WO2005055254A1

WO2005055254A1 - 積層インダクタ及びその製造方法

Info

Publication number: WO2005055254A1
Application number: PCT/JP2004/017401
Authority: WO
Inventors: Kinya Ogino; Yasutoshi Suzuki; Kenji Nabekura; Shigenori Suzuki
Original assignee: Fdk Corporation
Priority date: 2003-12-05
Filing date: 2004-11-24
Publication date: 2005-06-16
Also published as: KR20060102338A; JP2005174962A

Abstract

　本発明の課題は、コイル巻数が変わっても、同じ導体パターンを用い、導体パターンの種類を少なく且つ積層枚数積層枚数を少なくできるようにする。この課題を解決するために、コイルを形成する導体パターン１０と絶縁層１２とを積層したコイル形成部を備えた積層インダクタとするものである。導体パターンは、（１）外部電極へ繋がる引き出しを含み１ターン弱の第１の導体パターン、（２）一端が該第１の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコイル中心線に対称な１ターン弱の第２の導体パターン、（３）一端が該第２の導体パターンの一端と重なり且つ前記引き出しに垂直のコイル中心線に対称な１／２ターン強の第３の導体パターンの３種類であって、それらを組み合わせることで３ターン以上のコイルを形成する。

Description

明細書

積層インダクタ及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、積層構造のチップインダクタに関し、更に詳しく述べると、僅か 3種類の導体パターンを組み合わせることにより、少ない積層枚数で 3ターン以上のコイルを形成できるように工夫した積層インダクタ及びその製造方法に関するものである。この技術は、例えば携帯電話機やデジタルカメラなどのモパイル機器で使用するインダクタ素子に有用である。

背景技術

[0002] モパイル機器に組み込むインダクタなどでは、特に小型化の要求が強ぐそれに応えるために積層インダクタが使用されている。この種の積層インダクタは、通常、絶縁層と導体パターンを交互に印刷積層し、導体パターン同士をビア導体で接続することにより積層体の内部にコイルを形成し、積層体の両端部に外部電極を設けて内部の導体パターンの端部と接続する構造となって、る。

[0003] ところでインダクタは、それを使用する電気回路の仕様により種々のインダクタンスが要求され、そのため多くの種類のインダクタをシリーズとして揃える必要がある。一般にインダクタでは、内部に形成されるコイルの卷数を変えることによってインダクタンスを変化させている。そこで、導体パターンの形状や積層手順などに関し、様々な技術が提案されている。

[0004] 従来の代表的な積層インダクタとしては、 L型、コの字型あるいは半円状の略 1Z2 ターンの導体パターンを、向きを変えて（面内 1Z2回転して)積層する構成がある（例えば特開平 6— 333742号公報参照)。この構成では、外部電極へ繋がる引き出しのある導体パターンと、それ以外の略 1/2ターンの導体パターンとの 2種類で済む 1S 1回の積層工程で 1/2ターンしか形成できないため、多くの積層枚数が必要となり、厚さが増え、工数が増える欠点がある。

[0005] また、 1ターンを超えた渦巻き状の導体パターンを積層する構成もあるが (特開 200 1 44037号公報参照）、少ない積層枚数で済むものの、導体パターンで囲まれる内側面積が小さくなる。特に、 DC-DCコンバータに組み込むインダクタでは直流に交流が重畳された状態になり、直流をどれだけ多く流せるかが重要である。そのためには、磁気飽和を避けねばならず、磁性体の磁路断面積を大きくする必要があり、導体パターンが内側に巻き込まれる構造は好ましくな!/、。

[0006] 更に、 1ターン弱の導体パターンを積層する構成もあるが（特開 2003— 272921号公報参照）、各層で別々の導体パターンが必要となるため、多種の導体パターンを用意しなければならず、積層作業は非常に煩雑となる。

[0007] その他、コの字型の 3Z4ターンの導体パターンを 90° ずつ回転させながら積層する構成もあるが、コイル軸に垂直な面が長方形の場合には適用できな、。

[0008] 外部電極へ繋がる引き出しのある導体パターンを工夫して、共通化する技術も開示されているが（実開平 7— 22514号公報参照）、内部の導体パターンのどの位置の端部でも接続可能なようにループ状にしている。そのような形状では、逆電流が流れる部分が発生し、その分だけ磁束が打ち消されてしまうためインダクタンスが低下するし、電流経路が不定となるなどの問題が生じる。

発明の開示

[0009] 本発明が解決しょうとする課題は、導体パターンの種類を少なくすれば積層枚数が多くなり、逆に積層枚数を少なくすれば導体パターンの種類が多くなり、いずれにしても製造工程が煩雑ィ匕する点、導体パターンの形状によってはインダクタンスが低下する点などであり、本発明はこれらの課題を解決することの可能な積層インダクタと、その製造方法を提供することである。

[0010] 本発明の第 1の実施形態によれば、コイルを形成する導体パターンと絶縁層とを積層したコイル形成部を備えた積層インダクタにお!、て、導体パターンは、

(1)外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターン、

(2)—端が該第 1の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコィル中心線に対称な 1ターン弱の第 2の導体パターン、

(3)—端が該第 2の導体パターンの一端と重なり且つ前記引き出しに垂直のコイル中心線に対称な 1Z2ターン強の第 3の導体パターン、

の 3種類であって、それらを組み合わせることで 3ターン以上のコイルが形成されて!ヽることを特徴とする積層インダクタである。

[0011] また本発明の第 2の実施形態によれば、コイルを形成する導体パターンと絶縁層とを積層したコイル形成部と、該コイル形成部を挟むように積層方向の上下に配した絶縁体部を備え、実装面はコイル軸に垂直で長方形状であり、両端面に外部電極が位置する構造の積層インダクタにおいて、導体パターンは、

の 3種類であって、第 1の導体パターン力コイル形成部で積層方向の最上層と最下層に位置するように 3種類の導体パターンを組み合わせ、積層方向で隣り合う導体パターンの間には絶縁層が介在し該絶縁層を貫通するビア導体で接続することで 3ターン以上のコイルが形成されていることを特徴とする積層インダクタである。

[0012] 更に本発明は、榭脂フィルム上に、ビア穴を有する絶縁層と、該ビア穴を埋めるビァ導体とそれに連続し前記絶縁層上に位置する導体パターンと、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層を形成した複合シートを用い、該複合シートは、導体パターンの形状によって、（a)外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンを有する第 1の複合シート、（b)—端が該第 1の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコイル中心線に対称な 1ターン弱の第 2の導体パターンを有する第 2の複合シート、 (c)一端が該第 2の導体パターンの一端と重なり且つ前記引き出しに垂直のコイル中心線に対称な 1Z2ターン強の第 3の導体パターンを有する第 3の複合シートの 3種類とし、それらを組み合わせ所定の順序で圧着して榭脂フイルムを剥離する操作を繰り返し、更に（d)榭脂フィルム上に、外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンと、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層を形成した第 4の複合シートを反転して積層し、圧着して榭脂フィルムを剥離する操作を行うことでコイル形成部を作製することを特徴とする積層インダクタの製造方法である。 [0013] 本発明の効果としては、本発明の積層インダクタは、コイル軸に垂直な面の形状が長方形状であっても、僅か 3種類の導体パターンで且つ少なヽ積層枚数で任意の卷数に対応できるため、スクリーンやマスクの交換などの煩瑣な段取り替えを低減でき作業を簡略化できる。また、一般的なスパイラルコイルパターンが形成されるため、コィル体積を小さくでき、インダクタンスが低下する恐れもなぐ小型化に適している。

[0014] 本発明に係る積層インダクタの製造方法では、榭脂フィルム上に形成した複合シートを予めストックしておけば、必要に応じてそれらの複合シートを所定の順序で積層圧着するだけで、 V、つでも容易に且つ迅速に要求仕様の積層インダクタを製造することができる。

図面の簡単な説明

[0015] [図 1A]図 1Aは、本発明の積層インダクタにおける導体パターンの一例（第 1の導体ノターン)を示す説明図である。

[図 1B]図 1Bは、本発明の積層インダクタにおける導体パターンの一例（第 2の導体ノ《ターン)を示す説明図である。

[図 1C]図 1Cは、本発明の積層インダクタにおける導体パターンの一例（第 3の導体ノ《ターン)を示す説明図である。

[図 2A]図 2Aは、積層インダクタの外観を示す説明図である。

[図 2B]図 2Bは、図 2Aに示す積層インダクタの縦断面を示す説明図である。

[図 3A]図 3Aは、 3ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 1の導体パターン)を示す説明図である。

[図 3B]図 3Bは、 3ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 2の導体パターン)を示す説明図である。

[図 3C]図 3Cは、 3ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 3の導体パターン)を示す説明図である。

[図 3D]図 3Dは、 3ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 1の導体パターンの表裏回転)を示す説明図である。

[図 4A]図 4Aは、 5ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 1の導体パターン)を示す説明図である。 [図 4B]図 4Bは、 5ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 2の導体パターン)を示す説明図である。

[図 4C]図 4Cは、 5ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 3の導体パターン)を示す説明図である。

[図 4D]図 4Dは、 5ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 2の導体パターンの面内 1Z2回転)を示す説明図である。

[図 4E]図 4Eは、 5ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 3の導体パターンの面内 1Z2回転)を示す説明図である。

[図 4F]図 4Fは、 5ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 3の導体パターン)を示す説明図である。

[図 4G]図 4Gは、 5ターンのコイルを形成する場合に用いられる導体パターンの一つ（第 1の導体パターンの表裏回転)を示す説明図である。

[図 5A]図 5Aは、本発明の製造方法で用いる複合シートの一例を示す説明図であり、第 1の複合シートを示す。

[図 5B]図 5Bは、本発明の製造方法で用いる複合シートの一例を示す説明図であり、第 2の複合シートを示す。

[図 5C]図 5Cは、本発明の製造方法で用いる複合シートの一例を示す説明図であり、第 3の複合シートを示す。

[図 5D]図 5Dは、本発明の製造方法で用いる複合シートの一例を示す説明図であり、第 4の複合シートを示す。

[図 6A]図 6Aは、図 5A—図 5Dに示す複合シートを用いて 3ターンのコイルを製造する場合の複合シートの積層手順を示す説明図である。

[図 6B]図 6Bは、図 6Aの次のステップを示す複合シートの積層手順を示す説明図でめる。

[図 6C]図 6Cは、図 6Bの次のステップを示す複合シートの積層手順を示す説明図でめる。

[図 6D]図 6Dは、更に次のステップを示す複合シートの積層手順を示す説明図である。符号の説明

[0016] 10 導体パターン

12 絶縁層

22 絶縁体部

24 外部電極

42 絶縁層

44 ビア導体

46 パターン

発明を実施するための最良の形態

[0017] 積層インダクタは、典型的には、コイルを形成する導体パターンと絶縁層とを積層したコイル形成部と、該コイル形成部を挟むように積層方向の上下に配した絶縁体部を備えており、実装面はコイル軸に垂直で長方形状をなし、両端面に外部電極が位置する構造である。このような積層インダクタで用いる導体パターンは、

の 3種類とする。そして、これら 3種の導体パターンを組み合わせる。但し、第 1の導体パターンはコイル形成部で積層方向の最上層と最下層に位置する。なお、積層方向で隣り合う導体パターンの間には絶縁層が介在し、該絶縁層を貫通するビア導体で接続することで隣り合う導体パターン間が連続し、それによつて 3ターン以上のコィルが形成されている。

[0018] コイル軸方向に沿って透視した時の導体パターンは、矩形枠状やその角部を丸めたり斜めにした形状などでもよいし、円形や長円状、あるいはトラック状（円弧と直線の組み合わせ)など任意であってよい。絶縁体は、フェライトなどの強磁性セラミックスでもよいし、非磁性セラミックスなどでもよぐ要求仕様に応じて選定する。

[0019] このような構造を有する積層インダクタを製造するには、榭脂フィルム上に、ビア穴を有する絶縁層と、該ビア穴を埋めるビア導体とそれに連続し絶縁層上に位置する導体パターンと、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層を形成した複合シートを用いるのが好ましい。複合シートは、導体パターンの形状によって、

(a)外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンを有する第 1 の複合シート

(b)—端が該第 1の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコイル中心線に対称な 1ターン弱の第 2の導体パターンを有する第 2の複合シート

(c)一端が該第 2の導体パターンの一端と重なり且つ前記引き出しに垂直のコイル中心線に対称な 1Z2ターン強の第 3の導体パターンを有する第 3の複合シートの 3種類とし、それらを組み合わせ所定の順序で圧着し榭脂フィルムを剥離する操作を繰り返す。更に、

(d)榭脂フィルム上に、外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンと、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層を形成した第 4の複合シートを反転して積層し、圧着して榭脂フィルムを剥離する操作を行うことでコイル形成部を作製する。通常、榭脂フィルム上に絶縁層を複数枚積層した絶縁体シートを、コイル形成部を挟むように圧着して上下に絶縁体部を形成する。

実施例

[0020] 積層インダクタは、コイルを形成する導体パターンと絶縁層とを積層した構造である。使用する導体パターンは 3種類であって、それらを組み合わせることで所望の卷数のコイルを形成する。コイルは、その軸に垂直な方向から透視した時、矩形枠状をなしている。導体パターンの一例を図 1A—図 1Cに示す。導体パターン 10 (斜線を付して示す)を絶縁層 12の上に設けた状態として表している。説明の都合上、コイルの中心を通り且つ外部電極へ繋がる引き出しに垂直な線を X軸、コイルの中心を通り且つ外部電極へ繋がる弓 Iき出しに平行な線^ y軸に設定する。弓 Iき出しの外部電極へ繋力 ¾位置は第 1象限の X軸に平行な線上とする。また、積層インダクタのコイル軸に垂直な実装面の寸法を、縦 2y0 X横 2x0とする。

[0021] (1)第 1の導体パターンは、図 1Aに示すように、外部電極へ繋がる引き出しを含む 1 ターン弱の導体パターンである。この導体パターンは、座標点 (xl,y0)を一方の端点とし、 (xl,-yl)-(-xl,-yl)-(-xl,yl)を通り、 (x2,yl)を他方の端点とする形状である。

(2)第 2の導体パターンは、図 1Bに示すように、一端が該第 1の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコイル中心線に対称な 1ターン弱の導体バターンである。この導体パターンは、座標点 (x2,yl)を一方の端点とし、

(xl ,yl)-(xl ,-ylH-xl ,-yl)-(-xl ,yl)を順に通り、（-x2,yl)を他方の端点とする形状である。従って、第 2の導体パターンの一方の端点は、第 1の導体パターンの他方の端点と重なるような位置関係にある。

(3)第 3の導体パターンは、図 1Cに示すように、座標点 (- x2,yl)を一方の端点とし、 (xl,yl)-(xl,-yl)を通り、 (-x2,-yl)を他方の端点とする形状である。従って、第 3の導体パターンの一方の端点は、第 2の導体パターンの他方の端点と重なるような位置関係にある。

但し、 0<x2<xl <xO, 0く y2く yl <y0である。

[0022] このような 3種類の導体パターンを組み合わせ、積層方向で隣り合う導体パターンの間には絶縁層が介在し該絶縁層を貫通するビア導体で相互接続することで 3ターン以上のコイルを形成する。 1ターンのコイルが必要な場合には第 1の導体パターンのみで形成できるし、 2ターンのコイルが必要な場合には第 1の導体パターンと、第 2 又は第 3の導体パターンの組み合わせで形成できる。この例は、時計回りのパターンである力反時計回りのパターンであってもよいことは言うまでもない。

[0023] 図 2A及び図 2Bに示すように、このように形成したコイル形成部 20を挟むように積層方向の上下に絶縁体部 22が位置し、全体が一体化されている。そして、両端部に外部電極 24を設ける。ここで、図 2Aは外観を示し、図 2Bは縦断面を示している。なお、絶縁体はフェライトなどの強磁性セラミックス粉末や非磁性セラミックス粉末などを含む絶縁体ペーストを印刷したものからなり、導体パターンは銀粒子などを含む導体ペーストを印刷したものである。積層後に焼成することで積層インダクタが得られる。外部電極の形成は、導体ペーストを塗布後、焼成と同時に焼き付けてもよいし、焼成後に導体ペーストを塗布し焼き付けてもよ、。

[0024] 図 3A—図 3Dは、 3ターンのコイルを形成する場合の導体パターンの組み合わせを示している。次の順序で導体パターンを積み重ねる。なお、図中符号 Bがビア導体の位置を示している。この場合は、下層から順に、第 1の導体パターン（図 3A)、第 2の導体パターン（図 3B)、第 3の導体パターン（図 3C)、第 1の導体パターンの表裏反転（図 3D)、によって構成できる。上下で隣り合う導体パターンは、間の絶縁層を貫通するビア導体によって順次接続される。

[0025] 図 4A—図 4Gは、 5ターンのコイルを形成する場合の導体パターンの組み合わせを示している。次の順序で導体パターンを積み重ねる。符号 Bがビア導体の位置を示している。この場合は、下力も順に、第 1の導体パターン（図 4A)、第 2の導体パターン（図 4B)、第 3の導体パターン（図 4C)、第 2の導体パターンの面内 1Z2回転（図 4D) 、第 3の導体パターンの面内 1Z2回転（図 4E)、第 3の導体パターン（図 4F)、第 1の導体パターンの表裏反転（図 4G)とで構成できる。上下で隣り合う導体パターンは、間の絶縁層を貫通するビア導体によって順次接続される。

[0026] このような積層インダクタは、易剥離性の榭脂フィルムを用いる手法で容易に製造することができる。基本的には、図 5A—図 5Dに示すように、榭脂フィルム 40上に、ビァ穴を有する絶縁層 42と、該ビア穴を埋めるビア導体 44とそれに連続し絶縁層上に位置する導体パターン 46と、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層 48を形成し、導体パターン表面と絶縁層表面がほぼ同じ高さとなるようにした複合シートを用いる。図 5A—図 5Dにおいて、上段は平面を表し、下段はその X— X断面を表している。複合シートは、導体パターンの形状によって、

(a)外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンを有する第 1 の複合シート（図 5A)、

(b)—端が該第 1の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコイル中心線に対称な 1ターン弱の第 2の導体パターンを有する第 2の複合シート（図 5B)

(c)一端が該第 2の導体パターンの一端と重なり且つ前記引き出しに垂直のコイル中心線に対称な 1Z2ターン強の第 3の導体パターンを有する第 3の複合シート（図 5C )、

の 3種類である。その他、

(d)榭脂フィルム上に、外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンと、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層を形成した第 4の複合シート（図 5D )、

を用いる。この場合、複合シートとしては 4種類となる力印刷する導体パターンは 3 種類である。

[0027] 上記の（a)— (c)の複合シートを製造するには、榭脂フィルム上に、ビア穴を有する絶縁パターンを絶縁ペーストを用いてスクリーン印刷し、乾燥後に該ビア穴を埋めるビア導体とそれに連続し絶縁層上に位置する導体パターンを導体ペーストを用いてスクリーン印刷し、乾燥後に該導体パターンの周囲を埋める絶縁パターンを絶縁体ペーストを用いてスクリーン印刷する。それを最終的に乾燥させたものが複合シートとなる。例えば、絶縁体ペーストは、各種非磁性粉末あるいはフェライトなどの磁性粉末とバインダと溶剤などを混合したもの、導体ペーストは銀粒子とバインダと溶剤などを混合したものである。複合シートの厚さは、榭脂フィルムを除けば数十/ z m (例えば 40 /z m程度）である。

[0028] このような複合シートを用いて 3ターンのコイルを製造する手順の一例を図 6A—図 6Dに示す。この図において、上段は平面を表し、下段はその X— X断面を表している。図 5Aに示した前記 (a)の複合シートを反転させて榭脂製のベースフィルム 50上に圧着し、複合シート側の榭脂シート 42aを剥離する。次に図 5Bに示す前記 (b)の複合シートを反転させて既設の積層体上に圧着し、貼り付けた複合シート側の榭脂シート 42bを剥離する。次に、図 5Cに示す前記 (c)の複合シートを反転させて既設の積層体上に圧着し、貼り付けた複合シート側の榭脂シート 42cを剥離する。最後に、図 5Dに示した前記 (d)の複合シートについては、図示していないが、それを反転させて補助フィルム上に一旦圧着して榭脂シートを剥離し、それを再度反転させて既設の積層体上に圧着し、補助シート 52を剥離する。このようにして 3ターンのコイル形成部を製造することができる。

[0029] 3ターン以外の任意の卷数のコイルについても、同様に所定の順序で積層圧着する方法によって製造できる。このような複合シート方式による製造方法では、予め所定の複合シートを必要枚数用意しておけば、要求仕様に合致するように、それら複合シートを組み合わせ積層圧着することで、容易に且つ迅速にコイル形成部を製造できる利点がある。

[0030] 勿論、本発明に係る積層インダクタは、複合シート方式ではなくても、従来技術と同様に 1層ずつ積み重ねるように印刷する方式でも製造できる。

[0031] 以上、本発明の特に好適な実施例について説明した力本発明はこれらの実施例に限定されるものではなぐ特許請求の範囲の欄に記載の範囲内で種々変更が可能である。

産業上の利用可能性

[0032] 本発明の積層インダクタは、コイル軸に垂直な面の形状が長方形状であっても、僅力 3種類の導体パターンで且つ少な、積層枚数で任意の卷数に対応できるため、スクリーンやマスクの交換などの煩瑣な段取り替えを低減でき作業を簡略ィ匕できる。また、一般的なスパイラルコイルパターンが形成されるため、コイル体積を小さくでき、ィンダクタンスが低下する恐れもなぐ小型化に適している。

[0033] また、本発明に係る積層インダクタの製造方法では、榭脂フィルム上に形成した複合シートを予めストックしておけば、必要に応じてそれらの複合シートを所定の順序で積層圧着するだけで、 Vヽっでも容易に且つ迅速に要求仕様の積層インダクタを製造することができる。

Claims

請求の範囲 [1] コイルを形成する導体パターンと絶縁層とを積層したコイル形成部を備えた積層ィンダクタにおいて、導体パターンは、 (1)外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターン、 (2)—端が該第 1の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコィル中心線に対称な 1ターン弱の第 2の導体パターン、 (3)—端が該第 2の導体パターンの一端と重なり且つ前記引き出しに垂直のコイル中心線に対称な 1Z2ターン強の第 3の導体パターン、の 3種類であって、それらを組み合わせることで 3ターン以上のコイルが形成されて!ヽることを特徴とする積層インダクタ。 [2] コイルを形成する導体パターンと絶縁層とを積層したコイル形成部と、該コイル形成部を挟むように積層方向の上下に配した絶縁体部を備え、実装面はコイル軸に垂直で長方形状であり、両端面に外部電極が位置する構造の積層インダクタにぉ、て、導体パターンは、

の 3種類であって、第 1の導体パターン力コイル形成部で積層方向の最上層と最下層に位置するように 3種類の導体パターンを組み合わせ、積層方向で隣り合う導体パターンの間には絶縁層が介在し該絶縁層を貫通するビア導体で接続することで 3ターン以上のコイルが形成されていることを特徴とする積層インダクタ。

[3] 榭脂フィルム上に、ビア穴を有する絶縁層と、該ビア穴を埋めるビア導体とそれに連続し絶縁層上に位置する導体パターンと、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層を形成した複合シートを用い、該複合シートは、導体パターンの形状によって、（a)外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンを有する第 1の複合シート、（b)—端が該第 1の導体パターンの内側端と重なり且つ前記引き出しに平行のコイル中心線に対称な 1ターン弱の第 2の導体パターンを有する第 2の複合シート、（c)一端が該第 2の導体パターンの一端と重なり且つ前記引き出しに垂直のコイル中心線に対称な 1Z2ターン強の第 3の導体パターンを有する第 3の複合シートの 3 種類とし、それらを組み合わせ所定の順序で圧着して榭脂フィルムを剥離する操作を繰り返し、更に（d)榭脂フィルム上に、外部電極へ繋がる引き出しを含む 1ターン弱の第 1の導体パターンと、該導体パターンの周囲を埋める絶縁層を形成した第 4の複合シートを反転して積層し、圧着して榭脂フィルムを剥離する操作を行うことでコイル形成部を作製することを特徴とする積層インダクタの製造方法。

[4] 榭脂フィルム上に絶縁層を積層した絶縁体シートを、コイル形成部を挟むように圧：絶縁体部を形成する請求項 3記載の積層インダクタの製造方法。