WO2004021810A1 - 喫煙用フィルター - Google Patents

Abstract

ろ過材を有する喫煙用フィルターにおいて、前記ろ過材または前記ろ過材周辺を加熱する手段を備える喫煙用フィルター。

Description

明 細 書

喫煙用フィルター

技術分野

本発明は喫煙用フィル夕一に関する。

背景技術

従来、 たばこ煙中の有害物質を除去するために、 フィ ル夕 —に各種の吸着剤や改質剤を添加する こ とが提案されてい る。

しかし、 高沸点成分 （例えばベンツピレンなど） は粒子と 同じ挙動をするため、 従来のフィ ルターでは高沸点成分を選 択的に除去する こ とが難しいという問題があった。

例えば、 特開昭 6 0 - 1 1 0 3 3 3号公報には、 たばこ用 のアセテー ト繊維フィルタ一に顆粒状に形成した藍藻ス ピル リナを担持させたものが提案されている。 この公報には、 藍 藻ス ピルリ ナを担持させたフィ ルターをパイ プに装着してた ばこの煙を通し、 藍藻ス ピルリ ナを担持させていないフィ ル 夕一を基準にして吸着除去率を求めたと ころ、 ニコチンで 4 2 . 4 %、 タールで 5 3 . 2 %、 3 ， 4 —ベンツピレンで 7 5 . 1 %であったことが.記載されている。

また、 特開昭 6 2 — 7 9 7 6 6号公報には、 ッリ ガネダケ /マンネンタケ混合加工綿状体または力 ワラタケ粉体 · 粗綿 状体を保留させたシー ト状担体を巻いたフィ ルターが提案さ れている。 この公報には、 各フィ ルターによる 3 , 4 _ベン ツビレンの除去率がそれぞれ 6 2 %、 3 5 %であったこ とが 記載されている。 しかし、 これらのフィルターでは、 たばこ煙からの高沸点 成分の除去性能が不十分である。

発明の開示

本発明の一態様によれば、 ろ過材を有する喫煙用フィ ル夕 一であって、 前記ろ過材または前記ろ過材周辺を加熱する手 段を備えたものが提供される。

本発明において、 ろ過材周辺を加熱する手段とは、 ろ過材 を直接加熱するものではなく 、 例えばチップペーパーに巻か れたろ過材を外か ら間接的に加熱する喫煙物品 （シガレッ ト ホルダ一） を含む。

本発明の喫煙用フィ ルターにおいては、 前記ろ過材が耐熱 性繊維からなる こ とが好ましい。 耐熱性繊維か らなるフィ ル 夕一は、 3 0 0 °C程度まで温度をかけても変性しない耐熱性 を有する ことが好ましい。

本発明の喫煙用フィ ルターにおいては、 前記ろ過材が、 粒 子をほぼ 1 0 0 %ろ過できる高ろ過フィルターである こ とが 好ましい。 高ろ過フィ ルターとは、 たばこ煙中の粒子成分を ほぼ 1 0 0 %除去し、 蒸気成分をほとんど透過できるフィ ル ターをいう。 高ろ過フィ ルターの繊維径ゃ通気抵抗は通常の フィル夕一と同程度でよく 、 繊維径サブミ ク ロ ン〜数十ミ ク ロン、 通気抵抗 2 0 0 m m H 2〇以下のものが用いられる。

また、 本発明では、 加熱によ り煙の気液分配を変えてろ過 する ことに特徴があるので、 加熱した煙を加熱してないろ過 材に通しても同じような効果を期待できる可能性がある。 し たがって、 ろ過材の手前で煙を加熱して気液分配を変えた後 にろ過材に通してもよい。 具体的には、 燃焼コーンのすぐ後 方に高ろ過フィ ルターを配置してもよい。 例えば、 エアーズ (登録商標） などのエアロゾルシガレツ 卜の場合、煙生成位 置が変化しないので、 その直後に高ろ過材を配置するだけで よい。 また、 低延焼性巻紙と組み合わせれば自然燃焼が遅い ため、 単巻部を十分短く してろ過材を配置する こ とができ る。

本発明の喫煙用 フ ィ ルタ一において用 い られる加熱手段 は、 1 0 0 〜 2 0 0 °Cの範囲に温度制御可能である ことが好 ましい。 また、 フィ ルター温度は 2 0 0 °Cと 1 0 0 °Cなど、 2 段階以上で制御 して もよい。本発明の喫煙用 フ ィ ルター は、 さ らに、 冷却部を有していてもよい。 本発明の喫煙用フ ィル夕一は、 さ らに、 吸着剤としてチヤコールや層状リ ン酸 塩、 その他の添加剤などを併用 してもよい。

本発明によれば、 たばこ煙中の香喫味寄与成分などの必要 な成分は蒸発するが高沸点成分は蒸発しない程度の熱を与え る ことによ り、 高沸点成分を選択的にろ過できる。

図面の簡単な説明

図 1 は本発明の一実施例に係る喫煙用フィ ルターにシガレ ッ 卜を取り付けた状態を示す図。

図 2 は自動喫煙実験の機器構成を示す図。

図 3 はフィ ルター温度と、 各成分の流出量との関係を示す 図。

図 4 はフィルター温度と、 ニコチン対タールの流出量の比 率 （N Z T比） との関係を示す図。 図 5はフィ ルター温度と、 各成分の透過率との関係を示す 図。

図 6 は本発明の一実施例に係る喫煙用フィ ルターに他のシ ガレツ トを取り付けた状態を示す図。

図 7は各煙成分の蒸気圧と透過率との関係を示す図。

図 8は本発明の一実施例に係る喫煙用フィルターにリ ン酸 ジルコニウムを添加した状態を示す図。

図 9はリ ン酸ジルコニウムを添加および未添加の場合での ニコチンおよび芳香族アミ ン類の流出量を示す図。

図 1 0 は本発明の一実施例に係る喫煙用フィ ルターを 2段 階で温度制御した状態を示す図。

図 1 1 は 1段階および 2段階で温度制御した喫煙用フィル 夕一によ るニコチンおよび芳香族アミ ン類の流出量を示す 図。

発明を実施するための最良の形態

以下、 図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。 図 1 は本発明の一実施例に係る喫煙用フィ ルターにシガレ ッ トを取り付けた状態を示す図である。 図 1 に示すよう に、 喫煙用フィルター 1 の内部に、 高ろ過材 2 と して H E P Aフ ィ ル夕一 (High Efficiency Particulate Air Filter) およ びその周囲に設けられたヒーター 3が配置されている。 この 喫煙用フィルター 1 の先端にシガレツ 卜 1 0が取り付けられ る。 喫煙時にはヒーター 3 によ り高ろ過材 2 を加熱する。

以下、 図 2 に示す機器構成で自動喫煙実験を行った。 図 2 に示すよう に、 図 1 の喫煙用フィ ルター 1 の後段に、 2 2 °C に設定されたクーラー 2 0 およびケンプリ ッジフィ ルター 3 0 を設け、 さ らに自動喫煙装置 4 0 に接続した。 シガレッ ト 1 0 として市販の両切り シガレツ ト を取り付けた。 そして、 高ろ適材の温度を 2 2 °C (非加熱） 〜 3 0 0 °Cの種々の温度 に設定して 自動喫煙を行っ た。 フィ ルター温度は、 6 分間

( 6パフ） の自動喫煙中に一定に保持した。

図 3 に、 フィ ルター温度と、 タール （ T a r ) 、 ニコチン

( N i c ) 、 ベンツピレン （B a P )、 芳香族ァミ ン類 （A a s )の流出量との関係を示す。 なお、 図中のブランクは H E P Aフィ ルターを取り除いて 2 2 °Cで自動喫煙を行ったとき の結果である。 また、 H 2 2 などの表示は、 高ろ過材 （H E P Aフィ ルター） の設定温度を示している。

図 3 から、 高ろ過材の温度が 2 2 の場合、 各成分の流出 量は少ないが、 高ろ過材の温度上昇に伴い各成分の流出量が 増加している こ とがわかる。 これは、 高ろ過材の特性、 すな わち粒子をほぼ 1 0 0 %ろ過するが蒸気 （一部の蒸気成分を 除く） をほとんどろ過しないという特性に依存した結果であ る。 タール、 ニコチン、 ベンツピレン、芳香族アミ ン類は温 度上昇に伴って蒸発量が増加するため流出量が増加する。 た ばこ煙中の成分ごとに蒸発温度が異なるため、 必要な成分は 蒸発するが除去したい高沸点成分は蒸発しない程度に高ろ過 材を加熱すれば、 高沸点成分を選択的に除去できる こ とがわ る。

図 4 に、 フィ ルター温度と、 ニコチン対タールの流出量の 比率 （N Z T比） との関係を示す。 タールには数千以上の粒 子相成分が含まれており、 各成分で蒸発する温度が様々であ る。 このため、 タールとニコチンとでは、 温度による流出量 が異なる。 図 4からわかるよ う に、 N / T比はフィ ルター温 度を 1 2 5 °Cに設定した場合に最も高く、 ブラ ンクの場合と 比較して約 8倍であった。

つまり、 ろ過材を加熱する こ とによ り タール中の難揮発性 成分をろ過してニコチン沸点以下の香喫味寄与成分を選択的 に透過させる こ とが可能である。

図 5 に、 フィ ルター温度と、 各成分の透過率との関係を示 す。 この図は、 タール ( T a r ) 、 ニコチン ( N i c ) 、 ベ ンッピレン （ B a P ) および芳香族ァミ ン類 （A a s )につい て、 ブランクでの透過率を 1 と して相対値で示している。 二 コチンは 2 2 °Cではほと ん ど透過しないが、 1 0 0 °Cで約 0 . 2 、 1 2 5 °Cで約 0 . 5 、 2 0 0 °Cでは約 0 . 8 と温度 に対する透過率の増加が顕著に見られる。 温度が 2 0 0 以 上の場合、 実験後に加熱した H E P Aフィ ルターか らニコチ ンが検出されなかったこ とか ら、 ほぼ全量が H E P Aフィ ル ターを透過する と考え られる。 しかし、 透過したニコチンの 一部は配管等に付着してロスするため、 2 0 0で以上では透 過率が 0 . 8 程度になっ ている と考え られる。 また、 夕一 ル、 ベンツピレン、 芳香族ァミ ン類に関しては、 3 0 0 °Cに した場合でも、 蒸発が十分でないこ と、 配管への付着等で口 スする こ と等によ り 透過率が 1 にな らなかっ たと考え られ る。 フィルター温度を 1 2 5 〜 1 5 0 に設定すれば、 喫煙 上好ましく ないベンツピレンや芳香族アミ ン類をほとんど透 過せず、 ニコチン沸点以下の香喫味寄与成分を選択的に透過 させる こ とができる。 また、 フィ ルタ一温度が 1 0 0 〜 2 0 0 °Cの範囲で、 上記のような選択透過の効果を得る ことがで きる。

なお、 以上の実験では 1 パフから 6 パフまでの間中、 常に フィ ルター温度を一定に制御しているが、 各パフ時の短時間 のみフィ ル夕一を所定温度 （例えば 1 2 5 °C ) に加熱するよ う にしても同様の効果が得られる と考えられる。

次に、 図 1 に示すよう に喫煙用フィ ルター 1 に両切り シガ レッ ト 1 0 を取り付けたものと、 図 6 に示すよう に喫煙用フ ィ ルター 1 にチヤ コールフィ ルター 1 1 a を有するシガレツ ト 1 1 を取り付けたものを用意した。 それぞれの構成で、 高 ろ過材を 2 0 0 °Cに加熱して 1 パフ し、 透過したたばこ煙を 採取した。 採取したたばこ煙を G C / M Sで分析し、 各蒸気 成分の蒸気圧と透過率との関係を調べた。 その結果を図 7 に 示す。

高ろ過材の前段にチヤコールフィ ルターがない場合には、 蒸気圧が高い成分ほど透過率が高く なる傾向が得られた。 一 方、 高ろ過材の前段にチヤ コールフィ ル夕一がある場合に は、 ニコチンの透過率は前者とほとんど変わらないにもかか わらず、 蒸気圧の高い成分を選択的にろ過できる こ とがわか つた。 つま り 、 本発明の加熱手段を具備した喫煙物品とチヤ コールに代表される吸着剤、 添加剤を組み合わせる ことによ り、 粒子相成分と蒸気相成分の制御が可能になる こ とが示さ れた。 図 7 では透過率が 1 以上のものは認められないので、 高ろ 過材を 2 0 0 °Cに加熱したとしても、 加熱反応によって生成 する特異的な成分はこの測定範囲内においては存在しないこ とがわかる。

次に、 図 8 に示すよう に層状リ ン酸塩である リ ン酸ジルコ ニゥム 4 (第一稀元素化学工業 （株） 製、 C P Z — 1 0 0 ) を 2 枚の H E P Aフィルターで挟み込むよう に装填し、 図 2 に示す機器構成で高ろ過材の温度を 2 0 0 °Cに設定して自動 喫煙実験を行った。

図 9 に リ ン酸ジルコニウムを添加した場合のニコチンと芳 香族アミ ン類の流出量を未添加の場合と比較して示す。図 9 よ り、 リ ン酸ジルコニウムのような吸着剤を H E P Aフィル 夕一に添加する ことで、ニコチンの透過率をほとんど変化さ せずに芳香族アミ ン類を選択的に除去できる こ とが示され た。また、 例えば高温で効果的に働く酸化触媒等を H E P A フィ ル夕一に添加し、 喫煙上好ましくない一酸化炭素を二酸 化炭素に変換するような利用法も考えられる。

図 1 0 に高ろ過材とその周囲のヒーターとを有する喫煙用 フィルターを 2 つ設けた場合の実施例を示す。 こ こでは上流 のフィルター温度を高温 （2 0 0 °C )、 下流のフィ ルター温度 を低温 （ 1 0 0で） に設定した。 この場合、 上流のフィ ルタ 一ではニコチン沸点以下の香喫味寄与成分を高沸点成分に対 して選択的に透過させる ことを目的とし、 下流のフィ ルター では上流のフィル夕一を透過した一部の高沸点成分を凝縮に よ り選択的に除去する こ とを考えた。 図 1 1 に 2段で温度制御した場合のニコチンおよび芳香族 ァミ ン類の流出量をニコチンの流出量がほぼ等しい 1 5 0 °C での 1 段加熱による結果 （H I 5 0 ) と比較して示す。 図よ り 、 ニコチン流出量がほぼ等しいにも関わらず、 2 段の場合 は下流側での高沸点成分の選択的な凝縮によ り 、 芳香族アミ ン類の流出量を抑制できている こ とがわかる。以上よ り 、 多 段の温度制御による煙成分制御の有効性が示された。

また、 以上の説明では、 たばこ煙中の粒子成分をほぼ 1 0 0 %除去し、 蒸気成分をほとんど透過できる高ろ過材 （ H E P Aフィ ルター） を加熱する場合について説明したが、 たと えば粒子成分を 5 0 %除去できるろ過材を用いて、 これを加 熱するよう にすれば、 ニコチン沸点以下の香喫味寄与成分を ほぼ全量透過させてベンツピレンや芳香族ァミ ンなどの喫煙 上好ましくない高沸点成分を 5 0 %程度除去できるよう にな るものと考えられる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . ろ過材を有する喫煙用フィルタ一において、 前記ろ過材 または前記ろ過材周辺を加熱する手段を備える こ とを特徴と する喫煙用フィルター。

2 . 前記ろ過材が耐熱性繊維からなる ことを特徴とする請求 項 1記載の喫煙用フィル夕一。

3 . 前記ろ過材が、 粒子をほぼ 1 0 0 %ろ過できる高ろ過フ ィ ルターである こ とを特徴とする請求項 1 記載の喫煙用フィ ルター。

4 . 前記加熱手段は、 1 0 0 〜 2 0 0 °Cの範囲に温度制御可 能である ことを特徴する請求項 1 記載の喫煙用フィ ル夕一。

5 . 前記加熱手段は 1 0 0 〜 2 0 0 °Cの範囲に 2 段階以上で 温度制御が可能なこ とを特徴とする請求項 1 記載の喫煙用フ ィルター。

6 . さ らに、 冷却部を有する こ とを特徴とする請求項 1 記載 の喫煙用フィルター。

7 . さ らに、 チヤ コールフィ ルターを併用 したことを特徴と する請求項 1 記載の喫煙用フィルター。

8 . ろ過材が吸着剤として層状リ ン酸塩を含有する こ とを特 徵とする請求項 1 記載の喫煙用フィルター。