WO2005049465A1

WO2005049465A1 - エレベータの表示システム及び同システムに用いられる情報表示装置

Info

Publication number: WO2005049465A1
Application number: PCT/JP2004/017008
Authority: WO
Inventors: Yoichi Sekimoto
Original assignee: Toshiba Elevator Kabushiki Kaisha
Priority date: 2003-11-18
Filing date: 2004-11-16
Publication date: 2005-06-02
Also published as: JP4633351B2; US20060191750A1; JP2005145685A; US7147085B2; CN1882489A

Abstract

　データ伝送性能を改善しなくとも、常に乗りかごの運転状態を違和感なく表示することのできるエレベータの表示システムを提供する。　エレベータ制御装置（２１）から乗りかごの運転状態に関するデータが伝送ケーブル（２６）を介して乗りかご内などに設置された情報表示装置（３１）に転送される。その際、情報表示装置（３１）側で当該乗りかごの運転動作に同期させて次に表示すべきデータを推測する。これにより、高速運転時にエレベータ制御装置（２１）からのデータ転送に遅れが生じていても、上記推測データを用いて乗りかごの運転状態を違和感なく表示することができる。

Description

明細書

エレベータの表示システム及び同システムに用いられる情報表示装置技術分野

[0001] 本発明は、例えば超高速エレベータにおいて、乗りかごの運転状態を所定の場所に表示する場合に用いて好適なエレベータの表示システム及び同システムに用いられる情報表示装置に関する。

背景技術

[0002] エレベータでは、乗りかごの運転状態が「制御盤」と呼ばれるエレベータ制御装置によって常に監視されている。この乗りかごの運転状態に関するデータは、伝送ケーブルを介して乗りかご内の情報表示装置などに転送される。

[0003] ここで、通常のエレベータでは、乗りかごが各階床を移動するタイミングに合わせて、エレベータ制御装置力も乗りかごの運転状態に関するデータが定期的に転送されてくる。したがって、情報表示装置側では、これらのデータに基づいて乗りかごの運転状態をリアルタイムで表示することができる。

[0004] ところが、例えば定格速度 (最高速度）が lOOOmZ分を超えるような超々高速エレベータでは、乗りかごが非常に早く各階床間を移動する。このため、エレベータ制御装置力も乗りかごへのデータ転送が乗りかごの速度に間に合わず、例えば乗りかごの位置が「50階」→「52階」→「54階」…と、つたように間欠的に表示されるなどの問題が生じる。

[0005] 従来、このようなエレベータの高速ィヒに起因する表示タイミングの遅れを解消するものとして、例えば特開平 6— 247654号公報が知られている。この公報では、乗りかごが階間中間位置を通過したときに、エレベータ制御装置側から表示切替え信号を発生することで、情報表示装置に対して各階床毎の表示切り替えを早めに指示するようにしている。

[0006] し力しながら、エレベータ制御装置側でタイミングを合わせる方法では限界がある。

このため、情報表示装置側で表示切替え信号を受けて表示を切替えるまでの間に、乗りかごがその表示対象となる階床を通過してしまう可能性がある。発明の開示

[0007] 上述したように、乗りかごが高速に走行する場合に、エレベータ制御装置から乗り力ごに転送されるデータに遅れが生じ、乗りかごの位置などが間欠的に表示されるなどの問題があった。この場合、例えばエレベータ制御装置のデータ伝送性能を上げれば、上記のような問題を解決することができる。し力しながら、性能改善に伴うコストがかかり、また、既存の制御装置を使用できなくなるデメリットがある。

[0008] 本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、データ伝送性能を改善しなくとも、常に乗りかごの運転状態を違和感なく表示することのできるエレベータの表示システム及び同システムに用いられる情報表示装置を提供することを目的とする。

[0009] 本発明のエレベータの表示システムは、乗りかごの運転を制御する制御装置と、この制御装置に伝送ケーブルを介して接続され、所定の場所で上記乗りかごの運転状態を表示する情報表示装置とからなる。

[0010] 上記制御装置は、上記乗りかごの運転状態を検出する運転状態検出手段と、上記乗りかごの運転に伴い、上記運転状態検出手段によって検出された上記乗りかごの運転状態に関するデータを上記伝送ケーブルを介して上記情報表示装置に転送するデータ転送手段とを備える。上記情報表示装置は、上記制御装置から転送されたデータを受信するデータ受信手段と、上記乗りかごの運転動作に同期させて、次に表示すべきデータを推測する表示推測手段と、上記データ受信手段によって受信されたデータまたは上記表示推測手段によって推測されたデータに基づいて上記乗り力ごの運転状態を表示する表示制御手段とを備える。

[0011] このような構成によれば、制御装置側で乗りかごの運転状態が検出されると、その乗りかごの運転状態に関するデータが伝送ケーブルを介して情報表示装置に転送される。その際、情報表示装置側において、上記乗りかごの運転動作に同期させて次に表示すべきデータを推測し、この推測データを使用して乗りかごの運転状態を表示することで、高速運転などによりデータ転送に遅れが生じていても、乗りかごの運転状態を違和感なく表示することができる。

[0012] また、上記表示システムにおいて、上記乗りかごの運転状態に関するデータには、上記乗りかごの運転速度および位置が含まれる。 [0013] このような構成によれば、乗りかごが各階床を移動する毎に、所定の場所にて当該乗りかごの運転速度および位置が表示される。

[0014] また、上記表示システムにお、て、上記表示推測手段は、上記乗りかごの運転開始時に所定の演算式に従って当該乗りかごの運転パターンを生成し、この運転パターンを用いてデータの推測処理を行う。

[0015] このような構成によれば、乗りかごの運転パターンを用いてデータの推測処理を行うことで、当該乗りかごの運転動作に同期させて次に表示すべきデータを正確に推柳』することができる。

[0016] また、上記表示システムにお、て、上記表示推測手段は、予め各走行距離毎に作成された複数の運転パターンを記憶したテーブルメモリを有し、このテーブルメモリから当該乗りかごの走行距離に対応した運転パターンを読み出し、この運転パターンを用いてデータの推測処理を行う。

[0017] このような構成によれば、乗りかごの運転パターンをその都度演算により求めなくとも、テーブルメモリから読み出すだけでデータ推測処理に使える。

[0018] また、上記表示システムにおいて、上記表示制御手段は、上記乗りかごが高速走行可能な区間を走行しているとき、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行う。

[0019] このような構成によれば、乗りかごが高速走行可能な区間を走行しているときに推測データを使用することで、その間に制御御装置力転送されるデータの遅れを補つて、乗りかごの運転状態を違和感なく表示することができる。

[0020] また、上記表示システムにお、て、上記表示制御手段は、上記乗りかごが所定の速度以上で走行している間、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行う。

[0021] このような構成によれば、乗りかごが所定の速度以上で走行しているときに推測データを使用することで、その間に制御御装置力転送されるデータの遅れを補って、乗りかごの運転状態を違和感なく表示することができる。

[0022] また、上記表示システムにお、て、上記表示判断手段は、上記受信手段によって受信されたデータと上記表示推測手段によって推測されたデータの誤差を求め、その誤差が所定値以上であった場合に上記推測データの使用を禁止し、上記受信手段によって受信されたデータを使用して表示処理を行う。

[0023] このような構成によれば、受信データ (制御装置から転送されたデータ）と推測データの誤差が所定値以上であった場合に上記推測データの使用を禁止することで、推測処理に異常が発生している場合での誤表示を防止できる。

[0024] また、上記表示システムにお、て、上記表示判断手段は、伝送異常が発生した場合に、上記受信手段によって受信されたデータの使用を禁止し、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行う。

[0025] このような構成によれば、伝送異常時に受信データつまり制御装置から転送されたデータの使用を禁止することで、伝送異常による誤表示を防止することができる。図面の簡単な説明

[0026] [図 1]図 1は、本発明の一実施形態に係るエレベータが適用される超高層ビルの一例を示す図である。

[図 2]図 2は、同実施形態におけるエレベータの概略構成を示す図である。

[図 3]図 3は、同実施形態におけるエレベータの乗りかご内に設けられた情報表示装置 31の画面構成の一例を示す図である。

[図 4]図 4は、同実施形態におけるエレベータ制御装置と情報表示装置からなるエレベータ表示システムの構成を示すブロック図である。

[図 5]図 5は、同実施形態における情報表示装置に設けられた運転パターンテープルの構成を示す図である。

[図 6]図 6は、同実施形態における情報表示装置に設けられた階高テーブルの構成を示す図である。

[図 7]図 7は、同実施形態における情報表示装置に設けられた表示推測部によって生成される運転パターンの一例を模式的に示した図である。

発明を実施するための最良の形態

[0027] 以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。

[0028] 図 1は本発明の一実施形態に係るエレベータが適用される超高層ビルの一例を示す図である。図 1の例では、 1階一 100階までの複数の階床を有する超高層ビル 11 が示されて、る。図中の 12はこの超高層ビル 11に設置されたエレベータの乗りかごである。

[0029] 乗りかご 12は、昇降路 13内を昇降動作し、乗客を目的の階床まで運ぶ。この場合、図 1のような超高層ビル 11では、例えば、乗りかご 12が走行を開始する階が 1階であり、 100階まで乗客を早く運ぶためには、中間階を飛ばして高速で運転することが行われる。このような場合では、 6階一 94階は高速区間、それ以外の 1階一 5階と 95 階一 100階は低速区間となる。

[0030] なお、上記高速区間、低速区間は、乗りかご 12が走行を開始する階がどの階である力により、変わってくるものである。

[0031] 6階一 94階の高速区間において、乗りかご 12は 6階と 94階以外の各階は停止せずに、 5階と 94階との間を定格速度 (最高速度)で高速走行する。上記定格速度は、例えば lOOOmZ分である。一方、 1階一 5階と 95階一 100階の低速区間において、乗りかご 12は各階床毎に停止する。

[0032] また、図中の 14は機械室であり、この機械室 14の中にエレベータの制御装置や駆動機構などが設置されている（図 2参照)。

[0033] 図 2はエレベータの概略構成を示す図である。図 2において、図 1と同じ部分には同一符号が付してある。

[0034] 超高層ビル 11の最上部に設けられた機械室 14には、エレベータ制御装置 (制御盤） 21、巻き上げ機 22、シーブ 23などが設置されている。エレベータ制御装置 21は、乗りかご 12の運転制御を行うものであり、汎用のコンピュータによって構成される。巻き上げ機 22は、エレベータ制御装置 21から出力される駆動制御信号によって駆動される。この巻き上げ機 22の駆動によりシーブ 23が回転し、このシーブ 23に卷回されたメインロープ 24を介して乗りかご 12がカウンタウェイト (釣り合い重り） 25と共につるべ式に昇降路 13内を昇降する。

[0035] ここで、乗りかご 12内に情報表示装置 31が設置されている。この情報表示装置 31 は、乗りかご 12の運転速度や位置などの運転状態を表示するものである。また、各階の乗り場 27や、監視員が待機しているエレベータの監視室 28にも同様の情報表示装置 32、 33が設置されている。これらの情報表示装置 31、 32、 33は伝送ケープル 26を介してエレベータ制御装置 21に接続されて、る。

[0036] エレベータ制御装置 21は、乗りかご 12の運転状態を検出し、そのデータを伝送ケ一ブル 26を介して情報表示装置 31、 32、 33にリアルタイムで転送する。情報表示装置 31、 32、 33は、エレベータ制御装置 21から転送されたデータを受信することにより、そのデータに含まれる乗りかご 12の運転速度や位置などを所定の形式で画面上に表示する。

[0037] また、情報表示装置 31、 32、 33は、高速運転時などエレベータ制御装置 21からの情報転送に遅れが生じる場合に、次に表示すべきデータを推測し、その推測したデータを表示する機能を備えて、る。

[0038] 以下では、上記各情報表示装置 31、 32、 33のうち、乗りかご 12内に設けられた情報表示装置 31について説明するが、その他の情報表示装置 32、 33についても同様である。

[0039] 図 3はエレベータの乗りかご 12内に設けられた情報表示装置 31の画面構成の一例を示す図である。

[0040] 情報表示装置 31は、乗りかご 12内において、乗客から見やすい場所、例えばドアの上部付近に設置されている。この情報表示装置 31の装置本体上には、例えば LC D (Liquid Crystal Display)からなる表示部 41一 43が設けられている。表示部 41は、乗りかご 12の現在位置（階床数)を表示する。表示部 42は、乗りかご 12の現在の運転速度を表示する。表示部 43は、乗りかご 12の走行方向を表示する。

[0041] なお、この情報表示装置 31の形状や画面の構成については特に図 3の例に限定されるものではなぐその他の構成であっても良い。また、ここでは乗りかご 12の運転速度、位置、走行方向を表示している力その他に、例えば異常発生のメッセージなどを表示するような構成であっても良い。

[0042] 図 4はエレベータ制御装置 21と情報表示装置 31からなるエレベータ表示システムの構成を示すブロック図である。

[0043] エレベータ制御装置 21は、運転状態検出部 51、データ転送部 52などを備える。

運転状態検出部 51は、乗りかご 12の運転速度、位置などを含む現在の運転状態を検出する。なお、乗りかご 12の運転速度は、例えば図 1に示す巻き上げ機 22の回転速度から求められる。また、乗りかご 12の位置は、例えば巻き上げ機 22の回転軸などに設けられた図示せぬパルスエンコーダから出力されるパルス数をカウントすることにより求められる。

[0044] データ転送部 52は、運転状態検出部 51によって検出された乗りかご 12の運転状態に関するデータを伝送ケーブル 26を介して情報表示装置 31に転送するための処理を行う。

[0045] また、このエレベータ制御装置 21は、乗りかご 12の運転開始と減速のタイミングを示す運転タイミング信号 S1を出力する機能、乗りかご 12が所定の速度以上で走行していることを示す高速走行信号 S2を出力する機能、伝送システムに異常が発生したことを示す伝送異常信号 S3を出力する機能などを備える。これらの信号 S1— S3は、それぞれ伝送ケーブル 26を介して情報表示装置 31に与えられる。

[0046] 一方、情報表示装置 31には、データ受信部 61、データ記憶部 62、表示推測部 63 、運転パターンテーブル 64、階高テーブル 65、表示制御部 66、そして、表示部 41 一 43が備えられている。

[0047] データ受信部 61は、エレベータ制御装置 21から送られてくる乗りかご 12の運転状態データを受信する。データ記憶部 62は、データ受信部 61にて受信されたデータを記憶する。このデータ記憶部 62は、特に一時的な伝送異常が発生した場合などにおいて、エレベータ制御装置 21からのデータをかご内表示データとして出力しないために設けられている。

[0048] 表示推測部 63は、乗りかご 12の運転動作に同期させて次に表示すべきデータを推測する処理を行う。運転パターンテーブル 64は、図 5に示すように、予め乗りかご 1 2の各走行距離毎に作成された複数の運転パターンを記憶したテーブルである。また、階高テーブル 65は、図 6に示すように、ビル 11の各階床間の階高情報を記憶したテープノレである。

[0049] 表示制御部 66は、エレベータ制御装置 21から転送されたデータまたは表示推測部 63によって推測されたデータをかご内表示データとして表示部 41一 43に与えるための処理を行う。

[0050] 表示部 41一 43は、表示制御部 66によって選択されたデータに基づいて、図 3に示したように、乗りかご 12内の所定の場所で乗りかご 12の位置や運転速度、走行方向などを所定の形式で表示する。

[0051] 次に、本発明の表示システムの動作について説明する。

[0052] 図 1に示すように、乗りかご 12がビル 11の 6階一 94階を高速運転している場合には、エレベータ制御装置 21からのデータ転送に遅れが生じる。このため、乗りかご 12 が各階床を通過するタイミングに間に合わず、乗りかご 12の位置（階床数)などが間欠的に表示されるなどの問題がある。

[0053] そこで、本発明の表示システムでは、このような問題を解決するために、情報表示装置 31側で次に表示すべきデータを推測し、その推測データを使用して乗りかご 12 の運転状態を表示することを特徴としてヽる。

[0054] 上記データの推測は、乗りかご 12の運転パターンを生成することで行われる。この運転パターンの生成方法として、次のような 2つの方法がある。

(a)実際の乗りかご 12の走行に合わせた運転パターンを生成する方法

(b)加速、減速などの各ポイントの信号を入力し、これらのポイントを結ぶ簡易な運転パターンを生成する方法

以下では、上記 (a)の方法にて運転パターンを生成する場合を想定して説明する。

[0055] 乗りかご 12の運転時において、エレベータ制御装置 21から乗りかご 12の運転開始と減速のタイミングを示す運転タイミング信号 S 1が情報表示装置 31に対して出力される。この運転タイミング信号 S1は、情報表示装置 31に設けられた表示推測部 63に入力される。表示推測部 63は、この運転タイミング信号 S1を入力することにより、乗り力ご 12が運転を開始してから目的の階床に到着するまでの運転パターン 71を所定の演算式に従って生成する。

[0056] 図 7は表示推測部 63によって生成される運転パターンの一例を模式的に示した図である。図中の 71がその運転パターンであり、 72はエレベータ制御装置 21から転送されてくるデータ（速度データ）を示して、る。

[0057] この運転パターン 71には、加速ジャーク期間（tO— tl)、加速期間（tl t2)、定速ジャーク期間 (t2-t3)、定速期間 (t3-t4)、減速ジャーク期間 (t4-t5)、減速期間（ t5-t6)、停止ジャーク期間（t6— 7)が含まれる。 [0058] なお、「ジャーク」とは予備動作のことである。特に、加速前に行われるジャークのことを「加速ジャーク」、定速前に行われるジャークのことを「定速ジャーク」、減速前に行われるジャークのことを「減速ジャーク」、運転停止前に行われるジャークのことを「停止定速ジャーク」と呼んで、る。単位は「mZs²」である。

[0059] ここで、運転速度に関する推測データは、上記運転パターン 71の演算式に従って以下のようにして求めることができる。

[0060] (1)まず、加速ジャーク期間（tO— tl)では、乗りかご 12は一定のジャーク Jで移動する。従って、そのときの速度 Vは、

V= (l/2) -J -t²

t :時間

で求められる。

[0061] (2)次に、ジャーク終了後の加速期間（tl t2)では、乗りかご 12は一定の加速度 aにて移動する。従って、そのときの速度 Vは、

V= a t+Vl

VI：ジャーク開始速度

で求められる。

[0062] (3)次に、定速ジャーク期間（t2— 3)では、乗りかご 12は一定のジャーク Jにて移動する。従って、そのときの速度 Vは、

V=VR- (l/2) -J - (t3-t2-t) ²

VR :定格速度

で求められる。

[0063] (4)次に、定速期間（t3-t4)では、乗りかご 12は定格速度 VRにて移動する。従つて、そのときの速度 Vは、

V=VR

で求められる。

[0064] (5)次に、減速ジャーク期間（t4 t5)では、乗りかご 12は一定のジャーク Jにて移動する。従って、そのときの速度 Vは、

V=VR- (l/2) -J -t² で求められる。

[0065] (6)次に、減速期間（t5— 6)では、乗りかご 12は一定の減速度 βにて移動する。

従って、そのときの速度 Vは、

V2 :減速ジャーク終了速度

で求められる。

[0066] (7)次に、停止ジャーク期間（t6— 7)では、乗りかご 12は一定のジャーク Jにて移動する。従って、そのときの速度 Vは、

V=V3-(l/2) -J-t²

V3：停止ジャーク開始速度

で求められる。

[0067] このように、運転パターン 71を参照することにより、乗りかご 12が各時点でどのような速度で走行しているのかを推測することができる。また、上記各時点の速度を積分し、その値を積算すれば、スタート地点力もの総走行距離が算出される。この総走行距離を階高テーブル 65に記憶された各階床間の階高情報と照らし合わせることで、乗りかご 12の位置（階床数)を求めることができる。

[0068] このようにして推測された速度や位置のデータは、表示制御部 66に与えられる。表示制御部 66では、データ受信部 61にて受信されたデータつまりエレベータ制御装置 21からの転送データと表示推測部 63によって得られた推測データとの整合性などを判断した後、上記転送データまたは上記推測データを選択的に使用して乗りかご 12の運転状態を表示する。

[0069] 具体的には、例えば図 1に示すように、乗りかご 12の 1回の走行距離が長い場合、つまり、乗りかご 12が高速区間（6階一 94階)を定格速度で走行しているときには、表示推測部 63を有効とし、この表示推測部 63によって推測されたデータを使用して乗りかご 12の運転状態を表示する。これにより、エレベータ制御装置 21から転送されるデータに遅れが生じても、上記推測データを用いて運転状態を違和感なく表示することができる。

[0070] 一方、乗りかご 12の 1回の走行距離が短い場合、つまり、乗りかご 12が低速区間（ 1階一 5階、 95階一 100階)を走行するときには、データ転送に遅れが生じることはない。したがって、この場合にはデータ受信部 61にて受信された転送データを使用して乗りかご 12の運転状態を表示する。乗りかご 12が現在のどの区間を走行しているのかは、乗りかご 12の運転時にエレベータ制御装置 21から情報表示装置 31に対して通知される。情報表示装置 31内の表示判断部 66では、この通知された走行区間に従って転送データまたは推測データの切り替えを行う。

[0071] また、このような走行区間による切り替え方法とは別に、図 7に示すように、乗りかご 12が所定速度 Vk以上で走行して、る間だけ、推測データを使用することでも良、。

[0072] 上記所定速度 Vkとは、エレベータ制御装置 21からのデータ転送に遅れが生じる可能性のある速度であり、高速運転時の定格速度 (最高速度）に近い値である。乗り力ご 12が所定速度 Vk以上で走行している場合、エレベータ制御装置 21から高速走行信号 S2が情報表示装置 31に対して出力される。情報表示装置 31内の表示判断部 66では、その高速走行信号 S2によって転送データまたは推測データの切り替えを行う。

[0073] また、上記表示制御部 66では、推測データと転送データとの誤差 Veを求める。その誤差 Veの値が所定値以上であった場合に、上記表示制御部 66では、表示推測部 63に異常が生じているものと判断し、そのときの推測データの使用を禁止して転送データだけを用いて表示を行う。これにより、異常時に推測データによって誤った表示を行ってしまうことを回避できる。この場合、転送データを使用するため、乗りかご 12の位置などが間欠的に表示されることになるが、誤った表示を行って乗客を混乱させるよりは良い。

[0074] また、何らかの原因でデータ伝送システムがダウンするなど、エレベータ制御装置 2 1によるデータ転送に異常を来した場合において、エレベータ制御装置 21から情報表示装置 31に対して伝送異常信号 S3が送信される。

[0075] 表示制御部 66は、この伝送異常信号 S3を受信すると、伝送異常が解除されるまでの間、転送データの使用を禁止し、推測データのみを使用して表示を行う。これにより、伝送異常時において、乗りかご 12内での表示が途絶えてしまう不具合を解消することがでさる。 [0076] なお、上記実施形態では、乗りかご 12の運転時に所定の演算式に従って運転バターンを生成するものとして説明したが、例えば図 5に示すように、各走行距離毎に作成された複数の運転パターンを記憶した運転パターンテーブル 64を用いて、この運転パターンテーブル 64の中から当該乗りかご 12の走行距離に対応した運転パターンを選択的に読み出し、この読み出した運転パターンを用いて上述したようなデータの推測処理を行うようにしても良、。

[0077] また、上記実施形態では、乗りかご 12内に設けられた情報表示装置 31を例にして説明したが、例えば図 2に示すように各階の乗り場 27に設けられた情報表示装置 32 や、エレベータの監視室 28に設けられた情報表示装置 33についても上記同様の手法を適用可能であり、それらの場所にて乗りかご 12の運転状態を違和感なく表示することがでさる。

[0078] また、エレベータには、通常の運転モードとは別に、例えば「救出運転」、「管制運転」といった特殊運転モードがある。特殊運転モードでは、乗りかご 12は通常運転モードよりも低速で走行する。そこで、通常運転モードと特殊運転モードに分けて、上記表示制御部 66にて転送データと推測データの切り替えを行うようにしても良い。この場合、通常運転モードでは推測データ、特殊運転モードでは転送データを使用して乗りかご 12の運転状態の表示を行うことになる。

[0079] なお、さらなる特徴及び変更は、当該技術分野の当業者には着想されるところである。それ故に、本発明はより広い観点に立つものであり、特定の詳細な及びここに開示された代表的な実施例に限定されるものではない。

[0080] 従って、添付された請求項に定義された広!、発明概念及びその均等物の解釈と範囲において、そこ力も離れること無ぐ種々の変更を行うことができる。

産業上の利用可能性

[0081] 本発明によれば、情報表示装置側に、乗りかごの運転動作に同期させて次に表示すべきデータを推測する機能を設けておくことで、高速運転などにより高速データ転送に遅れが生じる場合に、上記推測されたデータを用いて乗りかごの運転状態を違和感なく表示することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 乗りかごの運転を制御する制御装置と、この制御装置に伝送ケーブルを介して接続され、所定の場所で上記乗りかごの運転状態を表示する情報表示装置とからなるエレベータの表示システムであって、

上記制御装置は、

上記乗りかごの運転状態を検出する運転状態検出手段と、

上記乗りかごの運転に伴い、上記運転状態検出手段によって検出された上記乗りかごの運転状態に関するデータを上記伝送ケーブルを介して上記情報表示装置に転送するデータ転送手段とを備え、

上記情報表示装置は、

上記制御装置から転送されたデータを受信するデータ受信手段と、

上記乗りかごの運転動作に同期させて、次に表示すべきデータを推測する表示推測手段と、

上記データ受信手段によって受信されたデータまたは上記表示推測手段によって推測されたデータに基づいて上記乗りかごの運転状態を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータの表示システム。

[2] 上記乗りかごの運転状態に関するデータには、上記乗りかごの運転速度および位置が含まれていることを特徴とする請求項 1記載のエレベータの表示システム。

[3] 上記表示推測手段は、上記乗りかごの運転開始時に所定の演算式に従って当該乗りかごの運転パターンを生成し、この運転パターンを用いてデータの推測処理を行うことを特徴とする請求項 1記載のエレベータの表示システム。

[4] 上記表示推測手段は、予め各走行距離毎に作成された複数の運転パターンを記憶したテーブルメモリを有し、このテーブルメモリから当該乗りかごの走行距離に対応した運転パターンを読み出し、この運転パターンを用いてデータの推測処理を行うことを特徴とする請求項 1記載のエレベータの表示システム。

[5] 上記表示制御手段は、上記乗りかごが高速走行可能な区間を走行しているとき、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 1記載のエレベータの表示システム。

[6] 上記表示制御手段は、上記乗りかごが所定の速度以上で走行している間、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 1記載のエレベータの表示システム。

[7] 上記表示判断手段は、上記受信手段によって受信されたデータと上記表示推測手段によって推測されたデータの誤差を求め、その誤差が所定値以上であった場合に上記推測データの使用を禁止し、上記受信手段によって受信されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 1記載のエレベータの表示システム。

[8] 上記表示判断手段は、伝送異常が発生した場合に、上記受信手段によって受信されたデータの使用を禁止し、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 1記載のエレベータの表示システム。

[9] 乗りかごの運転を制御する制御装置に伝送ケーブルを介して接続され、所定の場所で上記乗りかごの運転状態を表示する情報表示装置であって、

上記制御装置力も上記乗りかごの運転状態に関するデータを上記伝送ケーブルを介して受信するデータ受信手段と、

上記データ受信手段によって受信されたデータまたは上記表示推測手段によって推測されたデータに基づいて上記乗りかごの運転状態を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする情報表示装置。

[10] 上記乗りかごの運転状態に関するデータには、上記乗りかごの運転速度および位置が含まれていることを特徴とする請求項 9記載の情報表示装置。

[11] 上記表示推測手段は、上記乗りかごの運転開始時に所定の演算式に従って運転パターンを生成し、この運転パターンを用いてデータの推測処理を行うことを特徴とする請求項 9記載の情報表示装置。

[12] 上記表示推測手段は、予め各走行距離毎に作成された複数の運転パターンを記憶したテーブルメモリを有し、このテーブルメモリから当該乗りかごの走行距離に対応した運転パターンを読み出し、この運転パターンを用いてデータの推測処理を行うことを特徴とする請求項 9記載の情報表示装置。

[13] 上記表示制御手段は、上記乗りかごが高速走行可能な区間を走行しているとき、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 9記載の情報表示装置。

[14] 上記表示制御手段は、上記乗りかごが所定の速度以上で走行している間、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 9記載の情報表示装置。

[15] 上記表示判断手段は、上記受信手段によって受信されたデータと上記表示推測手段によって推測されたデータの誤差を求め、その誤差が所定値以上であった場合に上記推測データの使用を禁止し、上記受信手段によって受信されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 9記載の情報表示装置。

[16] 上記表示判断手段は、伝送異常が発生した場合に、上記受信手段によって受信されたデータの使用を禁止し、上記表示推測手段によって推測されたデータを使用して表示処理を行うことを特徴とする請求項 9記載の情報表示装置。