JP6117482B2 - 選定分子導入装置 - Google Patents

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本発明は、標的細胞への核酸、蛋白質、低分子化合物などの選定分子の導入方法、および、それに用いる選定分子導入装置に関する。
近年、ヒトゲノムおよびマウスゲノムの解読がなされ、医学、薬学などの分野において、分子生物学関連の研究開発や医薬品開発を行なう際に、DNA、RNAなどのポリヌクレオチドまたはその誘導体、シグナル伝達蛋白質や転写調節因子などの蛋白質やその誘導体などの高分子化合物、低分子生理活性物質、薬剤候袖品などの分子を標的細胞内に導入し、標的細胞内での遺伝子の機能や生理活性分子の生理的な活性を試験する必要が増している。
現在のところ、標的細胞への選定分子の導入方法としては、エレクトロポレーション法、ジーンガン法、リポソーム法、細胞融合法、ウイルスベクター法などの方法が用いられているが、必ずしも十分に選定分子を細胞内に導入できるものではないという問題がある。
たとえば、エレクトロポレーション法やジーンガン法においては、多くの種類の標的細胞に応用できるが、操作が煩雑であり、ハイスループットスクリーニング化(本明細書において、HTS化とも記載する)することが難しいという問題がある。また、リポソーム法や細胞融合法においては、応用できる標的細胞の種類が限定されるといった問題がある。さらに、ウイルスベクター法においては、ベクターの構築に非常に多くの時間と労力とコストを要し、選定分子を導入された細胞に癌化などの異常が起こるなどの問題があり、いずれの方法においても細胞への障害性が高く、細胞の変性や死亡率が高い。
そして、いずれの方法も高価であるため、仮にHTS化できたとしても、その方法のランニングコストが非常に高価なものとなるか、あるいは、その方法に用いる装置が非常に高価なものとなるという問題がある。また、いずれの方法においても、すべての標的細胞への選定分子の導入効率が必ずしも十分に満足できる水準ではないという問題もある。
しかし、ヒトゲノムおよびマウスゲノムの解読がほぼ完了し、機能未知な遺伝子の機能解析が急務となっている昨今の社会情勢の中で、HTS化された標的細胞への選定分子の導入方法が必要不可欠な技術として、医薬品業界をはじめとする産業界からその開発を強く求められる状況となっている。
ここで、標的細胞への選定分子の導入方法をHTS化するためには、標的細胞への選定分子の導入効率を高めることが必要である。また、標的細胞への選定分子の導入方法を用いてさまざまな遺伝子の機能解析を可能にするためには、特定の限られた種類の標的細胞への遺伝子の導入が可能であるだけではなく、さまざまな種類の標的細胞への高効率な遺伝子の導入が可能である、標的細胞への選定分子の導入方法の開発が必要である。
しかし、産業界からの強い要望にも関わらず、多種類の標的細胞への障害を伴わず高効率な選定分子の導入が可能である、標的細胞への選定分子の導入方法は、未だ公知のものとはなっていないのが現状である。
近年、分子生物学関連の研究開発や医薬品開発を行なう際に、同種のまたは異種の標的細胞を融合させることにより、さまざまな標的細胞の機能を試験する必要も同様に増しつつある。
現在のところ、標的細胞への選定分子の導入方法としては、不活性化したセンダイウイルス、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルスなどを用いる方法、リゾレシチン、グリセロールオレイン酸エステル、ポリエチレングジコール(PEG)などを用いる方法、エレクトロポレーション法などの方法が用いられているが、必ずしも十分に選定分子を導入することができるものではないという問題がある。
たとえば、エレクトロポレーション法においては、特に細胞への障害性が高く、細胞の変性や死亡率が高く、また、多くの種類の標的細胞に応用できるが、操作が煩雑であり、HTS化することが難しいという問題がある。また、不活性化したウイルスを用いる方法においては、応用できる標的細胞の種類が限定されるといった問題がある。
さらに、いずれの方法も高価であるため、仮にHTS化できたとしても、その方法のランニングコストが非常に高価なものとなるか、あるいは、その方法に用いる装置が非常に高価なものとなるという問題がある。また、いずれの方法においても、標的細胞への選定分子の導入効率は必ずしも十分に満足できる水準ではなかった。
ここで、標的細胞の細胞融合方法をHTSイヒするためには、標的細胞への選定分子の導入効率を高めることが必要である。また、標的細胞への選定分子の導入方法を用いてさまざまな標的細胞の機能解析を可能にするためには、特定の限られた種類の標的細胞への選定分子の導入が可能であるだけではなく、さまざまな種類の標的細胞への選定分子の導入が可能である、標的細胞への選定分子の導入方法の開発が必要である。
かかる状況において、国際公開第2002/064767号(特許文献1)、国際公開第2004/015101号(特許文献2)には、細胞や選定分子を低温ガスプラズマで処理することにより細胞の近傍に存在する選定分子を細胞内に導入する方法、および、細胞を低温ガスプラズマで処理することにより細胞を融合する方法が開示されている。しかし、かかる方法は低温ガスプラズマの発生装置が必要であり、ガスを吹きつけるために細胞が乾燥し死滅してしまう場合もあるため、必ずしも十分なものとはいえず、革新的な新手法が必要な状況にあった。
国際公開第2002/064767号 国際公開第2004/015101号
本発明は、従来より、さらに効率的に選定分子を導入することができ、かつ、標的細胞に与える障害が少ない標的細胞への選定分子の導入方法、および、それに用いる選定分子導入装置を提供することを目的とする。
本発明は、標的細胞または標的組織への選定分子の導入方法であって、
第1の液体を、電圧を印加した電極の内部または外表面を通過させることにより、前記第1の液体に電界を作用させながら、容器に移送する移送ステップを含み、
前記第1の液体は、前記選定分子を含む液体である導入液、前記標的細胞または標的組織、および、培養液からなる群から選択される少なくとも1つを含み、
前記移送ステップの前または後に、前記選定分子と、前記標的細胞または標的組織とを接触させる、選定分子の導入方法である。
前記第1の液体は、前記標的細胞または標的組織および/または前記導入液を含むことが好ましい。また、前記第1の液体は、前記標的細胞または標的組織を含むことがより好ましい。
前記第1の液体は、前記標的細胞または標的組織および前記導入液を含み、
前記移送ステップの前に、前記選定分子と、前記標的細胞または標的組織とを接触させることがさらに好ましい。
前記第1の液体が前記容器に移送される前に、前記容器には第2の液体が収容されており、
前記第2の液体は、前記選定分子を含む液体である導入液、前記標的細胞または標的組容器織、および、培養液のうち前記第1の液体に含まれるものを除く群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記電極は、前記第1の溶液を収容するバレルに接続され、前記容器とは離間して設置されていることが好ましい。
また、本発明は、上記の導入方法に用いられる選定分子導入装置であって、
前記第1の液体を移送するための移送機構と、
移送された前記第1の液体を収容するための容器と、
前記電極に電圧を印加するための電圧印加機構とを備える、選定分子導入装置にも関する。
前記電圧印加機構は、前記電極と、前記容器の前記電極とは反対側に設けられた対向電極と、前記電極および前記対向電極に接続された直流または交流の電源とを備えることが好ましい。
本発明によれば、標的細胞や選定分子が、電極に生じる電界の作用を受けることにより、従来よりも効率的に選定分子を導入することができ、かつ、標的細胞に与える障害が少なく、本来持つ標的細胞の機能を失わせることなく、導入後の標的細胞の生存率も高く維持することのできる標的細胞への選定分子の導入方法、および、それに用いる選定分子導入装置が提供される。
これにより、HTS化が可能である。また、さまざまな種類の標的細胞へのさまざまな種類の選定分子の高効率な導入が可能である。
本発明の選定分子導入装置の一例の概要を示す模式図である。 実施例における導入率の比較を示すグラフである。
<標的細胞または標的組織内への選定分子の導入方法>
本発明の標的細胞または標的組織への選定分子の導入方法は、第1の液体を、電圧を印加した電極の内部または外表面を通過させることにより、前記第1の液体に電界を作用させながら、容器に移送する移送ステップを含むことを特徴とする。前記第1の液体は、前記選定分子を含む液体である導入液、前記標的細胞または標的組織、および、培養液からなる群から選択される少なくとも1つを含む。本方法では、前記移送ステップの前または後に、前記選定分子と、前記標的細胞または標的組織とを接触させる。
(標的細胞)
本発明の選定分子の導入方法において用いる標的細胞とは、選定分子を導入する標的となる細胞のことを示し、特に特定の種類の細胞に限定されるものではない。このような標的細胞の具体例としては、ヒトを含む動物細胞、ヒト以外の動物個体、ヒトの個体から採取された細胞、ヒトの個体内の細胞、ヒトの個体、植物細胞、微生物細胞などが挙げられる。これらの標的細胞は、単一の種類を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
なお、上記のヒトの個体から採取された細胞には、医薬品の研究開発などに用いられるヒトの個体に戻すことを前提としない細胞と、再生医療などに用いられるヒトの個体に戻すことを前提とする細胞とが含まれる。また、上記のヒトの個体から採取された細胞には、ヒトの個体から採取された細胞から培養された細胞も含まれる。
さらに、上記のヒト以外の動物細胞および植物細胞には、個体内に存在する細胞と、組織内に存在する細胞と、個体や組織から採取された細胞と、個体や組織から採取された細胞から培養された細胞とが含まれる。
ここで、上記とは別の側面から捉えれば、本発明に用いる標的細胞には、大腸菌、放線菌、枯草菌などの原核細胞や、酵母、ヒト以外の動物細胞、ヒトの個体から採取された細胞、ヒトの個体に含まれる細胞、植物細胞などの真核細胞が含まれる。
さらに、本発明に用いる標的細胞には、赤血球ゴーストやリポソームなどの脂質二重膜構造をもつものも含まれる。
また、本発明に用いる標的細胞は、特に処理を施されていないものであってもよいが、選定分子の導入効率を向上するためには、遺伝子導入の際に一般的に用いられる、コンピータント細胞としての処理を施されたものであってもよい。具体例としては、塩化カルシウムで処理され、細胞膜の構造が変化してDNA分子を透析しやすくなった大腸菌のコンピータント細胞などが挙げられる。
なお、本発明においては、複数の標的細胞に同時に選定分子の導入を行うこともできる。この場合、複数の標的細胞は、同種の細胞であってもよく、異種の細胞であってもよい。また、この標的細胞は、ヒト以外の動物細胞、ヒト以外の動物個体、ヒトの個体から採取された細胞、ヒトの個体内の細胞、ヒトの個体、植物細胞、微生物細胞からなる群より選ばれる1種以上であることが望ましい。
標的細胞は予め前培養されることが好ましい。標的細胞の前培養の方法は、特に限定されないが、プレートなどの細胞培養容器上で培養した培養接着細胞や、培養液中に懸濁した状態で標的細胞を培養する方法が挙げられる。前培養に用いる培地は、標的細胞を培養することのできる組成の培地であれば特に限定されるものではないが、たとえば寒天培地をはじめとする固体培地や試験管やフラスコ内の液体培地などが挙げられる。
次に、前培養された標的細胞、たとえば、プレートなどの細胞培養容器上で培養した培養接着細胞や、培養液中に懸濁している標的細胞を遠心分離または濾過などの操作により分離して、培養液を除去する。得られた標的細胞に必要に応じて水等を添加して使用する。なお、標的細胞の代わりに標的組織を用いる場合は、例えば、切除してきた組織切片あるいは直接組織上に選定分子を含む微量の水溶液を添加する。
(標的組織)
一方、本発明に用いられる標的組織とは、選定分子を導入する標的となる組織のことを示し、特に特定の種類の組織に限定されるものではない。このような標的組織の具体例としては、移植に用いられるドナーからの臓器、再生医療の方法を用いて再構成された皮膚や歯根などの組織、カルス培養で構築された植物に分化前の組織、などが挙げられる。これらの標的組織は、単一の種類を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
(選定分子)
本発明の標的細胞または標的組織内への選定分子の導入方法において用いる選定分子とは、標的細胞または標的組織に導入するために選定した分子のことを示し、特に特定の種類の分子に限定されるものではない。このような選定分子の具体例としては、DNA、RNAなどのポリヌクレオチドまたはその誘導体、シグナル伝達蛋白質や転写調節因子などの蛋白質やペプチドとその誘導体などの高分子化合物があげられる。
また、上記のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの誘導体には、ベクター、アンチセンスポリヌクレオチド、デコイポリヌクレオチド、リボザイム、RNAi、siRNAなどが含まれる。ポリヌクレオチドの分子量は特に限定されない。
さらに、上記の蛋白質分子、蛋白質分子誘導体には、シグナル伝達因子や、転写調節因子、各種酵素、各種受容体、抗体あるいは抗体のFab部分などが含まれる。
他の選定分子としては、低分子生理活性物質、薬剤候補品などが挙げられ、これらの中でも医薬品などの生理活性な低分子化合物であって、他の導入方法では組織内あるいは細胞内に導入されづらい低分子化合物が好ましい。他の導入方法では組織内あるいは細胞内に導入されづらい低分子化合物とは、分子量が1000Da以上の低分子、膜透過性の低い分子、などである。
なお、上述の各種選定分子は、単一の種類を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
(第1の液体)
第1の液体は、選定分子を含む液体である導入液、標的細胞または標的組織、および、培養液からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
選定分子を含む液体(導入液)は、特に限定されるものではないが、たとえば選定分子を含む水溶液または懸濁液であることが好ましい。また、該水溶液または懸濁液の溶媒または分散媒としては、たとえば生理食塩水やpH緩衝溶液などが挙げられる。
培養液は、標的細胞または標的組織を培養できるものであれば特に限定されず、種々公知のものを用いることができる。一例としては、市販品のD−MEM、RPMIが挙げられる。
本方法では、移送ステップの前または後に、選定分子と、標的細胞または標的組織とを接触させる。すなわち、第1の液体が、導入液(選定分子を含む液体)と標的細胞または標的組織との両者を含む場合は、これらの混合時に、選定分子と、標的細胞または標的組織とが接触する。一方、第1の液体に導入液(選定分子を含む液体)と標的細胞または標的組織とのいずれか一方が含まれ、第2の液体に他方が含まれる場合は、移送ステップの後に、選定分子と、標的細胞または標的組織とが接触する。
第1の液体は、標的細胞または標的組織および/または導入液を含むことが好ましく、標的細胞または標的組織を含むことがより好ましく、標的細胞または標的組織および導入液を含むことが最も好ましい。第1の液体が標的細胞または標的組織および導入液を含む場合、移送ステップの前に、選定分子と標的細胞または標的組織とが接触することになり、両者が接触した状態で電極による電界の作用を受けることとなる。
(容器)
第1の液体が移送される容器は、少なくとも移送された第1の液体を収容することのできる構造であれば特に限定されるものではないが、たとえば、プレート、シャーレ、チューブ、試験管、フラスコなどが挙げられる。
(第2の液体)
第1の液体が容器に移送される前に、容器には第2の液体が収容されていることが好ましい。ここで、第2の液体は、選定分子を含む液体である導入液、標的細胞または標的組織、および、培養液のうち第1の液体に含まれるものを除く群から選択される少なくとも1つを含む液体である。例えば、第1の液体が標的細胞または標的組織および導入液を含む場合、第2の液体は、培養液または緩衝液などである。
(電極への電圧印加)
電極への電圧印加方法としては、電極の内部または外表面(第1の液体が通過する領域)に電界を発生させるものであれば特に限定されない。例えば、電極と対向電極(底面電極)との間に電圧を印加することにより、電極の内部または外表面を通過する第1の液体に電界を作用させることができる。この電界が第1の液体に含まれる標的細胞または標的組織や、導入液中の選定分子に作用を及ぼすことにより、選定分子の標的細胞または標的組織への導入効率が向上し、標的細胞または標的組織の死滅率を低減することが可能となる。
電極に印加される電圧は、数kV〜数十kV程度であることが好ましく、さらに好ましくは2kV〜30kVであり、最も好ましくは5〜20kVである。数十kVよりも高い電圧で電流を流すと、標的細胞または標的組織の死滅率が高くなってしまい、逆に、数kVよりも低い電圧で電流を流すと選定分子の導入率を向上させる効果を得ることができない。
第1の溶液を電極の内部または外表面を通過させるために、電極はパイプ状か、棒または板状のもの、あるいは、棒または板状のものに第1の溶液を通過させるための案内を施したものであることが好ましい。ただし、電極の構成はこれらに限定されない。
パイプ状の電極としては、第1の液体を排出する排出口と、それに連通した内孔を有し、該内孔が第1の液体の収容部と接続できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、中空パイプ状の形状が挙げられる。
電極が金属パイプである場合、第1の液体は、金属パイプ内を通過して、所定流量で容器へ移送される。金属パイプの外径は100μm以下であることが好ましい。移送ステップでの第1の液体の移送量が、100sccm以下であることが好ましい。
なお、本発明においては、さらに、他の付加的なステップが備わっていてもよい。例えば、選定分子が導入された標的細胞を後培養してもよい。また、後培養の後に、さらに選定分子の導入された標的細胞をスクリーニングしてもよい。
<選定分子導入装置>
本発明の選定分子導入装置は、上記の選定分子の導入方法に用いられるものであって、
前記第1の液体を移送するための移送機構と、
移送された前記第1の液体を収容するための容器と、
前記電極に電圧を印加するための電圧印加機構とを備える。
図1は、本発明の選定分子導入装置の一例の概要を示す模式図である。ただし、本発明の導入装置の構造は、図1に示す構造に限定されるものではない。
図1に示す本発明の選定分子導入装置では、移送機構は注射器であり、電極は該注射器の注射針である。ただし、本発明に用いられる移送機構は、これに限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式の印刷機に用いられるような液体の移送機構も好適に用いることができる。
また、電圧印加機構は、注射針(電極)と、容器の注射針とは反対側に設けられた対向電極と、注射針および対向電極に接続された直流または交流の電源とを備える。
すなわち、図1に示す選定分子導入装置は、バレル11、プランジャー12および注射針13からなる注射器1と、注射針(電極)13に接続された電圧供給手段(電源)2と、容器4と、金属メッシュからなる対向電極(底面電極)5とを備えており、電圧供給手段2により、注射針13と底面電極5との間に所定の電圧を印加することができる。なお、容器4はシャーレである。
バレル11の内部には、上記第1の液体が予め収容されている。プランジャー12を下側(図の矢印の方向)に押し下げることにより、所定の流量で注射針13の先端(排出口)から、第1の液体3が容器4に向けて噴出される。
なお、電圧供給手段2としては、特に限定されるものではないが、たとえば高圧電源FP1000(パール工業株式会社製)などの電源供給装置が挙げられる。電源が交流電源である場合の交流波の波形は、正弦波、半波整流、全波整流、パルスのいずれも用いることができる。また、電圧供給手段2は、例えば、信号発生器、リニアアンプ、整合回路および昇圧トランスを備えていてもよい。
本発明の選定分子導入装置は、基本的に、電圧供給手段と、電極と、電圧供給手段と電極を接続する導電線とを備えている。また、電源は、信号発生器、リニアアンプ、整合回路、昇圧トランスなどを備えていてもよく、その場合、それらと電極または対向電極とは導電線で互いに電気的に接続されているため、電極間電圧、電極距離、周波数、パルス周期(パルス周波数)、Dutyなどのパラメータを種々の条件に設定することができる。なお、電源供給手段2と電極(電極または対向電極)とを接続する接続回路に整流器、抵抗、コイルまたはコンデンサを有することが好ましい。
本発明の選定分子導入装置においては、標的細胞の種類、あるいは選定分子の種類に応じて、上記の電極間電圧、電極距離、周波数、パルス周期、Dutyなどのパラメータを変化させることができる。
電極および対向電極(底面電極)の材質は、特に限定されるものではないが、タングステン、モリブデンなどが挙げられ、腐食しにくい材質や、金、銀、プラチナ等の殺菌効果のある材質であることが好ましい。
本発明においては、単数または複数の電極の先端の下側の所定領域のみに第1の液体を移送することができ、選定分子が導入される標的細胞の範囲の調節等を行うことができる。電極の先端と、容器の第1の液体が移送される部分の表面との最短の距離は、50mm以下に設定されることが好ましい。
電極の数は、単数であっても複数であってもよい。多数の電極を具備する場合、多数の標的細胞へ同時に選定分子の導入が可能となる。
また、上記容器は、第1の液体を移送するための単数または複数の試料保持部を有していてもよく、この場合、この試料保持部に対応する位置に単数または複数の電極が設置される。
また、この電極とこの容器とを相対的に上下に駆動させる上下駆動機構を含むことが好ましい。すなわち、導入液の収容容器の位置調節手段、および/または、電極の位置調節手段を含んでいることが好ましい。これにより、電極の先端と導入液との間の距離を最適化することができる。
上記容器が、標的細胞を保持するための複数の試料保持部を有する容器(多穴ウェル等)である場合、一度に多くの標的細胞への選定分子の導入を行なうことができ、選定分子の導入方法をハイスループット化することができる。この場合、選定分子導入装置は、複数の電極を、多穴ウェル型の容器の複数の試料保持部内に出し入れすることのできる電極の駆動機構あるいは多穴ウェル型の容器の駆動機構を備えていることが好ましい。
なお、選定分子導入装置は、容器を固定するための固定手段を備えることが好ましい。固定手段としては、例えば、導入液および標的細胞を収容する容器を載置する試料台(ステージ)が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、図1を用いて説明したような構成を有する選定分子導入装置を使用した。注射器(マイクロシリンダー)1のバレル11内部には、予め標的細胞(COS7)と選定分子としてDNA(pCX−EGFP)を含む溶液、培養液(D−MEM、FBSおよびペニシリンの混合液(混合比100:10:1)、または、リン酸緩衝液(PBS))のいずれかを含む液体(第1の液体)0.52mLを収容した。また、シャーレには、これらのうち第1の液体とは異なるものを含む液体(第2の液体)を収容した。第1の液体と第2の液体の組み合せは、図2の下欄に記号で示す通りの9種類とした(なお、何も記載のない箇所はリン酸緩衝液であることを示している。)。
設定した速さ(34.4μL/s。すなわち、全量を押し出すまでの経過時間は15.1s)でプランジャー12を押し下げた。そして、そのサンプルを金属製の注射針(外径0.60mm、内径0.43mm)を通過させシャーレへ滴下する。
プランジャー12の押し下げの開始と同時に、注射針に正直流電圧及び正弦波交流電圧(14kHz)を印加した。樹脂製のシャーレの下に配置した金属メッシュは接地しておいた。注射針とシャーレとの間の距離は15〜20mmに設定し、注射針と金属メッシュ間の電圧(電極間電圧)は3〜4kVとした。高電圧を注射針に印加することにより、第1の液体は注射針先端で耐電し、相互斥力により小さな液滴に分裂しながらシャーレへ噴霧される。24時間培養後、顕微鏡を用いて蛍光観察を行い、遺伝子導入効率を求めた。
図2に、第1の液体と第2の液体の組み合わせと、遺伝子導入率との関係を示す。図2に示す結果では、予め注射器内に収容された第1の液体が、導入液(DNA溶液)および標的細胞を含む液であり、予めシャーレに収容された第2の液体が培養液である場合(図2の「GC→M」の場合)に、遺伝子導入効率が最も高い結果が得られた。
1 注射器(マイクロシリンダー)、11 バレル(外筒)、12 プランジャー、13 注射針、2 電圧供給手段(電源)、3 第1の液体、4 容器、5 対向電極(底面電極)。

Claims (2)

  1. 標的細胞または標的組織(ヒトの生体内の細胞、および、ヒトの個体を除く)への選定分子の導入方法に用いられる選定分子導入装置であって、
    前記導入方法は、第1の液体を、電圧を印加した電極の内部または外表面を通過させることにより、前記第1の液体に電界を作用させながら、容器に移送する移送ステップを含み、
    前記第1の液体は、前記選定分子を含む液体である導入液、および、前記標的細胞または標的組織を含み、
    前記移送ステップの前に、前記選定分子と、前記標的細胞または標的組織とを接触させ、
    前記第1の液体が前記容器に移送される前に、前記容器には第2の液体が収容されており、
    前記第2の液体は培養液を含
    前記選定分子導入装置は、
    前記第1の液体を移送するための移送機構と、
    移送された前記第1の液体を収容するための容器と、
    前記電極に電圧を印加するための電圧印加機構とを備え、
    前記電圧印加機構は、前記電極と、前記容器の前記電極とは反対側に設けられた対向電極と、前記電極および前記対向電極に接続された直流または交流の電源とを備える、
    選定分子導入装置
  2. 前記電極は、前記第1の液体を収容するバレルに接続され、前記容器とは離間して設置されている、請求項1に記載の選定分子導入装置
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