JP5298654B2 - 光電極、及び、これを備える色素増感型太陽電池の製造方法、並びに、色素増感型太陽電池 - Google Patents

光電極、及び、これを備える色素増感型太陽電池の製造方法、並びに、色素増感型太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、光電極、及び、これを備える色素増感型太陽電池の製造方法、並びに、色素増感型太陽電池に関するものである。
太陽電池は、地球環境にかける負荷が極めて少なく、クリーンなエネルギー供給源として、より一層の普及が期待されている。特に、グレッツェルらが提案した色素増感型太陽電池は、製造コストが安価で、高い光電変換効率を示し、コンパクトな設計ができることなどから注目されている。
色素増感型太陽電池の一般的な構造は、透明導電性基板上に形成した酸化チタンなどの半導体多孔質膜に増感色素を担持させた光電極と、白金層などを基板上に形成して得られる対極とを対向させ、両極間にヨウ素やヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む有機電解液を充填したものである。
半導体多孔質電極の作製方法として、半導体多孔質電極を450℃で焼結する工程と、焼結後の半導体多孔質電極を0.1mol/Lの四塩化チタン水溶液に浸漬する工程と、浸漬処理後の半導体多孔質電極を再焼結する工程とからなる方法が知られている(非特許文献1)。この方法で作製された半導体多孔質電極では、四塩化チタン処理によって半導体微粒子間のネッキングが増加し、電極内への電子の注入が促進されるため、太陽電池から得られる電流が増加する効果が得られる。
しかし、この方法は、半導体多孔質電極の表面を改質する前処理プロセスであり、担体に増感色素を担持させる色素吸着プロセスとは独立したプロセスとなっている。このため、半導体微粒子間の電気的結合性の改善や半導体表面の表面欠陥の修復等により光電変換効率を向上させる効果はあるが、半導体多孔質電極の表面に担持される増感色素に遊離の増感色素が会合することを抑制する効果はない。
遊離の増感色素の会合を抑制する半導体多孔質電極の作製方法として、半導体多孔質電極を550℃で焼結する工程と、焼結後の半導体多孔質電極を増感色素と共吸着剤としてコール酸類を含んだエタノール溶液に浸漬する工程とからなる方法が知られている(非特許文献2)。この方法で作製された半導体多孔質電極では、コール酸類が立体障害となり、遊離の増感色素が担持された増感色素に会合することを抑制するため、コール酸類を用いない方法で作製された半導体多孔質電極と比較して、外部量子効率の最大値が増加する効果が得られる。
しかし、十分な会合抑制効果を発揮するためには、増感色素に対して120〜720倍量のコール酸類が必要であり、またコール酸類は高価であるため、製造コストが高額になる。また、コール酸類は、増感色素が担持される担持部に吸着して会合制御を行うため、増感色素の吸着量が減少し、光電流の損失が発生してしまう。
Christophe J Barbe,et al.,「Nanocrystalline Titanium Oxide Electrodes for Photovoltaic」,The Journal of American Geramic Society,80(12),p3157-3171(1997) Andreas Kay,et al.,「Artificial Photosynthesis. 1. Photosensitization of TiO2 Solar Cell with Chlorophyll Derivatives and Related Natural Porphyrins」,The Journal of Physical Chemistry,Vol97,p6272-6277(1993)
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、光電流の損失が少なく、光電変換効率が高い太陽電池を実現することができる光電極、及び、これを備える色素増感型太陽電池の製造方法、並びに、色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる光電極の製造方法は、
色素増感型太陽電池の光電極の製造方法であって、
増感色素を半導体電極に吸着する際に使用する色素吸着液に、前記半導体電極の表面に共吸着する化合物を混合し、
前記化合物にチタン化合物を用いる、ことを特徴とする。
記チタン化合物は、例えば、水酸化チタンである。
前記増感色素には、例えば、その骨格構造が平面状の色素用いられる。
前記増感色素に、ルテニウム金属錯体色素を用いてもよい。
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、シス−ビス−(イソチオシアナート)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)−ルテニウム(II)で表される基本骨格を有し、式(1)で表されるルテニウムポリピリジル錯体色素である。
Figure 0005298654
[式(1)中、Rは任意の脂肪族基、芳香族基、四級アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンおよび水素原子からなる置換基群から選択される置換基を表す。]
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、式(1)中のRが水素原子、または、テトラブチルアンモニウム基(n−C(以下、TBAと記載する)である。
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、トリス(イソチオシアナート)−ルテニウム(II)−2,2’:6’,2”−ターピリジル−4,4’,4”−トリカルボキシラートで表される基本骨格を有し、式(2)で表されるルテニウムポリピリジル錯体色素である。
Figure 0005298654
[式(2)中、Rは任意の脂肪族基、芳香族基、四級アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンおよび水素原子からなる置換基群から選択される置換基を表す。]
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、式(2)中、Rが水素原子である。
前記増感色素に、フタロシアニン骨格を有し、式(3)で表されるフタロシアニン系色素を用いてもよい。
Figure 0005298654
[式3中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素基に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される原子を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。また、mは1から10までの整数を表し、Rは直鎖状または分枝状のアルキル基、フェニル基または1以上の水素がアルキル基に置換されたフェニル基を表し、phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。]
前記フタロシアニン系色素は、例えば、式3中のX、XおよびXがいずれもt−ブチル基であり、またXが−CH(CHCOOH)COOHであり、さらにMがZnである。
前記増感色素に、ポリフィリン骨格を有し、式(4)で表されるポリフィリン系色素を用いてもよい。
Figure 0005298654
[式(4)中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XはおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される元素を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。]
溶媒に前記化合物を縣濁させて分散液を調整し、該分散液と増感色素が所定濃度となるように溶媒に混和した色素混和溶液とを混合して色素吸着液を調整してもよい。
前記色素吸着液を調整する溶媒は、例えば、水、低級アルコール、ニトリル、N,Nージメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、または、テトラヒドロフランのいずれかである。
前記色素吸着液を酸性に調製してもよい。
前記色素吸着液に含有される酸の濃度は、例えば、10mmol/L乃至12mol/Lである。
前記色素吸着液に含有される金属化合物の濃度は、例えば、1mmol/L乃至1mol/Lである。
本発明の第2の観点にかかる色素増感型太陽電池の製造方法は、本発明の第1の観点にかかる光電極の製造方法を含む、ことを特徴とする。
本発明の光電極は、
色素増感型太陽電池の光電極であって、
半導体電極の表面領域に化合物が共吸着した共吸着領域を含み、該共吸着領域と非吸着領域とに増感色素が吸着されている、ことを特徴とする。
前記半導体電極が酸化物半導体から構成され、前記化合物は、前記増感色素を前記半導体電極に吸着する際に使用する色素吸着液に混合されたチタン化合物であることが好ましい。
前記増感色素は、例えば、その骨格構造が平面状の色素である。
前記増感色素は、例えば、ルテニウム金属錯体色素である。
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、シス−ビス−(イソチオシアナート)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)−ルテニウム(II)で表される基本骨格を有し、式(1)で表されるルテニウムポリピリジル錯体色素である。
Figure 0005298654
[式(1)中、Rは任意の脂肪族基、芳香族基、四級アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンおよび水素原子からなる置換基群から選択される置換基を表す。]
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、式(1)中のRが水素原子、または、TBAである。
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、トリス(イソチオシアナート)−ルテニウム(II)−2,2’:6’,2”−ターピリジル−4,4’,4”−トリカルボキシラートで表される基本骨格を有し、式(2)で表されるルテニウムポリピリジル錯体色素である。
Figure 0005298654
[式(2)中、Rは任意の脂肪族基、芳香族基、四級アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンおよび水素原子からなる置換基群から選択される置換基を表す。]
前記ルテニウム金属錯体色素は、例えば、式(2)中、Rが水素原子である。
前記増感色素は、例えば、フタロシアニン骨格を有し、式(3)で表されるフタロシアニン系色素である。
Figure 0005298654
[式3中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素基に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XはおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される原子を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。また、mは1から10までの整数を表し、Rは直鎖状または分枝状のアルキル基、フェニル基または1以上の水素がアルキル基に置換されたフェニル基を表し、phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。]
前記フタロシアニン系色素は、例えば、式3中のX、XおよびXがいずれもt−ブチル基であり、またXが−CH(CHCOOH)COOHであり、さらにMがZnである。
前記増感色素は、例えば、ポリフィリン骨格を有し、式(4)で表されるポリフィリン系色素である。
Figure 0005298654
[式(4)中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XはおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される元素を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。]
本発明の第3の観点にかかる色素増感型太陽電池は、本発明の第1の観点にかかる光電極の製造方法により製造された光電極を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、光電流の損失が少なく、光電変換効率が高い色素増感型太陽電池を実現することができる。
以下、本発明の光電極、及び、これを備える色素増感型太陽電池の製造方法、並びに、色素増感型太陽電池について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態の色素増感型太陽電池の基本構成を示す図である。図1に示すように、色素増感型太陽電池1は、光電極2と、対極3と、スペーサ4と、スペーサ4により光電極2と対極3との間に形成される間隙に充填された電解質5と、を備えている。
光電極2は、色素増感型太陽電池1の負極であり、図1に示すように、透明電極21と、半導体電極22と、から構成されている。
透明電極21は、透明基板23と、透明基板23の半導体電極22側をコートするように形成された透明導電膜24から構成されている。透明基板23は、光を透過する透明基板材料、例えば、透明なガラス基板、すりガラス状の半透明なガラス基板のような各種のガラス基板の他、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などから構成されている。透明導電膜24は、例えば、フッ素ドープSnO、ITO、ZnO:Al、アンチモンドープ酸化スズ(SnO−Sb)等のような透明な導電材料から構成されている。
半導体電極22は、半導体粒子からなる半導体層から構成され、その表面に増感色素が吸着されている。半導体電極22は、増感色素で励起された電子を透明電極21に輸送する機能を有し、例えば、金属酸化物のナノ粒子を、透明電極21の透明導電膜24の表面に凝集することにより形成される。
半導体電極22の半導体層は、例えば、二酸化チタン、一酸化チタン、三酸化二チタン等の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズのようなn型酸化物半導体材料や、その他のn型半導体材料等の中から1種または2種以上を組み合わせた酸化物半導体から構成されている。半導体電極22は、これらの酸化物半導体のうち、酸化チタン、特に、二酸化チタンから構成されていることが好ましい。二酸化チタンは、電子輸送能力に優れ、また、光に対する感受性が高く、半導体電極22自体でも電子を発生できることから、半導体層に二酸化チタンを用いると、良好な光電変換効率の色素増感型太陽電池1が得られるためである。また、二酸化チタンは結晶構造が安定しているので、色素増感型太陽電池1が過酷な環境下に曝された場合でも、経時劣化が少ないためである。
半導体電極22は、その電解質5側の表面に、複数の共吸着領域22aが形成されている。図2に、半導体電極22の表面形状を模式的に示す。図2に示すように、半導体電極22の表面には、例えば、こぶ状に突起した複数の突起物が形成された共吸着領域22aが形成されている。これは、後述するように、増感色素6が吸着される際に使用する色素吸着液に、半導体電極22の半導体層の表面に共吸着する化合物が混合されており、半導体電極22の表面に増感色素6を吸着させることにより、半導体電極22の表面(例えば、二酸化チタン)と、色素吸着液に含まれる化合物とが共吸着し、共吸着領域22aが形成される。このように、半導体電極22の表面では、新たな表面を形成しながら増感色素6の吸着を行っているので、増感色素6の吸着可能な面積が増加する。また、増感色素6は、非吸着領域22bのみならず、共吸着領域22aにも吸着される。このため、半導体電極22の表面に吸着される増感色素6の量が増え、光電変換効率が向上する。
また、このように形成された半導体電極22の表面には、いわゆる表面欠陥が生じにくくなる。これは、色素吸着液に含まれる化合物と半導体電極22の表面の一部とが共吸着することにより、半導体電極22の表面に生じた表面欠陥(図2中の点線で示した部分)が修復されるためである。この結果、表面欠陥からの電子の逆移動が抑制され、光電流の損失を少なくすることができる。
半導体電極22の表面に吸着される増感色素6は、太陽光を受光して、電子と正孔を発生する受光部であり、半導体電極22の表面上でエステル結合を形成して担持される。これにより、増感色素6と金属酸化物の電子軌道の重なりが形成され、増感色素6から半導体電極22への電子の注入が効率良く進行する。
このような増感色素6は、図2に示すように、その骨格構造が平面状(平板状)の色素を用いることが好ましい。半導体電極22の表面に吸着された増感色素6による立体障害による影響を受けにくく、半導体電極22の表面により多くの増感色素6を吸着できるためである。
増感色素6としては、各種の顔料、染料等が挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。染料は金属酸化物との結合性(吸着性)がより優れるという特性を有し、顔料は経時的変質や劣化がより少ないという特性を有する。このため、色素増感型太陽電池1に望まれる特性等に応じて、増感色素6の種類を適宜選択すればよい。
増感色素6に用いられる染料としては、ルテニウムポリピリジル錯体色素、ルテニウムフェナントロリン錯体色素、キノリン系ルテニウム錯体色素等のルテニウム金属錯体色素が挙げられ、特に、カルボン酸基、無水カルボン酸基、スルホン酸基、アルコキシド基等の錯体と半導体電極22との間に化学結合を形成し得る官能基を分子中に備えるものが好ましい。
ルテニウム金属錯体色素としては、例えば、シス−ビス−(イソチオシアナート)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)−ルテニウム(II)で表される基本骨格を有し、下記式(1)で表されるルテニウムポリピリジル錯体色素が挙げられる。
Figure 0005298654
[式(1)中、Rは任意の脂肪族基、芳香族基、四級アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンおよび水素原子からなる置換基群から選択される置換基を表す。]
このようなルテニウム金属錯体色素としては、式(1)中のRを水素原子としたもの、TBA(テトラブチルアンモニウム基)としたものなどがある。
また、ルテニウム金属錯体色素は、トリス(イソチオシアナート)−ルテニウム(II)−2,2’:6’,2”−ターピリジル−4,4’,4”−トリカルボキシラートで表される基本骨格を有し、下記式(2)で表されるルテニウムポリピリジル錯体色素であってもよい。
Figure 0005298654
[式(2)中、Rは任意の脂肪族基、芳香族基、四級アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンおよび水素原子からなる置換基群から選択される置換基を表す。]
このようなルテニウム金属錯体色素としては、式(2)中のRを水素原子としたものなどが挙げられる。
増感色素6に用いられる顔料としては、例えば、フタロシアニン骨格を有し、式(3)で表されるフタロシアニン系色素(誘導体)が挙げられる。
Figure 0005298654
式3中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素基に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される原子を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。また、mは1から10までの整数を表し、Rは直鎖状または分枝状のアルキル基、フェニル基または1以上の水素がアルキル基に置換されたフェニル基を表し、phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。
このようなフタロシアニン骨格を有する増感色素としては、式(3)中のX、XおよびXがいずれもt−ブチル基であり、またXが−CH(CHCOOH)COOHであり、さらにMがZnであるものなどが挙げられる。
また、増感色素6に用いられる顔料としては、ポリフィリン骨格を有し、式(4)で表されるポリフィリン系色素(誘導体)などが挙げられる。
Figure 0005298654
式(4)中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される元素を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。
対極3は、電解質5中の酸化還元対に高効率で電子を渡すことができる材料から構成されていればよく、例えば、透明電極21と同様の透明導電膜上にPt等の金属薄膜電極を形成し、金属薄膜電極を電解質5の側に向けて配置させるたもの等が用いられる。また、透明導電膜に白金を少量付着させたものであってもよく、白金などの金属薄膜、炭素などの導電性膜などであってもよい。
スペーサ4は、光電極2と対極3との間に間隙が形成できるものであればよく、樹脂フィルム、シリカビーズ等を用いることができる。
電解質5は、光励起され半導体への電子注入を果した後の色素を還元するための酸化還元種を含んでいれば特に限定されないが、I-/I3-等の酸化還元種を含むヨウ素系レドックス溶液が好ましく用いられる。具体的には、I-/I3-系の電解質はヨウ素のアンモニウム塩あるいはヨウ化リチウムとヨウ素を混合したものなどを用いることができる。その他、Br-/Br3-系、キノン/ハイドロキノン系などのレドックス電解質をアセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネートなどの電気化学的に不活性な溶媒(およびこれらの混合溶媒)に溶かしたものも使用できる。
このような色素増感型太陽電池1では、透明電極21を透過して半導体電極22に光が照射されると、その光によって、半導体電極22内に吸着されている増感色素が励起され、この増感色素から半導体電極22へ電子が注入される。そして、半導体電極22に注入された電子は、透明電極21に集められて外部に取り出される。外部に取り出された電子は、対極3に導かれ、電解質5に含まれている酸化還元対に与えられる。この電子が与えられた酸化還元対によって、色素が酸化される。こうして光電極2と対極3との間に光電流が流れる。
次に、以上のように構成された色素増感型太陽電池1の製造方法について説明する。
まず、ガラス基板等の透明基板23上に、例えば、フッ素ドープSnO等の透明導電材料をスプレーコートする等の公知の方法を用いて透明導電膜24を形成し、透明電極21を形成する。
次に、透明電極21の透明導電膜24上に、例えば、金属酸化物ペーストを塗布し、塗布した金属酸化物ペーストを焼成して、透明電極21上に半導体層(半導体電極22の半導体層)を形成する。金属酸化物ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷法などにより、焼成後に形成される半導体層の平均厚さが4〜8μm程度となるように均一に塗布する。また、焼成条件(焼成温度および焼成時間)は、金属酸化物ペーストの材質に応じて適宜選択する。例えば、金属酸化物ペーストに二酸化チタンを用いた場合には、焼成温度を450〜550℃、焼成時間を1時間とすれば、良好な二酸化チタン層を得ることができる。
続いて、酸性にpH調整した溶媒に、所定量のチタン化合物を縣濁させて分散液を調整する。溶媒は、極性溶媒および非極性溶媒のいずれを用いてもよい。極性溶媒としては、水、エタノール、アセトニトリル、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、非極性溶媒としては、テトラフドロフランが挙げられる。また、溶媒を酸性にpH調整するのは、増感色素3と金属酸化物層2との間でフィッシャーエステル合成反応を進行させるためであり、このため、色素吸着液に含有される酸は、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸を用い、その濃度は、10mmol/L乃至12mol/Lとすることが好ましい。
また、チタン化合物は、半導体電極22の半導体層の表面に共吸着する化合物であればよく、例えば、半導体電極22の半導体層が二酸化チタンから構成されている場合には、水酸化チタン(Ti(OH))を用いることが好ましい。色素吸着液中のチタン化合物の濃度は、1mmol/L乃至1mol/Lであることが好ましい。なお、チタン化合物の溶媒への溶解を容易にするため、チタン化合物を、スピードミルなどの粉砕機または乳鉢で粉砕して微粒子に調整することが好ましい。
次に、分散液と、増感色素6を溶媒で溶解して所定濃度にした色素溶解液とを等液量ずつ混合して色素吸着液を調整する。溶媒としては、極性溶媒、例えば、水、エタノール、アセトニトリル、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなど、あるいは、非極性溶媒、例えば、テトラヒドロフランのいずれかを選んで、増感色素6を溶解して所定濃度の色素溶解液を調製する。そして、この色素溶解液と分散液とを混合撹拌して、色素吸着液を調製する。
続いて、半導体層が形成された透明電極21を調製された色素吸着液に浸漬させ、増感色素6を半導体層に吸着させ、光電極2(半導体電極22)を形成する。増感色素6を吸着させる条件は、半導体層の表面積、増感色素6およびチタン化合物の濃度に応じて適宜選択する。例えば、室温(25±1℃)で21〜22時間浸漬させれば、エステル化反応が十分に進行するため、増感色素6を半導体層に十分に吸着させることができる。
ここで、色素吸着液には、半導体層の表面に共吸着するチタン化合物が混合されているので、半導体電極22の表面に増感色素6を吸着させることにより、半導体電極22の表面(例えば、二酸化チタン)と、色素吸着液に含まれるチタン化合物とが共吸着し、共吸着領域22aが形成される。このように、半導体電極22の表面では、新たな表面を形成しながら増感色素6の吸着を行っているので、増感色素6の吸着可能な面積が増加する。また、非吸着領域22bのみならず、共吸着領域22aにも増感色素6が吸着するので、半導体電極22の表面に吸着される増感色素6の量が増え、光電変換効率が向上する。
さらに、半導体電極22の表面に表面欠陥が生じていても、色素吸着液に含まれるチタン化合物と半導体電極22の表面の一部とが共吸着することにより、表面欠陥が修復される。このため、表面欠陥からの電子の逆移動が抑制され、光電流の損失を少なくすることができる。
このようにして光電極2を形成した後、公知の方法により対極3を作製し、作製した対極3と、光電極2と、スペーサー4とを、図1に示すように組み上げ、その内部に電解質5を充填する。これにより、色素増感型太陽電池1を製造することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の色素増感型太陽電池1をさらに詳しく説明する。なお、実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1)
まず、10mLの蒸留水を入れた樹脂製容器に四塩化チタンを0.01mol滴下し、蓋をして良く振とうした。次に、この溶液をビーカーに移して、25%アンモニア水を約2.5mL滴下した。これにより、ビーカー内に水酸化チタンの白色沈殿が析出した。続いて、ビーカー内に蒸留水を加えて、pHを8±0.5に調整した後、吸引濾過により水酸化チタンを分離した。なお、濾液のpHは7±0.5であった。次に、水酸化チタンをアスピレータ減圧乾燥し、さらにデシケータに保管して引き続き風乾することにより、水酸化チタンの乾燥固体を得た。
次に、水酸化チタンの乾燥固体を乳鉢で粉砕した後、その濃度が0.05mol/Lとなるように、水酸化チタンをエタノール溶液(1mol/Lの塩酸を含む)に添加した。続いて、超音波洗浄機でさらに粉砕しつつスターラーで撹拌することにより、無色透明な水酸化チタン分散液を得た。この水酸化チタン分散液を、0.6mmol/Lの増感色素6を含んだエタノール溶液(色素溶解液)と体積比で1:1の割合で混合して色素吸着液を調整した。色素吸着液の溶質のモル濃度は、それぞれ、増感色素:0.3M、水酸化チタン:25mM、HCl:0.5Mであった。また、増感色素6は、以下にその構造を示すものを使用した。なお、この色素は、式(1)のRをTBAとしたものである。
Figure 0005298654
続いて、透明電極21として、日本板硝子株式会社製の透明導電膜付き基板を用い、この基板にTiOペースト(PST−18NRT:触媒化成工業株式会社製)をスクリーン印刷法を用いて1〜2回塗布した後、500℃で焼成した。これにより、透明導電膜上に平均厚さ4〜8μmの多孔質TiO膜が形成された基板を得た。
次に、樹脂製容器の中にこの基板を入れた後、樹脂製容器中に色素吸着液を3mL滴下し、室温下(25±1℃)で21〜22時間静置し、増感色素6を多孔質TiO膜の表面に吸着させた。吸着終了後、この基板を色素吸着液から取り出して、エタノールで濯いだ後、窒素をブローして乾燥させることにより、光電極2を得た。
対極3として用いる白金板の上に、スペーサ4としての膜厚50μmの樹脂フィルムを載置し、スペーサ4の内側にヨウ素レドックス系の電解液を滴下した。その上にTiO膜が電解液と接触するように光電極2を載置した後、クランプで固定して色素増感型太陽電池1を作製した。
(比較例1)
水酸化チタンを含まない色素吸着液を調整すること以外、実施例1と同様の方法で色素増感型太陽電池用電極を作製した。
(実施例2)
増感色素6を、以下にその構造を示す色素を使用したこと以外、実施例1と同様の方法で色素増感型太陽電池用電極を作製した。なお、この色素は、式(3)中のX、XおよびXがいずれもt−ブチル基であり、またXが−CH(CHCOOH)COOHであり、さらにMがZnとしたものである。
Figure 0005298654
(比較例2)
水酸化チタンを含まない色素吸着液を調整すること以外、実施例2と同様の方法で色素増感型太陽電池用電極を作製した。
(色素増感型太陽電池の諸特性の評価)
上述の方法で作成した色素増感型太陽電池の諸特性を評価した結果を、図3〜図6を参照しながら説明する。
図3は、実施例1および比較例1で作製した色素増感型太陽電池の外部量子効率スペクトル(IPCE)であり、図4は、実施例2および比較例2で作製した色素増感型太陽電池の外部量子効率スペクトル(IPCE)である。ここで、外部量子効率とは、LEDなどの発光素子の発光層に注入する電子数に対して,発光素子外部に放射される光子数の割合で示したものであり、この値が大きいほど太陽電池の光電変換効率が高い。
図3、図4より、実施例1、2で作製した色素増感型太陽電池のIPCEと、比較例1、2で作製した色素増感型太陽電池のIPCEとを較べると、400〜800nmの波長域において、実施例1、2で作製した色素増感型太陽電池の方が、高いIPCEを示すことが見てとれる。この結果から、本発明に係る太陽電池用電極を用いることにより、光電変換効率の高い色素増感型太陽電池が得られることが確認できた。
図5は、実施例1および比較例1で作製した色素増感型太陽電池の擬似太陽光照射時における電流−電圧特性曲線である。図6は、実施例2および比較例2で作製した色素増感型太陽電池の擬似太陽光照射時における電流−電圧特性曲線である。擬似太陽光は、擬似太陽光照射装置により照射され、照射条件はスペクトルをAM1.5G、光量を100mW/cm2に設定している。ここで、AM1.5Gとは、太陽電池のエネルギー変換効率を求める際に用いられる、太陽光を模した標準的な光源から出る光のスペクトルの呼称であり、測定に用いる光のスペクトルがAM1.5Gと異なっていると、太陽電池としてのエネルギー変換効率に誤差が生じる。
図5、6より、実施例1、2で作製した色素増感型太陽電池は、比較例1、2で作製した色素増感型太陽電池と較べて、短絡電流、開放電圧のいずれも大きな値を示していることが見てとれる。ここで、色素増感型太陽電池の光電変換効率は、短絡電流と開放電圧の積に比例して大きくなるため、この結果からも、本発明に係る太陽電池用電極を用いることにより、光電変換効率の高い色素増感型太陽電池が得られることが確認できた。また、短絡電流の値が大きくなることから、電子の逆移動による光電流の損失が抑制されていることが確認できた。
次に、実施例1、2に係る色素増感型太陽電池および比較例1、2に係る色素増感型太陽電池の諸特性を比較するため、図5および図6に示した電流−電圧特性曲線から、開放電圧、短絡電流、および最大電力値を求め、数式1を用いて形状因子を算出した。また、短絡電流密度および光電変換効率を以下の数式2および3を用いて算出した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005298654
Figure 0005298654
Figure 0005298654
Figure 0005298654
表1より、実施例1で作製した色素増感型太陽電池は、比較例1で作製した色素増感型太陽電池用電極と比べて、光電変換効率が20%程度向上していることが確認できた。また、実施例2で作製した色素増感型太陽電池は、比較例2で作製した色素増感型太陽電池と比べて、光電変換効率が60%程度向上していることが解る。この結果から、本発明に係る色素増感型太陽電池用電極を用いることで、光電変換効率が顕著に向上した色素増感型太陽電池を提供できることが確認できた。
なお、本実施例においては、増感色素6として、ルテニウムポリピリジル錯体およびフタロシアニン誘導体を用いた例について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、ルテニウムフェナントロリン錯体、キノリン系ルテニウム錯体、式(5)で表されるポリフィリン誘導体、ナフタロシアニン誘導体などを太陽電池用電極に用いても、光色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
本発明の色素増感型太陽電池の構成を示す図である。 本発明の太陽電池用電極の模式図である。 色素増感型太陽電池の波長と外部量子効率スペクトルとの関係を示す図である。 色素増感型太陽電池の波長と外部量子効率スペクトルとの関係を示す図である。 色素増感型太陽電池の擬似太陽光照射時における電流−電圧特性曲線を示す図である。 色素増感型太陽電池の擬似太陽光照射時における電流−電圧特性曲線を示す図である。
符号の説明
1 色素増感型太陽電池
2 光電極
3 対極
4 スペーサ
5 電解質
6 増感色素
21 透明電極
22 半導体電極
22a 共吸着領域
22b 非吸着領域
23 透明基板
24 透明導電膜

Claims (8)

  1. 色素増感型太陽電池の光電極の製造方法であって、
    増感色素を半導体電極に吸着する際に使用する色素吸着液に、前記半導体電極の表面に共吸着する化合物を混合し、
    前記化合物にチタン化合物を用いる、ことを特徴とする光電極の製造方法。
  2. 前記チタン化合物が水酸化チタンである、ことを特徴とする請求項に記載の光電極の製造方法。
  3. 前記増感色素に、その骨格構造が平面状の色素を用いる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光電極の製造方法。
  4. 前記増感色素に、ルテニウム金属錯体色素を用いる、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光電極の製造方法。
  5. 前記増感色素に、フタロシアニン骨格を有し、式(3)で表されるフタロシアニン系色素を用いる、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光電極の製造方法。
    Figure 0005298654
    [式3中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素基に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される原子を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。また、mは1から10までの整数を表し、Rは直鎖状または分枝状のアルキル基、フェニル基または1以上の水素がアルキル基に置換されたフェニル基を表し、phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。]
  6. 前記増感色素に、ポリフィリン骨格を有し、式(4)で表されるポリフィリン系色素を用いる、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光電極の製造方法。
    Figure 0005298654
    [式(4)中、Xは電子供与基または水素原子である第1置換基群を表し、Xは電子吸引基または炭化水素に1以上の電子吸引基が結合した第2置換基群を表し、XおよびXは第1置換基群および第2置換基群から選択される置換基を表す。また、nはX乃至Xのそれぞれについて独立して選択可能な1以上の整数である。さらに、MはCu、Zn、Ni、Co、Ru、Al、Rh、Os、Pb、SnおよびPからなる元素の群から選択される元素を表し、Mの価数によりピリジンまたはピリジン誘導体がMに配位する。第1置換基群の電子供与基は、t−ブチル基、OC2m+1、NR、または−C−ph−O−で表される置換基であり、第2置換基群はCOOH、COOR、SOH、POHで表せる電子吸引基、または、−CHY、−CH(CHY)Y及び−CH(CHY)で表される置換基である。phはフェニレンを表し、Yは電子吸引基のいずれかを表す。]
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の光電極の製造方法を含む、ことを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の光電極の製造方法により製造された光電極を備える、ことを特徴とする色素増感型太陽電池。
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