液状ポリエーテルカーボネートジォ一/レ化合物及びそれから得られ る熱可塑性ポリ ウレタン
技術分野
本発明は、 液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物及びそ 明
れから得られる熱可塑性ポリ ウレタンに関するものである。 本発明 田
の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物は、 ポリ ゥレタン 書
、 ポリ エステル等の原料の他、 高分子改質剤、 高分子可塑剤などと して使用することができる。 また本発明の熱可塑性ポリ ウレタンは 、 熱可塑性エラス トマ一、 弾性繊維及び人工皮革などの原料と して 使用することができる。
背景技術
ポリ ウレタン及びポリエステル樹脂などの製造原料と して使用さ れるポリオールは、 従来、 主と して、 ポリエーテルジオール及びポ リエステルジオールから選ばれていた力 s、 近年ポリカーボネートジ オールが、 耐熱性、 耐加水分解性、 耐候性などに優れた樹脂の原料 として有効であることにより注目されている。 しかし、 ポリカーボ ネート系の樹脂は、 剛性が高く伸びが^、さいという欠点があるため 、 従来の樹脂 (特にポリエーテル系) こ比べて柔軟性に欠けること が指摘されており、 また、 得られる樹 3旨のガラス転移温度が高く、 低温特性に劣ることも問題になっていた。 この問題の解決のため、 前記ポリオールと して、 エーテル基を分子内に挿入したポリ カーボ ネー トジオール (即ち、 ポリエーテルカーボネー トジオール) を用 いることが提案されている。
前記ポリエーテルカーボネー トジオールのジオール成分と しては 、 例えば、 ポリ カーボネート連鎖を成分として含むジオール化合物 と (特に 1 , 6 —へキサンジオールポリカーボネートグリ コール) と、 エチレンォキシド構造単位を有する化合物とを含む混合ジォー ル、 或いは同一分子中にポリカーボネート連鎖とエチレンォキシ ド 構造単位とを主成分と して含むブロ ック共重合体などの高分子ジォ ール (特許文献 1 ) 、 並びに、
1 , 6 一 へキサンジオールをエーテル化して得られるポリエーテ ルジオール (特許文献 2 ) 、 又はポリエーテルポリオール (例えば ジエチレングリ コーノレ、 ト リエチレングリ コーノレ、 テ トラエチレン グリ コール、 ト リ プロ ピレングリ コール、 ポリ プロ ピレングリ コー ル、 ポリテ トラメチレングリ コール等) と、 多価アルコール (例え ばエチレングリ コール、 1 , 2—プロノヽ0ンジオール、 1 , 3 —ブタ ンジオール、 1 , 6—へキサンジオール等) との混合物 (特許文献 3 ) などが使用されている。
しかし、 上記のようなポリエーテルジオールを使用して得られる ポリエーテルカーボネー トジオール化合物は、 室温で徐々に固化す るか、 又は高粘稠液体で粘度が高いなどの特性を有し、 取扱いにく いものであった。 更に、 それらのポリエーテルジオールのガラス転 移温度が充分に低くないため、 得られる樹脂の柔軟性及び Z又は低 温特性も満足できるものではなかった。
また、 ポリエーテルカーボネートジオールのジオール成分と して
、 1 , 6 —へキサンジオールとエチレンォキシド及び/又は 1 , 2 一プロ ピレンォキシ ドとの反応によって得られるジオールも使用さ れている (特許文献 4 ) 。 このジオールを使用したポリエーテル力 ーボネー トジオールは低粘度の液体で取扱いは容易であり、 このポ リエーテルカーボネートジォ一ノレをジオール成分に持つポリ ゥレタ
ンも低温特性の良好なものであつたが、 このポリエーテルジオール から製造されたポリエーテル系熱可塑性ポリ ウレタンの伸び率は、 実用上要求される高伸び率を、 必ずしも満足させることができるも のではなかった。
〔特許文献 1〕 特開昭 59— 66577号公報
〔特許文献 2〕 特開昭 63— 305127号公報
〔特許文献 3〕 特開平 2— 255822号公報
〔特許文献 4〕 特開 2002— 256069号公報 発明の開示
本発明の目的は、 従来技術が有する前記問題を解決し、 低粘度で 、 取扱いが容易であり、 ガラス転移温度が低く、 伸び率が高く、 低 温特性に優れ、 柔軟性の高い熱可塑性ポリ ウレタン樹脂の原料と し て有用な液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物、 及び、 こ のジオール化合物から得られる熱可塑性ポリ ウレタンを提供するこ とにある。
本発明の課題は、 本発明の液状ポリエーテルカーボネー トジォ一 ル化合物及びそれから得られる熱可塑性ポリ ウレタンによつて達成 される。
本発明の液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物は、
( 1 ) 炭酸エステル化合物と、
( 2 ) ( A ) 下記式 ( a ) によ り表される構造単位 :
- R0 - ( a )
〔但し、 式 ( a ) 中、 Rは、 3〜 5個の炭素原子を含む無置換直鎖 アルキレン基、 及び 3〜 5個の炭素原子を含む直鎖状アルキレン主 鎖と、 この主鎖に結合しており、 かつ 1〜 4個の炭素原子を含む少 なく とも 1個のアルキル側鎖とからなる置換アルキレン基から選ば
れた 1種を表す。 〕
及び
(B) 下記式 ( b ) 及び ( c ) によ り表される構造単位 :
— (CH2 )2— O - ( b )
及び
-CH2CH(CH3)- O - ( c )
から選ばれた少なく とも 1種を含むポリエーテルジオール化合物と の反応生成物からなり、
前記ポリエーテルジオール化合物 ( 2 ) に含まれる式 ( a ) の構造 単位 1 モル当りの、 式 ( b ) の構造単位の平均モル数 n及び式 ( c ) の構造単位の平均モル数 mは、 それぞれ、 互に独立に、 0 ≤ n≤ 5及び 0 ≤ m≤ 5を満足する正数であり、 かつ式 ( b ) 及び ( c ) の構造単位の平均合計モル数 n + mは、 1 < ( n +m) ≤ 5を満足 する正数であることを特徴とするものである。
本発明の液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物の前記ポ リエーテルジオール化合物において、 式 ( a ) の構造単位 1 モル当 りの、 式 ( c ) の構造単位の平均モル数 mがゼロであることが好ま しい。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物において 、 前記ポリエーテルジオール化合物が
( i ) 1, 3 一プロパンジオール、 1, 4一ブタンジオール、 1, 5 _ペンタンジオール及び前記 3種のジオール化合物のそれぞれの アルキレン基が、 1〜 4個の炭素原子を含む少なく とも 1個のアル キル基によ り置換されている置換アルキレンジオール化合物から選 ばれた少なく とも 1種と、
( ϋ ) エチレンォキシド、 及びプロ ピレンォキシドから選ばれた少 なく とも 1種と
の付加反応生成物から選ばれることが好ましい。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物において
、 前記ポリエーテルジオール化合物が、 100〜500の数平均分子量を 有することが好ましい。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物において 、 前記ポリエーテルカーボネートジオール化合物の数平均分子量が 、 400〜5000の範囲内にあることが好ましい。
本発明の液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物において 、 前記炭酸エステル化合物が、 ジアルキルカーボネー ト、 ジァリー ルカーボネート、 アルキレンカーボネート、 及びアルキルァリール カーボネートから選ばれることが好ましい。
本発明の熱可塑性ポリ ウレタンは、 前記本発明の少なく とも 1種 の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物を含むジオール成 分と、 少なく とも 1種のポリイソシァネート化合物を含むポリイ ソ シァネート成分と、 鎖延長剤との付加反応生成物を含むことを特徴 とするものである。
本発明の熱可塑性ポリ ウレタンにおいて、 前記ポリイソシァネー ト化合物が、 1, 3 — ト リ メチレンジイ ソシァネー ト、 1, 4—テ トラメチレンジイ ソシアー ト、 1 , 6 —へキサメチレンジイ ソシァ ー ト、 2, 2, 4 一 ト リ メチルへキサメチレンジィ ソシァネ一 ト、 2 , 4, 4 — ト リ メチルへキサメチレンジィソシァネート、 1, 9 ーノナメチレンジイ ソシァネート、 1 , 10—デカメチレンジイ ソシ ァネート、 1, 4—シク ロへキサンジイ ソシァネート、 イ ソホロ ン ジィ ソシァネート、 4, 4, 一ジシク 口へキシルメ タンジィ ソシァ ネー ト、 2, 2, ージェチルエーテルジイ ソシァネー ト、 水素添加 キシリ レンジイ ソシァネー ト、 へキサメチレンジイ ソシァネー ト一 ビウ レッ ト体、 p —フエ二レンジイ ソシァネー ト、 ト リ レンジイ ソ
シァネー ト、 キシリ レンジイ ソシァネー ト、 4 , 4 ' ージフエニル ジイ ソシァネー ト、 1 , 5—ナフタ レンジイ ソシァネー ト、 4 , 4 , ージフエニルメ タンジイ ソシァネー ト、 3 , 3—メチレンジ ト リ レン一 4 , 4, ージィ ソシァネー ト、 ト リ レンジイ ソシァネー ト ト リ メチロールプロパンァダク ト、 ト リ フエニルメ タン ト リイ ソシァ ネー ト、 4 , 4, 一ジフエニルエーテルジイ ソシァネー ト、 テ トラ ク ロ 口フエ二レンジイ ソシァネー ト、 3 , 3, ージク ロ ロ ー 4 , 4 , 一ジフエニルメタンジイ ソシァネー ト、 及び ト リイ ソシァネー ト フエ二ルチオホスフエ一トから選ばれることが好ましい。
本発明の熱可塑性ポリ ウレタンにおいて、 前記鎖延長剤が、 ェチ レングリ コーノレ、 1 , 2 —プロ ピレンダリ コーノレ、 1 , 3—ブタン ジオール、 1 , 4—ブタンジオール、 1 , 5—ペンタンジオール、 1 , 6 一へキサンジォーノレ、 1 , 8—オクタンジォーノレ、 1 , 9 一 ノナンジオール、 1 , 10—デカンジオール、 ネオペンチルグリ コー ノレ、 3—メチルー 1 , 5 —ペンタンジォーノレ、 3 , 3—ジメチロー ノレヘプタン、 1 , 4ーシク ロへキサンジォ一ノレ、 1 , 4—シク ロへ キサンジメ タノーノレ、 1 , 4—ジヒ ドロキシェチノレシク ロへキサン 、 エチレンジアミ ン、 1 , 2 _プロ ピレンジァミ ン、 1 , 6—へキ サメチレンジァミ ン、 イ ソホロンジァミ ン、 ビス ( 4—アミ ノシク 口へキシル) メ タン、 ピぺラジン、 メ タ (又はパラ) キシリ レンジ ァミ ン、 2 —エタノールァミ ン、 N—メチルジェタノールアミ ン、 N—フエニルジプロパノーノレアミ ン、 ヒ ドロキシェチルスルフア ミ ド、 ヒ ドロキシェチルアミ ノエチルスルフア ミ ド、 尿素、 及び水か ら選ばれる 1種以上を含むことが好ましい。
本発明において、 用語 「液状ポリエーテルカーボネー トジオール 化合物」 は、 室温 (約 5 °C〜約 30°C ) において、 液体であって、 流 動性を示すポリエーテルカーボネー トジオール化合物群を表す。
本発明によ り、 従来技術が有する問題を解決できる液状ポリエー テルカーボネートジオール化合物及び該ジオールをジオール成分に 持つ熱可塑性ポリ ウレタンを提供することが可能になる。 即ち、 本 発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物は低粘度で取 扱いが容易であり、 このジオールをジオール成分と して用いること によ り、 低温特性に優れ、 柔軟性及び伸縮性 (伸長性や変形回復性 ) の高い熱可塑性ポリ ウレタンを提供することができる。 本発明の 熱可塑性ポリ ウレタンは、 このような優れた特性を有し、 さらに耐 熱性、 耐加水分解性、 耐候性などにも優れており、 パランスのとれ た特性を有するものであって、 熱可塑性エラス トマ一、 弾性繊維、 人工皮革などの原料として有用なものである。 発明を実施するための最良の形態
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物は、 炭酸 エステル化合物 ( 1 ) と、 ポリエーテルジオール化合物 ( 2 ) との 反応生成物からなるものである。
前記ポリエーテルジオール化合物 ( 2 ) は、
( A) 下記式 ( a ) により表される構造単位 :
-R0- ( a )
〔但し、 式 ( a ) 中、 Rは、 3〜 5個の炭素原子を含む無置換直 鎖アルキレン基、 及び 3〜 5個の炭素原子を含む直鎖状アルキレン 主鎖と、 この主鎖に結合しており、 かつ 1〜 4個の炭素原子を含む 少なく とも 1個の、 好ましくは 1〜 2個の、 アルキル側鎖とからな る置換アルキレン基から選ばれた 1種を表す。 〕
及び
(B) 下記式 ( b ) 及び ( c ) :
一(CH2)2— O— ( b )
及び
一 CH2CH(CH3 )— O— ( c )
によ り表される構造単位の少なく とも 1種を含むものであり、 但し 、 前記ポリエーテルジオール化合物 ( 2 ) に含まれる式 ( a ) の構 造単位 1 モル当 りの、 式 ( b ) の構造単位の平均モル数 n及び式 ( c ) の構造単位の平均モル数 mは、 それぞれ、 互に独立に 0 ≤ n及 び m≤ 5、 好ましく は 1 く n及び m≤ 3、 を満足する正数であり、 かつ式 ( b ) 及び ( c ) の構造単位の平均合計モル数 n +mは、 1 < ( n + m) ≤ 5、 好ましく は 1 く (n + m) ≤ 3、 を満足する正 数である。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物の生成に 用いられるポリエーテルジオール化合物は、 前記式 ( a ) によ り表 される構造単位 (A) と、 式 ( b ) によ り表される前記構造単位の みからなる構造単位 (B) とを含んでなり、 式 ( a ) によ り表され る構造単位 1モル当 りの、 式 ( c ) によ り表される構造単位 (C) の含有量 (平均モル数 m) がゼロであるものであってもよい。 この 場合において、 構造単位 (A) を表す式 ( a ) 中の Rは、 3〜 5個 の炭素原子を含む無置換直鎖アルキル基又は、 3〜 5個の炭素原子 を含む直鎖状アルキレン主鎖と、 この主鎖に結合しており、 かつ 1 〜 4個の炭素原子を有する少なく とも 1個の、 好ましくは、 1〜 2 個の、 アルキル側鎖とからなる置換アルキレン基を表し、 またポリ エーテルジオール化合物に含まれる式 ( a ) の構造単位 1モル当り の、 式 ( b ) によ り表される構造単位の平均モル数 nは 1 < n≤ 5 、 好ましくは 1 く n ≤ 3、 を満足するものである。
以下、 構造単位 (A) を構成する式 ( a ) の構造単位を、 構造単 位 ( a ) と記し、 構造単位 (B ) を構成する式 ( b ) 及び式 ( c ) の構造単位をそれぞれ構造単位 ( b ) 及び ( c ) と記す。
なお、 本発明のポリエーテルカーボネートジオール化合物におい て、 式 ( a ) 中の Rによ り表される炭素原子数 3〜 5の無置換アル キレン基とは、 プロ ピレン基 (ト リ メチレン基) 、 ブチレン基 (テ トラメチレン基) 、 ペンチレン基 (ペンタメチレン基) であり、 置 換アルキレン基中に置換基として含まれる炭素原子数 1〜 4のアル キル基は、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イ ソプロピル基、 ブ チル基、 イソブチル基などから選ばれる。
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物の生成に 用いられる前記ポリエーテルジオール化合物、 例えば、 構造単位 ( a ) と、 構造単位 ( b ) 及び Z又は ( c ) とを含んでなるものは、 下記一般式 ( i ) 〜 (vii) で表される化合物を包含する。 また、 構 造単位 ( a ) と構造単位 ( b ) 及び/又は ( c ) とを含んでなるも のと して、 これら一般式において構造単位 ( b ) 又は ( c ) の部分 に、 構造単位 ( b ) 及び ( c ) を含むものなども挙げられる。
H0- ( b )„ - ( a ) - ( c )ffl -0H ( i )
H0- ( b )„ i - ( a ) - ( b )n2 -0H ( ii )
H0- ( c )m 1 — ( a ) - ( c )m2 -0H (iii)
H0- ( a ) 一 ( b )n一 ( c )ffl -0H (iv)
H0- ( a ) 一 ( c )m - ( b )n -0H ( v )
H0- ( a ) 一 ( b )n -OH (vi)
H0- ( a ) - ( c )ra -OH (vfi)
(式中、 ( a ) , ( b ) 及び ( c ) は、 それぞれ、 前記式 ( a ) , ( b ) , ( c ) によ り表される構造単位を表し、 n, mは前記と 同様に定義されるものであり、 n l, n 2 , m l及び m 2は、 n = n l + n 2、 m = m 1 + m 2を満たす正数を表す。 )
前記ポリエーテルジオール化合物は、 例えば、 1, 3 —プロパン ジオール、 1, 4ーブタンジォ一ノレ、 1, 5—ペンタンジォ一ノレ、
及び、 これらの化合物のアルキレン基が炭素原子数 1〜 4のアルキ ル基で置換されている置換ジオール化合物から選ばれた少なく とも 一種のアルキレンジオールに、 エチレンォキシド及び Z又はプロピ レンォキシドを付加反応させる方法によ り製造された付加反応生成 物から選ぶことが好ましい。 この製造方法は、 例えば、 特開平 10— 36499号公報及び特開平 10— 204171号公報などに記載されている。
即ち、 本発明で使用されるポリエーテルジオール化合物は、 例え ば、 反応器中に前記ジオール化合物の少なく とも 1種と、 塩基性ァ ルカリ金属化合物 (好ましくはアルカ リ金属水酸化物等) を含む触 媒とを入れ、 この反応器中に、 エチレンォキシド及び/又はプロ ピ レンォキシドを連続的に送入しながら、 温度 : 80〜: L50°C、 圧力 : 4 9~ 490kPa ( 0· 5〜 5 kgZ cm2 ) で、 前記ジオール化合物と前記アル キレンォキシドとを、 所定の (n及び mに対応する) 分子量が得ら れるまで反応させ、 反応生成物に、 中和、 脱水、 乾燥、 濾過などの 後処理を施して製造される。 前記後処理は、 場合により、 水洗、 乾 燥のみでもよく、 また、 触媒除去のための吸着及び Z又は蒸留処理 を組み合わせてもよい。
本発明において使用されるポリエーテルカーボネートジオール化 合物の製造に用いられるアルキレンジオールとともに、 6個以上の 、 好ましく は、 6〜12個の炭素原子を含む無置換アルキレンジォー ル、 及びノ又はアルキレン生鎖に上記と同数の炭素原子を含む、 ァ ルキル置換基を有する置換アルキレンジオールの 1種以上が併用さ れてもよい。 併用アルキレンジオールの量は、 本発明において使用 されるポリエーテルジオール化合物の製造に用いられるアルキレン ジオール化合物のモル量の 50 % (モル) 以下であることが好ましい 。 併用アルキレンジオールは、 このよ うなジオールと しては、 1, 6一へキサンジオール、 1 , 7 _ヘプタンジオール、 1, 8 —ォク
タンジオール、 1, 9ーノナンジオール、 1, 10—デカンジオール 、 1, 12- ドデカンジオール、 2 —メチルー 1, 8—オクタンジ才 ール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール等の脂肪族ジオールを 包含する。
本発明で使用されるポリエーテルジオール化合物の数平均分子量 は 100〜500であることが好ましく、 更に好ましくは 120~400である 。 そして、 本発明で使用されるポリエーテルジオール化合物の中で は、 構造単位 ( a ) と構造単位 ( b ) とを含んでなり、 構造単位 ( c ) を含有しない (m= 0、 1 < η≤ 5である) ポリエーテルジォ ール化合物 (例えば、 前記一般式 ( ii ) 又は ( i) で表されるもの ) を用いることが好ましい。 即ち、 本発明で使用されるポリエーテ ルジオール化合物と しては、 構造単位 ( a ) と構造単位 ( b ) とを 含んでなり、 しかし構造単位 ( c ) を含有しない (m= 0、 1 < n ≤ 5である) ポリエーテルジオール (例えば、 前記一般式 ( ϋ ) 又 は (vi) で表されるもの) で、 数平均分子量が 100〜500であるもの が好ましく、 よ り好ましくは 120〜400の数平均分子量を有するもの が用いられる。
また、 本発明で使用されるポリエーテルジオール化合物では、 構 造単位 ( a ) において、 : が炭素数 3〜 5の直鎖のアルキレン基で あって置換基を有していないものが好ましく用いられ、 その中でも が ト リ メチレン基であるものが特に好ましい。
本発明で使用される炭素エステル化合物 ( 1 ) と しては、 ジアル キノレカーボネート、 ジァリ ールカーボネー ト、 アルキレンカーボネ 一ト、 アルキルァリールカーボネートなどの脂肪族又は芳香族又は 芳香脂肪族のカーボネート (炭酸エステル) が挙げられ、 脂肪族力 ーボネー トは環状であってもよい。 具体的には、 ジメチルカーポネ ー ト、 ジェチノレカーボネー ト、 ジー n—ブチノレカーボネー ト、 ジィ
ソブチノレカーボネート、 ジフエ二ノレカーボネート、 メチノレフエ二ノレ カーボネー ト、 エチレンカーボネート、 プロピレンカーボネー トな どが好ましく用いられる。
ポリエーテルジオール化合物 ( 2 ) と炭酸エステル化合物 ( 1 ) との反応は、 ポリカーボネー トジオールを製造する公知の方法に従 つて行う ことができる。 即ち、 前記のポリエーテルジオール化合物 ( 1 ) と炭酸エステル化合物 ( 1 ) とを、 エステル交換触媒の存在 下、 副生する脂肪族又は芳香族アルコールを連続的に系外に抜き出 しながら、 エステル交換反応させることにより、 本発明の液状ポリ エーテルカーボネートジオール化合物を製造することができる。
このとき、 ポリエーテルジオール化合物の使用量には、 目的化合 物を生成させることができる限り、 格別の制限はないが、 得られる 液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物の分子主鎖の両末端 のほぼ全数が水酸基となるように、 炭酸エステル化合物に対して 0. 8〜3. 0倍モルであることが好ましく、 よ り好ましく は、 0. 85〜2· 0 倍モルであり、 更に好ましく は 0· 9~ 1. 5倍モルである。 また、 エス テル交換触媒の使用量は、 ポリエーテルジオール化合物の質量に対 して 1 〜5000ppmであることが好ましく、 よ り好ましく は、 10〜: 100 Oppmである。 なお、 炭酸エステル化合物は単独又は複数の混合物と して使用できる。
前記エステル交換反応の条件には、 目的化合物を生成させること ができる限り、 格別の制限はなく、 例えば、 目的化合物を効率よく 生成させることができるよ うに、 大気圧下に 110〜200°Cで 1 〜24時 間程度反応させ、 次に減圧下に 110〜240°C (特に 140〜240°C ) で 0· 1〜20時間程度反応させ、 更に同温度で、 徐々に真空度を高めなが ら最終的に 266. 6kPa ( 20mmHg) 以下の減圧下で、 0. :!〜 20時間程度 反応させることが好ましい。 また、 副生アルコールを抜き出すため
には、 反応器に蒸留塔を設けるこ とが好ましく 、 更に不活性ガス ( 窒素、 ヘリ ウム又はアルゴン等) の流通下で反応させてもよい。
前記エステル交換触媒には、 それが前記エステル交換反応に有効 な触媒化合物である限り、 制限はない。 エステル交換触媒は、 例え ば、 四塩化チタン、 テ トラアルコキシチタン (テ トラー n —ブトキ シチタン、 テ トライ ソプロポキシチタン等) などのチタン化合物及 び金属スズ、 水酸化スズ、 塩化スズ、 ジブチルチンジラウレー ト、 ジブチルチンォキシ ド、 ブチルチン ト リ ス ( 2—ェチルへキサノエ ー ト) などのスズ化合物の 1種以上を含む触媒を用いることができ る。 これらの中では、 テ トラアルコキシチタン (テ トラー n _ブト キシチタン、 テ ト ライ ソプロポキシチタン等) 、 ジブチルチンジラ ゥレー ト、 ジブチルチンォキシ ド、 ブチルチント リ ス ( 2—ェチル へキサノエ一 ト) が好ましいが、 中でもテ トラアルコキシチタン ( テ トラー n —ブトキシチタン、 テ トライ ソプロポキシチタン等) を 用いるこ とが特に好ましい。
本発明の液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物の数平均 分子量は 400〜5000の範囲内にあるこ とが好ましく 、 よ り好ましく は 500〜3000程度である。 このため、 反応生成物の水酸基価 (分子 量) が目標範囲から外れる場合、 即ち、 その数平均分子量が 400未 満の場合は、 減圧下で更にポリ エーテルジオール化合物を留出させ ながら反応させ、 その数平均分子量が 5000よ り大きい場合は、 ポリ エーテルジオール化合物を添加して更にエステル交換反応させるな ど、 公知の方法によって分子量を調整するこ とが好ましい。 また、 必要であれば、 分子量を調整した後、 得られた液状ポリ エーテル力 ーボネー トジオール化合物中に残存するエステル交換触媒を、 リ ン 系化合物 (リ ン酸、 リ ン酸プチル、 リ ン酸ジプチル等) で不活性化 しておく こ とが好ましい。 上記のよ う にして、 本発明の液状ポリェ
一テルカーボネートジオール化合物を得ることができる。 本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物では、 構 造単位 ( a ) 及び構造単位 ( b ) のみを含み構造単位 ( c ) を含有 しない (m= 0、 1 < η≤ 5である) ポリエーテルジオール化合物 と、 炭酸エステル化合物とを反応させて得られる液状ポリエーテル カーボネー トジオール化合物が特に好ましい。 更に、 構造単位 ( a
) は、 式 ( a ) 中の Rが直鎖のアルキレン基であるものが好ましく 、 中でも ト リ メチレン基であるものが特に好ましい。 即ち、 本発明 では、 構造単位 ( a ) (Rはト リ メチレン基である) と構造単位 ( b ) とを含んでなり、 しかし構造単位 ( c ) を含有しない (m= 0 、 1 < η≤ 5である) ポリエーテルジオールをジオール成分と して 含むもの、 即ち、 このポリエーテルジオール化合物と炭酸エステル 化合物とを反応させて得られる液状ポリエーテルカーボネー トジォ ールであり、 その数平均分子量は 400〜5000であることが好ましく 、 よ り好ましくは 500〜 3000である。 なお、 この場合、 ポリエーテ ルジオール化合物としては、 前記のように好適な数平均分子量 100 〜500を有するものが好ましく使用される。
本発明の熱可塑性ポリ ウレタンは、 前記液状ポリエーテルカーボ ネートジオール化合物をジオール成分として使用し、 その少なく と も 1種と、 少なく とも 1種のポリイ ソシァネート と、 鎖延長剤とを 反応 (ポリ ウレタン化反応) させることによって得られるものであ る。
本発明で使用される前記ポリイソシァネー ト化合物は、 脂肪族 ( 脂環族を含む) 又は芳香族ジィソシァネー トなどの各種ポリイ ソシ ァネー トから選ぶことができる。 前記脂肪族ジィソシァネー ト と し ては、 例えば、 1, 3— ト リ メチレンジイソシァネー ト、 1, 4一 テ トラメチレンジイソシァネー ト、 1, 6—へキサメチレンジイ ソ
シァネー ト、 2 , 2 , 4 一 ト リ メチルへキサメチレンジィ ソシァネ ー ト、 2, 4, 4 - ト リ メチルへキサメチレンジィ ソシァネー ト、 1, 9 ーノナメチレンジイ ソシァネー ト、 1 , 10—デカメチレンジ ィ ソシァネー ト、 1 , 4—シク 口へキサンジィ ソシァネー ト、 イ ソ ホロ ンジイ ソシァネー ト、 4, 4 ' —ジシク ロへキシルメタンジィ ソシァネー ト、 2, 2 ' ージェチルエーテルジイ ソシァネー ト、 水 添化キシリ レンジィ ソシァネー ト、 へキサメチレンジィ ソシァネー トーピウレツ ト体等を用いるこ とが好ましい。
また、 芳香族ジイ ソシァネー ト と しては、 例えば、 p —フエニレ ンジイ ソシァネー ト、 ト リ レンジイ ソシァネー ト、 キシリ レンジィ ソシァネー ト、 4, 4, 一ジフエニルジイ ソシァネー ト、 1 , 5 _ ナフタ レンジイ ソシァネー ト、 4, 4 ' —ジフエニルメ タンジイ ソ シァネー ト (MD I ) 、 3, 3, ーメチレンジ ト リ レン一 4, 4, 一 ジイ ソシァネー ト、 ト リ レンジイ ソシァネー ト ト リ メチロールプロ パンァダク ト、 4, 4, —ジフエニルト リ フエニルメタント リイ ソ シァネー ト、 4, 4 ' —ジフエニルエーテルジイ ソシァネー ト、 テ ト ラク ロ 口フエ二レンジイ ソシァネー ト、 3, 3, ージク ロロー 4
, 4, —ジフエニルメ タンジィ ソシァネー ト、 ト リイ ソシァネー ト フエ二ルチオホスフエ一ト等を用いるこ とができる。 更に ト リ フエ ニルメ タン ト リイ ソシァネー ト、 ト リイ ソシァネー トフエ二ルチオ ホスフェー ト等もポリイ ソシァネー ト化合物と して用いるこ とがで きる。
前記ポリイ ソシァネー ト化合物の中では、 4, 4, ージフエニル メ タンジイ ソシァネー ト、 1, 6 —へキサメチレンジイ ソシァネー ト及びィ ソホロ ンジィ ソシァネー トが好ましく用いられ、 中でも 4 , 4, 一ジフエニルメ タンジイ ソシァネー トが特に好ましく用いら れる。 前記ポリイ ソシソシァネー ト化合物は単一種で使用してもよ
く複数種の混合物と して使用してもよい。
本発明で使用される鎖延長剤としては、 イ ソシァネート基と反応 する水素原子を少なく とも 2個有する低分子化合物を用いることが 好ましく、 このような化合物には、 ポリオール、 及びポリアミ ン等 が好ましく用いられる。 鎖延長剤用化合物と しては、 例えば、 ェチ レングリ コール、 1 , 2 _プロ ピレングリ コール、 1 , 3—ブタン ジ才ーノレ、 1 , 4 一ブタンジオール、 1 , 5 —ペンタンジォーノレ、 1 , 6 一へキサンジォーノレ、 1 , 8 —オクタンジォーノレ、 1 , 9 - ノナンジオール、 1 , 10—デカンジオール、 ネオペンチルグリ コー ル、 3 —メチル _ 1 , 5 —ペンタンジォーノレ、 3 , 3 —ジメチロ ー ノレヘプタン、 1 , 4ーシク 口へキサンジォーノレ、 1 , 4ーシク 口へ キサンジメ タノール、 1 , 4ージヒ ドロキシェチルシク ロへキサン 等の脂肪族ジオール (脂環族を含む) 類、 エチレンジァミ ン、 1 , 2 —プロ ピレンジァミ ン、 1 , 6 —へキサメチレンジァミ ン、 イ ソ ホロ ンジァミ ン、 ビス ( 4—アミ ノ シク 口へキシル) メ タン、 ピぺ ラジン、 メタ (又はパラ) キシリ レンジァミ ン等の脂肪族又は芳香 族ジアミ ン類、 更に、 2—エタノールァミ ン、 N—メチルジェタノ ールアミ ン、 N—フエニルジプロパノールアミ ン等の脂肪族又は芳 香族ァミ ノアルコール類、 ヒ ドロキシェチルスルフア ミ ド、 ヒ ドロ キシェチルアミ ノエチルスノレフア ミ ド等のヒ ドロキシアルキノレスノレ フアミ ド類、 尿素、 及び水などを用いることができる。 前記鎖延長 剤用化合物の中では、 1 , 4 一ブタンジオール、 2—エタノールァ ミ ン、 1 , 2—プロ ピレンジァミ ンを用いることが特に好ましい。 鎖延長剤は単一種からなるものであってもよく、 或は複数種の混合 物であってもよい。
ポリ ウ レタン化反応において、 前記液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物は、 脂肪族ジオール (脂環族を含む) とカーボネ
一ト化合物から製造される少なく とも 1種の脂肪族ポリカーポネー トジオールと併用されてもよい。 前記脂肪族ポリカーボネー トジォ ールは、 単独でも複数でも使用でき、 その併用量は、 本発明の液状 ポリエーテルカーボネートジオール化合物と同量 (質量) 以下であ ることが好ましい。
前記併用脂肪族ポリカーボネートジオールの製造に用いられる脂 環式ジオール化合物と しては、 1 , 3—プロパンジオール、 1 , 4 ーブタンジォ一ノレ、 1 , 5—ペンタ ンジオール、 1 , 6—へキサン ジオール、 1 , 7一へプタンジォ一ノレ、 1 , 8—オクタンジォーノレ 、 1 , 9—ノナンジオール、 1 , 10—デカンジオール、 2—メチノレ - 1 , 3—プロパンジオール、 3—メチル一 1 , 5—ペンタンジ才 ール、 ネオペンチノレグリ コ ーノレ、 2—メチノレ一 1 , 8—オクタンジ オール、 1 , 4—シク 口へキサンジメタノール等が挙げられる。 こ れら脂肪族ジオールと反応させるカーボネート化合物には、 前記と 同様のものが使用される。
ポリ ウレタン化反応は、 無溶剤下で行われてもよく、 或は、 イ ソ シァネート基に対して不活性な溶剤の存在下でも行う ことができる 。 溶剤不存在下の反応の場合には、 前記液状ポリエーテルカーボネ 一トジオール化合物に鎖延長剤を混合し、 これにポリイソシァネー ト化合物を混合して、 反応混合物の全量を一度に反応させるか、 或 は、 前記液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物とポリイ ソ シァネー ト化合物とを反応させてイ ソシァネー ト基を有するプレボ リマーを製造し、 これに鎖延長剤を混合して反応させてもよく、 或 は、 前記液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物と鎖延長剤 とを混合し、 これにポリイ ソシァネー ト化合物の全使用量の一部分 を混合し反応させて、 水酸基を有するプレボリマーを調製し、 これ に残余のポリイ ソシァネー ト化合物を混合し反応させてもよい。 無
溶剤反応の場合の好ましい反応温度は、 80〜: L50°Cである。 プレボ リマーを経由する場合、 低分子量のプレポリマーが得られるので、 これを加熱して高分子量化する。
溶剤存在下の反応の場合、 前記液状ポリエーテルカーボネートジ オール化合物を溶剤に溶解し、 これに鎖延長剤を混合した後、 これ にポリイ ソシァネート化合物を混合して混合物の全量を一度に反応 させる方法、 或は、 前記液状ポリエーテルカーボネートジオール化 合物を溶剤に溶解し、 これにポリイ ソシァネート化合物を混合し反 応させて、 イソシァネー ト基を有するプレボリマーを調製し、 これ に鎖延長剤を混合 · 反応させる方法、 或は、 前記液状ポリエーテル カーボネートジオールを溶剤に溶解し、 これに鎖延長剤とポリイソ シァネー ト化合物の一部を混合して反応させて、 水酸基を有するプ レポリマーを調製した後、 更に残余のポリイ ソシァネート化合物を 混合し反応させることによって、 ポリ ウレタン化反応を行う方法を 用いることができる。 溶剤存在下の製造方法の好ましい反応温度は 、 20〜: L00°Cである。 溶剤としては、 メチルェチルケ トン、 酢酸ェ チル、 トノレェン、 ジォキサン、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルス ルホキシドなどを用いることが好ましい。
前記ポリ ウレタン化反応において、 液状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物と鎖延長剤との使用量の割合は、 一般的には、 前 者 1モルに対して後者が 0. 1〜: L0モルの範囲であることが好ましい 。 これらの使用量は目的とする熱可塑性ポリ ウレタンの物性により 適宜設定される。 また、 ポリイ ソシァネート化合物の使用量は、 液 状ポリエーテルカーボネー トジオール化合物と鎖延長剤との合計量 とほぼ等モルであることが好ましい。 具体的には、 液状ポリエーテ ルカーボネー トジオール化合物及び鎖延長剤に含まれる活性水素の 合計量の、 イソシァネー ト基量に対する当量比が 1 : 0. 8〜 1 : 1. 2
に、 よ り好ましく は 1 : 0. 95〜 1 : 1. 05になるように鎖延長剤を使 用することが好ましい。 なお、 ポリ ウレタン化反応においては、 反 応促進のため、 公知のアミ ン系又はスズ系の触媒を使用してもよい このようにして得られる本発明の熱可塑性ポリ ウレタンの分子末 端は、 水酸基及びイ ソシァネー ト基のいずれであってもよい。 そし て、 本発明の熱可塑性ポリ ウレタンは、 イ ソシァネート基と反応す る水素原子を少なく とも 2個有する化合物、 或はイ ソシァネート基 を少なく とも 2個有する化合物と更に反応させることによって、 高 分子量化又は網状化することができる。 また、 本発明の熱可塑性ポ リ ウレタンをウレタン結合及び Z又はゥレア結合を有する化合物、 或はイソシァネー ト基と反応する水素原子を少なく とも 3個有する 化合物と反応させることによって、 それに架橋構造を導入すること もできる。 更に、 本発明の熱可塑性ポリ ウレタンには、 本発明の効 果を損なわない範囲で公知の各種添加剤を添加 · 混合されていても 差し支えない。 実施例
本発明を下記実施例及び比較例によ り さ らに説明する。
( I ) ポリエーテルジオール化合物及び液状ポリエーテルカーボ ネートジオール化合物の物性は、 下記の方法により測定した。
1 . 水酸基価 (0H価 (mgKOH/ g ) ) : J I S- K1557に準拠して供試 試料を分析し、 下記式によ り算出した。
0H価 (mgKOH/ g ) = 28. 05 ( B - A ) f / S
〔伹し、 式中、 Sは試料採取量 ( g ) 、 Aは試料の滴定に要した 0. 5N水酸化カ リ ウム溶液の量 (ml ) 、 Bは空試験に要した 0· 5N水酸 化カ リ ウム溶液の量 (ml ) 、 f は 0. 5N水酸化カリ ウム溶液のファ
クターを表す。 〕
2. 数平均分子量 (Mn) : 下記式によ り算出した。
Mn = 112200/0H価
3. 平均付加モル数 ( n, m) : 下記式により、 エチレンォキシ ドの平均付加モル数 ( n ) 及びプロ ピレンォキシ ドの平均付加モル 数 (m) を算出した。
Mn=4 n + 58m + 14 x + 34
〔但し、 式中、 Mnは数平均分子量を、 Xは構造単位 ( a ) における R中のメチレン基の数を表す。 〕
4. 酸価 (mgKOH/ g ) : 下記式により算出した。
酸価 (mgKOH/ g ) =5.61 (C一 D) f ' / S '
〔但し、 式中、 S ' は試料採取量 ( g ) 、 Cは試料の滴定に要した 0.1N水酸化カ リ ウム溶液の量 (ml) 、 Dは空試験に要した 0. IN水 酸化カ リ ウム溶液の量 (ml) 、 f ' は 0. IN水酸化カ リ ウム溶液の ファクタ一を表す。 〕
5. ガラス転移温度 (Tg (°C) ) : 示差走査熱量計 (島津製作 所製 ; DSC— 50) を用いて、 窒素ガス雰囲気中、 昇温速度 10°C/分 の条件で測定した。
6. 粘度 (Pa * sec) : E型回転粘度計 (東京計器製) を用い、 温度 75°Cにおいて測定した。
( Π ) 熱可塑性ポリ ウレタンの物性は下記の方法によって測定し た。
1 . 引張特性 : JIS-K7311に従い、 引張試験機 (オリエンテック 製 ; テンシロ ン UCT—5T) を用いて、 23°C、 50%RHにおいて測定し 、 初期弾性率、 引張応力 (100%、 200%、 300%伸びでの値) 、 引 張強さ、 及び破断伸びを算出した。
2. ガラス転移温度 (Tg) : 動的粘弾性測定装置 (レオメ ト リ
タス製 ; RSAII) を用い、 周波数 1 Ηζ、 歪み量 0.05%、 — 100〜200 °Cの温度範囲で引張モードにより動的弾性を測定した。 損失弾性率 のピーク温度を求め、 Tgとした。
3. 永久伸び : JIS-K7311に従い、 引張試験機 (オリエンテック 製 ; テンシロ ン UCT—5T) を用いて、 23°C、 50%RHにおいて、 試験 片を破断伸びの 1 Z 2に伸長させて 10分間保持した。 次に、 跳ね返 させるこ となく急激に収縮させた後 (リ ターン速度 500mmZ分) 、 試験片をチャックから取り外して 10分間放置し、 標線間の長さ L ( 但し、 伸長前の長さを L。とする) を測定し、 下記式から算出した 。 但し、 L。を 20mmに設定した。
永久伸び (%) = (L一 LQ) X100ZL0
4. ヒ ステリ シス損失率 : 引張試験機 (オリエンテック製 ; テン シロ ン UCT— 5T) を用 ヽて、 23°C、 50o/oRIUこおレヽて、 5 mm X 100mmの 短冊型試験片をチヤック間距離 40蘭と して引張速度 lOmmZ分で 150 %まで伸長させ、 直ちに同速度で収縮させて測定し、 下記式から算 出した。
ヒ ステリ シス損失率 (%) = (伸長〜収縮曲線によって囲まれた 部分の面積) X100, (最初の応力〜歪み曲線によって囲まれた部 分の面積)
5. 耐候性 : JIS-K7350- 4に従って、 試験片をサンシャイ ンゥェ ザ一メタ一 (スガ試験機製 ; サンシャイ ンスーパーロングライフゥ ェザーメタ一 WEL— SUN—HC— H) 設置し、 アーク電圧 50V、 ァー ク電流 60A、 ブラックパネル温度 63° ( 、 相対湿度 50%においてォー プンフレームカーボンアークランプに 100時間暴露した。 この間、 水嘖霧時間 12分、 水噴霧停止時間 48分を 1つのサイクルと して 100 サイクルの水嘖霧処理を行った。 試験終了後、 試験後の試験片の引 張り強さ及び破断伸びの、 試験前のそれぞれの物性値に対する比を
、 保持率と して算出した。
実施例 1
〔ポリエーテルジオール化合物の製造〕
ポリエーテルジオール ( I ) ( 1, 3—プロパンジオール 1モル に対して平均 1.27モルのェチレンォキシドを付加させたもの) を特 開平 10— 36499号公報記載の方法によ り調製した。 このポリエーテ ルジオール ( I ) の物性を表 1に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネートジオール化合物の製造〕
撹拌機、 温度計、 蒸留塔 (分留管、 還流ヘッ ド、 コンデンサーを 塔頂部に備える) を設置した内容積 1 L (リ ッ トノレ) のガラス製反 応器に、 前記ポリエーテルジオール ( I ) 304 g (2.30モル) 、 ジ メチルカーボネート (宇部興産製) 226 g (2.51モル) 、 及びテ ト ラ一 n—ブトキシチタン 0.0790 g (0.232ミ リモル) を仕込み、 還 流下、 温度 160°Cに 2時間保持した。 次いで、 メタノールとジメチ ルカーポネー トの混合物を留去しながら、 6.5時間かけて 190°Cまで 徐々に昇温させ、 その後、 温度を 190°Cに保ったまま、 40kPa (300m mHg) で 0.5時間、 更に 13.3kPa (lOOmmHg) で 3時間かけてメタノー ルとジメチルカ一ポネートの混合物を留出させた。 引き続き、 253 〜26.7Pa (1.9〜0.2mmHg) で 4.5時間かけてポリエーテルジオール を留出させながら反応させて、 水酸基価 50. SmgKOHZ gの液状ポリ エーテルカーボネートジオール化合物を調製した。
このポリエーテルカーボネートジオール化合物にポリエ一テルジ オール ( I ) 2.11 g (0.0160モル) を加えて、 185°C、 26.7kPa (20 OmmHg) で 2時間撹拌して分子量調整した後、 前記触媒と等モルの リ ン酸ジブチルを更に加えて、 130°C、 13.3kPa (lOOmmHg) で 2時 間撹拌して触媒を不活性化させた。 最終的に得られた液状ポリエー テルカーボネー トジオール ( A) の物性を表 2に示す。
〔熱可塑性ポリ ウ レタ ンの製造〕
撹拌機、 温度計、 冷却管を装着した内容積 1 Lのガラス製反応器 中で、 液状ポリエーテルカーボネートジオール (A ) 50 g ( 0. 0261 モル) と 4 , 4, ージフエニルメタンジイ ソシァネート 13. 05 g ( 0 . 0522モル) をジメチルホルムアミ ド 112 gに 60°Cで完全に溶解させ 、 80°Cで 2時間反応させた。 続いて、 この溶液に n —プチルァミ ン 0. 187 g ( 0. 0026モノレ) とジメチルホルムアミ ド 20 gを加え、 室温 で 1. 4時間反応させた。 次いで、 反応液に 1, 2—プロ ピレンジァ ミン 1. 84 g ( 0. 0249モノレ) とジメチルホルムアミ ド 20 gを加えて 3 °Cで 5分反応させ、 両末端に水酸基とイソシァネート基をそれぞれ 有するプレボリマーを調製した。
このプレボリマー溶液の温度を室温に設定してポリ ウレタン化反 応を更に進行させた。 反応の進行と共に溶液粘度が上昇するので、 E型粘度計を用いて 1時間毎に粘度を測定し、 粘度上昇がほぼ見ら れなく なった 4. 5時間後に反応を停止した。 溶液の最終粘度は 40 °C において 51. 2Pa · s ecであった。 得られた溶液 (熱可塑性ポリ ウレ タン溶液) を 60°Cに加熱した後、 離型性のあるガラス版にキャス ト し、 70°Cで 1時間、 次いで 120°Cで 2時間熱処理して厚さ : 約 200 μ mの熱可塑性ポリ ウレタンフィルムを調製した。 このフィルムの物 性を表 3及び 4に示す。
実施例 2
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 1 と同様の反応器中で、 液状ポリエーテルカーボネー トジ オール ( A ) 60 g ( 0. 0313モノレ) と 1, 4 —ブタ ンジオール 3. 384 g ( 0. 0375モル) をジメチルホルムア ミ ド 188 gに 60°Cで完全に溶 解させた。 この溶液約 1 gを注射器で抜き出して、 カールフィ ッシ ヤー水分測定装置に供して水分含有量を測定し、 前記液状ポリエ一
テルカーボネー トジオール、 1, 4 一ブタンジオール及び水分の合 計モル数に等しくなるように、 4, 4 ' ージフエニルメタンジイ ソ シァネー ト 17. 22 g ( 0. 0688モル) をこの溶液に加えた。 次いで、 温度を 80°Cに設定して加熱 · 反応を開始し、 粘度上昇がほぼ見られ なくなった 9時間後に反応を停止した。 溶液の最終粘度は 40°Cにお いて 44. OPa · s ecであつた。 実施例 1 と同様にして熱可塑性ポリ ゥ レタンフィルムの物性を測定した。 その結果を表 3に示す。
実施例 3
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 2において、 1, 4 —ブタンジオール使用量を 5. 077 g ( 0 . 0563モル) 、 ジメチルホルムアミ ド使用量を 201 gにそれぞれ変更 し、 4, 4 ' ージフエニルメタンジイソシァネー ト使用量を液状ポ リ エーテノレカーボネー トジオール、 1, 4 _ブタンジオール及び水 分の合計モル数に等しくなるように 21. 92 g ( 0. 0876モル) に変吏 したことを除き、 その他は実施例 2 と同様に反応を行った。 溶液の 最終粘度は 40°Cにおいて 45. IPa · s ecであった。 得られた熱可塑性 ポリ ウレタンフィルムの物性を実施例 1 と同様にして測定した。 そ の結果を表 3に示す。
実施例 4
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール ( Π ) ( 1, 5—ペンタンジオール 1 モル に対して平均 1. 02モルのェチレンォキシドを付加させたもの) を、 実施例 1 と同様の方法によ り調製した。 このポリエーテルジオール
( Π ) の物性を表 1に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕
実施例 1 において、 ポリエーテルジオールを前記ポリエーテルジ オール (Π ) 343 g ( 2. 30モル) に変更したほかは、 実施例 1 と同
様に反応を行って水酸基価 47. 2mgK0H/ gの液状ポリエーテルカー ボネー トジオール化合物を調製した。 このポリエーテルカーボネー トジオールにポリエーテルジオール ( Π ) 3. 68 g ( 0. 023モル) を 加えて、 実施例 1 と同様にして分子量を調整し、 更に実施例 1 と同 様にして触媒を不活性化させた。 最終的に得られた液状ポリエーテ ルカーボネー トジオール ( B ) の物性を表 2に示す。
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 1 と同様の反応器中で、 液状ポリエーテルカーボネートジ オースレ ( B ) 50 g ( 0. 0254モノレ) と 4 , 4, ージフエニルメタンジ イ ソシァネー ト 12. 50 g ( 0. 0500モル) をジメチルホルムアミ ド 110 gに 60°Cで完全に溶解させ、 80°Cで 2時間反応させた。 この溶液に n -ブチルァミ ン 0. 180 g ( 0. 0025モノレ) とジメチルホルムアミ ド 2 0 gを加え、 室温で 1. 4時間反応させた。 次いで、 1, 2—プロ ピレ ンジアミ ン 1 · 79 g ( 0. 0242モノレ) とジメチルホルムアミ ド 20 g を加 え、 3 °Cで 5分反応させて両末端に水酸基とィソシァネー ト基をそ れぞれ有するプレボリマーを調製した。
このプレポリマー溶液の温度を室温に設定した後、 実施例 1 と同 様に更に反応を行って粘度上昇がほぼ見られなくなった 4. 5時間後 に反応を停止した。 溶液の最終粘度は 40°Cにおいて 42. OPa · secで あった。 実施例 1 と同様にして得られた熱可塑性ポリ ウレタンフィ ルムの物性を測定した。 その結果を表 3に示す。
実施例 5
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 1 と同様の反応器中で、 液状ポリエーテルカーボネートジ オール ( B ) 50 g ( 0. 0254モル) と 4 , 4, —ジフエニルメ タンジ イ ソシァネー ト 12. 70 g ( 0. 0508モル) をジメチルホルムアミ ド 130 gに 60°Cで完全に溶解させ、 80°Cで 2時間反応させた。 この溶液に
2—ェタノーノレアミ ン 1. 55 g ( 0. 0254モル) とジメチルホルムアミ ド 20 gを加え、 室温で 2. 1時間反応させて両末端に水酸基を有する プレポリマーを調製した。
このプレポリマー溶液を室温で 20分放置した後、 温度を 80°Cに設 定し、 実施例 2 と同様に更に反応を行って粘度上昇がほぼ見られな くなつた 10時間後に反応を停止した。 溶液の最終粘度は 40°Cにおい て 38· OPa · secであつた。 実施例 1 と同様にして得られた熱可塑性 ポリ ウレタンフィルムの物性を測定した。 その結果を表 3に示す。 比較例 1
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテノレジオ一ノレ ( Π ) ( 1, 6—へキサンジォ一ノレ 1 モノレ に対して平均 1. 27モルのエチレンォキシドを付加させたもの) を、 実施例 1 と同様の方法により調製した。 ポリエーテルジオール (m ) の物性を表 1 に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネートジオールの製造〕
実施例 1 において、 ポリエーテルジオールを前記ポリエーテルジ オール (IE ) 400 g ( 2. 30モル) に変更し、 その他は、 実施例 1 と 同様に反応を行って水酸基価 47. 2mgK0H/ gの液状ポリエーテル力 ーポネー トジオールを調製した。 このポリエーテルカーボネートジ オールにポリエーテルジオール ( m ) 4. 00 g ( 0. 023モル) を加え て、 実施例 1 と同様にして分子量を調整し、 更に実施例 1 と同様に して触媒を不活性化させた。 最終的に得られた液状ポリエーテル力 ーポネー トジオール ( C ) の物性を表 2に示す。
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 1 と同様の反応器中で、 液状ポリエーテルカーボネートジ オール ( C ) 50 g ( 0. 0251モノレ) と 4, 4 ' ージフエニルメタンジ イソシァネー ト 12. 56 g ( 0. 0502モノレ) をジメチルホルムアミ ド 110
gに 60°Cで完全に溶解させ、 80°Cで 2時間反応させた。 この溶液に n —プチルァミ ン 0. 180 g ( 0. 0025モル) とジメチルホルムアミ ド 2 0 gを加え、 室温で 1. 4時間反応させた。 これに、 1, 2 _プロピレ ンジァミ ン 1. 76 g ( 0. 0238モル) とジメチルホルムアミ ド 20 gを加 え、 3 °Cで 5分反応させて両末端に水酸基とィソシァネート基をそ れぞれ有するプレボリマーを調製した。
このプレポリマー溶液を室温に設定した後、 実施例 1 と同様にし て更に反応を進行させて粘度上昇がほぼ見られなくなった 4. 5時間 後に反応を停止した。 溶液の最終粘度は 40°Cにおいて 43. 9Pa · sec であった。 実施例 1 と同様にして得られた熱可塑性ポリ ウレタンフ イルムの物性を測定した。 その結果を表 3及び 4に示す。
比較例 2
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 1 と同様の反応器中で、 液状ポリエーテルカーボネートジ オール ( C ) 50 g ( 0. 0251モノレ) と 4, 4, ージフエニノレメ タンジ ィ ソシァネー ト 12. 57 g ( 0. 0503モル) をジメチルホルムアミ ド 139 gに 60°Cで完全に溶解させ、 80°Cで 2時間反応させた。 この溶液に 2 —エタノールアミ ン 1. 53 g ( 0. 0251モル) とジメチルホルムアミ ド 20 gを加え、 室温で 2. 1時間反応させて両末端に水酸基を有する プレポリマーを調製した。
このプレポリマー溶液を室温で 20分放置した後、 温度を 80°Cに設 定し、 実施例 2 と同様に更に反応を行って粘度上昇がほぼ見られな く なった 10時間後に反応を停止した。 溶液の最終粘度は 40°Cにおい て 36. 1Pa · secであった。 実施例 1 と同様にして得られた熱可塑性 ポリ ウレタンフィルムの物性を測定した。 その結果を表 3に示す。 比較例 3
〔ポリエーテルジオールの製造〕
ポリエーテルジオール (IV) ( 1, 6—へキサンジオール 1モル に対して平均 1.76モルのプ口ピレンォキシドを付加させたもの) を 実施例 1 と同様の方法によ り調製した。 ポリエーテルジオール (IV ) の物性を表 1 に示す。
〔液状ポリエーテルカーボネー トジオールの製造〕
実施例 1 と同様の反応器に、 前記ポリエーテルジオール (IV) 44 0 g (2.00モル) 、 ジメチルカーボネー ト 185 g (2.06モル) 及びテ トラー n—ブトキシチタン 0.0881 g (0.259ミ リモル) を仕込み、 還流下、 160°Cで 3時間保持した。 メタノールとジメチルカーボネ 一トの混合物を留去しながら、 13時間かけて 190°Cまで徐々に昇温 させ (途中 10時間の時点で触媒 0.0881 g (0.259ミ リモル) を追加 し) 、 その後、 温度を 190°Cに保ったまま 13.3kPa (lOOmmHg) で 3 時間かけてメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留出させ た。 引き続き、 587〜493kPa (4.4-3.7mmHg) で 11時間かけてポリ エーテルジオールを留出させながら反応させ、 水酸基価 56.6mgK0H Z gの液状ポリエーテルカーボネー トジオールを得て実施例 1 と同 様に触媒を不活性化させた。 最終的に得られた液状ポリエーテル力 ーボネートジオール (D) の物性を表 2に示す。
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 1 と同様の反応器中で、 液状ポリエーテルカーボネートジ オール ( D ) 60 g (0.0297モノレ) 、 1, 4 _ブタンジオール 5.35g
(0.0594モル) 、 テ トラ _ n—ブトキシチタン 0· 017g (0.050ミ リ モル) をジメチルホルムアミ ド 204 gに 60°Cで完全に溶解させ、 4 , 4, ージフエニルメタンジィ ソシァネート 25.43 g (0.1016モル ) を実施例 2 と同様にして前記溶液に加えた。 次いで、 実施例 2 と 同様に反応を行って粘度上昇がほぼ見られなく なつた 7時間後に反 応を停止した。 溶液の最終粘度は 40°Cにおいて 4.4Pa · secであった
。 実施例 1 と同様にして、 得られた熱可塑性ポリ ウレタンフィルム の物性を測定した。 その結果を表 3に示す。
比較例 4
〔熱可塑性ポリ ウレタンの製造〕
実施例 1 と同様の反応器中で、 ポリテ トラメチレングリ コール ( 保土谷化学製 ; 分子量 1989) 50 g ( 0. 0251モル) と 4 , 4 ' ージフ ェニルメタンジイ ソシァネート 12. 56 g ( 0. 0502モル) をジメチル ホルムアミ ド 110 gに 60°Cで完全に溶解させ、 80°Cで 2時間反応さ せた。 この溶液に n —ブチルァミ ン 0. 180 g ( 0. 0025モル) とジメ チルホルムアミ ド 20 gを加え、 室温で 1. 4時間反応させた。 この反 応溶液に、 1 , 2 —プロ ピレンジァ ミ ン 1. 76 g ( 0. 0238モル) と ジ メチルホルムアミ ド 20 gを加え、 3 °Cで 5分反応させて両末端に水 酸基とイソシァネート基をそれぞれ有するプレボリマーを調製した このプレポリマー溶液の温度を室温に設定した後、 実施例 1 と同 様に更に反応を進行させて粘度上昇がほぼ見られなくなった 4. 5時 間後に反応を停止した。 溶液の最終粘度は 40°Cにおいて 39. 4Pa · s e cであった。 実施例 1 と同様にして、 得られた熱可塑性ポリ ウレタ ンフィルムの物性を測定した。 その結果を表 3及び 4に示す。
〔表 1〕
〔註〕 構造単位 : (al)_(CH2)30—、 (a2)—(CH2)50—、
(a3)_(CH2)60—、 (b)_(CH2)20—、
(c)_ CH(CH3 )CH20-
: 構造単位(a) 1モルに対する構造単位(b)の平均モル数 : 構造単位(a) 1モルに対する構造単位(c)の平均モル数
〔表 2〕
ポリ ポリエーテルカーボネートジオール エーテル 記号 OH価 酸価 Mn Tg 粘度 ジオール (mgKOH/g) (mgK0H/g) (。c) (Pa* sec) 実施例 1 I A 58.6 0.031 1915 -52.1 0.924 実施例 4 Π B 57.0 0.020 1968 -54.7 0.552 比較例 1 C 56.3 0.032 1991 -62.4 0.658 比較例 3 IV D 55.5 0.132 2021 -56.0 0.404
〔表 3〕
〔註〕 (* ) 数字はモル比を表す。
PECD : ポリ エーテノレカーボネー トジォーノレ
T : ポリテ トラメチレングリ コール
MD I : 4 , 4 ' ージフエニルメタンジイ ソシァネー ト
PD : 1 , 2—プロ ピレンジァミ ン
〔表 4〕
上記実施例及び比較例に見られるように、 本発明の液状ポリエー テルカーボネートジオールは、 同一分子量で比較した場合、 従来の ものに匹敵する程度に低い粘度及び低いガラス転移温度を有し、 こ れを用いて得られた熱可塑性ポリ ウレタンは従来のものと同程度に 低いガラス転移温度を有し、 それと同時に破断伸びが明らかに大き く、 ポリエーテルジオールから得られた熱可塑性ポリ ウレタンの柔 軟性及び伸縮性を充分に満足している。 また、 本発明の液状ポリェ 一テルカーボネ一トジオールから得られた熱可塑性ポリ ウレタンは 、 従来のポリエーテルジオール化合物から得られた熱可塑性ポリ ゥ レタンに比べて非常に良好な耐候性を有している。 産業上の利用可能性
本発明の液状ポリエーテルカーボネートジオールは、 ポリ ウレタ ン、 ポリエステル等の製造原料として有用なものであり、 さらに、 高分子改質剤、 高分子可塑剤などと して使用することができる。 ま た、 本発明の熱可塑性ポリ ウレタンは、 熱可塑性エラス トマ一、 弾 性繊維、 人工皮革などの製造原料と して有用なものである。