明細書 溶出性の改善された錠剤 技 fe分野
本発明は溶出性の改善された錠剤、 詳し く は縮合ィ ミ ダゾピ リ ジン誘導体 および部分アルフ ァ化デンプンを含有する錠剤に関する。 背景技術
本発明に使用する式 ( I )
(式中、 Rは置換されていてもよいァリールまたは置換されていても よい芳 香族複素—環であ り、
A環は 1 以上の 0、 S、 S 〇、 S 〇 2および/または N R 1 (式中、 R 1は水 素、 アルキル、 エステル化されたカルボキシ、 力ルバモイルまたはァシルで ある) を含んでいてもよ く、 さ らにアルキルを置換基と して有していても よ い 5 ~ 9 員の脂環式基を表す)
で示される化合物も しく は製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物 (以 下、 化合物 ( I ) とする こ ともある) は特許文献 1 に記載されている化合物 であ り、 向精神薬、 抗不安薬、 麻酔拮抗薬および脳機能賦活薬と して有用で ある こ とが知られている。
該化合物の医薬製剤と して特許文献 2 に硬質ゼラチンカプセル剤が開示 されている。 このカプセル剤はァミ ノ酢酸を添加するこ とによ り、 カプセル のゼラチン変性を防止し、 溶出性を改善する ものであ り、 本発明錠剤のよう
な部分アルフ ァ化デンプンによる溶出性改善効果については示唆されてい ない。
部分アルフ ァ化デンプンは一般的に崩壊剤、 結合剤または賦形剤と して使 用される医薬品添加物である。
非特許文献 1〜 3では、 二フ エジピン、 パラセ夕モール、 スルフ ァメ ト キ サゾ一ル、 イ ブプロ フ ェ ン、 シプロ フ ロキサシン、 ジルチアゼムおよびメ ト 口ニダゾール等の種々の医薬品化合物の製剤への部分アルフ ァ化デンプン の適応が試みられている。
しかし、 非特許文献 2 には、 シプロフ ロキサシンまたはイ ブプロ フ ェンを 有効成分とする錠剤では、 部分アルフ ァ化デンプンの添加によっても好適な 崩壊性および溶出性が得られない旨開示されている。 これよ り、 部分アルフ ァ化デンプンを添加 した錠剤が必ず しも医薬活性成分の溶出性改善作用を 示さないこ とが明らかである。
特に縮合ィ ミ ダゾピリ ジン誘導体を有効成分とする綻剤において、 部分ァ ルファ化デンプンの添加によ り、 優れた溶出性改善作用を示すこ とは今まで 知られていなかった。 特許文献 1 : 特開平 5 — 2 8 6 9 7 3号公報
特許文献 2 : 特開 2 0 0 0 — 2 6 2 8 2号公報
非特許文献 1 : イ ンディ アン ' ドラ ッグス (Indian Drugs) 、 2 0 0 0年、 3 7卷、 8号、 3 7 1 — 3 7 4頁
非特許文献 2 : イ ンターナショナル · ジャーナル · ォプ · ファーマシューテ イ ノレ · ェ ク シ ピ エ ン ヅ ( International Journal of Pharmaceutical Excipients) 、 1 9 9 9年、 1卷、 3号、 9 3 — 9 5頁
非特許文献 3 : イ ンディ アン · ドラ ッグス (Indian Drugs) 、 1 9 9 9年、 3 6卷、 9号、 5 9 8 — 6 0 0頁 発明の開示
有効成分である縮合ィ ミ ダゾピリ ジン誘導体を含有する固形製剤が薬効 を発現するためには、 有効成分が消化器官内で溶解し、 吸収される必要があ る。 そのため、 特に速放性錠剤等は消化管内での有効成分の速やかな溶出が 重要であ り、 溶出性を高める こ とが求められている。 図面の簡単な説明
図 1 崩壊剤と して部分アルファ化デンプン、 カルメ ロ一スカルシウム ( C M C C a ) またはク ロスカルメ ロース N aを用いた錠剤の溶出性を示すグラ フである。
図 2 試験液と して 日局第 1 液を用いた場合の実施例 3 の部分アルフ ァ化 デンプン添加錠剤の溶出性を示すグラフである。
図 3 試験液と して 日局第 2液を用いた場合の実施例 3 の部分アルフ ァ化 デンプン添加錠剤の溶出性を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
本発明は、
( 1 ) 式 ( I ) :
(式中、 Rは置換されていてもよいァリールまたは置換されていてもよい芳 香族複素環であ り、
A環は 1 以上の 0、 S、 S 0、 S 0 2および/または N R 1 (式中、 R 1は水 素、 アルキル、 エステル化された力ルボキシ、 力ルバモイルまたはァシルで ある) を含んでいても よ く、 さ らに 1 以上のアルキルを置換基と して有 して いてもよい 5〜 9員の脂環式基を表す)
で示される化合物も し く は製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物お
よび部分アルファ化デンプンを含有するこ とを特徴とする錠剤、 ( 2 ) 上記 ( 1 ) 記載の式 ( I ) で示される化合物も し く は製薬上許容され る塩またはそれらの溶媒和物、 部分アルフ ァ化デンプン、 乳糖およびヒ ドロ キシプロ ピルセルロースを含有する こ とを特徴とする錠剤、
( 3 ) 錠剤全量に対し上記 ( 1 ) 記載の式 ( I ) で示される化合物も し く は 製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を 3 ~ 8 0重量%、 部分アルフ ァ化デンプンを 1〜 3 0重量%、 乳糖を 2 0〜 9 5重量%およびヒ ドロキシ プロ ピルセルロースを 0 . 1〜 5重 ϋ%含有するこ とを特徴とする上記 ( 2 ) 記載の錠剤、
( 4 ) 錠剤全量に対し上記 ( 1 ) 記載の式 ( I ) で示される化合物も し く は 製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を 5〜 4 0重量%、 部分アルフ ァ化デンプンを 3 ~ 2 0重量%、 乳糖を 4 0〜 9 0重量%およびヒ ドロキシ プロ ピルセルロースを 0 . 5 ~ 3重量%含有するこ とを特徴とする上記 ( 2 ) 記載の錠剤、
( 5 ) 上記 ( 1 ) 記載の式 ( I ) で示される化合物が 2— ( 3 —イ ソォキサ ゾリル) 一 1 , 6, 7 , 9—テ トラ ヒ ドロイ ミ ダゾ [ 4 , 5 — d ] ピラノ [ 4 ,
3 - b ] ピリ ジンも し く はその製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物 である、 上記 ( 1 ) ~ ( 4 ) のいずれかに記載の錠剤、
( 6 ) コーティ ングされた、 上記 ( 1 ) ~ ( 5 ) のいずれかに記載の錠剤。
( 7 ) 部分アルファ化デンプンを含むこ とを特徴とする、 上記 ( 1 ) 記載の 式 ( I ) で示される化合物も し く は製薬上許容される塩またはそれらの溶媒 和物を有効成分とする錠剤の溶出性改善剤、 および
( 8 ) 部分アルフ ァ化デンプンを添加するこ とを特徴とする、 上記 ( 1 ) 記 載の式 ( I ) で示される化合物も し く は製薬上許容される塩またはそれらの 溶媒和物を有効成分とする錠剤の溶出性の改善方法
を提供する。
本明細書中において、 「ァ リール」 とは、 フ エニル、 ナフチル、 アンス リ ル、 イ ンデニルおよびフ ヱナンス リル等を包含する。
「置換されていてもよいァ リール」 とはアルキル、 ヒ ドロキシ、 アルコキ シ、 ァリールォキシ、 ァシルォキシ、 カルボキシ、 エステル (アルコキシ力 ルボニル、 ァラルコキシカルボニル等) 、 シァノ、 ァミ ノ、 モノ も しく はジ 置換アミ ノ、 ヒ ドラジノ、 ヒ ドロキシァミ ノ、 アルコキシァミ ノ、 ハロゲン. ニ ト ロ、 ァシル、 力ルノ モイ ル、 チォカルバモイル、 力ルバモィルォキシ、 チォカルバモイルォキシ、 ウ レイ ド、 チォウレイ ド、 スルホンア ミ ド、 モノ も し く はジ置換スルホンアミ ド、 スルホン酸、 ノヽロゲノ アルキル、 ヒ ド ロキ シアルキル、 アルコキシアルキル、 ァシルォキシアルキル、 二 ト 口アルキル- ア ミ ノアルキル、 ァシルァミ ノアルキル、 シァノアルキルおよびカルボキシ アルキル等からなる群か ら選択された 1 以上の置換基を有 して も よい上記 ァリ ールを包含する。 好ま しい具体例と しては置換または非置換のフエニル が挙げられ、 フエニル上の置換基と してはメチル、 メ トキシおよびクロ 口等 が挙げられる。
「芳香族複素環基」 とは、 0、 Sおよび Nから任意に選択されるへテロ原 子を璟内に 1 以上有する環状基を意味し、 さ らに該環状基は炭素璟も し く は 他の複素環と縮合していても よい。 具体的にはピロ リル、 イ ミダゾ リル、 ピ ラゾ リル、 ピリ ジル、 ピ リダジニル、 ピリ ミ ジニル、 ピラジニル、 ト リ ァジ ニル、 イ ソォキサゾリル、 ォキサゾリル、 ォキサジァゾリ ル、 イ ソチアゾリ ル、 チアゾリル、 チアジアゾリル、 フ リルおよびチェニル等の 5〜 6員の芳 香族へテロ環や、 イ ン ド リル、 ベンズイ ミダゾリル、 イ ンダゾリル、 イ ン ド リ ジニル、 キノ リル、 イ ソキノ リル、 シンノ リ ニル、 フタラジニル、 キナゾ リ ニル、 ナフチリ ジニル、 キノキサリ ニル、 プテ リ ジニル、 ベンズイ ソキサ ゾリ ル、 ベンズォキサゾ リル、 ォキサジァゾリル、 ベンズ才キサジァゾ リ ル、 ペンズイ ソチアゾリ ル、 ベンズチアゾリル、 ベンズチアジアゾリル、 ベンゾ フ リ ル、 ベンゾチェニル、 力ルバゾリルおよびフエナジニル等の縮合芳香族 ヘテロ環等が挙げられる。
「置換されていてもよいよい芳香族複素環基」 の置換基と してはアルキル、 ヒ ドロキシ、 アルコキシ、 カルボキシ、 エステル (アルコキシカルボニル、
ァラルコキシカルボニル等) 、 シァノ、 ァミ ノ、 モノ も し く はジ置換ア ミ ノ ヒ ドラジノ、 ヒ ドロキシァミ ノ、 アルコキシァミ ノ、 ノヽロゲン、 ニ ト ロ、 ァ シル、 力ルバモイル、 チォカルバモイル、 力ルバモイルォキシ、 チォカルバ モイルォキシ、 ウレイ ド、 チォウレイ ド、 スルホンアミ ド、 モノ も し く はジ 置換スルホンア ミ ド、 スルホン酸、 ノゝロゲノアルキル、 ヒ ドロキシアルキル. アルコキシアルキル、 ァシルォキシアルキル、 ニ ト ロアルキル、 アミ ノ アル キル、 ァシルァ ミ ノアルキル、 シァノアルキルおよびカルボキシアルキル等 が挙げられ、 1 以上の任意の位置に置換基を有していても よい。 好ま し く は 非置換 5員芳香族へテロ環であ り、 さ らに好ま しく は非置換チェニル、 非置 換フ リル、 非置換イ ソォキサゾリルまたは非置換ピリ ジルであ り、 最も好ま し く は非置換イ ソォキサゾリ ルである。
「 1 以上の 0、 S、 S O、 S 0 2および Zまたは N R 1 (式中、 R 1は水素、 アルキル、 エステル化されたカルボキシ、 力ルバモイルまたはァシルである) を含んでいても よ く、 さ らに 1 以上のアルキルを置換基と して有していても よい 5〜 9員の脂環式基」 は隣接するピリ ジン環と縮合してお り、 具体的に はシクロペンテノ環、 シクロへキセノ環、 シクロへプテノ環、 シク ロォクテ ノ環およびシク ロノネノ璟等の炭素璟式基並びにピロ リ ジノ、 ピロ リ ノ、 ィ ミダゾリ ジノ、 イ ミ ダゾ リ ノ、 ビラゾリ ジノ、 ジヒ ドロチオフエノ、 ジヒ ド 口フラノ、 チアゾリ ノ、 ジヒ ドロビラノ、 ジヒ ドロチォピラノ、 ピペリ ジノ、 ピペラジノ、 モルホ リ ノ、 チオモルホリ ノ、 テ ト ラ ヒ ドロピリ ジノおよびテ トラ ヒ ドロピリ ミ ジノ等のへテロ脂環式基が挙げられる。 ジヒ ドロ ビラノ、 ジヒ ドロチォピラノ またはピペリ ジノが好ま し く、 特にジヒ ドロピラノ が好 ま しい。 これらは置換基と してアルキル (具体的には 1 ~ 2個のメチルまた はェチル等) を有していても よい。
「アルキル」 とは、 炭素数 1 ~ 1 0 の直鎖または分枝状のアルキルを包含 し、 好ま し く は炭素数 1 ~ 6 の低級アルキルである。 例えばメチル、 ェチル、 11 一プロ ピル、 イ ソプロ ピル、 n —プチル、 イ ソプチル、 s e c —プチル、 "t e r t —プチル、 n —ペンチル、 イ ソペンチル、 ネオペンチル、 t e r t
一ペンチル、 2 —メチルブチル、 n —へキシル、 イ ソへキシル、 ヘプチル、 イ ソへプチル、 ォクチル、 イ ソォクチル、 ノニルおよびデシル等を包含する 「ノヽロゲノ アルキル」 、 「ヒ ドロキシアルキル」 、 「アルコキシアルキル」 「ァシルォキシアルキル」 、 「ニ ト ロアルキル」 、 「ア ミ ノ アルキル」 、 厂ァ シルァ ミ ノアルキル」 、 「シァノ アルキル」 および 「カルボキシアルキル」 のアルキル部分は上記 「アルキル」 と同様である。
「エステル化された力ルポキシ」 とは、 メ ト キシカルボニル、 エ トキシカ ルボニル、 t e r t 一ブ トキシカルボニルおよびべンジルォキシカルポ二ル 等が挙げられる。
「ァシル」 とは、 炭素数 1 〜 1 0 の脂肪族ァシルおよび芳香族ァシルを包 含する。 具体的には、 ホルミル、 ァセチル、 プロピオニル、 ブチリ ル、 イ ソ ブチ リル、 ノ レ リル、 ピノ、'ロイル、 へキサノィル、 ァク リ ロイル、 プロ ピオ ロイル、 メタク リ ロイル、 ク ロ トノィル、 シク ロへキサンカルボニル、 ベン ゾィル、. 4 一二 ト ロべンゾィル、 4— t e r t —プチルベンゾィル、 ベンゼ ンスルホニルおよび トルエンスルホニル等を包含する。
「アルコキシ」 とは炭素数 1 〜 1 0 の直鎖または分枝状のアルコキシを包 含し、 好ま し く は炭素数 1 〜 6 の低級アルコキシである。 例えばメ トキシ、 エ トキシ、 η —プロポキシ、 イ ソプロポキシ、 η —ブトキシ、 イ ソブト キシ、 s e c —ブトキシ、 t e r t —ブトキシ、 n —ペンチルォキシ、 イ ソペンチ ルォキシ、 ネオペンチルォキシ、 t e r t —ペンチルォキシ、 2 —メチルブ トキシ、 n —へキシルォキシ、 イソへキシルォキシ、 ヘプチルォキシ、 イ ソ ヘプチルォキシ、 ォクチルォキシ、 イ ソォクチルォキシ、 ノニルォキシおよ びデシルォキシ等を包含する。
「アルコキシカルボニル」 、 「アルコキシァ ミ ノ」 、 「アルコキシアルキ ル」 および 「ァラルコキシ力ルポニル」 のアルコキシ部分は上記 「アルコキ シ」 と同様である。
「ァリールォキシ」 および 「ァラルコキシカルホ二ル」 のァリール部分は 上記 「ァリール」 と同様である。
厂ァシルォキシ」 、 「ァシルァミ ノアルキル」 および 「ァシルォキシアル キル」 のァシル部分は上記 「ァシル」 と同様である。
「モノ も し く はジ置換アミ ノ」 および 「モノ も し く はジ置換スルホンアミ ド」 の置換基と しては、 例えば 1 または 2 のヒ ドロキシ、 ハロゲン、 アルキ ル、 アルケニル、 ァシル、 ァリール等で置換されているァミ ノ またはスルホ ンア ミ ドを包含する。
「ハロゲン」 とは、 フ ヅ素、 塩素、 臭素およびヨウ素を包含する。
化合物 ( I ) には、 3種類の互変異性体が存在し、 上記式 ( I ) はその代 表例と して挙げてあるにすぎない。 従って、 化合物 ( I ) はその他の互変異 性体、 すなわち下記に示される ( 1 一 2、 3 a— 3 b、 4 — 5 ) に二重結合 を有する化合物 ( 1 , ) および ( 1 — 3 b、 2 — 3、 3 a - 4 ) に二重結合 を有する化合物 ( 1 ' ' ) を含む。
「化合物 ( I ) 」 という場合には、 各々の化合物の生成可能であ り、 製薬 上許容される塩も包含する。 「製薬上許容される塩」 と しては、 例えば塩酸. 硫酸、 硝酸、 リ ン酸、 フ ッ化水素酸、 臭化水素酸等の鉱酸の塩 ; ギ酸、 酢酸. 酒石酸、 乳酸、 クェン酸、 フマール酸、 マレイ ン酸、 コ 'ハク酸、 メ タ ンスル ホン酸、 ベンゼンスルホン酸、 p — トルエンスルホン酸等の有機酸の塩 ; ォ ルニチン、 ァスパラギン酸、 グルタ ミ ン酸等の酸性アミ ノ酸の塩等を挙げる こ とができる。 特に リ ン酸塩が好ま しい。
化合物 ( I ) はその溶媒和物も包含し、 化合物 ( I ) 1 分子に対し、 任意 の数の溶媒分子と配位していてもよい。 好ま し く は水和物である。
化合物 ( I ) はいずれも本発明製剤に好適に用いるこ とができるが、 特に 2 — ( 3 —イ ソォキサゾリル) 一 1 , 6 , 7 , 9 —テ ト ラ ヒ ドロイ ミダゾ [ 4:
P2004/000998
5— d ] ピラノ [ 4, 3 - b ] ピリ ジン リ ン酸塩 1水和物 (以下、 化合物 ( I — 1 ) とする こ ともある) が好ま しい。
本発明錠剤に使用する部分アルフ ァ化デンプンはデンプン (例えば ト ウモ ロコシデンプン等) を水と共に加熱して、 デンプン粒を部分的にアルフ ァ化 して乾燥したものである。 医薬品添加物規格 1 9 9 8 または食品添加物公定 書第七版等に記載されている ものを使用すればよい。
部分アルフ ァ化デンプンの添加量は主薬の種類、 その添加量、 添加剤の種 類、 その添加量、 錠剤のサイ ズ等によ り適宜変更可能であるが、 錠剤全量に 対し 1〜 3 0重量%、 好ま し く は 3〜 2 0重量%である。 これ以上の量を添 加する と結合性が低下し、 キヤ ッビング等の原因となる。 逆に、 これ以下の 量であれば崩壊性が低下する こ とによって溶出性が低下し、 好適な溶出性が 得られない。
尚、 ここで 「錠剤全量に対し」 の 「錠剤」' とは、 コーティ ングを施す前の 素錠を意味する。
本発明は縮合イ ミ ダゾピリ ジン誘導体および部分アルフ ァ化デンプンの 組み合わせと特徴とする ものである。 これらに加え、 錠剤に通常用いられる 医薬品添加剤は適宜組み合わせて用いるこ とができる。
例えば賦形剤 (乳糖、 コーンスターチ、 P E G 4 0 0 0、 D-マンニ トール、 リ ン酸氷素カルシウム、 結晶セルロース等) 、 滑沢剤 (ステアリ ン酸マグネ シゥム、 ステア リ ン酸カルシウム、 タルク、 マクロゴール 4 0 0 0、 ステア リ ン酸等) 、 崩壊剤 (部分アルファ化デンプン、 カルメ ロ一スナ ト リ ウム、 結晶セルロース、 カルメ ロ一スカルシウム、 ク ロスカルメ ロ一スナ ト リ ウム、 カルボキシメチルスターチナ ト リ ウム、 ク ロスポビ ドン、 低置換度ヒ ドロキ シプロ ピルセルロース等) 、 結合剤 (ヒ ド ロキシプロ ピルセルロース、 ヒ ド ロキシプロピルメチルセルロース、 メチルセルロース、 ポリ ピニルピ D リ ド ン、 ポリ ビニルアルコール、 ゼラチン、 デキス ト リ ン等) 、 保存剤 (安息香 酸、 安息香酸ナ ト リ ウム、 ソルビン酸等) 、 酸化防止剤 (ァスコルビン酸、 ビタ ミ ン E、 ブチルハイ ドロキシ トルエン等) 、 湿潤剤 (グリセ リ ン、 プロ
ピレングリ コール等) 、 矯味剤 (ブ ドウ等、 サッカ リ ンナ ト リ ウム、 グル夕 ミ ン酸ナ ト リ ウム等) 、 着色剤 (カロチン、 酸化チタン等) および香料 (メ ン トール等) 等の通常錠剤に使用される添加剤を適宜選択し、 製剤化の適当 な段階で添加するこ とができる。
' 本発明錠剤の好ま しい一態様と して、 縮合イ ミダゾピリ ジン誘導体、 部分 アルファ化デンプン、 乳糖およびヒ ドロキシプロピルセルロース (以下、 H P C とする) の組み合わせが挙げられる。
乳糖および H P Cは第十四改正日本薬局方、 医薬品添加物規格 1 9 9 8 ま たは食品添加物公定書第七版等に記載されているものを使用すればよい。 乳糖は含水乳糖および無水乳糖を包含する。 特に含水乳糖が好ま しい。 乳 糖の配合量はその他の添加剤の量、 錠剤のサイ ズ等によ り適宜変更可能であ るが、 錠剤全量に対して 2 0〜 9 5重量%、 好ま し く は 4 0 ~ 9 0重量%、 最も好ま し く は 5 5〜9 0重量%である。
また、 必要に応じて乳糖の一部をコーンスターチに置き換えるこ とができ る。 例えば錠剤全量に対して乳糖が 2 0〜 7 5重量%およびコ一ンスターチ が 0 ~ 2 0 %とすればよい。 コーンスターチは第十四改正日本薬局方、 医薬 品添加物規格 1 9 9 8 または食品添加物公定書第七版等に記載されている ものを使用すればよい。
H P Cは H P C L、 H P C S L、 H P C S S L等種々の粘度を有する ものを包含する。 好ま し く は H P C Lまたは H P C S Lである。 その添加 量は主薬の種類、 その添加量、 添加剤の種類、 その添加量、 錠剤のサイズ、 H P Cの種類 (粘度) 等によ り適宜変更可能であるが、 錠剤全量に対して好 ま し く は 0 . 1 ~ 5重量%、 好ま し く は 0 . 5〜3重量%、 最も好ま し く は 1 ~ 2重量%である。 これ以上の量を添加する と打錠時のスティ ッキング等 の原因となる。 また、 造粒過多によって結合力が増大し崩壊遅延が起こる。 逆にこれ以下の量であれば結合性が低下し、 キヤ ッ ビング等の原因となる他、 造粒が進行せず良好な造粒物が得られない。 さ らに、 流通工程での摩損、 破 損の原因とな り得る。
また、 本発明錠剤には、 必要に応 じ、 さ らにステアリ ン酸マグネシウムを 添加してもよい。
ステア リ ン酸マグネシウムは医薬品添加物規格 1 9 9 8 に記載されてい るものまたは食品添加物と して使用され得る ものを用いればよい。 ステア リ ン酸マグネシウムの配合量は主薬の種類、 濃度および添加量、 添加剤の種類. 錠剤のサイズ等によ り適宜変更可能であるが、 錠剤全量に対して 0 . 1 〜 5 重量%、 好ま し く は 0 . 5 ~ 3重 S %、 最も好ま し く は 1 ~ 2重量%である , これ以上の量を添加する と錠剤の硬度が低下し、 溶出性 · 崩壊性が低下する , 逆にこれ以下の量であればステイ ツキングの原因となる。
本発明錠剤中の主薬は、 その薬効発現量や錠剤のサイズ、 患者の疾患の程 度に応じた投与量を考慮して適宜変更する こ とができ、 錠剤全量に対して 3 〜 8 0重量%、 好ま しく は 5 ~ 4 0重量%.程度を配合すればよい。 これ以上 の量を添加する と製剤化に必要な添加物の相対量が減少するこ とから製剤 化が困難となる。 これ以下の量であれば含量の均一性の確保が困難となる。 また、 適切な体内吸収量を得るために服用する錠剤数を増やす必要とな り、 患者への負担の点から好ま し く ない。
本発明錠剤は、 当業者に周知の方法、 例えば、 乾式造粒法、 攪拌造粒法ま たは流動層造粒法等で調製することができる。
例えば流動層造粒法で製剤化する場合には、 まず有効成分および乳糖を篩 別 · 混合する。 そこへ H P C水溶液をスプレーしながら造粒、 乾燥し、 再度 篩別によ り整粒する。 ステアリ ン酸マグネシウムおよび部分アルフ ァ化デン プンを添加、 混合して打錠すれば素錠が得られる。
こう して得られた素錠は、 腸溶性製剤化、 徐放製剤化、 副作用の軽減、 有 効成分の安定化、 輸送時の破損防止、 服用感の向上等の目的から必要に応じ てコーティ ングするこ とができる。 コ一ティ ングの種類と しては糖衣、 ゼラ チンコーティ ング、 腸溶コーテイ ング、 フ ィ ルムコーティ ング等が挙げられ、 好ま しく はフ ィ ルムコーティ ングである。
コーティ ングは常法に従い行えばよ く、 例えばフ ィ ルムコーティ ングを行
う際には、 フィルム基剤および通常使用される医薬品添加物 (例えば遮光剤 可塑剤、 滑沢剤等) を混合したコーティ ング溶液を上記素錠に噴霧すればよ い o
好ま しいコ一ティ ング溶液と しては、 フ ィ ルム基剤 5 0 ~ 9 5部、 好ま し く は 6 0〜 8 0部に遮光剤 ;! 〜 3 0部、 好ま し く は 1 0〜 2 5部および可塑 剤 5〜 2 0部、 好ま し く は 5〜 1 5部を混合したものが挙げられる。
フ ィルム基剤と してはヒ ドロキシプロ ピルメチルセルロース、 ェチルセル ロース、 ヒ ドロキシプロ ピルセルロース、 セルロースアセテー ト フタ レー ト . ヒ ドロキシプロ ピルメチルセル口一スフ夕 レー ト、 カルボキシメチルェチル セルロース、 ヒ ドロキシプロピルメチルセルロースアセテー トスクシネー ト 等、 遮光剤と しては酸化チタ ン等、 可塑剤と してはクェン酸ト リエチル、 中 鎖脂肪酸 ト リ グリセ リ ド、 マク ロゴール ( P E G ) 、 ト リ ァセチン、 プロ ピ レングリ コール等が挙げられる。
錠剤をコーティ ングした後、 必要に応じて、 さ らに微量のステア リ ン酸マ グネシゥム、 ステアリ ン酸カルシウム、 ステア リ ン酸、 タルク、 マクロゴー ル等の滑沢剤を噴霧してもよい。
本発明錠剤の投与量は、 主薬の種類および濃度、 患者の年齢および疾病の 種類や程度等を考慮した上で設定すればよい。 例えば、 成人に投与する場合 には錠剤 1錠あた り に主薬を l m g〜 l 0 0 m g、 好ま し く は 5 ~ 4 0 m g 程度を配合し、 1 日あた り 1 ~ 1 0錠を 1 回〜数回に分けて投与すればよい c 以下に実施例を示し、 本発明をさ らに詳し く 説明するが、 これらは本発明 を限定する ものではない。 実施例
実施例 1
ィ匕合物 ( I一 1 ) (C12H10N4O2 · H3P04 · H20) 3 0 0 と 1 唐 ( 3 8 4 0 g) との混合物を流動層造粒機 (グラ ッ ト製 : W S G— 5型) で、 H P C ( 4 5 g ) を溶解させた結合剤溶液をスプレーしながら造粒した後、 同装置内で
乾燥し乾燥物を得た。 この乾燥物を 2 0 m e s hのスク リーンを装着した粉 砕機 (昭和化学機械製 : P— 3型パワーミル) で製粒し顆粒を得た。 この顆 粒に対し部分アルファ化デンプンを 2 2 5 g (上記顆粒に対して 5 . 4 % ) とステア リ ン酸マグネシウムを 9 0 g (上記顆粒に対して 2 · 1 5 % ) 添加 混合し、 打錠用顆粒を得、 0 7 . 0 mmの杵を装着したロータ リ一打錠機 (菊 水製作所製 : R T M— S 3 0 K - 2 S型) を用いて 1錠当 り 1 5 0 m g、 厚 み 3 . 2 mmの素錠を得た。 この錠剤を通気式コーティ ング機 (フ ロイ ン ト 製: H C— 4 8 ) に揷入し、 ヒ ドロキシプロピルメチルセルロース ( 7 0 g ) 、 酸化チタ ン ( 2 0 g ) およびクェン酸ト リェチル ( 1 0 g ) を溶解または分 散させたコーティ ング液をスプレーし、 コーティ ング錠を得た後、 ステア リ ン酸マグネシウムを塗布して最終製剤を得た。
実施例 2 〜実施例 6
以下の組成で同様に錠剤を製造する。 実施例 2〜 6はコーティ ング錠、 実 施例 7、 比較例 1および比較例 2は素錠である。 難例 i:瞧 i瞧
2 3 4 5 6 7 1 2
20mg lOOmg lOmg 20mg 40mg 0mg 40mg 40mg
118mg 38mg 108mg 98mg 75mg 83mg 83mg 83mg コ-ンスタ 20mg 20mg 20mg
HPC 15mg 15mg 3.0mg 3.0mg 3.0mg 3.0mg 3.0mg 3.0mg 部分) ¾ファ化テ、、 75mg 7 mg 7-5mg 7.5mg 7.5mg 225mg
ンフ。ン
カルメロ-ス Ca 225mg
ク瞻メロ-ス Na 225mg ステアリン酸 3.0mg 3.0mg 15mg 1.5mg 15mg l-5mg 15mg 15mg マグ、機
1 HPMC 3.5mg 3 mg 28mg 2.8mg 28mg
酸膽 l.Omg 1.0mg 0.8mg 0.8mg 0.8mg
テ ク!酸 05mg 05mg 0-4mg 0.4mg 0.4mg
ィ トリェチル
ン ステアリン酸 0.04 0.04
ク" マケ、 (trace) (trace)
試験例 1 溶出性試験
1. 方法
実施例 7 の錠剤 1個および試験液と して日局第 2液 900mL を用い、 溶出 試験法パ ドル法によ り、 毎分 5 0 回転で試験を行った。 同様に、 比較例 1 お よび 2 の錠剤について同様の試験を行った。
溶出試験開始 5、 10、 20、 30、 60分後、 フ ァイナルフ ィ ルタ一 (前田産業 F216 ) 付きホールピぺヅ トを用いて溶出液 5mL を正確にと り、 試料溶液と した。
別に下記の方法で標準溶液を調製した。
2. 標準溶液
化合物 ( I一 1 ) 約 0.044g を精密に量り、 試験液を加えて溶かし、 正確 に 100ml と した。 この液 10mLを正確に量り、 試験液を加えて lOOmL と し、 標準溶液と した。
3. 測定法
試料溶液及び標準溶液 5niL にっき、 2 波長測定法によ り試験を行った。 波 長 278nm と 350ιιιη の吸光度差を吸光度と し、 化合物 ( 1 — 1 ) の表示量に 対する溶出率 (%) を求めた。
結果を図 1 に示す。 図から明らかなよう に、 崩壊剤と して部分アルフ ァ化 デンプンを添加 した錠剤は比較例 1 および 2 の錠剤と比較 して非常に優れ た溶出性を示した。 試験例 2 安定性試験
1. 試料溶液の調製
実施例 6 の錠剤 ( 4 5 °C · 1 ヶ月〜 3 ヶ月保存、 4 5 °C ·相対湿度 7 5 % · 1 ヶ月〜 3 ヶ月保存、 600000Lx*h照射、 3600000Lx*h照萄寸) 1個をと り、 l OOmLの共栓三角フ ラスコ に入れ、移動相 30mLを正確に加えて手で軽く振 り混ぜた後 20分間超音波を照射し、 錠剤を崩壊させた。
2. 測定法
試料溶液 20〃 Lにっき、 次の条件で液体ク口マ ト グラフ法によ り化合物 ( 1 — 1 ) の表示量に対する含量 (%) を求め、 残存率 (%) と した。 3. 試験条件
検出器 : 紫外吸光光度計 (測定波長 : 273nra)
カラム : YMC AM-302 ODS ( φ 4.6Χ 150 mm)
移動相 : 50mMの酢酸/ HPLC用メタノ一ル混液 (82: 18)
流量 : l.OmL/min 結果を以下に示す。
表 2
表 2から明らかなとお り、 本発明錠剤は各条件での保存後も有効成分含量 の低下は見られず、 安定であった。 試験例 3 溶出性試験
実施例 6の錠剤を用い、 「保存前」 ならびに 「 4 5 °〇 · 1 ヶ月保存」 、 「 4 5 °C · 3 ヶ月保存」 、 「 4 0 °C · 相対湿度 7 5 % · 1 ヶ月保存」 および 「 4 0 °C · 相対湿度 7 5 % · 3 ヶ月保存」 の錠剤について溶出性試験を行つた。 試験液と して日局第 1液 ( H 1 . 2 ) および日局第 2液 ( p H 6 . 8 ) を 使用 し、 試験例 1 と同様の方法で溶出率 (% ) を求めた。
結果を 日局第 1液を用いた結果を図 2に、 日局第 2液を用いた結果を図 3
に示す。 図から明らかなとおり、 本錠剤は保存後も保存前と同程度の溶出性 示した。 産業上の利用可能性
以上の試験例から明らかなように、 本発明錠剤は優れた溶出性を示すため - 速やかな薬効発現が期待できる。 従って、 本発明錠剤は化合物 ( I ) を有効 成分とする経口投与製剤として非常に有用である。