2, 一 (1 H—テトラゾールー 5—ィル) ビフエニル— 4一力ルポアルデヒドの 製造方法
技術分野
本発明は、 医薬品、 特に非ペプチド系アンジォテンシン I I拮抗剤の有用な合 成中間体である、 2 ' — (1 H—テトラゾールー 5—ィル) ビフエ二ル— 4—力 ルポアルデヒドの製造方法、 さらには該化合物結晶の製造方法及び高純度該化合 物に関する。
背景技術
2 ' 一 (1 H—テトラゾ一ルー 5—ィル) ビフエ二ルー 4一力ルポアルデヒド は、 降圧剤であるアンギオテンシン I I拮抗剤の合成中間体として有用である (JP-H05-271205- A参照) 。
医薬品は安全性の確保のため不純物を厳格に管理しなければならず、 合成中間 体としての 2 ' — (1 H—テトラゾールー 5 _ィル) ビフエ二ルー 4一カルポア ルデヒドにおいても高純度のものが要求される。
特に 2, 一 ( 1 H—テトラゾール— 5 —ィル) ビフエ二ルー 4一力ルポアルデ ヒドは溶液状態で酸化されやすく、 生成した 2 ' — (1 H—テトラゾール— 5— ィル) ビフエ二ルー 4一力ルボン酸を不純物として含有するため、 純度が低下す るという問題がある。
2 ' - ( 1 H—テトラゾ一ルー 5—ィル) ビフエ二ル— 4—力ルポアルデヒド の製造方法として、 以下のスキームに示される方法が知られている (例えば JP- H05-271205-A) 。
しかしながら、 臭素化剤として用いている N—プロモコハク酸イミド (N B S ) 、 原料の 4—ブロモベンズアルデヒドジメチルァセタール、 触媒として用い ているジクロロビス (トリフエニルホスフィン) パラジゥム等が高価である上に、 収率も不十分であるため、 工業的製法として満足できるものではなかった。
また、 得られた 2, 一 (1 H—テトラゾ一ルー 5—ィル) ビフエ二ルー 4一力 ルポアルデヒドはその酸化体である 2, 一 ( 1 H—テトラゾールー 5 —ィル) ビ フエ二ルー 4一力ルボン酸等の不純物を含み、 医薬品の合成中間体として満足で きる純度の高い 2, 一 ( 1 H—テトラゾ一ルー 5—ィル) ビフエニル _ 4 一カル ポアルデヒドを得ることは困難であった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。
発明の開示
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、 2 ' —シァノビ フエ二ルー 4—力ルポアルデヒドと、 安価な有機塩基アジド、 無機塩基アジド等 のアジド塩とを反応させることにより、 2 ' 一 (1H—テトラゾール一 5—ィ ル) ビフエ二ルー 4—カルボアルデヒドが高い収率で得られることを見出した。 さらには、 高純度の 2, 一 (1 H—テトラゾールー 5—ィル) ビフエニル— 4 - カルポアルデヒド結晶を効率的に得る方法を見出すと共に、 当該方法で得られる 結晶が新規な物性値を示すことを見出し、 本発明を完成するに至つた。
すなわち、 本発明は以下のとおりである。 (以下は殆ど後ろの請求の範囲部分 と同じですので、 請求の範囲をご確認ください。 水色部分はチ Iック不要です。 ) <1> 2 ' ーシァノビフエ二ルー 4一力ルポアルデヒドを、 アジド塩と反応さ せることを含む 2, 一 ( 1 H—テトラゾールー 5—ィル) ビフエ二ルー 4一カル ポアルデヒドの製造方法。
<2> アジド塩が有機塩基アジドである、 く 1>に記載の方法。
<3> 有機塩基アジドが、 無機塩基アジドと有機塩基塩とから反応系中で調製 された有機塩基アジドである、 < 2 >に記載の方法。
<4> 2, —シァノビフエニル— 4—カルポアルデヒドが、 2 ' —シァノー 4 一 (プロモメチル) ビフエニル 及び Zまたは 2 ' ーシァノー 4_ (ジブロモ メチル) ビフエ二ルを、 へキサメチレンテトラミン、 酢酸および水と反応させる ことにより得られ、 2 ' ーシァノー 4一 (プロモメチル) ビフエニル 及び/ま たは 2 ' ーシァノー 4一 (ジブロモメチル) ビフエエルが 2 ' ーシァノー 4一 メチルビフエニルを臭素化することにより得られる <1>〜< 3 >のいずれかに 記載の方法。
<5> 臭素化が、 ラジカル開始剤および酸化剤の存在下、 臭素によって行われ る < 4 >に記載の方法。
<6> 2, ーシァノビフエ二ルー 4—力ルポアルデヒドのアジド塩との反応が 溶媒中で行われる < 1 >〜< 5〉のいずれかに記載の方法。
<7> 2 ' ーシァノビフエ二ルー 4一力ルポアルデヒドのアジド塩との反応後、 更に 2 ' ― ( 1 H—テトラゾ一ルー 5—ィル) ビフエニル— 4 _カルポアルデヒ ド結晶を取得することを含む < 1 >〜< 6 >のいずれかに記載の方法。
<8> 結晶取得後、 該結晶を更にテトラヒドロフラン中で溶解し、 その高純度 結晶を再結晶化させることを含む < 7 >に記載の方法。
<9> 2 ' ーシァノビフエ二ルー 4一力ルポアルデヒドを、 アジド塩と反応さ せ、 2, — (1H—テトラゾール— 5—ィル) ピフエ二ルー 4 _カルポアルデヒ ド結晶を取得し、 得られた該結晶をテトラヒドロフラン中に溶解し、 高純度結晶 を再結晶化させることを含む 2, - (1 H—テトラゾ一ル _ 5—ィル) ビフエ二 ルー 4一力ルポアルデヒド髙純度結晶の製造方法。
< 1 0> 2 ' - ( 1 H—テトラゾールー 5—ィル) ピフエニル— 4 _カルボン 酸を含有する 2 ' — ( 1 H—テトラゾールー 5—ィル) ビフエ二ルー 4—力ルポ アルデヒド粗結晶をテトラヒドロフラン中で溶解し、 実質的に 2 ' - (1H—テ トラゾ一ル _ 5 _ィル) ビフエ二ルー 4—カルボン酸を含有しない高純度 2' - ( 1 H—テトラゾールー 5一ィル) ビフエ二ルー 4一力ルポアルデヒドを再結晶 化させることを含む 2, 一 ( 1 H—テトラゾ一ルー 5—ィル) ビフエ二ルー 4 _ カルポアルデヒド結晶の精製方法。
< 1 1 > 2, - ( 1 H—テトラゾールー 5—ィル) ビフエ二ルー 4一力ルボン 酸を実質的に含まない高純度 2 ' ― (1H—テトラゾ一ル— 5—ィル) ビフエ二 ルー 4—カルポアルデヒド結晶。
< 12> XRD分析において、 26>が 9. 2、 20. 6、 25. 7および 26. 9に主ピークを有する、 高純度 2 ' - ( 1 H—テトラゾールー 5—ィル) ビフエ 二ルー 4一力ルポアルデヒド結晶。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳細に説明する。
本発明は、 下記スキームに示されるように、 式 ( I) で示される 2 ' —シァノ ビフエ二ル _ 4一カルボアルデヒド (以下、 CBALと記すことがある。 ) を、 ァ ジド塩と反応させる工程 (以下、 工程 (c) と記す。 ) を含む 2 ' — (1H—テ トラゾールー 5—ィル) ビフエニル— 4_力ルポアルデヒド (以下、 TBALと記 すことがある。 ) の製造方法であり、 該方法に、 必要に応じて、 工程 (c) にお いて結晶化により得られる TBAL粗結晶をテトラヒドロフランに溶解し、 再結晶 化させる工程 (以下、 結晶化工程と記す。 ) を付すことにより TBALの高純度結 晶を得ることができる。
スキーム 2
1. 工程 (c)
工程 (c) は、 例えば溶媒中に、 CBALとアジド塩とを加え、 加熱攪拌するこ とにより実施される。
工程 (c) に使用されるアジド塩としては、 無機塩基アジド及び有機塩基アジ ドを挙げることができる。
無機塩基アジドとしては、 例えばナトリウムアジド、 カリウムアジド、 セシゥ ムアジド等が挙げられ、 ナトリゥムアジドが安価であることから好ましい。
有機塩基アジドとしては、 例えばトリェチルアンモニゥムアジド、 トリ n—プ 口ピルアンモニゥムアジド、 トリ n—プチルアンモニゥムアジド等が挙げられ、 好ましくはトリェチルアンモニゥムアジド、 トリ n—プロピルアンモニゥムアジ ド等が挙げられる。
アジド塩の使用量は、 反応完結の点及び過剰アジド塩分解用亜硝酸塩等の添加 量の増加を防止する点から、 CBAL 1モルに対し、 2 . 5モル〜 3 . 5モルが好 ましく、 2 . 5モル〜 3 . 3モルがより好ましい。
アジド塩としては、 溶媒への溶解性の観点から有機塩基アジドが好ましく、 有 機塩基アジドを無機塩基アジドと有機塩基塩とから反応系中で調製するのが、 よ り高収率が得られることからさらに好ましい。
溶媒中に CBALと共に、 無機塩基アジドと有機塩基塩を添加することによって 反応系内で有機塩基アジドを調製することができる。
有機塩基アジドを調製する場合、 無機塩基アジドとしてはナトリウムアジドが 好ましく、 有機塩基塩としては、 トリェチルァミン塩酸塩、 トリ n—プロピルァ ミン塩酸塩、 トリ n—プチルァミン塩酸塩等のトリアルキルァミンの無機酸塩が 好ましい。
有機塩基アジドを調製する場合の無機塩基アジドの使用量は、 上記のアジド塩 の使用量と同様であり、 有機塩基塩の使用量は、 有機塩基アジドの充分な調製を 確保する点及び反応系中の固形分増加による撹拌阻害を防止する点から、 無機塩 基アジド 1モルに対し 0 . 8モル〜 1 . 5モルが好ましく、 1モル〜 1 . 2モル がより好ましい。 '
工程 (c ) に使用される溶媒としては、 当該反応を阻害しないものであれば特 に限定はなく、 例えばモノクロルベンゼン、 メチルイソプチルケトン (M I B K) 、 酢酸プチル、 ジグライム、 ジメチルスルホキシド、 N , N—ジメチルホル ムアミドなどをあげることができる。 それらは単独で、 或いは 2種以上を混合し
て使用することができる。 好ましくはモノクロルベンゼン、 酢酸ブチルが挙げら れる。
溶媒の使用量としては、 CBAL1モルに対して通常 1000〜 2000 gであ り、 より好ましくは 1200〜1500 gである。
工程 ( c ) の反応温度は、 通常 90〜: I 20 ° (、 好ましくは 100〜 1 1 5 °C の範囲である。 反応時間は、 通常 6〜 12時間である。
工程 (c) の反応終了後に、 過剰のアジド塩を分解処理する必要がある。 アジ ド塩の分解法としては、 亜硝酸で分解する方法が好ましい。
亜硝酸を使用する場合、 亜硝酸塩と酸とから亜硝酸を調製するのが好ましい。 具体的には、 工程 (C ) の反応終了後、 反応混合物を冷却し、 亜硝酸塩および 酸を添加することにより、 反応系中に亜硝酸を調製することができる。
亜硝酸塩としては、 亜硝酸ナトリウム、 亜硝酸カリウム、 亜硝酸カルシウム等 が挙げられ、 亜硝酸ナトリゥムが経済性の観点より好ましい。
亜硝酸を生成させるための酸としては、 塩酸、 硫酸、 リン酸などの無機酸が挙 げられ、 塩酸が好ましい。
酸により亜硝酸を生成させる際には、 酸により反応系の pHを調整するのが好 ましい。 この際の pHは、 pH 3〜 7に調整するのが好ましく、 pH4. 5 ±0. 5に調整することが、 不純物の生成の防止または安全性の観点からより好ましい。 アジド塩の分解の際には、 分解反応を円滑に進め、 不純物の生成を抑制するた めに、 親水性の溶媒を加えることが望ましい。 親水性の溶媒としては、 テトラヒ ドロフラン、 アセトン等が挙げられ、 テトラヒドロフランが好ましい。
親水性溶媒の使用量は、 CBAL1モルに対して、 通常 1 500〜2500 g、 好ましくは 1 800〜 2200 gである。 アジド塩の分解温度は、 通常 10〜4 0°Cである。
工程 (C ) で得られた TBALは、 通常の単離法 (濃縮、 抽出等) により単離す ることができるが、 以下の方法により、 TBAL粗結晶を単離するのが好ましい。
ここで、 「TBAL粗結晶」 とは工程 (c) で単離される結晶をいい、 高速液体 クロマトグラフィー (HPLC) で分析したとき、 面積百分率 90%〜9 5 %程 度のものである。
アジド塩の分解処理終了後、 水層を分液除去し、 有機層を結晶が析出しない程 度に濃縮し、 添加した親水性溶媒を除去する。
その後混合物を徐々に (冷却速度 1 o Z時間程度) で冷却することによって 結晶を析出させ、 0〜5°C付近で 2〜40時間程度熟成する。 析出した結晶を濾 過、 洗浄、 乾燥することによって、 TBAL粗結晶を単離することができる。 2. 結晶化工程
工程 (c) で得られた TBAL粗結晶は、 酸化体である 2 ' - (1 H—テトラゾ 一ルー 5 _ィル) ビフエ二ルー 4 _カルボン酸 (以下、 TBCAと記すことがあ る。 ) 等を不純物として含んでいるため、 医薬品の合成中間体としては純度が低 く、 実用的にはさらに精製する必要がある。
TBAL粗結晶は、 テトラヒドロフランに溶解後、 この溶液から再結晶化させる ことにより、 含まれる不純物を効果的に除去することができ、 特に主要な不純物 である TBCAを実質的に含まない TBAL高純度結晶を得ることができる。
TBAL高純度結晶において、 「TBCAを実質的に含まない」 とは、 HPLCで分 析した場合、 TBCAの面積百分率が 0. 1 %以下であることをいい、 「TBAL高純 度結晶」 とは、 TBALの面積百分率が 9 9. 5 %以上のものをいう。
結晶化工程は、 TBAL 粗結晶をテトラヒドロフランに溶解させた後に、 攪拌下、 徐々に冷却して結晶を析出させ、 さらに熟成させることにより行うことができる。 結晶化工程において、 テトラヒドロフランの使用量は、 不純物混入防止の点、 回収率の点等から、 TBAL粗結晶 1 00重量部あたり、 480〜 7 00重量部が 好ましく、 490〜 6 50重量部がより好ましい。
TBAL粗結晶をテトラヒドロフランに溶解させる温度は、 5 5 °C〜6 8 °Cの範 囲が好ましい。
TBAL粗結晶をテトラヒドロフランに溶解させた後、 そのまま結晶を析出させ てもよいが、 析出前に夾雑物を除くために熱時濾過してもよい。
冷却して結晶を析出させる際には、 結晶成長を安定化させ、 不純物の除去効果 を向上させるために種結晶 [TBAL] を添加するのが好ましい。
添加する種結晶の量は、 TBAL粗結晶の通常 0 . 0 1〜1重量%, 好ましくは 0 . 0 5〜0 . 3重量%程度である。
種結晶を添加する温度は、 5 0 ° (:〜 5 5 が好ましい。 種結晶を添加すると直 ちに結晶が析出するため、 同温にて 2〜6時間攪拌するのが好ましい。 この段階 で、 全量の 7 0〜 9 5 %程度の結晶が析出する。
収率よく結晶化させるためには、 さらに 0〜 5 程度まで冷却する方がよく、 1 0 ^ 時間程度の冷却速度で同温まで徐々に冷却するのが好ましい。
さらに収率を向上させるためには、 0〜5 °Cで保持させることが好ましく、 保 持時間は例えば 6〜 1 2時間程度である。
析出した結晶を濾過する際、 結晶の再溶解を防ぐため冷却下 (具体的には 0〜 5 °C) で濾過するのが好ましく、 濾過後の洗浄における洗浄溶媒も同温に冷却し たものを用いるのが好ましい。
洗浄溶媒としては、 例えばテトラヒドロフランおよびァセトニトリルが挙げら れ、 ァセトニトリルが好ましい。
洗浄溶媒の使用量は、 TBAL粗結晶 1 0 0重量部あたり 3 0〜8 0重量部が好 ましく、 4 0〜 6 0重量部がより好ましい。
濾過、 洗浄した結晶を、 減圧下 5 0 °C以下、 好ましくは 4 0〜4 8 °Cで乾燥す ることにより、 「TBAL高純度結晶」 が得られる。
結晶化工程で得られた TBAL結晶は、 TBCAを実質的に含まない髙純度なもので あり、 H P L C面積百分率が 9 9 . 5 %以上である。
また当該 TBAL高純度結晶は、 新規な物性を示す。
例えば、 DS C分析 (示差走査熱量計による分析) において 1 9 5°C付近の吸 熱ピークを示し、 XRD分析 (粉末 X線回析法) において、 回折角 20 (° ) が 9. 2、 20。 6、 2 5. 7および 26. 9に主ピークを有する。
なお、 本発明において、 DS C値(value by differential scanning calori metry)は Shimadzu DSC - 60 (島津製作所社製) で測定した値を示し、 XRD値 (value by X-ray di f fraction)は Rigaku ミニフレックス (理学電機社製) で 測定した値を示す。
「D S C分析において 1 9 5°C付近の吸熱ピークを示す」 とは、 結晶を Shima dzu DSC - 60で分析したとき、 1 90〜 200.°Cのいずれかの温度において単一 の吸熱ピークを示すことをう。 工程 (c) の原料である CBALは、 公知の方法 (例えば、 Synlett (2001), (12), 1893-1896, Organic Letters (2001), 3(10), 1435-1437, JP-H11-17 1802-A, Journal of the American Chemical Society (1995), 117(48), 11 999-2000, Tetrahedron Letters (1994), 35(50), 9391-4, EP 606065 Al, U S 53807, EP 443983 Al, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (199 3), 3(12), 2667-70等に記載の方法) によって製造されたものを用いることが できるが、 以下の反応スキームに示す方法によって製造するのが好ましい。
スキーム 3
すなわち、 CBALは、 2 ' —シァノ— 4ーメチルビフエニル (以下、 CMBと記 すことがある。 ) を臭素化して 2 ' ーシァノー 4一 (プロモメチル) ビフエ二ル (以下、 CMBMBと記すことがある) および Zまたは 2 ' —シァノー 4— (ジブ口 モメチル) ビフエ二ル (以下、 CDBMBと記すことがある。 ) を製造する工程 (以 下、 工程 (a ) と記す。 ) と、 得られた CMBMBおよび Zまたは CDBMBを、 へキ サメチレンテ卜ラミン、 酢酸および水と反応させる工程 (以下、 工程 (b ) と記 す。 ) により製造することができる。
工程 (a ) の臭素化において、 モノブロモ体の CMBMBを製造する際、 ジブ口 モ体である CDBMBが副生するが、 工程 (b ) においては、 へキサメチレンテト ラミンとの反応により、 CMBMB と CDBMBの両方とも CBAL に変換することができ、 臭素化反応を厳格に制御する必要がないので有利である。
3 . 工程 (a )
工程 (a ) において臭素化は種々な方法で行うことできる。 例えば、 ラジカル 開始剤の存在下、 N—プロモコハク酸イミドゃ臭素などの臭素化剤との組合せで 行うことができるが (JP- H08-1 27562- A参照) 、 本発明者らが提案する、 ラジ カル開始剤および酸化剤の存在下、 臭素と反応させる方法 〔以下、 工程 (a— 1 ) と記す。 〕 が好ましい。
工程 (a— 1 ) では、 酸化剤を共存させることにより、 臭素化により副生する 臭化水素を臭素に再生できるため、 臭化水素による反応の阻害を防ぐことができ、 また、 臭素の使用量も低減できるため経済的に有利である。 以下に、 工程 (a— 1 ) について説明する。
工程 (a— 1 ) は、 例えば溶媒中、 CMB を、 ラジカル開始剤と酸化剤の存在下、 臭素と反応させることにより達成される。 試薬の添加順序は特に限定はないが、 操作性の観点から、 溶媒中にあらかじめ仕込んだ CMB、 ラジカル開始剤および酸 化剤の混合物に、 臭素とラジカル開始剤またはそれらの溶液を同時に添加すると
いう順序で反応を行うことが好ましい。 また、 反応を円滑に進行させるために、 攪拌下に反応を行うことが好ましい。
工程 (a— l) において、 臭素の使用量は、 未反応原料の残存防止による次ェ 程における収率低下防止の点からは、 CMB1モルに対して、 通常 4モル以上 であり、 好ましくは 0. 4〜0. 9モル、 さらに好ましくは 0. 7 5〜0. 8 5 モルである。
工程 (a— l) における原料である CMBは、 公知の方法、 例えば、 J . Me d. C h em. 1 9 9 1, 34, 2 5 2 5— 2 547、 JP-H04-244080-A, JP-H 04-253949- A、 JP-H06-9536-Aに記載の方法等により製造することができる。 ラジカル開始剤としては、 ァゾビス系化合物、 過酸化物等のラジカル開始剤が 用いられる。 具体的にはァゾビス系化合物として、 2, 2 ' —ァゾビス (4ーメ トキシ— 2, 4ージメチルバレロニトリル) 、 2, 2 ' —ァゾビスイソプチロニ トリル、 2, 2 ' —ァゾビス (2—メチルプチロニトリル) 、 2, 2 ' —ァゾビ ス (2, 4—ジメチルバレロニトリル) ;過酸化物として過酸化ジベンゾィル、 過酸化ジ t—ブチル等が挙げられ、 好ましくは、 2, 2 ' —ァゾビス (2—メ チルプチロニトリル) 、 2, 2 ' ーァゾビス (2, 4—ジメチルバレロニトリ ル) が挙げられ、 特に好ましくは 2, 2 ' ーァゾビス (2—メチルプチロニトリ ル) が挙げられる。
ラジカル開始剤の使用量は、 反応速度の点、 添加量に見合う効果の点等から原 料である CMBに対して、 通常 0. 1〜 1 0モル%、 好ましくは 1〜4モル%で ある。
酸化剤としては、 取扱いが比較的安全な酸化剤、 例えば臭素酸ナトリウム、 臭 素酸力リゥム等の臭素酸塩;塩素酸ナトリゥム、 塩素酸力リゥム等の塩素酸塩が 挙げられ、 好ましくは、 臭素酸ナトリウムが挙げられる。
酸化剤の使用量は、 副生する臭化水素を臭素に再生するために理論的に必要な 量またはその僅かに過剰量であればよく、 臭素の充分な再生によって収率低下を
防止する点、 添加量に見合う効果の点等から、 原料である CMBに対して、 通常 1 0〜3 0モル%、 好ましくは 1 7〜 2 5モル%である。
工程 (a— 1 ) で用いられる溶媒としては、 例えば、 塩化メチレン、 エチレン ジクロライド、 四塩化炭素、 モノクロルベンゼン、 o—ジクロルベンゼン、 ブロ モベンゼン等のハロゲン化炭化水素;へキサン、 ヘプタン、 シクロへキサン等の 炭素数 5〜 7のアルカン;酢酸メチル、 酢酸ェチル、 プロピオン酸メチル、 プロ ピオン酸ェチル等の脂肪族エステルなどが挙げられ、 モノクロルベンゼンが好ま しい。
当該溶媒の使用量は、 撹拌効率の点、 反応速度の点等から、 原料である CMB に対して通常 0 . 5〜2 0倍重量、 好ましくは 1〜2 0倍重量、 より好ましくは 1〜 1 5倍重量である。
工程 (a— 1 ) における反応の系中には、 水を含有させることが好ましい。 水 を含有させることにより、 攪拌効率が飛躍的に向上し、 反応を円滑に進行させる ことができる。 水の含量は、 酸化剤に対して 1〜4倍重量が好ましく、 1 . 5〜 2 . 5倍重量がより好ましい。
工程 (a— 1 ) の反応温度は、 ラジカル開始剤等によって異なるが、 通常は 5 0〜: L 0 0 °C、 好ましくは 5 0〜8 5 °C、 より好ましくは 6 0〜 8 5 °Cである。 なお、 ラジカル開始剤は、 光照射によりラジカルを生成させることもできる。 そ の場合、 水銀ランプ等を用いて行うことができる。 また、 反応時間も上記の各種 反応条件に応じて適宜定められる (例えば、 3〜 1 0時間程度) 。
工程 (a— 1 ) で得られる CMBMBおよび Zまたは CDBMBは、 定法により反応 混合物から単離精製することができる。 例えば、 無機塩を濾過等により除去した 後、 必要に応じて、 溶媒を留去し、 適当な別の溶媒で結晶化させる等により行う ことができる。 また、 特に単離精製をせず、 反応混合物として次工程に供しても よい。
4. 工程 (b)
工程 (b) では、 例えば溶媒中、 工程 (a) で得られる CMBMBおよび Zまた は CDBMB 〔以下、 両者を併せてブロモ体等と記すことがある。 〕 を、 へキサメチ レンテトラミン、 酢酸および水と反応させることにより、 CBALを製造すること ができる。
原料のブロモ体等は、 単離精製したものを用いてもよいし、 工程 (a) の反応 溶液をそのまま用いてもよい。
以下に、 単離精製したブロモ体等を用いる場合 〔以下、 工程 (b— 1) と記 す。 〕 と、 工程 (a) の反応混合物を用いる場合 〔以下、 工程 (b— 2) と記 す。 〕 について、 それぞれ説明する。
4— 1. 工程 (b - 1)
工程 (b— 1) において使用する溶媒としては、 工程 (a) で使用された溶媒 の他、 エタノール等が挙げられる。 溶媒の使用量は、 ブロモ体等に対して、 通常 2〜 3重量倍である。
工程 (b_ l) において水は、 反応試薬以外にも溶媒としても機能し、 ブロモ 体等 1モルに対して通常 500〜600 g用いられる。
酢酸も、 水と同様に溶媒としても機能し、 ブロモ体等 1モルに対して通常 40 0〜500 g用いられる。
へキサメチレンテトラミンの使用量は、 ブロモ体等 1モルに対して、 通常 1. 5〜 3モルであり、 好ましくは 1. 8〜2. 5モルである。
反応温度は、 通常 80〜1 03°C、 好ましくは 90〜 100°Cである。
反応時間は、 例えば HP L Cで反応液中における原料であるブロモ体等の面積 百分率が 0. 5 %以下になった時点を終点とすればよく、 通常 8〜 14時間であ る。
4- 2. 工程 ( b - 2 )
工程 (b— 2) において使用する溶媒としては、 工程 (a) で使用された溶媒 の他、 エタノール等が挙げられる。 工程 (a) で使用された溶媒を含む溶媒の総 使用量は、 工程 (a) で使用した CMB1モルに対して通常 800〜1000 g、 好ましくは 850〜900 gである。
工程 (b— 2) において水は、 反応試薬以外にも溶媒としても機能し、 工程 (a) で使用した CMB1モルに対して通常 200〜350 g、 好ましくは 250 〜300 g用いられる。
酢酸も、 水と同様に溶媒としても機能し、 工程 (a) で使用した CMB1モルに 対して通常 350〜500 g、 好ましくは 400 g〜450 g用いられる。 へキサメチレンテトラミンの使用量は、 工程 (a) で使用した CMB1モルに対 して、 通常 2〜 4モルであり、 好ましくは 2. 5〜3. 5モルである。
反応温度は、 通常 80〜103°C、 好ましくは 90〜 100°Cである。
反応時間は、 例えば、 HP LCで反応液中における原料であるブロモ体等の面 積百分率が 0. 5 %以下になった時点を終点とすればよく、 通常 10〜14時間 である。 工程 (b— 1) または工程 (b— 2) で得られる CBALは、 定法により単離 (例えば濃縮、 抽出等) 及び精製 (例えば再結晶、 シリカゲルクロマトグラフィ —等) することができるし、 また、 以下の方法で処理することによって、 単離精 製することもできる。
反応終了後 85〜 95°Cで静置することにより、 水層を分液、 除去し、 希アル カリ性水溶液 (例えば、 炭酸カリウム水溶液、 炭酸ナトリウム水溶液、 炭酸水素 ナトリウム水溶液等) で pH7〜8に調整し、 有機層を洗浄する。 次いで、 静置 後、 水層を分液、 除去し、 有機層を濃縮して、 残渣をモノクロ口ベンゼン、 トル
ェン、 酢酸ェチル等から再結晶する。 この方法により CBALを精製することがで きる。
モノクロロベンゼンを反応溶媒として使用している場合は、 有機層を一部濃縮 することによって、 モノクロ口ベンゼンから CBAL を結晶化させるのが好ましい。 その場合、 モノクロ口ベンゼンの量が、 原料であるブロモ体等または CBAL 1 モルに対し、 通常 580 g〜630 gの範囲になるように濃縮すればよい。 本発明により製造される TBAL高純度結晶は、 例えば前記 JP- H05- 271205- A記 載の方法等により、 高品質のアンジォテンシン I I拮抗剤に導くことができる。 以下、 本発明について、 実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、 本発明は これらにより何ら限定されるものではない。
なお、 NMR (核磁気共鳴スペクトル) は、 J NM— AL 400 (日本電子社 製) で測定した値を示し、 I R (赤外線吸収スペクトル) は、 PerkinElmer Spe ctrumlOOO (パ一キンエルマ一社製) で測定した値を示す。
実施例 1 : CBALの製造
モノクロルベンゼン (1000 g) に CMBMB (400 g, 1. 47 m o 1 ) を 加え、 ついで水 (812 g) 、 へキサメチレンテトラミン (41 2 g, 2. 94 mo 1 ) および酢酸 (618 g, 10. 29 m o 1 ) を加えた後、 93 で 9時 間攪拌した。 85~90°Cで 1時間静置し、 分液した。 有機層に水 (795 g) を加え、 ついで 10 %炭酸カリウム水溶液 (684 g) を加えて pHを?〜 8に 調整した。 1時間静置後、 分液した。 22. 7〜33. 3 kP aの減圧下、 85 〜95 °Cでモノクロルベンゼンを 142m l留去した。 7 Ot:で 2時間攪拌して 結晶を成長させた後、 10°CZ時間の速度で 0〜5°Cまで冷却し、 同温で 5時間 攪拌した。 濾過し、 約 5°Cに冷却したモノクロルベンゼン (400 g) で結晶を 洗浄し、 約 60°Cで乾燥して CBAL (235. 6 g) を得た。 収率 77. 3 %
lH - NMR (400MHz, CDC 13, δ p p m) 7. 5 (2H, m, P h) , 7. 6 ( 1 H, m, P ) , 7. 7 (2 H, d, P h) , 7. 8 ( 1 H, m, P h) , 8. 0 (2H, d, P h) , 1 0. 1 ( 1 H, s, CHO) .
I R (KB r ) ソ 2224, 1687 cm-1 実施例 2 : CBALの製造
(1) モノクロルベンゼン (450 g) に CMB (300 g, 1. 55 m o 1 ) を加え、 臭素酸ナトリウム (50. l g, 0. 33mo l) を 95. 3 gの水に 溶解した溶液を加えた。 2, 2 ' —ァゾビス (2 _メチルプチロニトリル) (2. 0 g, 0. 0 lmo 1 ) をモノクロルベンゼン (10 g) に溶解し、 75°C〜8 5 °Cで先の溶液に加えた後、 直ちに 2, 2 ' ーァゾビス (2—メチルプチロニト リル) (89 g, 0. 05mo 1 ) をモノクロルベンゼン (48. 8 g) に溶解 した溶液と臭素 (198. 5 g, 1. 24mo 1 ) を 70〜80°Cで夫々同時に 滴下した。 2, 2 ' —ァゾビス (2—メチルプチロニトリル) の溶液は約 0. 2 2 gZ分、 臭素は約 0. 73 g/分の速度で滴下した。 70〜7 5°Cで 5時間攪 拌し、 HP LC分析条件 (1) で反応液をチェックし、 原料が面積百分率 1 %以 下となったことを確認し、 CMBMBと CDBMBの混合溶液を得た。 HP L C分析条件
(1) で分析すると面積百分率で CMBMBは 63. 6 %、 CDBMBは 36. 2 %、 原 料の CMBは 0. 2 %であった。
(2) モノクロルベンゼン (720 g) に水 (420 g) 、 酢酸 (662 g) 及びへキサメチレンテトラミン (653 g, 4. 66mo 1 ) を加えた後、 上記 で得られた CMBの臭素化反応溶液全量を加え、 上記反応容器をモノクロルベン ゼン (120 g) で洗浄し、 反応液に加えた。 約 90°Cで 1 1時間攪拌した。 8 5〜90°Cで 1時間静置し、 水層を分液、 除去した。 有機層に水 (840m l ) を加え、 10%炭酸カリウム水溶液(540 g)で pHを 7. 8に調整し、 静置
した。 水層を分液、 除去した後、 40〜50 kP aの減圧下、 85〜95°Cでモ ノクロルベンゼンを 1 50m l留去した。
75°Cに冷却し、 種結晶を加えた後、 同温で 2時間攪拌した。 10°CZ時間の 速度で冷却し、 8〜12でで 6時間熟成した。 濾過し、 約 5でに冷却したモノク ロルベンゼン (420 g) で結晶を洗浄、 約 60 で乾燥して、 CBAL (2 50. 9 g) を得た。 収率 78 %
HP LC分析条件 (1)
カラム: SUM I PAX— ODS— A 212, 内径 6 mm, 長さ 15 cm (住化 分析センター社製) ;移動相: A液: 0. 1 %酢酸水, B液:メタノール, A : B = 4 : 6→0 : 10 (40分, 直線濃度勾配) , 流速: 1. 0 m l Z分, 検 出: λ = 254 nm. 実施例 3 : TBAL粗結晶の製造
モノクロルベンゼン (8510 g) に CBAL ( 1294 g, 6. 24mo 1 ) とトリエチルァミン塩酸塩 (2579 g, 18. 73 m o 1 ) を加え、 窒素雰囲 気下でアジ化ナトリウム (12 18 g, 18. 73mo 1 ) を加えて約 1 1 0°C に加熱、 攪拌した。 HP LC分析条件 (2) で反応液をチェックし、 原料の CBA Lが面積百分率 1. 0%以下となった時点で約 10°Cに冷却した。 テトラヒドロ フラン (12. 64 k g) 、 水 (4. 79 k g) を加え、 ついで 1 5 %亜硝酸ナ トリウム水溶液 (5. 745 k g, 12. 49mo l ) を加えた。 17. 5 %塩 酸 (7. 03 k g) を滴下し、 pHを 5. 0± 0. 1に調整した。
静置後、 水層を分液、 除去し、 有機層を 40〜45 k P aの減圧度、 35〜4 5 °Cで濃縮した。 留出液が 12. 2 k g (残液量として 10%wZw程度) とな つた時点で濃縮を終了し、 10°CZ時間の速度で 0〜5°Cまで冷却し、 同温で 5 時間熟成した。 濾過後、 0〜5°Cに冷却したモノクロルベンゼン (1294 g)
で結晶を洗浄し、 減圧下 (約 8 kP a) 、 50 以下で乾燥し、 TBAL粗結晶 ( 1250 g) を得た。 収率 80.0%
得られた TBAL粗結晶を HP LC条件 (2) で分析したところ、 面積百分率 9 6. 1 %であり、 また、 不純物の TBCAの面積百分率は 0. 73%であった。
HP LC分析条件 (2)
カラム: SUM I PAX— ODS— A21 2, 内径 6 mm, 長さ 1 5 cm (住化 分析センタ一社製) ;移動相: A液: 0. 1 %酢酸水, B液:ァセトニトリル, A: B= 7 : 3→4 : 6 (40分, 直線濃度勾配→ A: B = 4 : 6で 1 0分間保 持) , 流速: 1. 0 m 1 /分, 検出: λ = 254 nm. 実施例 4 TBAL高純度結晶の製造
テトラヒドロフラン (7736 g) に TBAL粗結晶 (TBALの面積百分率: 96.
1 %、 TBCAの面積百分率: 0. 73%) ( 1250 g, 5. O Omo l) を加 えて、 窒素雰囲気下で約 65 °Cに加熱した。 溶解を確認した後、 濾過し、 テトラ ヒドロフラン (57. 6g) で洗い込んだ。 約 55 で TBALの種晶 (1. 4 g) を添加し、 窒素雰囲気下で 50〜 55°Cで 3時間保温し、 10°CZ時間の速 度で 0〜5t:まで冷却した。 同温で 6時間熟成し、 ろ過し、 0〜5°Cに冷却した ァセトニトリル (498 g) で結晶を洗浄した。 48〜50°Cの温度で乾燥し、
TBAL高純度結晶 (l O O O g) を得た。 精製収率 80%
得られた TBAL高純度結晶を HP LC条件 (2) で分析したところ、 面積百分 率で 99. 5%であり、 TBCAのピークは検出されなかった。
DSC分析 (示差走査熱分析) :
Shimadzu DSC - 60 (島津製作所社製) で得られた高純度結晶を D S C分析し たところ、 1 95 °Cの吸熱ピ一クを有することが分った。
XRD分析 (粉末 X線回析) :
以下の条件で、 得られた TBAL高純度結晶の XRD分析を行った。
Rigakuミニフレックス (理学電機社製)
Κ]3フィルター
波長 K a,
XGターゲット C u
スリツ卜 発散スリット
高純度結晶は、 XRD分析におけるその 20が 9. 2、 20. 6、 25. 7お よび 26. 9に主ピークを示すことが分った。 実施例 5 : TBAL粗結晶の製造
モノクロルベンゼン (50 g) に CBAL ( 10 g, 0. 05mo 1 ) とトリエ チルァミン塩酸塩 (19. 9 g, 0. 14mo 1 ) を加え、 窒素雰囲気下でアジ 化ナトリウム (9. 4 g, 0. 1 mo 1 ) を加えて約 105 °Cに加熱攪拌した。 HP LC分析条件 (3) で反応液をチェックし、 原料が面積百分率 0. 8%とな つた時点で 25 °Cに冷却した。 テトラヒドロフラン (98 g) と水 (37 g) を 加え、 ついで 1 5%亜硝酸ナトリウム水溶液 (44. 4 g, 0. lmo 1 ) を加 えた。 17. 5%塩酸 (54. 3 g) を滴下して加え、 pHを 4. 0に調整した。 静置後、 水層を分液、 除去し、 有機層を 40 kPa以下の減圧度、 40〜4 5 °Cで濃縮した。 残液量が 46. 3 gとなった時点で濃縮を終了し、 10°C/時 間の速度で 0〜5°Cまで冷却し、 同温で 25時間熟成した。 濾過し、 0〜5。Cに 冷却したモノクロルベンゼン (10 g) で結晶を洗浄し、 減圧下、 50°C以下で 乾燥し、 TBAL粗結晶 (1 1. 8 g) を得た。 収率 97. 9 %
得られた粗製の結晶を HP LC分析条件 (3) で分析したところ、 面積百分率 で純度 92. 6 %であり、 また、 不純物の TBCAの面積百分率は 0. 87 %であ つ 7こ。
HP LC分析条件 (3)
カラム: SUM I PAX— ODS—A212, 内径 6 mm, 長さ 15 cm (住化 分析センタ一社製) ;移動相: A液: 0. 0 14%トリフルォロ酢酸水, B液: ァセトニトリル, A: B=7 : 3→1 : 9 (40分, 直線濃度勾配) , 流速: 1. 0 m 1 /分, 検出: λ = 254 nm. 実施例 6 : TBAL高純度結晶の製造
テトラヒドロフラン (147 g) に TBAL粗結晶 (TBALの面積百分率: 92. 6%、 TBCAの面積百分率: 0. 87%)
(30 g, 0. 14mo 1 ) を加え、 窒素雰囲気下で約 60 X:に加熱した。 溶解 を確認した後、 55 °Cで TBALの種結晶 (0. 03 g) を接種し、 窒素雰囲気下 で 50〜55°Cで 3時間保温し、 10 /時間の速度で 0°Cまで冷却した。 同温 で 10時間熟成し、 ろ過し、 0〜5°Cに冷却したァセトニトリル (12 g) で結 晶を洗浄し、 減圧下、 50°C以下で乾燥し、 TBAL高純度結晶 (18. 0 g) を 得た。 精製収率 60. 0 %
得られた嵩純度結晶を HP LC分析条件 (3) で分析したところ、 面積百分率 99. 7%であり、 また、 不純物の TBCAの面積百分率は 0. 05%であった。 DS C分析 (示差走査熱分析) :
Shimadzu DSC - 60 (島津製作所社製) で得られた高純度結晶を D S C分析し たところ、 195°Cの吸熱ピークを有することが分った。
XRD分析 (粉末 X線回析) :
得られた高純度結晶を上記と同じ条件で X R D分析したところ、 その 20が 9. 2、 20. 6、 25. 7および 26. 9に主ピークを示すことが分った。 実施例 7 : TBAL粗結晶の製造
酢酸ブチル ( 193 g) に CBAL (30 g, 0. 1 5 m o 1 ) とトリエチルァ ミン塩酸塩 (59. 8 g, 0. 43 mo 1 ) を加え、 窒素雰囲気下でアジ化ナト
リウム (28. 2 g, 0. 43mo 1 ) を加えて約 105°Cに加熱攪拌した。 H PLC分析条件 (3) で反応液をチェックし、 原料が面積百分率 0. 13%とな つた時点で 25°Cに冷却した。 テトラヒドロフラン (293 g) と水 (1 1 1 g) を加え、 ついで 15%亜硝酸ナトリウム水溶液 (133. 2 g, 0. 29m o 1 ) を加えた。 17. 5 %塩酸 (162. 8 g) を滴下して加え、 pHを 4. 3に調整した。
静置後、 水層を分液、 除去し、 有機層を 40 kPa以下の減圧度、 40〜4 5 で濃縮した。 残液量が 1 76 gとなった時点で濃縮を終了し、 10°CZ時間 の速度で 0〜5°Cまで冷却し、 同温で 25時間熟成した。 濾過し、 0〜5°Cに冷 却した酢酸ブチル (27 g) で結晶を洗浄し、 減圧下、 50°C以下で乾燥し、 表 題結晶 (31. 9 g) を得た。 収率 93. 0 %
得られた粗製の結晶を HP LC分析条件 (3) で分析したところ、 面積百分率 95. 6%であり、 また、 不純物の TBCAの面積百分率は 0. 63%であった。 実施例 8 : TBAL粗結晶
メチルイソブチルケトン ( 58 g ) に CBAL ( 10 g, 0. 05mo 1 ) とト リエチルァミン塩酸塩 (19. 9 g, 0. 14mo 1 ) を加え、 窒素雰囲気下で アジ化ナトリウム (9. 4 g, 0. 14mo 1 ) を加えて約 1 05 °Cに加熱攪拌 した。 HP LC分析条件 (3) で反応液をチェックし、 原料が面積百分率 2. 2 %となった時点で 24 °Cに冷却した。 テトラヒドロフラン (98 g) と水 (3 7 g) を加え、 ついで 1 5 %亜硝酸ナトリウム水溶液 (44. 4 g, 0. lmo 1 ) を加えた。 17. 5%塩酸 (54. 3 g) を滴下して加え、 pHを 4. 0に 調整した。
静置後、 水層を分液、 除去し、 有機層を 40 kP a以下の減圧度、 40〜4 5 °Cで濃縮した。 残液量が 46. 3 gとなった時点で濃縮を終了し、 10°CZ時 間の速度で 0〜5°Cまで冷却し、 同温で 21時間熟成した。 濾過し、 0〜5°Cに
冷却したメチルイソプチルケトン (8 g) で結晶を洗浄し、 減圧下、 50°C以下 で乾燥し、 TBAL粗結晶 (7. 77 g) を得た。 収率 64. 3%
得られた粗製の結晶を HPLC分析条件 (3) で分析したところ、 面積百分率 92. 3%であり、 また、 不純物の TBCAの面積百分率は 0. 59%であった。 本発明の方法は、 医薬品の合成中間体として有用な 2, - (1H—テトラゾー ルー 5—ィル) ビフエ二ルー 4一力ルポアルデヒド結晶を短い工程で、 高収率か つ高純度に製造し得るので、 工業的に有利である。