JP2005126166A - エレベータの改造作業方法及びエレベータ - Google Patents

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Abstract

【目的】本発明は、分解して運び出さなければならないような手間のかかる既設の巻上機を、機械室から分解して撤去しないで新設の巻上機を設置する方法及びエレベータを提供することを目的とする。
【解決手段】本件発明のエレベータの改造作業方法及びそのエレベータは、昇降路と機械室を備え、該機械室に巻上機が設置されているエレベータにおいて、所定の移動手段を用いて所定の場所へ移動するか、前記既設の巻上機101のシーブ部分を取り除くか、又は、前記新設の巻上機113を機械室内の空いている空間に配設し、前記新設の巻上機113として回転軸方向長さよりも回転軸垂直方向の長さが大きくなるような薄型の巻上機を用いたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は機械室に設置された既設の巻上機を新設の巻上機に交換するエレベータの改造作業方法及びエレベータに関するものである。
従来、エレベータは建物の屋上に機械室を設け、該機械室に巻上機及び制御盤が配置されている。該巻上機のシーブにはロープが巻きつけてあり機械室下にある昇降かご及び釣合鐘に固定されている。従来の該巻上機は比較的サイズが大きかったため、機械室内を広く占有していた。従って、既設の巻上機を交換する方法としては機械室内に十分なスペースが無かったため、エレベータの運転を取りやめて、機械室内の既設の巻上機を機械室内で分解して撤去し、新設の巻上機の部品を機械室内に持ち込み機械室内で組み立てて配置する方法がとられてきた(例えば、特許文献1参照)。また、別の方法としては、エレベータを止めないために機械室下の昇降かごの移動する昇降路内の上部に仮設機械室を設け仮設の巻上機を配置し、その後に機械室内の既設の巻上機を機械室内で分解して撤去した後に新設の巻上機を機械室内で組み立てて、仮設の巻上機及び仮設機械室を撤去するという方法がとられてきた(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−55079号公報 特開昭63−247288号公報
しかしながら、特許文献1に示されるようにエレベータを止めて機械室内の巻上機を交換する方法では、既設の巻上機が大きいため機械室内で分解を行う必要があり、長時間エレベータを連続停止させる必要があった。そのため、利用者に多大な不便を強いるという問題があった。特に高層階利用者や、エレベータが1機のみ設置されているビルにあってはこれが顕著であった。
そこで、上記した特許文献2に示されるように機械室の真下に仮設の機械室を設けた。これにより、機械室内の既設の巻上機を撤去し、新設の巻上機を設置している間、エレベータの完全な停止期間を短くすることができたが、複雑な工事を行う必要があり、費用がかかるという問題があった。
本発明は、上記従来技術における実情を鑑み、その目的は、分解して運び出さなければならないような手間のかかる既設の巻上機を、機械室から分解して撤去しないで新設の巻上機を設置するエレベータの改造作業方法及びエレベータを提供することを目的とする。
請求項1の発明によれば、昇降路と機械室とを備え、該機械室に既設の巻上機が設置され、該既設の巻上機を新設の巻上機に交換するエレベータの改造作業方法において、既設の巻上機を機械室内に残したまま新設の巻上機を設置することによりエレベータを改造作業する。新設の巻上機は空いている空間に設置することができる。
請求項2の発明によれば、前記既設の巻上機を前記機械室内において移動し、前記新設の巻上機を機械室内の所定の場所に設置してエレベータを改造作業する。既設の巻上機は邪魔にならない程度に少し移動するだけで、既設の巻上機で用いていたロープを通すための機械室と昇降路との連通孔を利用できるように新設の巻上機を設置することができる。
請求項3の発明によれば、前記既設の巻上機のシーブ周辺部材を取り除き、当該部分に新設の巻上機のシーブが配されるように該新設の巻上機を設置してエレベータを改造作業する。既設の巻上機を移動することなく、既設の巻上機のシーブ周辺部材を取り除くことによって、既設の巻上機で用いていたロープを通すための機械室と昇降路との連通孔を利用できるように新設の巻上機を設置することができる。
請求項4の発明によれば、前記新設の巻上機を前記機械室の壁に沿って設置してエレベータを改造作業する。既設の巻上機を移動することなく、新設の巻上機を空いている空間に邪魔にならない程度に機械室の壁に沿って設置することができる。
請求項5の発明によれば、ローピング方式を1:1ローピング方式から2:1ローピング方式に変更してエレベータを改造作業する。1:1ローピング方式から2:1ローピング方式に変更することによって、巻上機の駆動トルクは半分程度とすることができ、新設の巻上機を更に小さくすることができる。
請求項6の発明によれば、前記新設の巻上機を昇降路内の昇降かごの通路外の隙間に設置してエレベータを改造作業する。既設の巻上機を移動することなく、新設の巻上機を空いている空間である昇降路内の昇降かごの通路外の隙間に設置することができる。
請求項7の発明によれば、昇降路と機械室とを備え、該機械室に既設の巻上機が設置されているエレベータにおいて、既設の巻上機を機械室内に残したまま新設の巻上機を設置したエレベータである。新設の巻上機は空いている空間に設置することができる。
請求項8の発明によれば、前記新設の巻上機の設置面積が、前記既設の巻上機の設置面積よりも小さいエレベータである。既設の巻上機を機械室に残したままでも、新設の巻上機を設置できる。
請求項9の発明によれば、前記新設の巻上機として回転軸垂直方向長さよりも回転軸方向長さが短い薄型の巻上機を用いたエレベータである。既設の巻上機を機械室に残したままでも、新設の巻上機を設置できる。
以上説明したように、請求項1の発明によれば、既設の巻上機を機械室に残したまま新設の巻上機に交換できるので、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項2の発明によれば、既設の巻上機は邪魔にならない程度に少し移動するだけで、既設の巻上機で用いていたロープを通すための機械室と昇降路との連通孔を利用でき、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項3の発明によれば、既設の巻上機のシーブ周辺部材を取り除くだけで、既設の巻上機を移動することがないので、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項4の発明によれば、新設の巻上機を空いている空間に設置でき、既設の巻上機を移動することがないので、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項5の発明によれば、ローピング方式を変更することによって、新設の巻上機のシーブ位置を既設の巻上機の使用時のシーブ位置に配置する必要が無くなり、新設の巻上機の配置できる空間が増え、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項6の発明によれば、新設の巻上機を空いている空間に設置でき、既設の巻上機を移動することがないので、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項7の発明によれば、既設の巻上機を機械室に残したまま新設の巻上機を配置するので、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項8の発明によれば、新設の巻上機が小型なので、空いている空間に容易に配置できるので、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
請求項9の発明によれば、新設の巻上機が薄型なので、空いている空間に容易に配置できるので、巻上機交換のためにエレベータを使用できない期間を短くできる。
図1は本件発明に係るエレベータの改造作業方法及びエレベータを示す第1実施例の機械室内での上視図である。
図1において101は既設の巻上機である。該既設の巻上機101の典型的な構造としては機械室の下に壁を隔てて配置されている昇降路内の昇降かご103(点線で示されている)を昇降するためのロープがシーブ105に巻きつけられている。該シーブ105は減速機107を介してモータ109により駆動され、ブレーキ111により停止するような構成となっている。該既設の巻上機101を新設の巻上機113に交換する際は、該既設の巻上機101が大きく重いため、機械室内で分解して運び出す必要があった。しかし、本件発明においてはこのような手間を省くために前記既設の巻上機101を機械室内に新設の巻上機113を配置する際に邪魔にならない空間へ移動して該既設の巻上機101を機械室内に残したまま新設の巻上機113を所定の場所に配置する。このような配置方法をとることにより昇降かごと巻上機の間のロープを結ぶため、既存の機械室と昇降路の間のロープを通すための連通孔を使用することができる。また、巻上機だけを交換したい場合でも該巻上機の交換方法をとることにより、既存のロープと既存の昇降かごを再使用することができる。前記既設の巻上機101の移動手段としては、機械室内で使用できる自走式ウインチ(図示せず)で前記既設の巻上機101を持ち上げて邪魔にならない場所まで移動してもよいが、既設の巻上機が大型の場合、機械室の床面に前記既設の巻上機101を移動したい場所までレールを敷き該レールに巻上機を載せるための台車を配置し、該台車にウインチ等を用いて既設の巻上機101を乗せて移動する手段がある。また、既設の巻上機101よりも上部に、前記既設の巻上機101の場所と該既設の巻上機101を移動したい場所とを結ぶようにビームを張り、該ビームに沿って移動するウインチを移動可能に固定して、該ウインチによって前記既設の巻上機101を持ち上げて移動することもできる。
図2は本件発明に係るエレベータの改造作業方法及びエレベータを示す第2実施例の機械室内での上視図である。
図2において201は既設の巻上機である。207は減速機、209はモータ、211はブレーキである。該既設の巻上機201はシーブ及びそのシーブに対して放射方向内外周に配置されている回転軸等のシーブ周辺部材を取外す又は/及び切り落とす等により取り除き、既設の巻上機のシーブがあった当該部分に新設の巻上機のシーブを対応させて配して、既設の巻上機201を移動することなく残したまま、機械室と昇降路の間のロープを通すための既存の連通孔を再利用して、新設の巻上機213を配置することができる。従って、巻上機だけを交換したい場合でも、該巻上機の交換方法をとることにより、既存のロープと既存の昇降かごを使用することができる。
図3及び図4は本件発明に係るエレベータの改造作業方法及びエレベータを示す。図3は第3実施例の機械室内での上視図であり、図4は第3実施例におけるエレベータの鉛直方向概略図である。
図3において301は既設の巻上機である。該既設の巻上機301の典型的な構造としては昇降かご303を昇降するためのロープがシーブ305に巻きつけられている。該シーブ305は減速機307を介してモータ309により駆動され、ブレーキ311により停止するような構成となっている。しかし、短時間で巻上機の交換を行う必要がある等なんらかの理由で該既設の巻上機301を実施例1又は実施例2の方法が取れない場合には、既設の巻上機301はそのままにして機械室内の空いている空間、例えば機械室の壁面に沿って新設の巻上機313を設置する。本実施例の場合は新設の巻上機313のシーブ321に巻きつけてあるロープが機械室内の既存のそらせプーリを用いずに直接機械室の床面に開けた機械室と昇降路を結ぶ連通孔を通り昇降路に垂れるようになっている。従って、本実施例の場合は、新設の巻上機313が配置された床面の機械室と昇降路の間の壁に新たにロープを通すための連通孔が開けられている。
新設の巻上機313のシーブ321に巻きつけられているロープの一端は昇降路内で錘用転向プーリ331を介して昇降路の天井に固定されている。また、錘用転向プーリ331には釣合錘323が固定されている。さらに、ロープの他端は昇降かご303の底部に配置されている転向プーリ335及び336を介して昇降路の天井に固定されている。このような構成にすることにより、昇降路内の既存の昇降かご303及び既存の釣合睡323を用いて容易に既設の巻上機301を移動することなく、空いている空間に新設の巻上機313を配置することができる。このように、従来の1:1ローピング方式を2:1ローピング方式への変更が可能である。
また、図4において破線で示したように、新設の巻上機313を昇降路内の頂上部で、昇降かごの通路外の隙間に設置することもできる。
次に本発明の巻上機の交換方法において、新設の巻上機を配置するための空間が十分に無い場合に用いる、シーブの回転軸垂直方向長さよりも回転軸方向長さが短いコンパクトな新設の巻上機について図5及び図6を用いて説明する。
図5、6において、11は図示していない昇降かごを昇降させる巻上機であり、この巻上機11は機械室内の取付けビーム等(図示せず)に取付けられた固定部材12を有する。この固定部材12は直立した矩形の略板状を呈し、詳しくは、平板状の本体部12aと、本体部12aの下端から一側に向かって延びる補強リブ12bとからなる形状を呈している。
15は固定部材12(本体部12a)の一側面に複数のボルト16によって固定された支持部材であり、この支持部材15は略有底円筒状を呈するとともに、一側面に一側に向かって延びる複数本の柱部17が一体形成された他側支持体18と、柱部17の一端面に当接した状態で他側支持体18の一側に配置されるとともに、複数のボルト19によって柱部17(他側支持体18)に固定された鍔状の一側支持体20とから構成されている。
23は前記支持部材15を半径方向外側から覆うよう配置された略円筒状のシーブ本体であり、このシーブ本体23の他端部には鍔状のブレーキディスク24が外嵌された状態でボルト25により固定されている。前述したシーブ本体23、ブレーキディスク24は全体としてシーブ26を構成する。前記シーブ本体23の内周と前記他側、一側支持体18、20の外周との間には一対の軸受27が配置されており、この結果、シーブ26は前述した支持部材15および軸受27を介して固定部材12に回転可能に支持されていることになる。このシーブ本体23の外周には前記ケージに連結されたロープ(図示していない)が巻き掛けられる複数の周溝28が形成され、この結果、シーブ26が回転してロープが長手方向に走行すると、前記昇降かごは昇降する。
29は前記シーブ26に回転駆動力を付与することでシーブ26を回転させる駆動モータであり、この駆動モータ29は他側支持体18の内周に取付けられコイル30を有するステータ31と、ステータ31の半径方向内側に配置されるとともに、後述する減速機の入力軸が一体形成され、外周にボルト32により取付けられた永久磁石33を有するロータ34とから構成され、前記減速機の入力軸は軸方向に離れた一対の軸受35を介して支持部材15、詳しくは、他側、一側支持体18、20に回転可能に支持されている。この結果、前述した駆動モータ29は固定部材12に支持部材15を介して支持されていることになる。
37は駆動モータ29の一側で、かつ、シーブ本体23の半径方向内側に設置された減速機であり、この減速機37は、シーブ本体23内に遊嵌され該シーブ本体23と同軸である前述の入力軸38と、シーブ本体23の内周に取付けられたリング状の円筒体39と、入力軸38と円筒体39との間に介装され、外周が入力軸38の外周および円筒体39の内周に圧接している回転体40とから構成され、これら回転体40は周方向に等距離離れて複数配置されている。各回転体40は円板状の円板部40aと、円板部40aの両側面からそれぞれ軸方向外側に突出し、該円板部40aと同軸である軸部40bとから構成され、これら回転体40は、軸部40bと他側、一側支持体18、20との間に軸受43が介装されることで、支持部材15に回転可能に支持されている。そして、この減速機37は、入力軸38が駆動モータ29から回転駆動力を受けてロータ34と一体回転すると、回転体40が入力軸38、円筒体39に圧接しながら自転することで、前記入力軸38の回転を減速しながらシーブ26に伝達する。
シーブ本体23の他端部内周と他側支持体18の外周との間にはオイルシール46が介装され、このオイルシール46は減速機37の潤滑油が外部に漏洩する事態を防止するとともに、外部から塵挨が減速機37内に侵入する事態を防止している。47は他側支持体18の内周と入力軸38の外周との間に介装されたオイルシールであり、このオイルシール47は減速機37の潤滑油が駆動モータ29側に漏洩する事態を防止している。48はシーブ本体23の一端面に複数のボルト49によって固定された蓋であり、この蓋48は前記シーブ本体23の一端開口を閉止している。そして、これらオイルシール46、47、蓋48により密閉空間が形成されるが、この密閉空間内には前述した減速機37の潤滑油が封入される。
51は固定部材12の中央部に取付けられたブラケットであり、このブラケット51には固定部材12の他端面より内側に没入した位置検出器52が取付けられている。この位置検出器52の回転部は前記入力軸38に一体回転するよう連結されており、この結果、該位置検出器52は駆動モータ29の回転速度と回転位置を検出することができる。
前記固定部材12の外縁部、ここでは上端部でその幅方向中央部には軸方向に貫通した矩形の切り欠き55が形成され、この結果、この切り欠き55の幅方向両側には上方に向かって突出する矩形をした固定部材12の突出部56、57が形成される。58はシーブ26の半径方向外側に配置されるとともに、その一部(後述の可動体65)が切り欠き55内に収納されたブレーキであり、このブレーキ59は固定部材12の幅方向に延びる共用ブラケット59を有し、この共用ブラケット59の厚さ方向(軸方向)中央部には前記ブレーキディスク24が遊嵌された周方向に延びるブレーキ溝60が形成されている。
また、前記共用ブラケット59にはブレーキディスク24の外周に沿って所定間隔離れた複数個、ここでは2個のブレーキユニット61が取付けられている。前述した共用ブラケット59およびブレーキユニット61は全体として前記ブレーキ58を構成する。そして、前述のように固定部材12の外縁部に切り欠き55を形成するとともに、該切り欠き55内にブレーキ58の一部を収納するようにしたので、固定部材12とブレーキ58の一部とが軸方向に重なり合ってブレーキ58近傍の軸方向長さが短縮され、これにより、巻上機11全体を薄型かつ小型化することができる。
前述したブレーキユニット61はそれぞれ共用ブラケット59の一側に配置され内部に図示していないスプリングおよび電磁石が収納されたブレーキ本体64と、共用ブラケット59の他側に配置された可動体65と、入力軸38に平行に延びるとともに共用ブラケット59を貫通し、一端がブレーキ本体64に、他端が可動体65に固定されることでブレーキ本体64と可動体65とを連結する複数の連結ガイド66とを有する。ここで、連結ガイド66が前述のように共用ブラケット59を貫通しているので、ブレーキ本体64、可動体65は一体となって連結ガイド66にガイドされながら軸方向、即ちブレーキディスク24の厚さ方向に移動することができる。
69はブレーキ本体64に軸方向に移動可能に支持されたブレーキシューであり、該ブレーキシュー69の他側部は共用ブラケット59に形成された図示していない貫通孔に挿入されている。そして、前記ブレーキシュー69は、前記電磁石に対して通電されているときには、スプリングを圧縮しながら該電磁石に吸着され、ブレーキディスク24から離隔しているが、前記電磁石に対する通電が遮断されると、電磁石の吸着力が消失するため、スプリングにより他側に向かって付勢され、その他側面がブレーキディスク24の一側面に圧接される。
71は前記ブレーキシュー69と同軸関係を保って可動体65に取付けられたブレーキシューであり、該ブレーキシュー71の一側部は共用ブラケット59に形成された図示していない貫通孔に挿入されている。ここで、前述のように電磁石の吸着力が消失してスプリングの付勢力によりブレーキシュー69がブレーキディスク24に圧接されると、スプリングの付勢力によりブレーキ本体64、可動体65、連結ガイド66、ブレーキシュー71が一体となって一側に移動し、前記ブレーキシュー71の一側面がブレーキディスク24の他側面に圧接される。この結果、ブレーキディスク24はブレーキシュー69、71によって両側から扶持され、該ブレーキディスク24(シーブ26)に強力な制動力が付与される。
前記共用ブラケット59の両端部は締結具としてのボルト74、75により固定部材12の突出部56、57にそれぞれ締結され、これにより、ブレーキ58の周方向両端部(長手方向両端部)は固定部材12に取付けられる。このようにブレーキ58の周方向両端部をそれぞれ切り欠き55の両側に形成された固定部材12の突出部56、57に締結するようにすれば、シーブ26に対して制動力を付与したとき、該制動力の反力によってブレーキ58に発生する曲げモーメントを従来のものより抑制することができ、これにより、ブレーキ58を固定部材12に強固に取付けることができる。さらに、前記突出部56、57には、前述の取付けビーム等と平行に配置された別の取付けビーム等(図示せず)に固定するための固定孔56a、57aが形成され、これにより、巻上機11は取付けビーム等(固定部)に強固に固定される。
ここで、前記固定部材12の突出部56、57は軸線に垂直な同一平面上に位置しているため、ボルト74、75によるブレーキ58の周方向両端部と固定部材12の突出部56、57との締結位置もともに軸線に垂直な同一平面上に配置されることとなりこの結果、これら2つの締結位置が従来技術のように軸方向に離れている場合に比較して、装置全体を軸方向に短縮することができる。
78は手動解除手段であり、この手動解除手段78は、ブレーキ58によってシーブ26に制動力が付与されているが、点検作業等の理由により、シーブ26に対する制動を手動で解除するときに使用する。前記手動解除手段78は逆L字形をした2個の解除レバー79を有し、これら解除レバー79は、ブレーキ本体64に固定されたピン80がその下端部に挿入されることにより、ブレーキ本体64にピン80を中心として揺動できるよう支持されている。
83は前記ブレーキシュー69の一端に固定された帯板状の伝達セグメントであり、これらの伝達セグメント83は前記解除レバー79の一側面に当接している。そして、シーブ26に対する制動を手動で解除する場合には、解除レバー79の上端部を上方に引き上げて該解除レバー79をピン80を中心として一側に揺動させ、これにより、ブレーキシュー69をスプリングの付勢力に対抗して一側(ブレーキディスク24から離隔する側)に移動させる。前述した解除レバー79、ピン80、伝達セグメント83は全体として、前記手動解除手段78を構成する。
86は複数のボルト87によって固定部材12に周方向に離れて取付けられた2個の外れ止め部材であり、各外れ止め部材86は、その下端部がシーブ本体23の外周近傍まで延び、シーブ26の回転時においてロープが周溝28から外れる事態を防止している。また、前述のロープをシーブ本体23から外したり巻き掛けるときには、ボルト87を外して外れ止め部材86を固定部材12から取外す。
次に、この発明の一実施形態の作用について説明する。
昇降かごを昇降させる場合には、駆動モータ29のコイル30に通電して永久磁石33を有するロータ34、入力軸38を一体的に回転させる。これと同時に各ブレーキユニット61の電磁石にも通電してブレーキシュー69をスプリングに対抗して一側に吸着移動させる。これにより、ブレーキシュー69はブレーキディスク24から離隔し、ブレーキ58は駆動モータ29を制動から解除する。この結果、前記入力軸38の回転はブレーキ58から制動を受けることなく複数の回転体40を介して円筒体39、シーブ26に減速されながら伝達され、該シーブ26を低速回転させる。この結果、シーブ26の周溝28に巻き掛けられているロープが走行し、昇降かごが昇降する。
次に、前記昇降かごの昇降を停止する場合には、コイル30に対する通電を遮断して駆動モータ29の駆動を停止させるとともに、各ブレーキユニット61の電磁石に対する通電も遮断する。これにより、前記電磁石の吸着力が消失してブレーキシユー69はスプリングにより他側に付勢移動され、その他側面がブレーキディスク24の一側面に圧接される。その後、スプリングの付勢力によりブレーキ本体64、可動体65、連結ガイド66、ブレーキシュー71が一体となって連結ガイド66にガイドされながら一側に移動し、前記ブレーキシュー71の一側面がブレーキディスク24の他側面に圧接される。このようにしてブレーキディスク24はブレーキシュー69、71により両側から扶持され、これにより、該シーブ26に強力な制動力が付与されて昇降かごの昇降が停止されるとともに、昇降停止後も該停止位置に昇降かごは保持される。
なお、前述の実施形態においては、入力軸38、回転体40の外周および円筒体39の内周を、静音性の向上のために、凹凸のない円筒面としたが、この発明においては、入力軸、回転体の外周に外歯を、円筒体の内周に内歯を形成して、これらの歯同士を噛み合わせるようにしてもよい。また、前述の実施形態においては、駆動モータ29とシーブ26との間に減速機37を介装したが、この発明においては、駆動モータによってシーブを直接駆動回転させるようにしてもよい。
さらに、前述の実施形態においては、ブレーキ58を、シーブ26に設けられたブレーキディスク24をブレーキシュー69、71によって両側から扶持することで制動するディスク型としたが、この発明においては、シーブの外周にブレーキシューを押し付けることで制動するドラム型としてもよい。また、前述の実施形態においては、ブレーキ58は2個のブレーキユニット61を有していたが、ブレーキユニットは1個であっても、あるいは、3個以上であってもよい。
本件発明の第1実施形態を示す上視図である。 本件発明の第2実施形態を示す上視図である。 本件発明の第3実施形態を示す上視図である。 本件発明の第3実施形態にかかるエレベータの鉛直方向概略図である。 本件発明に使用することのできるの巻上機の正面図である。 本件発明に使用することのできるの巻上機のA−A矢視断面図である。
符号の説明
12 固定部材
15 支持部材
55 切欠き
56,57 突出部
11、101、201、301 既設の巻上機
103、303 昇降かご
26、105、305、321 シーブ
37、107、207、307 減速機
29、109、209、309 モータ
58、111、211、311 ブレーキ
113、213、313 新設の巻上機
331 錘用転向プーリ
323 釣合錘
335、337 転向プーリ

Claims (9)

  1. 昇降路と機械室とを備え、該機械室に既設の巻上機が設置され、該既設の巻上機を新設の巻上機に交換するエレベータの改造作業方法において、既設の巻上機を機械室内に残したまま新設の巻上機を設置したことを特徴とするエレベータの改造作業方法。
  2. 前記既設の巻上機を前記機械室内において移動し、前記新設の巻上機を機械室内の所定の場所に設置したことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの改造作業方法。
  3. 前記既設の巻上機のシーブ周辺部材を取り除き、当該部分に新設の巻上機のシーブが配されるように該新設の巻上機を設置したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの改造作業方法。
  4. 前記新設の巻上機を前記機械室の壁に沿って設置したことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの改造作業方法。
  5. ローピング方式を1:1ローピング方式から2:1ローピング方式に変更したことを特徴とする請求項4に記載のエレベータの改造作業方法。
  6. 前記新設の巻上機を昇降路内の昇降かごの通路外の隙間に設置したことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの改造作業方法。
  7. 昇降路と機械室とを備え、該機械室に既設の巻上機が設置されているエレベータにおいて、既設の巻上機を機械室内に残したまま新設の巻上機を設置したことを特徴とするエレベータ。
  8. 前記新設の巻上機の設置面積が、前記既設の巻上機の設置面積よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載のエレベータ。
  9. 前記新設の巻上機として回転軸垂直方向長さよりも回転軸方向長さが短い薄型の巻上機を用いたことを特徴とする請求項8に記載のエレベータ。
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