JP2009005445A - 界磁制御電磁回転システム - Google Patents

界磁制御電磁回転システム Download PDF

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義和 市山
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Abstract

【課題】
磁石励磁及び電流励磁を併用する回転電機システムを提供する。
【解決手段】
回転子の磁性体突極は鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで磁気的に独立に形成され,空隙内には空隙面と直交する方向の磁化を持つ永久磁石が隣接する磁性体突極を異極とするよう配置され,磁性体突極を磁化方向により2グループに分けてそれぞれのグループの磁性体突極間に回転軸を周回する界磁制御コイルにより界磁制御磁束を供給する構成として電機子コイルと鎖交する磁束量を制御する。磁石トルク,リラクタンストルクを利用する電動機に適用でき,発電能力を制御可能とする。移動体に使用した場合は回生制動を可能としてエネルギー効率を向上し,さらに定電圧発電機能により定電圧化回路,コンバータ等を不要として低コストなシステムを実現出来る。
【選択図】 図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ発電機,電動機を含む回転電機及び回転電機を含む電磁回転システム実現の方法に関し,特に界磁制御により出力を制御する回転電機及び電磁回転システム及び界磁制御方法に関する。
永久磁石界磁と電機子との相対的回転によって電磁的に生ずる電力を取り出す発電機或いは電機子に供給する電流によって生ずる磁界と永久磁石界磁との相互作用により永久磁石界磁と電機子との相対的回転を生ずる電動機等の回転電機はエネルギー効率に優れ,永久磁石の発展に伴い日常的に広く使われている。しかしそのような回転電機は、界磁磁石からの磁束が一定であるので電動機として用いられるにしても発電機として用いられるにしても広い回転速度範囲で常に最適の出力が得られる訳ではない。すなわち,電動機の場合は高速回転域では逆起電力(発電電圧)が高すぎる結果となって制御が困難となり,弱め界磁制御として界磁を弱める種々の手段が提案されている。最近は回転電機の制御技術及び磁極構造の改良が著しく,特に永久磁石を回転子内に埋め込み,磁石トルクとリラクタンストルクを利用するPRM(Permanent magnet Reluctance Motor)は従来に比して高効率,大出力の電動機を実現している(例えば,特許文献1から特許文献3)。また発電機の場合,広い回転速度に於いて発電電圧を所定のレベルとする為に専ら半導体による電子回路制御が用いられている。
しかしながら,電動機に於いてPRM及び制御技術により高出力化と回転速度範囲を拡大出来たが,ソフトの肥大化と安定制御の課題を持ち,更なる性能改善も求められている。発電機の場合には広範な回転速度範囲での定電圧化回路のコスト上の課題が大で,解決策を求められている。
磁石励磁を主とする回転電機装置の界磁制御手段として磁石励磁と電流励磁とを併用する装置が検討されており,磁石励磁及び電流励磁の回転子或いは磁極を併置した構造の提案,磁石励磁及び電流励磁を一体化した磁極構造で実現する提案がある。前者は界磁の制御範囲が限定され,電動機として用いる場合は回転駆動に困難を伴う。後者は実現可能な提案は数少なく,実現した例でも使用形態は限定されている。
以下では磁石励磁及び電流励磁を一体化した磁極構造の提案について述べる。磁石励磁及び電流励磁を一体化した磁極構造に於いて成功する為の必要条件は,(A)磁石励磁の磁束及び電流励磁の磁束を共存させて回転子と電機子間に供給出来ること,(B)電流励磁の磁束により磁石が損傷を受けないこと等であるが,これらの条件を満たす提案は数少ない。
特許文献4,特許文献5と趣旨を同じくする提案は回転子外周に永久磁石と磁性体磁極を交互に有する構造で(A),(B)の条件を満たすが,採用出来る回転電機装置は特殊な構成に限定される。また電動機として用いる場合,リラクタンストルクを利用し難い。さらに,特許文献5は電流励磁のレベルに応じて発電電圧の波形が変わる問題がある。
特許文献6,特許文献7と趣旨を同じくする提案は磁石励磁及び電流励磁の磁束の磁路を直列に接続して(B)の条件を満たすことが出来ない。すなわち,電流励磁による磁束が回転子外周に配置された界磁磁石を通過する構造であり,弱め界磁の場合に界磁磁石を減磁して損傷させる重大な問題がある。特許文献7はさらに界磁磁石の磁路が長く,磁石励磁のみの回転電機に比して界磁磁束を著しく減少させる。
特許文献8,特許文献9と趣旨を同じくする提案は磁石励磁及び電流励磁の磁束の磁路を並列に接続した例で(A)の条件を満たすことが出来ない。すなわち,電流励磁のクローポール構造の磁極間に磁石を配置した構造であり,磁石による磁束は電流励磁コイルを周回する磁気コアで短絡されるので磁石励磁は実効的に機能しない。
磁石励磁及び電流励磁の回転子或いは磁極を併置した構造も含め,何れの提案に於いてもリラクタンストルクを十分に利用出来る電動機構造とはならない。したがって,(A)及び(B)の条件を満たし,且つ多くの回転電機形態に適用可能な磁石励磁及び電流励磁を一体化した磁極構造を持つ回転電機システムが望まれている。
特開平09−023598「磁石埋込形モータ」 特開平11−027913「リラクタンス型回転電機」 特開2001−069735「永久磁石式リラクタンス型回転電機」 米国特許4,656,379「Hybrid excited generator with flux control of consequent-pole rotor」 米国特許5,767,601「Permanent magnet electric generator」 米国特許5,530,307「Flux controlled permanent magnet dynamo-electric machine」 特開2000−261995「高トルク型電動・発電機」 米国特許4,654,551「Permanent magnet excited alternator compressor with brushless DC control」 特開2007−6638「交流回転電機」
したがって,本発明の目的は,磁石トルク,リラクタンストルクを利用出来る広範な形態の回転電機装置に適用可能な磁石励磁及び電流励磁を一体化した磁極構造を持つ回転電機装置及び回転電機システム及び界磁制御方法を提供することである。
請求項1の発明による回転電機システムは,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムであって,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立に構成されて磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極のそれぞれは異なる軸方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持ち,回転軸外周に配置されて前記第一,第二延長部とそれぞれ界磁回転子両端で当接する界磁制御磁気ヨークと,界磁制御磁気ヨークに巻回された界磁制御磁気コイルとより構成された界磁制御部を有し,第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する磁路の磁気抵抗を大として永久磁石磁束の分流を制限する磁束分流制御手段を更に有し,回転電機システムの出力に応じて界磁制御コイルに供給する電流を変えて電機子と回転子間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する制御装置とを有する。
回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の回転電機システムは電動機,発電機の何れに用いる事も出来る。
鉄心の外周形状と外周に対向して鉄心内に配置された空隙とで磁気的に独立な磁性体突極を周方向に複数形成し,空隙内に永久磁石を配置し,隣接する磁性体突極の磁化が互いに逆となるよう永久磁石の磁化方向を設定して回転子を構成する。
磁性体突極の先端部は主として磁性体より構成され且つ磁気的に分離された構成としたので磁石トルクとリラクタンストルクを利用して高出力の回転電機システムとなる。
隣接する磁性体突極間には磁束を短絡する磁性体結合部分を持たないが,磁性体突極を機械的に強固に支持する為に磁性体突極間を可飽和磁性体で結合する事は可能である。可飽和磁性体の趣旨は飽和磁束密度が低い或いは断面積が小さな磁性体であって僅かな界磁磁束或いは界磁制御磁束を流す事によって容易に磁気飽和する磁性体部分である。磁気的に飽和した磁性体は比透磁率が空気とほぼ同じとなり,磁気的にその存在は無視出来る。
磁性体突極を磁化方向により2グループに分けてそれぞれのグループ毎に異なる軸方向に延長して第一延長部及び第二延長部とし,回転軸を周回する界磁制御磁気ヨーク及び界磁制御コイルで構成した界磁制御部を回転子内に有し,第一延長部と第二延長部間に互いに異なる方向の界磁制御磁束を供給する。界磁制御コイルへの電流はスリップリング或いは回転トランス等を介して供給される。
永久磁石は界磁磁束を発生すると共に磁性体突極内を流れる界磁制御磁束の分離及び流れる方向の制御に用いられる。界磁制御部が第一,第二磁性体突極間の永久磁石を逆励磁する方向の界磁制御磁束を第一,第二磁性体突極に供給して永久磁石の発する界磁磁束と共に磁性体突極と磁性体歯で構成する磁路に流して磁性体突極と磁性体歯で構成する磁路に流れる磁束を増加させる。永久磁石は磁束バリアとして方向の異なる界磁制御磁束の短絡を防ぐ役割を果たす。
界磁制御部が第一,第二磁性体突極間の永久磁石を順方向に励磁する方向の界磁制御磁束を第一,第二磁性体突極に供給して永久磁石を界磁制御磁束の磁路とし,永久磁石はほぼ磁気的に飽和して発生する磁束量の変化は比較的小さい事を利用して電機子の磁性体歯に出入する界磁磁束を減少させる。
磁性体突極に隣接して配置された永久磁石の磁束は磁気抵抗の小さい界磁制御磁束の磁路側に流れて電機子側に流れる界磁磁束を小とする。本発明では界磁制御磁束の磁路内に磁気抵抗を大として永久磁石磁束の分流を制限する磁束分流制御手段を設けて電機子の磁性体歯側に界磁磁束を集中させ,永久磁石励磁と電流励磁との併用を可能にしている。
永久磁石磁束の分流を制限する磁束分流制御手段に種々の方法がある。磁路内に磁気的な空隙を配置する,磁路の断面積を小にする,比透磁率の小さい磁性体で磁路を構成する等々である。
回転電機システムの出力最適化の一つに定電圧発電機システムがある。入力である回転速度変動に対応して界磁強度を実効的に制御し,発電電圧を所定の値に維持する。
回転電機システムの出力最適化の他の一つに電動機システムがある。高回転速度域で弱め界磁,低回転速度域で強め界磁として回転力及び回転速度を制御する電動機を含むシステムを実現する。
請求項2の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁束分流制御手段は第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する界磁制御磁束の磁路内に設けた磁気空隙とした事を特徴とする。
請求項3の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁束分流制御手段は第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する磁路内に磁路を構成する磁性体と可動磁性体片との間に構成した空隙とし,可動磁性体片を前記空隙が大となるよう付勢するスプリングを更に有し,界磁制御コイルに流れる電流量にほぼ比例して可動磁性体片を磁気的に吸引して前記磁気空隙を小とするよう界磁制御磁束の磁路内に配置された事を特徴とする。
界磁制御磁束の磁路内に磁気空隙を設け,界磁磁束の分流を制限して磁石励磁と電流励磁との併用を出来るが,同時に磁束分流制御手段が界磁制御磁束の発生効率を低下させる弊害もある。界磁制御磁束が所定以上の大きさでは界磁制御磁束の磁路内の磁気空隙を小として界磁制御磁束の発生効率を上げる構成とする。
請求項4の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極の少なくとも一部を等方性磁性体素材で構成したことを特徴とする。
界磁制御磁束は軸方向に流れるので珪素鋼板を軸方向に積層する構成では軸方向の磁気抵抗が大であるので等方性磁性体で構成することが望ましい。磁性体突極先端部には電機子コイルによる駆動磁束が加わるので電気抵抗が大の圧粉鉄芯,フェライト等の等方性磁性体が望ましいが,コスト或いは強度等の観点から困難である場合には電機子より離れた部分に電気抵抗の小さい等方性磁性体,例えばバルク状の鉄を配置する。
請求項5の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極以外の鉄心部分の軸方向磁気抵抗を大とするよう磁性体突極以外の鉄心部分を軸方向に不連続に構成した事を特徴とする。
磁性体突極以外の鉄心部分の軸方向磁気抵抗が小さいと第一磁性体突極及び第二磁性体突極を軸方向に流れる界磁制御磁束の漏洩短絡が容易になる。磁性体突極以外の鉄心部分の軸方向磁気抵抗を大とし,磁性体突極以外の鉄心部分には界磁制御磁束が軸方向に流れないように構成する。すなわち,回転子内の鉄心を珪素鋼板の積層体として構成する場合は軸方向の数カ所で磁性体突極以外の鉄心部分の欠落した珪素鋼板を積層し,珪素鋼板の不連続部を形成する。
請求項6の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体歯の先端間の磁気空隙部には磁性体歯と一体の可飽和磁性体結合部を配置したことを特徴とする。
電機子を構成する磁性体歯先端間の磁気空隙部に容易に磁気飽和する磁性体結合部を配置し,磁性体歯の支持構造を機械的に強化すると共に前記磁気空隙部からの漏洩磁界の時間及び空間的変化を緩やかとして磁性体歯の振動を抑制する。
可飽和磁性体結合部の趣旨は,電機子コイルに電流を流して発生する駆動磁束,或いは界磁磁束,或いは界磁制御磁束によって容易に磁気飽和する程度に断面積を小さく設定された磁性体部分である。可飽和磁性体結合部の具体化構造は径方向に短く設定した磁性体結合部を磁性体歯と一体の磁性体で構成する,或いは珪素鋼板を積層した磁性体歯構造に於いて磁性体結合部の珪素鋼板を間引いて実効的に断面積を小に構成する。
さらに可飽和磁性体結合部の形状寸法を軸方向に変えて磁気空隙部からの漏洩磁界の時間及び空間的変化をランダム化させる事も磁性体歯の振動抑制に効果がある。
請求項7の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の凸形状外周及び断面が略直線状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は径方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化とするよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする。
回転子を構成する鉄心外周が磁性体突極相当部で凸形状とし,断面が略直線状の鉄心内空隙で磁気的に独立の磁性体突極を周方向に複数個形成する。
請求項8の発明は,請求項7記載の回転電機システムに於いて,永久磁石の厚みは磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さを超える値に設定した事を特徴とする。
強め界磁の場合に永久磁石が界磁制御磁束の磁束バリアとして方向の異なる界磁制御磁束を短絡させる事は無いが,永久磁石の比透磁率はほぼ空気と同じであり,永久磁石の厚みが小さい場合には界磁制御磁束を漏洩させる可能性がある。二つの磁性体突極から磁性体歯を含む磁路は磁性体歯と磁性体突極間の空隙を往復し,また鉄心内に於いて二つの磁性体突極間には二つの永久磁石が介在する磁路となるので永久磁石の厚みを磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さを超える値に設定して永久磁石間の磁気抵抗を磁性体歯を経由する磁路の磁気抵抗より大として界磁制御磁束を磁性体歯側に集中させる。永久磁石面積と磁性体突極の磁性体歯との対向面積が同程度との前提での近似であり,望ましくは磁性体歯内の磁気抵抗をさらに考慮し,永久磁石部分での界磁制御漏洩を無視出来る程度とする為に永久磁石の厚みを磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さの10倍程度以上に設定する。
請求項9の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の外周及び断面が外周に対向する凹形状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は凹形状の空隙断面とほぼ直交する方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化となるよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする。
回転子の鉄心内に鉄心外周に向けて断面が凹形状の鉄心内空隙を有して磁気的に独立の磁性体突極を周方向に複数個形成する。凹形状の鉄心内空隙は円弧,多角形状等として実現する。
請求項10の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体突極間の1以上の永久磁石の厚みの和は磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さの2倍を超える値に設定した事を特徴とする。
請求項11の発明である回転電機システムは,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムであって,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立に構成されて磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極のそれぞれは異なる軸方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持ち,界磁制御部は二つの環状の界磁制御磁気ヨーク及び界磁制御磁気ヨークそれぞれに巻回された二つの界磁制御コイルとで構成され,二つの界磁制御磁気ヨークは円筒状磁気ヨーク両端にそれぞれ結合すると共にそれぞれが第一延長部及び第二延長部と空隙を介して軸方向に対向し,回転電機システムの出力に応じて界磁制御コイルに供給する電流を変えて電機子と回転子間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する制御装置とを有する。
界磁制御磁気ヨーク及び界磁制御コイルは回転軸を周回する円環形状として回転子両側の固定側に配置される。界磁制御部は第一延長部と円筒状磁気ヨーク間,第二延長部と円筒状磁気ヨーク間に界磁制御磁束を供給する。第一延長部と第二延長部には互いに異なる方向の界磁制御磁束が供給される事になる。
請求項12の発明は,請求項11記載の回転電機システムに於いて,第一延長部と界磁制御磁気ヨーク間の軸方向空隙長を第一延長部と界磁制御磁気ヨークとの対向面積で除した値及び第二延長部と界磁制御磁気ヨーク間の軸方向空隙長を第二延長部と界磁制御磁気ヨークとの対向面積で除した値との和は,磁性体突極と磁性体歯間の径方向空隙長を磁性体突極と磁性体歯との対向面積の総和で除した値の4倍より大とするよう設定して永久磁石磁束の分流を制限する磁束分流制御手段としたことを特徴とする。
界磁用永久磁石には永久磁石両側の磁性体突極と磁性体歯を結ぶ磁路及び永久磁石両側の磁性体突極からそれぞれ界磁制御磁気ヨークを経て円筒状磁気ヨークに至る磁路が並列に接続されている。磁路内の磁性体部分の磁気抵抗は小であるとし,近似的に永久磁石両側の磁性体突極からそれぞれ界磁制御磁気ヨークを経て円筒状磁気ヨークに至る磁路内に含む空隙部での磁気抵抗を永久磁石両側の磁性体突極と磁性体歯を結ぶ磁路内に含む空隙部での磁気抵抗より大として永久磁石の発する界磁磁束を電機子側に集中させる。永久磁石両側の磁性体突極と磁性体歯を結ぶ磁路は磁性体突極と磁性体歯間の空隙を往復し,界磁磁束の通る面積は磁性体突極と磁性体歯との対向面積の総和の半分であるので磁性体突極と磁性体歯間の空隙に於ける磁気抵抗は磁性体突極と磁性体歯間の径方向空隙長を磁性体突極と磁性体歯との対向面積の総和で除した値の4倍に比例するとしている。
請求項13の発明は,請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極の少なくとも一部を等方性磁性体素材で構成したことを特徴とする。
請求項14の発明は,請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極以外の鉄心部分の軸方向磁気抵抗を大とするよう磁性体突極以外の鉄心部分を軸方向に不連続に構成した事を特徴とする。
請求項15の発明は,請求項11記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体歯の先端間の磁気空隙部には磁性体歯と一体の可飽和磁性体結合部を配置したことを特徴とする。
請求項16の発明は,請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の凸形状外周及び断面が略直線状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は径方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化とするよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする。
請求項17の発明は,請求項16記載の回転電機システムに於いて,永久磁石の厚みは磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さを超える値に設定した事を特徴とする。
請求項18の発明は,請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の外周及び断面が外周に対向する凹形状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は凹形状の空隙断面とほぼ直交する方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化となるよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする。
請求項19の発明は,請求項18記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体突極間の1以上の永久磁石の厚みの和は磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さの2倍を超える値に設定した事を特徴とする。
請求項20の発明は,請求項1から19の何れかに記載の回転電機システムに於いて,回転力を入力とし,制御装置は発電電圧が所定の値になるよう,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は電機子と回転子間の界磁強度を小に,発電電圧が所定の値より小の時は界磁強度を大にする電流を界磁制御コイルに供給する事を特徴とする。
請求項21の発明は,請求項1から19の何れかに記載の回転電機システムに於いて,制御装置は,回転力を最適に制御するように高回転速度では電機子と回転子間の界磁強度を小に,低回転速度では界磁強度を大にする予め定めた関係に従って界磁制御コイルに供給する電流を制御し,回転速度を減少させる場合には電機子と回転子間の界磁強度を大とする電流を界磁制御コイルに供給するよう構成され,回転エネルギーを発電電力として取り出す事を特徴とする。
請求項22の発明である回転電機システムは,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムであって,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の凸形状外周及び断面が略直線状の鉄心内空隙で形成されて磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極のそれぞれは異なる軸方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持ち,回転軸外周に配置されて前記第一,第二延長部とそれぞれ界磁回転子両端で当接する界磁制御磁気ヨークと,界磁制御磁気ヨークに巻回された界磁制御磁気コイルとより構成された界磁制御部を有し,第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する磁路の磁気抵抗を大として永久磁石磁束の分流を制限する磁気空隙を更に有し,回転電機システムの出力に応じて界磁制御コイルに供給する電流を変えて電機子と回転子間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する制御装置とを有する。
請求項23の発明は,回転電機システムが,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムに於いて,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立で且つ磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の永久磁石を逆励磁する方向の界磁制御磁束を第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に供給して永久磁石の発する界磁磁束に界磁制御磁束を重畳させて磁性体突極と磁性体歯で構成する磁路に流れる磁束を増加させ,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の永久磁石を順方向に励磁する方向の界磁制御磁束を第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に供給して永久磁石を界磁制御磁束の磁路とし,永久磁石の発する界磁磁束の流れる磁路を変えて磁性体突極と磁性体歯で構成する磁路に流れる磁束を減少させる事により磁性体突極と磁性体歯間の磁束を制御する方法である。
本発明による回転電機システムでは,鉄心の外周形状と外周に対向して鉄心内に配置された空隙とで磁気的に独立な磁性体突極を周方向に複数形成し,空隙内に永久磁石を配置し,隣接する磁性体突極の磁化が互いに逆となるよう永久磁石の磁化方向を設定して回転子を構成する。磁性体突極を電機子に近い端部の磁化方向により2グループに分けてそれぞれのグループに属する磁性体突極間に,回転軸を周回する界磁制御コイルにより界磁制御磁束を供給する構成として電機子コイルと鎖交する磁束量を制御する。
また回転子の隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立に構成すると共に磁性体突極間の磁路に界磁用永久磁石を配置して界磁磁束磁路と界磁制御磁束磁路とを共存させ,磁石励磁及び電流励磁を一体化した磁極構造の必要条件(B)を満足させている。
さらに界磁制御磁束の磁路内に磁気抵抗を大にする磁束分流制御手段を配置して永久磁石による界磁磁束の界磁制御磁束磁路側への分流を制御し,磁石励磁及び電流励磁を一体化した磁極構造の必要条件(A)を満足させている。
上記回転電機システムは磁石トルクを主として利用する,或いは更にリラクタンストルクをも利用する高出力の電動機等従来の回転電機装置に適用出来,界磁制御コイルにより回転子及び電機子間の界磁強度を弱め或いは強めに制御する事で実用出来る回転速度範囲を広げる事が出来る。
更に,上記回転電機システムは界磁制御コイルにより回転子及び電機子間の界磁強度を制御して発電機能を改善し,また発電電圧を所定の値に制御できる。
以下,図面に示した実施例を参照して,本発明の回転電機システムを詳細に説明する。
本発明の第一実施例による回転電機システムを図1から図8を用いて説明する。第一の実施例は回転子を電機子の内側に配置した回転電機システムである。図1は回転電機の縦断面図,図2は電機子と回転子との構成を示す断面図,図3は回転子の構成を示す斜視図,図4は界磁磁束の流れる方向を示す回転子の断面図,図5は界磁磁束の流れる方向を示す永久磁石近傍の断面図,図6は永久磁石と界磁制御磁束の流れる方向の関係を示す断面図,図7は回転子の縦断面図,図8は回転電機システムのブロック図をそれぞれ示す。
図1は永久磁石励磁及び電流励磁を併用する界磁部を回転子とする回転電機を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延びる複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。回転子は磁性体歯14と径方向に対向する磁極部17,更に磁極部17を構成する磁性体突極を先端部の磁化方向により2グループに分けてそれぞれの磁性体突極グループの延長部である第一延長部18,第二延長部19,回転軸11外周の界磁制御磁気ヨーク1c,回転子の支持体1a,界磁制御磁気ヨーク1cに巻回された界磁制御コイル1b,第二延長部19に隣接する磁束分流制御手段1dとから構成されている。第一延長部18,第二延長部19は界磁制御磁気ヨーク1cの両端に結合し,第一延長部18,第二延長部19,界磁制御磁気ヨーク1cが回転軸11に固定され,さらに第一延長部18,第二延長部19に支持体1aが固定されて磁極部17を支持している。番号1eはスリップリングを,番号1fはブラシをそれぞれ示し,ブラシ1f,スリップリング1eは回転子内に配置された界磁制御コイル1bへの電流供給に用いられる。番号1gは回転子に固定された冷却ファンを示す。
図2は図1のA−A’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延び,周方向に空隙を有する複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。第一の実施例では9個の電機子コイルより構成され,それらは三相に結線されている。電機子の磁性体歯14先端には径方向に短い可飽和磁性体結合部28を隣接する磁性体歯14先端部間に設けてある。磁性体歯14及び可飽和磁性体結合部28は珪素鋼板を型で打ち抜いて積層し,電機子コイル16を巻回した後,円筒状磁気ヨーク15と組み合わせて電機子としている。
可飽和磁性体結合部28は磁性体歯14と一体として磁性体歯14の支持強度を向上させ,磁性体歯14の不要な振動を抑制させる。可飽和磁性体結合部28の径方向の長さは短く設定して容易に磁気的に飽和する形状としたので電機子コイル16が発生させる磁束或いは界磁磁束によって容易に飽和し,その場合に電機子コイル16が発生させる磁束及び界磁磁束の短絡を僅かな量とする。電機子コイル16に電流が供給されると,時間と共に可飽和磁性体結合部28は磁気的に飽和させられて周辺に磁束を漏洩させるが,磁気飽和した可飽和磁性体結合部28に現れる実効的な磁気空隙の境界はクリアではないので漏洩する磁束の分布は緩やかとなり,可飽和磁性体結合部28はこの点でも磁性体歯14に加わる力の時間変化を緩やかにして振動抑制に寄与する。
図2に於いて,回転子の磁極部は磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,軸方向に伸び,外周形状が凸の磁性体突極21,22が周方向に複数個配列され,磁性体突極はさらに磁性体突極に対向する鉄心内の平面状空隙で区分され,その空隙には永久磁石23,24が配列されている。永久磁石23,24は径方向の磁化方向を持ち,隣接する永久磁石23,24は互いに磁化方向を反転させて配置されているので隣接する磁性体突極21,22は互いに逆極性に磁化されている。永久磁石23,24内の矢印は磁化の方向を示す。
磁性体突極21,22は同じ磁性体板から作られている。すなわち,珪素鋼板を型で永久磁石23,24を収納するスロット部分を打ち抜き,磁性体突極21,22,さらに磁性体突極21,22間を結ぶ幅の小さい磁性体結合部25を残して形成された珪素鋼板を積層して構成されている。永久磁石23,24を収納する空隙で区分され,磁性体突極21,22と磁気的に分離された鉄心の内周側の領域は磁気ヨーク27として磁性体突極21,22を機械的に強固に支持すると共に永久磁石23,24の磁路の一部となっている。さらに回転子の軸方向中間で磁気ヨーク27部分を切除した珪素鋼板を積層し,磁気ヨーク27の軸方向の磁気抵抗を大に構成している。番号26は永久磁石23,24両端部に残した空隙を示す。
回転軸11の外周には円筒状の界磁制御磁気ヨーク1cが配置され,界磁制御磁気ヨーク1cには界磁制御コイル1bが巻回されている。支持体1aは非磁性素材で構成されて磁性体突極21,22及び永久磁石23,24等の磁極部17を支持している。図1に示した磁極部17は磁性体突極21,22と,永久磁石23,24と,磁性体結合部25と,磁気空隙26,磁気ヨーク27とに対応している。
永久磁石23,24を収納するスロットの両端は幅の狭い磁性体結合部25で繋がっているが,組み立て後には永久磁石23,24の磁束により磁気飽和し,磁性体突極21と磁性体突極22と磁気ヨーク27間は互いに磁気的に独立である。積層された珪素鋼板のスロット部分に永久磁石23,24を挿入して固定し,磁気空隙26には非磁性体である熱硬化性樹脂を充填している。
アルミニウムで構成した支持体1a,及び第一延長部18,第二延長部19は,上記の磁性体突極21,22を主とする回転子の磁極部17を支持する。支持体1aは非磁性のステンレススチール,或いは樹脂で構成する事も出来る。
図3は回転子の構成を示す斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極21,22等を有する中心部と磁性体突極の第一,第二延長部18,19と磁束分流制御手段1dとを離して示してある。番号11’は回転軸11を通す穴を示す。第一延長部18は鉄を鍛造して磁性体突極21の延長部分となる磁性体突部31を有して界磁制御磁気ヨーク1cと結合する環状磁性体部33と一体として構成されている。非磁性体部35は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第二延長部19は鉄を鍛造して磁性体突極22の延長部分となる磁性体突部を有する環状磁性体板32と界磁制御磁気ヨーク1cの延長部である円筒状磁気コア34とを有して構成されている。磁束分流制御手段1dは第二延長部19外周の環状磁性体板32及び円筒状磁気コア34間の磁気抵抗を制御する構造を有し,詳細は図7を用いて説明する。第一,第二延長部18,19は磁性を有するステンレススチールを切削或いは鍛造で磁性体突部31と環状磁性体部33,環状磁性体板32,円筒状磁気コア34を形成し,非磁性体部35をレジン,樹脂で形成してもよい。
界磁制御部はブラシ1f,スリップリング1e,回転軸11を周回する界磁制御磁気ヨーク1c及び界磁制御コイル1bとより構成されている。界磁制御コイル1bはブラシ1f,スリップリング1eより電流を供給されて界磁制御磁束を発生させ,円筒状の界磁制御磁気ヨーク1cに結合された第一延長部18の環状磁性体部33,磁性体突部31を介して磁性体突極21に,及び第二延長部19の円筒状磁気コア34,磁束分流制御手段1d,第二延長部19の環状磁性体板32を介して磁性体突極22に界磁制御磁束を供給する。
円筒状の界磁制御磁気ヨーク1cは軸方向に磁気抵抗が小さくなるよう等方性の磁性体素材である鉄で構成してある。他にフェライト,センダスト等の等方性の磁性体素材で構成してもよい。
界磁制御磁束の磁路は界磁制御磁気ヨーク1c,第一延長部18,磁性体突極21,磁性体歯14,磁性体突極22,第二延長部19,磁束分流制御手段1dであるが,磁性体突極21,22と一体として形成される磁気ヨーク27にも界磁制御磁束は誘起され,磁性体突極21,22間を短絡させる可能性がある。本実施例では軸方向の中間で磁気ヨーク27部分を切除して非磁性体を挟み磁気ヨーク27の軸方向磁気抵抗を大として磁気ヨーク27内を軸方向に界磁制御磁束が流れ難く構成している。
図4は回転子の断面図と主な界磁磁束の流れる方向を示している。但し,回転子が単独で存在する場合の界磁磁束の流れる方向であって,回転電機として組み込まれて外周側に電機子が存在する場合は,電機子の磁性体歯14は磁性体で構成されるので界磁磁束の分布は電機子側に偏り,さらに電機子と回転子の相対位置に応じて界磁磁束の流れる方向は変化する。同図に於いて,番号41,42は界磁磁束を示し,矢印は界磁磁束の流れる方向を示す。磁性体突極21に配置された永久磁石23は磁性体突極21をS極とし,隣接する磁性体突極22に配置された永久磁石24は磁性体突極22をN極としているので界磁磁束41,42の流れる方向は周方向に互いに逆となっている。界磁磁束41は永久磁石23,磁気ヨーク27,永久磁石24,磁性体突極22,磁性体歯14,磁性体突極21を通っている。
図5は磁性体突極21,22の構成と界磁磁束41の流れる方向とを拡大して示す断面図である。永久磁石23,24は磁束短絡を防ぐ為に両端に磁気空隙26を残すようスロット内に固定されている。スロット両端の磁性体結合部25にも界磁磁束の一部51が流れ,磁性体結合部25を磁気的に飽和している。磁性体結合部25は径方向に短く設定してあるので界磁制御磁束の方向に拘わらず磁気的な飽和状態を維持し,飽和状態にある磁性体の比透磁率は空気とほぼ同じになるので隣接する磁性体突極21,22及び磁気ヨーク27間を磁気的に短絡することはない。
回転子の磁極部は主に珪素鋼板の積層体で構成され,珪素鋼板に形成されたスロットを磁性体突極21,22を磁気的に独立させる磁気空隙とし,永久磁石を埋め込んでいるので機械的には強固に形成されている。磁性体突極21,22は珪素鋼板で占められて周方向に磁束が通りやすく,また磁性体突極21,22それぞれは外周に凸形状としたので磁性体突極21,22間は周方向に磁束が通り難く,リラクタンストルクを利用する電動機に適した構造である。
図6(a),図6(b)は磁性体突極21,22周辺の界磁磁束及び界磁制御磁束の流れる方向を示して磁性体突極側面に配置した永久磁石の磁化方向と界磁制御磁束の流れる方向との関係を説明する。図6(a)は界磁制御磁束が界磁磁束41を強める場合,図6(b)は界磁制御磁束が界磁磁束41を弱める場合をそれぞれ示す。
図6(a)に示す強め界磁の場合,第二延長部19側から磁性体突極22側へ界磁制御磁束が流れ,磁性体突極21側から第一延長部18側に界磁制御磁束が流れる場合である。界磁制御磁束の方向は永久磁石23,24を逆励磁する方向となるので番号61,62で示すように外周の磁性体歯14側に流れて界磁磁束41を強めることになる。
この場合,永久磁石23,24は界磁制御磁束の磁束バリアーとして働き,磁性体突極21及び磁性体突極22を軸方向に流れる界磁制御磁束を磁気的に短絡させることはない。永久磁石23,24は逆励磁されることになるが,永久磁石23,24は番号41,42で示すように界磁磁束の磁路を常に有するので減磁される懸念は無い。
永久磁石23,24を介して強め界磁の界磁制御磁束が短絡される事はないが,永久磁石の比透磁率はほぼ空気と同じであり,永久磁石23,24の厚みが小の場合はその間を界磁制御磁束が漏洩する可能性がある。回転電機の仕様により異なるが,例えば磁性体歯14と磁性体突極21,22間の径方向空隙を0.3から0.5ミリメートル程度に設定する場合,磁性体突極21,22間の磁路中の永久磁石23,24の厚みの和を径方向間隙の数倍となる5ミリメートル以上に設定して界磁制御磁束の漏洩を無視出来る程度とする。したがって永久磁石23,24それぞれの厚みは2.5ミリメートル以上である。ただ,上記の永久磁石23,24の厚み設定は望ましい実施例であって上記の数値より小の厚みの永久磁石で性能が得られない訳ではない。回転子の軸長,界磁強度等個々の回転機の仕様に従って最適な値に設定する。
図6(b)では第一延長部18側から磁性体突極21側へ界磁制御磁束が流れ,磁性体突極22側から第二延長部19側に界磁制御磁束が流れる場合である。永久磁石23,24の磁化方向と界磁制御磁束の流れる方向は同じとなるので永久磁石23,24が発生する磁束は第一延長部18,第二延長部19,界磁制御磁気ヨーク1c等で構成する磁路側に分流する。番号63は第一延長部18,第二延長部19,界磁制御磁気ヨーク1c側に分流する永久磁石23,24の分流磁束を示す。永久磁石23,24は磁気的にほぼ飽和しているので発生する総磁束量の変化は小さく,この分流磁束63量にほぼ比例して界磁磁束41は減少する。番号64,65は界磁磁束41の減少分を磁性体歯14と磁性体突極21,22間を流れる等価的な界磁制御磁束として示している。
図7は回転子の縦断面を拡大して示す図であり,磁束分流制御手段1dの構成及び動作を説明する。界磁磁束の磁路は界磁磁束41を例に挙げれば,永久磁石23,磁気ヨーク27,永久磁石24,磁性体突極22,磁性体歯14,磁性体突極21である。しかし,磁性体突極21,22は第一延長部18,第二延長部19,界磁制御磁気ヨーク1c等で構成する磁路にも並列に接続されているのでかなりの界磁磁束が界磁制御磁気ヨーク1c側の磁路にも分流する。界磁制御磁気ヨーク1cを通る磁路が全て磁性体で形成された場合には,電機子の磁性体歯14と磁性体突極21,22間には空隙が有るので界磁制御磁気ヨーク1c側への分流磁束が支配的となって磁性体歯14側への界磁磁束41,42は微小となる。
本発明では第一延長部18,第二延長部19,界磁制御磁気ヨーク1c等で形成する磁路中に磁気抵抗を大とする磁束分流制御手段を配置して永久磁石23,24が発生する界磁磁束を電機子14側に集中させている。磁束分流制御手段は磁路の一部の断面積を小とする,磁路の一部の素材を比透磁率の小さい磁性体で形成する,磁路の一部に空隙を設ける等種々の方法で実現出来る。しかし,上記磁束分流制御手段は同時に界磁制御磁束の発生効率を低下させる。第一の実施例では磁束分流制御手段として界磁制御磁気ヨーク1cを含む磁路中に空隙を設け,界磁制御コイル1bに供給される電流に比例して界磁制御磁束が大になるとその空隙を小として界磁制御磁束の発生効率を向上させる構造を採用している。
磁束分流制御手段1dは図7に縦断面図を示すように第二延長部19内の環状磁性体板32,円筒状磁気コア34と軸方向に空隙を挟んで対向する可動環状鉄板71と可動環状鉄板71を前記空隙を大にする方向に付勢するスプリング72,非磁性のステンレススチールで構成されたケース73とから構成されている。
界磁制御磁束が無い場合は永久磁石23,24が発生する界磁磁束が存在してもスプリング72の力が勝って環状磁性体板32及び円筒状磁気コア34と可動環状鉄板71間の空隙を大にするようスプリング72を設定する。界磁制御磁束が大の場合は可動環状鉄板71をスプリング72に抗して磁気的に吸引して環状磁性体板32及び円筒状磁気コア34と可動環状鉄板71間の空隙を小にし,界磁制御磁束が小の場合はスプリング72の力が勝って環状磁性体板32及び円筒状磁気コア34と可動環状鉄板71間の空隙を大にする。可動環状鉄板71を磁気的に吸引する力は界磁制御磁束の方向によらず,絶対量に比例して強め或いは弱め界磁の双方の場合に動作する。
界磁制御コイル1bが発生させる界磁制御磁束が小の場合,環状磁性体板32及び円筒状磁気コア34と可動環状鉄板71間の空隙は大で有るので永久磁石23,24の発生する磁束は磁性体歯14側に集中し,磁石励磁が支配的となる。界磁制御磁束が大の場合,環状磁性体板32及び円筒状磁気コア34と可動環状鉄板71間の空隙は小で有るので永久磁石23,24の発生する磁束は第一延長部18,第二延長部19,界磁制御磁気ヨーク1c等で形成する磁路で短絡されるが,界磁制御磁束発生の効率を大として電流励磁が支配的となり,電機子コイル16と鎖交する磁束量の制御範囲を拡大出来る。
図1から図7までを用いて構成を説明した回転電機装置に於いて,回転軸11が外力により回転させられると,永久磁石23,24による界磁磁束は磁性体突極21,22から磁性体歯14に順次流入し,電機子コイル16と鎖交し,電機子コイル16は三相に結線されているので三相の電力を出力する。
同時にブラシ1f,スリップリング1eを介して界磁制御コイル1bに電流を供給して界磁制御磁束を発生させると,界磁制御磁束は回転に応じて磁性体突極21,22から対向する磁性体歯14に順次流入して電機子コイル16と鎖交する。電機子コイル16には永久磁石23,24による界磁磁束及び界磁制御コイル1bによる界磁制御磁束が鎖交し,双方の鎖交磁束の和に対応する電力を出力する。
上記の回転電機装置を電動機とする場合,回転子の磁性体突極21,22の位置に応じて電機子コイル16に駆動電流を供給することでリラクタンストルクと磁石トルクとを利用して高効率で回転駆動させる事が出来る。更に第一の実施例では界磁制御コイル1bに供給する電流により電機子コイル16と鎖交する磁束量を変える事が出来,高速回転域での弱め界磁,低速回転域での強め界磁等の界磁制御を実現して常に最適な回転条件とする事が出来る。
図8は弱め及び強め界磁制御を行う回転電機システムのブロック図を示す。回転電機81は入力82,出力83を有するとし,制御装置85は回転電機81の出力83及び回転子の位置を含む状態信号84を入力として制御信号86を介して回転電機81を制御する。回転電機81が発電機として用いられるのであれば,入力82は回転力であり,出力83は発電電力となる。回転電機81が電動機として用いられるのであれば,入力82は電機子コイル16に供給される電流であり,出力83は回転トルク,回転速度となる。更に制御装置85は電動機を駆動する駆動回路を含む。
以下に回転電機81を発電機として用い,界磁制御を行って定電圧発電機システムとする例を説明する。発電機81は入力82を回転力として出力83を発電出力とし,制御装置85は出力83である発電電圧を所定の電圧と比較し,発電電圧が所定の値より大であれば制御信号86により回転子の磁性体突極21,22と電機子の磁性体歯14間の界磁強度を小とさせる電流を界磁制御コイル1bに供給し,発電電圧が所定の値より小であれば制御信号86により回転子の磁性体突極21,22と電機子の磁性体歯14間の界磁強度を大とさせる電流を界磁制御コイル1bに供給し,出力83である発電電圧を所定の値に制御する。
更に回転電機81を電動機として用いて弱め或いは強め界磁制御を行って回転力制御を行う電動機システムの場合,入力82を電機子コイル16に供給する電流として,出力83を回転力,回転速度とする。制御装置85は出力83である回転速度が所定の値より大となり弱め界磁とする時には制御信号86により回転子の磁性体突極21,22と電機子の磁性体歯14間の界磁強度を小とさせる電流を界磁制御コイル1bに供給し,回転速度が所定の値より小となり強め界磁とする時には回転子の磁性体突極21,22と電機子の磁性体歯14間の界磁強度を大とさせる電流を界磁制御コイル1bに供給する。
以上,図1から図8までを用いて説明したように第一実施例では強め界磁とする場合に界磁制御磁束の流れる方向は界磁用永久磁石の磁化と逆であり界磁用永久磁石は界磁制御磁束の磁性体突極間の短絡を妨げる磁束バリアとして界磁制御磁束を磁性体突極内を伝搬させるが,磁性体突極及び磁性体歯より構成される界磁磁束の磁路は常に存在するので界磁用永久磁石が減磁されることは無い。また弱め界磁とする場合には界磁用永久磁石には磁化方向と同じ方向の磁界を加えて界磁用永久磁石の磁束を界磁制御磁気ヨーク側に分流させ,界磁用永久磁石を損傷させることなく界磁制御を可能とする。
本発明による第二実施例を図9,図10を用いて説明する。第二の実施例は第一の実施例に於いて,磁束分流制御手段の構造を変えたのみでその他の構成は同じである。以下では第一の実施例と異なっている部分に集中して説明する。図9は回転電機の縦断面図,図10は回転子の構成を示す斜視図である。
図9は第二の実施例である回転電機を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延びる複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。回転子は磁性体歯14と径方向に対向する磁極部17,更に磁極部17を構成する磁性体突極を先端部の磁化方向により2グループに分けてそれぞれの磁性体突極グループの延長部である第一延長部18,第二延長部91,回転軸11外周の界磁制御磁気ヨーク1c,回転子の支持体1a,界磁制御磁気ヨーク1cに巻回された界磁制御コイル1bとから構成されている。
第一延長部18は界磁制御磁気ヨーク1cと結合され,第二延長部91は界磁制御磁気ヨーク1cと分流制御空隙92を介して配置されている。番号1eはスリップリングを,番号1fはブラシをそれぞれ示し,ブラシ1f,スリップリング1eは回転子内に配置された界磁制御コイル1bへの電流供給に用いられる。番号1gは回転子に固定された冷却ファンを示す。
電機子及び界磁回転子の磁極構成は図2に示した第一の実施例と同じであるので説明は省略する。
図10は回転子の構成を示す斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極21,22等を有する中心部と磁性体突極の第一延長部18,第二延長部91とを離して示してある。番号11’は回転軸11を通す穴を示す。第一延長部18は鉄を鍛造して磁性体突極21の延長部分となる磁性体突部31を有して界磁制御磁気ヨーク1cと結合する環状磁性体部33と一体として構成されている。非磁性体部35は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第二延長部91は鉄を鍛造して磁性体突極22の延長部分となる磁性体突部101と環状磁性体板102と一体として構成されている。番号103は非磁性体部を示す。界磁制御磁気ヨーク1cは図9で示したように分流制御空隙92として非磁性体を挟んで環状磁性体板102に対向配置されている。
界磁制御部は第一の実施例と同じくブラシ1f,スリップリング1e,回転軸11を周回する界磁制御磁気ヨーク1c及び界磁制御コイル1bとより構成されている。界磁制御コイル1bはブラシ1f,スリップリング1eより電流を供給されて界磁制御磁束を発生させ,円筒状の界磁制御磁気ヨーク1cに結合された第一延長部18の環状磁性体部33,磁性体突部31を介して磁性体突極21に,及び界磁制御磁気ヨーク1cから分流制御空隙92,第二延長部91の環状磁性体板102,磁性体突部101を介して磁性体突極22に界磁制御磁束を供給している。
界磁磁束の磁路は図4に示した界磁磁束41を例に挙げれば,永久磁石23,磁気ヨーク27,永久磁石24,磁性体突極22,磁性体歯14,磁性体突極21である。しかし,磁性体突極21,22は第一延長部18,第二延長部91,界磁制御磁気ヨーク1c等で構成する磁路にも並列に接続されているのでかなりの界磁磁束が界磁制御磁気ヨーク1c側の磁路にも分流する。界磁制御磁気ヨーク1cを通る磁路が全て磁性体で形成された場合には,電機子の磁性体歯14と磁性体突極21,22間には空隙が有るので界磁制御磁気ヨーク1c側への分流磁束が支配的となって磁性体歯14側への界磁磁束41は微小となる。
本実施例では第一延長部18,第二延長部91,界磁制御磁気ヨーク1c等で形成する磁路中に磁気抵抗を大とする分流制御空隙92を配置して永久磁石23,24が発生する界磁磁束を電機子14側に集中させている。分流制御空隙92の長さを大にすれば,永久磁石23,24が発生する界磁磁束を電機子14側に集中させる事が出来るが,界磁制御コイル1bが発生させる界磁制御磁束の生成効率が落ちる。分流制御空隙92で管理すべきパラメータは分流制御空隙92の空隙長及び断面積であり,永久磁石23,24が発生する界磁磁束を磁性体歯14側及び界磁制御磁気ヨーク1c側に分割する比率,界磁制御磁束の発生効率等を勘案して決定する。
分流制御空隙92のパラメータを適切に決める事により,常時は永久磁石23,24が発生する界磁磁束により回転電機を動作させ,界磁磁束に過不足が有る場合に界磁制御コイル1bに電流を供給して弱め界磁或いは強め界磁として回転電機が最適な条件で動作出来るよう制御する。
以上に図9,図10を用いて説明したように第二の実施例と第一の実施例とは界磁制御部の構成が異なるのみで電機子及び界磁回転子の磁極部構造は同一であり,第二実施例で示した回転電機は第一実施例と同様に強め或いは弱め界磁制御を行う電動機システム等を実現出来る。
本発明による第三実施例を図11から図14を用いて説明する。第三の実施例は第一の実施例に於いて,磁性体突極の構造を変えたのみでその他の構成は同じである。以下では第一の実施例と異なっている部分に集中して説明する。図11は電機子と回転子との構成を示す断面図,図12は界磁磁束の流れる方向を示す回転子の断面図,図13は界磁磁束の流れる方向を示す永久磁石近傍の断面図,図14は界磁磁束と界磁制御磁束の流れる方向を示す永久磁石近傍の断面図である。
図11は電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。磁性体突極を除く回転子の構成及び電機子の構成は図2に示した第一の実施例とほぼ同じであり,機能形状の同じ部材には同一の番号を付している。同一部分の詳細な説明は省略する。
図11に示した回転子の磁極部構造は図2に示した第一の実施例の構造とは異なる。回転子は磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,軸方向に伸び,周方向に複数個の磁性体突極は鉄心内に設けられた外周に向かって凹の円弧状空隙で区分されて形成され,その空隙には永久磁石113,114が配列されている。永久磁石113,114は空隙面と直交する方向の磁化方向を持ち,隣接する永久磁石113,114は互いに磁化方向を反転させて配置されているので隣接する磁性体突極111,112は互いに逆極性に磁化されている。永久磁石113,114内の矢印は磁化の方向を示す。更に磁性体突極111,112を先端部の磁化方向により2グループに分け,磁性体突極111を含むグループの磁性体突極は第一延長部18とし,磁性体突極112を含むグループの磁性体突極は第二延長部19として軸方向の異なる方向に延長している。回転子の主要部は隣接する磁性体突極111,112と,磁性体突極間の永久磁石113,114と,磁性体突極を構成する磁性体間の磁性体結合部115と,磁気空隙116と,磁性体突極111,112中の等方性磁性体117,磁気空隙116より内周側の磁気ヨーク118とから構成され,図1に図示した回転子の磁極部17に対応している。
磁性体突極111,112は同じ磁性体板から作られている。すなわち,珪素鋼板を型で永久磁石113,114を収納するスロット部分を打ち抜き,磁性体突極111,112,さらに磁性体突極111,112間を結ぶ幅の小さい磁性体結合部115を残して形成された珪素鋼板を積層して構成されている。永久磁石113,114を収納する空隙で区分され,磁性体突極111,112と磁気的に分離された鉄心の内周側の領域は磁気ヨーク118として磁性体突極111,112を機械的に強固に支持すると共に永久磁石113,114の磁路の一部となっている。さらに回転子の軸方向中間で磁気ヨーク118部分を切除した珪素鋼板を積層し,磁気ヨーク118の軸方向の磁気抵抗を大に構成している。番号116は永久磁石113,114両端部に残した空隙部を示す。
等方性磁性体117は磁性体突極111,112を形成する珪素鋼板に形成したスロットに飽和磁束密度の高い鉄板を埋め込んで形成している。磁性体突極111,112を形成する珪素鋼板は軸方向に積層するので軸方向の磁気抵抗は高いので等方性磁性体117として鉄板を内径側に配置して軸方向の磁気抵抗を減少させ,界磁制御磁束の軸方向への通過を容易にしている。
図12は回転子の断面図と界磁磁束の流れる方向を示している。但し,回転子が単独で存在する場合の界磁磁束の流れる方向であって,回転電機として組み込まれて外周側に電機子が存在する場合は,電機子の磁性体歯14は磁性体で構成されるので界磁磁束の分布は電機子側に偏り,さらに電機子と回転子の相対位置に応じて磁束の分布は変化する。同図に於いて,番号121,122は界磁磁束を示し,矢印が界磁磁束の流れる方向を示す。矢印は磁束が永久磁石のN極から出てS極に入ると規定して磁束の流れるする方向を示している。磁性体突極111,112の内周側に配置された永久磁石113,114は空隙面に直交する方向の磁化を持ち,隣接する永久磁石113,114毎に磁化方向は反転されているので永久磁石113,114から漏洩する磁束は番号121,122で示すように隣り合う磁性体突極111,112で先端部の磁化方向を反転させている。
図13は永久磁石113,114近傍に於ける界磁磁束の流れる方向を示す。界磁磁束は番号121で示す他に番号131で示すように磁性体結合部115を通る界磁磁束が存在し,磁性体結合部115を磁気的に飽和させる。磁性体結合部115は径方向に短く設定してあるので界磁制御磁束の方向に拘わらず磁気的な飽和状態を維持し,飽和状態にある磁性体の比透磁率は空気とほぼ同じになるので隣接する磁性体突極111,112間を磁気的に短絡することはない。磁性体突極111,112間の磁路中の永久磁石113,114の厚みの和は磁性体歯14と磁性体突極111,112間の空隙より十分に大として界磁制御磁束の漏洩量を少なく抑える。
回転子の磁極部は主に珪素鋼板の積層体で構成され,珪素鋼板に形成されたスロットを磁束バリアとなる磁気空隙とし,永久磁石113,114を埋め込んでいるので機械的には強固に形成されている。磁性体突極111,112は珪素鋼板で占められて周方向に磁束が通りやすく,磁性体突極111,112間の永久磁石113,114は周方向に磁束の通りにくい磁束バリアとしてリラクタンストルクを利用する電動機に適した構造である。
図14は界磁制御磁束の流れる方向と永久磁石113,114の磁化方向との関係を示す為の図で隣接する磁性体突極111,112及び永久磁石113,114の断面図を示す。図14(a)は界磁制御磁束が界磁磁束121を強める場合,図14(b)は界磁制御磁束が界磁磁束121を弱める場合を示す。
図14(a)では界磁制御磁気ヨーク1c側から磁性体突極112側へ界磁制御磁束が流れ,磁性体突極111側から界磁制御磁気ヨーク1c側に界磁制御磁束が流れる場合である。界磁制御磁束の方向は永久磁石113,114を逆励磁する方向であるので番号141,142で示すように電機子側に流れて界磁磁束121を強めることになる。永久磁石113,114は界磁制御磁束141,142を分離する役割を果たしている。永久磁石113,114は逆励磁されることになるが,永久磁石113,114は界磁磁束121で示す磁路を常に有するので減磁される懸念は無い。
永久磁石113,114を介して強め界磁の界磁制御磁束が短絡される事はないが,永久磁石113,114の比透磁率はほぼ空気と同じであり,永久磁石113,114の厚みが小の場合はその間を界磁制御磁束が漏洩する可能性がある。回転電機の仕様によって異なるが,例えば磁性体歯14と磁性体突極111,112間の径方向空隙は0.3ないし0.5ミリメートル程度に設定されるので永久磁石113,114の厚みの和を5ミリメートル程度に設定して界磁制御磁束の漏洩を無視出来る程度とする。ただ,上記の永久磁石113,114の厚み設定は望ましい実施例であって上記の数値より小の厚みの永久磁石で性能が得られない訳ではない。
図13を参照して説明したように磁気的に飽和させられている磁性体結合部115に界磁制御磁束が流れようとするが,界磁制御磁束は界磁磁束131と同じ方向で更に磁気的な飽和を深める方向であり,磁性体結合部115が界磁制御磁束を短絡させることはない。
図14(b)では界磁制御磁気ヨーク1c側から磁性体突極111側へ界磁制御磁束が流れ,磁性体突極112側から界磁制御磁気ヨーク1c側に界磁制御磁束が流れる場合である。永久磁石113,114の磁化方向と界磁制御磁束の流れる方向は同じとなるので永久磁石113,114が発生する磁束は界磁制御磁気ヨーク1c側に分流する。番号143は界磁制御磁気ヨーク1c側に分流する分流磁束を示し,永久磁石113,114は磁気的にほぼ飽和しているので発生する総磁束量の変化は小さく,この分流磁束143量にほぼ比例して界磁磁束121は減少する。番号144,145は界磁磁束121の減少分を界磁制御磁束として等価的に示している。
以上に図11から図14を用いて説明したように第三の実施例と第一の実施例とは磁極部構造が異なるのみで界磁制御部の構成は同一であり,第三実施例で示した回転電機は第一実施例と同様に図8に示したブロック図にしたがって,定電圧発電機システム,強め或いは弱め界磁制御を行う電動機システム等を実現出来る。
第一,第三実施例に於いて,磁性体突極及び磁性体突極周辺の形状,永久磁石形状等が異なるが,界磁磁束及び界磁制御磁束に関して磁気回路的にほぼ等価である。両者の形状,寸法等の差はリラクタンストルクを如何に効率よく利用出来る形状とするか,或いは回転子を如何に製造しやすい形状とするかの差に帰結する。
本発明による第四実施例を図15から図18を用いて説明する。第一の実施例では界磁制御部を回転子内に配置したが,第四の実施例は界磁制御部を回転子の両端のハウジング側に配置している。第四の実施例は第一の実施例に於いて界磁制御部の構成を変えたのみでその他の構成は同じである。以下では第一の実施例と異なっている部分に集中して説明する。図15は第四の実施例の回転電機の縦断面図,図16は電機子と回転子との構成を示す断面図,図17は回転子と界磁制御部を示す斜視図,図18は界磁制御磁束の流れる方向を示す回転子と界磁制御部を示す斜視図である。
図15は永久磁石励磁及び電流励磁を併用する界磁部を回転子とする回転電機を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,該円筒状磁気ヨーク15から径方向に延びる複数の磁性体歯14と,該磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。回転子は磁極部17が回転軸11と一体的に回転するよう支持体157を介して回転軸11に固着されている。磁極部17は珪素鋼板の積層体で構成され,図16に示すように6個の磁性体突極から成る。更に磁性体突極を先端部の磁化方向により2グループに分けてそれぞれの磁性体突極グループの第一延長部151及び第二延長部152が形成されている。界磁制御部はハウジング12に固定され,回転軸11を周回する界磁制御磁気ヨーク153,154と,界磁制御コイル155,156とで構成されている。界磁制御磁気ヨーク153,154の内周端はそれぞれ回転子の第一延長部151及び第二延長部152と空隙を挟んで対向し,界磁制御磁気ヨーク153,154の外周端は円筒状磁気ヨーク15にそれぞれ結合されている。番号158は空洞部分を示す。
図16は図15のB−B’に沿う電機子及び回転子の断面図を示す。電機子の構成及び回転子の磁極部の構成は図2に示した第一の実施例とほぼ同じであり,機能形状の同じ部材には同一の番号を付している。同一部分の詳細な説明は省略する。
図2に示す第一の実施例との主な相違点は番号157で示す回転子の支持体,番号158で示す空洞部分である。図15を用いて説明したように界磁制御部を構成する界磁制御磁気ヨーク及び界磁制御コイルは回転子両端のハウジング側に配置されている。界磁制御部の構成は更に図15,図17を用いて説明される。
図17は第四実施例の回転電機システムに於ける回転子及び界磁制御部の構成を示す斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極21,22等を有する中心部と第一延長部151,第二延長部152を離して示し,ハウジング側に配置された界磁制御部を構成する界磁制御磁気ヨーク153,154,界磁制御コイル155を示している。
第一延長部151は磁性体突極21の延長部分となる磁性体突部171と環状磁性体部172とを有し,環状磁性体部172は界磁制御磁気ヨーク153の内周部と空隙を介して対向している。第二延長部152は磁性体突極22の延長部分となる磁性体突部173と環状磁性体部174とを有し,環状磁性体部174は界磁制御磁気ヨーク154の内周部と空隙を介して対向している。番号175は非磁性体部分を示す。
第一延長部151の磁性体突部171及び環状磁性体部172,第二延長部152の磁性体突部173及び環状磁性体部174は一体として鉄板から鍛造で形成し,非磁性体部分175は磁性を持たないステンレススチールで構成して組み立てられている。
界磁制御部は回転子両端のハウジング12側に配置され,回転軸11を周回する界磁制御磁気ヨーク153,154と界磁制御コイル155,156とで構成されている。界磁制御磁気ヨーク153,154の内周部は回転子の第一延長部151の環状磁性体部172,第二延長部152の環状磁性体部174とそれぞれ空隙を挟んで対向し,界磁制御磁気ヨーク153,154の外周部は円筒状磁気ヨーク15の両端にそれぞれ結合されている。界磁制御コイル155,156は図15,17に示されるよう界磁制御磁気ヨーク153,154に巻回されている。すなわち,界磁制御磁気コイル155は界磁制御磁気ヨーク153,磁性体歯14,磁性体突極21,第一延長部151で構成する磁路と鎖交し,界磁制御磁気コイル156は界磁制御磁気ヨーク154,磁性体歯14,磁性体突極22,第二延長部152で構成する磁路と鎖交している。
図18は界磁制御部が発生させる界磁制御磁束の流れる方向を示す図で図17に示した回転子と界磁制御部を示す斜視図に界磁制御磁束181及び界磁制御磁束182の流れる方向を示している。界磁制御磁束181は界磁制御磁気ヨーク153の外周部から円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14,磁性体突極21,第一延長部151の磁性体突部171及び環状磁性体部172,界磁制御磁気ヨーク153の内周部へと流れ,界磁制御磁束182は界磁制御磁気ヨーク154の内周部から第二延長部152の環状磁性体部174及び磁性体突部173,磁性体突極22,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,界磁制御磁気ヨーク154の外周部へと流れる事が示されている。それぞれの矢印が磁束の流れる方向を示す。
磁性体突極21,22を含む磁極部の構成は図2に示した第一の実施例と同じであり,弱め界磁及び強め界磁を実現する場合に永久磁石23,24が界磁制御磁束の流れる方向を制御する役割も同じであり,再度の説明は省略する。
磁性体突極21,22から磁性体歯14に出入りする界磁制御磁束の流れる方向が互いに逆方向となるよう界磁制御コイル155,156は直列接続されている。界磁制御コイル155,156によって生成される界磁制御磁束181,182は隣接する磁性体突極21,22内を互いに逆方向に流れるが,永久磁石23,24は常に磁性体突極及び電機子の磁性歯等で構成する磁路を有しているので永久磁石23,24が減磁されることは無い。
永久磁石23,24には磁性体突極21,磁性体突極22,磁性体歯14を含む磁路と,磁性体突極21,第一延長部151,界磁制御磁気ヨーク153,円筒状磁気ヨーク15,界磁制御磁気ヨーク154,第二延長部152,磁性体突極22を含む磁路とが並列に接続されているので,永久磁石23,24が発生する磁束は双方の磁路に流れる。それぞれの磁路の磁気抵抗は磁性体部分より空隙部分が支配的であるとして近似的に界磁制御部の空隙に於ける磁気抵抗を磁性体歯と磁性体突極間の空隙に於ける磁気抵抗より大に設定している。すなわち,界磁制御磁気ヨーク153と第一延長部151との間の空隙,界磁制御磁気ヨーク154と第二延長部152との間の空隙を分流制御空隙とし,界磁制御部の一部として分流制御空隙の長さ及び対向面積を規制して界磁磁束を磁性体歯側に集中させる磁束分流制御手段としている。
空隙部に於ける磁気抵抗は空隙長を空隙部で対向する面積で除した値に比例するので界磁制御磁気ヨーク153と第一延長部151間の軸方向空隙長を界磁制御磁気ヨーク153と第一延長部151との対向面積で除した値を第一分流制御空隙磁気抵抗とし,界磁制御磁気ヨーク154と第二延長部152間の軸方向空隙長を界磁制御磁気ヨーク154と第二延長部152との対向面積で除した値を第二分流制御空隙磁気抵抗とし,磁性体突極21,22と磁性体歯14間の空隙長を磁性体突極21,22が磁性体歯14と対向する面積の総和で除した値の4倍を界磁空隙磁気抵抗として第一分流制御空隙磁気抵抗と第二分流制御空隙磁気抵抗との和が界磁空隙磁気抵抗より大になるよう分流制御空隙の長さ及び対向面積を設定し,永久磁石23,24が発生する磁束が界磁制御磁気ヨーク153,154を含む磁路への分流量を小としている。上記の界磁空隙磁気抵抗は磁性体突極21,22それぞれが磁性体歯14と対向する面積は等しく,界磁磁束は磁性体突極21,22と磁性体歯14間の空隙の空隙を往復するとして規定している。
以上に図15から図18を用いて説明したように第四実施例は界磁制御磁束を発生させ,磁性体突極に供給する構成が第一実施例と異なるが,磁性体突極を先端部の磁化方向により隣接する磁性体突極21,22で代表する2グループに分けて磁性体突極21,22それぞれに方向の異なる界磁制御磁束を供給する趣旨は同一であり,回転電機を発電機とする動作,或いは電動機とする動作は同じであるので詳細な説明は省略する。
本発明による第五実施例を図19を用いて説明する。第五実施例は第一実施例の回転電機装置をハイブリッドカーの発電機兼電動機として用いた回転電機システムである。
同図に於いて,番号191は第一の実施例で示した回転電機装置を示し,回転電機装置191はハイブリッドカーのエンジン192とベルトで回転力を伝達するよう結合された回転軸199を持ち,回転軸199の回転力はトランスミッション193を介して駆動軸19aに伝えられる。制御装置194は上位制御装置からの指令19bを受け,電動機駆動回路195を介して回転電機装置191を電動機として駆動し,界磁制御回路196を介して回転電機装置191の界磁強度を制御する。更に制御装置194は上位制御装置からの指令19bを受け,電機子コイル16の引き出し線19cに現れる発電電力を整流回路197を介して整流し,バッテリー198を充電する構成としている。
制御装置194は指令19bの指示により電動機駆動回路195を介して回転電機装置191を電動機として駆動し,エンジン192の回転をアシスト或いは単独で回転軸199を回転駆動させ,トランスミッション193,駆動軸19aを介してハイブリッドカーの駆動力に寄与する。起動直後の低回転速度域で磁石トルクを強化する必要がある場合は制御装置194が界磁制御回路196を介して電機子の磁性体歯14,回転子の磁性体突極21,22間の界磁強度を大とする電流を界磁制御コイル1bに供給し,高回転速度域で弱め界磁とする場合には制御装置194が界磁制御回路196を介して電機子の磁性体歯14,回転子の磁性体突極21,22間の界磁強度を小とする電流を界磁制御コイル1bに供給する。
エンジン192の回転力のみでハイブリッドカーを駆動できる時は,指令19bにより電機子コイル16の引き出し線19cに現れる発電電力を整流回路197を介して直流に変え,バッテリー198を充電させる。その場合に制御装置194はバッテリー198を充電する最適な電圧になるよう界磁制御回路196を介して界磁制御コイル1bに供給する電流を制御する。バッテリー198に充電する場合に回転電機装置を定電圧発電機とする事で発電電圧を変換するコンバータは不要である。また,更にバッテリー198が電圧の種類の異なる複数種のバッテリーで構成される場合でも切り替え回路を付け加えてそれぞれのバッテリーに最適の発電電圧に制御する事で高価なコンバータを不要に出来る。
第五実施例はまたハイブリッドカーの制動時に於けるエネルギー回収システムとしても有効に機能する。指令19bを通じて回生制動の指示を受けると,制御装置194は電機子の磁性体歯14,回転子の磁性体突極21,22間の界磁強度を大とする電流を界磁制御コイル1bに供給し,発電電力でバッテリー198に充電させる。複数のバッテリー198を有する場合には最も充電余力のあるバッテリー198の充電電圧に合わせた発電電圧が得られるよう界磁制御回路196を介して界磁制御コイル1bに供給する電流を制御して電機子の磁性体歯14,回転子磁性体突極21,22間の界磁強度を制御する。回転電機装置191は駆動用電動機として用いられる体格であるので回生制動用の発電機として十分な制動力を発生できる。
以上,実施例を用いて詳細に構成及び動作を説明したように,本発明の趣旨は磁石励磁と電流励磁の併用を可能にして回転子と電機子間の界磁強度を容易に制御可能とする回転電機システムを提供する事である。提案した回転電機システムで界磁制御磁束は回転子に配置された界磁用永久磁石の特性を損なうこと無く,電機子と回転子間の界磁強度を制御出来,磁石トルク及びリラクタンストルクを利用する広範な回転電機システムに適用可能でこれらの回転電機システムを最適の条件で運用することを可能にした。
磁石トルク及びリラクタンストルクを利用する従来の電動機では弱め界磁をソフト制御により実現しているが,本発明による回転電機では同じソフト制御により弱め界磁を実現出来,さらに界磁制御コイルへの電流制御を併用して弱め界磁制御範囲の拡大及び強め界磁制御を実現出来る。また,従来のソフトによる弱め界磁制御では電機子部での渦電流損による発熱を招き,各種パラメータの監視も含めてソフトの肥大化と不安定性は大きな問題であったが,本発明の趣旨により界磁制御を界磁制御コイルへの電流制御のみとすればソフトの肥大化及び不安定性の問題は解決出来る。また,さらにコストの高い回転位置検出器を排してセンサレス駆動導入を容易に出来る利点がある。
上記実施例は、本発明の趣旨,目的の範囲内で種々の改善,変更は可能であり,上記の実施例が発明の範囲を限定する訳では無い。例えば,上記実施例では6個の磁性体突極,9個の磁性体歯と電機子コイルの構成を採用したが,これは一例を示したのみで種々の組み合わせが可能である。また,上記実施例で電機子コイルはそれぞれの磁性体歯に集中的に巻回されていたが,電機子コイルが複数の磁性体歯にまたがって巻回されてもよく,目的とする電動機,発電機の仕様に従って多様な構成が可能である。
本発明による回転電機システムは従来の磁石トルク,リラクタンストルクを利用する回転電機の構造を変えて回転子と電機子間の界磁強度を容易に制御可能とした。同回転電機システムは従来の回転電機と同様に高出力の電動機として利用できる事に加えて実用出来る回転速度範囲を拡大し,更に発電機能を改善し,またその発電機能を制御できる。
移動体の発電機兼電動機システムに用いて,駆動用電動機としては従来以上の回転速度範囲での使用が期待できる他に制動時のエネルギー回収を可能として総合的なエネルギー消費量を改善できる。
更に定電圧発電機システムとして広い回転速度範囲で発電電圧を一定に制御できるので定電圧制御回路を不要とし,更に電圧の異なる複数種のバッテリー充電にもコンバータを不要に出来,全体のシステムコストを低減出来る。
本発明の第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図1に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図1に示された回転電機の回転子と界磁制御部を示す斜視図である。 図1に示された回転電機の界磁磁束の流れる方向を示す回転子の断面図である。 図1に示された回転電機の界磁磁束の流れる方向を示す永久磁石板近傍の断面図である。 図1に示された回転電機の永久磁石板と界磁制御磁束の流れる方向の関係を示す断面図である。 図1に示された回転電機の回転子を示す縦断面図である。 界磁制御を行う回転電機システムのブロック図である。 本発明の第二の実施例による回転電機の縦断面図である。 図9に示された回転電機の回転子と界磁制御部を示す斜視図である。 本発明の第三の実施例による回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図11に示された回転電機の界磁磁束の流れる方向を示す回転子の断面図である。 図11に示された回転電機の界磁磁束の流れる方向を示す永久磁石近傍の断面図である。 図11に示された回転電機の界磁磁束と界磁制御磁束の流れる方向を示す永久磁石近傍の断面図である。 本発明の第四の実施例による回転電機の縦断面図である。 図15に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図15に示された回転電機の回転子と界磁制御部を示す斜視図である。 図15に示された回転電機に於いて界磁制御磁束の流れる方向を示す回転子と界磁制御部を示す斜視図である。 本発明の第五の実施例による回転電機システムのブロック図である。
符号の説明
11・・・回転軸, 12・・・ハウジング,
13・・・ベアリング, 14・・・磁性体歯,
15・・・円筒状磁気ヨーク, 16・・・電機子コイル,
17・・・磁極部, 18・・・第一延長部,
19・・・第二延長部, 1a・・・支持体,
1b・・・界磁制御コイル, 1c・・・界磁制御磁気ヨーク,
1d・・・磁束分流制御手段, 1e・・・スリップリング,
1f・・・ブラシ, 1g・・・冷却ファン
21,22・・磁性体突極, 23,24・・永久磁石板,
25・・・磁性体結合部, 26・・・磁気空隙,
27・・・磁気ヨーク, 28・・・可飽和磁性体結合部
31・・・磁性体突部, 32・・・環状磁性体板,
33・・・環状磁性体部, 34・・・円筒状磁気コア,
35・・・非磁性体部
41,42・・界磁磁束
51・・・界磁磁束
61,62,64,65・・界磁制御磁束,
63・・・分流磁束
71・・・可動環状鉄板, 72・・・スプリング,
73・・・ケース
81・・・回転電機, 82・・・入力,
83・・・出力, 84・・・状態信号,
85・・・制御装置, 86・・・制御信号
91・・・第二延長部, 92・・・分流制御空隙
101・・・磁性体突部, 102・・・環状磁性体部,
103・・・非磁性体部
111,112・・磁性体突極, 113,114・・永久磁石,
115・・・磁性体結合部, 116・・・磁気空隙,
117・・・等方性磁性体, 118・・・磁気ヨーク
121,122・・界磁磁束
131・・・界磁磁束
141,142,144,145・・界磁制御磁束,
143・・・分流磁束
151・・・第一延長部, 152・・・第二延長部,
153,154・・界磁制御磁気ヨーク, 155,156・・界磁制御コイル,
157・・・支持体, 158・・・空洞部分
171,173・・磁性体突部, 172,174・・環状磁性体部,
175・・・非磁性体部分
181,182・・界磁制御磁束
191・・・第一の実施例で示した回転電機装置,
192・・・ハイブリッドカーのエンジン,
193・・・トランスミッション, 194・・・制御装置,
195・・・電動機駆動回路, 196・・・界磁制御回路,
197・・・整流回路, 198・・・バッテリー,
199・・・回転軸, 19a・・・駆動軸,
19b・・・上位制御装置からの指令, 19c・・・電機子コイルの引き出し線

Claims (23)

  1. 回転電機システムは,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムであって,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立に構成されて磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極のそれぞれは異なる軸方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持ち,回転軸外周に配置されて前記第一,第二延長部とそれぞれ界磁回転子両端で当接する界磁制御磁気ヨークと,界磁制御磁気ヨークに巻回された界磁制御磁気コイルとより構成された界磁制御部を有し,第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する磁路の磁気抵抗を大として永久磁石磁束の分流を制限する磁束分流制御手段を更に有し,回転電機システムの出力に応じて界磁制御コイルに供給する電流を変えて電機子と回転子間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する制御装置とを有する回転電機システム
  2. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁束分流制御手段は第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する界磁制御磁束の磁路内に設けた磁気空隙とした事を特徴とする回転電機システム
  3. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁束分流制御手段は第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する磁路内に磁路を構成する磁性体と可動磁性体片との間に構成した空隙とし,可動磁性体片を前記空隙が大となるよう付勢するスプリングを更に有し,界磁制御コイルに流れる電流量にほぼ比例して可動磁性体片を磁気的に吸引して前記磁気空隙を小とするよう界磁制御磁束の磁路内に配置された事を特徴とする回転電機システム
  4. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極の少なくとも一部を等方性磁性体素材で構成したことを特徴とする回転電機システム
  5. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極以外の鉄心部分の軸方向磁気抵抗を大とするよう磁性体突極以外の鉄心部分を軸方向に不連続に構成した事を特徴とする回転電機システム
  6. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体歯の先端間の磁気空隙部には磁性体歯と一体の可飽和磁性体結合部を配置したことを特徴とする回転電機システム
  7. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の凸形状外周及び断面が略直線状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は径方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化とするよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする回転電機システム
  8. 請求項7記載の回転電機システムに於いて,永久磁石の厚みは磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さを超える値に設定した事を特徴とする回転電機システム
  9. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の外周及び断面が外周に対向する凹形状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は凹形状の空隙断面とほぼ直交する方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化となるよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする回転電機システム
  10. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体突極間の1以上の永久磁石の厚みの和は磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さの2倍を超える値に設定した事を特徴とする回転電機システム
  11. 回転電機システムは,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムであって,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立に構成されて磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極のそれぞれは異なる軸方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持ち,界磁制御部は二つの環状の界磁制御磁気ヨーク及び界磁制御磁気ヨークそれぞれに巻回された二つの界磁制御コイルとで構成され,二つの界磁制御磁気ヨークは円筒状磁気ヨーク両端にそれぞれ結合すると共にそれぞれが第一延長部及び第二延長部と空隙を介して軸方向に対向し,回転電機システムの出力に応じて界磁制御コイルに供給する電流を変えて電機子と回転子間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する制御装置とを有する回転電機システム
  12. 請求項11記載の回転電機システムに於いて,第一延長部と界磁制御磁気ヨーク間の軸方向空隙長を第一延長部と界磁制御磁気ヨークとの対向面積で除した値及び第二延長部と界磁制御磁気ヨーク間の軸方向空隙長を第二延長部と界磁制御磁気ヨークとの対向面積で除した値との和は,磁性体突極と磁性体歯間の径方向空隙長を磁性体突極と磁性体歯との対向面積の総和で除した値の4倍より大とするよう設定して永久磁石磁束の分流を制限する磁束分流制御手段としたことを特徴とする回転電機システム
  13. 請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極の少なくとも一部を等方性磁性体素材で構成したことを特徴とする回転電機システム
  14. 請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極以外の鉄心部分の軸方向磁気抵抗を大とするよう磁性体突極以外の鉄心部分を軸方向に不連続に構成した事を特徴とする回転電機システム
  15. 請求項11記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体歯の先端間の磁気空隙部には磁性体歯と一体の可飽和磁性体結合部を配置したことを特徴とする回転電機システム
  16. 請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の凸形状外周及び断面が略直線状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は径方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化とするよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする回転電機システム
  17. 請求項16記載の回転電機システムに於いて,永久磁石の厚みは磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さを超える値に設定した事を特徴とする回転電機システム
  18. 請求項11記載の回転電機システムに於いて,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の外周及び断面が外周に対向する凹形状の鉄心内空隙で形成され,空隙に配置された永久磁石は凹形状の空隙断面とほぼ直交する方向の磁化を持ち,隣接する磁性体突極は互いに逆極性の磁化となるよう隣接する永久磁石は交互に磁化方向が反転して配置されている事を特徴とする回転電機システム
  19. 請求項18記載の回転電機システムに於いて,隣接する磁性体突極間の1以上の永久磁石の厚みの和は磁性体歯と磁性体突極間の空隙長さの2倍を超える値に設定した事を特徴とする回転電機システム
  20. 請求項1から19の何れかに記載の回転電機システムに於いて,回転力を入力とし,制御装置は発電電圧が所定の値になるよう,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は電機子と回転子間の界磁強度を小に,発電電圧が所定の値より小の時は界磁強度を大にする電流を界磁制御コイルに供給する事を特徴とする回転電機システム
  21. 請求項1から19の何れかに記載の回転電機システムに於いて,制御装置は,回転力を最適に制御するように高回転速度では電機子と回転子間の界磁強度を小に,低回転速度では界磁強度を大にする予め定めた関係に従って界磁制御コイルに供給する電流を制御し,回転速度を減少させる場合には電機子と回転子間の界磁強度を大とする電流を界磁制御コイルに供給するよう構成され,回転エネルギーを発電電力として取り出す事を特徴とする回転電機システム
  22. 回転電機システムは,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムであって,磁気的に独立な磁性体突極が鉄心の凸形状外周及び断面が略直線状の鉄心内空隙で形成されて磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極のそれぞれは異なる軸方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持ち,回転軸外周に配置されて前記第一,第二延長部とそれぞれ界磁回転子両端で当接する界磁制御磁気ヨークと,界磁制御磁気ヨークに巻回された界磁制御磁気コイルとより構成された界磁制御部を有し,第一延長部及び第二延長部と界磁制御磁気ヨークとで構成する磁路の磁気抵抗を大として永久磁石磁束の分流を制限する磁気空隙を更に有し,回転電機システムの出力に応じて界磁制御コイルに供給する電流を変えて電機子と回転子間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する制御装置とを有する回転電機システム
  23. 回転電機システムは,軸と同心に径方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された界磁回転子及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は静止側に配置固定された円筒状磁気ヨークと円筒状磁気ヨークから径方向に伸び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから成り,界磁回転子の磁極構造は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定された回転電機システムに於いて,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立で且つ磁化方向が互いに異なる第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に並び,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の永久磁石を逆励磁する方向の界磁制御磁束を第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に供給して永久磁石の発する界磁磁束に界磁制御磁束を重畳させて磁性体突極と磁性体歯で構成する磁路に流れる磁束を増加させ,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の永久磁石を順方向に励磁する方向の界磁制御磁束を第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に供給して永久磁石を界磁制御磁束の磁路とし,永久磁石の発する界磁磁束の流れる磁路を変えて磁性体突極と磁性体歯で構成する磁路に流れる磁束を減少させる事により磁性体突極と磁性体歯間の磁束を制御する方法
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