WO2005002740A1

WO2005002740A1 - 塗布工具

Info

Publication number: WO2005002740A1
Application number: PCT/JP2004/004671
Authority: WO
Inventors: Noriaki Miwa; Noriyuki Kakehashi; Mutsumi Yasutake; Toshihiko Kanayama; Tsutomu Fukuda
Original assignee: Mitsubishi Materials Corporation
Priority date: 2003-07-02
Filing date: 2004-03-31
Publication date: 2005-01-13
Also published as: JP2005052820A; TWI313622B; KR100762774B1; KR20060028771A; TW200507949A

Abstract

本発明の塗布工具は、複数のヘッド部材16、18から構成された塗布ヘッド10を有し、前記複数のヘッド部材16、18における互いに対向する側面17、19同士の間に、前記塗布ヘッド10の先端に開口する溝状のスロット14が画成され、塗布液か前記スロット14内を流通して前記塗布ヘッド10の先端から吐出される塗布工具であって、前記ヘッド部材16、18の材質が、チタン合金であることを特徴とする。また、前記スロットを画成するスロット面17、19が、チタン合金よりも硬質の材質で形成されていることを特徴とする。

Description

明細書塗布工具本発明は、シート状部材またはパネル状部材などの被塗布部材の表面に塗布液を塗布する塗布工具に関する。

なお、本出願は、日本国への特許出願特願 2 0 0 3— 1 9 0 6 1 0、特願 2 0 0 3— 2 0 1 0 8 6、特願 2 0 0 4— 9 4 5 5 6に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。背景技術

従来、シート状部材の表面に塗布液を薄く均一に塗布して、塗膜層を形成するような塗布作業を行う塗布装置に装着される塗布工具として、塗布液を通過させるスロットを有する塗布工具が用いられている。このような塗布工具として、図 6に示すような塗布ヘッド（工具本体） 1を備えた塗布工具があり、塗布ヘッド 1は、図中に矢線 Aで示す走行方向に走行するシート状部材 Sに対して、このシ ―ト状部材 Sの幅方向に延びる長尺に形成されており、その先端部を上向きにしてシート状部材 Sに摺接可能に、このシート状部材 Sの下に配置されている（例えば、特開昭 6 2— 2 4 1 5 7 4号公報（第 1図）。）。

また、図 7に示すように、塗布ヘッド 1の先端部を下向きにし、パネル状部材 Pの上方に位置させて塗布へッド 1をパネル状部材 Pに摺接させ、図中の矢線 B で示す方向に移動させるものも使用されている。

これら塗布ヘッド 1は、一対のへッド部材 2 , 3の側面 2 a ₃ 3 aが一定の間隙を有して配設されることでスロット 4を画成しており、側面 2 a , 3 aの長手方向に向けて形成された凹溝 5， 6がボケヅト 7を画成している。スロット 4は、塗布ヘッド 1の先端面に開口しており、塗布液を供給する供給口（図示せず）がポケット 7の中央に連通して設けられている。そして、スロット 4の間隔を高精度に形成するために、側面 2 a , 3 aは研磨加工によって仕上げ加工が施されている。また、図においてはスロヅト 4およびポケット 7が塗布へッド 1の側方に開口しているが、スロット 4およびポケヅト 7の端部は封止される構成となつている。塗布作業において供給口から供給された塗布液は、ポケット 7に充満することで塗布へッド 1の長手方向に広がり、スロット 4を通過して塗布へッド 1 の先端から吐出される。吐出された塗布液は、塗布ヘッド 1に対して相対的に移動するシート状部材 Sの表面（下面）または、パネル状部材 Pに塗布され、塗膜層が形成される。

このような塗布へッド 1を備えた塗布工具で使用される塗布液として、液晶デイスプレイ用のカラ一ペーストゃカラ一フィル夕用のレジスト剤などが使用されており、これらの塗布液には力一ボン繊維やガラス繊維などの硬質の含有物が含まれている。また、塗布液の目詰まりを防止するためや、種類の異なる塗布液を使用する際には、塗布工具を分解してスロット 4やポケット 7を洗浄する必要があった。この洗浄作業は、たとえばスロット 4を画成している側面 2 a , 3 aに' 付着している塗布液を、溶剤を含ませた布などでこすって行われている。また、このような塗布工具がディスプレイ基板にカラ一フィル夕用レジスト剤を塗布する塗布作業に用いられる場合、塗布工具を上部、基板を下部に配置したうえで、塗布工具が基板に対して相対的に動き、ディスプレイの大型化に伴って塗布幅の広い塗布工具が求められている。

ところで、上記塗布工具において、塗布液の含有物がスロットを画成している側面よりも硬い場合には、含有物によって側面に筋状の傷が付いたり、含有物が側面に突き刺さつたりしてしまうという問題があつた。また、塗布工具の洗浄作業においても含有物によって側面を損傷させてしまうおそれがあり、このように損傷した箇所に塗布液が入り込んでしまうことによつて洗浄作業が困難になり、さらに、側面の損傷によって、塗膜層の表面に微細な筋が形成されてしまうという問題があった。また、従来よりステンレス製のヘッド部材の先端部分に超硬合金製のエッジ部材を装着して、先端部分の耐摩耗性を向上させることが行われているが、この場合においてもエッジ部材とポケットとの間の部分が損傷し、洗浄作業や塗膜層の形成に悪影響を与えていた。また、塗布工具の塗布幅を広げるためには塗布工具を大型化しなければならず、大型化に伴う重量増加に対応するために、塗布装置を大型化しなければならないという問題があつた。また、塗布工具が移動して塗布する方式では、塗布工具の大型化は、重量増加による橈み等、塗布工具の動的、静的精度の低下に大きく影響し、作業性が悪化するため、最適な塗布を行うためにも、塗布工具の軽量化は不可欠である。発明の開示

本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、複数のヘッド部材から構成された溝状のスロット内を塗布液が流通して塗布へッドの先端から吐出される塗布工具において、段取り替え作業、洗浄作業が容易でかつ生産性が高く、長寿命な塗布工具を提供することにある。

上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。

請求項 1記載の発明は、複数のへッド部材から構成された塗布へッドを有し、前記複数のへヅド部材における互いに対向する側面同士の間に、前記塗布へッドの先端に開口する溝状のスロットが画成され、塗布液が前記スロット内を流通して前記塗布へッドの先端から吐出される塗布工具であって、前記へッド部材の材質が、チタン合金であることを特徴とする。

この発明に係る塗布工具は、へッド部材がチタン合金で形成されているので、軽量であり、段取り替え作業における塗布工具の取扱いが容易である。

また、スロット面を含め塗布ヘッド全体がチタン合金で形成され、耐摩耗性、耐蝕性に優れているため、塗布液に含まれている含有物によってスロット面に筋状の傷付きや、含有物がスロット面に突き刺さることが防止される。また、スロット面に傷付きが生じた場合であってもチタンが化学的に活性であるため、発生した傷部分に安定な酸化皮膜が形成されて腐食が進行し難くいため、スロット面の寿命延長が実現できる。

このように、耐摩耗性等が向上することで、洗浄作業におけるスロット面の損傷が防止されるとともに損傷箇所への塗布液が入り込みも減少し、洗浄作業を容易に行うことができる。

また、ヘッド部材を一体的に形成することにより、スロット面を複数の部材で構成する場合のような部材間隙間がないため、塗布液の流動がスムースとなり隙間に塗布液が入り込むことがない。以上のように、塗布工具の性能維持が容易で、段取り替え作業、洗浄作業等を容易に行い、時間短縮（分解、組立作業を含めて約 10%の低減）ことができる o

請求項 2に記載の発明は、請求項 1に記載の塗布工具において、前記チタン合金は、

密度； 4. 3g/cm³から 4. 7 g/cm³

線膨張係数； 8. 5から 9 · 0〃m/m · K

全領域の硬度分布； H_RC 3以下の特性を有し、

かつ、前記スロットの表面全領域において、長さ 100mmの線分上を通過する深さ 0. 2〃111から 1. の傷が 50本以下であることを特徴とする。チタン合金は、ひ相は最密六方格子であるためクリープ性等、機械的特性が良好であり、一方、相は熱処理性等の加工性が良好である。そのため、この発明に係る塗布工具の材料としては、双方の特徴を併せ持つ α + 5型チタン合金が好適であり、精度の高いへッド部材を容易に製作することができる。

そして、ヘッド部材全体にわたり硬度分布を H_RC 3以下に抑えて、内部残留応力の偏りがほとんどない熱処理ムラの少ないものを使用しているため、液溜まりとなる凹溝の切削を安定して行うことができ、切削による内部応力の発生を抑制するとともに、研磨加工における応力解放を小さく抑えることができる。その結果、真直度 5 Aim以下を達成することができ、さらに使用時の応力解放も小さいため、経年変化による精度劣化を防止することができる。

また、線膨張係数が、 8. 5から 9. O mZm · Kと小さいので、加工時に発生する熱による寸法への影響も小さく、精度が高いへッド部材を製作することができる。

また、線膨張係数が小さいため、塗布工具として使用する場合の温度変化の影響を受け難い。例えば、ステンレス鋼（SUS 420 J2 線膨張係数； 11. 5 m/m - K) と比較すると約 22 %から 25 %小さいため、塗布工具の精度を大幅に向上させることができる。

また、スロヅト面を最大高さ R_z ( J I S B 0601 ) 0. 2〃m以下の面粗度の鏡面仕上げを施し、.塗布液に対する適度な撥水性を備えさせることによつて、辇布液の塗布に関して好適な塗布性能を得ることができる。

また、スロット面に傷が存在する場合、塗布に際して、塗布液に部分的な流速差や乱流が発生することにより、塗布膜に微小な凹凸が生じて品質が低下するが

、深さ 0 . 2〃111から 1 . 0 mの傷を、線分の長さ 1 0 0 mmあたり 5 0本以下とすることによって、凹凸の発生を大幅に削減することができる。また、塗布液の入り込みに大きく影響する深さ 0 . 2 /mから 1 . 0〃mの傷が、線分の長さ 1 0 0 mmあたり 5 0本以下と少ないため、洗浄作業を容易に行うことができる

請求項 3に記載の発明は、請求項 2に記載の塗布工具において、前記スロットの表面全領域において、長さ 1 0 0 mmの線分上を通過する深さ 0 . 2 /mから 1 . 0 /mの傷が 5 0本以下であることを特徴とする。

この発明に係る塗布工具は、請求項 2に係る発明の作用に加え、前記傷が線分の長さ 1 0 0 mmあたり 1 0本以下と少ないため、洗浄作業をより容易に行うことができるとともに、塗布液のロット替等における塗布液の傷への入り込みによる影響を、非常に小さくすることができる。特に、液晶ディスプレイ等におけるレジスト材等の塗布に関しては、塗布膜の凹凸が微小であっても、製品の輝度に大きなバラヅキ等を生じるため、塗布工具の傷を少なくすることが重要であるが、線分の長さ 1 0 0 mmあたり 1 0本以下にすることにより、塗布膜の凹凸をほとんどなくすことができる。

請求項 4に記載の発明は、請求項 1記載の塗布工具であって、

少なくとも、前記スロットを画成するスロット面が、チタン合金よりも硬質の材質で形成されていることを特徴とする。

この発明の塗布工具では、少なくともスロット面となる全面が、チタン合金よりも硬質な材質で形成されているので、塗布液に含まれている硬質の含有物によつてスロット面に筋状の傷が付きや、含有物がスロット面に突き刺さることが抑制される。

請求項 5に記載の発明は、請求項 1から 3のいずれかに記載の塗布工具であつて、前記へッド部材の前記スロットを画成するスロット面および前記開口する側の端面に、耐摩耗性および Zまたは耐蝕性を有する層を備えることを特徴とする、この発明に係る塗布工具は、スロット面およびスロット面が開口する側の端面に耐摩耗性および/または耐蝕性を有する層を有しているため、耐摩耗性および Zまたは耐蝕性がさらに向上し、洗浄作業や塗布工具の性能維持が行い易いため生産性向上、工具寿命の延長を達成することができる。

請求項 6に記載の発明は、請求項 4記載の塗布工具であって、

前記スロット面を形成する前記材質が、超硬合金であることを特徴とする。この発明の塗布工具では、少なくともスロット面となる全面が、超硬合金で形成されているので、 R _z 0 . 2 zm以下の面粗度の鏡面仕上げを容易に実現することができる。

また、硬さが H _RA 9 1前後と、チタン合金や塗布液の含有物よりも硬いので、塗布液に含まれている硬質の含有物によるスロット面への筋状の傷が付きや、含有物のスロット面への突き刺さりが抑制される。その結果、損傷箇所に塗布液が入り込むこともなくなり、塗膜層の表面に微細な筋が形成されない。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の第 1の実施形態における塗布工具に使用される工具本体の側面図である。

図 2は、図 1に示す工具本体の右側面図である。

図 3は、図 2の B— B断面図である。

図 4は、本発明の第 2の実施形態における塗布工具に使用される工具本体側面の要部を示す図である。

図 5は、本発明の第 3の実施形態における塗布工具に使用される工具本体側面の要部を示す図である。

図 6は、従来の工具本体を示す斜視図である。

図 7は、従来の工具本体を示す斜視図である。発明を実施するための最良の形態

以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図 1は、塗布工具に使用される第 1の実施形態の塗布ヘッド（工具本体） 10 を長手方向から見た図で、図 2は図 1の右側面図、図 3は図 2の B— B断面図である。

この塗布へヅド 10は、一対のへッド部材 1 6, 18の対向する側面（以下、スロット面という） 17、 1 9が一定の間隙を有して配設されることでスロヅト 14を画成しており、スロット 14は、塗布へヅド 10の先端で開口している。へッド部材 1 6、 18は、スロット 14が開口する部分で突出して、先端面 17 e、 1 9 eが形成され、その先端面 1 7 e、 1 9 eで塗布剤を塗布するようになつている。

塗布へッド 10を構成するへッド部材 16は、スロット面 17に、長手方向に向けて半円形状に形成された凹溝 1 1が設けられ、凹溝を有さないへッド部材 1 8とによってポケット 1 5が画成されている。

また、ポケヅト 1 5には、塗布液を供給する供給口（図示せず）が連通して設けられており、図 1においてはスロヅト 14およびポケヅト 15が塗布へヅド 1 0の側方に開口しているが、スロット 14およびポケット 1 5の端部は封止される構成となっている。

図 3に示すように、へヅド部材 1 6、 18は、凹溝 1 1より基端側に位置する内側面 16 c、 18 cが互いに密着するように、結合ボルト 20によって結合されている。

へヅド部材 1 6, 18は、 + ?型チタン合金の一種である T i— 6 A 1—4 V (チタン合金）で、密度 4. 43 g/cm³、線膨張係数 8. 6 zm/m - K 、へッド部材の全領域の硬度分布が H_RC 3以下のもので製作されている。

そして、スロヅト面 1 7, 19および先端面 17 e、 1 9 eは研磨加工によつて鏡面（R_z0. 2 /m以下）仕上げが施されている。また、スロット面 17、 1 9は、その表面全領域において、実体顕微鏡（60倍）により、長さ 100m mの線分上を通過する傷が 10本以下になるように鏡面仕上げされている。ここで、傷とは、面粗さ計（J I S B 0601) によって検出される深さ 0. 2 / mから 1. 0 mの凹をいう。傷の深さを、 0. から 1. 0 zmのものとしたのは、この範囲の傷への塗布液の入り込みが塗布性能または洗浄に大きく影 1

8 響するからである。

上述したように形成された塗布へッド 1 0を備えた塗布工具の使用方法について説明する。

塗布へッド 1 0を備えた塗布工具は、塗布装置に装着されて塗布作業に用いられる。塗布作業において、塗布装置から塗布液が供給され、塗布液はポケット 1 5に充満することで塗布へッド 1 0の長手方向に広がり、スロット 1 4を通過して塗布ヘッド 1 0の先端、つまりスロット 1 4の開口端から吐出され、この塗布へッド 1 0のスロット先端面 1 7 e、 1 9 eに対して相対的に移動するシート状部材 S (図 5参照）または、パネル状部材 P (図 6参照）に塗布される。

このような塗布作業において、スロット面 1 7、 1 9は上述の特性を有したチタン合金で形成されているので、塗布液に硬い含有物が含まれていたとしても、スロット面 1 7、 1 9に損傷が生じることを抑制することができ、損傷が生じた場合であっても、チタンの化学的活性により、発生した傷部分に安定な酸化皮膜が形成されるため、腐食が進行し難く傷に対しての寿命延長が実現できる。表 1に示したのは、水酸化ナトリウムの 5 %水溶液に、常温（ 2 0 °C〜 2 5 °C ) にて、チタン合金 ( T i 6 A 1 4 V) 、ステンレス ( S U S 6 3 0 )、 W C - C o— C r系超硬合金を浸潰させて、腐食の程度を中央線平均粗さ（R a ) を代用特性として比較したものである。この、比較実験によると、チタン合金、超硬合金はステンレスの約半分の腐食しか発生しないことがわかる。

表 1

損傷箇所に塗布液が入り込まないので洗浄作業を容易に行うことができる。また、このように耐久性が向上して損傷が生じないので、塗布された塗布液によって形成される塗膜層の表面に微細な筋が形成されるのが防止される。また、ヘッド部材 1 6、 1 8がー体的に形成されていて、部材間の隙間がないため塗布液の流動抵抗が少なく、塗布液の入り込みがないので、洗浄作業が容易な。

また、スロット面 1 7、 1 9およびスロット先端面 1 7 e、 1 9 e等、塗布液の流通部が適度な撥水性を有しているため、塗布性能が好適となり塗布作業の生産性を向上することができる。

以上説明したように、この実施の形態に係る塗布工具によれば、ヘッド部材 1 6、 1 8が、機械的性質が優れ密度が小さいチタン合金で一体的に形成されて、軽量であるので、段取り替え作業、洗浄作業にともなう作業を容易に行うことができる。

また、最密六方格子で機械的特性が良好なひ相と、熱処理性等の加工性が良好な 5相との、双方の特徴を併せ持つひ + 型チタン合金を材料としているため、精度の高いへッド部材を容易に製作することができる。

また、線膨張係数が小さいので、高精度な加工を容易に行い、使用時の温度による影響を受け難く塗布性能を向上することができる。さらに、ヘッド部材 1 6 , 1 8が軽量なので、長手方向に長く形成されて塗布幅の広い場合、自重によるスロット 1 4の撓み変形が抑制され、塗布液を均一に塗布できる。

また、ヘッド部材 1 6、 1 8全体にわたり硬度分布を H _R C 3以下に抑えているため、切削による内部応力発生の抑制とともに、研磨加工における応力解放を抑制し、真直度 5〃m以下/ /m 例えば真直度 4 ^d mZrnを達成することができ、さちに使用する際の経年変化による精度劣化を防止することができる。

また、真直度 5〃m以下 /mという高精度のへヅド部材を形成できるため、今後の塗布工具の大型化に際してへッド部材 1 6、 1 8の長さが 1メートル以上になった場合にも、精度の高いへヅド部材 1 6、 1 8を低コストにて製作することができる。

また、スロット面 1 7、 1 9が鏡面仕上げしたチタン合金で形成されているので、適度な撥水性を有し、洗浄作業の容易化に加えて、好適な塗布性能を有するので塗布作業の生産性を向上することができる。

また、へッド部材 1 6、 1 8の耐摩耗性および耐蝕性が高く、スロット面 1 Ί 、 1 9が損傷され難いので保守作業、洗浄作業を容易に行うことができ、性能が維持し易いので工具寿命を延長することができる。

また、このような塗布へッド 1 0が装着される塗布装置の剛性を低く設計することができ、塗布へッド 1 0を駆動させるための駆動手段としても小型のモ一夕を使用することができる。つまり、塗布ヘッド 1 0を大型化しても塗布装置の大型化を抑制することができ、コストダウンを図ることができる。また、塗布工具 1 0が軽量化されることによって、塗布工具を取り扱うハンドリング装置などが不要となり、洗浄作業に伴う分解作業や、洗浄作業を短時間に容易に行うことができる。

図 4は、本発明の第 2の実施形態に係る塗布へッド 1 0の要部を示す図である。この第 2の実施形態において、第 1の実施形態と同様の部分については、同一の符合を用いてその説明を省略する。

第 2の実施形態が、上述した第 1の実施形態と異なるのは、スロット面 1 7、 1 9およびスロヅト先端面 1 7 e、 1 9 eに T i C (チタン力一バイト）を表面処理により、耐摩耗性および耐蝕性を有する層（以下、表面処理層という） 1 7 f s 1 9 f として形成し、鏡面仕上げをしている点である。

この第 2の実施形態においても、上述した第 1の実施形態と同様の効果を得ることができ、さらに、スロット面 1 7、 1 9およびスロット先端面 1 7 e、 1 9 eに、表面処理層 1 7 f、 1 9 fを形成することにより、スロット面 1 7、 1 9 およびスロット先端面 1 7 e、 1 9 eの傷付きや摩耗が減少し、へ、 J、ド部材の製作当初の性能を維持することが容易となり、塗布工具としての寿命延長や保守、分解整備に要する手間およびコストが削減できる。

なお、本実施の形態においては、塗布へヅド 1 0のポケヅト 1 5が、半円形状の場合について説明したが、ポケット 1 5の形状については、円形状、水滴形状または、スロットに接しない角部分に R等の緩やかな形状を設けた矩形形状など、半円形状以外の形状を用いてもよい。

また、スロット面 1 7 , 1 9に形成する表面処理層の材料として、 T i Cを使用した場合について説明したが、材料として T i N (窒化チタン）を使用してもよいし、へッド部材を構成するチタン合金の表面を電解インプロセスドレヅシング研削等によって、ヘッド部材 1 6、 1 8の表面に安定な酸化皮膜層を形成させることにより表面処理層を形成させてもよい。ここで、電解インプロセスドレヅシング研削とは、铸鉄、コバルトを主成分としたボンド材と砥粒を焼結したメタルボンド砥石を陽極とし、これに対向して設けた陰極との間に直流パルス電流を供給して、電解作用により砥石の金属ボンド部のみを選択的に除去し、目詰まり等による砥石の切れ味低下を抑制して、高効率な鏡面研削作業を行う研削をいい、その副次的作用として被研磨材表面に安定した酸化皮膜を得ることができる。また、被塗布部材はシート状部材 Sに限られずに、たとえば電子基板などのパネル状部材に塗布液を塗布する塗布工具に本発明を用いてもよい。

図 5は、. 本発明の第 3の実施形態に係る塗布へッド 1 0の要部を示す図である。この第 2の実施形態において、第 1の実施形態と同様の部分については、同一の符合を用いてその説明を省略する。

スロット部材 2 1， 2 3は、超硬合金製の断面略長方形の板状部材で、スロット部材 2 3の基端側部分が凹溝 1 1に対向するように形成されており、スロット部材 2 3はスロット部材 2 1より基端方向に長く形成されている。また、スロット部材 2 1， 2 3は、互いに対向する側面がスロット 1 4を画成するスロット面 1 7， 1 9とされ、スロット面 1 7 , 1 9は一定の間隔を有するように配設されている。

また、ポケット 1 5は対向する凹溝 1 1とスロット部材 2 3の基端側部分によつて画成されている。

この実施の形態の塗布工具によれば、スロット面 1 7， 1 9がチタン合金よりも硬質な材質で形成されているので、塗布液に力一ボン繊維やガラス繊維などの硬質な含有物が含まれて、チタン合金の部位に損傷が生じるような事態が発生しても、超硬合金で形成されたスロット面に傷付き等が発生するのを抑制することができる。また、スロット面 1 7， 1 9の洗浄作業においても含有物による損傷を抑制することができ、損傷箇所に塗布液が入り込むことがないので容易に洗浄作業を行うことができる。

また、チタン合金製のへッド部材 1 6 , 1 8に超硬合金製のスロット部材 2 1 , 2 3が装着されて構成されているので、上述したような効果を得られるとともに塗布ヘッド 1 0全体として軽量化を図ることができる。つまり、上述したような効果を得るためにへッド部構成体 1 2 , 1 3全体を超硬合金で形成した場合より、軽量な塗布ヘッド 1 0を構成することができる。

また、 3つ以上のへッド部構成体を用いて 2つ以上のスロットを有した塗布へッドを構成することにより、シート状部材 Sの表面に複数の塗膜層を同時に形成可能とした塗布工具に本発明を用いてもよい。

また、被塗布部材はシート状部材 Sに限られずに、たとえば電子基板などのパネル状部材に塗布液を塗布する塗布工具に本発明を用いてもよく、また、固定された状態のシート状部材ゃパネル状部材に対して塗布工具が移動する構成としてもよい。

産業上の利用可能性

本発明は、シート状部材またはパネル状部材などの被塗布部材の表面に塗布液を塗布する塗布工具に関する。

この発明に係る塗布工具及び塗布装置によれば、段取り替え作業、洗浄作業を容易に行うことができるとともに、生産性を向上し、塗布工具の寿命を延長することができる。

Claims

請求の範囲

1. 複数のへッド部材から構成された塗布へッドを有し、前記複数のへッド部材における互いに対向する側面同士の間に、前記塗布へッドの先端に開口する溝状のスロットが画成され、塗布液が前記スロット内を流通して前記塗布へッドの先端から吐出される塗布工具であって、

前記へッド部材の材質が、チタン合金であることを特徴とする塗布工具。

2. 請求項 1に記載の塗布工具であって、

前記チタン合金は、

密度； 4. 3g/cm³から 4. 7 g/cm³

線膨張係数； 8 · 5から 9 · 0〃m/m■ K

全領域の硬度分布； H_RC 3以下の特性を有し、

かつ、前記スロットの表面全領域において、長さ 100mmの線分上を通過する深さ 0. から 1. 0 zmの傷が 50本以下であることを特徴とする塗布工具。

3. 請求項 2に記載の塗布工具であって、

前記スロットの表面全領域において、長さ 100 mmの線分上を通過する溁さ 0. 2 /mから 1. 0 imの傷が 10本以下であることを特徴とする塗布工具。

4. 請求項 1記載の塗布工具であって、

少なくとも、前記スロットを画成するスロット面が、チタン合金よりも硬質の材質で形成されていることを特徴とする塗布工具。

5. 請求項 1から 4のいずれかに記載の塗布工具であって、

前記へッド部材の前記スロットを画成するスロット面および前記開口する側の端面に、耐摩耗性および Zまたは耐蝕性を有する層を備えることを特徴とする塗布工具。

6 . 請求項 4記載の塗布工具であって、

前記スロット面を形成する前記材質が、超硬合金であることを特徴とする塗布工具。