明 細 書 インドロピロロカルバゾール誘導体及び抗腫瘍剤 技術分野
本発明は医薬の分野で有用であり、 具体的には腫瘍細胞の増殖を阻害し、 抗腫 瘍効果を発揮する、 新規なインドロピロロカルバゾール誘導体、 及びその抗腫瘍 剤としての用途に関する。 背景技術
癌化学療法の分野においては、 すでに多数の化合物が医薬として実用化されて いる。 しかしながら、 様々な種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充分ではな く、 またこれらの薬剤に対する腫瘍細胞の耐性の問題も臨床上の使用法を複雑に している [第 47回日本癌学会総会記事、 12〜15頁 (1988年) 参照] 。 このような状況下、 癌治療の分野においては常に新規制癌物質の開発が求めら れている。 特に、 既存の制癌物質に対する耐性を克服し、 既存の制癌物質が十分 に効果を発揮できない種類の癌に対して有効性を示す物質が必要とされている。 このような現状に鑑み、 本発明者らは広く微生物代謝産物をスクリーニングし た結果、 抗腫瘍活性を有する新規な化合物 B E— 13793C (12, 13—ジ ヒドロ一 1, 1 1ージヒドロキシ一5H— ^ Γンドロ [2, 3 - a] ピロ口 [3,
4— c] カルバゾ一ルー 5, 7 (6H) —ジオン) を見出した (ヨーロッパ特許
, 公開公報 0388956A2参照] 。
その後、 BE_ 13793 Cに化学修飾を加えて更に優れた抗腫瘍活性を有す る化合物を創製することを試み、 先の特許出願 ·特許 (ヨーロッパ特許公開公報 052803 OA 1、 米国特許第 5, 591, 842号明細書、 米国特許第 5, 668, 271号明細書、 米国特許第 5, 804, 564号明細書、 WO 95 30682及び WO 96/04293),及び特開平 10— 245390号公報に おいて開示した。
ここで、 ヨーロッパ特許公開公報 0528030A1には、 本発明化合物の一 NH (CH2) m—Rに相当する基が Hである化合物がもっぱら記載されている。 米国特許第 5, 591, 842号明細書には、 本発明化合物の環外窒素原子につ いた一 (CH2) m—Rおよび Hに相当する基が R1および R2とされた化合物が記 載され、 この R1および R2が広範囲の基を包含しているが、 本発明化合物にもつ とも近いものとして、 R1および R 2がフリル基、 チェニル基もしくはピリジル基 である化合物 (R1および R2の一方は Hであり得る) が挙げられているに過ぎな い。 また、 米国特許第 5, 804, 564号明細書には、 本発明化合物の— (C H2) m—Rに相当する基がビス (ヒドロキシメチル) メチル基である化合物がも つばら記載されている。 W〇96Z04293には、 本発明化合物の— NH (C H2) m—Rに相当する基が R1とされた化合物が記載され、 この R1が広範囲の基 を包含しているが、 本発明化合物に近い化合物は見当らず、 さらに本発明化合物 の Gに相当する基も二糖基とされている。
また、 特開平 10— 245390号公報には、 下記式:
[式中、 R' はヒドロキシ基、 低級アルコキシ基、 ヒドロキシ低級アルキル基及 びヒドロキシ低級アルケニル基からなる群から選ばれる 1又は 2個の置換基を有 するフエニル基、 ナフチル基、 ピリジル基、 フリル基又はチェニル基 (但し、 置 換基として低級アルコキシ基を有する場合は、 同時にヒドロキシ基、 低級アルコ キシ基、 ヒドロキシ低級アルキル基及びヒドロキシ低級アルケニル基からなる群 から選ばれるもう一つの置換基を有する) を示し、 mは 1〜3の整数を示し、 G は /3— D—ダルコビラノシル基を示し、インドロピロロカルバゾール環上のヒド
ロキシ基の置換位置は 1位と 1 1位又は 2位と 1 0位である] で表される化合物 又はその医薬上許容される塩が開示されている。 しかしながら、 特開平 1 0— 2 4 5 3 9 0号公報の明細書の記載を見ても、 上記式 [ 1 ' ]の化合物中、 R ' は、 1又は 2個の置換基を有するフエニル基、 ナフチル基、 ピリジル基、 フリル基又 はチェニル基に限定され、 R ' が、 置換基を有しないピリジル基、 フリル基又は チェニル基である化合物については開示も示唆もない。 発明の開示
本発明者等は、 上記式 [ Γ ]の化合物中、 R ' が置換基を有するピリジル基、 フリル基又はチェニル基である化合物に比べて、 置換基を有しない当該化合物が 際立って優れた抗腫瘍作用を示すことを見いだして本発明を完成した。 即ち、 本発明は式:
[式中、 Rは未置換のピリジル基、 フリル基又はチェ二ル基を示し、 mは 1〜3 の整数を示し、 Gは) 3—D—ダルコビラノシル基を示し、 インドロピロロカルバ ゾール環上のヒドロキシ基の置換位置は 1位と 1 1位又は 2位と 1 0位である] で表される化合物又はその医薬上許容される塩、 及びその抗腫瘍剤としての用途 に関するものである。
また、 本発明は、 抗腫瘍作用を示すのに有効な量の上記式 [ I ]の化合物又はそ の医薬上許容される塩、 及び医薬製剤用の賦形剤もしくは担体を含有する抗腫瘍
剤に関する 発明を実施するための最良の形態
式 [ I ] で表される本発明化合物の置換基の定義において、
Rは未置換のピリジル基が好ましく、 ピリジン一 4—ィル基が特に好ましい。 mは 1〜3の整数を示すが、 好ましくは 1である。
インドロピロロカルバゾール環上のヒドロキシ基の置換位置は 1位と 1 1位又 は 2位と 1 0位のいずれでも良いが、 2位と 1 0位が好ましい。
また、 本発明化合物は、 好ましくは、 式
[式中、 R及び Gは上記と同義である] で表される化合物又はその医薬上許容さ れる塩; 或いは
式:
[式中、 R及び Gは上記と同義である] で表される化合物又はその医薬上許容さ れる塩である。 次に本発明化合物の製造法について説明する。
本発明のインドロピロロカルバゾール誘導体は、 ヨーロッパ特許公開公報 0528030A1, ヨーロッパ特許公開公報 0545195A1、 WO 95 / 30682及び WO 96/04293に記載の公知化合物である、 式:
[式中、 Aは NHを示し、 Gは前記の意味を有する] で表される化合物に、 式
H2N-NH (CH2) mR [III]
[式中、 R及び mは前記の意味を有する] で表される化合物を反応させるか、 式
[式中、 Gは前記の意味を有する] で表される化合物と、 式:
R1 (CH2) mCHO [V]
[式中、 R1は Rと同様の意味を有し、 mは前記の意味を有する]で表される化合 物を縮合させ、 次いで還元し、 そして必要に応じて保護基の除去を行うことによ り製造するか、 又は式 [IV] の化合物に、 式:
R1 (CH2) mL [VI]
[式中、 Lは脱離基を示し、 R1及び mは前記と同様の意味を有する]で表される 化合物を反応させ、 そして必要に応じて保護基の除去を行うことにより製造する ことができる。
式 [I I] で表される化合物と式 [I I I] で表される化合物との反応は化学 の分野で広く知られたイミド又は酸無水物とヒドラジン誘導体との反応である。 この反応は、 通常反応に悪影響を及ぼさない溶媒、 例えばテトラヒドロフラン、 N, N—ジメチルホルムアミド等を用いて行うことができ、 化合物 [I I I] の 使用量は化合物 [I I] に対して通常少過剰から 5モル当量であるが、 必要に応 じて大過剰用いて行うこともできる。
反応温度は通常一 50 〜溶媒の沸点の範囲であり、 必要に応じてこれ以上又 はこれ以下の温度を選択することもできる。 反応時間は通常 30分〜 2日間の範 囲であるが必要に応じてこれ以上又はこれ以下の時間で行うことができる。
また式 [ I V] で表される化合物と式 [V] で表される化合物を縮合させ、 つ いで還元して化合物 [I] を製造する反応は、 同一の反応系で行うことができる が、 場合により中間生成物であるシッフ塩基 (ヒドラゾン) を一旦単離すること もできる。 すなわち通常、 化合物 [I V] と化合物 [V] を適当な溶媒中で混合 , し、 次いで還元剤を添加することにより行うことができる。 この際、 酢酸、 塩酸 等の酸の存在下に反応を行うことが好ましい。 ここで使用できる溶媒としては、 例えばメタノール、 エタノール等のアルコール系溶媒、 N, N—ジメチルホルム アミド等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。 シッフ塩基 (ヒドラ
ゾン) の還元は、 シァノ水素化ほう素ナトリウム等の水素化金属錯体等を用いて 行うことができるが、 また接触還元法により行うこともできる。
また式 [I V] の化合物と式 [V I] の反応は、 ァミンのアルキル化反応であ り、 公知の方法、 例えばアルキルハライド、 アルキルメシレート又はアルキルト シレート等との反応等により行うことができる。
また、 上記反応の生成物は有機合成化学の分野における公知の方法、 例えば沈 澱法、 溶媒抽出法、 再結晶、 クロマトグラフィー法等により精製することができ る。
更に本発明には、 上記方法で得られる化合物の医薬上許容される塩も包含され る。 このような塩としては例えばカリウム、 ナトリウム等のアルカリ金属との塩 、 例えばカルシウム等のアルカリ土類金属との塩、 又は例えばェチルァミン及び アルギニン等の塩基性有機化合物との塩、 例えば塩酸、 硫酸等の無機酸との塩又 は例えば酢酸、 クェン酸、 マレイン酸等の有機酸との塩を挙げることができる。 本発明の式 [I] で表される化合物の薬効試験結果を述べる。 細胞を用いた薬剤効果判定方法
本発明の式 [I] で表される化合物は、 表 1に示されるようにヒト由来の癌細 胞 (MKN—45) に対して優れた細胞増殖抑制効果を示す。
a) 試薬
牛胎児血清 (FCS) はモルゲート社から、 DM EM培地は旭テクノグラス社 から入手した。
b) 細胞
MKN—45ヒト胃がん細胞は、 免疫生物研究所より入手した。
c) 効果判定法
細胞を 10 %FCS添加 DMEM培地に懸濁し、 1穴あたり 1000個 50 マイクロリットルの細胞懸濁液を 96穴プラスチックプレートに分注した。 37 X:、 5%C〇2— 95%空気中で 1晚培養した。 各薬剤をジメチルスルフォキサ
ィド又は適当な溶媒にて段階希釈し、 あらかじめ細胞を播いておいたプレートに
50マイクロリットルずつ分注した。 さらに 3日間、 37t:、 5%C02-95 %空気中で培養する。 培養後細胞の増殖は WST— 8法 (H. Tom i n a g a, e t a 1. , Ana l . C ommu n. , 36, 47— 50 (1999) ) により測定した。 ここで、 WST— 8法とは、 各穴に 10マイクロリットルの WST_ 8試薬溶液を加え、 1〜 6時間 37 で培養を続けてから、 プレートを 攪拌後、 生成されたフオルマザンの量を比色法にて測定し、 薬剤の阻害率を求め る方法である。 化合物の 50%増殖阻止濃度 (I C5()) を求めた。
表 1
MKN-45 (ヒト胃癌細胞) に対する薬剤の細胞増殖抑制効果
動物を用いた薬効試験
a) マウスおよびがん細胞
5週令の雌ヌードマウス (B a 1 bZc— nuZnu) は日本クレア社より入 手した。 ヒト肺がん細胞 LX— 1は財団法人癌研究所より入手した。
b) 試薬
対照化合物の合成は、 特開平 10— 245390号明細書実施例 14に記載さ
れている。
C ) 効果判定法
がん細胞は、 ヌードマウスの皮下に移植し、 固形がんの形で維持している。 固 形がんを、 氷冷下の生理食塩液内で 3 mm角に細切する。 その 1個を、 実験に供 与するヌードマウス皮下に移植する (D a y 1 ) 。 がん細胞は、 マウス皮下に て増殖し、 腫瘍塊を形成する。 腫瘍塊の大きさを経時的に測定し、 その体積 (体 積 =長径 X短径 2 ÷ 2で近似する) が 0 . 2 c m3以上になったときに薬剤の投与 を開始する。 薬剤は、 5 %ブドウ糖溶液で溶解し、 尾静脈より投与する。 投与方 法は、 週 2回 2週連続 (計 4回) の投与を行う。 投与終了後 2週目の腫瘍体積を 測定し、 対照群の腫瘍体積 (C) と投与群の腫瘍体積 (T) より百分率 (TZ C %) を求め、 腫瘍体積比とした。 d ) 結果
表 2
表 2より明らかなように、 ヒト肺がん細胞 L X— 1に対して、 実施例 1の化合 物は、 対照化合物と比べると明らかに強い抗腫瘍活性を示した。 即ち、 Rが置換 基を有するピリジル基である対照化合物に比べて、 Rが置換基を有しないピリジ ル基である化合物 (実施例 1の化合物) は、 顕著に優れた効果を示したと認めら れる。
従って、 薬学的に許容し得る担体又は希釈剤と一緒に、 本願発明に係る式 [ I ] で示される化合物を有効成分として含む、 医薬組成物又は抗がん剤は、 有望で あることが期待される。
また、 本発明の化合物は優れた抗腫瘍作用を示すので、 ヒトもしくは他の哺乳
動物、 特にヒトのための抗腫瘍剤として各種の癌、 例えば固形腫瘍としての頭頸 部癌、 甲状腺癌、 )3ΐ癌、 食道癌、 胃癌、 肝癌、 塍臓癌、 大腸癌、 腎癌、 前立腺癌、 精巣癌、子宮癌、卵巣癌、乳癌、 脳腫瘍等、 その他の癌としての白血病、 リンパ腫、 骨髄腫等、 好ましくは胃癌、 大腸癌、 肺癌、 乳癌の予防,治療のために有用であ る。 特に好ましくは、 肺がんに有用である。
本発明化合物、 医薬製剤分野で公知の固体又は液体の賦形剤もしくは担体と混 合し、 経口投与、 非経口投与等に適した抗腫瘍性医薬製剤の形で使用することが できる。 経口投与形態としては例えば錠剤、 カプセル剤、 散剤、 顆粒剤若しくは 液剤等の経口剤、 非経口投与形態としては例えば溶液若しくは懸濁液等の殺菌し た液状の非経口剤が挙げられる。
固体の製剤は、 そのまま錠剤、 カプセル剤、 顆粒剤又は粉末の形態として製造 することもできるが、 適当な添加物を使用して製造することもできる。 そのよう な添加物としては、例えば乳糖若しくはブドゥ糖等の糖類、例えばトウモロコ シ 、 小麦若しくは米等の澱粉類、 例えばステアリン酸等の脂肪酸、 例えばメタケイ 酸アルミン酸マグネシウム若しくは無水リン酸カルシウム等の無機塩、 例えばポ リビニルピロリドン若しくはポリアルキレングリコール等の合成高分子、 例えば ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩、 例え ばステアリルアルコール若しくはベンジルアルコール等のアルコール類、 例えば メチルセルロース、 カルポキシメチルセルロース、 ェチルセルロース若しくはヒ ドロキシプロピルメチルセルロース等の合成セルロース誘導体、 その他、 水、 ゼ ラチン、 タルク、 植物油、 アラビアゴム等通常用いられる添加物が挙げられる。 これらの錠剤、 カプセル剤、 顆粒剤及び粉末等の固形製剤は一般的には 0 . 1
〜 1 0 0重量%、 好ましくは 5〜 1 0 0重量%の有効成分を含む。
液状製剤は、 水、 アルコール類又は例えば大豆油、 ピーナツ油若しくはゴマ油 等の植物由来の油等液状製剤において通常用いられる適当な添加物を使用し、 懸 濁液、 シロップ剤若しくは注射剤等の形態として製造される。
特に、 非経口的に筋肉内注射、 静脈内注射又は皮下注射で投与する場合の適当
な溶剤としては、 例えば注射用蒸留水、 塩酸リドカイン水溶液 (筋肉内注射用) 、 生理食塩水、 ブドウ糖水溶液、 エタノール、 ポリエチレングリコール、 静脈内 注射用液体 (例えばクェン酸及びクェン酸ナトリウム等の水溶液) 若しくは電解 質溶液 (点滴静注及び静脈内注射用) 等、 又はこれらの混合溶液が挙げられる。 これらの注射剤は予め溶解したものの他、 粉末のまま或いは適当な添加物を加 えたものを用時溶解する形態もとり得る。 これらの注射液は、 通常 0 . 1〜1 0 重量%、 好ましくは 1〜 5重量%の有効成分を含む。
また、 経口投与の懸濁剤又はシロップ剤等の液剤は、 0 . 5〜1 0重量%の有 効成分を含む。
本発明の化合物の実際に好ましい投与量は、 使用される化合物の種類、 配合さ れた組成物の種類、 適用頻度及び治療すべき特定部位、 宿主及び腫瘍によって変 化することに注意すべきである。 例えば、 1日当りの成人 1人当りの投与量は、 経口投与の場合、 1 0ないし 5 0 O m gであり、 非経口投与、 好ましくは静脈内 注射の場合、 1日当り 1 0ないし 1 0 O m gである。 なお、 投与回数は投与方法 及び症状により異なるが、 1回ないし 5回である。 また、 隔日投与、 隔々日投与 などの間歇投与等の投与方法も用いることができる。 実施例
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、 本発明はこれら実施 例のみに限定されるものではない。
なお、 実施例において原料として用いた以下の構造式を有する化合物を化合物 Aとする。 なお、 化合物 Aの製法は、 日本特許第 2 6 2 9 5 4 2号明細書の実施 例 4 7に開示されている。
Gは) 3— D—ダルコピラノシル基を示す。 実施例 1
下記式:
で表される化合物の合成。 化合物 A1. 0 gと 4_ピリジンカルバルデヒド 253mgをメタノール 200 m lに溶解し、 酢酸 0. 3mlを加え、 80でで一晩攪拌した後に、 析出した結 晶を濾取しクロ口ホルムで洗浄した。 これをメタノール/テトラヒドロフラン ( 1 : 1) 混合溶媒に溶解し、 10%パラジウム炭素を加え水素気流下、 一晩攪拌 した。 セライト濾過、 濃縮後、 残渣をセフアデックス LH— 20のクロマト塔に かけメタノールで溶出した。 目的物を含む分画を濃縮乾固することにより、 表題
の式で表される化合物 7 3 Omgを得た。
R f値: 0. 1 2 (メルク社製, キーゼルゲル 6 0 F 254 , 展開溶媒; トルエン: ァセトニトリル:テトラヒドロフラン:水:酢酸 =2 : 4 : 2 : 0. 5 : 0. 1 )
FAB-MS (m/z) : 6 26 (M + H) +
1 H-NMR (30 OMHz, DMSO-d6, δ p pm) : 1 1. 1 8 (1 H , s) , 9. 80 (2H, b r) , 8. 8 9 ( 1 H, d, J = 8. 3Hz) , 8 • 7 6 (1H, d, J = 8. 6Hz) , 8. 49 (2H, d d, J = 1. 8, 5 . 7Hz) , 7. 5 5 (2H, d, J = 6. OHz) , 7. 1 6 ( 1 H, d, J = 1. 5Hz) , 6. 9 7 (1 H, d, J = 2. 4Hz) , 6. 8 1 (2H, d t , J = 2. 4, 8. 6Hz) , 6. 32 ( 1 H, t , J =4. 8Hz) , 5. 9 6 (1 H, d, J = 9. OHz) , 5. 8 5 ( 1 H, b r) , 5. 34 (1 H , b r) , 5. 14 ( 1 H, b r) , 4. 90 ( 1 H, b r) , 4. 34 (2H , d, J =4. 2Hz) , 4. 0 0 ( 1 H, d, J = 1 1. 1 Hz) , 3. 9 0 (2H, b r) , 3. 7 3〜 3. 80 (lH, m) , 3. 5 0 (2H, b r) 実施例 2
" d式:
で示される化合物の合成
化合物 A (4 5mg) 及び 5等量の 2—ピリジンカルボキシアルデヒドをメタノ ール (9m l ) に溶解し、 60 u 1の酢酸を加えた後、 8 0でで終夜撹拌した。 反応液を濃縮した後、 析出固体をクロ口ホルム—へキサンで洗浄後乾燥した。 得 られた固体 (20mg) をテトラヒドロフラン 5m 1に溶解し、 シァノ水素化ほ う素ナトリウム (NaBH3CN) ( 80 mg) 及び 1 M塩化亜鉛テトラヒドロ フラン溶液 (0. 64m l ) のテトラヒドロフラン溶液 (5m l ) に添加した後 終夜撹拌した。 反応液を濃縮した後、 残渣をダイアイオン HP— 2 0カラムクロ マトグラフィ (メタノール) 、 次いでセフアデックス LH— 20カラムクロマト グラフィ (メタノール) を用いて精製し表題の式で表される化合物 (1 0. 5m g) を得た。
R f fit: 0. 0 7 (メルク社製、 キーゼルゲル 6 0 F 254、 展開溶媒;ァセトニ トリル:テトラヒドロフラン: トルエン:水:酢酸 = 4 : 2 : 2 : 0. 5 : 0. 1)
FAB (m /z) : 6 2 6 (M + H) +
^- MR (30 0 MHz、 DMS〇_d 6、 <5 p pm ) : 1 1. 1 9 (1 H、 s) 、 9. 7 8 (1 H、 s) 、 9. 7 5 ( 1 H、 s) 、 8. 8 5 ( 1 H、 d 、 J = 8. 5Hz) 、 8. 7 6 (1 H、 d、 J = 8. 6Hz) 、 8. 4 1 (1 H 、 d、 J =4. 4Hz) , 7. 7 9 (2H、 m) 、 7. 2 3 (l H、 m) 、 7. 1 7 (1 H、 d、 J = 2. 1 Hz) 、 6. 9 8 (l Hd、 J = 2. 1Hz) 、 6 . 7 8〜6. 84 (2H、 d t、 J = 2. l Hz、 8. 6Hz) , 6. 2 5 ( 1 H、 t、 J =4. 5Hz) 、 5. 9 6 ( 1 H、 d、 J = 8. 1 Hz) 、 5. 8 6 (1 H、 t、 J =4. 2Hz) 、 5. 3 3 ( 1 H、 d、 J =4. 2Hz) 、 5. 1 2 (1 H、 d、 J = 5. 1 Hz) , 4. 9 1 (1 H、 d、 J = 5. 1 Hz) 、 4. 36 (2H、 d、 J =4. 8Hz) 、 3. 9 0〜4. 02 (3H、 m) 、 3 . 7 5〜3. 80 (1H、 m) 、 3. 5 0 (2H、 m) 実施例 3
下記式:
で示される化合物の合成。 化合物 A 5 Omgと 3—ピリジンカルバルデヒド 5 Omgをメタノール 1 Om l に溶解し、 酢酸 50u lを加え、 80でで 6時間攪拌した後に、 クロ口ホルム一 ノルマルへキサン混合溶媒を加え析出したヒドラゾン体 47. 3 m gを濾取した 。 得られたヒドラゾン体 25mgをメタノール/テトラヒドロフラン (1 : 1) 混合溶媒 25mlに溶解し、 2 Omgの 10 %パラジウム炭素を加え水素気流下 、 一晩攪拌した。 セライト濾過、 濃縮後、 残渣に 10%HC 1— MeOHlml を加えた後溶媒を濃縮した。 残渣に水および酢酸ェチルを加え、 水層を抽出した 後トリエチルァミンを加えて塩酸塩を中和した。 水溶液を HP— 20カラムクロ マトグラフィーを用いて展開し、 メタノールで溶出した。 溶出液を濃縮後、 残渣 をセフアデックス LH— 20のクロマト塔にかけメタノールで溶出した。 目的物 を含む分画を濃縮乾固することにより、 表題の式で表される化合物 3. 5mgを 得た。
FAB-MS (m/z) : 626 (M + H) +
1 H-NMR (300MHz , DMSO— d6, δ p pm) : 11. 16 ( 1 H 、 s) 、 9. 85 (2H、 b r) 、 8. 83 (1H、 d、 J = 8. 5Hz) 、 8 . 75 (1H、 d、 J = 8. 6Hz) 、 8. 62 (1H, d、 J = 2. 4Hz) 、 8. 41 (1H、 dd、 J = 1. 8、 5. 1Hz) 、 7. 92 ( 1 H、 d t、 J = 2. 4、 8. 1Hz) 、 7. 33 (1H、 dd、 J = 5. 1、 8. 1Hz)
、 7. 15 (1H、 s) 、 6. 96 ( 1 H、 d、 J = 1. 5Hz) 、 6. 80 ( 2H, d t、 J = l. 5、 6. 3Hz) 、 6. 26 (1H、 t、 J=4. 2Hz ) 、 5. 95 (1H、 d、 J = 7. 8Hz) 、 5. 88 (1H、 b r) 、 5. 3
8 (1H、 b r) 、 5. 16 (1H、 b r) 、 4. 92 ( 1 H、 b r) 、 4. 2
9 (2H、 d、 J =4. 5Hz) 、 4. 02 (1H、 d、 J = 10. 8Hz) 、 3. 90 (2H、 m) 、 3. 76 ( 1 H、 d、 J = 10. 5Hz) 、 3. 50 ( 2H、 m)
化合物 A (5 Omg) 及び 3— (3—ピリジル) プロパナール (183mg) を メタノール (1 Om 1 ) に溶解し、 10 u 1の酢酸を加えた後、 80 で 3時間 撹拌した。 反応液を濃縮した後、 残渣を酢酸ェチルで固化させた。 得られた固体 (5. 3mg) をテトラヒドロフラン lm 1に溶解し、 NaBH
3CN (10m g) 及び 10 %HC 1— Me OH (lml) を加え室温にて 3時間撹拌した。 反 応液を濃縮した後、 残渣をセフアデックス LH— 20カラムクロマトグラフィに 充填し、 メタノールで展開した。 目的とする分画を濃縮乾燥することにより表題 の式で表される化合物 (1. 3mg) を得た。
R f値: 0. 10 (メルク社製、 キーゼルゲル 6 OF
254、 展開溶媒;ァセトニ トリル:テトラヒドロフラン: トルエン:水:酢酸 =4 : 2 : 2 : 0. 5 : 0. 1)
FAB (m / z) : 654 (M + H) +
^-NMR (300 MHz, DMSO— d 6、 δ p pm ) : 1. 72~ 1. 82 (2H、 m) 、 2. 80 (2H、 t、 J = 7. 3Hz) 、 3. 00〜 3. 0 6 (2H、 m) 、 3. 48〜3. 53 (2H、 m) 、 3. 75〜4. 04 (4H 、 m) 、 4. 93 (1H、 b r) 、 5. 18 (1H、 b s) 、 5. 41 ( 1 H、 b s) 、 5. 79 (1H、 t、 J =4. 2Hz) 、 5. 92 (2H、 s) 、 5.
96 (1H、 d、 J = 8. 3Hz) 、 6. 78〜6. 83 (2H、 m) 、 6. 9 8 (1H、 d、 J = 2. 0Hz) 、 7. 16 ( 1 H、 s) 、 7. 28 ( 1 H、 d d、 J = 7. 5Hz、 4. 5Hz) 、 7. 67 ( 1 H、 d t;、 J = 7. 5Hz、 2. 0Hz) 、 8. 36 (1H、 dd、 J =4. 5Hz、 2. 0Hz) 、 8. 4 7 (1H、 s) 、 8. 78 (1H、 d、 J = 8. 5Hz) 、 8. 87 ( 1 H、 d 、 J = 8. 5Hz) 、 9. 83 (1H、 b r) 、 11. 18 (1H、 s)
実施例 5 §ii式:
で示される化合物の合成 化合物 A (20 Omg) 及び 3—フランカルポキシアルデヒド (10 Omg) を メタノール (10ml) に溶解し、 18 u 1の酢酸を加えた後、 80 で1時間 撹拌した。 反応液を濃縮した後、 残渣を酢酸ェチルで固化させた。 得られた固体 (3 Omg) をテトラヒドロフラン (2ml) に溶解し、 NaBH
3CN (20 mg) 及び 10%HC 1— MeOH (2ml) を加え室温にて 1時間撹拌した。 反応液を濃縮した後、 残渣をセフアデックス LH— 20カラムクロマトグラフィ に充填し、 メタノールで展開した。 目的とする分画を濃縮乾燥することにより表 題の式で表される化合物 (23. 2mg) を得た。
R fi : 0. 60 (メルク社製、 キーゼルゲル 60F 254、 展開溶媒;ァセトニ トリル:テトラヒドロフラン: トルエン:水:酢酸 =4 : 2 : 2 : 0. 5 : 0. 1)
FAB (m / z) : 615 (M + H) +
^- MR (300 MHz、 DMSO_d 6、 <5 p pm ) : 1 1. 18 (1 H、 s) 、 9. 77 (2H、 b r) 、 8. 85 (1H、 d、 J = 8. 6Hz) 、 8. 77 (1H、 d、 J = 8. 5Hz) 、 7. 62 ( 1 H、 s) 、 7. 50 ( 1 H、 d、 J = 1. 0Hz) 、 7. 16 ( 1 H、 s) 、 6. 97 ( 1 H、 d、 J = 1. 9Hz) , 6. 78〜6. 83 (2H、 m) 、 6. 57 (1H、 s) 、 5. 94〜5. 99 (2H、 m) 5. 87 ( 1 H、 b r ) 、 5. 34 (1H、 b r ) 、 5. 12 (1H、 b r) 、 4. 91 (1H、 b r) , 4. 11 (2H、 d、 J =4. 6Hz) 、 3. 75〜4. 06 (4H、 m) 、 3. 47〜3. 53 (2H 、 m)
実施例 6
下記式:
で示される化合物の合成 化合物 A (20 Omg) 及び 2—フランカルボキシアルデヒド (l O Omg) を メタノール (10ml) に溶解し、 18 u 1の酢酸を加えた後、 80 で 6時間 撹拌した。 反応液を濃縮した後、 残渣を酢酸ェチルで固化させた。 得られた固体 (2 Omg) をメタノール一テトラヒドロフラン (1 : 1) (5ml) に溶解し 、 NaBH3CN (2 Omg) 及び 10 %H C 1 _M e OH (2m l) を加え室 温にて 0. 5時間撹拌した。 反応液を濃縮した後、 残渣をセフアデックス LH_ 20カラムクロマトグラフィに充填し、 メタノールで展開した。 目的とする分画 を濃縮乾燥することにより表題の式で表される化合物 (10. 8mg) を得た。
R f値: 0. 30 (メルク社製、 キーゼルゲル 60 F 254、 展開溶媒;ァセトニ トリル:テトラヒドロフラン: トルエン:水:酢酸 = 4 : 2 : 2 : 0. 5 : 0. 1)
FAB (m /z) : 615 (M + H) +
^-NMR (300 MHz、 DMS〇— d 6、 <5 ppm ) : 11. 10 (1 H、 s) 、 9. 50〜: 10. 20 (2H、 b r) 、 8. 82 ( 1 H、 d、 J = 8 . 5Hz) 、 8. 73 (1H、 d、 J = 8. 5Hz) 、 7. 55 ( 1 H、 s) 、 7. 13 (1H、 s) 、 6. 95 ( 1 H、 d、 J = 1. 9Hz) 、 6. 74〜6
31〜6. 35 (2H、 m) 、 6. 05 (1H、 t、
4 (1H、 d、 J = 8. 3Hz) 、 5. 75〜6. 0 3-5. 50 (3H、 m) 、 4. 12 (2H、 d、 J 〜4. 054H、 m) 、 3. 49〜3. 53 (2H、
実施例 7
ed式:
で表される化合物の合成。 化合物 A (ヒドラジン体) 3 Omg及び 3—チォフェンカルポキシアルデヒド 3 Omgをメタノール 6m 1に溶解し、 30 u 1の酢酸を加えた後、 80"Cで 2時間 撹拌した。 反応液を室温に戻した後、 適量の NaBH
3CN及び 10%HC 1— Me OHを加え室温にて 30分間撹拌した。 適量の水を加え、 酢酸ェチル—メチ ルェチルケトン混合溶媒で抽出した。 有機層を濃縮した後、 残渣をセフアデック ス LH- 20カラムクロマトグラフィに充填し、メタノールで展開した。 目的とす る分画を濃縮乾燥することにより赤色固体である目的化合物 (5. 5mg) を得
FAB (m /z) : 631 (M + H) +
^-NMR (300 MHz, DMSO-d 6, δρ pm) : 3. 50 (2H、 m) 、 3. 78 (1H、 m) 、 3. 9 1 (2H、 s) 、 4. 02 (1H、 m) 、 4. 27 (2H、 d、 J=4. 5Hz) 、 4. 91 ( 1 H、 d、 J = 5. 1Hz ) 、 5. 12 (1H、 d、 J = 3. 9Hz) 、 5. 33 ( 1 H、 d、 J = 3. 6 Hz) 、 5. 87 (1H、 t、 J = 3. 6Hz) 、 5. 96 ( 1 H、 d、 J = 8 . 4Hz) 、 6. 06 (1H、 t、 J =4. 5Hz) 、 6. 80 ( 1 H、 d d、 J = 2. 4Hz、 8. 4Hz) 、 6. 82 (1H、 dd、 J = 2. lHz、 8. 7Hz) 、 6. 98 (1H、 d、 J = 2. 4Hz) 、 7. 1 7 ( 1 H、 d、 J = 2. 1Hz) 、 7. 2 2 (1H、 dd、 J = 2. 4Hz、 3. 6Hz) 、 7. 4 5 (1H、 s) 、 7. 47 (1H、 t、 J = 2. 4Hz) 、 8. 78 (1H、 d 、 J = 8. 7Hz) 、 8. 86 (1H、 d、 J = 8. 4H z ) 、 9. 76 ( 1 H、 s) 、 1 1. 18 (1H、 s) 実施例 8
下記式:
で表される化合物の合成。
化合物 A (ヒドラジン体) 10 Omg及び 2-チォフェンカルポキシアルデヒド 5 Omgを DMF 3m 1に溶解し、 80でで終夜撹拌した。 適量の水を加え、 酢酸 ェチル溶媒で抽出した。有機層を濃縮した後、残渣をセフアデックス LH- 20力 ラムクロマトグラフィに充填し、 メタノールで展開した。 反応生成物 (ヒドラゾ ン) 分画を濃縮し、 88mgのヒドラゾンを得た。 得られたヒドラゾン 4 Omg をメタノール 5m 1に溶解し、 NaBH
3CN8mg及び適量のl 0%HC 1— Me OHを加え室温にて 2時間撹拌した。 反応液を濃縮した後、 残渣をセフアデ ックス LH—20カラムクロマトグラフィに充填し、 メタノールで展開した。 目 的とする分画を濃縮乾燥することにより橙色固体である目的化合物 (35mg) を得た。
FAB (m / z) : 631 (M + H) +
XH-NMR (300 MHz、 DMSO_d 6、 δρ pm) : 3. 45-3. 5 6 (3H、 m) 、 3. 77 (1H、 m) 、 3. 85— 4. 12 (2H、 m) 、 4 . 44 (2H、 d、 J=4. 8Hz) 、 4. 92 ( 1 H、 d、 J=4. 8Hz) , 5. 1 1 ( 1 H, d、 J =4. 2H z) 、 5. 32 ( 1 H、 d、 J =4. 5H z) 、 5. 85 (1H、 t、 J = 3. 6Hz) 、 5. 97 (1H、 d、 J = 8. 4H z) 、 6. 16 (1H、 t、 J=4. 8Hz) , 6. 81 ( 1 H、 t、 J = 8. 7Hz) 、 6. 90 (lH、 m) 、 6. 97 (1H、 s) 、 7. 06 ( 1 H 、 d、 J = 3. 0Hz) 、 7. 18 ( 1 H, s) 、 7. 45 (1H、 s) 、 7. 40 (1H、 t、 J =4. 8Hz) 、 8. 77 ( 1 H、 d、 J = 8. 4Hz) 、 8. 85 (1H、 d、 J = 9. 3Hz) 、 9. 75 (1H、 s) 、 9. 78 ( 1 H、 s) 、 11. 19 (1 H、 s)
産業上の利用の可能性
本発明の化合物は、 優れた抗腫瘍効果を有することから医薬の分野において抗
腫瘍剤として有用である。