標的細胞への選定分子の導入方法、 標的細胞の細胞融合方法および それらの方法に用いるプラズマ照射装置 技術分野
本発明は、 標的細胞への選定分子の導入方法に関する。 より詳しくは、 本発明 は、 低温ガスプラズマの照射領域を調節するステップを備える、 標的細胞へのポ リヌクレオチドゃ蛋白質や低分子化合物などの導入方法に関する。
また、 本発明は、 標的細胞の細胞融合方法に関する。 より詳しくは、 本発明は、 低温ガスプラズマの照射領域を調節するステップを備える、 標的細胞の細胞融合 方法に関する。
さらに、 本発明は、 標的細胞への選定分子の導入方法または標的細胞の細胞融 合方法に用いるプラズマ照射装置に関する。 より詳しくは、 本発明は、 低温ガス プラズマの照射領域を調節する機構を有する、 プラズマ照射装置に関する。 背景技術
近年、 ヒトゲノムおよびマウスゲノムの解読がほぼ完了し、 医学、 薬学などの 分野において、 遺伝子工学関連の研究開発や医薬品開発を行なう際に、 D N A、 R NAなどのポリヌクレオチドまたはその誘導体、 シグナル伝達蛋白質や転写調 節因子などの蛋白質やその誘導体などの高分子化合物、 低分子生理活性物質、 薬 剤候補品などの選定分子を標的細胞内に導入し、 標的細胞内での遺伝子の機能や 生理活性分子の生理的な活性を試験する必要が増している。
現在のところ、 標的細胞への選定分子の導入方法としては、 エレクトロボレ一 シヨン法、 ジーンガン法、 リボソーム法、 細胞融合法、 ウィルスベクター法など の方法が用いられているが、 必ずしも十分に選定分子を細胞内に導入できるもの ではないという問題がある。
たとえば、 エレクト口ポレーシヨン法やジーンガン法においては、 多くの種類 の標的細胞に応用できるが、 操作が煩雑であり、 ハイスループットスクリーニン
グ化 (本明細書において、 H T S化とも記載する) することが難しいという問題 がある。 また、 リボソーム法や細胞融合法においては、 応用できる標的細胞の種 類が限定されるといった問題がある。 さらに、 ウィルスベクター法においては、 応用できる標的細胞の種類が限定されるとともに、 ベクターの構築に非常に多く の時間と労力とコストを要するという問題がある。
そして、 いずれの方法も高価であるため、 仮に H T S化できたとしても、 その 方法のランエングコストが非常に高価なものとなるか、 あるいは、 その方法に用 いる装置が非常に高価なものとなるという問題がある。 また、 いずれの方法にお いても、 すべての標的細胞への選定分子の導入効率が必ずしも十分に満足できる 水準ではないという問題もある。 '
しかし、 ヒトゲノムおよびマウスゲノムの解読がほぼ完了し、 機能未知な遺伝 子の機能解析が急務となっている昨今の社会情勢の中で、 H T S化された標的細 胞への選定分子の導入方法が必要不可欠な技術として、 医薬品業界をはじめとす る産業界からその開発を強く求められる状況となっている。
ここで、 標的細胞への選定分子の導入方法を H T S化するためには、 標的細胞 への選定分子の導入効率を高めることが必要である。 また、 標的細胞への選定分 子の導入方法を用いてさまざまな遺伝子の機能解析を可能にするためには、 特定 の限られた種類の標的細胞への遺伝子の導入が可能であるだけではなく、 さまざ まな種類の標的細胞への高効率な遺伝子の導入が可能である、 標的細胞への選定 分子の導入方法の開発が必要である。
し力 し、 産業界からの強い要望にも関わらず、 多種類の標的細胞への高効率な 選定分子の導入が可能である、 標的細胞への選定分子の導入方法は、 未だ公知の ものとはなっていないのが現状である。
近年、 遺伝子工学関連の研究開発や医薬品開発を行なう際に、 同種のまたは異 種の標的細胞を融合させることにより、 さまざまな標的細胞の機能を試験する必 要も同様に增しつつある。 また、 標的細胞の細胞融合方法においても同様に H T S化が強く望まれている。
現在のところ、 標的細胞の細胞融合方法としては、 不活性化したセンダイウイ ルス、 麻疹ウィルス、 ニューカッスル病ウィルスなどを用いる方法、 リゾレシチ
ン、 グリセロールォレイン酸エステル、 ポリエチレングリコール ( P E G) など を用いる方法、 エレク ト口ポレーシヨン法などの方法が用いられているが、 必ず しも十分に細胞融合させることができるものではないという問題がある。
たとえば、 エレク ト口ポレーシヨン法においては、 多くの種類の標的細胞に応 用できる力 操作が煩雑であり、 H T S化することが難しいという問題がある。 また、 不活性化したウィルスを用いる方法においては、 応用できる標的細胞の種 類が限定されるといった問題がある。
さらに、 いずれの方法も高価であるため、 仮に H T S化できたとしても、 その 方法のランニングコストが非常に高価なものとなるか、 あるいは、 その方法に用 いる装置が非常に高価なものとなるという問題がある。 また、 いずれの方法にお いても、 すべての標的細胞の細胞融合効率は必ずしも十分に満足できる水準では ないという問題もある。
ここで、 標的細胞の細胞融合方法を H T S化するためには、 標的細胞の細胞融 合効率を高めることが必要である。 また、 標的細胞の細胞融合方法を用いてさま ざまな標的細胞の機能解析を可能にするためには、 特定の限られた種類の標的細 胞の細胞融合が可能であるだけではなく、 さまざまな種類の標的細胞の細胞融合 が可能である、 標的細胞の細胞融合方法の開発が必要である。
し力 し、 産業界からの強い要望にも関わらず、 多種類の標的細胞の高効率な細 胞融合が可能である、 標的細胞の細胞融合方法は、 未だ公知のものとはなってい ないのが現状である。 発明の開示
上記より、 本発明の目的は、 さまざまな種類の標的細胞へのさまざまな選定分 子の高効率な遺伝子の導入および H T S化が可能である、 標的細胞への選定分子 の導入方法を提供することである。
また、 本宪明の他の目的は、 さまざまな種類の標的細胞の高効率な細胞融合お よび H T S化が可能である、 標的細胞の細胞融合方法を提供することである。 さらに、 本発明のもう一つの目的は、 さまざまな種類の標的細胞へのさまざま な選定分子の高効率な選定分子の導入、 およびさまざまな種類の標的細胞の高効
率な細胞融合に用いることのできる、 高効率かつ H T Sに適した装置を提供する ことである。
本努明の標的細胞への選定分子の導入方法は、 標的細胞の近傍に選定分子を添 加するステップと、 この標的細胞を低温ガスプラズマの照射領域に保持するステ ップと、 この低温ガスプラズマの照射領域を調節するステップと、 この低温ガス プラズマを発生するために必要なエネルギーをガスに供給するステップと、 この 標的細胞にこの低温ガスプラズマを照射するステップと、 を備える、 標的細胞へ の選定分子の導入方法である。
ここで、 この標的細胞は、 ヒ ト以外の動物細胞、 ヒ ト以外の動物個体、 ヒ トの 個体から採取された細胞、 ヒ トの個体内の細胞、 ヒトの個体、 植物細胞、 微生物 細胞からなる群より選ばれる 1種以上であることが好ましい。
また、 この選定分子は、 D NA、 R NAなどのポリヌクレオチドまたはその誘 導体、 シグナル伝達蛋白質や転写調節因子などの蛋白質やその誘導体などの高分 子化合物、 低分子生理活性物質、 薬剤候補品からなる群より選ばれる 1種以上で あることが望ましい。 さらに、 この選定分子は、 ポリヌクレオチドを含むことが 推奨される。
そして、 この添加するステップは、 この選定分子を含む溶液をこの標的細胞を 含む細胞組成物に添加するステップを含むことが好ましい。 また、 この保持する ステップは、 固体基盤上にこの標的細胞を保持するステップを含むことが望まし い。 さらに、 この保持するステップは、 培地表面にこの標的細胞を保持するステ ップを含むことが推奨される。
また、 この供給するステップは、 空気、 窒素ガス、 酸素ガス、 二酸化炭素ガス、 ヘリウムガス、 ネオンガス、 ァノレゴンガス、 クリプトンガス、 キセノンガスから なる群より選ばれる 1種以上を含むガスに、 この低温ガスプラズマを発生するた めに必要なエネルギーを供給するステップを含むことが好ましい。
さらに、 この低温ガスプラズマは、 低温ガスの弱電離プラズマを含むことが望 ましい。 また、 この低温ガスプラズマは、 低温ガスの非平衡プラズマを含むこと が望ましい。
そして、 この照射するステップは、 大気圧条件下でこの標的細胞にこの低温ガ
スプラズマを照射するステツプを含むことが好ましい。
ここで、 この照射するステップは、 この低温ガスプラズマにガス流を供給する ステップと、 このガス流によりこの低温ガスプラズマをこの標的細胞の方向に移 動させるステップと、 を含むことが好ましい。 また、 この調節するステップは、 このガス流の方向を変化させるステップを含むことが望ましい。
さらに、 この照射するステップは、 コロナ放電によりこのガスを電離させてこ の低温ガスプラズマを発生するステップを含むことが推奨される。 そして、 この 供給するステップは、 直流または交流の電源により対向する電極に電圧を印加す るステップを含むことが好ましい。 また、 この照射するステップは、 このガス流 中でこのコロナ放電を行なうステップと、 このコロナ放電によりこのガス流中の このガスを電離させてこの低温ガスブラズマを発生するステップと、 を含むこと が望ましい。
さらに、 この照射するステップは、 誘導結合プラズマ発生方式によりこのガス を電離させてこの低温ガスプラズマを発生するステップを含むことが好ましい。 ここで、 この供給するステップは、 交流電源により導電コイルに電圧を印加する ステップと、 この電圧を印加されたこの導電コイルによりこの導電コイルの内部 に設けられた貫通空隙部を有する誘電体を分極させるステップと、 この分極され た誘電体により前記低温ガスプラズマを発生するために必要なエネルギーをこの ガスに供給するステップと、 を含むことが推奨される。 また、 この照射するステ ップは、 この誘電体の貫通空隙部にこのガス流を通過させるステップと、 この導 電コィルに交流電圧を印加してこのガス流中でこのガスを電離させてこの低温ガ スプラズマを発生させるステップと、 を含むことが好ましい。
そして、 この照射するステップは、 誘電体バリア放電によりこのガスを電離さ せてこの低温ガスプラズマを発生するステップを含むことが望ましい。 ここで、 この供給するステップは、 交流の電源によりこのガス流の流路および誘電体を含 む領域の両側に配置された対向する電極に電圧を印加するステップと、 この電圧 の印加された電極によりこのガス流の流路の両側または片側に配置されたこの誘 電体を分極させるステップと、 この分極された誘電体および/またはこの電圧の 印加された電極により前記低温ガスプラズマを発生するために必要なエネルギー
をガスに供給するステップと、 を含むことが推奨される。 また、 この照射するス テツプは、 このガス流中でこの誘電体バリア放電を行なうステップと、 この誘電 体バリァ放電によりこのガスを電離させてこの低温ガスプラズマを発生するステ ップと、 を含むことが好ましい。
さらに、 この照射するステップは、 この低温ガスプラズマに電磁気力を付加す るステップと、 この電磁気力によりこの低温ガスプラズマをこの標的細胞の方向 に移動させるステップと、 を含むことが望ましい。 ここで、 この調節するステツ プは、 この低温ガスブラズマに対して磁場を供給するステツプを含むことが推奨 される。 また、 この照射するステップは、 コロナ放電によりこのガスを電離させ てこの低温ガスプラズマを発生するステップを含むことが好ましい。 そして、 こ の供給するステップは、 交流の電源により対向する電極に電圧を印加するステツ プと、 この電圧の印加された電極によりこのガスを電離させてこの低温ガスプラ ズマを発生するステップと、 を含むことが望ましい。 さらに、 この照射するステ ップは、 このコロナ放電と時間的に同期したこの磁場をこの低温ガスブラズマに 印加するステップと、 この磁場によりこの低温ガスプラズマにこの電磁気力を加 えるステップと、 を含むことが推奨される。 また、 この照射するステップは、 こ のコロナ放電を発生させる電流の方向と空間的に直交した方向のこの磁場をこの 低温ガスプラズマに印加するステップと、 この磁場によりこの低温ガスプラズマ にこの電磁気力を加えるステップと、 を含むことが好ましい。
また、 このプラズマ発生エネルギーを供給するステップは、 複数の開口空隙部 を有する誘電体と、 それぞれ異なるこの開口空隙部の内部に設けられ、 直流また は交流の電源と接続した対向する電極に電圧を印加するステップを含むことが好 ましい。 さらに、 このプラズマ照射領域を調節するステップは、 ガス供給手段を 用いてこの複数の開口空隙部のうち 1以上の開口空隙部からこの保持手段への方 向のガス流を発生させるステップを含むことが望ましい。 そして、 このプラズマ 発生エネルギーを供給するステップは、 複数に分岐し、 それぞれ異なるこの開口 空隙部の内部に設けられた電極先端を備え、 この複数の対向する電極のうち少な くとも一組の電極を含む、 対向する電極に電圧を印加するステップを含むことが 推奨される。
また、 この調節するステップは、 この標的細胞をこの低温ガスプラズマを発生 する部位に対して相対的に移動させるステップを含むことが好ましい。 そして、 この調節するステップは、 この標的細胞をこの低温ガスブラズマを発生する部位 に対して、 この低温ガスプラズマを発生する部位から所定の距離に位置する平面 内において、 相対的に並進運動させるステップを含むことが推奨される。 また、 この調節するステツプは、 この標的細胞をこの低温ガスプラズマを発生する部位 に対して相対的に回転運動させるステップを含むことが好ましい。 さらに、 この 調節するステップは、 この標的細胞をこの低温ガスブラズマを発生する部位に対 して相対的に偏心回転運動させるステップを含むことが望ましい。 また、 この調 節するステップは、 この標的細胞を保持する部位を移動させるステップを含むこ とが好ましい。 そして、 この調節するステップは、 この低温ガスプラズマを発生 するためのエネルギーをこのガスに供給する部位を移動させるステツプを含むこ とが望ましい。 また、 この調節するステップは、 この低温ガスプラズマを噴出す る部位を移動させるステップを含むことが推奨される。
さらに、 この調節するステップは、 この低温ガスプラズマの流路を部分的に遮 蔽するステップを含むことが好ましい。 また、 この調節するステップは、 この低 温ガスプラズマの流路にこの低温ガスプラズマが通過可能な領域を有する遮蔽板 を挿入するステップを含むことが望ましい。 そして、 この調節するステップは、 この低温ガスブラズマの流路にこの低温ガスプラズマが通過可能な領域を互いの 間に有する複数の遮蔽板を挿入するステップを含むことが推奨される。 また、 こ の調節するステツプは、 この低温ガスプラズマの流路にこの低温ガスプラズマが 通過可能な領域の大きさが可変であるこの遮蔽板を揷入するステップを含むこと が好ましい。
さらに、 この調節するステップは、 単数または複数のこの低温ガスプラズマの 噴出口を設けるステップと、 この単数または複数の噴出口によりこの低温ガスプ ラズマをこの標的細胞の方向に導くステップと、 を含むことが望ましい。 そして、 この調節するステップは、 単数または複数のチューブ状のこの低温ガスプラズマ の噴出口を設けるステップを含むことが推奨される。 また、 この供給するステツ プは、 この噴出口の内部においてこのこのガスにこの低温ガスプラズマを発生す
るために必要なエネ ギー供給するステップを含むことが好ましい。
そして、 この照射するステップは、 誘電体パリア放電によりこの低温ガスブラ ズマを発生するステップを含むことが望ましい。 また、 この照射するステップは、 この誘電体バリァ放電を行なうステップと、 この誘電体バリア放電によりこの低 温ガスプラズマを発生させるステップと、 を含むことが推奨される。 さらに、 こ の供給するステップは、 この標的細胞の両側に設置された電極に交流の電源によ り電圧を印加するステップと、 この電圧の印加された電極によりこのガスにこの 低温ガスブラズマを発生するために必要なエネルギーを供給するステップと、 を 含むことが好ましい。 また、 この照射するステップは、 この標的細胞の両側また は片側に誘電体を配置するステツプと、 この標的細胞およびこの誘電体を含む領 域の両側に交流の電源に接続した対向する電極を配置するステップと、 この電源 によりこの電極に電圧を印加するステップと、 この電圧を印加された電極により この誘電体を分極するステップと、 この分極されたこの誘電体によりこのガスを 電離させてこの低温ガスブラズマを発生させるステップと、 を含むことが望まし レ、。 そして、 この調節するステップは、 この誘電体の形状を変化させるステップ を含むことが推奨される。 また、 この調節するステップは、 この標的細胞の両側 または片側にプラスチックまたはガラスまたはセラミックスを含有する材質から なるこの誘電体を設置するステップを含むことが好ましい。 さらに、 この調節す るステツプは、 この標的細胞の両側または片側にこの標的細胞を保持する容器を この誘電体として設置するステップを含むことが望ましい。 そして、 この調節す るステツプは、 この標的細胞の両側または片側にこの標的細胞を保持するための 単数または複数の試料保持部を有する容器をこの誘電体として設置するステップ と、 この標的細胞およびこの誘電体を含む領域の両側に交流の電源に接続した対 向する電極であってこの電極の一方はこの試料保持部に対応する位置に単数また は複数に分岐した電極先端を備える電極を設置するステップと、 を含むことが推 奨される。 また、 この調節するステップは、 この電極先端を移動させるステップ と、 この電極先端とこの容器とを相対的に上下に移動させるステップと、 この電 極先端をこの試料保持部に揷入および脱離させるステップと、 を含むことが好ま しい。 さらに、 この調節するステップは、 この容器を移動させるステップと、 こ
の電極先端とこの容器とを相対的に上下に移動させるステップと、 この電極先端 をこの試料保持部に揷入および脱離させるステップと、 を含むことが望ましい。 そして、 この調節するステップは、 この電極に含まれる導電線を誘電体で被覆す るステップと、 この導電線の先端を露出させるステップと、 を含むことが推奨さ れる。 また、 この照射するステップは、 この容器の試料保持部の内部でこの誘電 体バリア放電を行なうステップと、 この低温ガスプラズマを発生させるステップ と、 を含むことが好ましい。
ここで、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法は、 この添加するステップ とこの保持するステップとこの調節するステップとこの供給するステップとこの 照射するステップとの前に、 この標的細胞と培養液とを含有する分散液からこの 培養液を除去するステップを備えることが望ましい。 また、 本発明の標的細胞へ の選定分子の導入方法は、 この添加するステツプとこの保持するステツプとこの 調節するステップとこの供給するステップとこの照射するステップとの前に、 こ の標的細胞を前培養するステップを備えることが推奨される。 さらに、 本発明の 標的細胞への選定分子の導入方法は、 この添加するステップとこの保持するステ ップとこの調節するステップとこの供給するステップとこの照射するステップと の後に、 この標的細胞を後培養するステップを備えることが好ましい。
そして、 本発明の標的細胞の細胞融合方法は、 複数の前記標的細胞が近傍に存 在することとなるように添加するステップと、 前記標的細胞を低温ガスブラズマ の照射領域に保持するステップと、 前記低温ガスプラズマの照射領域を調節する ステップと、 前記低温ガスプラズマを発生するために必要なエネルギーをガスに 供給するステツプと、 前記標的細胞に前記低温ガスブラズマを照射するステツプ と、 を備える、 標的細胞の細胞融合方法である。
ここで、 この複数の標的細胞は、 同種の細胞を含むことが好ましい。 あるいは、 この複数の標的細胞は、 異種の細胞を含むことも好ましい。 また、 この標的細胞 は、 ヒト以外の動物細胞、 ヒ ト以外の動物個体、 ヒ トの個体から採取された細胞、 ヒ トの個体内の細胞、 ヒ トの個体、 植物細胞、 微生物細胞からなる群より選ばれ る 1種以上であることが望ましい。
そして、 本発明のプラズマ照射装置は、 低温ガスプラズマを発生するためのェ
ネルギーをガスに供給するプラズマ発生エネルギー供給部と、 この低温ガスプラ ズマの照射領域を調節するブラズマ照射領域調節部と、 選定分子が導入されるベ き標的細胞をこの照射領域に保持する保持部と、 を備えた、 プラズマ照射装置で ある。
また、 本発明のプラズマ照射装置は、 低温ガスプラズマを発生するためのエネ ルギーをガスに供給するブラズマ発生エネルギー供給部と、 この低温ガスプラズ マの照射領域を調節するブラズマ照射領域調節部と、 細胞融合させるべき標的細 胞をこの照射領域に保持する保持部と、 を備えた、 プラズマ照射装置であっても よい。
ここで、 この保持部は、 標的細胞または標的細胞を保持する容器を保持する試 料台であることが好ましい。
また、 このプラズマ照射領域調節部は、 このプラズマ発生エネルギー供給部に 対して、 空気、 窒素ガス、 酸素ガス、 二酸化炭素ガス、 ヘリウムガス、 ネオンガ ス、 アルゴンガス、 クリプトンガス、 キセノンガスからなる群より選ばれる 1種 以上を含むガスを供給するガス供給部を含むことが望ましい。 また、 このプラズ マ照射領域調節部は、 このブラズマ発生エネルギー供給部に対して大気圧のこの ガスを供給するこのガス供給部を含むことが推奨される。 そして、 このプラズマ 照射領域調節部は、 このプラズマ発生エネルギー供給部からこの保持部への方向 のガス流を発生させるこのガス供給部を含むことが望ましい。
また、 このプラズマ発生エネルギー供給部は、 直流または交流の電源と接続し た対向する電極を含むことが推奨される。 さらに、 このプラズマ発生エネノレギー 供給部は、 このガスの流路の両側に設けられるこの電極を含むことが好ましい。 また、 このプラズマ発生エネルギー供給部は、 交流電源と接続した導電コイル と、 この導電コイルの内部に設けた貫通空隙部を有する誘電体と、 を備えるこの プラズマ発生エネルギー供給部を含むことが望ましい。 ここで、 このプラズマ発 生エネノレギー供給部は、 このガスの流路の周囲に配置されたこの誘電体を含むこ とが推奨される。 さらに、 このプラズマ発生エネルギー供給部は、 このガス流の 流路の両側または片側に配置された誘電体と、 このガス流の流路ぉよびこの誘電 体を含む領域の両側に配置された交流の電源に接続した対向する電極と、 を含む
ことが好ましい。 ここで、 このプラズマ発生エネノレギー供給部は、 プラスチック またはガラスを含む材質からなるこの誘電体を含むことが望ましい。
そして、 このプラズマ照射領域調節部は、 この低温ガスプラズマに対して磁場 を供給する構造を含むことが推奨される。 また、 このプラズマ発生エネルギー供 給部は、 直流または交流の電源に接続した対向する電極を含むことが好ましい。 さらに、 このプラズマ照射領域調節部は、 この低温ガスプラズマの発生と同期し て、 磁場を発生するように制御されているこの磁場を供給する構造を含むことが 望ましい。 そして、 このプラズマ照射領域調節部は、 この低温ガスプラズマを発 生する電流の方向と直交する方向の磁場を発生するように設けられているこの磁 場を供給する構造を含むことが推奨される。
また、 このプラズマ照射領域調節部は、 この保持部を駆動する構造を含むこと が好ましい。 ここで、 このプラズマ照射領域調節部は、 このプラズマ発生エネル ギー供給部を駆動する構造を含むことが望ましい。 さらに、 このプラズマ発生ェ ネルギー供給部は、 この低温ガスプラズマの噴出口を備え、 このプラズマ照射領 域調節部は、 この低温ガスプラズマの噴出口を駆動する構造を含むことが推奨さ れる。
また、 このプラズマ照射領域調節部は、 この低温ガスプラズマの流路に設けら れた、 この低温ガスプラズマが通過可能な領域を有する遮蔽板を含むことが好ま しい。 さらに、 このプラズマ照射領域調節部は、 この低温ガスプラズマの流路に 設けられた、 この低温ガスプラズマが通過可能な領域を互いの間に有する複数の 遮蔽板を含むことが望ましい。 そして、 このプラズマ照射領域調節部は、 この低 温ガスプラズマが通過可能な領域の大きさが可変であるこの遮蔽板を含むことが 推奨される。
さらに、 このプラズマ照射領域調節部は、 単数または複数のチューブ状のこの 低温ガスプラズマの噴出口を含むことが好ましい。 また、 このプラズマ発生エネ ルギー供給部は、 この単数または複数のチューブ状のこの嘖出口の内部にそれぞ れ設けられているこのプラズマ発生エネルギー供給部を含むことが望ましい。 そして、 このプラズマ発生エネ ギー供給部は、 この標的細胞の両側または片 側に配置された誘電体と、 この標的細胞およびこの誘電体を含む領域の両側に配
置された交流の電源に接続した対向する電極と、 を含むことが推奨される。 ここ で、 このプラズマ照射領域調節部は、 この標的細胞の存在領域に対応する領域に 配置されたこの誘電体と、 この標的細胞の存在領域に対応する領域に配置された この電極と、 を含むことが好ましい。 また、 この誘電体は、 プラスチックまたは ガラスまたはセラミックスを含有する材質からなるこの誘電体を含むことが好ま しい。 さらに、 この誘電体は、 この標的細胞を保持する容器を含むことが望まし い。 そして、 この容器は、 この標的細胞を保持するための単数または複数の試料 保持部を有する容器を含み、 かっこの電極の一方は、 この試料保持部に対応する 位置に単数または複数に分岐した電極先端を備えることが推奨される。 また、 こ のプラズマ照射領域調節部は、 この電極先端とこの容器とを相対的に上下に駆動 させる上下駆動機構を含むことが好ましい。 また、 このプラズマ照射領域調節部 は、 導電 if泉と、 この道電線を被覆する誘電体と、 を含むこの電極であって、 この 導電線の先端は露出しているこの電極を含むことが望ましい。
ここで、 このプラズマ発生エネルギー供給手段は、 直流または ¾流の電源と接 続した互いに形状が異なる対向する電極を含み、 このプラズマ照射領域調節手段 は、 この保持手段および zまたは前記ブラズマ発生エネルギー供給手段を回転運 動および Zまたは偏心回転運動により駆動する手段を含んでもよい。 また、 この ブラズマ照射領域調節手段は、 この保持手段および/または前記ブラズマ発生ェ ネルギー供給手段を回転運動および Zまたは偏心回転運動により駆動する手段と、 このガス流の方向を変化させることができるこのガス供給手段と、 を含んでもよ い。 あるいは、 このプラズマ照射領域調節手段は、 この保持手段および Zまたは 前記プラズマ発生エネルギー供給手段を回転運動および/または偏心回転運動に より駆動する手段と、 この低温ガスプラズマの流路に設けられた、 この低温ガス プラズマが通過可能な不均一な領域を有する遮蔽板と、 を含んでもよい。
また、 このプラズマ発生エネルギー供給手段は、 複数の開口空隙部を有する誘 電体と、 それぞれ異なるこの開口空隙部の内部に設けられ、 直流または交流の電 源と接続した対向する電極と、 を含んでもよい。 あるいは、 このプラズマ照射領 域調節手段は、 この複数の開口空隙部のうち 1以上の開口空隙部からこの保持手 段への方向のガス流を発生させるガス供給手段を含んでもよい。 さらに、 このプ
ラズマ発生エネルギー供給手段は、 複数に分岐し、 それぞれ異なるこの開口空隙 部の内部に設けられた電極先端を備え、 この複数の対向する電極のうち少なくと も一組の電極を含んでもよい。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法を説明するフローチヤ一ト である。
図 2は、 本発明のブラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 3は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 4は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 5は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 6は、 本発明のブラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 7は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 8は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 9は、 本発明のプラズマ照射装置に備わる電極先端を拡大して説明する概略 図である。
図 1 0は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 1 1は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 1 2は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 1 3は、 図 1 2に示す本発明のプラズマ照射装置の一部を除去して内部の構 造を説明する概略図である。
図 1 4は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 1 5は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 1 6は、 図 1 5に示す本発明のプラズマ照射装置を容器内で用いる場合の断 面の構造を説明する概略図である。
図 1 7は、 本突明のプラズマ照射装置を複数の試料保持部を備える容器に適用 する場合について説明する概略図である。
図 1 8は、 図 1 7に示す本発明のプラズマ照射装置に備わる噴出口を拡大して 説明する概略図である。
図 1 9は、 本発明のプラズマ照射装置において、 特定の条件で発生する低温ガ スプラズマを分光的に測定した結果を示したグラフである。
図 2 0は、 本発明のプラズマ照射装置において、 特定の条件で発生する低温ガ スプラズマを分光的に測定した結果を示したグラフである。
5 図 2 1は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 2 2は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 2 3は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 2 4は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 2 5は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
0 図 2 6は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 2 7は、 本発明の実施例で用いるくの字形電極の一例を説明する図である。 図 2 8は、 本発明の実施例で用いるカーブ形電極の一例を説明する図である。 図 2 9は、 本発明の実施例で形状違い電極を用いた場合の細胞染色結果を説明 する写真を示す図である。
5 図 3 0は、 本発明の実施例で形状違い電極を用いた場合の細胞染色結果を説明 する模式図である。
図 3 1は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。
図 3 2は、 本発明のプラズマ照射装置を説明する概略図である。 0 発明を実施するための最良の形態
以下、 実埯の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
一一 <標的細胞への選定分子の導入方法 >
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法は、 標的細胞の近傍に選定分子を添 加するステップと、 この標的細胞を低温ガスプラズマの照射領域に保持するステ5 ップと、 この低温ガスプラズマの照射領域を調節するステップと、 この低温ガス ブラズマを発生するために必要なエネルギーをガスに供給するステップと、 この 標的細胞にこの低温ガスプラズマを照射するステップと、 を備える、 標的細胞へ の選定分子の導入方法である。
ここで、 図 1は、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法を説明するフロー
チャートである。
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法は、 標的細胞の近傍に選定分子を添 加し (ステップ S 105) 、 この標的細胞を低温ガスプラズマの照射領域に保持 し、 (ステップ S 107) 、 この低温ガスプラズマの照射領域を調節し (ステツ プ S 109) 、 この低温ガスプラズマを発生するために必要なエネルギーをガス に供給し (ステップ S 1 1 1) 、 この標的細胞にこの低温ガスプラズマを照射す る (ステップ S 1 13) ことにより行なわれる。
なお、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法においては、 標的細胞の近傍 に選定分子を添加し (ステップ S 105) 、 この標的細胞を低温ガスプラズマの 照射領域に保持し、 (ステップ S 107) 、 この低温ガスプラズマの照射領域を 調節し (ステップ S 109) 、 この低温ガスプラズマを発生するために必要なェ ネルギーをガスに供給し (ステップ S 1 1 1) 、 この標的細胞にこの低温ガスプ ラズマを照射する (ステップ S 1 13) ことの前に、 この標的細胞と培養液とを 含有する分散液から培養液を除去する (ステップ S 103) ことが好ましい。 標 的細胞の周囲から培養液を除去することにより、 標的細胞へ直接低温ガスプラズ マが照射されやすくなるためである。
そして、 本努明の標的細胞への選定分子の導入方法においては、 標的細胞の近 傍に選定分子を添加し (ステップ S 105) 、 この標的細胞を低温ガスプラズマ の照射領域に保持し (ステップ S 107) 、 この低温ガスプラズマの照射領域を 調節し (ステップ S 109) 、 この低温ガスプラズマを発生するために必要なェ ネルギーをガスに供給し (ステップ S 1 1 1) 、 この標的細胞にこの低温ガスプ ラズマを照射する (ステップ S 1 13) ことの前に、 標的細胞を前培養する (ス テツプ S 101) ことが好ましい。 前培養を行なうことにより、 十分な量の標的 細胞を確保することができるからである。
さらに、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法においては、 標的細胞の近 傍に選定分子を添加し (ステップ S 105) 、 この標的細胞を低温ガスプラズマ の照射領域に保持し、 (ステップ S 107) 、 この低温ガスプラズマの照射領域 を調節し (ステップ S 109) 、 この低温ガスプラズマを発生するために必要な エネルギーをガスに供給し (ステップ S 1 1 1) 、 この標的細胞にこの低温ガス
プラズマを照射する (ステップ S 1 1 3 ) ことの後に、 標的細胞を後培養する (ステップ S 1 1 5 ) ことが好ましい。
また、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法においては、 他の付加的なス テツプが備わっていてもよい。 たとえば、 標的細胞を後培養する (ステップ S 1 1 5 ) ことの後に、 さらに選定分子の導入された標的細胞をスクリーニングして もよい。
<選定分子の導入に用いられる標的細胞 >
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法において用いる標的細胞とは、 選定 分子を導入する標的となる細胞のことを示し、 特に特定の種類の細胞に限定され るものではない。 このような標的細胞の具体例としては、 ヒト以外の動物細胞、 ヒ ト以外の動物個体、 ヒトの個体から採取された細胞、 ヒ トの個体内の細胞、 ヒ トの個体、 植物細胞、 微生物細胞などが挙げられる。 これらの標的細胞は、 単一 の種顏を用いてもよいし、 二種以上を混合して用いてもよい。
なお、 上記のヒ トの個体から採取された細胞には、 医薬品の研究開発などに用 いられるヒ トの個体に戻すことを前提としない細胞と、 再生医療などに用いられ るヒトの個体に戻すことを前提とする細胞とが含まれる。 また、 上記のヒ トの個 体から採取された細胞には、 ヒ トの個体から採取された細胞から培養された細胞 も含まれる。
さらに、 上記のヒ ト以外の動物細胞および植物細胞には、 個体内に存在する細 胞と、 組織内に存在する細胞と、 個体や組織から採取された細胞と、 個体や組織 から採取された細胞から培養された細胞とが含まれる。
ここで、 上記とは別の側面から捉えれば、 本発明に用いる標的細胞には、 大腸 菌、 放線菌、 枯草菌などの原核細胞や、 酵母、 ヒ ト以外の動物細胞、 ヒ トの個体 から採取された細胞、 ヒ トの個体に含まれる細胞、 植物細胞などの真核細胞が含 まれる。
さらに、 本発明に用いる標的細胞には、 赤血球ゴーストやリボソームなどの脂 質二重膜構造をもつものも含まれる。
また、 本発明に用いる標的細胞は、 特に処理を施されていないものであっても よいが、 選定分子の導入効率を向上するためには、 遺伝子導入の際に一般的に用
いられる、 コンビ一タント細胞としての処理を施されたものであることが好まし い。 具体例としては、 塩化カルシウムで処理され、 細胞膜の構造が変化して D N A分子を透析しゃすくなつた大腸菌のコンビ一タント細胞などが挙げられる。
<標的細胞に導入される選定分子 >
本宪明の標的細胞への選定分子の導入方法において用いる選定分子とは、 標的 細胞に導入するために選定した分子のことを示し、 特に特定の種類の分子に限定 されるものではない。 このような選定分子の具体例としては、 D NA、 R NAな どのポリヌクレオチドまたはその誘導体、 シグナノレ伝達蛋白質や転写調節因子な どの蛋白質やその誘導体などの高分子化合物、 低分子生理活性物質、 薬剤候補品 などが挙げられる。 これらの選定分子は、 単一の種類を用いてもよいし、 二種以 上を混合して用いてもよい。
また、 上記のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの誘導体には、 ベクタ 一、 アンチセンスポリヌクレオチド、 デコイポリヌクレオチド、 リボザィム、 R NA iなどが含まれる。
さらに、 上記の蛋白質分子、 蛋白質分子誘導体には、 シグナル伝達因子や、 転 写調節因子、 各種酵素、 各種受容体などが含まれる。
<標的細胞の近傍に選定分子を添加するステップ >
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法における、 標的細胞の近傍に選定分 子を添加するステップ (図 1のステップ S 1 0 5 ) について、 より詳細に説明す る。 .
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法においては、 特に限定するものでは ないが、 標的細胞の近傍に選定分子を添加する際には、 たとえば選定分子を含む 溶液または懸濁液を標的細胞を含む細胞組成物に添加することが好ましい。
なお、 本発明において、 標的細胞の近傍とは、 標的細胞の表面の外側の領域で あって、 選定分子の拡散運動などにより、 選定分子と標的細胞の表面とが接触し 得る領域を示すものとする。 すなわち、 標的細胞の近傍に選定分子が存在すると いう場合には、 選定分子と標的細胞の表面とは直接接触していてもよいし、 直接 接触しておらず、 両者の間に水分子などが存在していてもよい。
よって、 標的細胞の近傍に選定分子が存在するといえる具体的な場合としては、
同一の溶液または懸濁液内において選定分子と標的細胞とが適当な濃度で混合さ れている場合、 標的細胞が選定分子を含む溶液または懸濁液と混合されて細胞糸且 成物を構成する場合、 および標的細胞を含む細胞組成物の表面に選定分子を含む 溶液または懸濁液が存在する場合などが挙げられる。
また、 上記の選定分子を含む溶液または懸濁:?夜は、 特に限定するものではない 力 たとえば選定分子を含む水溶液または懸濁液であることが好ましい。 また、 該水溶液または懸濁液の溶媒または分散媒としては、 たとえば生理食塩水や p H 緩衝溶液などが挙げられる。
さらに、 上記の標的細胞を含む細胞組成物は、 特に限定するものではないが、 たとえば標的細胞と水溶液を含む細胞組成物などが挙げられる。 なお、 該水溶液 としては、 生理食塩水や p H緩衝溶液や標的細胞の培養液などが挙げられる。 そして、 該細胞組成物は、 たとえば標的細胞が水溶液に懸濁した懸濁液であつ てもよく、 スラリー状またはペースト状の細胞組成物であってもよく、 ゲル状ま たは固形状の細胞組成物であってもよい。
もちろん、 上記の標的細胞を含む細胞組成物は、 水溶液などを含まず、 標的細 胞のみからなる細胞糸且成物であつてもよい。
なお、 標的細胞の近傍に選定分子を添加する際には、 たとえば標的細胞組成物 に選定分子を含む溶液または懸濁液を滴下する方法、 標的細胞組成物と選定分子 を含む溶液または懸濁液とを混合する方法などを用いることができる。
<標的細胞を照射領域に保持するステップ >
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法における、 標的細胞を照射領域に保 持するステップ (図 1のステップ S 1 0 7 ) について、 より詳細に説明する。 本発明において、 標的細胞を照射領域に保持する際には、 特に限定するもので はないが、 たとえば照射領域内に存在する固体基盤上に標的細胞を保持すること が好ましい。
ここで、 上記の固体基盤上に保持される標的細胞としては、 たとえばプレート などの細胞培養容器上で培養した培養接着細胞や、 培養液中に懸濁している標的 細胞を遠心分離または濾過などの操作により分離して、 培養液を除去した標的細 胞をプレートなどの固体基盤上に設置したものなどが挙げられる。 なお、 上記の
固体基盤上に存在する標的細胞は、 固体基盤上に固定されている必要はなく、 固 体基盤上に設置されているだけでもよ 、。
また、 上記固体基盤は、 標的細胞を保持することのできる構造であれば特に限 定されるものではないが、 たとえばプレート、 シャーレ、 チューブ、 試験管、 フ ラスコなどが挙げられる。
また、 本発明において、 標的細胞を照射領域に保持する際には、 特に限定する ものではないが、 たとえば照射領域内に存在する培地表面に標的細胞を保持して もよい。
ここで、 上記の培地表面に保持される標的細胞としては、 たとえば固体培地上 で培養された標的細胞や、 液体培地中で培養され、 液体培地の表面に浮遊してい る標的細胞などが挙げられる。
また、 上記の培地は、 標的細胞を培養することのできる組成の培地であれば特 に限定されるものではないが、 たとえば寒天培地をはじめとする固体培地や試験 管やフラスコ内の液体培地などが挙げられる。
<低温ガスプラズマの照射領域を調節するステップ >
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法における、 低温ガスプラズマの照射 領域を調節するステップ (図 1のステップ S 1◦ 9 ) について、 より詳細に説明 する。
ここで、 本発明において、 低温ガスプラズマの照射領域の調節とは、 該低温ガ スプラズマの照射領域の拡大、 縮小、 変形や、 該照射領域内における低温ガスプ ラズマのプラズマ強度分布の変化などを示すものとする。 また、 本発明において、 低温ガスプラズマの照射領域の調節とは、 該低温ガスプラズマの照射領域の拡大、 縮小、 変形や、 該照射領域内における低温ガスプラズマのプラズマ強度分布の変 化などが生じるように、 プラズマ発生エネルギー供給部において生じた低温ガス プラズマを標的細胞に向かって移動させることも含むものとする。
本発明において、 低温ガスプラズマの照射領域を調節することにより、 適度な 強度の低温ガスプラズマを、 比較的均一な状態で目的の照射領域において標的細 胞に照射することが可能となるため、 標的細胞への選定分子の導入効率を高める ことができるという利点がある。
<低温ガスブラズマを発生するために必要なエネルギーをガスに供給するステ ップ >
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法における、 低温ガスプラズマを発生 するために必要なエネルギーをガスに供給するステップ (図 1のステップ S 1 1 1 ) について、 より詳細に説明する。
一般に、 空気、 窒素ガス、 酸素ガス、 二酸化炭素ガス、 ヘリウムガス、 ネオン ガス、 アルゴンガス、 クリプトンガス、 キセノンガスなどのガスが電離して低温 ガスプラズマになっている状態は非常に不安定な状態であるため、 低温ガスブラ ズマを発生させるためには、 多量のエネルギーを上記のガスに供給することが必 要である。
そこで、 本発明においては、 後述するように、 コロナ放電方式の電極などに直 流または交流の電源を接続して該電極に電圧を印加することによりコロナ放電を 行なうことによって、 あるいは誘電体バリァ放電方式の電極に交流の電源を接続 して該電極に電圧を印加することにより誘電体バリァ放電を行なうことによって、 あるいは誘電結合方式によって、 上記のガスに多量のエネルギーを供給する。
<標的細胞に低温ガスプラズマを照射するステップ >
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法における、 標的細胞に低温ガスブラ ズマを照射するステップ (図 1のステップ S 1 1 3 ) について、 より詳細に説明 する。
そして、 本発明において、 標的細胞に低温ガスプラズマを照射する際には、 特 に限定するものではないが、 空気、 窒素ガス、 酸素ガス、 二酸化炭素ガス、 ヘリ ゥムガス、 ネオンガス、 ァノレゴンガス、 クリプトンガス、 キセノンガスなどから 低温ガスプラズマを照射することが好ましい。 なお、 これらのガスは単一の種類 で用いられてもよく、 二以上の種類を混合して用いられてもよい。
なお、 これらのガスの中では、 空気を用いることが好ましい。 空気は大気中に 多量に存在しており、 入手も容易かつ安価だからである。 ここで、 上記の空気と しては、 ガスボンベなどに詰められた産業用の空気を用いてもよいが、 雰囲気中 に存在する空気をそのまま用いてもよい。
ここで、 本発明に用いる低温ガスプラズマは、 低温ガスの弱電離プラズマであ
ることが好ましい。 また、 本発明に用いる低温ガスプラズマは、 低温ガスの非平 衡プラズマであることが好ましい。
本発明において、 標的細胞に低温ガスプラズマを照射する際には、 本発明のプ ラズマ照射装置を用いて、 大気圧条件下で標的細胞に低温ガスプラズマを照射す ることが好ましい。
<プラズマ照射装置 >
図 2は、 図 1に示す本発明の標的細胞 1 5への選定分子の導入方法に用いられ る本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0を説明する概略図である。 なお、 本発明の プラズマ照射装置の構造は、 図 2に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 図 2に記載される本発明のプラズマ装置は、 上述した本発明の標的細 胞への選定分子の導入方法、 および後述する本発明の標的細胞の細胞融合方法に 好適に用いられる構造および機能を有している。
特に、 図 2に記載される本発明のプラズマ装置に備えられたプラズマ照射領域 調節部は、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法、 および後述する本発明の 標的細胞の細胞融合方法のうち、 低温ガスブラズマの照射領域を調節するステッ プに好適に用いられる構造おょぴ機能を有している。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 本発明の標的細胞 1 5への選定 分子の導入方法においては、 この標的細胞を低温ガスプラズマの照射領域に保持 し (図 1のステップ S 1 0 7 ) 、 この低温ガスプラズマの照射領域を調節し (図 1のステップ S 1 0 9 ) 、 この低温ガスプラズマを発生するために必要なェネル ギーをガスに供給し (図 1のステップ S 1 1 1 ) 、 この標的細胞にこの低温ガス プラズマを照射する (図 1のステップ S 1 1 3 ) 際に用いられるプラズマ照射装 置 1 0 0 0である。
そして、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 低温ガスプラズマを発生する ためのエネルギーをガスに供給するプラズマ発生エネルギー供給部と、 低温ガス ブラズマの照射領域を調節するブラズマ照射領域調節部と、 選定分子が導入され るべき標的細胞を照射領域に保持する保持部と、 を備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0である。
ここで、 本発明において、 低温ガスプラズマを発生するためのエネルギーをガ
スに供給するプラズマ発生エネルギー供給部は、 特に限定するものではないが、 たとえば後述するコロナ放電方式、 誘導結合プラズマ発生方式、 誘電体バリア放 電方式、 沿面放電方式などにより低温ガスブラズマを発生することのできるブラ ズマ発生エネルギー供給部であることが好ましい。
また、 本発明において、 低温ガスプラズマの照射領域を調節するプラズマ照射 領域調節部は、 特に限定するものではないが、 たとえば後述するガス流動方式、 相対移動方式、 遮蔽板方式、 誘電体バリア放電方式、 磁場流動方式などにより低 温ガスブラズマの照射領域を調節することのできるブラズマ照射領域調節部であ ることが好ましい。
,そして、 本発明において、 選定分子が導入されるべき標的細胞 15を照射領域 に保持する保持部は、 たとえば後述する試料台 1などであることが好ましい。 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1000においては、 プラズマ発生エネ ルギー供給部は、 電源 9と、 電極 5と、 正負二本の導電線 307とを備えている。 また、 該電源 9は、 信号発生器 201、 リニアアンプ 203、 整合回路 205、 昇圧トランス 207を備えており、 それらとヘッド部 229に設けられた電極 5 とは正負二本の導電 f泉 301, 303, 305, 307で互いに電気的に接続し ているため、 電極間電圧、 電極距離、 周波数、 パルス周期、 Du t yなどのパラ メータを種々の条件に設定することができる。 そのため、 ヘッド部 229に設け られた電極 5で放電させることにより種々の性質の低温ガスプラズマを発生させ ることができる。
一方、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1000においては、 プラズマ照 射領域調節部は、 ガスの噴出し方向を変化させることのできるガス供給部 13を 備えている。 また、 該ガス供給部 13は、 二つのガスボンベまたはエアーポンプ 209, 21 7、 電磁弁 21 1, 219, 227、 一ドル弁 21 3, 221、 流量計 21 5, 223、 混合器 225を備えており、 それらとヘッド部 229に 設けられたガス噴出口 6とはガス導管 409, 41 1, 41 3, 41 5, 41 7, 419, 421, 423, 425, 427で接続している。 そのため、 ガスボン ベまたはエアーポンプ 209, 217より供給された単一または二種の混合ガス を、 ニードル弁 213, 221で適当な流量に調節してへッド部 229に設けら
れたガス噴出口 6に供給することができる。
さらに、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0においては、 保持部は、 試料台 1を備えている。 そのため、 該試料台 1の上面に標的細胞 1 5を設置し、 ブラズマ照射領域に標的細胞 1 5を保持することができる。
そして、 へッド部 2 2 9に設けられた電極 5で発生した低温ガスプラズマは、 同じくへッド部 2 2 9に設けられたガス噴出口 6から供給されるガスにより低温 ガスプラズマの流れの方向 2 3 3に向かって吹出され、 その先の保持部に設置さ れた試料台 1上に設置された標的細胞 1 5に照射される。
すなわち、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0においては、 標的細 胞の種類、 あるいは選定分子の種類に応じて、 標的細胞に照射される低温ガスプ ラズマの条件を変化させることができるように、 上記の電極間電圧、 電極距離、 周波数、 パルス周期、 D u t yなどのパラメータや、 供給される単一または二種 の混合ガスの種類、 混合比率、 流量などを変化させることができる。
<ガス流動方式のプラズマ照射領域調節部 >
図 3は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付近 のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置の 構造は、 図 3に示す構造に限定されるものではない。
本発明の第一の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 コロナ放電方式を 用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を用いたプラズマ 照射領域調節部 5 0 3と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズ マ照射装置 1 0 0 0である。
ここで、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 図 3に示すように、 コロナ放電 2により低温ガスプラズマ 3を発生するエネルギー をガスに供給するプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1である。
なお、 本発明において、 コロナ放電 2とは、 導体間の電場が平衡でない状態に おいて、 表面の電場の大きいところに部分的絶縁破壌がおこって現れる発光放電 を示すものとする。
そして、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 図 3に示すように、 直流または交流の電源 9に接続した対向する電極 5 a , 5 bを
備えることが好ましい。 対向する電極 5 a , 5 b間に直流または交流の電圧を印 加することによりコロナ放電 2を起こし、 低温ガスプラズマ 3を発生させること ができるからである。
また、 本実施の形態において、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 図 3に示す ように、 低温ガスプラズマ 3に対して、 標的細胞 1 5への方向のガス流を供給す ることのできるガス供給部 1 3を備える。
すなわち、 本実施の形態のガス供給部 1 3は、 低温ガスプラズマ 3をガス流に より移動させることにより、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の拡大、 縮小、 変形 や、 該照射領域内における低温ガスプラズマのプラズマ強度分布の変化などを生 じさせ、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の調節をすることができる。
ここで、 本実施の形態のガス供給部 1 3は、 ガス流路 1 1の方向、 断面の大き さ、 断面の形状などを変化させることにより、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の 調節をすることができることが好ましい。
なお、 ガス流路 1 1の方向、 断面の大きさ、 断面の形状などを変化させる方法 は、 特に限定するものではないが、 たとえばガス供給部 1 3のガス噴出口の方向、 断面の大きさ、 断面の形状などを変化させることにより実現可能である。 あるい は、 ガス供給部 1 3とコロナ放電 2が起こる部位との間に、 邪魔板や案内板ゃス リットなどを設けることによつても実現可能である。
また、 本実施の形態におけるガス供給部 1 3の構造は、 特に限定されるもので はなく、 たとえばガスボンベまたはエアーポンプなどを備えた構造であってもよ く、 また雰囲気ガスにガス流を起こすファンを備えた構造などであってもよい。 なお、 本発明に用いるガス供給部 1 3は、 ガス流の流速を制御する機構を備えて いることが好ましい。
すなわち、 本実施の形態においては、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1に よりガス流路 1 1中でコロナ放電 2を行なうことにより、 低温ガスプラズマ 3を 発生し、 ガス流路 1 1の方向、 断面の大きさ、 断面の形状などを変化させること により、 低温ガスブラズマ 3の標的細胞 1 5に対する照射領域を調節することが できる。
また、 本実施の形態においては、 このようにガス流路 1 1中でコロナ放電 2を
行なうことにより、 低温ガスプラズマ 3の発生源である電極 5 a, 5 bにガスを 供給すると同時に、 低温ガスプラズマ 3をガス流により移動させることもできる ので、 プラズマ照射装置の構造および動作が単純かつ簡明なものとなり、 プラズ マ照射装置の製造コストが安価で、 動作効率がよいという利点がある。
さらに、 本実施の形態においては、 保持部 5 0 5は、 図 3に示すように、 試料 台 1を備える。 ここで、 試料台 1の構造は、 特に限定するものではないが、 たと えば標的細胞 1 5を保持する容器を上面に保持することのできる平板上の構造で あることが好ましい。
なお、 図 3には、 標的細胞 1 5を保持する試料台 1、 ガスの流路 1 1、 導電,線 7 a , 7 bも説明のために記載されている。
さらに、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明し た構造に限定されるものではなく、 たとえばガス流動方式のブラズマ照射領域調 節部 5 0 3は、 コロナ放電方式以外の方式によるブラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と糸且合わされてもよい。 また、 ガス流動方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 他の方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3と組合わせて用いられてもよ レ、。
<保持部駆動方式のブラズマ照射領域調節部〉
図 4は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付近 のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 4に示す構造に限定されるものではない。
本発明の第二の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 コロナ放電方式を 用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を用いたプラズマ 照射領域調節部 5 0 3 aと、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 bと、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0である。 なお、 コロナ放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の上記の実施の 形態において説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。
ここで、 本実施の形態において、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3 a , 5 0 3 b は、 図 4に示すように、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 a
と、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 bとを備える。 なお、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 aについては、 既に本発明 の上記の実施の形態において説明しているので、 説明を繰り返さない。
そして、 本実施の形態において、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調 節部 5 0 3 bは、 保持部 5 0 5を移動させることのできる駆動機構を備えている。 このように、 保持部 5 0 5を駆動機構を用いて移動させることにより、 保持部 5 0 5に設置された標的細胞 1 5をプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1に対して 相対的に移動させることとなり、 その結果低温ガスプラズマ 3の照射領域が経時 的に変動するため、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の拡大、 変形や、 該照射領域 内における低温ガスプラズマ 3のプラズマ強度分布の変化などを生じさせ、 低温 ガスプラズマ 3の照射領域の調節をすることができる。
ここで、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5 0 5をプラズマ発生エネルギー 供給部 5 0 1に対して、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1から所定の距離に 位置する平面内において移動させる駆動機構であることが好ましい。 低温ガスプ ラズマ 3の照射領域が経時的にプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1から所定の 距離に位置する平面内において移動することとなり、 低温ガスプラズマ 3の照射 領域が拡大し、 該照射領域内における低温ガスプラズマ 3のプラズマ強度分布が 均一化することとなるため、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率が向上する傾 向があるからである。
また、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5 0 5をプラズマ発生エネルギー供 給部 5 0 1に対して相対的に回転運動させる駆動機構であってもよい。 さらに、 該回転運動は、 偏心回転運動であることがより好ましい。 低温ガスプラズマ 3の 照射領域が経時的に回転運動または偏心回転運動することとなり、 低温ガスブラ ズマ 3の照射領域が拡大し、 該照射領域内における低温ガスプラズマ 3のプラズ マ強度分布が均一化することとなるため、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率 が向上する傾向があるからである。.
そして、 本実施の形態の駆動機構の構造は、 特に限定するものではないが、 た とえば保持部 5 0 5に備えられた試料台 1の下部に接続された振動機または回転 モーターなどを備える構造であることが好ましい。 なお、 本実施の形態の駆動機
構は、 並進運動あるいは回転運動のパターンや速度を制御する機構を備えている ことが好ましい。
なお、 図 4には、 コロナ放電 2、 電極 5 a, 5 b、 導電線 7 a , 7 b、 電源 9、 ガスの流路 1 1、 ガス供給部 1 3、 試料台が回転運動する場合の回転運動の方向 1 7も説明のために記載されている。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明した 構造に限定されるものではなく、 たとえば保持部駆動方式のプラズマ照射領域調 節部 5 0 3 bは、 コロナ放電方式以外の方式によるブラズマ発生エネルギー供給 部 5 0 1と組合わされてもよい。 また、 保持部駆動方式のプラズマ照射領域調節 部 5 0 3 bは、 ガス流動方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3 a以外の方式のプ ラズマ照射領域調節部 5 0 3 aと組合わせて用いられてもよい。
<プラズマ発生エネルギー供給部駆動方式のプラズマ照射領域調節部 > 図 5は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付近 のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 5に示す構造に限定されるものではない。
本発明の第三の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 コロナ放電方式を 用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式および 7°ラズマ発 生エネルギー供給部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0である。 なお、 コロナ放電方式を用いたブラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 試料台 1を備 えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の上記の実施の形態において説明し ているので、 ここでは説明を繰り返さない。
ここで、 本実施の形態において、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 図 5に示 すように、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部と、 プラズマ発生エネ ノレギー供給部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部とを備える。 なお、 ガス 流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部については、 既に本発明の上記の実施 の形態において説明しているので、 説明を繰り返さない。
そして、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部駆動方式を用 いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1を
移動させることのできる駆動機構を備えている。 このように、 プラズマ発生エネ ルギー供給部 5 0 1を駆動機構を用いて移動させることにより、 保持部 5 0 5に 設置された標的細胞 1 5をプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1に対して相対的 に移動させることとなり、 その結果低温ガスプラズマ 3の照射領域が経時的に変 動するため、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の拡大、 変形や、 該照射領域内にお ける低温ガスプラズマ 3のプラズマ強度分布の変化などを生じさせ、 低温ガスプ ラズマ 3の照射領域の調節をすることができる。
ここで、 プラズマ発生エネルギー供給部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調 節部 5 0 3は、 プラズマ発生エネルギー供給部全体を駆動させる構造を備えてい てもよいが、 たとえばブラズマ発生エネルギー供給部が低温ガスブラズマの噴出 口を備える場合には、 低温ガスプラズマの噴出口を駆動する構造を備えていても よい。
ここで、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5◦ 5をプラズマ発生エネルギー 供給部 5 0 1に対して、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1から所定の距離に 位置する平面内において相対的に移動させる駆動機構であることが好ましい。 低 温ガスプラズマ 3の照射領域が経時的にプラズマ発生エネノレギー供給部 5 0 1か ら所定の距離に位置する平面内において移動することとなり、 低温ガスプラズマ 3の照射領域が拡大し、 該照射領域内にお,ける低温ガスブラズマ 3のブラズマ強 度分布が均一化することとなるため、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率が向 上する傾向があるからである。
また、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5 0 5をプラズマ発生エネルギー供 給部 5 0 1に対して相対的に回転運動させる駆動機構であってもよい。 さらに、 該回転運動は、 偏心回転運動であることがより好ましい。 低温ガスプラズマ 3の 照射領域が経時的に回転運動または偏心回転運動することとなり、 低温ガスブラ ズマ 3の照射領域が拡大し、 該照射領域内における低温ガスプラズマ 3のプラズ マ強度分布が均一化することとなるため、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率 が向上する傾向があるからである。
そして、 本実施の形態の駆動機構の構造は、 特に限定するものではないが、 た とえば、 図 5に示すように、 電極 5 a, 5 bに導電線 7 a , 7 bを介して接続さ
れた風車 2 8と、 ガス供給手段 1 3とを備える構造であることが好ましい。 の ような構造を備えることにより、 本実施の形態の駆動機構においては、 ガス供給 手段 1 3により供給されるガス流の運動エネルギーが風車 2 8の回転運動ェネル ギ一に変換され、 その回転運動エネルギーが導電線 7 a , 7 bを介して電極 5 a, 5 bに伝達され、 電極 5 a, 5 bが回転しながらコロナ放電 2を行なうことにな る結果、 低温ガスプラズマ 3の照射領域が経時的に回転運動することとなり、 低 温ガスブラズマ 3の照射領域が拡大し、 該照射領域内における低温ガスプラズマ 3のプラズマ強度分布が均一化することとなる。
あるいは、 本実施の形態の駆動機構の構造は、 たとえばプラズマ発生エネルギ 一供給部 5 0 1に備えられた電極 5 a , 5 bの側部に接続された振動機または回 転モーターなどを備える構造であってもよい。 なお、 本実施の形態の駆動機構は 回転運動の速度を制御する機構を備えていることが好ましい。
なお、 図 5には、 電源 9、 ガスの流路 1 1、 導電線 1 9 a , 1 9 b , 上部の導 電リング 2 1、 下部の導電リング 2 3、 摺動部 2 5 a, 2 5 b , 2 5 c , 2 5 d、 中心線 2 6も説明のために記載されている。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明した 構造に限定されるものではなく、 たとえばブラズマ発生エネルギー供給部駆動方 式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 コロナ放電方式以外の方式によるプラズ マ発生エネルギー供給部 5 0 1と組合わされてもよい。 また、 プラズマ発生エネ ルギー供給部駆動方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 ガス流動方式のブラ ズマ照射領域調節部 5 0 3以外の方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3と組合わ せて用いられてもよい。
<遮蔽板方式のプラズマ照射領域調節部 >
図 6は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付近 のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 6に示す構造に限定されるものではない。
本発明の第四の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 コロナ放電方式を 用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を用いたプラズマ 照射領域調節部 5 0 3 aと、 遮蔽板方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3
cと、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0 である。 なお、 コロナ放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の上記の実施の形態に おいて説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。
ここで、 本実施の形態において、 プラズマ照射領域調節部は、 図 6に示すよう に、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 aと、 遮蔽板方式を用 いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 cとを備える。 なお、 ガス流動方式を用いた プラズマ照射領域調節部については、 既に本発明の上記の実施の形態において説 明しているので、 説明を繰り返さない。
そして、 本実施の形態において、 遮蔽板方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 cは、 低温ガスプラズマ 3を遮蔽することのできる遮蔽板 2 7 a , 2 7 b を備えている。 このように、 低温ガスプラズマ 3を遮蔽板 2 7 a, 2 7 bを用い て遮蔽することにより、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の縮小、 変形や、 該照射 領域内における低温ガスプラズマ 3のプラズマ強度分布の変化などを生じさせ、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の調節をすることができる。
ここで、 本実施の形態において、 遮蔽板 2 7 a, 2 7 bは、 低温ガスプラズマ 3の流路を部分的にのみ遮蔽する構造であることが好ましい。 なお、 本実施の形 態において、 遮蔽板 2 7 a, 2 7 bは、 単数であってもよく、 複数であってもよ い。
また、 本実施の形態において、 遮蔽板 2 7 a , 2 7 bは、 低温ガスプラズマ 3 の流路に設けられていることが好ましい。 すなわち、 電極 5 a, 5 bと、 試料台
1との間に設けられていることが好ましい。
さらに、 本実施の形態において、 遮蔽板 2 7 a , 2 7 bは、 低温ガスプラズマ
3が通過可能な領域を有することが好ましい。 たとえば、 低温ガスプラズマ 3が 通過可能な開口部などを有することが好ましい。 あるいは、 遮蔽板 2 7 a, 2 7 bが複数の場合には、 図 6に示すように、 低温ガスプラズマ 3が通過可能な領域 を互いの間に有することも好ましい。
そして、 本実施の形態において、 遮蔽板 2 7 a , 2 7 bの形成する、 低温ガス プラズマ 3が通過可能な領域の大きさまたは形状は、 可変であることが好ましい。
低温ガスプラズマ 3が通過可能な領域の大きさまたは形状を変化させることによ り、 低温ガスプラズマ 3の照射領域も変化するため、 低温ガスプラズマ 3の照射 領域の調節をすることができるからである。
また、 本実施の形態において、 遮蔽板 2 7 a, 2 7 bの形状は、 特に限定する ものではないが、 たとえば平板状であることが好ましい。 また、 遮蔽板 2 7 a, 2 7 bの材質は、 特に限定するものではないが、 たとえばガラスやセラミックス などを含む材質であることが好ましい。
なお、 図 6には、 コロナ放電 2、 導電線 7 a, 7 b、 電源 9、 ガスの流路 1 1、 ガス供給部 1 3も説明のために記載されている。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明した 構造に限定されるものではなく、 たとえば遮蔽板方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3 cは、 コロナ放電方式以外の方式によるブラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と糸且合わされてもよい。 また、 遮蔽板方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3 cは、 ガス流動方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3 a以外の方式のプラズマ照 射領域調節部 5 0 3 aと組合わせて用いられてもよい。
<誘電体バリァ放電方式のブラズマ照射領域調節部 >
図 7は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のへッド部 2 2 9付近 のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 7に示す構造に限定されるものではない。
本発明の第五の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 誘電体バリァ放電 方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 誘電体バリア放電方式を 用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3と、 誘電体バリア放電に用いる誘電体 2 9 bを試料台として備える保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0 である。
ここで、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 図
7に示すように、 誘電体バリア放電方式により低温ガスプラズマ 3を発生するェ ネルギーをガスに供給するプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1である。
なお、 本発明において、 誘電体バリア放電とは、 電極間に単数または複数の固 体誘電体を揷入することによって、 固体誘電体のほぼ全面に均一に絶縁破壌がお
こって現れる発光放電を示すものとする。
そして、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 図 7に示すように、 交流の電源 9に接続した対向する電極 5 a , 5 bを備えること が好ましい。 対向する電極 5 a , 5 b間に交流の電圧を印加することにより電極 5 a , 5 b間に電場を形成することができるからである。
また、 本実施の形態において、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 図 7に示す ように、 固体誘電体 2 9 a, 2 9 bを備える。 ここで、 電極 5 a, 5 b間に形成 された電場内に誘電体 2 9 a , 2 9 bを揷入することにより、 誘電体 2 9 a, 2 9 bが分極して、 誘電体 2 9 a , 2 9 b間で誘電体バリァ放電を起こし、 均一な 低温ガスプラズマ 3を発生させることができる。
すなわち、 本実施の形態のプラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 低温ガスプラズ マ 3を発生させたい領域の大きさおょぴ形状に対応した大きさおよび形状の誘電 体 2 9 a, 2 9 bを電極 5 a , 5 b間に挿入することにより、 低温ガスプラズマ 3を発生させたい領域において均一な低温ガスプラズマ 3を発生させることがで き、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の調節をすることができる。
ここで、 本実施の形態のプラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 誘電体 2 9 a , 2 9 bの大きさ、 形状などを変化させることにより、 低温ガスプラズマ 3の照射領 域の調節をすることができることが好ましい。
なお、 ガス流路 1 1の方向、 断面の大きさ、 断面の形状などを変化させる方法 は、 特に限定するものではないが、 たとえば誘電体 2 9 a, 2 9 bを交換可能と する構造とすることにより実現可能である。
また、 本実施の形態のプラズマ照射領域調節部 5 0 3の構造は、 特に限定され るものではなく、 標的細胞 1 5の両側に誘電体 2 9 a, 2 9 bが揷入されていて もよく、 あるいは標的細胞 1 5の一方のみに誘電体 2 9 a, 2 9 bが挿入されて いてもよい。 そして、 誘電体 2 9 a, 2 9 bは、 電極 5 a, 5 bに挾まれた領域 に揷入されることが好ましい。
本実施の形態を用いることにより、 標的細胞 1 5の存在領域に対応する領域で 均一な誘電体バリァ放電を行なうことが可能であり、 均一な強度分布の低温ガス プラズマ 3を標的細胞 1 5に照射することができるため、 標的細胞 1 5への選定
分子の導入効率を高めることができるという利点がある。
なお、 本実施の形態において、 誘電体 2 9 a , 2 9 bは、 プラスチックまたは ガラスまたはセラミックスを含有する材質からなることが好ましい。 プラスチッ ク、 ガラスおよびセラミックスは、 誘電体 2 9 a , 2 9 bとしての性質を有し、 安価で入手も容易だからである。
また、 本実施の形態において、 標的細胞 1 5を保持する容器が誘電体 2 9 a , 2 9 bとしての性質を有するのであれば、 誘電体 2 9 a , 2 9 bとして標的細胞 1 5を保持する容器を用いてもよい。 標的細胞 1 5を用いる容器の多くは、 誘電 体 2 9 a , 2 9 bとしての性質を有するプラスチックまたはガラスまたはセラミ ックスを材質とするからである。
また、 本実施の形態において、 保持部 5 0 5は、 誘電体バリア放電に用いる誘 電体 2 9 bを試料台として備える。 もつとも、 本実施の形態においては、 標的細 胞 1 5を保持する容器を誘電体 2 9 bとして用いるのであれば、 保持部 5 0 5は、 電極 5 bを試料台として用いてもよい。
なお、 図 7には、 導電線 7 a , 7 bも説明のために記載されている。
そして、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明し た構造に限定されるものではなく、 たとえば誘電体バリア放電方式のプラズマ発 生エネルギー供給部 5 0 1は、 誘電体バリァ放電方式以外の方式によるブラズマ 照射領域調節部 5 0 3と組合わされてもよい。
<多穴ゥエル対応型誘電体バリァ放電方式のプラズマ照射領域調節部 > 図 8は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付近 のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 8に示す構造に限定されるものではない。 また、 図 8におい ては、 低温ガスプラズマ 3 a, 3 c , 3 d , 3 e, 3 f , 3 gの発生の様子がよ く分かるように、 容器 3 1を透明なものとして記載した。
本発明の第六の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 誘電体バリア放電 方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 誘電体バリア放電方式を 用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3と、 誘電体バリア放電に用!/、る誘電体 2 9 bを試料台として備える保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0
である。
ここで、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 50 1は、 図 8に示すように、 誘電体バリァ放電方式により低温ガスプラズマ 3を発生するェ ネルギーをガスに供給するプラズマ発生エネルギー供給部 50 1である。
なお、 本発明において、 誘電体バリア放電とは、 気体中の導体間の電場が平衡 でない領域に固体誘電体を挿入することによって、 固体誘電体のほぼ全面に均一 に絶縁破壊がおこって現れる発光放電を示すものとする。
そして、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 50 1は、 図 8に示すように、 交流の電源 9に接続した対向する電極 5 a, 5 b, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f, 5 gを備えることが好ましい。 対向する電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gと 5 bとの間に交流の電圧を印加することにより電極 5 a , 5 c, 5 d, 5 e, 5 f, 5 gと 5 bとの間に電場を形成することができるからである。 また、 本実施の形態において、 プラズマ照射領域調節部 503は、 図 8に示す ように、 固体誘電体 2 9 bを備える。 ここで、 電極 5 a, 5 c , 5 d, 5 e , 5 f , 5 gと 5 bとの間に形成された電場内に誘電体 29 bを揷入することにより、 誘電体 29 bが分極して、 電極 5 a , 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gと誘電体 2 9 bとの間で誘電体バリァ放電を起こし、 均一な低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e, 3 f , 3 gを発生させることができる。
図 8に示すように、 両側にある電極 5 a , 5 b, 5 c, 5 d, 5 e , 5 f , 5 g.の一方の電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 g力 容器 3 1の試料保持部 3 3 a, 3 3 c, 3 3 d, 3 3 e , 3 3 f , 3 3 gに対応する位置に単数または 複数に分岐した電極先端を備えることにより、 低温ガスプラズマ 3を発生させた い試料保持部 3 3 a, 3 3 c, 3 3 d, 33 e , 3 3 f , 3 3 g内において均一 な低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e , 3 f , 3 gを発生させるという形 で、 低温ガスプラズマ 3 a, 3 c , 3 d, 3 e , 3 f , 3 gの照射領域の調節を することができる。
その結果、 本実施の形態においては、 試料保持部 3 3 a, 3 3 c, 3 3 d, 3 3 e, 33 f, 3 3 g内の標的細胞 1 5 a, 1 5 c, 1 5 d, 1 5 e, 1 5 f , 1 5 gに均一な低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e, 3 f, 3 gを照射す
ることができるため、 標的細胞 1 5 a, 1 5 c, 1 5 d, 1 5 e, 1 5 f , 1 5 gへの選定分子の導入効率を高めることができる。
ここで、 本実施の形態においては、 プラズマ照射領域調節部 50 3は、 電極 5 a , 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gの数、 大きさ、 形状などを変化させることに より、 低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e, 3 f , 3 gの照射領域の調節 をすることができることが好ましい。 '
なお、 電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gの数、 大きさ、 形状などを変 化させる方法は、 特に限定するものではないが、 たとえば電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gを交換可能とする構造とすることにより実現可能である。
また、 本実施の形態のプラズマ照射領域調節部 50 3の構造は、 特に限定され るものではなく、 標的細胞 1 5の一方のみに誘電体が挿入されていてもよく、 あ るいは標的細胞 1 5の両側に誘電体 29 bが揷入されていてもよい。 すなわち、 電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gの下部に誘電体が貼付などされて揷入 されていてもよい。 そして、 誘電体 29 bは、 容器 3 1と電極 5 bとに挟まれた 領域に挿入されることが好ましい。
また、 本実施の形態において、 保持部 50 5は、 誘電体バリア放電に用いる誘 電体 2 9 bを試料台として備える。 もっとも、 本実施の形態においては、 標的細 胞 1 5を保持する容器 3 1を誘電体 29 bとして用いるのであれば、 保持部 50 5は、 電極 5 bを試料台として用いてもよい。
また、 本実施の形態において、 容器 3 1は、 標的細胞 1 5を保持するための単 数または複数の試料保持部 3 3 a, 33 c, 3 3 d, 3 3 e, 3 3 f , 3 3 gを 有する容器 3 1であることが好ましい。 このように多数の試料保持部 3 3 a, 3 3 c, 3 3 d, 3 3 e, 33 f , 3 3 gを有する容器 3 1を用いて、 本発明の標 的細胞 1 5 a, 1 5 c, 1 5 d, 1 5 e , 1 5 f , 1 5 gへの選定分子の導入方 法を実施することにより、 一度に多くの標的細胞 1 5 a, 1 5 c, 1 5 d, 1 5 e, 1 5 f , 1 5 gへの選定分子の導入を行なうことができ、 本発明のハイスル ープット化を実現することができ、 実施効率が著しく高まるからである。
さらに、 本実施の形態においては、 プラズマ発生エネルギー供給部 50 1は、 電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gの先端と容器 3 1とを相対的に上下に
駆動させる上下駆動機構を備えることが好ましい。 このような上下駆動機構を用 いて、 電極 5 a, 5 c , 5 d, 5 e, 5 f , 5 gの先端と容器 3 1とを相対的に 上下に移動させることにより、 電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e, 5 f , 5 gの先端 を容器 3 1の試料保持部 3 3 a, 3 3 c, 33 d, 3 3 e , 3 3 f , 3 3 gに揷 入および脱離させることができる。
なお、 図 8には、 導電線 7 a, 7 b, 8 a, 8 c, 8 d, 8 e, 8 f , 8 gも 説明のために記載されている。
図 9は、 図 8に示す本発明のプラズマ照射装置 1 000の電極 5 a, 5 c, 5 d, 5 e , 5 f, 5 gの先端部付近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 000の構造は、 図 9に示す構造に限定され るものではない。 また、 図 9においては、 低温ガスプラズマ 3の発生の様子がよ く分かるように、 試料保持部 3 3を透明なものとして記載した。
図 9に示すように、 本実施の形態においては、 電極の先端部は、 露出した電極 先端 3 7 aと、 導電線 3 7 bと、 導電線 3 7 bを被覆する誘電体 3 5と、 を備え ていることが好ましい。 電極の先端部このような構造を有していることにより、 容器の試料保持部 3 3の内部で誘電体バリァ放電が行なわれ、 その結果標的細胞 1 5の存在領域を含む領域で低温ガスプラズマ 3が発生するため、 標的細胞 1 5 に均一な低温ガスプラズマ 3を照射することができ、 標的細胞 1 5への選定分子 の導入効率を高めることができる。
そして、 本発明のブラズマ照射装置 1 000の構造は、 本実施の形態で説明し た構造に限定されるものではなく、 たとえば誘電体バリア放電方式のプラズマ発 生エネルギー供給部 50 1は、 誘電体バリァ放電方式以外の方式によるプラズマ 照射領域調節部 50 3と組合わされてもよい。
<誘導結合ブラズマ発生方式のブラズマ発生エネルギー供給部 >
図 1 0は、 図 2に示す本発明のブラズマ照射装置 1 000のヘッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 000の構造は、 図 1 0に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 本発明の第七の実施の形態のプラズマ照射装置 1 000は、 誘導結合 方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 50 1と、 ガス流動方式を用いたプ
ラズマ照射領域調節部 5 0 3と、 試料台 1を備える保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0である。 なお、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領 域調節部 5 0 3と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の 上記の実施の形態において説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。 また、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 誘導 結合プラズマ発生方式を用いて、 低温ガスプラズマ 3を発生するために必要なェ ネルギーをガスに供給する
また、 本実施の形態において、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 交流電源 9と接続した導電コイル 3 9と、 この導電コイル 3 9の内部に設けた貫 通空隙部 4 3を有する誘電体 4 1と、 を備える。
そして、 本実施の形態においては、 この誘電体 4 1の貫通空隙部 4 3にガス流 を通過させ、 導電コイル 3 9に交流電圧を印加することにより、 ガス流中で低温 ガスプラズマ 3を発生させる。
なお、 本実施の形態において、 誘電体 4 1は、 プラスチックまたはガラスまた はセラミックスを含有する材質からなることが好ましい。 プラスチックまたはガ ラスは、 誘電体 4 1としての性質を有し、 安価で入手も容易だからである。 また、 図 1 0においては、 誘電体 4 1は、 円筒状の形状に記載されているが、 誘電体 4 1の形状は特に円筒状に限定されるものではなく、 ガス流を通過させる ことのできる貫通空隙部を有するような形状であれば、 用途に応じてさまざまな 形状をとり得る。
なお、 図 1 0には、 導電線 7 a , 7 b、 電源 9、 ガスの流路 1 1、 ガス供給部 1 3、 標的細胞 1 5も説明のために記載されている。
そして、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明し た構造に限定されるものではなく、 たとえば誘導結合プラズマ発生方式のプラズ マ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 ガス流動方式以外の方式によるブラズマ照射 領域調節部 5 0 3と組合わされてもよい。
く電磁気力流動方式によるブラズマ照射領域調節部 >
図 1 1は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のへッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置
1 0 0 0の構造は、 図 1 1に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 本発明の第八の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 コロナ放 電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 電磁気流動方式を用い たプラズマ照射領域調節部 5 0 3と、 試料台 1を備える保持部 5 0 5と、 を備え た、 プラズマ照射装置 1 0 0 0である。 なお、 コロナ放電方式を用いたプラズマ 発生エネルギー供給部 5 0 1と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の上記の実施の形態において説明しているので、 ここでは説明を繰り 返さない。
また、 本実施の形態において、 電磁気流動方式を用いたプラズマ照射領域調節 部 5 0 3は、 低温ガスブラズマ 3を電磁気力により移動させることにより低温ガ スプラズマ 3の照射領域を調節する。
そのため、 本実施の形態においては、 図 1 1に示すように、 プラズマ照射領域 調節部 5 0 3は、 低温ガスプラズマに対して磁場を供給する構造を含んでいる。 また、 本実施の形態においては、 図 1 1に示すように、 プラズマ発生エネルギ —供給部 5 0 1は、 コロナ放電 2により低温ガスプラズマ 3を発生することがで きるように、 直流または交流の電源 9に導電線 7 a, 7 bを介して接続した対向 する電極 5 a , 5 bを備えている。
よって、 本実施の形態においては、 低温ガスプラズマ 3に印加する磁場の方向 4 7を変化させることにより、 電磁気力の方向 4 9も変化させることができるの で、 低温ガスプラズマ 3の移動方向を変化させることとなり、 結果として低温ガ スプラズマ 3の照射領域の拡大、 縮小、 変形や、 該照射領域内における低温ガス プラズマのブラズマ強度分布の変化などを生じさせ、 低温ガスプラズマ 3の照射 領域の調節をすることができる。
なお、 低温ガスプラズマ 3に印加する磁場の方向 4 7を変化させるためには、 磁場の発生源の設置の方向を変化させればよい。 また、 磁場の発生源は、 永久磁 石であってもよく、 導電コイルに電流を流して磁場を発生させたものであっても よい。 導電コイルにより磁場を発生させている場合には、 導電コイルに流す電流 の向きを変えても、 磁場の方向 4 7を変化させることができる。
ここで、 本実施の形態においては、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 コロナ
放電 2と時間的に同期した磁場を低温ガスプラズマ 3に印加することにより、 低 温ガスプラズマ 3に電磁気力を加えることができる構造であることが好ましい。 電極 5 a, 5 bに接続された電源 9が交流である場合には、 コ口ナ放電 2の電流 の方向 4 5が経時的に変化するため、 適切な方向の電磁気力を発生させるために は、 磁場の方向 4 7も時間的に同期して変化する必要があるからである。
さらに、 本実施の形態においては、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3は、 コロナ 放電 2を発生する電流の方向と空間的に直交した方向の磁場を低温ガスブラズマ 3に印加することにより、 低温ガスプラズマ 3に前記電磁気力を加えることがで きる構造であることが好ましい。 フレミングの左手の法則より、 放電 2の電流の 方向 4 5と磁場の方向 4 7が直行する場合に、 電流の方向 4 5と磁場の方向 4 7 とにさらに直交する方向に電磁気力が発生するからである。
なお、 図 1 1には、 標的細胞 1 5も説明のために記載されている。
ここで、 図 1 2は、 図 1 1に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0において、 電源 9が交流である場合に、 コロナ放電 2と時間的に同期した磁場を低温ガスプ ラズマ 3に印加することができるようにした本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0 の構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構 造は、 図 1 2に示す構造に限定されるものではない。
また、 図 1 3は、 図 1 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0において、 磁場発生板 5 5を除去して、 磁場発生板 5 3 , 5 5に挟まれた領域を見やすくし た本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構成を説明する概略図である。 なお、 本 発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 1 3に示す構造に限定されるもの ではない。
そして、 図 1 2および図 1 3に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0におい ては、 交流の電源 9により導電コイル 3 9に交流の電流が流れることにより、 導 電コイル 3 9内の誘電体 5 1に磁場が発生する。 この磁場は、 誘電体 5 1を介し て磁場発生板 5 3, 5 5に伝達され、 磁場発生板 5 3, 5 5に挟まれた領域で磁 場が発生する。 このとき、 導電コイル 3 9と電極 5 a, 5 bは導電線 7 a , 7 b を介して接続しているため、 電極 5 a , 5 b間に発生するコロナ放電 2と、 磁場 発生板 5 3, 5 5に挟まれた領域で発生する磁場とは、 時間的に同期することに
なる。
さらに、 図 1 2および図 1 3に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0におい ては、 同様に電極 5 a , 5 b間に発生するコロナ放電 2の電流の方向 4 5と、 磁 場努生板 5 3, 5 5に挟まれた領域で発生する磁場の方向 4 7とは、 空間的に直 交することになる。
それゆえ、 図 1 2および図 1 3に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0にお いては、 電極 5 a , 5 bに接続された電源 9が交流であり、 コロナ放電 2の電流 の方向 4 5が経時的に変化する場合においても、 フレミングの左手の法則より、 電流の方向 4 5と磁場の方向 4 7とにさらに直交する方向に電磁気力が一定の方 向に発生することとなる。
なお、 図 1 2および図 1 3に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0において も、 低温ガスプラズマ 3に印加する磁場の方向 4 7を変化させることにより、 電 磁気力の方向 4 9も変化させることができることが好ましい。 具体的には、 磁場 発生板 5 3, 5 5の方向を変化させることができることが好ましい。
このような構造を有することにより、 電磁気力の方向 4 9を変化させ、 低温ガ スプラズマ 3の移動方向を変化させることができ、 結果として低温ガスプラズマ 3の照射領域の拡大、 縮小、 変形や、 該照射領域内における低温ガスプラズマの プラズマ強度分布の変化などを生じさせ、 低温ガスブラズマ 3の照射領域の調節 をすることができる。
また、 図 1 2および図 1 3においては、 同じ電源から直列に電場と磁場をもた らす方式について説明したが、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造はこの ような構造に限定させるものではない。
すなわち、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 電場と磁場を別電源からも たらす構造であってもよいし、 あるいは同じ電源から別ライン (すなわち並列) でもたらす構造であってもよレ、。 ただし、 これらの構造を採用する場合には、 電 場と磁場の位相を合わせて同期させる機構を設ける必要がある。
なお、 図 1 2および図 1 3には、 試料保持部 1、 標的細胞 1 5、 プラズマ発生 エネルギー供給部 5 0 1、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3、 保持部 5 0 5も説明 のために記載されている。
そして、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明し た構造に限定されるものではなく、 たとえば電磁気力流動方式のブラズマ照射領 域調節部 5 0 3は、 コロナ放電方式以外のプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1 と組合わされてもよい。
く誘電体バリア放電方式によるプラズマ発生エネルギー供給部とガス流動方式 によるブラズマ照射領域調節部の組合せ〉
図 1 4は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置
1 0 0 0の構造は、 図 1 4に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 本発明の第九の実施の形態のプラズマ照射装置 1 0 0 0は、 誘電体バ リア放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を 用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3と、 試料台 1を備える保持部 5 0 5と、 を 備えた、 プラズマ照射装置 1 0 0 0である。 なお、 誘電体バリア放電方式を用い たプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射 領域調節部 5 0 3と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明 の上記の実施の形態において説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。 本実施の形態においては、 誘電体バリア放電方式によるプラズマ発生エネルギ 一供給部 5 0 1とガス流動方式によるプラズマ照射領域調節部 5 0 3の糸且合せの 構造、 機能および利点について説明する。
ここで、 本実施の形態においては、 図 1 4に示すように、 誘電体バリァ放電方 式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 ガス流の流路 1 1の両側ま たは片側に配置された誘電体 2 9 a, 2 9 bと、 ガス流の流路 1 1および誘電体 2 9 a , 2 9 bを含む領域の両側に配置された交流の電源 9に接続した対向する 電極 5 a, 5 bと、 を含む構造を備えることが好ましい。
そして、 本実施の形態においては、 誘電体バリア放電方式を用いたプラズマ発 生エネルギー供給部 5 0 1は、 ガス流中で誘電体バリァ放電を行なうことにより 低温ガスプラズマ 3を発生することが好ましい。
このように、 誘電体バリァ放電方式により発生した低温ガスブラズマ 3は、 一 般的に照射領域におけるプラズマ強度の均一性に比較的優れる。 そのため、 誘電
体バリァ放電方式により発生した低温ガスブラズマ 3を、 ガス流動方式によるプ ラズマ照射領域調節部 5 0 3に備えられたガス供給部 1 3から噴出すガス流によ り移動させて、 保持部 5 0 5に備えられた試料台 1上の標的細胞 1 5に照射する ことにより、 照射領域におけるブラズマ強度の均一性に優れた低温ガスブラズマ 3を標的細胞 1 5に照射することができる。 その結果、 標的細胞 1 5への選定分 子の導入効率をさらに高めることができる。
なお、 図 1 4には、 導電線 7 a , 7 bも説明のために記載されている。
ここで、 図 1 5は、 図 1 4に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0において、 誘電体バリア放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1が円筒形で ある場合の本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 1 5に示す構造に限定さ れるものではない。 また、 図 1 5においては、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1の内部構造がよく分かるように、 電極 5 a , 5 b、 誘電体 2 9 a , 2 9 b , 5 9を透明なものとして記載した。
また、 図 1 6は、 図 1 5に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0が容器 6 1 内に設置された場合の本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構成を説明する断面 図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 1 6に示す構 造に限定されるものではない。
なお、 誘電体バリア放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1が 円筒形である場合においても、 図 1 5および図 1 6に示すように、 誘電体バリア 放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 ガス流の流路 1 1の 両側または片側に配置された誘電体 2 9 a, 2 9 bと、 ガス流の流路 1 1および 誘電体 2 9 a , 2 9 bを含む領域の両側に配置された交流の電源 9に接続した対 向する電極 5 a , 5 bと、 を含む構造を備えることが好ましい。
また、 誘電体バリア放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1が 円筒形である場合においても、 図 1 5および図 1 6に示すように、 誘電体バリア 放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1は、 ガス流中で誘電体バ リァ放電を行なうことにより低温ガスプラズマ 3を発生することが好ましい。 そして、 誘電体バリア放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1
が円筒形である場合においても、 誘電体バリア放電方式により発生した低温ガス プラズマ 3は、 一般的に照射領域におけるブラズマ強度の均一性に比較的優れて いる。
そのため、 図 1 5および図 1 6に示す構造においても、 誘電体バリア放電方式 により発生した低温ガスプラズマ 3を、 ガス流動方式によるプラズマ照射領域調 節部 5 0 3に備えられたガス供給部 1 3から噴出すガス流により移動させて、 保 持部 5 0 5に備えられた試料台 1上の標的細胞 1 5に照射することにより、 照射 領域におけるプラズマ強度の均一性に優れた低温ガスプラズマ 3を標的細胞 1 5 に照射することができる。 その結果、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率をさ らに高めることができる。
なお、 図 1 5およぴ図 1 6には、 導電線 7 a, 7 b、 誘電体 5 9も説明のため に記載されている。
そして、 図 1 5および図 1 6に示すように、 誘電体バリア放電方式を用いたプ ラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1が円筒形である場合には、 一般に円筒形であ ることが多いシャーレ内に標的細胞 1 5を保持する場合に、 シャーレ内で容易に 低温ガスプラズマ 3を発生させることができるため、 作業効率が向上し、 ハイス ループット化の実現のために役立つという利点がある。
そして、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明し た構造に限定されるものではなく、 たとえば誘電体バリア放電方式によるプラズ マ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流 ¾方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3との組合せは、 試料台 1を備えない保持部 5 0 5と組合わされてもよい。 たとえば、 誘電体バリァ放電方式によるプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1 と、 ガス流動方式のプラズマ照射領域調節部 5 0 3との組合せは、 標的細胞 1 5 を浮遊させる液体からなる保持部 5 0 5と組合わされてもよい。
く単数または複数の低温ガスブラズマの噴出口を有する実施の形態 > 図 1 7は、 図 2に示す本発明のブラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 1 7に示す構造に限定されるものではない。 また、 図 1 7 においては、 低温ガスプラズマ 3 a, 3 c 3 d , 3 e , 3 f , 3 gの発生の様
子がよく分かるように、 容器 3 ΐ έ透明なものとして記載した。
ここで、 本発明の第十の実施の形態のプラズマ照射装置 1000は、 単数また は複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f , 6 5 g内に設けられ たブラズマ発生エネルギー供給部と、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調 節部と、 単数または複数の嘖出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f , 6
5 gを備えたプラズマ照射領域調節部と、 任意の保持部と、 を備えた、 プラズマ 照射装置 1 000である。 なお、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 については、 既に本発明の上記の実施の形態において説明しているので、 ここで は説明を繰り返さない。
ここで、 本実施の形態においては、 単数または複数の噴出口 65 a, 6 5 c,
6 5 d, 6 5 e, 6 5 f , 6 5 g内に設けられたプラズマ発生エネルギー供給部 と、 ガス流動方式によるプラズマ照射領域調節部と、 単数または複数の噴出口 6
5 a , 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f , 6 5 gを備えたプラズマ照射領域調節 部と、 の糸且合せの構造、 機能および利点について説明する。
ここで、 本実施の形態においては、 プラズマ発生エネ ギー供給部は、 単数ま たは複数の嘖出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f, 65 gの内部にお いて低温ガスプラズマ 3 a, 3 c , 3 d, 3 e, 3 f , 3 gを発生し、 単数また は複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f , 6 5 gを介して標的 細胞 1 5 a, 1 5 c, 1 5 d, 1 5 e , 1 5 f , 1 5 gに低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e, 3 f , 3 gを照射する。
そのため、 本実施の形態においては、 単数または複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c,
6 5 d, 6 5 e, 6 5 f , 6 5 gを備えたプラズマ照射領域調節部は、 単数また は複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e, 65 f , 6 5 gの下部にのみ 低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e, 3 f , 3 gを照射することにより、 標的細胞 1 5 a, 1 5 c, 1 5 d, 1 5 e, 1 5 f , 1 5 gに対する低温ガスプ ラズマ 3 a, 3 c , 3 d, 3 e, 3 f , 3 gの照射領域を調節することができる。 ここで、 本実施の形態においては、 単数または複数の噴出口 65 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e, 6 5 f , 6 5 gを備えたプラズマ照射領域調節部は、 単数また は複数のチューブ状の低温ガスプラズマの嘖出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5
e, 6 5 f , 6 5 gを備えることが好ましい。 チューブ状であることにより、 多 穴ゥエル型の容器 3 1の試料保持部 3 3 a, 3 3 c, 3 3 d, 3 3 e, 3 3 f , 33 g, 3 3 e内に存在する標的細胞 1 5 a, 1 5 c, 1 5 d, 1 5 e, 1 5 f , 1 5 gに対して低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e, 3 f , 3 gを照射す ることが容易となるからである。
また、 本実施の形態においては、 プラズマ発生エネルギー供給部は、 単数また は複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 65 d, 6 5 e , 6 5 f , 6 5 gの内部に、 プ ラズマ発生エネルギー供給部を備えることが好ましい。 単数または複数の噴出口
65 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f , 6 5 gの上部からガス供給部 1 3に より、 ガスの流路 1 1 a, 1 1 c, l i d, l i e, 1 1 f , l l gを通してガ スを供給することにより、 単数または複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e, 6 5 f, 6 5 gの内部で発生した低温ガスプラズマ 3 a, 3 c, 3 d, 3 e , 3 f, 3 gを単数または複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f , 6 5 gの下部から噴出させることができるからである。
また、 本実施の形態においては、 プラズマ照射領域調節部は、 単数または複数 の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e , 6 5 f , 6 5 gを、 多穴ゥエル型の 容器 3 1の試料保持部 3 3 a, 3 3 c, 3 3 d, 3 3 e , 3 3 f, 3 3 g, 3 3 e内に出し入れすることのできる単数または複数の噴出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d, 6 5 e, 6 5 f , 65 gの駆動機構あるいは多穴ゥエル型の容器 3 1の駆動 機構を備えていることが好ましい。
なお、 図 1 7には、 正負二本の導電線 6 3 a, 6 3 c, 6 3 d, 6 3 e , 6 3 f, 6 3 g、 上下駆動方向 6 7も説明のために記載されている。
ここで、 図 1 8は、 図 1 7に示す本発明のプラズマ照射装置 1 000において、 低温ガスプラズマの噴出口付近を拡大して示した本発明のプラズマ照射装置 1 0 00の構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 000 の構造は、 図 1 8に示す構造に限定されるものではない。 また、 図 1 8において は、 低温ガスプラズマ 3の発生の様子がよく分かるように、 試料保持部 3 3を透 明なものとして記載した。
なお、 本実施の形態においては、 図 1 8に示すように、 内部にプラズマ発生ェ
ネルギー供給部を備える噴出口 6 5内で発生した低温ガスプラズマ 3は、 ガス供 給部 1 3から供給されるガス流により、 試料保持部 3 3内に存在する標的細胞 1 5の方向に移動させられる。 そのため、 低温ガスプラズマ 3は、 確実に標的細胞 1 5の存在する領域まで導かれるので、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率が 向上することとなる。
なお、 図 1 8には、 導電線 7 a , 7 b、 電源 9、 ガス流の流路 1 1、 正負二本 の導電線 6 3も説明のために記載されている。
そして、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明し た構造に限定されるものではなく、 単数または複数の噴出口 6 5 a , 6 5 c , 6 5 d , 6 5 e , 6 5 f, 6 5 gを備えるプラズマ照射領域調節部は、 ガス流動方 式のブラズマ照射領域調節部以外のブラズマ照射領域調節部と組合わされてもよ い。 たとえば、 単数または複数の嘖出口 6 5 a, 6 5 c, 6 5 d , 6 5 e , 6 5 f , 6 5 gを備えるプラズマ照射領域調節部は、 磁場流動方式のプラズマ照射領 域調節部と組合わされてもよい。
<互いに形状の異なる対向する電極と、 試料回転法や電極回転法との組合せ > 図 2 1は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のへッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 2 1に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 本発明の第十一の実施の形態のプラズマ照射装置は、 コロナ放電方式 を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を用いたプラズ マ照射領域調節部 5 0 3 aと、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 bと、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置で ある。 なお、 コロナ放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の上記の実施の形態に おいて説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。
ここで、 円形シャーレ内に満遍なくプラズマを照射させる方法として、 上述の 試料回転法や電極回転法がある力 水平方向にブラズマ強度が均一なプラズマを シャーレの半径部分にあてた場合、 その状態でシャーレを回転させると中央部ほ どプラズマ照射強度が強くなる傾向がある。 したがって、 中央部の照射が適当な
場合には周辺部の照射が弱すぎることになり、 周辺部の照射が適当な場合には中 央部の照射が強すぎることになる。 そのため、 何らかの方法で水平方向のプラズ マ強度に差を生じさせて外周側により強いプラズマがあたるようにすれば、 結果 としてシャーレ全体に適度な強度で均一に照射することができる。
そこで、 本実施の形態のプラズマ照射装置においては、 このプラズマ発生エネ ルギー供給手段 5 0 1は、 直流または交流の電源 9と接続した互いに形状が異な る対向する電極 5 a , 5 bを含み、 このプラズマ照射領域調節手段 5 0 3 bは、 この保持手段 5 0 5および/またはこのプラズマ発生エネルギー供給手段 5 0 1 を回転運動および/または偏心回転運動により駆動する手段を含む構造を採用し ている。
具体的には、 図 2 1に示すように一方のくの字形電極 5 bでは、 電極の先端が ガス流に対して最も下流に位置するため、 電極上の放電位置が固定されるのに対 し、 カーブ形電極 5 aでは、 電極の先端がガス流に対して最も下流に位置しない ため、 放電位置がカーブ状の部分に広がる傾向がある。 したがって、 放電位置が 固定されたくの字形電極 5 bの側ほどプラズマ強度が強くなり、 これを標的細胞 1 5を担持するシャーレの外周側に設置すれば、 シャーレ内を均一に照射するこ とができる。 その結果、 シャーレ全体としての標的細胞への選定分子の導入効率 が高まり、 標的細胞の死滅率も減少できる利点がある。
ここで、 本実施の形態において、 プラズマ照射領域調節部 5 0 3 a , 5 0 3 b は、 図 2 1に示すように、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 aと、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 bとを備える。 な お、 ガス流動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 aについては、 既に本 発明の上記の実施の形態において説明しているので、 説明を繰り返さない。
そして、 本実施の形態において、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調 節部 5 0 3 bは、 保持部 5 0 5を移動させることのできる駆動機構を備えている。 このように、 保持部 5 0 5を駆動機構を用いて移動させることにより、 保持部 5 0 5に設置された標的細胞 1 5をプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1に対して 相対的に移動させることとなり、 その結果低温ガスプラズマ 3の照射領域が経時 的に変動するため、 低温ガスプラズマ 3の照射領域の拡大、 変形や、 該照射領域
内における低温ガスプラズマ 3のプラズマ強度分布の変化などを生じさせ、 低温 ガスプラズマ 3の照射領域の調節をすることができる。
ここで、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5 0 5をプラズマ発生エネルギー 供給部 5 0 1に対して、 プラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1から所定の距離に 位置する平面内において移動させる駆動機構であることが好ましい。 低温ガスプ ラズマ 3の照射領域が経時的にプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1から所定の 距離に位置する平面内において移動することとなり、 低温ガスブラズマ 3の照射 領域が拡大し、 該照射領域内における低温ガスプラズマ 3のプラズマ強度分布が 均一化することとなるため、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率が向上する傾 向があるからである。
また、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5 0 5をプラズマ発生エネルギー供 給部 5 0 1に対して相対的に回転運動させる駆動機構であってもよい。 さらに、 該回転運動は、 偏心回転運動であることがより好ましい。 低温ガスブラズマ 3の 照射領域が経時的に回転運動または偏心回転運動することとなり、 低温ガスブラ ズマ 3の照射領域が拡大し、 該照射領域内における低温ガスプラズマ 3のプラズ マ強度分布が均一化することとなるため、 標的細胞 1 5への選定分子の導入効率 が向上する傾向があるからである。
そして、 本実施の形態の駆動機構の構造は、 特に限定するものではないが、 た とえば保持部 5 0 5に備えられた試料台 1の下部に接続された振動機または回転 モーターなどを備える構造であることが好ましい。 なお、 本実施の形態の駆動機 構は、 並進運動あるいは回転運動のパターンゃ速度を制御する機構を備えている ことが好ましい。
なお、 図 2 1には、 コロナ放電 2、 電極 5 a, 5 b、 導電線 7 a, 7 b、 電源 9、 ガスの流路 1 1、 ガス供給部 1 3、 試料台が回転運動する場合の回転運動の 方向 1 7も説明のために記載されている。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明した 構造に限定されるものではなく、 たとえば互いに形状が異なる対向する電極は、 本実施の形態と同様の効果が得られるのであれば、 互いに異なる他の形状であつ てもよい。
<ガス流の方向を調整する方法と試料回転法や電極回転法との組合せ > 図 2 2は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のヘッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 2 2に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 本発明の第十二の実施の形態のプラズマ照射装置は、 コロナ放電方式 を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を用いたプラズ マ照射領域調節部 5 0 3 aと、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 bと、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置で ある。 なお、 コロナ放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の上記の実施の形態に おいて説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。
ここで、 円形シャーレ内に満遍なくプラズマを照射させる方法として、 上述の 試料回転法や電極回転法があるが、 水平方向にプラズマ強度が均一なプラズマを シャーレの半径部分にあてた場合、 その状態でシャーレを回転させると中央部ほ どプラズマ照射強度が強くなる傾向がある。 したがって、 中央部の照射が適当な 場合には周辺部の照射が弱すぎることになり、 周辺部の照射が適当な場合には中 央部の照射が強すぎることになる。 そのため、 何らかの方法で水平方向のプラズ マ強度に差を生じさせて外周側により強いプラズマがあたるようにすれば、 結果 としてシャーレ全体に適度な強度で均一に照射することができる。
そこで、 本実施の形態のプラズマ照射装置においては、 このプラズマ照射領域 調節手段は、 この保持手段および/またはこのプラズマ発生エネルギー供給手段 を回転運動および Zまたは偏心回転運動により駆動する手段と、 このガス流の方 向を変化させることができるこのガス供給手段と、 を含む構造を採用している。 具体的には、 図 2 2に示すように、 この保持手段および/またはこのプラズマ 発生エネルギー供給手段の回転運動および Zまたは偏心回転運動の中心軸から外 周方向へガス流を傾けることにより、 風の流れる方向ほどプラズマが強く吹出さ れる傾向がある。 そのため、 このプラズマ発生エネルギー供給手段をシャーレな どの保持手段の外周側に設置すればシャーレ内を均一に照射することができる利 点がある。
なお、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5 0 5をプラズマ発生エネルギー供 給部 5 0 1に対して相対的に回転運動および Zまたは偏心回転運動させる駆動機 構であるが、 既に本発明の上記の実施の形態において説明しているので、 ここで は説明を操り返さない。
なお、 図 2 1には、 コロナ放電 2、 電極 5 a , 5 b、 導電線 7 a , 7 b、 電源
9、 ガスの流路 1 1、 ガス供給部 1 3、 試料台が回転運動する場合の回転運動の 方向 1 7も説明のために記載されている。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明した 構造に限定されるものではなく、 たとえば同一形状の対向する電極を用いること に限定されず、 互いに形状が異なる対向する電極と組合せても、 本実施の形態と 同様の効果が得られるのであれば、 好適に用いることができる。
<不均等シールド法と試料回転法や電極回転法との組合せ >
図 2 3は、 図 2に示す本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のへッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 2 3に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 本発明の第十三の実施の形態のプラズマ照射装置は、 コロナ放電方式 を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 ガス流動方式を用いたプラズ マ照射領域調節部 5 0 3 aと、 保持部駆動方式を用いたプラズマ照射領域調節部 5 0 3 bと、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5と、 を備えた、 プラズマ照射装置で ある。 なお、 コロナ放電方式を用いたプラズマ発生エネルギー供給部 5 0 1と、 試料台 1を備えた保持部 5 0 5とについては、 既に本発明の上記の実施の形態に おいて説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。
ここで、 円形シャーレ内に満遍なくプラズマを照射させる方法として、 上述の 試料回転法や電極回転法があるが、 水平方向にブラズマ強度が均一なブラズマを シャーレの半径部分にあてた場合、 その状態でシャーレを回転させると中央部ほ どプラズマ照射強度が強くなる傾向がある。 したがって、 中央部の照射が適当な 場合には周辺部の照射が弱すぎることになり、 周辺部の照射が適当な場合には中 央部の照射が強すぎることになる。 そのため、 何らかの方法で水平方向のプラズ マ強度に差を生じさせて外周側により強いプラズマがあたるようにすれば、 結果
としてシャーレ全体に適度な強度で均一に照射することができる。
そこで、 本実施の形態のプラズマ照射装置においては、 このプラズマ照射領域 調節手段は、 この保持手段および Zまたはこのブラズマ発生エネルギー供給手段 を回転運動および zまたは偏心回転運動により駆動する手段と、 この低温ガスプ ラズマの流路に設けられた、 この低温ガスプラズマが通過可能な不均一な領域を 有する遮蔽板と、 を含む構造を採用している。
具体的には、 図 2 3に示すように、 プラズマの吹出し口を遮蔽板 (シールド) 2 7 a , 2 7 bで遮る場合、 奥深く遮るほどプラズマが強く吹出される傾向があ る。 そのため、 プラズマ発生エネルギー供給手段のより深く遮った側をシャーレ などの保持手段の外周側に設置すれば、 シャーレ内を均一に照射することができ る禾点、がある。
なお、 本実施の形態の駆動機構は、 保持部 5 0 5をプラズマ発生エネルギー供 給部 5 0 1に対して相対的に回転運動および/または偏心回転運動させる駆動機 構であるが、 既に本発明の上記の実施の形態において説明しているので、 ここで は説明を操り返さない。
なお、 図 2 1には、 コロナ放電 2、 電極 5 a , 5 b、 導電線 7 a , 7 b、 電源 9、 ガスの流路 1 1、 ガス供給部 1 3、 試料台が回転運動する場合の回転運動の 方向 1 7も説明のために記載されている。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明した 構造に限定されるものではなく、 たとえば同一形状の対向する電極を用いること に限定されず、 互いに形状が異なる対向する電極と組合せても、 本実施の形態と 同様の効果が得られるのであれば、 好適に用いることができる。
ぐ沿面放電方式の活用 >
図 2 4は、 図 2に示す本努明のプラズマ照射装置 1 0 0 0のへッド部 2 2 9付 近のより詳細な構成を説明する概略図である。 なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 図 2 4に示す構造に限定されるものではない。
ここで、 本発明の第十四の実施の形態のプラズマ照射装置は、 沿面放電方式を 用いたプラズマ発生エネルギー供給部と、 沿面放電方式を用いたプラズマ照射領 域調節部と、 容器 6 1を備えた保持部と、 を備えた、 プラズマ照射装置である。
なお、 容器 6 1を備えた保持部とについては、 既に本発明の上記の実施の形態に おいて説明しているので、 ここでは説明を繰り返さない。
本実施の形態のプラズマ照射装置においては、 このプラズマ発生エネルギー供 給手段は、 図 2 4に示すように、 複数の開口空隙部を有する誘電体 2 9 a, 2 9 b, 2 9 cと、 それぞれ異なる前記開口空隙部の内部に設けられ、 直流または交 流の電源 9と接続した対向する電極 5 a , 5 bと、 を含む構造を採用している。 なお、 図 2 4には、 プラズマ 3、 標的細胞 1 5、 導電線 7 a , 7 bも説明のた めに記載されている。
本実施の形態においては、 このような構造で電極間を誘電体で隔てることによ り、 誘電体を避けての最もインピーダンスが低いルートに沿って放電が発生する というメカニズムによって沿面放電によるプラズマが発生する。 そして、 沿面放 電によるプラズマでは、 放電パスを適当なルートに固定することにより、 目的の 箇所に再現性よくプラズマを照射することができるという特徴がある。
なお、 本実施の形態において、 誘電体 2 9 a , 2 9 b , 2 9 cは、 プラスチッ クまたはガラスまたはセラミックスを含有する材質からなることが好ましい。 プ ラスチックまたはガラスは、 誘電体としての性質を有し、 安価で入手も容易だか らである。 さらに、 本実施の形態における誘電体は、 沿面放電によるプラズマに さらされることから、 耐熱性を有することが好ましい。
また、 図 2 4においては、 誘電体 2 9 a , 2 9 b , 2 9 cは、 貫通空隙部を有 する構造に記載されているが、 誘電体の形状は特に貫通空隙部を有する構造に限 定されるものではなく、 電極 5 a, 5 bを揷入することのできる開口空隙部を有 するような形状であれば、 空隙部は誘電体を貫通している必要はなく、 用途に応 じてさまざまな形状をとり得る。
本実施の形態を用いることにより、 標的細胞 1 5の存在領域に対応する領域で 均一な沿面放電を行なうことが可能であり、 均一な強度分布の低温ガスブラズマ 3を標的細胞 1 5に照射することができるため、 標的細胞 1 5への選定分子の導 入効率を高めることができるという利点がある。
また、 本実施の形態のプラズマ照射装置においては、 図 2 5に示すように、 こ のプラズマ照射領域調節手段は、 この複数の開口空隙部のうち 1以上の開口空隙
部から容器 6 1などの保持手段への方向のガス流 1 1を発生させるガス供給手段 1 3を含む構造を採用してもよい。
なお、 図 2 5には、 電極 5 a, 5 b、 導電線 7 a, 7 b、 電源 9、 誘電体 2 9 a, 2 9 b , 2 9 c、 沿面放電によるプラズマ 3、 標的細胞 1 5も説明のために 記載されている。
このような構造を採用することにより、 試料のシヤーレ底が深い場合など電極 一試料間距離を十分に近づけることができないような場合にも、 十分に試料にプ ラズマを照射することができる利点がある。
あるいは、 本実施の形態のプラズマ照射装置においては、 図 2 6に示すように、 このプラズマ発生エネルギー供給手段は、 複数に分岐し、 それぞれ異なるこの開 口空隙部の内部に設けられた電極先端を備え、 この複数の対向する電極 5 a, 5 b , 5 cのうち少なくとも一組の電極 (たとえば、 5 aおよび 5 bの組や 5 aお よび 5 cの組など) を含む構造を採用してもよい。
なお、 図 2 6には、 導電線 7 a, 7 b、 電源 9、 誘電体 2 9 a, 2 9 b , 2 9 c、 沿面放電によるプラズマ 3、 標的細胞 1 5、 容器 6 1も説明のために記載さ れている。
このような構造を採用することにより、 比較的低い印加電圧で比較的広い試料 面を照射することができるという利点がある。
なお、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0の構造は、 本実施の形態で説明した 構造に限定されるものではなく、 たとえば単数または複数の噴出口を備えたブラ ズマ照射領域調節部と組合せても、 本実施の形態と同様の効果が得られるのであ れば、 好適に用いることができる。
<標的細胞の細胞融合方法 >
本発明の標的細胞の細胞融合方法は、 複数の前記標的細胞が近傍に存在するこ ととなるように添加するステップと、 前記標的細胞を低温ガスブラズマの照射領 域に保持するステツプと、 前記低温ガスブラズマの照射領域を調節するステツプ と、 前記低温ガスプラズマを発生するために必要なエネルギーをガスに供給する ステップと、 前記標的細胞に前記低温ガスプラズマを照射するステップと、 を備 える、 標的細胞の細胞融合方法である。
本発明の標的細胞の細胞融合方法も、 上記の本宪明の標的細胞への選定分子の 導入方法と同様に、 他の付加的ステップを備えていることが好ましい。 他の付加 的ステップの内容については、 上記の本発明の標的細胞への選定分子の導入方法 において説明しているため、 説明を繰り返さない。
また、 本発明の標的細胞の細胞融合方法も、 上記の本発明の標的細胞への選定 分子の導入方法と同様の種類の標的細胞を用いることが好ましい。 標的細胞の種 類については、 上記の本発明の標的細胞への選定分子の導入方法において説明し ているため、 説明を繰り返さない。
さらに、 本発明の標的細胞の細胞融合方法も、 上記の本発明の標的細胞への選 定分子の導入方法と同様のプラズマ照射装置を用いることが好ましい。 プラズマ 照射装置の構造および機能については、 上記の本発明の標的細胞への選定分子の 導入方法において説明しているため、 説明を繰り返さない。
以下、 実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、 本発明はこれらに限定 されるものではない。
<実施例: L >
本実施例では動物樹立細胞株への標的分子の導入を試みた。
本実施例を行うにあたり、 まず、 図 2に示す電源 9を有するおよびガス供給部 1 3を有する、 本発明のプラズマ照射装置 1 0 0 0を作製した。 なお、 このブラ ズマ発生エネルギー供給部 5 0 1のへッド部 2 2 9およびプラズマ照射領域調節 部 5 0 3およぴ保持部 5 0 5は、 図 3に示すような構造となるように作製した。 本プラズマ照射装置は、 電極間電圧を数 k V〜十数 k Vの範囲に設定でき、 電 極間距離を 1 0〜1 5 mmの範囲に設定でき、 周波数を 2 0〜4 0 k H zの範囲 に設定でき、 パルス周期を 3 0〜9 O H zの範囲に設定でき、 D u t yを 2 5〜 1 0 0 %の範囲に設定でき、 ガスとしては空気、 窒素、 酸素、 二酸化炭素、 アル ゴンや、 ヘリウム:空気 = 1 : 1の混合ガスなどを選択でき、 低温ガスプラズマ の照射時間を約 1〜1 2 0秒間の範囲に設定できるように作製した。
本プラズマ照射装置により、 たとえば、 図 1 9および図 2 0に表示したような 分光スペク トルを有する低温ガスプラズマを発生させることができる。 なお、 図 1 9および図 2 0に表示した分光スぺクトノレは、 大塚電子製分光器 MC P D—3
000を用いて、 該分光器のプローブを低温ガスプラズマより約 3 c m離れた位 置に設置して、 測定したものである。
ここで、 図 19は、 ガス種:空気、 周波数: 23 k H z、 パルス周期: 60 H z、 Du t y : 50%の条件で低温ガスプラズマを発生させた際の測定値に基づ くグラフである。 また、 図 20は、 ガス種:ァノレゴン、 周波数: 23 kHz, パ ルス周期: 60Hz、 D t y : 50 %の条件で低温ガスプラズマを発生させた 際の測定値に基づくグラフである。
本実施例では、 上記のプラズマ照射装置を用いて、 標的細胞への選択分子の導 入を実施した。
まず、 チャイニーズハムスター肺線芽細胞 (本明細書において CHL細胞とも 記載する) を標的細胞として、 直径 6 Ommの培養プレート (c e l l c u 1 t u r e p 1 a t e) にまき、 37°C、 二酸ィヒ炭素 5 %条件下で一晩培養した。 培養細胞数は 1 we 1 1あたり 1 X 106個で培養を開始した。 標的細胞がプレ ート上によくはりついていることを確認、後、 培養プレートから培地を除去して、 細胞表面に 1 1 Omの緑色蛍光蛋白質 (本明細書において GFPとも記載する) 発現プラスミド液 (1 / gZ 1) を加え、 本プラズマ照射装置を用いてさまざ まな条件で低温ガスプラズマの照射を行った。
低温ガスプラズマの照射後、 標的細胞に直ちに培地を加えてー晚培養し、 蛍光 顕微鏡を用いて GF Pの発現を観察し、 視野あたりの発現細胞数を定量化した。 また、 FAC S F l ow c y t ome t r yを用いて、 we l l内全細胞あ たりの G F P発現細胞数を定量化した。
その結果、 いずれの条件においても細胞内に GF Pの発現が観察された。 導入 効率としては顕微鏡による目視で最大約 60%、 F A C Sによる検討で約 5〜 2 5%であった。
<実施例 2>
本実施例では、 接着性動物樹立細胞株への標的分子の導入を試みた。
まず、 標的細胞として動物樹立細胞を 6— we 1 1プレートにまき、 37°C、 二酸化炭素 5 %条件下でー晚培養した。 培養細胞数は 1 w e 1 1あたり、 C H L 細胞の場合 1 X 106個、 ヒト子宮癌由来 He 1 a細胞の場合 2. 5 X 105個、
ラットの PC 12細胞 (AT CC No. CRL— 1 721) の場合 1 X 10 6個で培養を開始した。 標的細胞がプレート上によくはりついていることを確認 後、 培養プレートから培地を除去して、 標的細胞表面に 50 μ 1の GFP発現プ ラスミド (pEGFP— C 1) 液 (1 μ g/μ 1) を加え、 実施例 1と同じプラ ズマ発生装置を用いて低温ガスプラズマの照射を行なった。
ここで、 低温ガスプラズマの照射は、 放電時の電極間電圧: 10〜14 k Vの 範囲、 電極間距離: 1 3 mm、 周波数: 23. 3 kHz, パルス周期: 60 H z、 Du t y : 50%、 ガス種:空気、 ガス流量: 38 L/m i nの条件で、 それぞ れ約 3秒間照射することにより行なった。 なお、 電極から標的細胞までの距離は 適正な条件を選択した。
次に、 低温ガスプラズマを照射後、 直ちに培地を加えて一晩培養し、 蛍光顕微 鏡を用いて標的細胞における G F Pの発現を観察し、 視野あたりの発現細胞数を 定量化した。 また、 FACS F l ow c y t ome t r y (本明細書におい て単に F ACSとも記載する) を用いて we 1 1内全細胞あたりの GF P発現細 胞数を定量化した。
その結果、 いずれの標的細胞においても細胞内に GF Pの発現が観察された。 遺伝子の導入効率としては、 CHL細胞おょぴ He 1 a細胞の場合、 顕微鏡によ る目視で最大約 70%、 FACSによる検討 (シャーレ内全細胞数当たりの潰伝 子導入効率) で約 30%であった。 また、 PC 12細胞の場合、 GFP遺伝子の 導入効率は、 50〜60%であった。 一般に、 He 1 a細胞および PC 12細胞 は既存法では導入効率が低いとされている力 本発明の方法により領域によって は、 それぞれ H e 1 a細胞では約 70 %程度、 P C 12細胞では 50〜 60 %と 高い導入効率を得ることが可能になった。
ぐ実施例 3 >
本実施例では、 浮遊性動物樹立細胞株への標的分子の導入を試みた。
まず、 標的細胞としてヒト急性リンパ芽球性白血病末梢血由来 T細胞株 J u r k a t細胞を 2. 25 X 107c e 1 1 s /m 1の濃度で含むリン酸バッファー 懸濁液を調整し、 その 25 1に等量の GFP発現プラスミド溶液 / μ 1 ) を混合後、 その混合液を新しい 6we l l p l a t eに lwe l lあたり
5 Ό μ 1入れた。
そして、 上記の混合液を we 1 1底面に薄く広げたのち、 実施例 1と同じブラ ズマ照射装置を用いて、 標的細胞に低温ガスプラズマの照射を行なった。 ここで、 低温ガスプラズマの照射は、 放電時の電極間電圧: 10〜14 kV、 電極間距 離: 13 mm, 周波数: 23. 3 kHz, ノ ルス周期: 60Hz、 Du t y : 5 0 %、 ガス種:空気、 ガス流量: 38 L/m i nの条件で、 約 1〜 3秒間照射す ることにより行なった。 なお、 電極から標的細胞までの距離は適正な条件を選択 した。
続いて、 プラズマ照射後直ちに培地を加えて 37°C、 二酸化炭素 5%の条件下' でー晚培養後、 蛍光顕微鏡を用いて標的細胞における GFPの発現を観察し、 さ らに FACS F l ow c y t ome t r yを用いて、 we 1 1内全細胞あた りの GF P発現細胞数を定量化した。
その結果、 浮遊性動物樹立細胞株においても、 蛍光顕微鏡を用いた観察により 細胞内に GFPの発現が観察された。 FACSを用いて検討した、 浮遊性動物樹 立細胞株への遺伝子の導入効率は約 25 %であった。
<実施例 4>
本実施例では、 ラット大脳皮質細胞への標的分子の導入を試みた。 - まず、 標的細胞であるラット大脳皮質細胞は、 次のように調製した。 すなわち、 妊娠ラット (W i s t e r, 1 7日 日) を麻酔後開腹して胎仔を子宮ごと L一 1 5 (G I BCO-BRL) 中に取り出し、 胎仔全脳中より大脳皮質部位を切り分 けた。 大脳皮質部に 0. 25%トリプシン溶液 4 Om 1と 1 %DNA s e溶液 8 0 1を加え、 37°Cで 20分間インキュベート後、 上清を持てて FB S 10 m 1を加え、 ピぺッティングで標的細胞をほぐした。 これをセルストレイナーに 通し、 Ne u r o b a s a 1培地 (G I BCO BRL) を 20m 1程度加えて 遠心により標的細胞を集めた。
標的細胞の濃度が 5 X 105 c e 1 1 s Zm 1になるように、 培養開始用 N e u r o b a s a 1培地 (25 Mグルタミン酸、 5 O 0 Mグノレタミン、 30 η M Na S e 03、 ペニシリン 'ストレプトマイシン含有) に懸濁し、 37°C、 二酸化炭素 5%条件下で 6 we 1 1 l a t eを用いて培養を開始した。
次いで、 標的細胞がプレート上によくはりついていることを確認後、 培養プレ ートから培地を除去して、 細胞表面に 5 0 μ 1の GF P発現プラスミド液 (1 g/μ 1 ) を加え、 実施例 1と同じプラズマ照射装置を用いて、 標的細胞に低温 ガスプラズマの照射を行なった。 ここで、 低温ガスプラズマの照射は、 放電時の 電極間電圧: 1 0〜 1 4 k V、 電極間距離: 1 3 mm、 周波数: 2 3. 3 k Hz , パルス周期: 6 0 H z、 D u t y : 5 0%、 ガス種:空気、 ガス流量: 3 8 L/ m i nの条件で、 約 1秒間照射した。
続いて、 低温ガスプラズマ照射後、 直ちに培地を加えてー晚培養し、 蛍光顕微 鏡を用いて標的細胞における G F Pの発現を観察した。
その結果、 ラット大脳皮質細胞においても、 細胞内に GF P発現細胞が観察さ れた。 導入効率は一視野あたり、 最大で約 70%であった。 既存の濃伝子導入法 ではほとんど遺伝子の導入が得られなかった動物初代培養細胞において、 本発明 の方法により安全、 簡便かつ効率的な遺伝子導入が可能になった。
<実施例 5 >
本実施例では、 ラット小脳顆粒細胞への標的分子の導入を試みた。
まず、 生後 9日日の W i s t e rラットをエーテル麻酔し脳を摘出後、 標的細 胞である小脳を切り出し髄膜を除去した。 小脳を細断後、 パパイン溶液 (D L— システィン ( S i g m a ) 2 m g、 アルブミン 5 0 m gを溶かしたリン酸緩衝液 1 0 m 1 {·こ、 ノヽノ ィ / (.w o r t h i n g t o n— b i o c h em 9 0単 混ぜて 3 7 °Cで暫く放置して活性化後、 DN a s e I (T a K a R a) を 50 μ 1加え、 使用時にはフィルター濾過滅菌した) 1 0m lを加え、 3 7°Cで約 3 0分間浸透させた。
次いで、 上記の懸濁液にゥマ血清 (H S ) 6m lを添カ卩し、 遠心して沈殿した 組織を、 血清培地 (5%P F C S、 5%HS、 含有 DME/F 1 2 ( l/l) 培 地) に懸濁させた。 この懸濁液を、 標的細胞の濃度が 2. 5 X 1 06c e 1 1 s /w e 1 1になるように、 ポリエチレンィミンコートした 6 w e 1 1 l a t eにまきつけ、 3 7 °C、 二酸化炭素 5 %条件下で一晩培養後、 l iM A r a C (S i gma) 含有血清入り高カリウム (2 6mM) 培地 (5%HS, 重炭酸力 リゥム/ 2. l g、 3 0 nM N a2S e 04 i n MEM (S i gma) ) に
培地交換し、 3 7°C、 二酸化炭素 5 °/0条件下で 5日間培養した。
続いて、 標的細胞がプレート上によくはりついていることを確認後、 培養プレ ートから培地を除去して、 標的細胞表面に 5 0 1の GF P発現プラスミド液 (1 μ g/β 1 ) を加え、 実施例 1と同じプラズマ照射装置を用いて、 標的細胞 に低温ガスプラズマを照射した。 低温ガスプラズマの照射は、 放電時の電極間電 圧: 1 0〜 1 4 kV、 電極間距離: 1 3 mm、 周波数: 2 3. 3 kH z , パルス 周期: 6 0 H z、 Du t y : 5 0%、 ガス種:空気、 ガス流量 3 8 L/m i n の条件下で、 約 1秒間照射することにより行なった。
そして、 低温ガスプラズマ照射後、 標的細胞に直ちに培地を加えて一晩培養し、 蛍光顕微鏡を用いて GF Pの発現を観察した。
その結果、. ラット小脳顆粒細胞においても、 細胞内に GF P発現細胞が観察さ れた。 導入効率は一視野あたり、 最大で約 40%であった。 既存の濃伝子導入法 ではほとんど遺伝子の導入が得られなかつた動物初代培養細胞において、 本発明 の方法により安全、 簡便かつ効率的な遺伝子導入が可能になった。
<実施例 6 >
本実施例では、 ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞 (HUVE C) への標的分子の ¾入を試みた。
まず、 正常ヒト臍帯静脈内皮細胞 T o t a 1 K i t (東洋紡績 (株) ) を用 いて標的細胞である正常ヒト臍帯静脈内皮細胞を培養した。 次いで、 正常ヒト臍 、帯静脈内皮細胞 (HUVEC) を 6— w e 1 1 p 1 a t eに 1 w e 1 1あたり 2. 5 X 1 05個まき、 3 7°C、 二酸化炭素 5%条件下で一晩培養した。
次いで、 標的細胞がプレート上によくはりついていることを確認後、 培養プレ ートから培地を除去して、 標的細胞表面に 5 0 1の GF P発現プラスミド液 (l j g/μ 1 ) を加え、 実施例 1と同じプラズマ照射装置を用いて、 標的細胞 に低温ガスプラズマの照射を行なった。 低温ガスプラズマの照射は、 放電時の電 極間電圧: 1 0〜 1 4 k V、 電極間距離: 1 3 mm, 周波数: 2 3. 3 kH z , パルス周期: 6 0 H z、 D u t y : 5 0%、 ガス種:空気、 ガス流量: 3 8 LZ m i nの条件で、 約 1〜 3秒間照射することにより行なつた。
続いて、 低温ガスプラズマの照射後、 標的細胞に直ちに培地を加えて一晩培養
し、 蛍光顕微鏡を用いて GFPの発見を観察した。
その結果、 ヒ ト臍帯静脈由来血管内皮細胞においても、 細胞内に GFP発現細 胞が観察された。 導入効率は一視野あたり、 最大で約 50%であった。 既存の濃 伝子導入法ではほとんど遺伝子の導入が得られなかつた動物初代培養細胞におい て、 本発明の方法により安全、 簡便かつ効率的な遺伝子導入が可能になった。 く実施例 7 >
ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞 (HUVEC) への標的分子の導入を試みた。 本実施例では、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により遺伝子を導入 された標的細胞がその細胞としての機能を維持しているか否かを検討するため、 GF P遺伝子が導入された P C 12細胞について交感神経系への分化能が維持さ れているか否かについて検討した。
まず、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法を用いて、 実施例 1と同様に して GFP遺伝子を導入した PC 1 2細胞の培養液に、 NGFの濃度が 100η g/m 1になるように NGFを添加して 6日間培養を行なった後、 蛍光顕微鏡に て細胞内に GFPの発現が確認されている PC 1 2細胞の形態を観察して、 交感 神経様細胞への分化能を検討した。
その結果、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により GF P遺伝子の導 入された PC 12細胞は、 NGF添加 6日後においても GF Pを発現し、 かつ細 胞の形態観察から確かに神経突起の伸展が行われていることが認められた。 この ことにより、 低温ガスプラズマの照射による標的細胞への遺伝子の導入方法は、 PC 12細胞が本来持っている NGFに対する交感神経様細胞への分化能という 性質を変えていないことが確認された。
<実施例 8>
本実施例では、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により導入された遺 伝子が標的細胞内でその機能を発揮できるか否かについて検討するために、 PC 1 2細胞へ導入された C R E Bが同じく導入された P K A遺伝子により活性化さ れるか否かをレポータージーンアツセィを用!/、て検討した。
まず、 標的細胞であるラット p h e o c h r orao c y t oma PC I 2細 胞 (ATCC No. CRL— 1 721) をコラーゲン; I Vでコートした 6— w
e l l p l a t eに 1 w e 1 1あたり 1 X 1 O5個まき、 37°C、 二酸化炭 素 5 %条件下で一晩培養した。
次に、 標的細胞がプレートによくはりついていることを I®忍した後、 培養プレ ートから培地を除去して標的細胞表面に、 PKA遺伝子 (pFC— PKA) (1 μ g/μ 1) と活性化 CREBの応答配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子が連結 されている CREBレポ ター遺伝子 (D CRE— Lu c) (1 μ g/μ 1) お よび内部標準としてゥミシィタケのルシフェラーゼ遺伝子 (pRL— SV40) をそれぞれ 1,ιχ 1ずつ混合した混合液を用い、 実施例 2と同様にして、 本発明 の標的細胞への選定分子の導入方法によって共導入した PC 12細胞の導入 1日 後における ンフェラーゼ活性を検討した。
その結果、 コントロールベクターを導入した標的細胞に比較して、 ΡΚΑ遺伝 子を導入した標的細胞は、 有意にルシフェラーゼ活性の上昇、 すなわち CREB の転写活性の上昇が認められた。 このことにより低温ガスプラズマの照射による 標的細胞への遺伝子の導入法において、 樹立培養細胞である PC 12細胞におい て、 導入された遺伝子がその機能を発現することが確認された。
<実施例 9>
本実施例では、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により導入された遺 伝子が標的細胞内でその機能を発揮できるか否かについて検討するために、 ラッ ト小脳顆粒細胞へ導入された CREBが同じく導入された PK A遺伝子により活 性化されるか否かを、 実施例 8と同様にして、 レポータージーンアツセィを用い て検討した。
まず、 実施例 5と同様にして樹立した、 標的細胞であるラット小脳頻粒細胞が プレートによくはりついていることを確認した後、 培養プレートから培地を除去 して標的細胞表面に、 PKA遺伝子 (pFC— PKA) (l /z g/μ ΐ) と活性 化 C R E Bの応答配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子が連結されている C R E B レポーター遺伝子 (pCRE— Lu c) (1 μ g/μ 1) および内部標準として ゥミシィタケのルシフェラーゼ遺伝子 (pRL— SV40) をそれぞれ 17 i l ずつ混合した混合液を用い、 実施例 2と同様にして、 本発明の標的細胞への選定 分子の導入方法によつて共導入した P C 12細胞の導入 1日後におけるルシフエ
ラーゼ活性を検討した。
その結果、 コントロールベクタ一を導入した標的細胞に比較して、 PKA遺伝 子を導入した標的細胞は、 有意にルシフェラーゼ活性の上昇、 すなわち CREB の転写活性の上昇が認められた。 このことにより低温ガスプラズマの照射による 標的細胞への遺伝子の導入法において、 樹立培養細胞であるラット小脳頻粒細胞 においても、 導入された遺伝子がその機能を発現することが確認された。
すなわち、 本発明の低温ガスプラズマを用いた標的細胞への選.定分子の導入方 法は、 P KA遺伝子による標的細胞の C R E Bシグナル伝達経路に異常を与えて いないことが確認された。
このように、 本発明の低温ガスプラズマを用いた標的細胞への選定分子の導入 方法を用いることにより、 従来法では濃伝子導入が困難であった初代神経細胞を 標的細胞として用いても、 遺伝子を導入することができ、 かつ該遺伝子の機能を 発現させることができ、'また該遺伝子を用いて簡単にレポータージーンアツセィ を行なえることが明らかとなつた。
ぐ実施例 10 >
本実施例では、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により導入された遺 伝子が標的細胞内でその機能を発揮できるか否かについて検討するために、 ラッ ト小脳顆粒細胞へ導入された BAD遺伝子がラット小脳顆粒細胞のアポトーシス を誘導するか否かを検討した。
まず、 標的細胞であるラット小脳顆粒細胞を実施例 5と同様にして調製し、 A r a C添加後 5日目の標的細胞について、 培地を抜取った後、 1 w e 1 1あたり アポトーシス誘導遺伝子である BAD遺伝子 (p c DNA 3. 1/G S-BA Ό) ( 1 β g/ 5 0 μ I ) 5 0 μ 1を添加して実施例 2と同一の条件で、 標 的細胞に低温ガスプラズマの照射を行なつた。
その後、 直ちに標的細胞に培地を添加し、 3 7 °C、 二酸化炭素 5 %条件下で一 晚培養後、 C a s p AS E F I TC— VAD— FMK i n s i t u Ma r k e r (P r ome g a) を用いて、 標的細胞の C a s p a s e活性を測定す ることにより、 標的細胞においてアポトーシスが誘導されているか否かについて 検討した。
その結果、 コントロールべクタ一のみを導入した細胞に比べ、 BAD遺伝子が 導入された細胞では、 有意に Ca s a s e活性を有する、 つまり、 アポトーシ スが誘導されている細胞が検出された。
また、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により BAD遺伝子を導入さ れた細胞が確かにアポトーシスを誘導されていることを確認するために、 APO -D I RECT (Ph a rm i n g e n) を用いて D N A断片化も合わせて検討 した。
その結果、 コントロールべクタ一のみを導入した細胞に比べ、 BAD遺伝子が 導入された細胞では、 有意に DNA断片化を起こしている細胞が検出された。 これらの結果、 本宪明の標的細胞への選定分子の導入方法によって細胞に導入 された BAD遺伝子は、 ラット小脳顆粒細胞において有意にアポトーシスを誘導 し、 該 BAD遺伝子としての機能を発揮することが確認された。 以上のことから、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により初代培養細胞に導入された遺伝 子は、 該初代培養細胞において確かにその機能を発揮することが確認された。 く実施例 1 1 >
本実施例では、 チャイニーズハムスター肺由来細胞 (CHL細胞) 、 ヒト子宫 癌由来 H e 1 a紬月包、 およぴラット; h e o c h r omo c y t oma PC I 2細胞を用レ、た細胞融合について検討した。
まず、 実施例 2と同様にして GFP遺伝子を導入した CHL細胞、 および He 1 a細胞について、 蛍光顕微鏡を用いて融合細胞の検出を行なった。 またディ フ 'クイック (国際試薬 (株) ) を用いて核を染色し、 融合細胞の様子を顕微鏡 にて観察した。 標的細胞の核の染色は次のように行なった。
すなわち、 低温ガスプラズマを照射して培養 1日後の標的細胞について、 細胞 培養液を吸取って除去し、 リン酸緩衝液でシャーレに接着している標的細胞を洗 浄後、 1 w e 1 1当たりメタノール (和光純薬工業 (株) ) を約 5 m 1加え、 室 温にて 5分間固定した。 その後、 染色液 Iを 1 we 1 1当たり約 2m l添加後、 すぐ吸取って除去し、 続いて染色液 I Iを約 2ml添加後、 またすぐ吸取って除 去した。 イオン交換水で上記の接着細胞を数回洗浄後、 顕微鏡にて標的細胞を観 察した。
本発明の標的細胞への選定分子の導入方法により GF P遺伝子を導入された C HL細胞、 および He 1 a細胞の中には、 細胞同士が融合して大きくなつた細胞 が観察された。 また、 低温ガスプラズマを照射されたそれぞれの標的細胞の核を 染色したところ、 標的細胞とともに核も融合しているもの、 また標的細胞が融合 して多核になっているものが観察された。
また、 標的細胞数を 6— we l l p l a t eの lwe l lあたり 5 X 106 個とやや多めにまいた条件で、 実施例 1と同様にして GFP遺伝子を導入したラ ットの p h e o c h r omo c y t oma P C 12細胞について、 実施列 7と 同様にして NGFを添加して、 細胞融合した PC 12細胞の分化能を検討した。 その結果、 PC 1 2細胞の融合細胞についても、 NGF添加 6日後において G
FPを発現し、 かつ確かに神経突起の伸展が行われていることが認められた。 こ のことにより、 低温ガスプラズマの照射により形成された融合細胞も、 P C 12 細胞が本来持っている N G Fに対する交感神経様細胞への分化能という性質を変 えていないことが示唆された。
<実施例 12>
本実施例では、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法を利用することによ り、 リボソーム法では遺伝子が導入されにくい条件における、 標的細胞への遺伝 子の導入が可能となるか否かについて検討した。
ここで、 リボソーム法は、 リボソーム試薬と導入されるプラスミドベクターと の混合により適切なサイズの混合粒子を作製し、 標的細胞に取込ませる方法であ る。 そのため、 標的細胞に取り込まれる適正なサイズおょぴ数量の粒子を作製す る必要がある。
本実施例では、 適正化された条件より濃い濃度のプラスミドおよびリボソーム 試薬を用いて、 標的細胞への遺伝子導入効率が改善されるか否かを GF P遺伝子 を用いて次のように検討した。
すなわち、 あらかじめ GFP発現用プラスミド l O O gと L i p o f e c t i n 2000 (G I BCO-BRL) 100 μ 1を混合し、 室温で 15分間設 置して、 プラスミド /L i p o f e c t i n c o n j u g a t eを作製した。 前日から 6— we l l l a t eにて培養していた C H L細胞の培養上清を抜
取り、 プラスミド /L i p o f e c t i n c o n j u g a t eを 200μ 1添 加した。
次いで、 上記の混合液に、 実施例 1と同じプラズマ照射装置にて、 周波数: 2 3. 3 kHz, パルス周期: 60 H z、 Du t y : 50%、 ガス種:空気、 ガス 流量: 38 L/m i nの条件で低温ガスプラズマを照射後、 直ちに標的細胞に培 地を加えて 37°C、 二酸化炭素 5 %条件下で培養した。
続いて、 1日培養後、 蛍光顕微鏡、 および FACSを用いて GF Pを発現して レ、る標的細胞を検出した。
その結果、 上記の条件下においても、 リボソーム法単独でわずかに GF P遺伝 子の導入された標的細胞が検出された。 し力 し、 本発明の標的細胞への選定分子 の導入方法をリボソーム法と組合わせたものは、 リポソーム法単独の場合に比べ、 低温ガスプラズマが照射された領域において、 GF P遺伝子の導入された標的細 胞数が増加していた。
また、 we 1 1中の総細胞数に対する遺伝子導入された標的細胞数の割合を F ACSを用いて検討したところ、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法をリ ポソーム法と組合わせたものは、 リボソーム法単独の場合に比べ、 約 1. 6倍の 遺伝子導入効率の増加が見られた。
従って、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法は、 他の遺伝子導入法と組 合わせることにより、 あるいはリボソームをはじめとする、 プラスミドベクター に標的細胞内への移動を促す担体などを結合させることにより、 これまで遺伝子 の導入効率の悪かった条件下においても、 あるいはこれまで遺伝子の導入が困難 であった種類の標的細胞においても、 遺伝子の導入効率の改善が見込まれること が期待される。
く実施例 13 >
本実施例では、 マウス個体への色素分子の導入を試みた。
まず、 麻酔下のヌードマウス (8週齢、 メス、 日本チヤ一ルス ' リバ一
(株) ) の腹部一面に薄く Ev a n s b l u e (l Omg/ml生理食塩水溶 液) を塗付した。
次いで、 実施例 1と同じプラズマ照射装置を用いて、 放電時の電極間電圧: 1
0〜 1 4 k V、 電極間距離: 1 3 mm, 周波数: 2 3. 3 kH z , パルス周期: 6 0H z , Du t y : 5 0%、 ガス種:空気、 ガス流量: 3 8 L/m i nの条件 で、 低温ガスプラズマを 2. 5秒間ヌードマウスの腹部に照射した。 このとき、 電極からヌードマウスの腹部までの距離は、 遠い箇所で約 24mm、 近い箇所で 約 1 8 mmとなるようにした。
続いて、 そのまま 3分程度放置後、 ヌードマウスの腹部の E v a n s b 1 u eを塗布した場所を水を含んだ脱脂綿で拭取り、 続いて 70%エタノールを含ん だ脱脂綿できれいに拭取り、 皮膚への色素の沈着を観察した。 そして、 低温ガス プラズマのみを照射したヌードマウスの腹部、 および E V a n s b 1 u eを塗 布したが低温ガスプラズマを照射しなかったヌードマウスの腹部と、 それぞれ目 視の観察により比較した。
その結果、 低温ガスプラズマを照射しただけのヌードマウスの腹部、 および E v a n s b l u eを塗布したが低温ガスプラズマを照射しなかったヌードマウ スの腹部においては、 いずれも皮膚に色素の沈着は見られなかった。 それに対し て、 E v a n s b l u eを塗布して低温ガスプラズマを照射したヌードマウス の腹部は、 腹部のプラズマ照射領域に青色の斑点がいくつか確認された。 また、 低温ガスプラズマの照射から約 24時間後においてもその斑点は観察された。
<実施例 1 4 >
本実施例では、 回転台の利用によるプラズマ照射領域の調節を試みた。
まず、 標的細胞としてチャイニーズハムスター肺繊維芽細胞 (CHL細胞) を 直径 6 0 mmの c e l l c u l t u r e p l a t eにまき、 3 7°C、 5%C 02条件下で一晩培養した。 培養細胞数は 1 we 1 1あたり 1 X 1 06個で培養を 開始した。 標的細胞がプレート上によくはりついていることを確認後、 培養プレ ートから培地を除去して、 標的細胞表面に 1 1 0 μ 1の GF P発現プラスミド液 ( 1 μ g/μ 1 ) を力 Bえた。
次いで、 実施例 1と同じプラズマ照射装置を用いて、 放電時の電極間電圧: 1 0〜 1 4 k V、 電極間距離: 1 3 mm, 周波数: 2 3. 3 kH z, パルス周期: 6 0 H z、 D u t y : 5 0%、 ガス種:空気、 ガス流量: 3 8 L/m i nの条件 で、 低温ガスプラズマを 3秒間標的細胞に照射した。 その際、 標的細胞を 2つの
試料に分け、 一方の試料は、 p l a t eを回転数 1. 6回転 Z秒で回転させた回 転台 (ターンテーブル) の上に載せて、 p l a t e全体に満遍なく照射した。 も う一方の試料は、 p l a t eを所定の位置に固定した状態で照射した。
照射後直ちに標的細胞に培地を加えてー晚培養し、 翌日 FAC S F l o w c y t om e t r yを用いて!) 1 a t e内全細胞あたりの G F P蛋白質発現率を 測定した。
その結果、 標的細胞への選定分子の導入効率は、 回転台を使用しなかった試料 では 1 4〜 1 8 %であつたのに対し、 回転台を使用した試料では 3 0〜 3 7 %で めった。
く実施例 1 5 >
本実施例では、 遮蔽板の利用によるブラズマ照射領域の調節を試みた。
まず、 標的細胞としてチャイニーズハムスター肺繊維芽細胞 (CHL細胞) を 直径 6 0 mmの c e l l c u l t u r e p l a t eにまき、 3 7°C、 5 %C 02条件下でー晚培養した。 培養細胞数は 1 w e 1 1あたり 1 X 1 06個で培養を 開始した。 標的細胞がプレート上によくはりついていることを確認後、 培養プレ ートから培地を除去して、 標的細胞表面に 1 1 0 μ 1の GF P発現プラスミド液 (1 μ g/μ 1 ) を加えた。 なお、 この標的細胞は、 後述する低温ガスプラズマ の照射のため、 2つの試料に分けちれた。
次いで、 実施例 1と同じプラズマ照射装置の低温ガスプラズマの噴出口 (幅 3 8 mm) の両端に、 ガラス製の遮蔽板を取付け、 噴出口の幅を 2 2. 5mmにし た。 そして、 放電時の電極間電圧: 1 0〜 1 4 k V、 電極間距離 1 3 mm, 周 波数: 2 3. 3 kH z , パノレス周期: 6 0 H z、 D u t y : 5 0%、 ガス種:空 気、 ガス流量: 3 8 L/m i nの条件で、 低温ガスプラズマを 3秒間標的細胞に 照射した。 その際、 標的細胞を回転台 (ターンテーブル) に載せ、 回転数 1. 6 回転 Z秒で回転させながら P 1 a t e全体に満遍なく照射した。 一方で、 遮蔽板 の効果を検証するため、 遮蔽板を外した状態で別の試料に同じ条件で低温ガスプ ラズマを照射した。
照射後直ちに標的細胞に培地を加えてー晚培養し、 翌 FAC S F l o w c y t ome t r yを用いて p 1 a t e内全細胞あたりの G F P蛋白質発現率お
よび標的細胞死滅率を測定した。
その結果、 標的細胞への選定分子の導入効率は、 遮蔽板を使用しなかった試料 では G F P発現率は 36〜 43 %、 標的細胞死滅率は 10〜 13 %であったのに 対し、 遮蔽板を使用した試料では G F P発現率は 54〜 58 %、 標的細胞死滅率 は 3〜4%であった。
く実施例 16>
本実施例では、 試料回転法と組合せての形状違い電和 Ϊの利用を試みた。
具体的には、 形状違い電極の使用による照射均一化効果を確認するため、 以下 の実験を行った。
まず、 標的細胞として、 チヤィユーズハムスター肺線維芽細胞 CHL細胞を直 径 6 Ommの c e l l c u l t u r e l a t e (シャーレ) にまき、 3 7°C、 5%C02条件下でー晚培養した。 この際、 培養細胞数は 1シャーレあた り 4 X 105個で培養を開始した。 そして、 細胞がプレート上によくはりついて いることを確認後、 培養プレートから培地を除去して、 細胞表面に 1 1 1の GFP発現プラスミ ド液 (1 μ g/μ 1 ) を加えた。
プラズマ照射装置による照射では、 図 21に示すように、 一つの試料は図 27 および図 28に示される形状違い (くの字形, カープ形) の電極を用い、 プラズ マがシャーレの半径部分にあたる位置で、 くの字形の電極が回転の外周側になる ように設置した。 他の二つの試料は、 図 31および図 32に示すように、 カーブ 形またはくの字形の同形状の電極を用いた。
ここで、 図 21の電極 5 bの拡大図であるくの字形電極の形状 271を図 27 として示す。 また、 図 21の電極 5 aの拡大図であるカーブ形電極の形状 28 1 を図 28として示す。
ここで、 水平方向にプラズマ強度が均一なプラズマをシャーレの半径部分にあ てた場合、 その状態でシャーレを回転させると中央部ほどプラズマ照射強度が強 くなる傾向がある。 そこで、 上記の形状違いの電極を用いた場合には、 電極形状 を不均等にして水平方向のプラズマ強度に差を生じさせた。 このようにした場合、 くの字形電極では電極上のプラズマ放電位置が固定されるのに対し、 カーブ形電 極ではプラズマ放電位置が広がる傾向がある。 したがって固定されたくの字形電
極の側ほどプラズマ強度が強くなる傾向があるため、 上記の形状違いの電極と回 転法とを組合せることにより、 結果としてシヤーレ全体に均一に照射することが できる。 これに対して、 同形状電極を用いた場合には、 シャーレ内の照射ムラの ため、 シャーレ全体での導入率も比較的低くなり、 標的細胞の死滅も比較的多く なる。
次いで、 試料を電極一試料底距離 2 2 mmの位置に設置して回転数約 1回転/ 秒で回転させながら、 周波数 2 0 k H z、 パルス周期 6 0 H z、 D u t y 5 0 %、 ガスとして空気を用い、 ガス流量 9 0 L/m i nの条件でプラズマを発生させて 3秒間試料にプラズマを照射した。 照射後直ちに培地を加えてー晚培養した。 翌曰 F A C S F l o w c y t o m e t r yを用いてシャーレ内全細胞あた りの G F P蛋白発現率を測定した。 その結果、 導入効率は、 形状違い (くの字形, カープ形) を使用した試料では 4 3〜 5 8 %であったのに対し、 カープ形の同形 状電極を使用した試料では 3 8〜 4 7 %、 くの字形の同形状電極を使用した試料 では 2 7〜 3 4 %と、 形状違い電極を用いることによるシヤーレ全体での遺伝子 導入率の向上が認められた。
一方、 同じ条件でプラズマ照射した試料につき、 ディフ 'クイック (国際試薬 株式会社) を用いて核を染色して接着細胞を可視化し、 照射の均一性を評価した。 染色は次の手順で実施した。 ブララズマ照射後一晚培養した試料から培養液を 吸取って除去し、 リン酸緩衝液でシャーレに接着している細胞を洗浄後、 1シャ ーレ当たり 2〜5 m Lの固定液を加えて細胞を固定した。 その後、 染色液 Iを 1 シャーレ当たり 2〜5 m L添加して 5分程度放置後、 液を吸い取って除去した。 続いて染色液 I Iを 1シャーレ当たり 2 ~ 5 m L添カ卩して 5分程度放置後、 液を 吸取って除去した。 イオン交換水で接着細胞を数回洗浄し、 風乾後目視にて観察 した。 プラズマ照射がシャーレ内で均一な場合には、 接着細胞がシャーレ全体残 るために全体が染色される。 一方プラズマ照射がシャーレ内で不均一な場合には、 照射強度の強すぎる箇所が生じてその箇所で細胞が死滅してはがれてしまうため、 染色されない。 したがって、 シャーレ内に染色されない箇所が認められる。
観察の結果、 図 2 9の写真および図 3 0の模式図に示す通り、 電極形状違いの 試料では均一に染色が認められたが、 同形状電極を用いた試料ではいずれの場合
も、 特に中央部に染色されない箇所が認められた。 すなわち形状違い電極の利用 によりシャーレ全体への照射を均一化して細胞死滅箇所を少なくできることが確 認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的な ものではないと考えられるべきである。 本発明の範囲は上記した説明ではなくて 特許請求の範囲によって示され、 特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での すべての変更が含まれることが意図される。 産業上の利用可能性
上記の結果より、 本発明の標的細胞への選定分子の導入方法は、 標的細胞に低 温ガスプラズマを照射することにより、 多種多様な選定分子を多種多様な標的細 胞に高効率に導入することができ、 かつ H T S化が可能な標的細胞への選定分子 の導入方法であることがわかる。
また、 本発明の標的細胞の細胞融合方法を用いて、 複数の標的細胞に低温ガス プラズマを照射することにより、 標的細胞同士の細胞融合も行うことができる。 さらに、 本発明の標的細胞への選定分子および本発明の標的細胞の細胞融合方 法は、 従来のエレクト口ポレーシヨン法のように、 1つ 1つの試料に対し電極を 用いて電界をかける様な煩雑な操作の必要もなく、 また遺伝子銃のような大がか りな装置も必要としない。 そのため、 本発明の標的細胞への選定分子および本発 明の標的細胞の細胞融合方法は、 従来法に比べて非常に簡便、 高効率かつ H T S 化が可能な方法である。
また、 本発明のプラズマ照射装置は、 低温ガスプラズマの照射領域を調節する プラズマ照射領域調節部を備えているため、 必要な照射領域の標的細胞に対して、 必要な強度の低温ガスプラズマを照射することができる。 それゆえ、 本発明のプ ラズマ照射装置は、 本発明の標的細胞への選定分子および本発明の標的細胞の細 胞融合方法に好適に用いられる高効率かつ H T Sに適した装置である。