WO2005035755A1 - 核酸導入方法 - Google Patents

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Abstract

 エレクトロポレーション法により細胞に核酸を導入する方法であって、(A)電極の表面に核酸を担持させる工程;(B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および(C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程、からなる方法。本方法により、接着性細胞に障害を与えることなく、遺伝子を効率よく細胞に導入できるとともに、望ましい時期に望ましい位置で遺伝子を導入できる。

Description

明 細 書
核酸導入方法
技術分野
[0001] 本発明は核酸導入方法に関し、さらに詳しくは、エレクト口ポレーシヨン法により核酸 を細胞に導入する方法に関する
背景技術
[0002] 細胞への遺伝子導入方法は、遺伝子の機能や遺伝子にコードされているタンパク 質の性質を解明したり、組み換えタンパク質を多量に生産する場合に利用されてい る。また、細胞への遺伝子導入法は、 目的の酵素やサイト力インの遺伝子を患者の 細胞内に導入し、その遺伝子により体内に目的とする物質を生産させて疾患の治療 を行う場合にも利用されている。
[0003] ヒトゲノムの DNA塩基配列の解読がほぼ終了し多くの機能未知の遺伝子の存在が 予測され、今後、これらの新規ヒト遺伝子の機能解析が研究の大きなターゲットとなる 力 数万種類に及ぶ遺伝子の機能解析を行うには、網羅的かつ高速に遺伝子の過 剰発現やノックアウトできる手法が必要である。
[0004] 細胞内に遺伝子を導入する技術としては、生物学的手段、すなわちアデノウイルス 、レトロウイルス、レンチウィルス由来のウィルスベクターを利用する導入方法と、リポ フエクシヨン法(リボソーム法)、エレクト口ポレーシヨン法(電気穿孔法)、マイクロイン ジェクシヨン法、パーティクルガン法などの物理的手段を用いる導入方法とに大別さ れる。
[0005] これらのうち、ウィルスベクターを利用する方法は、遺伝子導入効率は高いが、ウイ ルスベクターの作製が煩雑である、安全性に問題があるなどの難点がある。リポフエ クシヨン法は、安全性は高いが、ウィルスを利用する方法に較べて、遺伝子導入効率 が低 、、細胞毒性が強 、などの難点がある。
[0006] マイクロインジェクション法、パーティクルガン法などの直接導入法は、細胞の障害 が大きぐ効率よく遺伝子を導入するための最適化条件の検討が煩雑であり、また技 術的操作に関しても特殊な技能や装置が必要であるなどの難点がある。 [0007] また、従来のエレクト口ポレーシヨン法は、遺伝子と細胞とを懸濁させた媒体を平行 板などの電極間に配置し、両電極間に電気パルスを印加して細胞の細胞膜に小孔 を生じさせ、それが修復される前に細胞外の遺伝子を細胞内に取り込ませる方法が とられていた (非特許文献 1、 2)。この方法は、遺伝子導入効率は高いものの、細胞 の障害が大きい、遺伝子導入する時期や場所を自由に選択し難いなどの難点がある
[0008] さらに、近年、遺伝子の機能を高速に解析するため、発現プラスミドをプリントしたガ ラス基板上で細胞を培養し、細胞に遺伝子をリポフエクシヨン法により導入するトラン スフエクショナルアレイが開発された (非特許文献 3)。この方法は、トランスフエクショ ンにリポフエクシヨン法を用いるものであるため、リポフエクシヨン法に起因する前記し た難点が依然として存在して 、る。
[0009] 一方、核酸やタンパク質などの生体分子を、その活性を維持した状態で基材表面 に固定化する方法として交互吸着法が報告されている (非特許文献 4)。この方法は 、基板上に電荷の異なる高分子を交互に吸着させ、静電的な相互作用(ポリイオンコ ンプレックス形成)により、逐次的に高分子薄膜を積層する方法であるが、遺伝子導 入法に適用された例は報告されて ヽな ヽ。
非特許文献 1 : ΕΜΒΟジャーナル、 1982年、第 1卷、 841— 845頁
非特許文献 2 :バイオエレクトロケミストリー アンド バイオエネルゲテイクス(Bioelect rochem. Bioenerg. ) 1999年、第 48卷、 3— 16頁
非特許文献 3 :ネイチヤー、 2001年、第 411卷、 107— 110頁
非特許文献 4 :バイオセンサーズ アンド バイオエレクトロニクス(Biosensors & B ioelectronics) , 1994年、第 9卷、 677— 684頁
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明の目的は、従来のエレクト口ポレーシヨン法の問題を解決した遺伝子導入方 法を提供するものであり、より具体的には、細胞に障害を与えることなぐ遺伝子を効 率よく細胞に導入するとともに、望まし 、時間に細胞集団内の望まし 、位置で遺伝子 導入を実施し得る方法を提供するものである。また、本発明の他の目的は、細胞の顕 微鏡観察にぉ ヽて良好な観察環境を提供できる電極基板を用いて、上記のような遺 伝子導入を実施し得る方法を提供するものである。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者らは、従来のエレクト口ポレーシヨン法による遺伝子導入方法を改良すベ く種々研究を重ねた結果、電極の表面に核酸を担持させ、得られた核酸担持電極の 表面に細胞を接着させ、ついで接着した細胞に電気パルスを印加すれば、細胞にさ ほど障害を与えることなぐ効率よく遺伝子を細胞に導入し得るとともに、所望の時期 にかつ所望の位置でエレクト口ポレーシヨンを実施し得ることを見出した。また、本発 明者らはさらに研究を重ねた結果、電極として透明半導体電極を用いれば、細胞の 顕微鏡観察が良好に実施し得ることを見出した。本発明者らは、上記のような知見に 基づいて、本発明を完成するに至った。
[0012] すなわち、本発明は、
(1) エレクト口ポレーシヨン法により細胞に核酸を導入する方法であって、
(A)電極の表面に核酸を担持させる工程;
(B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および
(C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程;
からなる方法、
(2) エレクト口ポレーシヨン法により細胞に核酸を導入する方法であって、
(a)カチオン性表面電極基板を提供する工程;
(b)該カチオン性表面電極基板の表面に核酸を吸着、担持させる工程;
(c)工程 (b)で得られた核酸担持電極基板の表面に細胞を接着させる工程;および
(d)該細胞に電気パルスを印加する工程;
からなる方法、
(3) カチオン性表面電極基板力 電極基板の表面に、末端にァ-オン性官能基を 有するチオール化合物、ジスルフイド化合物もしくはスルフイドィ匕合物の単分子膜が 形成されており、かつ該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチ オン性表面電極基板である前記(2)記載の方法、
(4) カチオン性表面電極基板力 電極基板の表面に、末端にカチオン性官能基を 有するチオール化合物、ジスルフイド化合物もしくはスルフイドィ匕合物またはシラン処 理剤の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にァニオン性高分子が 吸着され、さらにその表面にカチオン性高分子が吸着させてなるカチオン性表面電 極基板である前記(2)記載の方法、
(5) カチオン性表面電極基板が、透明電極基板の表面にカチオン性高分子を吸着 させてなるカチオン性表面電極基板である前記(2)記載の方法、
(6) 工程 (b)を、カチオン性表面電極基板の表面に直接核酸を 1回だけ吸着させる 力 あるいは該表面に核酸およびカチオン性高分子を、核酸、カチオン性高分子、 核酸の順序で交互吸着法により積層させることにより行う前記(2)記載の方法、
(7) 電極基板が、白金、金およびアルミニウムから選ばれる金属の電極基板である 前記(3)または (4)記載の方法、
(8) 電極基板が、金電極基板である前記(3)または (4)記載の方法、
(9) 金電極基板が、金蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である前記 (8)記載の方法、
(10) 透明電極基板が、インジウムースズ酸ィ匕物、酸化インジウム、アルミニウムをド ープした酸ィ匕亜鉛、アンチモンをドープした酸化スズを蒸着したガラス基板もしくは透 明プラスチック基板である前記(5)記載の方法、
(11) 透明電極基板が、インジゥムースズ酸ィ匕物を蒸着したガラス基板もしくは透明 プラスチック基板である前記(5)記載の方法、
(12) 末端にァ-オン性官能基を有するチオールィ匕合物が、式(1):
(1)
2 n
(式中、 R1はァ-オン性官能基を表し、 nは 1一 40の整数を表す。 )
で示されるチオール化合物である前記(3)記載の方法、
(13) R1がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基およびホスホン酸基力 選ばれ る基である前記(12)記載の方法、
(14) 式(1)で示されるチオール化合物力 11 メルカプトゥンデカン酸、 8 メルカ プトオクタン酸および 15 メルカプトへキサデカン酸カゝら選ばれるメルカプトアルカン 酸である前記( 12)記載の方法、 (15) カチオン性高分子力 ポリエチレンィミン、ポリアリルァミン、ポリビュルァミン、 ポリビュルピリジン、アミノアセタール化ポリビュルアルコール、 1一 4級ァミンを側鎖 末端に持つアクリル系またはメタクリル系ポリマー、酸処理ゼラチン、プロタミン、ポリリ ジン、ポリオル二チン、ポリアルギニン、キトサン、 DEAE—セルロース、 DEAE—デキ ストランおよびポリアミドアミンデンドリマーカ 選ばれる高分子である前記(3)、(4)ま たは(5)記載の方法、
(16) 末端にカチオン性官能基を有するチオールィ匕合物が、式 (2):
R2 (CH ) -SH (2)
2 n
(式中、 R2はカチオン性官能基を表し、 nは 1一 40の整数を表す。 )
で示されるチオール化合物である前記 (4)記載の方法、
(17) R2がァミノ基である前記(16)記載の方法、
(18) 核酸が DNA、 RNA、アンチセンス核酸、 siRNAまたはそれらの発現べクタ 一である前記(1)または(2)記載の方法、
(19) 核酸力タンパク質をコードする DNAまたはその一部である前記(1)または(2) 記載の方法、
(20) 工程 (B)を、核酸担持電極の表面で細胞を培養することにより行う前記(1)記 載の方法、
(21) 工程 (c)を、核酸担持電極基板の表面で細胞を培養することにより行う前記( 2)記載の方法、
(22) 工程 (C)を、細胞を介して電極基板に対畤して反対電極を設け、両電極間に 電気パルスを発生させることにより行う前記(1)記載の方法、
(23) 工程 (d)を、細胞を介して電極基板に対畤して反対電極を設け、両電極間に 電気パルスを発生させることにより行う前記(2)記載の方法、および
(24) カチオン性表面電極基板が、ミクロパターンィ匕表面をもつ基板である前記(2) 記載の方法、
である。
また、本発明は、
(25) 電極基板の表面に、末端にァ-オン性官能基を有するチオール化合物、ジス ルフイドィ匕合物もしくはスルフイド化合物の単分子膜が形成されており、かつ該単分 子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板、および ガラス基板上に金蒸着した金電極基板の表面に、式( :
2 n
(式中、 R1はァ-オン性官能基を表し、 nは 1一 40の整数を表す。 )
で示されるチオール化合物の単分子膜が形成されており、該単分子膜の表面にカチ オン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板、
である。
発明の効果
[0014] 本発明によれば、細胞に障害を与えることなぐ核酸を効率よく細胞に導入すること ができるとともに、望ましい時期に電極上の望ましい位置で細胞に導入することがで きる、エレクト口ポレーシヨン法による核酸導入方法が提供される。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]接着細胞への遺伝子導入を行うための核酸担持金電極基板ならびに該基板 への電気パルス負荷システムの配置図である。
[図 2]電気パルス(電場強度 75VZcm、パルス幅 10msec、パルス回数 1回)を印加 して力も 時間後の 細胞の位相差顕微鏡写真 および蛍光顕微鏡写 真( である。 スケールバー
[図 3]遺伝子導入効率に対する電場強度の効果を示す棒グラフである。
[図 4]細胞生存率と電場強度の関係の示す線図である。
[図 5]遺伝子導入効率に対するポリエチレンィミン、ポリアリルァミンの分子量の効果 を示す線図である。
[図 各種カチオン表面における の担持量を示す線図である。
[図 7]各種カチオン表面におけるパルス後の DNA遊離量を示す線図である。
[図 遺伝子導入効率と 遊離量の関係を示す相関図である。
[図 9]電気パルスを印加するまでの細胞培養期間を変化させたときの、電気パルス印 カロ 時間後の蛍光顕微鏡像 である。
[図 10]電気ノ ルスを印加するまでの細胞培養期間を変化させたときの、遺伝子導入 効率を示す線図である。
[図 11]初代神経培養細胞に遺伝子 (pEGFPおよび pDsRed混合物)を導入したとき の、電気パルス負荷カゝら 48時間後の位相差顕微鏡像 (左)および蛍光顕微鏡像 (中 、右)である。上段および下段の写真は、同一の条件下で遺伝子導入を行ったときの 異なる視野における観察像である。
[図 12]異なる遺伝子 (pEGFPまたは pDsRed)を、場所を限定して HEK293細胞に 導入したときの、電気パルス負荷から 48時間後の明視野顕微鏡像 (左)および蛍光 顕微鏡像 (右)である。
[図 13]積層数の異なる表面の ATR-赤外吸収スペクトルを示す線図である。
[図 14]積層数とリン酸基に由来する 2つのピーク面積との関係を示す線図である。
[図 15]積層数と表面の水接触角の関係を示す線図である。
[図 16]電気パルス(電場強度 250VZcm、パルス幅 10msec、パルス回数 1回)を印 カロして力も 48時間後の HEK293細胞の位相差顕微鏡写真 (A)および蛍光顕微鏡 写真 (B)である。
[図 17]遺伝子導入効率と細胞生存率に対する電場強度の効果を示す線図である。
[図 18]遺伝子導入効率と細胞生存率に対する積層数の効果を示す線図である。
[図 19]積層数の異なる表面における DNAの担持量を示す線図である。
[図 20]遺伝子導入効率と DNA遊離量の関係を示す相関図である。
[図 21]初代神経培養細胞に遺伝子 (pEGFPおよび pDsRed混合物)を導入したとき の、電気パルス負荷カゝら 48時間後の位相差顕微鏡像 (左)および蛍光顕微鏡像 (中 、右)である。上段および下段の写真は、同一の条件下で遺伝子導入を行ったときの 異なる視野における観察像である。
[図 22]異なる遺伝子 (pEGFP、 pDsRedもしくは両者の混合物)を、場所を限定して HEK293細胞に導入したときの、電気パルス負荷カゝら 48時間後の蛍光顕微鏡像で ある。
符号の説明
図 1における記号の意味は次の通りである。
A エレクト口ポレーター B エレクト口ポレーシヨンバッファー
C 細胞
D 核酸 -力チオン性高分子複合層
E 金薄膜電極 (陰極)
F 金電極(陽極)
G シリコーンスぺーサ
発明を実施するための最良の形態
[0017] 本発明の一側面は、エレクト口ポレーシヨン法により細胞に核酸を導入する方法で あって、
(A)電極の表面に核酸を担持させる工程;
(B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および
(C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程
力 なる方法である。
[0018] 以下、前記各工程について順次説明する。
工程 (A) :
電極に核酸を担持させるには、たとえば、
(A1)カチオン性表面電極基板を提供し、っ 、で該カチオン性表面電極基板の表面 に核酸を吸着させる方法、
(A2)カチオン性表面電極基板を提供し、っ 、で該カチオン性表面電極基板の表面 に核酸とカチオン性高分子とを交互に吸着させて、カチオン性高分子 核酸一力チォ ン性高分子 核酸のように多層を形成させる方法、
などを採用することができる。
[0019] (カチオン性表面電極基板の提供)
前記カチオン性表面電極基板は、電極基板の表面がプラスに荷電したものであれ ばよぐその様なものとしては、たとえば
(al)電極基板の表面に、末端にァ-オン性官能基を有するチオール化合物、ジス ルフイドィ匕合物もしくはスルフイド化合物の単分子膜が形成されており、かつ、該単分 子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板、 (a2)電極基板の表面に、末端にカチオン性官能基を有する、チオール化合物、ジス ルフイドィ匕合物もしくはスルフイド化合物またはシラン処理剤の単分子膜が形成され ており、かつ該単分子膜の表面にァニオン性高分子が吸着され、さらにその表面に カチオン性高分子が吸着させてなるカチオン性表面金属基板、
(a3)電極基板の表面に、カチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面金属 基板、
などがあげられる。
[0020] 前記 (al)のカチオン性表面電極基板は、たとえば、 1)電極基板の表面に、末端に ァ-オン性官能基を有するチオールィ匕合物、ジスルフイド化合物もしくはスルフイドィ匕 合物の単分子膜を形成させ、ついで 2)該単分子膜の表面にカチオン性高分子を吸 着させること〖こより製造できる。
[0021] また、前記 (a2)のカチオン性表面電極基板は、たとえば、 1)電極基板の表面に、 末端にカチオン性官能基を有する、チオール化合物、ジスルフイド化合物もしくはス ルフイドィ匕合物またはシラン処理剤の単分子膜を形成させ、 2)該単分子膜の表面に ァ-オン性高分子を吸着させ、っ 、で 3)該ァ-オン性高分子の表面にカチオン性 高分子を吸着させることにより製造できる。
さらに、前記 (a3)のカチオン性表面電極基板は、たとえば、電極基板の表面に力 チオン性高分子を吸着させることにより製造できる。
[0022] 電極基板における「基板」は、電極を支持するプレート、チップ (マイクロチップを含 む)、アレイなどであり、それらを構成する基材は、電極を支持し得る絶縁性のもので あればとくに制限がなぐたとえば、ガラス、マイ力、石英、アルミナ、サファイア、フォ ルステライト、炭化ケィ素、酸化ケィ素、窒化ケィ素などの無機絶縁材料、あるいはポ リエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリ エステル、含フッ素榭脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩ィ匕ビユリデン、ポリ酢酸ビュル、ポリ ビュルアルコール、ポリビュルァセタール、アクリル榭脂、ポリアクリロニトリル、ポリス チレン、ァセタール榭脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フエノール榭脂、ユリア榭脂、 エポキシ榭脂、メラミン榭脂、スチレン'アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタ ジエンスチレン共重合体、ポリフエ-レンオキサイド、ポリスルホンなどの有機絶縁材 料を用いることができる。
[0023] これらのうち、とくに前記(al)および (a2)のカチオン性表面電極基板における「基 板」の基材は、ガラス、マイ力、石英、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケ ィ素、酸化ケィ素、窒化ケィ素などの無機絶縁材料または透明プラスチックが好まし い。また、前記 (a3)のカチオン性表面電極基板における「基板」の基材は、ガラスま たは透明プラスチックが好ましぐガラスが特に好ましい。上記透明プラスチックは、自 家蛍光のな!、透明な高分子材料であれば特に限定されず、公知のものであってょ 、 。このような透明プラスチックとしては、例えば、上記した有機絶縁材料などが挙げら れるが、中でも好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
[0024] 一方、電極基板における「電極」は、エレクト口ポレーシヨン法における電極になりう るものであればとくに制限がなぐ白金、金、アルミニウムなどの金属力もなる電極が 好適にあげられる。また、細胞の顕微鏡観察を容易にするために透明電極も好適に あげられる。このような透明電極としては、インジウムースズ酸化物(ITO : In O -SnO
2 3
)、酸化インジウム(In O )、アルミニウムをドープした酸化亜鉛 (ZnO)、アンチモン
3 2 3
をドープした酸化スズ (SnO )などが好適にあげられ、特にインジゥムースズ酸ィ匕物が
3
好ましい。
[0025] 上記「基板」と「電極」とからなる電極基板の好ま 、例は、ガラス基板、プラスチック 基板もしくはマイ力基板の片面に、白金、金、アルミニウムなどの金属の電極あるいは 透明電極を設けたものがあげられ、前者のより好ましい例としては、ガラス基板、マイ 力基板または透明プラスチック基板の片面に金の電極を設けたものがあげられ、後 者のより好ましい例として、ガラス基板、透明プラスチック基板などの透明基板の片面 にインジウムースズ酸ィ匕物の透明電極を設けたものが挙げられる。
[0026] 基板の片面に電極を設けるには、公知の方法に従って行えばよぐたとえば上記金 属を無機絶縁基板上に加熱または Zおよび加圧などして合体させるなどの公知の手 段を用いる方法があげられる。また、前記方法以外に、真空蒸着法、スパッタリング法 、イオン注入法、メツキ法などもあげられる。
[0027] 電極基板の表面に単分子膜を形成させるのに用いる、末端にァ-オン性官能基を 有するチオールィ匕合物としては、たとえば、下記一般式(1): R' CCH ) -SH ( 1)
2 n
(式中、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるチオールィ匕合物があげられる。化合物(1)の好ましい例としては、ァ-ォ ン性官能基である R1がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基であ り、 nが 1一 40、好ましくは 7— 18のものがあげられる。
[0028] また、チオールィ匕合物(1)の代わりに、下記一般式(1A)または(1B):
R' CCH ) -S-S- (CH ) — R1 ( 1A)
2 n 2 m
R' CCH ) -S- (CH ) — R1 ( IB)
2 n 2 m
(上記式中、 R1および nは前記と同一意味を有し、 mは 1一 40の整数を表す) で示されるジスルフイドィ匕合物またはスルフイドィ匕合物を用いることもできる。該ジスル フイドィ匕合物またはスルフイドィ匕合物は対称型であっても、非対称型であってもよ 、が 、対称型のもののほうが、均一な単分子膜が形成される意味で好ましい。
[0029] 好ましい化合物(1)またはそのジスルフイドもしくはスルフイドィ匕合物の具体例として は、たとえば、 11 メルカプトゥンデカン酸、 8 メルカプトオクタン酸、 15 メルカプト へキサデカン酸、 10—カルボキシデシルジスルフイドなどがあげられる。
[0030] また、電極基板の表面に単分子膜を形成させるのに用いる、末端にカチオン性官 能基を有するチオールィ匕合物としては、たとえば、下記一般式 (2):
R2 (CH ) SH (2)
2 n
(式中、 R2はカチオン性官能基を表し、 nは前記と同一意味を有する)
で示されるチオールィ匕合物があげられる。 R2で示されるカチオン性官能基としては、 たとえばァミノ基があげられ、 nとしては、 1一 40、好ましくは 7— 18の整数があげられ る。
[0031] また、チオールィ匕合物(2)の代わりに、下記一般式(2A)または(2B):
R2 (CH ) -S-S- (CH ) -R2 (2A)
2 n 2 m
R2 (CH ) — S— (CH ) -R2 (2B)
2 n 2 m
(上記式中、 R2および nは前記と同一意味を有し、 mは 1一 40の整数を表す) で示されるジスルフイドィ匕合物またはスルフイドィ匕合物を用いることもできる。該ジスル フイドィ匕合物またはスルフイドィ匕合物は対称型であっても、非対称型であってもよ 、が 、対称型のもののほうが、均一な単分子膜が形成される意味で好ましい。 好ま 、化合物(2)またはそのジスルフイドもしくはスルフイドィ匕合物の具体例として は、たとえば、 11 アミノー 1ーゥンデカンチオールなどが好適にあげられる。
[0032] 電極基板の表面に単分子膜を形成させるのに用いる、末端にカチオン性官能基を 有するシラン処理剤としては、たとえば、下記一般式(3)
R2 (CH ) p-Si (OR) (3)
2 3
(式中、 R2は前記と同一意味を有し、 pは 1一 40の整数、 ORはアルコキシ基を表す) で示されるシラン化合物があげられる。 R2で示されるカチオン性官能基としては、たと えばアミノ基があげられ、 pとしては、 1一 40、好ましくは 7— 18の整数があげられ、 O Rとしては、炭素数が 1一 6、好ましくは 1一 3の低級アルコキシ基があげられる。
[0033] 電極基板の表面に単分子膜を形成させるには、常法にしたがって行えばよぐたと えば、電極基板をチオール化合物(式 1または 2)またはそのジスルフイドィ匕合物(式 1 Aまたは 2A)もしくはスルフイドィ匕合物(式 1Bまたは 2B)あるいはシラン処理剤 (3)の 溶液に浸漬することにより実施することができる。これにより、電極基板上に高密度、 高配向性な単分子膜が形成される。
[0034] チオール化合物として、末端にァニオン性官能基を有するチオールィヒ合物(1)ま たはそのジスルフイドもしくはスルフイドィ匕合物(1Aもしくは 1B)を用いた場合には、こ れら化合物の単分子膜の表面に、カチオン性高分子を吸着させることにより、前記 (a 1)のカチオン性表面電極基板が得られる。
[0035] ここで使用される「カチオン性高分子」は、電極基板の表面に形成された単分子膜 と電気的結合 (たとえばイオン結合)によって該単分子膜の表面に結合するカチオン 性の高分子であればよぐたとえば、ポリエチレンィミン、ポリアリルァミン、ポリビュル ァミン、ポリビュルピリジン、アミノアセタール化ポリビュルアルコール、 1一 4級ァミン を側鎖末端にもつアクリル系あるいはメタクリル系ポリマー(たとえば、ポリ , N—ジメ チルアミノエチルメタタリレートなど)、酸処理ゼラチン、ポリリジン、ポリオル-チン、ポ リアルギニン、プロタミン、キトサン、 DEAE セルロース、 DEAE—デキストラン、ポリ アミドアミンデンドリマー(力チォニックデンドリマー)などがあげられる。これらのうち、 とりわけポリエチレンィミンおよびポリアリルァミンが好ましい。 [0036] 前記カチオン性高分子の平均分子量は、 500— 5, 000, 000、好ましくは 600— 1 00, 000である。たとえば、ポリエチレンィミンの場合は、その平均分子量は 200— 2 5, 000力 子ましく、とりわけ 500— 10, 000力 子ましい。またポリアリノレアミンの場合 は、その平均分子量は 500— 150, 000、とりわけ 1, 000— 70, 000力 ^好ましい。
[0037] 単分子膜の表面にカチオン性高分子を吸着させるには、該単分子膜の表面にカチ オン性高分子の溶液を接触させることにより実施でき、たとえば、該単分子膜の表面 に、カチオン性高分子を適当な緩衝液 (たとえば、リン酸緩衝生理食塩水)に溶解し た溶液を添加し、室温で静置することにより好適に実施できる。カチオン性高分子溶 液の濃度は、特に限定されないが、 0. 1%— 10%であるのが好ましい。力べして、単 分子膜とカチオン性高分子とがイオン結合により吸着されて、前記 (al)のカチオン 性表面電極基板が提供される。
[0038] 一方、チオール化合物として、末端にカチオン性官能基を有するチオール化合物( 2)、そのジスルフイドもしくはスルフイド化合物(2Aもしくは 2B)を用いた場合、あるい は、シラン処理剤として末端にカチオン性官能基を有するシラン処理剤 (3)を用いた 場合には、これら化合物の単分子膜の表面に、まずァ-オン性高分子を吸着させる
[0039] ここで使用される「ァ-オン性高分子」は、電極基板の表面に形成された単分子膜 と電気的結合 (たとえばイオン結合)によって該単分子膜の表面に結合するァニオン 性の高分子であればよぐたとえば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンス ルホン酸、ポリ(2—アクリルアミドー 2—メチルプロパンスルホン酸)のような合成高分子 、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルカリ処理ゼラチンのような天然 高分子があげられる。
[0040] 単分子膜の表面にァニオン性高分子を吸着させるには、該単分子膜の表面にァニ オン性高分子の溶液を接触させることにより実施でき、たとえば、該単分子膜の表面 に、ァ-オン性高分子を適当な緩衝液 (例えば、リン酸緩衝生理食塩水)に溶解した 溶液を添加し、室温で静置することにより好適に実施できる。
[0041] ついで、吸着したァ-オン性高分子の表面に、カチオン性高分子を吸着させること により、前記 (a2)のカチオン性表面電極基板が得られる。ここで用いるカチオン性高 分子は前記と同一のものを使用でき、吸着処理も前記と同様に実施できる。
[0042] さらに、たとえば電極としてインジウムースズ酸ィ匕物、酸化インジウムなどの前記透明 電極を用いる場合には、電極基板の表面をカチオン性高分子で処理することにより、 カチオン性高分子が電極表面に吸着した前記 (a3)のカチオン性表面電極基板が得 られる。ここで用いるカチオン性高分子も前記と同一のものが使用でき、該カチオン 性高分子による処理は、電極基板の表面にカチオン性高分子の溶液を添加し、室温 で静置することにより好適に実施できる。
[0043] (カチオン性表面電極基板への核酸の担持)
前記で提供されたカチオン性表面電極基板の表面に核酸を担持させることにより、 核酸担持電極基板が得られる。
本発明で使用される「核酸」は、ポリヌクレオチドであっても、オリゴヌクレオチドであ つてもよく、また DNAでも RNAでもよい。 DNAの場合、プラスミド DNA、 cDNA、ゲ ノミック DNAあるいは合成 DNAであってもよい。「核酸」には、 DNA誘導体または R NA誘導体が含まれ、該誘導体とはホスホロチォエート結合を有する核酸、または酵 素による分解を避けるためにインターヌクレオチドのリン酸部分、糖部分、塩基部分 に化学修飾を施した核酸を意味する。
[0044] 「核酸」には、疾患症状の治療あるいは改善効果のある生理活性を有するタンパク 質をコードしているプラスミド DNA、または疾患症状の予防、治療あるいは改善効果 のある免疫反応を誘導するタンパク質をコードして 、るプラスミド DNA、ある 、はこれ ら DNAの一部を含む。
「核酸」にはまた、アンチセンス核酸も包含する。「アンチセンス核酸」は特定の mR NA分子の少なくとも一部に相補的な DNA分子または RNA分子であり、細胞内に 導入されることにより、対応する mRNAとハイブリダィズして二本鎖の分子を形成する 。細胞は二本鎖の mRNAを翻訳しないので、アンチセンス核酸は該 mRNAの翻訳 を干渉する。「核酸」には、さらに siRNA(RNA干渉を起こす短い二本鎖 RNA)を包 含する。さらに、「核酸」には、アンチセンス核酸や siRNAなどの発現ベクターを包含 する。
[0045] 核酸力 Sタンパク質をコードしているプラスミド DNAである場合、細胞内に導入された とき、コードする遺伝情報を細胞内で発現するように構成された形態が好ましぐプロ モータ等、目的遺伝子の発現に必要な要素を含有する。また、目的遺伝子が細胞内 に導入されたかどうかを確認する必要がある場合、目的遺伝子のほかにさらにレポ一 ター遺伝子を含んだ DNAでもよ ヽ。
[0046] 「核酸」のサイズは特に制限されないが、一般に、 lObp— 200kbp、好ましくは、 15 bp— lOOkbpである。
[0047] カチオン性表面電極基板の表面に核酸を吸着、担持させるには、カチオン性表面 電極基板の表面に、核酸の溶液を接触させることにより実施でき、たとえば該カチォ ン性表面電極基板の表面に、核酸を適当な緩衝液 (たとえば、リン酸緩衝生理食塩 水)に溶解した溶液を添加し、室温に放置することにより好適に実施できる。吸着しな い核酸は、カチオン性表面電極基板の表面を適当な緩衝液 (たとえば、リン酸緩衝 生理食塩水)で洗浄することにより除去できる。カゝくして、核酸担持電極基板が得られ る。
[0048] なお、カチオン性表面電極基板の表面に、核酸およびカチオン性高分子を、核酸 、カチオン性高分子、核酸の順序で交互吸着法により積層することによつても核酸担 持電極基板が得られる。ここで交互に実施される核酸の吸着およびカチオン性高分 子の吸着は、前記と同様にして実施することができる。
[0049] 工程 (B):
本工程は、上記で得られた核酸担持電極基板の表面に、細胞を接着させる工程で ある。
本発明で使用される「細胞」は、接着性のものであれば、どの生物由来の細胞 (たと えば、任意の種類の (たとえば、細菌、酵母)または多細胞生物 (たとえば、動物 (たと えば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物 (たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)など )でもよい。たとえば、脊椎動物(たとえば、メタラウナギ類、ャッメゥナギ類、軟骨魚類 、硬骨魚類、両性類、爬虫類、鳥類、哺乳動物など)由来の細胞でも用いられ、より 詳細には、哺乳動物 (たとえば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、肉食類 、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類な ど)由来の細胞が用いられる。 1つの実施形態では、霊長類 (たとえば、チンパンジー 、二ホンザル、ヒト)由来の細胞、とくにヒト由来の細胞が用いられる。ヒト由来細胞の 具体例としては、たとえば、ヒト子宫頸部癌細胞 (HeLa)などのヒト由来株化細胞;ヒト 胎児腎臓由来細胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞、ヒト血管内皮細胞、ヒト大動脈平滑筋細 胞、ヒト肝細胞、ヒト繊維芽細胞、ヒト角膜上皮細胞、ヒト角膜内皮細胞などのヒト由来 初代培養細胞;間葉系幹細胞、胚性幹細胞、神経幹細胞などのヒト由来幹細胞など があげられる。
[0050] 核酸担持電極基板の表面に細胞を接着させる方法は、特に制限されず、たとえば 、細胞の懸濁液を前記基板の上に添加するか、あるいは細胞を適当な培地に懸濁さ せ、得られた細胞懸濁液を前記基板上に滴下し、該細胞に適した条件下で培養する こと〖こより行うことができる。しかし、核酸を導入する細胞集団内の場所の限定および 導入の効率の観点からは、核酸担持電極基板上で細胞を培養して行うのが好ましく 、培養することにより細胞は増殖し、該基板の表面に接着する。接着しない細胞は、 電気パルスを印加する前に除いておくのが望ましい。非接着細胞の除去は、たとえ ば、培地を適当な緩衝液と交換することにより行うことができる。
[0051] 工程 (C):
細胞への電気パルスの印加は、表面に細胞が接着した核酸担持電極基板の電極 を一方の電極 (第 1電極と!/、う)とし、細胞を介して第 1電極と対畤して反対電極 (第 2 電極という)を設け、第 1電極と第 2電極の間で、適当なエレクト口ポレーターを用いて 電気パルスを発生させることにより行うことができる。この際、電気パルスは交流また は直流の 、ずれで発生させてもよ!、が、一般に直流で発生させるのが好ま U、。
[0052] 電気パルスを直流で発生させる場合には、核酸を担持した第 1電極を陰極 (一)とし たときには、第 2電極は陽極(+ )とする。あるいはその逆も可能である。好ましくは、 第 1電極を陰極 (-)とし、第 2電極を陽極(+ )とする。第 2電極の材質は、電導性のも のであればとくに限定されないが、たとえば金、白金、銅、アルミニウム、ステンレス、 タングステン、チタン、コバルト クロム合金、コバルト クロム モリブデン合金(パイタ リウム)などの金属、あるいは透明電極材料である ITO (インジゥムースズ酸ィ匕物)、酸 ィ匕インジウムなどがあげられる。
[0053] 電気パルスの条件は、電極材料の種類、細胞の種類、導入される核酸の種類、基 板上のカチオン性高分子の種類などにより、電場強度、電気パルスの長さ、パルス印 加の回数などを適宜選択すればよい。通常、電場強度は 10— 500VZcm、好ましく は 25— 300VZcmであり、電気パルスの長さは 1一 99msec、好ましくは 1一 50mse cであり、パルス印加の回数は 1一 99回、好ましくは 1一 5回である力 これらに限定さ れるものではない。
[0054] 電気パルスを印加する時期は、特に限定されず、適宜選択できる。すなわち、細胞 を核酸担持電極基板の上に播種後、培養し、該基板上に細胞を接着させてから、必 ずしもすぐに電気パルスを印加する必要はなぐ接着後望ましい時期、たとえば、細 胞の播種から約 4一 5 日以内であれば、自由に選択して電気ノ ルスを印加することが できる。この電気パルスの印加により、細胞中に核酸が効率よく導入される。
[0055] 上記本発明方法を実施するに当たって使用される核酸担持電極基板および電気 パルス負荷システムの配置図の一例を示せば、図 1の通りである。この図を用いて本 発明方法を説明すると、たとえばガラス基板の表面に金薄膜電極 (E)が設けられて おり、その上に核酸が担持された核酸一力チオン性高分子複合層 (D)が設けられて おり、さらにその表面に細胞 (C)が接着している。そして、この細胞はたとえばシリコ ーンスぺーサ(G)で区画化されており、ゥエル中にはエレクト口ポレーシヨンバッファ 一 (B)が充填されて 、る。シリコーンスぺーサ (G)の上には金薄膜電極 (E)と平行に 反対電極となる金電極 (F)が設けられて ヽる。金薄膜電極 (E)と金電極 (F)は電気 パルス発信装置であるエレクト口ポレーター (A)に接続されている。本例では、金薄 膜電極 (E)と金電極 (F)との間隔は 2mmに設定されており、ゥエル面積は 13 X 13m m2に設定されている。電気パルスの負荷は、金薄膜電極 (E)を陰極 (一)とし、金電 極 (F)を陽極( + )とし、エレクト口ポレーター (A)により電気パルスを発生させることに より、細胞 (C)中に核酸 (DNA)が導入される。
[0056] 本発明の別の側面として、上記核酸導入法を、ミクロパターンィ匕した表面を有する 基板を用いて実施することができる。ミクロパターンィ匕はそれ自体公知の方法によつ て行うことができ、たとえば、核酸を担持させる前のカチオン性表面電極基板の表面 を、適当な手段で区画ィ匕しておき、複数の異なった核酸をそれぞれ別個の区画に担 持させることによりミクロパターンィ匕された核酸担持電極基板とすることができる。また 、電極基板の表面を有機シランィ匕合物 (たとえば、ォクタデシルトリエトキシシラン)や アルカンチオールで処理してそれらの自己組織化単分子膜を形成させたのち、フォ トマスクを電極基板表面に固定し、紫外線照射し、ついで紫外線照射によって分解さ れた自己組織ィ匕単分子膜を除去することによるミクロパターン化された電極基板が得 られるので、力かる基板を用いれば核酸をアレイ状に配置することができる。したがつ て、上記のようなミクロパターン化された核酸担持金属基板あるいは電極基板を用い て本発明を実施すれば、核酸を導入する場所を限定することが可能である。
[0057] 以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実 施例によって限定されるものではない。
実施例 1
[0058] DNAを静電的に担持するためのカチオン性表面電極基板を作製した。まず、片面 に金薄膜を蒸着したガラス基板に、末端にカルボキシル基をもつチオールィ匕合物(1 1 メルカプトゥンデカン酸、シグマ社製)の単分子膜を形成させた。この単分子膜上 に、平均分子量 800のポリエチレンィミン(以下、 PEI800と表示、アルドリッチ社製) を 1%濃度で含むリン酸緩衝溶液 (PH7. 4)を添加し、 30分間、室温で静置した。得 られた基板の表面を十分に水洗し、窒素ガスで乾燥させ、カチオン性表面金電極基 板を得た。
[0059] 次に、上記で得られたカチオン性表面金電極基板の表面に、エタノールで殺菌し たシリコーンスぺーサ(内面積: 1. 3 X 1. 3cm2,高さ: 2mm)を圧着し、固定した。次 に、緑色蛍光タンパク質をコードするプラスミド DNA(pEGFP— Cl、クロンテック社製 )の 0. 05mgZmLリン酸緩衝生理食塩水(pH7. 4)を、シリコーンスぺーサ内の力 チオン性表面金電極基板の表面上に添加し、室温、 2時間放置して、表面に DNA を静電的に吸着、担持させた。吸着しなカゝつた DNAを除去するため、リン酸緩衝生 理食塩水で表面を十分に洗浄し、 DNA担持金電極基板を得た。
[0060] ヒト胎児腎臓由来細胞 (HEK293: (財)ヒューマンサイエンス財団より分譲)を血清 含有培地(培地組成:最小必須培地(MEM) (Gibco Life Technology)、 10% ゥシ胎児血清、 lOOunitZmlペニシリン、 0.
Figure imgf000019_0001
に懸濁さ せ、その懸濁液を DNA担持金電極基板の表面上に滴下した。これを 37°Cおよび 5 %COの雰囲気下で培養することで、細胞を表面に接着、成長させた。 24時間後、
2
培地を 4°Cのリン酸緩衝生理食塩水 (pH7. 4)と交換して非接着細胞を除去し、リン 酸緩衝生理食塩水を満たした後、片面に金薄膜を蒸着したガラス基板を第 2電極と してシリコーンスぺーサに固定した。それらの配置を図 1に示す。
[0061] 次に、 DNA担持金電極基板を陰極 (-)、他方を陽極(+ )として高電圧パルス発生 装置(Electrosquareporator T820、 ΒΤΧ社製)に接続し、電場強度 75VZcm、 パルス幅 10msec、印加回数 1回の条件で電気パルスを印加し、エレクト口ポレーショ ンを行った。ノ ルス印加後、室温で 5分間インキュベーションした後、ゥエル内のリン 酸緩衝生理食塩水をあら力じめ 37°Cに保温してあった血清含有培地で交換し、 37 °Cおよび 5%COの雰囲気下で細胞培養を行った。
2
[0062] エレクト口ポレーシヨン力も 48時間後に導入遺伝子の一過的発現の解析を行った。
方法は、蛍光顕微鏡下で緑色蛍光タンパク質 (EGFP)に起因する緑色蛍光を発す る細胞をカウントし、遺伝子導入効率を全細胞数当たりの EGFP陽性細胞数として算 出した。
[0063] 図 2にエレクト口ポレーシヨンから 48時間後の HEK293細胞の位相差顕微鏡像 (A )と蛍光顕微鏡像 (B)を示す。この図からわ力るように、基板表面上の細胞は障害を 受けることなく EGFPを発現しており、その EGFP陽性細胞率、すなわち遺伝子導入 効率は 80%であった。このことは、本発明の手法が効率的に遺伝子導入できる方法 であることを明確に示す。
実施例 2
[0064] 実施例 1と同様に、 DNA担持金電極基板上に HEK293細胞を播種し、接着させ た後、電気パルスを印加してエレクト口ポレーシヨンを行った。その際、電気パルスの 電圧を変化させ、遺伝子導入効率に対する電場強度の効果について検討した。な お、印加電圧以外のパルス印加条件は、実施例 1と同じ (パルス幅 10msec、パルス 回数 1回)とし、遺伝子導入効率は、電気パルス印カ卩から 48時間後の EGFP陽性細 胞率として評価した。結果は図 3の通りである。また同時に、細胞生存率に対する電 場強度の効果を検討した。細胞生存率は、電気パルス印加から 3時間後、細胞をトリ プシン処理で回収し、トリパンブルー色素排除法により評価した。すなわち、トリパン ブルーによって染色されな力つた細胞の数 (生細胞数)を求め、次式に従って生存率 を算出した。結果は図 4の通りである。
[数 1] 電気パルスを与えた後の生細胞数
生存率 (%) = X 1 0 0 播種細胞数
[0065] 図 3に示すように、電圧をカ卩えない場合では全く遺伝子導入が起こらな力つた。一 方、電圧を印加することにより遺伝子導入が確認された。明視野顕微鏡像から求め た電極上の全接着細胞数、ならびに、蛍光顕微鏡像から求めた蛍光タンパク質発現 細胞数を用いて、次式により遺伝子導入効率を算出した。
[数 2] 蛍光タンパク質の発現の見られた細胞数
遺伝子導入効率 (! ¾ ) = X 1 0 0 電極上に接着していた全細胞数
[0066] 電場強度 75VZcmで遺伝子導入効率は最も高ぐ 200VZcm以上になると導入 効率の著しい低下がみられた。また、図 4に示すように、トリパンブルー色素排除法に よるパルス印加後の細胞生存率は、電場強度 lOOVZcm以下において高い細胞生 存率を維持していたが、 150VZcm以上になると電気パルス印加のショックによる細 胞の剥離や細胞死がみられ、細胞への障害が顕著に認められた。電圧を加えなけ れば遺伝子導入が起こらない結果より、電気パルスにより電極表面からの DNAの剥 離、さらにそれに引き続く電気パルスによる細胞膜の不安定化、もしくは穿孔形成を 経て DNAを取り込んで!/、ることを示す。
実施例 3
[0067] 実施例 1と同様の方法で DNA担持金電極基板の上に HEK293細胞を播種し、接 着させた後、電気パルスを印力 U (電場強度 75VZcm、パルス幅 10msec、パルス回 数 1回)してエレクト口ポレーシヨンを行った。その際、固定化するカチオン性高分子 の分子量を変化させ、遺伝子導入効率に対するカチオン性高分子の分子量の効果 【こつ ヽて検討した。力チ才ン '性高分子 ίま、分子量 800、 25000および 750000のポ リエチレンィミン(ΡΕΙ800、 ΡΕΙ25000, ΡΕΙ750000と表示、 ヽずれもァノレドリツチ 社製)、ならびに分子量 15000および 70000のポジアジノレアミン塩酸塩(PAA1500 0, PAA70000と表示、いずれもアルドリッチ社)を使用した。
[0068] 図 5に遺伝子導入効率とポリエチレンィミン、ポリアリルァミンの分子量の関係を示 す。この図からわ力るように、ポリエチレンィミンの分子量が増加すると、遺伝子導入 効率は低下した。図 6に各表面に担持された DNAの量を示す。さらに、電気パルス( 電場強度 75VZcm、 ノ ルス幅 10msec、 ノ ルス回数 1回)を印加後、上清中に含ま れる DNA量をピコグリーンで測定することにより、表面力 遊離した DNA量を評価し た。その結果は図 7に示すとおりである。これらの図から明らかなように、高分子量に なるにつれて、 DNAの担持量は増加した力 電気パルス印加後の表面からの DNA 遊離量は極めて少な力つた。反対に、低分子量のポリエチレンィミン表面(PEI800) においては、 DNA担持量は少ないものの、電気パルスの印加によって、担持された DNAの約 30%が遊離した。
[0069] 各カチオン表面における遺伝子導入効率とパルス後に遊離した DNA量の関係を 図 8に示す。この図から明らかなように、遺伝子導入効率と DNA遊離量の間には正 の相関が認められた。この結果は、本発明において遺伝子導入効率は表面力もの D NAの遊離量に強く依存して ヽることを示唆する。
実施例 4
[0070] 実施例 1と同様の方法で DNA担持金電極基板上に HEK293細胞を播種し、接着 させた後、電気ノ ルスを印加しエレクト口ポレーシヨンを行った。その際、細胞播種時 から電気パルスを印加するまでの時期を変化させ、遺伝子導入効率に対する細胞培 養期間の効果について試験した。
[0071] 図 9に、細胞播種から 24、 48、 72時間の所定時間後に電気パルスを印加し、パル ス印加のときカゝら 48時間後の細胞の位相差顕微鏡像を示す。この図から細胞播種 力 24、 48、 72時間後のいずれの場合も、遺伝子が効率よく導入され発現している ことがわかる。また、図 10に、電気パルス印加時間と遺伝子導入効率 (%)との関係 を示す。この結果から、細胞播種から 12、 24、 48、 72時間後のいずれの場合も高い 遺伝子導入効率が保たれており、望ましい時間に接着細胞へ遺伝子を導入すること が可能であることがわかる。 実施例 5
[0072] (初代細胞での実証)
ラット胎児脳カゝら海馬を採取し、神経細胞を得た。この初代神経細胞に対し、実施 例 1と同様の方法で EGFPまたは赤色蛍光タンパク質 (DsRed)をコードするプラスミ ドの導入を行った。
すなわち、実施例 1と同様にして、カチオン性表面金電極基板 (カチオン性高分子 : PEI800)表面に、緑色蛍光タンパク質 (EGFP)および赤色蛍光タンパク質(DsRe d)をコードするプラスミド DNA (pEGFPおよび pDsRed、クロンテック社製)を担持さ せ、その表面上で前記初代神経細胞を 3日間培養し、電気パルス(125VZcm、 10 msec, ノ ルス回数 1回)を負荷した。電気ノ ルス負荷力ら 48時間後に導入遺伝子の 一過性解析を実施例 1と同様に行った。
[0073] (結果)
図 11に電気パルス負荷力 48時間後の位相差顕微鏡像 (左、 phase contrast) および蛍光顕微鏡像(中、右、 EGFP, DsRed)を示す。左図の顕微鏡像から見る限 り、エレクト口ポレーシヨンによる細胞障害は見られない。また中図および右図の蛍光 顕微鏡像から、 pEGFPおよび pDsRedの両遺伝子が細胞に導入され、それらの遺 伝子がコードしている蛍光タンパク EGFPおよび DsRedの発現した様子が確認でき る。また、この図から、本遺伝子導入方法により複数の遺伝子を効率よく細胞に導入 できることがわ力る。
[0074] 遺伝子導入効率は 20%であり、前記 HEK293細胞と同様に遺伝子導入を確認す ることができた。比較のため、従来の方法であるリポフエクシヨン法(下記比較例 1参照 )およびエレクト口ポレーシヨン法(下記比較例 2参照)により前記初代神経細胞に遺 伝子 (pEGFP/pDsRed)を導入したところ、遺伝子導入効率は 10— 20%と本発明 による手法と有意な差は認められな力つた。し力しながら、従来の方法では、細胞へ の障害が大きぐ多くの死細胞が認められた。そのときの死細胞率は 20— 30%であ つた。一方、本発明による遺伝子導入法では細胞障害は全くみられなかった。
[0075] (比較例 1)
採取した海馬神経細胞を 70— 80%のコンフルエンスになるように、ポリ L—リジンコ ートされた 24ゥエルプレートに播種し、リポフエクタミン (Lipofectamine) 2000 (イン ビトロジェン社製)を用いて遺伝子導入を行った。遺伝子 DNAは: g、リボフエタタミ ン 2000は 2 μ 1を使用した。リポフエクシヨン 2000と DNAは 50 μ 1の Opti—MEM (無 血清培地)にそれぞれ希釈した。両溶液を混合し、 20分室温放置した後、細胞に添 加しリポフエクシヨンを行った。リポフエクシヨンから 48時間後に EGFPの発現を蛍光 顕微鏡で確認した。上述のように、遺伝子導入効率は 10— 20%であった。
[0076] (比較例 2)
採取した海馬神経細胞を PBSで洗浄し、 1 X 106細胞 ZmLの細胞懸濁液を調製 した。その懸濁液 200 μ 1にプラスミド DNA (pEGFP) 15 μ gをカ卩ぇ混合した。この溶 液をエレクト口ポレーシヨンキュベットに注入し、 10分間、氷上に静置した。その後、 電場強度 625VZcm (電極間距離: 4mm)、パルス幅 10msec、パルス回数 1回の 条件でエレクト口ポレーシヨンを行った。処理後、 10分間、室温に放置した後、 PLLコ ート 60mm細胞培養皿に播種した。エレクト口ポレーシヨンから 48時間後に EGFPの 発現を蛍光顕微鏡で確認した。上述のように、遺伝子導入効率は 10— 20%であつ た。
実施例 6
[0077] 実施例 1と同様にして調製したカチオン性表面金電極基板の表面に、異なる遺伝 子(pEGFPまたは pDsRed)を、それぞれ電極上の直径 5mmの部位に限定して、用 手法により担持させた。以下実施例 1と同様にして、 DNA担持金電極基板の表面に HEK293細胞を接着、成長させ、播種 24時間後に非接着細胞を除去した後、電気 パルス(75VZcm、 10msec,パルス回数 1回)を負荷した。
[0078] 図 12に電気パルス負荷から 48時間後の位相差顕微鏡 (左)および蛍光顕微鏡像( 右)を示す。左図は、基板全体 (約 1. 5 X 1. 5cm2)を観察するために低倍率観察を 行った。細胞が基板表面に均一に接着していることがわかる。また右図は、 pEGFP および pDsRedの遺伝子を固定した領域についての蛍光を各々観察し、重ね合わ せ処理したものであり、各遺伝子の固定化領域において、その遺伝子産物に由来す る蛍光が観察できる。これらのことから、本発明方法は、場所を限定した遺伝子導入 が可能であることがわかる。 実施例 7
[0079] 片面にインジゥムースズ酸ィ匕物(以下、 ITOと表示する)を蒸着したガラス基板をブラ ズマ処理装置(大熊エンジニアリング製、形式: PA300AT)を用いて、酸素プラズマ 処理(出力 30W、圧力 5Pa)を室温で 5分間行うことで ITO表面を清浄ィ匕した。
[0080] 次に、平均分子量 800のポリエチレンィミン(以下、 PEI800と表示、アルドリッチ社 製)を 1%濃度で含むリン酸緩衝溶液 (PH7. 4)を ITO表面に添加し、 30分間、室温 で静置した。得られた基板の表面を十分に水洗し、窒素ガスで乾燥させ、カチオン性 表面 ITO電極基板を得た。次に、上記で得られたカチオン性表面 ITO電極基板の 表面に、エタノールで殺菌したシリコーンスぺーサ(内面積: 1. 3 X 1. 3cm2 ,高さ: 1 mm)を圧着し、固定した。次に、緑色蛍光タンパク質をコードするプラスミド DNA(p EGFP— Cl、クロンテック社製)の 0. 05mg/mLリン酸緩衝生理食塩水(pH7. 4)を 、シリコーンスぺーサ内のカチオン性表面 ITO電極基板の表面上に添カ卩し、室温、 3 0分間放置して、表面に DNAを静電的に吸着、担持させた。吸着しなかった DNAを 除去するため、リン酸緩衝生理食塩水で表面を十分に洗浄した。以後、同様にして P EI800と DNAとを交互に吸着させることで積層を繰り返した後、リン酸緩衝生理食塩 水で表面を十分に洗浄し、 DNA担持透明電極基板を得た。
[0081] 以下、未処理の ITO電極基板を積層数 0とし、 PEIと DNAの吸着回数を積層数と して示した。すなわち、 PEI800— DNA— PEI800の表面では、積層数は 3と示した。 PEI800と DNAを交互に吸着積層させた ITO電極基板表面の元素組成を X線光電 子分光分析法 (XPS)で測定した。その結果を表 1に示す。
[表 1]
(単位:パーセント) 積層数 C N 0 P I n S n
0 8 . 9 0 7 0 . 5 0 1 7 . 9 2 . 7
1 1 9 . 7 9 . 3 5 5 . 5 0 1 3 . 5 2 . 1
2 3 5 . 4 1 5 . 9 3 8 . 2 3 . 5 5 . 9 1 - 1
3 4 3 . 3 1 8 - 2 3 0 . 1 3 - 2 4 . 5 0 . 7 7
4 4 8 . 3 1 6 . 8 2 7 . 8 4 - 7 1 . 9 0 . 4 5
5 5 2 . 2 2 2 . 3 2 0 . 9 3 . 7 0 . 7 5 0 . 1 9
6 4 8 . 3 2 0 . 7 2 6 . 7 3 . 8 0 . 4 9 0 . 0 6
7 5 5 . 8 2 2 1 8 . 7 3 . 5 0 . 0 1 0
[0082] 上記表 1から分力るように、 PEI800の吸着によって Nが検出され、 DNAの吸着に より Pが検出された。また、積層数が増加するとともに、基材の ITOに由来する Inと Sn の存在比が減少した。これらの結果は、 ITO電極基板表面上に PEI800と DNAが存 在すること、積層によってその膜厚が増加して 、ることを示す。
[0083] 図 13には PEI800と DNAを交互に吸着積層させた ITO電極基板表面の ATR— IR スペクトルを示す。 1065、 1230cm— 1の 2つの吸収は DNAの骨格を構成するリン酸 基に由来するものである。図 13からわ力るように、積層数が増加すると、それらの吸 収は増加した。図 14は、これら 2つのピーク面積を積層数に対してプロットしたもので ある。積層数の増加によって、ピーク面積は直線的に増加した。この結果は、積層数 の増加によって、 ITO基板表面への DNAの担持量が増加していることを示す。
[0084] 次に、 PEI800と DNAを交互に吸着させたときの ITO電極基板表面の水接触角測 定を行い、表面の濡れ性の変化を調査した。図 15にその結果を示す。最表面が PEI 800のときの水接触角は約 45度であり、最表面が DNAのときは約 32度であった。図 15からわかるように、最表面の種類に応じて、接触角が変化した。この結果は、 PEI8 00と DNAの交互積層膜が ITO電極基板表面に形成されて!、ることを示す。 PEI80 0を 1層吸着させた表面では、その接触角がその後の PEI800表面と比べて低いこと から、 PEI800が ITO表面を完全に覆っておらず、基材の ITO表面が部分的に露出 していると考えられる。
実施例 8 [0085] 実施例 7に従って作製した DNA担持 ITO電極基板上で細胞へのエレクト口ポレー シヨンを行った。まず、ヒト胎児腎臓由来細胞 (ΗΕΚ293 : (財)ヒューマンサイエンス 財団より分譲)を血清含有培地 (培地組成:最小必須培地 (MEM) (Gibco Life T echnology) , 10%ゥシ胎児血清、 lOOunitZmlペニシリン、 0. lmgZmlストレプト マイシン)に懸濁させ、その懸濁液を DNA担持透明電極基板 (積層数 5、基材:ポリ エチレンテレフタレート(PET) )の表面上に滴下した。これを 37°Cおよび 5%COの
2 雰囲気下で培養することで、細胞を表面に接着、成長させた。 24時間後、培地を 4 °Cのリン酸緩衝生理食塩水 (pH7. 4)と交換して非接着細胞を除去し、リン酸緩衝生 理食塩水を満たした後、片面に金薄膜を蒸着したガラス基板を第 2電極としてシリコ 一ンスぺーサに固定した。それらの配置を図 1 (但し、本実施例では、記号 Eは ITO 電極である)に示す。
[0086] 次に、 DNA担持透明電極基板を陰極 (-)、他方を陽極(+ )として高電圧パルス発 生装置(Electrosquareporator T820、 ΒΤΧ社製)に接続し、電場強度 250VZc m、パルス幅 10msec、印加回数 1回の条件で電気パルスを印加し、エレクト口ポレー シヨンを行った。パルス印加後、室温で 5分間インキュベーションした後、ゥエル内のリ ン酸緩衝生理食塩水をあら力じめ 37°Cに保温してあった血清含有培地で交換し、 3 7°Cおよび 5%COの雰囲気下で細胞培養を行った。
2
[0087] エレクト口ポレーシヨン力も 48時間後に導入遺伝子の一過的発現の解析を行った。
方法は、蛍光顕微鏡下で緑色蛍光タンパク質 (EGFP)に起因する緑色蛍光を発す る細胞をカウントし、遺伝子導入効率を全細胞数当たりの EGFP陽性細胞数として算 出した。
[0088] 図 16にエレクト口ポレーシヨンから 48時間後の HEK293細胞の位相差顕微鏡像( A)と蛍光顕微鏡像 (B)を示す。この図からわ力るように、基板表面上の約 70%の細 胞が EGFPを発現していた。このことは、本発明の手法が効率的に遺伝子導入でき る方法であることを明確に示す。また、細胞の明視野、蛍光観察において、非常に鮮 明で明るい像が得られた (基材としてガラスを用いた場合)。このことは、透明電極を 用いることで細胞の観察が非常に良好に実施できることを示す。
実施例 9 [0089] 実施例 8と同様に、 DNA担持透明電極基板 (積層数 5、基材: PET)上に HEK29 3細胞を播種し、接着させた後、電気ノ ルスを印加してエレクト口ポレーシヨンを行つ た。その際、電気パルスの電圧を変化させ、遺伝子導入効率に対する電場強度の効 果について検討した。なお、印加電圧以外のパルス印加条件は、実施例 8と同じ (パ ルス幅 10msec、パルス回数 1回)とし、遺伝子導入効率は、電気パルス印加から 48 時間後の EGFP陽性細胞率として評価した。また同時に、細胞生存率に対する電場 強度の効果を検討した。細胞生存率は、電気パルス印力!]から 48時間後、細胞をトリ プシン処理で回収し、トリパンブルー色素排除法により評価した。すなわち、トリパン ブルーによって染色されな力つた細胞の数 (生細胞数)を求め、電気パルスを印加し ていないコントロールの生細胞数に対する割合を算出した。以下に細胞生存率の計 算式を示す。
[数 3] パルス印加から 4 8時間後の生細胞数
細胞生存率 (%) = X 1 0 0 パルス印加なしで 4 8時間培養後の生細胞数
[0090] 結果は図 17の通りである。図 17に示すように、電圧を加えない場合では全く遺伝 子導入が起こらなカゝつた。一方、電圧を印加することにより遺伝子導入が確認された 。トリパンブルー色素排除法により求めた電極上の全生細胞数、ならびに、蛍光顕微 鏡像から求めた蛍光タンパク質発現細胞数を用いて、次式により遺伝子導入効率を 算出した。
画 蛍光夕ンパク質発現細胞数
遺伝子導入効率 (%) = X 1 0 0
全生細胞数
[0091] 電場強度を増加することで、遺伝子導入効率は直線的に上昇した。 300VZcm以 上になると導入効率はプラトーに達し、約 80%の遺伝子導入効率が得られた。一方 、トリパンブルー色素排除法によるパルス印加後の細胞生存率は、電場強度 250V Zcm以下において良好な細胞生存率を維持していた力 300VZcm以上になると 電気パルス印加のショックによる細胞の剥離や細胞死が顕著に認められた。電圧を 加えなければ遺伝子導入が起こらない結果より、電気パルスによる電極表面からの D NAの剥離、さらに電気ノ ルスによる細胞膜の不安定ィ匕による穿孔の形成が同時に 起こり、その穿孔を通じて剥離した DNAを取り込んでいることを示す。
実施例 10
[0092] 実施例 8と同様の方法で DNA担持 ITO電極基板 (積層数 5、基材: PET)の上に H EK293細胞を播種し、接着させた後、電気パルスを印カロ(電場強度 250VZcm、パ ルス幅 10msec、パルス回数 1回)してエレクト口ポレーシヨンを行った。その際、 PEI8 00と DNAの積層数を変化させ、遺伝子導入効率に対する積層数の効果につ!ヽて 検討した。
[0093] 図 18に遺伝子導入効率と積層数の関係を示す。この図からゎカゝるように、積層数 が増加すると、細胞生存率を維持しながら遺伝子導入効率は増加した。図 19には、 各積層数の表面に担持された DNAの量を示す。積層数が多くになるにつれて、 DN Aの担持量は増加した。
[0094] 次に、電気パルス(電場強度 200— 300VZcm、パルス幅 10msec、ノ レス回数 1 回)を印加後、上清中に含まれる DNA量を蛍光染料であるピコグリーン (モレキユラ 一プローブ社製)で測定することにより、表面から遊離した DNA量を評価した。図 20 に、各条件における遺伝子導入効率とパルス後に遊離した DNA量の関係を示す。 積層数の増加により、パルス印加後の DNA遊離量は増加した。電気ノ ルスの印加 により、担持された DNAの約 10— 30%が遊離した。この図から明らかなように、遺伝 子導入効率と DNA遊離量の間には正の相関が認められた。この結果は、本発明に ぉ 、て遺伝子導入効率は表面力 の DNAの遊離量に依存して 、ることを示唆する 実施例 11
[0095] (初代細胞での実証)
ラット胎児脳カゝら海馬を採取し、神経細胞を得た。この初代神経細胞に対し、実施 例 8と同様の方法で EGFPと赤色蛍光タンパク質 (DsRed)をそれぞれコードする 2種 類のプラスミドの導入を行った。
すなわち、実施例 8と同様にして、緑色蛍光タンパク質 (EGFP)および赤色蛍光タ ンパク質(DsRed)をコードするプラスミド DNA(pEGFPおよび pDsRed、クロンテツ ク社製)を担持させた透明電極基板 (積層数 5、電極: ITO、基材:ガラス)表面上で、 前記初代神経細胞を 3日間培養し、電気パルス(200VZcm、 10msec,パルス回 数 1回)を負荷した。電気ノ ルス負荷力も 48時間後に導入遺伝子の一過性解析を実 施例 8と同様に行った。
[0096] (結果)
図 21に電気パルス負荷力も 48時間後の位相差顕微鏡像 (左、 phase contrast)お よび蛍光顕微鏡像(中、右、 EGFP, DsRed)を示す。左図の顕微鏡像から見る限り 、エレクト口ポレーシヨンによる細胞障害は見られない。また中図および右図の蛍光顕 微鏡像から、 pEGFPおよび pDsRedの両遺伝子が細胞に導入され、それらの遺伝 子がコードしている蛍光タンパク EGFPおよび DsRedの発現した様子が確認できる。 また、この図から、本遺伝子導入方法により複数の遺伝子を効率よく同一細胞に導 入できることがわ力る。さらにこの結果は、細胞播種から 3日間の培養期間後にエレク トロポレーシヨンを実施した場合でも、効率よく遺伝子導入できることを示している。こ のことより、本手法は遺伝子導入のタイミングを任意に設定することが可能であること がわかった。
実施例 12
[0097] (ITO電極基板表面への核酸のアレイ化とエレクト口ポレーシヨン)
ITO電極基板 (基材:ガラス)の表面を酸素プラズマ処理により清浄ィ匕した。次に、 I TO電極基板をォクタデシルトリエトキシシラン (LS— 6970、信越ィ匕学)の 1%トルエン 溶液に浸漬し、室温で 2時間静置した。その後、電極基板をトルエンとエタノールで 十分に洗浄した後、 80°Cで 12時間静置した。次に、石英ガラスにクロムパターンを 蒸着したフォトマスクを電極基板表面上に重ねて固定し、室温で 1時間紫外線を照射 した。マスクを取り外した後、基板をエタノールで洗浄し、紫外線照射によって分解さ れた有機シラン層を除去した。この操作によって、疎水性の有機シラン単分子層の領 域と親水性の ITO表面の露出した領域力もなるパターンィ匕表面が作製できる。
[0098] 作製したパターンィ匕 ITO電極基板 (ITOが露出した丸スポット:直径 lmm、 10 X 1 0点)の ITOスポット表面に、 PEI800とプラスミド DNA (pEGFP、 pDsRed、もしくは 両者の混合物)とを、それぞれ電極上の部位を限定して、用手法により交互に吸着 担持させた (積層数 5)。以下実施例 8と同様にして、 DNA担持透明電極基板の表面 に HEK293細胞を接着、成長させ、播種 24時間後に非接着細胞を除去した後、電 気パルス(200VZcm、 10msec,パルス回数 1回)を負荷した。
[0099] 図 22に電気パルス負荷カゝら 48時間後の蛍光顕微鏡像を示す。基板全体 (約 1. 7
X I. 7cm2)を観察するために低倍率観察を行った。この図は、発現した EGFPおよ び DsRedの蛍光を各々観察し、重ね合わせ処理したものであり、各遺伝子の固定化 領域において、その遺伝子産物に由来する蛍光が観察できる。また、両遺伝子を混 合したスポット上の細胞は両方のタンパク質を共発現した。これらのことから、本発明 方法は、場所を限定した遺伝子導入が可能であることがわかる。
産業上の利用可能性
[0100] 本発明に力かる核酸導入法は、細胞障害を与えず、効率よく遺伝子導入が可能で あり、さらに遺伝子導入の時期、場所を限定できる。このため、本発明にかかる核酸 導入法は、細胞レベルでの遺伝子や遺伝子産物の機能解析が効率よく実施でき、 細胞生物学、ポストゲノム、プロテオーム研究を大きく促し、医療への多大な貢献をな すものである。

Claims

請求の範囲
[1] エレクト口ポレーシヨン法により細胞に核酸を導入する方法であって、
(A)電極の表面に核酸を担持させる工程;
(B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および
(C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程;
からなる方法。
[2] エレクト口ポレーシヨン法により細胞に核酸を導入する方法であって、
(a)カチオン性表面電極基板を提供する工程;
(b)該カチオン性表面電極基板の表面に核酸を吸着、担持させる工程;
(c)工程 (b)で得られた核酸担持電極基板の表面に細胞を接着させる工程;および
(d)該細胞に電気パルスを印加する工程;
からなる方法。
[3] カチオン性表面電極基板が、電極基板の表面に、末端にァニオン性官能基を有す るチオール化合物、ジスルフイド化合物もしくはスルフイド化合物の単分子膜が形成 されており、かつ該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン 性表面電極基板である請求の範囲第 2項記載の方法。
[4] カチオン性表面電極基板力 電極基板の表面に、末端にカチオン性官能基を有す るチオール化合物、ジスルフイド化合物もしくはスルフイドィ匕合物またはシラン処理剤 の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にァニオン性高分子が吸着 され、さらにその表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基 板である請求の範囲第 2項記載の方法。
[5] カチオン性表面電極基板が、透明電極基板の表面にカチオン性高分子を吸着さ せてなるカチオン性表面電極基板である請求の範囲第 2項記載の方法。
[6] 工程 (b)を、カチオン性表面電極基板の表面に直接核酸を 1回だけ吸着させるか、 あるいは該表面に核酸およびカチオン性高分子を、核酸、カチオン性高分子、核酸 の順序で交互吸着法により積層させることにより行う請求の範囲第 2項記載の方法。
[7] 電極基板が、白金、金およびアルミニウムカゝら選ばれる金属の電極基板である請求 の範囲第 3項または第 4項記載の方法。
[8] 電極基板が、金電極基板である請求の範囲第 3項または第 4項記載の方法。
[9] 金電極基板が、金蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である請求の 範囲第 8項記載の方法。
[10] 透明電極基板が、インジウムースズ酸ィ匕物、酸化インジウム、アルミニウムをドープし た酸化亜鉛、アンチモンをドープした酸化スズを蒸着したガラス基板もしくは透明ブラ スチック基板である請求の範囲第 5項記載の方法。
[11] 透明電極基板が、インジゥムースズ酸ィ匕物を蒸着したガラス基板もしくは透明プラス チック基板である請求の範囲第 5項記載の方法。
[12] 末端にァ-オン性官能基を有するチオールィ匕合物が、式(1):
(1)
2 n
(式中、 R1はァ-オン性官能基を表し、 nは 1一 40の整数を表す。 )
で示されるチオール化合物である請求の範囲第 3項記載の方法。
[13] R1がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基およびホスホン酸基力 選ばれる基 である請求の範囲第 12項記載の方法。
[14] 式(1)で示されるチオール化合物力 11 メルカプトゥンデカン酸、 8 メルカプトォ クタン酸および 15 メルカプトへキサデカン酸力も選ばれるメルカプトアルカン酸であ る請求の範囲第 12項記載の方法。
[15] カチオン性高分子力 ポリエチレンィミン、ポリアリルァミン、ポリビュルァミン、ポリビ -ルピリジン、アミノアセタール化ポリビュルアルコール、 1一 4級ァミンを側鎖末端に 持つアクリル系またはメタクリル系ポリマー、酸処理ゼラチン、プロタミン、ポリリジン、 ポリオル二チン、ポリアルギニン、キトサン、 DEAE セルロース、 DEAE—デキストラ ンおよびポリアミドアミンデンドリマーから選ばれる高分子である請求の範囲第 3項、 第 4項または第 5項記載の方法。
[16] 末端にカチオン性官能基を有するチオールィ匕合物が、式 (2):
(2)
2 n
(式中、 R2はカチオン性官能基を表し、 nは 1一 40の整数を表す。 )
で示されるチオール化合物である請求の範囲第 4項記載の方法。
[17] R2がァミノ基である請求の範囲第 16項記載の方法。
[18] 核酸が DNA、 RNA、アンチセンス核酸、 siRNAまたはそれらの発現ベクターであ る請求の範囲第 1項または第 2項記載の方法。
[19] 核酸力タンパク質をコードする DNAまたはその一部である請求の範囲第 1項また は第 2項記載の方法。
工程 を、核酸担持電極の表面で細胞を培養することにより行う請求の範囲第 項記載の方法。
[21] 工程 (c)を、核酸担持電極基板の表面で細胞を培養することにより行う請求の範囲 第 2項記載の方法。
[22] 工程 を、細胞を介して電極基板に対畤して反対電極を設け、両電極間に電気 パルスを発生させることにより行う請求の範囲第 1項記載の方法。
[23] 工程 (d)を、細胞を介して電極基板に対畤して反対電極を設け、両電極間に電気 パルスを発生させることにより行う請求の範囲第 2項記載の方法。
[24] カチオン性表面電極基板が、ミクロパターンィ匕表面をもつ基板である請求の範囲第 2項記載の方法。
[25] 電極基板の表面に、末端にァ-オン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフ イドィ匕合物もしくはスルフイド化合物の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜 の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板。
[26] ガラス基板上に金蒸着した金電極基板の表面に、式(1):
(1)
2 n
(式中、 R1はァ-オン性官能基を表し、 nは 1一 40の整数を表す。 )
で示されるチオール化合物の単分子膜が形成されており、該単分子膜の表面にカチ オン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板。
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