WO2005064172A1 - ボールジョイントおよびそのベアリングシート - Google Patents

Abstract

　潤滑性を向上したボールジョイントのベアリングシートを提供する。 　ボールスタッドの略球状のボール部31を回動可能に保持する球面状の摺動面46に開口し、グリース61を収容する複数のディンプル51を互い違いの位置に開口させることで、ディンプル51同士を互いに接近させてバランスよく設けることができるので、ボール部31の摺動が比較的小さい場合でもグリース61が各ディンプル51間で行き渡り、潤滑性を向上できる。

Description

明 細 書

ボールジョイントおよびそのベアリングシート

技術分野

[0001] 本発明は、ポール部の外周面との間に潤滑剤を保持するボールジョイントのベアリ ングシートおよびこれを備えたポールジョイントに関する。

背景技術

[0002] 従来、例えば、自動車の懸架装置、あるいは操舵装置などに用いられるボールジョ イントは、略球状のボール部を備えたポールスタッドを、ソケット内に設けられたベアリ ングシートとしての合成樹脂製のボールシートに摺動可能に取り付けて構成されてい る。ボ一ルシートは、ボ一ル部の外周面に沿った略球面状の摺動面を有している。ま た、ボール部の外周面とボールシートの摺動面との間には、潤滑剤としてのグリース が封入されている (例えば、特許文献 1参照。）。

特許文献 1 :特開 2000— 230540号公報 (第 4— 6頁、図 1)

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] しかしながら、上述のポールジョイントでは、ボール部の外周面とボールシートの瘤 動面とが略等しい形状であるため、ポール部の外周面全面に亘つて互いに略均等に 接触し、グリースがボール部の外周面とボールシートの摺動面との間に行き渡りにく レ、。

[0004] 特に、ボールジョイントが例えばダブルウィッシュボーン系のロアサスペンションなど に用レ、られる場合には、ボールジョイントに常時車重が加わるため、グリースによる潤 滑性が非常に不利であり、ボールシートの摩耗が促進してしまうとともに、ポール部の 回転も殆どなぐ揺動が主体となるため、潤滑性がさらに不利となる。

[0005] この結果、ボールシートの潤滑性のより一層の向上が望まれている。

[0006] 本発明は、このような点に鑑みなされたもので、潤滑性を向上したポールジョイント のベアリングシートおよびこれを備えたポールジョイントを提供することを目的とする。 課題を解決するための手段

訂正された用紙 （規則 91) [0007] 請求項 1記載のボールジョイントのベアリングシートは、開口部を備えたソケット内に 設けられ、このソケット内に配置されるボールスタッドの略球状のボール部を回動可 能に保持し緯方向および経方向を有する球面状の摺動面および前記開口部に連通 する開口を具備したボールジョイントのベアリングシートであって、前記ボール部の外 周面に対向して前記摺動面にそれぞれ互い違いの位置に開口し、潤滑剤を収容す る複数の収容凹部を備えて 、るものである。

[0008] そして、ボールスタッドの略球状のボール部を回動可能に保持する球面状の摺動 面に開口し、潤滑剤を収容する複数の収容凹部を互い違いの位置に開口させること で、収容凹部を互いに接近させてバランスよく設けることが可能になるので、ボール 部の摺動が比較的小さい場合でも潤滑剤が各収容凹部間で行き渡り、潤滑性が向 上する。

[0009] 請求項 2記載のボールジョイントのベアリングシートは、請求項 1記載のボールジョイ ントのベアリングシートにおいて、各収容凹部が、互いに隣接するもの同士の緯方向 位置と経方向位置とが異なるように摺動面にそれぞれ開口しているものである。

[0010] そして、各収容凹部を、互いに隣接するもの同士の緯方向位置と経方向位置とが 異なるように摺動面にそれぞれ開口することで、収容凹部をよりバランスよく摺動面に 設けることが可能になるので、潤滑性がより向上する。

[0011] 請求項 3記載のボールジョイントのベアリングシートは、請求項 1記載のボールジョイ ントのベアリングシートにおいて、収容凹部が、所定の方向に沿って列をなし、互い に隣接する列のそれぞれの開口面積が互いに異なっているものである。

[0012] そして、所定の方向に沿って列をなす収容凹部の互いに隣接する列のそれぞれの 開口面積を互いに異ならせることで、収容凹部の間を、より接近させて設けることが可 能になり、潤滑性がより向上する。

[0013] 請求項 4記載のボールジョイントのベアリングシートは、請求項 1ないし 3いずれか一 記載のボールジョイントのベアリングシートにおいて、収容凹部が、緯方向に沿って 少なくとも一つの段をなし、開口面積が互いに略等しい複数の第 1の収容部と、これ ら第 1の収容部の少なくとも一つの段の経方向の一端側と赤道側とに、互いに開口 面積が等しいもの同士で緯方向に沿ってそれぞれ段をなし、経方向の一端側の段か ら赤道側の段へと開口面積が順次大きくなるようにそれぞれ設けられた複数の第 2の 収容部とを有して ヽるものである。

[0014] そして、開口面積が互いに略等しい複数の第 1の収容部で緯方向に沿って少なくと も一つの段をなし、かつ第 1の収容部の少なくとも一つの段の経方向の一端側と赤道 側とに、互いに開口面積が等しいもの同士でそれぞれ緯方向に沿って段をなし、経 方向の一端側の段力 赤道側の段へと開口面積が順次大きくなるように第 2の収容 部を設けることで、経方向の一端側力 赤道側へと面積が広くなる球面状の摺動面 のスペースを利用し、収容凹部をより接近させて設けることが可能になるので、潤滑 性がより向上する。

[0015] 請求項 5記載のボールジョイントのベアリングシートは、開口部を備えたソケット内に 設けられ、このソケット内に配置されるボールスタッドの略球状のボール部を回動可 能に保持する球面状の摺動面および前記開口部に連通する開口を具備したボール ジョイントのベアリングシートであって、前記ボール部の外周面に対向して前記摺動 面にそれぞれ開口し、経方向に沿って列をなすとともに互いに等しい開口面積を有 するもの同士で緯方向に沿って段をなし、かつ経方向の一端側の段から赤道側の段 へと開口面積が順次大きくなるようにそれぞれ設けられ、潤滑剤を収容する複数の収 容凹部を備えて 、るものである。

[0016] そして、ボールスタッドの略球状のボール部を回動可能に保持する球面状の摺動 面に、潤滑剤を収容する収容凹部を、経方向に沿って列をなすとともに互いに等し い開口面積を有するもの同士で緯方向に沿って段をなし、かつ経方向の一端側の 段力 赤道側の段へと開口面積が順次大きくなるようにそれぞれ設けることで、経方 向の一端側力 赤道側へと面積が広くなる球面状の摺動面のスペースを利用し、収 容凹部を互いに接近させてバランスよく設けることが可能になるので、ボール部の摺 動が比較的小さい場合でも潤滑剤が各収容凹部間で行き渡り、潤滑性が向上する。

[0017] 請求項 6記載のボールジョイントのベアリングシートは、請求項 1ないし 5いずれか一 記載のボールジョイントのベアリングシートにおいて、収容凹部が、それぞれ略円形 状に開口しているものである。

[0018] そして、収容凹部をそれぞれ略円形状に開口させることで、互いに隣接する収容凹 部の距離を略均等にすることも可能となり、潤滑性がより向上する。

[0019] 請求項 7記載のボールジョイントは、開口部を備えたソケットと、このソケット内に設 けられた請求項 1ないし 6いずれか一記載のベアリングシートと、このベアリングシート 内に回動可能に保持され前記ソケット内に収容されたボール部、および、このボール 部から突設され前記開口部に挿通されるスタッド部を備えたボールスタッドとを具備し たものである。

[0020] そして、請求項 1な!、し 6 、ずれか一記載のベアリングシートを備えることで、潤滑 性を向上することが可能になる。

発明の効果

[0021] 請求項 1記載のボールジョイントのベアリングシートによれば、ボールスタッドの略球 状のボール部を回動可能に保持する球面状の摺動面に開口し、潤滑剤を収容する 複数の収容凹部を互い違いの位置に開口させることで、収容凹部を互いに接近させ てバランスよく設けることができるので、ボール部の摺動が比較的小さ!、場合でも潤 滑剤が各収容凹部間で行き渡り、潤滑性を向上できる。

[0022] 請求項 2記載のボールジョイントのベアリングシートによれば、請求項 1記載のボー ルジョイントのベアリングシートの効果にカ卩えて、各収容凹部を、互いに隣接するもの 同士の緯方向位置と経方向位置とが異なるように摺動面にそれぞれ開口することで 、収容凹部をよりバランスよく摺動面に設けることができるので、潤滑性をより向上でき る。

[0023] 請求項 3記載のボールジョイントのベアリングシートによれば、請求項 1記載のボー ルジョイントのベアリングシートの効果にカ卩えて、所定の方向に沿って列をなす収容 凹部の互いに隣接する列のそれぞれの開口面積を互いに異ならせることで、収容凹 部の間を、より接近させて設けることができ、潤滑性をより向上できる。

[0024] 請求項 4記載のボールジョイントのベアリングシートによれば、請求項 1ないし 3いず れか一記載のボールジョイントのベアリングシートの効果にカ卩えて、開口面積が互い に略等しい複数の第 1の収容部で緯方向に沿って少なくとも一つの段をなし、かつ第 1の収容部の少なくとも一つの段の経方向の一端側と赤道側とに、互いに開口面積 が等しいもの同士でそれぞれ緯方向に沿って段をなし、経方向の一端側の段から赤 道側の段へと開口面積が順次大きくなるように第 2の収容部を設けることで、経方向 の一端側力 赤道側へと面積が広くなる球面状の摺動面のスペースを利用し、収容 凹部をより接近させて設けることができるので、潤滑性をより向上できる。

[0025] 請求項 5記載のボールジョイントによれば、潤滑剤を収容する収容凹部を、経方向 に沿って列をなすとともに互いに等しい開口面積を有するもの同士で緯方向に沿つ て段をなし、かつ経方向の一端側の段力 赤道側の段へと開口面積が順次大きくな るように摺動面にそれぞれ設けることで、経方向の一端側力 赤道側へと面積が広く なる球面状の摺動面のスペースを利用し、収容凹部を互いに接近させてバランスよく 設けることができるので、ボール部の摺動が比較的小さい場合でも潤滑剤が各収容 凹部間で行き渡り、潤滑性を向上できる。

[0026] 請求項 6記載のボールジョイントのベアリングシートによれば、請求項 1ないし 5いず れか一記載のボールジョイントのベアリングシートの効果にカ卩えて、収容凹部をそれ ぞれ略円形状に開口させることで、互いに隣接する収容凹部の距離を略均等にする こともでき、潤滑性をより向上できる。

[0027] 請求項 7記載のボールジョイントによれば、請求項 1ないし 6いずれか一記載のベア リングシートを備えることで、潤滑性を向上できる。

図面の簡単な説明

[0028] [図 1]本発明の第 1の実施の形態のボールジョイントの一部を示す縦断面図である。

[図 2]同上ボールジョイントのベアリングシートを示す斜視図である。

[図 3]同上ベアリングシートの一部を拡大して示す斜視図である。

[図 4]同上ボールジョイントを示す縦断面図である。

[図 5]本発明の第 2の実施の形態のボールジョイントの一部を示す縦断面図である。

[図 6]本発明の第 3の実施の形態のボールジョイントの一部を示す縦断面図である。 符号の説明

[0029] 1 ボールジョイント

2 ソケット

3 ボールスタッド

4 ベアリングシートとしてのボールシート 15 開口部

31 ボール部

33 スタッド言

42 開口

46 摺動面

51, 65 収容凹部としてのディンプル

52 第 1の収容部としての第 1のディンプル

53 第 2の収容部としての第 2のディンプル

61 潤滑剤としてのグリース

発明を実施するための最良の形態

[0030] 以下、本発明の第 1の実施の形態のボールジョイントを図 1ないし図 4を参照して説 明する。

[0031] 図 4において、 1はボールジョイントで、このボールジョイント 1は、例えば自動車の 懸架装置や操舵装置などに用いられるもので、金属製などの略有底円筒状のソケッ ト 2、鋼鉄製などのボールスタッド 3、ベアリングシートとしての合成樹脂製などのボー ルシート 4、およびゴムある 、は軟質合成樹脂などにて略円筒状に形成されたダスト カバー 5を備えている。

[0032] また、ソケット 2は、ソケット本体 11およびプラグ 12を備えている。ソケット本体 11は、 一端に挿入孔 13を開口し他端に底部 14が閉塞して一体に設けられた有底円筒状に 形成されている。一方、プラグ 12は、ソケット本体 11の揷入孔 13に取り付けられ開口 部 15を開口する円筒状に形成されて!、る。

[0033] さらに、ソケット本体 11の揷入孔 13側の内周面には、プラグ 12の外径と略等しい寸 法となるように径大に形成された当接部 21が段差状に形成されている。また、ソケット 本体 11の挿入孔 13の縁部には、ソケット本体 11より肉薄で同軸上に円筒状に設けら れたかしめ部 22が設けられている。この力しめ部 22は、内方に向けてかしめ変形され ることによりプラグ 12を係止固定する。

[0034] またさらに、ソケット本体 11の底部 14には、プラグ 12の開口部 15に略平行な平面状 の内底面部 23が設けられており、この内底面部 23には、開口部 15に向けて拡径状に 拡開して傾斜した傾斜面部 24がー体に設けられている。

[0035] そして、ソケット 2は、開口部 15に連続する内室 25が内部に形成されており、これら 開口部 15および内室 25により、ソケット 2は略有底円筒状となっている。なお、ソケット 2のソケット本体 11の側面、あるいは底部 14の下面などには、図示しない雄ねじ、雌 ねじやアームなどを有する連結部が設けられて 、る。

[0036] また、ボールスタッド 3は、球頭部としての略球状のボール部 31、ソケット 2の開口部 15に挿通される小径部 32、および、軸部としての略円柱状のスタッド部 33が棒状に一 体に形成されている。ボール部 31は、スタッド部 33より径大に形成されている。そして 、スタッド部 33の先端部には、雄ねじ部 34が設けられている。

[0037] さらに、ボーノレシート 4は、ポリアセタール榭脂ゃポリウレタン榭脂、ポリアミド榭脂な どの良好なベアリング特性を有する耐荷重性の高い剛性および弾性を有した合成榭 脂にて形成されている。そして、ボールシート 4は、円筒状の胴体部 41を備えている。 この胴体部 41の軸方向すなわち経方向の一端には、開口部 15に連通する開口 42が 開口形成されている。この開口 42には、ボールスタッド 3のボール部 31が挿入されて スタッド部 33が挿通される。一方、胴体部 41の経方向の他端には、外面がソケット 2の 傾斜面部 24に対向して当接する傾斜板部 43がー体に設けられている。また、この傾 斜板部 43の下端部には、外面がソケット 2の内底面部 23に対向して当接する底板部 44がー体に設けられている。この底板部 44の略中心域には、上下方向に貫通して設 けられ内底面部 23により下端部を閉塞される貫通孔 45が設けられている。

[0038] この結果、ボールシート 4は、胴体部 41、傾斜板部 43および底板部 44の内面全体、 すなわち貫通孔 45から開口 42までの間力 ボール部 31に対応した略球面状の摺動 面 46となっており、この摺動面 46によりボール部 31を摺動可能に保持する円筒状に 成形されている。すなわち、摺動面 46は、軸方向の一端側である貫通孔 45から軸方 向の他端側である開口 42へ至る図 1に示す上下方向である経方向と、貫通孔 45およ び開口 42と同心状の周方向である緯方向とを有している。

[0039] また、図 1ないし図 3に示すように、摺動面 46には、収容凹部としての凹みであるデ インプル 51が複数設けられている。

[0040] これらディンプル 51は、ボール部 31の外周面に対向するとともにボール部 31の中心 Oに向けてそれぞれ円形状に開口し、ボールシート 4の赤道 Eよりも貫通孔 45側の摺 動面 46の緯方向全体に設けられている。

[0041] なお、ボールシート 4の赤道 Eとは、ボールシート 4にボールスタッド 3のボール部 31 を保持した状態でボールスタッド 3のボール部 31の赤道位置と略一致する部分であり 、ボール部 31の赤道位置とは、ボール部 31の外周面の径寸法が最大となっている位 置をいう。

[0042] また、これらディンプル 51は、第 1の収容部としての第 1のディンプル 52と第 2の収容 部としての第 2のディンプル 53とで構成されて 、る。

[0043] 第 1のディンプル 52は、ボールシート 4の経方向の一端部である貫通孔 45側から、 赤道 E側へとボールシート 4の経方向に沿って列をなすとともに、周方向すなわち緯 方向に沿って複数段、例えば 3段、互いに隣接して設けられている。また、これら第 1 のディンプル 52は、互いに等しい開口面積を有している。すなわち、第 1のディンプ ル 52は、互いに等しい径寸法 aを有している。さらに、これら第 1のディンプル 52は、ボ ールシート 4の緯方向に互 、に略等角度となるように各列が配置されて 、る。言！ヽ換 えると、第 1のディンプル 52は、ボールシート 4の緯方向に略均等に配置されている。 また、第 1のディンプル 52の各段は、ボールシート 4の中心軸の周囲に同心円状に配 置されている。

[0044] 第 2のディンプル 53は、各第 1のディンプル 52のボールシート 4の緯方向および経 方向の間に位置している。すなわち、第 2のディンプル 53は、第 1のディンプル 52の 列の略中間に、各第 1のディンプル 52と互 、に異なる緯方向位置に設けられて 、る。

[0045] また、この第 2のディンプル 53は、小ディンプル 54および大ディンプル 55を有してい る。

[0046] 小ディンプル 54は、例えば第 1のディンプル 52の径寸法 aよりも小さ!/ヽ径寸法 bを有 している。すなわち、小ディンプル 54は、第 1のディンプル 52よりも開口面積が小さく 形成されている。

[0047] 大ディンプル 55は、例えば第 1のディンプル 52の径寸法 aよりも大きい径寸法 cを有 している。すなわち、大ディンプル 55は、第 1のディンプル 52および小ディンプル 54よ りも開口面積が大きく形成されている。 [0048] そして、小ディンプル 54および大ディンプル 55は、第 1のディンプル 52の間にボー ルシート 4の経方向に沿った列を形成し、第 1のディンプル 52に対して互!、違いに配 置されている。さらに大ディンプル 55は、小ディンプル 54よりもボールシート 4の赤道 E 側に位置している。したがって、第 2のディンプル 53は、貫通孔 45側から赤道 E側へと 、開口面積が順次大きくなるようにそれぞれ配置されている。

[0049] また、小ディンプル 54および大ディンプル 55は、それぞれボールシート 4の中心軸 の周囲に同心円状に配置されている。

[0050] そして、ディンプル 51は、ボールシート 4の緯方向および経方向に互いに略等間隔 に隣接し、ボールシート 4の赤道 Eよりも貫通孔 45側の摺動面 46に、ボールシート 4の 中心軸の周囲に同心状に互い違い、すなわち千鳥状に設けられている。言い換える と、ディンプル 51は、 1つの第 1のディンプル 52とこの第 1のディンプル 52に隣接する 小ディンプル 54、あるいは大ディンプル 55と力 互いに異なる緯方向および経方向位 置にそれぞれ位置している。すなわち、小ディンプル 54と大ディンプル 55とは、例え ば第 1のディンプル 52の中心の段の経方向の貫通孔 45側と赤道 E側とに、それぞれ 緯方向に沿って段をなしている。このため、第 1のディンプル 52、小ディンプル 54およ び大ディンプル 55は、各段に配置された個数が互いに一致している。

[0051] また、各ディンプル 51には、潤滑剤としてのグリース 61が収容されている。このダリー ス 61は、ボールシート 4内にボール部 31を挿入する前に、ボールシート 4内に予め封 入される。

[0052] ダストカバー 5は、ダストシールあるいはブーツなどとも呼ばれるもので、環状の嵌合 部 62を一端に有した略円筒状に形成されている。この嵌合部 62は、ソケット 2のソケッ ト本体 11の外周面に設けられた環状のダストカバー溝部 63内に、環状のクリップ 64に て係止される。

[0053] そして、ボールスタッド 3がソケット 2に対して揺動した際には、ボール部 31がボール シート 4に対して摺動し、各ディンプル 51に収容されたグリース 61がいわゆるくさび膜 効果によりボール部 31の外周面と摺動面 46との間に引き込まれ、ディンプル 51間で グリース 61による潤滑が成立する。

[0054] 上述したように、上記第 1の実施の形態では、ボール部 31を回動可能に保持する球 面状の摺動面 46に開口し、グリース 61を収容する複数のディンプ /レ 51を、互い違い の位置に設ける構成とした。

[0055] より具体的には、第 1のディンプノレ 5²と、この第 1のディンプル 52に隣接する小ディ ンプル 54あるレ、は大ディンプル 55とが、互いに異なる緯方向位置おょぴ経方向位置 となるように設ける構成とした。

[0056] この結果、互いのディンプノレ 51の間のデッドスペースを有効に利用し、ディンプル 51同士を互いに接近させてバランスよく設けることができるので、例えばボール部 31 の摺動が比較的小さ！/、場合でもグリース 61が各ディンプル 51間で行き渡り、油膜切 れを最大限に防止して潤滑性を向上できるとともに、グリース 61が充分に行き渡った 状態でボール部 31が摺動することでボールシート 4の耐摩耗性が向上するため、ボ —ルジョイント 1の耐久性をも向上できる。

[0057] また、本実施の形態では、開口面積が互!/ヽに略等しレ、複数の第 1のディンプル 52 で緯方向に沿って 3つの段をなすとともに、第 1のディンプル 52の中心の段の貫通孔 45側に、小ディンプル 54で緯方向に沿って段をなし、かつ第 1のディンプル 52の中心 の段の赤道 E側に、小ディンプル 54よりも開口面積が大きい大ディンプル 55で緯方向 に沿って段をなして第 2のディンプル 53を設ける構成とした。

[0058] このため、貫通孔 45側から赤道 E側へと面積が広くなる球面状の摺動面 46のスぺ ースを有効に利用してディンプル 51の間をより接近させて設けることができるとともに 、ディンプル 51の間の距離が均一化されてディンプル 51同士での潤滑性が均一化さ れるので、潤滑性をより向上できる。

[0059] さらに、ディンプル 51を略円形状に開口させることで、例えばディンプルを四角形状 などとする場合と比較して、互いに隣接するディンプノレ 51同士の 離を略均等にして ディンプル 51間でのグリース 61による潤滑を、より容易に成立させることもできるので、 潤滑性をより向上できる。

[0060] そして、ディンプル 51を略球面凹状とすることで、各ディンプノレ 51に加わる単位面積 当たりの圧力を略均一化できるので、ボールシート 4の強度を向上できる。

[0061] また、各段の第 1のディンプル 52、第 2のディンプノレ 53の小ディンプル 54、および、 大ディンプノレ 55の個数を一致させることにより、ディンプノレ 51に方向性をなくし、摩耗

訂正された用紙 （規則 91) のばらつきを低減できる。

[0062] 次に、第 2の実施の形態を図 5を参照して説明する。なお、上記第 1の実施の形態 と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。

[0063] 第 1のディンプル 52は、図 5に示すように、ボールシート 4の緯方向に 1段形成され ている。

[0064] 第 2のディンプル 53は、第 1のディンプル 52のボールシート 4の経方向の貫通孔 45 側と赤道 E側とにそれぞれ小ディンプル 54と大ディンプル 55とが緯方向に沿って段を なして配置されている。これら小ディンプル 54と大ディンプル 55とは、ボールシート 4 の緯方向に第 1のディンプル 52と互 、違!/、に位置し、かつボールシート 4の経方向に 列をなしている。

[0065] すなわち、ディンプル 51は、第 1のディンプル 52と第 2のディンプル 53と力 互い違 いに配置されている。

[0066] したがって、ディンプル 51は、ボールシート 4の経方向の貫通孔 45側の段から赤道

E側の段へと、開口面積が順次大きくなるように形成されている。

[0067] そして、このようにディンプル 51を配置することで、上記第 1の実施の形態と同様の 作用効果を奏することができる。

[0068] なお、上記各実施の形態において、小ディンプル 54および大ディンプル 55は、大 ディンプル 55が小ディンプル 54よりも大きければ、第 1のディンプル 52の径寸法 aとは 別個に径寸法を任意に設定できる。

[0069] また、第 2のディンプル 53に代えて、第 1のディンプル 52と略等し 、径寸法を有する ディンプルを、第 1のディンプル 52と互 、違!/、の位置に設けてディンプル 51を構成す ることち可會である。

[0070] さらに、ディンプル 51を摺動面 46に互い違いの位置にバランスよく設けることができ れば、各ディンプル 52, 53の各段の間に小径のディンプルを設けたりすることもでき、 ディンプル 51のそれぞれの径寸法などは上記構成に限定されな!ヽ。

[0071] 次に、第 3の実施の形態を図 6を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同 様の構成および作用については、同一の符号を付してその説明を省略する。

[0072] 摺動面 46には、収容凹部としての凹みである複数のディンプル 65が設けられている 。これらディンプル 65は、例えば小ディンプル 65a、中ディンプル 65bおよび大ディンプ ル 65cを備えた 3段に形成されている。

[0073] これらディンプル 65a— 65cは、それぞれ第 1のディンプル 52および第 2のディンプル 53と同様に、ボール部 31の外周面に対向するとともにボール部 31の中心 Oに向けて それぞれ円形状に開口し、ボールシート 4の赤道 Eよりも貫通孔 45側の摺動面 46の 緯方向全体に亘つて設けられている。また、これらディンプル 65a— 65cは、貫通孔 45 側から赤道 E側へとボールシート 4の経方向に沿って複数、例えば 3段に隣接した列 を形成するとともに、ボールシート 4の緯方向に隣接して複数設けられている。

[0074] さらに、各ディンプル 65a— 65cは、ボールシート 4の緯方向に略均等にそれぞれ配 置されている。また、ディンプル 65の各段は、ボールシート 4の中心軸の周囲に同心 円状に配置されている。そして、各ディンプル 65a— 65cは、それぞれボールシート 4 の経方向に沿った列を形成し、貫通孔 45側から赤道 E側へと順次配置されている。し たがって、ディンプル 65は、開口面積が順次大きくなるように配置されている。

[0075] また、ディンプル 65は、ボールシート 4の緯方向および経方向に互いに略等間隔に 隣接し、ボールシート 4の赤道 Eよりも貫通孔 45側の摺動面 46に、ボールシート 4の中 心軸の周囲に同心状に略均等に設けられている。

[0076] そして、このようにディンプル 65を配置することで、上記各実施の形態と同様の作用 効果を奏することができる。

[0077] なお、上記各実施の形態において、各ディンプル 51, 65は、円形状以外の形状と することも可會である。

[0078] また、ディンプル 51, 65は、緯方向に沿った段数を上記各実施の形態よりも増加さ せても減少させてもよい。例えば、ディンプル 51, 65を、摺動面 46全体、すなわち貫 通孔 45から開口 42に至る摺動面 46の全周に設けるなどの構成も可能である。

[0079] さらに、ボールシート 4は、貫通孔 45を設けない有底円筒状のものを用いることも可 能である。

[0080] そして、ボールジョイント 1の構成は、上記構成に限定されるものではない。

産業上の利用可能性

[0081] 本発明は、例えば自動車の懸架装置や操舵装置などに利用される。

Claims

請求の範囲

[1] 開口部を備えたソケット内に設けられ、このソケット内に配置されるボールスタッドの 略球状のボール部を回動可能に保持し緯方向および経方向を有する球面状の摺動 面および前記開口部に連通する開口を具備したボールジョイントのベアリングシート であって、

前記ボール部の外周面に対向して前記摺動面にそれぞれ互!、違!/、の位置に開口 し、潤滑剤を収容する複数の収容凹部を備えている

ことを特徴としたボールジョイントのベアリングシート。

[2] 各収容凹部は、互いに隣接するもの同士の緯方向位置と経方向位置とが異なるよ うに摺動面にそれぞれ開口して 、る

ことを特徴とした請求項 1記載のボールジョイントのベアリングシート。

[3] 収容凹部は、所定の方向に沿って列をなし、互いに隣接する列のそれぞれの開口 面積が互いに異なっている

ことを特徴とした請求項 1記載のボールジョイントのベアリングシート。

[4] 収容凹部は、

緯方向に沿って少なくとも一つの段をなし、開口面積が互いに略等しい複数の第 1 の収容部と、

これら第 1の収容部の少なくとも一つの段の経方向の一端側と赤道側とに、互いに 開口面積が等しいもの同士で緯方向に沿ってそれぞれ段をなし、経方向の一端側 の段から赤道側の段へと開口面積が順次大きくなるようにそれぞれ設けられた複数 の第 2の収容部とを有して 、る

ことを特徴とした請求項 1な 、し 3 、ずれか一記載のボールジョイントのベアリングシ ート。

[5] 開口部を備えたソケット内に設けられ、このソケット内に配置されるボールスタッドの 略球状のボール部を回動可能に保持する球面状の摺動面および前記開口部に連 通する開口を具備したボールジョイントのベアリングシートであって、

前記ボール部の外周面に対向して前記摺動面にそれぞれ開口し、経方向に沿つ て列をなすとともに互いに等しい開口面積を有するもの同士で緯方向に沿って段を なし、かつ経方向の一端側の段力 赤道側の段へと開口面積が順次大きくなるよう にそれぞれ設けられ、潤滑剤を収容する複数の収容凹部を備えて ヽる

ことを特徴としたボールジョイントのベアリングシート。

[6] 収容凹部は、それぞれ略円形状に開口している

ことを特徴とした請求項 1な 、し 51、ずれか一記載のボールジョイントのベアリングシ ート。

[7] 開口部を備えたソケットと、

このソケット内に設けられた請求項 1ないし 6いずれか一記載のベアリングシートと、 このベアリングシート内に回動可能に保持され前記ソケット内に収容されたボール 部、および、このボール部から突設され前記開口部に挿通されるスタッド部を備えた ボーノレスタッドと

を具備したことを特徴としたボールジョイント。