明 細 書
TGF 0阻害活性を有する化合物の新規用途 ' [発 明 の 背 景]
発明の分野
本発明は、 TGF /3阻害化合物を用いた血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞 の体外分化 ·増幅法に関するものである。 さらに、 本発明は、 TGF j3阻害化合 物を用いた虚血性疾患または血管透過性の亢進を伴う疾患の治療法に関するもの である。
背景技術
虚血性心疾患や慢性閉塞性動脈硬化症患者に対しては、 生活習慣の改善勧告に 加え、 薬物療法や運動療法などが行われる。 Fontanelll度または IV度の重症患者 に対しては、 血管造影を行った後に経血管的な血管形成術、 さらには外科的なバ ィパス手術が試みられる。 これらの一連の方法は確立された有効な治療法である が、 一定の確率 (30〜40%) で、 拡張した血管やバイパスの再狭窄や閉塞が 見られる。 特に、 Buerger病として知られる閉塞性血栓血管炎 (TAO) の患者 のように、 器質的な血栓の内径が小さい場合には、 血管形成術やバイパス手術は 再狭窄を起しやすいため、 施行不可能である。 このような患者に対しては、 新た な治療法が必要となっている (最新医学、 57巻、 1号、 2002) 。
胎児の血管形成には、 血管発生と血管新生の 2つの段階があるとされている。 血管発生は、 血管内皮前駆細胞 (EPC ; Endothelial Progenitor Cell) が目 的部位で分化しながら血管を形成する過程とされる。.分化した、 または分化しつ つある血管内皮細胞 (EC ; Endothelial Cell) は血管腔を形成し、 お互いに融 合されて血管叢を形成する。 これに対し、 血管新生は、 既成の血管が刺激を受け、 細胞の増殖 ·遊走を経て新たな血管を作り出す過程をいう。 つまり、 胎児血管形 成は血管発生に始まり、 後に血管新生がなされて完了することになる。 一方で、 成体においては、 創傷治癒、 癌などの病的血管形成、 または子宮卵巣などでの生 理的血管形成には、 既存血管から新たな血管を作り出す血管新生の機序だけが存
在すると考えられていた。 ところが、 最近になって血管内皮前駆細胞が成体血液 中で発見され、 胎児内だけでなく、 成体においても同じ機構 (血管新生と血管発 生の機序) で血管形成がなされることが判明した (最新医学、 57巻、 1号、 200 2) 。
ヒト血管内皮前駆細胞は、 末梢血、 G— CS F動員末梢血、 臍帯血または骨髄 の CD 34+細胞、 AC 1 3 3 +細胞もしくは F 1 k一 1 +細胞 (VEGFR 2 細胞とも呼ばれ、 ヒト由来である場合には KDR+細胞とも呼ばれる) またはこ れらの細胞を含む単核球画分から得られることが知られており (Blood 95: 952, 2000; J. Clin. Invest. 105: 1527, 2000; Pro. Nat. Acad. Sci. USA 97: 34 22, 2000) 、 よって、 これらの細胞または細胞画分は血管内皮前駆細胞の供給源 として用いることができる。
循環器領域では、 虚血部位の血管新生療法や動脈硬化部位の血管内皮再生療法 として、 増殖させた血管内皮前駆細胞を投与する方法 (細胞医療) が考えられて いる。 Kalkaらにより、 成人末梢血を培養して血管内皮細胞を得た後、 これを利 用して免疫不全マウスの下肢虚血モデルにヒト血管内皮前駆細胞を投与すると、 新生血管の増加がもたらされ、 虚血筋肉組織内の血流改善が促進されることが確 認された(Pro Natl. Acd. Sci. USA 97: 3422-3427, 2000)。 この療法は免疫 不全ラッ卜の心筋梗塞モデルにも応用され、 組織学的に新生血管の増生および心 筋壊死の現象を誘導し、 心筋の機能改善にも役割を果たすことが判明している(C irculation 103: 634-637, 2001)。 この血管内皮前駆細胞治療の最大の利点は、 自分の細胞を末梢血液から採取して治療に応用できるところにある。 よって、 血 管内皮前駆細胞治療は倫理面でも免疫学的にも問題がなく、 血管内-皮前駆細胞の 前駆細胞としての増殖 ·分化を利用した強力かつ生理的な先進的治療として注目 されてい'る。 しかし、 成人末梢血由来の血管内皮前駆細胞には量的な制限がある ため、 この治療法を臨床的に実用化するためには効率の良い血管内皮前駆細胞の 増幅法の確立が必要とされている (最新医学、 57巻、 1号、 2002) 。
血管内皮前駆細胞を投与する細胞医療以外の試みとして、 心血管領域において は、 血管新生に対するプラスの因子である VEGFの遺伝子や蛋白質を利用した 血管新生療法の基礎的,臨床的研究が急速に進んでいる。 しかし、 VEGFによ
つて形成された血管は、 正常のものに比べて透過性が高く、 穴の空きや,すい脆弱 な管であることが判明し、 問題も指摘されている (最新医学、 57巻、 1号、 2002 ;血管生物学、 児玉龍彦ら、 講談社、 1997) 。
前記血管透過性の亢進を伴う疾患としては、 例えば、 糖尿病の合併症である糖 尿病性細小血管症 (例えば、 網膜症、 腎症、 神経障害など) および糖尿病性大血 管症 (例えば、 虚血性心疾患、 脳血管障害、 閉塞性動脈硬化症など) が知られて いる。 細小血管症は、 細小血管壁を構成する血管内皮細胞および該細胞を支持す る基底膜の弾力性および強度の喪失、 血管透過性の亢進に起因するものとされて いる (最新医学、 57卷、 6号、 2002) 。 その他、 脳卒中および脳挫傷などの後に 起こる血管性脳浮腫、 脳虚血および低酸素血症などの後に起こる細胞毒性脳浮腫、 全身浮腫、 網膜浮腫、 肺水腫、 糖尿病などの疾患においても血管透過性の亢進が 観察されており、 いずれの疾患も重篤であることから、 血管透過性の改善法およ びそのための治療剤の開発が望まれている。
TGF /3 (Transforming Growth Factor-i3) は強力な細胞増殖抑制因子であ り、 多くの細胞の機能や増殖を抑制することが知られている。 TGF i31の細胞 増殖阻害作用は、 細胞周期の G 1期から S期への移行が阻害されることによる。 これは、 細胞周期を制御する因子の一つである Rb蛋白質が TGF の作用によ り低リン酸化状態に維持されるためである。 G 1期から S期への移行に関与する Rb蛋白質のリン酸化は、 サイクリン依存性キナーゼ (Cd k) とこれに結合す るサイクリンとによって調節されている。 TGF /3は C d k 4の合成を抑制し、 また、 C d kの下流で作用すると C d k 2一サイクリン E複合体の活性を抑制す る。 さらに、 TGF jSは C d kインヒビ夕一である p21cip/WAFlや P15INK4Bな 'ど の発現を促進し、 結果的に p27Kiplの活性を促進することが知られている。 これ らの一連の反応によって、 TGF ;3による細胞周期の停止が起こると考えられて いる (J.. Lab. Clin. Med. 128: 355-360, 1996) 。 このような作用は、 2種類 のセリン /スレオニンキナーゼ型レセプター ( I型と I I型) を介したものであ り、 TGF ]3の I型レセプターとしては ALK— 5 (activin receptor-like ki nases-5) が同定されている。
TGF /3と血管内皮細胞との関係では、 ALK— 5のノックァゥトマウスにお
いて重篤な血管の発達異常が報告され、 TGF |3の血管形成への関与が明らかと なっている (EMB0, 20: 1663-1673, 2001)。 細胞を利用した in vi tro実験におい ては、 TGF /3は、 VEGFのレセプ夕一である F 1 k— 1の遺伝子発現に対し て抑制的に働くことが報告されている (J. Biol. Chem. 271; 11500-11505, 199 6)。 しかし、 その TGF j3による血管形成メカニズムについては不明なところが 多い。 幾つかの研究グループにより、 TGF |3が、 細胞外基質、 基質分解酵素の 産生、 および接着因子の発現亢進を介して血管新生誘導に関与することが報告さ れているが(Genes Dev. 10: 2462-2477, 1996; Jpn. J. Cancer Res. 84: 589-5 93, 1993)、 反対に、 TGF i8阻害により血管新生が亢進するという報告もみら れる (Cell Growth & Differ. 1; 367-374, 1990)。 さらに、 血管内皮細胞及び 平滑筋細胞はともに血管内皮前駆細胞から発生することが知られているが、 それ らの分化に対する TGF シグナルの関与は明らかとされていない。
TGF i3阻害活性を有する化合物としては多種多様なものが知られており、 例 えば、 次の P CT国際公開パンフレツトに記載されたものを挙げることができる : WO 9 9/0 5 1 0 9, WO 9 9/5 1 62 3, WO 00/44743 , WO 0 0/5 5 1 2 9, WO 0 1/6 2 7 5 6, WO 0 1/72 7 3 7, WO 0 1 / 7 6 6 04、 WO 0 2/4046 2、 WO 02/4046 7、 WO 0 2/404 6 8、 WO 0 2/40486、 WO 0 2/4047 6、 WO 0 2/5 50 77、 WO 0 2/6 646 2、 WO 0 2/0 6 2 7 5 3、 WO 0 2/0 62 7 7 6、 W 00 2/0 6 2 7 8 7、 WO 0 2/0 62 7 9 3, WO 0 2/0 62 7 94、 W ◦ 0 2/0 948 3 3、 および WO 0 2Z1 0 1 3 1。
[発 明 の 概 要]
本発明者らは、 まず、 TGF /3中和抗体を用いて TGF iS阻害による血管内皮 細胞の増幅を行なうことが出来るか否かを、 マウス胚幹細胞 (E S細胞) から分 化した F 1 k一 1陽性細胞を用いた血管内皮細胞分化系 (Yamashita et al., Na ture 408: 92-96, 2000) にて検討した。 しかし、 T G F ;3中和抗体にそのよう な活性を見出すことはできなかった。 通常、 レセプターが細胞に発現している場 合、 リガンドがなくとも微量のシグナルが恒常的に伝達されることが知られてい
る。 また、 細胞が産生する TGF ]3が該細胞の受容体に結合してシグナルが伝達 される場合、 細胞外から中和抗体などでそのシグナルを阻害するのは困難である ことも知られている。 そこで、 細胞内に伝達される TGF シグナルをキナーゼ 阻害活性を有する化合物を用いて抑制した場合の効果について検討したところ、 以下のような現象が見られた。
(1) TGF /3阻害化合物は、 平滑筋細胞への分化に比較して、 血管内皮細胞へ の分化を促進した。
(2) TGF β阻害化合物は血管内皮細胞の細胞増殖に対し促進的に作用した。
(3) TGF i3阻害化合物は接着因子である Claudin- 5の発現を亢進させ、 細胞 間接着性を亢進させた。
(4) TGF i3阻害化合物は、 ES細胞由来の血管内皮前駆細胞だけでなく、 ヒ ト末梢血単核球に対しても作用し、 血管内皮前駆細胞の増殖および分化を促進し た。
(5) TGF 3阻害化合物は血管新生を促進した。
これらの現象は、 分子構造において骨格の異なる TGF ;3阻害低分子化合物に ついて観察されており、 従って、 TGF 3阻害化合物に共通な現象であることも 示された。
本発明者らは、 上記の現象に基づき、 血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞の 体外分化/増幅法に関して、 TGF )3阻害活性を有する化合物が血管内皮前駆細 胞および血管内皮細胞の体外分化 Z増幅に有効であるとの知見を得た。 さらに、 本発明者らは、 TGF i3阻害活性を有する化合物が、 虚血性疾患および血管透過 性の亢進を伴う疾患の治療剤として有効であるとの知見を得た。 本発明はこれら 知見に基づくものである。
従って、 本発明の第一の目的は、 TGF 阻害化合物を用いた血管内皮前駆細 胞および血管内皮細胞の効率の良い製造方法を提供することにある。 そして、 本 発明による血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法は、 細胞または細胞 画分を、 TGF jS阻害活性を有する化合物を含んでなる培地において培養するこ とを含んでなるものである。
本発明の第二の目的は、 TGF /3阻害化合物を用いた虚血性疾患の治療のため
の医薬組成物および血管透過性の宂進を伴う疾患において血管透過性を改善する ための医薬組成物を提供することにある。 そして、 本発明による虚血性疾患治療 用の医薬組成物は、 本発明による製造方法により製造された血管内皮前駆細胞お よび Zまたは血管内皮細胞、 あるいは、 TGF iS阻害活性を有する化合物を含ん でなるものである。 さらに、 本発明による、 血管透過性の亢進を伴う疾患におい て血管透過性を改善するための医薬組成物は、 TGF ;3阻害活性を有する化合物 を含んでなるものである。
本発明の第三の目的は、 本発明による方法により製造された血管内皮前駆細胞 および血管内皮細胞を用いたティッシュエンジニアリング技術を提供することに める。
本発明により、 血管内皮前駆細胞および血管内皮細胞の製造効率が改善され、 また、 虚血性疾患および血管透過性の亢進を伴う疾患の新たな治療法およびその ための医薬が提供される。 .
[図面の簡単な説明]
図 1は、 血管内皮前駆細胞の増幅培養に対する T GF i3阻害化合物の効果を示 す図である。
[発明の具体的説明]
本発明による血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法においては、 細 胞または細胞画分が、 TGF 阻害化合物を含んでなる培地において培養される。 ― 本明細書において、 「TGF ;3阻害活性を有する化合物」 または TG iSlS 害化合物」 とは、 TGF /3阻害活性、 すなわち、 サイト力インの一種である TG F βの、 細胞内または組織内における活性を阻害する作用を有する化合物をいう。 TGF i3阻害活性は、 当業者に公知の方法、 例えば、 J. Boil. Chem. , 273, 211 45-21152 (1998)に記載の方法、 国際公開第 0 1 /7 2 7 3 7号パンフレツ卜に 記載の方法などにより測定することができる。
前記細胞または細胞画分は、 血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞に分化しう るものであればよく、 特に制限されないが、 好ましくは F 1 k一 1+細胞、 単核
球画分、 CD 34+細胞、 または AC 1 33+細胞とされる。 前記 F l k_ l+細 胞は、 胚幹細胞から得られたものであることが好ましい。 前記 CD 34+細胞お よび AC 1 33+細胞は、 単核球画分から得られたものであることが好ましい。 前記単核球画分は、 末梢血または臍帯血から得られたものであることが好ましく、 さらに、 該末梢血は、 G— C S Fまたは GM—C S Fを投与したヒトから得られ たものであることが好ましい。
前記培地は、 細胞の分化を可能とするものであればよく、 特に制限されない。 このような培地としては多種多様なものが当技術分野において知られており、 ま た、 多くのものが市販されている。 よって、 当業者は、 培養に用いる細胞または 細胞画分の種類および目的とする分化細胞の種類に応じて、 適切な培地を選択ま たは調製することができる。 前記培地は、 好ましくは血管内皮前駆細胞分化.用の 培地または血管内皮細胞分化用の培地とされる。
前記培地への TGF 阻害化合物の添加量は特に制限されるものではないが、 好ましくは 0. 1〜 50 M、 より好ましくは 0. 5〜20 Mとされる。
本発明の好ましい実施態様によれば、 前記培地は、 血管内皮前駆細胞または血 管内皮細胞の増殖を促進する少なくとも一種のサイトカインを含んでなるものと され、 このようなサイト力インは、 例えば、 VEGF— A、 VEGF— C、 VE GF - E、 aFGF、 bFGF、 EGF、 T G F a、 PD - ECGF、 PDGF、 TNF a, HGF、 および I G F— 1からなる群より選択することができる。 さ らに、 前記培地は、 好ましくは VEGF— A、 VEGF—(:、 および VEGF— Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインを含んでなるものと され、 さらに—好ましぐは、 "これ ¾に加えて b F G F、 I G F— 1および E G F—を 含んでなるものとされる。
他の培養条件は、 一般に細胞の増殖を目的として用いられる条件であればよく、 特に制限されない。 すなわち、 培地への細胞または細胞画分の添加量、 培養温度、 C02濃度、 培養期間などの条件は、 当業者が適宜設定することができる。 培養 温度は、 好ましくは約 37°Cとされる。 また、 必要に応じて、 C02濃度を調節 してもよく、 好ましくは約 5 %とすることができる。
上記の方法により得られた血管内皮前駆細胞および Zまたは血管内皮細胞は、
虚血性疾患を治療する目的で、 背景技術の項で説明したような細胞医療において 利用することができる。
従って、 本発明によれば、 治療上有効な量の、 本発明による方法によって製造 された血管内皮前駆細胞および Zまたは血管内皮細胞を被験者に投与することを 含んでなる、 虚血性疾患の治療方法が提供される。 被験者は、 好ましくは哺乳動 物とされ、 例えば、 ヒトまたは非ヒト哺乳動物とされる。
前記虚血性疾患としては、 例えば、 外傷、 移植時の拒絶反応、 虚血性脳血管障 害 (例えば、 脳卒中、 脳梗塞など) 、 虚血性腎疾患、 虚血性肺疾患、 感染症に関 連する虚血性疾患、 四肢の虚血性疾患 (例えば、 閉塞性動脈硬化症など) 、 虚血 性心疾患 (例えば、 虚血性心筋症、 心筋梗塞症、 虚血性心不全など) などが挙げ られる。
本発明による方法によって製造された血管内皮前駆細胞および/または血管内 皮細胞は、 細胞医療の分野において一般に用いられる投与経路および治療上有効 量で投与することができる。 よって、 投与経路は特に制限されるものではないが、 好ましくは非経口投与、 より好ましくは皮下投与、 静脈内投与、 冠血管力テーテ ル投与、 筋肉内投与、 または心筋内投与とされる。'治療上有効量もまた特に制限 されるものではなく、 被験者の状態、 例えば、 患者の年齢、 体重、 性別、 疾患の 相違、 症状の程度などを考慮して適宜決定される。
また、 本発明によれば、 虚血性疾患治療用医薬の製造のための、 本発明による 方法により製造された血管内皮前駆細胞および Zまたは血管内皮細胞の使用が提 供される。
さらに、 本発明によれば、 本発萌による方法により製造された血管内皮 f駆細- 胞および Zまたは血管内皮細胞を含んでなる、 虚血性疾患を治療するための医薬 組成物が提供される。 この医薬組成物は、 上述の投与経路および投与量に応じて、 または細胞医療における周知技術に従い、 当業者によって適宜製造されうる。
T G F iS阻害化合物は、 ex vivoだけでなく、 in vivoにおいても血管内皮前駆 細胞および Zまたは血管内皮細胞の分化および増幅を促進する。 よって、 T G F 0阻害化合物を被験者に直接投与することによつても、 虚血性疾患を治療するこ とが可能である。 また、 T G F i3阻害化合物の直接投与により、 血管透過性の亢
進を伴う疾患において血管透過性を改善することも可能である。
従って、 本発明によれば、 治療上有効な量の T G F jS阻害化合物を被験者に投 与することを含んでなる、 虚血性疾患の治療方法または血管透過性の亢進を伴う 疾患において血管透過性を改善する方法が提供される。 被験者は、 好ましくは哺 乳動物とされ、 例えば、 ヒトまたは非ヒト哺乳動物とされる。
また、 本発明によれば、 虚血性疾患治療用医薬または血管透過性の亢進を伴う 疾患において血管透過性を改善するための医薬の製造のための、 T G F ;3阻害化 合物の使用が提供される。
さらに、 本発明によれば、 T G F |3阻害化合物を含んでなる、 虚血性疾患を治 療するための医薬組成物または血管透過性の宂進を伴う疾患において血管透過性 を改善するための医薬組成物が提供される。
前記虚血性疾患としては、 例えば、 外傷、 移植時の拒絶反応、 虚血性脳血管障 害 (例えば、 脳卒中、 脳梗塞など) 、 虚血性腎疾患、 虚血性肺疾患、 感染症に関 連する虚血性疾患、 四肢の虚血性疾患 (例えば、 閉塞性動脈硬化症など) 、 虚血 性心疾患 (例えば、 虚血性心筋症、 心筋梗塞症、 虚血性心不全など) などが挙げ られる。
前記血管透過性の亢進を伴う疾患としては、 例えば、 糖尿病の合併症である糖 尿病性細小血管症 (例えば、 網膜症、 腎症、 神経障害など) および糖尿病性大血 管症 (例えば、 虚血性心疾患、 脳血管障害、 閉塞性動脈硬化症など) 、 血管性脳 浮腫 (脳卒中および脳挫傷などの後に起こることが知られている) 、 細胞毒性脳 浮腫 (脳虚血および低酸素血症などの後に起こることが知られている) 、 全身浮 腫、 網膜浮腫、 肺水腫、 糖尿病などが挙げられる。
T G F /3阻害化合物は、 経口および非経口 (例えば、 静脈内投与、 筋肉内投与、 皮下投与、 直腸投与、 経皮投与) のいずれかの投与経路で投与することができる。 従って、 T G F 阻害化合物を含んでなる医薬組成物は、 投与経路に応じた適当 な剤型に製剤化される。 具体的には、 経口剤としては、 錠剤、 カプセル剤、 散在、 顆粒剤、 シロップ剤などが挙げられ、 非経口剤としては、 注射剤、 座剤、 テープ 剤、 軟膏剤などが挙げられる。 - これらの各種製剤は、 通常用いられている賦形剤、 崩壊剤、 結合剤、 滑沢剤、
着色剤、 希釈剤などを用いて常法により製造することができる。
賦形剤としては、 例えば、 乳糖、 ブドウ糖、 コーンスターチ、 ソルビット、 結 晶セルロースなどが、 崩壊剤としては、 例えば、 デンプン、 アルギン酸ナトリウ ム、 ゼラチン末、 炭酸カルシウム、 クェン酸カルシウム、 デキストリンなどが、 結合剤としては例えばジメチルセルロース、 ポリビニルアルコール、 ポリビニル エーテル、 メチルセルロース、 ェチルセルロース、 アラビアゴム、 ゼラチン、 ヒ ドロキシプロピルセルロース、 ポリビニルピロリドンなどが、 滑沢剤としては、 例えば、 タルク、 ステアリン酸マグネシウム、 ポリエチレングリコール、 硬化植 物油などがそれぞれ挙げられる。
また、 上記注射剤は、 必要により緩衝剤、 pH調整剤、 安定化剤、 等張化剤、 保存剤などを添加して製造することができる。
本発明による TGF iS阻害化合物を含んでなる医薬組成物において、 TGF ;3 阻害化合物の含有量は、 その剤型に応じて異なるが、 通常全組成物中 0. 5〜5 0重量%、 好ましくは 1〜20重量%である。
TGF 阻害化合物の投与量は、 患者の年齢、 体重、 性別、 疾患の相違、 症状 の程度などを考慮して、 個々の場合に応じて適宜決定されるが、 例えば 0. 1〜 10 Omg/kg、 好ましくは 0. 1〜3 Omg/kgの範囲であり、 これを 1日 1回また は数回に分けて投与する。
本発明の好ましい実施態様によれば、 TGF 3阻害化合物の虚血性疾患治療用 途において、 TGF jS阻害化合物は、 血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の増 殖を促進する少なくとも一種のサイトカインとともに併用され、 このようなサイ トカインは、 例えば、 VEGF— A、 VEGF-C, VEGF— E、 a F GF、 bFGF、 EGF、 T G F a、 PD - ECGF、 PDGF、 TNF a, HGF、 および I GF— 1からなる群より選択することができる。 さらに、 TGF /3阻害 化合物と併用されるサイト力インは、 好ましくは VEGF— A、 VEGF— C、 および VEGF— Eからなる群より選択される少なくとも一種のサイトカインと される。 さらに好ましくは、 TGF /3阻害化合物と併用されるサイト力インは、 VEGF— A、 VEGF-C, および V E G F— Eからなる群より選択される少 なくとも一種のサイト力イン、 ならびに bFGF、 I GF— 1および EGFとさ
れる。 従って、 TGF i3阻害化合物の虚血性疾患治療用途において、 TGF jS阻 害化合物はこのようなサイトカインとともに投与され、 医薬組成物中に含まれ、 または医薬の製造において使用される。
本発明による血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞の製造方法により製造され たこれらの細胞は、 ティッシュエンジニアリングにおいて使用することができる。 例えば、 これらの血管内皮前駆細胞または血管内皮細胞を用いることにより、 血 管を製造してこれをバイパス手術に使用することができ、 あるいは、 血管または 血管を含む組織を製造してこれを治療のための移植手術に使用することができる。 式 ( I) の TGF ]3阻害化合物
本発明の好ましい態様によれば、 TGF /3阻害化合物は、 本発明者らにより T GF ]3阻害活性を有することが確認されている下記の式 ( I ) で示される化合物 またはその塩もしくは溶媒和物とされる:
[上記式 ( I) 中、
Xは、 CHまたは Nを表し、 -
Zは、 一0—、 — NH—、 一 S—または一 C(=〇)一を表し、
R1および R2は、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 —(CH2)m— Raで表し {ここで R aは、 水素原子、 ハロゲン原子、 水酸基、 飽和もしくは不飽 和の 3〜 6員の炭素環式基もしくは複素環式基、 または一 NRbRc (Rbおよび Rcは、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 または水酸基により置換さ れていてもよい Cぃ6アルキル基を表し、 Rbと Reとは、 それらが結合している 窒素原子と一緒になつて飽和または不飽和の 5または 6員複素環式基を形成して いてもよく (この複素環式基は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 水酸基に置換されていてもよい d- 4アルキル基、 または飽 和もしくは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換されていてもよい) を
表し、 mは 1 5の整数を表し、 かつ、 この基におけるアルキル鎖部分一(CH 2)m—は、 水酸基、 酸素原子、 または一 ORd基 (ここで Rdは d- 4アルキル基 または アルキルカルボ二ル基を表す) により置換されていてもよい } 、 Aは、 下式(al)〜(a4)からなる群より選択されるいずれかの基を表す:
(1) 式(al)の基:
(上記式(al)において、
R3 R6は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
d-6アルキル基、
ハロゲン原子またはフエニル基により置換されていてもよい C i。アルコ キシ基、
C 2一 6アルケニルカルボニルォキシ基、
C 4アルキルカルボ二ル基、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフエ二ル基を表し、
. R3と R4 R4と R5、 および R 5と R 6とはそれぞれ、 それち力結合してい _る 炭素原子と一緒になつて飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基または複素 環式基を形成してもよく、
R7は、
水素原子、
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基により置換されていても よい d- 8アルキル基、
フエニル基により置換されていてもよい C 2- 6アルケニル基、
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基 (この炭素環式基または複素環式基は d - 4アルキル基により置換されて.いても よい) 、 または
下記式(a卜 i)または(al-i i)、 のいずれかの基を表し: o8 、 R9
\ N
R10
(a1 _i ) (a1-ii )
(上記式において、
R 8は、
フエニル基により置換されていてもよい 。アルキル基、
C 2 - 8アルケニル基、 または
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基 (この炭素環式基はハ ロゲン原子により置換されていてもよい) を表し、
R 9および R 1 11は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、
d - 6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基 (この炭素環式基はハ ロゲン原子により置換されていてもよい) 、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
尺9と1^ °とは、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もし くは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成していてもよく (この複素環式基 は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 水酸基に 置換されていてもよい d - 4アルキル基、 または飽和もしくは不飽和の 5もしく は 6員複素環式基により置換されていてもよい) 、
(上記式(a2)において、
R3〜R6は、 上記式(al)と同じであり、
R11および R12は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、
d- 6アルキル基、 .
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基 (この炭素環式基はハ ロゲン原子により置換されていてもよい) 、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
R11と R12とは、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もし くは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成していてもよく (この複素環式基 は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもょレ; 、 この複素環式基は、 水酸基に 置換されていてもよい。い 4アルキル基、 または飽和もしくは不飽和の 5もしく は 6員複素環式基により置換されていてもよい) 、
(3) 式(a3)の基:
(上記式(a3)において、
R13〜R16は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
d-6アルキル基、
d- 8アルコキシ基、
Ci- 4アルキルカルボ二ル基、 または
フエ二ルカルポ二ル基を表し、
R13と R14、 および R14と R15とはそれぞれ、 それらが結合している炭素原 子と一緒になつて飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基または複素環式基 を形成してもよい) 、 および ·
(4) 式(a4)の基:
(上記式(a4)において、
R17〜R21は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、
八ロゲン原子、
水酸基もしくはフエニル基により置換されていてもよい C i- 6アルキル基、 Cぃ8アルコキシ基、
Ci- 4アルキル基、 Ci- 4アルコキシ基、 酸素原子もしくはフエニル基によ り置換されていてもよい C 2- 6アルケニル基、
Ci- 4アルキル基により置換されていてもよいフエ二ルカルポニル基、 _ . フエニル基により置換されていてもよいアミノ基、
ニトロ基、 または
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基
(この炭素環式基または複素環式基は Ci- 6アルキル基により置換されていても よい) を表し、
R17と R18、 または、 R2。と R21とは、 それらが結合している炭素原子と一 緒になって飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基または複素環式基を形成
R18と R19、 または、 R19と R2°とは、 それらが結合している炭素原子と一 緒になって、 ハロゲン原子、 d- 4アルキル基、 d- 4アルキルカルポニル基、 C ぃ6アルコキシ力ルポニル基または酸素原子により置換されていてもよい、 飽和 もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基もしぐは複素環式基を形成してもよ く、 この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不飽和の 5また は 6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、 式(a4)の 6員炭素環と共に三 環式基を形成してもよい) ] 。
式 (I) の化合物において、 基または基の一部としての 「アルキル」 、 「アル コキシ」 、 および 「ァルケニル」 という語は、 基が直鎖または分枝鎖のアルキル 基、 アルコキシ基、 およびアルケニル基を意味する。
また、 式 ( I) の化合物において、 基または基の一部としての 「アルキルカル ポニル」 、 「アルコキシカルボニル」 、 および 「アルケニルカルボニルォキシ」 という語は、 基が直鎖または分枝鎖のアルキルカルポニル基、 アルコキシ力ルポ ニル基、 およびアルケニルカルポ二ルォキシ基を意味する。
従って、 式 ( I) の化合物において、 例えば、 基または基の一部としての 「C i 。アルキル」 および 「(^ 。アルコキシ」 という場合は、 基が直鎖または分枝 鎖の炭素数 1〜 10のアルキル基およびアルコキシ基を意味する。
式 ( I ) の化合物において、 「(:い i。アルキル」 は、 好ましくは Ci- 8アルキ ル、 より好ましくは d— 6アルキル、 さらに好ましくは C i- 4アルキルである。
8アルキル」 は、 好ましくは d- 6アルキル、 より好ましくは Cぃ4アルキ リレである。 「d- 6アルキル」 は、 好ましくは Ci- 4アルキル、 より好ましくは C i_ 2アルキルである。 「d- 4アルキル」 は、 好ましくは Ci- 2アルキルである。 式 ( I ) の化合物において、 rCi- L。アルコキシ」 は、 好ましくは d— 8アル コキシ、 より好ましくは d- 6アルコキシ、 さらに好ましくは d- 4アルコキシで ある。 「(:卜 8アルコキシ」 は、 好ましくは Ci— 6アルコキシ、 より好ましくは C 4アルコキシである。 「Cい 4アルコキシ」 は、 好ましくは Cい 2アルコキシで ある。
式 ( I ) の化合物において、 「C 2-8アルケニル」 は、 好ましくは C 2-6アルケ
ニル、 より好ましくは C2- 4アルケニルである。 「C2- 6アルケニル」 は、 好まし くは C2- 4アルケニルである。
式 ( I) の化合物において、 「Ci- 4アルキル力ルポニル」 は、 好ましくは d
- 2アルキルカルボニルである。
式 ( I ) の化合物において、 「Ci- 6アルコキシ力ルポニル」 は、 好ましくは Ci- 4アルコキシ力ルポニル、 より好ましくは C卜 2アルコキシカルボニルである。 式 ( I ) の化合物において、 「C 2 - 6アルケニルカルポニルォキシ」 は、 好ま しくは C 2-4アルケニルカルポニルォキシである。
上記 Cい 。アルキルの例としては、 メチル、 ェチル、 n—プロピル、 イソプロ ピル、 n—ブチル、 i一プチル、 s—ブチル、 t—ブチル、 n—ペンチル、 n - へキシル、 n—へプチル、 n—才クチル、 n—ノニル、 n—デシル等が挙げられ る。
上記 d-i。アルコキシの例としては、 メトキシ、 エトキシ、 n—プロボキシ、 i—プロポキシ、 n—ブトキシ、 i—ブトキシ、 s—ブトキシ、 t一ブトキシ等 が挙げられる。
上記 C 2 6アルケニルの例としては、 ァリル基、 ブテニル基、 ペンテニル基、 へキセニル基が挙げられる。
上記 d- 4アルキル力ルポエルの例としては、 アルデヒド基、 メチルカルポ二 ル、 ェチルカルボニル、 n—プロピルカルボニル、 イソプロピルカルボニル、 n ーブチルカルポニル、 i一ブチルカルボニル、 sーブチルカルポニルが挙げられ る。
上記 d- 6アルコキシカルボニルの例としては、 メトキシカルポニル、 ェトキ— シカルポニル、 n—プロポキシ力ルポニル、 i—プロポキシカルボニル、 n _ブ トキシカルボニル、 i一ブトキシカルボニル、 s—ブトキシカルポニル、 tーブ トキシカルポニル等が挙げられる。
上記 C 2- 6アルケニルカルポニルォキシの例としては、 ァリルカルボ二ルォキ シ、 ブテニルカルポニルォキシ、 ペンテ二ルカルポニルォキシ、 へキセニルカル ボニルォキシが挙げられる。
式 (I) の化合物において 「により置換されていてもよいアルキル」 とは、 ァ
ルキル上の 1またはそれ以上の水素原子が 1またはそれ以上の置換基 (同一また は異なっていてもよい) により置換されたアルキルおよび非置換アルキルを意味 する。 置換基の最大数はアルキル上の置換可能な水素原子の数に依存して決定で きることは当業者に明らかであろう。 これらはアルキル基以外であって置換可能 な基を有する基、 例えば、 アルコキシ、 アルケニル、 フエニル、 フエ二ルカルポ ニル、 ナフチル等についても同様である。
式 ( I ) の化合物において、 「ハロゲン原子」 とは、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 またはヨウ素原子を意味する。
式 (I ) の化合物において、 「不飽和の炭素環」 および 「不飽和の複素環」 と は、 二重結合等の不飽和結合を 1以上有する炭素環および複素環を意味する。 式 ( I ) の化合物において 「飽和または不飽和の 5または 6員の炭素環式基」 は、 好ましくは飽和または不飽和の 6員炭素環であることができる。 飽和または 不飽和の 5または 6員炭素環の例としては、 フエニル、 シクロペンチル、 および シクロへキシルが挙げられる。
式 (I ) の化合物において 「飽和または不飽和の 5または 6員の複素環式基」 は、 飽和または不飽和の 5または 6員の単環性複素環式基を意味する。 すなわち、 飽和または不飽和の 5または 6員複素環は、 1 3個、 好ましくは 1または 2個 の異種原子を含み、 残りの環員原子が炭素原子である複素環であることができる。 複素環式基は、 酸素原子、 窒素原子および硫黄原子から選択される異種原子を 1 個以上含む。 複素環基の例としては、 ピリジル、 フリル、 チェニル、 ピロリル、 ピリダジル、 ピリミジル、 モルホリニル、 モルホリノ、 イソォキサゾリル、 ォキ サゾリル、 チアゾリル、 イミダゾィル、 イソチアゾリルおよびピラジルが挙げら れる。
また、 この複素環式基は、 必要に応じて、 d - 6アルキル基、 水酸基に置換さ れていてもよい C 4アルキル基、 または飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員 複素環式基により置換されていてもよい。
飽和または不飽和の 3 6員炭素環式基ほ、 好ましくは、 飽和または不飽和の 3 5員炭素環式基、 より好ましくは飽和または不飽和の 3員炭素環式基である ことができる。
飽和または不飽和の 3〜 6員複素環式基は、 酸素原子、 窒素原子、 および硫黄 原子から選択される異種原子 (好ましくは酸素原子) を 1個以上含む。 好ましく は、 飽和または不飽和の 3〜 6員複素環式基は、 異種原子を 1または 2個含み、 残りの環員原子が炭素原子である複素環式基であることができる。 飽和または不 飽和の 3〜 6員複素環は、 好ましくは、 飽和または不飽和の 3〜 5員複素環式基、 より好ましくは飽和または不飽和の 3員複素環式基であることができる。
飽和または不飽和の炭素環式基および複素環式基は、 他の飽和または不飽和の 炭素環式基もしくは複素環式基と縮合して二環式基、 好ましくは飽和または不飽 和の 9〜1 2員の二環性炭素環式基または複素環式基、 を形成していてもよい。 このような二環式基としては、 ナフチル、 キノリル、 1, 2, 3, 4—テトラヒ ドロキノリル、 1, 4一べンゾォキサニル、 インダニル、 インドリル、 および 1, 2, 3, 4—テトラヒドロナフチルが挙げられる。
本発明の好ましい実施態様によれば、 R
1および R
2は、 同一または異なってい てもよく、 d-
6アルキル基、 および下式(i)〜(iv)の基からなる群より選択され るいずれかの基を表す: 2\
(これらの式において、
式(i)におけるアルキル鎖の部分は、 水酸基、 または一 ORe基 (ここで Re は d- 4アルキル基または d- 4アルキル力ルポ二ル基を表す) により置換されて いてもよく (好ましくはこのアルキル鎖の部分は、 水酸基により置換されている か、 または置換されておらず) 、
R22と R23、 または R24と R25は、 同一または異なっていてもよく、 水素原 子、 または水酸基により置換されていてもよい C i- 6アルキル基を表し、
R22と R23、 または R24と R25は、 それらが結合している窒素原子と一緒に なって飽和または不飽和の 5または 6員複素環式基を形成していてもよく (この
複素環式基は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 水酸基に置換されていてもよい Cい 4アルキル基、 または飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換されていてもよく、
Ha 1はハロゲン原子を表し、
nは 1〜4の整数を表す) 。
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、 R1および R2の少なくとも一方が、 式(i)〜(iv)からなる群より選択されるいずれかの基を表す場合には、 Aは、 前 記式(al)〜(a3)のいずれかの基を表し、 より好ましくは式(al)基を表す。
本発明のより好ましい実施態様によれば、 R1および R2は、 同一または異なつ ていてもよく、 d-6アルキル基、 および下式(i- a)〜(iv)の基からなる群より選 択されるいずれかの基を表す:
(これらの式において、
R22と R23、 または R24と R25は、 同一または異なっていてもよく、 水素原 子、 または水酸基により置換されていてもよい d- 6アルキル基を表し、
R22と R23、 または R24と R25は、 それらが結合している窒素原子と一緒に なって飽和または不飽和の 5または 6員複素環式基を形成していてもよく (この 複素環式基は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 水酸基に置換されていてもよい d- 4アルキル基、 または飽和'もしくは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換されていてもよく、
n 1は 2〜4の整数を表す) 。
R1および R2の少なくともいずれか一方が、 前記(iv)である場合には、 好まし くは、 R24と R25は、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和または 不飽和の 5または 6員複素環式基を形成し (この複素環式基は 1以上の異種原子 をさらに含んでいてもよい) 、 例えば、 モルホリンを形成することができる。
R1および R 2の少なくともいずれか一方が、 d- 6アルキル基である場合には、
d 6アルキルは好ましくは d- 4アルキル、 より好ましくはメチルまたはェチル、 最も好ましくはメチルである。
Aが式(al)である場合において、 該式(al)における R3 R6は、 同一または異 なっていてもよく、 水素原子、 ハロゲン原子、 d- 6アルキル基、 ハロゲン原子 またはフエニル基により置換されていてもよい C i。アルコキシ基、 C 2- 6アル ケニルカルボニルォキシ基、 アルキルカルポニル基、 またはハロゲン原子 により置換されていてもよいフエ二ル基を表し、
R3と R4 R4と R5、 および R5と R6とはそれぞれ、 それらが結合している炭 素原子と一緒になつて飽和または不飽和 (好ましくは不飽和) の 5または 6員炭 素環式基または複素環式基を形成してもよい。 このように、 R3と R4 R4と R5 および R5と R6とが炭素環式基または複素環式基を形成する場合には、 R3と R4 R4と R5、 および R5と R6のいずれか 1つの組み合わせの位置において環式基を 形成しても良いが、 R3と R4 R4と R5、 および R5と R6のいずれか 2以上の位 置において、 それぞれ環式基を形成してもよい。 この場合、 式(al)の炭素環と共 に、 三環式基を形成することができる。
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、 該式(a 1 )における R 3 R 6の少な くとも 1つは水素原子以外の基である。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、 R 1および R 2が C i _ 6アルキル基で ある場合に、 該式(al)における R3 R6の少なくとも 1つは水素原子以外の基で ある。
Aが式(al)である場合において、 該式(al)における R7は、 水素原子、 飽和の 5もしくは 6員炭素環式基により置換されていてもよい d- 8アルキル基'、 フエ ニル基により置換されていてもよい C2- 6アルケニル基、 飽和もしくは不飽和の
5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基 (この炭素環式基または複素環 式基は d- 4アルキル基により置換されていてもよい) 、 または式(al- i)または
(al- ii)の基、 のいずれかの基を表す。
ここで、 飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式 基は、 好ましくは、 d- 4アルキル基により置換されていてもよいフエニル基、 飽和の 5または 6員の炭素環式基、 または、 不飽和の 5または 6員の複素環式基
を表す。
好ましくは、 該式(al)中の R7は、 飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭 素環式基もしくは複素環式基 (この炭素環式基または複素環式基は d-4アルキ ル基により置換されていてもよい) 、 式(al_i)の基、 または式(al-ii)の基のい ずれかの基を表す。
別の好ましい実施態様によれば、 式(al)における R7は、 フエニル基により置 換されていてもよい C 2- 6アルケニル基、 または式(a卜 i)または(a卜 ii)の基のい ずれかの基を表す。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、 R 1および R 2が d- 6アルキル基で ある場合に、 該式(al)における R7は、 式(al- i)または(a卜 ii)の基のいずれかの 基を表す。
Aが式(al)である場合において、 該式(al)における R8は、 好ましくは、 非置 換^^アルキル基、 フエニル基により置換された d- 4アルキル基、 C2- 6アル ケニル基、 またはハロゲン原子により置換されていてもよいフエ二ル基を表す。
Aが式(al)である場合において、 該式(al)における R9および R1()は、 好まし くは、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 d 6アルキル基、 飽和の 5 または 6員炭素環式基、 ハロゲン原子により置換されていてもよいフエニル基、 またはナフチル基を表し、
1 9と1 1()とは、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もしくは 不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成していてもよく (この複素環式基は 1 以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 メチル基、 ヒ ドロキシメチル基、 または飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基によ り置換されていてもよい。
Aが式(a2)である場合において、 R 11および R 12は、 好ましくは、 同一または 異なっていてもよく、 水素原子、 (:ぃ 6アルキル基、 飽和の 5または 6員炭素環 式基、 またはフエ二ル基を表し、
R 11と R 12とは、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もしくは 不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成していてもよい (この複素環式基は 1 以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 メチル基、 ヒ
ドロキシメチル基、 または飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換されてい てもよい。
より好ましくは、 R11および R12は、 それらが結合している窒素原子と一緒に なつて飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成し (この複素環式 基は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 メチル 基、 ヒドロキシメチル基、 または飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換さ れていてもよい。 R11および R12は、 例えば、 飽和の 6員複素環式基を形成する ことができる。 '
Aが式(a3)である場合において、 好ましくは、 R13および R14が水素原子であ つて、 R 15および R 16が、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 ハロゲン 原子、 Cい 4アルキル基、 C sアルコキシ基、 Cい 3アルキルカルポニル基、 ま たはフエニルカルボ二ル基を表す。
より好ましくは、 R 13および R 14が水素原子であつ'て、 R15が、 d-4アルキ ル基を表し、 R1Sが、 水素原子、 ハロゲン原子、 Ci- 4アルキル基、 d- 8アルコ キシ基、 または d-3アルキルカルボ二ル基を表す。
ここで R 16が d- 3アルキル力ルポ二ル基を表す場合には、 Rlf i—C (=0) R36で表すことができる。 こ'のとき、 R36はメチル基、 ェチル基、 n—プロピル 基、 たは i—プロピル基であることができ、 好ましくは R34はメチル基である。
Aが式(a4)である場合において、 好ましくは、 R17、 R18、 R2Q、 および R21 は、 前記した通りであって、 かつ、 R19が、
d- 4アルキル基、 Ci- 4アルコキシ基、 酸素原子もしくはフエニル基により 置換されていてもよい C2- 6アルケニル基、
ニトロ基、 または
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基 (こ の炭素環式基または複素環式基は C 6アルキル基により置換されていてもよ い) を表すか、 または
R18と R19、 または、 R19と R2°とが、 それらが結合している炭素原子と一緒 になって、 ハロゲン原子、 d- 6アルコキシ力ルポニル基または酸素原子により 置換されていてもよい、 飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基もしく
は複素環式基を形成する (この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和 または不飽和の 5または 6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、 式(a4) の 6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい) 。
本発明のより好ましい実施態様によれば、 上記の場合に、 R17 R18 R2° および R21は、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフエニル基により置換されていてもよい C 6アルキル基、 アルコキシ基、
Ci- 4アルキル基、 d - 4アルコキシ基、 酸素原子もしくはフエニル基により 置換されていてもよい C 2 - 6アルケニル基、
Ci- 6アルキル基により置換されていてもよいフエニル基、
フエニル基により置換されていてもよいアミノ基 (ここでフエ二ル基は水酸 基、 ハロゲン原子、 d - 4アルキル基によりさらに置換されていてもよい) 、
ニトロ基、 または、
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基を表 し、
R17と R18、 または、 R2Qと R21とは、 それらが結合している炭素原子と一緒 になって飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基または複素環式基を形成し てもよい。
R 17または R 21が置換されていてもよい C 2- 6アルケニル基である場合には、 好ましくは、 これらは一 C = C (R26) (R27)で表すことができる。 ここで、 R26 および: 27は、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 d - 4アルキル基、
C アルコキシ基、 C i- 4アルコキシカルボニル基、 またはフエ二ル基を表し、 より好ましくは、 R26および R27は、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 C 2アルコキシカルボニル基、 またはフエ二ル基を表す。
R
17または R
21がフエニル基により置換されていてもよいアミノ基である場合 には、 好ましくは、 これらは下記式で表すことができる :
(上記式中、
R28〜R32は、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 水酸基、 ハロゲン 原子、 または d- 4アルキル基を表し、 より好ましくは、 R28〜R32は全て水素 原子を表す) 。
R18と R19、 または、 R19と R2Dとが、 それらが結合している炭素原子と一緒 になって、 炭素環式基または複素環式基を形成することができる場合には、 式(a 4)の炭素環と共に、 二環式基、 例えばナフチル、 インドール、 ベンズイミダゾー ル、 キノリン等の基を形成することができる。
例えば、 該ニ環式基がインドール環の形態である場合、 式(a4)は下記式で表す ことができる : ·
(上記式中、
R33〜R35は、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、 水酸基、 ハロゲン 子、— C卜2アルキル.カルボニル、 C i-2アルコキシカルボニル棊または. C i-4ァ ルキル基を表し、 より好ましくは、 R35は水素原子を表す) 。
ハ口ゲン原子、 C i - 6アルコキシ力ルポニル基または酸素原子により置換され ていてもよい、 飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基もしくは複素環 式基を形成する (この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の飽和または不 飽和の 5または 6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、 式(a4)の 6員炭 素環と共に三環式基を形成してもよい) 。
本発明の好ましい実施態様によれば、 Zは、 — 0—、 — NH—または— C (二
0)_を表し、 より好ましくは _0—、 または一 C(==〇)一を表す。
本発明の好ましい実施態様によれば、
Xが CHを表し、 かつ Zがー 0_を表す場合には、 Aは式(al)ベ(a4)の基から選 択され、
Xが Nを表レ、 かつ Zが—〇一を表す場合には、 Aは式(al)であり、 または Xが CHを表し、 かつ Zが _C (=0)—を表す場合には、 Aは式(al)である。 本発明の一つの好ましい実施態様によれば、 式 (I) の化合物は、 下記式 (1 00) の化合物であることができる。
[上記式中、
Xは、 CHまたは Nを表し、
Zは、 — O—、 一 NH—、 一 S—または一 C (=〇)一を表し、
R 1(51および R 1(12は、 同一または異なっていてもよく、
d- 6アルキル基、 または
式(i- a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し: — R l 3〜; ^^ 6は、 同一または異なっていてもよく、 - 水素原子、
ハロゲン原子、
アルキル基、
ハロゲン原子またはフエニル基により置換されていてもよい C t。アルコキ シ基、
C 2 - 6アルケニルカルボニルォキシ基、
d- 4アルキルカルボ二ル基、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフエ二ル基を表し、 と R1Q4、 Rl。 と] f および; Rl と Rl。 とはそれぞれ、 それらが結 合している炭素原子と一緒になつて飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基 または複素環式基を形成してもよく、
R108は、
フエニル基により置換されていてもよい C i。アルキル基、
C アルケニル基、 または
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基 (この炭素環式基はハ口ゲ ン原子により置換されていてもよい) を表す] 。
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、 式 (1 0 0) において、 R1Q 3〜R1Q6の少なくとも一つは、 水素原子以外の基であり、 かつ、 R 11)8は、 非置 換^- アルキル基、 フエニル基により置換された Ci- アルキル基、 C2- アル ケニル基、 またはハロゲン原子により置換されていてもよいフエ二ル基を表す。 本発明の一つの好ましい実施態様によれば、 式 ( I ) の化合物は、 下記式 (2 00) の化合物であることができる。
[上記式中、
Xは、 CHまたは N、 好ましくは CHを表し、
Zは、 — O—、 —NH―、 — S—または一 C(=C —、 好ましくは一 一を表 し、
R2Q1および R2°2は、 同一または異なっていてもよく、
d— 6アルキル基、 または
式(i-a iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
R2Q3 R2Q6は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
d-6アルキル基、
ハロゲン原子またはフエニル基により置換されていてもよい C i。アルコキ シ 、
C 2-6アルケニルカルポニルォキシ基、
C i-4アルキルカルポニル基、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフエ二ル基を表し、
R2°3と R2°4 R2( と R2°5、 および R2Q5と R2°6とはそれぞれ、 それらが結 合している炭素原子と一緒になつて飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基 または複素環式基を形成してもよく、 ·
1 2。9ぉょび1 21°は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、
d- 6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基 (この炭素環式基はハ口ゲ ン原子により置換されていてもよい) 、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
R2°9と R21°とは、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もしく は不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成していてもよく (この複素環式基は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 水酸基に置 換されていてもよい C 4アルキル基、 または飽和もしくは不飽和 ©5もじくは 6員複素環式基により置換されていてもよい] 。
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、 式 (200) において、
R2Q3 'R2°6の少なくとも一つが水素原子以外の基であり、 かつ
R2Q9と R21°とが、 その少なくとも一方が水素原子であって、 他方が水素原子、 d- 4アルキル基、 飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基 (この炭素 環式基はハロゲン原子により置換されていてもよい) 、 またはナフチルを表すか、 または '
2°9と1 21°とが、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もしく は不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成する (この複素環式基は 1以上の異 種原子をさらに含んでいてもよく、 水酸基に置換されていてもよい Ci- 4アルキ ル基、 または飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換されていてもよい) 。 本発明の一つの好ましい実施態様によれば、 式 ( I) の化合物は、 下記式 (3 00) の化合物であることができる。
[上記式中、
Xは、 CHまたは N、 好ましくは CHを表し、
Zは、 一〇—、 — NH—、 — S—または一 C (=〇)_、 好ましくは一 0—を表 し、
!^^ぉょび!^^は、 同一または異なっていてもよく、
d- 6アルキル基、 または
式(i- a)〜.(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
R3°3〜; R3°6は、 同一または異なっていてもよく、
• 水素原子、
ハロゲン原子、
C 6アルキル基、
ハロゲン原子またはフエニル基により置換されていてもよい d-i。アルコキ シ基、
C 2- 6アルケニルカルポニルォキシ基、
d- 4アルキルカルボ二ル基、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいフエ二ル基を表し、
R3Q3と R3°4 R3°4と R3Q5、 および R3fl5と R3°6とはそれぞれ、 それらが結 合している炭素原子と一緒になつて飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基 または複素環式基を形成してもよく、
311ぉょび 312は、 同一または異なっていてもよく、
水素原子、 .
d-6アルキル基、
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基 (この炭素環式基はハ口ゲ ン原子により置換されていてもよい) 、 または
ハロゲン原子により置換されていてもよいナフチルを表し、
1 311と1^312とは、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もしく は不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成していてもよく (この複素環式基は 1以上の異種原子をさらに含んでいてもよい) 、 この複素環式基は、 水酸基に置 換されていてもよい C 4アルキル基、 または飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換されていてもよい] 。
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、 式 ( 300) において、 R3D3 R3°6の少なくとも一つが水素原子以外の基であり、 かつ
3"と1 312とが、 それらが結合している窒素原子と一緒になつて飽和もしく は不飽和の 5もしくは 6員複素環式基を形成する (この複素環式基は、 1以上の 異種原子をさらに含んでいてもよく、 かつ、 水酸基に置換されていてもよい d - 4アルキル基、 または飽和の 5もしくは 6員複素環式基により置換されていても よい) 。
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、 式 (I) の化合物は、 下記式 (4 00) の化合物であることができる。
[上記式中、 '
Xは、 CHまたは N、 好ましくは CHを表し、
Zは、 — O—、 一 NH―、 一 S—または— C (=0)—、 好ましくは— O—を表 し、
R4Q1および R4Q2は、 同一または異なっていてもよく、 '
d -6アルキル基、 または
式(i-a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
R413および R414は、 水素原子を表し、
R415は、 ハロゲン原子、 アルキル基、 Ci-8アルコキシ基、 d- 4アルキ ルカルポニル基、 またはフエニルカルボ二ル基を表し、
R416は、 水素原子、 ハロゲン原子、 d- 6アルキル基、 d-8アルコキシ基、
Ct- 4アルキルカルボ二ル基、 またはフエ二ルカルポ二ル基を表す] 。
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、 式 (400) において、
R415は、 d- 6アルキル基、 さらに好ましくはメチル基、 ェチル基、 特に好ま しくはメチル基を表し、
R416は、 水素原子、 ハロゲン原子、 または d- 4アルキル力ルポ二ル基を表す c 本発明の一つの好ましい実施態様によれば、 式 ( I) の化合物は、 下記式 (5
[上記式中、
Xは、 CHまたは N、 好ましくは CHを表し、
Zは、 —〇一、 一 NH― —S—または一 C (=〇)—、 好ましくは一 O—を表 し、
R5(nおよび R5°2は、 同一または異なっていてもよく、
d- 6アルキル基、 または
式(i- a)〜(iv)の基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、
R517 R518 R52。および、 R521は、 同一または異なっていてもよく、 水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基もしくはフエニル基により置換されていてもよい Ci- 6アルキル基、 d- 8アルコキシ基、
d- 4アルキル基、 d- 4アルコキシ基、 酸素原子もしくはフエニル基によ り置換されていてもよい C 2- 6アルケニル基、
d- 4アルキル基により置換されていてもよいフエ二ルカルポニル基、 " フエニル基により置換されていてもよいアミノ基、
ニトロ基、 または
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基
(この炭素環式基または複素環式基は C 6アルキル基により置換されていても よい) を表し、
R517と R518、 または、 R52°と R521とは、 それらが結合している炭素原子 と一緒になつて飽和または不飽和の 5または 6員炭素環式基または複素環式基を
形成'
R519は、
d- 4アルキル基、 Ci- 4アルコキシ基、 酸素原子もしくはフエニル基により 置換されていてもよい C 2 -6アルケニル基、
ニトロ基、 または
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基 (こ の炭素環式基または複素環式基は C 6アルキル基により置換されていてもよ い) を表すか、 または
R518と R519、 または、 R519と R52Qとが、 それらが結合している炭素原子と 一緒になつて、 ハロゲン原子、 d- 6アルコキシ力ルポニル基または酸素原子に より置換されていてもよい、 飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員炭素環式基も しくは複素環式基を形成する (この炭素環式基もしくは複素環式基はさらに他の 飽和または不飽和の 5または 6員の炭素環式基または複素環式基と縮合して、 R 517·基が結合している 6員炭素環と共に三環式基を形成してもよい) ] 。
本発明の一つのより好ましい実施態様によれば、 '式 (500) において、
R519は、
Ci- 4アルキル基、 Ci-4アルコキシ基、 酸素原子もしくはフエニル基により 置換されていてもよい C 2- 6アルケニル基、
二.トロ基、 または
飽和もしくは不飽和の 5もしくは 6員の炭素環式基もしくは複素環式基 (こ の炭素環式基または複素環式基は C アルキル基により置換されていてもよ レ を表す。
式 (I) の化合物は、 塩の形態とすることができ、 これを治療および医薬用途 に用いる場合には薬学上許容される塩とすることができる。 好ましい例としては、 ナトリゥム塩、 力リゥム塩またはカルシウム塩のようなアル力リ金属またはアル カリ土類金属塩、 フッ化水素酸塩、 塩酸塩、 臭化水素酸塩、 ヨウ化水素酸塩のよ うなハロゲン化水素酸塩、 硝酸塩、 過塩素酸塩、 硫酸塩、 リン酸塩などの無機酸 塩、 メタンスルホン酸塩、 トリフルォロメタンスルホン酸塩、 エタンスルホン酸 塩のような低級アルキルスルホン酸塩、 ベンゼンスルホン酸塩、 p—トルエンス
ルホン酸塩のようなァリ一ルスルホン酸塩、 フマル酸、 コハク酸塩、 クェン酸塩、 酒石酸塩、 シユウ酸塩、 マレイン酸塩、 酢酸塩、 リンゴ酸塩、 乳酸塩、 ァスコル ビン酸塩のような有機酸塩、 およびグリシン塩、 フエ二ルァラニン塩、 ダルタミ ン酸塩、 ァスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などが挙げられる。
式 ( I ) の化合物は、 溶媒和物とすることができる。 このような溶媒和物とし ては、 水和物、 アルコール和物 (例えば、 メタノール和物、 エタノール和物) 、 およびエーテル和物 (例えば、 ジェチルエーテル和物) が挙げられる。
式 ( I ) の TGF ;3阻害化合物の製造
式 ( I ) の化合物は、 例えば、 スキーム 1からスキーム 1 3に従って製造でき る。 式 ( I ) の化合物の合成に必要な出発物質は市販されているか、 または常法 によって容易に製造できる。 なお、 スキーム中の Ri R36は上記において定義 された内容と同義である。
下記スキーム中において、 中間体であるキノロン誘導体は、 例えば、 W09 7 /1 73 2 9号等に従って合成することができる。
また、 4一クロ口キノリン誘導体は、 例えば、 Org. Synth. Col. Vol.3, 272 (1955), Acta Chim. Hung. , 112, 241 (1983) または WO 98 Z 478 7 3号に 記載されているような慣用方法に従って合成することができる。
4 _クロ口キナゾリン誘導体は、 J. Am. Chem. Soc, 68, 1299 (1946), J. A m. Chem. Soc. , 68, 1305 (1946) や小竹監修、 大有機化学、 1 7卷、 1 5 0頁、 朝倉書店 (1 9 6 7年発行) に記載されているような慣用方法に従って合成する ことができる。
式 ( I ) において、 Aが式 4) の基を表す化合物は、 例えば、 下記スキーム 1およびスキーム 2に従って製造することができる。
スキーム 2
目的とする 4—フエノキシキノリン誘導体、 4ーァニリノキノリン誘導体、 ま たは相当するキナゾリン誘導体は、 適当な溶媒 (例えば o—ジクロ口ベンゼン). _ 中または無溶媒中において、 フエノール誘導体または相当するァニリン誘導体に 対して、 4一クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体を作用させ ることによって合成することができる。 なお上記スキーム 1において塩素化剤と しては塩化ホスホリルが挙げられる。
式 ( I ) において、 Aが式(al) の基を表す化合物 (特にオルトケトン類の化 合物) は、 例えば、 下記スキーム 3に従って製造することができる。
スキーム 3 :
1. 塩基
2. 酸クロリド
(中間体 1 )
または R7Li R2-0
このスキームにおいては、 下記のような 3通りの経路により、 目的とする式 ( I) の化合物を合成することができる :
( i ) 4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な溶媒 (例えば o—ジクロロベンゼン) 中または無溶媒中において、 フエノ —ル誘導体または相当するァニリン誘導体を作用させることにより、 目的とす'る 式 ( I) の化合物を合成することができる (上記工程(1)) ;
(ii) 4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な溶媒 (例えば o—ジクロロベンゼン) 中または無溶媒中において、 オルト プロモフエノール誘導体または相当するオルトプロモアニリン誘導体と反応させ
(上記工程(2)) 、 次いで、 金属塩基 (例えば n—ブチルリチウム) を用いてブ ロム部位を極性転換し、 発生したァニオンと酸クロリドを反応させる (上記工程 (3)) ことにより、 目的とする式 ( 1> の化合物を製造することができる;
(iii) 4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な溶媒 (例えば o—ジクロロベンゼン) 中または無溶媒中において、 オルト
ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体または相当するオルトァミノべンズアルデヒ ド誘導体と反応させる (上記工程(4)) 。 次いで、 そこにアルキル化剤 (例えば メチルマグネシウムプロミド) を反応させて (上記工程(5)) 、 生成したアルコ ールを酸化する (上記工程(6)) ことにより、 目的とする式 ( I ) の化合物を製 造することができる。
式 ( I ) において、 Aが式(al) の基を表す化合物 (特にアミド化合物) は、 例えば、 下記スキーム 4に従って製造することができる。
スキーム 4 :
' 4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対し T、 適当な 溶媒 (例えば o—ジクロ口ベンゼン) 中または無溶媒中において、 オルトヒドロ キシ安息香酸エステル誘導体または相当するオルトァミノ安息香酸エステル誘導 体を作用させ、 エステル型の式 (I) の化合物を製造することができる (上記ェ 程(1)) 。 次いで、 該エステル型の化合物をアルカリを用いて加水分解し (上記 工程(2)) 、 縮合剤 (例えば 1—ェチルー 3— (3—ジメチルァミノプロピル) カルポジイミド塩酸塩) を用いてァミンと反応させる (上記工程(3)) ことによ り、 目的とする式 ( I) の化合物を合成することができる。
式 (I) において、 7位に所望の置換基を有する化合物は、 例えば、 下記スキ -ム 5に従って製造することができる。
スキーム 5 :
用意した 7—ベンジルォキシ— 4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナ ゾリン誘導体に対して、 適当な溶媒 (例えば ο —ジクロロベンゼン) 中または無 溶媒中において、 フエノール誘導体あるいは相当するァニリン誘導体を作用させ る (上記工程(1)) 。 次いで、 この得られた中間体 3に、 酸を用いてベンジル基 を脱保護して (上記工程(2)) 、 得られた中間体 4を塩基存在下アルキル化剤 (例えば 1プロモー 2—クロロェタン) と反応させる (上記工程(3)) ことによ り、 目的とする式 ( I ) の化合物を合成することができる。
式 (I) において Ζが— C (=0)—である化合物は、 例えば、 下記スキーム 6に従って製造することができる。
スキーム 6 :
用意した 4一キノロン誘導体または相当するキナゾロン誘導体に対して、 臭素 化剤 (例えば臭化ホスホリル) を作用させる (上記工程(1)) 。 次いで、 金属塩 基 (例えば n—ブチルリチウム) を用いてブロム部位を極性転換して、 発生した ァニオンと酸クロリドを反応させる (上記工程(2)) ことにより、 目的とする式 (I ) の化合物を製造することができる。
式 ( I ) において、 Aが式(a4) の基を表し、 かつその R21が置換されていて もよいアルケニル基である化合物は、 例えば、 下記スキーム 7に従って製造する ことができる。
スキーム 7 :
4—クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な 溶媒 (例えば o—ジクロロベンゼン) 中または無溶媒中において、 オルトヒドロ キシベンズアルデヒド誘導体または相当するオルトァミノべンズアルデヒド誘導 体を作用させ (上記工程(1)) 、 次いで、 リンィリ ドと反応させる (上記工程 (2)) ことにより、 目的とする式 ( I) の化合物を合成することができる。
式 ( I ) において、 Aが式(a2) の基を表す化合物は、 例えば、 下記スキーム 8-に従って製造することができる。 - スキーム 8 :
4—クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な 溶媒 (例えば o—ジクロ口ベンゼン) 中または無溶媒中において、 オルトヒドロ キシベンズアルデヒド誘導体または相当するオルトァミノべンズアルデヒド誘導 体を作用させて (上記工程(1)) 、 次いで、 ァミン (R R NH) と反応させ、 ィミン形成後に還元す ¾ (上記工程(2)) ことにより、 目的とする式 ( I ) の化 合物を合成することができる。
式 ( I ) において、 Aが式(a4) の基を表し、 かつその置換基としてフエニル 基により置換されたアミノ基を有する化合物は、 例えば、 下記スキーム 9に従つ て製造することができる。
スキーム 9 :
4 _クロロチノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な 溶媒 (例えば o—ジクロ口ベンゼン) 中または無溶媒中において、 オルトニトロ フエノール誘導体または相当するオルトニトロァニリン誘導体を作用させ (上記 工程(i)) 、 次いで、 ニトロ基を還元し (上記工程(ii)) 、 フエ二ルポロン酸誘 導体と反応させる (上記工程(iii)) ことにより、 目的とする式 ( I) の化合物 を合成することができる。
式 ( I ) において、 Aが式(a4) の基を表し、 かつその置換基として窒素を含 む 5員環複素環式基を有する化合物は、 例えば、 下記スキーム 10に従って製造 することができる。
スキーム 1 0 :
4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な 溶媒 (例えば o—ジクロロベンゼン) 中または無溶媒中において、 5—ヒドロキ シインドール誘導体または相当する 5—ァミノインドール誘導体を作用させ (± 記工程(i)) 、 次いでそのアミノ基を、 アルキル化剤 (例えばヨウ化メチル) を 用いてアルキル化するか、 またはァシル化剤 (例えば塩化ァセチル) を用いてァ シル化することにより (上記工程(ii)) 、 目的とする式 ( I) の化合物を合成す ることができる。
式 ( I ) において、 Aが式(a4) の基を表す化合物は、 例えば、 下記スキーム 1 1によっても製造することができる。
4—クロロキノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な 溶媒 (例えば o—ジクロロベンゼン) 中または無溶媒中において、 3—ヒドロキ シ— 6—ニトロべンズアルデヒド誘導体または相当する 5—ァミノ— 2—ニトロ ベンズアルデヒド誘導体を作用させ (上記工程(i)) 、 次いでそのホルミル基を 還元する (上記工程(ii)) 。 次に、 得られた化合物のニトロ基を還元して (上記 工程(iii)) 、 そこにカルボ二ル化剤 (例えばトリホスゲン) を作用させる (上 記工程(iv)) ことにより、 目的とする化合物を合成することができる。
式 ( I ) において、 Aが式(al) の基を表す化合物は、 例えば、 下記スキーム 12によっても製造することができる。
ァニソール誘導体を、 ルイス酸存在下酸クロリドと作用させ (上記工程(i)) 、 そのメトキシ基を脱保護する (上記工程(ii)) 。 次いで、 これを、 4—クロロキ ノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な溶媒 (例えば o —ジクロ口ベンゼン) 中または無溶媒中において作用させる (上記工程(iii)) ことにより、 目的とする化合物を合成することができる。
式 ( I ) において、 Aがピリジン環、 すなわち式(a3) の基を表す化合物は、 例えば、 下記スキーム 1 3に従って製造することができる。
スキーム 13 :
4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対して、 適当な 溶媒 (例えば 0—ジクロ口ベンゼン) 中または無溶媒中において、 3—ヒドロキ シピリジン誘導体または相当する 3—ァミノピリジン誘導体を作用させる (上記 工程(i)) ことにより、 目的とする化合物を合成することができる。
あるいは、 4一クロ口キノリン誘導体または相当するキナゾリン誘導体に対し て、 適当な溶媒 (例えば o—ジクロ口ベンゼン) 中または無溶媒中において、 3 一ヒドロキシー 2—ピリジンカルボアルデヒド誘導体または相当する 3ーァミノ _ 2—ピリジン力ルポアルデヒド誘導体を作用させ (上記工程(ii)) 、 次いでア ルキル化剤 (例えばメチルマグネシウムブロミド) を反応させる (上記工程(ii i)) 。 次に、 得られたアルコール性化合物を酸化する (上記工程(iv)) ことによ り、 目的とする化合物を合成することができる。
式 ( I I ) の TGF ;3阻害化合物
本発明の他の好ましい態様によれば、 TGF iS阻害化合物は、 国際公開第 0 1 /72737号パンフレツ卜において TGF 阻害活性を有することが確認され ている下記の式 ( I I) で示される化合物またはその塩とされる :
{上記式中、 は、 ハロ、 一 O— d- 6アルキル、 一 S— d- 6アルキル、 Ci - 6 アルキル、 d- 6ハロアルキル、 —O— (CH2) n_P h、 — S— (CH2) n - P h、 シァノ、 フエニルおよび C〇2R (ここで、 Rは水素または d- 6アルキル であり、 nは 0、 1、 2または 3である) からなる群から選択される 1以上の置 換基で置換されていてもよいナフチルまたはフエニルであるか、 あるいは は 5〜 7員の芳香環または非芳香環 (ここで、 該環は N、 Oおよび Sから独立に選 択されるヘテロ原子を 3個まで含んでいてもよい) と縮合したフエニルであり ;
R2は H、 d- 6アルキル、 d- 6アルコキシ、 フエニル、 NH (CH2) n - P h、 NH— d- 6アルキル、 Λ口、 またはアルコキシであり ;
R3は COOH、 テトラゾール、 CN、 N02、 OH、 —S— d- 6アルキル、 一 SO— d- 6アルキル、 一 O— d- 6アルキル、 S〇NH2、 CH〇、 C H 2 O H , (CH2) nNH2、 CONHOR' 、 O (CH2) nC〇2R' 、 O (CH2) nCO NHR' 、 CONHR' 、 (CH2) nC02R' 、 または (CH2) n— CONH R' (ここで、 R' は水素または C卜6アルキルであり、 nは 0、 1、 2または 3である ) であり ;かつ、
Xiおよび X2の一方は Nまたは C R" であり、 他方は NR"-または CHR"' (ここで R" は水素、 d- sアルキル、 または C3- 7シクロアルキルである) であ るか、 あるいは および X2の一方が Nまたは CR" であるとき、 他方は Sまた は Οであってもよい } 。
本発明の好ましい実施態様によれば、 上記式 ( I I ) の化合物としては、 が、 八口、 一 O— C t - 6アルキル、 一 S— d- 6アルキル、 d- 6アルキル、 — O 一 (CH2) n— Ph、 一 S— (CH2) n— P h、 シァノ、 フエニルおよび C〇2 R (ここで、 Rは水素または d- 6アルキルであり、 nは 0、 1、 2または 3で
ある) からなる群から選択される 1以上の置換基で置換されてい'
ルまたはフエニルであるか、 あるいは R が 5〜 7員の芳香環または非芳香環 (ここで、 該環は N、 〇および Sから独立に選択されるへテロ原子を 2個まで含 んでいてもよい) と縮合したフエニルであり ;
R2が H、 NH (CH2) n—P hまたは NH— d- 6アルキルであり ;かつ
R3が C〇2H、 CONH2、 CN、 N〇2、 d- 6アルキルチオ、 S02— Cい 6 アルキル、 d- 6アルコキシ、 SONH2、 CONH〇H、 NH2、 CHO、 CH2 OH、 CH2NH2, または C02R (ここで、 Rは水素または d- 6アルキルであ る) である化合物は除かれる。
式 ( I I) の点線で示されている二重結合は、 互変体環型の化合物を表す。 X iまたは X 2のいずれかが炭素であるとき、 この二重結合は炭素またはへテロ原子 のいずれかに対するものであり得ると理解される。 および X2の両者が炭素で あるとき、 この二重結合は または Χ2のいずれかに対するものであり得る。 X および Χ2の両者がヘテロ原子であるとき、 'この二重結合は置換されていないへ テロ原子に対するものである。
好ましくは、 Riは置換されていてもよいナフチルまたはフエニルである。 よ り好ましくは、 は、 ハロ、 d- 6アルコキシ、 C 6アルキルチオおよびフエ ニルからなる群から選択される 1以上の置換基で置換されていてもよいフエニル であるか、 あるいは は 5〜7員の芳香環または非芳香環 (ここで、 該環は、 N、 〇および Sから独立に選択されるへテロ原子を 2個まで含んでいてもよい) と縮合したフエニル (=〇により置換されていてもよい) であり、 例えば、 は、 ベンゾ [1, 3] ジォキソリル、 2, 3—ジヒドロべンゾ [1, 4] ジォキ シニル、 ベンゾォキサゾリル、 ベンゾチアゾリル、 キノキサリニル、 ベンゾ [1, 2, 5] ォキサジァゾリル、 ベンゾ [1, 2, 5] チアジアゾリル、 [1, 2, 4] トリァゾロ [1, 5— a] ピリジル、 ジヒドロベンゾフラニル、 ベンゾ [1, 4] ォキサジニルー 3—オンまたはべンゾォキサゾリルー 2—オンを表す。
好ましくは、 R2は水素以外のものである。 R2が水素以外であるとき、 それは ピリジル環の窒素に対してオルトに位置するのが好ましい。 R2は、 好ましくは メチルである。
好ましくは、 R3は C〇2H、 CONH2, CONHOH, CH2OH, CNまた はテトラゾ一ルである。
好ましくは、 および X2の一方は Nまたは CR" であり、 他方は NR" また は CHR' であり、 ここで、 R" は水素、 d- 6アルキルまたは C3- 7シクロアル キルである (ただし、 および X2の少なくとも一方は Nまたは NR" である) か、 あるいは および Χ2の一方が Νであり、 他方が 0である。 より好ましくは、 および Χ2の一方は Νであり、 他方は NR" である。
好ましくは各 R" は水素である。
式 ( I I ) の化合物は、 好ましくは 800未満、 より好ましくは 600未満の 分子量を有する。
式 ( I I) の具体的化合物としては、 以下の化合物およびその塩が挙げられる
4― (4_ベンゾ [1, 3] ジォキソール _ 5—ィル— 5 _ピリジン— 2—ィ ルー 1 Η—イミダゾ一ルー 2 _ィル) フエノール、
4一 (4—ベンゾ [1, 3] ジォキソール— 5—ィル— 5 _ピリジン— 2—ィ ル— 1 Η—イミダゾールー 2—ィル) —Ν—メチルーベンズアミド、
4 - (4—ベンゾ [1, 3] ジォキソール— 5—ィル— 5—ピリジン— 2—ィ ルー 1 Η—イミダゾールー 2一ィル) — Ν—メトキシ—ベンズアミド、
2 - { 4一べンゾ [1, 3] ジォキソ一ル— 5—ィル— 2— [4 - (2 Η—テ トラゾール— 5—ィル) —フエニル] 一 1H—イミダゾール— 5—^ Π } —ピリ
[4— (4—ベンゾ Γ1, 3 ] ジォキソ一ル一 5—ィル— 5—ピリジン一 2— ィル— 1 H—イミダゾールー 2—ィル) ーフエノキシ] -酢酸、
4一 [4 - (4—フルオロー 3—メトキシフエ二ル) - 5 - (6—メチルピリ ジン— 2—ィル) 一 1 H—イミダゾ一ル— 2一^ rル] ベンゾニ卜リル、
4― [4 - (4一フルオロー 3—メトキシフエ二ル) 一 5— (6—メチルピリ ジン一 2—ィル) - 1 H—イミダゾール— 2—ィル] ベンズアミド、
4一 [4 - (3—フルオロー 4—メトキシフエ二ル) - 5 - (6—メチルピリ ジン一 2—ィル) 一 1 H—イミダゾール— 2—ィル] ベンゾニ卜リル、
4— [4 - (3—フルオロー 4ーメトキシフエ二ル) 一 5— (6—メチルピリ ジン— 2 _ィル) _ 1 H—イミダゾール— 2 _ィル] ベンズアミド、 .
4— [4一べンゾ [1, 2, 5] ォキサジァゾ一ルー 5—ィル— 5— (6—メ チルピリジン— 2—ィル) — 1 H—イミダゾ一ルー 2 _ィル] ベンゾニトリル、
4― [4一べンゾ [1, 2, 5] ォキサジァゾ一ルー 5—ィルー 5 - (6—メ チルピリジン— 2—ィル) 一 1H—^ rミダゾ一ルー 2—^ rル] ベンズアミド、
4 - [4 - (6—メトキシナフタレン一 2 _ィル) - 5 - (6—メチルピリジ ンー 2 _ィル) 一 1 H—イミダゾールー 2 _ィル] ベンゾニトリル、
4— [4— (6—メトキシナフ夕レン一 2—ィル) _ 5— (6—メチルピリジ ンー 2—ィル) 一 1 H—イミダゾールー 2—ィル] ベンズアミド、
4 - [4一べンゾ [1, 2, 5] チアジアゾ一ル— 5—ィルー 5— (6—メチ ルビリジン— 2—ィル) 一 1 H—イミダゾール— 2一ィル] ベンゾニトリル、
4 - [4一べンゾ [1, 2, 5] チアジアゾール— 5—ィルー 5 _ (6—メチ ルピリジン一 2—ィル) — 1H Γミダゾ一ルー 2—ィル] ベンズアミド、
4 - [4一べンゾ [1, 3] ジォキソールー 5—ィルー 5— (6—メチルピリ ジン— 2—ィル) 一 ΓΗ—イミダゾ一ルー 2—ィル] ベンゾニトリル、
4 - [4一べンゾ [1, 3] ジォキソ一ル— 5—ィル— 5— ( 6—メチルピリ ジン一 2—ィル) 一 1H— ^ Γミダゾール— 2—ィル] ベンズアミド、
6 - [2 - (4一シァノフエニル) 一 5— (6 _メチルピリジン一 2 _ィル) — 1H—イミダゾールー 4一ィル] —キノキサリン、 および
6 - [2 - (4—カルポキシアミドフエニル) 一 5— (6—メチルピリジン一 2—ィル) — 1 H—イミダゾール _ 4一ィル] —キノキサリン。
式 ( I I) の化合物の安定な塩としては、 限定されるものではないが、 塩酸塩、 硫酸塩、 リン酸塩、 二リン酸塩、 臭化水素酸塩、 および硝酸塩などの無機酸との 塩、 またはリンゴ酸塩、 マレイン酸塩、 フマル酸塩、 酒石酸塩、 コハク酸塩、 ク ェン酸塩、 酢酸塩、 乳酸塩、 メタンスルホン酸塩、 p—トルエンスルホン酸塩、 パルミチン酸塩、 サリチル酸塩、 およびステアリン酸塩などの有機酸との塩が挙 げられる。 治療または医薬用途においては、 これらの塩は薬学上許容されるもの とすることが好ましい。
式 ( I I ) の化合物のいくつかは水性溶媒および有機溶媒などの溶媒から結晶 化または再結晶させることができる。 このような場合、 溶媒和物を形成してもよ い。 前記溶媒和物には、 水和物ならびに凍結乾燥などの過程で生じ得る種々の水 分量を含んだ化合物をはじめとする化学量論溶媒和物が含まれる。 治療または医 薬用途においては、 これらの溶媒和物は薬学上許容されるものとすることが好ま しい。
式 ( I I ) の化合物の幾つかは、 光学異性体、 例えばジァステレオ異性体およ びあらゆる比率での異性体混合物 (例えば、 ラセミ混合物) の形態で存在し得る。 本発明では、 このような総ての形態、 特に純粋な異性体を用いることができる。 種々の異性体は、 常法によりあるものを他のものから分離または分割することも でき、 あるいはいずれかの所定の異性体を従来の合成法または立体特異的または 不斉合成により得ることもできる。
式 (I I ) の化合物は医薬組成物としての使用が意図されることから、 実質的 に純粋な形態とすることが好ましく、 例えば、 少なくとも 6 0重量%の純度、 よ り好ましくは少なくとも 7 5重量%の純度、 さらに好ましくは少なくとも 8 5重 量%の純度、 さらに好ましくは少なくとも 9 8重量%の純度とされる。 式 ( I
I ) の化合物の、 医薬組成物で用いられるより純粋な形態を調製するために、 純 度の低い化合物調製物を用いてもよく、 このような化合物調製物は、 好ましくは 少なくとも 1重量%、 より好ましくは少なくとも 5重量%、 さらに好ましくは 1
0〜5 9重量%の式 ( I I ) の化合物またはその誘導体を含んでいなければなら ない。
式 ( I I ) の化合物において 「d - 6アルキル」 とは、 単独であれ、 より大き な基、 例えば d - 6アルコキシの一部であれ、 その鎖長が限定されない限り、 限 定されるものではないが、 メチル、 ェチル、 n _プロピル、 イソプロピル、 n— ブチル、 s e c—ブチル、 イソブチルおよび t e r t 一ブチルをはじめとする、 1〜 6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の基を意味する。
式 ( I I ) の化合物において、 C i - sハロアルキル基は 1以上のハロ原子、 C
F 3をはじめとする特定の C i - 6ハロアルキル基を含んでもよい。
式 ( I I ) の化合物において 「ハ口」 または 「ハロゲン」 とは、 塩素、 フッ素、
ヨウ素および臭素元素に由来する基を意味するのに互換的に'用いる。
式 (I I) の化合物において 「シクロアルキル」 とは、 限定されるものではな 好ましくは炭素 3〜 7個の環式基を意味するのに用いる。
式 ( I I ) の化合物において 「ァリール」 とは、 5〜14員の置換または非置 換芳香環、 または限定されるものではないがフエニル、 ナフチルをはじめ、 二環 もしくは三環を含む環構造を意味するのに用いる。
式 ( I I ) の TGF ;3阻害化合物の製造
式 ( I I ) の TGF |3阻害化合物は、 国際公開第 0 1Z72737号パンフレ ットに記載の方法に従って製造することができる。
[実 施 例]
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、 本発明はこれらの実 施例に記載の態様に限定されるものではない。 例 1 : T G F /3阻害化合物の製造
化合物 1 :
4— [4一べンゾ [1, 3] ジォキソールー 5—ィルー 5— (6—メチルーピ リジン— 2—ィル) — 1 H—イミダゾールー 2—ィル] 一べンズアミド
国際公開第 01Z72737号パンフレツトの 「Example 17」 に記載されてい る方法に従って、 表題の化合物を合成した。 化合物 2 :
{4一 [4一べンゾ [1, 3] ジォキソールー 5—ィルー 5— (6ーメチルー ピリジン一 2—ィル) 一 1 H—イミダゾールー 2 _ィル] 一フエ二ル} 一メ夕ノ ール
1—ベンゾ [1, 3] ジォキソ一ルー 5—ィル— 2— (6—メチル—ピリジン — 2—ィル) ェ夕ン一 1, 2—ジオン (2. 04 g) 、 テレフタルアルデヒド酸 メチル ( 1 0m l ) 、 酢酸アンモニゥム (3. 08 g) を THF /メタノール
(10m l /2m l ) に溶解し、 60 °Cにて 18時間撹拌した。 室温に冷却後、 減圧下にて溶媒を留去し、 残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、 酢酸ェチル で抽出した後、 酢酸ェチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、 無水硫酸ナト リウムで乾燥した。 減圧下にて溶媒を留去し、 得られた残渣をクロ口ホルムーメ 夕ノール系のシリ力ゲル力ラムクロマ卜グラフィ一で精製することにより、 4 -
[4—ベンゾ [1, 3] ジォキソ一ル— 5—ィルー 5— (6—メチルーピリジン 一 2—ィル) — 1 H—イミダゾールー 2—ィル] 安息香酸メチルを得た (1. 7 2 g、 収率 56 %) 。 ·
4一 [4—ベンゾ [1, 3] ジォキソールー 5—ィル— 5— (6—メチルーピ リジン _ 2—ィル) — 1 H—イミダゾールー 2—ィル] 安息香酸メチル ( 1. 7 2 g) を THF (20m l ) に溶解し、 — 78°Cに冷却し、 1 M D I BAL溶 液 (20m l ) をゆっくり加えた。 一 78°Cにて 1時間撹拌した後、 反応液に水 を加えた。 酢酸ェチルで抽出した後、 酢酸ェチル層を水および飽和食塩水で順次 洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 減圧下にて溶媒を留去し、 得られた残 渣をクロ口ホルム—メタノール系のシリ力ゲル力ラムクロマトグラフィ一で精製 することにより、 表題の化合物を得た (1. 58 g、 収率 99%) 。
Ή-NMR (CDC 13, 400 MHz) : 62. 47 ( s , 3 Η) , 4. 63
(s, 2H) , 5. 93 (s , 2H) , 6. 80 (d, J = 8. 0Hz, 1 H) 6. 89 (d, J = 7. 6Hz, 1 H) 、 7. 06 - 7. 09 (m, 2 H) , 7 2 5 - 7. 29 (m, 3 H) , 7. 36 (m, 1 H) , 7. 80 (d, J = 8. 0Hz, 2H) ;質量分析値 (ES I— MS, mZ z ) : 386 (M+ 1) + 化合物 3 :
1一 [2— (6, 7—ジメトキシキノリン _ 4一ィルォキシ) 一4, 5—ジメ チルフエニル] 一 1—エタノン
4—クロロー 6, 7 _ジメトキシキノリン ( 1 0 Omg) 、 4, 5—ジメチル 一 2—ヒドロキシァセトフエノン (220mg) 、 4ージメチルァミノピリジン ( 164mg) を o—ジクロロベンゼン (6m l ) に懸濁し、 120°〇にて24 時間撹拌した。 室温に冷却後、 反応液に水を加え、 酢酸ェチルで抽出した後、 酢 酸ェチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、 無水硫酸ナトリゥムで乾燥した。 減圧下にて溶媒を留去し、 得られた残渣をアセトン—へキサン系のカラムクロマ トグラフィ一で精製することにより、 表題の化合物を得た (34mg、 収率 22 %) 。
JH-NMR (CD C 13 , 400MHz) : δ 2. 22 (s, 3 H) , 2. 2 6 ( s , 3 H) , 2. 40 ( s , 3 H) , 3. 97 ( s , 3 H) , 3. 98 ( s, 3 H) , 6. 3 3 (d, J 5. 4H z , 1 H) , 6. 8 5 ( s , 1 H) , 7. 37 ( s , 1 H) , 7. 48 (s , 1 H) , 7. 65 (s, 1 H) , 8. 41 (d, J = 5. 4H z , 1 H) ;質量分析値 ( E S I - M S , m/ z ) : 352 (M+ 1) +
化合物 4 :
4一 [ (2—ョード— 6—メチル— 3—ピリジル) ォキシ] 一 6, 7—ジメト キシキノリン
4一クロロー 6, 7—ジメトキシキノリン (229mg) 、 3—ヒドロキシ一 2—ョードー 6—メチルピリジン (486mg) 、 4ージメチルァミノピリジン
( 39 Omg) を o—ジクロロベンゼン (5m l ) に懸濁し、 140°Cにてー晚 撹拌した。 室温に冷却後、 アセトン一クロ口ホルム系のカラムクロマトグラフィ —で精製することにより、 表題の化合物を'得た (47mg、 収率 1 1 %) 。
^-NMR (CDC 13, 400 MHz) : 62. 62 ( s , 3 H) , 4. 06
( s , 3H) , 4. 07 (s, 3 H) , 6. 35 (d, J = 5. 4Hz, 1 H) , 7. 1 9 (d, J = 8. l'H z , 1 H) , 7. 3 1 (d, J = 8. 1 H z , 1 H) , 7. 46 ( s , 1 H) , 7. 58 ( s , 1 H) , 8. 5 1 (d, J = 5. 4Hz, 1 H) ;質量分析値 (ES I _MS, mZ z ) : 423 (M+ 1) + 化合物 5 :
1 - {2- [7 (2—イミダゾールイルエトキシ) 一 6—メトキシキ クリンー 4—ィルォキシ] -4,—5——ジメチルフエ二ル} エタノン
7—ベンジルォキシ一 4—クロ口 _ 6—メトキシキノリン (1· 50 g) 、 2
ーヒドロキシ一 4, 5—ジメチルァセトフエノン (3. 63 g) 、 4—ジメチル アミノピリジン (2. 7 1 g) を 0—ジクロ口ベンゼン (30m l ) に懸濁し、 1 20°Cにてー晚撹拌した。 室温に冷却後、 反応液に水を加え、 クロ口ホルムで 抽出した後、 クロ口ホルム層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、 無水硫酸ナト リウムで乾燥した。 減圧下にて溶媒を留去し、 得られた残渣をアセトン一へキサ ン系の薄層クロマトグラフィーで精製することにより、 1— [2_ (7—べンジ ルォキシ— 6—メトキシキノリン— 4 _ィルォキシ) -4, 5—ジメチルフエ二 ル] エタノンを得た (1. 108、 収率37 %) 。
1 - [2 - (7—ベンジルォキシー 6—メトキシキノリン一 4—ィルォキシ) 一 4, 5—ジメチルフエニル] エタノン (1. 1 0 g) をメタンスルホン酸 (0. 85m l) とトリフルォロ酢酸 (10m l ) の混合溶液に懸濁し、 70°Cにて 1. 0時間撹拌した。 減圧下にて溶媒を留去し、 得られた残渣に水を加え、 炭酸水素 ナトリウム粉末で中和した後、 クロ口ホルムで抽出した。 次いで、 クロ口ホルム 層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 減圧下 にて溶媒を留去し、 得られた残渣をアセトン一へキサン系のカラムクロマトダラ フィ一で精製することにより、 1一 [2— (7—ヒドロキシ一 6—メトキシキノ リン— 4—ィルォキシ) 一4, 5ージメチルフエニル] エタノン (1 5 Omg) および 1—ブロモ— 2 _クロロェタン (70 Omg) を得た (収率 83 %) 。
1一 [2 - (7—ヒドロキシ一 6—メトキシキノリン _4一ィルォキシ) 一 4, 5—ジメチルフエニル] エタノン (1 5 Omg) 、 1—ブロモ _ 2—クロ口エタ ン (1 91mg) 、 炭酸カリウム ( 307mg) を N, N—ジメチルホルムアミ H (6m l ) に懸濁し、 室温にて一晩撹拌した。 反応液に水を加え、 酢酸ェチル で抽出した後、 酢酸ェチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、 無水硫酸ナト リウムで乾燥した。 減圧下にて溶媒を留去し、 得られた残渣をアセトン—へキサ ン系の薄層クロマトグラフィーで精製することにより、 1一 {2— [7— (2 - クロ口エトキシ) 一 6—メトキシキノリン一 4—ィルォキシ] —4, 5—ジメチ ルフエ二ル} エタノンを得た (122mg、 収率 68 %) 。
1 - { 2― [7 - (2—クロ口エトキシ) 一 6—メトキシキノリン一 4ーィル 才キシ] — 4, 5ージメチルフエ二ル} エタノン ( 52 mg) 、 イミダゾール
(49mg) 、 炭酸カリウム (90mg) を N, N—ジメチルホルムアミド (2 m l) に懸濁し、 80°Cにて一晩撹拌した。 室温に冷却後、 反応液に水を加え、 酢酸ェチルで抽出した後、 酢酸ェチル層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、 無 水硫酸ナトリウムで乾燥した。 減圧下にて溶媒を留去し、 得られた残渣をメタノ 一ルークロロホルム系の薄層クロマトグラフィーで精製することにより、 表題の 化合物を得た (29mg、 収率 52%) 。
XH-NMR (CD C 13 - d 1 , 40 OMH z ) : <52. 22 (s, 3 H) , 2.
2 5 ( s , 3 H) , 2. 3 9 (s, 3 H) , 3. 9 5 ( s , 3 H) , 4. 3 5 ( t , J = 6. 2H z , 2 H) , 4. 44 ( t , J = 6. 2 H z , 2 H) , 6.
32 (d, J = 5. 6Hz, 1H) , 6. 8 5 ( s , 1 H) , 7. 00 (s, 1 H) , 7. 07 (s, 1 H) , 7. 29 ( s , 1 H) , 7. 49 (s, 1 H) , 7. 63 (m, 2H) , 8. 40 (d, J = 5. 6 H z , 1 H) ;質量分析値
(ES I— MS, m/z) : 432 (M + + 1) 例 2 :化合物 1〜5の TGF j3阻害活性
J. Boil. Chem. , 273, 21145-21152 (1998)に記載の方法に準じて、 化合物 1 〜5の TGF i3シグナル抑制作用を評価した。
具体的には、 ルシフェラ一ゼ遺伝子の上流に、 プロモーターとして TGF i3シ グナル伝達因子である S m a dの結合配列を夕ンデムに 4個繋げたものをレポ一 ター遺伝子 ((SBE)4 - Luc) として用いた。 このレポーター遺伝子を、 ヒト肺ガン 上皮細胞 (A549) (ATCCより入手可能) に導入して、 安定的に発現可能な細胞株 を構築した。
この細胞に、 被験化合物と、 TGF iS— 1 (2 n g/m 1 ) とを添加して 4時 間培養した。 なおここで被験化合物としては、 前記例で合成した本発明による化 合物をそれぞれ使用した。 培養後、 細胞のルシフェラーゼ活性を化学発光法 (St eady Glo (商標) Luciferase assay system, プロメガ) により測定した。
同様にして、 TGF /3のみを添加して細胞を培養した場合と、 TGF /3.および 被験化合物のいずれも添加しないで培養した場合 (コントロール) とについても ルシフェラーゼ活性を測定した。
これらの測定結果に基づいて、 下記の式に従って TGF /3阻害率 (%) を算出 した。
TGF iS阻害率 (%) = (A-B) / (A-C) X 1 00
[式中、 A、 Bおよび Cはそれぞれ下記を意味する:
A: T.GF iS 1を添加し、 かつ被験化合物は添加しない場合におけるル シフエラーゼ活' I '王 (Relative Luci ferase unit)
B : TGF β 1および被験化合物の両方を添加した場合におけるルシフ エラーゼ活性 (Relative Luci ferase unit)
C : TGF /31および被験化合物を共に添加しない場合におけるルシフ エラーゼ活性 (Relative Luci ferase unit) J
試験は、 被験化合物の濃度 3 zMおよび 10 Mの場合についてそれぞれ行つ た。
結果は、 表 1に示されるとおりであった。 結果に示されるように、 本発明によ る化合物が T GF i3の作用に拮抗する活性を有することが明らかとなつた。
表 1 :化合物 1〜 5の T G F 阻害活性 化合物番号 阻害 (%) .
10 .M 3 M
化合物 1 100 100
化合物 2 100 100
化合物 3 100 98
化合物 4 100 99
化合物 5 100 99. 9
例 3 :血管内皮細胞の細胞増殖に対する TGF /3阻害化合物の促進作用
ES細胞から分化した F 1 k— 1陽性細胞を内皮細胞に分化させる過程におい て TGF ]3阻害化合物を作用させ、 血管内皮細胞の細胞増殖に対する TGF 阻
害化合物の効果を検討した。 実験方法及び培養は、 前述の Yamashitaらの方法 (N ature 408: 92-96, 2000) に従った。
すなわち、 1X104個の E S細胞 (クローン名: CCE細胞) を E S細胞分化用' 培地 (aMEM (GIBC0)、 50 M 2—メルカプトエタノール (GIBC0) 、 5 0 U/m 1 ペニシリン /ストレプトマイシン(GIBC0)、 1 0 %牛胎児血清 (F C S) ) に懸濁後、 10cm collagen IV- coated plate (IWAKI)上に播種し、 5 %C 02存在下、 3 7°Cにて 4日間培養を行った。 4日後、 分化した F 1 k— 1陽性 細胞を含む細胞集団より、 PE-con]'ugatedマウス抗 F 1 k— 1抗体 (Pharminge n) を結合させた後、 MAC Sカラムを用いて F 1 k— 1陽性細胞を分取した。 こうして得た 1X104個の F 1 k— 1陽性細胞を、 被験物質として化合物 1 ( 1 M) 、 化合物 4 (5 M) または化合物 3 (5 M) を含む血管分化用培地 ( α ΜΕΜ、 5 0 Μ 2一メルカプトエタノール、 50 U/m 1 ペニシリンノスト レプトマイシン、 1 0 %F C S、 3 0 n g/m 1 VEGF—A (R&D) ) に懸濁 して、 フイブロネクチンコートを行った 24穴組織培養用プレート (IWAKI) 上 に播種し、 3 7°Cで 3日間培養することにより内皮細胞へと分化させ、 被験物質 の効果を検討した。
3日後、 細胞の特徴付けのために以下の方法に従って免疫染色を実施した。 細 胞をプレートに固定化させるため、 上清を吸引後、 4 %パラホルムアルデヒド (P FA) を加え、 室温で 5〜 1 0分間静置した。 細胞固定化後、 PB Sで 2回 洗浄し、 0. 3 %H2〇2Zメタノールを加え、 室温で 20〜30分間静置し、 脱 色させた。 脱色後、 PBSで 2回洗浄し、 その後 2 %スキムミルク ZPB Sを加 え、 室温で 3 0分間静置し、 ブロッキングを施した。 その後、 1次抗体として 2_ %スキムミルクで 20 0倍に希釈したラット抗 PECAM1抗体 (Mecl3.3: Pharminge n) 及び 3 0 0倍希釈したマウス抗平滑筋ァクチン— o; (SMA- ) 抗体 (1A4 : Sigma) を加え、 室温で 2時間インキュベートした。 2時間のインキュベート 後、 PB S— T (0. 0 5 %Twe e n 2 0を含む P B S) で 3回洗浄し、 さら に 2次抗体として 2 %スキムミルクでそれぞれ 200倍希釈したャギ抗マウス Ig G-HRP (Zymed) とャギ抗ラット IgG- Alkal i Phosphatase (AP) (Zymed) を加え、 室温で 2時間インキュベートした。 2時間のインキュベート後、 PB S— T (0.
0 5 %Twe e n 20を含む P B S) で 3回洗浄し、 その後 0. 025 %DAB を含む PB S— Tを加え、 室温で 10〜 20分間静置した。 SMA— α染色用の HRP発色は、 0. 1 5 %H2〇2ZPB S— Τを加えることによって行い、 適当 な発色 (茶色) が得られたところで PB S— Tで 2回洗浄し、 反応を停止させた。 さらに、 NBT/BCIP stock solution (Roche) を含む AP液 (lOOmM Tris (pH9.5)、 lOOmM NaCl、 50mM MgCh, 5mM Levamisole) を加えることにより、 AP染色 (P EC AMI用) を施した。 適当な発色 (紫色) が得られたところで、 PBS— T で 2'回洗浄し、 反応を停止させた。 検体は、 4%パラホルムアルデヒド (P F A) を用いて再度固定化させた後、 保存した。
その結果、 VEGF単独で培養したものと比較し、 TGF )3阻害化合物の共存 群では、 いずれの化合物においても明確な細胞数の増加が認められた。 骨格の異 なる化合物で同じ結果が得られたことより、 本作用は TGF ;3阻害化合物に共通 の現象であることが示唆された。 以上のことより、 TGF i3阻害化合物は、 血管 内皮細胞の細胞増殖に対して促進的に働くことが明らかとなった。 例 4 : TGF ;3阻害化合物のもつ血管内皮細胞分化促進作用
ES細胞から分化した F 1 k一 1陽性細胞を内皮細胞に分化させる過程に TG F 3阻害化合物を作用させ、 TGF 阻害化合物の血管内皮細胞分化に対する効 果を検討した。 実験方法及び培養は例 3の方法に従って行ったが、 ただし、 後半 の培養 (血管分化用培地での培養) に供した F 1 k— 1陽性細胞の細胞数は 1X1 03個とした。 被験物質としては化合物 1を用い、 後半の培養より終濃度 1 Mで 添加した。
まず、 例 3によって得られた免疫染色データにより、 VEGF単独で培養した ものと比較し、 TGF iS阻害化合物共存下で培養したものは、 紫で染色された内 皮細胞コ口ニーが顕著に増加し、 さらにそのコロニーも大きいことが分かる。 次に、 下記の表 2は、 本例における培養により出現したコロニ一を、 '免疫染色 データおよび形態に基づいて、 3つの集団 (シート状にコロニーを形成した血管 内皮細胞群、 分散してコロニーを形成した血管内皮細胞群、 平滑筋コロニー群) に分類し、 コロニーの内訳をまとめたものである。
表 2 : F 1 k— 1陽性細胞からの血管内皮細胞分化および平滑筋細胞分化に対す る TGF 3阻害化合物の効果
表 2から明らかなように、 VEGF単独で培養したものと比較し、 TGF i3阻 害化合物共存下で培養したものでは、 シート状の血管内皮細胞のコロニー形成率 が増加し、 反対に分散型の血管内皮細胞コロニーおよび平滑筋コロニーの形成率 が減少していた。 この結果より、 TGF 3阻害化合物には、 平滑筋細胞への分化 に比較し、 血管内皮細胞への分化を促進させる作用があることが明らかとなった。 例 5 : T G F ;3阻害化合物の細胞間接着性亢進作用
例 3により得られた培養細胞の写真を高倍率で拡大したところ、 VEGFのみ で培養した血管内皮細胞シートでは、 細胞と細胞の境界線が不鮮明であつたのに 対し、 TGF 3阻害化合物を含む条件で培養した血管内皮細胞シートでは、 細胞 と細胞の境界線が明瞭であつ—た。 VEGF単独で培養した細胞での結果は、 VE GF投与により形成された血管は脆弱で、 血管透過性が高い (細胞間接着性が弱 い) という in vivoでの知見と一致するものであった。 一方で、 TGF /3阻害化 合物共存下における結果は、 TGF 3阻害化合物が脆弱な (細胞間接着性が弱 い) 血管を正常化させることを示唆するものであった。 例 6 : TGF iS阻害化合物添加による Claudin5蛋白質の発現宂進
TGF iS阻害化合物として化合物 1を用い、 例 3の実験条件に従って形成され た 4日目の内皮細胞シートに対し、 抗 Claudin5染色を実施した。 免疫染色は例 3 の方法に従って行った。 抗 Claudin5抗体は Zymedより入手したものを使用した。 その結果、 VEGFのみで培養した内皮細胞シートの染色に比し、 TGF 3阻 害化合物添加により形成されたシートは強く染色され、 顕著に Claudin5蛋白質が 発現亢進していることが明らかとなった。 このことより、 例 5で観察された血管 内皮シート内の細胞間接着性亢進は、 Claudin5の発現亢進を介したものであるこ とが示唆された。 例 7 :血管内皮前駆細胞培養に対する TGF /3阻害化合物の効果
ヒト末梢血単核球を血管内皮前駆細胞へ分化 ·増幅させる培養を行い、 そこへ TGF iS阻害化合物を添加することにより、 TGF 3阻害化合物の血管内皮前駆 細胞の分化 ·增幅培養に対する効果を検討した。 被験物質としては、 化合物 1、 2、 4および 5を用いた。 培養は Kalkaらの方法 (Proc. Natl. Acd. Sci. USA 9 7: 3422-3427, 2000) に従い、 培養 3日目から被験物質を添加した。
すなわち、 健常人ポランティァの末梢血 2 0 Om 1をリン酸緩衝生理食塩水で 2倍に希釈した後、 リンホプレップ (d=l.077;第一化学薬品社より購入) に重 層して、 密度勾配比重遠心 (40 0 X g、 2 5分間) を行い、 単核球画分を得た。 この画分をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、 混入した赤血球を除くために溶血し、 リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。 こうして得た単核球を 5 %の F C Sを添加し た EGM— 2培地 (購入時に添付されてきた VEGF、 EGF、 b FGF、 I G F— 1、 ァスコルビン酸、 および GA— 1 0 0 0を添加。 Clonetics社製) に懸 濁して、 あらかじめフィブロネクチンコートを行った 2 4穴組織培養用プレート (Falcon社製) に、 5 0 0 0個/ mm2、 総培地量 5 0 0 ^ 1となるように播種し、 5 %C〇2存在下、 3 7 °Cにて培養を開始した。 被験物質は、 ジメチルスルホキ シド (DMS O;和光純薬社製) に溶解し、 3日目に添加した (被験物質終濃度 1 0 fiM, DMS O終濃度 0. 0 5 %) 。 4日目に、 接着していない細胞と培養 上清を静かに除き、 被験物質をそれぞれ 1 0 の濃度となるように懸濁した新 しい EGM— 2培地 5 0 0 1を添加した。 さらに、 5 %C02存在下、 3 7 °C
にて 3日間培養 (計 7日間培養) した後、 培養上清を除き、 D i I標識ァセチル LDL ( 1 0 1 g/m 1 ) (Molecular Probes社製) を溶解した新しい EGM— 2培地を添加し、 3 7 °Cで 2時間培養を行い、 D i I標識ァセチル LDLを取り 込ませた。 その後、 上清を除去し、 洗浄および固定化を行なった後、 1 0 0倍希 釈した F I TC標識化 UE A— 1 (Sigma社製) を添加し、 室温で 1時間反応さ せ、 洗浄した。 その後、 それぞれのゥエルを蛍光顕微鏡で観察した。 陽性対照に はヒト臍帯静脈内皮細胞 (Clonetics社より入手) を用い、 陰性対照に Balb/c 3T 3細胞 (アメリカンタイプカルチャーコレクション (ATCC) より入手) を用いた。 顕微鏡観察において、 倍率 2 0 0倍で 5視野観察し、 D i I標識ァセチル LDL の取り込みおよび F I丁(3標識化11£八ー 1染色の二重染色像が確認された紡錘 形細胞を血管 皮前駆細胞として、 その細胞数を数えた。
結果を図 1に示した。 図 1から明らかなように、 被験物質はいずれも、 1 0 Mの濃度で血管内皮前駆細胞数を増加させた。 例 8 : TGF )8阻害活性を有する化合物の in vivo血管新生促進作用
TGF ]3阻害化合物の血管新生に対する作用を評価するため、 マトリゲル ·プ ラグ ·アツセィを実施した。 1 m 1のマトリゲル (BD Biosciences Bedford, M A) に 400 n gの human basic FGF (R&D) 、 5 0 x gの heparin (ァヴェンティ ス ·ファーマ株式会社) および被験物質としての化合物 1 (終濃度 1 M) (も しくは DM SO) を氷上で加え、 調製されたゲルを BL/6マウスの下腹部皮下に 0. 2m lずつ注射した。 6〜8日後、 マトリゲル中に陥入した血管を実体顕微鏡で 観察した。
その結果、 bFGF単独の対照と比較し、 TGF ]3阻害化合物を含むマトリゲ ル内において、 顕著な血管数の増加が認められ、 TGF 阻害化合物に血管新生 促進作用があることが明らかとなった。