明 細 書
イミダゾピリジン誘導体
技術分野
[0001] 本出願は、 2005年 1月 20日出願の日本特許出願である特願 2005— 012685号 の優先権を主張する。当該特許出願の開示は本明細書中に引用により完全に援用 される。
[0002] 本発明は、新規なイミダゾ [4, 5— b]ピリジン誘導体化合物および該化合物の薬学 的に許容可能な塩に関する。本発明はまた、上記化合物を製造するための方法に 関する。本発明はさらに、抗癌剤として利用可能な上記化合物を含む医薬組成物に 関する。
背景技術
[0003] 各種の薬剤が抗癌剤として使用されているが、いずれも適用範囲や副作用などに 多くの問題を残しており、新たな薬剤の開発が望まれている。 Hocekら(Collect. Cz ech. Chem. Commun. , Vol. 66, pp. 483— 499 (2001) ) ίま、 6—ァリーノレプリ ンヌクレオシド誘導体を合成し、種々の癌細胞株に対して当該誘導体が細胞増殖抑 制活性を有することを示した。また、本発明者らも、プリン環の 6位に種々の複素環を 置換基として有するプリンヌクレオシドを合成し、それらの抗癌作用について解析した (特開 2005— 232079号公報(特願 2004— 43377号、 2004年 2月 19日出願:本 願優先日において未公開))。
[0004] 薬剤が抗癌剤として有用であるためには、癌細胞に対しては増殖抑制、機能抑制 などの作用を有し、かつ、正常細胞に対してはそのような活性を有しない又はそのよ うな活性が弱い、とレ、う性質を有することが極めて望ましレ、。
[0005] 本明細書中に引用する文献の開示内容は、引用により本明細書に完全に援用さ れる。
特許文献 1 :特開 2005— 232079号公報(特願 2004— 43377号、 2004年 2月 19 日出願)
非特許文献 1 : M. Hocek, et al. , Collect. Czech. Chem. Commun. , Vol.
66, pp. 483-499 (2001)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、新規なイミダゾ [4, 5—b]ピリジン誘導体である、 7位に複素環を置換基 として有する 3 (2—デォキシー β—D—リボフラノシル) 3Η—イミダゾ [4, 5—b] ピリジン誘導体および 5 アミノー 3—(2 デォキシー β—D—リボフラノシル) 3Η イミダゾ [4, 5—b]ピリジン誘導体を提供する。本発明のイミダゾ [4, 5— b]ピリジン 誘導体は、以下の式 (I):
[0007] [化 1]
[0008] [ここで、式中、 Aは、酸素原子または硫黄原子であり;
R1, R2および R3は、それぞれ独立して水素原子、または C -Cアルキル基であり;
1 4
R4は、水素原子またはアミノ基であり;そして
R5は、水素原子または水酸基である]
で表される化合物または該化合物の薬学的に許容可能な塩である。
[0009] 本発明はまた、本発明の式 (I)の化合物または該化合物の薬学的に許容可能な塩 を製造するための方法を提供する。当該方法は、
式 (II) :
[0010] [化 2]
[0011] [ここで、 Aは、酸素原子または硫黄原子であり;
R1, R2および R3は、それぞれ独立して水素原子、または C -Cアルキル基であり;
1 4
R4は、水素原子またはアミノ基であり;
R6は、水素原子または R9〇基であり;
R7、 R8および R9は、それぞれ同一のまたは異なる、ァセチル基、イソブチリル基、ベ ンゾィル基、 p—トノレオイノレ基、ベンジル基、トリチノレ基、ジメトキシトリチル基、および t 一プチルジメチルシリル基からなる群から選択される水酸基の保護基である] で表される化合物を、アンモニア、メタノール性アンモニア、水酸化カリウム、水酸化 ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、塩酸、トリフルォロ酢酸、テトラブ チルアンモニゥムフルオライド、三しゆう化ホウ素、または水素/パラジウム触媒で処 理することを含む。
[0012] 本発明はさらに、本発明の式 (I)の化合物を製造する際の中間体を提供する。当該 中間体は、式 (II):
[0013] [化 3]
[0014] [ここで、 Aは、酸素原子または硫黄原子であり;
R1, R2および R3は、それぞれ独立して水素原子、または C -Cアルキル基であり;
1 4
R4は、水素原子またはアミノ基であり;
R6は、水素原子または R9〇基であり;
R7、 R8および R9は、それぞれ同一のまたは異なる、ァセチル基、イソブチリル基、ベ ンゾィル基、 p—トノレオイノレ基、ベンジル基、トリチノレ基、ジメトキシトリチル基、および t 一プチルジメチルシリル基からなる群から選択される水酸基の保護基である] で表される化合物である。
[0015] そして、本発明は、本発明の式 (I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。本発 明は抗癌剤として利用可能な式 (I)の化合物を提供する。
課題を解決するための手段
[0016] 本発明者らは上記問題の解決のために、鋭意研究に努めた結果、式 (I)で表され る新規なイミダゾ [4, 5— b]ピリジン誘導体化合物の合成に成功し、当該化合物が癌 細胞に対する細胞増殖抑制活性を有していることを見いだした。さらに、本発明者ら は、この癌細胞増殖抑制作用が、正常細胞に対する細胞増殖抑制活性と乖離して レ、ることを見いだした。これはすなわち、式 (I)で表される新規なイミダゾ [4, 5 _b]ピ リジン誘導体化合物が、癌細胞に対しては細胞増殖抑制作用を有し、かつ、正常細 胞に対してはより弱い細胞増殖抑制作用を有する、という抗癌剤として望ましい性質 を有していることを意味する。このこと力 、当該化合物が抗癌剤として有用であると 結論づけて本発明を完成させた。
[0017] 本発明は、新規なイミダゾ [4, 5 _b]ピリジン誘導体である、 7位に複素環を置換基 として有する 3 _ (2—デォキシ一 β _D—リボフラノシル)一3H—イミダゾ [4, 5 -b] ピリジン誘導体および 5—ァミノ一 3_ (2—デォキシ一 β _D—リボフラノシル)一 3Η —イミダゾ [4, 5 _b]ピリジン誘導体を提供する。本発明のイミダゾ [4, 5_b]ピリジン 誘導体は、以下の式 (I):
[0018] [化 4]
[0019] [ここで、式中、 Aは、酸素原子または硫黄原子であり;
R1, R2および R3は、それぞれ独立して水素原子、または C -Cアルキル基であり;
1 4
R4は、水素原子またはアミノ基であり;そして
R5は、水素原子または水酸基である]
で表される化合物または該化合物の薬学的に許容可能な塩である。好ましくは、上 記の式 (I)で表される本発明のイミダゾ [4, 5_b]ピリジン誘導体において、 Aは硫黄 原子である。また、好ましくは、上記の式 (I)で表される本発明のイミダゾ [4, 5 _b]ピ リジン誘導体において、
R
2および R
3はいずれか 1つが水素原子、望ましくはいず れか 2つが水素原子、さらに望ましくは 3つすべてが水素原子である。さらに好ましく は、本発明のイミダゾ [4, 5— b]ピリジン誘導体は、上述の式 (I)において、 Aが硫黄 原子であり、かつ、
R
2および R
3のいずれか 1つが水素原子、望ましくはいずれか 2つが水素原子、さらに望ましくは 3つすべてが水素原子で表される化合物である。
[0020] 本明細書において、式 (I)で表される化合物の中でも、 R4が水素原子である化合物 、すなわち、イミダゾ [4, 5— b]ピリジン環の 7位に複素環を置換基として有する 3— ( 2—デォキシ一 β—D—リボフラノシル)一 3Η—イミダゾ [4, 5—b]ピリジン誘導体を 、式 (la)として示すことがある。また、式 (I)で表される化合物の中でも、イミダゾ [4, 5 _b]ピリジン環の 5位の R4がァミノ基である化合物、すなわち、 7位に複素環を置換 基として有する 5—ァミノ一 3 _ (2—デォキシ一 /3—D—リボフラノシノレ)一3H—イミ ダゾ [4, 5 _b]ピリジン誘導体を、式 (lb)として示すことがある。
[0021] 本発明の一態様において、本発明の式 (I)の化合物は、
7- (2—チェニル) _ 3_ (2—デォキシ一 β _D—リボフラノシノレ)一 3Η—イミダゾ
[4, 5— b]ピリジン;
5—アミノー 7— (2—チェ二ル)一 3— (2—デォキシ一 β—D—リボフラノシル)一 3 Η—イミダゾ [4, 5— b]ピリジン;および
その薬学的に許容し得る塩;からなる群から選択される化合物である。
[0022] 本発明はまた、本発明の式 (I)の化合物または該化合物の薬学的に許容可能な塩 を合成するための方法を提供する。
[0023] 本発明の一態様において、本発明の式 (la)で表される、 7位に複素環を置換基とし て有する 3 _ (2—デォキシ一 β _D—リボフラノシル)一3H—イミダゾ [4, 5 _b]ピリ ジン誘導体は、以下の反応式 (スキーム I):
[0024] [化 5]
[反応式中、 Aは、酸素原子または硫黄原子であり;
R1, R2、および R3は、それぞれ独立して水素原子、または C -Cアルキル基であり
1 4
R5は、水素原子または水酸基であり;
R6は、水素原子または R9〇基であり;
R8、および R9は、それぞれ同一のまたは異なる、ァセチル基、イソブチリル基、 ベンゾィル基、 p—トルオイル基、ベンジル基、トリチル基、ジメトキシトリチル基、また は t—プチルジメチルシリル基等の水酸基の保護基である]で示される合成経路によ つて合成される。
[0026] 式(Ilia)の化合物(2 _ァミノ— 3 _ニトロ— 4—クロ口ピリジン)は、公知の化合物で あり、当業者に公知の手法を用いて合成することができる(例えば、 Re Trav. Chi m. , 88, p. 1263— 1274 (1963)を参照)。
[0027] スキーム Iにおいて、式 (Ilia)から式 (IVa)の化合物を合成する、第一段階目の反 応は、 2—ァミノ一 3 _ニトロ _4_クロ口ピリジンと 2_チェニル基または 2_フリル基 を有する化合物とのカップリング反応である。第二段階目の、式 (IVa)から式 (Va)の 化合物を合成する反応は、ピリジン環の 3位のニトロ基を還元してアミノ基へと変換す る反応である。第三段階目の、式 (Va)から式 (Vila)の化合物を合成する反応は、式 (Va)の化合物とオルトぎ酸アルキルエステルとの反応によりイミダゾ [4, 5— b]ピリジ ン環を形成する閉環反応である。第四段階目の、式 (Vila)から式 (Ila)の化合物を 合成する反応は、イミダゾ [4, 5— b]ピリジン環の 3位とリボースの 1位をカップリング する反応である。これら第一段階目ないし第四段階目の反応は、当業者に周知の合 成法のいずれかを用いてもよい。
[0028] スキーム Iにおレ、て、式 (Ila)から式 (la)の化合物を合成する、第五段階の反応はリ ボースの水酸基の脱保護反応である。リボースの水酸基の脱保護は、アンモニア、メ タノール性アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリ ゥムェトキシド、塩酸、トリフルォロ酢酸、テトラプチルアンモニゥムフルオライド、三し ゆう化ホウ素、または水素 Zパラジウム触媒等で処理することにより行ってもよい。水 酸基の保護基がァセチル基、イソブチリル基、ベンゾィル基、または p_トルオイル基 等である場合は、アンモニア、メタノール性アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリ ゥム、ナトリウムメトキシド、またはナトリウムエトキシド等の酸または塩基により加水分 解処理して脱保護してもよい。また、水酸基の保護基がベンジル基である場合は、水 素/パラジウム触媒等による接触還元あるいは三しゆう化ホウ素処理により脱保護し てもよく、保護基がトリチル基またはジメトキシトリチル基等である場合は、トリフルォロ
酢酸、塩酸等で処理することにより脱保護してもよい。さらにまた、リボースの水酸基 の保護基カ^ープチルジメチルシリル基である場合には、テトラプチルアンモニゥムフ ルォライド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等で処理することにより脱保護してもよ レ、。好ましくは、この反応において、リボースの水酸基の保護基はァセチル基、イソブ チリル基、ベンゾィル基、 p_トルオイル基等であり、そしてメタノール性アンモニアで 処理することにより脱保護を行う。より好ましくは、この反応において、リボースの水酸 基の保護基は P -トルオイル基であり、そしてメタノール性アンモニアで処理すること により脱保護を行う。
[0029] 本発明の別の態様において、本発明の式 (lb)で表される、 7位に複素環を置換基 として有する 5—ァミノ一 3 _ (2—デォキシ一 /3—D—リボフラノシノレ)一3H—イミダ ゾ [4, 5 _b]ピリジン誘導体は、以下の反応式 (スキーム II):
[0030] [化 6]
(Illb) riVb) (Vb)
[0031] [反応式中、 Aは、酸素原子または硫黄原子であり;
R1, R2、および R3は、それぞれ独立して水素原子、または C -Cアルキル基であり
1 4
R5は、水素原子または水酸基であり;
R6は、水素原子または R9〇基であり;
R7、 R8、および R9は、それぞれ同一のまたは異なる、ァセチル基、イソブチリル基、 ベンゾィル基、 p—トノレオイノレ基、ベンジル基、トリチノレ基、ジメトキシトリチル基、また は t—ブチルジメチルシリル基等の水酸基の保護基であり;そして
R1Qは、ァセチル基、イソプチリル基、ベンゾィル基、フヱノキシァセチル基、エトキシ カルボニル基、 t_ブトキシカルボニル基、またはべンジルォキシカルボニル基等の ァミノ基の保護基である]
で示される合成経路によって合成される。
[0032] スキーム IIにおレ、て、式 (Illb)から式 (IVb)の化合物を合成する、第一段階目の反 応は、 2—ァミノ一 3—ニトロ一 4—クロ口一 6—保護アミノビリジンと 2—チェ二ル基ま たは 2—フリル基を有する化合物とのカップリング反応である。第二段階目の、式 (IV b)から式 (Vb)の化合物を合成する反応は、ピリジン環の 3位のニトロ基を還元してァ ミノ基へと変換する反応である。第三段階目の、式 (Vb)から式 (VIb)の化合物を合 成する反応は、式 (Vb)の化合物とオルトぎ酸アルキルエステルとの反応によりイミダ ゾ [4, 5— b]ピリジン環を形成する閉環反応である。第四段階目の式 (VIb)から式( Vllb)の化合物を合成する反応は、イミダゾ [4, 5— b]ピリジン環の 5位の保護アミノ 基の脱保護により、ァミノ基に変換する反応である。第五段階目の、式 (Vllb)から式 (lib)の化合物を合成する反応は、イミダゾ [4, 5 _b]ピリジン環の 3位とリボースの 1 位をカップリングする反応である。これら第一段階目ないし第五段階目の反応は、当 業者に周知の合成法のレ、ずれ力、を用いてもょレ、。
[0033] スキーム IIにおいて、式 (lib)から式 (lb)の化合物を合成する、第六段階の反応は リボースの水酸基の脱保護反応である。リボースの水酸基の脱保護は、アンモニア、 メタノール性アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナト リウムェトキシド、塩酸、トリフルォロ酢酸、テトラプチルアンモニゥムフルオライド、三し
ゆう化ホウ素、または水素/パラジウム触媒等で処理することにより行ってもよい。水 酸基の保護基と当該保護基を脱保護する試薬の組み合わせにつレ、ては、スキーム I におけるリボース水酸基の脱保護反応について上述したものと同様の組み合わせを 選択してもよレ、。リボース水酸基の脱保護反応における好ましい組み合わせは、リボ ースの水酸基の保護基はァセチル基、イソブチリル基、ベンゾィル基、 p_トルオイル 基等であり、そしてメタノール性アンモニアで処理することにより脱保護を行う。より好 ましくは、この反応におけるリボースの水酸基の保護基は p_トルオイル基であり、そ してメタノール性アンモニアで処理することにより脱保護を行う。
[0034] 本発明はさらに、本発明の式 (I)の化合物を製造する際の中間体を提供する。当該 中間体は、式 (II):
[0035] [化 7]
[ここで、 Aは、酸素原子または硫黄原子であり;
R1, R2および R3は、それぞれ独立して水素原子、または C -Cアルキル基であり;
1 4
R4は、水素原子またはアミノ基であり;
R6は、水素原子または R9〇基であり;
R7、 R8および R9は、それぞれ同一のまたは異なる、ァセチル基、イソブチリル基、ベ ンゾィル基、 p トルオイル基、ベンジル基、トリチル基、ジメトキシトリチル基、または t プチルジメチルシリル基等の水酸基の保護基である]
で表される化合物である。好ましくは、上記の式 (II)で表される本発明のイミダゾ [4, 5— b]ピリジン誘導体において、 Aは硫黄原子である。また、好ましくは、上記の式 (II
)で表される本発明のイミダゾ [4, 5— b]ピリジン誘導体において、 R1, R2および R3は いずれか 1つが水素原子、望ましくはいずれ力 2つが水素原子、さらに望ましくは 3つ すべてが水素原子である。さらに好ましくは、本発明のイミダゾ [4, 5— b]ピリジン誘 導体は、上述の式(II)おいて、 Aが硫黄原子であり、かつ、 、 R2および R3のいずれ 力、 1つが水素原子、望ましくはいずれ力 つが水素原子、さらに望ましくは 3つすベて が水素原子で表される化合物である。
[0037] 本明細書において、式 (II)で表される化合物の中でも、特に R4が水素原子である 化合物を式 (Ila)として表すことがあり、 R4がァミノ基である化合物を式 (lib)として表 すこと力 Sfeる。
[0038] 本明細書において、本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩とは、当該技術分野 におレ、て無害性塩として知られてレ、る塩のレ、ずれかであってよいが、とりわけ酸付カロ 塩を含む。適切な酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝 酸、リン酸、などのような無機酸、または、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、 フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シユウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸 もしくはガラタツロン酸のようなゥロン酸、乳酸、クェン酸、ダルコン酸もしくは酒石酸の ような α—ヒドロキシ酸、ァスパラギン酸もしくはグノレタミン酸のようなアミノ酸、安息香 酸もしくはケィ皮酸のような芳香族酸、 ρ—トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ェ タンスルホン酸もしくはベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸、または類似のものな どの有機酸、で本発明の化合物を処理することにより形成される。塩の調製は、当該 技術分野において知られているいずれか適当な方法によって行うことができる。
[0039] 本発明の式 (I)で表される化合物は、癌細胞増殖抑制活性を有する。そして、本発 明の式 (I)の化合物の癌細胞増殖抑制活性は、正常細胞に対する増殖抑制活性と は乖離している、すなわち、当該化合物は正常細胞に対しては癌細胞に対するより も低い増殖抑制活性を有する。このことは、当該化合物を適切な濃度で用いることで 、正常細胞の増殖を抑制することなぐ癌細胞の増殖のみを抑制することができること を意味する。
[0040] 本発明の式 (I)で表される化合物の細胞増殖抑制活性は、例えば、当業者に周知 の ΜΤΤアツセィ (例えば、生化学辞典 第 3版、第 220頁、株式会社東京化学同人、
2000年、などを参照)により評価することができる。簡単には、 MTTアツセィは、淡 黄色物質である MTT (3—(4, 5—ジメチルチアゾールー 2—ィル)—2, 5—ジフエ ニルテトラゾリゥムブ口ミド)が生細胞に取り込まれるとミトコンドリア内に存在する還元 酵素により、喑青色のホルマザンに開裂されるが、死細胞では MTTを開裂できない ことを利用して生細胞数を定量化する方法である。生細胞数の定量化は、生成した ホルマザンの吸光度を測定することにより行う。 MTTアツセィに用いる指示薬には、 MTTの他、 WST—1やアラマ一ブルーなども当該技術分野で用いられている。本 発明の化合物について MTTアツセィを行う場合には、それらの変法を用いてもよい
[0041] 本発明の式 (I)で表される化合物の細胞増殖抑制活性の評価において用いてもよ い癌細胞は、限定されるわけではないが、培養ヒト線維肉腫細胞(fibrosarcoma)、培 養ヒト急性リンパ球白血病細胞 CCRF— CEM、培養ヒト大腸腺がん細胞 SW480、 培養ヒト肺胞上皮がん細胞 A549、培養ヒト膝腺がん細胞 PANC— 1、培養ヒト膀胱 移行上皮がん細胞 T24、培養ヒト乳がん細胞 MCF— 7、培養ヒト肝がん細胞 HuH7 等の培養癌細胞を含む。好適には培養ヒト線維肉腫細胞株 HT— 1080を用いる。 本発明の化合物の細胞増殖抑制活性の評価において用いてもよい正常細胞は、限 定されるわけではないが、ヒト胎児肺線維芽細胞(normal diploid fibroblast)、ヒト末梢 血リンパ球等の細胞を含む。好適にはヒト胎児肺線維芽細胞株 WI— 38を用いる。
[0042] 本発明の式 (I)の化合物の細胞増殖抑制活性の評価は、例えば、以下のように行う こと力 Sできる。系列希釈された被験化合物のそれぞれにつレ、て MTTアツセィを行レヽ 、 MTTを指示薬として用いた場合には 570nmの吸光度を測定し、以下の式:
AbssamPie:被験化合物を添加した時の吸光度
Absbackgroun(i:細胞および被験化合物を含まぬ時の吸光度
Absnegat ive conlrol:被験化合物を含まぬ時の吸光度
[0044] により被験化合物の各濃度にっレ、て%阻害活性(%Inhibition)を計算する。得られた 被験化合物濃度に対する%阻害活性のデータから、濃度 阻害曲線を作成し、この 曲線から細胞増殖を 50%阻害する各被験化合物の濃度を IC として算出する。
[0045] 本発明の式 (I)の化合物の癌細胞増殖抑制活性は、正常細胞に対する増殖抑制 活性とは乖離している。癌細胞増殖阻害についての本発明の式 (I)の化合物の IC 値は、正常細胞についての IC 値に対して小さい値を有する。好ましくは、癌細胞増 殖阻害についての本発明の式(I)の化合物の IC 値は、正常細胞についての IC 値 に対して 2Z3またはそれより小さぐより好ましくは 1Z2またはそれより小さぐさらに 好ましくは 1Z3またはそれより小さぐさらに好ましくは 1/4またはそれより小さぐな おいつそう好ましくは 1/5またはそれより小さぐ最も好ましくは 1/10またはそれより 小さレ、。このこと力 、当該化合物は抗癌剤として有用である。したがって本発明は、 本発明の式 (I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提 供する。
[0046] 好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、癌を治療するための医薬組成物 、すなわち抗癌剤である。本明細書において癌を治療するための医薬組成物は、癌 の治癒的処置、緩和的処置および予防的処置のために用いられる医薬組成物を意 味する。癌の治癒的処置、緩和的処置および予防的処置には、癌細胞を死滅させる こと、癌細胞増殖抑制すること、癌転移を防止すること、癌の再発を防止すること、ま たは発癌を予防すること等を含む。本明細書において、癌という用語は、細胞の過剰 増殖の病態を含むいずれかの悪性疾患を意味し、 "癌"、 "腫瘍"、 "新生物"という用 語は相互に互換性を持って用いられる。
[0047] 本発明の医薬組成物により治療される癌には以下のもの:
肺癌;乳癌;黒色腫;肉腫;線維肉腫;前立腺癌;頭部および頸部癌;原発巣不明癌; リンパ腫;白血病;腎臓癌;消化管の癌、例えば食道癌、胃癌、腸癌、結腸癌、肛門 部の癌および直腸癌など;脳の腫瘍;神経膠腫;神経芽細胞腫;星状細胞腫;髄芽細 胞腫;上衣細胞腫;網膜芽細胞腫;鼻咽頭癌;基底細胞癌;膝臓癌;胆管の癌;カポ ジ肉腫;胸腺腫;精巣癌;子宮癌;膣の癌;子宮頸癌;卵巣癌;肝臓癌;子宮内膜癌; 血管上皮細胞腫;ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫; B細胞型急性リンパ芽球性
白血病/リンパ腫; T細胞型急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫;末梢性 T細胞型白 血病;成人性 Τ細胞型白血病/ Τ細胞型リンパ腫; ΝΚ細胞腫;大顆粒リンパ球性白 血病;ランゲルハンス細胞組織球増殖症;骨髄新形成;急性骨髄性白血病;急性前 骨髄球性白血病;急性骨髄単球性白血病;急性単球性白血病;骨髄異形性症候群 ;ならびに、慢性骨髄増殖性障害;が含まれるが、これらに限定されない。
[0048] 本発明の医薬組成物は、さらに、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、またはキヤ リアを含んでいてもよい。薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、またはキャリアは、本 質的にあるいは投与量において化学的に不活性および無害であり、本発明の医薬 組成物の生物学的活性に影響を与えなレ、。
[0049] 本発明の医薬組成物は、舌下を含む経口投与のために、デンプンまたはラタトース のような賦形剤を含有して、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、トローチ、液剤 、乳剤、懸濁液剤またはエリキシル剤、の形態に処方されていてよい。本発明の医薬 組成物は、徐放性もしくは腸溶性、または即時放出性であるように処方されていても よい。本発明の医薬組成物は、さらに着色料、着香剤、崩壊剤、造粒結合剤、滑沢 剤などを含んでいてもよい。これら経口投与用の医薬組成物の調製は、当該技術分 野において当業者に周知の技術を用いて容易に行うことができる。
[0050] 本発明の医薬組成物は、非経口投与、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内または皮 下への注射または注入による投与、のための液剤または懸濁液剤の形態に処方され てレ、てもよレ、。液剤または懸濁液剤の形態で処方される本発明の医薬組成物はまた 、使用時に滅菌水等で溶解 ·懸濁して用いる凍結乾燥製剤の形態に処方されていて もよレ、。注射または注入のための液剤または懸濁液剤は、無菌の水溶液の形態で最 も好適に調製される。注射または注入のための液剤または懸濁液剤は、無塵、無菌 的に調製され、そして、緩衝剤、塩溶液またはグルコースなど他の物質により血液と 等張になるよう調製される。また、注射または注入のための液剤または懸濁液剤は、 血液とほぼ等しレ、ρΗとなるように調製される。無菌条件下での適切な非経口製剤の 製造は、当業者には周知の標準的な製剤技術によって容易に成し遂げられる。
[0051] 本発明の医薬組成物は、その他にも、液剤、懸濁液剤、ローション剤、クリーム剤、 軟膏剤、ゲル剤、湿布剤、エアゾール剤、散布剤、噴霧剤、坐剤、またはペッサリー
などの形態で処方してもよい。これらの形態での製剤化については、当該技術分野 において当業者に周知である。
[0052] また、本発明は、本発明の化合物または医薬組成物を用いた癌の治療方法にも関 する。本明細書において、癌の治療とは、治癒的処置、緩和的処置、および予防的 処置を含む。本発明の化合物または医薬組成物の投与は、単一用量で、または分 割して投与してもよい。ヒト患者への経口および非経口投与の場合、本発明の化合 物の 1日用量レベルは通常、
1〜: 100mg/kg体重、好ましくは 2. 5〜20mg/kg体重となるであろう。し力しな力 S ら、本発明の化合物または医薬組成物の用量は、個々の患者の年齢、体重、健康状 態、疾患の重篤度、患者の本発明の化合物に対する応答など様々な要因によって 変化しうる。上記の用量は平均的な場合の用量であり、より高いまたはより低い用量 で投与することが適切な場合があってもよぐそのような用量による投与もまた本発明 の範囲内である。本発明の化合物または医薬組成物の適切な用量については、医 師が上述のまたはその他の要因に基づいて決定できる。
発明の効果
[0053] 本発明のイミダゾ [4, 5— b]ピリジン誘導体は、高い癌細胞増殖抑制活性を有する 一方、正常細胞に対しては細胞増殖抑制活性が低い。このこと力、ら、本発明の化合 物は新たな抗癌剤として有用である。
実施例
[0054] 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範 囲を限定するためのものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本 発明に修飾 ·変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
[0055] 実施例 1 : 7—(2—チェニル)ー3—(2—デォキシー1 β—D—リボフラノシル)
3Η—イミダゾ「4, 5— Wピリジンの合成
(1 - 1) 2—アミノー 3—二トロー 4 (2—チェニル)ピリジンの合成
[0056] [化 8]
[0057] 2 ァミノ 3 ニトロ— 4 クロ口ピリジン(Re Trav. Chim. , 88, 1263-127 4(1963)記載の合成法に従って合成した) 1.74g(10mmol)とジクロ口ビス(トリフヱ ニルホスフィン)パラジウム(II)350mg(0.50mmol)の DMF(50ml)溶液に、窒素 雰囲気下で、 2 (トリブチルスタニル)チォフェン 3.82ml(12mmol)を加え、 100 °Cで 4時間、攪拌した。その後、溶液を水中(250ml)に注ぎ、酢酸ェチル(250ml) で 3回抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。 得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで塩化メチレン:酢酸ェチル(100 :0力ら 49:1)で溶出し、 2 ァミノ一 3 ニトロ一 4— (2 チェニル)ピリジン 2· 07g (Rf 0.30/塩化メチレン:酢酸ェチル =19:1)を 93%の収率で得た。
[0058] JH NMR(CDCl); δ 8.17(d, J = 5. 1Hz, 1H), 7.45(dd, J = 5.0および 1
3
.1Hz, 1H), 7.12(dd, J = 3.6および 1.1Hz, 1H), 7.07(dd, J = 5.0および 3 .6Hz, 1H), 6.77(d, J = 5.1Hz, 1H), 5.66 (bs, 2H) .
(1-2) 2.3—ジァミノ一 4_(2_チェニル)ピリジンの合成
[0059] [化 9]
2 アミノー 3 ニトロ一 4— (2 チェニル)ピリジン 2· 06g(9.3mmol)と 10%パ ラジウム 炭素 466mgのエタノール( 130ml) 酢酸ェチル(65ml)溶液に 1 Mソジ ゥムボロハイドライド水溶液を 0°Cで加えた。その混合液を 0°Cで 1時間攪拌し、その 後、 5%塩化アンモニゥム水溶液 (43ml)に注いだ。その混合液を、セライトでろ過し
、ろ液に 500mlの水を加え、酢酸ェチル(250ml)で 3回抽出した。その溶液を硫酸 ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。その残渣をカラムクロマトグラフィ 一(塩化メチレン:エタノール =19:1力ら 93:7)で精製し、 1.46gの 2, 3—ジァミノ _4_ (2—チェニル)ピリジン(Rf 0. 24/塩化メチレン:エタノール = 9:1)を 82% の収率で得た。
[0061] 'Η NMR(CDCl) ; δ 7. 64(d, J = 5. 1Ηζ, 1H), 7.40 (dd, J = 5. 1および 1
. 1Hz, 1H), 7. 23(dd, J = 3. 5および 1. 1Hz, 1H), 7. 14(dd, J = 5. 1および 3 . 5Hz, 1H), 6. 74(d, J = 5. 1Hz, IH), 4. 26 (bs, 2H) , 3. 72 (bs, 2H) . (1-3) 7- (2_チェ二ル)一 3H—イミダゾ「4. 5_Wピリジンの合成
[0062] [化 10]
[0063] 2, 3—ジアミノー 4ー(2—チェニル)ピリジン 1· 46g(7.61mmol)とオルトぎ酸ェ チルエステル(40. 5ml)に 35wt%の塩酸(1.47ml)をカロえた。この溶液を室温で、 3日間攪拌し、ろ過した。残渣をエーテルで洗浄し、 7- (2—チェ二ル)— 3H—イミ ダゾ [4, 5_b]ピリジン 1. 74g(96%)を得た。
[0064] 'Η NMR(DMSO-d ); δ 8. 77 (s, IH) , 8.42 (d, J = 5.4Hz, IH), 8. 25
(dd, J = 3.6および 1. 2Hz, 1H), 7. 88(dd, J = 5. 1および 1. 2Hz, 1H), 7. 66 (d, J = 5.4Hz, IH), 7. 31 (dd, J = 5. 1および 3. 6Hz, IH).
(1-4) 7- (2_チェニル) _3_「3. 5—ジ _0_ (Ό—トルオイル) _2_デォキ シ _1_ β _D—リボフラノシル]— 3Η—イミダゾ「4. 5_Wピリジンの合成
[0065] [化 11]
[0066] 7—(2—チェニル)ー3^1—ィミダゾ[4, 5— )]ピリジン 951mg (4· Ommol)のァ セトニトリル (40ml)溶液に、 320mgの水素化ナトリウム(60%油性懸濁液)を加え、 その溶液を室温で終夜攪拌した。その溶液に 836mgの 2 デォキシー 3, 5 ジー O—(p—トルオイル) a—D—エリス口ベントフラノシルク口リドを加え、 90分間攪拌 した。その溶液を水(250ml)に注ぎ、酢酸ェチル(200ml)で 3回抽出した。有機層 を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマト グラフィー(塩化メチレン:エタノール = 100:0から 99:1)で精製し、 7— (2 チェ ニル) _3_[3, 5—ジ _〇_ (p—トルオイル)一 2—デォキシ一 1_ j3 _D—リボフラ ノシル ]_3H—イミダゾ [4, 5_b]ピリジン 1. 33g(Rf 0. 38/塩化メチレン:エタ ノール =49: 1)を 60%の収率で得た。
[0067] 'Η NMR(CDC1 ); δ 8. 32 (d, J = 5. 3Hz, IH), 8. 26 (s, IH), 8. 16 (dd,
J = 3. 8および 1. 2Hz, IH), 7. 93 (m, 4H) , 7. 50(dd, J = 5. 1および 1. 2Hz, IH), 7. 47 (d, J = 5. 3Hz, 1H), 7. 22 (m, 5H) , 6. 68 (dd, J = 8. 6および 5. 8 Hz, IH), 5. 82 (m, 1H), 4. 69 (m, 3H) , 3. 18(ddd, J=14. 2, 8. 6および 6 . 4Hz, 1H), 2. 86(ddd, J=14. 2, 5. 8および 2. OHz, 1H), 2. 43 (s, 3H), 2 • 37 (s, 3H).
(1-5) 7— (2—チェニル)一 3— (2—デォキシ 1 β—D—リボフラノシル) 3Η—イ^ T_4, 5— ピリジンの合成
[0068] [化 12]
[0069] 7— (2 チェ二ル)— 3— [3, 5 ジ— O— (p トルオイル)— 2 デォキシ— 1— β—D—リボフラノシル]— 3Η—イミダゾ [4, 5— b]ピリジン 1. 33g(2. 40mmol) に 120mlのメタノール性アンモニアを 0°Cで加え、その後、室温で 2日間攪拌した。 溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (塩化メチレン: エタノール =97 :3から 93 :7)で精製し、 7- (2—チェニル) _3_ (2—デォキシ _1 - β _D—リボフラノシル)一3H—イミダゾ [4, 5_b]ピリジン 717mgを 94%の収 率で得た。
[0070] 'Η NMR(DMSO-d ); δ 8. 74 (s, IH), 8. 33(d, J = 5. IHz, 1H), 8. 28
(dd, J = 3. 6および 1. 1Hz, 1H), 7. 82(dd, J = 5. 1および 1. 1Ηζ, 1H), 7. 64 (d, J = 5. 1Hz, IH), 7. 26 (dd, J = 5. 1および 3. 6Hz, 1H), 6. 25(dd, J = 7 . 3および 6.4Hz, IH), 5. 34 (bd, J = 4. 1Hz, IH), 5. ll(bt, J = 5. 4Hz, IH ), 4. 44 (m, IH), 3. 89 (m, IH), 3. 58 (m, 2H) , 2. 78(編, J=13. 0, 7. 3および 5. 9Hz, IH), 2. 24(編, J=13. 0, 6. 4および 3. 0Hz, IH).
UV λ ;25mMリン酸ナトリウム緩衝液 pH = 6. 8中で、 311應 ε =2. 04χ
104.
実施例 2: 5 アミノー 7—(2 チェニル)ー3—(2 デォキシー1 8—D リボ フラノシノレ) 3Η—イミダゾ「4, 5— Wピリジンの合成
(2— 1) 2 アミノー 3 二ヒロ一 4—し 2—チェニル) _ - 6—ェヒキシカルボニルアミ
ノビリジンの合成
[0071] [化 13]
[0072] 2—アミノー 3—ニトロ一 4—クロ口一 6—エトキシカルボニルァミノピリジン 1· 30g(5 . Ommol)とジクロ口ビス(トリフエニルホスフィン)パラジウム(II)175mg(0.25mmol )を溶解した DMF溶液(30ml)に、 2—(トリブチルスタニル)チォフェン 1· 91ml (6· Ommol)をアルゴン雰囲気下で加え、 100°Cで 2時間攪拌した。この混合液を 100m 1の水に注ぎ、酢酸ェチル(8100ml)で 3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥 し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:酢酸ェチル = 100: 0力 99: 1 )にて、 目的物を精製し、 2—ァミノ一 3—ニトロ一 4— (2—チェニル)一6—エトキシカ ルボニルァミノピリジン(Rf 0.52Z塩化メチレン:酢酸ェチル =19:1)を 1.96g( 収率 85%)得た。
[0073] 'Η NMR(DMSO-d ); δ 10.33 (bs, 1H), 7.70 (m, 1H), 7.24 (s, 1H)
, 7. 10 (m, 2H), 7.02 (bs, 2H) , 4.13(q, J = 7. OHz, 2H) , 1.22(t, J = 7.0 Hz, 3H).
(2-2) 2.3—ジァミノ一 4_ (2_チェニル) _6_エトキシカルボニルァミノピリジ ンの合成
[0074] [化 14]
[0075] 2 アミノー 3 ニトロ一 4— (2 チェニル) 6 エトキシカルボニルァミノピリジン 1. 57g (5. lmmol)と 10%パラジウム 炭素 255mgを溶解したエタノール(77ml )一酢酸ェチル(38ml)の混合溶液に 1Mソジゥムボロハイドライド水溶液(15· 3ml) を 0°Cでカ卩え、 0°Cで 1時間攪拌した。この溶液に、 5%塩化アンモニゥム水溶液(23 . 4ml)を加え、セライトでろ過した。セライトは、 204mlの水で洗浄し、ろ液とこの洗浄 液を混ぜ、エタノールと酢酸ェチルを減圧下で留去した後、酢酸ェチル(150ml)で 3回抽出した。この溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去し、シリカゲ ルカラムクロマトグラフィー(塩ィ匕メチレン:酢酸ェチル = 7 : 3から 1: 1)で目的物を精 製し、 2, 3 ジァミノ一 4— (2 チェ二ル)一 6 エトキシカルボニルァミノピリジン(R f 0. 39Z塩化メチレン:酢酸ェチル = 1 : 2)を 1. 28g (収率 90%)得た。
[0076] JH NMR (DMSO-d ); δ 9. 07 (bs, 1H), 7. 60 (dd, J = 5. 1および 1. 1Hz
, IH) , 7. 34 (dd, J = 3. 7および 1. 1Hz, IH) , 7. 16 (dd, J= 5. 1および 3. 7Hz , IH) , 6. 96 (s, IH) , 5. 59 (bs, 2H) , 4. 38 (bs, 2H) , 4. 04 (q, J= 7. 0Hz, 2H) , 1. 18 (t, J = 7. 0Hz, 3H) .
(2- 3) 7- (2 チェニル)ー5 エトキシカルボニルアミノー 3H—イミダゾ「4, 5 ピリジンの合成
[0077] [化 15]
2, 3 ジァミノ一 4— (2 チェ二ル)一 6 エトキシカルボニルァミノピリジン 1. 28 g (4. 6 lmmol)とオルトぎ酸ェチルエステル(24· 6ml)中に、 35wt%の塩酸(892 β 1)を加え、室温で 3日間攪拌した。この溶液をろ過し、生成物をエーテルで洗浄し 、 7— (2 チェ二ル)一 5 エトキシカルボニルァミノ一 3Η—イミダゾ [4, 5— b]ピリ ジン 1. 36gを 91%の収率で得た。
[0079] Ή NMR(DMSO-d ); δ 10.25 (bs, IH) , 8.69 (bs, IH) , 8.20 (dd, J
=3.8および 1.1Hz, IH), 8. 12(s, IH), 7.81 (dd, J = 5. 1および 1.1Hz, 1 H), 7.28 (dd, J = 5.1および 3.8Hz, IH), 4. 17(q, J = 7.2Hz, 2H) , 1.26 ( t, J = 7.2Hz, 3H).
(2-4) 5—ァミノ一 7_ (2_チェ二ル)一 3H—イミダゾ「4.5_b」ピリジンの合成
[0080] [化 16]
[0081] 7— (2—チェ二ル)一 5—エトキシカルボニルァミノ一 3H—イミダゾ [4, 5— b]ピリ ジン 1.21g(3.72mmol)のエタノーノレ(130ml)溶夜に、 7.29gの水酸ィ匕カリウム を加え、 4時間加熱還流した。この溶液に、塩化アンモニゥム水溶液(7.65g/26m 1)を加え、その後、溶媒を減圧下で留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (塩 化メチレン:エタノール =9:1力、ら 7 :3)で生成物を単離し、 5—ァミノ一 7_ (2—チェ ニル)—3H—イミダゾ [4, 5_b]ピリジンを 870mgの収量で得た。
[0082] 'Η NMR(DMSO-d ); δ 12.35 (bs, IH), 8.19 (dd, J = 3.6および 0.9
Hz, IH), 7.95(s, IH), 7.67(dd, J=5.1および 0.9Hz, IH), 7.20 (dd, J =5.1および 3.6Hz, IH), 6.64 (s, IH), 5.86 (bs, 2H) .
(2-5) 5—ァミノ一 7_ (2_チェ二ル)一 3_「3.5_ジ一〇_ (Ό—トルオイル) _2—デォキシ一 1_ β _D—リボフラノシル Ί— 3Η—イミダゾ「4.5_Wピリジンの
[0083] [化 17]
[0084] 5 アミノー 7— (2 チェ二ル)一 3H—イミダゾ [4, 5— b]ピリジン 465mg(2. 15 mmol) のァセトニトリル溶液(22ml)中に、 86mgの水素化ナトリム(60%油性懸濁 液)をカ卩え、室温で 6時間攪拌した。この混合液に、 2 デォキシー 3, 5 ジー〇一( p トノレオイル) - a—D エリス口ベントフラノシルク口ライド 836mgをカロえ、室温 で 1時間攪拌した。この溶液を 100mlの水中に注ぎ、塩化メチレン(100ml)で 3回抽 出した。この溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、その後、溶媒を留去した。生成物をシリ 力ゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:酢酸ェチル = 19. 1力ら 37: 3)で単離 し、 5—ァミノ— 7— (2—チェニル)—3— [3, 5—ジ— O— (p—トルオイル)—2—デ ォキシ一 1— j3— D—リボフラノシル]— 3H—イミダゾ [4, 5— b]ピリジン(Rf 0. 37 /塩化メチレン:酢酸ェチル =9: 1) 1. 05gを 86%の収率で得た。
[0085] 'Η NMR(CDCl ) ; δ 8. 10(dd, J = 3. 6および 1. 1Ηζ, IH), 7. 94 (m, 5H
), 7. 44(dd, J = 5. 1および 1. 1Hz, IH), 7. 23 (m, 4H), 7. 16(dd, J = 5. 1お よび 3. 6Hz, 1H), 6. 50 (dd, J = 8. 4および 5. 7Hz, 1H), 5. 82 (m, IH), 4. 8 5(dd, J=13. 2および 6. 2Hz, 1H), 4. 64 (m, 2H) , 4. 53 (bs, 2H) , 3. 26 (dd d, J=14. 1, 8.4および 5. 9Hz, IH), 2. 68 (ddd, J= 14. 1, 5. 7および 1. 9H z, IH), 2.40(s, 3H), 2. 37(s, 3H) ·
(2-6) 5 アミノー 7— (2 チェニル)一 3— (2 デォキシ 1 β—D—リボフ ラノシル) _ 3Η—イ ダゾ [ 5-blピリジンの合成
[0086] [化 18]
[0087] 5—ァミノ一 7_(2_チェ二ル)一 3_[3, 5_ジ一〇_ (p—トルオイル)一 2—デォ キシ一 1_ j3—D—リボフラノシル]— 3H—イミダゾ [4 5_b]ピリジン 1.05g(l.8 5mmol)に 92mlのメタノール性アンモニアを加え、室温で 2時間攪拌した。その後、 溶媒を減圧下で留去し、生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー (塩化メチレン: エタノール =19:1から 9:1)で精製し、 5 ァミノ 7— (2 チェ二ル)— 3— (2 デ ォキシ 1— i3— D リボフラノシル)一 3H—イミダゾ [4, 5— b]ピリジン 555mgを 90%の収率で得た。
[0088] JH NMR (DMSO-d ) δ 8.24(s, 1Η), 8. 19(dd, J = 3.5および 1.1Η
6
z, 1H), 7.70(dd, J = 5.0および 1.1Hz, 1H), 7.21 (dd, J=5.0および 3.5H z, 1H), 6.70(s, 1H), 6.33 (dd, J = 8.1および 6.1Hz, 1H), 6.03 (bs, 2H) , 5.28(bd, J = 3.2Hz, 1H), 5.07(bt, J = 5.4Hz, 1H), 4.38 (m, 1H), 3. 84 (m, 1H), 3.55 (m, 2H) , 2.64 (ddd, J= 13.1, 6.1および 5.7Hz, 1H), 2.24(ddd, J=13.1, 5.9および 3.0Hz, 1H).
UV λ ;25mMリン酸ナトリウム緩衝液 pH = 6.8中で、 307 ε =2. llx max
104 247nm ε =1.44xl03, 222nm ε =1.70xl04. 培養ヒト線維肉腫細胞 (fibrosarcoma) HT_ 1080およびヒト胎児肺線維芽細胞(正
常な二倍体線維芽細胞(normal diploid fibroblast) )WI— 38について、 2種の被験化 合物、 7— (2 チェ二ル)— 3— (2 デォキシ— 1— D リボフラノシル)— 3H —イミダゾ [4, 5 -b]ピリジン(本実施例にぉレ、て化合物 IAとレ、う)および 5 -ァミノ— 7- (2 チェニル) - 3 - (2—デォキシ一 1 _ j3 _D—リボフラノシノレ) _ 3H—イミダ ゾ [4 5_b]ピリジン (本実施例において化合物 IBという)、の細胞増殖抑制効果を 調べるために、 MTTアツセィを行った。 lxlO4細胞/ mlの細胞を、 96穴マイクロプ レート(IWAKI)に 90 μ 1/ゥヱルずつ播種した。 37°Cで 3— 4時間培養した後、 PB S _ 5%DMSOに溶解し、それぞれの濃度に調製した被験化合物溶液を 10 μ 1添加 し 37°Cで 72時間培養した。これらの溶液の各ゥヱルに、 MTTの PBS溶液(5mg/ ml)を 25 ずつ添カロし、さらに 37°Cで 2時間培養した。そして、 50%DMF_ 20% SDS溶液を各ゥエルに 100 μ ΐずつ加えた。引き続き 37°Cで 16時間培養後、マイク 口プレートリーダーを用いて、 570nmの吸光度を測定し、下式より、%阻害活性 (%In hibition)を計算した。
[0089] [数 2]
%阻害活性 = 100 X [1 - (Abssanple - Absbadiw d)/ (Absnegat ive control ― ADS background
AbssaDEle:被験化合物を添加した時の吸光度
Absbackground:細胞および被験化合物を含まぬ時の醜度
Absnegat ive conlroI:被験化合物を含まぬ時の吸光度
[0090] 細胞増殖を 50%阻害する各被験化合物の濃度 (IC / M)を濃度 阻害曲線から
50
算出した。 IC 値を、標準偏差と共に以下の表 1に示す。
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[0091] [表 1]
表 1
表 1に示すように、培養ヒト線維肉腫細胞(fibrosarcoma) HT— 1080に対して、ィ匕 合物 IAは IC 力 2 /i M、化合物 IBは IC 力 ¾4 /i Mであった。一方、正常細胞であ るヒト胎児肺線維芽細胞(normal diploid fibroblast) WI— 38に対しては、いずれの化 合物についても IC は 300 μ Μ程度であった。このことは、化合物 IBは癌細胞に対し て、正常細胞に対するよりも約 10倍高い増殖抑制活性を有し、一方化合物 IAは癌 細胞に対して、正常細胞に対するよりも約 5倍高い増殖抑制活性を有することを示し ている。このように、これらの化合物の癌細胞増殖抑制活性は正常細胞に対する細 胞増殖抑制活性とは乖離してレ、る。