WO2005033554A1

WO2005033554A1 - 走行作業機

Info

Publication number: WO2005033554A1
Application number: PCT/JP2004/013116
Authority: WO
Inventors: Shigemi Hidaka; Youichirou Nishi; Takeshi Kishimoto
Original assignee: Yanmar Co.,Ltd.
Priority date: 2003-10-01
Filing date: 2004-09-09
Publication date: 2005-04-14
Also published as: US7357745B2; US20070093352A1

Abstract

　車輪３，４等の走行手段にて支持され且つエンジン５を搭載して成る走行機体２に搭載したミッションケース８に，油圧ポンプ２７及び油圧モータ２８からなる油圧式変速機構と遊星歯車機構３０との組合せにより前記エンジンからの動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧・機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，前記油圧ポンプへの入力用ポンプ軸３４と前記油圧モータからの出力用モータ軸３５と，これら各軸に設けられた伝動用歯車４３，４５とが，前記ミッションケース内のうち下部に貯留された潤滑油の油面Ｓよりも上方に位置することによって，動力損失の低減を図る。

Description

明細書

走行作業機

技術分野

[0001] 本発明は，トラクタ等の農作業機やホイールローダ等の特殊作業用車両のような走行作業機に係るものであり，より詳しくは，走行機体に油圧 ·機械式 (HMT式)変速装置を搭載して成る走行作業機に関するものである。

背景技術

[0002] 従来，トラクタやホイールローダ等の走行作業機としては，走行機体に搭載されたミッシヨンケース内に，油圧ポンプ及び油圧モータの相互間を油圧回路に接続して成る油圧式 (HST式)変速機構と遊星歯車機構との組合せでエンジン力もの動力を無段階に変速する油圧'機械式 (HMT式)変速装置を備えたものが知られてヽる。

[0003] この種の油圧'機械式変速装置の一例が下記した特許文献に開示されている。この特許文献の油圧'機械式変速装置では，油圧ポンプと油圧モータとを一体にュニットイ匕した構成にすることが採用されている。

[0004] そして，この油圧 ·機械式変速装置においては，前記油圧ポンプへの入力用のポンプ軸は，エンジンからの動力軸に同軸状に連結されている。この入力用ポンプ軸には，遊星歯車機構が設けられている。

[0005] 一方，前記油圧ポンプで発生した油圧にて回転駆動する油圧モータは，前記油圧ポンプの下側に設けられ，この油圧モータからの出力用のモータ軸は，前記入力用ポンプ軸の下側にこれと平行に延びるように配置されている。前記出力用モータ軸に固着された歯車は，遊星歯車機構のうち入力用ポンプ軸に回転可能に被嵌されたキャリアの外歯と嚙み合って、る。

[0006] この場合，前記遊星歯車機構に対する潤滑は，当該遊星歯車機構の一部又は全部をミッションケース内に貯留された潤滑油に浸漬することにより行うように構成している。

特許文献 1：特開 2001— 108060号公報

発明の開示発明が解決しょうとする課題

[0007] しかし，前記特許文献に記載の公知の構成においては，第 1に，遊星歯車機構がミッシヨンケース内のうち出力用モータ軸よりも上方に位置しているために，入力用ボンプ軸ゃ出力用モータ軸に設けられた伝動用の各歯車の全体も潤滑油に完全に浸つた状態で回転することになる。従って，高速走行時ほど当該各歯車が潤滑油を撹拌することによる回転抵抗が大きく，動力損失が増すという問題があった。

[0008] この問題に対しては，油圧ポンプにおけるポンプ容量に比べて油圧モータにおけるモータ容量を例えば 2倍以上に多くするという構成を採用すると，油圧モータにおける回転トルクを大きくしてその回転数を減らすことができることにより，潤滑油による各歯車等の回転抵抗を小さくすることができる。

[0009] しかし，その反面，このように油圧モータにおけるモータ容量を油圧ポンプにおけるポンプ容量より多くすることは，油圧モータがそれだけ大型化し，ひいては，ミッションケースの大型化及び重量のアップを招来するばかりか，製造価格のアップも招来するから，その採用には問題がある。

[0010] 次に，前記特許文献に記載の公知の構成では，第 2に，前記遊星歯車機構を，当該遊星歯車機構に対する潤滑を確保することのために，その一部又は全部が潤滑油に浸漬しているために，この遊星歯車機構は，一部又は全部が潤滑油に浸った状態で回転することにより，動力損失が一層に増大するという問題がある。

[0011] 一方，油圧ポンプ及び油圧モータの相互間を油圧閉回路に接続して成る油圧式（ HST式)変速機構においては，走行作業機における走行速度を無段階に変速することができるものの，その変速比が狭い。

[0012] そこで，従来は，前記特許文献等に記載されているように，走行速度の変速比を大きくするために，前記油圧'機械式変速装置における出力側に副変速機構を設けて ,前記油圧'機械式変速装置による走行速度を，この副変速機構にて，高速走行と低速走行とに選択的に変速するように構成してヽる。

[0013] しかし，このような副変速機構を設けることは，それだけ構造が複雑になって，大型化及び重量のアップを招来するばかりか，変速の操作が可成り面倒になるという点において問題がある。 [0014] ところで，前記したトラクタやホイールローダ等の走行作業機においては，これに着脱自在に連結される耕うん機等の各種作業機に対して動力伝達する場合があり，この場合には，前記走行作業機に搭載したミッションケースに，前記走行作業機に搭載したエンジン力も動力伝達される PTO軸を突出して設けて，この PTO軸力も各種作業機に対して出力するように構成している。

[0015] この場合，従来の走行作業機においては，前記した特許文献等に記載されているように，前記 PTO軸，及びこの PTO軸への動力伝達機構，並びに前記 PTO軸への動力伝達を ON · OFFするクラッチ機構を，前記ミッションケースに対して組み付けるという構成にしている。

[0016] この従来の構成によると，走行作業機に前記 PTO軸を必要としない場合には，ェ場において，走行作業機を，これに前記 PTO軸等を組み付けていない形態にして製造しなければならず，また，前記 PTO軸等を組み付けられていない走行作業機にお!、ては，これに後で PTO軸等を組み付けることができな、。

[0017] し力も，走行作業機におけるミッションケースに，前記 PTO軸，及びこの PTO軸への動力伝達機構，並びに前記 PTO軸への動力伝達を ON 'OFF操作するクラッチ機構を，前記ミッションケースに対して組み付けるという構成であることにより，これら P TO軸等に対する分解しての修理及び部品交換等のメンテナンスが厄介であるという問題があった。

[0018] また，前記 PTO軸は，当該 PTO軸に対する動力伝達をクラッチ機構にして遮断した状態において，正逆いずれの方法にも自由に回転できるから，この PTO軸に対して，作業機側における駆動軸を結合する作業を容易に行うことができるが，その反面

,前記 PTO軸の回転は，前記クラッチ機構にて動力伝達 OFFに操作すると略同時に停止することなく，暫くの間，慣性による回転を継続しており，従って，この PTO軸力も動力伝達している作業機においても，暫くの間，回転を継続しているという問題がある。

[0019] この問題を解消するために，前記 PTO軸に，その回転を制動するようにしたブレーキ機構を設けることによって，前記 PTO軸に対する動力伝達を遮断したあとにおける慣性回転を止めるように構成した場合には，前記 PTO軸の回転駆動を停止することに，前記クラッチ機構の操作と，前記ブレーキ機構との二つの操作を必要とするから操作が面倒であり，し力も，前記 PTO軸は，その回転駆動を停止した状態において，ブレーキ機構により，正逆、ずれの方法にも回転できな、ようにロックされて、るから

,この PTO軸に対して，作業機側における駆動軸を結合する場合に，両軸間における回転方向への位置合わせが極めて困難であり，その作業を容易に行うことができな

V、と、う別の問題を招来することになる。

[0020] 本発明は，これらの問題を解消することを技術的課題とするものである。

課題を解決するための手段

[0021] 本発明における第 1の局面は，車輪等の走行手段にて支持され且つエンジンを搭載して成る走行機体に，ミッションケースを搭載し，このミッションケースに，油圧ボンプ及び油圧モータ力なる油圧式変速機構と遊星歯車機構との組合せにより前記ェンジン力の動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧'機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，前記ミッションケース内には，前記油圧ポンプへの入力用ポンプ軸と前記油圧モータからの出力用モータ軸と，これら各軸に設けられた伝動用歯車とが，前記ミッションケース内のうち下部に貯留された潤滑油の油面よりも上方に位置することを特徴として、る。

[0022] このような構成によると，油圧ポンプへの入力用ポンプ軸，及び，油圧モータからの出力用モータ軸，並びに，これら各軸に設けられた伝動用歯車がミッションケース内のうち下部に貯留された潤滑油に浸漬しないことにより，高速走行駆動時であっても前記各伝動用歯車が潤滑油を撹拌することがないので，油圧モータを大容量化することによる大型化及び重量のアップを招来することなく，前記各伝動用歯車の回転撹拌抵抗による動力損失を著しく低減できるから，高、効率で動力伝達できる。

[0023] また，この第 1の局面においては，前記油圧ポンプと前記油圧モータとを，前記ミツシヨンケースの外側面に取り付けられた伝動ケース内に収納して一体にユニットィ匕することにより，これら油圧ポンプ及び油圧モータを確実に保護できるとともに，ミツションケースに対する組み付け性を向上することができる。

[0024] 更にまた，前記第 1の局面においては，前記遊星歯車機構を，前記ミッションケース内のうち前記潤滑油の油面よりも上方に位置する一方，前記ミッションケース内における各種歯車のうち外周下部の一部が前記潤滑油に浸漬している少なくとも一つの歯車を，前記遊星歯車機構に，当該一つの歯車の回転にてはね上がる潤滑油が前記遊星歯車機構にはね力かるように近接すると、う構成にすることができる。

[0025] これにより，前記遊星歯車機構の一部又は全部を潤滑油に浸漬することによる動力損失を解消するものでありながら，この遊星歯車機構に対して確実に潤滑油を供給すること力ゝできる。

[0026] この場合，前記遊星歯車機構における各遊星歯車を支持軸に回転自在に被嵌した状態で支持するキャリアの外周面に，円周方向に延びる環状溝を設けて，この環状溝内に前記一つの歯車における上部をのぞませる一方，前記遊星歯車機構に，前記環状溝内に開口するオイル通路を設けることにより，前記遊星歯車機構における潤滑性を更に向上できる。

[0027] 次に，本発明における第 2の局面は，車輪等の走行手段にて支持され且つェンジンを搭載して成る走行機体に，ミッションケースを搭載し，このミッションケースに，前記エンジンからの動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧'機械式変速装置を備え，更に，前記ミッションケースに，前記走行機体に装着される各種作業機への動力伝達用の PTO軸を設けて成る走行作業機において，前記ミッションケースに，ブラケット体を，前記ミッションケースに穿設した抜き窓を当該ブラケット体にて塞ぐように着脱可能に取付け，このブラケット体に，前記 PTO軸を，当該ブラケット体力も突出するように軸支する一方，前記ブラケット体に，前記エンジン力も前記 PTO軸への動力入力部と，前記 PTO軸への動力伝達を ON · OFF操作するクラッチ機構とを設けることを特徴としている。

[0028] この構成によると，前記 PTO軸，この PTO軸への動力入力部及び前記 PTO軸に対するクラッチ機構を一つのブラケット体に組み付けて成る一つの PTO軸ユニットとして，ミッションケースに対して着脱可能に装着できるから， PTO軸なしの仕様の走行作業機を，その後において PTO軸装備の仕様に変更すること，及び， PTO軸装備の仕様の走行作業機を，その後において PTO軸なしの仕様に変更することが，前記一つの PTO軸ユニットの装着又は取り外しによって，至極簡単に且つ迅速にできるのであり，しカゝも， PTO軸に対する修理及び部品交換等のメンテナンスも，同様に ,前記一つのユニットの装着又は取り外しによって，至極簡単に且つ迅速にできる。

[0029] また，この第 2の局面においては，前記動力入力部に，前記ブラケット体をミッションケースに取付けるとき，前記エンジンからの動力伝達軸を差し込み結合するようにした軸継ぎ手を設けることができる。

[0030] これにより，前記ブラケット体のミッションケースへの取付け同時に， ΡΤΟ軸への動力入力部に，ミッションケース側の動力伝達軸を連結することができ，換言すると，前記ブラケット体を，ミッションケースに対して，当該ブラケット体における動力入力部をミッションケース側の動力伝達軸に連結しながら取付けすることができるから，前記一つの ΡΤΟ軸ユニットのミッションケースに対する装着又は取り外しの作業性を大幅に向上できる。

[0031] 本発明における第 3の局面は，車輪等の走行手段にて支持され且つエンジンを搭載して成る走行機体に，ミッションケースを搭載し，このミッションケースに，油圧ボンプ及び油圧モータ力なる油圧式変速機構と遊星歯車機構との組合せにより前記ェンジン力の動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧'機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，

前記ミッションケースに，前記走行機体に装着される各種作業機への動力伝達用の ΡΤΟ軸を軸支するとともに，前記エンジンから前記 ΡΤΟ軸への動力伝達を ON · O FF操作するクラッチ機構を設け，更に，前記ミッションケースには，前記 PTO軸の回転を当該 PTO軸と一緒に回転する回転側制動体の非回転側制動体への押圧にて制動するようにしたブレーキ機構を設けて，このブレーキ機構を，前記クラッチ機構に ,前記クラッチ機構における動力伝達 ONの作動に連動して当該ブレーキ機構が非制動に作動し，前記クラッチ機構における動力伝達 OFFの作動に連動して当該ブレーキ機構が制動に作動するように関連したことを特徴としている。

[0032] この構成〖こよると，クラッチ機構を， PTO軸への動力伝達 OFFに操作すると，これに連動して，ブレーキ機構が，その回転側制動体を非回転側制動体に押圧されて，前記 PTO軸の回転に制動が掛けられるから，前記 PTO軸は，慣性による回転を継続することなく回転停止することになる。また，前記クラッチ機構を， PTO軸への動力伝達 ONに操作すると，これに連動して，ブレーキ機構が，その回転側制動体を非回転側制動体に押圧する状態が解除されて，非制動になるから，前記 PTO軸は，回転駆動される。

[0033] つまり，前記 PTO軸の回転駆動を，これに対する動力伝達 OFFした状態で制動を掛けて停止すること，及び，前記 PTO軸を，その制動を解除した状態で回転駆動することを，一つの操作によって行うことができるから，前記 PTO軸の操作を簡単化できる。

[0034] この第 3の局面においては，前記ブレーキ機構における非回転側制動体を回転自在に構成して，この非回転側制動体に，当該非回転側制動体における前記 PTO軸を回転駆動する方向への回転を阻止し，当該非回転側制動体における前記 PTO軸を回転駆動する方向と逆方向への回転を許容するようにした手段を設けるという構成にすることができる。

[0035] これにより，前記 PTO軸は，これに制動を掛けてその回転を停止した状態において ,当該 PTO軸における回転駆動する方向と逆方向には任意に回転できるから，この PTO軸に対して，作業機側における駆動軸を結合する場合に，両軸間における回転方向への位置合わせが極めて容易にできて，その作業性を向上できる。

[0036] また，この第 3の局面においては，前記クラッチ機構と前記ブレーキ機構とを一本の軸に被嵌して設け，前記クラッチ機構と前記ブレーキ機構との間に，前記クラッチ機構を動力伝達 ONに作動すると同時に前記ブレーキ機構を非制動に作動し，前記クラッチ機構を動力伝達 ONに作動すると同時に前記ブレーキ機構を制動に作動するようにした作動機構を設けると、う構成にすることができる。

[0037] これにより，一本の軸上に，クラッチ機構とブレーキ機構とを設けることにができるから，前記クラッチ機構とブレーキ機構とを別々に設ける場合に比べて大幅な小型化及び軽量ィ匕を図ることができる。

[0038] そして，本発明における第 4の局面は，車輪等の走行手段にて支持され且つェンジンを搭載して成る走行機体に，ミッションケースを搭載し，このミッションケースに，油圧ポンプ及び油圧モータ力なる油圧式変速機構と遊星歯車機構との組合せにより前記エンジンからの動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧'機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，前記油圧モータを，二つの斜板式アキシャルピストンモータを直列に連結した構成にして，この両アキシャルピストンモータと前記油圧ポンプとの間に，油圧ポンプの吐出ロカもの油圧を両アキシャルピストンモータに供給し，両アキシャルピストンモータの排出口からの油圧を油圧ポンプに戻すようにした油圧回路を設けることを特徴として!/、る。

[0039] この構成において，油圧ポンプの吐出口からの油圧は，油圧回路を介して，両アキシャルピストンモータに同時に供給されることにより，前記両アキシャルピストンモータは，当該両アキシャルピストンモータの排出口からの油圧が油圧回路を介して前記油圧ポンプに戻されるようにして，回転駆動される。

[0040] この場合，前記両アキシャルピストンモータのうち一方のアキシャルピストンモータにおける斜板を最大傾斜角度に操作する一方，他方のアキシャルピストンモータにおける斜板を傾斜角度が零の位置及び微小傾斜角度を含む最小傾斜角度に操作すると，この両アキシャルピストンモータのうち一方のアキシャルピストンモータ力^前記油圧ポンプから油圧によって主に回転駆動されることにより，前記両アキシャルビストンモータにおけるモータ出力側は最高回転速度になるから，走行作業機を，高速走行に変速することができる。

[0041] 一方，前記両アキシャルピストンモータにおける斜板を，同時に，傾斜角度を小さくするように操作すると，この両アキシャルピストンモータ力一つの油圧ポンプからの油圧によって同時に回転駆動されることにより，前記両アキシャルピストンモータにおけるモータ出力側は，低い回転速度になるから，走行作業機を，低速走行に変速することがでさる。

[0042] そして，前記両アキシャルピストンモータにおける斜板の操作にて両アキシャルビストンモータにおけるモータ出力側を，任意の回転速度に無段階に変更できることにより，走行作業機の走行速度を，前記高速走行と前記低速走行との間の広い変速比の範囲において無段階に変速することができるから，場合によっては，従来における副変速機構を省略できて，構造の大幅な簡単化と，大幅な小型'軽量化とを図ることができるとともに，変速操作の大幅な簡単ィ匕を図ることができる。

[0043] また，この第 4の局面においては，前記ミッションケースに，当該ミッションケースに穿設した抜き窓を塞ぐ蓋板を着脱自在に装着し，この蓋体における表裏両面のうち表面に，前記油圧ポンプと両アキシャルピストンモータのうち一方のアキシャルピストンモータを,裏面に，他方のアキシャルピストンモータを各々取付けるという構成にすることにより，ミッションケースに対する蓋板の取付け及び取り外しによって，前記油圧ポンプ及び両アキシャルピストンモータの前記ミッションケースに対する組み付け及び分解ができるから，これらに要する手数を低減できて，メンテナンス性を向上できる

[0044] 本発明の他の目的，特徴及び利点は，以下添付の図面に基づ!/ヽて説明する実施形態から明らかとなろう。

図面の簡単な説明

[0045] [図 1]本発明の実施形態による走行作業機を示す側面図である。

図 2]前記走行作業機の平面図である。

図 3]図 2における要部の拡大図である。

図 4]図 3の IV— IV視断面図である。

図 5]図 3の V— V視断面図である。

図 6]エンジンから車輪への動力伝達系統を示す平面図である。

図 7]ミッションケースにおける要部の縦断正面図である。

図 8]図 7の VIII— VIII視側面図である。

図 9]図 7における要部の拡大図である。

図 10]図 7の X— X視断面図である。

図 11]図 10における分解図である。

図 12]図 10の変形例を示す図である。

図 13]図 12における分解図である。

図 14]PTO軸ユニット機構の縦断正面図である。

図 15]図 14の XV— XV視断面図である。

図 16]油圧式変速機構における変形例を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

[0046] 以下，本発明の実施形態を，走行作業機としてのトラクタに適用した場合の図面について説明する。 [0047] 図 1及び図 2は，トラクタ 1を示し，このトラクタ 1は，走行機体 2を左右一対の前車輪 3と同じく左右一対の後車輪 4とで支持し，前記走行機体 2の前部に搭載したェンジン 5にて前記両後車輪 4及び両前車輪 3を駆動することにより，前後進走行するように構成され，前記走行機体 2の上面には，操縦座席 6と，前記両前車輪 3を左右に動かすことによって力じ取りするようにした操縦ノヽンドル 7とが設けられ，また，前記走行機体 2の後部には，前記エンジン 5の回転を適宜変速して前記両後車輪 4及び両前車輪 3に伝達するためのミッションケース 8が搭載されている。

[0048] この場合，前記両後車輪 4は，前記ミッションケース 8に対して，当該ミッションケース 8の左右両外側面力外向きに突出するように着脱可能に装着される車軸ケース 9 ,及びこの車軸ケース 9の外側端に後方に延びるように装着されるギヤケース 10を介して取付けられており，前記両車軸ケース 9内には，前記両後車輪 4に対して動力伝達する車軸 4aが挿入されて!、る。

[0049] 前記走行機体 2には， 2枚一組として走行方向に延びる左右一対の鉄板製の機体フレーム 11を備え，この両機体フレーム 11間における前部に，前記エンジン 5を配設する。

[0050] 一方，前記両機体フレーム 11間における後部に，前記ミッションケース 8を配設して ,このミッションケース 8における左右両外側面力突出する両車軸ケース 9と，及び，この両車軸ケース 9から後方に延びる両ギヤケース 10との両方を，前記両機体フレーム 11〖こ対してボノレト 12, 13〖こて締結すること〖こより，前記ミッションケース 8を両機体フレーム 11に取付けるという構成にしており，これにより，前記両後車輪 3に作用する車輪荷重を，前記ミッションケース 8を介することなく，両機体フレーム 11にて直接支持することができるように構成して、る。

[0051] また，前記両機体フレーム 11の後端間は，上下一対のステー 14, 15にて連結されており，更に，この両機体フレーム 11の後端下部には，上向きのフック 16がー体的に設けられ，後端上部には，ピン孔 17が穿設され，このフック 16とピン孔 17とに引つ掛けてヒッチ台 18を着脱自在に立設して，このヒッチ台 18に，穴堀などの土工作業を行うためのバックホー 19を装着している。

[0052] 更にまた，前記ミッションケース 8の後部上面には，前記走行機体 2に装着される耕転機等の各種作業機 (図示せず)を，昇降動するための作業機用油圧式昇降機構 2 0が設けられている。

[0053] 一方，前記エンジン 5の後側面には，当該エンジン 5側における駆動軸 5aを覆う歯車ケース 21を取付け，この歯車ケース 21の下部には，前記駆動軸 5aから歯車ケース 21内の歯車列機構 22を介して動力伝達される主動軸 23が後ろ向きに突出するように設けられ，更に，前記歯車ケース 21の後側面には，前記作業機用油圧式昇降機構 20等に対して油圧を供給するための作業用の油圧ポンプ 24が，前記駆動軸 5 aに対して着脱自在に直結するように取付けられて、る。

[0054] 前記歯車ケース 21から後ろ向きに突出する主動軸 23と，前記ミッションケース 8において，その前面力前向きに突出する入力軸 25との間を，両端に自在軸継ぎ手を備えた伸縮式の動力伝達軸 26を介して連結して，前記エンジン 5の回転を，その駆動軸 5aから前記歯車ケース 21内の歯車列機構 22,主動軸 23及び動力伝達軸 26 を介して前記ミッションケース 8における入力軸 25に伝達し，次いで，前記ミッションケース 8における油圧'機械式変速機構 (HMT)にて適宜変速し，更に，歯車式の副変速機構 26にて変速して，前記後車輪 4及び両前車輪 3に伝達するという構成にしている。

[0055] この油圧'機械式変速機構 (HMT)は，以下に述べるように，変速用油圧ポンプ 27 と，この油圧ポンプ 27にて作動する変速用油圧モータ 28とによる油圧式無段変速機構 (HST) 29,及び，遊星歯車機構 30にて構成されている。

[0056] 前記ミッションケース 8における前面には，当該前面を塞ぐ前面板 31を着脱自在に設けて，この前面板 31の前面上部に，前記蓋板 32を挟んで伝動ケース 33を着脱自在に取付けて，この伝動ケース 33内に，前記油圧ポンプ 27と，前記油圧モータ 28とが設けられている。

[0057] 前記蓋板 32の内部に，前記油圧ポンプ 27からの油圧を油圧モータ 28に供給し，油圧モータ 28から排出される油圧を油圧ポンプ 27に戻すようにした油圧閉回路（図示せず）が形成されており，前記油圧ポンプ 27から油圧モータ 28への油圧の供給量を増減することにより，油圧モータ 28における回転数を無段階に変速するように構成する一方，前記油圧の供給方向を変更することにより，油圧モータ 28の回転方向を ,正又は逆に切り換えるように構成されている。

[0058] また，前記ミッションケース 8内には，前記油圧ポンプ 27を直結した入力用ポンプ軸 34と，前記油圧モータ 28に直結した出力用モータ軸 35と，前記遊星歯車機構 30を支持するサンギヤ軸 36とを，前記サンギヤ軸 36が前記ポンプ軸 34及びモータ軸 35 の下側に位置するように設けて、る。

[0059] 前記油圧'機械式変速装置は，前記入力軸 25に伝わった動力を，前記遊星歯車機構 30のサンギヤ軸 36と前記油圧ポンプ 27への入力用ポンプ軸 34とに分割する一方，サンギヤ軸 36への分割動力と油圧モータ 28からの出力用モータ軸 35を経由した動力とを合成して，前記歯車式副変速機構 26に伝え，ここで適宜有段に変速したのち，前後四輪 2, 3を回転駆動させるように構成されている。

[0060] 前記ミッションケース 8内において，前記入力軸 25に固着された歯車 37がサンギヤ軸 36の前端部にベアリングを介して遊嵌された伝動歯車 38と嚙合している。

[0061] この伝動歯車 38の片面に固着されたキャリア 39には，複数の遊星歯車 40 (実施形態では 3つ）が各々回転可能に軸支されている。サンギヤ軸 36の外周に設けられた太陽歯車 41は，前述した全ての遊星歯車 40と嚙合して、る。

[0062] 内周面の内歯と外周面の外歯とを有するリングギヤ 42は，その内歯が複数の遊星歯車 40とそれぞれ嚙み合うように，サンギヤ軸 36に軸受を介して回転可能に被嵌されている。リングギヤ 42における外周面の外歯は，油圧ポンプ 27への入力用ポンプ軸 34に固着されたポンプ歯車 43と嚙み合っている。サンギヤ軸 36におけるリングギャ 42よりも後方の箇所に固着された伝達歯車 43は，油圧モータ 28からの出力用モータ軸 35に固着されたモータ歯車 44と嚙合している。

[0063] 一方，前記ミッションケース 8内には，後車輪用推進軸 45を軸支して，この推進軸 4 5の後端のピニオン歯車 46を，前記両後車輪 4に対する従来周知の差動歯車機構 4 7におけるリング歯車 48に嚙合することにより，この後車輪用推進軸 45の回転にて前記両後車輪 4を回転駆動するように構成する一方，この推進軸 45上に固着した歯車 49を，前記ミッションケース 8内に軸支した前車輪用推進軸 50上に回転自在に被嵌した歯車 51に嚙合し，前記前車輪用推進軸 50の前端を，ミッションケース 8における前面板 31の前面に突出して，この前車輪用推進軸 50と，前記両前車輪 3に対する従来周知の差動歯車機構 52との間を，両端に自在軸継ぎ手を備えた伸縮式の動力伝達軸 53を介して連結し，更に，前記前車輪用推進軸 50上には，クラッチ 54を設けて，このクラッチ 54を，前記歯車 51を推進軸 54に対して固定するように操作したとき ,前記後車輪用推進軸 54にて前記両前車輪 3を回転駆動し，前記クラッチ 54を，前記歯車 51を推進軸 54に対して固定しないように操作したとき，前記両前車輪 3を回転駆動しなヽように構成する。

[0064] 前記歯車式副変速機構 26において，前記後車輪用推進軸 45上に回転自在に被嵌した二つの変速歯車 55, 56のうち一方の小径変速歯車 55を，前記サンギヤ軸 36 上に固着した歯車 57に，他方の大径変速歯車 56を，前記サンギヤ 36上に固着した歯車 58に各々嚙合し，前記歯車式副変速機構 26におけるクラッチ 59を，当該クラッチ 59にて一方の小径変速歯車 55を推進軸 45に対して固定するように操作したとき，前記推進軸 45を高速回転し，前記クラッチ 59を，当該クラッチ 59にて他方の大径変速歯車 56を推進軸 45に対して固定するように操作したとき，前記推進軸 45を低速回転し，そして，前記クラッチ 59を，前記の中間，つまり，両変速歯車 55, 56のいずれも推進軸 45に対して固定しな、ように中立に操作したとき，前記推進軸 45への回転伝達を遮断するようにし，更に，一方の小径変速歯車 55による高速回転と，前記他方の大径変速歯車 56による低速回転との間を，前記油圧式無段変速機構 (HST ) 29にて，無段に変速するように構成している。

[0065] 前記遊星歯車機構 30は，図 7及び図 9に示すように，ミッションケース 8内のうち，当該ミッションケース 8内に溜められている潤滑油の油面 Sよりも高い部位に位置している一方，前記後車輪用推進軸 45上に固着した歯車 49は，その外周下部の一部が前記潤滑油の油面 Sに浸漬する状態で回転するように構成されている。

[0066] 前記遊星歯車機構 30への伝動歯車 38を，当該遊星歯車機構 30におけるキヤリァ 39に被嵌固定することによって，この伝動歯車 38と，前記キャリア 39のうち遊星歯車 40の支持軸 40aが取付くフランジ部 39aとの間に，円周方向に延びる環状溝 60を形成し，この環状溝 60内に，前記後車輪用推進軸 45上の歯車 49における上部がのぞむように構成する。

[0067] また，前記遊星歯車機構 30における各遊星歯車 40及びその支持軸 40aには，前記環状溝 60内と，前記各遊星歯車 40の内周及び外周とを連通するオイル通路 61を穿設する。

[0068] この構成において，後車輪用推進軸 45上に固着した歯車 49が，遊星歯車機構 30 に隣接した位置で，その外周下部の一部が潤滑油の油面 Sに浸漬した状態で回転することにより，前記潤滑油が，この歯車 49の外周から上向きにはね上げられて，前記遊星歯車機構 30に対してはね力かることになるから，前記遊星歯車機構 30を潤滑することができる。

[0069] この場合，前記歯車 49の上部は，前記遊星歯車機構 30におけるキャリア 39に設けた環状溝 60内にのぞんでいることにより，前記歯車 49の回転にて上向きにはね上げられる潤滑油は，前記環状溝 60内に多く集められ，そして，この環状溝 60内の潤滑油は，当該環状溝 60内に連通するオイル通路 61を介して，各遊星歯車 40とその支持軸 40aと摺動部及び各遊星歯車 40と内周リング歯車と嚙合部に給油される。

[0070] 前記後車輪用推進軸 45は，図 10に示すように，前記ミッションケース 8における前面板 31と，前記ミッションケース 8内を前記後輪用差動歯車機構 47と区画するように設けた仕切り板 62とに対してボールベアリング 63, 64を介して軸支されている。

[0071] 更に，この後車輪用推進軸 45は，図 11に示すように，前記前面板 31の前記ミツシヨンケース 8に対する脱着によって，組み立て ·分解できるように構成されて、る。

[0072] ところで，トラクタ 1において，これを低馬力仕様 (例えば 30馬力仕様)から高馬力仕様 (例えば 50馬力仕様）に変更する場合には，図 12及び図 13に示すように，前記後輪用差動歯車機構 47における直径 Dの低馬力用リング歯車 48を，大きい直径 D ' の高馬力用リング歯車 48' に交換するとともに，低馬力用後車輪用推進軸 45を，前記高馬力用リング歯車 48' に嚙合するピニオン歯車 4 を備えた高馬力用後車輪用推進軸 45' に交換することによって行う。

[0073] この場合，前記高馬力用後車輪用推進軸 4 の一端を，仕切り板 62に対して，前記低馬力用後車輪用推進軸 45を仕切り板 62に対して軸支するのと同じボールベアリング 64を使用して軸支する一方，前記高馬力用後車輪用推進軸 45' の他端を，前面板 31に対して，一対の円錐コロベアリング 65を使用して軸支する構成にすることにより，前記ミッションケース 8を，低馬力用と高馬力用との両方に共通して使用できるように構成している。

[0074] そして，前記ミッションケース 8の後側面 8aには，前記走行機体 2の後部に連結される耕うん機等の作業機（図示せず）に対する動力伝達用の PTO軸 65を備えた PTO 軸ユット機構 66が，着脱可能に取付けられている。

[0075] この PTO軸ユニット機構 66は，図 14に示すように，前後に二つ割りのボックス型に構成したブラケット体 67を備え，このブラケット体 67を，前記ミッションケース 8の後側面 8aに対して，当該後側面 8aに穿設した開口部 8bを塞ぐように，複数本のボルト 68 の締結にて着脱可能に取付けて、る。

[0076] 前記ブラケット体 67に，前記 PTO軸 65を，当該 PTO軸 65がブラケット体 67における後面板 67aを貫通して後ろ方向に突出するようにして回転自在に軸支する一方，前記ブラケット体 67における前面板 67b,つまり，前記ミッションケース 8内側の側面板 67bに，内部をスプライン溝を有するソケット状の軸継ぎ手 68に構成して成る入力軸 69を，前記 PTO軸 65と平行にして回転自在に軸支し，この入力軸 69におけるソケット状の軸継ぎ手 68に，前記ミッションケース 8内に前記入力軸 25から後ろ方向に延びるように延長して配設した PTO軸用動力伝達軸 70の後端を，前記ブラケット体 67をミッションケース 8に対して取り付けるとき同時に差し込み結合するように構成している。

[0077] 前記ブラケット体 67のうち後面板 67aと前面板 67bとの間には，前記入力軸 69と同じ軸線上を後方に延びるクラッチ軸 71を，前記入力軸 69の後端と前記ブラケット体 6 7の後面板 67aとで回転自在に軸支して設けて，このクラッチ軸 71上におけるピ-ォン歯車 72を，前記 PTO軸 65上の歯車 73に嚙合して，前記クラッチ軸 71における後方から見た図 15において矢印 A1で示す半時計方向への回転を前記 PTO軸 65に伝達して，前記 PTO軸 65を後方から見た図 15にお、て矢印 A2で示す時計方向に回転するように構成する一方，前記クラッチ軸 71には，クラッチハウジング 74を嵌着して，このクラッチハウジング 74と前記入力軸 69との間に多板式のクラッチ 75を設け ,この多板クラッチ 74を，前記クラッチハウジング 74内のシリンダ室 76内に挿入したピストン 77における前記入力軸 69の方向への戻しばね 78に抗しての前進動により締め付けることにより，前記入力軸 69から前記クラッチ軸 71に動力伝達し，前記ビストン 77の前記戻しばね 78による後退動にて前記多板クラッチ 75の締め付けが緩むことにより，前記入力軸 69から前記クラッチ軸 71への動力伝達が遮断するように構成している。

[0078] 一方，前記ブラケット体 67における前面板 67b,つまり，前記ミッションケース 8内側の側面には，前記ミッションケース 8内における潤滑油をストレーナ 79より汲み上げるようにした油圧ポンプ 80を取付けて，この油圧ポンプ 80におけるポンプ軸 81上の歯車 82を，前記入力軸 69上の歯車 83に嚙合することにより，前記油圧ポンプ 80を回転駆動して，この油圧ポンプ 80における吐出側からの油圧を，前記ブラケット体 67のうち後面板 67aに設けた油圧切換弁 84に油圧管路 85を介して供給し，この油圧切換弁 84により，前記油圧ポンプ 80からの油圧を，前記クラッチハウジング 74内におけるシリンダ室 76に，前記クラッチ軸 71に穿設した油圧通路 86を介して供給する一方，前記ピストン 76の背面室を前記クラッチ軸 71に穿設した油圧通路 87を介して開放する状態と，前記シリンダ室 76への油圧の供給を停止してシリンダ室 76と，ビストン 77の背面室との両方を開放する状態とに切り換えるように構成して、る。

[0079] また，前記クラッチ軸 71には，前記ピストン 77の往復動に前記クラッチハウジング 7 4を軸線方向に貫通する連動ピン 88を介して連動する多板式のブレーキ機構 89が設けられている。

[0080] すなわち，このブレーキ機構 89は，前記クラッチハウジング 74と一緒に回転するように前記クラッチ軸 71に被嵌した多板式の回転側制動体 90と，前記クラッチ軸 71に回転自在に被嵌した非回転側制動体 91と，この非回転側制動体 91に回転不能に被嵌された状態で前記多板式の回転側制動体 90の間に挟み込まれた摩擦板 92と力も成り，前記シリンダ室 76を開放してピストン 77を戻しばね 78にて後退動することで前記多板クラッチ 75を動力伝達 OFFにしたとき，前記回転側制動体 90を，前記戻しばね 78にて，前記非回転側制動体 91に向かって押圧作動し，前記ピストン 77 を前記戻しばね 78に抗して前進動することで前記多板クラッチ 75を動力伝達 ONにしたとき，前記回転側制動体 90の前記非回転側制動体 91への押圧を解除するように構成している。

[0081] そして，前記非回転側制動体 91と，前記ブラケット体 67との間には，図 15に示すように，当該非回転側制動体 91における矢印 Alへの方向，つまり，前記 PTO軸 65を回転駆動する矢印 A2の方向への回転を阻止し，当該非回転側制動体 91における前記矢印 A1とは反対の方向，つまり，前記 PTO軸 65を回転駆動する矢印 A2の方向と逆方向への回転を許容するようにした手段 93を設けて、る。

[0082] この手段 93は，基端をブラケット体 67に対して回転自在にピン 94にて枢着して成る鉤状体 95と，この鉤状体 95を，前記非回転側制動体 91に向力方向に回動付勢するばね体 96とを備える。

[0083] 一方，前記非回転側制動体 91の外周面には，内側方向への傾斜面 97を有する切り込み爪部 98を設けて，この切り込み爪部 98に，前記鉤状体 95がばね体 96による付勢にて係合することにより，前記非回転側制動体 91における矢印 A1への方向，つまり，前記 PTO軸 65を回転駆動する矢印 A2の方向への回転を阻止する一方，前記非回転側制動体 91が前記矢印 A1とは反対の方向（点線矢印 B1の方向） ,つまり ,前記 PTO軸 65を回転駆動する矢印 A2の方向と逆方向（点線矢印 B2の方向）へ回転するときには，前記傾斜面 97により前記鉤状体 95がばね体 96に抗して外向きに回動して，図 15に二点鎖線で示すように，切り込み爪部 98から外れることにより，前記非回転側制動体 91における前記矢印 A1とは反対の方向（点線矢印 B1の方向 ) ,つまり，前記 PTO軸 65を回転駆動する矢印 A2の方向と逆方向（点線矢印 B2の方向）への回転を許容するように構成している。

[0084] この構成において， PTO軸ユニット機構 66は，前記ミッションケース 8に穿設した抜き窓 8bを塞ぐように構成したブラケット体 67を備えて，このブラケット体 67に PTO軸 6 5を軸支するとともに，このブラケット体 67に，前記 PTO軸 65に対する油圧式の多板クラッチ 75を設けるとともに，前記油圧式多板クラッチ 75に対する油圧ポンプ 80と，この油圧ポンプ 80に対する油圧切換弁 84等を設けるという構成であることにより， P TO軸なしの仕様の走行作業機を，その後において，ミッションケース 8に対して前記 PTO軸ユニット機構 66を取付けることで， PTO軸装備の仕様に変更することができ ,また，前記 PTO軸ユニット機構 66を取付けて成る PTO軸装備の仕様の走行作業機を，その後において，ミッションケース 8から前記 PTO軸ユニット機構 66を取り外すことで， PTO軸なしの仕様に任意に変更することができる。 [0085] なお，前記 PTO軸ユニット機構 66を，ミッションケース 8から取り外した場合には，前記ミッションケース 8における抜き窓 8bは，別に用意した蓋板にて塞ぐことはいうまでもない。

[0086] また，前記 PTO軸ユニット機構 66の装着又は取り外しによって，当該 PTO軸ュ- ット機構 66に対する修理及び部品交換等のメンテナンスを行うことができる。

[0087] 一方，前記クラッチハウジング 74におけるシリンダ室 76に油圧を供給することにより ,ピストン 77が戻しばね 78に抗して前進動して，多板クラッチ 75が締め付けられるから，前記入力軸 69から前記クラッチ軸 71への動力伝達が行われる一方，前記ピストン 77の前進動により，ブレーキ機構 89における回転側制動体 90の非回転側制動体 91への押圧を解除されて，ブレーキ機構 89が非制動状態になるので，前記 PTO軸 65は，矢印 A2で示す時計方向に回転駆動される。

[0088] また，前記シリンダ室 76への油圧の供給を停止し，前記シリンダ室 76を開放することにより，前記ピストン 77が戻しばね 78に後退動して，前記多板クラッチ 75の締め付けを解除するから，前記入力軸 69から前記クラッチ軸 71への動力伝達が遮断される一方，前記ピストン 77の後退動により，ブレーキ機構 89における回転側制動体 90が非回転側制動体 91に対して押圧されて，ブレーキ機構 89が制動状態になるので，前記 PTO軸 65は，その慣性による回転を持続することなく，回転停止する。

[0089] この回転停止した状態において，前記ブレーキ機構 89は制動状態になっているものの，このブレーキ機構 89の非回転側制動体 91は，前記矢印 A1とは反対の方向（点線矢印 B1の方向）には回転できるように構成されていることにより，前記 PTO軸 65 は，当該 PTO軸 65を回転駆動する矢印 A2の方向と逆方向（点線矢印 B2の方向）には回転することができるから，この PTO軸 65に対して，作業機側における駆動軸を結合する場合に，両軸間における回転方向への位置合わせが容易に，且つ，確実 ·正確にできる。

[0090] 次に，図 16は，別の実施形態を示す。

[0091] この実施形態は，油圧式変速機構を，一つの変速用の油圧ポンプ 27^ と，この油圧ポンプ 27' にて作動する二つの斜板式アキシャルピストンモータ 28' , 28 とによって構成した場合である。 [0092] すなわち，前記ミッションケース 8の前面における前面板 31に，これに穿設した抜き窓 99を塞ぐ蓋板 100を，ボルト 101の締結にて着脱自在に装着し，この蓋板 100の表裏両面のうち前記ミッションケース 8とは反対側の表面に，前記油圧ポンプ 27' を ,その入力軸 102が前記蓋板 100を貫通してミッションケース 8内に突出するように取付ける一方，前記蓋板 100には，一本のモータ出力軸 103を貫通するように軸支する。

[0093] そして，前記蓋板 100のうち前記ミッションケース 8とは反対側の表面には，前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 のうち一方のアキシャルピストンモータ 28' を前記モータ出力軸 103に嵌着して取付ける一方，前記蓋板 100のうち前記ミッションケース 8側の裏面には，前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 のうち他方のァキシャルピストンモータ 28 を前記モータ出力軸 103に嵌着して取付ける。

[0094] つまり，前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 は，前記蓋板 100を貫通する一本のモータ出力軸 103を共通として直列に連結されている。

[0095] なお，前記蓋板 100の内部には，図示しないないが，前記油圧ポンプ 27' の吐出ロカの油圧を両アキシャルピストンモータ 28' , 28 における各シリンダに供給し ,両アキシャルピストンモータ 28' , 28 における各シリンダの排出ロカの油圧を油圧ポンプ 27^ に戻すようにした油圧回路が，油圧通路として設けられている。

[0096] また，前記符号 104は，前記一方のアキシャルピストンモータ 28' に対するカバーケーシングであり，このカバーケーシング 104に，前記油圧ポンプ 27' におけるポンプケーシングを一体ィ匕するように構成しても良!、。

[0097] 前記ミッションケース 8内において，前記油圧ポンプ 27' における入力軸 102を，前記した入力用ポンプ軸 34に対して軸継ぎ手 104を介して着脱自在に連結する一方，前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 におけるモータ出力軸 103を，前記した出力用モータ軸 35に対して軸継ぎ手 105を介して着脱自在に連結するという構成にしている。

[0098] この構成において，前記油圧ポンプ 27' 力エンジン 5からの動力伝達にて回転駆動され，この油圧ポンプ 27' の吐出口からの油圧は，油圧回路を介して，両アキシャルピストンモータ 28' , 28 に同時に供給されることにより，前記両アキシャルビストンモータ 28, , 28 は，当該両アキシャルピストンモータ 28, , 28 の排出口からの油圧が油圧回路を介して前記油圧ポンプ 2 に戻されるようにして，回転駆動される。

[0099] そこで，図 16に示すように，前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 のうち一方のアキシャルピストンモータ 28' における斜板 28 を最大傾斜角度 0に操作する一方，他方のアキシャルピストンモータ 28 における斜板 28a" を傾斜角度が零の位置及び微小傾斜角度を含む最小傾斜角度に操作すると，この両アキシャルビストンモータ 28' , 28 のうち一方のアキシャルピストンモータ 28' 力前記油圧ポンプ 27' 力油圧によって主に回転駆動されることにより，前記両アキシャルピストンモータ 28^ , 28 におけるモータ出力軸 103は最高回転速度になるから，走行作業機 1を，高速走行に変速することができる。

[0100] 一方，前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 における斜板 28a' , 28a'' を , 同時に，傾斜角度を小さくするように操作すると，この両アキシャルピストンモータ 2 8' , 28〃力一つの油圧ポンプ 27' 力の油圧によって同時に回転駆動されることにより，前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 におけるモータ出力軸 103は ,低い回転速度になるから，走行作業機 1を，低速走行に変速することができる。

[0101] そして，前記両アキシャルピストンモータ 28, , 28 における斜板 28a' , 28a を，任意の傾斜角度に操作することにより，この両アキシャルピストンモータ 28' , 28 " におけるモータ出力軸 103を，任意の回転速度に無段階に変更できるから，走行作業機 1を，前記高速走行と前記低速走行との間における任意の走行速度に無段階に変速することができる。

[0102] つまり，この構成によると，走行作業機 1の走行速度を，前記高速走行と前記低速走行との間の広い変速比の範囲において無段階に変速することができるから，場合によっては，前記ミッションケース 8内に設けられている副変速機構 26を省略することができるのである。

[0103] この場合，前記ミッションケース 8に，蓋板 100を，当該ミッションケース 8に穿設した抜き窓 99を塞ぐように着脱自在に装着し，この蓋板 100に，前記油圧ポンプ 27 ' ,前記両アキシャルピストンモータ 28' , 28 及びそのモータ出力軸 103を取付けるとともに，この蓋板 100内に，前記油圧ポンプ 27' と前記両アキシャルピストンモータ 28^ , 28" とを互いに接続する油圧回路を設けにという構成であることにより，前記ミッションケース 8に対する蓋板 100の取付け及び取り外しによって，前記油圧ポンプ 27' ,両アキシャルピストンモータ 28' , 28 及びその間における油圧回路の前記ミッションケース 8に対する組み付け及び分解ができる。

Claims

請求の範囲

[1] 車輪等の走行手段にて支持され且つエンジンを搭載して成る走行機体に，ミツションケースを搭載し，このミッションケースに，油圧ポンプ及び油圧モータ力もなる油圧式変速機構と遊星歯車機構との組合せにより前記エンジンからの動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧 ·機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，前記ミッションケース内に，前記油圧ポンプへの入力用ポンプ軸と前記油圧モータからの出力用モータ軸と，これら各軸に設けられた伝動用歯車とが，前記ミッションケース内のうち下部に貯留された潤滑油の油面よりも上方に位置する構成にしたことを特徴とする走行作業機。

[2] 前記油圧ポンプと前記油圧モータとを，前記ミッションケースの外側面に取り付けられた伝動ケース内に収納して一体にユニットィ匕することを特徴とする前記請求項 1に記載した走行作業機。

[3] 前記遊星歯車機構を，前記ミッションケース内のうち前記潤滑油の油面よりも上方に位置する一方，前記ミッションケース内における各種歯車のうち外周下部の一部が前記潤滑油に浸漬している少なくとも一つの歯車を，前記遊星歯車機構に，当該一つの歯車の回転にてはね上がる潤滑油が前記遊星歯車機構にはね力かるように近接することを特徴とする前記請求項 1又は 2に記載した走行作業機。

[4] 前記遊星歯車機構における各遊星歯車を支持軸に回転自在に被嵌した状態で支持するキャリアの外周面に，円周方向に延びる環状溝を設けて，この環状溝内に前記一つの歯車における上部をのぞませる一方，前記遊星歯車機構に，前記環状溝内に開口するオイル通路を設けることを特徴とする前記請求項 3に記載した走行作

[5] 車輪等の走行手段にて支持され且つエンジンを搭載して成る走行機体に，ミツションケースを搭載し，このミッションケースに，油圧ポンプ及び油圧モータ力もなる油圧式変速機構と遊星歯車機構との組合せにより前記エンジンからの動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧 ·機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，前記ミッションケースに，ブラケット体を，前記ミッションケースに穿設した抜き窓を当該ブラケット体にて塞ぐように着脱可能に取付け，このブラケット体に，前記走行機体に装着される各種作業機への動力伝達用の PTO軸を，当該ブラケット体力突出するように軸支する一方，前記ブラケット体に，前記エンジン力も前記 ΡΤΟ軸への動力入力部と，前記 ΡΤΟ軸への動力伝達を ON · OFF操作するクラッチ機構とを設けることを特徴とする走行作業機。

[6] 前記動力入力部に，前記ブラケット体をミッションケースに取付けるとき，前記ェンジン力ゝらの動力伝達軸を差し込み結合するようにした軸継ぎ手を設けることを特徴とする前記請求項 4に記載した走行作業機。

[7] 車輪等の走行手段にて支持され且つエンジンを搭載して成る走行機体に，ミツションケースを搭載し，このミッションケースに，油圧ポンプ及び油圧モータ力もなる油圧式変速機構と遊星歯車機構との組合せにより前記エンジンからの動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧 ·機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，前記ミッションケースに，前記走行機体に装着される各種作業機への動力伝達用の PTO軸を軸支するとともに，前記エンジンから前記 PTO軸への動力伝達を ON · O FF操作するクラッチ機構を設け，更に，前記ミッションケースには，前記 PTO軸の回転を当該 PTO軸と一緒に回転する回転側制動体の非回転側制動体への押圧にて制動するようにしたブレーキ機構を設けて，このブレーキ機構を，前記クラッチ機構に ,前記クラッチ機構における動力伝達 ONの作動に連動して当該ブレーキ機構が非制動に作動し，前記クラッチ機構における動力伝達 OFFの作動に連動して当該ブレーキ機構が制動に作動するように関連したことを特徴とする走行作業機。

[8] 前記ブレーキ機構における非回転側制動体を回転自在に構成して，この非回転側制動体に，当該非回転側制動体における前記 PTO軸を回転駆動する方向への回転を阻止し，当該非回転側制動体における前記 PTO軸を回転駆動する方向と逆方向への回転を許容するようにした手段を設けることを特徴とする前記請求項 7に記載した走行作業機。

[9] 前記クラッチ機構と前記ブレーキ機構とを一本の軸に被嵌して設け，前記クラッチ機構と前記ブレーキ機構との間に，前記クラッチ機構を動力伝達 ONに作動すると同時に前記ブレーキ機構を非制動に作動し，前記クラッチ機構を動力伝達 ONに作動すると同時に前記ブレーキ機構を制動に作動するようにした作動機構を設けることを特徴とする前記請求項 7又は 8に記載した走行作業機。

[10] 車輪等の走行手段にて支持され且つエンジンを搭載して成る走行機体に，ミツションケースを搭載し，このミッションケースに，油圧ポンプ及び油圧モータ力もなる油圧式変速機構と遊星歯車機構との組合せにより前記エンジンからの動力を変速して前記走行手段に伝達する油圧 ·機械式変速装置を備えて成る走行作業機において，前記油圧モータを，二つの斜板式アキシャルピストンモータを直列に連結した構成にして，この両アキシャルピストンモータと前記油圧ポンプとの間に，油圧ポンプの吐出口力の油圧を両アキシャルピストンモータに供給し，両アキシャルピストンモータの排出口力の油圧を油圧ポンプに戻すようにした油圧回路を設けることを特徴とする走行作業機。

[11] 前記ミッションケースに，当該ミッションケースに穿設した抜き窓を塞ぐ蓋板を着脱自在に装着し，この蓋体における表裏両面のうち表面に，前記油圧ポンプと両アキシャルピストンモータのうち一方のアキシャルピストンモータを，裏面に，他方のアキシャルピストンモータを各々取付けることを特徴とする前記請求項 10に記載した走行作