明 細 光電変換素子 技術分野
本発明は、 光電変換素子に関す さ らに詳しく は、 本 明 -は、 複合色素及び n型半導体を包含する光電変換素子であ つて、 該複合色素は、 互いに異なる励起準位を有する複数の 成分色素が互いに化学 ; g±ロ A口 れてなり 、 それによ り 、 ί 移 動用の直鎖又は枝分かれ構造体を形成し 、 該直鎖又は枝分か れ構造体は一端において該 n型半導体に保 され、 他端は自 由端でめ り 、 その励起準位が該 鎖又は枝分かれ構造体の上 記の n型半導体に保持された端部から 、 上記の自由端に向か つて減少する順序で配列されている こ とを特徴とする光電変 換素子に関する。 本発明の光 換素子は、 光電変換性能に 優れ、 特に、 太陽エネルギ一からのェネルギ一取り出し効率
(エネルギー変換効率 ) が高 < 、 また 、 それを用いて簡便に 色素増感型太陽電池を製造する とができるので、 色素増感 型太陽 池などに有利に用いられる
本発明はまた、 上 己の光電変換素子を用いた色素增感型太 陽電池に関する。 従来技術
文明社会はェネルギ一の消費によつて成立するが、 そのェ ネルギーの大部分は 、 自然が長年かけて太陽光エネルギ一を 蓄えた化石燃料に由来する。 近年 、 その化石燃料の減少やそ の燃焼による地球温暖化問題が、 人 社会の持続的発展の足 かせとなる危惧が高まってい 0
これらの問題を解決するために 、 太 エネリレギ一から直接 エネルギ一を取り出す研究開発が盛んに行われている。 これ らの中で 、 太陽電池は太陽ェネルギ一からのエネルギ一取り 出し効率 (ェネルギ一変換効率) が高いため多く の研究が為 されている。 と りわけ、 色素に代 される光増感剤を用い、 その励起電子を効率よく取り 出すしとが可能な色素増感型太 陽電池は 、 M i c h a e 1 G r a t z e 1 等によって 、 ェ ネルギ一変換効率が 7 %を超えるシステムが発表 ( N a t u r e 1 9 9 1 , 3 5 3, 7 3 7参照) されて以来、 複雑な 製造工程を経ず、 安価に製造できる次世代の太陽電池と して 注目を集めている。
色素増感型太陽電池は、 一般にガラスやポリマーといつた 支持体上に、 優れた導電性と透明性を兼ね備えた酸化ィ ンジ ゥム系膜 ( I T〇) 、 フ ッ素等を ド、一プした酸化スズ系膜
( F T 0 ) がコーテイ ングされた基板 (導電性支持体) 等の 上に、 さ らに、 安価な材料である数十ナノ メー トル.サイ ズの 酸化チタンの多孔質構造膜を n型半導体と して積層して陰極 と し、 同様の基板上に、 主に白金の薄膜を積層した陽極を用
いて、 3ゥ に代表される酸化 Μ元対を含んだ電解液を介し
- て陰極と陽極を対向するよつ に配置した構造を有する そし て、 陰極には太陽光の可視領域の光を吸収し励起電子を発生 させるために 錯体色素に代表される色素が光増感剤と して 担持され 光電変換素子が形成される
光増咸剤から発生した励起 子は n型半導体に移動し 更 に両電極を接 する導線を通 て陽極へ移 する。 陽極へ移 動した電子は 解液を還元し 解液は電子を放出して酸化 状態とな た光増感剤を還元する う した一連の流れを繰 り返す とによ り、 色素増感型太 電池は機能する
色素に代表される光増感剤は 定の範囲の波長を有する 光を吸収する とができる その範囲の波 を有する光が照 射される と その光子のェネルギ を受けて 、 基底状台目 の電 子が励起され 励起状 へと 子遷移する その励起された 電子は 通常は熱エネルギ を放出したり 蛍光や燐光とい つた発光を伴つてエネルギ ―を放出したり して基底状台目 に戻 る D の励起された電子を光増咸剤から取 Ό 出すこ とによつ て、 光 Xネルギ —の電気ェネルギ への変換 (光電変換 ) が 行われる
このよう に 光増感剤は 光ェネルギーを メ ェネルギ に変換する s要な役割を担 そのため、 1,
7G増感剤の研究は 盛んに行われている。
光増感剤を分子単位で捉える場に 1 通常 1 つの光子のェ
ネルギーを受け取 Ό 、 1 つの電子を励起 sせる。 光のェネル ギ一は波長が長いほど低く なるので 、 長波 の光を吸収して 励起する (励起状能へと電子遷移する) 光増感剤は、 弱いェ ネルギーの光によつて励起する ことが可能である こ とをノ 味 する。 そのため、 光増感剤の吸収できる波長領域が、 波長 から短波 S (この ±易口.、 ノ1 Lは高いェネルギ を有する ) まで の広い範囲となる 太陽電池においては、 太陽光とい 広い 波長分布を fcつ光の広い範囲を有効に活用するこ とが 、 多 < の電子 (高レ 電流 ) を取り 出すために重要であるため 、 光増 感剤をよ り ft波長まで吸収できる う改良する研究が盛んで ある
までの吸光を試みる場合は 、 共役 造の拡大を百指 すのがー般的である 。 例えば、 日本国特表 2 0 0 2 - 5 1 2
7 2 9 号公報 ( w 〇 9 8 / 5 0 3 9 3号公報及び米国特許第
6 2 4 5 9 8 8号に対応) には、 二座配位の配位子をもつ単 核の錯体色素を用いる技術力 S開示され、 I n o r g . C h e m . 2 0 0 2 4 1 , 3 6 7 には、 四座配位の配位子を もつ単核の錯体色素を用いる技術が開示されている。 また 、
J . P h y s C h e m . B 2 0 0 3 , 1 0 7 5 9
7 には、 共役構造を有する有機色素を用いる技術が開示され ている。
さ らに 、 長波長まで吸光する こ とを目的と の金属 を有する複核錯体を用いる技術 (曰本国特開 2 0 0 0 ― 3 2
3 1 9 1 号公報 ( E P 1 0 5 2 6 6 1 に対応) ) 複数の色 素の吸収を組み合わせる とを目的と して、 複数の色 層を 積層して用いる技術 (日本国特開 2 0 0 0 - 1 9 5 5 6 9号 公報 ) や複数の色素を A
: EC口させて用いる技術 (日本国特開 2
0 0 2 一 3 4 3 4 5 5号公報 ) が開示されている ο
しかしながら、 上記の な、 単一色素を用いて吸収波長 範囲を拡大した場合や 、 複数の色素を組み合わせて用いなが らち 、 複数の色素が同じ レベルのェネルギー準位で電解質か ら電子を受け取り、 n型半導体へ励起電子を受け渡すような 口は、 太陽光のような波 分布の広い光から電子を取り 出 す際 、 理論的にそのェネルギ一変換効率に限界がある。 なぜ ならば、 長波長の光を吸収でさるよう になるに従ゥて、 取り 出し電子数が増加するので 大きな電流を得る ことが可能と なるが、 長波長光は光増感剤の電子を 移させるために必要 なェネルギ ―が小さいために 、 高い β圧を得る こ とが出来な
<なるからである。
上述の つ に、 一 ¾的に 光増感剤は一光子のェネルギー を受け取つて一電子を発生する一光子吸収で機能する。 しか し 特定の化合物においては二光子のェネルギーを受け取つ て一電子を発生する二光子吸収が可能である C i e n c e 1 9 9 8 , 2 8 1 1 6 5 3参照 ) 。 このよ ο .にすれば ェネルギ一の低い長波長の光を用いて 高いエネルギ一準位 に 子を遷移する こ とが可能となるので 、 上述の 論限界を
打破する ことも可能となる。 この技術は 1 つの分子の中で 励起された電子を、 更に励起する仕組みである 励起状態に おかれた電子は短い時間で基底状態に戻るため 一般的には
3重項状態のような準安定励起状態へ m子移動させて励起電 子の寿命 (励起寿命) を稼ぎ 2 回目の励起を起 すよう に する。 しかしながら、 その場合であ ても、 一つの分子が短 い時間の間に 2度光を吸収する必要がめるため その 2度目 の励起が起 る確率は低く な り、 多 < の電子を取 出すこ と はできなく なる。 したがって 、 太陽電池のよ ·5 に多く の電子 を取り 出す とを目的とする場合に一光子吸収を応用するの は困難である 。 そのため、 この技術は 重合開始剤 ( N a t u r e 1 9 9 9 , 3 9 8 , 5 1 ) や光センサ (日本国特 開 2 0 0 1 2 1 0 8 5 7号公報) への応用が検討されるに 留まっている
なお、 対向する両極に、 それぞれ異なる励起準位を有する 色素によつて増感された n型半導体層と ρ型半 体層を設置 し、 効率よ <太陽光エネルギ一を取 Ό 出す技術が J . H e 等によって提案されている ( S 0 1 a r Ε η e r g y M a t e r i a 1 s & S o 1 a r C e 1 1 s 2 0 0 0
6 2 , 2 6 5 ) 。 しかしながら この技術は、 半導体層の設 置、 色素の吸着等の工程を複数回行う必要があ .製造が複 雑になる といつた問題を有している
発明の概
のような状況下 本発明者らは 、 光電変換性能に優れ、 特に 太陽ェネルギ ―からの Xネルギー取り 出し効率 (エネ ルギ 変換効率) が高く 、 また 、 簡便に色素増感型太陽電池 を製造する ことのでさる光電変換素子を開 するために鋭意 検 e した 。 その結果 本発明者らは 、 そのような光電変換素 子は 複合色素及び n型半導体を包含する光電変換素子であ つて 該複合色素は 互いに なる励起 位を有する複数の 成分色素が互いに化学ホロ 口 れてな り、 それによ り、 電子移 動用の直鎖又は枝分かれ構造体を形成し 該直鎖又は枝分か れ構 体は 端において該 n型半導体に保持され、 他端は自 由端でめ Ό その励起準位が該直鎖又は枝分かれ構造体の上 記の n型半導体に保持された顺部から、 上記の自由端に向か つて減少する順序で配列されている ことを特徴とする光電変 換素子によつて実現される こ とを知見した の知見に基づ さ、 本発明を完成 せるに至つ ノ
したがつて 、 本発明の一つの 目的は、 太陽ェネルギーから のェネルギー取り 出し効率 (ェネルギー変換効率) が高く 、 また 簡便に色素増感型太陽 池を製造する とのできる光 電変換素子を提供する こ とである。
本発明のもう一つの目的は 上記の光
変換素子を含む色 素増感型太陽電池を提供する とで ¾る この太陽電池にお いて 電解質と して適切な酸化 元準位を有する電解質を用
い、 対極の準位を制御する ことによ り、 特に高い電圧を得る こ とができる。
本発明の上記及びその他の諸目的、 諸特徴ならびに諸利益 は、 添付の図面を参照しながら行う以下の詳細な説明及び請 求の範囲から明 らかになる。 図面の簡単な説明
添付の図面において、
図 1 は、 本発明において用いる複合色素のサイ ク リ ックポ ルタンメ ト リ測定の例であ り、
図 2 は、 本発明の光電変換素子を用いて達成される電子移 動とそれに伴う電子を放出した軌道準位の低準位への移動を 模式的に表現した説明図であ り 、
図 3 は、 本発明の光電変換素子ならびに色素増感型太陽電 池において達成される長波長光の吸収と光電圧の両立を模式 的に表現した説明図であ り、
図 4 は、 本発明において用いる複核錯体の構造の 1 例を模 式的に表現した説明図であ り、
図 5 は、 図 4 の構造模式図で表した複核錯体の構成要素の エネルギー準位と軌道の概念を模式的に表現した説明図であ Ό 、
図 6 は、 本発明において用いる複核錯体に含まれる共役二 重結合を有する複素環の構造の 1 例を模式的に示した説明図
であ り 、
図 7 は、 本発明において用いる複核錯体の橋かけ配位子の 1 つの典型例であ り 、
図 8 は、 本発明において用いる複核錯体の橋かけ E位子の 他の典型例であ り 、
図 9 は 、 本発明の色素増感型太陽電池の構造の 1 例であ り 図 1 0 は 、 実施例 1 で製造した複合色素のマ 卜 U ッ クス支 援レーザ 脱離ィォン化法飛行時間型質量分析 ( M A L D I
- T O F ― M S ) の測定結果であ り 、
1 は 、 実施例 1 で製造した複合色素の代表構 te it.図であ 図 1 2 は 、 実施例 2 で製造した複合色 刖駆体の 卜 U ッ as . /\.
クス支 レ —ザ一脱離イ オン化法飛行時間型員里力析 ( M A
L D I ― T 0 F - M S ) の測定結果であ 、
図 1 3 は 、 実施例 2 で製造した複合色素刖駆体の代表構造 図であ Ό 、
図 1 4 は 、 実施例 2 で製造した複合色 のマ 卜 リ ッ クス支 援レーザ一脱離ィ ォン化法飛行時間型質 分析 (M A L D I
- T O F ― M S ) の測定結果であ り 、
図 1 5 は 、 実施例 2 で製造した複合色 の代表構 ¾3.図であ り 、
図 1 6 は、 実施例 7 の、 複合色素を包含する色素増感型太 陽電池の光照射による発生電流と単一の色素を包含する色素
増感型太陽電池の光照射による発生電流との比の、 照射され た光強度による変化を表す測定結果であ 、
図 1 7 は、 実施例 8 の 、 複合色素を包含する色素増感型太 陽電池の光照射による発生電流と単一の色 を包含する色素 増感型太陽電池の光照射による発生電流との比の 、 照射され た光強度による変化を表す測定結果であ り 、
図 1 8 は、 参考例 1 の 、 単一の色素を包含する色素増感型 太陽電池の光照射による発生電流を 2 回測定した場合の 、 発 生電流の比の、 照射された光強度による変化を す測定 口 7¾ でめ 。 発明の詳細な説明
本発明によれば 、
複合色素及び η 半導体を包含する光 亦換 子であつて 該複合色素は、 互いに異なる励起準位を有する複数の成分 色素が互いに化学結合されてな り、 それによ 、 電子移動用 の直鎖又は枝分かれ構造体を形成し、 該直鎖又は枝分かれ構 体は一端において該 11型半導体に保持され 、 他端は自 由端 であ り 、
該直鎖又は枝分かれ構造体において、 該複数の成分色素は その励起準位が該直鎖又は枝分かれ構造体の上記の n型半導 体に保持された端部から 、 上記の自 由端に向か て減少する 順序で配列されている、
ことを特徴とする光電変換素子が提供される。
次に、 本発明の理解を容易にするために、 本発明め基本的 特徴及び好ましい態様を列挙する。
1 . 複合色素及び n型半導体を包含する光電変換素子であつ て、
該複合色素は、 互いに異なる励起準位を有する複数の成分 色素が互いに化学 ¾士 A れてなり 、 それにより 、 電子移動用 の直鎖又は枝分かれ構造体を形成し、 該直鎖又は枝分かれ構
、ih
适体は一端において該 n型半導体に保持され、 他端は自由端 であ り、
該直鎖又は枝分かれ構造体において、 該複数の成分色素は その励起準位が該ま鎖又は枝分かれ構造体の上記の n型半導 体に保持された端部力、ら 、 上記の自 由端に向かつて減少する 順序で配列されている、
とを特徴とする光電変換素子。
2 . 該複合色素の各成分色素は金属原子とそれに配位した配 位子とを含有していて、 該複合色素は、 複数の金属原子と、 少なく とも 1つの橋かけ配位子を含む複数の配位子とからな る複核錯体よ り構成され、 該橋かけ配位子は複核錯体中の互 いに隣接する金属原子の間に位置して上記の互いに隣接する 金属原子を橋かけてなる ことを特徴とする前項 1 に記載の光
電変換素子。
3 . 該複核錯体中の槁かけ配位子が非対称構造を有する こ と を特徴とする前項 2 に記 の光電変換素子。
4 . 該複核錯体中の橋かけ配位子の該非対称構造が、 共役二 重結合を有する複素環セグメン ト と、 該複素環セグメ ン 卜 に 結合した非複素環セグメ ン ト とからなる こ とによって形成さ れてお り、
該複素環セグメ ン 卜は かけ配位子において該非複素環セ グメ ン ト に比べて該 n型半導体から遠い側に位置し、 該複素 環セグメ ン トに いてへテ口原子が該 n型半導体 ら遠い側 に位置している 、
こ とを特徴とする前項 3 に記載の光電変換素子
5 . 色素増感型太陽電池であって、
前項 1 〜 4 のいずれかに記載の光電変換素子を含む電極、 対極、 及び
該光電変換素子と該対極の間に設けられた電解質
カゝらなり、
該光電変換素子を含む電極と該対極を、 該電解質の外側に 位置する電子伝導性材料を介して互いに結合する時に作動可 能となる、
ことを特徴とする色素増感型太陽電池。
6 . 該対極の準位が、 銀/銀イ オンの酸化還元準位に対して 一 0 . 2 V以上である ことを特徴とする前項 5 に記載の色素 増感型太陽電池。 以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明の光電変換素子は複合色素及び n型半 体を包含す 複合色素は、 互いに異なる励起準位を有する複数の成分色 素が互いに化学結合されてなり 、 それによ り、 電子移動用の 鎖又は枝分かれ構造体を形成し 、 該 鎖又は枝分かれ構造 体は一端において該 n型半導体に保持され、 他顺は自由端で ある。 そして、 該直鎖又は枝分かれ構造体において 、 該複数 の成分色素は、 その励起準位が該直鎖又は枝分かれ構造体の 上記の n型半導体に保持された端部から 、 上 ^己の 由端に向 かつて減少する順序で配列されている
本発明において励起準位とは、 可視光以上の波 -長 域の光 を 、 色素 (成分色素または複合色素) が吸光して強 < 励起す る 、 基底状態の軌道準位を意味する そのような基底状態の 軌道準位は、 通常、 最高占有軌道 ( H 0 M〇 ) であ .り 、 咼 占有軌道からの遷移が確 n 乙 限り において 、 最高占有軌 道を励起準位とする。 なお、 本発明においては 、 複数の成分
色 が化学結合して複合色素を 冓成しているが、 成分色素の 励起準位とは、 該成分色素が他の成分色素と結合せず 、 単 ― の色素と して存在している場合の 吸光して強く 励起する 基底状態の軌道準位を意味する
本発明において、 「互いに異なる励起準位を有する 」 とは、 成分色素の励起準位が 、 互いに 0 0 5 e V以上異なる こ と を意味する 成分色素の励起準位の差は 、 好ましく は 0 . 1 e V以上 よ り好ま しく は 0. 2 e V以上、 も好まし < は
0 4 e V以上である 。 成分色素の励起準位の差の上限に関 しては特に制約は無いが、 励起準位差が大きい場合には可視 光を用いて励起電子の注入を行 とが出来なく なるため 好まし く は 3 e V以下 、 よ り好まし ぐ は 2 . 5 e V以下、 に好まし <は 2 e V以下である
本発明において、 「励起準位が低い」 とは、 ェネルギ ―レ ベルが安定である こ とを意味し、 後述する電気化学的測定に よって求められる電位の値が大きく なる こ とを思味する
本発明において、 成分色素の励起準位はサイク リ ッ クポル タ ンメ 卜 U測定に代表される電気化学的測定法によって測定 され、 その序列が見出される (サイ ク リ ッ クポル夕ンメ 卜 U 測定については、 A 1 1 e n J . B a r d e t a
1 · , " E 1 e c t r o c h e m i c a 1 M e t. h o cl s : F u n d a m e n t a l s a n d A p ρ 1 ι c a t i o n s " , J o h n W i l e y & a n d S o
n s 、 1 9 8 0 年、 を参照) 具体的には、 各成分色素 (吸 光部位) あるいはその変性体や前駆体をそれぞれ独立にサイ ク リ ッ クポル夕 ンメ 卜 リ を用いて酸化準位を測定し、 それぞ れの吸光部位の励起準位と判断し、 複合色素のサイ ク リ ッ ク ポルタ ンメ 卜 U測定結果と照ら し合わせて判断する。 この際、 それぞれの測定は、 電極、 溶媒 、 電位揷引速度を統一して行 う 。 溶解性の観点か ら溶媒を統一す.る こ とができない場合は、 特定の成分色素あるいはその変性体や前駆体を複数種の溶媒 を用いて測定し 、 溶媒による測定値の差を換算して求める こ ともできる。 また、 複合色素の化学結合を生成した場合に、 成分色素の励起準位がシフ 卜する場合もあるが、 その場合は、 複数の成分色 、-あるいはその変性体や前駆体及び複合色素の 紫外可視吸収スぺク 卜ルの変化も参照して励起準位のシフ ト を判断できる o
また、 サイ ク リ ッ クポルタ ンメ ト リ 測定を用 いた励起準位 の序列の判定が困難な場合は 、 D e n s i t y F u n c t i 0 n a 1 T h e o r y 、 D F T ) のよ う な理論に基づく 計算化学手法に Ip. 古
よっ て 、 取 占有軌道 ( H O M O ) 準位を算 出する こ とによつても判定できる。 この場合は、 公知の化合 物のイ オン化ポテンシャルと最高占有軌道の序列が正し く 計 算できる手法を選択する こ とが必要である。 成分色素あるい はその変性体や前駆体及び複合色素が錯体の場合は B 3 L Y P、 P B E 1 P B E等と呼ばれるハイ ブリ ツ ド型のフ ァ ンク
ショ ナルが有効に用い られる。 また、 励起準位の序列を判定するために吸収波長の変化も 併せて検討する必要がある場合は、 T i m e D e p e n d e n t D e n s i t y F u n c t i o n a l T.h e o r y ( T D D F T) に基づく 計算が好ま し く 用い られる。 こ の場合も、 公知の化合物の吸収スぺク トル或いはその序列が 正し く 計算できる手法を選択する こ とが必要である。 更には、 所望に応じ、 イオン化ポテンシャル測定装置を用 獰
いて励起準位の序列を測定する方法が選択される場合もある。 図 1 にサイ ク リ ッ クポル夕 ンメ ト リ の測定結果例と して、 実施例 2 において製造した化合物の測定結果を示す。 図 1 か ら、 異なる準位に酸化波が観測され、 異なる励起準位を有す る こ とが分かる。 本発明において成分色 とは、 可視光を吸収し着色してい る化合物を意味する 成分色素の例と して、 有機色素及び錯 体色素が げられる □ 有機色素の例と して、 シァニン系、 ク マ リ ン系 、 ス ピロ ピラ ン系 、 ァゾ系、 キサンテン系などの、 広く 色素と して市販されている化合物 、 及びその変性体が挙 げられる 錯体色素とは 、 少な く と も 1 つの金属と少な く と も 1 つの配位子とか らなる 、 可視光を吸収し着色している化 合物である 。 本発明において の成分色素が化学的に 結合されて複合色素を形成する。 本発明において、 「化学的に結合されている」 とは、 共有
イオン結合、 配位結 D の化学結合が存在する こ とを 意味し 、 その結合の存在は 、 後に述べる各種測定によって結 合形 を確認する方法、 結合する前の色素 (各吸光部位や色 ,- 素の 駆体) の溶媒を用い 、 新たに形成した色素 (複合色 素) の洗浄を行って溶解しないことを確認する方法等によつ て確口心できる。
上記のよう に、 複合色素は電子移動用の直鎖又は枝分かれ 構造体を形成する。 この構造体は、 一端に いて n型半導体 に保持され、 他端は自由 である
構造体が一端において n型半導体に 「保持されている J と は、 構造体が n型半導体から脱離せず、 構造体から n型半導 体への電子の移動が可能となつている こ とを 味する。 厂保 持されている」 例と して 構造体が一端において n型半 体 に物理的に吸着している場 化学的に吸着している場口 化学 合している場合を げる こ とができる 化学結合の例 として 、 エステル結 U ン酸エステル結合 配位結合 ィ ォン 合を挙げるこ とがでぎる
本発明の光電変換素子において、 成分色素は 、 その励起準 位が n型半導体に保持された端部から 自由端に向かって減少 する順序で配列されているため 、 エネルギ 変換が効率的に 行われる。 以 ! ^ の理由について説明する
色素に光が照射されると電子が励起される このとさ n 型半導体に保持された成分色素 (以下、 しばしば 「第一吸光
部位」 と称す) からは、 容易に n型半導体に電子が注入され る その結果、 第一吸光部位は電子を失つた状態になる 電 子を失つた色素に隣接して結合された成分色素が励起される と、 電子を失つた軌道へと電子注入が容易に し る 。 その結 果、 電子を矢つた状ほ は 、 n型半導体に保持された色 、' (第 吸光部位) から、 それに化学結合した色素 (以下、 しばし ば 「第二吸光部位」 と称し、 隣接順に従つて 、 順に 「第 ―吸 光部位 J 、 「第四吸光部位」 のよう に称す) へと移動する。 第一吸光部位が最も高い励起準位を有し、 第二吸光部位、 第 三吸光部位と、 η型半導体 ら離れるに従って、 低い励起準 ¾有しているため、 電子を失つた軌道を順次低い準位へと 移行させる ことができる (図 2 に模式的に示す) 。 一般には、 成分色素の非占有軌道の準位を変えずに励起準位を下げてい
< と、 電子遷移幅が広く なるため色素の吸収波長が短波長領 域のみに限定されるが、 複合色素を用いれば、 前述の仕組み によつて 、 色素の吸収波長を短波長のみに限定する こ となく 、 広い電子 移幅を獲得する ことができる。 従って、 このよう な複合色素及び η型半導体からなる光電変換素子を用いた色 素增感型太陽電池においては、 可視光や所望に応じて近赤外 光といつた長波 -長の光を吸収する特性を維持しながら、 低い ェネルギ ―準位の電解質を用いて発電する こ とが可.能とな り、 長波長光の吸収と高電圧を併せ持つた高性能の太陽電池が得 られる (図 3 に模式的に示す) 。 本発明における複合色素は、
複数の成分色素が化学的に結合されているため、 上述の な励起電子の移動が高い確率で し る と りわけ、 しの複数 の成分色素を結合部位が、 n型半導体に保持された成分色素 に向かって、 他端側の成分色 ヾからの励起電子が移 しやす い う非対称な構造を有する 合、 上述のような励起電子の 移動がよ り高い確率で起こるので好ま しい。
のよう に励起されて電子を放出して電子を失つた軌道に 段階的に励起電子を用いて電子を移動させ、 順次低い準 MLへ と電子を失った軌道を移行させる こ とで 、 複合色素に含まれ る複数の成分色素 (吸光部位) のそれぞれの基底状 からの 電子遷移を利用する段階的な多光子吸収システム力 S機能する このシステムは、 励起電子を に励起する従来の多光子吸収 に比ベ、 基底状態の電子を励起するために励起電子の安定性
(寿命) が次の電子遷移が起しる確率を律する ことがないた め、 多光子吸収システムが機能しゃすく /よる。
複合色素中の成分色素 (吸光部位) の数は特に限定されな い。 成分色素の数が多いほど上述の多光子吸収システムの理 論的変換効率が高く なるが、 成分色素 (吸光部位) の数が 4 以上では、 吸光部位数の増加に伴う理論的変換効率の向上は 小さ く なるので、 製造の複雑さ と理論変換効率のパランスか ら、 化学的に結合される成分色素 (吸光部位) の数.は 3 以下 が好ま しく 、 よ り好ましく は 2 である。
ネ复合色素は、 n型半導体に電子を注入する役割を担う ので
JP2004/006759
2 0 第一吸光部位は 、 n型半導体やその微粒子との結合に した ロ Π性官能基を有する こ とが好ま しい 。 具体的には、 力ルポ ン酸基およびその 、 スルフォ ン酸 およびその ¾.、 ン酸 基およびその塩か ら選ばれる官能基を有する こ とが好ま しい。 また 、 カノレポン酸のエステル、 燐酸ェステル、 スルフォ ン酸 ェステルといつ た官能基であっても 、 使用 される際に実質的 に上記の官能基と同等の結合を形成し う る ものであればよい。 複合色素の例と しては、 複核錯体よ り 構成される複合色素 や 、 7T共役を有する各種の有機色素が 、 所望によつて ±口基 が導入されて結 O された各種有機色 が挙げられる。 複合色 素の中で、 複核錯体よ り構成される複合色素が好ま しい o
複核錯体よ り構成される複合色素について説明する 複合 色 が複核錯体よ Ό構成される場合 、 該複合色素の各成分色 素は金属原子とそれに配位した配位子と を含有していて、 該 複合色 は、 複数の金属原子と 、 少なく と も 1 つの橋かけ配 位子を含む複数の配位子とか らなる複核錯体よ り 成され、 該橋かけ配位子は複核錯体中の互いに隣接する金属原子の間 に位置して上記の互いに隣接する金属原子を橋かけてなる。 複核錯体よ り 構成される複合色素が好ま しい理由は次の通 り である 。 複核錯体よ り構成される複合色素の場 P 、 各成分 色素は 、 有機色素の場合に比して、 基底状態準位と励起状態 準位とで電子が主に存在する場所が 、 金属と配位子とい う よ う に分離できる。 そのため、 数の成分色素を結 P して励起
電子を注入する といつた機能の分離を鮮明に行フ こ とが可能 になる また、 複核錯体よ り構成される複合色素の場合、 有 機色素の場合に比ベて電子を放出した状 が安定なため、 本 発明のよう に電子の受け渡しを順次行 のに好適に用い られ る と り わけ、 11型半導体と と もに用い られる光電変換素子 において、 錯体色素は電子を放出した状能で安定であるため、 本発明における段階的な多光子吸収システムに好適である。
なお、 複合色 -?となる複核錯体は、 後述のよラ に複数の錯 体色素 (成分色素 ) から配位子置換によつて製 される場合 が多く 、 錯体色 (成分色素) を形成していた一部の部位
(配位子) が成分色素か ら脱離するが の場 も、 複核錯 体において、 その刖馬区体である成分色素を構成する金属原子 に閧わる電子遷移に帰属される可視光吸収が観測されれば、 複核錯体は、 複数の '成分色素が化学的に和合された複合色素 である と判断される。
複核錯体中の橋かけ配位子 (後述の式 ( 1 ) の配位子 B L に対応) は非対称構造を有する こ とが好ま しい。 非対称構造 を有する こ と によって、 複核錯体の電子遷移に方向性を持た せる こ とが可能とな り 、 n型半導体か ら遠い側に配置された 成分色素 (第二吸光部位など) か ら讜子遷移によって発生し た電子を効率よ く 取 り 出すこ とが可能となる。
複核錯体中の橋かけ配位子の非対称構造は、 共役二璽結合 を有する複素環セグメ ン ト (以下、 しばしば、 共役二重結合
を有する複素環セグメン トを単に 「複素環セグメ ン J と称 し、 共役二重結合を有する複 を単に 厂ネ 3 J と称する 複素環セグメ ン トは複糸 のみからなつていてもよいし 複 素環とそれに結合した官能 とからなつていても い ) と 該複素環セグメ ン 卜に結合した非複素環セグメ ン とか らな ることによって形成されており、 該複素環セグメ ン 卜は か け配位子において該非複素環セグメ ン 卜に比べて該 n型半導 体から遠い側に位置し、 該複素環セグメ ン 卜においてへテ D 原子 (炭素原子でない原子 ) が該 n型半導体 ら Mい側に位 置して金属原子と配位している ことが好ましい。 のよ Όな 場合、 複素環セグメン トは金属からの電子 ½移 ( M L C T ) の遷移確率が高いので、 n型半導体から い側に配置された 成分色素から電子遷移によ Όて発生した
子を効率よ <取 Ό 出す効果がよ り顕著になるので有利である
すなわち、 本発明の光電亦換素子においては、 互いに異な る励起準位を有する複数の成分色素が化学的に結 されてネ复 合色素を形成しているが、 れらの結合された複数の成分色 素が、 それぞれ光を吸収し励起さ を効率 < n m半 導体を介して電気エネルギ一として取り 山すこ とが ェネル ギー変換効率を高めるために重要であ り そのためには n 型半導体から遠い側に配置された成分色素からの電子遷移に よって発生した電子を効率よ く取り 出す とが重要である かかる色素が複核錯体である ¼/口 は、 橋かけ配位子に対する
電子遷移の確率が n型半導体に近い側の金属からの電子遷移 よ り、 n型半導体から遠い側の金属からの電子遷移が高い場 合、 上述のような適切な電子遷移の方向になるため好ましレ 上述のよう に、 金属原子と複素環セグメ ン ト とが複素環セ グメン トのへテロ原子のと ころで配位結合を形成している場 合、 その金属原子からの複素環セグメン トへの電子遷移の確 率が高い。 したがって、 橋かけ配位子において、 複素環セグ メ ン トが非複素環セグメ ン トに比べて n型半導体から遠い側 に位置し、 複素環セグメ ン トにおいてへテロ原子 (炭素原子 でない原子) が n型半導体から遠い側に位置する こ とが好ま しい。
上記の複核錯体は、 次の式 ( 1 ) で表される構造を有する こ とが好ましい。
( L 0 ) ( X 0 ) , 2 M 0 [ ( B L ) m {M ( L ) n 丄
( X) n 2 } p m] q ( 1 )
(ただし、 L Q 、 L は、 それぞれ独立に遷移金属原子に配位 できる複素環セグメン ト を有する配位子を表し、 X。 、 Xは、 それぞれ独立に複素環セグメ ン トを有しない配位子を表し、 M Q 、 Mは、 それぞれ独立に遷移金属原子を表し、 B Lは、 複数の遷移金属原子に配位できる部位を有する橋かけ配位子 を表し、 1 1 、 1 2 は、 その和が 7 以下であって、 .1 1 は 1 から 7 までの整数であ り 、 1 2 は、 0から 6 までの整数であ り 、 mは、 1 から 7 までの整数であ り、 1 1 、 1 2 、 mの総
和は 8以下であ り、 n 1 、 n 2 は、 その和が 7以下であって n 1 は、 0から 6 までの整数であ り、 n 2 は 、 1 から 7 まで の整数であ り 、 、 Q は それぞれ独立に 1 以上の整数であ り、 1 1 、 1 2 、 m 、 n 1 , n 2 、 p m Qが、 それぞれ 2 以上の場合は 、 複数の L 0 、 o 、 J3 L 、 M、 L 、 Xは、 そ れぞれ互いに同じでめつても異なっていてもよい。 )
上述のような電子の移 を、 上記式 ( 1 ) を用い、 簡単の ため m、 p 、 qが 1 である場合につ.いて 、 図 4並びに図 5 を 参照しながら説明する
図 4は、 上 式 ( 1 ) の後述の好ましい μ造を模式的に表 したものである。 L 。は配位子であ り、 複素環セグメ ン ト と 非複素環セグメ ン ト ( η型半導体と結合する官能基を有して いる) とからな り、 金属原子 Μ。に複素環セグメ ン トのへテ 口原子で配位してい-る。 B Lは非対称構造を有した橋かけ配 位子であ り、 複素環セグメ ン ト と非複素環セグメ ン ト とから な り 、 複素環セグメ ン 卜のへテロ原子で金属原子 Μに配位し、 非複素環セグメ ン ト中の原子で金属原子 Μ。に配位している。 前述の通り、 金属原子から複素環セグメン トへの電子遷移
( M L C Τ ) は遷移確率が高く 、 金属原子 M Dから配位子 L 。、 金属原子 Mから橋かけ配位子 B Lへの電子遷移はいずれ も高い確率で起こる。 +
図 5 は、 それぞれのエネルギ一準位と軌道の概念を模式的 に表したものである。 % 照射される と、 金属原子 M。に由
来する占有軌道から配位子 L 。の非占有軌道へと電子遷移
(図中 ( A ) ) し、 その励起電子は、 配位子 L 。から n型半 導体へ移動 (図中 ( B ) ) し、 電子を失った状態となる。 そ の状態で、 金属原子 Mに由来する占有軌道から橋かけ配位子 B Lの非占有軌道へと電子遷移 (図中 ( C ) ) した場合、 そ の電子は、 構造的かつエネルギー的に近接する電子を失って いた金属原子 M。に由来する占有軌道へと電子移動 (図中
( D ) ) を起こす。 この結果、 励起によって電子を失った準 位が、 高い準位の金属原子 M。に由来する占有軌道から低い 準位の金属原子 Mに由来する占有軌道へと移動し、 色素増感 型太陽電池においては、 よ り低い準位の電解質から電子を受 け取るこ とが可能となる。
そして、 橋かけ配位子 B Lが非対称である こ とによって、 図中 (D ) で示す電子の流れの方向を容易に制御できるよう になる。 と りわけ、 橋かけ配位子 B Lの非占有軌道に対する 遷移の確率が、 金属原子 M。に由来する占有軌道からの遷移 (図中 ( D ) の逆方向) よ り 、 金属原子 Mに由来する占有軌 道からの遷移 (図中 ( C ) ) が高い場合に、 図 5 に示した向 きの電子遷移並びに電子移動が効率的に起こる。 そのため、 橋かけ配位子 B L の金属原子 M側が図 4 に模式的に示したよ う に複素環セグメ ン トのヘテロ原子で配位していることが好 ましい。
上記式 ( 1 ) で表される複核錯体の好ま しい構造について
詳しく説明する。
上記式 ( 1 ) において、 橋かけ配位子 B Lは複素環セグメ ン ト と非複素環セグメン ト とからなり、 非複素環セグメ ン ト において金属原子 M。に配位し、 qが 2以上の整数である場 合、 複素環セグメン トは金属原子 M。に近い側の金属原子 M と配位し、 さ らに複素環セグメ ン トのヘテロ原子には単数ま たは複数の金属原子 Mが配位している こ とが好ましい。 この ような構造を有する ことによ り、 金属原子 Mから励起された 電子は、 橋かけ配位子 B L を介して金属原子 M。方向へと流 れるため、 低い準位からの励起電子をよ り効率よ く 、 励起に よって電子を失った色素に注入する ことが可能となる。
非複素環セグメ ン トとは、 複素環を有しないセグメン トで あって、 複素環セグメン ト と結合しているものを言う。 具体 的には、 複素環を有しない、 原子 (ォキソァニオンのような イオンの形のものも含む) 、 原子団が挙げられる。
複核錯体の構造は、 後に述べる各種分析法で決定され、 そ れに基づいて金属原子 M。が特定される。 即ち、 決定された 構造から橋かけ配位子 B L の遷移金属との配位構造を特定し、 橋かけ配位子 B L に配位している複数の遷移金属原子の中か ら、 複素環セグメ ン トに配位している遷移金属原子と非複素 環セグメ ン トに配位している遷移金属原子とを特定する こ と によって、 非複素環セグメ ン トに配位している遷移金属原子 が M。 と特定される。
また、 複核錯体の末端に位置する成分色素のいずれかが橋 かけ配位子ではない複素環セグメ ン ト (上記式の ( L ) に対 応) を有しない場合は、 その末端に位置する成分色素が n型 半導体から い側に位置すると判断し、 複核錯体の末端に位 置する成分色素の橋かけ配位子ではない複素環セグメ ン ト
(上記式の ( L 。) または ( L ) に対応) のいずれか片方が 後述する n型半導体やその微粒子との結合に適した結合性官 能基を有する 合は、 その結合性官能基を有する側が n型半 導体に保持される側と判断する。
上記式 ( 1 ) において、 Qが 2以上の整数である場合、 M
。に直接配位しない橋かけ配位子 B Lが存在するが、 そのよ な B Lは 原子 M 。に近い側の金属原子 Mと非複素環セ グメン 卜で配位している。 この金属原子 M。に近い側とは、 特定された複核錯体の構造の結合の序列によって決定される 例えば 、 Qが 2 で mが 1 の場合の遷移金属と橋かけ配位子 B
Lだけを取り 出して示した序列は、 M。 ( B L ) ( M ) [ B
L ] [ M ]となるが、 この場合、 この式における左方の金属原 子 M (即ち、 (M ) で表される M ) が [ M ]で表される Mよ り も M。に近い側の Mである。
上記式 ( 1 ) で示される複核錯体の構造についてさ らに詳 しく述べる。
上記式 ( 1 ) において、 橋かけ配位子 B Lの複素環セグメ ン トを有する配位構造は単座であっても 2 座以上であっても
よいが、 2座以上が好ましい。 2座以上とする ことによ て、 よ り強固な配位結合が可能となる 。 上限に関しては、 Mの配 位数に応じて適宜選択できるが、 よ り好ましく は 2座以上 4 座以下で ¾る。
上 ϋ式 ( 1 ) の n型半導体から遠い側の Mに配位した B L の複素環セグメ ン トとは、 窒素原子、 硫黄原子および酸 原 子から選ばれるへテロ原子を環内に少なく とも 1 つ有する 、
1 以上の 5 員環、 6 員環または 7 員環から構成された構造で
、 ある。 そして、 このようなへテロ原子で n型半導体から い 側の Mと配位している。 化学的に結合された 2 以上の 5貝環、
6員環または 7 員環を有する複素環セグメ ン 卜である場 n ゝ 複 ≠環セグメ ン 卜のエネルギーレベルが下がるため好ま しい。 更に、 2 以上の 5員還、 ■ 6 貝 3 たは 7 員環が、 それぞれ 1 以上の窒素原子、 硫黄原子および酸素原子から選ばれるへテ
P原子を 、 図 6 にヘテロ原子を表す Z a 、 Z b を用いて模式 的に示した配置で環内に有する場合、 Mとの結合がよ り強固 になるため好ま しい。
このような複素環セグメ ン トの例として、 ピリ ジン、 ピ P
-»、 一ル、 ピラン、 フ ラ ン、 チォピラン、 チオフェン、 ピリ へ 、
ン ン 、 ピランン、 ヒ リ ダジン、 イ ミダゾ一ル、 卜 リ アゾ一ル 、 ピラゾ一ル、 チアゾール、 ォキサゾール、 力プロラクタム 、 力プロ ラ ク ト ン等の 5 與環、 6 貝環または 7 員環、 さ ら に 、 ビピ U ジン、 タ一ピリ ジン、 フエナン ト ロ リ ン、 ク オ一夕一
ピリ ジンのよ う に これらが化学的に結合した環状化合物等が 挙げられる。
これら のなかで、 ビピ リ ジン、 夕一ピリ ジン、 フエナン ト ロ リ ン、 ク オ一ター ピリ ジンおよび後述する官能基がそれら に結合した誘導体は、 と り わけ好ま し く用い られる。
また、 この複素環セグメ ン ト には、 M。側に配位する非複 素環セグメ ン トが結合している。 複素環セグメ ン トは、 複素 環セグメ ン トのエネルギー レベルのコ ン ト ロールや複核錯体 の溶媒に対する溶解度を向上させる こ とができるような官能 基を有していてもよい。 このよう な官能基の例と しては、 メ チル基、 ェチル基、 n —プロ ピル基、 イ ソプロ ピル基、 t — ブチル基、 フエニル基、 ベンジル基、 カルボン酸基、 スルフ オ ン酸基、 リ ン酸基、 ヒ ド ロキシル基、 ク ロ 口基、 フルォロ 基が挙げられる。 官能基の例と しては更に、 フエニル基に力 ルポキシル基などが結合したものが挙げられる。 これら の官 能基の種類および組み合わせは、 溶媒との親和性、 電子吸引 性、 電子供与性等の性質を考慮して適宜選択できる。 このよ うな、 電子吸引性基ゃ電子供与性基と複素環セグメ ン ト との 共鳴の度合いを調整する こ とによって、 橋かけ配位子 B L の 準位が調整され、 結合された複数の成分色素の励起状態準位 や励起準位を調整する こ とができる。 と り わけ、 橋'かけ配位 子 B L の励起状態準位は、 橋かけ配位子 B L の n型半導体か ら遠い側に配位する金属原子 Mか ら の電子遷移幅 (吸収波
長) に大きな影響を与えるので、 この制御は重要となる。
橋かけ配位子 B Lがこのような官能基を有する場合、 後述 する配位子 L 。が有する官能基とは異なる官能基が好ましい。 即ち、 L 。の結合性官能基を用いて、 n型半導体と結.合する 際、 結合部位の制御が容易になるためである。
上記式 ( 1 ) において、 M。側に配位した非複素環セグメ ン ト とは、 複素環を有しないセグメ ン トであって、 複素環セ グメン ト と結合しているものを言う。 非複素環セグメ ン トは、 ヒ ドロキシル基ゃヒ ドロキシル基がイオン化したォキソァニ オン ( O ) のよう に複素環セグメ ン ト に結合した官能基で あってもよいし、 複素環セグメ ン ト に結合した少なく とも 1 つの原子と、 該原子と結合している原子または原子団とから なっていてもよい。 この M。側に配位する原子種は限定され ないが、 窒素原子、 酸素原子、 硫黄原子および水素原子から 選ばれる原子である ことが好ましい。 具体的には、 力ルポ二 ル基、 アミ ノ基、 チオール基、 ヒ ド ロキシル基及びォキソァ 二オン (〇—) 等が挙げられる。 これらの中で、 カルポニル 基を 2つ有する ]3 —ジケ トナ ト基のような 2座以上の配位子 は結合強度が高く なるため好ましい。 また、 ォキソァニオン (〇—) が 2 つ存在するイオン化されたジオール構造も結合 強度が高く 、 と りわけ、 B Lが配位する金属種やその金属の 他の配位子によっては、 イ オン的な結合を形成して結合強度 が高く なり好ま しい。
次に橋かけ配位子 B Lの好ましい構造の具体例を幾つか挙 げて説明する。 図 7 は 、 1 , 1 0 ―フエナン ト 口 リ ン一 5,
6 ージオン (図 7 ( c ) : キノ ン型と称す) カゝ ら誘導される
B Lである。 このよ Όな化合物は 、 用い られる反応雰囲気に よつて、 図 7 ( b ) で表される 1価のァニオン構造 (.セミキ ノ ン型と称す) 、 図 7 ( a ) で表される 2価のァニオン構造
(カテコールァ一才ン型と称す) と変化する。 従って、 この ような化合物の場 Π は 、 複核錯体においても、 キノ ン型 、 セ キノ ン型、 力テ Π一ル型の幾つかが混ざり あつた状態で存 在する場合が多い また 、 この図においては、 いずれも図の 左方に複素環セグメ ン 卜が位置し 、 右方に非複素環セグメ ン 卜が位置する。 力テコ一ル型においては、 非複素環セグメ ン 卜がォキソァニォン ( 0 一) を有する構造となる。
図 8 は、 他の典型例である。 図 8 ( a ) はフエナン ト π U ン環の 4, 7位を亦性し 、 4位にメチレン鎖を介して)3 一ジ ケ トナ ト基を非複素環セグメ ン ト として導入し、 7 位にはァ ルデヒ ド基を B Lの非占有軌道準位を調整する 目的で導入し た化合物である また図 8 ( b ) は 、 複素環セグメ ン トに力 テコールァニォン構造を有するフ Xニル基が導入された例で ある。 図 8 ( a ) 並びに図 8 ( b ) の構造のような場合 ¾、 非複素環セグメ ン 卜は 、 図 7 に示したようなイ オン性の変化 を伴う こ とがある
上記式 ( 1 ) において 、 M。、 ; IV [は、 それぞれ独立に;選移
金属原子を表す。 遷移金属とは、 周期律表の 3 〜 1 1族の元 素のことをいい、 目的に応じて選択されるが、 好ましく は、 F e 、 R u、 O s 、 C o、 R h、 I r、 N i 、 P d .、 P t: 、 C r 、 M n、 C u、 Z n、 M o , Wおよび R e か ら選ばれる 遷移金属原子であ り、 よ り好ましく は、 F e 、 R u、 O s 、 C o、 R h、 I r 、 N i 、 P d、 P t から選ばれる遷移金属 原子である。
と りわけ M。は、 光電変換素子およびそれを用いた色素増 感型太陽電池において複素環セグメ ン 卜への遷移確率の高い 錯体が得られやすいために広く用い られる元素が好ましく 、 具体的には F e 、 R u、 O s から選ばれる遷移金属原子が好 まし く 、 最も好ましく は、 R uである。
また、 M。は好ましく は 6配位の遷移金属である。 即ち、 上記式 ( 1 ) における L 。は、 後述のよう に色素増感型太陽 電池用途で安定性やエネルギー準位の観点から一般に用いら れる、 ビピリ ジン、 フエナン ト 口 リ ン、 ターピリ ジン、 ク オ 一夕一ピリ ジン並びにそれらの誘導体といった 2 から 4座の 複素環セグメ ン トが好まし く用いられるが、 M。が 6配位構 造となる こ とによって、 これらの好ましい L Dに対応した構 造体が得られるためである。
一方 Mは、 好ましく は 4配位または 6 配位の遷移金属であ る。 このような配位数は、 それぞれの準位の調整と色素増感 型太陽電池として用いる際の電解質からの電子注入部位 (式
9
3 3
( 1 ) における L及び/または X ) の数や得られる錯体の 構 の安定性、 製造の容易さなどを勘案して適宜選択される
M 0 Mは、 それぞれ同一であっても異なっていていてもよ いが 、 それぞれの酸化準位は、 M。が最も'高く 、 1 または複 数存在する Mのうち、 M。に近い Mほど酸化準位が高い。 こ の うな序列にする ことによって、 よ り低い準位からの励起 電子を効率よく取り 出すこ とができる。 このような酸化準位 は 配位子と結合した状態でサイク リ ッ クポルタ ンメ 卜 リ測 定に代表される電気化学的測定法等によって測定して求めら れる
のような M 。や Mの種類は、 それぞれの金属から見て n 型半導体側に位置する配位子 (上記式 ( 1 ) の L 。に対応) や橋かけ配位子 (上記式 ( 1 ) の B Lに対応) の種類と共に 電子遷移の確率を大きく変化させるので、 複合色素のと ころ で説明したような適切な電子移動の方向性を持たせるために 電子遷移の確率が高い金属と配位子の組み合わせが選択され る。
上記式 ( 1 ) において、 L 。 Lは、 それぞれ独立に、 遷 移金属原子に配位できる 環セグメ ン hを有する IE位子を 表す これらの複素環セグメン 1 は、 -素原子、 硫黄原子お よび酸素原子から選ばれるへテ口原子を 内に少なく と も 1 つ有する、 1 以上の 5員環 6 貝環または 7 員環か ら構成さ れる そして のようなへテ □原子で 11 ¾LJ半 M体力 ら遠い
や Mと配位している。 化学的に結合された 2 以上の
5 貝環 、 6 員環または 7 員環を有する複素環セグメ ン トであ ·¾口 、 複素環セグメ ン トのエネルギーレベルが下がるため 好ま しい 更に、 2 以上の 5 員環、 6員環または 7 犟環が、 それぞれ 1 以上の窒素原子、 硫黄原子および酸素原子か ら選 ばれるへテ口原子を、 橋かけ配位子 B L の説明のと ころで図
6 を用 いて説明 した配置で環内に有する場合、 それぞれ M 0、
Mとの結 Π がよ り強固になるため好ましい。
このよ Ό な複素環セグメ ン ト の例と して、 ピ リ ジン、 ピ口 ール、 ピラ ン、 フラ ン、 チォピラ ン、 チォフ ェ ン、 ピ リ ¾ ン ン、 ピランン、 ピリ ダジン、 イ ミダゾ一ル、. ト リ アゾ一ル、 ピラゾ ―ル 、 チアゾ一ル、 ォキサゾ一ル、 力 プロ ラク タム、 力プロ ラ ク ト ン等の 5 員環、 6 員環または 7 員環、 およびビ ピ リ ジン 、 ターピリ ジン、 フエナン ト 口 リ ン、 ク オ一夕一ピ リ ジンのよ う にこれらが化学的に結合した環状化合物等が挙 げられる
複素環セグメ ン ト は、 官能基を有していてもよい。.官能基 の例と して 、 メチル基、 ェチル基、 n — プロ ピル基、 ィ ソプ 口 ピル基 、 t 一ブチル基、 フエニル基、 ベンジル基、 力ルポ ン酸基 、 スルフ ォ ン酸基、 リ ン酸基、 ヒ ド ロキシル基、 ク 口 口基、 フルォロ基が挙げられる。 官能基の例と して.更に 、 フ ェニル基に力ルポキシル基などが結合したものが挙げられる。 これら の官能基の種類や組み合わせは、 化学結合性、 電子吸
引性 子供与性等の性質を考慮して適宜選択できる。
れらのなかで L 。は、 遷移金属原子に配位できる 2座 以上 4座以下の配位子である ことが好ましく 、 具体的には、 刖述の 5 貝 6員環または 7 員環が化学的に結合して、 ビ ピ U ンン フェナン トロ リ ン、 夕一ピリ ジン、 クォータ一ピ リ ジンのよう に 2座から 4座の配位子となっている物質が好 ましい そして L 。は η型半導体やその微粒子との結合に 適した 口性官能基を有する ことが好ましい。 具体的には、 力ルポン酸基お びその塩、 スルフォ ン酸基およびその塩、 リ ン酸基およびその塩から選ばれる官能基を有する'ことが好 ましい また、 力ルボン酸のエステル、 燐酸エステル、 スル フ才 ン酸ェステルといった官能基であっても、 使用される際 に実質的に上記の官能基と同等の結合を形成しう るものであ ればよい さ らに 1 1 が 2 以上の場合、 複数以上の L 。の 少な < とち 1 つの L 。にこのような官能基を有する こ とが好 まし < 複数以上のし 。にこれらの官能基が 2以上結合して いる は 、 それらは同じであっていても異なっていてもよ い
好ま しい L 。 と しては、 通常光電変換素子の増感剤と して用いられる 複素環を有する配位子が挙げられる。 この 用途においては 結合性官能基を有し、 窒素原子を有する複 役環か らなる 2 座以上 4座以下の配位子が好ま しく 用い られ 具体的には 、 カルボン酸基およびその塩、 リ ン酸基お
よびその塩が結口 した、 ヒピリ ジン、 フエナン ト口 リ ン、 夕 ヽヽ、
一ピリ ンン 、 およびクオ一夕一ピリ ジンが好ましい。
一方 Lは 、 邊移金属原子に配位できる単座以上 3座以下の 複素環を有する配位子である こ とが好ましい。
Lは 、 所望に応じて存在し、 主に、 Mの基底状態準位の調 整の機能と色素増感型太陽電池と して用いる場合は、 電解質 からの電子の受け取りの機能を有する。 なお、 Lが官能基を 有する 合 、 . L 。が有する官能基とは異なる官能基を有する 方が好ましい。 即ち、 L 。の結合性官能基を用いて、 式
( 1' ) で される複核錯体を n型半導体やその微粒子と結合 して用いる場合に、 その物質との複核錯体の結合する部位を 制御するのが容易になるためである。
上記式 ( 1 ) において、 X 。、 Xは、 それぞれ独立に、 複 素環を有しない配位子を表し、 ァニオン性または中性の配位 子が好ましく用レ られる。 具体的には、 フルォロ、 ク ロ口、 ブロモ 、 ヒ ド Dキソ、 シァノ、 チオシアナ 卜、 イソチオシァ ナ 卜、 一 卜 Π、 カルポナ ト 、 ホスファ ト、 スルフイ ト、 スル フ ァ 卜 、 ァシルォキシ、 ァシルチオ、 アンミ ン、 エチレンジ ァミ ン並びにその誘導体、 ト リ エチレンテ ト ラミ ン並びにそ の誘導体 力ルポニル、 ホスフィ ンなどのイオンや分子が例 示できる 更に 、 脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素およびそ の誘導体に 、 力ルポニル基 、 アミ ノ基、 チオール基、 ヒ ド ロ キシル基やそれらのイオンなどの上記配位構造が結合した化
合物等も用いられる。
上記式 ( 1 ) において、 1 1 、 1 2 は、 その和が 7 以下で あつて 、 1 1 は、 1 から 7 までの整数であ り、 1 2は、 0 か ら 6 までの整数である。 これらの数値は、 M。の配位数と B
Lの M 。側の配位部位によって決定される。 好ましく は、 1
1 は 1 から 3 までの整数である。 先述の通り、 L 。が 2座か ら 4座の配位子である ことが好ましいため、 M。の配位数と と に適宜決定される。 また 1 2 は好ましく は 0 から 2 まで の整数である。 すなわち、 主に X Dは、 M。の配位数、 B L の非複素環セグメ ン ト及び L 。の配位構造によって、 M。の 配位 が満たされない場合に補うのに必要な配位子であるた めでめる
1 1 、 1 2 のよ り好ましい組み合わせを以下に例示する。
A ) M 。が 6配位の金属であ り、 L 。がビピリ ジンおよびそ の誘導体、 フエナン ト 口 リ ンおよびその誘導体のような 2座 配位の配位子で、 1 1 が 2 であ り、 B Lの M。側の配位が ]3
― ヽ、、
ンケ トナ ト基のような 2座であって 1 2 が 0 の場合。
B ) M 。が 6配位の金属であ り、 L 。が夕一ピリ ジンおよび その 導体のような 3座配位の配位子で、 1 1 が 1 であ り 、
B Lの M。側の配位が 3座であって、 1 2 が 0 の場合。
C ) M 。が 6配位の金属であ り 、 L 。が夕一ピリ ジンおよび その 導体のような 3 座配位の配位子で、 1 1 が 1 であ り 、
B Lの M Q側の配位力 S 2座であって、 1 2 が 1 の場合。
D ) M。が 6配位の金属であ り、 L 。がク オ一ターピリ ジン およびその誘導体のような 4座配位の配位子で、 1 1 が 1 で あ り、 B Lの M。側の配位が 2座であって、 1 2 が 0 の場合。
先述のよう に、 M。は 6配位の金属が好ましく用い.られる ため、 前記の好ましい組み合わせのよう に、 1 1 は 1 または 2 が好ましく 、 1 2 は 0 または 1 が好ましい。
一般式 ( 1 ) において、 mは、 M。の配位数、 L 。、 X。、 B Lの M。側の配位構造によって決定され、 1 から 7 までの 整数であ り、 1 1 、 1 2 との総和が 8 以下である。 mが 2以 上の場合は、 複核錯体は、 B Lを分岐点と して枝分かれした 構造となる。 複核錯体の構造の複雑性を抑えるためには、 m は 1 から 3 までの整数である ことが好ましく 、 より好ましく は 1 または 2であ り、 さ らに好ましく は 1 である。 と りわけ、 B Lの非複素環セグメン トの配位構造が 2座である場合は、 mは 1 が好ましい。
先述のよう に、 M。は 6配位の金属が好ましく用い られる ため、 その場合は、 1 1 、 1 2 、 mの総和は 5 以下となる。
上記式 ( 1 ) において、 n 1 、 n 2 は、 その和が 7 以下で あって、 n 1 は、 0 から 6 までの整数であ り、 n 2 は、 1 力 ら 7 までの整数である。 これらの数値は、 Mの配位数と B L の M側の配位部位によって決定される。 .
n 1 、 n 2 の好ま しい組み合わせを以下に例示する。
a ) Mが 4配位の金属であ り、 B Lの Mと配位する複素環セ
グメ ン 卜がビピリ ジンおよびその誘導体、 フエナン 卜 口 リ ン およびその誘導体のような 2座配位の配位子で、 n 1 が 0で あ 、 Xが単座配位の配位子であって n 2 が 2 の 口 b ) Mが 4配位の金 であ り、 B Lの Mと配位する複 環セ グメ ン 卜がビピリ ジンおよびその誘導体、 フエナン 卜 □リ ン およびその誘導体のような 2座配位の配位子で、 n 1 が 0 で あ り 、 Xが 2座配位の配位子であって n 2が 1 の 口 c ) Mが 4配位の金属であ り、 B Lの Mと配位する複素環セ グメ ン 卜が夕一ピ U ジンおよびその誘導体のような 3座酉己位 の配位子で、 n 1 が 0であ り、 Xが単座配位の配位子であつ て n 2が 1 の場
d ) Mが 6配位の金属であ り、 B Lの Mと配位するネ复 環セ グメ ン 卜がビピリ ジンおよびその誘導体、 フエナン h □リ ン およびその誘導体のような 2座配位の配位子で、 n 1 が 0で あ Ό 、 Xが単座配位の配位子であって n 2 が 4 の 口 e ) Mが 6配位の金属であ り、 B Lの Mと配位する複素環セ グメ ン 卜がビピリ ジンおよびその誘導体、 フエナン 卜 U U ン およびその誘導体のような 2座配位の配位子で、 n 1 が 0で あ り 、 Xが 2座配位の配位子であって n 2 が 2 の場 □
f ) Mが 6配位の金属であ り、 B Lの Mと配位するネ复素環セ グメ ン 卜がビピリ ジンおよびその誘導体、 フエナン ト P リ ン およびその誘導体のような 2座配位の配位子で、 Lが 2座配 位の配位子で n 1 が 1 であ り、 Xが単座配位の配位子であつ
て n 2 が 2 の場
g ) Mが 6配位の であ り、 B L の Mと配位する複素環セ グメン トがビピ ジンおよびその誘導体、 フエナン ト口 リ ン およびその誘導体のよ な 2座配位の配位子で、 Lが 2座配 位の配位子で n 1 が 1 であ り、 Xが 2座配位の配位子であつ て n 2 が 1 の場 □
) Mが 6配位の 属でめ 0 、 Β L の Μと配位する複素環セ グメン トがビピ U ンンおよびその誘導体、 フエナン ト口 リ ン およびその 体のような 2座配位の配位子で、 Lが 2座配 位の配位子で η 1 が 2であ り 、 η 2 が 0 の場合。
i ) Mが 6配位の 属であ り 、 Β L の Μと配位する複素環セ グメン トが夕一 、
ピ ンン よびその誘導体のような 3座配位 の配位子で 、 η 1 が 0 であ Ό 、 Xが単座配位の配位子であつ て n 2 が 3 の場 α
j ) Mが 6配位の であ り 、 Β L の Μと配位する複素環セ グメン トが夕一ピ U ンンおよびその誘導体のような 3座配位 の配位子で 、 η 1 が 0 であ り 、 Xが 3座配位の配位子であつ て n 2 が 1 の場 a
k ) Mが 6配位の金属であ Ό 、 Β L の Μと配位する複素環セ グメ ン トがク才一夕 ―ピ U ンン よびその誘導体のような 4 座配位の配位子で 、 n 1 が 0であ り 、 Xが単座配位の配位子 であって n 2が 2 の 合
1 ) Mが 6配位の金属であ り 、 Β L の Μと配位する複素環セ
グメ ン トがクォーターピリ ジンおよびその誘導体のような 4 座配位の配位子で、 n 1 が 0であ り 、 Xが 2座配位の配位子 であつて n 2が 1 の場合。
上記式 ( 1 ) において、 pは、 1 以上の整数であ り、 B L の Mと配位する複素環セグメン トの配位構造およびその数に て決定される。 例えば、 複素環セグメ ン トが、 ビピリ ジ ンおよびその誘導体、 フエナン ト 口 リ ンおよびその誘導体等 の うな 2座配位の配位子や夕一ピリ ジンおよびその誘導体 のような 3座配位の配位子を 1 つ有する場合は、 pは 1 であ
Ό 、 複素環セグメ ン トがビピリ ジンおよびその誘導体、 フエ ナン ト ロ リ ンおよびその誘導体等のような 2座配位の配位子 を 2つ有する場合は、 ρ は 1 または 2 であ り、 好ましく は 2 である。 複素環セグメ ン トがキノ U ンおよびその誘導体のよ うな 1 座配位の配位子を 3 つ有する場合は、 p は 1 カゝら 3 ま での整数であって、 好ましく は 3 である。 上限に関しては、 特に制約はないが、 複核錯体の構造が複雑にな り、 その製造 が困難になる場合があるため、 1 から 3 までの整数が好ま し い よ り好まし く は、 1 または 2である。 さ らに、 最も構造 が簡略化されるのは Pが 1 の場合である。
上記式 ( 1 ) において、 Q は、 [ ( B L ) m { M ( L ) n x
( X ) n 2 } p m ]の繰り返し数を表す 1 以上の整数である。 q が 2以上の場合、 複核錯体は 3核以上の錯体となるが、 その 場合、 Mの両側に B Lが M。に近い側に非複素環セグメン ト
が位置するよう に方向性を持って配置され B L M— B L の如く直鎖構造となる。
この q の数が増すに従って、 i式 ( 1 ) で表される複核 錯体はよ り広い範囲の光を吸収し かつ 後に述べる適切な 電解質類との組み合わせによって よ り高い電圧を取り 出す ことが可能となる。 しかしな力 sら HU述のよ に複合色素が 複核錯体の場合であっても、 Qが 3 以上でめつても構造が複 雑になり製造の容易さが損なわれるのに対し 得られる光の 広範囲吸収の程度や高電圧化の程 が小さいため、 qは 1 ま たは 2が好ましく 、 さ らに製造の容易さの観点から qは 1 で ある とが好ましい
上記式 ( 1 ) の複核錯体が 荷を有する場合は 、 その 荷 を中和する力ヴン夕 ィォンを用いる とがでさる 力ゥン 夕 ィォンの例としては 四フ V化ホヴ素ィォン 、 四フ ッ化 リ ンィォン 過塩素酸ィォン 塩素ィォン 、 臭素ィォン う素ィォン 硝酸ィ 才ン 硫 ィ才ン ィ ソチォシァン酸ィ ォン チォシァン酸ィォン の各 ァ ォン、 水素ィォン リチクムィォン ナ U ゥムィォン 力 U ゥムィ才ン セシ ゥムィォ.ン マグネシゥムィォン 力ルシゥムィォン ス 口 ンチゥムィ才ン バ U ヴムィォン のァルカ 金属 ァル 力 リ土類金属ィォン ァンモ ゥムィォン 、 テ 卜ラメチルァ ンモ ゥムィォン テ 卜 ラェチルァンモ ゥムィ才ン モノ メチルアンモ ゥムィ才ン ンメチルァンモ二ゥムィ才ン
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43 卜 u メチルァンモ二ゥムイオン、 テ トラプチルアンモニゥム ィ才ン、 卜 リ フェ二ルアンモニゥムイオン等の有機アンモ二 ゥムイオン、 テ 卜ラフェニルフォスフォニゥムイオンに代表 される有機フォスフォニゥムイオン等が挙げられる。
複核錯体の α成方法について説明する。 複核錯体は、 それ ぞれの配位子と金属との結合のしゃすさを比較したうえで、 所望に応じ錯交換反応を組み合わせて合成できる。 具体的に は、 以下のよ な方法が例示できる。
( 1 ) 。) ! 1 ( X 。) , 2 Μ。からなる錯体を合成し. 、 別 に合成した ( B L ) m {M ( L ) n l '( X ) n 2 } p mからなる錯 体を所望に応じて錯交換反応を経て結合させる方法、
( 2 ) ( L。) u (X。) 1 2 M。 ( B L ) mからなる錯体を 合成し、 M ( L ) n l ( X) n 2を結合する方法、
( 3 ) ( L。) u ( X。) 1 2 M。 ( B L ) mからなる錯体を 合成し、 次いで Mの塩を結合させた後 ( L ) n l (X) n 2を 結合する方法、
( 4 ) ( L。;) ^ ( X J M o と M ( L ) n l ( X) n 2 と B Lを混合し、 結合させる方法。
( 1 ) の場合、 ( L 。) , i ( X。) , 2 M。からなる錯体は、 例えば、 M。の塩化物塩と L 。を溶媒の存在下混合し加熱し て合成する。 この際、 M。の配位数と L 。の配位数.を比較し、 残存させるべき X。に相当する、 この場合は塩素イオン数か ら溶媒への投入量を決定する。 例えば、 L 。が 4 , 4 ' 一ジ
力ルポキシ— 2 , 2 ' ー ピピリ ジンのよう に 2座配位の配位 子で、 M。が 6配位のルテニウムの塲合であって、 塩化ルテ 二ゥムを原料として用い塩素イオンを 2つ残存させる場合は、 L 。を M。に対し、 2倍量 (モル比) 投入する。 このような 反応は、 溶解特性の良好な、 ジメチルフオルムアミ ドなどの 溶媒中で好適に行われ、 通常、 反応温度が安定しやすい還流 温度で数時間反応させる。 得られた化合物には X。と して塩 素イオンが残るが、 この部位を、 ( B L ) m {M ( L ) n l
( X ) n 2 } p mとの錯交換に用いる。 一方、 ( B L ) m,{M ( L ) n l ( X) n 2 } p mの合成に関して、 m= p = l の場合 で例示する。 この場合 、 ( B L ) m {M ( L.) η , ( X ) η 2 }
P mは ( B L ) mM ( L ) n 1 ( ) η 2の構造となるが、 この 場合も、 Mの塩化物や酢酸塩のよ Όな、 後で置換反応が起こ り易い化合物を原料にする ことが良い場合が多い。 また、 例 えば、 Mの塩化物や酢酸塩に、 B Lや Lが直接配位しにく い 時は、 ジメチルスルフ才キシ ド ( D M S 〇) 錯体などを中間 体と して経由して合成するのが好ましい。 そして、 上述のよ う に結合させるべきそれぞれの配位子を順に、 加熱攪拌等し
、、
て配位させる 例 ば、 ンィ ソチオシァナ トー ( 1 , 1 0 — フエナン □ U ン ― 5 , 6 ―ヽ、、
ンオン) 白金 ( I I ) を合成す る場合は 、 まず 、 テ 卜ラク D U白金 ( Γ I ) 酸力 リ.ゥム塩を 水のよ な溶媒に溶解し 、 D Μ S 0を 2 〜 4倍 (モル比) 程 度混合して 、 塩化白金の D Μ S 0錯体を形成する そして、
その D M S 〇部をよ り配位力が強い 1 , 1 0 —フェナン ト 口 リ ン ― 5 , 6 ージオンを等モル比程度混 α して反応させる こ とで D M S 〇と交換し、 フエナン トロ リ ン環の窒素原子の部 分で 、 白金と配位させ、 最後に残った塩素イオンを塩素ィォ ンよ Ό配位力が強いイソチォシアンィォンに置き換ん ' の Ό に 、 塩素イオンは、 置換されやすいので、.反応最後の 置き換えに用いるのが好ましい。 そして 、 複核反応を行うが、 この場八は 、 1 , 1 0 -フエナン 卜ロ リ ン一 5 , 6 ージオン のジォンに由来する部位が ( L 0 ) , 1 ( X 0 ) 1 2 Μ 0の X 0 の一部又は 、 全部と置き換わつて配位するが、 ジォン構造
(キノ ン型) は、 反〗心速度连い場合があるので、 緩やかな還 元力を有するジメチルフオルムアミ ドのような溶媒中や水酸 化力 ゥムに代表される塩基性化合物とともに力テコール型 を形成しながら反応させるのが好ましい 合が多い cL 7こ 、 中間体と して 、 D M S 0錯体を例示したが 、 この うな中間 体を形成する場合は、 ァセ ト二 卜 リルやベンゾ二 卜 リルとレ つた ― ル化合物ゃシク ロォクタジェン環、 卜 U フエニル フ才スフィ ン 、 酢酸イオンといつた化合物も好適に用い られ る。
( 2 ) の場合は、 まず ( L 。) u ( X。) l 2 M。 ( B L ) mからなる錯体を合成する。 本発明の好ましい構造である B Lが非対称の場合は、 その結合の方向を制御する必要がある。 例えば、 B L力 S 5 , 6 —ジヒ ドロキシー 1 , 1 0 —フエナン '
卜 P リ ンの ·¾口で、 M Q側にォキソァ:二オン構造.で配位させ る時は、 溶媒中に水酸化ナ ト リ ウム、 水酸化カ リ ウムなどの 塩基性物質を混 α し、 塩基性雰囲気下で反応する。 このよう にする こ とによ て、 フエナン ト ロ リ ン環の窒素原子による 配 に対し 、 ォキソァニオンの配位を優先させることができ、
B Lの配位の方向を制御できる。 この場合も、 配位子置換を 伴うが、 X。は塩素イオンが好ましい。 例えば、 (シス一ジ ク □ 口一 ビス ( 2 , 2 ビピリ ジルー 4 , 4 一ジ力ルポ ン酸 ) ) ルテニゥム ( I I ) に 5 , 6 —ジヒ ドロキシ— 1 , 1
0 一フェナン 卜 Π リ ンのヒ ドロキシル基をォキソァニオンへ とィオン化させながら反応させる時は、 溶解性の良好なジメ チルフ才ルムアミ ドと水の混合溶媒を用い、 塩 性条件とす るために水酸化力 リ ゥムを添加し、 窒素やアルゴンといつた 不活性ガス雰囲気下 、 数時間過熱還流して行う このよう に する こ とによつて、 (シスージク ロロー ビス ( 2 , 2 , 一ビ ピリ ジル ― 4 , 4 ' ―ジ力ルボン酸) ) ルテニゥム ( I I ) の 塩素ィォンに置き換わつて 、 イオン化された 5 6 —ジヒ ド、 口キシ一 1 1 0 一フェナン ト ロ リ ンが結合する 。 そして 、 別途合成した Μ ( L ) π 1 ( X ) η 2を結合する c この、 M
( L ) n j ( X ) n 2の合成は、 ( 1 ) の方法の ( L 。) , i ( X。) , 2 M。の合成と同様にして行えばよい。 こ.の場合も、 ( 1 ) で示したよう に、 この Mが B L の共役二重結合を有す る複素環のへテロ原子との配位しにく い場合は、 ( 1 ) で示
した D M S O錯体のよう な中間体を経て、 反応を行う。 錯体 の合成反応は、 よ り強い配位力を有する結合の生成が優先し、 目的化合物が形成した後、 配位子交換が起こって、 目的化合 物とは異なる構造になる場合があるので、 そのような場合は、 反応時間を必要以上に長く 取らない方が良い。 例えば、 (ビ ス ( 2, 2 ' ービピ リ ジル— 4 , 4 ' —ジカルボン酸) 一
( 1 , 1 0 — フ エナン ト 口 リ ン一 5 , 6 —ジォレー ト) ) ル テニゥム ( II) - (ビス ( 2, 2 '—ビピ リ ジル) ) ルテニ ゥム (II) のク ロ ライ ド塩の合成を、 水とエタ ノ ールの混合 溶媒中、 還流温度で合成する場合は、 反応時間は 1 時間程度 が好ましい。 また、 錯形成定数を求め られ、. 活性化エネルギ —の大小の判断が付く 場合は、 反応温度を上げた り下げた り する こ とによつ ても、 配位子交換反応を抑える こ と も可能で ある。
( 3 ) の場合は、 ( 2 ) の方法と同様にして合成した ( L 0 ) , ! ( X。) , 2 M 0 ( B L ) mか らなる錯体に、 Mの例え ば塩化物塩や酢酸塩を結合させた後 ( L ) n l及び 又は
( X ) n 2を結合する方法である。 この場合は、 Mの例えば 塩化物塩や酢酸塩を結合させる際に、 目的化合物が Mを中心 に対称な 2 量化体が生成する可能性があるので、 反応の濃度 や温度を低く 設定し、 2 量化反応を抑える と共に、 .生成後、 精製操作などを加え、 目 的化合物を取 り 出す方が好ま しい。
( 4 ) の場合は、 B Lが対称構造の場合には、 簡便である
ため、 好適に用い られる。 また、 非対称構造の場合であって も、 M。 Mとの配位力が異なる場合には使用できる。 即ち、 例えば、 B L として 5 6 —ジヒ ドロキシー 1 , 1 0 —フエ ナン ト口 リ ンやその誘導体を用いる場合、 ォキソァニオンと M。の配位結合の生成速度がフエナン ト ロ リ ンの窒素原子と の配位速度よ り 51 < 、 逆に Mとの配位結合の生成速度がフ ェナン ト口 リ ンの窒素との結合が早い場合、 このよう に同時 に混合した場合も 目的の方向性をもって配位させる とが できる。
各部位等の合成条件は次のよう にして設定し 合成する まず、 上述のよ にそれぞれの金属と配位子の結合のしゃ すさを比較する の比較は、 文献に記された反応速度定数 や類似化合物の 成例を参照しながら、 それぞれの酉己位子や 金属塩の前駆体を相互に反応させて行う。 この比較を予め行 う方が後述する分析による構造決定が容易になるので好まし い。 次いで、 考案した反応順での複核錯体の合成を行う 。 そ の合成は、 出発原料が溶解しゃすい、 或いは、 懸濁状態とな るような合成溶媒を 、 各種有機溶媒や水、 所望に応じて 、 各 種有機及'び/又は dm-機の塩などを添加し、 所望に応じて 、 各 種有機溶媒や水を混合して合成溶媒とする。 また 目的とす る結合の種類によ ては、 合成溶媒の酸性、 塩基性の程度や 酸化性、 還元性の程度が反応の進行や生成物の安定性に重耍 な場合があるので 添加剤は溶解性のみならず のよ うな
特性も勘案して選択される。
反応は、 選択した有機溶媒の沸点や、 反応順を決定する際 の予備実験に ける反応の容易さ を勘案して反応温度、 反応 時間を決定する 。 この際、 後述の各種分析法を用いて反応を 追跡し、 反応の終点を決定する方法が好ま し く 用い られる 合が多い。
こ のよ うな反応は、 通常常圧下で行われる。 また、 窒素や アルゴンとレ つ た不活性ガスを溶媒に吹き込みながら反応を 進行させる方が好ま しい場合が多い。
合成溶媒が、 生成物に対して貧溶媒である場合は、 生成物 が合成時に し、 分離が容易になる場合がある。 また 、 部 分的に溶媒を溜去する こ とによって、 生成物の沈殿が得られ る場合もある このよ う に、 沈殿物として目的化合物が得ら れる場合は 、 それを濾紙に代表される濾別法や遠心分離法に 代表される分離法を用 いて回収する。 また、 溶媒を完全溜去 して得られた固形物 (目 的化合物と原料などの混合物) を 巨 的化合物の貧溶媒を用いて洗浄する方法や、 再結晶、 最沈殿、 分液分離やシリ 力、 ァルミ ナ、 有機修飾シ リ カなどの吸着剤 を用いた力 ラム精製などの精製法も所望に応じて適宜選択さ れる。 このよ う な、 製操作の必要性や方法は、 生成物の特 性、 工程の利便性、 経済性等を考慮して適宜選択ざれる
複核錯体の構造は、 赤外線分光分析法 ( I R ) 、 核磁気共 鳴分光法 ( N M R ) 、 紫外—可視分光分析法 ( U V — V i
s ) 、 各種質量分析法 (M S ) 法、 I C P発光分析法、 蛍光
X線分光分析法、 各種化学的元素定量法の組み合わせ 、 単結 晶を形成して X線回折分析法を用いて原子間距離を求める等 の方法によ り決定される。
所望によ り結合基を導入され、 π共役を有する各種の有機 色 が化学的に結合されたものとしては、 9 —フエ二ルキサ ンテン系 、 ト リ フエニルメタン系、 ァクジリ ン系、 クマ U ン 系 、 ィ ンジゴ系、 シァニン系、 スピ口 ピラン系、 ァゾ系 、 キ サンテン系などの各種有機色素を複数用い、 化学合成によつ て互いに結合された色素 (複合色素 ) 等が挙げられる この ような、 化学合成は、 複核錯体の合成のと ころで示したのと 同様に通常の有機化学的合成法によつてなされ、 その分析も 複核錯体の合成のと ころで示したような分析法によつて分析 される なお、 このような有機色素の例は、 松岡賢著 Γ J 0
E M H a n d b o o k 2 A b s o r p t i o n S P e c t r a o f D y e s f o r D : i 0 d e L a s e r s 」 曰本国、 ぶんしん出版 ( 1 9 9 0 ) などに記載されている。 本発明において、 異なる励起準位を有する複数の成分色素 が化学的に結合された複合色素のそれぞれの成分色素か らの 光吸収は、 同一波長領域であっ ても異なっていてもよいが、 これらの光吸収が異なる波長領域である こ とが好ま.しい。 異 なる波長領域とする こ とによって、 太陽光に代表されるプロ 一ドな波長分布をもつ光の広い領域を使用する こ とが可能と
なる。
次に、 本 明の光電変換素子を構成する n型半導体につい て説明する 本発明において、 n型半導体は 、 複合色素が光 を吸収する とによって生じた励起電子を受け取り 子を 回収する際に必要な導電性材料へと受け渡す機能を有する
従って、 n型半導体の伝導体準位は の n型半導体に保 持された成分色素の励起状態準位よ り低い準位である こ とが 必要であ り その成分色素の最低非占有軌道 ( L U M 0 ) の 準位よ り低い準位である ことが好ましい
n型半導体と しては、 具体的には、 酸化チ夕 ン、 スズ、 酸化亜鉛、 酸化イ ンジウム、 酸化ニォブ 酸化タ ンダステン、 酸化バナジゥム等の各種酸化物半導体 チ夕ン酸ス 卜 P ンチ ゥム、 チタ ン酸カルシウム、 チタン酸パリ ゥム、 二ォブ酸力 リ ウム等の各種複合酸化物半導体、 力 ドヽ クムゃビスマスの 硫化物、 力 ミゥムのセレン化物ゃテルル化物、 ガリ ゥムの リ ン化物やヒ素化物等が挙げられ、 これら を組み合わせて用 いる こ と fcできる。 これらの中で、 酸化チ夕 ンは複合色素か らの励起電子を受け取る性能や透明導 まで移動させる性 能などのバランスが取れているため好まし < 用いられる
n型半導体の形状には特に限定はないが 微粒子である とが好ま しい 。 微粒子とする こ とによ て 複合色素から 子を受け取る面積が増大するため、 多 < の複合色素を光吸収 剤としてよ り効率的に機能させる こ とがでさ 、 光電変換の効
率が向上する
微粒子のサィズは 、 光電変換素子の使用 巨的、 用いられる 光の強度、 複合色素の吸光度等によつて決定されるが、 好ま しい粒子サイズは 、 その一次粒子径が 1 〜 5 0 0 0 n m、 よ り好ま しく は 2 〜 1 0 0 n m、 最も好まし < は 2 〜 5 0 n m である。 一次粒径が 5 0 0 0 n mを越える と 、 半導体の膜の 光透過性が低下して 、 入射した光を有効に使えない場合があ り、 一次粒径が 1 n m未満の場合は、 半導体微粒子の電子伝 導度が低下して、 生した励起電子を後に述ベる導電性支持 体に移送する際の □スが大きく なる場合があ 0
このような微粒子の粒径は、 レーザ一回折/散乱式粒度分 布測定装置、 動的光散乱光度計などによつて測定でさる。 ま た、 n型半導体が設けられている光電変換素子を走査型電子 顕微鏡で観察し、 得られた像から粒径を算出する しともでき る。 走査型電子顕微鏡を用いる場合は 、 測定画面内に存在す る粒子のサイズを測定し、 その平均値と して算出する。 微粒 子が球形の場合は 、 その直径をもって粒径と判断し 、 そうで ない場合は、 お辺の長さ と最短辺の長さの平均とする。
n型半導体は、 その表面に、 電子の伝導度を調節できるよ うなシェル層が設けられていてもよい 。 シ Xル層の存在によ り、 例えば、 励起して電子を失った複合色 や、 電 .解質のよ うな他の材料への逆電子移動を抑制する ことがでさる場合が ある。 本発明に いて 、 複合色素から励起された電子が複合
色素に戻 り に く い場合、 段階的多光子吸収システムがよ り効 率的に機能する。 そのため、 と り わけ n型半導体が導電性の 高い酸化錫や酸化亜鉛のよ う な材料の場合は、 シェル層が重 要な役割を担う場合がある。
シェル材料と して、 n型半導体材料や絶縁体が用い られる。 具体的な材料と して 、 化チタ ン 、 酸化スズ、 酸化亜鉛、 酸 化イ ンジゥム、 酸化 ォブ、 酸化タ ングステン 、 酸化バナジ ゥム等の各 mm化物半導体、 チ夕 ン酸ス ト ロ ンチウム、 チタ ン酸カルシゥム 、 チ夕 ン酸マグネシゥム、 チタ ン酸バリ ゥム、 ニオブ酸力 リ ゥム等の各種複 化物半導体、 カ ド ミ ウムや ビスマスの硫化物、 力 ドミ ゥムのセ レン化物やテルル化物、 ガリ ゥムの リ ン化物やヒ素化物 の無機 n型半導体、 炭酸リ チウム 、 灰酸ナ h 'リ ゥム 、 灰酸力 リ ウム等のァルカ リ 金属炭 酸塩、 炭酸マグネシゥム 、 灰 m力ルシゥム、 炭酸ス ト ロ ンチ ゥム、 炭酸バリ ゥム等のアル力 土類金属炭酸塩、 灰酸 3ノ、 ル ト、 炭酸二ッ ケル 、 灰酸マンガン等の遷移金属成酸塩、 炭 酸ラ ン夕 ン 、 灰酸ィ Vテルビゥム 、 炭酸セ リ ウム等のラ ン夕 ノイ ド炭酸塩等の金属灰酸塩、 酸化リ チウム、 酸化ナ ト リ ウ 么、 酸化力 リ ゥム等のァルカ リ 金属酸化物、 酸化マグネシゥ ム、 酸化力ルシゥム 、 酸化ス ト D ンチウム、 酸化バリ ウム等 のアル力 リ 土類金属酸化物、 酸化アルミニウム 、 酸.化コバル ト、 酸化マンガン等の遷移金属酸化物、 酸化セ リ ウム、 酸化 ガ ド リ ニウム、 酸化サマ リ ウム、 酸化イ ッテルビウム等のラ
ンタノイ ドの酸化物 の 化物、 ンリカに代表される天 然または合成の珪酸化合物等の無機絶縁体、 低分子、 高分子 の有機絶縁体等が挙げられる これらの材料を組み合わせて 使用する こともできる れらの中で 材料の安定性の観点 から 、 無機 η型半導体、 機絶緣体から選ばれる無機化合物 が好ましく よ り好まし < は、 アル力 U土類金属を含有する 1 化合物である。
シェル構 の厚みは適宜選択できるが 、 複合色素から n型 半導体への ¾子注入の確率を落とさないようにするため、 好 ましく は 1 n m未満であ り 、 よ り好ましく は 0 . 8 n m以下、 更に好まし < は 0 . 6 n m以下 mも好ましく は 0 . 4 n m 以下である 下限に関しては、 開放電圧が向上する限り 限定 は いが、 好ましく は 0 1 n m以上でめ
シエルの厚さは、 透過型 ¾ - 顕微鏡 ( T E M ) を用いて直 接観察するか 、 測定深さが一般的に 5 n m以下である X線光 電子分光法 ( X P S ) を用いて n型半導体の特定の元素
(例えば、 n型半導体が酸化チタンの場合はチタン) とシェ ルを形成する材料の特定の兀素 (例えば 、 炭酸カルシウムの 場合は力ルシゥム) の原子数比と、 後に述べる方法で求めた シェルの組成から分かる シェルの比重を用いて算出する こ と もでさる。 原子数比を求めるために選択される特定.の元素は、 分析の容易さ (ピークの重なりが少ないこと、 ピークの強度 が強いこ と 好ましく は n型半導体 シエルのいずれか片方
のみに存在する こと ) によつて 宜選択される。
また 、 飛行時間型二次ィォン 量分析法 ( T 0 F - S I M s ) のような装置を用いエツチングしながら組成分布を求め、 その組成の変化が顕在化するまでのエッチング厚みを用いて シェル厚みを求める こ ともでさる 。 更に簡易的に 、 シ: レ 部 、 n型半導体の材料の比重とその原料の使用量 、 および n 型半導体が粒子状の場合はその平均粒径から算出するこ とも 可能である
上記のよう に本発明の光電変換素子は複合色素及び n型半 導体を包含するが 、 n型半導体は後に述べる導電性材料など と接した形で存在していてもよい 。 η型半導体として微粒子 を用いる際には、 導電性材料の表面で焼結されて多孔質構造 の半導体膜の形となつている と 、 η型半導体中の電子の流れ が良好となるので好ましい。 多孔質構造とは、 例えば、 窒素 ガスを用いた B E T表面積測定によって得られた質量あた り の表面積から算出される表面禾 曾犬が、 その粒子が存在する 面を平面に投影した面 の 5倍以上のものをいい 、 好ましく は 1 0倍以上、 よ り好ましく は 5 0倍以上である 。 このよう なシェルを有する n型半導体は 、 記の n型半導体と混合し て用いる こ ともでさる
半導体膜には 、 上記の n型半導体以外に 、 後に述.ベる光電 変換素子の性能を落とさない程度の量の、 ァセチルアセ ト ン 等の有機物バィ ンダー 、 金属過酸化物 (例えば、 過酸化チタ
9
5 6 ン、 過酸化スズ、 過酸化二す: ^ ) 、 金 ダル キシ ド、等の 無機物バィ ンダー 、 硝酸、 硫酸等の無機物、 ポ 'J ェチレング
U α ―ル、 ポ リ プロ ピレングリ コール、 セル U スおよびそ の変性体等の高分子化合物 、 ノ ニオン系、 ァ一ォン系 、 力チ ォン系ゃシ コ一ン系等の各種界面活性剤類 、 キレ 卜補助 剤類を加える こ とも可能である。 本発明における n型半導体が導電性材料と接している場合、 ヽ、ヽ
導電性材料と しては、 金、 銀、 銅、 白金、 パランゥム の金 属やその薄膜 、 錫を ド一プした酸化イ ンジゥム ( I T 〇 ) に 代表される酸化ィ ンジゥム系化合物、 フ ッ素を ド、一プした酸 化錫 ( F Τ ο ) に代表される酸化錫系化合物 、 酸化亜鉛系化 合物等の透明 m性材料や これらからなる薄月莫 が用い られ る 本発明の光 変換素子には、 異なる励起準位を有する複数 の成分色素を化学的にホロ 口 した複合色素のほかに 、 本発明で 用いる成分色素と同 レベルの励起準位を有する錯体色素や有 機色素を含んでもよい 本発明において 、 複合色素や上記の ¾曰体色素や有機色素の 保持 (担持) 量は 、 外一可視分光分析によって色素の吸光 度か ら色素量を換算して求め られる。 の測定は 、 光電変換 素子を含む電池の状態 つてもよいし 、 アル力 リ.水溶液等 を用 いて色素を η 7¾半導体か ら解結合させた後に行ってもよ い
本発明の色素増感型太陽電池について説明す 本発明の 色素増感型太陽電池は 本発明の光電変換素子を含む電極
(陰極) 、 対極、 及び該光電変換素子と該対極の間に設けら れた電解質からなり 該光電変換素子を含む電極と該対極を 該電解質の外側に位置する電子伝導性材料を介して互いに結 合する時に作動可能となる ことを特徴とする。
そして、 その一対の電極の少なく とも一方は 、 錫を ド一プ した酸化ィ ンジゥム ( I T O ) に代表される酸化ィ ンジゥム 系化合物、 フッ素を ドヽ プした酸化錫 ( F T O ) に代表され る酸化錫系化合物 酸化亜鉛系化合物等の透明 ,首 性材料、 またはこれらカゝらなる薄膜を透明基,材上に設置した透明導電 性支持体を含んでいる とが好ましい。
電解質は上記の 2電極 (陰極と対極) にサン ドィ ツチ式に 挟まれていてもよいし (この場合、 「挟持型電池」 と称す る) 。 また _t [jの 2電極 (陰極と対極) は電解質に浸漬さ れていてもよい ( の場合、 「浸漬型電池」 と称する) 。
上述のよう に、 本発明の光電変換素子は、 複合色素及び η 型半導体からなり 常は複合色素が n型半導体に担持され てレ る。 n型半導体は 複合色素が光を吸収するこ とによつ て生じた励起電子を受け取り、 電子を回収する際に必要な導 電性材料へと受け渡す機能を有するため、 導電性材.料と接触 している。 このよ に 導電性材料の表面に形成された η型 半導体および複合色素からなる層が陰極 (光 II変換電極) と
なる。
本発明においては 、 陰極を構成する導電性材料が、 透明導 電性材料でめる とが好ましい 。 即ち 、 色素増感型太陽電池 において、 透明導 性支持体は Cを導入するための電極と して使用されるが 光電変換素子が光を導入される側に配置 された方が 解質の光吸収などによる光の損失がなく 、 照 射された光ェネルギ —を有効に活用する こ とができるためで ある。 この好ましい色素増感型太陽電池の構造例を図 9 に模 式的に示す 0 σ^. 明導電性材料から電解質への電子の漏洩を防止す るこ とを目的と して η型半導体から透明導電材料への電子 の受け渡しを大さ < 阻害しない範囲で 、 透明導電性材料の表 面に逆電子移 防止層を設置することもできる 。 このような 材料と しては 晶性の低いあるいは非晶質の酸化チタ ンが 好適に用いられ ゾル一ゲル法ゃスパッタ リ ング法で設置さ れ 。
こ こで、 透明とは 、 光の透過率が 1 0 %以上である こ とを 意味し、 5 0 %以上である ことが好ま しく 、 7 0 %以上がよ り好ましい 0
透明基材と しては 、 上記透明性を有するガラスゃ有機物等 を用いる ことがでさ 、 限定はされない 。 具体的には.、 有機物 の例と しては 透明ポ リ マーフィルムが挙げられ、 ポリ ェチ レンテレフ夕 レ一 卜 ( P E T ) 、 ホ エチレンナフ夕 レー 卜
( P E N ) シンジオタクチックポ Uスチレン ( S P S ) ポリ フ X レンスルフィ ( P P S ) 、 ホ ァ U レ 卜 ( P
A r ) ポ Uスルフォ ン ( P S F ) ポリ ェ テルスルフォ ン ( P E S ) ポ Uェ テルイ ミ ド ( P E I ) ポリカ一ポ ネー 卜 ( P C ) テ 卜ラァセチルセル口 ス ( T A C ) 、 ポ リ メ夕ク Uル酸メチル ( P M M A ) を用いる とができる。 電解質は 光によつて励起して励起電子を n型半導体に渡 して電子を失つた複合色素に電子を補充する機能を有する。 電解質と しては 複合色素の酸化還元準位に適した準位を持 つものが選択される の準位が適 D している とによって 電解質から色素への電子の移動が可能とな 色素増感型太 陽電池は機能する この 位が適合している とは 具体的に は、 複合色 の n型半導体から最も離れた成分色素 (最も低 い励起準 を有する成分色素) Ό ち高レ ェネルギー準位
(即ち、 化学測定法によつて求めた準位の値が小さい準 位) である ことを言う。 このよ Όなェネルギ 準位順である ことによつて 、 電解質と複合色素との間の電子移動が容易に 起こる。
なあ、 準位の適合性は、 サイ ク U ックポルタ ンメ 卜 リ に代 表される 化学的測定によつて確 できる
本発明 いて対極の準位とは 、 色素増感型太陽霜池にお いて光電変換素子を有してなる陰極と対向して設置されてい る対極が電解質に電子を受け渡すェネルギー準位のこ とであ
る o この準位において、 酸化体で存在していた電解質は、 還 元されて還元体へと亦化し 光雷変換素子中の複合色素へ電 子を受け渡すこ とができるよう になる o の うな対極準位 は、 光電変換素子を有してなる陰極 (光電変換電極) を作用 極とし 、 白金に代表される対極を RX.置し、 電位参照となる参 照極を併設して行う 3極式 ^ΙΔ ^化学測定と参照極を設置せ
, 6
ず対極と作用極の電位差を測定 oする 2極式光電気化学測定の それぞれの電圧値から 、 3 極式光 気化学測定の際に用いた、 参照極の酸化還元準位に対する準位 (電位) として求め られ る 3 た、 3極式電気化学測定でポテンシャルの揷引速度を 十分遅く したり 、 m ¾i解 を含む測定液を攪拌した りするなど して酸化波や還元波が観測されない測定条件とし、 光を照射 せずに測定した ¾ 口 の 、) ― 圧曲線が電圧軸 (通常 X 軸) と交差する 占 (酸化 流も還元電流も 測されない点) を求める ことによつて 、 対極準位 求める とができる。 この対極準位は、 作用極として用いられる光電変換素子を 有してなる陰極 (光 m変換電極) の準位との差によって、 色 素増感型太陽電池の発生電圧を決定するため 、 作用極準位が 低いこ と (電気化学測定において値が大きい と) は、 色素 増感型太陽電池の電圧が高く取れる ことを 味するので好ま しい。 本発明において、 対極の準位の下限 (即ち 、 電気化学測定 法によつて求めた準位 (電位) の 大値) は 、 複合色素の n
型半導体から最も離れた成分色 最も低い励起準位を有す る成分色素) よ り も高いエネルギー準位であれば 、 色素増咸 型太陽電池は作動するので特に限定は無いが 、 複合色素の最 も低い励起準位を有する成分色素の準位よ り 0 0 5 V以上 高いこ とが好ましく 、 0 . I V以上高い ことがよ り好ましい 一方、 対極の準位の上限は、 n型半導体の伝導体準位よ り低 い準位であれば色素増感型太陽電池は作動するので特に限定 はないが、 高い電圧を得るためには 、 複合色素の最も低い励 起準位との差が、 I V以下である こ とが好ましく 、 よ り好ま しく は、 その差が 0 . 8 V以下であ Ό 、 更に好まし < は 0 •
5 V以下であ り、 最も好ましく は 0 • 3 V以下である
複合色素は、 異なる励起準位 -ar有する成分 Ώ素を n型半導 体から離れるに従って低い励起準位となるよう に化学的に結 合した複合色素であ り、 好まし く は 、 結合されたそれぞれの 成分色素からの励起電子が n型半導体に向かつて方向性を持 つて電子移動する構造を有する 。 そのため、 低い励起準位を 有する n型半導体側から遠い側に位置する成分色素からの電 子移動をう まく利用する こ とによつて 、 低い準位で電解質か ら受け取った電子を n型半導体まで順次受け渡すこ とが可台匕 匕 となる。 このような仕組みによつて 、 成分色素の電子遷移の 幅 (吸収スぺク トルに対応) よ り ち広い範囲にまたがる電位 差を光電変換素子が設置された陰極と対極の間に生じさせる こ とが可能となるので、 対極の準位は 、 複合色素の最も低い
励起準位を有する成分色素の準位よ り 咼ければ 低いほど好 ましい。 具体的には、 対極の準位と しては m気化学的測定 によって求められる ιΐ位の値が、 好ま し < は銀 /銀イオン酸 化還元準位に対して一 0 . 2 V以上であ 、 よ り好ましく は、 銀/銀ィォン酸化還元準位に対して 0 V以上でめ り 、 更に好 ましく は、 銀/銀ィォン酸化還元準位に対して 0 • 3 V以上 であ り、 最も好ましく は、 銀/銀ィォノ酸化還元 位に対し て 0 . 5 V以上である 。 特に、 複合色 の n型半導体に最も i£L接した成分色素 (第一吸光部位) の励起準位よ り低い準位 に対極準位がある場合は、 上述のよう に 第一吸光部位のみ では受け取る こ とが出来ない低い準位で 解質から電子を受 け取る こ とにな 、 第一吸光部位の電子遷移幅を超える電位 差を生ずる ことが可能となるので好ましい のような組み 合わせを用い、 色素の «チ遷移幅を超える対極の準位で作動 する こ とによ り 一光子吸収系の理論限界を超える色素増感 型太陽電池となり得る。
酸化還元対と しては、 例えば、 ヨウ素とヨウ化物 (例えば、 ヨウ化リ チウム、 ヨウ化テ トラプチルアンモニゥム、 ヨウ化 テ トラプロ ピルアンモニゥム等) の組み合わせ、 臭素と臭化 物の組み合わせ、 塩素と塩化物の組み合わせ、 アルキルビオ ローゲンとその還元体の組み合わせ、 キノ ンノハイ .ドロキノ ン、 鉄 ( I I ) イオン 鉄 ( I I I ) イオン、 銅 ( I ) ィ ォ ン /銅 ( I I ) イオン、 マンガン ( I I ) イ オン/マンガン
( I I I ) イオン、 コバル トイオン ( I I ) コバルトィォ ン ( I I I ) 等の遷移金属イオン対、 フエロシアン/フェ リ シアン、 四塩化コバルト ( I I ) /四塩化コバル ト ( I I I ) 、 四臭化コバル ト ( I I ) Z四臭化コバル ト ( I I I ) 、 六塩化イ リ ジウム ( I I ) /六塩化イ リ ジウム ( I I I ) 、 六シァノ化ルテニウム ( I I ) Z六シァノ化ルテニウム ( I I I ) 、 六塩化ロジウム ( I I ) /六塩化ロジウム ( I I I ) 、 六塩化レニウム ( I I I ) /六塩化レニウム ( I V ) 、 六塩化レニウム ( I V ) Z六塩化レニウム (V ) 、 六塩化ォ スミ ゥム ( I I I ) /ハ塩化ォスミ ゥム ( I V ) 、 六塩化ォ スミゥム ( I V ) /六塩化ォスミ ゥム ( V ), 等の錯ィオンの 組み合わせ、 コバル 卜、 鉄 、 ルテニゥム 、 マンガン、 ニッケ ル、 レニゥムとレ つた遷移 属とビピ ジンやその誘導体、 ターピリ ジンやその誘導体 、 フェナン h 口 リ ンやその誘導体 といった複素共役環及びその 導体で形成されているような 錯体類、 フエ口セン フエ セニゥムィオン、 コバル トセン
/コバル トセ二ゥムイオン 、 ルテノセン Zルテノセゥムィォ ンといつたシク 口ぺンタジェン及びその誘導体と金属の錯体 類、 ポルフイ リ ン系化合物類等が使用できる。
これらの中で 、 上述の好ましい対極準位になるものが高い 電圧を獲得するために好まし <用いられる
電解質は溶液の形であつてちなく てもよい。 電解質溶液に は、 対極準位を調整する 目的で 、 酸化剤や還元剤を添加する
ことができる。 即ち 解 の多く は、 複数の価数を取 り得 るので 、 酸化剤や Μ元剤を混合する ことによ て 目的の価 数の酸化還元対を色 増咸型太 1 池内の電子の授受 (対極 から電子を受け取り 電子を放出した複合色 の電子を受け 渡す) に用いるためである と りわ 、 移金属を電解質内 に有する場合は、 多 < の価数を取り得る電解質になる場合が 多く 、 酸化剤や還元剤による準位調整が有効になる とが多 い
これらの酸化剤や運元剤は 、 調整される電解質の組成の酸 化 還元準位に応じて適宜 択されるが、 代表的な酸化剤と して、 二 卜 ロソニゥム四フッ化硼素が代表的な M元剤と して 有機/ のスルフィ ン酸並びにその塩やァス Πルビン酸ゃ その塩などが例示でさる
電解質溶液の電 伝 度を上げる 目的で、 電解質溶液中に 支持電解質を加えて い 支持電解質と しては 過塩素酸 リチウム、 過塩素酸ナ U ゥム、 過塩素酸ァンモ一ゥム、 過 塩素酸テ ト ラメチルァンモ一ゥム、 過塩素酸テ 卜ラェチルァ ンモニゥム 、 過塩素酸テ ラブチルアンモニクムなどの過塩 素酸の有機 、 無機の塩 へキサフルォ口燐酸 U チクム 、 へキ サフル才口燐酸ナ 1 ゥム へキサフルォロ燐酸ァンモニゥ ム、 へキサフルォ D燐酸テ ラメチルアンモ一ゥム へキサ フルォ口燐酸テ ト ラェチルァンモニゥム、 へキサフルォロ燐 酸テ ト ラブチルァンモ ゥムなどのへキサフル才 P燐酸の有
機、 無 の塩などを挙げる ことができ しれらを溶かす有 機溶媒には、 非プ 卜 ン性の極性溶媒が好ましく 、 ァセ 卜二 ト リル 、 メ 卜キシァセ 卜二 卜 リル 、 メ トシキプ口ピオ二 卜 U ノレ、 酸ェチレン 、 炭酸プロピレン 、 ジメチルフオルムァミ ド、 ジメチルスルフォキシ ド 、 1 3 —ジメチルイ ミダゾリ
、
ノ ン、 3 ーメチルォキサゾリ ンノ ン を例示するこ とができ ス。
s元対は電子のキャ リ ァになるので、 ある程度の濃度 が必要であ り、 0 0 0 1 m ο 1 1 以上が好ましく、 よ り 好まし < は 0 . 0 1 m o 1 / 1 以上 、 更に好ましく は 0 . 3 m 0 1 / 1 以上である 上限に関しては、 特に制限は無いがヽ 電解質が着色している場合は 、 光を遮蔽して複合色素に吸収 される光の量が減ずる fe合があるので 、 好ましく は 3 m o 1 ノ 1 以下の範囲で用い られる また 、 電解質中の酸化体濃度 が高すぎると光電変換素子から 解質への電子の逆流が発生 する場口 もめるので 、 ) 元体と酸化体の濃度比は色素増感型 太陽 H池の光電変換性能を測定しながら適宜決定される 通 常、 還元体濃度が酸化体濃度よ り高い方が好ま しい。 また、 酸化体と ¾元体のいずれか一方を 解質として色素増感型太 陽電池に加えた場 αであつて 、 子を失った複合色素や対 極において電解質が電子の授受を行う こ とによつて.、 それぞ れ他方の成分が生成して 、 作動する場合がある 。 と りわけ、 遠フ匸体のみを添加し /こ場 A
α 光を照射すれば、 複合色素は積
極的に電子を放出しょう と して電子を失った状態になり 、 還 元体から電子を奪って、 還元体は酸化体へと変化し、 電解質 中においては、 還元体と酸化体が両方存在する状態になる。 そして、 その濃度比は、 通常、 上述のような還元体成分が多 い好ましい範囲となる。
電解質の濃度は、 電解質の化学構造と電解質を溶かす溶媒 の種類に依存するため、 前述のような電解質は、 有機アンモ ニゥム塩化に代表される有機塩化反応を施したり 、 溶媒との 親和性が高い官能基を結合した り して用いられる ことが好ま しい。
電解質は、 これまで述べてきたよう に、 有機溶媒に溶解し た液体として用い られる こ とが多いが、 電解質の漏れを防止 する ことを主たる 目的と して、 電解質を有機溶媒に溶解した 液体をポリ マ一マ ト リ ックスに含浸した、 いわゆるゲル電解 質と して用いた り、 溶融塩状態で用いたりする こ とも可能で ある。 このようなゲル電解質のポリマーマ ト リ ックスは、 酸 化還元対を含む有機溶媒の中で重合されてもよいし、 予めシ ー ト状に成型されたものであってもよい。 シー ト状に成型さ れたものと しては、 リチウムイ オン電池、 コ ンデンサ一等の セパレー夕一、 血液分離膜、 加湿膜と して使用されるポ リオ レフィ ン系ゃセルロース系の微多孔膜が好ましく用.い られる。 このような微多孔膜を用いる場合は、 その厚みは薄い方が好 まし く 、 通常、 2 mから 2 0 mの厚みのものが用い られ
る。 膜中の空孔は、 酸化還元対の拡散効率の観点から多いほ どよく 、 膜強度との関係で好ましい空孔率 (膜全体に対する 空孔の体積分率) が決定されるが、 通常、 3 0 〜 9 0 %、 好 ましく は 5 0 〜 9 '0 %のものが使用される。
さ らに、 有機や無機の固体電解質 ( p型半導体) も用いる ことが可能であ り、 ホール輸送能力をもつ有機ポリマ一、 C u I 、. C u S C N、 N i 0等の p型半導体などが例示できる。 本発明の光電変換素子の製造方法及び本発明の色素増感型 太陽電池の製造法について説明する。 製造方法については特 に限定はなく、 公知の方法を用いる ことができる。
以下にその代表例を示す。 まず、 n型半導体の微粒子を含 む分散液を作製する工程、 該分散液を導電性支持体上に塗布 する塗布工程、 それに引き続く焼結工程を経て、 導電性支持 体上に半導体膜を形成させ、 さ らに複合色素を含む光増感剤 を該半導体膜内に保持 (担持) させる吸着工程の順によって 光電変換素子を製造し、 電解質を含む層を対向電極 (対極) に挟み込み Zまたは対向電極を設置後に電解質を注入し、 所 望に応じ、 電解質成分の漏れがないよう に封止する。
本発明において、 n型半導体の微粒子を含む分散液の媒体 は、 室温下において液状を保持できれば制限はなく、 例えば、 水、 エタノ ール、 メタ ノール、 プロノ ノール、 ブ夕ノール、 イ ソプロ ピルアルコール等のアルコール系有機溶媒、 ァセ ト ン、 ァセ トニ ト リ ル、 プロ ピオ二 ト リル、 ジメチルスリレフォ
ヽ❖
キシ ド 、 ンメチルフオルムァ ^ ド等の親水性有機溶媒、 ジク
□□メ夕 ン 、 ク ロ口ホルム、 四塩化炭素、 酢酸ェチル、 ジェ チルェ テル、 テ トラヒ ドロフラン、 トルエン等の疎水性有 機溶媒 、 れらの混合物等が挙げられる。
n型半導体微粒子の分散性を高めた り、 粘度を調整する 目 的で、 ァセチルアセ ト ン等の有機物バイ ンダー 、 金属過酸化 物 (例えば 、 過酸化チタン、 過酸化スズ、 過酸化ニオブ等) 、 金属ァル キシ ド等の無機物パイ ンダ一、 硝酸 、 硫酸等の無 機物、 ポ Uエチレングリ コール、 ポリ プロ ピレングリ コール、 セル口 ―スおよびその変性体等の高分子化合物 、 ノニオン系、 ァニォン系 、 力チ才ン糸、 シリ 3 —ン系等の各 界面活性剤 類、 キレ一 ト補助剤類を添加してもよい。 また 、 所望に応じ て酸や塩基を添加する ことによつて、 n型半導体微粒子の分 散性を向上する ことができる。
分散液の固形分質量濃度には限定は無く 、 塗布のしゃすさ、 乾燥の速さ等によって適宜選択されるが、 好ま し く は 1 0〜 5 0 %、 よ り好ましく は 1 5〜 4 0 %である。
分散液を作製する際の混合条件は限定されないが、 よ り微 分散させる ことを目的と して、 ペイ ン トシェーカー、 ポール ミル、 ホモジナイザー等の混合攪拌機、 超音波ホモジナイザ 一等を使用できる。 分散される粒子を予め乳鉢等に.よって十 分に粉砕しておく こ とも有効な手段である。
半導体微粒子を含む分散液を導電性支持体上に塗布する方
法に限定はなく 、 導電性支持体上に半導体膜を形成できれば よい。 例えば、 スク リーン印刷法 、 スピンコ一夕一法 、 ディ ップコ一ター法、 ドクターブレ ド法、 ィヤーバ一による 塗布法等が挙げられる。 塗布後は 、 必要であれば室温にて乾 燥させる工程を施してもよい。 布作業を数回に分けて重ね 塗りする場合は、 一回の塗布ごとに上記の乾燥ェ程を行う こ とが好ましい。 下記の焼結工程のみを行う ことによ り 、 上記 の乾燥工程をかねてもよい。
塗布後の焼結温度は、 用いる半導体の種類、 必要な焼結程 度、 用い られる導電性支持体の耐熱性等によって異なり 、 目 的に応じて適宜選択される。 一般には、 焼結温度が高い方が 短時間で粒子同士を接合する ことができ 、 粒子間の り高い 導電性が得られやすいため好ましいが、 物質によつては結晶 相転移を起こ して光電変換性能を落とす 合がある。
導電性支持体の種類も焼結温度を決定するにあたり重要で ある。 すなわち、 導電性支持体は 、 透明性基板と透明 から構成され、 それぞれに耐熱 曰
輒度がある 。 例えば、 透明性 基板にポリ マーフィ ルム等の融点や軟化ハ占、、の低い有機物を用 い、 透明導電膜に I T 0を用いた時は、 ポリ マ一フイ リレムの 耐熱温度よ り低い焼結温度とすればよく 、 好ま しく は 2 5 0 °C以下、 よ り好ま しく は 2 0 0 °C以下である。 一方、 透明 性基板にガラスを用い、 透明導電膜に F T 0を用いた時は、 ガラスの耐熱温度よ り低い焼結温度とする こ とが必要で、 好
まし く は 6 0 0 °C以下である。 焼結時間は、 好まし く は 1 0 分以上 1 時間以下、 よ り好まし く は 2 0 分以上 1 時間以下で ある。
焼結時の雰囲気ガスに関しては特に限定は無く 、 百的に応 じて適宜選択される。 具体的には、 窒素、 ァルゴン等の不活 性ガス雰囲気、 水素に代表される還元雰囲気 、 窒素と酸素の 混合ガス雰囲気 、 人 5¾、 灰酸刀ス、 酸素等を使用でさる
以上の条件で形成された焼結後の半導体膜の厚さは 、 好ま しく は 0 . 5 β m以上 5 0 m以下、 よ り好ま し く は 1 . 0
^ m以上 3 0 m以下である。 膜の厚さが 0 . 5 n m未満で は、 以下に示す光増感剤を充分に吸着させる こ とができず、 エネルギー変換効率を高める こ とはできない場合がめる 方、 厚みが 5 0 mを越える と 、 半導体膜その も のの機械的 強度が低下し、 導電性支持体か ら剥がれやすく なる と同時に 光透過性が低下し 、 光増感剤まで十分な光が到達しなく なる 不具合が生じる場合がある。 また、 半導体腠内の電子移動経 路が長く な り 、 内部抵抗が増加しエネルギー変換効 が低下 する恐れがある。
次に、 複合色素を含む吸光性物質を半導体膜内に保持 (担 持) させる工程について説明する。 先ず、 複合色素を溶解す る溶媒を選択する。 溶媒は、 色素の溶解特性によつ.て選択さ れるが、 具体的には、 メ タ ノ一ル、 ェ夕 ノ 一ル、 プロパノ ー ル、 ブ夕 ノールといっ た各種アルコール類、 アセ ト ン、 メチ
ルェチルケ トンといった各種ケ トノ 、 酢酸ェチル、 酢酸ブ チルといつた各種エステル類、 スルフォ ラン テ 卜ラヒ ド α フラ ン ジメチルスルフォキシ ド 、 ジメチルフォルムァ S ド などや れらの混合溶媒などが例示できる のような溶媒 に溶解された複合色素を含む光増感剤を溶解した溶液に η 型半導体が形成された陰極前駆体を接触させて 複合色素は n型半導体に担持され、 電極 (陰極) が形成される のェ 程は 常温下、 数時間から数日間かけて行う とも可能であ るが 選択された溶媒の還流温度または 5 0 c以上その還 流温度禾王度の温度まで加熱して行ラ ことが好ましい。 この うにする こ とによって、 複合色素の溶解度が高 < なり、 よ り 多く の複口 ti を η型半導体に担持する ことが可能となるば かり か 複合色素が η型半導体との結合基を有する場合は、 それらの結合がよ り強固となる場合がある また 、 複合色素 を n型半導体に担持するのに要する時間も 1 0分から数時間 とい た短い時間となり、 工業生産性の観点からも好ま しい 以上のよう に 、 本発明の複合色素と η型半導体からなる光 電変換素子では 、 結合された複数の成分色素間の電子移動が 高い確率で起こるため、 広い波長範囲の光から 子を取 り 出 せる とが、 以下詳述する実施例 1 と比較例 1 実施例 2 と 比較例 2 の結果をそれぞれ対比する ことによつて分かる 。 更 には 低い準位の対極で電子を受け取つた電解質から電子を 受け取る こ とが可能となるため高い電圧の色 增感型太 電
池が得られる ことが以下詳述する実施例 3 〜 6 と比較例 3 及 び 4 との比較によって分かる。 また、 実施例 7及び 8 と参考 例 1 との比較によって分かるよう に、 本発明の光電変換素子 からなる色素増感型太陽電池では、 二光子吸収システムが機 能する。 このような段階的な多光子吸収システムは強い光に 対してよ り 良好に作動するため、 強い光で情報を書込み、 弱 い光で情報を読み出す光メモリ のよ うな用途に用いると、 書 き込まれた情報の劣化が少なく なる。 更には、 光強度に対す る電子発生特性が一光子吸収系とは異なるので、 その特性を 活かした光スイ ッチングや光センサーの用途にも使用可能と なる。 .
発明を実施するための最良の形態
以下に、 本発明を実施例 比較例及ぴ参考例によつ 的に説明するが、 本発明は れらに限定されない。
本発明で用い られる測定法は以下のとおりである。
( 1 ) 紫外一可視分光法 ( U V - V i s )
測定は 曰本国 (株) 作所製 U V一 2 5 0 0 P Cを 用い、 3 0 0 n m 8 0 0 n mの範囲をス リ ッ 卜幅 5 . 0 n m スキャ ンス ピー ド =高速の条件で行う 。 実施 1 並び に比較例 1 の色素吸着量測定のための 外一可視分光法 ( U
V - V i s ) の測定は、 曰本 H (株) 津製作所製 M P C 2
2 0 0 を用い 3 0 0 η m 8 0 0 n mの範囲をス U V ト幅
= 5 . 0 n m 、 スキャンスピ ―ド =高速の条件で行 Ό
( 2 ) 赤外分光法 ( F T一 I R )
測定は、 実施例 1 比較例 1 、 実施例 4並びに実施例 5 おいては、 米国パーキンェルマ一社製 S Y S T E M 2 0 0
C O M P R I S I Nを用い K B r 錠剤法を用いて 4 0 4 0 0 0 c m— 1 の範囲を R e s o 1 u t i o n = 4 c m 一 1 として行う。 その他の測定は、 米国 S p e c t r a - T e c h社製 I R s を用い、 顕微透過法を用いて、 .4 0 0 4 0 0 0 c m— 1 の範囲を R e s o l u t i o n = 4 c m ~ 1 と して行う
液体ク ロマ ト グラフィ ー ( L C ) の測定は、 籴国 A g i 1 e n t 社製 l l O O s e r i e s を用い、 日本国 G L S c i e n c e s I n c . l n e r t s i 1 O D S — 3 ( 2 . 1 mm I . D . I 5 0 mm) のカ ラムを用い、 流速 = 0 . 2 m L Zm i nで移動相と して、 S o l A = W a t e r ( 0 . 1質量%の ト リ フ ロォ口酢酸 ( T F A) を添加) 、 S o l B = C H 3 C N ( 0 . 1 質量%の T F Aを添加) を用 い、 サンプル注入量 3 で行う。 検出には、 2 5 4 n mお よび 4 0 0 n m光の光吸収を用いる。
( 3 ) 質量分析法 ( M S ) '
測定は、 2種の測定 (エレク ト ロスプレーイオン化法質量 分析及びマ ト リ ッ クス支援レーザ一脱離イ オン化法飛行時間 型質量分析) を測定検体の性質等に応じて用いる。
エレク ト ロスプレ一イ オン化法質量分析 ( E S I — M S ) は、 米国 T h e r m o ci u e s t 社製 L C Qを用い、 A P C I でイオン化して P 0 s i t i v e モー ドで測定幅 m / z (質量 電荷) = 5 0 〜 2 0 0 0 の条件で行う 。 エレク ト 口 スプレーイ オン化法 ( E S I ) には、 米国 A g i 1 e n t 社 製 l l O O s e r i e s を用いる。
マ ト リ ッ クス支援レーザ一脱離イ オン化法飛行時間型質量 分析 ( M A L D I — T O F — M S ) は、 日 本国 (株) 島津製 作所製 A X I M A C F R p 1 u s を用 い、 検出器を リ ニ
ァモ一 Fに設定し、 正ィ才ン検出で 算回数 2 0 0 0 回とし て行う ィオン化は 3 3 7 n mの レ ザ一を検体を含浸 させたマ h リ ックスに照射して行う
( 4 ) I C P発光分析 ( I C P ― A E S )
測定は 、 まず、 ィタ リ ァ国マィルス h ン社製 E T H〇 S
P L U S を用い、 試料を 7 0 0 旦
倍里の硝酸と と にマイク 口 ゥエーブで分解し 、 純水で希釈したのち 、 サイ ク 口ンチャ ン パーを装着したフランス ffl J 0 B I N Y V〇 N社 J Y 1
3 8 を用い 、 ブラズマガス ( P L 1 ) 1 3 ( L / m i n ) シースガス ( G 1 ) = 0 3 ( L / m i n ) . 、 ネブラィザー ガス圧 = 3 - 0 ( b a r ) 、 ネブラィザ一ガス 0 2 ( L
/ m i n ) 、 同周波パヮ = 1 4 ( k W ) の条件で行う。
( 5 ) 蛍光 X線分光分析
測定は 、 ォランダ国フィ U ッブスァナリ ティ カル社製 P W
2 4 0 0 を用い 、 口ジクムの管球を用いて行う 。
( 6 ) サイ ク U ックポルタンメ 卜 リ
測定は、 英国ソ一ラ 卜 □ ン社製 S 0 1 a r t r 0 n 1 2 8
0 Z を用い、 電解セルとして米国バイオアナリ ティ.カリレシス テムズ社 ( B A S社) 製ガラスセル V C一 3、 作用極と して 同社製 0 . 0 7 0 6 c m " 、 3 m m φ ) のダラ ッ シュカーホ
または白金、 対極と して、 白金線、 参照電極と して、 A g A g +の米国バイオアナリ ティ カルシステムズ社 ( B A S 社) 製 R E 一 5 を用いて行う。
( 7 ) 色素増感型太陽電池の性能
色素増咸型太陽電池の性能は以下のよ う に測定する。
挟持型太陽電池を用いる場合は次のよう にする。 ソーラー シミ ュ レ一夕一 (日本国ヮコム電創 (株) 製) によって、 約
1 0 0 m W / c m 2である擬似太陽光を挟持型太陽電池に照 射し、 I ― V—カーブ 卜 レーサー (日本国英弘精機 (株) 製) に つて、 短絡電流値 ( I s c ) を求める。 電池測定面 禾貝は 1 c m 2である。
浸漬型太陽電池を用いる場合は、 3極式光電気化学測定ま たは 2極式光電気化学測定を行う。 3極式光電気化学測定は 次のよ Ό に行う。 まず、 1 0 0 m l ビ一カーに、 約 1 0 0 m
1 の電解質溶液を入れ、 その中に作用極と して光電変換素子 を含む 極を、 対極と してコイル状に した白金線を浸漬する こ とに 、 浸漬型太陽電池を構成する。 上記の ビーカ一に さ ら に 、 参照電極と して A g / A g +の米国バイ オアナリ テ ィ カルシステムズ社 ( B A S社) 製 R E— 5 を浸漬する。 英 国ソーラ 卜 ロ ン社製 S o 1 a r t r o n l 2 8 0 Z .を用 い、 電解質溶液を攒拌しながら、 3極式光電気化学測定を行う 。 光照射によつて発生する電流並びに電圧を測定する場合に用
いる光源は、 日本国 (株) 島 製作所 ノ、 Πゲンラ ンプ A T 一 1 0 0 H Gを用い、 同社製 P s - 1 5 0 U E 一 D C を用い て、 所望に応じて光量を制御しながら行 Ό 光源 (装置の作 用極端) と作用極の距離は、 約 6 c mである
2極式光電気化学測定は、 参照電極を用いず、 参照電極に 結合していた配線を対極に結口 して行 Ό しと以外は 3 極式電 気化学測定の場合と同様に行 実施例 1
( 1 ) 複合色素の合成
(第一吸光部位に相当する成分色 m駆体 A (成分色素 A ) の合成)
塩化ルテニウム,' n水和物 (日本国和光純薬ェ (株) 製 試薬) 0 . 5 2 3 g とジメチルフォルムァミ ド 5 0 m 1 を三 口 フラスコ に入れ、 素雰囲気下 、 室温で 1 5 分間攪拌した。 次いで、 ジメチルフ ォルムアミ ド 5 0 m 1 と 4, 4 , — ジカ ルポキシー 2 , 2 ' ―ビピリ ジン (日本 ffl東京化成工業
(株) 製試藥) 0 . 9 5 2 g を加え 、 遮光しながら窒素雰囲 気下 3 時間加熱還流した。 放冷後 、 保 ¾粒子径 5 mの濾紙 を用いて濾過し、 得られる濾液を □一夕 リ一ェバポレー夕一 を用いて乾燥固化して濃紫色の固体を得ノし
この固体をジイ ソプ口 ピルェ一テル Zァセ 卜 ン混合溶媒
(ジイ ソプロ ピルェ一テル アセ 1、ン体積比 = 4 1 ) で洗
浄し、 更に、 2 N塩酸水溶液を用いて遮光、 室温下 4時間攪 拌した。 そして 、 保有粒子径 1 β mの濾紙を用いて吸引濾過 してこの固体を分取し、 成分色素 Aを得た 色素 Aを赤外分 光分析法、 外一可視分光分析法、 および蛍光 X線分析法を 用いて分析したと ころ、 成分色素 Aは、 シスージクロ口一 ビ ス ( 2 , 2 ―ビピリ ジル ― 4 , 4 ' -ジ力ルポキシレ一 卜) ルテニゥム ( I I ) からなる錯体色素である ことが確認 された。
(成分色素 Aに結合する第 ―吸光部位に相当する成分色素
(成分色素 B ) の合成)
テ ト ラク Π □白金 ( I I ) 酸カ リ ウム塩 ' (日本国和光純薬 工業 (株) 製試薬) 1 . 0 g を精製水 5 m 1 に溶解し、 ジメ チルスルフォキシ ド 0 . 5 5 m l を加えて 、 混ぜ合わせた後、 室温下 1 時間静置したところ 、 淡黄色の 晶様析出物が得ら れた。 この結晶様析出物を保有粒子径 5 mの濾紙を用いて 濾取し、 ェ夕ノ一ルで洗浄 、 風乾した。
風乾後の 晶様析出物を 、 別に、 1 , 1 0 —フエナン ト 口 リ ン一 5 , 6 ―ジオン (米国シグマーァル リ ツチ社製試 薬) 0 . 3 0 1 g をェタノ ル 6 O m l に溶解した液に 0 .
6 0 2 g加え 、 大気雰囲気下 3 時間加熱還流した。 冷却後保 有粒子径 5 mの濾紙を用いて吸引濾過して分取し橙黄色粉 末を得た。 の粉末を赤外分光分析法、 液体ク ロマ 卜グラム、 紫外 -可視分光分析法を用いて分析したと ろ、 この粉末は、
ジク ロ ロ ー ( 1 , 1 0 —フエナン 卜 U リ ン一 5 , 6 ―ンォ ン) 白金 ( I I ) か らなる こ とが確口 ' された。
次いで、 この粉末 0 . 3 0 3 g をンメチルフォルムアミ ド
8 0 m 1 に懸濁 し、 イ ソチォシアン 力 リ ゥム ( 曰本国和光 純薬工業 (株) 製試薬) 0 . 1 2 5 を精製水 2 0 m 1 に溶 解した液を加えて、 大気雰囲気下 2時間加熱還流した 。 放冷 後、 保有粒子径 5 mの濾紙を用いて濾過し、 濾液を口.一夕 リ 一エバポレ一夕一を用いて乾燥固化して黒緑色の 体を得 た。 この固体をジイ ソプロ ピルエーテル Zァセ ト ンの 4 : 1
(体積比) 混合溶媒で洗浄し 、 乾燥して、 成分色素 B を得た 成分色素 B を赤外分光分析法 、 液体ク Dマ 卜グラム よび蛍 光 X線分析法を用いて分析したと ころ 、 し の粉末は 、 ジィ ソ チオシアナ ト — ( 1 , 1 0 —フエナン 卜 口 リ ン— 5 6 — ジ オン) 白金 ( I I ) か らなる錯体色 であ る こ とが確認され た。
(複合色素 Z の合成)
成分色素 B O . 1 0 0 g をジメチルフ才ルムァ 3 0 m
1 に溶解し、 そ こへ、 成分色素 A 0 1 3 5 g をメ夕 ノ ール
7 0 m 1 に溶解した液を、 攪拌しながら室温下滴下した。 次 に、 6 フ ッ化リ ンのカ リ ウム塩 (日本国東京化成ェ業 (株) 製試薬) 0 . 0 7 0 g を精製水 1 0 m 1 に溶解した'液を加え
1 0 0 で 5 時間加熱揽拌した。 放冷後、 保有粒子径 5 ni の濾紙を用 いて濃茶褐色の固体を濾取し、 成分色一素 A 、 B の
溶媒であ ジメチルフオルムァミ ド とメタノ—ルを用いて洗 浄し、 乾燥して 、 化学的に結合された濃茶褐色の複合色素 Z を得た
この複合色素 Z を赤外分光分析法 ( I R ) 、 紫外一可視分 光分析法 ( U V ― V i s ) 、 液体ク ロマ トグラム ( L C ) 、 エレク h 口スプレ一イオン化法を用いた質 分析法 ( E S I
- M S ) 、 I C P発光分析法 ( I C P - A E S ) およびマ ト リ ッ クス支援レ ―ザ一脱離ィォン化法飛行時間型質量分析
( M A L D I ― T 0 F - M S ) を用いて分析したところ、 液 体ク ロマ 卜グラム ( L C ) よ り 、 成分色素 A 、 成分色素 Bか らの反応が進行したことが確認され、 I Rよ り 2 , 2 ' — ビ ピリ ジル一 4 J 4 ージカルポキシレ一 卜 、 1 , 1 0 _フエ ナン ト 口 リ ン ― 5 6 —ジオンの変性体およびイソチオシァ ナ ト基の存在が確き され、 I C P - A E S によ りルテニウム 白金の存在が確口' され、 E S I 一 M S並びに 、 0! _シァノ 一
4 ー ヒ ド、口キシケィ皮酸をマ ト リ ッ クスと して測定した M A
L D I ― T O F ― M S によ り、 目的化合物の分子量を有する 分子が存在する とが確認された。 M A L D I - T 0 F - M
S の測定結果を図 1 0 に示す。 測定時に目的分子量の化合物 がイ オン化などして分解したこ とを示す構成物のピーク及び それにマ ト リ ックスが付加したピーク、 目的分子量物を構成 元素の同位の存在体に由来する 目的分子量付近のピーク と共 に、 1 1 1 4 m z に目的分子量の化合物に対応する ピーク
が存在する こ とがわかる。 なお、 図 1 0 においては、 図 1 0 に示した範囲の測定の結果、 最も高いピークの強度を示した 点を 1 0 0 % と し、 他のピークの強度をそのピークの強度と の比 ( 1 0 0分率) で表し、 その比率を 「ピークの相対強 度」 と称して縦軸に示した。 さ らに、 U V— v i s を用いて、 紫外一可視スペク トルを測定し、 成分色素 A、 成分色素 Bの スぺク トルとの比較によって成分色素 Aと成分色素 B とが結 合した複核錯体からなる複合色素になったことによるスぺク トル変化を確認する とともに、 それぞれに由来する吸収が異 なる波長領域に観測される ことを確認した。 これらの結果よ り、 この粉末は、 成分色素 Aから塩素イオンが脱離し、 換わ つて 1 , 1 0 —フエナン ト 口 リ ン一 5 , 6 ージオンのジオン 部位が、 主としてォキソァニオン (〇—) に変化して配位し たルテニウムと白金を有する複核錯体である ことが確認され た。 この複核錯体の代表構造を図 1 1 に示す。 図 1 1 に示し た通り 、 この複核錯体は、' 結合性官能基と して部分的にカ リ ゥム塩化されたカルボキシル基を有する ビピリ ジル環 (上記 式 ( 1 ) の L 。に対応) 、 それに配位したルテニウム (上記 式 ( 1 ) の M。に対応) 、 そのルテニウムに非複素環セグメ ン トであるジオン部が、 主としてォキソァニオン (〇 - ) に 変化して配位した橋かけ配位子である 1 , 1 0 —フ .ェナン ト 口 リ ン— 5 , 6 —ジオンの変性体 (上記式 ( 1 ) の B L に対 応) 、 その複素環セグメ ン トに配位した白金 (上記式 ( 1 )
の Mに対応) および白金に配位したァ二オン性配位子である イ ソチォシァナ ト基 (上記式 ( 1 ) の Xに対応) か ら構成さ れ上記式 ( 1 ) で示した構造であ り 錯体色素である成分色 素 A と成分色素 B とが化学的に結 した こ とが確認され、 複 数の成分色素が化学的に結合されている複合色素である こ と が確認された。
この複合色素 Z (上記成分色素 Aと成分色素 Bか らなる複 核錯体) 0 . 0 0 3 5 g をジメチルフオリレムアミ ド 2 5 m 1 に溶角军し 孔径 1 mの濾紙で濾過し、 支持電解質と して 6 フ ッ化リ ンのテ ト ラ 一 t 一ブチルァンモニゥム塩 0 . 9 7 5 g を用い 窒素ガス置換を行 て揷引速度 2 0 m V y s e c の条件でグラ ッ シュ力一ボン 極を作用極と して行っ たサイ ク リ ッ クポルタ ンメ ト リ 測定の結果 、 ルテニゥム由来の酸化 波が 0 . 7 5 V (対参照電極 位) 、 白金の酸化波が 1 . 0
V (対参 電極準位) に観測され、 第一吸光部位に相当する 成分色素 Aに由来する部位が い励起準位を有する こ とが確 認された なお、 この帰属は 同様にして行つた成分色素 A 成分色素 B のサイ ク リ ッ クポル夕 ンメ 卜 リ 測定結果と照 ら し 合わせて行つた。 以上よ り 、 の複合色素は異なる励起準位 を有する とが確認された。
( 2 ) 光 変換素子の作製
( n型半導体分散液の作製)
結晶性酸化チタ ン微粒子 (日本国 日本ァェ口 ジル (株) 製
P - 2 5 ) 6 g と、 水 1 2 0 g と、 硝酸 1 . 4 9 g をまぜた 後、 8 0 °Cで約 8 時間の加熱処理を施した。 放冷後、 エバポ レーターによ り 水分を留去して粉末状にし、 乳鉢でよ く粉砕 した。 上記の方法によつ て得られた結晶性酸化チタ ン微粒子 1 g と、 水 3 . 6 8 g を超音波ホモジナイザ一を用いて約 1 0分間分散した。 分散後 、 焼結助剤と しての 1 . 7 質量%過 酸化チタ ン水溶液 ( P T A 、 日本国田中転写 (株) 製) 1 g と、 T r i t o n — X 1 0 0 (米国シダマ—アル ド リ ッチ社 製、 界面活性剤) 0 0 6 g をゆつ く り と加えて撹拌し、 n 型半導体分散液を作製した
(光電変換素子の作製 )
フ ッ素を ドープした酸化スズ ( F T 0 : シー ト抵抗約 8 Ω /□ ) 層がガラス基板に 置された透明導電性ガラス (日本 国 日本板硝子 (株) ) の導電面側にワイヤーパ一 (ワイ ヤ 一巻線部 3 0 0 mノ m 、 心径 1 2 . 5 m / m、 巻線径 0 . 2 O m / m ) を用 いて上記の分散液を塗^ 1Ϊした。 塗布後、 室温 にて約 1 時間風乾した この透明導電性ガラス上に設けた n 型半導体か らなる膜 (半 体膜) を電気炉に入れ 5 0 0 °Cで 約 3 0 分間焼結した 焼結後の膜厚は約 1 . 7 mであっ た。
次に、 複合色素 Z を全溶解時に 3 . 7 X 1 0 — 4 m 0 1 / ヽ
1 の濃度となる量、 ンメチルスルフ 才キシ ドに投入し、 部分 的に溶解した状態で約 4 5 分間、 上記の半導体膜と共に加熱 還流し、 半導体膜内に上記複合色素を担持させた。 このよ う
にして、 光電変換素子を得た。 この光電変換素子は、 該光電 変換素子と透明導電性支持体とからなる電極 (光電変換電 極) の形で得られた。 還流後、 電極をァセ トニ ト リ ルで軽く 洗った。 上記色素の担持量は 0 . 9 0 X 1 0 _ 8 m o l / c m 2であった。 なお、 複合色素 Zの溶媒であるジメチルスル フォキシ ド、で洗浄しても このよ う にして担持された色素は脱 離せず また、 n型半導体と と もに測定した I Rの結果か ら 複合色素 Zが n型半導体に化学結合している こ とが確認され o
( 3 ) 色素増感型太陽電池の作製と評価
対極には 、 ス ライ ドガラス上にスパッ夕法によ り膜厚約 0
1 m白金膜を作製し、 白金電極を準備した。 電解液は、 メ 卜キシプ □ピオ二 ト リ ルを溶媒と し、 電解質と してヨ ウ素
(日本国和光純薬工業 (株) 製試薬) を 0 . 0 5 m o l Z l の濃度で ヨ ウ化リ チウム (曰本国和光純薬工業 (株) 製 試薬) を 0 . 1 m 0 1 1 の濃度で、 ジメチルプロ ピルイ ミ ダゾリゥムアイ オダイ ド (スイス国 S O L A R O N I X社製
D M P I I ) 0 . 6 m 0 1 / 1 の濃度でそれぞれ溶解し、 添 加剤と して t e r t 一ブチルピリ ジン (日本国東京化成工業
(株) 製試薬) 0 . 5 m o 1 / 1 の濃度で加えて調製した。 上 pDの光電変換電極に この電解液を滴下し、 対極の白金 面と光 it変換素子の間に電解液を狹持できるよ う に して色素 增感型太陽電池 (狭持型) を作製した。
(光電変換特性の評価)
作製した色素増感型太陽電池を計測器に接続し、 光の強度 が約 1 0 0 m W / c m 2である擬似太陽光を照射して光電変 換特性を測定した。 その結果、 色素の吸着量あたり の電流は 2. 2 X 1 0 8 mAZm o l であ り、 U Vカ ッ トフィ ルター
(日本国 (株) ケンコ一製 L 4 1 ス パープロワイ ド) を用 いた場合の色素の吸着量あたり の電流は 1 . 3 X 1 0 8 m A
/ m o 1 であつた。 これらのデ一夕を下記の比較例 1 のデー 夕と比較したと ころ、 成分色素 Bに由来する部位から約 3
0 %の電流がと り 出されている とが確認され、 複合色素 Z を構成する 2つの吸光部位 (複核 ) 間の電子移動が起こって いる ことが確認された。 実施例 2
( 1 ) 成分色素の合成
(橋かけ配位子の合成)
1 , 1 0 —フェナン ト 口 リ ン ― 5 6 —ジオン (米国シグ
ヽ ·^
マ—アル ド U ッチ社製試薬) 1 g とンチォォキサミ ド (日本 国東京化成工業 (株) 製試薬) 0 6 9 1 g とをエタ ノール
4 0 m l 中に加え、 大気雰囲気下 1 3時間加熱還流した。 冷 却後保有粒子径 1 mの濾紙を用いて吸引濾過して分取し粉 末を得た 。 未反応物を除去するために 、 得られた粉末をク ロ 口ホルム 1 0 0 m 1 中室温下で攪拌洗净し、 再度保有粒子径
1 mの濾紙を用いて吸引濾過して分取し、 5 , 6 一ジヒ ド 口キシー 1 , 1 0 —フエナン 卜 口 リ ンの粉末 0 . 7 5 9 g を 得た。
(複核錯体前駆体 Cの合成 (第一吸光部位への橋かけ配位子 の結合) ) 第一吸光部位の前駆体として用いる (シスージク ロロー ビ ス ( 2 , 2 ' — ビビリ ジル一 4 , 4 ' —ジカルポン酸) ) ル テニゥム ( I I ) (日本 m小島化学薬品 (株) 製 ) 0 . 1 1
1 g と上記にて合成した 5 , 6 ージヒ ドロキシー 1 , 1 0 - フエナン ト口 リ ン 0 . 0 4 g と水酸化カ リ ウム (曰本国和光 純薬工業 (株) 製試薬) 0 . 0 5 5 gをジメチルフオルムァ ミ ド 1 4 m 1 と精製水 7 m 1 の混合溶媒中に加え 、 窒素雰囲 気下 3時間加熱還流した 放冷後、 ロータ リ一ェ ポレー夕
—を用いて乾燥固化して茶色の固体を得た。 この固体を精製水 8 m 1 に溶解させた後、 0 . 1 N塩酸水 溶液 3 m l を加える ことで濃茶色粉末を得た。 この粉末を遠 心分離装置を用いて、 1 2 0 0 0 r / mで 5分間の遠心操作 で分取した。 分取した粉末をェタ ノ一ル 2 0 m 1 で洗浄し、 真空下で乾燥させて粉末を取り 出した。 この粉末を赤外分光 分析法、 紫外 -可視分光分析法 、 および α —シァノ 一 4 ー ヒ ドロキシゲイ皮酸をマ ト U ックスと したマ 卜 リ ツグス支援レ 一ザ一脱離イオン化飛行時間型質量分析法を用いて分析した
,
と ころ、 (ビス ( 2 , 2 一 ビピリ ジルー 4 , 4 ージカル
ボン酸 ) 一 ( 1 , 1 0 -フ Xナン 卜ロ リ ン一 5 6—ジォレ 一卜) ) ルテニゥム ( I I で 、 一部カルボン酸部位が力 リ ゥム塩化されたものからなる複核錯体前駆体 Cである こ とが 確認された M A L D I 一 T o F— M S の測定結果を図 1 2 に示す 。 測定時に目的分子 の化合物がィォン化などして分 解したこ とを示す構成物のピ一ク及びそれにマ ト リ ックスが 付加したピーク、 目的分子量物を構成元素の同位の存在体に 由来する 目的分子量付近のピークと共に、 8 0 l m Z z に目 的分子 の化合物に対応する ピ —クが存在する こ とがわかる。 なあ、 図 1 2 においては、 図 1 2 に示した 囲の測定の結果、 最も高いピークの強度を示した点を 1 0 0 % とし、 他のピー クの強 をそのピークの強度との比 ( 1 0 0分率) で表し、 その比率をピークの 「相対強 1 」 と称して縦軸に示した。 ネ¾ 核錯体刖駆体 C の代表構造を図 1 3 に示す 図 1 3 に示した 通り 、 複核錯体前駆体 Cは、 結合性官能基と して部分的に力 リ ウム塩化された力ルポキシル基を有する ビピリ ジル環 (上 記式 ( 1 ) の L 。に対応). 、 それに配位したルテニウム (上 記式 ( 1 ) の M。に対応) 、 そのルテニウムに非複素環セグ メ ン トで配位した複素環セグメ ン トを有する橋かけ配位子
(上記式 ( 1 ) の B Lに対応) を有する構造である こ とが分 かる。
(複合色素 Yの合成)
複核錯体前駆体 C 0 . 0 5 g を窒素バブリ ングを施したェ
タノ一ル 1 0 0 m 1 と精製水 1 0 0 m 1 の混合溶媒 2 0 0 m
1 中で加熱下攪拌した。 別に、 第二吸光部位の m駆体である
(シス ―ジク ロ P 一 ビス ( 2, 2 , 一 ビピリ ンル) ) ルテニ ゥム ( I I ) - 2 水和物 (米国シグマ一アル U ッチ社製試 薬) 0 0 2 9 g を窒素バブリ ングを施したェ夕 ノール 1 0
0 m 1 と精製水 Γ 0 0 m 1 の混合溶媒 2 0 0 m 1 中で室温下 攪拌した後、 両液を混合した。 この混合液を 素雰囲気下 1 時間加熱還流し 、 放冷後、 保有粒子径 5 μ. mの濾紙を用いて ろ過した 。 ろ液を口一タ リ 一エバポレ一ターを用いて乾燥固 化して茶色粉末を得た。 この茶色粉末を赤外分光分析法 ( I R ) 、' 紫外一可視分光 分析法 ( U V - V i s ) 、 マ 卜 リ ッ クス支援レ一ザ一脱離ィ オン化飛行時間型質量分析法 ( M A L D I 一 T 〇 F - M S ) およびを用 いて分析した。 I Rよ り 2 , 2 ' 一 ビピリ ジル一
,
4, 4 ー ジカルボン酸及びその力 リ ゥム塩 、 1 , 1 0 — フ
,
ェナン 口 リ ン ― 5 , 6 —ジォレー 卜 、 2 , 2 ビピ リ ジ ルの存在と、 ルテ二ゥムと 1 , 1 0 — フエナン 卜 □ リ ン一 5
6 -ジ才 レ一 卜 のジォレ一 ト部との結合が確 され 、 U V —
V i s を用いて 、 紫外一可視スぺク トルを測定し、 複核錯体 前駆体 C と (シスージク ロ ロ ー ビス ( 2 , 2 - ビピ リ ジ ル) ) ルテニゥム ( I I ) · 2 水和物のスぺク 卜ルとの比較 によつて両者が結合して複核錯体色素 (複合色素) になつ た こ とによるスぺク トル変化を確認する と と ちに 、 それぞれに
由来する吸収が異なる波長領域に観測される こ とを確認した。 さ らに、 2 , 5 —ジヒ ドロキシ安息香酸をマ ト リ ックス と し て測定した M A L D I _ T〇 F — M S によ り 目的化合物の分 子量の分子が存在する ことが確認された。 M A L D I - T O F— M S の測定結果を図 1 4に示す。 測定時に目的分子量の 化合物がイオン化などして分解したことを示す構成物のピー ク及びそれにマ ト リ ックスが付加したピーク、 目的分子量物 を構成元素の同位の存在体に由来する 目的分子量付近のピ一 ク と共に、 1 2 1 4 m / z に目的分子旦里を有する化合物が存 在する こ とがわかる なお 、 図 1 4 においては 、 図 1 4 に示 した範囲の測定の結果 、 取も高いピ一クの強度を示した点、を
1 0 0 % と し、 他のピ一クの強度をそのピ一クの強度との比
( 1 0 0分率) で表し 、 その比率をピ一クの 「相対強度」 と 称して縦軸に示した これらの結果よ Ό 、 この粉末は、 (シ スージク ロ ロ ー ビス ( 2 , 2, 一ビピ U ンル) ) ルテニウム
( I I ) · 2 水和物から ¾素ィォンが脱離し、 換わって複核 銪体 m駆体 Cの 1 , 1 0一フエナン 卜 U ン一 5 , 6 —ンォ レー 卜のフエナン ト P リ ン部位が配位した 2つのルテニウム
,
を有する複核錯体 (ビス ( 2 , 2 ビピリ ジル— 4 , 4 ' ージカルボン酸) 一 ( 1, 1 0一フェナン 卜 □ リ ン一 5 , 6
—ンォレー ト) ) ルテニゥム ( I I ) ― (ビス ( 2. , 2 ' ― ビピリ ジル) ) ルテ一ゥム ( I I ) のク Dラィ ド塩 (力ルポ ン酸位は部分的に力 U ゥム塩化された状態 ) (複核錯体 (複
合色素) Y ) である ことが確認された。 この複核錯体の代表 構造を図 1 5 に示す。 図 1 5 に示した通り、 複合色素 Yは、 結合性官能基と して部分的に力 リ ゥム塩化されたカルポキシ ル基を有するビピリ ジル環 (上 d式 ( 1 ) の L。に対応) 、 それに配位したルテニウム (上 ( 1 ) の M。に対応) 、 そのルテニウムに非複素環セグメン hであるジォレー 卜部で 配位した橋かけ配位子である 1 1 0 一フエナン ト口 リ ン一
5 6 —ジォレー 卜 (上記式 ( 1 ) の B L に対応) 、 その複 素環セグメン トに配位レたルテニゥム (上記式 ( 1 ) の Mに 対応) およびルテニウムに配位した複素環であるビピリ ジル 環 (上記式 ( 1 ) の Lに対応) から構成される、 上記式
( 1 ) で表される構造であ 0 複数の成分色素が化学的に結 合されている複合色素である とが確 P 4 た。
この複核錯体 Υ 0 . 0 0 6 g をァセ トニ ト リル 1 0 m 1 に 溶解し、 支持電解質としてテ 卜 ラ一 n —ブチルアンモニゥム の過塩素酸塩 0 . 3 4 2 g を用い、 窒素ガス置換を行って挿 引速度 2 O m V / s e じ の条件で白金電極を作用極と して行 つたサイ ク リ ッ クボルタ ンメ 卜 リ測定の結果、 第一吸光部位 に相当する複核錯体前駆体 Cのルテ一ゥム由来の酸化波が 0
5 9 V (対参照電極準位) 9§ι二吸光部位に相当するシス— ジク ロ 口 一 ビス ( 2 2 ' ― ピピリ ンル) ) ルテニウム ( I
I ) · 2水和物が脱塩素して結合した側に由来する酸化波が
1 . 1 V (対参照電極準位) に観測され、 n型半導体側の部
位が高い励起準位を有する こ とが確認された。 なお、 この帰 属 ま、 同様にしてジメチルフオルムアミ ド中で行った (シス ージク ロ ロ ー ビス ( 2 2 ' ー ビピ リ ジル一 4 , 4 ' ー ジカ ルボン酸) ) ルテ二ゥム ( I I ) のサイ ク リ ッ クポルタ ンメ 卜 リ測定結果、 及び 同 にしてジメチルフオルムアミ ド並 びにァセ 卜ニ ト リ ル中で行つた、 別途合成した ( 1 , 1 0 — フエナン ト ロ リ ン一 5 6 ージオン) 一 (ビス ( 2 2 , ― ビピ リ ジル) ) ルテ ゥム ( I I ) のサイ ク リ ッ クポルタ ン メ 卜 リ測定結果と照 ら し合わせて行っ た。 以上よ り、 この複 合色素は異なる励起準位を有する こ とが確 。'cJ c れた。
( 2 ) 光電変換素子の作製 、 色素増感型太陽電池の作製と評 価
ワイヤ—バ—の巻線径を 1 . 0 m Z mに変更した以外は、 実施例 1 と同様にして n 型半導体分散液の作製並びに塗布、 乾燥、 焼結を行い、 透明導電性ガラス上に半導体膜を形成し た。 焼結後の膜厚は 約 8 mであつ 7こ。 複合色素 Z を複合 色素 Yに変更し 、 ェ夕 ノ ―ルに 3 . 0 X 1 0 - 4 m 0 1 Z 1 に溶解した以外は実施例 1 と同様にして色素増感型太陽電池
(狭持型) を作製した なお、 複合色素 Yの溶媒であるエタ ノールで洗浄しても のよ う に して担持された色素は脱離せ ず、 複合色素 Yが n型半導体に保持されている こ とが確認さ れた。 実施例 1 と同様に してこの色素增感型太陽電池の光電 変換特性を評価した と ろ 0 . 4 8 m A / c m 2の電流力 s
得られた。 このデ一夕を下記の比較例 2 のデータと比較した と ろ、 第二吸光部位に相当する η型半導体から遠い側に配 置されたシスーシク 口ロ ービス ( 2 2 ' ービピリ ンル) ) ルテニゥム ( I I ) - 2水和物に由来する部位からの電流が 取 Ό出されている ことが確認され 、 複核間の電子移動が起こ つている ことが確き Β心 ¾ Cれた。 実施例 3
( 1 ) 光電変換素子の作製
実施例 1 と同様にして η型半導体分散液を作製した 。 ヮィ ャ ―パ の巻線径を 1 . 0 m / mに変 した以外は実施例 1 と 1口 J様にして、 幅 2 . 5 c m 縦 5 c mの F T 0層がガラス 基板 V 又置された透明導電性ガラス (曰 IS曰本 ¾硝子
(株 ) 製 ) の導電面側に上記の分散液を塗布した。 塗布後 実施例 1 と同様にして 、 乾燥 焼結を行い、 次いで 実施例
2 と同様にして複核錯体 Yの吸 を行い 、 光電変換 極を作 製した。
( 2 解質溶液の調製並びに光 化学測定
解質としてテ 卜 ラ — n —ブチルァンモニゥムク □ラィ ド、
(曰本国東京化成工業 (株) 製 薬) を用い、 これを 0 . 1 m o 1 / 1 の濃度でァセ 卜ニ Uルに溶解して電解質溶液と した 。 作製した光電変換電極を作用極と し、 電解質溶液に浸 し 、 光源に与える印加電圧を 1 2 Vにして 2極式並びに 3
極式の光 化学測定を電位挿引速度 2 0 m V Z s e c の条 件で行つた。 その結果、 光照射によつて電流が観測され、 発 生する電圧は 1 . 2 Vであった。 また、 対極準位は + 0 . 1
V (対参照電極 ) であった。 実施例 4
( 1 ) ¾解質の合成
塩化 バル 卜 ( I I ) 六水和物 (日本国和光純薬工業
(株) 製 ) 3 • 5 9 g とテ 卜ラエチルァンモニゥムク ロ リ ドヽ
(日本国和光純薬工業 (株) 製) 5 . 0 1 g をそれぞれ、 モ レキュラ一シ一ブズを用いて脱水したェタノ一ル 1 5 m l に 溶解した後、 両液を混合し、 約 1 0分間の加熱還流を行つた 反応終了後、 室温まで冷却した後 、 析出した青色粉末をろ過 によ り取り 出し乾燥させた。 この乾燥した粉末を、 I R、 X
R F を用いて分祈した結果、 テ ト ラク 口 ロコノ ル ト ( I I )
—ビス (テ トラェチルアンモニゥム ) ( = ( E t 4 N ) 2
[ C 0 C 1 4 ] ) である こ とが確認された。
( 2 ) 光電変換電極の作成、 電解質溶液の調製並びに光電気 化学測定
電解質溶液を、 上記にて合成したテ ト ラク ロ 口コバル ト ( I I ) — ビス (テ ト ラェチルアンモニゥム) の . 0 5 m 0 1 / 1 ァセ トニ ト リ ル溶液に換えた以外は実施例 3 と同様 して光電変換電極の作製、 電解質溶液の調製、 光電気化学
測定を行ったと ろ、 光照射によつて電流が観測され、 発生 する電圧は 0 . 8 Vであ た また 対極準位は 0 V (対参 照電極)' であつた 実施例 5
複合色素 Yに換えて 施例 1 で lit
実 製 した複合色素 Z を用い 複合色素 Z を全溶解時に 3 0 X 1 0 一 4 m o 1 1 の濃度 となる量、 ジメチルスルフォキシ ドに投入し、 部分的に溶解 した状態で約 1時間、 半導体膜と共に加熱還流して光電変換 電極を作製し、 電解質溶液に 0 . 5 m m o l Z l のニ ト ロソ 二ゥム四フッ化硼素 (米国シグマ一ァルドリ ツチ社製試薬) を添加した以外は 、 実施例 4 と同様にして電解質溶液の調製 光電気化学測定を行つたと ろ 、 光照射によって電流が観測 され、 発生する 圧は 0 8 Vであつた。 また、 対極準位は
+ 0 . 4 V (対参照電極 ) であつた 実施例 6
( 1 ) 電解質の α成
へキサク ロ口 レニゥム ( I V ) 酸力 リ ウム (日本国和光純 薬工業 (株) 製 ) 0 . 6 g を 5 0 m 1 の 0 . 1 N塩酸水溶液 に溶解した。 この溶液を攪拌しながらテ トラー n プチルァ ンモニゥムヒ ド Dキシ の 1 0 %水溶液 (日本国柬京化成ェ 業 (株) 製試薬) 6 . 5 4 g を添加し 、 生成した沈殿物を濾
取し、 精製水で洗浄し、 乾燥した。 I R並びに X R Fで分析 したところ、 へキサク ロ口 レニウム ( I V ) 酸テ トラー n — ブチルアンモニゥム (= ( n - B u 4 N ) 2 [ R e C l
6 ] ) である ことが確認された。
( 2 ) 光 %変換 極の作成、 ¾解質溶液の調 並びに光電気 化学測定
電解質溶液を 、 上記のへキサク ロロ レニゥム ( I V ) 酸テ 卜ラー n ―ブチルアンモニゥムの 0 . 0 1 m 0 1 / 1 ァセ 卜 二 ト リル溶液に換 解質溶液に 0 . 2 m m o 1 Z 1 の二 卜 αソ二ゥム四フ ッ化硼素 (米国シグマ一ァル ド、 U ツチ社製 試薬) -a 添加した以外は 、 実施例 3 と同様にして電解質溶液 の調製を行い 、 酸化チタンの夕一ケッ 卜 を用いたスパッ夕法 によつて約 0 2 mの酸化チタン層を F T O層の面に予め
Β又 ikし 、 その面に n型半導体分散液を塗布した以外は実施例
3 と同様にして 、 光電変換電極の作製を行い 、 さ らに U V力 ッ 卜フィ ル夕一 (日本国 (株) ケンコー製 L 4 2 ) を光源と 作用極 (光 変換電極) との間に設 し し 、 光電気化学測定 を行つたと しろ 光照射によつて電流が観測され、 発生する 電圧は 1 . 1 Vであった 。 また 、 対極準位は + 0 . 7 V (対 参照電極) であ た。 実施例 7
実施例 3 と同様にして光電変換電極を作製し 、 光電変換電
極 s とし た、 複合色 Yに換んて、 シスージイ ソチォ シアナ 一 ビス ( 2 , 2 ' ―ビピリ ジル一 4 , 4 ' —ジカル ポキシレ ― 卜) ルテニウム ( I I ) のビス —テ ト ラブチルァ ンモニゥム塩 スイス国 S 〇 L A R 0 N I X社製 R u t h e n i u m 5 3 5 — b i s T B A ) を用いる以外は実施例
3 と同 にして 、 光電変換電極 Tを作製した。
電解質としてヨウ化リチゥム (日本国和光純薬工業 (株) 製試薬 ) を用い 、 これを 0 1 m o 1 / 1 の濃度でァセ トニ ト リルに溶解して電解質溶液と した。 光電変換電極 S と光電 変換電極 Tをそれぞれ独立に の電解質溶液に浸漬し、 作 用極 (光電変換電極) に一 0 2 Vの電位を印加し、 光強度 を変更する 目的で、 光源に与える印加電圧を 4 Vから 1 I V の間、 4 Vから 8 Vまでは 0 5 V刻みで 8 Vから 1 1 V までは 1 V刻みで変更し、 光 変換電極 S の光電変換電極 T に対する光照射によって発生する電流の比を 3極式光電気化 学測定法を用いて測定した 光源に与える印加電圧が (光強 度が強い ) 1 1 Vの場合の電流比を 1 とした場合の、 光電変 換電極 S の光電変換電極 Tに対する発 流比の相対値は、 光強度が弱い 4 Vから ^頼に 0 6 4 0 . 7 1 0 . 7 5
0 . 8 0 0 . 8 4 0 . 8 6 0 . 8 8 0 . 9 1 0 .
9 3 0 . 9 5 0 . 9 7 1 となつた。 この結果を図 1 6 に示した。 即ち、 図 1 6 において、 横軸に上記光源に与えた 印加電圧をと り 、 縦軸に上記の 2 電極の発生電流の比を光源
印加電圧 1 1 Vのと ころが 1 となるよう にして求めた相対値 を 「発生電流比の相対値 」 と称してと り 、 この結果を示した 参考例 1 との比較によ り二光子吸収システムで特徴的に観測 される光強度が弱い場合に発生電流が小さ くなる現象が観測 された。 実施例 8
複合色素 Yに換えて実施例 1 で ¾造した複合色素 Ζ を用い 複合色素 Z を全溶解時に 3 . 0 X 1 0 一 4 m o l Z l の濃度 となる量 、 ジメチルスルフ才キシ ドに投入し、 部分的に溶解 した状態で約 1 時間、 半導体 と共に加熱還流して光電変換 電極 Uを作製した以外は 、 実施例 7 と同様にして光電変換電 極 Uの光電変換電極 Tに対する光照射によって発生する電流 の比を 3極式光電気化 測定法を用いて測定した。 その結果 光源に与える印加電圧が (光強度が強い) 1 1 Vの場合の比 を 1 とした場合の 、 光電変換 '極 Uの光電変換電極 Tに対す る発生電流比の相対値は 、 光強度が弱い 4 Vから順に、 0 .
6 4 、 0 7 3 、 0 . 7 8 、 0 . 8 2 、 0 . 8 6 、 0 . 8 9
0 . 9 1 、 0 . 9 4 、 0 . 9 5 、 0 . 9 7 、 1 . 0 0 、 1 と なった。 ( _の結果を図 1 7 に示した 。 即ち、 図 1 7 において 横軸に上記光源に与えた印加電圧をと り、 縦軸に上記の 2 電 極の発生電流の比を光源印加電圧 1 1 Vのと ころが 1 となる よう にして求めた相対値を 「発生電流比の相対値」 と称して
と り 、 この結果を示した。 比較例 1
複合色素 Z に換えて、 シス ―ジイ ソチオシアナ ト ー ビス
( 2 , 2 ' ー ビピリ ジル ― 4 4 ' ージカルポキシレー ト) ルテニゥム ( I I ) のビス ―テ ト ラブチルアンモニゥム塩で 表される分光増感色素 (スィ ス国 S O L A R O N I X社製 R u t h e n i u m 5 3 5 ― b i s T B A) のエタノ一ル 溶液 ( 3 X 1 0 - 4 m o 1 / ' 1 ) を用いた以外は実施例 1 と 同様に して色素増感型太陽 池 (狭持型) を作製した。 こ の ときのシス ージイ ソチォシァナ 卜 — ビス ( 2, 2 ' — ビピ リ ジルー 4 , 4 ' —ジカルポキシレー ト) ルテニウム ( I I ) のビス ーテ ト ラブチルァンモ ―ゥム塩の吸着量は、 3. 2 X
1 0 — 8 m o 1 / c m 2であ た
光電変換特性の測定を実施例 1 と同様にして行ったと こ ろ、 色素の吸着量あた り の電流は 、 1 . 2 X 1 0 8 mA/m o l で一あ り 、 U Vカ ツ 卜 フィ ル夕一を用いた場合の色素の吸着量 あた り の電流は、 1 . 0 X 1 0 8 mAノ m o 1 であった。 比較例 2
複合色素 Yに換えて複核錯体前駆体 Cを用いた以外は実施 例 2 と同様にして色素增感型太陽電池 (狭持型) の作製並び に電池性能の評価を行っ たと こ ろ、 0 . 1 2 m A / c m 2 の
流が観測された。 また、 別に 0 • 1 m 0 1 / 1 の K〇 H水 溶液を用いて色素 (複核錯体刖駆体 C ) を脱離して色素吸着 量を測定したと ろ、 実施例 2 の複合色素 Yに対し、 単位面 禾責あた り 7 5 m o 1 %であつた 比較例 3
、ヽ、
色素をシス一 ンイ ソチオシァナ 卜 一 ビス ( 2 , 2 ' ー ビピ
U ジル一 4 4 ージカルポキシレ一 卜 ) ルテニゥム ( I
I ) のビス 一テ 卜 ラブチルァンモ一ゥム塩で される錯体色 素 (スィ ス国 S o L A R O N I X社製 R u t h e n i u m
5 3 5 - b i s T B A ) に換え 電解質を a ゥ化リ チウム
(曰本国和光純薬工業 (株) 言式 ) に換えた以外は実施例
3 と同様に して光電変換電極の作 雷解質溶液の調製、 光
¾気化学測定を行つたと ころ 光照射によつて電流が観測さ れ 発生する電圧は 0 . 7 Vであ Ό た。 また 対極準位は一
0 3 V (対参照電極) であつ た 比較例 4
■%
色素をシス一 ンイ ソチオシァナ 卜 一 ピス ( 2 2 ' ー ビピ
U ンル一 4 , 4 ージカルポキシ レ一 ト ) ルテニゥム ( I
I ) のビス 一テ ラブチルァンモ ―ゥム塩 (スィ ス '国 S O L
A R 0 N I X社製 R u t h e n i U m 5 3 5 - b i s T
B A ) で される錯体色素に換えた以外は実施例 6 と同様に
して光電変換 m極の作製 電解質溶液の調 光電気化学測 定を行ったと ろ 光照射によ て電流が 測されなかつた m 参考例 1
実施例 7 で 造した光 変換電極 Tを 2枚用 し T 1 T
2 とした。 実施例 7 と同 にして T 1 と T 2 の光照射によ つて発生する電流の比を測定した 光源に与える印加電圧が
(光強度が強い ) 1 1 Vの場 Oの比を 1 とした場合の、 光電 変換電極 T 1 の光電変換電極 T 2 に対する発生電流比の相対 値は、 光強度が弱い 4 Vから順に 1 . 0 0 1 . 0 1 0
9 9 0 . 9 9 0 . 9 8 0 9 8 0 ·■ 9 9 1 . 0 1
0 . 9 9 1 0 1 1 0 2 1 とな た の結果を図
1 8 に示した 即ち 、 図 1 8 において、 横軸に上記光源に与 えた印加電圧をと り 、 縦軸に上記の 2電極の発生電流の比を 光源印加電圧 1 1 Vのと ろが 1 となるよ Ό にして求めた相 対値を 「発生電流比の相対値 J と称してと Ό の結果を示 した。
±の利用可能性
本発明の光電変換素子は、 光電変換性能に優れ 、 特に、 太 陽エネルギーからのェネルギー取り 出し効率 (ェネルギ一変 換効率 ) が高 < また それを用いて簡便に色素増感型太陽 電池を製造する とがでさるので、 色素増感型太陽電池など に有利に用いられる