JP5265799B1 - 磁石励磁回転電機システム - Google Patents

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Abstract

【課題】磁束位相制御によりシンプルな構造の界磁制御回転電機システムを実現する。
【解決手段】永久磁石励磁の回転子に第一及び第二電機子を対向させ,第二電機子をハウジング12に対して可動に構成し,第一及び第二電機子の電機子コイル16の誘起電圧位相を変えて誘起電圧振幅を制御する。第二電機子の変位に際しては回転子と第二電機子間の相対位置を基準に駆動電流を流して第二電機子への大きな電機子反作用を利用して第二電機子を変位させる。更に同相の電機子コイル16を隣接する磁性体歯1bに互いに逆方向となるよう巻回した三相電機子コイル16として第二電機子に作用する振動的な力を抑制し,短時間の応答で界磁制御可能な回転電機装置及び界磁制御方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ発電機,電動機を含む回転電機システムに関する。
永久磁石を回転子表面近傍の磁性体内に埋め込んだ回転電機装置(IPM)は駆動電流の位相制御による弱め界磁が可能で普及しているが,制御範囲には限界がある。磁石励磁のエネルギー効率の高さを犠牲にすることなく界磁制御を可能として広い回転速度範囲で使用可能とする為に永久磁石を有する回転子を軸方向に2分し,一方を回転軸に対して変位させ,電機子コイルと鎖交する磁束の位相を制御して実効的に弱め界磁を実現する提案がある(特許文献1,2,3)。更に電機子を軸方向に2分し,一方を他方に対して変位させ,電機子コイルと鎖交する磁束の位相を制御する提案がある(特許文献4,5,6)。
これらの技術提案によれば電機子コイルと鎖交する磁束量の制御範囲を大に出来,更に二つの電機子の一方を変位させる構成は変位機構をシンプルに出来る。その場合に障害となるのは電機子の大きな質量であり,その変位制御にはかなり大出力のアクチュエータを必要とする。電機子反作用を利用する事で小出力アクチュエータで制御を可能とする提案は存在するが(特許文献6),弱め界磁と共に電機子反作用も小となり,電機子の変位制御が困難になる課題がある。例えば,可動側の電機子を電気角にして120度変位させると,誘起電圧は約半分になるが,同時に可動側電機子への電機子反作用も約半分の大きさとなり,更に大きな変位で電機子反作用が小となって変位制御が著しく困難になる。
更にまた,固定側及び可動側の電機子同士の干渉回避,或いは軽量化を目的としてコンパクトな集中巻き電機子コイルを採用したいが,可動側の電機子に現れる駆動トルク変動は電機子の可動機構の耐久性に障害となり,騒音発生も無視出来ない。例えば,同相の電機子コイルが軸方向に並ぶ位置から一方の電機子を周方向に可動とする構成では,二つの電機子位置が異なるのでそれぞれの電機子に於いて同相の電機子コイルが重なり合う領域の中心位置を電機子の位置と見なし,回転子の位置に応じて電機子に加える駆動電流を切り替える。図20は8ポール12スロットの集中巻きの電機子及び回転子構成に於いて,回転子を駆動するトルクと電機子位置との関係を示す。縦軸205はトルク(ニュートン・メートル)を,横軸206は電機子の変位量(角度)を示している。
回転方向を時計回りとしているので左半分の負の角度は前記中心位置より回転方向側に変位している電機子,右半分の正の角度は前記中心位置より逆回転方向側に変位している電機子を示している。回転子が受けるトルクは二つの電機子から受けるトルクの和となるが,回転子が前記中心位置にある場合の駆動トルク201,前記中心位置から6度回転した位置に於ける駆動トルク202,前記中心位置から9度回転した位置に於ける駆動トルク203は何れも左右非対称である。
番号204は回転子が前記中心位置にある場合に変位した電機子から受けるコギングトルクを示しているが,コギングトルク204の増減傾斜が周方向の一方に偏り,駆動トルク201.202.203に相乗的に反映される結果である。回生制動時に電機子が電機子反作用により受ける付勢方向と制動トルクを大にする方向とが一致するよう可動側電機子の変位方向は逆回転方向に設定したいが(図20に於いて正の変位),振動的な力が可動側電機子に常に作用する事になる。その結果,可動側電機子の変位機構に振動ノイズを発生させ,変位機構を必要以上に頑丈にする必要がある。また,電機子,回転子,電機子が軸方向に並ぶアキシャルギャップ構造では二つの電機子を同一の磁路内に含む磁気的な結合状態が前記トルクカーブを更に複雑化する。
米国特許3713015 特表平05−508300 特開2002−165426 米国特許5200659 特開2005−160278 特開2008−193888
したがって,本発明が解決しようとする課題は,電機子の変位制御による弱め界磁方法を適用した回転電機装置に於いて,比較的小型のアクチュエータで制御可能な誘起電圧制御方法,弱め界磁方式の回転電機システムを提供する事である。
本発明は,電機子との対向面に於いて周方向に隣接する磁性体突極が永久磁石により互いに異極に磁化された回転子と,前記回転子との対向面に於いて一以上の磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルが周方向に配置された第一電機子及び第二電機子とがハウジング内に配置され,回転子第一電機子及び第二電機子それぞれと微小間隙を介して互いに対向し且つ回転可能に構成された回転電機装置を含む回転電機システムに関する。回転電機装置では,同一の相に属する第一電機子の電機子コイル第二電機子の電機子コイルとの電機子コイルペアが互いに直列に接続され,第一電機子がハウジングに固定される一方で第二電機子ハウジングに対して周方向に変位可能に配置され,回転子に負荷が接続される。さらに,本発明によるシステムには,第二電機子を変位させるステータ位置決め手段と,各電機子コイルペアの直列回路に接続されて回転子を回転駆動させるための電流を電機子コイルに供給する駆動制御回路とが設けられる
本発明による回転電機システムは、回転子に対向する同一構成の二つの電機子の一方を他方に対して変位させ,二つの電機子の電機子コイルそれぞれに誘起される電圧の位相を変えて合計の誘起電圧(モータに於いては逆起電圧,発電機に於いては発電電圧とも称する)を制御し,実効的に電機子コイルとの鎖交磁束量を制御するものである。好ましい形態の回転電機装置には,第一電機子と回転子との間および回転子と第二電機子との間のそれぞれに於いて,同相の電機子コイルが隣接する磁性体歯に互いに逆方向となるよう巻回された三相電機子コイル群と,三相電機子コイル群の電機子コイル数とは異なる数で最も近い複数の磁性体突極とで構成される磁極組み合わせが周方向に1組以上配置される。第二電機子は,前記電機子コイルペアに属するそれぞれの電機子コイルが磁性体突極ピッチの整数倍だけ周方向に変位した位置を基準位置として,当該基準位置から回転子の通常の回転方向である順回転方向とは逆方向の領域に変位可能に配置される。
上記の構成によれば,同相の電機子コイルである隣接する電機子コイルが互いに逆方向の磁界を差動的に回転子に作用させ,前記磁界分布に対応して磁性体歯と同等サイズで互いに逆方向に磁化された磁性体突極に選択的に回転トルクを発生させる。また,隣り合う電機子コイルに差動的に鎖交する磁束により誘起電圧を発生する。すなわち,上記電機子コイル構成は一種のフィルター特性を有し,トルク変動,電圧変動を抑圧する。また,磁性体歯数と磁性体突極数とは近いが異なる関係であり,磁性体歯と磁性体突極とが対向する同じ組み合わせ状態が同時には集中し難い。したがって,回転子と電機子に於ける磁気的結合状態の変動は分散されて電機子を励振する振動的トルク変動は緩和される。可動側である第二電機子が回転子を駆動する駆動トルクは図20を用いて説明したように振動的となる傾向があるが,上記構成により第二電機子を励振する振動的トルク変動は抑制され,第二電機子の変位制御を容易にする。
第二電機子の変位範囲は回転子の磁性体突極周期相当,即ち電気角にして約180度である。第一電機子と第二電機子との周方向変位量が磁性体突極の周方向周期の整数倍に設定された場合,前記同相電機子コイルペアがそれぞれ同時に同じ極性である磁性体突極に正対する構成,前記同相電機子コイルペアがそれぞれ同時に異なる極性である磁性体突極に正対する構成がある。前者の構成に於いて前記同相電機子コイルペアは通電により回転子に同一極性を示すよう互いに直列に接続され,後者の構成に於いて前記同相電機子コイルペアは通電により回転子に異なる極性を示すよう互いに直列に接続される。
ステータ位置決め手段にはアクチュエータ駆動のギア機構,ブレーキ機構等が用いられ,第二電機子をハウジングに固定或いは周方向に変位させる。電機子コイルと鎖交する実効的な磁束量が制御されるとは,第一及び第二電機子の電機子コイルと鎖交する前記磁束の総量は変わらないが,第二電機子が第一電機子に対して周方向に変位されるのでそれぞれの電機子コイルに誘起される電圧位相が異なり,第一電機子及び第二電機子の電機子コイルに誘起される電圧のベクトル和としての合成誘起電圧振幅が制御される。電機子コイルへの誘起電圧制御により,電動機の場合には更に高速回転領域での回転駆動を可能とし,回生制動時の制動力及び回収エネルギー量,発電機の場合には発電電圧等の出力が最適化される。
本発明による回転電機システムに於いて,第一電機子,回転子,第二電機子がそれぞれ微小間隙を介してこの順で軸方向に並び,永久磁石の一端から流れ出る磁束が第一電機子及び第二電機子を含む磁路を流れて前記永久磁石の他端に環流するよう構成されている永久磁石が回転子に含まれ,前記永久磁石は交互に磁化方向を変えて周方向に配置され,第一電機子はハウジングに固定され,第二電機子はハウジングに対して周方向に変位可能に構成することができる。第一電機子,回転子,第二電機子がこの順で軸方向に並ぶアキシャルギャップ構造は第一電機子,第二電機子が互いに機械的に干渉し難く,回転電機装置はコンパクトに実現される。
請求項1の発明では,上記構成の回転電機システムに於いて,第二電機子の慣性モーメントが回転子および負荷の総合慣性モーメントよりも小さく設定され,前記ステータ位置決め手段第二電機子変位させる際に,第二電機子に生じる電機子反作用が大となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて駆動制御回路から電機子コイル流れる電流を制御することにより,回転子第二電機子との間の作用力を第二電機子変位に利用する。
電機子コイルを流れる電流により回転子を回転駆動すると,回転子と電機子との間には互いに反発する力が作用し,電機子はハウジングに固定されているので回転子が回転駆動される。その場合に於いて電機子がハウジングに対して変位可能に構成されていれば,回転子と電機子とは互いに逆方向に駆動される事になる(電機子反作用)。回転子を回転駆動させるに際して通常は第二電機子の基準位置と第二電機子の現在位置との中間に第一電機子と第二電機子の合成電機子が存在すると見なし,回転子位置に応じて電機子コイルに供給する電流を切り替える。第二電機子への作用力が大となるよう第二電機子と回転子の相対位置を基準に電機子電流の切り替えタイミングを制御して回転子を駆動することにより、第二電機子の変位量を変えることができる
請求項1の発明では,第一電機子,第二電機子を回転子に対向させ,第一電機子をハウジングに固定,第二電機子をハウジングに対して変位可能に構成し,上記の回転子−電機子間の作用力を利用して第二電機子を第一電機子に対して変位させる。この際,一般に回転子より電機子の質量は大きいので電機子反作用により電機子を変位させるには回転子に負荷が接続されている事が必要になる。そこで,第二電機子の慣性モーメントを回転子及び負荷の総合慣性モーメントよりも小に設定することにより,第二電機子の変位を容易にしている。駆動制御回路は半導体スイッチ素子群より構成され,回転子を回転させる為の駆動電流供給,或いは誘起電圧整流の双方に兼用可能として特に回路量を増やすこと無く,上記機能は実現される。
請求項2の発明では,前記ステータ位置決め手段第二電機子の変位させる際に,第一電機子に生じる電機子反作用と第二電機子に生じる電機子反作用とが互いに逆方向となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて駆動制御回路から電機子コイル流れる電流を制御することにより,回転子第二電機子との間の作用力を第二電機子変位に利用する。第一電機子と第二電機子間の相対変位量が大の場合は第一及び第二電機子の電機子コイルと鎖交する回転子からの磁束の流れる方向が互いに逆となるタイミングがあり,その時は第一電機子が回転子に作用する回転駆動力と,第二電機子が回転子に作用する回転駆動力とが互いに逆方向となる。第二電機子の変位に際して上記タイミングで電機子コイルに電流を流す事で回転子の回転状態への影響を実質的に小さく抑えながら第二電機子を変位させる作用力を得る事が出来る。
請求項の発明は,請求項1または請求項2に記載の構成にさらに制御装置が設けられると共に,回転電機装置は,電機子コイルへの供給電流を入力として回転力を出力する。
前記制御装置は,回転電機装置からの出力が示す回転速度が所定の値より大きく,電機子コイルに誘起される誘起電圧を減少させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向とは逆方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に回転子を加速する極性の電流を供給させ,前記出力が示す回転速度が所定の値より小さく,電機子コイルに誘起される誘起電圧を増大させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に回転子を減速させる電流または回転子を逆方向に駆動する極性の電流を供給させて,回転力最適に制御する
請求項の発明は,請求項1または請求項2に記載の構成にさらに制御装置が設けられると共に,回転電機装置は,回転力を入力として発電電圧を出力する
前記制御装置は,回転電機装置から出力される発電電圧が所定の値より大きく,電機子コイルに誘起される誘起電圧を減少させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向とは逆方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に回転子を加速する極性の電流を供給させ,前記発電電圧が所定の値より小さく,電機子コイルに誘起させる誘起電圧を増大させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に回転子を減速させる電流または回転子を逆方向に駆動する極性の電流を供給させて,発電電圧を制御する
請求項の発明は,電機子との対向面に於いて周方向に隣接する磁性体突極が永久磁石により互いに異極に磁化された回転子と,前記回転子との対向面に於いて一以上の磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルが周方向に配置された第一電機子及び第二電機子とがハウジング内に配置され,回転子第一電機子及び第二電機子それぞれと微小間隙を介して互いに対向し且つ回転可能に構成された回転電機装置の電機子コイルに誘起される誘起電圧制御方法であって,同一の相に属する第一電機子の電機子コイル第二電機子の電機子コイルとの電機子コイルペアを互いに直列に接続し,回転子に負荷を接続すると共に回転子を回転駆動させるための電流を電機子コイルに供給する駆動制御回路を各電機子コイルペアに接続し,第二電機子の慣性モーメントを回転子及び負荷の総合慣性モーメントよりも小さく設定し,第一電機子をハウジングに固定する一方で第二電機子をハウジングに対して周方向に変位可能に配置し,回転電機装置の出力に応じて第二電機子を変位させる際に,第二電機子に生じる電機子反作用が大となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて駆動制御回路から電機子コイルに流れる電流を制御することにより,回転子第二電機子との間の作用力を第二電機子変位に利用する事を特徴とする誘起電圧制御方法である。
上記の制御方法では,回転子と第二電機子間の相対位置を基準にして回転子を回転駆動して得られる電機子反作用を第二電機子の変位に利用するので,第二電機子の変位が大の場合でも大きな電機子変位が得られる特徴があり,迅速な変位制御が可能となる。
請求項の発明は,電機子との対向面に於いて周方向に隣接する磁性体突極が永久磁石により互いに異極に磁化された回転子と,前記回転子との対向面に於いて一以上の磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルが周方向に配置された第一電機子及び第二電機子とがハウジング内に配置され,回転子第一電機子及び第二電機子それぞれと微小間隙を介して互いに対向し且つ回転可能に構成された回転電機装置の電機子コイルに誘起される誘起電圧制御方法であって,同一の相に属する第一電機子の電機子コイル第二電機子の電機子コイルとの電機子コイルペアを互いに直列に接続し,回転子に負荷を接続すると共に回転子を回転駆動させるための電流を電機子コイルに供給する駆動制御回路を各電機子コイルペアに接続し,第一電機子をハウジングに固定する一方で第二電機子をハウジングに対して周方向に変位可能に配置し,回転電機装置の出力に応じて第二電機子を変位させる際に,第一電機子に生じる電機子反作用と第二電機子に生じる電機子反作用とが互いに逆方向となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて駆動制御回路から電機子コイル流れる電流を制御することにより,回転子第二電機子との間の作用力を第二電機子変位に利用する事を特徴とする誘起電圧制御方法である。
上記の制御方法では、第一電機子,第二電機子が互いに逆方向に回転子を駆動するタイミングで一時的に回転子を回転駆動させるので,電機子反作用を利用して第二電機子を変位させるべく回転子を回転駆動する場合でも回転子の回転状態への影響が抑制される。
回転電機装置には円筒状回転子に一以上の電機子が径方向に空隙を介して対向する構造,一以上の略円盤状電機子と回転子が軸方向に空隙を介して対向する構造,一以上の電機子と回転子とが円錐面形状の対向面を有する構造等が存在する。本発明は上記何れの構造の回転電機システムにも適用される。さらに,回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の請求項に規定する回転電機システム及び磁束量制御方法は電動機,発電機の何れにも適用される。
第一電機子,第二電機子,永久磁石励磁の回転子を有し,第二電機子が第一電機子に対して可動に構成された回転電機装置に於いて,実効的に電機子コイルと鎖交する磁束量が第二電機子の変位量に対してほぼ線形に制御される。その際には,電機子と回転子との間の磁極組み合わせが電機子,特に可動側電機子への振動的な作用力を抑制する。更に回転中に電機子と回転子間に働く作用力を利用して第二電機子が変位され,小出力のアクチュエータで第二電機子の変位量を変えて実効的に電機子コイルと鎖交する磁束量が制御される。本発明により,回転電機装置に於いて磁束の位相制御による弱め界磁制御が容易となり,低コストで出力制御可能な回転電機システムを実現出来る。
第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図1に示された回転電機の回転子を第二電機子側から見た平面図である。 図1に示された回転電機の第二電機子を回転子側から見た平面図である。 図2,図3に示された回転子,第二電機子及び第一電機子のA−A’に沿う周方向断面図を示し,第二電機子が基準位置にある場合を示す。 図2,図3に示された回転子,第二電機子及び第一電機子のA−A’に沿う周方向断面図を示し,第二電機子が基準位置から変位した場合を示す。 図6(a)は図5に対応して電機子コイルと鎖交する磁束量及び誘起電圧を示し,図6(b)は図5に対応して誘起電圧及び駆動トルクを示す。 図1に示された第一電機子,回転子,第二電機子の分解斜視図を示す。 図1に示された回転電機のステータ位置決め手段を示す平面図である。 磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図である。 駆動制御回路の要部を示す。 第二の実施例による回転電機の縦断面図である。 図11に示された回転電機の回転子を第二電機子側から見た平面図である。 図11に示された回転電機の第二電機子を回転子側から見た平面図である。 図12に示された回転子に於いてB−B’に沿う周方向断面図,図13のB−B’に対応する第二電機子及び第一電機子の周方向断面図を示し,第二電機子が基準位置から変位した場合を示す。 図12に示された回転子の分解斜視図を示す。 図13に示された第二電機子の分解斜視図を示す。 図11に示された回転電機のステータ位置決め手段を示す平面図である。 第三の実施例による回転電機に於いて回転子,第二電機子及び第一電機子の周方向断面図を示す。 8ポール12スロット,8ポール9スロット,10ポール12スロットの磁極構成に於ける駆動トルク変動を示す。 8ポール12スロットの磁極構成に於いて,駆動トルク,コギングトルク対電機子変位量の関係を示す。 8ポール9スロット,10ポール9スロット,10ポール12スロット,14ポール12スロットの磁極構成に於いて,駆動トルク対電機子変位量の関係を示す。
以下に本発明による回転電機システムについて,その実施例及び原理作用等を図面を参照しながら説明する。
本発明による回転電機システムの第一実施例を図1から図10,図19から図21を用いて説明する。第一実施例は,8ポール9スロットの磁極構成を持ち,第二電機子が第一電機子に対して周方向に変位され,電機子コイルに誘起される電圧が制御される磁石励磁回転電機である。図1はアキシャルギャップ構造の回転電機装置に本発明を適用した実施例の縦断面図を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。回転子は回転子サポート18及び永久磁石17を有して回転軸11と共に回転する。永久磁石17内の矢印は磁化方向を示す。回転子は非磁性のステンレススチールである回転子サポート18にネオジウム磁石ブロックである永久磁石17が固定されて構成されている。
第一電機子はハウジング12に固定された円板状磁気ヨーク15と,円板状磁気ヨーク15から軸方向に伸びる磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とを有する。第二電機子はハウジング12に固定された円板状磁気ヨーク1aと,円板状磁気ヨーク1aから軸方向に伸びる磁性体歯19と,磁性体歯19に巻回された電機子コイル1bとを有する。円板状磁気ヨーク15,1a,磁性体歯14,1bは圧粉鉄心で構成されている。番号1cは円板状磁気ヨーク1aを支持する第二電機子サポートを示し,ハウジング12に対してベアリング1dを介して可動に支持され,周方向に変位するよう構成されている。番号1eはステータ位置決め手段の一部であるブレーキシューを示す。
図2は回転子を第二電機子側から見た平面図を示し,図3は第二電機子を回転子側から見た平面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付している。図1に示した永久磁石17は,図2に於いて隣接する永久磁石21,22として示され,互いに磁化方向が逆である。永久磁石21,22に示されたN,Sは第二電機子と対向する端面に於ける永久磁石の極性を示し,回転子の電機子との対向面にはそれぞれ8個の磁極(8ポール)が配置されている。回転子サポート18は非磁性のステンレススチールで構成されている。番号23は回転子の通常の回転方向である順回転方向を示す。
図3に於いて,図1に示した電機子コイル1bがU+相,U−相,V−相,V+相,V−相,W−相,W+相,W−相,U−相の順で周方向に配置され,それらは更にそれぞれ番号31から39の番号が付されている。U,V,Wに続く+,−の符号はコイルの巻線方向を示し,正の電流を流した時に+で示す電機子コイルの回転子側にはN極が現れ,−で示す電機子コイルの回転子側にはS極が現れるよう構成されている。U+相コイル31にU−相コイル32,39が逆向きに直列接続されて第二電機子のU相コイルとされ,他のV相コイル,W相コイルも同様に接続される。第一電機子の平面図は示されていないが,電機子コイルの配置は第二電機子と同様である。本実施例に於いて,回転子の磁極数は8(8ポール),第一及び第二電機子の電機子コイル数はそれぞれ9で8ポール9スロットの磁極構成である。第一電機子と第二電機子に於いて,同相の電機子コイル同士は直列に接続されている。番号3aは磁性体歯19間の間隙を示している。
図4,5を用いて更に回転子,第一及び第二電機子の磁極構成を説明する。図4,5は図2,図3に示された回転子,第二電機子及び第一電機子のA−A’に沿う周方向断面図を示し,図4は第二電機子が基準位置にある場合,図5は第二電機子が基準位置から変位した場合をそれぞれ示す。第二電機子のU+相コイル31,U−相コイル32,V−相コイル33に対応する第一電機子の電機子コイルがそれぞれU+相コイル41,U−相コイル42,V−相コイル43として示されている。
図4に示されるよう,U+相コイル41は永久磁石21のS極に対向した時に,U+相コイル31が永久磁石21のN極に正対するよう第一電機子及び第二電機子に於いて同相の電機子コイルが軸方向に並ぶ位置が第二電機子の基準位置となるよう配置されている。第一電機子に於いてはU,V,Wに続く+,−の符号は正の電流を流した時に+で示す電機子コイルの回転子側にはS極が現れ,−で示す電機子コイルの回転子側にはN極が現れるよう結線されている。したがって,U+相コイル41とU+相コイル31は通電された場合に異なる極性を回転子に示すよう直列接続されている。番号4aはU+相コイル31の基準位置を示している。図5では第二電機子の電機子コイル31,32,33が回転子の順回転方向23とは逆方向の領域に変位した場合を示し,変位量51は電気角にして120度である。
図6(a)は図5に対応して電機子コイルと鎖交する磁束量及び誘起電圧を示し,図6(b)は誘起電圧及び駆動トルクを示している。これらの図に於いて,縦軸69は鎖交磁束量,誘起電圧,駆動トルク等を,横軸6aは回転子位置を示す。図6(a)に於いて,番号61は電機子コイル41と鎖交している磁束量を,番号62は電機子コイル41に誘起される電圧を,番号63は電機子コイル31と鎖交している磁束量を,番号64は電機子コイル31に誘起される電圧を,番号65は電機子コイル31,41が直列に接続されて誘起電圧62,64が合成された結果であるU相電機子コイルの誘起電圧を示している。V相の電機子コイル,W相の電機子コイルにもそれぞれ位相がずれて磁束が鎖交し,電圧が誘起されるが,U相の電機子コイル31,41の磁束量,誘起電圧を代表して示している。
第二電機子の電機子コイル31−39は回転子の順回転方向23とは逆方向に変位されているので第二電機子の各電機子コイルの誘起電圧は第一電機子の各電機子コイルの誘起電圧より位相が進んで現れる。番号51は第二電機子の変位量を示し,電気角で120度である。U+相の電機子コイル41,31それぞれの誘起電圧62,64の波形は同じであるが,位相が異なるのでベクトル和となるU相の電機子コイルに誘起される電圧65は誘起電圧62,64の振幅の和の半分に振幅が抑えられている。他のV相,W相の電機子コイルに誘起される電圧振幅も同様である。このように回転子内の永久磁石21,22からの磁束63,61はそれぞれ電機子コイル31,41と鎖交し,それぞれに起因する誘起電圧64,62がベクトル的に合成される。これは電機子コイルと鎖交する磁束量が第二電機子の基準位置からの変位量51により実効的に制御される事と等価である。
図6(b)は誘起電圧及び駆動トルクを示している。可動側電機子である第二電機子が変位されている状態では,第一電機子と第二電機子の中間位置に合成された電機子が存在するとし,回転子と合成電機子間の相対位置により電機子コイルに供給する駆動電流を切り替えて回転子を駆動する。それはほぼ図6(a)の誘起電圧65の極性が変わるタイミングで駆動電流を切り替える事に相当し,番号66に示される曲線はU相の電機子コイル41,31が回転子を駆動する駆動トルクを示している。V相の電機子コイル,W相の電機子コイルが回転子を駆動する駆動トルクも駆動トルク66から位相が順次ずれて現れ,回転子を切れ目無く回転駆動する。
図6(a),(b)は第一電機子に対して第二電機子の変位量が電気角にして120度の場合であるが,誘起電圧,駆動トルク共に最大値から約半分に減少している。U相の電機子コイルへは駆動トルク66が現れる区間で駆動電流が流されているのであり,電機子コイル41,31それぞれが回転子に加える駆動トルクは誘起電圧62,64に比例するよう現れ,番号68で示される区間では電機子コイル41,31の駆動トルクは互いに逆方向である。また,電機子コイル41,31それぞれによる駆動トルク66への寄与分は大きくはない。従来の技術提案で示される回生制動時の電機子反作用を利用する場合,誘起電圧65に比例して流れる電流に起因する電機子反作用を利用するので第二電機子への電機子反作用も小さな値となる。本発明で第二電機子を変位させる場合には,回転子と第二電機子間の相対位置関係を基準に駆動電流を供給して大きな電機子反作用を得る。具体的には番号67で示すように第二電機子が回転子に対して大きな駆動トルクを発生出来る区間で駆動電流を供給し,大きな電機子反作用を得て第二電機子を変位させる。
図4,図5,図6(a)を用いて説明されたように第二電機子を第一電機子に対して変位させる事により電機子コイルに現れる誘起電圧が制御される。以下では第二電機子の変位制御を図6(b),図7−10を用いて説明する。図7は第一電機子71,回転子72,第二電機子73の分解斜視図を示し,回転子と電機子間の作用力を説明する。第一電機子71,回転子72,第二電機子73は軸方向にそれぞれ微小間隙を介して配置され,回転子72の通常の回転方向を順回転方向として番号23で示され,第二電機子の電機子コイルは基準位置から番号74で示す方向に変位される。
駆動制御回路が回転子を番号23で示す方向に回転させるよう第一及び第二電機子の各電機子コイルに電流を供給すると,回転子72には番号75で示される方向に駆動力が作用し,同時に電機子反作用として第一電機子71には番号76で示される作用力,第二電機子73には番号77で示される作用力が働く。第一電機子71はハウジング12に固定されているが,第二電機子73のハウジング12に対する保持力が緩められた場合には作用力77により第二電機子73は作用力77の方向に変位される。図6(b)を用いて説明したように第二電機子73の変位量が大の場合には区間67に於いてU相電機子コイル31,41に駆動電流を流す事により作用力77を大に出来る。更に区間68に於いてU相電機子コイル31,41に駆動電流を流すと,作用力76と作用力77が互いに逆方向となり,回転子72に及ぼされる駆動力75の一部が相殺される。
図8は第二電機子サポート1cを円板状磁気ヨーク1a,磁性体歯19,磁性体歯19に巻回された電機子コイル1b(電機子コイル31−39)と共にハウジング12に保持し,一時的にその保持力を緩めるステータ位置決め手段を示している。同図に於いて,番号81はブレーキシュー1eを回動可能に支持する回動ピンを示し,回動ピン81はハウジング12に固定されている。番号82は二つのブレーキシュー1eの端点間に配置されたスプリングを示し,二つのブレーキシュー1eを第二電機子サポート1cに押しつけるよう付勢されている。番号83は二つのブレーキシュー1e間に配置された開閉素子を示し,開閉素子83は長円形状で図示していないアクチュエータにより矢印84の方向に回転駆動される。開閉素子83の長径部はスプリング82に抗して二つのブレーキシュー1e間の間隙を大にして第二電機子サポート1cのハウジング12に対する保持力を緩め,短径部により二つのブレーキシュー1e間の間隙を小にして第二電機子サポート1cのハウジング12に対する保持力を強める。
番号85は第二電機子サポート1cに固定された回動規制ピンを示し,回動規制ピン85は二つのブレーキシュー1e間で変位可能に構成されて第二電機子の変位範囲を規定するよう構成されている。図8に於いて回動規制ピン85の位置が基準位置に第二電機子が存在する状態,すなわち,図4の状態に対応し,番号86で示した位置に回動規制ピン85が変位した場合が図5,図6(a)に示す位置から更に第二電機子の変位量が大となって電気角にしてほぼ180度変位した場合に相当する。
図9は磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図9に於いて,回転電機91は入力92,出力93を有するとし,制御装置94は回転電機91の出力93及び回転子の位置信号97を入力として磁束量を制御する。番号96はステータ位置決め手段を制御するアクチュエータを示し,番号95は電機子コイル16,1bに駆動電流を供給する駆動制御回路を示す。回転電機91が発電機として用いられるのであれば,入力92は回転力であり,出力93は発電電力となる。回転電機91が電動機として用いられるのであれば,入力92は駆動制御回路95から電機子コイル16,1bに供給される駆動電流であり,出力93は回転トルク,回転速度となる。
図10は駆動制御回路の要部102と電機子コイルの結線状態を簡略に示している。番号10a,10b,10cはそれぞれ第二電機子に於けるU相コイル,V相コイル,W相コイルを示し,番号10d,10e,10fはそれぞれ第一電機子に於けるU相コイル,V相コイル,W相コイルを示す。第一電機子,第二電機子に於けるU相コイル10a,10dは直列に接続され,一方は中性点に接続され,他方はスイッチ素子103及び104に接続されている。第一電機子,第二電機子に於けるV相コイル10b,10eは直列に接続され,一方は中性点に接続され,他方はスイッチ素子105及び106に接続されている。第一電機子,第二電機子に於けるW相コイル10c,10fは直列に接続され,一方は中性点に接続され,他方はスイッチ素子107及び108に接続されている。番号101は電池を示し,番号102は駆動制御回路の一部であるスイッチ素子部を示す。上記スイッチ素子をオンオフ制御する制御部は図示されていない。
第二電機子73の基準位置からの変位量を大にする場合を説明する。回転子72が順回転方向23に回転駆動されているなら常に第二電機子には作用力77が働いているので制御装置94はアクチュエータ96を回転させて開閉素子83の長径部により二つのブレーキシュー1e間の間隙を大にして第二電機子サポート1cのハウジング12に対する保持力を緩める。制御装置94がアクチュエータ96を回転させて開閉素子83の短径部により二つのブレーキシュー1e間の間隙を小にして第二電機子サポート1cのハウジング12に対する保持力を強めるまで第二電機子73は作用力77により変位させ続けられる。
第二電機子が基準位置から既に変位させられ,界磁が弱められている場合は図6(b)を用いて説明されたように通常の回転駆動条件で第二電機子への作用力77も小さくなっている。その場合には回転子と第二電機子間の相対位置関係を基に図6(b)に於ける区間67で第二電機子に対する電機子反作用が変位方向となる極性の駆動電流をU相電機子コイル(番号31,41)に供給して第二電機子を変位させる。第二電機子73の基準位置からの変位量は電機子コイルの誘起電圧振幅を参照して検知されるが,予め第二電機子サポート1cのハウジング12に対する保持力を緩める単位時間を設定し,その時間単位で離散的に第二電機子73の基準位置からの変位を制御する事も出来,システムの要求仕様に沿って設定される。
第二電機子73の基準位置からの変位量を小にする場合を説明する。回転子72が順回転方向23に回転駆動されているなら制御装置94はアクチュエータ96を回転させて開閉素子83の長径部により二つのブレーキシュー1e間の間隙を大にして第二電機子サポート1cのハウジング12に対する保持力を緩め,同時に制御装置94は駆動制御回路95(102)を介して整流して電力を取り出し,電池101に充電する回生制動モードに変更させる。電機子コイルを流れる電流により回転子72は駆動力75とは逆方向の制動力を受け,その反作用として第一電機子71,第二電機子73はそれぞれ作用力76,77とは逆方向の力を受け,第二電機子73が変位される。制御装置94がアクチュエータ96を回転させて開閉素子83の短径部により二つのブレーキシュー1e間の間隙を小にして第二電機子サポート1cのハウジング12に対する保持力を強めるまで第二電機子73は変位させ続けられる。
第二電機子が基準位置から既に変位させられ,界磁が弱められている場合は図6(b)を用いて説明されたように通常の回生制動時に於ける第二電機子への電機子反作用も小さくなっている。その場合には回転子と第二電機子間の相対位置関係を基に図6(b)に示された区間67で第二電機子に対する電機子反作用が変位方向となる極性の駆動電流をU相電機子コイル(番号31,41)に供給して第二電機子を変位させる。回転子を逆回転方向に駆動する事になるが,短時間でしかも第二電機子の保持力は緩められているので回転子を駆動する力は抑えられ,大きな支障は生じない。
以上に第二電機子を変位させる場合に回転子と第二電機子間の相対位置を基準にU相電機子コイルに於いて区間67相当のタイミングで駆動電流を供給し,第二電機子に対する大きな電機子反作用を利用する事を説明した。U相電機子コイルに駆動電流を供給するのみで第二電機子の変位動作が完了しない場合には引き続いてV相及びW相電機子コイルに前記U相電機子コイルの区間67に相当するタイミングで駆動電流を供給して第二電機子の変位動作を完了させる。
上記に説明したように本実施例では磁束量制御に際して回転子の回転駆動或いは回生制動に伴う電機子反作用の作用力を利用するので常に回転子の回転状態に大きな影響を与える懸念がある。本発明によれば,回転子の回転状態への影響を小さく抑えるよう制御する事も出来る。すなわち,図6(b)に示す区間68に於いてU相電機子コイル(番号31,41)に駆動電流を供給した場合,電機子コイル41,31が回転子をそれぞれ逆方向に回転駆動し,駆動力の一部は相殺される。したがって,制御装置94が区間68に集中してパルス的に駆動制御回路95(102)を介して回転子を順回転方向23,或いはその逆方向に回転駆動させる事により回転子の回転状態に大きな影響を与える事無く,誘起電圧の制御を行う事が出来る。
上記に説明したように第二電機子は電機子反作用を利用して変位される。しかし,一般に第二電機子は回転子より質量は大であるので効率よく変位させるには回転子に負荷が接続され,回転子と負荷を含めた回転側の慣性モーメントが第二電機子の慣性モーメントより大である事が望ましい。この点はまた上記のように区間68に於いて回転子に互いに逆方向となる回転駆動力を与える事が出来るので改善される。すなわち,第一電機子,第二電機子が回転子を駆動する力の一部を相殺させる事が出来るので実効的に回転子の質量は大となり,第二電機子の変位への作用力を得る事が容易となる。
以上,図1から図10に示した回転電機に於いて,第二電機子を変位させる事で電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に制御できることを説明した。本実施例は電機子を流れる磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,回転電機システムとしての制御を更に説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合に於いて,誘起電圧制御を行って回転力を最適に制御する。制御装置94は出力93である回転速度が所定の値より大となり電機子コイルと鎖交する磁束量を小とする時にはアクチュエータ96により第二電機子サポート1cのハウジング12への保持力を一時的に緩め,駆動制御回路95を介して区間67で回転子を加速する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子サポート1c,第二電機子73を順回転方向23と逆方向に変位させて電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に小とする。
制御装置94は出力93である回転速度が所定の値より小となり電機子コイルと鎖交する磁束量を大とする時にはアクチュエータ96により第二電機子サポート1cのハウジング12への保持力を一時的に緩めると共に,駆動制御回路95を介して区間67で回転子を減速させる駆動電流,或いは逆方向に駆動する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子サポート1c,第二電機子73を順回転方向23と同方向に変位させて電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に大とする。
回転電機が発電機として用いられる場合において,磁束量制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。制御装置94は出力93である発電電圧が所定の値より大となり発電電圧を小とする時にはアクチュエータ96により第二電機子サポート1cのハウジング12への保持力を一時的に緩めると共に,駆動制御回路95を介して区間67で回転子を加速する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子サポート1c,第二電機子73を順回転方向23と逆方向に変位させて発電電圧を小とする。
制御装置94は出力93である回転速度が所定の値より小となり発電電圧を大とする時にはアクチュエータ96により第二電機子サポート1cのハウジング12への保持力を一時的に緩めると共に,駆動制御回路95を介して区間67で回転子を減速させる駆動電流,或いは逆方向に駆動する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子サポート1c,第二電機子73を順回転方向23と同方向に変位させて発電電圧を大とする。
電機子と回転子間に於いて同相の電機子コイルが隣接する磁性体歯に互いに逆方向となるよう巻回された三相電機子コイル群と,前記三相電機子コイル群の電機子コイル数とは異なる数で最も近い偶数個の磁性体突極とで構成される磁極組み合わせが周方向に1組以上配置された構成の典型例が8ポール9スロット,10ポール9スロット,10ポール12スロット,14ポール12スロットの何れかの整数倍である磁極構成である。ポールは回転子の磁性体突極数,スロットは電機子コイルを巻回する磁性体歯間を示すので例えば8ポール9スロットはN極,S極に磁化された8個の磁性体突極を有する回転子と,9個の電機子コイルを有する電機子との組み合わせを示している。第一実施例では電機子コイルを集中巻きとし,電機子及び回転子の磁極構造として8ポール9スロットを採用して電機子をコンパクト,軽量に構成して第二電機子の変位制御を容易とした。この磁極構造に関し,図19,20,21を用いて更に説明を補足する。これらの図に示す駆動トルク,コギングトルクは磁界分析シミュレーションから得ている。
回転電機装置に於いて,回転子の磁極数(ポール数)と電機子コイル数との比を2対3とする構成が通常用いられる。回転子の6磁極に対して9個の電機子コイル,8磁極に対して12個の電機子コイル等の構成がその例であるが,通常は電機子コイルを複数の磁性体歯に渡って分布的に巻回する分布巻き構成が用いられる。しかし,分布巻き構成の場合,電機子コイルの結線が外側に膨らむ欠点がある。電機子を可能な限りコンパクト,軽量化する為に電機子コイルは集中巻きとしたいが,性能上の不具合が種々存在する。図19は電機子コイルを集中巻きとした各種磁極構成に於いて,駆動トルクの変動状態を示す。縦軸194が駆動トルク(ニュートン・メートル)であり,横軸195は周方向の角度を示す。番号191は8ポール12スロット,番号192は8ポール9スロット,番号193は10ポール12スロットの駆動トルクをそれぞれ示している。
磁束位相制御では本実施例で説明したように二つの電機子と回転子とが対向し,二つの電機子間の変位量を制御して電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に制御する。二つの電機子の周方向位置は異なるが,第二電機子の基準位置と第二電機子の現在位置との中間に合成電機子があると見なして回転子を駆動する電流が供給される。図20は8ポール12スロットの集中巻きの電機子及び回転子構成に於いて,回転子を駆動するトルクと電機子の変位量との関係を示す。縦軸205はトルク(ニュートン・メートル)を,横軸206は電機子の変位量を角度で示している。回転方向を時計回りとしているので左半分の負の角度は前記合成電機子位置より回転方向側に変位している電機子,右半分の正の角度は前記合成電機子位置より逆回転方向側に変位している電機子を示している。
実際に回転子が受けるトルクは前記合成電機子位置より正負に等量変位した二つの電機子から受けるトルクの和となるが,この図に示されるように回転子が前記合成電機子位置にある場合の駆動トルク201,前記合成電機子位置から6度回転した位置に於ける駆動トルク202,前記合成電機子位置から9度回転した位置に於ける駆動トルク203は何れも左右非対称である。これはコギングトルク204に於ける増減の傾斜が周方向の一方に偏り,角度と共に減少する右半分の駆動トルクに相乗的に影響した結果である。
回生制動時に電機子反作用が制動トルクを大にするよう本実施例では第二電機子の変位方向を逆回転方向としているが,振動的なトルク変動が図20に於いて正の角度領域に相当する第二電機子に常に加わる事になるので第二電機子を保持するステータ位置決め手段を必要以上に頑丈にする必要がある。また,本実施例のように電機子,回転子,電機子が軸方向に並ぶアキシャルギャップ構造では二つの電機子を同一の磁路内に含む磁気的な結合状態が前記トルクカーブを更に複雑化する。
図21は図20に於ける8ポール12スロットの駆動トルクカーブに対応して8ポール9スロット,10ポール9スロット,10ポール12スロット,14ポール12スロットの駆動トルクカーブをそれぞれ番号211,214,212,213で示している。縦軸215はトルク(ニュートン・メートル)を,横軸216は電機子の変位量を角度で示している。8ポール12スロットでは微小間隙を介して対向する磁極数と磁性体歯数の比は2対3であり,同じ形状及び配置で磁極と磁性体歯が対向するタイミングが周方向に複数有り,磁極間結合が強調され易く,図20に示されるように駆動トルクの変動は大きい。
本実施例で採用した8ポール9スロットの磁極構成では周方向に8個の磁極と9個の磁性体歯が対向し,同じ形状及び配置で磁極と磁性体歯が対向する場面は一周当たり一つしかなく,磁性体突極と磁性体歯間で駆動トルク変動が発生しても分散して大きな値とは成らない。また更に電機子コイルはU−相コイル39,U+相コイル31,U−相コイル32が隣り合って並んでいるように同じU相コイルが順次その向きを逆転されて並んでいる。同相の電機子コイルである隣接する電機子コイルが互いに逆方向磁界を差動的に回転子に作用させ,前記磁界分布に対応して磁性体歯と同等サイズである互いに逆方向に磁化された磁性体突極に選択的に回転トルクを発生させる。更に,隣り合う電機子コイルに差動的に鎖交する磁束により誘起電圧を発生する。
電機子コイルから回転子側に漏れる磁束分布は磁性体歯の形状寸法に左右されるが,本発明に於いては磁性体突極の数は電機子コイルとは異なる数で最も近い偶数個で構成され,磁性体歯と磁性体突極とが対向する周方向寸法はほぼ等しい。すなわち,上記電機子コイル構成は一種のフィルター特性を有し,隣接する磁性体歯に及ぶパラメータ変動,例えば空隙長,磁気回路の磁気抵抗等が有っても差動的に機能する電機子コイル構成によりその影響は相殺される。したがって,回転子と電機子に於ける磁気的結合状態の変動は分散されて電機子を励振する振動的トルク変動は緩和される。
図21に示されるように本実施例で採用した8ポール9スロットの磁極構成に於いて変位角度が正の領域に於いても駆動トルクカーブは滑らかな変化であり,第二電機子に加わる振動的なトルク変動は抑えられている。本実施例では8ポール9スロットの磁極構成としたが,大型の回転電機に於いて,回転子の磁極数を16スロットに,電機子は前記9スロットの電機子コイル構成を周方向に2組配置する構成とする事が出来る。トルク変動は大となるが,駆動トルクに対するトルク変動分の比率は同じである。
8ポール9スロットに近い磁極構成に10ポール9スロットがあり,図21に駆動トルクカーブ214として示されている。これは8ポール9スロットと電機子コイルの配置を同じにし,駆動電流波形を同じにした場合であって同図では逆方向に回転駆動するよう駆動トルク極性が示されている。回転子の磁極数が増えるので第二電機子の変位量は小さくできる特徴があり,その他の構成及び動作原理等は同じである。
本発明による回転電機システムの第二実施例を図11から図17及び図6(a),(b)を用いて説明する。第二実施例は,回転子からの漏れ磁束量が第一実施例の場合より大とされ,電機子コイルに誘起される電圧が制御される磁石励磁回転電機である。図11はアキシャルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例の縦断面図を示し,回転軸111がベアリング113を介してハウジング112に回動可能に支持されている。回転子は磁性体突極117,118,永久磁石119,回転子サポート11a等を有して回転軸111と共に回転する。永久磁石119内の矢印は磁化方向を示す。
第一電機子はハウジング112に固定された円板状磁気ヨーク115と,円板状磁気ヨーク115から軸方向に伸びる磁性体歯114と,磁性体歯114に巻回された電機子コイル116とを有する。第二電機子は円板状磁気ヨーク11cと,円板状磁気ヨーク11cから軸方向に伸びる磁性体歯11bと,磁性体歯11bに巻回された電機子コイル11dとを有する。番号11eは円板状磁気ヨーク11cを支持する第二電機子サポートを示し,ハウジング112に対してベアリング11fを介して可動に支持されている。第二電機子サポート11eの外周部にはギアが刻まれ,ウオームギア11gが噛み合うよう構成されている。ウオームギア11gは図示されていないアクチュエータにより回転駆動される。
図12は回転子を第二電機子側から見た平面図を示し,図13は第二電機子を回転子側から見た平面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号が付されている。図12に於いて,図11に示した磁性体突極118は軸と平行の磁化を有する永久磁石119,周方向の磁化を有する永久磁石123により周方向に交互に異極に磁化されるよう構成され,磁性体突極118は更に隣接する磁性体突極121,122として識別されている。すなわち,永久磁石119及び永久磁石123はそれぞれ周方向に交互に磁化方向が反転され,図12に於いて磁性体突極121はN極に,磁性体突極122はS極に磁化されている。永久磁石123内の矢印は磁化方向を,磁性体突極121,122に記されたN,Sは磁化された極性を示している。番号124は回転子の通常の回転方向である順回転方向を示す。
図13に於いて,電機子コイル11dはU相,V相,W相の3相に結線されるが,その配置は第一実施例とは異なっている。番号131から13cで示す電機子コイルは周方向にそれぞれU+相,U−相,V−相,V+相,W+相,W−相,U−相,U+相,V+相,V−相,W−相,W+相と示される各相の電機子コイルとして割り当てられている。U,V,Wに続く+,−の符号は各電機子コイルの巻線方向を示している。U+相コイル131,138は互いに直列に接続され,U−相コイル132,137は更に逆向きに直列に接続されて第二電機子のU相コイルが構成される。他のV相コイル,W相コイルも同様に構成される。番号13dは隣接する磁性体歯11b間の間隙を示す。
第一電機子の平面図は示されていないが,電機子コイルの配置は第二電機子と同様である。本実施例に於いて,回転子の磁極数は10,第一及び第二電機子の電機子コイル数はそれぞれ12であり,いわゆる10ポール12スロットの構成である。第一電機子と第二電機子に於いて,同相の電機子コイルペアは直列に接続されている。
図14を用いて更に回転子,第一及び第二電機子の磁極構成を説明する。図14は図12に示された回転子に於いてB−B’に沿う周方向断面図,図13のB−B’に対応する第二電機子及び第一電機子の周方向断面図を示し,第二電機子が基準位置149から変位した場合を示す。図11に示された磁性体突極117は更に磁性体突極144,145として識別され,磁性体突極121,122にそれぞれ軸方向に隣接する。磁性体突極144,145は永久磁石146及び永久磁石119により磁化され,それぞれS極,N極に磁化されている。番号148は回転子サポート11aの一部である支柱を示し,非磁性のステンレススチールで構成されている。
番号141,142,143は第二電機子コイルのU+相コイル131,U−相コイル132,V−相コイル133に対応する第一電機子の各電機子コイルを示し,番号147は第二電機子が基準位置149から変位された変位量を示す。第二電機子の変位量147がゼロの場合にU+相コイル141からU+相コイル131が順回転方向124に回転子の磁性体突極の一ピッチだけずれて配置された構成である。したがって,第二電機子が基準位置149にある場合,U+相コイル141が磁性体突極144に正対する時,U+相コイル131は磁性体突極122に正対する。磁性体突極144,磁性体突極122は共にS極に磁化されているので通電された場合にU+相コイル141,U+相コイル131は回転子側に同じ極性を示すように直列接続されている。その他の相の電機子コイルも同様に結線されている。
図11,12,14に示すように磁性体突極121の側面及び底面に配置された永久磁石123,119により磁性体突極が磁化される構成なので回転子からの漏れ磁束が大とされる。永久磁石119からの磁束に加えて永久磁石123からの磁束を加えて第二電機子側に磁束を漏洩させ,永久磁石146からの磁束を加えて第一電機子側に磁束を漏洩させる。残留磁束密度が大きな永久磁石素材はネオジウム磁石,アルニコ磁石等であるが,1テスラ余りであって磁性体の飽和磁石密度2テスラ程度である。磁性体突極121,122,144,145を構成する磁性体が磁気的に飽和に至る寸前までに永久磁石123,146の磁極面積を大にする。これにより本実施例による電動機では起動時に大きなトルクを得られ,発電機では低速で大きな発電電圧を得る事が可能となる。
回転子から電機子側に流れる磁束量が大であれば,少ない電機子電流で大トルクを期待出来るが,通常は高速回転まで実用可能とする為に回転子から電機子側に流れる磁束量は中間的な値に設定する。しかし,本実施例では第一電機子と第二電機子間の変位量を制御する事で電機子コイルの誘起電圧をほぼ100%に近い範囲で制御出来る。したがって,実用可能な回転速度範囲を考慮して予め回転子から漏れる磁束量を中途半端に抑える必要はない。
この磁極構成では,図14から容易に判明するように永久磁石123からの磁束は磁性体突極121,122を介して磁性体歯11b,円板状磁気ヨーク11cを磁路として流れ,永久磁石146からの磁束は磁性体突極144,145を介して磁性体歯114,円板状磁気ヨーク115を磁路として流れるが,永久磁石119からの磁束は磁性体突極121,122,144,145,磁性体歯114,11b,円板状磁気ヨーク115,11cを磁路として流れる。すなわち,第一電機子及び第二電機子は磁気的に結合されている状態であり,回転子の回転に伴って誘起電圧にスパイク状の変動が表れる可能性がある。
図13を用いて示した電機子コイルの配置はいわゆる10ポール12スロットに於ける電機子コイルの配置構造である。図20に於ける8ポール12スロットの駆動トルクカーブに対応して図21に10ポール12スロットの駆動トルクカーブ212が示されている。先に説明したように8ポール12スロットでは微小間隙を介して対向する磁極数と磁性体歯数の比は2対3であり,同じ形状及び配置で磁極と磁性体歯が対向するタイミングが周方向に複数有り,トルク変動が強調され易い。
本実施例で採用した10ポール12スロットの磁極構成では周方向に10個の磁極と12個の磁性体歯が対向してそれらの比は5対6である。したがって,同じ形状及び配置で磁極と磁性体歯が対向する場面は一周当たりの数が8ポール12スロットより少なく,コギングトルクが発生しても分散して大きな値とは成らない。また更に電機子コイルはU+相コイル131,U−相コイル132が隣り合って並んでいるように同じ相のコイルがその向きを逆転されて並んでいる。同相の電機子コイルである隣接する電機子コイルが互いに逆方向磁界を差動的に回転子に作用させ,前記磁界分布に対応して互いに逆方向に磁化された磁性体突極に選択的に回転トルクを発生させる。更に,隣り合う電機子コイルに差動的に鎖交する磁束により誘起電圧を発生する。
すなわち,上記電機子コイル構成は一種のフィルター特性を有し,隣接する磁性体歯に及ぶパラメータ変動,例えば空隙長,磁気回路の磁気抵抗等が有っても差動的に機能する電機子コイル構成によりその影響は相殺される。その結果,図21に示されるように本実施例で採用した10ポール12スロットの磁極構成に於いて磁性体歯−磁性体突極の磁気的結合の影響は若干残るが左右の対称性は著しく改善され,また変位角度が正の領域に於いても駆動トルクカーブは滑らかな変化であり,第二電機子に加わる振動的なトルク変動は抑えられている。
このように本実施例では互いに磁気的に結合状態にあるアキシャルギャップ・ダブルステータ構成に10ポール12スロットの磁極構成を採用して回転子を介する第一電機子と第二電機子の磁気的結合を抑制し,駆動トルク,誘起電圧に現れる不要な変動を小に抑制している。回転電機のサイズに応じて一周に配置した10ポール12スロットの磁極配置をその整数倍として順次配置する構成も可能である。
本実施例が第一実施例と異なる点は磁性体突極数,電機子コイル数,電機子コイル配置の他に第二電機子の基準位置の設定が異なる事である。第一実施例では第一電機子及び第二電機子の同相電機子コイルペアが軸方向に並ぶ位置が第二電機子の基準位置に設定されている。本実施例では第二電機子が第一電機子より一磁性体突極ピッチずれた位置を第二電機子の基準位置とされている。このような配置とした理由は第一電機子の磁性体歯と第二電機子の磁性体歯が軸方向に並ぶ機会を減少させる事であり,第一電機子と第二電機子とが磁気的に結合される確率を減らしてトルク変動,誘起電圧歪み等に影響し難くする事である。本実施例の構成では第一電機子から変位量147の半分だけずれた位置に合成電機子があると見なし,回転子と合成電機子間の相対位置を基準に電機子コイルに供給する駆動電流を切り替えて回転子を駆動する。
図14に於いては第二電機子が第一電機子に比して周方向に変位され,その変位量は番号147で示されている。第一実施例とは磁極構成が異なるが,第二電機子の変位量147に比例して電機子コイルに誘起される電圧が変り,駆動トルクが変わる事は図6(a),(b)に示したように同じであり,再度の説明は省略する。
図15は本実施例に於ける回転子構造を説明する為の斜視図であり,構造を更に分かりやすくする為に磁極の一部151を取り出して示している。同図に示されるように回転子サポート11aは更に内筒部152,外筒部153,支柱148とから構成され,それらは非磁性のステンレススチールで構成されている。支柱148は内筒部152と外筒部153とを強固に一体化し,永久磁石119,123,146を構成する磁石片,磁性体突極121,122,144,145を構成する磁性体片が支柱148の周りに配置され,内筒部152,外筒部153で支持されている。
図16は本実施例に於ける電機子構造を説明する為に示した第二電機子の斜視図であり,構造を更に分かりやすくする為に一つの磁性体歯11bを取り出して示している。同図に示されるように円板状磁気ヨーク11cを薄いケイ素鋼板を円板状に打ち抜いて積層し,同時に形成した挿入孔161に圧粉鉄心で構成された磁性体歯片が挿入し固定される。電機子コイル11dは同図に示されていないが,磁性体歯11bとなる磁性体歯片に電機子コイル11dを巻回した後に円板状磁気ヨーク11cに固定される。番号162はケイ素鋼板に渦電流が流れ難いよう形成したスリットである。ケイ素鋼板に設けるスリット162の位置は上下で変えて強度的に支障がないよう構成されている。磁性体歯11bをケイ素鋼板片を積層して構成する事も可能であり,その場合は磁性体歯11bを流れる最大磁束量を大に出来る。
図17は図11に示した回転電機の右側面を示す平面図であり,図11及び図17によりステータ位置決め手段を説明し,第二電機子の変位制御を説明する。図11,17に示されるように第二電機子サポート11eの外周部にはギアが刻まれ,ウオームギア11gが噛み合うよう構成されている。ウオームギア11gはハウジング112に固定されたアクチュエータ171により回転駆動される。ステータ位置決め手段は第二電機子サポート11eの外周部に刻まれたギア部,ウオームギア11g,アクチュエータ171で構成され,第二電機子の停止位置を決めるストッパーの役割を果たしている。
第二電機子の基準位置からの変位量を大にする場合を図6(b)を参照しながら説明する。区間67で第二電機子が回転子を加速させる極性の駆動電流をU相電機子コイル(番号131,141)に供給し,同時にアクチュエータ171によりウオームギア11gを回転させ,第二電機子サポート11eを次の停止位置である回転子の順回転方向124とは逆方向に付勢させる。これはストッパーの役割を果たしているウオームギア11gが第二電機子サポート11eの保持力を緩めた事と同じである。これにより図6(b)を用いて説明したように第二電機子に対する電機子反作用が回転方向124とは逆方向に大とされ,第二電機子は十分に大きな作用力を得て変位される。第二電機子サポート11eが目標とする次の停止位置に達したら,アクチュエータ171の回転を止め,ウオームギア11gで第二電機子サポート11eをその位置に保持する。
第二電機子の基準位置からの変位量を小にする場合を説明する。区間67で第二電機子が回転子を減速させる駆動電流をU相電機子コイル(番号131,141)に供給し,同時にアクチュエータ171によりウオームギア11gを回転させ,第二電機子サポート11eを次の停止位置である回転子の順回転方向124に付勢させる。これはストッパーの役割を果たしているウオームギア11gが第二電機子サポート11eの保持力を緩めた事と同じである。これにより図6(b)を用いて説明したように第二電機子に対する電機子反作用が回転方向124に大とされ,第二電機子は十分に大きな作用力を得て変位される。第二電機子サポート11eが目標とする次の停止位置に達したら,アクチュエータ171の回転を止め,ウオームギア11gで第二電機子サポート11eをその位置に保持する。第二電機子が回転子を減速させる駆動電流で第二電機子を変位させるに十分な作用力が得られない場合には区間67で第二電機子が回転子を逆方向に駆動する極性の駆動電流をU相電機子コイル(番号131,141)に供給する。
上記に説明した第二電機子の変位制御に際してウオームギア11g及びアクチュエータ171は単に停止位置の変更及び保持を目的とするのでアクチュエータ171は小出力のモータ,ステップモータで十分である。勿論,大出力のアクチュエータ171及びウオームギア11gにより第二電機子サポート11eを次の停止位置の方向に変位させながら電機子反作用をアシストとして用いる事も可能である。
以上,図11から図17に示した回転電機に於いて,第二電機子を変位させる事で電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に制御できることを説明した。本実施例は電機子を流れる磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,回転電機システムとしての制御を図9及び図10を用いて更に説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合に於いて,磁束量制御を行って回転力を最適に制御する。制御装置94は出力93である回転速度が所定の値より大となり電機子コイルと鎖交する磁束量を小とする時にはアクチュエータ171によりウオームギア11gを回転させ,第二電機子サポート11eを回転子の順回転方向124とは逆方向に変位するよう付勢し,同時に駆動制御回路95を介して区間67で回転子を加速する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子サポート11eを順回転方向124と逆方向に変位させて電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に小とする。
制御装置94は出力93である回転速度が所定の値より小となり電機子コイルと鎖交する磁束量を大とする時にはアクチュエータ171によりウオームギア11gを回転させ,第二電機子サポート11eを回転子の順回転方向124とは同方向に変位するよう付勢し,同時に駆動制御回路95を介して区間67で回転子を減速する,或いは逆方向に加速する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子コイルサポート11eを順回転方向124に変位させて電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に大とする。
回転電機が発電機として用いられる場合において,磁束量制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。制御装置94は出力93である発電電圧が所定の値より大となり発電電圧を小とする時にはアクチュエータ171によりウオームギア11gを回転させて第二電機子サポート11eを回転子の順回転方向124とは逆方向に変位するよう付勢し,同時に駆動制御回路95を介して区間67で回転子を加速する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子サポート11eを順回転方向124と逆方向に変位させて発電電圧を小とする。
制御装置94は出力93である回転速度が所定の値より小となり発電電圧を大とする時にはアクチュエータ171によりウオームギア11gを回転させ,第二電機子サポート11eを回転子の順回転方向124とは同方向に変位するよう付勢し,同時に駆動制御回路95を介して区間67で回転子を減速する,或いは逆方向に加速する極性の駆動電流を電機子コイルに供給し,電機子反作用を利用して第二電機子サポート11eを順回転方向124に変位させて発電電圧を大とする。
本発明による回転電機システムの第三実施例を図18を用いて説明する。第三実施例は,第二実施例とほぼ同じ構造であるが,回転子と電機子の磁極構成を14ポール12スロットとした構成である。相違点は一部であるので異なる点に集中して説明する。図18は第二実施例に於いて図14に対応する回転子,第二電機子及び第一電機子の周方向断面図である。
本実施例では第二実施例と同じ電機子構成であり,回転子の磁性体突極数が14個であるので電機子の各構成部材には同一の番号を付し,回転子の構成部材には新規の番号を付している。第二電機子に対向する側には磁性体突極181,182が永久磁石185,186を挟んで交互に並び,第一電機子に対向する側には磁性体突極183,184が永久磁石187,188を挟んで交互に並ぶ構成であり,磁性体突極181,183間には永久磁石189,磁性体突極182,184間には永久磁石18aが配置されている。番号18bは回転子サポート11aの一部である支柱を示し,非磁性のステンレススチールで構成されている。
第二実施例と同様に第二電機子の基準位置は第一電機子から回転子の磁性体突極ピッチだけずれた位置である。U+相コイル141が磁性体突極183に正対した時に磁性体突極182に正対し,図18では番号18cで示され,同図に於いて第二電機子は基準位置18cから変位され,変位量は番号18dで示されている。図18に示されるように第三実施例と第二実施例の違いは回転子の磁極数のみであり,その他の構成及び動作原理等は省略する。
14ポール12スロットは10ポール12スロットに近い磁極構成であり,図21に駆動トルクカーブ213として示されている。これは10ポール12スロットと電機子コイルの配置を同じにし,駆動電流波形を同じにした場合であって同図では逆方向に回転駆動するよう駆動トルク極性が示されている。また,駆動トルクカーブ212は右方向に,駆動トルクカーブ213は左方向に中心がややずれている。これは電機子コイルの配置に起因し,駆動トルクカーブ212では+3度,駆動トルクカーブ213では−3度の点を基準とするよう駆動電流の位相を調整すると,駆動トルクカーブ212,213に於ける左右の対称性が改善される。
第三実施例の回転子は14ポールであり,第二実施例の回転子は10ポールである事を除いて第三実施例は第二実施例と同じ構成で回転子の磁極数が増えるので第二電機子の変位量は小さくできる特徴がある。更に第一電機子と第二電機子との磁気的結合の機会が減らされる事で振動或いはノイズ面でやや改善される。第二実施例,第三実施例共に第二電機子の最大変位量は回転子の一磁性体突極ピッチであり,周方向角度にして第二実施例では36度,第三実施例では26度弱である。磁性体歯の数は12であるので磁性体歯ピッチは30度であるので第二実施例では最大変位量が磁性体歯ピッチを超え,第三実施例では最大変位量が磁性体歯ピッチを超えない。したがって,第三実施例では第二電機子の基準位置を適切に設定して磁性体歯間の空隙が軸方向に並ぶ状態を回避して,第一電機子と第二電機子とが磁気的に結合する機会を減らす事が出来る。
以上,本発明の回転電機システムについて,実施例を挙げて説明した。これらの実施例は本発明の趣旨,目的を実現する例を示したのであって本発明の範囲を限定するわけでは無い。例えば上記の説明に於いて電機子と回転子とが軸方向に対向するアキシャルギャップ構造の回転電機装置を実施例に挙げて説明したが,当然に二つの電機子が軸方向に並んで略円筒状の回転子に対向するラジアルギャップ構成の回転電機装置も可能である。また,上記実施例に於ける回転子の磁極構成,電機子の構成,制御磁石の構成等はそれぞれ組み合わせを変えて本発明の趣旨を実現する回転電機装置を構成できる事は勿論である。

Claims (7)

  1. 電機子との対向面に於いて周方向に隣接する磁性体突極が永久磁石により互いに異極に磁化された回転子と,前記回転子との対向面に於いて一以上の磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルが周方向に配置された第一電機子及び第二電機子とがハウジング内に配置され,回転子が第一電機子及び第二電機子それぞれと微小間隙を介して互いに対向し且つ回転可能に構成された回転電機装置を含むシステムであって,
    前記回転電機装置では,同一の相に属する第一電機子の電機子コイル第二電機子の電機子コイルとの電機子コイルペアが互いに直列に接続され,第一電機子がハウジングに固定される一方で第二電機子ハウジングに対して周方向に変位可能に配置され,回転子に負荷が接続され、第二電機子の慣性モーメントが回転子および負荷の総合慣性モーメントよりも小さく設定されており,
    第二電機子を変位させるステータ位置決め手段と,各電機子コイルペアの直列回路に接続されて回転子を回転駆動させるための電流を電機子コイルに供給する駆動制御回路とが,さらに設けられ,
    前記ステータ位置決め手段が第二電機子を変位させる際に,第二電機子に生じる電機子反作用が大となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて前記駆動制御回路から電機子コイルに流れる電流を制御することにより,回転子と第二電機子との間の作用力を第二電機子の変位に利用することを特徴とする回転電機システム。
  2. 電機子との対向面に於いて周方向に隣接する磁性体突極が永久磁石により互いに異極に磁化された回転子と,前記回転子との対向面に於いて一以上の磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルが周方向に配置された第一電機子及び第二電機子とがハウジング内に配置され,回転子が第一電機子及び第二電機子それぞれと微小間隙を介して互いに対向し且つ回転可能に構成された回転電機装置を含むシステムであって,
    前記回転電機装置では,同一の相に属する第一電機子の電機子コイル第二電機子の電機子コイルとの電機子コイルペアが互いに直列に接続され,第一電機子がハウジングに固定される一方で第二電機子ハウジングに対して周方向に変位可能に配置され,回転子に負荷が接続されており,
    第二電機子を変位させるステータ位置決め手段と,各電機子コイルペアの直列回路に接続されて回転子を回転駆動させるための電流を電機子コイルに供給する駆動制御回路とが,さらに設けられ,
    前記ステータ位置決め手段が第二電機子を変位させる際に,第一電機子に生じる電機子反作用と第二電機子に生じる電機子反作用とが互いに逆方向となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて前記駆動制御回路から電機子コイルに流れる電流を制御することにより,回転子と第二電機子との間の作用力を第二電機子の変位に利用することを特徴とする回転電機システム。
  3. 請求項1または2に記載の回転電機システムに於いて、
    前記第一電機子と前記回転子との間および前記回転子と前記第二電機子との間のそれぞれに於いて,同相の電機子コイルが隣接する磁性体歯に互いに逆方向となるよう巻回された三相電機子コイル群と,三相電機子コイル群の電機子コイル数とは異なる数で最も近い偶数個の磁性体突極とで構成される磁極組み合わせが周方向に1組以上配置され,
    前記第二電機子は、前記電機子コイルペアに属するそれぞれの電機子コイルが磁性体突極ピッチの整数倍だけ周方向に変位した位置を基準位置として、当該基準位置から回転子の通常の回転方向である順回転方向とは逆方向の領域に変位可能に配置される回転電機システム。
  4. 請求項1または2に記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,
    前記回転電機装置は,電機子コイルへの供給電流を入力として回転力を出力し,
    前記制御装置は,前記回転電機装置からの出力が示す回転速度が所定の値より大きく,電機子コイルに誘起される誘起電圧を減少させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向とは逆方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に前記回転子を加速する極性の電流を供給させ前記出力が示す回転速度が所定の値より小さく,電機子コイルに誘起される誘起電圧を増大させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に回転子を減速させる電流または回転子を逆方向に駆動する極性の電流を供給させて,回転力最適に制御する回転電機システム
  5. 請求項1または2に記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,
    前記回転電機装置は,回転力を入力として発電電圧を出力し,
    前記制御装置は,前記回転電機装置から出力される発電電圧が所定の値より大きく,電機子コイルに誘起される誘起電圧を減少させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向とは逆方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に前記回転子を加速する極性の電流を供給させ,前記発電電圧が所定の値より小さく,電機子コイルに誘起させる誘起電圧を増大させる場合には,ステータ位置決め手段により第二電機子を回転子の順回転方向に変位させると共に,駆動制御回路から電機子に回転子を減速させる電流または回転子を逆方向に駆動する極性の電流を供給させて,発電電圧を制御する回転電機システム
  6. 電機子との対向面に於いて周方向に隣接する磁性体突極が永久磁石により互いに異極に磁化された回転子と,前記回転子との対向面に於いて一以上の磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルが周方向に配置された第一電機子及び第二電機子とがハウジング内に配置され,回転子第一電機子及び第二電機子それぞれと微小間隙を介して互いに対向し且つ回転可能に構成された回転電機装置の電機子コイルに誘起される誘起電圧制御方法であって,
    同一の相に属する第一電機子の電機子コイル第二電機子の電機子コイルとの電機子コイルペアを互いに直列に接続し,回転子に負荷を接続すると共に回転子を回転駆動させるための電流を電機子コイルに供給する駆動制御回路を各電機子コイルペアに接続し,第二電機子の慣性モーメントを回転子及び負荷の総合慣性モーメントよりも小さく設定し,第一電機子をハウジングに固定する一方で,第二電機子をハウジングに対して周方向に変位可能に配置し,回転電機装置の出力に応じて第二電機子を変位させる際に第二電機子に生じる電機子反作用が大となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて前記駆動制御回路から電機子コイルに流れる電流を制御することにより,回転子第二電機子との間の作用力を第二電機子変位に利用することを特徴とする誘起電圧制御方法
  7. 電機子との対向面に於いて周方向に隣接する磁性体突極が永久磁石により互いに異極に磁化された回転子と,前記回転子との対向面に於いて一以上の磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルが周方向に配置された第一電機子及び第二電機子とがハウジング内に配置され,回転子第一電機子及び第二電機子それぞれと微小間隙を介して互いに対向し且つ回転可能に構成された回転電機装置の電機子コイルに誘起される誘起電圧制御方法であって,
    同一の相に属する第一電機子の電機子コイル第二電機子の電機子コイルとの電機子コイルペアを互いに直列に接続し,回転子に負荷を接続すると共に回転子を回転駆動させるための電流を電機子コイルに供給する駆動制御回路を各電機子コイルペアに接続し,第一電機子をハウジングに固定する一方で,第二電機子をハウジングに対して周方向に変位可能に配置し,回転電機装置の出力に応じて第二電機子を変位させる際に第一電機子に生じる電機子反作用と第二電機子に生じる電機子反作用とが互いに逆方向となるような相対位置関係が回転子と第二電機子との間に生じるタイミングに合わせて前記駆動制御回路から電機子コイル流れる電流を制御することにより,回転子第二電機子との間の作用力を第二電機子変位に利用することを特徴とする誘起電圧制御方法
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