)は変化しなレ、。
[0077] 次に、図 8に示すモデルにおいて磁石 301aとヨーク 302aとの間のエアギャップ長 を 2倍にしたときの磁束量と、図 9に示すモデルのように磁石 301bとヨーク 302bとの 互いに対向する部分の面積の大きさを 1Z2倍にしたときの磁束量との違いについて 説明する。
[0078] まず、図 7中の直線 300aおよび 300bは、それぞれ、次の式(3)および式(4)で表 すことができる。
[0079] ν= μ x + Bmax · · (3)
o
y=-(Bm/Hm)x · · (4)
なお、上記式(3)中の μ は、真空の透磁率である。
0
[0080] そして、図 8に示すモデルにおいて、磁石 301aとヨーク 302aとの間のエアギャップ 長を 2倍 (Am=Ag=l、 lg = 2)にした場合、パーミアンス係数 (BmZHm)は、上記 式(2)により、 BmZHm=lZlg = lZ2となる。この場合の磁化力(Hm)は、上記式 (3)およぴ式(4)により、 Hm=— Bmax/(1+ Z2)となる。これにより、磁石 301
0
aとヨーク 302aとの間のエアギャップの磁束量 (Bm'Ag)は、次の式(5)となる。
[0081] Bm-Ag= (Hm/2) · l=-Bmax/(2+ μ ) · · (5)
ο
また、図 9に示すモデルのように、磁石 301bとヨーク 302bとの互いに対向する部分
の面積の大きさを 1 2倍 (Am=Ag = l/2、 lg = l)にした場合、パーミアンス係数( Bm/Hm)は、上記式(2)により、 BmZHm= lZlg = 1となる。この場合の磁化力( Hm)は、上記式(3)および式(4)により、 Hm=-Bmax/ (1 + )となる。これによ
0
り、磁石 301bとヨーク 302bとの間のエアギャップの磁束量(Bm'Ag)は、次の式(6) となる。
[0082] Bm-Ag = Hm- (1/2) =-Bmax/ (2 + 2 M ) · · (6)
ο
ここで、真空の透磁率(μ )は、 μ =4 π · 10— 7と小さい値であるので、 μ の項を無
0 0 0 視することができる。このため、磁石 301aとヨーク 302aとの間のエアギャップ長を 2倍 にした場合 (式(5) )と、磁石 301bとヨーク 302bとの互いに対向する部分の面積の大 きさを 1Z2倍にした場合 (式 (6) )とでは、エアギャップの磁束量は実質的に同じであ ると言える。
[0083] ただし、電動モータ(回転電機)の磁石およびヨークの位置関係において、エアギヤ ップ長は、磁石とヨークとの互いに対向する面の辺の長さよりもはるかに小さい。この ため、磁束量を所定の値に変化させる際に、磁石 301aとヨーク 302aとの間のエアギ ヤップ長を 2倍にする場合の磁石 301aまたはヨーク 302aの移動量は、磁石 301bと ヨーク 302bとの互いに対向する部分の面積の大きさを 1Z2倍にする場合の磁石 30 lbまたはヨーク 302bの移動量よりも小さくすることができる。
[0084] したがって、エアギャップ長を調整することにより磁束量を変化させる第 1実施形態 の電動モータ 10では、ロータ 13のモータ回転軸 11の延びる方向(矢印 A1方向)へ の移動量 (G2-G1)が小さ力つたとしても、ロータ 13とステータ 12とにより形成される 磁路を流れる磁束の量の変化量を大きくすることができると言える。これにより、磁束 量により変化する電動モータ 10の発電特性おょぴトルク出力特性の設定を変更する 場合に、ロータ 13の移動量を小さくすることができるので、電動モータ 10を大型化す る必要がない。また、磁気抵抗となるエアギャップ長を、車両状態検出部 60により検 出される車両状態を示す信号に基づいて調整することによって、ロータ 13とステータ 12とにより形成される磁路を流れる磁束の量を車両状態に応じて変化させることがで きるので、磁束量により変化する電動モータ 10の発電特性おょぴトルク出力特性を 車両状態に適した特性に設定変更することができる。この結果、第 1実施形態では、
小型化を図りながら、発電特性およびトルク出力特性を車両状態に適した特性に設 定変更することが可能な電動モータ 10を備えた電動二輪車 100を得ることができる。
[0085] また、第 1実施形態では、ロータ 13をモータ回転軸 11の延びる方向に移動させるこ とによりエアギャップ長を調整するためのエアギャップ長調整機構部 20を設けるととも に、そのエアギャップ長調整機構部 20 (ステッピングモータ 21の回転量)を車両状態 を示す信号に基づいて制御することによって、容易に、ロータ 13とステータ 12との間 のエアギャップ長を車両状態に応じた値に調整することができる。この場合、ステツピ ングモータ 21によりスライダ 22をモータ回転軸 11の延びる方向(矢印 A1方向)に移 動させ、かつ、そのスライダ 22によりロータ 13をモータ回転軸 11の延びる方向(矢印 A1方向)に移動させることによって、容易に、スライダ 22により、ロータ 13をステツピ ングモータ 21の回転量に応じた値だけモータ回転軸 11の延びる方向(矢印 A1方向 )に移動させることができる。
[0086] また、第 1実施形態では、ステッピングモータ 21の回転量を車両状態を示す信号に 基づいて制御するための車両制御装置 70を設けることによって、容易に、車両制御 装置 70により、ステッピングモータ 21の回転量が車両状態に応じた値になるように制 御することができる。
[0087] また、第 1実施形態では、車両制御装置 70を、通常走行状態であるか、または、押 し歩き (電源遮断)状態であるかを判別することが可能なように構成することによって、 通常走行状態のときには、車両制御装置 70によりステッピングモータ 21の回転量が 通常走行に適した値になるように制御することができるとともに、押し歩き状態のとき には、車両制御装置 70によりステッピングモータ 21の回転量が押し歩きに適した値 になるように制御することができる。これにより、ステッピングモータ 21により調整され るエアギャップ長 (磁束量)を、通常走行状態の場合および押し歩き状態の場合の各 々に適した値に調整することができる。その結果、車両状態 (通常走行状態の場合お よび押し歩き状態の場合)に応じて電動モータ 10の発電特性おょぴトルク出力特性 の設定を容易に変更することができる。ここで、押し歩き (電源遮断)状態の場合には 、磁束量が減少するようにエアギャップ長を調整することにより、電動モータ 10を構成 するロータ 13の回転に対する負荷を低減することができるので、押し歩きしやすくす
ることができる。
[0088] また、第 1実施形態では、ステータ 12およびロータ 13を、ステータ 12とロータ 13と の間のエアギャップ長を調整することが可能なように構成することによって、ステータ 1
2とロータ 13との間のエアギャップ長を大きくすることにより、ステータ 12とロータ 13と の間の磁束量を增加させることができるので、電動モータ 10のトルク出力を高くする ことができる。これにより、電動モータ 10のトルク出力を高くするために電動モータ 10 に供給する駆動電流を増大させる必要がないので、電動モータ 10に供給する駆動 電流が増大するのを抑制することができる。
[0089] (第 2実施形態)
図 10および図 11を参照して、この第 2実施形態では、上記第 1実施形態と異なり、 ステッピングモータの回転量を制御するための制御信号を補正する場合について説 明する。なお、第 2実施形態の電動モータ 10の制御システム以外の構成は、上記第 1実施形態と同様である。
[0090] この第 2実施形態の電動モータ 10の制御システムは、図 10に示すように、車両状 態検出部 110と、ステッピングモータ (エアギャップ長調整機構部)駆動制御部 120と 、電動モータ駆動制御部 130とを備えている。なお、ステッピングモータ駆動制御部 120は、本発明の「調整用モータ制御部」の一例である。
[0091] ステッピングモータ駆動制御部 120は、ステッピングモータ 21 (エアギャップ長調整 機構部 20)に接続されている。また、電動モータ駆動制御部 130は、電動モータ 10 に接続されている。また、パッテリ 50が、電動モータ駆動制御部 130を介して電動モ ータ 10に接続されている。
[0092] 車両状態検出部 110は、アクセル検出部 111と、ブレーキ検出部 112と、電動モー タ電流センサ 113と、エンコーダ 114とを含んでいる。
[0093] また、ステッピングモータ駆動制御部 120は、基本ステッピングモータ定数算出部 1 21と、補正ステッピングモータ定数算出部 122と、加算器 123と、ステッピングモータ 制御指令値生成部 124と、ステッピングモータ制御指令値補正部 125と、ステツピン グモータ制御部 126と、ステッピングモータアンプ 127とを含んでいる。
[0094] また、電動モータ駆動制御部 130は、電動モータ定数算出部 131と、電動モータ
電流指令値算出部 132と、電動モータ電流制御部 133と、電動モータアンプ 134と を含んでいる。
[0095] 車両状態検出部 110において、アクセル検出部 111は、ユーザによりアクセル(図 示せず)の操作が行われたときに、アクセルの開度に応じたアクセル指令値を生成す る機能を有する。また、アクセル検出部 111は、アクセル指令値に応じた信号を、ステ ッビングモータ制御指令値生成部 124と、電動モータ電流指令値算出部 132とに出 力する機能も有する。ブレーキ検出部 112は、ユーザによりブレーキ(図示せず)の 操作が行われたときに、ブレーキの状態に応じたブレーキ入力指令値を生成する機 能を有する。また、ブレーキ検出部 112は、ブレーキ入力指令値に応じた信号を、ス テツビングモータ制御指令値生成部 124と、電動モータ電流指令値算出部 132とに 出力する機能も有する。
[0096] 電動モータ電流センサ 113は、電動モータ 10と電動モータアンプ 134との間を流 れる電流を検出してモータ電流信号を生成するとともに、そのモータ電流信号を電動 モータ電流制御部 133に出力する機能を有する。エンコーダ 114は、電動モータ 10 の回転数を検出してモータ回転数信号を生成するとともに、そのモータ回転数信号 を、基本ステッピングモータ定数算出部 121と、電動モータ電流制御部 133とに出力 する機能を有する。
[0097] また、ステッピングモータ駆動制御部 120において、基本ステッピングモータ定数算 出部 121は、エンコーダ 114力ものモータ回転数信号と、バッテリ 50の電圧を示すパ ッテリ電圧信号とに基づいて、ステッピングモータ 21の基本回転量を設定するための 基本モータ定数を算出する機能を有する。また、基本ステッピングモータ定数算出部 121は、基本モータ定数に応じた信号を加算器 123に出力する機能も有する。
[0098] 補正ステッピングモータ定数算出部 122は、後述する FET制御信号に基づいて、 ステッピングモータ 21の回転量を補正するための補正モータ定数を算出する機能を 有する。また、補正ステッピングモータ定数算出部 122は、補正モータ定数に応じた 信号を加算器 123に出力する機能も有する。加算器 123は、基本ステッピングモータ 定数算出部 121からの基本モータ定数と、補正ステッピングモータ定数算出部 122 力 の補正モータ定数とを加算してステッピングモータ制御指令値生成部 124に出
力する機能を有する。
[0099] ステッピングモータ制御指令値生成部 124は、加算器 123からの基本モータ定数と 補正モータ定数との加算値と、アクセル検出部 111からのアクセル指令値と、ブレー キ検出部 112からのブレーキ入力指令値とに基づいて、ステッピングモータ 21の回 転量を制御するためのモータ制御指令値を生成する機能を有する。また、ステツピン グモータ制御指令値生成部 124は、モータ制御指令値に応じた信号をステッピング モータ制御指令値捕正部 125に出力する機能も有する。
[0100] ステッピングモータ制御指令値補正部 125は、ステッピングモータ制御指令値生成 部 124からのモータ制御指令値を補正して捕正モータ制御指令値を生成する機能 を有する。また、ステッピングモータ制御指令値捕正部 125は、補正モータ制御指令 値に応じた信号をステッピングモータ制御部 126に出力する機能も有する。なお、ス テツビングモータ制御指令値捕正部 125には、モータ制御指令値と補正モータ制御 指令値とを対応付けたモータ制御指令値補正テーブル (図 11参照)が記憶されてい る。このモータ制御指令値補正テーブルには、図 11に示すように、モータ制御指令 値に対する捕正モータ制御指令値力 ステッピングモータ 21のヒステリシス誤差を考 慮して設定されている。
[0101] ステッピングモータ制御部 126は、図 10に示すように、ステッピングモータ制御指令 値補正部 125からの補正モータ制御指令値に基づいて、ステッピングモータ 21の回 転量を制御するためのモータ制御信号を生成する機能を有する。また、ステッピング モータ制御部 126は、モータ制御信号を、ステッピングモータアンプ 127と、電動モ ータ定数算出部 131とに出力する機能も有する。ステッピングモータアンプ 127は、 ステッピングモータ制御部 126からのモータ制御信号に基づ V、て、ステッピングモー タ 21への駆動電流の供給を制御する機能を有する。
[0102] また、電動モータ駆動制御部 130において、電動モータ定数算出部 131は、ステツ ビングモータ制御部 126からのモータ制御信号に基づいて、電動モータ 10の現在の 出力トルクを示す現在モータ定数を算出する機能を有する。また、電動モータ定数 算出部 131は、現在モータ定数に応じた信号を電動モータ電流指令値算出部 132 に出力する機能も有する。電動モータ電流指令値算出部 132は、アクセル検出部 1
11からのアクセル指令値と、ブレーキ検出部 112からのブレーキ入力指令値と、電 動モータ定数算出部 131からの現在モータ定数とに基づいて、電動モータ 10の駆 動電流値を設定するためのモータ電流指令値を算出する機能を有する。また、電動 モータ電流指令値算出部 132は、モータ電流指令値に応じた信号を電動モータ電 流制御部 133に出力する機能も有する。
[0103] 電動モータ電流制御部 133は、電動モータ電流指令値算出部 132からのモータ電 流指令値と、電動モータ電流センサ 113からのモータ電流信号と、エンコーダ 114か らのモータ回転数信号とに基づいて、後述する電動モータアンプ 134内の電界効果 型トランジスタ(FET: Field Effect Transistor)の駆動を制御するための FET制 御信号を生成する機能を有する。また、電動モータ電流制御部 133は、 FET制御信 号を、補正ステッピングモータ定数算出部 122と、電動モータアンプ 134とに出力す る機能も有する。電動モータアンプ 134は、電動モータ 10に繋がる 3つの電線の各 々に接続された電界効果型トランジスタ(図示せず)を含んでいる。また、電動モータ アンプ 134は、電動モータ電流制御部 133からの FET制御信号に基づいて、電動 モータ 10への駆動電流の供給を制御する機能を有する。
[0104] 次に、図 10に示した第 2実施形態の制御システムにより実際にエアギャップ長が調 整される際の動作について説明する。
[0105] まず、図 10に示したステッピングモータ駆動制御部 120において、基本ステツピン グモータ定数算出部 121に、エンコーダ 114からのモータ回転数信号と、ノ ッテリ 50 の電圧を示すパッテリ電圧信号とが入力される。これにより、基本ステッピングモータ 定数算出部 121において、基本モータ定数が算出される。なお、基本モータ定数 M は、次の式(11)により算出される。
[0106] M= (V1-V2) /N " (11)
ここで、 VI:バッテリ電圧、 V2 :電圧マージン、 N :モータ回転数である。なお、パッ テリ電圧 VIは、基本モータ定数の算出時におけるバッテリ電圧であり、車両状態に 応じて変動する値である。電圧マージン V2は、ノくッテリ電圧 VIの変動量を考慮して 設定される値である。モータ回転数 Nは、電動モータ 10の回転数である。すなわち、 第 2実施形態の基本モータ定数は、基本モータ定数の算出時におけるバッテリ電圧
よりも低いバッテリ電圧に基づいて算出される。この後、基本モータ定数に応じた信 号が、基本ステッピングモータ定数算出部 121から加算器 123に出力される。
[0107] また、補正ステッピングモータ定数算出部 122には、電動モータ電流制御部 133か らの FET制御信号が入力される。これにより、補正ステッピングモータ定数算出部 12 2において、 FET制御信号に基づいて、補正モータ定数が算出される。この後、補正 モータ定数に応じた信号が、補正ステッピングモータ定数算出部 122から加算器 12 3に出力される。
[0108] 次に、加算器 123において、基本モータ定数と補正モータ定数とが加算されてステ ッビングモータ制御指令値生成部 124に出力される。
[0109] 次に、ステッピングモータ制御指令値生成部 124において、以下のようにモータ制 御指令値が生成される。すなわち、まず、基本モータ定数と補正モータ定数との加算 値と、アクセル検出部 111からのアクセル指令値とを対応付けたマップ(図示せず)に 基づいて、第 1調整値が求められる。さらに、第 1調整値と、ブレーキ検出部 112から のブレーキ入力指令値とを対応付けたマップ(図示せず)に基づいて、第 2調整値が 求められる。そして、この第 2調整値に基づいて、モータ制御指令値が生成される。こ の後、モータ制御指令値に応じた信号が、ステッピングモータ制御指令値生成部 12 4からステッピングモータ制御指令値補正部 125に出力される。
[0110] 次に、ステッピングモータ制御指令値補正部 125において、図 11に示したモータ 制御指令値補正テーブルから、ステッピングモータ制御指令値生成部 124からのモ ータ制御指令値に応じた補正モータ制御指令値が読み出される。この後、捕正モー タ制御指令値力 ステッピングモータ制御指令値補正部 125からステッピングモータ 制御部 126に出力される。
[0111] 次に、ステッピングモータ制御部 126において、ステッピングモータ制御指令値補 正部 125からの補正モータ制御指令値に基づいて、ステッピングモータ 21の回転量 を制御するためのモータ制御信号が生成される。この後、モータ制御信号が、ステツ ビングモータアンプ 127と、電動モータ定数算出部 131とに出力される。
[0112] 次に、第 2実施形態では、ステッピングモータアンプ 127により、ステッピングモータ 21への駆動電流の供給が、ステッピングモータ制御部 126からのモータ制御信号に
基づいて制御される。すなわち、ステッピングモータ 21の回転量力 車両状態を示す 信号 (アクセル指令値、ブレーキ入力指令値、モータ回転数信号およびバッテリ電圧 信号)に基づいて制御される。これにより、図 6に示した第 1実施形態と同様、車両状 態に応じて、電動モータ 10に形成される磁路のエアギャップ長 (磁束量)が変化され る。
[0113] また、図 10に示した電動モータ駆動制御部 130では、電動モータ定数算出部 131 において、ステッピングモータ制御部 126からのモータ制御信号が入力されることに よって、現在モータ定数がモータ制御信号に基づいて算出される。この後、現在モー タ定数に応じた信号が、電動モータ定数算出部 131から電動モータ電流指令値算 出部 132に出力される。
[0114] 次に、電動モータ電流指令値算出部 132に、現在モータ定数に応じた信号に加え て、アクセル検出部 111からのアクセル指令値と、ブレーキ検出部 112からのブレー キ入力指令値とが入力される。そして、電動モータ電流指令値算出部 132において 、アクセル指令値とブレーキ入力指令値とが加算されるとともに、その加算された値と 現在モータ定数とに基づいて、モータ電流指令値が算出される。この後、モータ電流 指令値に応じた信号が、電動モータ電流指令値算出部 132から電動モータ電流制 御部 133に出力される。
[0115] 次に、電動モータ電流制御部 133に、モータ電流指令値に応じた信号に加えて、 電動モータ電流センサ 113からのモータ電流信号と、エンコーダ 114からのモータ回 転数信号とが入力される。そして、電動モータ電流制御部 133において、モータ電流 指令値と、モータ電流信号と、モータ回転数信号とに基づいて、 FET制御信号が生 成される。この後、 FET制御信号力 電動モータ電流制御部 133から電動モータァ ンプ 134に出力される。
[0116] 次に、電動モータアンプ 134において、 FET制御信号に基づいて、電動モータァ ンプ 134内の電界効果型トランジスタ(図示せず)が駆動される。これにより、バッテリ 50から電動モータ 10への駆動電流の供給が、車両状態を示す信号 (アクセル指令 値、ブレーキ入力指令値、モータ回転数信号およびモータ電流信号)と、ステツピン グモータ 21の回転量を制御するためのモータ制御信号とに基づいて制御される。ま
た、電動モータ 10からバッテリ 50への充電電流の供給も、車両状態を示す信号と、 モータ制御信号とに基づいて制御される。
[0117] 第 2実施形態では、上記のように、基本ステッピングモータ定数算出部 121におい て、ステッピングモータ 21の基本回転量を設定するための基本モータ定数を、基本 モータ定数の算出時におけるバッテリ電圧よりも低いバッテリ電圧に基づいて算出す ることによって、電動モータ 10により生成される誘起電圧がバッテリ 50の電圧よりも低 くなるように、エアギャップ長(磁束量)をステッピングモータ 21により調整することがで きる。これにより、電動モータアンプ 134を介してパッテリ 50へ供給される充電電流が 大きくなり過ぎるのを抑制することができるので、ノッテリ 50の過充電に起因してパッ テリ 50が消耗しやすくなるという不都合が発生するのを抑制することができる。したが つて、バッテリ 50を含む電動二輪車の信頼性を向上させることができる。さらに、電動 モータアンプ 134を介してバッテリ 50へ充電電流が供給される際に、電動モータアン プ 134内の電界効果型トランジスタに過剰な電流が流れるのを抑制することができる ので、電界効果型トランジスタが破損しやすくなるのを抑制することもできる。これによ り、電動モータアンプ 134を含む制御システムにより駆動が制御される電動モータ 10 の特性が低下するのを抑制することができる。
[0118] また、第 2実施形態では、車両状態に応じて電動モータ 10のエアギャップ長 (磁束 量)を調整することが可能なように構成することによって、電動モータ 10のモータ回転 数に対するトルク出力特性を、車両状態に応じた特性に設定変更することができる。 たとえば、図 12に示すように、電動モータ 10の特性を、高トルク低速回転 (特性 A)に 対応した特性力ゝら低トルク高速回転 (特性 に対応した特性に設定変更する場合に は、電動モータ 10のエアギャップ長を特性 Aの状態よりも大きくすることによって、磁 束量を特性 Aの状態に比べて減少させることができる。これにより、電動モータ 10の 特性を、高トルク低速回転 (特性 A)に対応した特性力ゝら低トルク高速回転に対応した 特性 (特性 B)に設定変更することができる。
[0119] また、図 12に示した特性図において、モータ回転数が N1のときの要求トルクが T1 の場合(図 12中の黒丸)には、ステッピングモータ 21の回転量を制御することにより、 エアギャップ長を高トルク低速回転 (特性 A)に応じた値に調整すればよい。なお、低
トルク高速回転に対応した特性を保持した状態で、モータ回転数が N1のときのトルク を T1にする場合には、電動モータ 10に供給される駆動電流が小さくなるように制御 すれば、低トルク高速回転に対応した特性を保持した状態で、モータ回転数が N1の ときのトルクを T1にすることができる(特性 B1参照)。
[0120] また、第 2実施形態では、ステッピングモータ制御指令値生成部 124により生成さ れたモータ制御指令値を補正するためのステッピングモータ制御指令値補正部 125 を設けることによって、ステッピングモータ制御指令値補正部 125には、ステッピング モータ 21のヒステリシス誤差を考慮したモータ制御指令値補正テーブルが記憶され ているので、ステッピングモータ制御指令値補正部 125からヒステリシス誤差を考慮し た補正モータ制御指令値を出力させることができる。これにより、ステッピングモータ 2 1のヒステリシス誤差が発生することに起因して、ステッピングモータ 21の回転量 (ステ ップ数)とモータ制御指令値とがー致しな力 たとしても、ステッピングモータ 21の回 転量 (ステップ数)の制御が繰り返し行われるのを抑制することができる。
[0121] また、第 2実施形態では、電動モータ 10のエアギャップ長 (磁束量)を調整すること が可能なように構成することによって、電動二輪車において異常が発生した場合に、 電動モータ 10と電動モータアンプ 134との間を流れる電流を遮断する場合には、ェ ァギャップ長を大きくすることにより磁束量を減少させることができるので、電動モータ 10における発電が増大するのを抑制することができる。これにより、電動モータ 10と 電動モータアンプ 134との間に電流が流れるのを容易に抑制することができる。この 場合、エアギャップ長を大きくすることにより磁束量を減少させているので、電動モー タ 10の回転に対する負荷を低減することができる。これにより、電動二輪車において 異常が発生した場合に、押し歩きしやすくすることができる。
[0122] なお、第 2実施形態のその他の効果は、上記第 1実施形態と同様である。
[0123] なお、上記した第 2実施形態の制御システムの変形例として、基本ステッピングモー タ定数算出部 121に、図 13に示すような基本モータ定数読出テーブルを記憶させて もよい。具体的には、図 13の基本モータ定数読出テーブルには、モータ回転数およ ぴバッテリ電圧に対する基本モータ定数が設定されている。また、図 13の基本モー タ定数読出テーブルにおいて、パッテリ電圧は、パッテリ電圧が高い場合とパッテリ
電圧が低い場合との 2種類が設定されている。また、モータ回転数が所定の値 N2の 場合、バッテリ電圧が低い場合に対応する基本モータ定数(図 13中の M )が、バッ テリ電圧が高!/、場合に対応する基本モータ定数(図 13中の M )よりも大きくなるよう
H
に設定されている。これにより、バッテリ電圧が高い場合とバッテリ電圧が低い場合と で、図 13の基本モータ定数読出テーブルから読み出される基本モータ定数を容易 に変更させることができる。なお、モータ回転数力 の場合 (押し歩きまたは電源遮断 の場合)の基本モータ定数は、図 13中の M2に設定されて!/、る。
[0124] (第 3実施形態)
図 14一図 16および図 18—図 20を参照して、この第 3実施形態では、上記第 1およ び第 2実施形態と異なり、電動モータを構成するステータを 2分割する場合につ!/ヽて 説明する。
[0125] この第 3実施形態の電動モータ 140は、図 14に示すように、モータ回転軸 150と、 ステータ 160と、ロータ 170と、回動駆動部 180とを備えている。なお、モータ回転軸 150は、本発明の「回転軸」の一例である。また、第 3実施形態の電動モータ 140は、 ステータ 160とロータ 170とがモータ回転軸 150の延びる方向に所定の間隔を隔て て互いに対向するように配置されたアキシャルギャップ型構造を有する。また、第 3実 施形態の電動モータ 140は、図 1に示した第 1実施形態の電動二輪車 100と同様の 電動二輪車 (図示せず)に搭載されている。
[0126] ここで、第 3実施形態では、図 14および図 15に示すように、ステータ 160は、第 1ス テータ 161と、第 2ステータ 162との 2つに分割されている。この第 1ステータ 161と第 2ステータ 162とは、モータ回転軸 150の延びる方向に所定の間隔を隔てて互いに 対向するように配置されているとともに、第 1ステータ 161がロータ 170に対して対向 するように配置されている。また、第 2ステータ 162は、モータ回転軸 150の軸心を回 動中心としてロータ 170の回転方向(矢印 B方向)に回動可能に構成されている。
[0127] ステータ 160の具体的な構造としては、第 1ステータ 161は、複数の第 1ティース 16 4と、複数のコイル 165とを含んでいる。なお、第 1ティース 164は、本発明の「第 1コ ァ部材」の一例である。複数の第 1ティース 164は、互いに所定の間隔を隔てて円環 状に配置されている。また、第 1ティース 164の一方の端面 164aは、一方の端面 16
4aと対向する他方の端面 164b (図 15参照)よりも大きい面積を有する。このため、隣 接する第 1ティース 164間の一方の端面 164a側の間隔は、他方の端面 164b側の間 隔よりも小さくなつている。また、第 1ティース 164の一方の端面 164aは、ロータ 170 と対向するように配置されている。また、第 1ティース 164の他方の端面 164b側の端 部 164c (図 15参照)は、面取りされている。複数のコイル 165は、それぞれ、複数の 第 1ティース 164の各々に装着されている。なお、コイル 165は、第 1ティース 164の 一方の端面 164aの部分には装着されてレ、な!/、。
[0128] また、第 2ステータ 162は、ステータヨーク 166と、複数の第 2ティース 167とを含ん でいる。なお、第 2ティース 167は、本発明の「第 2コア部材」の一例である。ステータ ヨーク 166は、円環形状に形成されているとともに、円環状に配列された複数の穴部 166aを有する。また、ステータヨーク 166の外周面の所定領域には、ギア係合部 16 6bが設けられている。また、複数の第 2ティース 167は、それぞれ、ステータヨーク 16 6の円環状に配列された複数の穴部 166aの各々に、第 2ティース 167の所定の端面 167aが第 1ステータ 161側に突出するように装着されている。また、第 2ティース 167 の突出した端面 167a側の端部 167bは、面取りされている。
[0129] また、ロータ 170は、ロータヨーク 171と、複数のマグネット 172とを含んでいる。ロー タヨーク 171は、円板形状に形成されているとともに、ロータヨーク 171の中心部には 、ステータ 160側に突出する突出部 171aが形成されている。また、ロータヨーク 171 の中心部には、穴部 171bが形成されている。このロータヨーク 171の穴部 171bには 、ロータヨーク 171がモータ回転軸 150と共に回転するように、モータ回転軸 150が 嵌め込まれている。複数のマグネット 172は、複数の N極のマグネット 172と複数の S 極のマグネット 172とを含んでいるとともに、ロータヨーク 171のステータ 160側の表 面上に取り付けられている。また、複数のマグネット 172は、円板形状のロータヨーク 171の円周方向に沿って、 N極と S極とが所定の間隔を隔てて交互に配置されてレ、 る。
[0130] また、図 14に示すように、回動駆動部 180は、ステータ 160を構成する第 2ステータ 162を、ロータ 170の回転方向(矢印 B方向)に回動させるために設けられている。こ の回動馬区動咅 は、モータ 181と、ウォームギア 182と、ギア 183、 184および 185
とを含んでいる。ウォームギア 182は、モータ 181の回転軸 181aに取り付けられてい るとともに、ギア 183の大径ギア部 183aに嚙み合わされている。また、ギア 184の大 径ギア部 184aは、ギア 183の小径ギア部 183bに嚙み合わされているとともに、ギア 184の小径ギア部 184bは、ギア 185の大径ギア部 185aに嚙み合わされている。ま た、ギア 185の小径ギア部 185bは、第 2ステータ 162のステータヨーク 166のギア係 合部 166bに嚙み合わされている。これにより、モータ 181の動力力 ウォームギア 18 2およびギア 183— 185を介してステータヨーク 166に伝達されるので、第 2ステータ 162がロータ 170の回転方向(矢印 B方向)に回動される。また、モータ 181には、電 源 186からコントローラ 187を介して駆動電流が供給される。
[0131] この第 3実施形態では、コントローラ 187には、図示しない車両状態検出部から出 力される車両状態を示す信号が入力される。そして、電源 186からモータ 181への駆 動電流の供給は、車両状態を示す信号に基づ V、てコントローラ 187により制御される
[0132] ここで、第 3実施形態の電動モータ 140では、図 16および図 19に示すように、第 1 ティース 164と第 2ティース 167とが互いに対向している場合には、ロータ 170と、第 1 ステータ 161と、第 2ステータ 162とによって磁路(図 19中の破線)が形成される。そし て、第 1ティース 164と第 2ティース 167とが互いに対向している場合には、第 1ティー ス 164とマグネット 172との間の距離 L1および第 1ティース 164と第 2ティース 167と の間の距離 L2が磁路に対する磁気抵抗となるエアギャップ長である。
[0133] また、図 18および図 20に示すように、第 2ティース 167が第 1ティース 164と対向し ない位置に移動した場合には、ロータ 170と、第 1ステータ 161とによって磁路(図 20 中の破線)が形成される。そして、第 2ティース 167が第 1ティース 164と対向しない位 置に移動した場合には、第 1ティース 164とマグネット 172との間の距離 L1および隣 接する第 1ティース 164間の端面 164a側の距離 L3が磁路に対する磁気抵抗となる エアギャップ長である。
[0134] なお、図 19および図 20では、所定のマグネット 172を 172iとし、所定のマグネット 1 72iの矢印 B方向(ロータ 170の回転方向)に隣接するマグネット 172を 172i+ lとし ているとともに、所定のマグネット 172iの矢印 B方向と反対方向に隣接するマグネット
172を 172i-lとしている。また、所定の第 1ティース 164を 164iとし、所定の第 1ティ ース 164iの矢印 B方向に隣接する第 1ティース 164を 164i+ lとしているとともに、所 定の第 1ティース 164iの矢印 B方向と反対方向に隣接する第 1ティース 164を 164i- 1としている。また、所定の第 2ティース 167を 167iとし、所定の第 2ティース 167iの矢 印 B方向に隣接する第 2ティース 167を 167i + 1として!/ヽるとともに、所定の第 2ティ ース 1671の矢印 B方向と反対方向に隣接する第 2ティース 167を 167i-lとしている 。また、図 19および図 20では、図面の簡略化のため、コイル 165を図示していない。
[0135] 次に、図 14および図 16—図 20を参照して、第 3実施形態の電動モータ 140のエア ギャップ長の調整方法について説明する。
[0136] まず、電動モータ 140を高トルク低速回転させる場合には、図 16に示すように、第 2 ステータ 162を回動させずに初期状態の位置に保持する。すなわち、第 2ティース 16 7が第 1ティース 164に対して対向するように保持する。この場合、図 19に示すように 、磁束の経路である磁路(図 19中の破線)は、ロータ 170と、第 1ステータ 161と、第 2 ステータ 162とに形成される。
[0137] そして、図 19に示すように、第 2ティース 167が第 1ティース 164に対して対向する 場合には、第 1ティース 164とマグネット 172との間の距離 (エアギャップ長) L1が極 めて小さいので、第 1ティース 164とマグネット 172との間の磁気抵抗は低くなる。また 、第 1ティース 164と第 2ティース 167との間の距離 (エアギャップ長) L2が極めて小さ いので、第 1ティース 164と第 2ティース 167との間の磁気抵抗は低くなる。なお、第 1 ティース 164とマグネット 172との間の距離 L1と、第 1ティース 164と第 2ティース 167 との間の距離 L2とは、実質的に同じ距離である。
[0138] その一方、隣接する第 1ティース 164間の端面 164a側の距離 L3は、第 1ティース 1 64と第 2ティース 167との間の距離 (エアギャップ長) L2よりも大きくなる。すなわち、 隣接する第 1ティース 164間の端面 164a側の磁気抵抗は、第 1ティース 164と第 2テ ィース 167との間の磁気抵抗よりも高くなる。なお、第 1ティース 164と第 2ティース 16 7との間の距離 L2と、隣接する第 1ティース 164間の端面 164a側の距離 L3とは、 2 X L2 < L3の関係式を満たして V、る。
[0139] これにより、マグネット 172i (たとえば、 N極)とマグネット 172ト 1 (たとえば、 S極)と
の間に発生する磁束は、第 1ティース 164iと第 1ティース 1641-1との間の端面 164a 側のエアギャップをほとんど透過しない。したがって、マグネット 172iとマグネット 172i —1との間に発生する磁束は、マグネット 172iと第 1ティース 164iとの間のエアギヤッ プ、第 1ティース 1641、第 1ティース 1641と第 2ティース 167iとの間のエアギャップ、第 2ティース 167i、ステータヨーク 166、第 2ティース 167i— 1、第 2ティース 167i— 1と第 1ティース 164i— 1との間のエアギャップ、第 1ティース 164i— 1、第 1ティース 164i— 1 とマグネット 172i— 1との間のエアギャップおよびロータヨーク 171をこの順番で流れる
[0140] また、マグネット 172i (たとえば、 N極)とマグネット 172i+ 1 (たとえば、 S極)との間 に発生する磁束は、第 1ティース 164iと第 1ティース 164i + 1との間の端面 164a側 のエアギャップをほとんど透過しない。したがって、マグネット 172iとマグネット 172i + 1との間に発生する磁束は、マグネット 172iと第 1ティース 164iとの間のエアギャップ 、第 1ティース 1641、第 1ティース 164iと第 2ティース 167iとの間のエアギャップ、第 2 ティース 167i、ステータヨーク 166、第 2ティース 167i+ l、第 2ティース 167i+ 1と第 1ティース 164i+ lとの間のエアギャップ、第 1ティース 164i+ l、第 1ティース 164i+ 1とマグネット 172i+ 1との間のエアギャップおよびロータョーク 171をこの順番で流 れる。
[0141] なお、マグネット 172iが S極になり、マグネット 172i+ lおよび 172i— 1が N極になつ た場合には、上記したマグネット 1721が N極であり、マグネット 172i+ lおよび 172ト 1が S極である場合と異なり、磁束が流れる向きが反対方向になる。
[0142] また、図 16の状態力も電動モータ 140を低トルク高速回転させる場合には、図 17 に示すように、回動駆動部 180 (図 14参照)により第 2ステータ 162をロータ 170の回 転方向(矢印 B方向)に回動させる。これにより、図 18に示すように、第 2ティース 167 が第 1ティース 164に対して対向しないように、隣接する第 1ティース 164間の中央に 対応する領域に第 2ティース 167を移動させる。この場合、図 20に示すように、磁束 の経路である磁路(図 20中の破線)は、ロータ 170と、第 1ステータ 161とに形成され る。
[0143] そして、図 20に示すように、第 2ティース 167が第 1ティース 164に対して対向しな
い場合には、第 1ティース 164と第 2ティース 167との間の距離力 L2 (図 19参照)か ら L4に大きくなる。このため、隣接する第 1ティース 164間の端面 164a側の距離 (ェ ァギャップ長) L3は、第 1ティース 164と第 2ティース 167との間の距離 L4よりも小さく なる。すなわち、隣接する第 1ティース 164間の端面 164a側の磁気抵抗は、第 1ティ ース 164と第 2ティース 167との間の磁気抵抗よりも小さくなる。
[0144] なお、第 1ティース 164とステータヨーク 166との間の距離 L5については、第 1ティ ース 164と第 2ティース 167との間の距離 L4よりも大きくなる。すなわち、第 1ティース 164とステータヨーク 166との間の磁気抵抗は、第 1ティース 164と第 2ティース 167と の間の磁気抵抗よりも大きくなる。したがって、第 1ティース 164とステータヨーク 166 との間に磁路が形成されないのは明らかであるので、第 1ティース 164とステータョー ク 166との間の磁気抵抗は無視することができる。
[0145] これにより、マグネット 172i (たとえば、 N極)とマグネット 172i— 1 (たとえば、 S極)と の間に発生する磁束は、マグネット 172iと第 1ティース 164iとの間のエアギャップ、第 1ティース 164iの端面 164a側の部分、第 1ティース 164iと第 1ティース 164i— 1との 間の端面 164a側のエアギャップ、第 1ティース 164i-lの端面 164a側の部分、第 1 ティース 164i— 1とマグネット 172i_lとの間のエアギャップおよびロータヨーク 171を この順番で流れる。
[0146] また、マグネット 172i (たとえば、 N極)とマグネット 172i+ 1 (たとえば、 S極)との間 に発生する磁束は、マグネット 1721と第 1ティース 164iとの間のエアギャップ、第 1テ ィース 164iの端面 164a側の部分、第 1ティース 164iと第 1ティース 164i+ 1との間の 端面 164a側のエアギャップ、第 1ティース 1641+ 1の端面 164a側の部分、第 1ティ ース 164i+ 1とマグネット 172i+ 1との間のエアギャップおよびロータヨーク 171をこ の順番で流れる。
[0147] なお、マグネット 172iが S極になり、マグネット 172i+ 1および 172i— 1が N極になつ た場合には、上記したマグネット 172iが N極であり、マグネット 172i+ lおよび 172ト 1が S極である場合と異なり、磁束が流れる向きが反対方向になる。
[0148] すなわち、第 3実施形態では、電動モータ 140を低トルク高速回転させる場合にお いて、第 1ティース 164のコイル 165 (図 14参照)が装着された部分には、実質的に
磁束が流れない。
[0149] また、図 19に示した第 2ティース 167が第 1ティース 164に対して対向する場合では 、磁路に対する磁気抵抗としてのエアギャップ長は、 2 X L1 + 2 X L2である。また、 図 20に示した第 2ティース 167が第 1ティース 164に対して対向しない場合では、磁 路に対する磁気抵抗としてのエアギャップ長は、 2 X L1 +L3である。ここで、 L2およ び L3は、 2 X L2く L3の関係式を満たしているので、図 19に示した第 2ティース 167 が第 1ティース 164に対して対向する場合の方力 図 20に示した第 2ティース 167が 第 1ティース 164に対して対向しな!/、場合よりも、磁路に対する磁気抵抗としてのエア ギャップ長が小さくなる。したがって、図 19に示した第 2ティース 167が第 1ティース 1 64に対して対向する場合の方力 図 20に示した第 2ティース 167が第 1ティース 164 に対して対向しない場合よりも磁束量が增加する。
[0150] 第 3実施形態では、上記のように、ステータ 160を、第 1ステータ 161と第 2ステータ 162との 2つに分割し、かつ、第 2ステータ 162を、ロータ 170の回転方向に回動させ ることによりエアギャップ長を調整することによって、第 2ステータ 162を回動させない 初期状態にお!、て形成される磁路のエアギャップ長(2 X L1 + 2 X L2)の大きさと、 第 2ステータ 162を回動させた後の状態において形成される磁路のエアギャップ長( 2 X L1 + L3)の大きさとを異ならせることにより、容易に、磁束量を変化させることが できる。また、たとえば、ステータ 160およびロータ 170の少なくとも一方をモータ回転 軸 150の延びる方向に移動させることによりエアギャップ長を調整する場合に比べて 、ステータ 160およびロータ 170の少なくとも一方がモータ回転軸 150の延びる方向 に移動する分のスペースを設ける必要がな V、ので、電動モータ 140を大型化する必 要がない。さらに、第 2ステータ 162を回動させるための回動駆動部 180 (モータ 181 )の駆動を、コントローラ 187により車両状態を示す信号に基づいて制御することが可 能なように構成することによって、車両状態に応じて第 1ステータ 161 (第 1ティース 1 64)と第 2ステータ 162 (第 2ティース 167)との位置関係を変更することができるので 、車両状態に応じて磁束量を変化させることができる。これらの結果、小型化を図りな がら、磁束量により変化する発電特性およびトルク出力特性を車両状態に適した特 性に設定変更することが可能な電動モータ 140を備えた電動二輪車を得ることがで
きる。
[0151] また、第 3実施形態では、電動モータ 140を低トルク高速回転させる場合にお V、て 、第 1ティース 164のコイル 165が装着された部分に実質的に磁束が流れないように エアギャップ長を調整することによって、ロータ 170が回転する際に、磁束がコイル 1 65を横切ることによりコイル 165に電流が流れることに起因して、第 1ティース 164に 発生する磁束の量が増加するのを抑制することができる。これにより、ロータ 170の回 転に対する負荷が増大するのを抑制することができる。また、ロータ 170が回転する 際に、第 1ティース 164および第 2ティース 167への磁束の流入が抑制されるので、こ れによっても、ロータ 170の回転に対する負荷が大きくなるのを抑制することができる
[0152] (第 4実施形態)
図 21および図 22を参照して、この第 4実施形態では、上記第 1一第 3実施形態と 異なり、ラジアルギャップ型構造を有する電動モータに本発明を適用する例につ ヽて 説明する。
[0153] この第 4実施形態の電動モータ 190は、図 21に示すように、モータ回転軸 200と、 ステータ 210と、ロータ 220とを備えている。なお、モータ回転軸 200は、本発明の「 回転軸」の一例である。また、第 4実施形態の電動モータ 190は、ロータ 220が円筒 状に構成されているとともに、ステータ 210がロータ 220に対して所定の間隔を隔て てロータ 220の内側に配置されたラジアルギャップ型構造を有する。また、第 4実施 形態の電動モータ 190は、図 1に示した第 1実施形態の電動二輪車 100と同様の電 動二輪車 (図示せず)に搭載されている。
[0154] ここで、第 4実施形態では、ステータ 210は、第 1ステータ 211と、第 2ステータ 212 との 2つに分割されている。第 1ステータ 211は、円環状に構成されているとともに、 第 1ステータ 211の内側に、第 2ステータ 212が所定の間隔を隔てて配置されている 。また、第 2ステータ 212は、モータ回転軸 200の軸心を回動中心としてロータ 220の 回転方向(矢印 C方向)に回動可能に構成されている。
[0155] ステータ 210の具体的な構造としては、第 1ステータ 211は、複数の第 1ティース 21 4と、複数のコイル 215とを含んでいる。なお、第 1ティース 214は、本発明の「第 1コ
ァ部材」の一例である。複数の第 1ティース 214は、互いに所定の間隔を隔てて円環 状に配置されている。また、第 1ティース 214の一方の端面 214aは、一方の端面 21 4aと対向する他方の端面 214bよりも大きい面積を有する。このため、隣接する第 1テ ィース 214間の一方の端面 214a側の間隔は、他方の端面 214b側の間隔よりも小さ くなつている。また、第 1ティース 214の一方の端面 214aは、ロータ 220と対向するよ うに配置されている。また、第 1ティース 214の他方の端面 214b側の端部 214cは、 面取りされている。複数のコイル 215は、それぞれ、複数の第 1ティース 214の各々に 装着されている。なお、コイル 215は、第 1ティース 214の一方の端面 214aの部分に は装着されていない。
[0156] また、第 2ステータ 212は、複数の第 2ティース 217を有するステータヨーク 216と、 回動軸 218とを含んでいる。なお、第 2ティース 217は、本発明の「第 2コア部材」の 一例である。ステータヨーク 216は、円板形状に形成されているとともに、その円板形 状のステータヨーク 216の円周面上に、ステータヨーク 216の円周面力 突出するよ うに複数の第 2ティース 217が設けられている。また、複数の第 2ティース 217は、円 板形状のステータヨーク 216の円周方向に沿って互いに所定の間隔を隔てて配置さ れている。また、第 2ティース 217の突出した端面 217a側の端部 217bは、面取りさ れている。また、回動軸 218は、ロータ 220の回転方向(矢印 C方向)に回動可能に 構成されている。また、回動軸 218は、ステータヨーク 216が回動軸 218と共に回動 することが可能なように、ステータヨーク 216の中心部に取り付けられている。
[0157] また、円筒状のロータ 220は、ロータヨーク 221と、複数のマグネット 222とを含んで いる。ロータヨーク 221は、円筒形状に形成されているとともに、モータ回転軸 200と 共に回転可能に構成されている。複数のマグネット 222は、複数の N極のマグネット 2 22と複数の S極のマグネット 222とを含んでいるとともに、ロータヨーク 221の内周面 上に取り付けられている。また、複数のマグネット 222は、円筒形状のロータヨーク 22 1の円周方向に沿って、 N極と S極とが所定の間隔を隔てて交互に配置されている。
[0158] ここで、第 4実施形態の電動モータ 190では、図 21に示すように、第 1ティース 214 と第 2ティース 217とが互いに対向している場合には、上記第 3実施形態の場合と同 様、ロータ 220と、第 1ステータ 211と、第 2ステータ 212とによって磁路が形成される
。そして、第 1ティース 214と第 2ティース 217とが互いに対向している場合には、第 1 ティース 214とマグネット 222との間の距離および第 1ティース 214と第 2ティース 217 との間の距離が磁路に対する磁気抵抗となるエアギャップ長である。
[0159] また、図 22に示すように、第 2ティース 217が第 1ティース 214と対向しない位置に 移動した場合には、上記第 3実施形態の場合と同様、ロータ 220と、第 1ステータ 21 1とによって磁路が形成される。そして、第 2ティース 217が第 1ティース 214と対向し ない位置に移動した場合には、第 1ティース 214とマグネット 222との間の距離および 隣接する第 1ティース 214間の端面 214a側の距離が磁路に対する磁気抵抗となる エアギャップ長である。
[0160] そして、第 4実施形態の電動モータ 190では、上記第 3実施形態と同様、第 1ティー ス 214と第 2ティース 217とが対向しない場合の磁路に対するエアギャップ長は、第 1 ティース 214と第 2ティース 217とが対向する場合の磁路に対するエアギャップ長より も大きくなる。すなわち、第 1ティース 214と第 2ティース 217とが対向しない場合の磁 束量は、第 1ティース 214と第 2ティース 217とが対向する場合の磁束量よりも減少す る。
[0161] 次に、図 21および図 22を参照して、第 4実施形態の電動モータ 190のエアギヤッ プ長の調整方法について説明する。
[0162] まず、電動モータ 190を高トルク低速回転させる場合には、図 21に示すように、第 2 ステータ 212を回動させずに初期状態の位置に保持する。すなわち、第 2ティース 21 7が第 1ティース 214に対して対向するように保持する。また、図 21の状態力も電動モ ータ 190を低トルク高速回転させる場合には、図 22に示すように、第 2ティース 217と 第 1ティース 214とが対向しないように、第 2ステータ 212をロータ 220の回転方向(矢 印 C方向)に回動させる。この場合、第 2ステータ 212を回動させた後の状態(図 22 参照)における磁束量が、第 2ステータ 212を回動させる前の初期状態(図 21参照) における磁束量よりも減少するので、ロータ 220の回転に対する負荷が低減される。 これにより、低トルク高速回転が可能となる。
[0163] 第 4実施形態では、上記のように構成することによって、ラジアルギャップ型構造を 有する電動モータ 190において、上記第 3実施形態と同様、第 2ステータ 212を回動
させることにより磁路に対するエアギャップ長 (磁束量)を調整することができる。これ により、上記第 3実施形態と同様、小型化を図りながら、磁束量により変化する発電 特性およびトルク出力特性を車両状態に適した特性に設定変更することが可能な電 動モータ 190を備えた電動二輪車を得ることができる。
[0164] なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものでは ないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特 許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内で のすベての変更が含まれる。
[0165] たとえば、上記第 1一第 4実施形態では、本発明を電動二輪車に適用する例を示し たが、本発明はこれに限らず、電動二輪車以外の電動車両にも適用可能である。
[0166] また、上記第 1実施形態では、車両制御装置を、通常走行状態であるか、または、 押し歩き (電源遮断)状態であるかを判別することが可能なように構成したが、本発明 はこれに限らず、車両制御装置を、通常走行状態および押し歩き (電源遮断)状態以 外の所定の車両状態を判別することが可能なように構成してもよレヽ。この場合には、 車両制御装置により、ステッピングモータの回転量が通常走行状態および押し歩き( 電源遮断)状態以外の所定の車両状態に適した値になるように制御することができる
[0167] また、上記第 1実施形態では、バッテリ電圧信号とモータ回転数信号とに基づ 、て 、ステッピングモータの回転量を制御するためのエアギャップ長調整指令値を演算す るようにした力 本発明はこれに限らず、電動モータのロータの位置を検出するため の位置検出センサを設けるとともに、その位置検出センサから出力されるロータの位 置を示すロータ位置信号に基づ V、て、ステッピングモータの回転量を制御するため のエアギャップ長調整指令値を演算してもよ V、。