明 細 書
エレベータの改造作業方法及びエレベータ 技術分野
[0001] 本発明は機械室に設置された既設の卷上機を新設の卷上機に交換'
タの改造作業方法及びエレベータに関するものである。
背景技術
[0002] 従来、エレベータは建物の屋上に機械室を設け、該機械室に卷上機及び制御盤 が配置されている。該卷上機のシーブにはロープが巻きつけてあり機械室下にある 昇降かご及び釣合鐘に固定されている。従来の該卷上機は比較的サイズが大きかつ たため、機械室内を広く占有していた。従って、既設の卷上機を交換する方法として は機械室内に十分なスペースが無力つたため、エレベータの運転を取りやめて、機 械室内の既設の卷上機を機械室内で分解して撤去し、新設の卷上機の部品を機械 室内に持ち込み機械室内で組み立てて配置する方法がとられてきた (例えば、特許 文献 1参照)。また、別の方法としては、エレベータを止めないために機械室下の昇 降力ごの移動する昇降路内の上部に仮設機械室を設け仮設の卷上機を配置し、そ の後に機械室内の既設の卷上機を機械室内で分解して撤去した後に新設の卷上機 を機械室内で組み立てて、仮設の卷上機及び仮設機械室を撤去するという方法がと られてきた (例えば、特許文献 2参照)。
[0003] 特許文献 1 :特開昭 61— 55079号公報
特許文献 2:特開昭 63 - 247288号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] し力しながら、特許文献 1に示されるようにエレベータを止めて機械室内の卷上機 を交換する方法では、既設の卷上機が大きいため機械室内で分解を行う必要があり 、長時間エレベータを連続停止させる必要があった。そのため、利用者に多大な不 便を強いるという問題があった。特に高層階利用者や、エレベータが 1機のみ設置さ れて 、るビルにあってはこれが顕著であった。
[0005] そこで、上記した特許文献 2に示されるように機械室の真下に仮設の機械室を設け た。
これにより、機械室内の既設の卷上機を撤去し、新設の卷上機を設置している間、 エレベータの完全な停止期間を短くすることができたが、複雑な工事を行う必要があ り、費用がかかるという問題があった。
[0006] 本発明は、上記従来技術における実情を鑑み、その目的は、分解して運び出さな ければならな 、ような手間の力かる既設の卷上機を、機械室力 分解して撤去しな 、 で新設の卷上機を設置するエレベータの改造作業方法及びエレベータを提供する ことを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007] 請求項 1の発明によれば、昇降路と機械室とを備え、該機械室に既設の卷上機が 設置され、該既設の卷上機を新設の卷上機に交換するエレベータの改造作業方法 において、既設の卷上機を機械室内に残したまま新設の卷上機を設置することによ りエレベータを改造作業する。新設の卷上機は空 、て 、る空間に設置することができ る。
[0008] 請求項 2の発明によれば、前記既設の卷上機を前記機械室内において移動し、前 記新設の卷上機を機械室内の所定の場所に設置してエレベータを改造作業する。 既設の卷上機は邪魔にならない程度に少し移動するだけで、既設の卷上機で用い ていたロープを通すための機械室と昇降路との連通孔を利用できるように新設の卷 上機を設置することができる。
[0009] 請求項 3の発明によれば、前記既設の卷上機のシーブ周辺部材を取り除き、当該 部分に新設の卷上機のシーブが配されるように該新設の卷上機を設置してエレべ一 タを改造作業する。既設の卷上機を移動することなぐ既設の卷上機のシーブ周辺 部材を取り除くことによって、既設の卷上機で用いていたロープを通すための機械室 と昇降路との連通孔を利用できるように新設の卷上機を設置することができる。
[0010] 請求項 4の発明によれば、前記新設の卷上機を前記機械室の壁に沿って設置して エレベータを改造作業する。既設の卷上機を移動することなぐ新設の卷上機を空い ている空間に邪魔にならない程度に機械室の壁に沿って設置することができる。
[0011] 請求項 5の発明によれば、ロービング方式を 1: 1ロービング方式から 2 : 1ロービング 方式に変更してエレベータを改造作業する。 1: 1ロービング方式から 2 : 1ロービング 方式に変更することによって、卷上機の駆動トルクは半分程度とすることができ、新設 の卷上機を更に小さくすることができる。
[0012] 請求項 6の発明によれば、前記新設の卷上機を昇降路内の昇降力ごの通路外の 隙間に設置してエレベータを改造作業する。既設の卷上機を移動することなぐ新設 の卷上機を空いている空間である昇降路内の昇降力ごの通路外の隙間に設置する ことができる。
[0013] 請求項 7の発明によれば、昇降路と機械室とを備え、該機械室に既設の卷上機が 設置されているエレベータにおいて、既設の卷上機を機械室内に残したまま新設の 卷上機を設置したエレベータである。新設の卷上機は空 、て 、る空間に設置するこ とがでさる。
[0014] 請求項 8の発明によれば、前記新設の卷上機の設置面積が、前記既設の卷上機 の設置面積よりも小さいエレベータである。既設の卷上機を機械室に残したままでも
、新設の卷上機を設置できる。
[0015] 請求項 9の発明によれば、前記新設の卷上機として回転軸垂直方向長さよりも回転 軸方向長さが短い薄型の卷上機を用いたエレベータである。既設の卷上機を機械室 に残したままでも、新設の卷上機を設置できる。
発明の効果
[0016] 以上説明したように、請求項 1の発明によれば、既設の卷上機を機械室に残したま ま新設の卷上機に交換できるので、卷上機交換のためにエレベータを使用できない 期間を短くできる。
[0017] 請求項 2の発明によれば、既設の卷上機は邪魔にならない程度に少し移動するだ けで、既設の卷上機で用いていたロープを通すための機械室と昇降路との連通孔を 利用でき、卷上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
[0018] 請求項 3の発明によれば、既設の卷上機のシーブ周辺部材を取り除くだけで、既 設の卷上機を移動することがな 、ので、卷上機交換のためにエレベータを使用でき ない期間を短くできる。
[0019] 請求項 4の発明によれば、新設の卷上機を空いている空間に設置でき、既設の卷 上機を移動することがな 、ので、卷上機交換のためにエレベータを使用できな 、期 間を短くできる。
[0020] 請求項 5の発明によれば、ロービング方式を変更することによって、新設の卷上機 のシーブ位置を既設の卷上機の使用時のシーブ位置に配置する必要が無くなり、新 設の卷上機の配置できる空間が増え、卷上機交換のためにエレベータを使用できな い期間を短くできる。
[0021] 請求項 6の発明によれば、新設の卷上機を空いている空間に設置でき、既設の卷 上機を移動することがな 、ので、卷上機交換のためにエレベータを使用できな 、期 間を短くできる。
[0022] 請求項 7の発明によれば、既設の卷上機を機械室に残したまま新設の卷上機を配 置するので、卷上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
[0023] 請求項 8の発明によれば、新設の卷上機が小型なので、空いている空間に容易に 配置できるので、卷上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
[0024] 請求項 9の発明によれば、新設の卷上機が薄型なので、空いている空間に容易に 配置できるので、卷上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。 発明を実施するための最良の形態
[0025] 図 1は本件発明に係るエレベータの改造作業方法及びエレベータを示す第 1実施 例の機械室内での上視図である。
図 1において 101は既設の卷上機である。該既設の卷上機 101の典型的な構造と しては機械室の下に壁を隔てて配置されている昇降路内の昇降かご 103 (点線で示 されている)を昇降するためのロープがシーブ 105に卷きつけられている。該シーブ 1 05は減速機 107を介してモータ 109により駆動され、ブレーキ 111により停止するよ うな構成となっている。該既設の卷上機 101を新設の卷上機 113に交換する際は、 該既設の卷上機 101が大きく重いため、機械室内で分解して運び出す必要があった 。しかし、本件発明においてはこのような手間を省くために前記既設の卷上機 101を 機械室内に新設の卷上機 113を配置する際に邪魔にならない空間へ移動して該既 設の卷上機 101を機械室内に残したまま新設の卷上機 113を所定の場所に配置す
る。このような配置方法をとることにより昇降かごと卷上機の間のロープを結ぶため、 既存の機械室と昇降路の間のロープを通すための連通孔を使用することができる。 また、卷上機だけを交換したい
場合でも該卷上機の交換方法をとることにより、既存のロープと既存の昇降力ごを再 使用することができる。前記既設の卷上機 101の移動手段としては、機械室内で使 用できる自走式ウィンチ(図示せず)で前記既設の卷上機 101を持ち上げて邪魔に ならない場所まで移動してもよいが、既設の卷上機が大型の場合、機械室の床面に 前記既設の卷上機 101を移動したい場所までレールを敷き該レールに卷上機を載 せるための台車を配置し、該台車にウィンチ等を用いて既設の卷上機 101を乗せて 移動する手段がある。また、既設の卷上機 101よりも上部に、前記既設の卷上機 101 の場所と該既設の卷上機 101を移動したい場所とを結ぶようにビームを張り、該ビー ムに沿って移動するウィンチを移動可能に固定して、該ウィンチによって前記既設の 卷上機 101を持ち上げて移動することもできる。
[0026] 図 2は本件発明に係るエレベータの改造作業方法及びエレベータを示す第 2実施 例の機械室内での上視図である。
図 2において 201は既設の卷上機である。 207は減速機、 209はモータ、 211はブ レーキである。該既設の卷上機 201はシーブ及びそのシーブに対して放射方向内 外周に配置されている回転軸等のシーブ周辺部材を取外す又は Z及び切り落とす 等により取り除き、既設の卷上機のシーブがあった当該部分に新設の卷上機のシー ブを対応させて配して、既設の卷上機 201を移動することなく残したまま、機械室と昇 降路の間のロープを通すための既存の連通孔を再利用して、新設の卷上機 213を 酉己置することができる。
従って、卷上機だけを交換したい場合でも、該卷上機の交換方法をとることにより、 既存のロープと既存の昇降かごを使用することができる。
[0027] 図 3及び図 4は本件発明に係るエレベータの改造作業方法及びエレベータを示す 。図 3は第 3実施例の機械室内での上視図であり、図 4は第 3実施例におけるエレべ ータの鉛直方向概略図である。
図 3において 301は既設の卷上機である。該既設の卷上機 301の典型的な構造と
しては昇降かご 303を昇降するためのロープがシーブ 305に卷きつけられている。該 シーブ 305は減速機 307を介してモータ 309により駆動され、ブレーキ 311により停 止するような構成となっている。しかし、短時間で卷上機の交換を行う必要がある等な んらかの理由で該既設の卷上機 301を実施例 1又は実施例 2の方法が取れない場 合には、既設の卷上機 301はそのままにして機械室内の空いている空間、例えば機 械室の壁面に沿って新設の卷上機 313を設置する。本実施例の場合は新設の卷上 機 313のシーブ 321に卷きつけてあるロープが機械室内の既存のそらせプーリを用 いずに直接機械室の床面に開けた機械室と昇降路を結ぶ連通孔を通り昇降路に垂 れるようになっている。従って、本実施例の場合は、新設の卷上機 313が配置された 床面の機械室と昇降路の間の壁に新たにロープを通すための連通孔が開けられて いる。
新設の卷上機 313のシーブ 321に卷きつけられているロープの一端は昇降路内で 錘用転向プーリ 331を介して昇降路の天井に固定されている。また、錘用転向プーリ 331には釣合錘 323が固定されている。さらに、ロープの他端は昇降かご 303の底 部に配置されている転向プーリ 335及び 336を介して昇降路の天井に固定されてい る。このような構成にすることにより、昇降路内の既存の昇降かご 303及び既存の釣 合睡 323を用いて容易に既設の卷上機 301を移動することなぐ空 、て 、る空間に 新設の卷上機 313を配置することができる。このように、従来の 1 : 1ロービング方式を 2 : 1ロービング方式への変更が可能である。
[0028] また、図 4において破線で示したように、新設の卷上機 313を昇降路内の頂上部で 、昇降力ごの通路外の隙間に設置することもできる。
[0029] 次に本発明の卷上機の交換方法において、新設の卷上機を配置するための空間 が十分に無い場合に用いる、シーブの回転軸垂直方向長さよりも回転軸方向長さが 短いコンパクトな新設の卷上機について図 5及び図 6を用いて説明する。
図 5、 6において、 11は図示していない昇降かごを昇降させる卷上機であり、この卷 上機 11は機械室内の取付けビーム等(図示せず)に取付けられた固定部材 12を有 する。この固定部材 12は直立した矩形の略板状を呈し、詳しくは、平板状の本体部 1 2aと、本体部 12aの下端力も一側に向力つて延びる補強リブ 12bとからなる形状を呈
している。
[0030] 15は固定部材 12 (本体部 12a)の一側面に複数のボルト 16によって固定された支 持部材であり、この支持部材 15は略有底円筒状を呈するとともに、一側面に一側に 向かって延びる複数本の柱部 17がー体形成された他側支持体 18と、柱部 17の一 端面に当接した状態で他側支持体 18の一側に配置されるとともに、複数のボルト 19 によって柱部 17 (他側支持体 18)に固定された鍔状の一側支持体 20とから構成され ている。
[0031] 23は前記支持部材 15を半径方向外側力も覆うよう配置された略円筒状のシーブ 本体であり、このシーブ本体 23の他端部には鍔状のブレーキディスク 24が外嵌され た状態でボルト 25により固定されている。前述したシーブ本体 23、ブレーキディスク 2 4は全体としてシーブ 26を構成する。前記シーブ本体 23の内周と前記他側、一側支 持体 18、 20の外周との間には一対の軸受 27が配置されており、この結果、シーブ 2 6は前述した支持部材 15および軸受 27を介して固定部材 12に回転可能に支持され ていることになる。このシーブ本体 23の外周には前記ケージに連結されたロープ(図 示していない)が巻き掛けられる複数の周溝 28が形成され、この結果、シーブ 26が 回転してロープが長手方向に走行すると、前記昇降かごは昇降する。
[0032] 29は前記シーブ 26に回転駆動力を付与することでシーブ 26を回転させる駆動モ ータであり、この駆動モータ 29は他側支持体 18の内周に取付けられコイル 30を有 するステータ 31と、ステータ 31の半径方向内側に配置されるとともに、後述する減速 機の入力軸が一体形成され、外周にボルト 32により取付けられた永久磁石 33を有 するロータ 34とから構成され、前記減速機の入力軸は軸方向に離れた一対の軸受 3 5を介して支持部材 15、詳しくは、他側、一側支持体 18、 20に回転可能に支持され ている。この結果、前述した駆動モータ 29は固定部材 12に支持部材 15を介して支 持されていること〖こなる。
[0033] 37は駆動モータ 29の一側で、かつ、シーブ本体 23の半径方向内側に設置された 減速機であり、この減速機 37は、シーブ本体 23内に遊嵌され該シーブ本体 23と同 軸である前述の入力軸 38と、シーブ本体 23の内周に取付けられたリング状の円筒 体 39と、入力軸 38と円筒体 39との間に介装され、外周が入力軸 38の外周および円
筒体 39の内周に圧接している回転体 40とから構成され、これら回転体 40は周方向 に等距離離れて複数配置されている。各回転体 40は円板状の円板部 40aと、円板 部 40aの両側面力もそれぞれ軸方向外側に突出し、該円板部 40aと同軸である軸部 40bと力 構成され、これら回転体 40は、軸部 40bと他側、一側支持体 18、 20との 間に軸受 43が介装されることで、支持部材 15に回転可能に支持されている。そして 、この減速機 37は、入力軸 38が駆動モータ 29から回転駆動力を受けてロータ 34と 一体回転すると、回転体 40が入力軸 38、円筒体 39に圧接しながら自転することで、 前記入力軸 38の回転を減速しながらシーブ 26に伝達する。
[0034] シーブ本体 23の他端部内周と他側支持体 18の外周との間にはオイルシール 46力 S 介装され、このオイルシール 46は減速機 37の潤滑油が外部に漏洩する事態を防止 するとともに、外部力 塵挨が減速機 37内に侵入する事態を防止している。 47は他 側支持体 18の内周と入力軸 38の外周との間に介装されたオイルシールであり、この オイルシール 47は減速機 37の潤滑油が駆動モータ 29側に漏洩する事態を防止し ている。 48はシーブ本体 23の一端面に複数のボルト 49によって固定された蓋であり 、この蓋 48は前記シーブ本体 23の一端開口を閉止している。そして、これらオイルシ ール 46、 47、蓋 48により密閉空間が形成される力 この密閉空間内には前述した減 速機 37の潤滑油が封入される。
[0035] 51は固定部材 12の中央部に取付けられたブラケットであり、このブラケット 51には 固定部材 12の他端面より内側に没入した位置検出器 52が取付けられている。この 位置検出器 52の回転部は前記入力軸 38に一体回転するよう連結されており、この 結果、該位置検出器 52は駆動モータ 29の回転速度と回転位置を検出することがで きる。
[0036] 前記固定部材 12の外縁部、ここでは上端部でその幅方向中央部には軸方向に貫 通した矩形の切り欠き 55が形成され、この結果、この切り欠き 55の幅方向両側には 上方に向力つて突出する矩形をした固定部材 12の突出部 56、 57が形成される。 58 はシーブ 26の半径方向外側に配置されるとともに、その一部(後述の可動体 65)が 切り欠き 55内に収納されたブレーキであり、このブレーキ 59は固定部材 12の幅方向 に延びる共用ブラケット 59を有し、この共用ブラケット 59の厚さ方向(軸方向)中央部
には前記ブレーキディスク 24が遊嵌された周方向に延びるブレーキ溝 60が形成さ れている。
[0037] また、前記共用ブラケット 59にはブレーキディスク 24の外周に沿って所定間隔離れ た複数個、ここでは 2個のブレーキユニット 61が取付けられている。前述した共用ブラ ケット 59およびブレーキユニット 61は全体として前記ブレーキ 58を構成する。そして 、前述のように固定部材 12の外縁部に切り欠き 55を形成するとともに、該切り欠き 55 内にブレーキ 58の一部を収納するようにしたので、固定部材 12とブレーキ 58の一部 とが軸方向に重なり合ってブレーキ 58近傍の軸方向長さが短縮され、これにより、卷 上機 11全体を薄型かつ小型化することができる。
[0038] 前述したブレーキユニット 61はそれぞれ共用ブラケット 59の一側に配置され内部 に図示して!/ヽな ヽスプリングおよび電磁石が収納されたブレーキ本体 64と、共用ブラ ケット 59の他側に配置された可動体 65と、入力軸 38に平行に延びるとともに共用ブ ラケット 59を貫通し、一端がブレーキ本体 64に、他端が可動体 65に固定されること でブレーキ本体 64と可動体 65とを連結する複数の連結ガイド 66とを有する。ここで、 連結ガイド 66が前述のように共用ブラケット 59を貫通しているので、ブレーキ本体 64 、可動体 65は一体となって連結ガイド 66にガイドされながら軸方向、即ちブレーキデ イスク 24の厚さ方向に移動することができる。
[0039] 69はブレーキ本体 64に軸方向に移動可能に支持されたブレーキシュ一であり、該 ブレーキシュ一 69の他側部は共用ブラケット 59に形成された図示していない貫通孔 に挿入されている。そして、前記ブレーキシュ一 69は、前記電磁石に対して通電され ているときには、スプリングを圧縮しながら該電磁石に吸着され、ブレーキディスク 24 力 離隔している力 前記電磁石に対する通電が遮断されると、電磁石の吸着力が 消失するため、スプリングにより他側に向力つて付勢され、その他側面がブレーキデ イスク 24の一側面に圧接される。
[0040] 71は前記ブレーキシュ一 69と同軸関係を保って可動体 65に取付けられたブレー キシュ一であり、該ブレーキシュ一 71の一側部は共用ブラケット 59に形成された図 示していない貫通孔に挿入されている。ここで、前述のように電磁石の吸着力が消失 してスプリングの付勢力によりブレーキシュ一 69がブレーキディスク 24に圧接される
と、スプリングの付勢力によりブレーキ本体 64、可動体 65、連結ガイド 66、ブレーキ シユー 71がー体となって一側に移動し、前記ブレーキシュ一 71の一側面がブレーキ ディスク 24の他側面に圧接される。この結果、ブレーキディスク 24はブレーキシュ一 69、 71によって両側から扶持され、該ブレーキディスク 24 (シーブ 26)に強力な制動 力が付与される。
[0041] 前記共用ブラケット 59の両端部は締結具としてのボルト 74、 75により固定部材 12 の突出部 56、 57にそれぞれ締結され、これにより、ブレーキ 58の周方向両端部 (長 手方向両端部)は固定部材 12に取付けられる。このようにブレーキ 58の周方向両端 部をそれぞれ切り欠き 55の両側に形成された固定部材 12の突出部 56、 57に締結 するようにすれば、シーブ 26に対して制動力を付与したとき、該制動力の反力によつ てブレーキ 58に発生する曲げモーメントを従来のものより抑制することができ、これに より、ブレーキ 58を固定部材 12に強固に取付けることができる。さらに、前記突出部 56、 57には、前述の取付けビーム等と平行に配置された別の取付けビーム等(図示 せず)に固定するための固定孔 56a、 57aが形成され、これにより、卷上機 11は取付 けビーム等(固定部)に強固に固定される。
[0042] ここで、前記固定部材 12の突出部 56、 57は軸線に垂直な同一平面上に位置して いるため、ボルト 74、 75によるブレーキ 58の周方向両端部と固定部材 12の突出部 5 6、 57との締結位置もともに軸線に垂直な同一平面上に配置されることとなりこの結 果、これら 2つの締結位置が従来技術のように軸方向に離れている場合に比較して、 装置全体を軸方向に短縮することができる。
[0043] 78は手動解除手段であり、この手動解除手段 78は、ブレーキ 58によってシーブ 2 6に制動力が付与されているが、点検作業等の理由により、シーブ 26に対する制動 を手動で解除するときに使用する。前記手動解除手段 78は逆 L字形をした 2個の解 除レバー 79を有し、これら解除レバー 79は、ブレーキ本体 64に固定されたピン 80が その下端部に挿入されることにより、ブレーキ本体 64にピン 80を中心として揺動でき るよう支持されている。
[0044] 83は前記ブレーキシュ一 69の一端に固定された帯板状の伝達セグメントであり、こ れらの伝達セグメント 83は前記解除レバー 79の一側面に当接している。そして、シ
ーブ 26に対する制動を手動で解除する場合には、解除レバー 79の上端部を上方に 引き上げて該解除レバー 79をピン 80を中心として一側に揺動させ、これにより、ブレ 一キシュ一 69をスプリングの付勢力に対抗して一側(ブレーキディスク 24から離隔す る側)に移動させる。前述した解除レバー 79、ピン 80、伝達セグメント 83は全体とし て、前記手動解除手段 78を構成する。
[0045] 86は複数のボルト 87によって固定部材 12に周方向に離れて取付けられた 2個の 外れ止め部材であり、各外れ止め部材 86は、その下端部がシーブ本体 23の外周近 傍まで延び、シーブ 26の回転時においてロープが周溝 28から外れる事態を防止し ている。また、前述のロープをシーブ本体 23から外したり巻き掛けるときには、ボルト 87を外して外れ止め部材 86を固定部材 12から取外す。
[0046] 次に、この発明の一実施形態の作用について説明する。
昇降かごを昇降させる場合には、駆動モータ 29のコイル 30に通電して永久磁石 3 3を有するロータ 34、入力軸 38を一体的に回転させる。これと同時に各ブレーキュ- ット 61の電磁石にも通電してブレーキシュ一 69をスプリングに対抗して一側に吸着 移動させる。これにより、ブレーキシュ一 69はブレーキディスク 24から離隔し、ブレー キ 58は駆動モータ 29を制動力も解除する。この結果、前記入力軸 38の回転はブレ ーキ 58から制動を受けることなく複数の回転体 40を介して円筒体 39、シーブ 26に 減速されながら伝達され、該シーブ 26を低速回転させる。この結果、シーブ 26の周 溝 28に巻き掛けられているロープが走行し、昇降かごが昇降する。
[0047] 次に、前記昇降かごの昇降を停止する場合には、コイル 30に対する通電を遮断し て駆動モータ 29の駆動を停止させるとともに、各ブレーキユニット 61の電磁石に対 する通電も遮断する。これにより、前記電磁石の吸着力が消失してブレーキシュ一 6 9はスプリングにより他側に付勢移動され、その他側面がブレーキディスク 24の一側 面に圧接される。その後、スプリングの付勢力によりブレーキ本体 64、可動体 65、連 結ガイド 66、ブレーキシュ一 71がー体となって連結ガイド 66にガイドされながら一側 に移動し、前記ブレーキシュ一 71の一側面がブレーキディスク 24の他側面に圧接さ れる。このようにしてブレーキディスク 24はブレーキシュ一 69、 71により両側力 扶持 され、これにより、該シーブ 26に強力な制動力が付与されて昇降力ごの昇降が停止
されるとともに、昇降停止後も該停止位置に昇降力ごは保持される。
[0048] なお、前述の実施形態においては、入力軸 38、回転体 40の外周および円筒体 39 の内周を、静音性の向上のために、凹凸のない円筒面としたが、この発明において は、入力軸、回転体の外周に外歯を、円筒体の内周に内歯を形成して、これらの歯 同士を嚙み合わせるようにしてもよい。また、前述の実施形態においては、駆動モー タ 29とシーブ 26との間に減速機 37を介装したが、この発明においては、駆動モータ によってシーブを直接駆動回転させるようにしてもよ!、。
[0049] さらに、前述の実施形態においては、ブレーキ 58を、シーブ 26に設けられたブレ ーキディスク 24をブレーキシュ一 69、 71によって両側から扶持することで制動するデ イスク型とした力 この発明においては、シーブの外周にブレーキシュ一を押し付ける ことで制動するドラム型としてもよい。また、前述の実施形態においては、ブレーキ 58 は 2個のブレーキユニット 61を有していた力 ブレーキユニットは 1個であっても、ある いは、 3個以上であってもよい。
産業上の利用可能性
[0050] エレベータの機械室に設置された既設の卷上機を容易に新設の卷上機に交換す ることがでさる。
図面の簡単な説明
[0051] [図 1]本件発明の第 1実施形態を示す上視図である。
[図 2]本件発明の第 2実施形態を示す上視図である。
[図 3]本件発明の第 3実施形態を示す上視図である。
[図 4]本件発明の第 3実施形態に力かるエレベータの鉛直方向概略図である。
[図 5]本件発明に使用することのできるの卷上機の正面図である。
[図 6]本件発明に使用することのできるの卷上機の A— A矢視断面図である。
符号の説明
[0052] 12 固定部材
15 支持部材
55 切欠き
56, 57 突出部
、 101、 201、 301 既設の卷上機3、 303 昇降かご
、 105、 305、 321 シーブ 、 107、 207、 307 減速機 、 109、 209、 309 モータ 、 111、 211、 311 ブレーキ3, 213, 313 新設の卷上機1 錘用転向プーリ
3 釣合錘
5、 337 転向ブージ