JP4238298B1 - 磁束分流制御回転電機システム - Google Patents

磁束分流制御回転電機システム Download PDF

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Abstract

【課題】
磁石励磁回転電機に於いて,エネルギー効率の良い磁束分流制御回転電機システムを提供する。
【解決手段】
本発明の磁石励磁回転電機システムは,同種の極性に磁化されるべき磁性体突極を一括して励磁する励磁部を有し,励磁部内の界磁磁石には界磁磁石からの磁束を電機子を介して環流する主磁路及び励磁部内で環流するバイパス磁路が並列接続され,主磁路を流れる磁束量を機械的な偏倚により制御する。双方の磁路の磁気抵抗は偏倚に必要な力を小とするよう調整され,磁束量制御を容易とする回転電機システム,磁束量制御方法を提案している。
【選択図】 図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ発電機,電動機を含む回転電機システムに関する。
永久磁石界磁と電機子との相対的回転によって電磁的に生ずる電力を取り出す発電機或いは電機子に供給する電流によって生ずる磁界と永久磁石界磁との相互作用により永久磁石界磁と電機子との相対的回転を生ずる電動機等の回転電機はエネルギー効率に優れ,永久磁石の技術的進歩に伴い日常的に広く使われている。しかしそのような回転電機は、界磁からの磁束が一定であるので電動機として用いられるにしても発電機として用いられるにしても広い回転速度範囲で常に最適の出力が得られる訳ではない。すなわち,電動機の場合は高速回転域では逆起電力(発電電圧)が高すぎる結果となって制御が困難となり,弱め界磁制御として界磁強度を弱める種々の手段が提案されている。また発電機の場合,広い回転速度範囲に於いて発電電圧を所定のレベルとする為に専ら界磁電流制御による定電圧発電或いは半導体による発電電圧の定電圧化回路が用いられている。
電動機では進み位相電流による弱め界磁制御が広く採用されているが,回転に直接寄与しない電流を流す為にエネルギー損失を大とする。永久磁石励磁に制御用電流励磁を併用する場合は回転電機の構造を複雑にし,その上にエネルギー損失を伴う。さらに発電機の場合,大電力での定電圧化電子回路のコスト負担が大であるとの問題があった。したがって,回転電機装置の構成を工夫して電子回路制御を最小限に留めて装置全体としてのコストを低減する方策は以前から求められ,種々の提案が為されてきた。
上記提案例に界磁回転子を二分し,二つの界磁回転子を周方向に相対偏倚させて実効的に界磁強度を制御する方法がある(特許文献1)。前記相対偏倚は機構的に保持出来るので制御の為のエネルギー損失は少ない長所はあるが,電機子に流入する界磁磁束量は変わらないので高速回転域で渦電流損が大きい欠点がある。他の提案例に界磁磁石を含む磁気回路の磁気抵抗を変えて磁束を制御する方法がある(特許文献2,3)。更に他の提案例として界磁磁石を短絡制御する方法がある(特許文献4,5,6)。一般に磁石を含む磁気回路に可動部分が存在する場合,磁気回路を流れる磁束を大にする方向(磁気抵抗を小にする方向)に可動部分を偏倚させようとする磁気力が存在する。界磁磁石は回転電機装置に於いて,力を発生し或いは電力を発生する源泉である。上記提案はこれら力の源泉を直接に制御しようとする試みであって,機構の偏倚制御に大きな力を要すると共に部材の振動或いはハンチング等を招来して精密な制御は難しい。さらに大出力のアクチュエータ,過分な機械強度を伴う制御機構等を必要として実現には困難を伴っている。
本願発明者は先に特願2007−212674により,永久磁石界磁の制御方法及び回転電機システムを提案した。これらは界磁磁石に磁束が電機子側を通る主磁路,及び電機子を通らないバイパス磁路を並列に接続する構成として機構偏倚により主磁路に分流する界磁磁束量を変える構造であり,次の特徴がある。すなわち,(1)界磁磁石を減磁させる懸念の無い事,(2)界磁制御に際して機構偏倚を妨げる磁気力発生を抑制できる事,(3)界磁の条件保存が可能な機構手段である事,(4)電機子側への界磁磁束をゼロ近傍にまで減少できて渦電流損を抑制出来る事,(5)電機子と対向する磁性体突極を流れる界磁磁束をゼロ近傍にまで制御して磁性体突極の磁性体全てをリラクタンストルク発生に開放可能な構成である事,等々である。
しかしながら,磁路の磁気抵抗は量産段階で各部材の公差範囲内でバラツキ,また経時的にも変化して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が設計値よりずれる事で上記機構偏倚を妨げる磁気力が大きくなる場合がある。さらに回転電機が電動機或いは発電機としての動作中に電機子コイルを流れる電流により実効的に主磁路の磁気抵抗は変化する。この点でも上記機構偏倚を妨げる磁気力を十分に抑制出来ない場合がある。
米国特許3713015「ALTERNATING CURRENT GENERATOR HAVING A TWIN PM ROTOR WHICH IS ADJUSTABLE IN RESPONSE TO OUTPUT VOLTAGE」 特開2004−320864「同期回転電機及びその制御方法」 特開2004−328944「磁束制御型発電機」 米国特許4885493「Output voltage control apparatus of a permanent magnet alternator」 特開2004−357357「永久磁石形モータ及び洗濯機」 特開2006−246662「永久磁石式回転機」
したがって,本発明が解決しようとする課題は,製造後或いは運転中に主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗が変動しても過大な出力のアクチュエータを要することなく磁束量制御を容易として出力を最適に制御できる回転電機システム及び磁束量制御方法を提供する事である。
本発明による回転電機システム及び磁束量制御方法は,電機子側に流入させる磁束量を機械的偏倚により変える事が出来る。その具体的な内容は以下の通りである。
請求項1の発明による回転電機システムは,電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する表面磁極部と,同種の極性に磁化されるべき磁性体突極グループ毎に一括して磁化する励磁部とからなり,表面磁極部と電機子とは軸を中心に相対的に回転可能である回転電機装置であって,励磁部は界磁磁石及び主磁極及びバイパス磁極を有し,界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極を第一界磁磁極,他方の磁極を第二界磁磁極としたときに第一界磁磁極に主磁極及びバイパス磁極が対向して配置され,第一界磁磁極から主磁極に流入する磁束が磁性体突極及び電機子を介して第二界磁磁極に環流する主磁路及び第一界磁磁極からバイパス磁極に流入する磁束が主として励磁部内で第二界磁磁極に環流するバイパス磁路が界磁磁石に並列に接続され,主磁極及びバイパス磁極のユニット或いは界磁磁石の何れかが可動磁極部として第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの対向面積を変える事が出来るよう可動磁極部が残余に対して相対偏倚可能に構成され,さらに可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,回転電機システムの出力を最適化するように前記出力に応じて可動磁極部が偏倚されて主磁路に流れる磁束量が制御される事を特徴とする。
上記構成に於いて,界磁磁石に主磁極及びバイパス磁極が微小間隙を介して対向し,磁束は界磁磁石及び磁性体近傍ではそれらの境界面にほぼ直交するので界磁磁石からの磁束はほぼ層流状に主磁極及びバイパス磁極に流入し,主磁極に分流される磁束量は主磁極と界磁磁石の対向面積に比例する。前記微小間隙を可能な限り小にし,さらに界磁磁石との対向面では主磁極とバイパス磁極間の間隙も微小に設定すれば前記磁束分布はさらに完全な層流状に近くなり,磁束量の精密な制御が可能になる。また,バイパス磁路の接続により界磁磁石に繋がる磁気抵抗の変動は小さくなるので可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力は抑制され,主磁路に流入する磁束量を変更しても界磁磁石にはバイパス磁路が接続されているので界磁磁石が減磁されるリスクは避けられる。
界磁磁石に並列に接続される主磁路及びバイパス磁路,それぞれの磁路の磁気抵抗を界磁磁石に繋がる磁路の磁気抵抗を常に一定にする最小磁気力条件に設定する事で,前記偏倚を妨げる磁気力を最小に出来るが,磁路の磁気抵抗を変動させる要因は多い。すなわち,部品寸法に必要な公差により磁路の磁気抵抗は変動し,可動磁極部の偏倚位置が主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗に影響し,磁路を構成する磁性体の透磁率は温度の影響を受けて磁気抵抗は変化する。更にまた電機子コイルに電流が流れると主磁路の磁気抵抗は実効的に変動する。このように回転電機の運転条件によって各磁路の磁気抵抗は変動するので静止状態或いは平均的な運転条件或いは各運転条件に於いて両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する。主磁路の磁気抵抗は磁性体突極と磁性体歯との相対位置により変動するが,本発明で主磁路の磁気抵抗は磁性体突極と磁性体歯間の各相対位置に関して平均化された値としている。
本発明は磁気抵抗調整手段を有して回転電機の製造後或いは運転中に主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整して可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小として精密な界磁制御を可能にしている。磁気抵抗調整手段により可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小とする方法は,主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に調整する事,或いは可動磁極部の偏倚をアシストする方向の磁気力を発生させるよう主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件からずらして調整する事がある。磁路を形成する寸法諸元の変更制御及び磁路に巻回したコイルへの通電制御等による磁気抵抗調整手段,方法を具体的に提案している。さらに温度或いは磁気飽和等を利用して磁性体の磁気特性を制御する方法もある。
回転電機には,界磁部が回転し電機子が静止する構造及びその逆の構造,さらに円筒状の電機子と界磁部が径方向に空隙を介して対向する構造,或いは略円盤状の電機子と界磁部が軸方向に空隙を介して対向する構造等のいずれの構造も存在する。本発明は永久磁石励磁の界磁部を持つ上記何れの構造の回転電機にも適用される。また,回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の回転電機システムは電動機,発電機の何れにも適用される。
請求項2の発明は,励磁部の具体的な構成の一つであり,請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は,界磁磁石と非磁性体部が交互に周方向に配置され,主磁極及びバイパス磁極は各界磁磁石の第一界磁磁極に対向して周方向に並んで配置され,主磁極及びバイパス磁極のユニットと界磁磁石とが周方向に相対偏倚可能に構成された事を特徴とする。
請求項3の発明は,励磁部の具体的な構成の一つであり,請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は,主磁極及びバイパス磁極とが界磁磁石の第一界磁磁極に対向して軸方向に並んで配置され,主磁極及びバイパス磁極のユニットと界磁磁石とが軸方向に相対偏倚可能に構成された事を特徴とする。界磁磁石と非磁性体とを直線方向に配置して界磁磁石の磁極に対向して主磁極及びバイパス磁極の組み合わせを直線方向に並べ,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石を直線方向に相対偏倚させる構成である。主要部材を円筒形状とする構成が効率的である。
請求項4の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,可動磁極部を偏倚させる際に可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗及び主磁路の磁気抵抗が互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に磁気抵抗調整手段により調整される事を特徴とする。可動磁極部を偏倚させる際にバイパス磁路と主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に調整すれば,偏倚を妨げる磁気力を最小に出来る。「ほぼ等しい」の意味は前記偏倚に用いるアクチュエータの出力以下に前記偏倚を妨げる磁気力を抑制するよう両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事である。回転電機の運転条件により各磁路の磁気抵抗が初期値から変動する場合でも精密な磁束量制御を可能にする。
請求項5の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子を流れる磁束量を増加させる時に主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より小になるよう磁気抵抗調整手段によって調整され,電機子を流れる磁束量を減少させる時に主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より大になるよう磁気抵抗調整手段によって調整され,同時に可動磁極部が偏倚される事を特徴とする。主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗差に応じて現れる磁気力は最小磁気力条件を境に方向が変わる。関係するパラメータを最小磁気力条件を基準に所定量ずらして磁気力を発生させる事により偏倚をアシストする磁気力を安定的に得る事が出来る。最小磁気力条件は回転電機の運転状態によって変わり,運転中に学習的に取得する或いは予め設定されたマップデータから取得する。
請求項6の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと前記磁気力との関係を監視し,前記磁気力を小とする前記パラメータが最小磁気力条件パラメータとして設定される事を特徴とする。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は,可動磁極部の偏倚位置の影響を受け,温度による磁気特性変化,さらに経時的な磁気特性変化等の影響を受ける。本発明は主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事で現れる磁気力の検知手段を有し,最小磁気力条件となるパラメータを学習的に取得してそれらのパラメータを更新する。
請求項7の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段をバイパス磁路内に配置された空隙に於ける空隙長を調整する空隙長調整手段で構成し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。空隙長調整手段はバイパス磁路に設けた空隙を構成する部材の位置を変えて空隙長を変える構成とする。回転電機の組み立て後の調整,或いはアクチュエータを用いて動作中に調整制御する。回転子の加速或いは減速動作を含まないので連続的な界磁制御を可能にする。
請求項8の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段をバイパス磁路に巻回された磁気抵抗調整コイルで構成し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう予め定められた電流を磁気抵抗調整コイルに供給してバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。バイパス磁路に磁気抵抗調整コイルを配置し,可動磁極部の偏倚制御時に一時的に通電してバイパス磁路の磁気抵抗を調整して前記偏倚に必要な力を小とする。回転子の加速或いは減速動作を含まず回転子の回転状態に影響を与えない。
請求項9の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段は回転子を加速或いは減速する方向の予め定められた電流を電機子コイルに供給して主磁路の磁気抵抗を調整する手段で構成し,可動磁極部を偏倚する際に可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう電機子コイルに予め定められた電流を供給して実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。回転子を加速或いは減速駆動する場合は主磁路の磁気抵抗が実効的にそれぞれ小,大となる。可動磁極部の偏倚制御時に駆動回路を電機子コイルに接続し,回転子を加速或いは減速方向に駆動する電流を電機子コイルに供給して主磁路の磁気抵抗を実効的に調整する。
請求項10の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段を予め定められた定電流負荷で構成し,可動磁極部を偏倚する際に定電流負荷は電機子コイルに接続され,可動磁極部の前記偏倚に必要な力を小とするよう誘起電圧により予め定められた電流を流し,実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。回転電機が発電機である場合,電機子コイルには鎖交する磁束の変化を妨げる方向の電圧が誘起され,負荷インピーダンスに応じた電流が流れ,実効的に主磁路の磁気抵抗は大となる。主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件より小に設定し,可動磁極部の偏倚制御時に誘起電圧により所定電流が流れるよう制御する所定の定電流負荷を電機子コイルに接続し,電機子コイルに流す電流を調整して主磁路の磁気抵抗を実効的に静止時の値より大として調整する。定電流負荷を実現する手段には種々の方法があり,電機子コイルへの誘起電圧により所定の電流が電機子コイルを流れるよう制御する定電流回路,或いは回転数毎に定めた所定インピーダンスを有する負荷等がある。
請求項11の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚規制手段を有し,界磁磁石の第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの面積が変わる範囲内に可動磁極部の相対偏倚量が規制される事を特徴とする。これにより可動磁極部の相対偏倚量と主磁路に分流される磁束量とが比例し,界磁制御をシンプルに出来る。
請求項12の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚位置を保持する手段を有し,間歇的に電機子を流れる磁束量が制御される事を特徴とする。可動磁極部の偏倚制御手段は電源オフの状態,エネルギーを消費しない状態で可動磁極部の偏倚位置を保持する構成とし,磁束量の変更時のみ可動磁極部の偏倚制御を行い,エネルギー消費を抑え高いエネルギー効率の回転電機システムを実現する。
請求項13の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗及び主磁路の磁気抵抗が互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に設定されている事を特徴とする。バイパス磁路内には磁気的な空隙或いは狭隘部等で構成する磁気抵抗調整部分を有してバイパス磁路の磁気抵抗を設定する。両磁路の磁気抵抗を等しく設定することで界磁磁石に繋がる磁路の磁気抵抗は一定に保たれるので可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力は最小となる。「ほぼ等しい」の意味は前記偏倚に用いるアクチュエータの出力以下に前記偏倚を妨げる磁気力を抑制するよう両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事である。各磁路の磁気抵抗は変動するので回転電機システムの仕様に合わせて回転子の静止状態或いは平均的な運転条件に於いて両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する。
請求項14の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,交流磁束が通り難いよう界磁磁石から磁性体突極に至る磁路は磁性体突極より渦電流損を大とする材質を含んで構成される事を特徴とする。磁性体突極と磁性体歯との相対関係に応じて電機子コイルに流れる電流により主磁路の磁気抵抗は脈動し,脈動的な磁気力及び磁路間の磁束漏洩が発生する。前記偏倚をアシストする低周波数帯域の交流磁束が磁路中を通過する事は必要であるが,磁性体突極と磁性体歯との相対位置関係に応じる高周波数帯域の交流磁束は部材の振動或いはスパイク的な磁束漏洩を誘発して望ましくはない。本発明は両磁路間の磁束漏洩を小とするよう形状及び配置を設定するのは当然として,さらに界磁磁石から磁性体突極に至る磁路の一部或いは全部を磁性体突極の構成部材より平均として高導電率の素材で構成して高周波数帯域の交流磁束を通り難い構成を提案している。界磁磁石から磁性体突極に至る磁路の磁気抵抗は周波数特性を持ち,可動磁極部の偏倚に際して磁気力発生に必要な低周波数帯の磁気抵抗変化を許容できるよう上記素材の透磁率,導電率及び寸法諸元を設定する。
請求項15の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子及び回転子側に配置された表面磁極部が径方向に対向して配置され,隣接する磁性体突極は互いに軸と平行の異なる方向に延伸されて延長部分は延長方向により第一延長部,第二延長部とされ,第一延長部,第二延長部を介して隣接する磁性体突極が互いに異極に磁化されるよう励磁部が回転子内に配置されている事を特徴とする。偏倚制御手段の構成が複雑になるが,励磁部を回転子内に収納してコンパクトに形成できる。
請求項16の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子及び回転子側に配置された表面磁極部が径方向に対向して配置され,電機子はさらに磁気ヨークを有し,隣接する磁性体突極は互いに軸方向の異なる方向に延伸されて延長部分は延長方向により第一延長部,第二延長部とされ,回転子両端の静止側に配置された二つの励磁部は第一延長部と磁気ヨーク間,第二延長部と磁気ヨーク間にそれぞれ磁束を供給し,隣接する磁性体突極が互いに異極に磁化される事を特徴とする。励磁部を回転子両端のハウジング側に配置し,偏倚制御手段をシンプルに出来る。軸方向に長くなる短所がある。
請求項17の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子及び回転子側に配置された表面磁極部が径方向に対向して配置され,隣接する磁性体突極は互いに軸方向と径方向の異なる方向に延伸されて延長部分は延長方向により第一延長部,第二延長部とされ,回転子端の静止側に配置された励磁部は第一延長部と第二延長部間に磁束を供給し,隣接する磁性体突極が互いに異極に磁化される事を特徴とする。励磁部を回転子片端のハウジング側に配置し,偏倚制御手段をシンプルに出来る。励磁部と回転子間にスラスト力が発生する。
請求項18の発明は,請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とされ,発電電圧が所定の値より小の時は可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする。広範な回転速度範囲で定電圧の発電電圧を得る事が出来,高価な電圧制御装置を不要とし,エネルギー効率を向上出来る。
請求項19の発明は,請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大として回転力が最適に制御される事を特徴とする。広範な回転速度範囲で電動機システムとしての出力を最適に制御する。
請求項20の発明は,請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子を流れる磁束量を大とされるよう可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積が大とされて回転エネルギーが発電電力として取り出される事を特徴とする。回生制動の能力を改善して総合的なエネルギー効率を向上させる事が出来る。
請求項21の発明は,電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する表面磁極部と,同種の極性に磁化されるべき磁性体突極グループ毎に一括して磁化する励磁部とからなり,表面磁極部と電機子とは軸を中心に相対的に回転可能である回転電機装置の界磁制御方法であって,励磁部は界磁磁石及び界磁磁石に対向する主磁極及びバイパス磁極を有し,界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極から主磁極に流入する磁束が磁性体突極及び電機子を介して界磁磁石の他方の磁極に環流する主磁路及び界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極からバイパス磁極に流入する磁束が主として励磁部内で界磁磁石の他方の磁極に環流するバイパス磁路を界磁磁石に並列に接続し,主磁極及びバイパス磁極のユニット或いは界磁磁石の何れかを可動磁極部として界磁磁石が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながら前記それぞれの面積を変えるよう構成し,主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整して可動磁極部を偏倚させて電機子を流れる磁束量を制御する。
磁石励磁回転電機システムに於ける磁束量制御方法であって,磁性体突極を励磁する界磁磁石に磁性体突極及び電機子側を通る主磁路及び電機子側を通らないバイパス磁路とが並列に接続され,主磁路に接続される主磁極及びバイパス磁路に接続されるバイパス磁極と界磁磁石の磁極との対向面積を機構偏倚により変えて主磁路,すなわち電機子側を流れる磁束量を制御する。界磁磁石に主磁極及びバイパス磁極が対向しているので界磁磁石からの磁束は層流状に主磁極及びバイパス磁極に流入し,主磁極に分流される磁束量はほぼ主磁極と界磁磁石の対向面積に比例する。バイパス磁路の接続により界磁磁石に繋がる磁気抵抗の変動は小さくなるので可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力は抑制され,主磁路を流れる磁束量を変更しても界磁磁石には常に磁路が接続されているので界磁磁石が減磁される懸念は少ない。
磁気抵抗調整手段は回転電機の製造後或いは運転中に主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整して可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小として精密な界磁制御を可能にする。磁気抵抗調整手段の具体的な手段には磁路を形成する寸法諸元の変更制御,磁路に巻回したコイルへの通電制御,温度或いは磁気飽和等を利用する磁性体の磁気特性制御等がある。
請求項22の発明は,請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。可動磁極部を偏倚させる際にバイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とが互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に磁気抵抗調整手段により調整する。可動磁極部を偏倚させる際にバイパス磁路と主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に調整すれば,偏倚を妨げる磁気力は最小となる。「ほぼ等しい」の意味は前記偏倚に用いるアクチュエータの出力以下に前記偏倚を妨げる磁気力を抑制するよう両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事である。回転電機の運転条件により各磁路の磁気抵抗が初期値から変動する場合でも精密な磁束量制御を可能にする。
請求項23の発明は,請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。電機子を流れる磁束量を増加する時に磁気抵抗調整手段は主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より小になるよう調整し,電機子を流れる磁束量を減少させる時に磁気抵抗調整手段は主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より大になるよう調整し,同時に可動磁極部を偏倚させる。主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗差に応じて現れる磁気力は最小磁気力条件を境に方向が変わる。関係するパラメータを最小磁気力条件を基準に所定量ずらして磁気力を発生させる事により偏倚をアシストする磁気力を安定的に得る事が出来る。最小磁気力条件は回転電機の運転状態によって変わり,運転中に学習的に取得する或いは予め設定されたマップデータから取得する。
請求項24の発明は,請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力の検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと可動磁極部に加わる磁気力との関係を監視し,可動磁極部に加わる磁気力を小とする前記パラメータを最小磁気力条件パラメータとして設定する。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は,可動磁極部の偏倚位置の影響を受け,温度による磁気特性変化,さらに経時的な磁気特性変化等の影響を受ける。本発明は主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事で現れる磁気力の検知手段を有し,磁気抵抗調整手段に係わるパラメータを学習的に取得して最小磁気力条件としてそれらのデータを更新する。
永久磁石励磁の回転電機システムに於いて,磁性体突極には励磁部から界磁磁束を供給する構成とし,機構偏倚により界磁磁石の磁束を主磁路及びバイパス磁路に分流制御させるとして,機構偏倚の障害となる磁気力を抑制し,或いは磁気力を利用して界磁強度を制御可能とした。磁性体突極及び電機子を通る主磁路の磁気抵抗は回転電機が電動機或いは発電機として動作中に実効的に変動し,更に量産時の部材寸法公差によりばらつく事を考慮し,回転電機の組み立て後或いは動作中に主磁路,バイパス磁路の磁気抵抗の設定条件に実効的に調整制御出来る回転電機システムとした。本発明により種々の要因により量産段階で特性がばらついた場合でも前記機構偏倚に際して磁気力は抑制し,或いは前記機構偏倚をアシストするよう磁気力を発生制御して前記偏倚制御を円滑に実施出来る。本発明により,永久磁石励磁の回転電機システムに於ける弱め界磁制御が容易となり,高エネルギー効率で出力を最適に制御する回転電機システムを実現出来る。
以下に本発明による回転電機システムについて,その実施例及び原理作用等を図面を参照しながら説明する。
本発明の第一実施例による回転電機システムを図1から図6を用いて説明する。第一実施例は,ラジアルギャップ構造で且つアウターロータ構造の単極回転子を持つ回転電機システムである。励磁部は回転電機の静止側に,電機子と軸方向に隣接して配置され,バイパス磁路の磁気抵抗調整手段を有している。図1は回転電機の縦断面図,図2は電機子と回転子とを示す断面図,図3は励磁部構成を示す平面図,図4は回転偏倚した主磁極とバイパス磁極を示す平面図,図5は偏倚制御手段の一部を示す断面図,図6は弱め界磁制御を行う回転電機システムのブロック図である。
図1はアウターロータ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,磁性体突極は回転子に配置され,電機子は固定軸に配置されている。基板12に固定軸11が固定され,固定軸11に電機子が固定され,固定軸11にベアリング13を介して回動可能に支持された磁性体である鉄製のロータハウジング19に磁性体突極17が配置されている。電機子は固定軸11に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延びる複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。回転子のロータハウジング19は外部機器と回転力の伝達の為のプーリー部18を持ち,ロータハウジング19には磁性体歯14に対向して磁性体突極17と磁気空隙部とが周方向に交互に配置されている。
磁性体突極17を磁石励磁する励磁部は,固定軸11を周回し且つ電機子と並んで配置され,主要部を界磁磁石1aと主磁極1bとバイパス磁極1cとベース磁極1dとから構成され,主磁極1bとバイパス磁極1cは励磁部支持部1fに支持され,励磁部支持部1fは固定軸11に回動可能に支持されている。界磁磁石1a内の矢印は磁化の方向を示し,番号1eはバイパス磁極1cの延長部と可動ベース磁極1m間の間隙を示す。間隙1eの空隙長調整手段は,可動ベース磁極1m,電機子支持部1qに設けられたベース磁極調整ネジ1n,アクチュエータ1pとから構成されている。
固定軸11は中空構造として,中空部内に摺動可能に配設された制御棒1gを有し,制御棒1gはアクチュエータ1hにより周方向に偏倚される構成としている。固定軸11に中空部と貫通するスリット部1jを持ち,スリット部1jを介して励磁部支持部1fに固定されたピン1kが制御棒1gと係合して制御棒1gの回転偏倚により励磁部支持部1f,主磁極1b,バイパス磁極1cを回転偏倚させる。番号1rはトルクセンサーを示す。
図2は図1のA−A’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子は電機子支持部1qに固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。第一の実施例では24個の電機子コイル16より構成され,それらは三相に結線されている。磁性体歯14と円筒状磁気ヨーク15はケイ素鋼板から所定の型で打ち抜かれた後,積層して構成され,電機子コイル16が巻回されている。
図2に於いて,回転子はロータハウジング19の内側に磁性体歯14に対向してケイ素鋼板を積層された磁性体突極17が周方向に等間隔に8個配置されている。磁性体突極17間は磁気空隙部であり,単に空隙として構成しているが,高速回転で風損がエネルギー効率或いは音響発生で支障となる時には比抵抗が大で非磁性の樹脂,レジン等を配置する事が出来る。回転子に界磁磁石は配置されていないが,励磁部により磁性体突極17は界磁磁石1aの一方の磁極に,磁性体歯14は他方の磁極に磁気的に結合されて磁化されている。このような構成は単極の回転電機であって,電動機として或いは発電機として使いにくい点はあるが,構成がシンプルであるメリットがある。
図3は図1に示した励磁部の構成及び界磁磁束制御の原理を説明する為の図である。図3(a)は主磁極1b及びバイパス磁極1c側から見た界磁磁石1aを含む平面図であり,図3(b)はロータハウジング19側から見た主磁極1b及びバイパス磁極1cを含む平面図である。図1及び図3(a)に於いて,界磁磁石1aは磁気空隙部31を挟んで周方向に3個配置されている。各界磁磁石1aの磁化方向は図1に矢印で示されるように軸方向であり,界磁磁石1aの二つの磁極を第一界磁磁極,第二界磁磁極として第二界磁磁極はベース磁極1dを介して円筒状磁気ヨーク15に結合され,第一界磁磁極は対向する主磁極1bを介してロータハウジング19に磁気的に結合されている。
図1及び図3(b)に示されるように,界磁磁石1aの第一界磁磁極に微小空隙を介して対向して各主磁極1b及びバイパス磁極1cが周方向に並んで回動可能に配置されている。図3(a),(b)に於いて番号32で示される円筒状磁気コアはバイパス磁極1cに結合されて共に回転偏倚し,図1に示されるように間隙1e,可動ベース磁極1m,円筒状磁気ヨーク15を介してベース磁極1dに接続している。可動ベース磁極1mはベース磁極調整ネジ1nの回転により円筒状磁気ヨーク15に沿って摺動される。
界磁磁石1aの第一界磁磁極から主磁極1bに流入した界磁磁束はロータハウジング19,磁性体突極17,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,ベース磁極1dを介して第二界磁磁極に環流する主磁路を形成し,バイパス磁極1cに流入した磁束は円筒状磁気コア32,間隙1e,可動ベース磁極1m,円筒状磁気ヨーク15,ベース磁極1dを介して第二界磁磁極に環流するバイパス磁路を形成している。間隙1eの対向面積及び間隙長を磁気抵抗調整部分として主磁路の磁気抵抗とバイパス磁路の磁気抵抗とを互いにほぼ等しく設定する。その際,主磁路の磁気抵抗は磁性体突極17と磁性体歯14との相対位置により変動するので平均化した磁気抵抗にバイパス磁路の磁気抵抗とをほぼ等しく設定する。
主磁極1b,バイパス磁極1c,円筒状磁気コア32,ベース磁極1d,可動ベース磁極1mには原則として交流磁束は流れないので飽和磁束密度の大きな鉄を主体とする磁性体で構成し,全体をコンパクトに構成する。界磁磁石1aと主磁極1b及びバイパス磁極1c間の磁気抵抗を小に構成する為に界磁磁石1aと主磁極1b及びバイパス磁極1c間は微小な間隙を介して対向させる或いは摺動させる構成とする。
図3(a),(b)に於いて,主磁極1b,バイパス磁極1cの周方向角度長は等しく設定され,界磁磁石1aの周方向角度長を主磁極1b,バイパス磁極1c間間隙の周方向角度長及び主磁極1bの周方向角度長の和に等しくなるよう設定し,主磁極1b,バイパス磁極1cの偏倚量は主磁極1bの周方向角度長以下としている。本実施例では主磁極1b,バイパス磁極1cが可動磁極部に対応し,磁極ユニットとして界磁磁石1aに対して偏倚させる。
図4(a),(b)は図3(b)と同じくロータハウジング19側から見た主磁極1b及びバイパス磁極1cを示す平面図であり,それぞれの図は磁極ユニット(主磁極1b及びバイパス磁極1c)と界磁磁石1a間の周方向偏倚が最小,最大の場合,すなわち磁性体突極17と磁性体歯14間の磁束量をそれぞれ最大,最小にする場合を示している。同図に於いて,番号41は界磁磁石1aの周方向に於ける存在領域を示し,図4(a)に示されるように基準位置で界磁磁石1aは主磁極1bの全領域に対向すると共にバイパス磁極1cとは僅かに対向する状態を示している。この場合に界磁磁石1aからの磁束はほぼ全量が主磁極1bを介して磁性体突極17,磁性体歯14間に流れる。
図4(b)は図4(a)に示す基準位置から磁極ユニットが時計回り方向に主磁極1bの周方向角度長に等しい回転偏倚をした場合を示し,界磁磁石1aはバイパス磁極1cの全領域に対向すると共に主磁極1bとは僅かに対向する状態を示している。この場合に界磁磁石1aからの磁束はほぼ全量がバイパス磁極1cを介して円筒状磁気コア32,間隙1e,可動ベース磁極1m,円筒状磁気ヨーク15,ベース磁極1dを介して第二界磁磁極に環流する。
図4(a),(b)に示した場合の中間状態では界磁磁石1aが主磁極1bとバイパス磁極1cの双方に対向して界磁磁石1aからの磁束は主磁路及びバイパス磁路に分流させられる。界磁磁石1aはほぼ全幅で主磁極1b及びバイパス磁極1cに微小間隙を介して対向し,磁束は界磁磁石1a,主磁極1b,バイパス磁極1cの面に直交して流れるので磁束は界磁磁石1aと主磁極1b,バイパス磁極1cとの間を層流状に流れる事になる。これにより磁束は界磁磁石1aと主磁極1b,バイパス磁極1cそれぞれの対向面積に比例して分流される。さらに界磁磁石1aと主磁極1b,バイパス磁極1cそれぞれの対向面積の和は一定であり,それらの面積は磁極ユニットの偏倚に従って変化する。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は互いにほぼ等しく設定して界磁磁石1aに繋がる磁気抵抗は常に一定であるので磁極ユニットの偏倚を妨げる磁気力は理論的には現れない。
磁極ユニットの位置が図4(a),(b)に示した範囲内に留まれば,界磁磁石1aと主磁極1b,バイパス磁極1cそれぞれの対向面積の和は一定であり,それらの面積は偏倚に従って変化し,主磁路に分流される磁束量は偏倚量にほぼ比例する。前記位置が前記範囲を超えても磁束量制御を行う事は出来るが,偏倚量と主磁路を流れる磁束量の関係は不定となる。本実施例では前記範囲内に磁極ユニットの位置を留めるようスリット1jの周方向位置及び周方向角度長を設定している。
一般に磁石を含む磁気回路の一部に可動部分が有る場合には磁束量を大にする方向(磁気回路の磁気抵抗を小にする方向と同じ意味である)に可動部分を動かそうとする磁気力が現れる。本発明に先行して界磁磁束を制御する目的で磁気回路の一部を偏倚させて界磁磁石を短絡し或いは磁路の磁気抵抗を変えようとする提案は多い。しかし,界磁磁石はその回転電機に於いて,磁石トルク或いは電力を発生させる源泉であり,前記偏倚を妨げる磁気力は大きく,精密な磁束量制御を困難にしていた。上記に説明した本発明の構成により磁気力は小さく抑制され,精密な磁束量制御が可能となる。
本実施例では界磁磁石1aが微小間隙を介して主磁極1b及びバイパス磁極1cに対向している。主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を厳密に等しく構成するのは困難であり,両者の磁気抵抗に差があるとして界磁磁石1aから磁性体を介して主磁極1b及びバイパス磁極1cに対向させると,界磁磁石1aからの磁束はそれぞれの磁路の磁気抵抗に応じて前記磁性体内で分流して主磁路を流れる磁束は界磁磁石1aと主磁極1b間の対向面積には比例しない事になり,磁束量の制御は困難となる。構造上の制約から界磁磁石1aから磁性体を介して主磁極1b及びバイパス磁極1cに対向させる場合には,磁性体として異方性の強い磁性体或いは厚みの薄い磁性体として磁性体内で磁束が分流し難い構成とする。この構成は実質的に界磁磁石1aの端面で磁束を分流させる点で本発明の趣旨に含まれる。
磁極ユニットを偏倚させる事で磁性体突極17,磁性体歯14間に流れる磁束量を制御出来,その際に偏倚を妨げる磁気力は理論的に発生しない事を説明した。以下には図1及び図5を用いて磁極ユニットを偏倚させる構成を説明する。図5は励磁部支持部1fに固定されたピン1kが制御棒1gと係合する部分を拡大して示す断面図である。ピン1kは3個有り,固定軸11にはスリット1jが設けられ,制御棒1g端面にはピン1kを夫々受け入れる溝部が3個設けられている構造である。固定軸11を励磁部支持部1fに挿通した後,ピン1kを励磁部支持部1fの外周部から打ち込み,ピン1kを固定軸11内の中空部に突出させて固定し,制御棒1gを固定軸11の中空部に挿入して制御棒1g端部の溝部にピン1kを係合させる。
アクチュエータ1hは制御装置からの指示により制御棒1gを回転偏倚させ,ピン1kを介して励磁部支持部1fを回転偏倚させる。その際,スリット1jの周方向位置及び周方向角度長は磁極ユニットを図4(a),(b)で示す範囲内の偏倚量に留める偏倚規制手段として設定してある。アクチュエータ1hはステップモータを使用して磁極ユニットの偏倚位置を保存する構成としているが,他にモータとネジ機構或いはギア機構等を組み合わせて偏倚位置を保存出来る構成とする事も出来る。
主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事で前記偏倚を妨げる磁気力を小さく抑制する事が出来るが,磁路の磁気抵抗を変動させる要因は多い。すなわち,量産段階で部品寸法は設定公差内でばらついて各磁路の磁気抵抗を変動させ,磁路間の磁束漏洩が無視できない場合は可動磁極部の偏倚位置が各磁路の磁気抵抗に影響し,磁性体の透磁率は温度の影響を受けやすいので各磁路の磁気抵抗は変化する。更にまた電機子コイルに電流が流れると主磁路の磁気抵抗は実効的に変動する。本実施例ではバイパス磁路内の間隙1eの大きさを調整して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくさせ,磁極ユニットの偏倚を妨げる磁気力を小として磁束量制御を行う。間隙1eの大きさを調整する空隙長調整手段のパラメータは回転電機の運転中に学習的に取得する構成として種々の原因による磁路の磁気抵抗変化に適応させている。
バイパス磁路の磁気抵抗を調整する為に間隙1eの大きさを学習的に調整する構成及び方法を図1を用いて説明する。図1に於いて,番号1rはトルクセンサーを示している。トルクセンサー1rとしては各種の原理に基づくトルクセンサーを使用する事が出来るが,ストレインゲージが小型で本実施例には適している。アクチュエータ1pによりベース磁極調整ネジ1nを回転させて可動ベース磁極1mを軸方向前後に移動させて間隙1eの大きさを変化させると,主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗差に応じて磁極ユニットは磁気抵抗の小さい側の磁極(主磁極1b或いはバイパス磁極1c)と界磁磁石1aとの対向面積を増す方向に偏倚させる磁気力を受ける。アクチュエータ1hは周方向位置を保持しようとするので制御棒1gは捻れ,トルクセンサー1rにより前記磁気力を検出する事が出来る。
アクチュエータ1pによる間隙1eの大きさの変更は回転電機の回転動作に直接の影響を与えないので通常の回転動作中に制御装置が適宜アクチュエータ1pにより間隙1eの大きさを変えてトルクセンサー1rの出力を監視し,磁気力が小になる点で間隙1eの大きさを維持する。最小磁気力条件に近く,磁気力が小に抑制されるので,小出力のアクチュエータ1hで磁束量制御が可能である。
以上,図1から図5に示した回転電機に於いて,磁極ユニットを界磁磁石1aに対して相対偏倚させる事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明し,さらに磁極ユニットを界磁磁石1aに対して偏倚させる手段,方法を説明した。第一の実施例は磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。図6は磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図6に於いて,回転電機61は入力62,出力63を有するとし,制御装置65は回転電機61の出力63及び主磁極1b及びバイパス磁極1cの位置を含む状態信号64を入力として制御信号66を介して磁束量を制御する。番号67は電機子コイル16の駆動制御回路を示す。回転電機61が発電機として用いられるのであれば,入力62は回転力であり,出力63は発電電力となる。回転電機61が電動機として用いられるのであれば,入力62は駆動制御回路67から電機子コイル16に供給される駆動電流であり,出力63は回転トルク,回転速度となる。
回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には制御信号66,アクチュエータ1h,制御棒1gを介して磁極ユニットを図4(a),(b)に於いて時計回り方向に偏倚させ,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を小とさせる。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には制御信号66,アクチュエータ1h,制御棒1gを介して磁極ユニットを反時計回り方向に偏倚させ,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を大とさせる。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には制御信号66,アクチュエータ1h,制御棒1gを介して磁極ユニットを図4(a),(b)に於いて時計回り方向に偏倚させ,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を小とさせる。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には制御信号66,アクチュエータ1h,制御棒1gを介して磁極ユニットを反時計回り方向に偏倚させ,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を大とさせる。
本実施例の表面磁極部は磁性体突極17と磁気空隙部が周方向に交互に並び,磁性体突極17が励磁部により全てN極に磁化される構成である。単極構成の回転子であるが,同じ励磁部構成で隣接する磁極が互いに異極となるよう構成する事も出来る。例えば,図7に示すように磁気空隙部に径方向磁化を持つ永久磁石71を配置し,永久磁石71はS極を磁性体歯14に対向させる。
本実施例で採用した磁気抵抗調整手段に於いて,主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定するよう連続的に制御を行う場合,磁束量制御の為に回転電機の運転を中断することなく,可動磁極部の偏倚に必要な力を小さく保ち,更に両磁路間の磁束漏洩を小さく保つ事ができる。
磁路の磁気抵抗を設計値から許容範囲内に納める事が出来る場合には回転電機の組み立て後に於けるバイパス磁路の磁気抵抗調整は不要とする事が出来る。また,運転中に於ける磁路の磁気抵抗が初期状態から大きくずれない場合には回転電機の組み立て後の初期調整設定のみを採用して本実施例で採用した学習過程を省略する事が出来る。回転電機システムの仕様或いは運転条件により本実施例に於けるバイパス磁路の磁気抵抗調整手段を部分的に採用して最適の回転電機システムとする事が出来る。
本発明の第二実施例による回転電機システムを図8から図11を用いて説明する。第二実施例は,磁性体突極と磁気空隙部を交互に持つ二つの回転子を軸方向に並列配置し,励磁部をハウジング側に配置した回転電機システムである。また,第二実施例は磁束量の制御時に電機子コイルに所定条件の電流を供給して回転子を加速或いは減速方向に駆動して実効的に主磁路の磁気抵抗を調整し,偏倚をアシストする磁気力を発生させている。図8は回転電機の縦断面図,図9は電機子と回転子との構成を示す断面図,図10は回転子及び励磁部の縦断面図,図11は励磁部の断面図である。
図8はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,回転軸81がベアリング83を介してハウジング82に回動可能に支持されている。電機子はハウジング82に固定された円筒状磁気ヨーク85と,円筒状磁気ヨーク85から径方向に延びる複数の磁性体歯84と,磁性体歯84に巻回された電機子コイル86とから構成されている。回転子の表面磁極部は磁性体突極と磁気空隙部とが周方向に交互に並ぶ二つの回転子の表面磁極部87,88が非磁性体円板89を挟んで軸方向に並んで配置されている。
二つの回転子の表面磁極部87,88の磁性体突極を互いに異極に磁化する励磁部はハウジング82側に配置され,主要部を界磁磁石8a,主磁極8b,バイパス磁極8cから構成されている。主磁極8b,バイパス磁極8cは励磁部支持体8jに固定され,励磁部支持体8jはハウジング82に固定されている。界磁磁石8a及び界磁磁石支持体8gは可動磁極部として主磁極8b,バイパス磁極8cに対し周方向に摺動可能としてアクチュエータ8mに制御棒8kを介して接続されている。界磁磁石8a内の矢印は磁化方向を示し,番号8nは回転子に固定された冷却ファンを示す。
図9は図8のB−B’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子はハウジング82に固定された円筒状磁気ヨーク85と,円筒状磁気ヨーク85から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯84と,磁性体歯84に巻回された電機子コイル86とから構成されている。本実施例では9個の電機子コイル86より構成され,それらは三相に結線されている。電機子の磁性体歯84先端には径方向に短い可飽和磁性体結合部93を隣接する磁性体歯84先端部間に設けてある。磁性体歯84及び可飽和磁性体結合部93はケイ素鋼板を型で打ち抜いて積層し,電機子コイル86を巻回した後,円筒状磁気ヨーク85と組み合わせて電機子としている。
可飽和磁性体結合部93は磁性体歯84と一体として磁性体歯84の支持強度を向上させ,磁性体歯84の不要な振動を抑制させる。可飽和磁性体結合部93の径方向の長さは短く設定して容易に磁気的に飽和する形状としたので電機子コイル86が発生させる磁束或いは界磁磁石からの磁束によって容易に飽和し,その場合に電機子コイル86が発生させる磁束及び磁束の短絡を僅かな量とする。電機子コイル86に電流が供給されると,時間と共に可飽和磁性体結合部93は磁気的に飽和させられて周辺に磁束を漏洩させるが,磁気飽和した可飽和磁性体結合部93に現れる実効的な磁気空隙の境界はクリアではないので漏洩する磁束の分布は緩やかとなり,可飽和磁性体結合部93はこの点でも磁性体歯84に加わる力の時間変化を緩やかにして振動抑制に寄与する。
図9に於いて,回転子は磁性体突極91と磁気空隙部92とを周方向に交互に有する構造とし,ケイ素鋼板を所定の型に打ち抜いて積層して構成する。二つの回転子の表面磁極部87,88は同じ構成であり,一方の回転子の表面磁極部87の磁性体突極91と他方の回転子の表面磁極部88の磁気空隙部92とが軸方向に対向するよう配置する。磁性体突極91間は磁気空隙部92であり,単に空隙として構成しているが,高速回転で風損がエネルギー効率或いは音響発生で支障となる時には比抵抗が大で非磁性の樹脂,レジン等で構成する事が出来る。
図10は図8に縦断面図を示した回転子及び励磁部を拡大して示し,図11は励磁部の断面図を示している。図8,図10,図11を用いて励磁部の構成及び磁束量制御の動作原理を説明する。励磁部の主要部は界磁磁石8a,主磁極8b,バイパス磁極8cから構成されている。径方向の磁化を持つ界磁磁石8aは3個有り,界磁磁石8aと非磁性体8dと周方向に交互に配置されて円筒状磁性体よりなる界磁磁石支持体8gの内側に固定されている。主磁極8bとバイパス磁極8cの対が各界磁磁石8aに対向して内側に配置されて励磁部支持体8jに固定されている。バイパス磁極8cは更に環状磁気コア8hに接続され,環状磁気コア8hは界磁磁石支持体8gと間隙を介して対向している。
回転軸81に固定された円筒状の磁性体よりなる円筒磁気コア8eが表面磁極部87に接続すると共に微小間隙を介して主磁極8bと対向し,表面磁極部88に固定された円筒状の磁性体よりなる円筒磁気コア8fは界磁磁石支持体8gと微小間隙を介して対向している。励磁部を構成する主磁極8b,バイパス磁極8c,界磁磁石支持体8g,環状磁気コア8h,円筒磁気コア8e,円筒磁気コア8fに交流磁束が通らないので飽和磁束密度の大きい軟鉄で構成して全体をコンパクトに構成している。
界磁磁石8aの磁化方向及び界磁磁石8aと主磁極8b,バイパス磁極8cとが径方向に対向する点が第一実施例と異なるのみで励磁部の構成は類似している。本実施例に於いて界磁磁石8aは主磁極8b,バイパス磁極8cに対して周方向に摺動する構成としてアクチュエータ8mにより偏倚させられる。アクチュエータ8mは界磁磁石8aと界磁磁石支持体8gとをハウジング82に設けた窓を介して3本の制御棒8kで接続して回転偏倚させ,界磁磁石8aと主磁極8bとの対向面積を変える。
界磁磁石8aの一方の磁極から主磁極8bに流入した磁束が円筒磁気コア8e,表面磁極部87の磁性体突極91,磁性体歯84,表面磁極部88の磁性体突極91,円筒磁気コア8f及び界磁磁石支持体8gを介して界磁磁石8aの他方の磁極に環流する主磁路と,界磁磁石8aの一方の磁極からバイパス磁極8cに流入した磁束が環状磁気コア8h及び界磁磁石支持体8gを介して界磁磁石8aの他方の磁極に環流するバイパス磁路とが界磁磁石8aに並列に接続される構成であり,界磁磁石8aの周方向偏倚に従って主磁路及びバイパス磁路に磁束が分流され,主磁路を流れる磁束量が制御される。
本実施例では主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗とほぼ等しく設定して界磁磁石8aを偏倚させる為に要する力を小とさせる。環状磁気コア8hと界磁磁石支持体8gとの間の空隙長及び対向面積を磁気抵抗調整部分としてバイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗と等しくなるよう設定している。
本実施例ではアクチュエータ8mにはステップモータを用い,制御棒8kを介して界磁磁石8aを偏倚させる。アクチュエータ8mに駆動電流を流さない場合は界磁磁石8aの位置を保存して制御に要するエネルギーを小としている。
種々の要因によって各磁路の磁気抵抗は変動するが,本実施例では回転電機の動作中に磁束量制御を間歇的に行っている。回転電機を電動機として電機子コイルに回転子を加速する方向の電流を供給する場合は界磁磁束を引き込み,電機子に流れる磁束量を大としようとし,回転子を減速駆動する場合はその逆になる。したがって,回転子を加速或いは減速駆動する場合は主磁路の磁気抵抗が実効的にそれぞれ小,大となる。主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくするよう電機子コイルに供給する電流を最小磁気力電流とし,次のように偏倚制御を実施する。すなわち,主磁路を流れる磁束量を増す場合に回転子を加速する方向に最小磁気力電流から所定量ずらした電流を電機子コイルに供給すると共に主磁極と界磁磁石との対向面積を増す方向に可動磁極部を偏倚させる。主磁路を流れる磁束量を減じる場合には回転子を減速する方向に最小磁気力電流から所定量ずらした電流を電機子コイルに供給すると共に主磁極と界磁磁石との対向面積を減じる方向に可動磁極部を偏倚させ,主磁路を流れる磁束量を制御する。電機子コイルに流す電流により可動磁極部の偏倚をアシストする磁気力を発生させる構成であって可動磁極部の偏倚に過大なアクチュエータを要する事無く磁束量制御を容易とする。
最小磁気力電流は回転電機の運転状態に応じてマップデータから取得する。回転電機の運転中に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を変動させるパラメータは主に温度,可動磁極部の偏倚位置,回転速度等である。これら動作条件を示すパラメータと最小磁気力電流の初期設定からの変動量との関係は同一設計の回転電機では統計データに基づいて推定出来る。回転電機の組み立て後に最小磁気力電流と動作条件を示すパラメータとの間のマップデータを作成して設定する。
以上,図8から図11に示した回転電機に於いて,界磁磁石8aを主磁極8b及びバイパス磁極8cに対して相対偏倚させる事で電機子に流れる界磁磁束量を制御できることを説明し,さらに界磁磁石8aを主磁極8b及びバイパス磁極8cに対して偏倚させる手段方法を説明した。本実施例は磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には回転子を減速する方向に最小磁気力電流より所定量ずらした電流を電機子コイル86に供給し,同時に制御信号66を介してアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図11に於いて時計回り方向に偏倚させて主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を小とさせる。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には回転子を加速する方向に最小磁気力電流より所定量ずらした電流を電機子コイル86に供給し,同時に制御信号66を介してアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図11に於いて反時計回り方向に偏倚させて主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を大とさせる。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には回転子を減速する方向に最小磁気力電流より所定量ずらした電流を電機子コイル86に供給し,同時に制御信号66を介してアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図11に於いて時計回り方向に偏倚させて主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を小とさせる。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には回転子を加速する方向に最小磁気力電流より所定量ずらした電流を電機子コイル86に供給し,同時に制御信号66を介してアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図11に於いて反時計回り方向に偏倚させて主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を大とさせる。
上記の界磁制御は運転状況に応じて界磁制御のステップを簡略化出来る。すなわち,回転電機が加速駆動中であり,その加速駆動の程度が界磁制御の為に回転子を加速する程度以上であれば,偏倚制御手段の駆動のみとする事が出来る。減速駆動中であり,その減速駆動の程度が界磁制御の為に回転子を減速する程度以上であれば,偏倚制御手段の駆動のみとする事が出来る。回転電機を発電機とする場合には常時減速駆動されている電動機と同じ状態であり,界磁制御のステップを簡略化出来る。
主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事で現れる磁気力を積極的に利用して可動磁極部を偏倚制御する例を示した。本実施例で採用した手段は回転電機の加速,減速駆動を伴うので,長時間に渡って磁束量制御が連続する場合は回転電機の運転に影響を与える可能性がある。しかし,静止状態で予め主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事で回転電機の運転に与える影響を小さく留める事が出来,通常の運転状態では回転速度の変化も磁束量の変更制御も連続的に行われるので大きな問題となる事はない。また,所定のレベル以上に磁束量を変える場合には複数回に分けて断続的に実施する事で大きな支障が現れる事はない。
本発明の第三実施例による回転電機システムを図12から図15を用いて説明する。第三実施例は,磁性体突極と磁気空隙部を周方向に交互に持つ回転子であり,励磁部を回転子の内部に配置した回転電機システムである。また,第三実施例は磁束量の制御時に電機子コイルに最小磁気力電流を供給して回転子を加速或いは減速方向に駆動して実効的に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくし,さらに最小磁気力電流を学習的に取得している。図12は回転電機の縦断面図,図13は電機子と界磁部とを示す断面図,図14は回転子の構成を示す斜視図,図15は界磁制御を行うタイムチャートである。
図12はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,回転軸81がベアリング83を介してハウジング82に回動可能に支持されている。電機子の構成は第二実施例と同じであるので説明は省略する。回転子は磁性体突極と磁気空隙部とが周方向に交互に並ぶ表面磁極部121,隣り合う磁性体突極を軸方向の互いに異なる方向に延長させた第一延長部122,第二延長部123とを有する。
回転子の表面磁極部121の内側には励磁部が配置されて第一延長部122,第二延長部123に結合し,隣接磁性体突極を互いに異極に磁化している。励磁部の主要部は界磁磁石124,主磁極125,バイパス磁極126,ベース磁極128から構成され,界磁磁石124は励磁部支持体127に固定され,界磁磁石124と励磁部支持体127は主磁極125,バイパス磁極126及びベース磁極128間に配置されて軸方向に摺動可能に構成されている。界磁磁石124,主磁極125,バイパス磁極126,ベース磁極128及び励磁部支持体127は円筒状の磁性体で構成されている。
界磁磁石124と励磁部支持体127を軸方向に偏倚させる偏倚制御手段は,主要部をスプリング12a,回転軸81の中空部に収納された制御棒12d,プッシュロッド12e,アクチュエータ12fとから構成され,制御棒12dには励磁部支持体127に固定したピン129が回転軸81のスリット12cを介して接する構成である。円筒状の非磁性体12bは界磁磁石124の偏倚範囲を規制する手段として配置されている。番号12gはロードセルを示す。
図13は図12のC−C’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第二の実施例と同じであるので説明は省略する。図13に於いて,回転子は磁性体突極と磁気空隙部とを周方向に交互に有する構造とし,隣接する磁性体突極を番号131,132で代表させ,磁気空隙部を番号133で示している。番号134は磁束チャネル部である。本実施例では磁性体突極131,132の断面積は小さいので内周側の空きスペースを利用して可能な限り断面積の大きい磁束チャネル部134として界磁磁束の伝搬供給を可能にする構成としている。磁性体突極131,132は幅の狭い可飽和磁性体部135で連結された構成として所定の型でケイ素鋼板を打ち抜き,積層して構成されている。磁気空隙部133を含む非磁性体の部分には非磁性で且つ比抵抗の大きい材料,レジン,樹脂等を充填して構成している。
本実施例に於いては,回転子の空きスペースを利用して飽和磁束密度の大きな鉄で構成した断面積が大きい磁束チャネル部134を電機子より遠い側の磁性体突極に配置している。磁性体突極がケイ素鋼板の積層で構成され,積層されたケイ素鋼板の積層方向の磁気抵抗は大きいが,磁束チャネル部134は界磁磁束を回転軸81に沿って伝搬させる事が出来る。
図14は回転子の構成を示す分解斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極131,132等を有する中心部と磁性体突極の第一延長部122,第二延長部123とを離して示してある。番号81’は回転軸81を通す穴を示す。第一延長部122は軟鉄をプレス成形して磁性体突極131の延長部分となる磁性体突部141を有して構成され,非磁性体部143は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第二延長部123は軟鉄をプレス成形して磁性体突極132の延長部分となる磁性体突部142を有して構成され,非磁性体部144は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。番号145は励磁部の一部を示す。
励磁部の構成は図12に縦断面図が示されている。励磁部の主要構成部材は円筒状であり,主磁極125,バイパス磁極126が軸方向に並んで配置され,主磁極125は第二延長部123と結合され,バイパス磁極126は第一延長部122と微小間隙を介して結合されている。ベース磁極128は第一延長部122に結合され,界磁磁石124は励磁部支持体127に固定されて主磁極125,バイパス磁極126及びベース磁極128間を摺動可能に配置されている。界磁磁石124は径方向の磁化を持ち,矢印は磁化の方向を示す。
主磁路は主磁極125,第二延長部123,磁性体突極132,磁性体歯84,磁性体突極131,第一延長部122,ベース磁極128,励磁部支持体127で構成され,バイパス磁路はバイパス磁極126,第一延長部122,ベース磁極128,励磁部支持体127で構成される。バイパス磁路の磁気抵抗はバイパス磁極126と第一延長部122間の微小間隙の長さを磁気抵抗調整部分として主磁路の磁気抵抗の平均値と互いにほぼ等しくなるよう設定してある。界磁磁石124の軸方向偏倚に従って,界磁磁石124が主磁極125及びバイパス磁極126と対向する面積の和を一定に保ちながら主磁極125との対向面積は変わり,主磁路に流入する磁束量を変える事が出来る。また,その際に第一,第二の実施例で説明したように偏倚に抗する磁気力は理論的に現れない。
主磁極125,バイパス磁極126の長さは界磁磁石124の長さより大きいが,円筒状の非磁性体12bにより界磁磁石124は常に主磁極125及びバイパス磁極126と対向するよう設定されている。界磁磁石124と主磁極125,バイパス磁極126それぞれの対向面積の和は一定であり,それらの面積は偏倚に従って変化し,主磁路に分流される磁束量と偏倚量はほぼ比例する。
界磁磁石124を偏倚させる偏倚制御手段の構成を説明する。励磁部支持体127に固定した3個のピン129は回転軸81に設けた3個のスリット12cを介して制御棒12dに接し,制御棒12dは回転軸81の中空部内を軸方向に摺動可能に構成されてアクチュエータ12fのプッシュロッド12eと接している。スプリング12aは励磁部支持体127を右方向に付勢し,アクチュエータ12fはプッシュロッド12eを軸方向に偏倚させる構成であるので励磁部支持体127及び界磁磁石124はアクチュエータ12fにより軸方向に偏倚させられる。本実施例ではアクチュエータ12fにはステップモータとネジ機構を用い,ステップモータの回転によりプッシュロッド12eは図12に於いて左右に偏倚され,ステップモータを駆動しない場合はプッシュロッド12eの軸方向位置を保存させている。
種々の要因により各磁路の磁気抵抗は変動するが,本実施例では以下のように回転電機の動作中に磁束量制御を間歇的に行っている。界磁磁石124の偏倚制御時に電機子コイル86に最小磁気力電流を供給して回転子を加速或いは減速方向に駆動して実効的に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくさせ,同時にアクチュエータ12fを駆動する。さらに電機子コイルに流す最小磁気力電流は回転電機の運転中に学習的に取得して種々の原因による主磁路の磁気抵抗変化に適応させている。
最小磁気力電流を学習的に取得する構成及び方法を図12及び図15を用いて説明する。図12に於いて,番号12gはロードセルを示し,プッシュロッド12eに加えられる力を検出する。電機子コイル86に回転子を加速或いは減速方向に電流が供給されると,主磁路の磁気抵抗は実効的にそれぞれ小,大になる。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗に差があると,界磁磁石124は磁気抵抗の小さい側の磁極となる主磁極125或いはバイパス磁極126との対向面積を増す方向に偏倚する磁気力を受ける。アクチュエータ12fは軸方向位置を保持しようとするので摺動棒12d,プッシュロッド12eに内の圧力は変化し,ロードセル12gにより前記磁気力を検出する事が出来る。
図15は間歇的に磁束量を制御するタイムチャートであり,横軸156は時間を示す。番号151は学習区間を示し,番号152は磁束量制御区間を示している。それ以外の時間帯では回転電機が電動機であれば回転駆動を,発電機であれば発電電力の取り出しを行う。学習区間151では電機子コイル86に供給する電流の条件を変えて回転子を駆動し,その期間に於けるロードセル12gの出力を監視する。ロードセル12gの出力が小になる電流が最小磁気力電流であり,この最小磁気力電流を制御装置に記憶或いは設定し直す。
番号152は磁束量を制御する区間であり,前記の学習過程で得られた最小磁気力電流を電機子コイル86に供給し,同時にアクチュエータ12fを制御して界磁磁石124を軸方向に偏倚させる。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は実効的にほぼ等しくされるのでアクチュエータ12fによる上記制御は円滑に行われる。この場合,回転子は短時間であるが駆動されるので回転速度153は変化する。磁束量の制御区間152では回転子が減速され,僅かではあるが,減速されている状態が回転速度153に示されている。番号154は界磁磁束量を示し,学習区間151ではアクチュエータ12fは軸方向位置を保持しているので界磁磁束量154は変化しないが,磁束量制御区間152では界磁磁束量154が変化する様子が示されている。
番号155は回転電機が発電機である場合に於ける発電電圧を示している。学習区間151及び磁束量制御区間152では発電電力を取り出せないので発電電圧155が途切れている状態を示し,磁束量制御区間152前後では発電電圧155が変化している状態が示されている。本実施例では静止状態でバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗と等しくなるように設定されているので磁束量制御の際に電機子コイル86に供給する最小磁気力電流が回転子を加速或いは減速する程度は小さく抑えられる。
本実施例では学習区間151を設定して最小磁気力電流を取得したが,特に学習区間151を設定しない方法も可能である。例えば,回転電機が電動機である場合には回転子を駆動する為に電機子に供給される電流とロードセル12g出力との関係を常時監視し,最もロードセル12g出力が小になる電流を最小磁気力電流とする。
電機子コイル86を流れる電流により主磁路の磁気抵抗を実効的に変え,可動磁極部の偏倚に要する力を小とできるが,磁性体突極131,132と磁性体歯84の位置に応じて切り替わる電流に応答する高い周波数帯での磁気抵抗変動は可動磁極部の振動或いは主磁路及びバイパス磁路間の脈動的な磁束漏洩を誘発して望ましい事ではない。したがって,後者の高い周波数帯での交流磁束は通り難い構成として平滑化する事が望ましい。本実施例では図14に示すように磁性体突極の第一,第二延長部122,123を軟鉄ブロックで構成して交流磁束を通り難い構成としている。界磁磁石124から磁性体突極131,132に至る磁路の磁気抵抗に周波数特性を持たせ,可動磁極部の偏倚に際して必要な低周波数帯の磁気抵抗変化を許容できるよう第一,第二延長部122,123の透磁率,導電率及び寸法諸元を設定する。
以上,図12から図15に示した回転電機に於いて,界磁磁石124を主磁極125及びバイパス磁極126に対して相対偏倚させる事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明した。本実施例は磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束量制御区間152の時間帯に電機子コイル86に駆動回路67を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に等しくすると共に制御信号66を介してアクチュエータ12fにより,プッシュロッド12eを左方向に偏倚させて主磁極125と界磁磁石124の対向面積を小とさせる。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束量制御区間152の時間帯に電機子コイル86に駆動回路67を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に等しくすると共に制御信号66を介してアクチュエータ12fにより,プッシュロッド12eを右方向に偏倚させて主磁極125と界磁磁石124の対向面積を大とさせる。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束量制御区間152の時間帯に電機子コイル86に駆動回路67を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に等しくすると共に制御信号66を介してアクチュエータ12fにより,プッシュロッド12eを左方向に偏倚させて主磁極125と界磁磁石124の対向面積を小とさせる。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束量制御区間152の時間帯に電機子コイル86に駆動回路67を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に等しくすると共に制御信号66を介してアクチュエータ12fにより,プッシュロッド12eを右方向に偏倚させて主磁極125と界磁磁石124の対向面積を大とさせる。
本発明の第四実施例による回転電機システムを図16から図21を用いて説明する。表面磁極部には磁性体突極と集合磁石が周方向に交互に配置され,励磁部がハウジング側に配置された回転電機システムである。さらに磁束量の制御時に電機子コイルに定電流負荷を接続し,誘起電圧により所定の電流を流して主磁路の磁気抵抗を実効的に調整している。図16は回転電機の縦断面図,図17は電機子と回転子とを示す断面図,図18は回転子と第一,第二延長部,励磁部を示す分解斜視図,図19は励磁部の縦断面図,図20は励磁部の平面図,図21は偏倚制御手段の斜視図である。
図16はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,回転軸81がベアリング83を介してハウジング82に回動可能に支持されている。電機子の構成は第二実施例と同じであるので説明は省略する。回転子の磁性体突極と集合磁石とが周方向に交互に並ぶ表面磁極部161,隣り合う磁性体突極を互いに軸方向の異なる方向に延長させた第一延長部162,第二延長部163とから構成されている。回転子の第一延長部162,第二延長部163と空隙を介して静止側に二つの励磁部が配置され,第一延長部162,第二延長部163と円筒状磁気ヨーク85間にそれぞれ界磁磁束を一括して供給し,隣り合う磁性体突極を互いに異極に磁化する構成である。
同図に於いて,第二延長部163と対向する励磁部は界磁磁石164,主磁極165,バイパス磁極166,ベース磁極167を含み,さらに主磁極165,バイパス磁極166をハウジング82に回動可能に支持する励磁部支持体168とから構成される事が示されている。第一延長部162側の励磁部の構成部材に番号を付していないが,同じ構成であり,同種の部材には同じ番号を用いるとする。ただ,界磁磁石164の磁化方向は矢印で示されるように第一延長部162,第二延長部163側の励磁部に於いては互いに逆となるよう配置されている。
図17は図16のD−D’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第二の実施例と同じであるので説明は省略する。
図17に於いて,磁性体突極と集合磁石とを周方向に交互に配置されている。中間磁性体突極173の両側面にほぼ同じ磁化方向の磁石板174,175が配置された組み合わせは磁気的には磁石と等価な集合磁石として,回転子の表面磁極部161は一様な磁性体を周方向に等間隔に配置された集合磁石によって区分された磁性体突極171,172及び集合磁石とから構成されている。さらに隣接する磁性体突極171,172は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する集合磁石の周方向磁化方向は互いに反転して構成されている。磁性体突極171,172それぞれの周方向両側面に配置された磁石板はV字状の配置であり,磁石板の交差角度は磁束バリアに好適な角度に設定する。磁石板174,175に付された矢印は磁石板174,175の板面にほぼ直交する磁化方向を示す。
番号177は第三実施例に於ける磁束チャネル部134に相当する磁束チャネル部である。本実施例では磁性体突極171,172の断面積は小さいので内側の空きスペースを利用して可能な限り断面積の大きい磁束チャネル部177として磁束の伝搬供給を可能にする構成としている。番号176は磁石板174,175の磁路の磁気抵抗を大にする為に設けた磁気空隙部である。ケイ素鋼板から磁石板174,175及び磁束チャネル部177,磁気空隙部176に相当する部分を打ち抜いて積層した後,磁石板174,175を挿入し,磁束チャネル部177には軟鉄ブロックを挿入して回転子の磁極部を構成する。
図18は回転子の構成及び励磁部の配置を示す分解斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極171,172等を有する中心部と磁性体突極の第一,第二延長部162,163とを離して示してある。第一延長部162は軟鉄をプレス成形して磁性体突極171の延長部分となる磁性体突部183を有して構成され,非磁性体部185は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第二延長部163は軟鉄をプレス成形して磁性体突極172の延長部分となる磁性体突部184を有して構成され,非磁性体部186は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。
第一延長部162,第二延長部163にはそれぞれ励磁部181,182が空隙を介して対向し,励磁部181,182の主磁極165及びそれに結合する磁性体は第一延長部162,第二延長部163それぞれの磁性体突部183,184と磁気的に結合し,励磁部181,182のベース磁極167は図16に示している円筒状磁気ヨーク85の両端に結合されている。励磁部181,182の励磁部支持体168には主磁極165及びバイパス磁極166が固定され,後に説明されるように周方向に回転偏倚されて主磁極165及びバイパス磁極166と界磁磁石164間の相対位置を変える構成である。
図19及び図20を用いて励磁部の構成を説明する。図19は励磁部182の縦断面図を,図20は回転子側から見た平面図をそれぞれ拡大して示している。図19及び図20に於いて,界磁磁石164は周方向に3個等間隔でベース磁極167の内側に固定され,各界磁磁石164に径方向に対向して主磁極165及びバイパス磁極166が周方向に並んで配置されている。界磁磁石164は常に主磁極165及びバイパス磁極166と対向し,界磁磁石164が主磁極165及びバイパス磁極166と対向する面積の和は一定であり,それぞれの面積が界磁磁石164と磁極ユニットを構成する主磁極165及びバイパス磁極166間の相対偏倚により変化するよう構成されている。番号201は磁気空隙部である。
主磁極165は空隙を介して対向する第二延長部163の磁性体突部184と磁気的に結合され,バイパス磁極166は微小の間隙191を介してベース磁極167に磁気的に結合している。本実施例の励磁部182に於いて,主磁路は主磁極165,磁性体突部184,磁性体突極172,磁性体歯84,円筒状磁気ヨーク85からベース磁極167に至る磁路であり,バイパス磁路はバイパス磁極166から間隙191を介してベース磁極167に至る磁路である。本実施例ではバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗より大となるよう間隙191に於ける対向面積及び間隙長を磁気抵抗調整部分として設定している。
磁性体突極171,172は側面に配置された磁石板により磁化され,磁性体突極171はN極に,磁性体突極172はS極である。本実施例では励磁部と磁石板が磁性体突極を同じ極性に磁化するよう励磁部は配置されている。すなわち,励磁部181に於いて界磁磁石164は主磁極165をN極に磁化して磁性体突部183,磁性体突極171をN極に励磁する。さらに励磁部182に於いて界磁磁石164は主磁極165をS極に磁化して磁性体突部184,磁性体突極172をS極に励磁している。
このように磁石板174,175及び励磁部181,182は共に磁性体突極171,172を同じ極性にそれぞれ励磁している。集合磁石を構成する磁石板174,175の役割は磁束を発生すると共に周方向に磁気抵抗の大きな領域を形成する為の磁束バリアである。本実施例に於いては励磁部181,182から十分な磁束を供給出来,また励磁部181,182からの磁束を分流制御して電機子側への界磁磁束制御が目的であるので磁石板174,175からの磁束は磁束量制御の観点からは障害になる存在である。中間磁性体突極173中に設けたスリットで構成した磁気空隙部176は磁石板174,175の磁束が通る磁路の磁気抵抗を大として電機子側に流れる磁束への磁石板174,175の寄与を小にする為に設けられている。
図20に於いて磁気空隙部201の一部に設けた空隙部202及び突部203は磁極ユニット(主磁極165及びバイパス磁極166)を予め定めた範囲内に規制する偏倚規制手段を構成している。すなわち突部203は主磁極165及びバイパス磁極166側に固定され,突部203の偏倚は隣接する界磁磁石164間に制限されている。図20に示す状態が基準位置であり,突部203は界磁磁石164側面に当接している。磁極ユニットの回転偏倚量が基準位置から時計回り方向にほぼ主磁極165の周方向角度長に規制されるよう突部203の周方向角度長は設定されている。
本実施例では主磁路とバイパスに加えて集合磁石を通る第三の磁路が界磁磁石164に並列接続されている。磁石板174,175部分を空隙として算出した第三の磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗より大になるよう設定する。本実施例では中間磁性体突極173中に設けた磁気空隙部176により第三の磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗を大として主磁路に流入する磁束量が影響されないよう構成されている。
図21は励磁部182に於いて界磁磁石164に対して磁極ユニットを回転偏倚させる偏倚制御手段を示す斜視図である。同図に於いて,励磁部支持体168の端面にはギア211が設けられ,ギア211に噛み合うようギア212及びステップモータ213が配置されている。ステップモータ213とギア211,212により磁極ユニットの位置を保持すると共にステップモータ213を回転駆動させて磁極ユニットを界磁磁石164に対して偏倚させ,磁性体突極171,172と磁性体歯84間の磁束量を変える。励磁部181側にも同じ構成の偏倚制御手段が設けられている。
本実施例では,磁路の磁気抵抗のバラツキを実効的に調整する手段として磁束量を変更する際には電機子コイル86に所定の定電流負荷を接続する。回転電機を発電機とした場合,電機子コイル86に(図示していない)負荷が接続されると電機子コイル86と鎖交した磁束により磁束の変化を減じる方向の電圧が誘起され,負荷のインピーダンスに応じて電流が流れる。これにより主磁路の磁気抵抗は実効的に大となる。主磁路の磁気抵抗はバイパス磁路の磁気抵抗よりやや小に設計するとして,回転電機の組み立て後に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に等しくさせる定電流負荷を調査し,制御装置に記憶させる。磁束量を変更する際には電機子コイル86に記憶させた定電流負荷を接続し,磁極ユニットを界磁磁石164に対して相対偏倚させる過程で偏倚を妨げる磁気力を小とさせる。所定の定電流負荷を実現する手段には種々の方法があり,電機子コイルへの誘起電圧により所定の電流が電機子コイルを流れるよう制御する定電流回路,或いは回転数毎に定めた所定インピーダンスを有する負荷等がある。本実施例では定電流回路を用いている。
以上,図16から図21に示した回転電機に於いて,励磁部181,182の磁極ユニットを界磁磁石164に対して相対偏倚させる事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明し,さらに偏倚させる手段方法を説明した。第四実施例は磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。定電流負荷は回転子の減速駆動を伴い,主磁路の磁気抵抗を実効的に大とする方向への調整であり,磁束量制御は以下のステップで実行される。制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には電機子コイル86に誘起電圧により所定の電流を流す定電流回路(図示していない)を接続して主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗と実効的に互いに等しくし,制御信号66を介して励磁部181,182のステップモータ213により,図20に於いて磁極ユニットを時計回り方向に回転偏倚させて主磁極165と界磁磁石164の対向面積を小とさせる。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には電機子コイル86への通電を停止し,制御信号66を介して励磁部181,182のステップモータ213により,図20に於いて磁極ユニットを反時計回り方向に回転偏倚させて主磁極165と界磁磁石164の対向面積を大とさせる。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。定電流負荷は回転子の減速駆動を伴い,主磁路の磁気抵抗を実効的に大とする方向への調整であり,界磁制御は以下のステップで実行される。制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には電機子コイル86に誘起電圧により所定の電流を流す定電流回路(図示していない)を接続し,制御信号66を介して励磁部181,182のステップモータ213により,図20に於いて磁極ユニットを時計回り方向に回転偏倚させて主磁極165と界磁磁石164の対向面積を小とさせる。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には電機子コイル86に大きなインピーダンス負荷を接続して流れる電流を小とし,制御信号66を介して励磁部181,182のステップモータ213により,図20に於いて磁極ユニットを反時計回り方向に回転偏倚させて主磁極165と界磁磁石164の対向面積を大とさせる。
上記システムの制御に於いて,界磁磁束量を増大させる場合には定電流負荷を電機子コイルに接続せず,主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より小で有る事で現れる磁気力を可動磁極部偏倚へのアシストに利用している。
本実施例で採用した主磁路の磁気抵抗調整手段は回転電機の減速駆動を伴うので,長時間に渡って磁束量制御が連続する場合は回転電機の運転に影響を与える可能性がある。しかし,通常の運転状態では回転速度の変化も磁束量の変更制御も連続的に行われるので大きな問題となる事はない。また,経時変化或いは温度変化により主磁路の磁気抵抗変化が大きく見込まれる場合には主磁路の磁気抵抗の補正条件を学習的に取得する構成或いはマップデータから取得する構成を採用する。
マップデータは以下のように作成される。回転電機の運転中に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を変動させるパラメータは主に電機子コイルに流れる電流,回転速度,温度,可動磁極部の偏倚位置等である。これら動作条件を示すパラメータと最適な定電流負荷条件の初期設定条件からの変動量との関係は同一設計の回転電機では統計データに基づいて推定出来る。回転電機の組み立て後に最適な定電流負荷条件と動作条件を示すパラメータとの間のマップデータを作成して設定する。
本発明による回転電機システムの第五実施例を図22から図26までを用いて説明する。第五実施例は,ラジアルギャップ構造の回転電機システムであり,励磁部は回転子の一方の軸方向に隣接するハウジング側に配置され,バイパス磁路に磁気抵抗調整コイルを有する。図22は回転電機の縦断面図,図23は電機子と回転子とを示す断面図,図24は回転子構造と励磁部配置を示す分解斜視図,図25は励磁部の拡大された縦断面図,図26は励磁部の断面図である。
図22はラジアルギャップ構造の回転電機を示し,回転軸81がベアリング83を介してハウジング82に回動可能に支持されている。電機子の構成は第二実施例と同じであるので説明は省略する。回転子の磁極部は磁性体突極と永久磁石とが周方向に交互に並ぶ表面磁極部221,隣り合う磁性体突極を交互に径方向の内周側及び軸方向の右へ延長させてそれぞれ集合させた第一延長部222,第二延長部223とから構成されている。回転子右側のハウジング側に励磁部が配置されて第一延長部222,第二延長部223と空隙を介して対向し,第一延長部222,第二延長部223に磁束を一括して供給し,隣り合う磁性体突極を互いに異極に磁化している。
同図に於いて,励磁部の主要部の構成は第二実施例とほぼ同じ構成であり,主要部は界磁磁石8a,主磁極8b,バイパス磁極8cから構成されている。主磁極8b,バイパス磁極8cは励磁部支持体8jに固定され,励磁部支持体8jはハウジング82に固定されている。界磁磁石8a及びベース磁極226は可動磁極部として主磁極8b,バイパス磁極8cで構成される磁極ユニットに対し周方向に摺動可能としてアクチュエータ8mに制御棒8kを介して接続されている。番号224は冷却エアーが流動する空洞部,番号8hは環状磁気コア,番号225はバイパス磁路の磁気抵抗調整の為に配置された磁気抵抗調整コイルをそれぞれ示す。
図23は図22のE−E’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第二の実施例と同じであるので説明は省略する。
図23に於いて,回転子の表面磁極部は一様な磁性体を周方向に等間隔に配置された永久磁石233によって区分され,隣接する磁性体突極を代表して磁性体突極231,232として番号を付している。隣接する磁性体突極231,232は内径方向,軸と平行の右方向に交互に延長されてそれぞれ第一延長部222,第二延長部223とする。番号235で示されるように内径方向に延長されて集合された部分は第一延長部222とし,軸方向の右に延長された部分は第二延長部223としている。番号236は非磁性体部分を示す。さらに隣接する磁性体突極231,232は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する永久磁石233の周方向磁化方向は互いに反転されている。永久磁石233に付された矢印は磁化方向を示す。
永久磁石233は磁束を磁性体突極231,232に供給し,周方向に磁気抵抗が大の領域を形成する磁束バリアとなっている。番号234は第三実施例に於ける磁束チャネル部134に相当する磁束チャネル部である。磁性体突極231,232をケイ素鋼板から永久磁石233或いは磁束チャネル部234,非磁性体部分236に相当する部分を打ち抜いて積層した後,永久磁石233を挿入し,磁束チャネル部234には軟鉄ブロックを挿入して構成する。非磁性体部分236には樹脂,レジン等の比抵抗が大きい非磁性体を充填して構成する。
図24は回転子の構成及び励磁部の配置を示す分解斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極231,232等を有する中心部と磁性体突極の第二延長部223とを離して示し,第二延長部223と間隙を介して対向しハウジング82側に配置されている励磁部245を示している。第二延長部223は軟鉄をプレス成形して磁性体突極232の延長部分となる磁性体突部241を有して構成され,非磁性体部244は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。磁性体突部241と一体の環状磁気コア部分242は微小空隙を介して励磁部245のベース磁極226に,第一延長部222と結合されている円筒状磁気コア243は微小空隙を介して主磁極8bとそれぞれ対向する構成である。
図25は図22に縦断面図を示した回転子の一部及び励磁部を拡大して示し,図26は励磁部の断面図を示している。図22,図25,図26を用いて励磁部の構成及び磁束量制御の動作原理を説明する。励磁部の主要部は界磁磁石8a,磁極ユニット(主磁極8b,バイパス磁極8c)から構成されている。径方向の磁化を持つ界磁磁石8aは3個有り,界磁磁石8aと非磁性体8dと周方向に交互に配置されて円筒状磁性体よりなるベース磁極226の内側に固定されている。主磁極8bとバイパス磁極8cの対が各界磁磁石8aに対向して内側に配置されて励磁部支持体8jに固定されている。バイパス磁極8cは更に環状磁気コア8hに接続され,環状磁気コア8hはベース磁極226と間隙を介して対向している。さらに主磁極8bは円筒状磁気コア243に対向し,ベース磁極226は環状磁気コア部分242に対向している。励磁部を構成する主磁極8b,バイパス磁極8c,ベース磁極226,環状磁気コア8hに交流磁束は流れないので飽和磁束密度の大きい軟鉄で構成して全体をコンパクトに構成している。
磁性体突極231,232は永久磁石233により磁化され,磁性体突極231はN極に,磁性体突極232はS極である。本実施例では励磁部と永久磁石が磁性体突極を同じ極性に磁化するよう配置されている。すなわち,励磁部に於いて界磁磁石8aは主磁極8bをN極に磁化して第一延長部222,磁性体突極231をN極側に励磁する。さらに第二延長部223を介して磁性体突極232をS極側に励磁している。
第二実施例と同様に界磁磁石8aは磁極ユニットに対して周方向に摺動する構成としてアクチュエータ8mにより偏倚させられる。アクチュエータ8mは界磁磁石8aと界磁磁石支持体8gとをハウジング82に設けた窓を介して3本の制御棒8kで接続して回転偏倚させ,界磁磁石8aと主磁極8bとの対向面積を変える。
界磁磁石8aの一方の磁極から主磁極8bに流入した磁束が円筒状磁気コア243,第一延長部222,磁性体突極231,磁性体歯84,磁性体突極232,第二延長部223,磁性体突部241,環状磁気コア部分242,ベース磁極226を介して界磁磁石8aの他方の磁極に環流する主磁路と,磁石8aの一方の磁極からバイパス磁極8cに流入した磁束が環状磁気コア8h及びベース磁極226を介して界磁磁石8aの他方の磁極に環流するバイパス磁路とが界磁磁石8aに並列に接続される構成であり,界磁磁石8aの周方向偏倚に従って主磁路及びバイパス磁路に磁束が分流され,主磁路を流れる磁束量が制御される。環状磁気コア8hとベース磁極226との間の空隙長及び対向面積を変えて両磁路の磁気抵抗が互いにほぼ等しくなるよう設定し,前記界磁磁石8aの偏倚に抗する磁気力を小としている。
本実施例では主磁路とバイパスに加えて永久磁石233を通る第三の磁路が界磁磁石8aに並列接続されている。永久磁石233部分を空隙として算出した第三の磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗より大になるよう設定する。本実施例では永久磁石233の長さは十分に大として主磁路に流入する磁束量が影響されない。
本実施例ではアクチュエータ8mにはステップモータを用い,制御棒8kを介して界磁磁石8aを偏倚制御する。アクチュエータ8mに駆動電流を流さない場合は界磁磁石8aの位置を保存して制御に要するエネルギーを小としている。
種々の要因により各磁路の磁気抵抗は変動するが,本実施例では界磁磁石8aの偏倚制御時にバイパス磁路を巻回するよう配置された磁気抵抗調整コイル225に予め定めた電流を供給してバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に調整して前記偏倚を妨げる磁気力を小に抑制している。回転電機の組み立て後に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に等しくさせる為に磁気抵抗調整コイル225に供給する電流を個々に検出して,前記偏倚を妨げる磁気力を最小とする電流を予め定めた電流値として制御装置に記憶させ,磁束量を変更する際には記憶させた予め定めた電流を磁気抵抗調整コイル225に供給し,バイパス磁路の磁気抵抗を実効的に調整して界磁磁石8aを偏倚させる過程で偏倚を妨げる磁気力を小とさせる。
以上,図22から図26に示した回転電機に於いて,界磁磁石8aを磁極ユニットに対して相対偏倚させる事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明し,さらに偏倚させる手段方法を説明した。第五の実施例は界磁磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁気抵抗調整コイル225に所定の電流を供給してバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗以下となるよう実効的に調整し,制御信号66がアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図26に於いて時計回り方向に駆動して主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を小とさせる。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁気抵抗調整コイル225に所定の電流を供給してバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗以上となるよう実効的に調整し,制御信号66がアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図26に於いて反時計回り方向に駆動して主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を大とさせる。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁気抵抗調整コイル225に所定の電流を供給してバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗以下となるよう実効的に調整し,制御信号66がアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図26に於いて時計回り方向に駆動して主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を小とさせる。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁気抵抗調整コイル225に所定の電流を供給してバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗以上となるよう実効的に調整し,制御信号66がアクチュエータ8mにより,制御棒8kを図26に於いて反時計回り方向に駆動して主磁極8bと界磁磁石8aの対向面積を大とさせる。
本実施例による磁気抵抗調整手段に於いては磁気抵抗調整コイルに電流を供給する必要はあるが,界磁制御時に限定されるのでエネルギー損失は低く抑えられる。電機子コイルに電流を供給して主磁路の磁気抵抗を調整する手段は回転子の回転に影響を与えるが,磁気抵抗調整コイルによる磁気抵抗調整手段は回転子の回転に影響を与える事が無い利点がある。本実施例では磁気抵抗調整コイルに供給する電流は製造後の検査により予め設定するとしたが,回転電機の運転中に学習的に或いはマップデータから取得して種々の変動要因に対処する構成も可能である。
本発明の第六実施例による回転電機システムを図27を用いて説明する。第六実施例は第三実施例の回転電機システムをハイブリッドカーの発電機兼電動機システムとして用いた回転電機システムである。同図に於いて,番号271は第三実施例で示した回転電機を示し,回転電機271はハイブリッドカーのエンジン272とベルトで回転力を伝達するよう結合された回転軸279を持ち,回転軸279の回転力はトランスミッション273を介して駆動軸27aに伝えられる。制御装置274は上位制御装置からの指令27bを受け,駆動回路275を介して回転電機271を電動機として駆動し,磁束量制御回路276を介して電機子に流入する磁束量を制御する。更に制御装置274は上位制御装置からの指令27bを受け,電機子コイル86の引き出し線27cに現れる発電電力を整流回路277を介して整流し,バッテリー278を充電する構成としている。制御装置274は指令27bの指示により駆動回路275を介して回転電機271を電動機として駆動し,エンジン272の回転をアシスト或いは単独で回転軸279を回転駆動させ,トランスミッション273,駆動軸27aを介してハイブリッドカーの駆動力に寄与する。
低回転速度域で磁石トルクを強化する必要がある場合は制御装置274が磁束量制御区間152の時間帯に駆動回路275を介して電機子コイル86に最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくすると共に磁束量制御回路276を介して電機子の磁性体歯84,回転子の磁性体突極131,132間の磁束量を大とするようアクチュエータ12fによりプッシュロッド12eを右方向に偏倚させて主磁極125と界磁磁石124の対向面積を大とさせる。高回転速度域で弱め界磁とする場合には制御装置274が磁束量制御区間152の時間帯に駆動回路275を介して電機子コイル86に最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくすると共に磁束量制御回路276を介して電機子の磁性体歯84,回転子の磁性体突極131,132間の磁束量を小とするようアクチュエータ12fによりプッシュロッド12eを左方向に偏倚させて主磁極125と界磁磁石124の対向面積を小とさせる。
エンジン272の回転力のみでハイブリッドカーを駆動できる時は,指令27bにより電機子コイル86の引き出し線27cに現れる発電電力を整流回路277を介して直流に変え,バッテリー278を充電させる。その場合に制御装置274は磁束量制御区間152の時間帯に駆動回路275を介して電機子コイル86に最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくすると共にバッテリー278を充電する最適な電圧になるよう磁束量制御回路276を介してアクチュエータ12fを制御する。バッテリー278に充電する場合に回転電機システムを定電圧発電機システムとする事で発電電圧を変換するコンバータは不要である。また,更にバッテリー278が電圧の種類の異なる複数種のバッテリーで構成される場合でも切り替え回路を付け加えてそれぞれのバッテリーに最適の発電電圧に制御する事で高価なコンバータを不要に出来る。
本実施例はまたハイブリッドカーの制動時に於けるエネルギー回収システムとしても有効に機能する。指令27bを通じて回生制動の指示を受けると,制御装置274は磁束量制御区間152の時間帯に駆動回路275を介して電機子コイル86に最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくすると共に磁束量制御回路276を介して電機子の磁性体歯84,回転子の磁性体突極131,132間の磁束量を大とするようアクチュエータ12fによりプッシュロッド12eを右方向に偏倚させて主磁極125と界磁磁石124の対向面積を大とし,発電電力でバッテリー278に充電させる。複数のバッテリー278を有する場合には最も充電余力のあるバッテリー278の充電電圧に合わせた発電電圧が得られるよう磁束量制御回路276を介してアクチュエータ12fを制御して電機子の磁性体歯84,回転子の磁性体突極131,132間の磁束量を制御する。回転電機271は駆動用電動機として用いられる体格であるので回生制動用の発電機として十分な制動力を発生できる。
本実施例は本発明をハイブリッドカーの発電機兼電動機として用いた回転電機システムであるが,電気自動車に於ける回転電機システムとする事も当然に可能である。その場合には上記実施例に於いてハイブリッドカーのエンジン272を取り除き,本発明による回転電機システムのみで駆動及び制動時に於けるエネルギー回収システムを構成する。
以上,本発明の回転電機システムについて,実施例を挙げて説明した。これらの実施例は本発明の趣旨,目的を実現する例を示したのであって本発明の範囲を限定するわけでは無い。例えば,上記の実施例に於いて電機子は磁性体歯を有する構造が示されたが,従来のアキシャルギャップ構成の回転電機では磁性体歯を配置しない構造例も存在する。また,ラジアルギャップ構成に於いても電機子構成を円筒状磁気ヨーク上に印刷配線された電機子コイルを配置して磁性体歯を持たない例も存在する。本発明は磁性体歯の有無に拘わらず適用可能であり,回転電機の仕様に沿って最適の電気子構成を採用する事が出来る。上記実施例を組み合わせる,或いは実施例の一部を組み合わせて本発明の趣旨,目的を実現するシステムを完成させる等が可能な事は勿論である。
本発明による回転電機システムは従来の磁石トルク,リラクタンストルクを利用する回転電機の磁石励磁近傍の構成を変えて回転子と電機子間の界磁強度を容易に制御可能とした。同回転電機システムは従来の回転電機と同様に高出力の電動機として利用できる事に加えて実用出来る回転速度範囲を拡大し,更に発電機能を改善し,またその発電機能を制御できる。移動体の発電機兼電動機システムに用いて,駆動用電動機としては従来以上の回転速度範囲での使用が期待できる他に制動時のエネルギー回収を可能として総合的なエネルギー消費量を改善できる。更に定電圧発電機システムとして広い回転速度範囲で発電電圧を一定に制御できるので定電圧制御回路を不要とし,更に電圧の異なる複数種のバッテリー充電にもコンバータを不要に出来,全体のシステムコストを低減出来る。
第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図1に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図1に示された回転電機の励磁部構成を示す平面図である。 図1に示された回転電機の回転偏倚した主磁極とバイパス磁極を示す平面図である。 図1に示された回転電機の偏倚制御手段の一部を示す断面図である。 弱め界磁制御を行う回転電機システムのブロック図である。 図2の変形例である電機子と回転子とを示す断面図である。 第二の実施例による回転電機の縦断面図である。 図8に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図8に示された回転電機の回転子と励磁部とを示す縦断面図である。 図8に示された回転電機の励磁部を示す断面図である。 第三の実施例による回転電機の縦断面図である。 図12に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図12に示された回転電機の回転子と第一,第二延長部を示す分解斜視図である。 弱め界磁制御を行う回転電機システムのタイムチャートである。 第四の実施例による回転電機の縦断面図である。 図16に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図16に示された回転電機の回転子と第一,第二延長部と励磁部を示す分解斜視図である。 図16に示された回転電機の励磁部の縦断面図である。 図16に示された回転電機の励磁部の断面図である。 図16に示された回転電機の偏倚手段を示す斜視図である。 第五の実施例による回転電機の縦断面図である。 図22に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図22に示された回転電機の回転子と第二延長部と励磁部を示す分解斜視図である。 図22に示された回転電機の励磁部を示す縦断面図である。 図22に示された回転電機の励磁部とを示す断面図である。 第六の実施例による回転電機システムのブロック図である。
符号の説明
11・・・固定軸, 12・・・基板,
13・・・ベアリング, 14・・・磁性体歯,
15・・・円筒状磁気ヨーク, 16・・・電機子コイル,
17・・・磁性体突極, 18・・・プーリー部,
19・・・ロータハウジング, 1a・・・界磁磁石,
1b・・・主磁極, 1c・・・バイパス磁極,
1d・・・ベース磁極, 1e・・・間隙,
1f・・・励磁部支持体, 1g・・・制御棒,
1h・・・アクチュエータ, 1j・・・スリット部,
1k・・・ピン, 1m・・・可動ベース磁極,
1n・・・ベース磁極調整ネジ, 1p・・・アクチュエータ,
1q・・・電機子支持部, 1r・・・トルクセンサー
31・・・磁気空隙部, 32・・・円筒状磁気コア
41・・・界磁磁石1aの存在領域
61・・・回転電機装置, 62・・・入力,
63・・・出力, 64・・・状態信号,
65・・・制御装置, 66・・・制御信号,
67・・・駆動制御回路
71・・・永久磁石
81・・・回転軸, 82・・・ハウジング,
83・・・ベアリング, 84・・・磁性体歯,
85・・・円筒状磁気ヨーク, 86・・・電機子コイル,
87・・・表面磁極部, 88・・・表面磁極部,
89・・・非磁性体円板, 8a・・・界磁磁石,
8b・・・主磁極, 8c・・・バイパス磁極,
8d・・・非磁性体, 8e・・・円筒磁気コア,
8f・・・円筒磁気コア, 8g・・・界磁磁石支持体,
8h・・・環状磁気コア, 8j・・・励磁部支持体,
8k・・・制御棒, 8m・・・アクチュエータ,
8n・・・冷却ファン
91・・・磁性体突極, 92・・・磁気空隙部,
93・・・可飽和磁性体結合部
121・・・表面磁極部, 122・・・第一延長部,
123・・・第二延長部, 124・・・界磁磁石,
125・・・主磁極, 126・・・バイパス磁極,
127・・・励磁部支持体, 128・・・ベース磁極,
129・・・ピン, 12a・・・スプリング,
12b・・・非磁性体, 12c・・・スリット,
12d・・・制御棒, 12e・・・プッシュロッド,
12f・・・アクチュエータ, 12g・・・ロードセル
131,132・・磁性体突極, 133・・・磁気空隙部,
134・・・磁束チャネル部, 135・・・可飽和磁性体部,
141,142・・磁性体突部, 143,144・・非磁性体部,
145・・・励磁部の一部
151・・・学習区間, 152・・・界磁制御区間,
153・・・回転速度, 154・・・界磁磁束量,
155・・・発電電圧, 156・・・時間
161・・・表面磁極部, 162・・・第一延長部,
163・・・第二延長部, 164・・・界磁磁石,
165・・・主磁極, 166・・・バイパス磁極,
167・・・ベース磁極, 168・・・励磁部支持体
171,172・・磁性体突極, 173・・・中間磁性体突極,
174,175・・磁石板, 176・・・磁気空隙部,
177・・・磁束チャネル部
181,182・・励磁部, 183,184・・磁性体突部,
185,186・・非磁性体部
191・・・間隙
201・・・磁気空隙部, 202・・・空隙部,
203・・・突部
211,212・・ギア, 213・・・ステップモータ
221・・・表面磁極部, 222・・・第一延長部,
223・・・第二延長部, 224・・・空洞部,
225・・・磁気抵抗調整コイル, 226・・・ベース磁極,
231,232・・磁性体突極, 233・・・永久磁石,
234・・・磁束チャネル部, 235・・・延長部,
236・・・非磁性体部分
241・・・磁性体突部, 242・・・環状磁気コア部分,
243・・・円筒状磁気コア, 244・・・非磁性体部
271・・・第三の実施例で示した回転電機装置,
272・・・ハイブリッドカーのエンジン,
273・・・トランスミッション, 274・・・制御装置,
275・・・駆動回路, 276・・・磁束量制御回路,
277・・・整流回路, 278・・・バッテリー,
279・・・回転軸, 27a・・・駆動軸,
27b・・・上位制御装置からの指令, 27c・・・電機子コイルの引き出し線

Claims (24)

  1. 電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する表面磁極部と,同種の極性に磁化されるべき磁性体突極グループ毎に一括して磁化する励磁部とからなり,表面磁極部と電機子とは軸を中心に相対的に回転可能である回転電機装置であって,励磁部は界磁磁石及び主磁極及びバイパス磁極を有し,界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極を第一界磁磁極,他方の磁極を第二界磁磁極としたときに第一界磁磁極に主磁極及びバイパス磁極が対向して配置され,第一界磁磁極から主磁極に流入する磁束が磁性体突極及び電機子を介して第二界磁磁極に環流する主磁路及び第一界磁磁極からバイパス磁極に流入する磁束が主として励磁部内で第二界磁磁極に環流するバイパス磁路が界磁磁石に並列に接続され,主磁極及びバイパス磁極のユニット或いは界磁磁石の何れかが可動磁極部として第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの対向面積を変える事が出来るよう可動磁極部が残余に対して相対偏倚可能に構成され,さらに可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,回転電機システムの出力を最適化するように前記出力に応じて可動磁極部が偏倚されて主磁路に流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  2. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は,界磁磁石と非磁性体部が交互に周方向に配置され,主磁極及びバイパス磁極は各界磁磁石の第一界磁磁極に対向して周方向に並んで配置され,主磁極及びバイパス磁極のユニットと界磁磁石とが周方向に相対偏倚可能に構成された事を特徴とする回転電機システム
  3. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は,主磁極及びバイパス磁極とが界磁磁石の第一界磁磁極に対向して軸方向に並んで配置され,主磁極及びバイパス磁極のユニットと界磁磁石とが軸方向に相対偏倚可能に構成された事を特徴とする回転電機システム
  4. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,可動磁極部を偏倚させる際に可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗及び主磁路の磁気抵抗が互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に磁気抵抗調整手段により調整される事を特徴とする回転電機システム
  5. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子を流れる磁束量を増加させる時に主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より小になるよう磁気抵抗調整手段によって調整され,電機子を流れる磁束量を減少させる時に主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より大になるよう磁気抵抗調整手段によって調整され,同時に可動磁極部が偏倚される事を特徴とする回転電機システム
  6. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと前記磁気力との関係を監視し,前記磁気力を小とする前記パラメータが最小磁気力条件パラメータとして設定される事を特徴とする回転電機システム
  7. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段をバイパス磁路内に配置された空隙に於ける空隙長を調整する空隙長調整手段で構成し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  8. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段をバイパス磁路に巻回された磁気抵抗調整コイルで構成し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう予め定められた電流を磁気抵抗調整コイルに供給してバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  9. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段は回転子を加速或いは減速する方向の予め定められた電流を電機子コイルに供給して主磁路の磁気抵抗を調整する手段で構成し,可動磁極部を偏倚する際に可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう電機子コイルに予め定められた電流を供給して実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  10. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段を予め定められた定電流負荷で構成し,可動磁極部を偏倚する際に定電流負荷は電機子コイルに接続され,可動磁極部の前記偏倚に必要な力を小とするよう誘起電圧により予め定められた電流を流し,実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  11. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚規制手段を有し,界磁磁石の第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの面積が変わる範囲内に可動磁極部の相対偏倚量が規制される事を特徴とする回転電機システム
  12. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚位置を保持する手段を有し,間歇的に電機子を流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  13. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗及び主磁路の磁気抵抗が互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に設定されている事を特徴とする回転電機システム
  14. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,交流磁束が通り難いよう界磁磁石から磁性体突極に至る磁路は磁性体突極より渦電流損を大とする材質を含んで構成される事を特徴とする回転電機システム
  15. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子及び回転子側に配置された表面磁極部が径方向に対向して配置され,隣接する磁性体突極は互いに軸と平行の異なる方向に延伸されて延長部分は延長方向により第一延長部,第二延長部とされ,第一延長部,第二延長部を介して隣接する磁性体突極が互いに異極に磁化されるよう励磁部が回転子内に配置されている事を特徴とする回転電機システム
  16. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子及び回転子側に配置された表面磁極部が径方向に対向して配置され,電機子はさらに磁気ヨークを有し,隣接する磁性体突極は互いに軸方向の異なる方向に延伸されて延長部分は延長方向により第一延長部,第二延長部とされ,回転子両端の静止側に配置された二つの励磁部は第一延長部と磁気ヨーク間,第二延長部と磁気ヨーク間にそれぞれ磁束を供給し,隣接する磁性体突極が互いに異極に磁化される事を特徴とする回転電機システム
  17. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子及び回転子側に配置された表面磁極部が径方向に対向して配置され,隣接する磁性体突極は互いに軸方向と径方向の異なる方向に延伸されて延長部分は延長方向により第一延長部,第二延長部とされ,回転子端の静止側に配置された励磁部は第一延長部と第二延長部間を介して磁束を供給し,隣接する磁性体突極が互いに異極に磁化される事を特徴とする回転電機システム
  18. 請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とされ,発電電圧が所定の値より小の時は可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする回転電機システム
  19. 請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大として回転力が最適に制御される事を特徴とする回転電機システム
  20. 請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子を流れる磁束量を大とされるよう可動磁極部が偏倚されて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積が大とされて回転エネルギーが発電電力として取り出される事を特徴とする回転電機システム
  21. 電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する表面磁極部と,同種の極性に磁化されるべき磁性体突極グループ毎に一括して磁化する励磁部とからなり,表面磁極部と電機子とは軸を中心に相対的に回転可能である回転電機装置の界磁制御方法であって,励磁部は界磁磁石及び界磁磁石に対向する主磁極及びバイパス磁極を有し,界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極から主磁極に流入する磁束が磁性体突極及び電機子を介して界磁磁石の他方の磁極に環流する主磁路及び界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極からバイパス磁極に流入する磁束が主として励磁部内で界磁磁石の他方の磁極に環流するバイパス磁路を界磁磁石に並列に接続し,主磁極及びバイパス磁極のユニット或いは界磁磁石の何れかを可動磁極部として界磁磁石が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながら前記それぞれの面積を変えるよう構成し,主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整して可動磁極部を偏倚させて電機子を流れる磁束量を制御する。

  22. 請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。可動磁極部を偏倚させる際にバイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とが互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に磁気抵抗調整手段により調整する。
  23. 請求項21記載の磁束量制御方法に於いて,以下のステップを含む。電機子を流れる磁束量を増加する時に磁気抵抗調整手段は主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より小になるよう調整し,電機子を流れる磁束量を減少させる時に磁気抵抗調整手段は主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より大になるよう調整し,同時に可動磁極部を偏倚させる。
  24. 請求項21記載の磁束量制御方法に於いて,以下のステップを含む。さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力の検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと可動磁極部に加わる磁気力との関係を監視し,可動磁極部に加わる磁気力を小とする前記パラメータを最小磁気力条件パラメータとして設定する。
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