薬剤収容物、薬剤管理システム及び薬剤管理方法
技術分野
[0001] 本発明は薬剤収容物に関し、特に、最小服用単位の薬剤を個別に収容可能な薬 剤収容物に関する。また、本発明は薬剤管理システム及び薬剤管理方法に関し、特 に、薬剤を最小服用単位ごとに管理可能な薬剤管理システム及び薬剤管理方法〖こ 関する。
背景技術
[0002] 近年、投薬ミス等の医療過誤が大きな社会問題となっており、その根絶が強く叫ば れている。投薬ミスとしては、本来投与すべき薬剤とは異なる薬物を誤って患者に投 与するケースが代表的であり、その他、投与すべき薬剤に誤りはないものの誤った量 を投与するケース、さらには、ある患者に投与すべき薬剤を誤って別の患者に投与 するケースなどが挙げられる。これらのケースは、いずれもその原因のほとんどが人 為的ミス (ヒューマンエラー)によるものであることから、このような薬剤に関する人為的 ミスを防止すべく、現在 ICタグを利用した 、くつかの提案がなされて 、る。
[0003] 例えば、特許文献 1では、主倉庫から各病棟に設置された倉庫へ薬剤を搬送する 際に、搬送する薬剤の名称や使用期限、数量等が書き込まれた ICタグを発行し、こ の ICタグとともに必要数の薬剤を搬送することによって、ケース力も取り出した端数の 薬剤に対する管理効率を改善する提案がなされている。一方、特許文献 2では、処 方箋に基づいて必要な各種薬剤を患者別に梱包するとともに、患者の IDや処方した 薬剤の種類が書き込まれた ICタグを発行し、梱包された薬剤容器カゝら読み取ったコ ードと ICタグの内容と照合することによって投薬ミスを低減する提案がなされている。 特許文献 1:特開 2003-63654号公報
特許文献 2:特開 2002-269234号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] しかしながら、特許文献 1に記載された手法では、主倉庫から各病棟の倉庫へ薬剤
を搬送する際の人為的ミスについては防止可能であるものの、実際に患者に薬剤を 投与乃至は交付する際に起きる人為的ミスについてはこれを防ぐことができない。
[0005] 一方、特許文献 2に記載された手法では、実際に患者に薬剤を投与する際に起き る人為的ミスをある程度防止可能であるものの、投与する薬剤の量については正確 に管理することができないばかりか、院外処方箋薬のように患者が病院や薬局力 薬 剤を持ち帰り、病院外で服用する薬剤については、患者の手に渡った時点で、いつ 誰が処方し、 V、つ誰が調剤した薬剤であるのか等をトレースすることは不可能である
[0006] したがって、本発明の目的は、実際に患者に薬剤を投与乃至は交付する際、また は調剤の際に起きる人為的ミスをより確実に防止することが可能な薬剤管理システム 及び薬剤管理方法、並びに、これに使用可能な薬剤収容物を提供することである。
[0007] また、本発明の他の目的は、患者の手に渡った後においても当該薬剤に関する情 報をトレース可能な薬剤管理システム及び薬剤管理方法、並びに、これに使用可能 な薬剤収容物を提供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 投薬ミス等の医療過誤を防止すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、まとまつ た所定量の薬剤ごとに IDを割り当てたり、 1回で処方される量の薬剤ごと IDを割り当 てるだけでは不十分であり、最小服用単位の薬剤ごとに固有の IDを割り当てることが 有効であるという結論に達した。本発明はこのような知見に基づきなされたものであつ て、本発明による薬剤収容物は、最小服用単位の薬剤を個別に収容可能な本体部 と、前記本体部に収容された最小服用単位の薬剤ごとに固有の IDを保持する手段と を備えることを特徴とする。尚、本発明において「最小服用単位」とは、当該薬剤の服 用についての最小単位であり、例えば、錠剤、丸剤、トローチ等であれば 1錠、カプセ ル剤であれば 1カプセル、顆粒剤であれば 1包を指す。経口剤以外の薬剤について も同様である。
[0009] また、本発明による薬剤管理システムは、処方箋データを生成する手段と、調剤さ れた薬剤に対して最小服用単位で個々に割り当てられた固有の IDを取得する手段 と、前記処方箋データに含まれる処方内容と取得した前記 IDが示す薬剤の種類及
び量とを照合し、その結果を報知する手段とを備えることを特徴とする。
[0010] さらに、本発明による薬剤管理方法は、処方箋データを生成するステップと、調剤さ れた薬剤に対して最小服用単位で個々に割り当てられた固有の IDを取得するステツ プと、前記処方箋データに含まれる処方内容と取得した前記 IDが示す薬剤の種類 及び量とを照合するステップと、照合の結果を報知するステップとを備えることを特徴 とする。
発明の効果
[0011] 本発明による薬剤収容物では、本体部が最小服用単位の薬剤を個別に収容可能 であるとともに、最小服用単位の薬剤ごとに固有の IDを割り当てることが可能であるこ とから、単に薬剤の種類を識別するだけでなぐ最小服用単位の薬剤を個々に識別 することが可能となる。これにより、投薬ミス等の人為的なミスをより効果的に防止する ことが可能となるとともに、院外処方箋薬のように、患者が病院や薬局から薬剤を持ち 帰り、病院外で服用する薬剤についても、それがどのような薬剤であり、いつ誰が処 方し、いつ誰が調剤した薬剤であるの力、使用期限はいつであるのか等をトレースす ることが可能となる。
[0012] また、本発明による薬剤管理システム及び薬剤管理方法によれば、実際に調剤さ れた薬剤が処方箋の内容と一致して 、るか否かを確実に検査できることから、誤った 薬剤を患者に渡すというミスが防止されるのはもちろんのこと、薬剤の数についてのミ スも防止することが可能となる。さらに、取得した IDに基づいて生成された調剤デー タを処方箋データと関連づけておけば、薬剤が患者の手に渡った後においても、薬 剤に割り当てられた IDを読み出すことにより、いつ誰が処方し、いつ誰が調剤した薬 剤であるのか等を簡単にトレースすることが可能となる。
[0013] このように、本発明によれば、実際に患者に薬剤を投与乃至は交付したり、調剤す る際に起きる人為的ミスをより確実に防止することが可能となるば力りでなぐ薬剤が 患者の手に渡った後においても、薬剤に関する情報を簡単にトレースすることが可能 となる。すなわち、本発明は投薬ミス等の医療過誤の根絶に極めて有効に作用する ものである。
発明を実施するための最良の形態
[0014] 以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説 明する。
[0015] 図 1は、本発明の好ましい実施の形態による薬剤収容物 10の外観を示す略斜視図 である。
[0016] 図 1に示すように、本実施形態による薬剤収容物 10は、最小服用単位の薬剤 20を 個別に収容可能なシート状の本体部 12と、本体部 12に収容された最小服用単位の 薬剤 20ごとに固有の ID (以下、「薬剤 ID」と言う)を保持する ICタグ 16 (16a— 16j)と を備えて構成されている。本体部 12は、複数の収容部 14a— 14jによって最小服用 単位の薬剤 20を個別に複数(図 1に示す例では 10個)収容可能であり、 ICタグ 16は 最小服用単位の薬剤 20ごとに割り当てられている。つまり、 ICタグ 16a— 16jは、対 応する収容部 14a— 14jに収容された薬剤 20ごとに個々に割り当てられて ヽる。
[0017] 本実施形態では、本体部 12に収容された薬剤 20は「錠剤」である。したがって、こ の場合の最小服用単位は「1錠」であり、本体部 12の各収容部 14a— 14jには、薬剤 20がそれぞれ 1錠ずつ収容されている。また、本体部 12は、 2つの収容部ごとに設 けられた分割部 18を有しており、分割部 18に沿って本体部 12を分割可能に構成さ れている。
[0018] ICタグ 16a— 16jは、上述のとおり、対応する収容部 14a— 14jに収容された最小 服用単位の薬剤 20ごとに割り当てられており、それぞれ対応する薬剤 20に固有の 薬剤 IDを保持している。ここで言う「固有の薬剤 ID」とは、薬剤 20の種類ごとに固有 の IDではなぐ最小服用単位の薬剤 20ごとに固有の ID、つまり本例では 1錠ごとに 固有の IDを指す。したがって、同じ本体部 12に収容されている薬剤 20でも、それぞ れに異なる薬剤 IDが割り当てられていることになる。薬剤 IDの内容については特に 限定されないが、最小服用単位の薬剤 20をそれぞれ識別可能なコードの他、少なく とも、薬剤 20の種類を示す情報及び使用期限を示す情報が含まれていることが好ま しい。もちろん、最小服用単位の薬剤 20を識別可能なコードに、これら情報が包含さ れていても構わない。
[0019] 図 2は、 ICタグ 16の具体的構成の一例を示すブロック図である。
[0020] 図 2に示すように、 ICタグ 16は、バス 22に接続された CPU24、メモリ 26及び RF部
28と、 RF部 28に接続されたアンテナ 30とを備えて構成されている。これら各要素に ついてはそれぞれ別個の部品であっても構わないが、これらの一部又は全部の機能 をワンチップに集積することが好ましい。また、 ICタグ 16の動作に必要な電力につい ては、アンテナ 30によって受信した電波の電力を利用することが可能である。
[0021] 対応する薬剤 20ごとに割り当てられた薬剤 IDは、メモリ 26内に格納されており、無 線通信によってその内容を外部から読み出すことができる。メモリ 26内に格納された 薬剤 IDは、書き換え可能であっても構わないし、書き換えが不可能であっても構わな い。すなわち、メモリ 26としては、書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリや EEPROM 等)を用いても構わな 、し、書き換えが不可能なメモリ(ROM)を用いても構わな!/、。
[0022] 以上の構成を有する薬剤収容物 10は、最小服用単位の薬剤 20を個別に収容可 能な本体部 12に、最小服用単位の薬剤 20ごとに固有の薬剤 IDを保持する ICタグ 1 6が設けられていることから、単に薬剤の種類を識別するだけでなぐ最小服用単位 の薬剤を個々に識別することが可能となる。これにより、投薬ミス等の人為的なミスを より効果的に防止することが可能となるとともに、院外処方箋薬のように、患者が病院 や薬局から薬剤を持ち帰り、病院外で服用する薬剤についても、それがどのような薬 剤であり、いつ誰が処方し、いつ誰が調剤した薬剤であるのか、使用期限はいつで あるのか等をトレースすることが可能となる。
[0023] 本体部 12への ICタグ 16の取り付けは、対応する薬剤 20との関連づけが可能であ ればどの段階で行っても構わない。したがって、メーカが出荷前に ICタグ 16を取り付 けても構わないし、或いは、病院や薬局にて ICタグ 16を取り付けても構わない。製造 者や製造日、製造ロット等、より詳細な情報を ICタグ 16に持たせるためには、前者の 段階で取り付けることが好ましい。 ICタグ 16の取り付け方法としては、本体部 12から の分離が防止される限り特に限定されず、例えば接着剤等を用いて貼り付ければよ い。本体部 12からの分離をより確実に防止するためには、本体部 12の内部に ICタグ 16を埋め込んだり、本体部 12の一部に回路を形成することにより、本体部 12自体に ICタグの機能を持たせることが好ま U、。
[0024] ICタグ 16を取り付ける位置については本体部 12の形状等に基づいて決定すれば よいが、本実施形態のように本体部 12に分割部 18が設けられている場合には、分割
部 18に沿って本体部 12を分割した場合に、対応する薬剤 20と ICタグ 16とが分離し な 、よう配置する必要がある。
[0025] また、本実施形態のように、分割部 18に沿って本体部 12を分割しても最小服用単 位の薬剤ごとに分離することができず、複数 (2個)の薬剤が一体的に保持される場 合には、ハサミ等を用いて患者が個々の薬剤に分離した場合であっても、対応する 薬剤 20と ICタグ 16とが分離しないよう配置することが好ましい。つまり、図 3に示すよ うに、分割部 18に沿って分割しても本体部 12に 2最小服用単位の薬剤が保持され た状態となる場合には、隣り合う収容部 14aと収容部 14bの中心線 Aからみてそれぞ れ対応する収容部側に ICタグ 16a, 16bを配置すればよい。特に、図 4に示すように 、各収容部 14a, 14b間に存在する領域 Bを避けて配置すれば、ハサミ等によってこ れらをどのように分離した場合であっても、対応する薬剤 20と ICタグ 16との分離を避 けることが可能となる。以上は、本体部 12に分割部 18が全く設けられていない場合 においても同様であり、この場合には、図 5に示すように、隣接する各収容部間に存 在する領域 Bを避けてそれぞれ ICタグ 16を配置すればよい。
[0026] さらには、図 6に示すように、収容部 14自体に ICタグ 16を配置すれば、対応する薬 剤 20と ICタグ 16との分離をほぼ確実に防ぐことが可能となる。
[0027] 尚、上記実施形態では、本体部 12に収容された薬剤 20が錠剤であるが、最小服 用単位で収容されている限り、薬剤の形態がこれに限定されるものではない。したが つて、錠剤以外の経口剤、例えば、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどであつ ても構わないし、経口剤以外の薬剤、例えば、エキス剤、軟膏剤、貼付剤、ノップ剤 、坐剤、水剤、点眼剤、エアゾール剤、リモナ一デ剤、懸濁剤、乳剤、浸剤'煎剤、流 エキス剤、チンキ剤、シロップ剤、芳香水剤、エレキシル剤、リニメント剤、ローション 剤などであっても構わない。但し、上記実施形態のように、本体部 12に収容された薬 剤 20が錠剤等の経口剤である場合、例えば大人なら 3錠というように、 1回の服用量 が最小服用単位の数倍であることが多ぐし力も、小人なら 2錠というように患者によつ ても上記倍数が異なることが一般的であることから、最小服用単位の薬剤がばらばら に保存される可能性が非常に高い。このため、最小服用単位の薬剤ごとに固有の薬 剤 IDを割り当てる本発明の手法は、収容される薬剤が錠剤のような経口剤である場
合にぉ 、て最も効果的であると言える。
[0028] また、上記実施形態では、本体部 12に複数の収容部 14a— 14jが設けられ、これら 複数の収容部 14a— 14jに最小服用単位の薬剤が個別に収容されて!ヽるが、本発 明において本体部 12が最小服用単位の薬剤 20を複数収容可能である必要はなぐ 1最小服用単位 (例えば 1錠)の薬剤のみを収容するものであっても構わない。
[0029] さらに、上記実施形態では、本体部 12に分割部 18が設けられ、分割部 18に沿つ て本体部 12を分割可能に構成されている力 本発明においてこのような分割部 18を 設けることは必須でない。但し、上記実施形態のように、本体部 12に分割部 18が設 けられている場合、もともとは本体部 12によって一体的に保持されていた最小服用 単位の各薬剤が、調剤等によって 1又は 2以上の最小服用単位 (上記実施形態では 2最小服用単位)の薬剤に分割してばらばらに保存される可能性が非常に高くなるこ とから、このような場合、最小服用単位の薬剤ごとに固有の薬剤 IDを割り当てる本発 明の手法は極めて有効となる。
[0030] さらに、上記実施形態では、最小服用単位の薬剤 20ごとに固有の薬剤 IDを保持 する手段として ICタグ 16を用いている力 本発明はこれに限定されるものではなぐ バーコードや 2次元コード等、光学的に読み取り可能な手段を用いて固有の薬剤 ID を保持することも可能であり、さらには、磁気コードのように磁気的に読み取り可能な 手段を用いて固有の薬剤 IDを保持することも可能である。但し、本発明において割り 当てられる薬剤 IDは、最小服用単位の薬剤 20ごとに固有の IDでありデータ量が比 較的大きくなることや、複数の薬剤収容物 10を重ねた状態で一度に薬剤 IDを読み 出す状況が想定されることを考慮すれば、保持可能なデータ量が大きぐ且つ、無線 通信が可能である ICタグを用いることが最も好ま 、。
[0031] 次に、本発明による薬剤収容物を利用した薬剤管理システム及び薬剤管理方法に ついて説明する。
[0032] 図 7は、本発明の好ましい実施形態による薬剤管理システムの構成を示す模式図 である。
[0033] 図 7に示すように、本実施形態による薬剤管理システム 40は、医師用端末 42と、照 合端末 44と、管理サーバ 46と、これらを相互に接続するネットワーク 48とを備えて構
成されている。
[0034] 医師用端末 42は、処方箋を発行する医師の操作により、後述する処方箋データを 生成するとともに、これを少なくとも管理サーバ 46へ送信するための端末である。照 合端末 44は、処方箋にしたがって調剤された薬剤が処方箋データの内容と一致して いる力否力を照合するための端末である。照合端末 44には読み取り装置 50が接続 されており、調剤した薬剤に関する情報はここで読み取られる。照合端末 44の操作 は薬剤師によって行われ、生成される調剤データは少なくとも管理サーバ 46へ送信 される。管理サーバ 46は、処方箋データ及び調剤データを蓄積し、これらを管理す るために用いられる。
[0035] 次に、薬剤管理システム 40を用いた薬剤管理方法について、フローチャートである 図 8を参照しながら説明する。
[0036] まず、医師が患者を診断すると、医師は、症状に応じた処方箋 (紙)を患者に発行 するとともに、医師用端末 42を用いて処方箋データを生成する (ステップ Sl)。図 9は 、処方箋データ 60のデータ構造の一例を示す図であり、本例では、患者 ID62、医 師 ID64、処方内容 66、処方日 68によって処方箋データ 60が構成される。患者 ID6 2は各患者に固有の IDであり、医師 ID64は各医師に固有の IDである。処方内容 66 は、処方すべき薬剤の種類及び量、並びに、服用方法等を示すデータであり、例え ば、薬剤 Xを 50錠、 1日 3回、 1回 2錠服用といった情報によって構成される。処方日 68は、当該処方箋データ 60を作成した日付である。医師用端末 42によって生成さ れた処方箋データ 60は、管理サーノ 6へと送信され (ステップ S2)、ここに保存され る。尚、患者に発行する紙の処方箋には、少なくとも患者を特定するバーコード等を 印字しておくことが好ましい。
[0037] 次に、患者が病院内の薬剤部や調剤薬局に行き、医師より発行された処方箋 (紙) を提示すると、薬剤師は、これにしたがって調剤を行う。調剤された薬剤は、本発明 による薬剤収容物(図 1参照)に収容された状態であり、したがって、最小服用単位の 薬剤ごとに固有の ID (薬剤 ID)が割り当てられている。つまり、上記の例に従えば、 5 0錠の薬剤 Xそれぞれに異なる薬剤 IDが割り当てられて ヽる。
[0038] 調剤した薬剤は、本発明による薬剤収容物に収容された状態で、照合端末 44に接
続された読み取り装置 50による検査にかけられ、割り当てられている薬剤 IDが読み 出される (ステップ S3)。読み取り装置 50の構成としては特に限定されず、 ICタグによ つて薬剤 IDが保持されている場合、図 10に示すように、無線送受信装置を内蔵した 板状構造とし、薬剤収容物に収容された薬剤をその上に載置するか、これを無線通 信エリア 52内にかざすことによって薬剤 IDを読み取る構成とすることができる。或い は、図 11に示すように、薬剤収容物に収容された薬剤を搬送するコンベア 54と、コン ベア 54を跨ぐように配置された無線送受信ゲート 56を用い、コンベア 54によって搬 送される薬剤が無線送受信ゲート 56を通過する際、薬剤収容物に設けられた ICタグ との無線通信を行うことにより各 ICタグに保持された薬剤 IDを取得する構成としても 構わない。さらには、読み取り装置 50としてこのような専用の装置を用いる必要はなく 、携帯電話機、ハンディーターミナル、 PDA端末、ポケット PC、パーソナルコンビュ ータ等が有する無線送受信機能を利用しても構わない。
[0039] このようにして調剤した薬剤の薬剤 IDを取得すると、照合端末 44は、管理サーバ 4 6に対して当該患者の処方箋データを要求し、これを取得する (ステップ S4)。この場 合、処方箋 (紙)に印字されたバーコード等を読み取り、これに基づいて処方箋デー タを要求すれば、異なる患者の処方箋データを取得するというミスを防止することが できる。そして、照合端末 44は、管理サーバ 46より取得した処方箋データ内の処方 内容 66と、読み取り装置 50より取得した薬剤 IDが示す薬剤の種類及び量とを照合 し (ステップ S5)、これらが一致している力否かを判断する (ステップ S6)。その結果、 これらが一致して ヽれば (ステップ S6: YES)その旨を薬剤師に報知し (ステップ S 7) 、薬剤師はこれに基づいて調剤した薬剤を実際に患者に渡す。一方、これらが一致 していない場合 (ステップ S6 : NO)にもその旨が薬剤師に報知され (ステップ S8)、こ れにより薬剤師は調剤に誤りがあったことを知ることができる。この場合には、改めて 調剤をやり直し、ステップ S5に戻って再び照合を行う。尚、報知の手段としては、ラン プゃスピーカ等を用いればよ 、。
[0040] また、処方内容 66と薬剤 IDが示す薬剤の種類及び量とがー致した場合 (ステップ S6 : YES)、照合端末 44は調剤データを生成し (ステップ S9)、これを管理サーバ 46 へ送信する (ステップ S 10)。図 12は、調剤データ 70のデータ構造の一例を示す図
であり、本例では、患者 ID72、薬剤師 ID74、薬剤 ID76、調剤日 78によって調剤デ ータ 70が構成される。患者 ID72は各患者に固有の IDであり、薬剤師 ID74は各薬 剤師に固有の IDである。薬剤 ID76は、調剤した薬剤に割り当てられていた全ての薬 剤 IDであり、例えば、 50錠の薬剤 Xを調剤した場合には 50個の薬剤 IDによって構 成される。調剤日 78は、当該調剤データ 70を作成した日付であり、調剤した日及び これを患者に受け渡した日と基本的に一致する。
[0041] そして最後に、管理サーバ 46は、医師用端末 42より取得した処方箋データ 60と、 照合端末 44より取得した対応する調剤データ 70とを関連付ける (ステップ S 11)。
[0042] このように、本実施形態による薬剤管理システムを用いた薬剤管理方法では、薬剤 師が実際に調剤した薬剤が処方箋の内容と一致している力否かを確実に検査できる ことから、誤った薬剤を患者に渡すというミスが防止されるのはもちろんのこと、薬剤 の数についてのミスも防止することが可能となる。し力も、薬剤を受け渡した後は、処 方箋データ 60と調剤データ 70とが関連づけられることから、患者の手に渡った後に おいても、薬剤収容物に設けられた ICタグ等により保持された薬物 IDを再び読み出 し、管理サーバ 46内に蓄積されたデータと照合すれば、いつ誰が処方し、いつ誰が 調剤した薬剤であるのか等を簡単にトレースすることが可能となる。もちろん、薬物 ID に、製造者、製造日、製造ロット等の情報を持たせておけば、これらについてもトレー スすることが可能となる。
[0043] 本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなぐ特許請求の範囲に記 載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含 されるものであることは 、うまでもな!/、。
[0044] 例えば、上記実施形態による薬剤管理方法では、紙の処方箋に基づいて薬剤師 が調剤を行っているが、患者の本人確認が可能である限り、紙の処方箋を介在させ ることは必須でなぐこれを電子的に行っても構わない。また、調剤についても、保管 されて ヽる薬剤に個々に割り当てられた薬剤 IDを利用して自動的に行っても構わな い。
[0045] また、上記実施形態による薬剤管理システム 40では、医師用端末 42、照合端末 4 4、管理サーバ 46及び読み取り装置 50がそれぞれ別個の装置であるが、これらが別
個の装置である必要はなぐこれらの一部又は全部が一体ィヒされた装置であっても 構わない。逆に、医師用端末 42、照合端末 44、管理サーバ 46及び読み取り装置 50 の少なくとも一つが複数の装置の集合によって構成されていても構わない。
[0046] さらに、上記実施形態による薬剤管理システム 40では、医師が医師用端末 42を操 作することによって処方箋データを生成しているが、本発明がこれに限定されるもの ではなぐ例えば、医師が紙の処方箋のみを発行し、薬剤師等がこの処方箋に基づ き照合端末 44を操作することによって処方箋データを生成しても構わない。この場合 、処方箋データの生成に必要な情報をバーコード等により紙の処方箋に記録してお くことが好ましい。
図面の簡単な説明
[0047] [図 1]本発明の好ましい実施の形態による薬剤収容物 10の外観を示す略斜視図で ある。
[図 2]ICタグ 16の具体的構成の一例を示すブロック図である。
[図 3]隣り合う収容部の中心線 Aからみて ICタグ 16を配置すべき位置を説明するた め図である。
[図 4]ICタグ 16を配置すべきでない領域 Bを説明するため図である。
[図 5]ICタグ 16を配置すべきでない領域 Bを説明するため別の図である。
[図 6]収容部 14自体に ICタグ 16を配置した例を示す図である。
[図 7]本発明の好ましい実施形態による薬剤管理システム 40の構成を示す模式図で ある。
[図 8]本発明の好ましい実施形態による薬剤管理方法を説明するためのフローチヤ ートである。
[図 9]処方箋データ 60のデータ構造の一例を示す図である。
[図 10]読み取り装置 50の一例を示す図である。
[図 11]読み取り装置 50の他の例を示す図である。
[図 12]調剤データ 70のデータ構造の一例を示す図である。
符号の説明
[0048] 10 薬剤収容物
本体部
収容部
ICタグ
分割部
薬剤
ノ ス
メモリ
RF部
アンテナ 薬剤管理システム 医師用端末 照合端末 管理サーバ ネットワーク 読み取り装置 無線通信エリア コンベア 無線送受信ゲート 処方箋データ 患者 ID 医師 ID 処方内容 処方日
調剤データ 患者 ID 薬剤師 ID 薬剤 ID 調剤日
中心線
各収容部間に存在する領域