JP4150765B1 - 磁束分流制御回転電機システム - Google Patents

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Abstract

【課題】
磁石励磁回転電機に於いて,エネルギー効率の良い磁束分流制御回転電機及び界磁制御方法を提供する。
【解決手段】
磁性体突極,磁性体歯間に一括して界磁磁束を供給する磁石励磁の励磁磁極部を二層に分けて相対的偏倚可能に構成し,相対偏倚に応じて界磁磁石からの磁束を電機子側を通る主磁路,及び電機子を通らないバイパス磁路に分流させて主磁路の界磁磁束を変える構造である。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗をほぼ同じに構成する事で上記相対偏倚を妨げる磁気力を発生させない回転電機システムを実現している。
【選択図】 図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ回転電機システムに関し,特に弱め界磁制御により出力を制御する回転電機及び回転電機システム及び界磁制御方法に関する。
永久磁石界磁と電機子との相対的回転によって電磁的に生ずる電力を取り出す発電機或いは電機子に供給する電流によって生ずる磁界と永久磁石界磁との相互作用により永久磁石界磁と電機子との相対的回転を生ずる電動機等の回転電機はエネルギー効率に優れ,永久磁石の発展に伴い日常的に広く使われている。しかしそのような回転電機は、界磁からの磁束が一定であるので電動機として用いられるにしても発電機として用いられるにしても広い回転速度範囲で常に最適の出力が得られる訳ではない。すなわち,電動機の場合は高速回転域では逆起電力(発電電圧)が高すぎる結果となって制御が困難となり,弱め界磁制御として界磁強度を弱める種々の手段が提案されている。また発電機の場合,広い回転速度範囲に於いて発電電圧を所定のレベルとする為に専ら界磁電流制御による定電圧発電或いは半導体による発電電圧の定電圧化回路が用いられている。
電動機では進み位相電流による弱め界磁制御が広く採用されているが,回転に直接寄与しない電流を流す為にエネルギー損失を大とする。永久磁石励磁に制御用電流励磁を併用する場合は回転電機の構造を複雑にし,その上にエネルギー損失を伴う。さらに発電機の場合,大電力での定電圧化電子回路のコスト負担が大であるとの問題があった。
したがって,回転電機装置の構成を工夫して電子回路制御を最小限に留めて装置全体としてのコストを低減する方策は以前から求められ,種々の提案が為されてきた。
上記提案例に界磁回転子を二分し,二つの界磁回転子を周方向に相対偏倚させて実効的に界磁強度を制御する方法がある(特許文献1)。前記相対偏倚は機構的に保持出来るので制御の為のエネルギー損失は少ない長所はあるが,電機子に流入する界磁強度の絶対値は変わらないので高速回転域で渦電流損が大きい欠点がある。
他の提案例に界磁磁石を含む磁気回路の磁気抵抗を変えて磁束を制御する方法がある(特許文献2,3)。更に他の提案例として界磁磁石を短絡制御する方法がある(特許文献4,5,6)。回転電機では磁石トルク及びリラクタンストルクを利用して回転力を出力するが,上記提案はこれら力の源泉を直接に制御しようとする無謀な試みであって,機構の偏倚制御に大きな力を要すると共に部材の振動或いはハンチング等を招来して精密な制御は難しい。さらに大出力のアクチュエータ,過分な機械強度を伴う制御機構等を必要として実現には困難を伴っている。
米国特許3713015「ALTERNATING CURRENT GENERATOR HAVING A TWIN PM ROTOR WHICH IS ADJUSTABLE IN RESPONSE TO OUTPUT VOLTAGE」 特開2004−320864「同期回転電機及びその制御方法」 特開2004−328944「磁束制御型発電機」 米国特許4885493「Output voltage control apparatus of a permanent magnet alternator」 特開2004−357357「永久磁石形モータ及び洗濯機」 特開2006−246662「永久磁石式回転機」
したがって,本発明が解決しようとする課題は,機構偏倚による弱め界磁方法を適用した回転電機装置に於いて,小さな力にも拘わらず高速で応答制御可能な,弱め界磁制御方法,弱め界磁を実現する回転電機および回転電機システムを提供する事である。
本発明による回転電機システムは,磁性体突極と電機子間に界磁磁束を一括して供給し,界磁磁束を機構偏倚により変える事が出来る。その際,機構偏倚に支障となる磁気力を発生させる事は無い。その具体的な構造は以下の通りである。
請求項1の発明による回転電機システムは,軸と同心に径方向に或いは軸方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された表面磁極部及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を少なくとも有して磁性体突極が永久磁石励磁されている回転電機システムであって,表面磁極部の磁性体突極は励磁される磁化の種類により1或いは2のグループに集合され,集合された磁性体突極のグループをそれぞれ一括して磁石励磁する励磁磁極部を有し,励磁磁極部に於いて,界磁磁石の磁極であるN極,S極の何れか一方を第一界磁磁極,他方を第二界磁磁極として第一界磁磁極が主磁極及びバイパス磁極と対向し,主磁極は流入した界磁磁束が磁性体突極及び電機子を介して第二界磁磁極に環流する主磁路に接続され,バイパス磁極は流入した界磁磁束が主に励磁磁極部内で第二界磁磁極に環流するバイパス磁路に接続されてバイパス磁路の磁気抵抗は主磁路の磁気抵抗とほぼ等しくなるように設定され,第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながらそれぞれの面積比を変えるように主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間は相対偏倚可能に構成され,さらに主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石の何れか一方を偏倚磁極部として偏倚磁極部を他方に対して相対的に偏倚させる偏倚制御手段を有し,回転電機システムの出力に応じて偏倚制御手段を駆動して電機子と磁性体突極間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する事を特徴とする。


励磁磁極部は,トロイダルコイルにより磁性体突極を一括して励磁する界磁電流励磁構造に替わる存在であり,磁性体突極を磁化の種類により1或いは2のグループに集合させて界磁磁束を一括して供給し,且つその界磁磁束量を機構偏倚により変化させる。
励磁磁極部の界磁磁石は磁性体突極及び電機子を介して環流する主磁路及びバイパス磁極を介して主に励磁磁極部内で環流するバイパス磁路を有する。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗をほぼ等しく設定し,界磁磁石からの界磁磁束を主磁路及びバイパス磁路に分流させ,機構偏倚によりその分流比を変えて主磁路の界磁磁束量を制御する。その際,界磁磁石側から見てそれぞれの磁路に於ける磁気抵抗は変わらないので界磁磁石から流れる界磁磁束の総量は一定であり,磁束分流の為の機構偏倚を妨げる磁気力は現れず,主磁路の界磁制御を円滑に実施出来る。
偏倚制御手段には種々の手段が適用可能である。例えば,半固定機構として予め手動で設定する機構手段,遠心力を利用して偏倚磁極部を偏倚駆動するガバナ機構,界磁部が回転子側にある場合に回転子内にアクチュエータを有する機構手段或いは回転子外からの外力により偏倚磁極部を偏倚させる機構手段等がある。
回転電機には,界磁部が回転し電機子が静止する構造及びその逆の構造,さらに円筒状の電機子と界磁部が径方向に空隙を介して対向する構造,或いは略円盤状の電機子と界磁部が軸方向に空隙を介して対向する構造等のいずれの構造も存在する。本発明は永久磁石励磁の界磁部を持つ上記何れの構造の回転電機にも適用される。
また,回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の回転電機システムは電動機,発電機の何れにも適用される。
回転電機システムの出力最適化の一つに定電圧発電機システムがある。入力である回転速度変動に対応して界磁強度を制御し,発電電圧を所定の値に維持する。
回転電機システムの出力最適化の他の一つに可変速度電動機システムがある。高回転速度域で界磁強度を弱め,低回転速度域で界磁強度を強めとして回転力及び回転速度を制御する電動機を含むシステムを実現する。
請求項2の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極より飽和磁束密度が大の等方性磁性体で構成された磁束キャリア部を磁性体突極の電機子から遠い側の領域に有することを特徴とする。
磁性体突極が珪素鋼板の積層構造の場合,積層方向には磁気抵抗が大であるので界磁磁束の流れる方向の磁気抵抗を小にする為に等方性磁性体よりなる磁束キャリア部を設ける。
さらに大型の回転電機では十分な量の界磁磁束を磁性体突極に供給する必要があり,飽和磁束密度の大な磁性体で磁性体突極近傍の空きスペースを利用して断面積の大きな磁束キャリア部を形成する。
請求項3の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁磁極部は,一以上の界磁磁石及び主磁極及びバイパス磁極及びバイパス磁路とより成り,軸と同心に界磁磁石は磁気空隙部と交互に周方向に配置され,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせは各界磁磁石の第一界磁磁極に対向して周方向に並ぶ構成とし,主磁路は主磁極と第二界磁磁極間に磁性体突極及び電機子が磁気的に結合されて界磁磁束が環流する磁路とし,バイパス磁路はバイパス磁極と第二界磁磁極間に磁性体及び磁気空隙が磁気的に結合されて界磁磁束が環流する磁路とし,バイパス磁路内の磁気空隙の空隙長及び対向面積を調整してバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗にほぼ等しく設定させる構成とし,第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながらそれぞれの面積比を変えるように主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間は周方向に相対偏倚可能に構成された事を特徴とする。

主磁路の磁気抵抗は磁性体突極と磁性体歯との相対関係によって変動する部分があり,平均化された主磁路の磁気抵抗とほぼ等しくなるようバイパス磁路のパラメータを選定する。その際,バイパス磁極,第二界磁磁極間の磁路構成する磁性体は飽和磁束密度の大きな磁性体を使用して磁気的に飽和し難くして可能な限り励磁磁極部全体をコンパクトに構成する。
請求項4の発明は,請求項3記載の回転電機システムに於いて,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石との間の相対偏倚の周方向角度長が第一界磁磁極と対向する面に於ける主磁極の周方向角度長或いはバイパス磁極の周方向角度長の何れか小の周方向角度長を越えないよう規制する偏倚規制手段を有する事を特徴とする。
請求項5の発明は,請求項1記載の表面磁極部及び電機子が軸方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから軸方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置される構成として回転子側に配置され,励磁磁極部は静止側或いは回転子側に配置され,表面磁極部の磁性体突極及び電機子の磁気ヨークそれぞれと主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させて界磁磁束を磁性体突極と磁気ヨーク間に供給する構成とした事を特徴とする。
アキシャルギャップ構造の単極回転電機システムである。回転子側に磁性体突極を周方向に所定間隔で配置し,磁性体突極と電機子側の磁気ヨーク間に励磁磁極部により界磁磁束を一括して供給し,制御する。主磁路は励磁磁極部内の主磁極から磁性体突極,磁性体歯,磁気ヨーク,第二界磁磁極に至る磁路である。
請求項6の発明は,請求項1記載の表面磁極部及び電機子が軸方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから軸方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置される構成として回転子側に配置され,隣接する磁性体突極は互いに内径方向或いは外径方向の何れか異なる方向に延伸されて第一延長部,第二延長部とし,励磁磁極部は表面磁極部に隣接して電機子より遠い側の回転子側に配置され,第一延長部,第二延長部それぞれを集合する磁性体それぞれと主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させて励磁磁極部が隣接する磁性体突極を互いに異極に磁化するよう配置構成されている事を特徴とする。


アキシャルギャップ構造の回転電機システムである。回転子側の磁性体突極を隣り合う磁性体突極は互いに径方向の異なる側に延長させてそれぞれ第一延長部,第二延長部とし,励磁磁極部の主磁極,第二界磁磁極を結合させ,第一延長部,第二延長部を異極とするよう界磁磁束を一括して供給し,制御する。
請求項7の発明は,請求項1記載の表面磁極部及び電機子が径方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから径方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置される構成として回転子側に配置され,励磁磁極部は回転子と軸方向に隣接して静止側或いは回転子側に配置され,表面磁極部の磁性体突極と磁気ヨークのそれぞれに主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させて界磁磁束を磁性体突極と磁気ヨーク間に供給する構成とした事を特徴とする。
ラジアルギャップ構造の単極回転電機システムである。回転子側に磁性体突極を周方向に所定間隔で配置し,磁性体突極と電機子側の磁気ヨーク間に励磁磁極部により界磁磁束を一括して供給し,制御する。主磁路は励磁磁極部内の主磁極から磁性体突極,磁性体歯,磁気ヨーク,第二界磁磁極に至る磁路である。
請求項8の発明は,請求項1記載の表面磁極部及び電機子が径方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから径方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置された表面磁極部から成る二つの回転子を互いに一方の磁性体突極に対して他方の磁気空隙部が対応するよう軸方向に配置して第一回転子,第二回転子とし,励磁磁極部が第一回転子,第二回転子間に配置されて第一回転子,第二回転子それぞれの表面磁極部の磁性体突極に主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させ,第一回転子,第二回転子それぞれの表面磁極部の磁性体突極を互いに異極に磁化するよう構成されている事を特徴とする。
ラジアルギャップ構造の回転電機システムである。請求項7に規定する単極回転電機の回転子を軸方向に二つ並べ,二つの回転子を電気角にして180度ずらせて配置する。励磁磁極部は二つの回転子の中間に配置して二つの回転子の磁性体突極を異極に磁化させる構造である。励磁磁極部は回転子と共に回転させる構造でも,微小間隙を介して静止側に配置する構造も可能である。回転子はシンプルな構造であり,高速回転に耐えられる。
請求項9の発明は,請求項1記載の表面磁極部及び電機子が径方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は磁気ヨーク及び磁気ヨークから径方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して周方向に磁性体が磁気空隙部或いは永久磁石あるいは集合永久磁石によって区分された一以上の磁性体突極を有し,隣接する磁性体突極は互いに軸と平行の異なる方向に延伸されて第一延長部,第二延長部とし,回転子側或いは静止側に配置された1或いは2の励磁磁極部が隣接する磁性体突極を互いに異極に磁化するよう配置構成されている事を特徴とする。

ラジアルギャップ構造の回転電機システムである。隣接する磁性体突極は互いに異極に磁化された構成である。
請求項10の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部は,電機子に対向して軸方向に延びる磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置され,隣接する磁性体突極は互いに軸と平行の異なる方向に延伸されて第一延長部,第二延長部として構成されている事を特徴とする。


請求項11の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部は,電機子に対向して軸方向に延びる磁性体突極と永久磁石とが周方向に交互に配置され,隣接する永久磁石は互いに略周方向の磁化を反転して配置され,隣接する磁性体突極を軸と平行の異なる方向に延伸させてそれぞれ第一延長部,第二延長部を持つ構成とし,励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極がそれぞれ同種の磁化となる第一延長部或いは第二延長部と磁気的に結合して構成されている事を特徴とする。


ラジアルギャップ構造の回転電機であり,磁性体突極は中間に周方向磁化を持つ永久磁石を有する構造で隣接する磁性体突極は互いに異極に磁化されている。同種磁化となる磁性体突極同士が同じ軸方向に延長部を持ち,それら延長部と同じ極性である励磁磁極部の主磁極,第二界磁磁極を結合させる。
請求項12の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,集合永久磁石は中間磁性体突極の周方向両側面に板面と直交し且つ同一磁化方向を持つ永久磁石板を配置した構成とし,表面磁極部は,磁性体突極と集合永久磁石が周方向に交互に配置され,隣接する集合永久磁石は互いに略周方向の磁化を反転して配置され,隣接する磁性体突極を軸と平行の異なる方向に延伸させてそれぞれ第一延長部,第二延長部を持つ構成とし,励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極それぞれは同種の磁化となる第一延長部或いは第二延長部と磁気的に結合して構成されている事を特徴とする。


ラジアルギャップ構造の回転電機であり,永久磁石板はV字状に構成して磁束バリアに最適な形状に出来,磁石トルク及びリラクタンストルクを利用出来る。
請求項13の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定され,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立に構成されてそれぞれは互いに軸と平行の異なる方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持つ構成とし,励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極それぞれは同種の磁化となる第一延長部或いは第二延長部と磁気的に結合して構成されている事を特徴とする。

請求項14の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,二つの励磁磁極部が,表面磁極部の第一延長部,第二延長部に隣接する静止側に配置され,磁気ヨーク両端と第一延長部,第二延長部間に二つの励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極が磁気的に結合され,第一延長部,第二延長部が互いに異極に磁化するよう構成されている事を特徴とする。
二つの励磁磁極部は第一延長部及び第二延長部と空隙を挟んで静止側に配置される。励磁磁極部は二つになるが,偏倚磁極部の偏倚制御手段は容易に構成出来る。
請求項15の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,一つの励磁磁極部が表面磁極部の内周側に配置されて主磁極及び第二界磁磁極それぞれを第一延長部,第二延長部に磁気的に結合し,第一延長部,第二延長部が異極に磁化するよう構成されている事を特徴とする。
励磁磁極部は回転子の内周側の空きスペースに収納出来る。回転子に固定して共に回転する構成,或いは微小間隙で第一延長部,第二延長部と対向する構成として静止側に配置する事が出来る。
請求項16の発明は,請求項1記載の励磁磁極部を静止側に配置した回転電機システムに於いて,偏倚制御手段は,静止側に配置されたアクチュエータとより構成され,アクチュエータから直接に或いはギア機構を介して偏倚磁極部の停止位置を保持し,停止位置を変える構成とした事を特徴とする。
請求項17の発明は,請求項1記載の励磁磁極部を回転子側に配置した回転電機システムに於いて,偏倚制御手段は,偏倚磁極部或いは偏倚磁極部と係合する部材を軸方向に偏倚させる静止側に配置されたアクチュエータと軸方向移動量を回転偏倚に変える斜面とより構成され,前記アクチュエータが偏倚磁極部或いは偏倚磁極部と係合する部材を軸方向に偏倚させ,軸方向移動量を前記斜面により偏倚磁極部を回転偏倚させる事を特徴とする。
請求項18の発明は,請求項1記載の励磁磁極部を回転子側に配置した回転電機システムに於いて,偏倚制御手段は,回転子の回転速度の増減に伴い錘に作用する径方向の遠心力を周方向の偏倚に変換するガバナ機構とし,ガバナ機構により低回転速度領域では偏倚磁極部を基準位置近傍に保持して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大にして電機子側に流れる界磁磁束量を大に,高回転速度領域では偏倚磁極部を基準位置から所定方向に偏倚させて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小にして電機子側に流れる界磁磁束量を小とするよう構成した事を特徴とする。
回転速度の増減に伴い錘に作用する径方向の遠心力を周方向の偏倚に変換するガバナ機構には錘を内周側に付勢し,遠心力が作用する錘を斜面に沿って摺動させて周方向の偏倚に変える構成,或いは遠心力が作用する錘によりアームを回動させて周方向の偏倚に変える構成等種々の機構が利用出来る。電機子コイルと鎖交する界磁磁束量制御の精度には欠けるが,特段の制御装置を不要としてシンプルな回転電機システムとする。
請求項19の発明は,請求項1から17の何れかに記載の回転電機システムに於いて,回転力を入力とし,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とし,発電電圧が所定の値より小の時は偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大とし,発電電圧を所定の値に制御する事を特徴とする。
請求項20の発明は,請求項1から17の何れかに記載の回転電機システムに於いて,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転速度が所定の値より大で弱め界磁とする時には偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とし,回転速度が所定の値より小で界磁強度を強める時には偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大として回転力を最適に制御し,回転速度を減少させる場合には電機子と回転子間の界磁強度を大とするよう偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大とするよう構成され,回転エネルギーを発電電力として取り出す事を特徴とする。
請求項21の発明は,回転電機システムが,軸と同心に径方向に或いは軸方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された表面磁極部及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は軸を周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を少なくとも有して磁性体突極が永久磁石励磁されている回転電機システムに於いて,表面磁極部の磁性体突極は励磁される磁化の種類により1或いは2のグループに集合され,集合された磁性体突極のグループをそれぞれ一括して磁石励磁する励磁磁極部を有し,励磁磁極部に於いて,界磁磁石の磁極であるN極,S極の何れか一方を第一界磁磁極,他方を第二界磁磁極として第一界磁磁極が主磁極及びバイパス磁極と対向し,主磁極は流入した界磁磁束が磁性体突極及び電機子を介して第二界磁磁極に環流する主磁路に接続され,バイパス磁極は流入した界磁磁束が主に励磁磁極部内で第二界磁磁極に環流するバイパス磁路に接続されてバイパス磁路の磁気抵抗は主磁路の磁気抵抗とほぼ等しくなるように設定され,第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながらそれぞれの面積比を変えるように主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間は相対偏倚可能に構成され,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間を相対的に駆動偏倚させて主磁路に流入する界磁磁束量を制御する界磁制御方法である。
励磁磁極部が持つ界磁磁石は表面磁極部の磁性体突極及び電機子を介して環流する主磁路及びバイパス磁極を介して主として励磁磁極部内で環流するバイパス磁路を有する。本発明では主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗をほぼ等しく設定し,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと第一界磁磁極間を相対的に偏倚させて界磁磁石が並列に接続される主磁路及びバイパス磁路の接続比を変えて主磁路への磁束を制御する。その際,界磁磁石側から見て磁気抵抗は変わらないので界磁磁石から流れ出る総磁束量は一定であり,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと第一界磁磁極間の相対偏倚方向には磁気力が働かず,前記偏倚制御が円滑に実施出来る界磁制御方法である。
永久磁石励磁の回転電機システムに於いて,同種の磁化に励磁される磁性体突極には励磁磁極部から一括して界磁磁束を供給する構成とし,励磁磁極部の構成を機構偏倚により界磁磁石の磁束を磁気抵抗を同じくする磁路に分流制御させるとして,機構偏倚の障害となる磁気力は伴わずに界磁強度を制御可能とした。本発明により,永久磁石励磁の回転電機システムに於ける弱め界磁制御が容易となり,エネルギー効率の高い回転電機システムを実現出来る。
以下に本発明による回転電機システムについて,その実施例及び原理作用等を図面を参照しながら説明する。
本発明による回転電機システムの第一実施例を図1から図6を用いて説明する。第一実施例は,ラジアルギャップ構造で且つアウターロータ構造の単極回転子を持つ回転電機システムである。励磁磁極部は単極回転子と軸方向に隣接する静止側に配置されている。
図1は回転電機の縦断面図,図2は電機子と回転子との構成を示す断面図,図3は励磁磁極部構成を示す為の平面図,図4は回転偏倚した主磁極とバイパス磁極を示す平面図,図5は偏倚制御手段の一部を示す断面図,図6は弱め界磁を行う回転電機システムのブロック図をそれぞれ示す。
図1はアウターロータ構造の回転電機で磁性体突極は回転子に配置され,電機子は固定軸に配置されている。基板12に固定軸11が固定され,固定軸11に電機子が固定され,固定軸11にベアリング13を介して回動可能に支持された磁性体である鉄製のロータハウジング19に磁性体突極17が配置されている。
電機子は固定軸11に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延びる複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。
回転子のロータハウジング19は外部機器と回転力の伝達の為のプーリー部18を持ち,ロータハウジング19には磁性体歯14に対向して磁性体突極17と磁気空隙部とが周方向に交互に配置されている。
磁性体突極17を磁石励磁する励磁磁極部は,固定軸11を周回し且つ電機子と並んで配置され,主要部を界磁磁石1aと主磁極1bとバイパス磁極1cとベース磁極1dとから構成され,主磁極1bとバイパス磁極1cは励磁磁極部支持部1fに支持され,励磁磁極部支持部1fは固定軸11に回動可能に支持されている。番号1eはバイパス磁極1cの延長部とベース磁極1d間の間隙を示す。
固定軸11は中空構造として,中空部内に摺動可能に配設された制御棒1gを有し,制御棒1gはアクチュエータ1hにより周方向に偏倚駆動される構成としている。固定軸11に中空部と貫通するスリット部1jを持ち,スリット部1jを介して励磁磁極部支持部1fに固定されたピン1kが制御棒1gと係合して制御棒1gの回転偏倚により励磁磁極部支持部1f,主磁極1b,バイパス磁極1cを回転偏倚させる構成としている。
図2は図1のA−A’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子は固定軸11に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。第一の実施例では24個の電機子コイル16より構成され,それらは三相に結線されている。磁性体歯14と円筒状磁気ヨーク15は珪素鋼板から所定の型で打ち抜かれた後,積層して構成され,電機子コイル16が巻回されている。
図2に於いて,回転子はロータハウジング19の内周側に磁性体歯14に対向して珪素鋼板を積層された磁性体突極17が周方向に等間隔に8個配置されている。磁性体突極17間は磁気空隙部であり,単に空隙として構成しているが,高速回転で風損がエネルギー効率或いは音響発生で支障となる時には比抵抗が大で非磁性の樹脂,レジン等を配置する事が出来る。
回転子に界磁磁石は配置されていないが,励磁磁極部により磁性体突極17は界磁磁石1aの一方の磁極に,磁性体歯14は他方の磁極に磁気的に結合されて磁化されている。単極の回転電機であって,電動機として或いは発電機として使いにくい点はあるが,構成がシンプルであるメリットがある。
図3は図1に示した励磁磁極部の構成及び界磁磁束制御の原理を説明する為の図である。図3(a)は主磁極1b及びバイパス磁極1c側から見た界磁磁石1aを含む平面図であり,図3(b)はロータハウジング19側から見た主磁極1b及びバイパス磁極1cを含む平面図である。
図1及び図3(a)に於いて,界磁磁石1aは磁気空隙部31を挟んで周方向に3個配置されている。各界磁磁石1aの磁化方向は図1に矢印で示されるように軸方向であり,界磁磁石1aの二つの極を第一界磁磁極,第二界磁磁極として第二界磁磁極はベース磁極1dを介して円筒状磁気ヨーク15に結合され,第一界磁磁極は対向する主磁極1bを介してロータハウジング19に磁気的に結合されている。
図1及び図3(b)に示されるように,界磁磁石1aの第一界磁磁極に微小空隙を介して対向して各主磁極1b及びバイパス磁極1cが周方向に並んで回動可能に配置されている。図3(a),(b)に於いて番号32で示される円筒状磁気コアはバイパス磁極1cに結合されて共に回転偏倚し,図1に示されるように間隙1eを介してベース磁極1dに対向している。
界磁磁石1aの第一界磁磁極から主磁極1bに流入した界磁磁束はロータハウジング19,磁性体突極17,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,ベース磁極1dを介して第二界磁磁極に環流する主磁路を形成し,バイパス磁極1cに流入した界磁磁束は円筒状磁気コア32,間隙1e,ベース磁極1dを介して第二界磁磁極に環流するバイパス磁路を形成する。円筒状磁気コア32とベース磁極1d間の間隙1eの対向面積及び間隙長を調整して主磁路の磁気抵抗とバイパス磁路の磁気抵抗とをほぼ等しく設定する。その際,主磁路の磁気抵抗は磁性体突極17と磁性体歯14との相対位置により変動するので平均化した磁気抵抗にバイパス磁路の磁気抵抗とをほぼ等しく設定する。
主磁路1b,バイパス磁極1c,円筒状磁気コア32,ベース磁極1dには原則として交流磁束は流れないので飽和磁束密度の大きな鉄を主体とする磁性体で構成し,全体をコンパクトに構成する。界磁磁石1aと主磁極1b及びバイパス磁極1c間の磁気抵抗を小に構成する為に界磁磁石1aと主磁極1b及びバイパス磁極1c間は微小な間隙を介して対向させる或いは摺動させる構成とする。
図4(a),(b)は図3(b)と同じくロータハウジング19側から見た主磁極1b及びバイパス磁極1cを示す平面図であり,それぞれの図は主磁極1b及びバイパス磁極1cと界磁磁石1a間の周方向偏倚が最小,最大の場合,すなわち磁性体突極17と磁性体歯14間の界磁磁束量をそれぞれ最大,最小にする場合を示している。
同図に於いて,番号41は界磁磁石1aの周方向に於ける存在領域を示し,図4(a)に示されるように基準位置で界磁磁石1aは主磁極1bの全領域に対向すると共にバイパス磁極1cとは僅かに対向する状態を示している。この場合に界磁磁石1aからの界磁磁束はほぼ全量が主磁極1bを介して磁性体突極17,磁性体歯14間に流れる。
図4(b)は図4(a)に示す基準位置から主磁極1a及びバイパス磁極1bが時計方向に主磁極1bの周方向角度長に等しい回転偏倚をした場合を示し,界磁磁石1aはバイパス磁極1cの全領域に対向すると共に主磁極1bとは僅かに対向する状態を示している。この場合に界磁磁石1aからの界磁磁束はほぼ全量がバイパス磁極1cを介して円筒状磁気コア32,間隙1e,ベース磁極1dを介して第二界磁磁極に環流する。
図4(a),(b)に示した場合の中間状態では界磁磁石1aが主磁極1bとバイパス磁極1cの双方に対向して界磁磁石1aからの界磁磁束は主磁路及びバイパス磁路に分流させられる。重要な点は界磁磁束の源である界磁磁石1a自体に主磁極1b及びバイパス磁極1cを微小間隙を介して対向させた事であり,界磁磁束は界磁磁石1aと主磁極1b,バイパス磁極1cそれぞれの対向面積に比例して分流される。さらに界磁磁石1aと主磁極1b,バイパス磁極1cそれぞれの対向面積の和は一定であり,それらの面積の比は偏倚に従って変化する構成である。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は等しく設定して界磁磁石1aからの界磁磁束総量は常に一定であるので主磁極1b及びバイパス磁極1cの回転偏倚を妨げる磁気力は現れない。
界磁磁石1aから磁性体を介して主磁極1b及びバイパス磁極1cに対向させた場合には,介在した磁性体と主磁極1b及びバイパス磁極1c間の間隙部の磁気抵抗及び主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗等で構成される磁気回路に界磁磁石1aが結合される事になる。この磁気回路の磁気抵抗は主磁極1b及びバイパス磁極1cの回転偏倚に伴って変わり,したがって界磁磁石1aからの界磁磁束総量が変化し,回転偏倚を妨げる磁気力が現れる事になる。構造上の制約から界磁磁石1aから磁性体を介して主磁極1b及びバイパス磁極1cに対向させる場合には,磁性体として異方性の強い磁性体或いは厚みの薄い磁性体として磁性体内で界磁磁束を分流させない構成とする。この構成は実質的に界磁磁石1aの端面で界磁磁束を分流させる点で本発明の趣旨に含まれる。
主磁極1b及びバイパス磁極1cを回転偏倚させる事で磁性体突極17,磁性体歯14間に流れる界磁磁束をほぼ100%制御出来,その際に回転偏倚を妨げる磁気力は理論的に発生しない事を説明した。以下には図1及び図5を用いて主磁極1b及びバイパス磁極1cを回転偏倚させる構成を説明する。
図5は励磁磁極部支持部1fに固定されたピン1kが制御棒1gと係合する部分を拡大して示す断面図である。ピン1kは3個有り,固定軸11にはスリット1jが設けられ,制御棒1g端面にはピン1kに対応する溝部が3個設けられている構造である。固定軸11を励磁磁極部支持部1fに挿通した後,ピン1kを励磁磁極部支持部1fの外周部から打ち込み,ピン1kを固定軸11内の中空部に突出させて固定し,制御棒1gを固定軸11の中空部に挿入して制御棒1g端部の溝部にピン1kを係合させる。
アクチュエータ1hは制御装置からの指示により制御棒1gを回転偏倚させ,ピン1kを介して励磁磁極部支持部1fを回転偏倚させる。その際,スリット1jの周方向位置及び周方向角度長は主磁極1b及びバイパス磁極1cを図4(a),(b)で示す範囲内の偏倚に留める偏倚規制手段として設定してある。
アクチュエータ1hはステップモータを使用して回転偏倚位置を保存する構成としているが,他にモータとネジ機構或いはギア機構等を組み合わせて回転偏倚位置を保存出来る構成とする事も出来る。
以上,図1から図5に示した回転電機に於いて,主磁極1b及びバイパス磁極1cを界磁磁石1aに対して相対偏倚させる事で磁性体突極17,磁性体歯14間に於ける界磁磁束量をほぼ100%制御できることを説明し,さらに主磁極1b及びバイパス磁極1cを界磁磁石1aに対して偏倚させる手段方法を説明した。第一の実施例は界磁磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
図6は界磁制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図6に於いて,回転電機61は入力62,出力63を有するとし,制御装置65は回転電機61の出力63及び偏倚磁極部である主磁極1b及びバイパス磁極1cの位置を含む状態信号64を入力として制御信号66を介して回転電機61の界磁強度を制御する。番号67は電機子コイル16の駆動制御回路を示す。回転電機61が発電機として用いられるのであれば,入力62は回転力であり,出力63は発電電力となる。回転電機61が電動機として用いられるのであれば,入力62は駆動制御回路67から電機子コイル16に供給される駆動電流であり,出力63は回転トルク,回転速度となる。
回転電機を電動機とし,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。
制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり磁性体突極17,磁性体歯14間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66がアクチュエータ1h,制御棒1gを介して主磁極1b及びバイパス磁極1cを図3,図4に於いて時計回り方向に駆動し,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を小とさせる。
回転速度が所定の値より小となり磁性体突極17,磁性体歯14間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66がアクチュエータ1h,制御棒1gを介して主磁極1b及びバイパス磁極1cを反時計回り方向に駆動し,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を大とさせる。
回転電機を発電機とし,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。
制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり磁性体突極17,磁性体歯14間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66がアクチュエータ1h,制御棒1gを介して主磁極1b及びバイパス磁極1cを図3,図4に於いて時計回り方向に駆動し,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を小とさせる。
発電電圧が所定の値より小となり磁性体突極17,磁性体歯14間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66がアクチュエータ1h,制御棒1gを介して主磁極1b及びバイパス磁極1cを反時計回り方向に駆動し,主磁極1bと界磁磁石1aとの対向面積を大とさせる。
第一の実施例で主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を等しく設定する事で主磁極1b及びバイパス磁極1cの偏倚制御に際して偏倚の障害となる磁気力の発生は無く,偏倚制御は容易であると説明したが,これは理想的な場合であって実際には偏倚制御の障害となる磁気力は小さいが現れる。
偏倚制御の障害となる磁気力が現れる原因の一つは,量産段階で部材寸法に必要な種々の設定公差であり,理想的な条件からずれて若干の磁気力が現れる。しかし,理論的に上記磁気力はゼロであり,部材の設定公差を管理する事で支障のない範囲に抑制出来る。
磁気力が現れる他の原因は,電機子と界磁部間の作用力である。電動機の場合に作用力は互いに引き合う力であり,主磁路を流れる界磁磁束量を大にしようとする。これは界磁磁石側から見れば,主磁路の磁気抵抗が実効的に小さく見える事である。さらに発電機の場合に電機子と界磁部間の作用力は反発力であり,これは界磁磁石側から見れば,主磁路の磁気抵抗が実効的に大きく見える事である。
したがって,バイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗と等しくさせる関連部材の寸法形状等の設定に際し,目標とする主磁路の磁気抵抗として電動機システムの場合には静止時に於ける主磁路の磁気抵抗より小さい値を想定し,発電機システムの場合は静止時に於ける主磁路の磁気抵抗より大きい値を想定する事が望ましい。
さらに磁気力が現れる他の原因は,磁性体突極と磁性体歯との相対位置関係によって主磁路の磁気抵抗が変動する事による。主磁路の磁気抵抗は全周の磁性体突極と磁性体歯との相対位置関係が反映されて平均化される事,さらに主磁極1b及びバイパス磁極1cの偏倚制御は回転速度に比して遅いので主磁路の磁気抵抗変動は平均化されて偏倚制御の支障には成らないが,磁性体歯14,磁性体突極17等の部材の周方向の側面を斜めに構成,或いは上記部材の周方向幅を変動させる構成等は上記磁気抵抗変動を緩やかにする点で効果がある。これはまた回転中に発生する可能性のある振動,音響等の発生を抑制する点でも望ましい。
さらにまた,本実施例で主磁極1b及びバイパス磁極1cを偏倚するに際して障害となる磁気力は発生しないが,偏倚方向以外の磁気力は発生している。主磁極1b及びバイパス磁極1cが偏倚しても周方向の偏倚に抗する磁気力は現れないが,主磁極1b及びバイパス磁極1cと界磁磁石1a間の磁気力は現れ,偏倚に従って変化するが,周方向の偏倚とは直交関係にあって偏倚を妨げる力にはならない。主磁極1b及びバイパス磁極1cと界磁磁石1a間の磁気力は変動する事を前提に構造強度を設定して対処する。
本発明による回転電機システムの第二実施例を図7から図10を用いて説明する。第二実施例は,磁性体突極と磁気空隙部を交互に持つシンプルな構成の二つの回転子を軸方向に並列配置し,一方の回転子の磁性体突極が他方の回転子の磁気空隙部に対応するよう配置し,両回転子の磁性体突極を異極に磁化する励磁磁極部を二つの回転子の中間に配置した回転電機システムである。
図7は回転電機の縦断面図,図8は電機子と回転子との構成を示す断面図,図9は偏倚制御手段の一部である制御棒近傍の縦断面図(a),回転軸のスリット近傍の断面図(b),図10は偏倚制御手段の一部である制御棒の斜視図(a),スリーブの斜視図(b)である。
図7はラジアルギャップ構造の回転電機を示し,回転軸71がベアリング73を介してハウジング72に回動可能に支持されている。電機子はハウジング72に固定された円筒状磁気ヨーク75と,円筒状磁気ヨーク75から径方向に延びる複数の磁性体歯74と,磁性体歯74に巻回された電機子コイル76とから構成されている。
回転子は磁性体突極と磁気空隙部とが周方向に交互に並ぶシンプルな構成として二つの回転子77,78が軸方向に並んで配置されている。番号79は磁束チャネル部を示す。
二つの回転子77,78の磁性体突極を互いに異極に磁化する励磁磁極部は回転子77,78の中間に配置され,主要部を界磁磁石7a,主磁極7b,バイパス磁極7cから構成され,主磁極7b,バイパス磁極7cは励磁磁極部支持体7dに固定され,励磁磁極部支持体7dは回転軸71に回動可能に支持されている。番号7nは回転子に固定された冷却ファンを示す。
主磁極7b,バイパス磁極7c,励磁磁極部支持体7dを界磁磁石7aに対して回転偏倚させる偏倚制御手段は,主要部を回転軸71の中空部に収納された制御棒7g,スプリング7j,スリーブ7h,プッシュロッド7k,アクチュエータ7mとから構成され,制御棒7gには励磁磁極部支持体7dに固定したピン7fが回転軸71のスリット7eを介して係合される構成として制御棒7gの回転偏倚を励磁磁極部支持体7dに伝達する構成である。
図8は図7のB−B’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子はハウジング72に固定された円筒状磁気ヨーク75と,円筒状磁気ヨーク75から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯74と,磁性体歯74に巻回された電機子コイル76とから構成されている。第二の実施例では9個の電機子コイル76より構成され,それらは三相に結線されている。電機子の磁性体歯74先端には径方向に短い可飽和磁性体結合部83を隣接する磁性体歯74先端部間に設けてある。磁性体歯74及び可飽和磁性体結合部83は珪素鋼板を型で打ち抜いて積層し,電機子コイル76を巻回した後,円筒状磁気ヨーク75と組み合わせて電機子としている。
可飽和磁性体結合部83は磁性体歯74と一体として磁性体歯74の支持強度を向上させ,磁性体歯74の不要な振動を抑制させる。可飽和磁性体結合部83の径方向の長さは短く設定して容易に磁気的に飽和する形状としたので電機子コイル76が発生させる磁束或いは界磁磁束によって容易に飽和し,その場合に電機子コイル76が発生させる磁束及び界磁磁束の短絡を僅かな量とする。電機子コイル76に電流が供給されると,時間と共に可飽和磁性体結合部83は磁気的に飽和させられて周辺に磁束を漏洩させるが,磁気飽和した可飽和磁性体結合部83に現れる実効的な磁気空隙の境界はクリアではないので漏洩する磁束の分布は緩やかとなり,可飽和磁性体結合部83はこの点でも磁性体歯74に加わる力の時間変化を緩やかにして振動抑制に寄与する。
図8に於いて,回転子は磁性体突極81と磁気空隙部82とを周方向に交互に有する構造とし,珪素鋼板を所定の型に打ち抜いて積層して構成する。二つの回転子77,78は同じ構成であり,一方の回転子77の磁性体突極81と他方の回転子78の磁気空隙部82とが軸方向に対応するよう配置する。磁性体突極81間は磁気空隙部82であり,単に空隙として構成しているが,高速回転で風損がエネルギー効率或いは音響発生で支障となる時には比抵抗が大で非磁性の樹脂,レジン等で構成する事が出来る。
回転子77,78の磁性体突極81は互いに異極になるよう回転子77,78の中間に配置された励磁磁極部により磁化される構成であるが,その際に界磁磁束が磁性体突極81或いは一体の磁性体内を軸方向に伝搬する。積層された珪素鋼板による磁性体は積層方向に磁気抵抗が高くなるので本実施例では飽和磁束密度が大で等方性の鉄棒を磁性体歯74から遠い領域に回転軸71と平行に埋め込んで磁束チャネル部79として軸方向の磁気抵抗を小としている。
図7に縦断面図を示した励磁磁極部は第一の実施例に於ける励磁磁極部とほぼ同じ構成である。界磁磁石7a,主磁極7b,バイパス磁極7cはそれぞれ図1に於ける界磁磁石1a,主磁極1b,バイパス磁極1cに対応し,異なっている点は図1に於けるベース磁極1dが回転子78を構成する磁性体に,ロータハウジング19が回転子77を構成する磁性体に置き換わっているのみである。二つの回転子77,78それぞれの磁性体突極を互いに異極に磁化し,界磁磁束を供給する原理作用は同じであるので説明は省略する。
主磁極7b及びバイパス磁極7cを回転偏倚させる事で回転子77,78の磁性体突極81,磁性体歯74間に流れる界磁磁束をほぼ100%制御出来,その際に回転偏倚を妨げる磁気力は理論的に発生しない事は第一の実施例と同じである。以下には図7及び図9,図10を用いて主磁極7b及びバイパス磁極7cを界磁磁石7aに対して相対偏倚させる構成を説明する。
第二の実施例に於ける偏倚制御手段は,回転軸71の中空部に収納されたスリーブ7hを軸方向に移動させる事で回転偏倚させ,スリーブ7hの回転偏倚を制御棒7g,ピン7fを介して励磁磁極部支持体7dに伝達させる構成である。
図7には偏倚制御手段の全体が縦断面図として示され,図9(a)は回転軸71,制御棒7g,スリーブ7h,スプリング7j等を示す拡大された縦断面図であり,図9(b)は図5と同様に励磁磁極部支持体7dと制御棒7gとの関係を示す断面図である。更に図10(a)は制御棒7gの斜視図を示してスリーブ7hの回転偏倚を制御棒7gの回転偏倚に伝達する機構を示し,図10(b)はスリーブ7hの斜視図を示してスリーブ7hの軸方向移動量を回転偏倚に変える機構部を示している。
図7及び図9(a)に於いて,スリーブ7hはスプリング7jにより右方向に付勢され,アクチュエータ7mによりプッシュロッド7kを介して左方向に付勢されて両者の力が釣り合った軸方向位置で停止する構成である。スリーブ7h外周には図10(b)に示されるように軸方向に斜めに形成された斜交溝101が設けられ,斜交溝101には回転軸71から中空部に突出されたピン102が係合する構造である。アクチュエータ7mがスリーブ7hを付勢する力を変えるとスリーブ7hは軸方向に移動し,斜交溝101とピン102とによりスリーブ7hは回転偏倚させられる。
図10(a)に示されるように制御棒7gは右側の一部が回転軸71と平行に分割された構成としてその分割溝103にスリーブ7hに固定されたピン104が摺動するよう配置されている。スリーブ7hの軸方向移動に伴いピン104は分割溝103内を摺動するが,スリーブ7hが回転偏倚すると制御棒7gを共に回転偏倚させる。
図9(b)に示す制御棒7gと励磁磁極部支持体7dとの係合状態は図5に示した第一実施例の場合と全く同じである。すなわち,ピン7fは3個有り,回転軸71にはスリット7eが設けられ,制御棒7g端面にはピン7fに対応する溝部が3個設けられている構造である。回転軸71を励磁磁極部支持体7dに挿通した後,ピン7fを励磁磁極部支持体7dの外周部から打ち込み,ピン7fを回転軸71内の中空部に突出させて固定し,制御棒7gを回転軸71の中空部に挿入して制御棒7g端部の溝部にピン7fを係合させる。
したがって,アクチュエータ7mがプッシュロッド7kを左に押し込むと,スリーブ7hはスプリング7jを縮めて軸方向の左方向に移動し,同時にスリーブ7hを図10(b)に於いて反時計方向に回転偏倚させる。スリーブ7hの回転偏倚は制御棒7g,励磁磁極部支持体7dに伝達されて主磁極7b,バイパス磁極7cを回転偏倚させ,この場合は界磁磁石7aと主磁極7bとの対向面積を減じて回転子77,78に於ける磁性体突極に供給する界磁磁束を減少させる。アクチュエータ7mがプッシュロッド7kを右方向に移動させた場合は逆の結果となって回転子77,78に於ける磁性体突極に供給する界磁磁束を増大させる。
本実施例ではアクチュエータ7mには回転モータとネジ機構を用い,回転モータを回転させてプッシュロッド7kを軸方向左右に駆動させ,回転モータを駆動しない場合はプッシュロッド7kの軸方向位置を保存させている。
以上,図7から図10に示した回転電機に於いて,主磁極7b及びバイパス磁極7cを界磁磁石7aに対して相対偏倚させる事で磁性体突極81,磁性体歯74間に於ける界磁磁束量をほぼ100%制御できることを説明し,さらに主磁極7b及びバイパス磁極7cを界磁磁石7aに対して偏倚させる手段方法を説明した。第二の実施例は界磁磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機を電動機とし,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。
制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり磁性体突極81,磁性体歯74間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを左方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を小とさせる。
回転速度が所定の値より小となり磁性体突極81,磁性体歯74間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを右方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を大とさせる。
回転電機を発電機とし,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。
制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり磁性体突極81,磁性体歯74間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを左方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を小とさせる。
発電電圧が所定の値より小となり磁性体突極81,磁性体歯74間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを右方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を大とさせる。
本発明による回転電機システムの第三実施例を図11から図13を用いて説明する。第三実施例は,磁性体突極と磁気空隙部を周方向に交互に持つシンプルな磁極構成の回転子であり,周方向に隣り合う磁性体突極を軸方向の異なる側に延長してそれぞれ第一延長部,第二延長部として集合させ,第一延長部,第二延長部と磁気的に結合して隣り合う磁性体突極を異極に磁化する励磁磁極部を回転子の内周部に配置した回転電機システムである。
図11は回転電機の縦断面図,図12は電機子と回転子との構成を示す断面図,図13は回転子の構成を示す斜視図である。
図11はラジアルギャップ構造の回転電機を示し,回転軸71がベアリング73を介してハウジング72に回動可能に支持されている。電機子はハウジング72に固定された円筒状磁気ヨーク75と,円筒状磁気ヨーク75から径方向に延びる複数の磁性体歯74と,磁性体歯74に巻回された電機子コイル76とから構成されている。
回転子の磁極構成は磁性体突極と磁気空隙部とが周方向に交互に並ぶ磁極部111,隣り合う磁性体突極を軸方向の異なる側に延長させてそれぞれ集合させた第一延長部112,第二延長部113とから構成されている。
回転子の磁極部111の内周側には励磁磁極部が配置されて第一延長部112,第二延長部113に結合し,隣接磁性体突極を互いに異極に磁化する。励磁磁極部の主要部を界磁磁石7a,主磁極7b,バイパス磁極7cから構成され,主磁極7b,バイパス磁極7cは励磁磁極部支持体7dに固定され,励磁磁極部支持体7dは回転軸71に回動可能に支持されている。番号7nは回転子に固定された冷却ファンを示す。
主磁極7b,バイパス磁極7c,励磁磁極部支持体7dを回転偏倚させる偏倚制御手段は,主要部を回転軸71の中空部に収納された制御棒7g,スプリング7j,スリーブ7h,プッシュロッド7k,アクチュエータ7mとから構成され,制御棒7gには励磁磁極部支持体7dに固定したピン7fが回転軸71のスリット7eを介して係合される構成として制御棒7gの回転偏倚を励磁磁極部支持体7dに伝達する構成である。
図12は図11のC−C’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第二の実施例と同じであるので説明は省略する。
図12に於いて,回転子は磁性体突極と磁気空隙部とを周方向に交互に有する構造とし,隣接する磁性体突極を番号121,122で代表させ,磁気空隙部を番号123で示している。番号124は第二実施例に於ける磁束チャネル部79に相当する磁束チャネル部である。第三実施例では磁性体突極121,122の断面積は小さいので内周側の空きスペースを利用して可能な限り断面積の大きい磁束チャネル部124として界磁磁束の伝搬供給を可能にする構成としている。
磁性体突極121,122は幅の狭い可飽和磁性体部125で連結された構成として所定の型で打ち抜き,積層して構成されている。磁気空隙部123を含む非磁性体の部分には非磁性で且つ比抵抗の大きい材料,レジン,樹脂等を充填して構成している。番号126は回転子の内周側に配置された第一延長部112に結合する磁性体断面を示している。
本実施例に於いては,回転子内周側の空きスペースを利用して断面積が大きく,且つ飽和磁束密度の大きな鉄で構成した磁束チャネル部を磁性体突極の電機子より遠い側に配置した。磁性体突極が珪素鋼板の積層で構成され,積層された珪素鋼板の積層方向の磁気抵抗は大きいが,積層方向の磁気抵抗を小として界磁磁束を伝搬させる事が出来る。磁性体突極全体を電気抵抗が大の圧粉鉄芯,フェライト等の等方性磁性体で構成しても磁気抵抗を小に出来るが,磁性体突極の断面積が小であるので本実施例のように飽和磁束密度の大な磁性体で界磁部近傍の空きスペースを利用して断面積の大きな磁束キャリア部を配置する事が望ましい。
図13は回転子の構成を示す斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極121,122等を有する中心部と磁性体突極の第一,第二延長部112,113とを離して示してある。番号71’は回転軸71を通す穴を示す。第一延長部112は鉄を鍛造して磁性体突極121の延長部分となる磁性体突部131を有して構成され,非磁性体部133は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第二延長部113は鉄を鍛造して磁性体突極122の延長部分となる磁性体突部132を有して構成され,非磁性体部134は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。番号135は励磁磁極部の一部を示す。
図11に縦断面図を示した励磁磁極部は第一の実施例,第二の実施例に於ける励磁磁極部とほぼ同じ構成である。界磁磁石7a,主磁極7b,バイパス磁極7cはそれぞれ図1に於ける界磁磁石1a,主磁極1b,バイパス磁極1cに対応し,異なっている点は図1に於けるベース磁極1dが第二延長部113と結合する磁性体に,ロータハウジング19が第一延長部112と結合する磁性体に置き換わっている。隣接する磁性体突極121,122を互いに異極に磁化し,界磁磁束を供給する原理作用は同じであるので説明は省略する。
図11に示した主磁極7b,バイパス磁極7cを界磁磁石7aに対して偏倚制御して隣接する磁性体突極121,122間に供給する界磁磁束を制御する偏倚制御手段の構成は図7に示した第二実施例の偏倚制御手段と全く同じであり,詳細な構成の説明及び動作の説明は主略する。
以上,図11,図12,図13に示した回転電機に於いて,主磁極7b及びバイパス磁極7cを界磁磁石7aに対して相対偏倚させる事で磁性体突極121及び磁性体突極122と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量をほぼ100%制御できることを説明し,さらに主磁極7b及びバイパス磁極7cを界磁磁石7aに対して偏倚させる手段方法を説明した。第三の実施例は界磁磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機を電動機とし,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。
制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり磁性体突極121及び磁性体突極122と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを左方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を小とさせる。
回転速度が所定の値より小となり磁性体突極121及び磁性体突極122と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを右方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を大とさせる。
回転電機を発電機とし,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。
制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり磁性体突極121及び磁性体突極122と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを左方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を小とさせる。
発電電圧が所定の値より小となり磁性体突極121及び磁性体突極122と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66がアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを右方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を大とさせる。
本発明による回転電機システムの第四実施例を図14を用いて説明する。第四実施例は,第三実施例に於いて,磁性体突極間に周方向の磁化を持つ永久磁石を配置して隣り合う磁性体突極を互いに異極に励磁している回転電機システムであり,第三実施例と異なっている部分に集中して説明する。図14は電機子と回転子との構成を示す断面図である。
回転電機システム全体の構成は図11,図13に示した第三実施例と同じであるので説明は省略し,図14を用いて回転子の磁極構成を説明する。
図14に於いて,磁性体突極間に周方向の磁化を持つ永久磁石141が配置される構成であり,隣接する永久磁石141は互いに逆方向の磁化を持つとして隣接する磁性体突極121,122を互いに異極に磁化している。永久磁石141内の矢印は磁化方向を示し,磁性体突極121はN極に,磁性体突極122はS極に励磁されている。
第四実施例で重要な点は励磁磁極部により磁性体突極121,122を励磁する磁化の方向と永久磁石141により磁性体突極を磁化する方向とを一致させるよう永久磁石141及び励磁磁極部を配置する事である。第四実施例の全体構成は第三実施例と同じであるので図11を参照すると,界磁磁石7aの磁化方向は主磁極7b側をN極とする方向であり,主磁極7bは第一延長部112を介して磁性体突極121をN極に磁化している。界磁磁石7aのS極側も第二延長部113を介して磁性体突極122に結合され,磁性体突極122をS極に磁化している。
このように構成する事で磁性体突極121,磁性体歯74間の界磁磁束量は永久磁石141による寄与分に励磁磁極部からの界磁磁束が加算され,励磁磁極部からの界磁磁束量を制御する事で磁性体突極121,磁性体歯74間の界磁磁束量は制御される。
第四の実施例は第三の実施例に於いて,回転子の磁極構成を僅かに変えたのみであるので界磁磁束を制御する動作原理,或いは回転電機システムとしての動作は同じであるので説明は省略する。
本実施例で永久磁石141と励磁磁極部が磁性体突極を磁化する方向は同じとなるよう両者を配置構成した。これが逆の場合には永久磁石141と界磁磁石7aとが閉磁気回路を構成し,主磁極7bの偏倚制御に際して妨げとなる大きな磁気力を発生させ,精密な制御を困難にする。
永久磁石141による界磁磁束への寄与分は励磁磁極部による界磁磁束の制御範囲を狭くするとの意味に於いては好ましい存在ではない。しかし,磁性体突極先端部の空隙間に永久磁石を配置して空隙部に於ける漏洩磁束を低減する構造,またリラクタンストルクを利用する回転電機に於いて一様な磁性体を周方向に磁化を持つ永久磁石で区分して磁性体突極を形成すると共に磁束バリアとする構造が存在する。本実施例はこのような従来の回転電機に於いて界磁制御を容易にする実施例として意味がある。
本発明による回転電機システムの第五実施例を図15から図20を用いて説明する。第五実施例は,回転子の磁極構成を磁性体突極と集合磁石とし,周方向に隣り合う磁性体突極を軸方向の異なる側に延長してそれぞれ第一延長部,第二延長部として集合させ,第一延長部,第二延長部と磁気的に結合して隣り合う磁性体突極を互いに異極に磁化する励磁磁極部を回転子両端のハウジング側に配置した回転電機システムである。
図15は回転電機の縦断面図,図16は電機子と回転子との構成を示す断面図,図17は回転子の構成及び励磁磁極部の配置を示す斜視図,図18は励磁磁極部の縦断面図,図19は励磁磁極部の平面図,図20は偏倚制御手段の斜視図である。
図15はラジアルギャップ構造の回転電機を示し,回転軸71がベアリング73を介してハウジング72に回動可能に支持されている。電機子はハウジング72に固定された円筒状磁気ヨーク75と,円筒状磁気ヨーク75から径方向に延びる複数の磁性体歯74と,磁性体歯74に巻回された電機子コイル76とから構成されている。
回転子の磁極部は磁性体突極と集合磁石とが周方向に交互に並ぶ磁極部151,隣り合う磁性体突極を軸方向の異なる側に延長させてそれぞれ集合させた第一延長部152,第二延長部153とから構成されている。
回転子の第一延長部152,第二延長部153と空隙を介して静止側に二つの励磁磁極部が配置され,第一延長部152,第二延長部153と円筒状磁気ヨーク75間にそれぞれ界磁磁束を一括して供給し,隣り合う磁性体突極を互いに異極に磁化する構成である。
同図に於いて,第二延長部153と対向する励磁磁極部は界磁磁石154,主磁極155,バイパス磁極156,ベース磁極157,さらに主磁極155,バイパス磁極156をハウジング72に回動可能に支持する励磁磁極部支持体158とから構成される事が示されている。第一延長部152側の励磁磁極部の構成部材に番号を付していないが,同じ構成であり,同じ部材には番号を用いるとする。ただ,界磁磁石154の磁化方向が第一延長部152,第二延長部153側の励磁磁極部に於いては互いに逆となるよう配置されている。
図16は図15のD−D’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第二の実施例と同じであるので説明は省略する。
図16に於いて,回転子は磁性体突極と集合磁石とを周方向に交互に有する構造である。中間磁性体突極163の両側面にほぼ同じ磁化方向の磁石板164,165が配置された組み合わせは磁気的には磁石と等価な集合磁石として,回転子の表面磁極部は一様な磁性体を周方向に等間隔に配置された集合磁石によって区分された磁性体突極161,162及び集合磁石とから構成されている。さらに隣接する磁性体突極161,162は互いに異なる方向の磁化が現れるよう隣接する集合磁石の周方向磁化方向は互いに反転して構成されている。磁性体突極161,162それぞれの周方向両側面に配置された磁石板164,165はV字状の配置であり,磁石板164,165の交差角度は磁束バリアに好適な角度に設定する。磁石板164,165に付された矢印は磁石板164,165の板面にほぼ直交する磁化方向を示す。
番号167は第二実施例に於ける磁束チャネル部79に相当する磁束チャネル部である。第五実施例では磁性体突極161,162の断面積は小さいので内周側の空きスペースを利用して可能な限り断面積の大きい磁束チャネル部167として界磁磁束の伝搬供給を可能にする構成としている。番号166は磁石板164,165の磁路の磁気抵抗を大にする為に設けた磁気空隙部である。
磁性体突極161,162,中間磁性体突極163を珪素鋼板から磁石板164,165或いは磁束チャネル部167,磁気空隙部166に相当する部分を打ち抜いて積層した後,磁石板164,165を挿入し,磁束チャネル部167には鉄のブロックを挿入して構成する。
図17は回転子の構成及び励磁磁極部の配置を示す斜視図である。理解を容易にする為に磁性体突極161,162等を有する中心部と磁性体突極の第一,第二延長部152,153とを離して示してある。
第一延長部152は鉄を鍛造して磁性体突極161の延長部分となる磁性体突部173を有して構成され,非磁性体部175は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第二延長部153は鉄を鍛造して磁性体突極162の延長部分となる磁性体突部174を有して構成され,非磁性体部176は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。
第一延長部152,第二延長部153にはそれぞれ励磁磁極部171,172が空隙を介して対向し,励磁磁極部171,172の主磁極155及びそれに結合する磁性体は第一延長部152,第二延長部153それぞれの磁性体突部173,174と磁気的に結合し,励磁磁極部171,172のベース磁極157は図示していない円筒状磁気ヨーク75の両端に結合されている。
励磁磁極部171,172の励磁磁極部支持体158は後に説明されるように周方向に回転偏倚制御されて主磁極155及びバイパス磁極156と界磁磁石154間の相対位置を変える構成である。
図18及び図19を用いて励磁磁極部の構成を説明する。図18及び図19は励磁磁極部172の縦断面図及び回転子側から見た平面図を拡大して示している。
図18,19に於いて,界磁磁石154は周方向に3個等間隔でベース磁極157の内周側に固定され,各界磁磁石154に径方向に対向して主磁極155及びバイパス磁極156が周方向に並んで配置されている。界磁磁石154は常に主磁極155及びバイパス磁極156と対向し,界磁磁石154が主磁極155及びバイパス磁極156と対向する面積の和は一定であり,それらの面積比が界磁磁石154と主磁極155及びバイパス磁極156間の相対偏倚により変化するよう構成されている。番号191は磁束短絡を防ぐ為の磁気空隙部である。
主磁極155は空隙を介して対向する第二延長部172の磁性体突部174と磁気的に結合され,バイパス磁極156は微小の間隙181を介してベース磁極157に磁気的に結合している。本実施例の励磁磁極部172に於いて,主磁路は主磁極155,第二延長部153の磁性体突部174,磁性体突極162,磁性体歯74,円筒状磁気ヨーク75からベース磁極157に至る磁路であり,バイパス磁路はバイパス磁極156から間隙181を介してベース磁極157に至る磁路である。本発明ではバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗とほぼ等しくさせるよう間隙181に於ける対向面積及び間隙長を調整している。
磁性体突極161,162は磁石板164,165により磁化され,磁性体突極161はN極に,磁性体突極162はS極である。本実施例で重要な点は励磁磁極部171,172による磁性体突極161,162の励磁はまた磁石板164,165による磁化と同じ種類の磁化となるように配置されている事である。すなわち,励磁磁極171に於いて界磁磁石154は主磁極155をN極に磁化して磁性体突部173,磁性体突極161をN極側に励磁する。さらに励磁磁極部172に於いて界磁磁石154は主磁極155をS極に磁化して磁性体突部174,磁性体突極162をS極側に励磁している。
このように磁石板164,165及び励磁磁極部171,172は共に磁性体突極161,162をそれぞれ励磁している。集合磁石を構成する磁石板164,165の役割は界磁磁束を発生すると共に周方向に磁気抵抗の大きな領域を形成する為の磁束バリアである。本実施例に於いては励磁磁極部171,172から十分な界磁磁束を供給出来,また励磁磁極部171,172からの界磁磁束を分流制御して電機子側への界磁磁束制御が目的であるので磁石板164,165からの界磁磁束は界磁磁束制御の観点からは障害になる存在である。中間磁性体突極163中に設けたスリットで構成した磁気空隙部166は磁石板164,165の磁束が通る磁路の磁気抵抗を大として電機子側に流れる界磁磁束への磁石板164,165の寄与を小にする為に設けられている。
図19に於いて磁気空隙部191の一部に設けた空隙部192及び突部193は主磁極155及びバイパス磁極156の偏倚規制手段を構成している。すなわち突部193は主磁極155及びバイパス磁極156側に固定され,隣接する界磁磁石154を突部193のストッパーとして構成されている。図19に示す状態が基準位置であり,突部193は界磁磁石154側面に当接し,その位置から主磁極155及びバイパス磁極156が時計回り方向にほぼ主磁極155の周方向角度長だけ回転偏倚すると,突部193は隣接する界磁磁石154の側面に当接して回転偏倚量を規制する。
図20は励磁磁極部172に於いて界磁磁石154に対して主磁極155及びバイパス磁極156を回転偏倚させる偏倚制御手段を示す斜視図である。
同図に於いて,励磁磁極部支持体158の端面にはギア201が設けられ,ギア201に噛み合うようギア202及びステップモータ203が配置されている。ステップモータ203とギア201,202により主磁極155及びバイパス磁極156の位置を保持すると共にステップモータ203を回転駆動させて主磁極155及びバイパス磁極156を界磁磁石154に対して偏倚させ,磁性体突極162と磁性体歯74間の界磁磁束量を変える。励磁磁極部171側にも同じ構成の偏倚制御手段が設けられている。
以上,図15から図20に示した回転電機に於いて,励磁磁極部171,172の主磁極155及びバイパス磁極156を界磁磁石154に対して相対偏倚させる事で磁性体突極161及び磁性体突極162と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を制御できることを説明し,さらに主磁極155及びバイパス磁極156を界磁磁石154に対して偏倚させる手段方法を説明した。第五の実施例は界磁磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図6を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機を電動機とし,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。
制御装置65は出力63である回転速度が所定の値より大となり磁性体突極161及び磁性体突極162と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66が励磁磁極部171,172のステップモータ203により,図19に於いて主磁極155とバイパス磁極156を時計回り方向に回転偏倚させて主磁極155と界磁磁石154の対向面積を小とさせる。
回転速度が所定の値より小となり磁性体突極161及び磁性体突極162と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66が励磁磁極部171,172のステップモータ203により,図19に於いて主磁極155とバイパス磁極156を反時計回り方向に回転偏倚させて主磁極155と界磁磁石154の対向面積を大とさせる。
回転電機を発電機とし,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。
制御装置65は出力63である発電電圧が所定の値より大となり磁性体突極161及び磁性体突極162と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を小とする時には制御信号66が励磁磁極部171,172のステップモータ203により,図19に於いて主磁極155とバイパス磁極156を時計回り方向に回転偏倚させて主磁極155と界磁磁石154の対向面積を小とさせる。
発電電圧が所定の値より小となり磁性体突極161及び磁性体突極162と,磁性体歯74との間に於ける界磁磁束量を大とする時には制御信号66が励磁磁極部171,172のステップモータ203により,図19に於いて主磁極155とバイパス磁極156を反時計回り方向に回転偏倚させて主磁極155と界磁磁石154の対向面積を大とさせる。
本発明による回転電機システムの第六実施例を図21を用いて説明する。第六実施例は,第五実施例に於いて,回転子の磁極構成を変えたのみで他は同じ構成である。異なる点に集中して説明する。図21は電機子と回転子の構成を示す断面図である。
図21に於いて,回転子の表面磁極部は磁性体歯74と径方向に空隙を挟んで対向し,軸方向に伸び,外周形状が凸の磁性体突極211,212が周方向に複数個配列され,磁性体突極211,212はさらに磁性体突極に対向する鉄心内の平面状空隙で区分され,その空隙には永久磁石213,214が配列されている。永久磁石213,214は径方向の磁化方向を持ち,隣接する永久磁石213,214は互いに磁化方向を反転させて配置されているので隣接する磁性体突極211,212は互いに逆極性に磁化されている。永久磁石213,214内の矢印は磁化の方向を示す。
磁性体突極211,212は同じ磁性体板から作られている。すなわち,珪素鋼板を型で永久磁石213,214を収納するスロット部分を打ち抜き,磁性体突極211,212,さらに磁性体突極211,212間を結ぶ幅の小さい磁性体結合部215を残して形成された珪素鋼板を積層して構成されている。永久磁石213,214を収納する空隙で区分され,磁性体突極211,212と磁気的に分離された鉄心の内周側の領域は磁気ヨーク217として磁性体突極211,212を機械的に強固に支持すると共に永久磁石213,214の磁路の一部となっている。さらに回転子の軸方向中間で磁気ヨーク217部分を切除した珪素鋼板を積層し,磁気ヨーク217の軸方向の磁気抵抗を大に構成している。番号216は永久磁石213,214両端部に残した空隙を示す。
隣接する磁性体突極211,212は軸方向の異なる方向に延長され,第五の実施例と同じように第一延長部152,第二延長部153として集合し,それぞれ空隙を介して励磁磁極部171,172が配置されている。
励磁磁極部171,172の構成,界磁磁束の原理作用,回転電機システムとしての原理作用等は第五の実施例と同じであるので説明は省略する。
本発明による回転電機システムの第七実施例を図22から図25までを用いて説明する。第七実施例は,アキシャルギャップ構造の単極回転子を持つ回転電機システムである。励磁磁極部は回転子内に配置され,ガバナ機構により界磁磁束を制御する構成である。図22は回転電機の縦断面図,図23は電機子と磁性体突極との構成を示す平面図,図24は励磁磁極部の構成を示す平面図,図25は励磁磁極部の相対偏倚をした界磁磁石と主磁極を示す平面図である。
図22は界磁部を回転側に配置したアキシャルギャップ構造の回転電機を示し,回転軸221はベアリング223を介して基板222に回動可能に支持されている。電機子は鉄製の基板222から軸方向に延びる複数の磁性体歯224と,磁性体歯224に巻回された電機子コイル225とから構成されている。磁性体歯224及び電機子コイル225は回転軸221を中心に周方向に9個配置されて電機子コイル225は三相に結線されている。
回転子は磁性体歯224と軸方向に対向する表面磁極層227,可動磁極層229,カップ226とから成り,表面磁極層227及びカップ226は回転軸221に固定され,可動磁極層229は表面磁極層227及びカップ226と微小間隙で対向すると共にベアリング223を介して回転軸221に回動可能に支持されている。
表面磁極層227は非磁性で電気抵抗の大な樹脂基板に円環状のベース磁極22dが配置され,ベース磁極22d上の磁性体歯224側に磁性体突極228が配置され,ベース磁極22d上の磁性体歯224と反対側には界磁磁石22aが配置されている。ベース磁極22dは交流磁束が通るので円環状の珪素鋼板が積層されて構成されている。
可動磁極層229は非磁性のステンレススチールで構成され,主磁極22b,バイパス磁極22cが配置されている。カップ226は磁性体である鉄で構成され,カップ226の外周部は基板222と微小間隙を介して対向するよう構成され,主磁極22bからの界磁磁束はカップ226を介して鉄製の基板222に流れる構成である。
可動磁極層229は回転軸221,カップ226,表面磁極層227と共に回転し,低回転速度,高回転速度では遠心力を利用して回転軸221,カップ226,表面磁極層227に対して周方向の相対偏倚量が異なる構造としている。表面磁極層227に設けた径方向のガイド溝22e及びスプリング22h,可動磁極層229に設けた弧状のガイド溝22f及び錘22gはその為に設けた機構の一部であり,図24,25を用いて詳細に説明する。
図23(a)は表面磁極層227側から見た電機子の平面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。
磁性体歯224は略T字状の構造であり,ハッチされた部分が鉄製の基板222に立設されると共に電機子コイル225が巻回されている。表面磁極層227との対向面では隣接する磁性体歯224間で微小間隙を介して対向する構成であり,番号231はその微小間隙の磁気空隙部を示している。第七の実施例では9個の磁性体歯224及び電機子コイル225を持ち,電機子コイル225は三相に結線されている。鉄製の基板222は磁性体歯224と共に界磁磁束の主磁路の一部を形成する。
図23(b)は磁性体歯224と対向する表面磁極層227の構成を示す図であり,表面磁極層227を磁性体歯224側から見た平面図を示している。表面磁極層227上に配置された円環状のベース磁極22d上に磁性体突極228が等間隔に6個配置されている。
励磁磁極部は表面磁極層227及び可動磁極層229で構成されている。図24(a)は表面磁極層227を可動磁極層229側から見た平面図を示し,ベース磁極22d上に界磁磁石22aが3個等間隔に配置されている。界磁磁石22aの磁化方向は図22に矢印で示すように回転軸221と平行である。
図24(b)は可動磁極層229をカップ226側から見た平面図を示し,界磁磁石22aに微小空隙を介して主磁極22b,バイパス磁極22cが対向し,バイパス磁極22cはバイパス磁性体241と結合し,バイパス磁性体241は図22に断面を示すようにベース磁極22dと微小間隙を介して対向している。主磁極22bはバイパス磁極22cより厚く,微小間隙を介してカップ226と磁気的に結合している。
図24(a),(b)には回転速度に応じて可動磁極層229をカップ226及び表面磁極層227に対して相対偏倚させるガバナ機構が示されている。錘22gが径方向のガイド溝22e及び弧状のガイド溝22fに摺動可能に配置され,ガイド溝22e内に配置されたスプリング22hが錘22gを内周側に付勢する構造である。ガイド溝22fは可動磁極層229の表面磁極層227側に配置されているが,分かり易くする為に図24(b)では錘22gと共に実線で示している。
錘22gの基準位置は遠心力が働かない静止時に於ける位置であり,錘22gは最内周に位置し,回転速度が増すと錘22gに働く径方向の遠心力とスプリング22hとが押し合い,釣り合う径位置に錘22gは移動する。その過程で弧状のガイド溝22fは周方向の力を受けて可動磁極層229を表面磁極層227及びカップ226に対して相対的に偏倚させる。図24(b)では錘22gが最内周の基準位置から外周側に僅かに移動した例を示している。
さらに回転速度が増し,径方向のガイド溝22e或いは弧状のガイド溝22fの終端に至った点で可動磁極層229の偏倚は最大となり,径方向のガイド溝22e或いは弧状のガイド溝22fの寸法で可動磁極層229の偏倚量の規制手段としている。
図25(a)は基準位置にある主磁極22b及びバイパス磁極22c,図25(b)は最大偏倚した主磁極22b及びバイパス磁極22cを示し,図22から図25を用いて磁性体突極228,磁性体歯224間の界磁磁束量を制御する原理を説明する。
界磁磁石22aからの界磁磁束は二つの磁路である主磁路及びバイパス磁路とを有する。主磁路は界磁磁石22aから主磁極22b,カップ226,基板222,磁性体歯224,磁性体突極228,ベース磁極22dを経て界磁磁石22aに環流する磁路であり,バイパス磁路は界磁磁石22aからバイパス磁極22c,バイパス磁性体241,ベース磁極22dを経て界磁磁石22aに環流する磁路である。本実施例ではバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗とほぼ等しく設定するようバイパス磁性体241,ベース磁極22d間の空隙に於ける対向面積及び空隙長を調整する。
本発明の趣旨に沿って,界磁磁石22aは常に主磁極22b及びバイパス磁極22cと対向し,その対向面積の和は一定であり,界磁磁石22aと主磁極22b及びバイパス磁極22c間の偏倚に対応して対向面積の比は変化するよう構成されている。
界磁磁石22aからの界磁磁束は対向する主磁極22b,バイパス磁極22cに対向面積比に応じて分流され,それぞれ主磁路,バイパス磁路を介して界磁磁石22aに環流する。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗はほぼ等しく,界磁磁石22aが対向する主磁極22b及びバイパス磁極22cの対向面積の和は一定であるので界磁磁石22aからの総磁束量は常に一定である。したがって,界磁磁石22aと主磁極22b及びバイパス磁極22c間の偏倚を妨げるような磁気力は発生しない。
図25(a),(b)に於いて,点線251は界磁磁石22aの周方向位置を示している。静止時には錘22gに遠心力が働かないのでスプリング22hにより最内周の基準位置に押し込まれ,主磁極22bと界磁磁石22aとの対向面積は最大で磁性体突極228と磁性体歯224間には最大の界磁磁束が流れている。
図25(b)では回転速度が高く,錘22gに作用する遠心力はスプリング22hの内周への付勢力に勝って錘22gをガイド溝22f或いはガイド溝22eの最外周部分に移動させ,主磁極22b及びバイパス磁極22cの界磁磁石22aに対する偏倚量を最大として主磁極22bと界磁磁石22aとの対向面積を最小とし,磁性体突極228と磁性体歯224間に流れる界磁磁束を最小としている。
本実施例により,回転速度に応じて主磁極22b,バイパス磁極22cを界磁磁石22aに対して偏倚させ,電機子コイル225と鎖交する界磁磁束量を制御できることを示した。先行する技術提案に於いて,界磁磁石の短絡或いは界磁磁石の磁路の磁気抵抗等の制御に関してガバナ機構を利用する例が有るが,何れも部材間に働く磁気力の存在により制御自体が出来ないか或いはハンチング等の不具合を招来している。本発明では主磁極22b,バイパス磁極22cの偏倚に際して原理的に磁気力は発生しないので円滑な制御が可能である。回転速度と上記偏倚量との関係は錘22gとスプリング22hの諸元,ガイド溝22fの形状等に依存する。本実施例のように遠心力を利用しての電機子コイル225と鎖交する界磁磁束量制御は正確さに欠ける短所はあるが,シンプルな機構で特段の制御装置を不要とする事にメリットがある。
第七実施例ではカップ226と基板222間の空隙を微小として界磁磁束の磁路の一部とした単極のアキシャルギャップ構造の回転電機システムであるが,第一の実施例と同様に励磁磁極部をカップ226,基板222間の静止側に配置する構成も可能であり,その場合には回転子を軽量化出来る。
また,第七実施例は単極の回転子の例であったが,隣接する磁性体突極を互いに異極に磁化するアキシャル構造の回転電機も勿論可能である。その場合はラジアルギャップ構成である第三の実施例と同様に隣接する磁性体突極をそれぞれ径方向の異なる方向に延伸させてそれぞれ第一延長部,第二延長部として集合させ,励磁磁極部を回転側或いは静止側に配置し,第一延長部及び第二延長部を互いに異極となるよう励磁する構成とする。
電機子と界磁部とが軸方向に対向するアキシャルギャップ構造の回転電機システムでは,電機子と界磁部間の空隙を制御して界磁強度の制御は容易であるように見え,多くの先行技術提案がある。しかし,電機子と界磁部間には常に磁気吸引力が働いており,それらの間の間隙制御には大出力のアクチュエータを必要とするか,応答時間を犠牲にしてギアダウン機構を採用する必要がある。さらに,電機子,界磁部間の間隙を大にした場合には,漏れ磁束分布が広がり,回転駆動制御に支障を来すと共に界磁強度の制御範囲に限界がある。
本実施例によれば,主磁極22b,バイパス磁極22cには原理的に偏倚に抵抗する磁気力の発生は無く,電機子コイル225と鎖交する界磁磁束をゼロにまで減少させる事が出来る。さらに電機子と界磁部間の間隙を調整する構造に比して軸方向の長さを小としてコンパクトな回転電機システムに出来る長所がある。
本発明による第八実施例を図26を用いて説明する。第八実施例は第三実施例の回転電機装置をハイブリッドカーの発電機兼電動機として用いた回転電機システムである。
同図に於いて,番号261は第三の実施例で示した回転電機装置を示し,回転電機装置261はハイブリッドカーのエンジン262とベルトで回転力を伝達するよう結合された回転軸269を持ち,回転軸269の回転力はトランスミッション263を介して駆動軸26aに伝えられる。制御装置264は上位制御装置からの指令26bを受け,電動機駆動回路265を介して回転電機装置261を電動機として駆動し,界磁制御回路266を介して回転電機装置261の界磁強度を制御する。更に制御装置264は上位制御装置からの指令26bを受け,電機子コイル76の引き出し線26cに現れる発電電力を整流回路267を介して整流し,バッテリー268を充電する構成としている。
制御装置264は指令26bの指示により電動機駆動回路265を介して回転電機装置261を電動機として駆動し,エンジン262の回転をアシスト或いは単独で回転軸269を回転駆動させ,トランスミッション263,駆動軸26aを介してハイブリッドカーの駆動力に寄与する。
起動直後の低回転速度域で磁石トルクを強化する必要がある場合は制御装置264が界磁制御回路266を介して電機子の磁性体歯74,回転子の磁性体突極121,122間の界磁磁束量を大とするようアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを右方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を大とさせる。
高回転速度域で弱め界磁とする場合には制御装置264が界磁制御回路266を介して電機子の磁性体歯74,回転子の磁性体突極121,122間の界磁磁束量を小とするようアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを左方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を小とさせる。
エンジン262の回転力のみでハイブリッドカーを駆動できる時は,指令26bにより電機子コイル76の引き出し線26cに現れる発電電力を整流回路267を介して直流に変え,バッテリー268を充電させる。その場合に制御装置264はバッテリー268を充電する最適な電圧になるよう界磁制御回路266を介してアクチュエータ7mを制御する。バッテリー268に充電する場合に回転電機装置を定電圧発電機とする事で発電電圧を変換するコンバータは不要である。また,更にバッテリー268が電圧の種類の異なる複数種のバッテリーで構成される場合でも切り替え回路を付け加えてそれぞれのバッテリーに最適の発電電圧に制御する事で高価なコンバータを不要に出来る。
第八実施例はまたハイブリッドカーの制動時に於けるエネルギー回収システムとしても有効に機能する。指令26bを通じて回生制動の指示を受けると,制御装置264は界磁制御回路266を介して電機子の磁性体歯74,回転子の磁性体突極121,122間の界磁磁束量を大とするようアクチュエータ7mにより,プッシュロッド7kを右方向に駆動して主磁極7bと界磁磁石7aの対向面積を大とし,発電電力でバッテリー268に充電させる。複数のバッテリー268を有する場合には最も充電余力のあるバッテリー268の充電電圧に合わせた発電電圧が得られるよう界磁制御回路266を介してアクチュエータ7mを制御して電機子の磁性体歯74,回転子の磁性体突極121,122間の界磁強度を制御する。回転電機装置261は駆動用電動機として用いられる体格であるので回生制動用の発電機として十分な制動力を発生できる。
本発明による回転電機システムは従来の界磁制御を行う回転電機に比していくつかの特徴がある。
特徴の一つは,適用可能な磁極構成の柔軟さである。界磁部或いは電機子を二分して磁束の位相制御を行うシステムではリラクタンストルクの減衰が大で適用は磁石トルク利用の回転電機に限定される。磁石を磁性体中に埋め込んで磁石極と磁性体極とを交互に有する回転電機では磁極構造が特殊でリラクタンストルクの利用には支障がある。このように先行する技術提案に於いて,実用に供し得る回転電機構成の数は少なく,しかも磁極構成への規制が強くて普遍性に欠ける。本発明の回転電機に於いても磁極構成への制約は存在するが,実施例に示したように発明の趣旨の範囲内でかなりの変形が可能であり,磁石トルク及びリラクタンストルク利用の回転電機システムに適用出来る。
他の特徴は,回転速度範囲の拡大である。本発明では界磁磁石からの界磁磁束を磁性体突極とバイパス磁極への分流比を変える事で磁性体突極と電機子間の界磁磁束を制御している。磁性体突極に流入する界磁磁束を少なくする事で磁石トルクからリラクタンストルク利用に切り替えても磁性体突極というリソース全体をリラクタンストルクの為に利用出来る。さらに磁性体突極からの界磁磁束をほぼゼロに近いまでに制御してリラクタンストルクのみによる駆動を可能として回転速度域を高速側に拡大出来る。
他の特徴は,高いエネルギー効率である。本発明では界磁磁石からの界磁磁束を磁性体突極への流入部以前で分流制御している。したがって,不要な界磁磁束が電機子側に漏れないので渦電流損を発生する事は無い。また,磁束の分流制御に際して障害となる磁気力の発生は無く,小出力のアクチュエータで制御は可能であり,また磁束の分流制御は機構部の偏倚で実現するので分流制御状態は保存され,更なるエネルギー消費を必要とする事はない。
さらに他の特徴は,磁束分流制御の為の機構部偏倚に障害となる磁気力が発生しない事である。先行する技術提案には界磁磁石の短絡,界磁磁束の磁気抵抗変更等を機構部偏倚により行う数多くの例がある。一般に磁気回路の一部に可動部分を設けた場合,可動部分は磁気回路の磁気抵抗を小とする方向の磁気力を受ける。回転電機の力の源泉であるのでその磁気力も回転電機の出力相当であり,如何にも効率が悪い。上記先行提案例で磁気力が小さいならそれは効果が期待出来ない部分か,或いは回転電機の効率自体が疑わしい。本発明では界磁磁束の分流制御に際しては界磁磁石からの界磁磁束総量は変わらないように機構部の偏倚制御を行うので障害となる磁気力の発生は無く,小出力のアクチュエータにより精密な制御を可能としている。
本発明が実現した界磁制御の可能な磁石励磁回転電機システムが最も適している応用分野の一つは移動体に於ける駆動,発電応用である。この応用分野はまた,回転電機外の原因により障害の発生する確率も高い。その場合に如何に回転電機システムへの損傷を最小限にするかも大きな課題であり,先行する提案もある。そのような障害発生時に本発明では電機子側に流れる界磁磁束をゼロ近くの最小値に制御する事で電機子コイルへの過大電圧発生を回避出来る。またその場合に電機子コイルに過大電流が流れて磁性体歯から過大の磁束が加えられる事はあっても界磁磁石にまでは至らず界磁磁石を損傷させる事態も回避出来る。
以上,本発明の回転電機システムについて,実施例を挙げて説明した。これらの実施例は本発明の趣旨,目的を実現する例を示したのであって本発明の範囲を限定するわけでは無い。例えば,上記の実施例では,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせを周方向に偏倚させて主磁路に於ける界磁磁束量を制御する構成を説明したが,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせを直線方向に偏倚させる構成も可能であり,回転電機装置の構成に合わせて最適な偏倚制御手段を選ぶ事が出来る。上記実施例を組み合わせる,或いは実施例の一部を組み合わせて本発明の趣旨,目的を実現するシステムを完成させる等が可能な事は勿論である。
本発明による回転電機システムは従来の磁石トルク,リラクタンストルクを利用する回転電機の磁石励磁近傍の構成を変えて回転子と電機子間の界磁強度を容易に制御可能とした。同回転電機システムは従来の回転電機と同様に高出力の電動機として利用できる事に加えて実用出来る回転速度範囲を拡大し,更に発電機能を改善し,またその発電機能を制御できる。
移動体の発電機兼電動機システムに用いて,駆動用電動機としては従来以上の回転速度範囲での使用が期待できる他に制動時のエネルギー回収を可能として総合的なエネルギー消費量を改善できる。
更に定電圧発電機システムとして広い回転速度範囲で発電電圧を一定に制御できるので定電圧制御回路を不要とし,更に電圧の異なる複数種のバッテリー充電にもコンバータを不要に出来,全体のシステムコストを低減出来る。
第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図1に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図1に示された回転電機の励磁磁極部構成を示す平面図である。 図1に示された回転電機の回転偏倚した主磁極とバイパス磁極を示す平面図である。 図1に示された回転電機の偏倚制御手段の一部を示す断面図である。 弱め界磁制御を行う回転電機システムのブロック図である。 第二の実施例による回転電機の縦断面図である。 図7に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図7に示された回転電機の制御棒近傍の縦断面図(a),回転軸のスリット近傍の断面図(b)である。 図7に示された回転電機の制御棒の斜視図(a),スリーブの斜視図(b)である。 第三の実施例による回転電機の縦断面図である。 図11に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図11に示された回転電機の回転子と第一,第二延長部を示す斜視図である。 第四の実施例による回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 第五の実施例による回転電機の縦断面図である。 図15に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図15に示された回転電機の回転子と第一,第二延長部,励磁磁極部を示す斜視図である。 図15に示された回転電機の励磁磁極部の縦断面図である。 図15に示された回転電機の励磁磁極部の平面図である。 図15に示された回転電機の偏倚制御手段の斜視図である。 第六の実施例による回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 第七の実施例による回転電機の縦断面図である。 図22に示された回転電機の電機子と磁性体突極とを示す平面図である。 図22に示された回転電機の励磁磁極部の構成を示す平面図である。 図22に示された回転電機の励磁磁極部の界磁磁石と主磁極の相対偏倚を示す平面図である。 第八の実施例による回転電機システムのブロック図である。
符号の説明
11・・・固定軸, 12・・・基板,
13・・・ベアリング, 14・・・磁性体歯,
15・・・円筒状磁気ヨーク, 16・・・電機子コイル,
17・・・磁性体突極, 18・・・プーリー部,
19・・・ロータハウジング, 1a・・・界磁磁石,
1b・・・主磁極, 1c・・・バイパス磁極,
1d・・・ベース磁極, 1e・・・間隙,
1f・・・励磁磁極部支持体, 1g・・・制御棒,
1h・・・アクチュエータ, 1j・・・スリット部,
1k・・・ピン
31・・・磁気空隙部, 32・・・円筒状磁気コア
41・・・界磁磁石1aの存在領域
61・・・回転電機, 62・・・入力,
63・・・出力, 64・・・状態信号,
65・・・制御装置, 66・・・制御信号,
67・・・駆動制御回路
71・・・回転軸, 72・・・ハウジング,
73・・・ベアリング, 74・・・磁性体歯,
75・・・円筒状磁気ヨーク, 76・・・電機子コイル,
77,78・・回転子, 79・・・磁束チャネル部,
7a・・・界磁磁石, 7b・・・主磁極,
7c・・・バイパス磁極, 7d・・・励磁磁極部支持体,
7e・・・スリット, 7f・・・ピン,
7g・・・制御棒, 7h・・・スリーブ,
7j・・・スプリング, 7k・・・プッシュロッド,
7m・・・アクチュエータ, 7n・・・冷却ファン
81・・・磁性体突極, 82・・・磁気空隙部,
83・・・可飽和磁性体結合部
101・・・斜交溝, 102・・・ピン,
103・・・分割溝, 104・・・ピン
111・・・磁極部, 112・・・第一延長部,
113・・・第二延長部
121,122・・磁性体突極, 123・・・磁気空隙部,
124・・・磁束チャネル部, 125・・・可飽和磁性体部,
126・・・磁性体
131,132・・磁性体突部, 133,134・・非磁性体部,
135・・・励磁磁極部の一部
141・・・永久磁石
151・・・磁極部, 152・・・第一延長部,
153・・・第二延長部, 154・・・界磁磁石,
155・・・主磁極, 156・・・バイパス磁極,
157・・・ベース磁極, 158・・・励磁磁極部支持体
161,162・・磁性体突極, 163・・・中間磁性体突極,
164,165・・磁石板, 166・・・磁気空隙部,
167・・・磁束チャネル部
171,172・・励磁磁極部, 173,174・・磁性体突部,
175,176・・非磁性体部
181・・・磁気的な間隙
191・・・磁気空隙部, 192・・・空隙部,
193・・・突部
201・・・ギア, 202・・・ギア,
203・・・ステップモータ
211,212・・磁性体突極, 213,214・・永久磁石,
215・・・磁性体結合部, 216・・・空隙,
217・・・磁気ヨーク
221・・・回転軸, 222・・・基板,
223・・・ベアリング, 224・・・磁性体歯,
225・・・電機子コイル, 226・・・カップ,
227・・・表面磁極層, 228・・・磁性体突極,
229・・・可動磁極層, 22a・・・界磁磁石,
22b・・・主磁極, 22c・・・バイパス磁極,
22d・・・ベース磁極, 22e・・・ガイド溝,
22f・・・ガイド溝, 22g・・・錘,
22h・・・スプリング
231・・・磁気空隙部
241・・・バイパス磁性体
251・・・界磁磁石22aの周方向位置

Claims (21)

  1. 回転電機システムは,軸と同心に径方向に或いは軸方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された表面磁極部及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を少なくとも有して磁性体突極が永久磁石励磁されている回転電機システムであって,表面磁極部の磁性体突極は励磁される磁化の種類により1或いは2のグループに集合され,集合された磁性体突極のグループをそれぞれ一括して磁石励磁する励磁磁極部を有し,励磁磁極部に於いて,界磁磁石の磁極であるN極,S極の何れか一方を第一界磁磁極,他方を第二界磁磁極として第一界磁磁極が主磁極及びバイパス磁極と対向し,主磁極は流入した界磁磁束が磁性体突極及び電機子を介して第二界磁磁極に環流する主磁路に接続され,バイパス磁極は流入した界磁磁束が主に励磁磁極部内で第二界磁磁極に環流するバイパス磁路に接続されてバイパス磁路の磁気抵抗は主磁路の磁気抵抗とほぼ等しくなるように設定され,第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながらそれぞれの面積比を変えるように主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間は相対偏倚可能に構成され,さらに主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石の何れか一方を偏倚磁極部として偏倚磁極部を他方に対して相対的に偏倚させる偏倚制御手段を有し,回転電機システムの出力に応じて偏倚制御手段を駆動して電機子と磁性体突極間の界磁強度を制御し,前記出力を最適化する事を特徴とする回転電機システム

  2. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,磁性体突極より飽和磁束密度が大の等方性磁性体で構成された磁束キャリア部を磁性体突極の電機子から遠い側の領域に有することを特徴とする回転電機システム
  3. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁磁極部は,一以上の界磁磁石及び主磁極及びバイパス磁極及びバイパス磁路とより成り,軸と同心に界磁磁石は磁気空隙部と交互に周方向に配置され,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせは各界磁磁石の第一界磁磁極に対向して周方向に並ぶ構成とし,主磁路は主磁極と第二界磁磁極間に磁性体突極及び電機子が磁気的に結合されて界磁磁束が環流する磁路とし,バイパス磁路はバイパス磁極と第二界磁磁極間に磁性体及び磁気空隙が磁気的に結合されて界磁磁束が環流する磁路とし,バイパス磁路内の磁気空隙の空隙長及び対向面積を調整してバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗にほぼ等しく設定させる構成とし,第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながらそれぞれの面積比を変えるように主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間は周方向に相対偏倚可能に構成された事を特徴とする回転電機システム

  4. 請求項3記載の回転電機システムに於いて,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石との間の相対偏倚の周方向角度長が第一界磁磁極と対向する面に於ける主磁極の周方向角度長或いはバイパス磁極の周方向角度長の何れか小の周方向角度長を越えないよう規制する偏倚規制手段を有する事を特徴とする回転電機システム
  5. 請求項1記載の表面磁極部及び電機子が軸方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから軸方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置される構成として回転子側に配置され,励磁磁極部は静止側或いは回転子側に配置され,表面磁極部の磁性体突極及び電機子の磁気ヨークそれぞれと主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させて界磁磁束を磁性体突極と磁気ヨーク間に供給する構成とした事を特徴とする回転電機システム
  6. 請求項1記載の表面磁極部及び電機子が軸方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから軸方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置される構成として回転子側に配置され,隣接する磁性体突極は互いに内径方向或いは外径方向の何れか異なる方向に延伸されて第一延長部,第二延長部とし,励磁磁極部は表面磁極部に隣接して電機子より遠い側の回転子側に配置され,第一延長部,第二延長部それぞれを集合する磁性体それぞれと主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させて励磁磁極部が隣接する磁性体突極を互いに異極に磁化するよう配置構成されている事を特徴とする回転電機システム

  7. 請求項1記載の表面磁極部及び電機子が径方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから径方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置される構成として回転子側に配置され,励磁磁極部は回転子と軸方向に隣接して静止側或いは回転子側に配置され,表面磁極部の磁性体突極と磁気ヨークのそれぞれに主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させて界磁磁束を磁性体突極と磁気ヨーク間に供給する構成とした事を特徴とする回転電機システム
  8. 請求項1記載の表面磁極部及び電機子が径方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は軸を周回する磁気ヨーク及び磁気ヨークから径方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置された表面磁極部から成る二つの回転子を互いに一方の磁性体突極に対して他方の磁気空隙部が対応するよう軸方向に配置して第一回転子,第二回転子とし,励磁磁極部が第一回転子,第二回転子間に配置されて第一回転子,第二回転子それぞれの表面磁極部の磁性体突極に主磁極,第二界磁磁極を磁気的に結合させ,第一回転子,第二回転子それぞれの表面磁極部の磁性体突極を互いに異極に磁化するよう構成されている事を特徴とする回転電機システム
  9. 請求項1記載の表面磁極部及び電機子が径方向に対向する回転電機システムに於いて,電機子は磁気ヨーク及び磁気ヨークから径方向に延び周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は,電機子に対向して周方向に磁性体が磁気空隙部或いは永久磁石あるいは集合永久磁石によって区分された一以上の磁性体突極を有し,隣接する磁性体突極は互いに軸と平行の異なる方向に延伸されて第一延長部,第二延長部とし,回転子側或いは静止側に配置された1或いは2の励磁磁極部が隣接する磁性体突極を互いに異極に磁化するよう配置構成されている事を特徴とする回転電機システム

  10. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部は,電機子に対向して軸方向に延びる磁性体突極と磁気空隙部が交互に周方向に配置され,隣接する磁性体突極は互いに軸と平行の異なる方向に延伸されて第一延長部,第二延長部として構成されている事を特徴とする回転電機システム

  11. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部は,電機子に対向して軸方向に延びる磁性体突極と永久磁石とが周方向に交互に配置され,隣接する永久磁石は互いに略周方向の磁化を反転して配置され,隣接する磁性体突極を軸と平行の異なる方向に延伸させてそれぞれ第一延長部,第二延長部を持つ構成とし,励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極がそれぞれ同種の磁化となる第一延長部或いは第二延長部と磁気的に結合して構成されている事を特徴とする回転電機システム

  12. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,集合永久磁石は中間磁性体突極の周方向両側面に板面と直交し且つ同一磁化方向を持つ永久磁石板を配置した構成とし,表面磁極部は,磁性体突極と集合永久磁石が周方向に交互に配置され,隣接する集合永久磁石は互いに略周方向の磁化を反転して配置され,隣接する磁性体突極を軸と平行の異なる方向に延伸させてそれぞれ第一延長部,第二延長部を持つ構成とし,励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極それぞれは同種の磁化となる第一延長部或いは第二延長部と磁気的に結合して構成されている事を特徴とする回転電機システム

  13. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部は,磁性体歯と径方向に空隙を挟んで対向し,且つ軸方向に伸び,鉄心の外周形状及び外周に対向して鉄心内に設けられた空隙とで区分されて周方向に複数の磁性体突極が形成され,鉄心内の前記空隙には永久磁石が配置され,隣接する磁性体突極は互いに逆極性に磁化されるよう永久磁石の磁化方向が設定され,隣接する磁性体突極は互いに磁気的に独立に構成されてそれぞれは互いに軸と平行の異なる方向に延長した第一延長部及び第二延長部を持つ構成とし,励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極それぞれは同種の磁化となる第一延長部或いは第二延長部と磁気的に結合して構成されている事を特徴とする回転電機システム

  14. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,二つの励磁磁極部が,表面磁極部の第一延長部,第二延長部に隣接する静止側に配置され,磁気ヨーク両端と第一延長部,第二延長部間に二つの励磁磁極部の主磁極及び第二界磁磁極が磁気的に結合され,第一延長部,第二延長部が互いに異極に磁化するよう構成されている事を特徴とする回転電機システム
  15. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,一つの励磁磁極部が表面磁極部の内周側に配置されて主磁極及び第二界磁磁極それぞれを第一延長部,第二延長部に磁気的に結合し,第一延長部,第二延長部が異極に磁化するよう構成されている事を特徴とする回転電機システム
  16. 請求項1記載の励磁磁極部を静止側に配置した回転電機システムに於いて,偏倚制御手段は,静止側に配置されたアクチュエータとより構成され,アクチュエータから直接に或いはギア機構を介して偏倚磁極部の停止位置を保持し,停止位置を変える構成とした事を特徴とする回転電機システム
  17. 請求項1記載の励磁磁極部を回転子側に配置した回転電機システムに於いて,偏倚制御手段は,偏倚磁極部或いは偏倚磁極部と係合する部材を軸方向に偏倚させる静止側に配置されたアクチュエータと軸方向移動量を回転偏倚に変える斜面とより構成され,前記アクチュエータが偏倚磁極部或いは偏倚磁極部と係合する部材を軸方向に偏倚させ,軸方向移動量を前記斜面により偏倚磁極部を回転偏倚させる事を特徴とする回転電機システム
  18. 請求項1記載の励磁磁極部を回転子側に配置した回転電機システムに於いて,偏倚制御手段は,回転子の回転速度の増減に伴い錘に作用する径方向の遠心力を周方向の偏倚に変換するガバナ機構とし,ガバナ機構により低回転速度領域では偏倚磁極部を基準位置近傍に保持して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大にして電機子側に流れる界磁磁束量を大に,高回転速度領域では偏倚磁極部を基準位置から所定方向に偏倚させて第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小にして電機子側に流れる界磁磁束量を小とするよう構成した事を特徴とする回転電機システム
  19. 請求項1から17の何れかに記載の回転電機システムに於いて,回転力を入力とし,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とし,発電電圧が所定の値より小の時は偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大とし,発電電圧を所定の値に制御する事を特徴とする回転電機システム
  20. 請求項1から17の何れかに記載の回転電機システムに於いて,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転速度が所定の値より大で弱め界磁とする時には偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を小とし,回転速度が所定の値より小で界磁強度を強める時には偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大として回転力を最適に制御し,回転速度を減少させる場合には電機子と回転子間の界磁強度を大とするよう偏倚制御手段を制御して第一界磁磁極と主磁極とが対向する面積を大とするよう構成され,回転エネルギーを発電電力として取り出す事を特徴とする回転電機システム
  21. 回転電機システムは,軸と同心に径方向に或いは軸方向に互いに対向し且つ相対的に回転可能に配置された表面磁極部及び電機子とより少なくとも構成され,電機子は軸を周方向に配置された複数の磁性体歯と磁性体歯に巻回された電機子コイルとから構成され,表面磁極部は電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を少なくとも有して磁性体突極が永久磁石励磁されている回転電機システムに於いて,表面磁極部の磁性体突極は励磁される磁化の種類により1或いは2のグループに集合され,集合された磁性体突極のグループをそれぞれ一括して磁石励磁する励磁磁極部を有し,励磁磁極部に於いて,界磁磁石の磁極であるN極,S極の何れか一方を第一界磁磁極,他方を第二界磁磁極として第一界磁磁極が主磁極及びバイパス磁極と対向し,主磁極は流入した界磁磁束が磁性体突極及び電機子を介して第二界磁磁極に環流する主磁路に接続され,バイパス磁極は流入した界磁磁束が主に励磁磁極部内で第二界磁磁極に環流するバイパス磁路に接続されてバイパス磁路の磁気抵抗は主磁路の磁気抵抗とほぼ等しくなるように設定され,第一界磁磁極が主磁極と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながらそれぞれの面積比を変えるように主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間は相対偏倚可能に構成され,主磁極及びバイパス磁極の組み合わせと界磁磁石間を相対的に駆動偏倚させて主磁路に流入する界磁磁束量を制御する界磁制御方法


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